説明

インターネットを介してFAXデータを通信する方法及び機器

【課題】パケット交換ネットワークを介してファックス関連データを伝送するファックス伝送方法を提供する。
【解決手段】方法は、第1ストリーミング・プロトコルを使用してファックス・データセットをカプセル化し、第2ストリーミング・プロトコルを使用してファックス・パケットを更にカプセル化することを含む。この方法はまた、パケットを受信すること、第2ストリーミング・プロトコルを使用することによってパケットをカプセル化解除し、ファックス・パケットを得ること、及び第2ストリーミング・プロトコルを使用してファックス・パケットをカプセル化解除し、ファックス・データセットを得ることを含むことができる。このファックス伝送方法を使用する、パケット交換ネットワークを介してファックス関連データを送信する機器も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、通信システムの分野に関する。より詳細には、本開示は、インターネットを介してファクシミリ・データを通信する方法及び機器に関する。
【背景技術】
【0002】
広域ネットワーク(WAN)は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)を互いに接続するのに使用され、それによって、ある場所のユーザ及びコンピュータが、他の場所のユーザ及びコンピュータと通信することができる。インターネットや類似のインターネット・プロトコル(「IP」)ベースのネットワーク(以後、より一般的に「IPネットワーク」と呼ぶ)などの進行中のWANの開発/普及のおかげで、一層多くの人々が、IPネットワークを使用して、音声及びファックス呼を含む、データ、ビデオ、オーディオなどの様々なタイプの情報を交換している(本明細書では、音声及びファックス呼とは、上述のタイプの情報のうちの任意の1つ又は複数に対応する信号を送信又は受信することを可能にし、或いは実際に送信又は受信する任意の呼接続と定義され、本明細書では、そのすべてをより一般的に「ファックス呼」と呼ぶ)。2つの適切なマシン(本明細書では「ファックス」とも呼ぶこともある)間のIPネットワークを介するファックス呼の通信は一般に、ゲートウェイを介するファックス・トーン及びファックス・データの送信及び受信が関係するので、そのようなゲートウェイは、インターネット・プロトコルを介するファックス(「FoIP」)と、インターネット・プロトコル(「VoIP」)を介する音声などの他の情報とをどちらも処理するように適合される。従って、ゲートウェイは一般に、そのようなファックス呼を可能にするファックス中継と、口頭通信及びモデム通信を可能にするスピーチ・コーダ及び音声帯域データ(「VDB」)経路とを含む。
【0003】
通信ネットワークでは、「ゲートウェイ」(プロトコル変換器とも呼ばれる)という用語は一般に、異なるプロトコルを使用する別のネットワークとインターフェースするように装備されたネットワーク・ノードを指す。ゲートウェイは一般に、ローカル・エリア・ネットワーク(「LAN」)とWANとの間の共通交点に配置され、システム相互運用性を実現するために、必要に応じてプロトコル変換器、インピーダンス整合装置、レート変換器、障害分離器、信号変換器を含むことができる。プロトコル変換/マッピング・ゲートウェイは、必要なプロトコル変換を実施することにより、異なるネットワーク・プロトコル技術を用いたネットワークを相互接続する。ルータは、ゲートウェイの特殊ケースである。ゲートウェイについての詳細は、「Access Gateway」(International Engineering Consortium、2005年)から得ることができる。
【0004】
ファックス及び音声通信に関する特徴及び要件が異なるので、2つの異なるタイプのパケット・ストリームは一般に、2つの異なる動作モードで別個に使用される。第1のタイプのパケット・ストリームは、VoIP通信で使用され、リアル・タイム転送プロトコル(「RTP」)パケット・ストリームと呼ばれる。Audio Video Transport(「AVT」) Internetフォーラムと呼ばれる国際フォーラムが、異なるメディア・タイプ及び目的のために、幾つかのRequest For Comment(「RFC」)仕様でRTPプロトコルを定義した。例えば、VoIPに関する一般的なRFCは、RFC 3550(「A Transport Protocol for Real−Time Applications」)であり、これが、RFC 1889、RFC 2198(「RTP Payload for Redundant Audio Data」)、RFC 2733(「An RTP Payload Format for Generic Forward Error Correction」)、及びRFC 2833(「RTP Payload for DTMF Digits, Telephony Tones and Telephony Signals」)に取って代わった。
【0005】
RTP経路を介して転送される典型的な信号は、音声信号、デュアル・トーン・マルチフリーケンシ(「DTMF」)信号、回線個別信号方式(「CAS」)、RFC 2833仕様に従って中継され、又は音声帯域データ(「VBD」)モードで転送されるモデム信号、ビデオ信号などである。RTP及びRTP関連データを処理するのに使用することのできるRTP経路は、パケット損失のストリームの暗号化及び/又は保護を容易にする手順と、パケット・リオーダと、その他の手順の使用を含むことができる。異なるタイプのRTPストリーム(例えば、通常の音声、DTMF、VBD、ビデオ・データ)間の切換えは、RTPヘッダ内で転送される(RTPヘッダ内にカプセル化される)ペイロード・タイプを(固有ストリーム識別子として)使用することによってリアル・タイムに実施される。通常、異なるタイプRTPストリーム間で切り換えることは、通信セッションに関係するゲートウェイ間のリアル・タイム・ネゴシエーションを必要としない。
