説明

インサート成形品の製造方法

【課題】導電プレートを確実に位置決めでき、確実にシールドできるインサート成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】金型4に取り付けた押えピン24で、金型4内の導電プレートBを押えて位置決めする。金型2内に射出した絶縁性樹脂の硬化前に押えピン24を後退させる。絶縁性樹脂の硬化後に型開きする。型締め時は、金型2内の導電プレートBが下型3の支持片32と押えピン24とで挟持され位置決めされた状態で絶縁性樹脂を射出できる。絶縁性樹脂の射出後は、絶縁性樹脂の硬化前に後退させた押えピン24と導電プレートBとの隙間に絶縁性樹脂を充填でき、金型2内の絶縁性樹脂の圧力にて導電プレートBを位置決め保持できるため、押えピン24の後退時にも導電プレートBを位置決めできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチの極盤等のインサート成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のインサート成形品の製造方法としては、例えば下記特許文献1に記載のように、金型の移動に連動して移動するパンチを、導電プレートの連結部に当接させ、この金型の型締め時に、導電プレートの連結部を切断・内曲げ加工して、この連結部が切り離された形状の導電プレートを形成してから、型締め後の金型内に射出された絶縁性樹脂を、導電プレートの切断・内曲げ加工された連結部に廻して、この導電プレートをインサート成形する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3674928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1にかかる従来技術によれば、導電プレートの切断・内曲げ加工された連結部に絶縁性樹脂を廻してインサート成形するものあることから、金型内での導電プレートの位置決めが重要であるが、この導電プレートを金型内で正確に位置決めするためには、金型の下型等で位置決めしなければならず、この導電プレートを押えた部分に絶縁性樹脂を廻すことができず、この導電プレートの少なくとも一部を露出させてインサート成形しなければならない。
【0005】
そして、導電プレートの一部が露出したインサート成形品においては、この導電プレートの露出した部分を確実に絶縁することができないことに加え、この導電プレートが露出している部分から水滴や粉塵等が入り込むおそれがあり、防滴対策・防塵対策等が施されておらず、使用用途が限定されてしまうなどという問題を有している。
【0006】
そこで本発明は、従来技術における上記問題を解決し、インサート部材を確実に位置決めでき、確実にシールドすることが可能なインサート成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するため、請求項1にかかる本発明は、金型内にインサート部材を設置し、前記金型内に樹脂材を射出して前記インサート部材をインサート成形するインサート成形品の製造方法であって、前記金型内に設置されたインサート部材を押えピンにて押えて位置決めする型締め工程と、前記金型内に前記樹脂材を射出する射出工程と、前記樹脂材が硬化する前の状態で、前記押えピンを後退させるピン抜き工程と、前記樹脂材が硬化した状態で型開きして前記インサート部材がインサート成形された前記インサート成形品を取り出す取り出し工程と、を備えたことを特徴としたインサート成形品の製造方法である。
【0008】
請求項2は、請求項1のインサート成形品の製造方法において、ピン抜き工程は、射出工程にて金型内に射出された樹脂材を、後退させた押えピンとインサート部材との隙間に廻すことが可能な状態で、前記押えピンを後退させる、ことを特徴とする。
【0009】
請求項3は、請求項1または2のインサート成形品の製造方法において、ピン抜き工程は、金型内に樹脂材を流し込むための供給管内を通過する前記樹脂材の圧力が所定値より上昇した場合に、押えピンを後退させる、ことを特徴とする。
【0010】
請求項4は、請求項1ないし3いずれかのインサート成形品の製造方法において、インサート部材は、連結部で連結された形状であり、型締め工程後、パンチを前記連結部に当接させ、この連結部が切り離された形状のインサート部材とする切断工程を備え、ピン抜き工程は、射出された樹脂材が硬化する前の状態で、押えピンおよび前記パンチを後退させる、ことを特徴とする。
【0011】