【0006】
ファックス・データを通信するために、RTP経路をそのまま(適合なしで)使用することを試みることは一般に、通信に関係する装置(例えばゲートウェイ及びファックス・マシン)の信頼性及び相互運用性を著しく低下させる。従って、FoIP通信では、当業者には「T.38パケット・ストリーム」として知られる異なるタイプのパケット・ストリームが使用される。T.38経路パケット・ストリームはT.38経路で処理される。「T.38経路」という用語は一般に、ファックス中継データ・ストリーム(T.38パケット・ストリーム)の処理(符号化、復号化、回復など)に関係するゲートウェイ及び関連する処理ルーチンと共に配置することができ、又はそれらと関連付けることのできる電子回路を指す。T.38データ・パケットは、T.38 Recommendationに従ってフォーマットされ、TCP又はUDPTLを使用してIPネットワークを介して中継される。ファックス信号の大きな遅延を導入するT.38/TCPプロトコルはまれにしか使用されず、従って、以後このタイプのプロトコルは参照しない。T.38/UDPTLトランスポートは、パケット損失のストリームの保護、並びに通信ゲートウェイがT.38ストリーム誤りを個々に補正することを可能にするパケット・リオーダを容易にする手順を含む。これらの手順は、UDPTLシーケンス番号及び誤り保護方式の使用を含む。T.38 UDPTLで使用される典型的な誤り回復方法は、「2次パケット」を使用する冗長性機能の使用を含む。別のUDPTL誤り回復方式は、パリティ前方誤り訂正(「FEC」)を使用する。最後に述べた2つの手順又は方式は、T.38 Recommendationにより完全に説明されている。
【0007】
各タイプのパケット・ストリームは、以下でより完全に説明するように利点と欠点を有する。例えば、T.38/UDPTLプロトコルは、長らくファックス中継で広く使用されている周知のプロトコルであり、異なるベンダのゲートウェイ及びファックス・マシンが高い相互運用性を導入するという利点を有し、このことは、装置(ゲートウェイ、ファックス・マシンなど)のベンダの如何に関わらず、異なるゲートウェイ/ファックス・マシンなどが好都合な方式でファックス・メッセージを交換できることを意味する。更に、T.38/UDPTLは、UDPTLパケットの複製を可能にし、UDPTLパケットの少なくとも1つの種類のパケットが、受信側(リモート)ゲートウェイ又は他の装置で完全な状態で受信されることが保証される。例えば、ゲートウェイはパケットの5つのコピー又は複製を生成し、それらをIPネットワークを介して受信側ゲートウェイに次々に転送することができ、受信側ゲートウェイは恐らく、元のパケット、又はその複製のうちの少なくとも1つを受信することになる。しかし、RTPプロトコルとは対照的に、T.38/UDPTLプロトコルは暗号化を可能にせず、それにより、情報が傍受の影響を受けやすくなる可能性がある。更に、通常はファックス通信ではリアル・タイム・オーディオ応用例の場合のように重大ではないが、UDPTLパケットはタイム・スタンプされず、従って通信関連の統計を計算又は評価することができない。
【0008】
RTPパケット・ストリームに関しては、伝送されるストリーム内の各RTPパケットには固有のシーケンス番号及びタイムスタンプが割り当てられ、それらを受信側ゲートウェイで使用して、パケットの統計を計算し、通信経路の品質を評価し、順序が狂って受信されたパケットを照合(リオーダ)することができる。例えば、統計計算は、ゲートウェイに到着するパケットの移動時間、遅延、ジッタなどに関係付けることができる。更に、RTPは、データの暗号化を可能にし、従って、通信されるデータのセキュリティの向上を実現する。しかし、(ゲートウェイによるのと同様に)固有シーケンス番号を各RTPパケットに割り当てることも、パケットを複製することができないという欠点を有する。
【0009】
RTP及びT.38パケット・ストリームは一般に、互いに独立にゲートウェイによって処理される。所与の通信状態の所与のゲートウェイに関して、RTPパケット・ストリーム又はT.38型パケット・ストリームをゲートウェイで処理することができるが、両方のタイプを同時に処理することはできない。別の見方をすれば、ファックス・マシンが電話(又はファックス・マシン)として動作する場合、音声(又はファックス・データ)通信に関係するゲートウェイは、それぞれ、RTP経路(又はT.38経路)を使用可能にすると同時に、T.38経路(又はRTP経路)を使用不能にする。
【0010】
従って、ファックス呼が音声通信/ファックス・トーン又はファックス・データの送信を含むときはいつでも、ファックス呼に関係するゲートウェイは、ある動作モード(RTPやT.38など)から他の動作モード(T.38又はRTP)に切り替わらなければならない。即ち、これらのゲートウェイは、時々、RTP経路がRTPパケット・ストリーム(呼のVoIP部分)を処理することを可能にすると共にT.38経路を使用不能にし、別の時には、T.38/UDPTL経路がT.38パケット・ストリーム(呼のFoIP部分)を処理することを可能にすると共にRTP経路を使用不能にする。「T.38(又はRTP)経路を使用不能にする」という用語は、T.38(又はRTP)データ・ストリームの処理に通常は関係する電子回路及び/又は(通信進行及び応用例タイプに応じて)ソフトウェア・モジュール/要素を使用不能にすることを指す。通信セッションに関係するゲートウェイがRTP動作モードとT.38動作モードとの間で正しく切り替わるために、ゲートウェイは、特別なプロトコル又は補助コマンドを使用することによってリアル・タイム・ネゴシエーションを開始することができ、その特別なプロトコル又は補助コマンドを、メディア・ゲートウェイ・コントローラによってゲートウェイに転送し、例えばゲートウェイに到着しようとしている予期されるデータ・ストリームのタイプについてゲートウェイに通知することができる。ゲートウェイがRTPパケット・ストリームとT.38パケット・ストリームの両方を同一の宛先ポートを介して転送する場合(同時にではない)、そのようなリアル・タイム・ネゴシエーションは必須である。