請求項5は、請求項4のインサート成形品の製造方法において、切断工程は、パンチを連結部に当接させ、この連結部を切断・内曲げ加工して前記連結部が切り離された形状のインサート部材を形成し、ピン抜き工程は、射出された樹脂材が硬化する前の状態で、押えピンとともに前記パンチを後退させて、この後退させた押えピンとインサート部材と間、および切断・内曲げされた前記連結部とパンチとの間のそれぞれに前記樹脂材を廻して前記インサート部材をインサート成形する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、金型内に設置されたインサート部材を押えピンにて押えて位置決めした後、金型内に樹脂材を射出し、樹脂材が硬化する前の状態で、押えピンを後退させ、樹脂材が硬化した状態で型開きしてインサート部材がインサート成形されたインサート成形品を取り出すため、押えピンを後退させた状態において、この後退させた押えピンとインサート部材との間の隙間に樹脂材を流し込ませつつ、インサート部材をインサート成形できるから、押えピンにてインサート部材を押えることにより確実にインサート部材を位置決めできるとともに、このインサート部材を押えピンにて押えた部分を樹脂材にて確実にシールドすることができる。
【0013】
また、金型内に射出された樹脂材を、後退させた押えピンとインサート部材との隙間に廻すことが可能な状態で、押えピンを後退させることにより、押えピンを後退させた状態において、この押えピンとインサート部材との間の隙間に樹脂材を確実に流し込ませることができるため、このインサート部材の押えピンにて押えた部分をより確実に樹脂材にてシールドすることができる。
【0014】
さらに、金型内に樹脂材を流し込むための供給管内を通過する樹脂材の圧力が所定値より上昇した場合は、金型内に樹脂材が十分に注入された状態であるため、この状態で、押えピンを後退させることによって、金型内の樹脂材が硬化する前の状態で、この押えピンを確実に後退させることができる。よって、この後退させた押えピンとインサート部材との間の隙間に樹脂材を確実に流し込ませることができ、このインサート部材の押えピンにて押えた部分をより確実に樹脂材にてシールドすることができる。
【0015】
また、金型を型締めした後、パンチをインサート部材の連結部に当接させ、この連結部が切り離された形状のインサート部材としてから、金型内に樹脂材を射出し、この射出された樹脂材が硬化する前の状態で、押えピンおよびパンチを後退させて、この後退させた押えピンとインサート部材との間、および切り離された連結部のそれぞれに樹脂材を廻しつつインサート部材をインサート成形できる。このため、インサート成型時にインサート部材の連結部を切り離すとともに、この切り離された連結部を樹脂材で覆ってシールドすることができるから、このインサート部材の連結部をインサート成形後に切断する切断作業を不要にでき、インサート成形品の生産効率を高めることができる。
【0016】
さらに、パンチを連結部に当接させ、この連結部を切断・内曲げ加工して連結部が切り離された形状のインサート部材を形成してから樹脂材を射出し、この射出された樹脂材が硬化する前の状態で、押えピンとともにパンチを後退させて、この後退させた押えピンとインサート部材と間、および切断・内曲げされた前記連結部とパンチとの間のそれぞれに樹脂材を廻してインサート部材をインサート成形することにより、この切断・内曲げされた連結部とパンチとの間にも樹脂材が流れ込んでシールドされるため、仮に、この切断・内曲げされた連結部にバリ等が形成された場合であっても、このバリが樹脂材に覆われてシールドされるため、このバリが形成されることに伴うリークや露出等を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるインサート成形品の製造方法に用いられる金型の型締め状態を示す概略断面図である。
【図2】上記金型内に樹脂材を射出した状態を示す概略断面図である。
【図3】上記金型の押えピンを後退させた状態を示す概略断面図である。
【図4】上記金型の供給管を示す概略平面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態によるインサート成形品の製造方法に用いられる金型の型締め状態を示す概略断面図である。
【図6】上記金型のパンチにてインサート部材の連結部を切り離した状態を示す概略断面図である。
【図7】上記金型の押えピンおよびパンチを後退させた状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の第1の実施の形態に係るインサート成形品の製造方法について図1ないし図4を参照して説明する。
【0019】
このインサート成形品Aの製造方法に用いられる製造装置1は、2プレートタイプのインサート成形装置であって、インサート成形品Aにインサート成形されるインサート部材(ターミナル)としての導電プレートBの防滴対策を施すことができるものである。ここで、導電プレートBは、例えば銅等の導電性を有する金属材料等にて形成された導電板であって、インサート成形品Aにインサート成形された後においては、例えばスイッチの極盤・ターミナルや固定接点等の役目を果たす部分となる。そして、製造装置1は、上型2と下型3とで構成された金型4を備えており、この金型4の上型2と下型3との間の樹脂充填領域である成形部としての成形空間5に導電プレートBを設置して載置してから、これら上型2と下型3とを型締めした状態で、これら上型2と下型3との間の成形空間5に樹脂材である絶縁性樹脂Cを射出して注入することにより、導電プレートBがインサート成形されたインサート成形品Aが製造される。
【0020】