【0011】
RTP動作モードとT.38/UDPTL動作モードとの間の遷移には問題がある。以下で更に説明するように、2つのゲートウェイ間のリアル・タイム・ネゴシエーションで使用される回路及びプロセスを使用可能/使用不能にすることに加えて、各動作モードで使用される異なる回路及びプロセスを適時に使用可能/使用不能にする必要があるからである。
【0012】
RTP(又はT.38)動作モードとT.38(又はRTP)動作モードの間の遷移を避けるために、T.38機能とRTP機能を組み合わせる試みが行われている。新しく提案されたT.38ベースのプロトコルによれば、T.38/UDPT(又はIFP/UDPTL)プロトコルとは対照的に、(T.38 IFPパケット・ストリーム内の)T.38 IFP1次パケットをRTPヘッダ及び任意選択のRTP冗長性又はFECと共にRTP内にカプセル化してT.38/RTP(IFP over RTP、又は短縮してIFP/RTP)プロトコルを形成すべきである。新しいプロトコル(T.38/RTP)は、以下で説明するようにT.38/UDPTLに勝る幾つかの利点を有する。例えば、T.38/RTPプロトコルは、様々なタイプのRTP媒体で共通に使用される通信標準であるセキュアRTP(「SRTP」)を使用することによってRTP保護されたファックス中継トランスポートを可能にする。
【0013】
更に、新しく提案されたT.38/RTPプロトコルは、T.38 UDPTLプロトコルとは対照的に、2つの通信ゲートウェイ間のリアル・タイム・ネゴシエーションのための時間を費やすことなく、異なるタイプのRTPペイロードを自動的に区別することによって音声(RTPを介するオーディオ)及びファックス(RTPを介するIFPパケット)パケット・ストリームとの間の比較的高速な遷移を可能にする。
【0014】
更に、RTPカプセル化は、統計評価のためにRTP制御プロトコル(「RTCP」)を使用することを可能にする。RTCPは、RFC 3550で定義される。RTCPは、リアル・タイム・トランスポート制御プロトコル(Real−time Transport Control Protocol)を意味し、RTPパケット・ストリームに関する帯域外制御情報を提供する。RTCPの主な機能は、ストリーミング・マルチメディア・セッションの参加者に制御パケットを周期的に送信することにより、RTPによって提供されるサービス品質に関するフィードバックを提供することである。RTCPは、媒体接続に関する統計と、送られたバイト、送られたパケット、失われたパケット、ジッタ、フィードバック、往復遅延などの情報とを収集する。アプリケーションは、この情報を使用して、例えばデータ・フローを制限することによって、又は高圧縮コーデックの代わりに低圧縮コーデックを使用することによってサービス品質を向上させることができる。
【0015】
新しいT.38/RTPプロトコルによれば、1次IFPパケットは、T.38 UDPTLフォーマット設定を避け、その代わりに、リアル・タイム媒体データ/信号であるかのようにRTP経路を通過する。新しいT.38/RTPプロトコルを実装するために、T.38 UDPTLの代わりにRFC 3550が使用される。ファクシミリ通信の保護及び失われたパケットの回復を高め、(リオーダリング)パケットの照合を可能にするために、T.38標準は、RFC 2198で指定される任意選択の冗長性手段を使用すること、或いはRFC 2733で指定されるFECストリームを使用することを推奨している。RFC 2198及びRFC 2733の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0016】
新しいT.38/RTPプロトコルも幾つかの欠点を有する。例えば、IFP/RTPを使用する結果、T.38/UDPTLと比較して、しばしば計算資源の消費が著しく増大する。部分的には、より多くの計算資源を使用する必要は、RTPプロトコルが本来はファックス・データ通信に対処するように設計されていなかったために存在する、異なるRTP及びT.38/UDPTL要件間の不一致を克服しようと試みる結果として生じる。更に、IFP/RTPプロトコルで提供される相互運用性は、ファックス・データへのタイムスタンプの適用のために、IFP/UDPTLプロトコルと比較して貧弱であることがある。提案されたIFP−over−RTP(IFP/RTP)プロトコルの他の欠点は、図の説明から明らかとなるであろう。
【非特許文献1】「Access Gateways」(International Engineering Consortium、2005年)
【非特許文献2】RFC 3550(「A Transport Protocol for Real−Time Applications」)
【非特許文献3】RFC 1889
【非特許文献4】RFC 2198(「RTP Payload for Redundant Audio Data」)
【非特許文献5】RFC 2733(「An RTP Payload Format for Generic Forward Error Correction」)
【非特許文献6】RFC 2833(「RTP Payload for DTMF Digits, Telephony Tones and Telephony Signals」)
【非特許文献7】ITU−T勧告T.38(「Procedures for real−time Group 3 facsimile communication over IP networks」)
【非特許文献8】International Telecommunication Union−Telecommunication(「ITU−T」)division Recommendation T.30(「Procedures for document facsimile transmission in general switched telephone networks」)
【非特許文献9】J.Rey等、「RTP Retransmission Payload Format」(Internet−Draft、2005年9月15日)
【非特許文献10】John Lazzaro「Framing RTP and RTCP Packets over Connection−Oriented Transport」(Internet−Draft、2005年9月5日)
【非特許文献11】「A RTP Payload for Redundant Non−Audio Data」(Internet−Draft、2004年6月7日)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
(概要)
本発明の以下の実施形態及び態様は、範囲を限定するものではなく、例示的なものであることを意味するシステムと、ツールと、方法とに関連して説明及び図示される。様々な実施形態では、上述の問題のうちの1つ又は複数が低減又は除去され、他の実施形態は、他の利点又は改善の対象となる。
【0018】
本開示の一部として、インターネットなどのパケット交換ネットワークを介してファックス・データを通信するシステムが提供される。コンピュータ・ネットワーキング及び電気通信では、パケット交換は、現在主要な通信パラダイムであり、パケット交換では、パケット(情報搬送の単位)が、他の多数のノードで共有される可能性のあるデータ・リンクを介してノード間で個々に経路指定される。一般に、本開示は、ファックス・パケットを得るために、第1ストリーミング・プロトコルを使用して設定されるファックス・データのカプセル化を含み、更に、第2ストリーミング・プロトコルを使用するファックス・パケットのカプセル化を含む。第1ストリーミング・プロトコルは、例えば任意のタイプのファックス中継プロトコルでよく、第2ストリーミング・プロトコルは、例えば任意のタイプのリアル・タイム・プロトコルでよい。
【0019】
ある実施形態によれば、このシステムは、ソース・ファックス・マシンからファックス信号を受信し、ファックス信号からT.38経路を介してT.38 UDPTLパケットを生成し、RTP経路を介して、得られるT.38 UDPTLパケットをRTPヘッダと共にカプセル化し、得られるRTPカプセル化T.38 UDPTLパケットをパケット交換ネットワークに送るように適合された送信ゲートウェイを含むことができる。このシステムは、パケット交換ネットワークからRTPカプセル化T.38 UDPTLパケットを受信し、RTP経路を介してRTPカプセル化T.38 UDPTLパケットをカプセル化解除し、T.38経路を介して対応するファックス信号を生成し、対応するファックス信号を目標のファックス・マシン又は受信側ファックス・マシン又は所期のファックス・マシンに送るように適合された受信側ゲートウェイも含むことができる。
【0020】
本開示の一部として、インターネットなどのパケット交換ネットワークを介してファックス・データを送信するゲートウェイが提供される。ある実施形態によれば、送信側ゲートウェイは、ファックス・マシンからファックス信号を受信し、T.38 UDPTLパケットを生成するためにファックス信号を処理し、得られるT.38 UDPTLパケットをRTPヘッダと共にRTP経路でカプセル化し、例えばパケット・インターフェースを介して、RTPカプセル化T.38 UDPTLパケットをパケット交換ネットワークに送るように適合されたインバウンドT.38経路を含むことができる。
【0021】
本開示の一部として、インターネットなどのパケット交換ネットワークを介してファックス関連データを送信する機器が提供される。ある実施形態によれば、この機器は、T.38 UDPTLパケットをRTPヘッダと共にカプセル化し、得られるRTPパケットをパケット交換ネットワークに送るように適合されたコントローラを含むことができる。ある実施形態によれば、この機器は、パケット交換ネットワークを介してファックス関連データを受信することができる。こうした実施形態によれば、RTPヘッダと共にカプセル化されたT.38 UDPTLパケットを受信し、RTPカプセル化T.38 UDPTLパケットをカプセル化解除するようにコントローラを適合させることもできる。ある実施形態によれば、この装置は、インターネット・アウェア携帯電話、インターネット・アウェア・ファックス、又はインターネット・アウェア・モデムでよい。
【0022】
本開示の一部として、着信ファックス・データを処理する方法が提供される。ある実施形態によれば、この方法は、T.38 UDPTLパケットをRTPヘッダと共にカプセル化することを含むことができる。この方法は、インターネットなどのパケット交換ネットワークにRTPカプセル化T.38 UDPTLパケットを送ることを更に含むことができる。
【0023】
本開示の一部として、インターネットなどのパケット交換ネットワークからファックス・データを受信する方法が提供される。ある実施形態によれば、この方法は、パケット交換ネットワークからRTPカプセル化T.38 UDPTLパケットを受信し、パケットをインターネット・プロトコル・ヘッダからカプセル化解除し、その後UDPヘッダからカプセル化解除することを含むことができる。
【0024】