すなわち、この金型4は、この金型4の上側の約2分の1を構成する上型2と、この金型4の下側の約2分の1を構成する下型3とからなる。そして、下型3の上面である成形面3aには、上方に開口した断面略凹状の成形領域となる下型空間31が形成されている。この下型空間31の底部31aには、この下型空間31に載置される導電プレートBを支持するための複数、例えば3本の支持片32が突設されている。これら支持片32は、所定の間隔を空けて設けられており、下型空間31の底部31aから、この下型空間31の厚さ方向の約2分の1の高さまで上下方向に沿って垂直に突出している。
【0021】
また、この支持片32の先端部は、平坦な載置面32aとされている。この載置面32aは、インサート成型時に導電プレートBを載置させるためのものである。また、下型3の下型空間31の開口縁には、この下型空間31内に絶縁性樹脂Cを注入するための供給管として樹脂注入口6の下側の約2分の1を構成する下側注入凹部33が設けられている。この下側注入凹部33は、下型3の下型空間31の開口縁から、この下型3の縁部までに亘って直線状に設けられている。
【0022】
一方、金型4の上型2の下面である成形面2aにもまた、下方に開口した断面略凹状の成形領域となる上型空間21が設けられている。この上型空間21の底部21aには、この上型空間21から上型2の外部に向けて貫通したピン挿通孔22が穿設されている。これらピン挿通孔22は、下型3の支持片32に対向して位置するように、所定の間隔を空けて、例えば3本ほど設けられている。そして、上型2の上型空間21の開口縁にもまた、この上型空間21内に絶縁性樹脂Cを注入するための樹脂注入口6の上側の約2分の1を構成する上側注入凹部23が設けられている。この上型注入凹部23は、上型2の上型空間21の開口縁から、この上型2の縁部までに亘って直線状に設けられている。
【0023】
さらに、上型2の各ピン挿通孔22には、細長円柱状の押えピン24がそれぞれ挿通されて取り付けられており、これら押えピン24は各ピン挿通孔22に挿通されて貫通させた状態で、これらピン挿通孔22の軸方向に沿って進退可能に取り付けられている。これら押えピン24は、下型3の支持片32の幅寸法より小さな直径寸法に形成されており、この下型3の下側空間31に上型2の上型空間21を向かい合わせて型締めした状態で、これら各支持片32の中央に対向する位置に取り付けられている。また、これら押えピン24の先端には、軸方向に直交する水平な押え面24aが形成されており、これら押え面24aは、下型3の下側空間31に載置された導電プレートBを押えて位置決めさせるものである。
【0024】
そして、これら各押えピン24の上型2から突出している基端側は、これら押えピン24を同時に連動させて進退移動させるための移動プレート25に取り付けられて固定されている。この移動プレート25は、上型2の上側に位置する上面2bに沿って並行に取り付けられており、この移動プレート25に対向して設置された支持プレート26との間に弾性部材としてのスプリング27が取り付けられ、このスプリング27によって上型2の上面2b側に付勢されている。ここで、支持プレート26は、上型2の上面2bとの間に所定の間隔を空けて並行に取り付けられて固定されている。また、スプリング27は、支持プレート26と移動プレート25との間に、所定の間隔を空けて複数、例えば2本ほど設置されており、これら各スプリング27の軸方向を移動プレート25の厚さ方向に沿わせて取り付けられている。
【0025】
また、上型2と下型3とを型締めして上側注入凹部23と下側注入凹部33とにより形成される樹脂注入口6には、図4に示すように、この樹脂注入口6を介して金型4の成形空間5に絶縁性樹脂Cを注入するための樹脂注入管51が接続可能とされており、この樹脂注入管51と樹脂注入口6との接続箇所である接続ポート52には、この樹脂注入管51へ注入される絶縁性樹脂Cの圧力が所定値より上昇した場合にオンするスイッチ53が取り付けられている。このスイッチ53は、樹脂注入管51から樹脂注入口6を介して金型4の成形空間5へ注入された絶縁性樹脂Cが、これら成形空間5、樹脂注入口6および樹脂注入管51内を満たした場合に、これら成形空間5、樹脂注入口6および樹脂注入管51内に満たされた絶縁性樹脂Cの圧力(内圧)の所定値以上の上昇によって、この絶縁性樹脂Cにてスイッチ53が加圧、すなわち押されてオンし、この絶縁性樹脂Cの圧力の上昇がなくなり、この絶縁性樹脂Cの圧力が低くなるとスイッチ53がオフするように構成されている。なお、このスイッチ53は、接続ポート52に基端部が接続された導入管53aの先端部に取り付けられており、この導入管53aへと流れ込む絶縁性樹脂Cによってオンオフされる。この導入管53aは、スイッチ53のオンオフをより正確に動作させるため、樹脂注入管51の内径寸法より小さな内径寸法に形成されている。
【0026】
次に、上記製造装置1を用いたインサート成形品Aの製造方法について説明する。
【0027】
<設置工程>