本開示の一部として、RTPパケットのペイロードは、T.38 UDPTL型ファックス・データ以外のほぼ任意のタイプのファックス・データを含むことができる。即ち、T.38 UDPTLプロトコルに準拠する、ファックス・データ以外のほぼ任意のタイプのファックス・データをRTPヘッダと共にカプセル化することができる。より一般には、RTPパケットのペイロードは、送信側ゲートウェイ(又は他の装置)内のインバウンドFRP経路、及び受信側ゲートウェイ(又は他の装置)内のアウトバウンドFRP経路で処理することのできるファックス中継プロトコル(FRP)パケット、FRP型ファックス・データを含むことができる。本開示に関連して使用されるFRP(ファックス中継プロトコル)という用語は、パケット交換ネットワークを介するファックス通信を指し、具体的には、FRPは、今日知られているほぼ任意のFRP(例えばT.38 UDPTL)及び将来考案される任意のFRPを包含することを意味する。FRPは、既存のT.38 UDPTLの将来の拡張と、機能強化と、改良も含むことができる。本開示に関連して使用されるFRPパケットは、FRP1次データ(例えば、T.30制御及び/又はファックス・イメージ・データ)と、誤りチェック・データ(例えばシーケンス番号)と、任意選択の誤り訂正データとを含むものとする。FRPは、ファックス中継情報を転送するための信頼性の高いプロトコルであると想定され、RTPプロトコル又は標準とは無関係に設計、開発、及び使用を可能にすると想定される。
【0025】
上述の例示的態様及び実施形態に加えて、図を参照することにより、また以下の詳細な説明を検討することにより、別の態様及び実施形態が明らかとなるであろう。
例示的実施形態が、参照される各図に示される。本明細書で開示される実施形態及び図は、限定的なものではなく例示的なものとみなされるべきものとする。しかし、本発明の編成及び動作方法、並びに目的、特徴、利点に関する開示は、以下の詳細な説明を添付の図面と共に参照することによって最良に理解することができる。
【0026】
なお、図を簡単にし、見やすくするために、図に示される要素は必ずしも原寸に比例しないことを理解されたい。例えば、図が見やすいように、要素の一部の寸法が他の要素に対して誇張されることがある。更に、適切と考えられる場合に、対応する要素又は類似の要素を示すために、参照番号が各図の間で反復されることがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下の詳細な説明では、開示の完全な理解を与えるために多数の特定の詳細が説明される。しかし、こうした特定の詳細なしに本開示を実施できることを当業者は理解されよう。他の場合には、本開示を不明瞭にしないように、周知の方法と、手順と、構成要素と、回路は、詳細には説明されていない。
【0028】
別段の指示がない限り、以下の議論から明らかなように、明細書全体を通して、「処理」、「計算」、「決定」などの用語を使用する議論は、コンピューティング・システムのレジスタ及び/又はメモリ内の電子的量などの物理的量として表されるデータを操作し、且つ/又はコンピューティング・システムのメモリ、レジスタ又はその他のそのような情報記憶装置、情報伝送装置、又は情報表示装置内の物理量として同様に表される他のデータに変換するコンピュータ又はコンピューティング・システム、或いは同様の電子コンピューティング装置の動作及び/又はプロセスを指すことを理解されたい。
【0029】
本開示は、完全なハードウェア実施形態、完全なソフトウェア実施形態、又はハードウェア要素とソフトウェア要素をどちらも含む実施形態の形態を取ることができる。好ましい実施形態では、開示が、限定はしないがファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含むソフトウェアで実装される。
【0030】
本開示の実施形態は、本明細書に記載のオペレーションを実施する機器を含むことができる。この機器を所望の目的のために特別に構築することができ、又はこの機器は、コンピュータに格納されるコンピュータ・プログラムによって選択的に活動化又は再構成される汎用コンピュータを含むことができる。
【0031】
更に、この開示は、コンピュータ又は任意の命令実行システムで使用され、又はそれと共に使用されるプログラム・コードを提供するコンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ可読媒体からアクセス可能なコンピュータ・プログラム製品の形態を取ることができる。この説明では、コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、機器、又は装置で使用され、又はそれと共に使用されるプログラムを収容、格納、通信、伝播、又は移送することのできる任意の機器でよい。
【0032】
プログラム・コードを格納及び/又は実行するのに適したデータ処理システムは、システム・バスを介してメモリ要素に直接的又は間接的に結合された少なくとも1つのプロセッサを含む。メモリ要素は、プログラム・コードの実際の実行中に使用されるローカル・メモリと、バルク・ストレージと、実行中にコードをバルク・ストレージから取り出さなければならない回数を削減するために少なくとも一部のプログラム・コードの一時的記憶を実現するキャッシュ・メモリとを含むことができる。入出力装置又はI/O装置(限定はしないが、キーボード、ディスプレイ、ポインティング・デバイスなどを含む)を、直接的に、又は介在I/Oコントローラを介してシステムに結合することができる。
【0033】
ネットワーク・アダプタをシステムに結合することもでき、介在プライベートネットワーク又は公衆ネットワークを介してデータ処理システムを他のデータ処理システム或いはリモート・プリンタ又は記憶装置に結合することが可能となる。モデムと、ケーブル・モデムと、イーサネット(登録商標)・カードは、現在利用可能なタイプのネットワーク・アダプタのほんの数例である。
【0034】
本明細書で提示されるプロセス及びディスプレイは、何らかの特定のコンピュータ又は他の機器に本質的に関連するものではない。本明細書の教示によるプログラムと共に様々な汎用システムを使用することができ、又は所望の方法を実施するためにより特殊な機器を構築することが好都合であることが判明することがある。様々なこうしたシステムに対する所望の構造が、以下の説明から明らかとなる。更に、本開示の実施形態は何らかの特定のプログラミング言語を参照して説明されるわけではない。本明細書で説明される開示の教示を実装するのに様々なプログラミング言語を使用できることを理解されよう。
【0035】
パケット損失を最小限に抑え、ゲートウェイで受信されるパケットのリオーダリングを容易にするために、送信側ゲートウェイは、別々のパケット・ストリームで、又は送られる1次パケットと共に同一のストリーム内で、補助冗長パケットをIPネットワークに送信する。1次パケットは、データ/情報の一部をそれ自体含むパケットである。補助パケットは、使用される保護方法/プロトコルに応じて、2次パケット、反復パケット、冗長パケット、又はFECパケットとも呼ばれることがある。例えば、T.38/UDPTLでは、冗長パケットは、2次(反復)パケット及び/又はFECメッセージを含むことができる。RTPでは、2次パケットは冗長パケットと呼ばれ、FECは、具体的には前方誤り訂正パケットを指す。そのような補助データ/情報がない場合、パケットは、1次パケットのみからなり、1次パケットは、RTPヘッダと共にカプセル化されて提供される。
【0036】
次に図1を参照すると、例示的な基本的FoIP/VoIPシステム(全体的に100で示す)の略図が示されている。2つのファックス・マシン(101及び102で示す)と、2つのゲートウェイ(103及び104で示す)と、IPネットワーク107からなる例示的FoIP/VoIPシステム100が、示されている。より一般的には、装置101及び102のそれぞれは、UDPTL/RTPパケットをデータ・ネットワークに/から転送/受信する任意のIP使用可能装置でよい。しかし、話を簡単にするために、以後、装置101及び102を単にファックス装置又はファックス・マシンと呼ぶ。
【0037】
伝統的に、ファックス・マシンは、公衆交換電話網(「PSTN」)を介してファックス呼を行うように設計されてきた。そのようなファックス呼を管理する方式と、そのようなファックス呼がPSTNインフラストラクチャを横断する方式とが、参照により本明細書に組み込まれるInternational Telecommunication Union − Telecommunication(「ITU−T」)division Recommendation T.30(「Procedures for document facsimile transmission in general switched telephone networks」)に定義されている。一般には、ファックス・マシン101及び102などのファックス・マシンは、例えばPSTNを介するファックス呼横断を可能にするための変調方式を使用する。例えば、ファックス・マシン101又は102で開始されたファックス呼は、それぞれゲートウェイ103又は104までのPSTN回線接続105又は106を横断することができる。しかし、FoIP呼を可能にするためには、即ち、IPネットワーク107を介してファックス呼を転送するためには、ファックス・マシンによる信号出力が、IPネットワーク107を介する伝送に適したビットストリームに変換されなければならない。この変換は、一方が(通常はPSTNインターフェースを介して)ファックス端末に接続され、他方がIPネットワークに接続される媒体ゲートウェイによって実施される。例えば、ゲートウェイ103(更には104)は、PSTN接続回線105(又は106)を介してファックス・マシン101に接続され、ファックス・マシン101(又は102)の信号出力をIPネットワーク107を介する伝送に適したビットストリームに変換する。ゲートウェイ103及び104は、対応するビットストリームをIPネットワーク107に転送するためにIPネットワーク107に接続される(それぞれ109及び108で示す)。IPネットワーク107はインターネットでよいが、他のタイプのIPネットワーク、パケット交換ネットワークも使用することができる。ファックス・マシン101及び102がIP使用可能である場合、ファックス・マシン101及び102は、それぞれネットワーク接続111及び112を介して、直接的にパケットをデータ・ネットワーク107に転送し、データ・ネットワーク107からパケットを受信することができる。
【0038】
ゲートウェイ103及び104などのゲートウェイで実施される変換は、ゲートウェイ内のファックス(中継)受信機による着信サンプリング信号の復調、使用されるファックス中継プロトコル(「FRP」)による復調後データのパケット化、及び、宛先(受信側)ゲートウェイに向けてのIPネットワークへのFRPパケットの送信を含む。受信側ゲートウェイは通常、受信されたFRPパケットを、ITU−T勧告T.30で定義される変調方式に従って再復調するファックス中継送信機を含む。次いで、再復調後信号は、ゲートウェイから、所期の/受信側ファックス・マシンに転送され、そこで再復調後信号が復調され、送信側ファックス・マシンによって送られた元のメッセージ/データが抽出される。
【0039】
ファックス中継は、IPネットワークを介してエンドツーエンド・ファックス通信を高い信頼性で実施することで知られている。FoIPシステムのための通信プロトコルが、参照により本明細書に組み込まれるITU−T勧告T.38(「Procedures for real−time Group 3 facsimile communication over IP networks」)に記載されている。一般には、ITU−T T.38は、FoIP呼の確立と、G3タイプ・ファックス呼の異なる信号を転送するパケット・フォーマットとを定義する1組の規則である。
【0040】