型開きされた金型4の下型3の下側空間31の中央に導電プレートBを設置しつつ、この導電プレートBを各支持片32の載置面32a上に載置させて、この導電プレートBを下型3の下側空間31内にセットしてインサート挿入を行う。このとき、上型2の各ピン挿通孔22に挿通されている各押えピン24は、スプリング27による弾性力によって移動プレート25が上型2の上面2bへ当接するように付勢されており、これら各押えピン24の押え面24aが上型2の上型空間21の底部21aより上側空間21内へ突出した状態とされている。
【0028】
<型締め工程>
この状態で、これら下型3および上型2を近づく方向に相対的に移動させて、これら下型3の成形面3aと上型2の成形面2aとを接触させて型締めする。このとき、図1に示すように、この上型2の各ピン挿通孔22から上型空間21内へ突出している各押えピン24の押え面24aによって、下型3の下側空間31内に設置されている導電プレートBが上側から押えられて下型の支持片32との間で挟持されて位置決め固定される。また、これら上型2と下型3とが型締めされることによって、この上型2の上側注入凹部23と下型3の下側注入凹部33とが重なり合い、これら上型2と下型3との間の成形空間5に、溶融した絶縁性樹脂Cを注入するための樹脂注入口6が形成される。
【0029】
<射出工程>
この後、樹脂注入管51を介して金型2の樹脂注入口6へ、溶融させた絶縁性樹脂Bを注入し、図2に示すように、この絶縁性樹脂Cを金型2内の成形空間5に射出させる。このとき、絶縁性樹脂Cは、各押えピン24および導電プレートBが位置する部分を除いた成形空間5内を満たしていき、これら押えピン24および導電プレートBを覆っていく。
【0030】
<ピン抜き工程>
そして、この絶縁性樹脂Cが金型2内の成形空間5に射出された後においては、この絶縁性樹脂Cが硬化する前の状態、すなわち後退させた押えピン24と導電プレートBとの間の隙間に絶縁性樹脂Cを廻して充填することが可能な状態で、図3に示すように、各押えピン24の押え面24aが上型2の上型空間21の底部21aに沿う位置、すなわち面一位置となるまで、スプリング27の弾性力に抗して移動プレート25を上方に移動させて、各押えピン24を後退移動させる。
【0031】
このとき、これら押えピン24を後退させる速度としては、これら押えピン24による導電プレートBの位置決めを解除し、これら押えピン24を上方へ移動させる際に、導電プレートBと押えピン24との間に絶縁性樹脂Cが廻って流れ込むことによって、この導電プレートBが金型4の成形空間5内の所定位置からずれない程度に調整されている。
【0032】
ここで、絶縁性樹脂Cが硬化する前の状態については、金型4の成形空間5全体に絶縁性樹脂Cが充填された場合に生じる、この絶縁性樹脂Cの成形空間5および樹脂注入管51内における圧力の上昇によって、この絶縁性樹脂Cが樹脂注入管51の接続ポート52から導入管53a内へ入り込んでいき、この導入管53a内へ入り込んだ絶縁性樹脂Cがの圧力が所定値より上昇した場合に、スイッチ53が加圧されてオンされることによって、このスイッチ53のオンにて移動プレート25を上方に移動させる駆動機構(図示せず)がオンされて駆動される。
【0033】
このとき、金型4の成形空間5に射出された絶縁性樹脂Cは、押えピン24が上方に移動して引き抜かれていくことと同時に、この押えピン24が位置していた空間に充填されていき、これら各押えピン24の押え面24aと導電プレートBとの間へと充填される。ここで、この金型2の成形空間5内においては、絶縁性樹脂Cが充填されていることから、この成形空間5内での絶縁性樹脂Cによる圧力(加圧)によって導電プレートBが位置決め保持されており、各押えピン24を後退させる際においても、この導電プレートBが絶縁性樹脂Cの圧力によって位置決め保持されている。
【0034】
<取り出し工程>
そして、金型4の成形空間5に射出された絶縁性樹脂Cが硬化した後の状態で、押さピン24、移動プレート25および支持プレート26とともに上型2を一連の動作で連動させて上方に移動させることにより、この金型4の上型2と下型3とを引き離すように相対的に移動させて型開きし、導電プレートBがインサート成形されたインサート成形品Aを、金型4の成形空間5内から取り出す。
【0035】
前述のように、金型4の上型2のピン挿通孔22に取り付けた押えピン24を用い、この金型4の成形空間5に設置された導電プレートBの上面を押えて位置決め固定した状態で、この成形空間5に、溶融した絶縁性樹脂Cを射出し、この絶縁性樹脂Cの硬化前の状態で、各押えピン24を後退させ、この絶縁性樹脂Cの硬化後に、金型4の上型2と下型3とを型開きして、導電プレートBがインサート成形されたインサート成形品Aを金型4の成形空間5から取り出すこととした。
【0036】
このため、金型4を型締めした状態においては、この金型4の成形空間5内に設置された導電プレートBが下型3の支持片32と押えピン24とによって挟持されており、これら支持片32および押えピン24にて確実に位置決め保持した状態で、この金型4の成形空間5内に絶縁性樹脂Cを射出することができる。
【0037】
また、絶縁性樹脂Cを金型4の成形空間5に射出した後においては、この絶縁性樹脂Cが硬化する前の状態で、各押えピン24を後退させるため、これら後退させた各押えピン24の押え面24aと導電プレートBとの間の隙間(空間)に絶縁性樹脂Cを廻らせて充填することができるとともに、金型4の成形空間5に絶縁性樹脂Cが充填されていることによって、この成形空間5内での絶縁性樹脂Cの圧力にて導電プレートBが位置決め保持されているため、各押えピン24を後退させる際においても、この導電プレートBを絶縁性樹脂Cの圧力にて位置決め保持し続けることができる。
【0038】
よって、これら各押えピン24にて金型4内の導電プレートBを押えることにより、この導電プレートBを確実に位置決め保持できるとともに、これら各押えピン24にて押えた部分に絶縁性樹脂Cを充填して被覆して、この押えピン24にて押えた部分の導電プレートBの露出を防止してシールドすることができる。したがって、導電プレートBの押えピン24にて押えた部分を確実に絶縁できるとともに、この導電プレートBの一部が露出していることに伴う、この導電プレートBが露出した部分への水滴や粉塵等の入り込みを確実に防止できるため、この導電プレートBがインサート成形されたインサート成形品Aに確実な防滴対策・防塵対策等を施すことができ、このインサート成形品Aの使用用途の限定を少なくすることができる。
【0039】
特に、各押えピン24を後退させるタイミング、すなわち金型4の成形空間5に充填した絶縁性樹脂Cが硬化する前の状態であって、後退させた押えピン24と導電プレートBとの隙間に絶縁性樹脂Cを廻すことが可能なタイミングについて、金型4の成形空間5全体に絶縁性樹脂Cが充填された場合に、この成形空間5内での絶縁性樹脂Cの圧力が上昇することに着目し、この金型4の樹脂注入管51の接続ポート52にスイッチ53を接続し、この金型4内での絶縁性樹脂Cの圧力が所定値より上昇した場合に、この絶縁性樹脂Cの圧力にてスイッチ53が加圧されて押されてオンされる構成とし、このスイッチ53のオンにて、各押えピン24を連動させる移動プレート25の駆動機構をオンして駆動させ、各押えピン24を後退させることとした。このため、金型4内の導電プレートBを押えて位置決めする押えピン24を後退させるタイミングを機械的に把握して制御することができるから、これら各押えピン24を後退させる制御を簡単な構成で確実に行うことができる。
【0040】
なお、上記第1の実施の形態では、金型4内に設置した導電プレートBを押えピン24にて押えて位置決めした状態で絶縁性樹脂Cを金型2内に射出してから押えピン24を後退させる方法としたが、図5ないし図7に示す本発明の第2の実施の形態のように、金型4内に設置した導電プレートBを押えピン24にて位置決めした状態で、この導電プレートBの切離部である連結部B1を切断してから絶縁性樹脂Cを射出した後に押えピン24を後退させる方法とすることもできる。
【0041】
ここで、この導電プレートBは、各回路が位置決めされてマッチングされた状態で連結部B1にて連結されて繋げられた形状とされており、この連結部B1が金型2内で切断・内曲げ加工される。また、この導電プレートBの連結部B1の下面側に位置する裏面には、この連結部B1での切断・内曲げ加工を容易にするためのV型のノッチB2が形成されている。なお、このノッチB2は、導電プレートBを金型4の成形空間5内に設置してセットする前の段階で、この導電プレートBの連結部B1の裏面に形成される。
【0042】
具体的に、この第2の実施の形態の方法に用いられる製造装置1aは、既述した第1の実施の形態の製造装置1とほぼ同様の構成であり、同一または対応する部材ないし要素には同一の符号を付けてある。それらについての説明は第1の実施の形態における説明と重複するので割愛する。そして、この製造装置1aの金型4は、この金型4の上型2の上型空間21の底部21aを構成するキャビプレート61の上面61aに対向して移動プレート25が取り付けられている。これらキャビプレート61および移動プレート25のそれぞれには、押えピン24を挿通させて取り付けるためのピン挿通孔61b,25aが穿設されている。
【0043】
そして、これら連通した各ピン挿通孔61b,25aに挿通して取り付けられている各押えピン24は、先端部に押え面24aが形成された円筒状の軸状部24bと、この軸状部24bの基端側に同心状に取り付けられた円盤状の頭部24cとにて構成されている。これら各押えピン24は、図5に示すように、これら各押えピン24の頭部24cを移動プレート25の上面に突出させ、これら各押えピン24の軸状部24bを移動プレート25およびキャビプレート61のそれぞれのピン挿通孔25a,61bに挿通させ、これら各押えピン24の先端部をキャビプレート61の下面61cより下方に突出させた状態で取り付けられている。さらに、これら各押えピン24は、移動プレート25のピン挿通孔25aに挿通させた状態で、この移動プレート25に固定されている。
【0044】