ゲートウェイのFoIP部分は、ファックス・マシン101及び102などの通信する2つのファックス・マシン間で、ファックス・マシンが誤り警報なしにファックス呼/セッションを完了できるような方式で信号を交換することを可能にする。FoIPゲートウェイはまた、応答側ファックス・マシンが通信中のゲートウェイからアナログ信号を受信し、「In−Message」手順と呼ばれるプロトコル手順を使用することによって応答側ファックス・マシンに転送されたバイナリ情報を抽出することを可能にする。次いで、応答側ファックス・マシンは、発信側ファックス・マシンが意図したように、受信したアナログ信号を解釈することができる。通常、ファックス中継ゲートウェイ(ゲートウェイ103及び104など)は、ファックス呼の始めから、ファックス呼の間全体にわたって、すべてのタイプのファックス信号を検出し、復調し、再復調する。
【0041】
装置113及び114は、インターネット・アウェア装置であり、携帯電話、ファックス装置、又はモデムでよい。インターネット・アウェア装置113及び114は、例えば互いに、ファックス・マシン101又は102と、又は他のIPファックス使用可能装置(図示せず)とファックス関連データ又は情報を通信又は交換することが可能となるように、ファックス送信機能及び/又は受信機能を有することができる。インターネット・アウェア装置113及び114は、例えば、それぞれ接続回線115及び116を介してパケットを転送することができ、且つ/又はIPネットワーク107からパケットを受信することができる。インターネット・アウェア装置113及び114は、異なるイメージ・フォーマットでファックス・イメージを転送(及び/又は受信)することができる。
【0042】
伝統的に、ゲートウェイ103及び104などのゲートウェイのVoIP部分は、8kHz以上のサンプリング・レートで入力及び出力音声帯域信号を処理する。ゲートウェイは、インターフェース回路を介してアナログ装置と信号を交換する。図1の各装置が適切な入出力(I/O)インターフェースと、反響消去回路と、呼/信号識別回路とを含み、適切な呼確立手順及びその他の前/後処理手順を使用する仮定するが、これらの回路及び手順は本開示の一部ではなく、従って本明細書では参照されない。通常、入力サンプルは、標準変調方式に従ってデジタル・ビットストリームによって変調された正弦波形(搬送波)信号を表す。変調ビットストリームは、ファックス機能、コマンド、応答、イメージ・ビット・マップ、転送されるバイナリ・ファイル、混合ラスタ内容などの有用な情報を含むことができる。
【0043】
次に図2(従来技術)を参照すると、ファックス通信で使用されるIFP/UDPTL/UDP/IPパケットの一般的構造(200で示す)が、示されている。第1ファックス中継モデルの1つであり、最も使用されるモデルである図2に示されるモデルを、図1に関連して以下で説明する。図1のファックス・マシン101からファックス・マシン102にファックス通信を送信するために、ファックス・マシン101は、ファックス信号(T.30制御又はスキャンされたファックス・イメージの変調後データ)を生成し、生成したファックス信号を、(例えば、PSTN回線接続線105を介して)互いに通信中の図1のゲートウェイ103に転送する。ゲートウェイ103は、ゲートウェイ103に転送されたファックス・データ/信号をパケット化し、IFPパケットを形成する。次いで、ゲートウェイ103は、各IFPパケット201を(任意選択で冗長性パケット202又はFECメッセージ203と共に)UDPTLヘッダ204と共にカプセル化する。ゲートウェイ103は更に、UDPTLカプセル化パケットをユーザ・データグラム・プロトコル(「UDP」)ヘッダ205と共にカプセル化する。最終的に、ゲートウェイ103は、UDPカプセル化パケットをIPヘッダ206と共にカプセル化する。次いで、ゲートウェイ103は、得られたデータ・パケット200を(幾つかの同様にカプセル化されたパケットの中の1つのパケットでよい)、ネットワーク接続109を介してIPネットワーク107に転送する。受信側ゲートウェイ(この例ではゲートウェイ104)は、データ・パケット200を受信し、それをカプセル化解除し、対応するファックス・データ/信号をファックス・マシン102に転送することができる。
【0044】
次に図3(従来技術)を参照すると、ファックス通信で使用されるIFP/RTP/UDP/IPパケットの一般的構造が、示されている。先に説明したように、RTPプロトコルは元来、RTPペイロードを構成するリアル・タイム媒体を通信するために設計された。しかし、RTPプロトコルがファックス・データ/信号を(ITU−Tで最近提案されたようにIFPパケット301の形式などで)通信するために使用されたとき、IFPパケット301と、(任意選択)冗長性パケット302又はFEC情報303とがRTPペイロードを構成する。図2及び3に示されるモデルは、第1カプセル化ステージが異なる。即ち、ファックス・データ/信号(例えばファックス・データ/信号201)をUDPTLヘッダ(図2に示される)と共にカプセル化する代わりに、ファックス・データ/信号(例えばファックス・データ/信号301)が、RTPヘッダ304(図3に示される)などのRTPヘッダと共にカプセル化される。
【0045】
図2及び3に示されるモデルの別の違いは、それらの誤り回復データ・フォーマットに関する。即ち、UDPTLは、T.38 UDPTLに従って生成された冗長性又はパリティFECフレームの使用を可能にし、一方RTPは、RFC 2198(302)で指定される冗長性データ、又はRFC 2733で指定されるFECデータ(303)の使用を可能にする。
【0046】