また、これらキャビプレート61および移動プレート25には、金型4の成形空間5に設置された導電プレートBの連結部B1を切断するためのパンチ62が挿通されるパンチ挿通孔61d,25bがそれぞれ穿設されている。さらに、移動プレート25が位置する側とは反対側である支持プレート26の外側、すなわち上側には、各パンチ62を同時に連動させて進退移動させるための移動プレートとしての駆動プレート63が取り付けられている。この駆動プレート63における、キャビプレート61および移動プレート25の各パンチ挿通孔61d,25bに連通した位置には、パンチ取付孔63aが穿設されている。さらに、支持プレート26にもまた、駆動プレート63のパンチ取付孔63a、移動プレート25およびキャビプレート61のパンチ挿通孔25b,61dのそれぞれに連通したパンチ挿通孔26aが穿設されている。
【0045】
各パンチ62は、先端部に円錐面状のパンチ面62aが形成された円筒状の軸状部62bと、この軸状部62bの基端側に同心状に取り付けられた円盤状の頭部62cとにて構成されており、図5に示すように、これら各パンチ62の頭部62cを、駆動プレート63の上面に係止させて固定させた状態で、これら各パンチ62の軸状部62bを、駆動プレート63のパンチ取付孔63aを介して、支持プレート26、移動プレート25およびキャビプレート61の各パンチ挿通孔26a,25b,61dに挿通されて、このキャビプレート61の下面61cから少なくともパンチ62のパンチ面62aを下方に突出させた状態とされて取り付けられている。さらに、これら各パンチ62は、駆動プレート63のパンチ取付孔63aに挿通させた状態で、この駆動プレート63に固定されている。
【0046】
また、図7に示すように、駆動プレート63には、この駆動プレート63を上下方向に駆動させて各パンチ62を連動させて進退移動させるための駆動手段であるパンチ駆動機構64が取り付けられている。一方、移動プレート25にもまた、この移動プレート25を上下方向に駆動させて各押えピン24を連動させて進退移動させるための駆動手段であるピン駆動機構65が取り付けられている。さらに、駆動プレート63の外側には、この駆動プレート63に対向した状態で支持プレートとしての枠プレート66が設置されており、この枠プレート66と各パンチ62の頭部62cとの間に弾性部材としてのスプリング67が取り付けられ、このスプリング67の弾性力によって、各パンチ62が先端側であるパンチ面62a側に付勢されている。さらに、支持プレート26と移動プレート25との間のスプリング27も同様に、この支持プレート26と各押えピン24の頭部24cとの間に取り付けられ、このスプリング27の弾性力によって、各押えピン24が押え面24a側に付勢されている。ここで、これらパンチ62、駆動プレート63およびパンチ駆動機構64によって、導電プレートBの連結部B1を切断して切り離すための切り離しツール68が構成されている。
【0047】
次に、上記製造装置1aを用いたインサート成形品Aの製造方法について説明する。
【0048】
<設置工程>
まず、導電プレートBを金型4の成形空間5内にセットする前の段階で、この導電プレートBの連結部B1の裏面部にノッチB2を形成する。次いで、型開きされた金型4の下型3の各支持片32間に連結部B1が位置するように、これら支持片32上に導電プレートBを載置させて、この導電プレートBを下型3の下側空間31内にセットする。
【0049】
このとき、移動プレート25がキャビプレート61に当接する最も下方位置に移動しており、このキャビプレート61のピン挿通孔61bを介して、各押えピン24がキャビプレート61の下面61cから最も突出した状態とされている。また、駆動フレーム63が支持フレーム26から最も離れた上方位置に移動しており、キャビフレーム61のパンチ挿通孔61dを介して、各パンチ62がキャビフレーム61の下面61cからパンチ面62aのみを突出させた後退状態とされ、導電プレートBの連結部B1より所定距離ほど上方に位置している。
【0050】
<型締め工程>
この状態で、金型4を型締めする。このとき、図5に示すように、下型3の下側空間31内に設置された導電プレートBが各押えピン24の押え面24aにて上側から押えられて下型3の支持片32との間で挟持されて位置決め固定される。また、この金型4の型締めによって樹脂注入口6が形成される。
【0051】
<切断工程>
この後、図6に示すように、パンチ駆動機構64を駆動させて駆動プレート63を下方へ移動させて各パンチ62を進出させ、これら各パンチ62を導電プレートBの連結部B1に当接させる。この状態で、さらに駆動プレート63を下方へ移動させて各パンチ62を進出させ、これら各パンチ62にて導電プレートBの連結部B1を切断・内曲げ加工して、これら連結部B1が機械的かつ電気的に切り離された形状の導電プレートBとする。
【0052】
このとき、これら各パンチ62を下方に移動させる駆動プレート63は、支持プレート26に当接する位置までに下方に移動され、これら各パンチ62のそれぞれを所定の位置まで下方に連動させて移動させている。ここで、「切断・内曲げ加工」とは、導電プレートBの連結部B1を切断するとともに、この連結部B1の切断箇所B3を内側へ曲げる下降をいう。
【0053】
<射出工程>
この状態で、金型4の樹脂注入口6から、溶融させた絶縁性樹脂Cを注入し、この絶縁性樹脂Cを金型4の成形空間5に射出させる。このとき、絶縁性樹脂Cは、各押えピン24、パンチ62および導電プレートBのそれぞれが位置する部分を除いた成形空間5に満たされていく。
【0054】
<ピン抜き工程>
そして、この射出された絶縁性樹脂Cが硬化する前の状態で、パンチ駆動機構64およびピン駆動機構65のそれぞれを同時に駆動させ、図7に示すように、駆動プレート63を上方に移動させて、各パンチ62のパンチ面62aのみがキャビプレート61の下面61cから下方に突出した状態となる位置まで、これら各パンチ62を後退させるとともに、移動プレート25を上方に移動させて、各押えピン24の押え面24aがキャビプレート61の下面61cに面一なる状態となる位置まで、これら各押えピン24を後退させる。
【0055】
このとき、金型4の成形空間5内の絶縁性樹脂Cは、押えピン24およびパンチ62のそれぞれが上方に移動して引き抜かれていくことと同時に、これら押えピン24およびパンチ62が位置していた空間に充填されていき、これら各押えピン24の押え面24aと導電プレートBとの間、および切断・内曲げ加工されて切り離された連結部B1の切断箇所B3とパンチ62のパンチ面62aとの間のそれぞれに充填されていく。
【0056】
<取り出し工程>
そして、金型4の成形空間5に射出された絶縁性樹脂Cが硬化した後の状態で、この金型4を型開きし、上型4とともに押さピン24およびパンチ62を上方へ移動させ、連結部B1が切り離し処理された導電プレートBがインサート成形されたインサート成形品Aを取り出す。
【0057】
したがって、前述のように、金型4を型締めした後、導電プレートBの連結部B1にパンチ62を当接させて、この連結部B1を切断・内曲げ加工して切り離した形状としてから金型4内に絶縁性樹脂材Cを射出し、この絶柄性樹脂Cが硬化する前の状態で、押えピン24およびパンチ62のそれぞれを後退させて、これら押えピン24と導電プレートBとの間、および切断および内曲げ加工されて切り離された連結部B1の切断箇所B3とパンチ62との間のそれぞれに絶縁性樹脂Bを廻して充填させて絶縁性樹脂Cにて覆って、導電プレートBをインサート成形する。このため、インサート成形時に導電プレートBの連結部B1を切り離すとともに、この切り離された連結部B1を絶縁性樹脂Cで覆ってシールドすることができる。よって、この導電プレートBの連結部B1をインサート成形後に切断する切断作業を不要にできるから、この導電プレートBをインサート成形したインサート成形品Aの生産効率を高めることができる。
【0058】
すなわち、導電プレートBにて複数の回路を構成するインサート成形品Aであっても、これら複数の回路を連結部B1にて連結してマッチングされた導電プレートBを用いることにより、一つの導電プレートBおよび一つの金型4で足りるため製造効率を大幅に向上できる。また、パンチ62は、導電プレートBの連結部B1を切断するとともに切断箇所B3を内側へ曲げて内曲げ加工させて切り離すため、この切り離された連結部B1の先端部分が大きく変位させることができる。よって、仮に連結部B1の切断時にバリ等が発生しても、このバリ等は、切断箇所B3の先端部が大きく変位する途中で破断するため、この切断箇所B3における疑似接触の発生を阻止することができる。
【0059】
特に、これら押えピン24およびパンチ62を後退させることにより、この後退させた押えピン24と導電プレートBとの間に加え、切断・内曲げ加工されて切り離された連結部B1とパンチ62との間にも、絶縁性樹脂Cが廻って流れ込んで充填されてシールドされる。このため、仮に、この切断・内曲げ加工されて切り離された連結部B1にバリ等が形成された場合であっても、このバリが絶縁性樹脂Cにて覆われてシールドされるから、このバリが形成されることに伴うリークや露出等を確実に防止することができ、この切り離された連結部B1での疑似接触を確実に阻止することができる。
【0060】
また、金型4内に射出した絶縁性樹脂Cが硬化する前の状態で、パンチ62とともに押えピン24を同時に後退させる構成としたことにより、これらパンチ62と押えピン24とを別個の工程で後退させて引き抜く場合に比べ、インサート成形品Aを製造する際の製造スピードを向上できるとともに、製造工程を少なくできるため、インサート成形品Aの製造装置1aの管理性を向上できる。
【0061】
さらに、各パンチ62を上下方向に進退移動させる駆動プレート63を、支持プレート26に当接する位置まで下方に移動させることによって、これら各パンチ62のそれぞれが、導電プレートBの連結部B1を確実に切断・内曲げ加工して切り離すことができる所定の位置まで、連動して移動される。このため、例えば、支持プレート26の取り付け位置を調整して駆動プレート63の移動距離を調整することによって、各パンチ62の進出距離を調整することができるから、これらパンチ62にて導電プレートBの連結部B1を切り離す工程の調整を容易できる。
【0062】
なお、上記各実施の形態においては、インサート部材として導電性を有する導電プレートBを用いた場合について説明したが、本発明に用いるインサート部材としては、絶縁性を有する部材であっても良い。また、金型4内に射出する樹脂材としては、絶縁性を有する樹脂材、すなわち絶縁性樹脂Cのほか、導電性を有する樹脂材等であっても用いることができる。
【0063】
また、金型4内に射出する絶縁性樹脂Cの圧力が所定値以上になった場合にスイッチ53をオンさせて押えピン24やパンチ62を後退させる構成としたが、この金型4内に射出された絶縁性樹脂Cが硬化する前であって、後退させた押えピン24やパンチ62と導電プレートBとの間に絶縁性樹脂Cを廻して充填することが可能な状態で、これら押えピン24やパンチ62を後退させることができればよいため、例えば絶縁性樹脂Cの射出の開始時からの経過時間を基準として、これら押えピン24やパンチ62を後退させるタイミングを制御することもできる。
【0064】
さらに、上記第2の実施の形態においては、金型4内に絶縁性樹脂Cを射出した後の状態で、押えピン24とともにパンチ62を同時に後退させて引き抜く構成としたが、これら押えピン24およびパンチ62を後退させるタイミングをずらして別々の工程として制御しても良い。また、これらパンチ62を、金型4の型締め動作に連動させて移動させる構成とすることもできる。
【0065】
また、押えピン24やパンチ62と金型4とを連動させて一つの駆動機構で駆動させることができる。そして、この駆動機構としては、油圧電動機や、サーボモータ等の様々な駆動装置を用いることができる。
【符号の説明】
【0066】
1,1a 製造装置
2 上型
2a 成形面
2b 上面
3 下型
3a 成形面
4 金型
5 成形空間
6 樹脂注入口
21 上型空間
21a 底部
22 ピン挿通孔
23 上側注入凹部
24 押えピン
24a 押え面
24b 軸状部
24c 頭部
25 移動プレート
25a ピン挿通孔
25b パンチ挿通孔
26 支持プレート
26a パンチ挿通孔
27 スプリング
31 下型空間
31a 底部
32 支持片
32a 載置面
33 下側注入凹部
51 樹脂注入管
52 接続ポート
53 スイッチ
53a 導入管
61 キャビプレート
61a 上面
61b ピン挿通孔
61c 下面
61d パンチ挿通孔
62 パンチ
62a パンチ面
62b 軸状部
62c 頭部
63 駆動プレート
63a パンチ取付孔
64 パンチ駆動機構
65 ピン駆動機構
66 枠プレート
67 スプリング
68 切り離しツール
A インサート成形品
B 導電プレート(インサート部材)
B1 連結部
B2 ノッチ
B3 切断箇所
C 絶縁性樹脂(樹脂材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型内にインサート部材を設置し、前記金型内に樹脂材を射出して前記インサート部材をインサート成形するインサート成形品の製造方法であって、
前記金型内に設置されたインサート部材を押えピンにて押えて位置決めする型締め工程と、
前記金型内に前記樹脂材を射出する射出工程と、
前記樹脂材が硬化する前の状態で、前記押えピンを後退させるピン抜き工程と、
前記樹脂材が硬化した状態で型開きして前記インサート部材がインサート成形された前記インサート成形品を取り出す取り出し工程と、
を備えたことを特徴とするインサート成形品の製造方法。
【請求項2】
ピン抜き工程は、射出工程にて金型内に射出された樹脂材を、後退させた押えピンとインサート部材との隙間に廻すことが可能な状態で、前記押えピンを後退させる
ことを特徴とする請求項1記載のインサート成形品の製造方法。
【請求項3】
ピン抜き工程は、金型内に樹脂材を流し込むための供給管内を通過する前記樹脂材の圧力が所定値より上昇した場合に、押えピンを後退させる
ことを特徴とする請求項1または2記載のインサート成形品の製造方法。
【請求項4】
インサート部材は、連結部で連結された形状であり、
型締め工程後、パンチを前記連結部に当接させ、この連結部が切り離された形状のインサート部材とする切断工程を備え、
ピン抜き工程は、射出された樹脂材が硬化する前の状態で、押えピンおよび前記パンチを後退させる
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれかに記載のインサート成形品の製造方法。
【請求項5】
切断工程は、パンチを連結部に当接させ、この連結部を切断・内曲げ加工して前記連結部が切り離された形状のインサート部材を形成し、
ピン抜き工程は、射出された樹脂材が硬化する前の状態で、押えピンとともに前記パンチを後退させて、この後退させた押えピンとインサート部材と間、および切断・内曲げされた前記連結部とパンチとの間のそれぞれに前記樹脂材を廻して前記インサート部材をインサート成形する
ことを特徴とする請求項4記載のインサート成形品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−125931(P2012−125931A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276708(P2010−276708)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(504005448)有限会社吉井電子工業 (1)
【Fターム(参考)】