プロトコルの一部として、RTPヘッダ(例えばRTPヘッダ304)は、RTPペイロードに関する情報を含む。例えば、RTPヘッダ304は、ペイロードのソース、サイズなどに関する情報を含む。データ要素301から304からなるRTPパケットを、IPネットワークを介してそのまま転送することはできない。RTPパケットの転送を可能にするために、RTPパケットをUDPヘッダ305と共にカプセル化し、得られるパケットを(306で示される)IPヘッダと共に更にカプセル化することが必要である。次いで、(300で示される)得られるパケットをIPネットワークを介して転送することができる。
【0047】
IFPパケット301(並びに任意選択でパケット302及び303)をRTPヘッダ304と共にカプセル化することは、IFP−RTP関係の点で「直接カプセル化」とみなすことができる。生パケットと考えることのできるIFPパケットがそのままRTPヘッダと共にカプセル化されるからである。RTPを介するT.38 IFPパケットの伝送(以後「T.38 IFP/RTP」と呼ぶ)、又は図3に概略を示す直接カプセル化の使用は、以下で詳細に説明するように幾つかの欠点を有する。
【0048】
次に図4を参照すると、本開示のある実施形態によるT.38 UDPTL/RTP/UDP/IPパケットの一般的構造が、示されている。図3に示す直接カプセル化とは対照的に、図4は、間接カプセル化方法を示し、この間接カプセル化方法によれば、IFPパケットがまずUDPTLヘッダと共にカプセル化され、それによって標準T.38 UDPTLパケット(401)が形成される。次いで、図2の要素201から204などの要素からなると考えることのできるT.38 UDPTLパケット401がRTPヘッダ(402)と共にカプセル化される。最終的に、UDP及びIPカプセル化(それぞれ403及び404)が通常通り実施され、IPネットワークを介して転送可能な新規なタイプのパケット(400)が形成される。
【0049】
本開示によれば、ファックスが送信側(ソース)ゲートウェイから受信側(宛先又は目標)ゲートウェイに送信されるときはいつでも、パケット400のRTPペイロードはT.38 UDPTLパケットであり、リアル・タイム・データ/信号がソース・ゲートウェイから宛先ゲートウェイに送信されるときはいつでも、パケット400のRTPペイロードは、例えば符号化音声に典型的なものであることに留意されたい。
【0050】
図5aと、5bと、6と、7とに関して、要素/ユニットと、パケットと、パケットの部分と、プロセスとが、ファックス及びRTPパケットを送信するゲートウェイに関する説明で参照される。しかし、(IPネットワークから)ファックス及びRTPパケットをそれぞれ受信する状況で、同一のゲートウェイに関する説明で参照されることもある。そのような場合、こうした要素/ユニット、パケット、パケットの部分、又はプロセスが、異なる送信側ゲートウェイに属し、又は異なる送信側ゲートウェイから来ると解釈すべきではない。
【0051】
次に図5aを参照すると、図2に示されるパケット・モデルに準拠する構造のT.38 UDPTL(FoIP)パケットを通信する従来型ゲートウェイが、示されている。ゲートウェイ500などの典型的な従来型ゲートウェイは、インバウンド及びアウトバウンドのファックス及び音声/オーディオ通信を共に処理するように設計される。ファックス通信に関する説明のために、インバウンド及びアウトバウンドのファックス・データを処理するFoIP部分のみを含むゲートウェイ500を示す。
【0052】
例示的ゲートウェイ500のインバウンド・ファックス・データ/情報処理経路(501に示される)は、(発信側ファックス・マシンなどの)ソース・ファックス・マシン(など、図示せず)からのファックス・サンプルを受諾し、サンプルを処理し、対応するFoIPパケットを(T.38 UDPTLフォーマットで)転送する。ファックス受信機502は、発信側ファックス・マシン(図示せず)からサンプリングしたファックス信号を(例えば、506のファックス・サンプルで)受諾し、サンプリングされた信号を復調し、対応するT.30制御及びファックス・データ507を生成することができる。T.38 IFPパケッタイザ503は、T.30制御又はファックス・イメージ・データ(507)からT.38 IFPパケット(508)を生成する。T.38 UDPTLパケッタイザ504は、T.38 IFPパケット(508)をカプセル化し、シーケンス番号と、T.38 IFPと、UDPTL冗長性パケットとを含むT.38 UDPTLパケット(509)を形成する。最終的に、パケット・インターフェース505は、T.38 UDPTLパケット(509)をIPヘッダと共にカプセル化し、FoIP Packet Out510を形成し、FoIP Packet Out 510をIPネットワーク(図示せず)に転送する。
【0053】
ファックス・パケット・ストリームをIPネットワークに送信するゲートウェイでは、T.38 UDPTLパケッタイザ504は、新しい1次IFPパケットごとに(UDPTLヘッダの)シーケンス番号535を生成する。任意選択で、T.38 UDPTLパケッタイザ504は、T.38 UDPTL冗長性フレーム(536)又はFECフレーム(図示せず)を追加することができる。
【0054】
例示的ゲートウェイ500のアウトバウンド・ファックス・データ/情報処理部(513)は、IPネットワーク(図示せず)からT.38 UDPTLパケット(FoIP Packet In 520)を受諾し、T.38 UDPTLパケットを処理し、対応する再変調後ファックス信号を、ファックス・データが意図される宛先(受信側)ファックス・マシン(図示せず)に転送する任を担う。IPネットワーク(図示せず)を介して到着したFoIP Packet In 520は、パケット・インターフェース521で受信され、パケット・インターフェース521は、FoIP Packet In 520を再カプセル化してT.38 UDPTLパケット(522)を抽出する。T.38 UDPTLデパケッタイザ523は、T.38 UDPTLパケット522からUDPTLシーケンス番号と、T.38 IFPパケットと、冗長性又はFECフレーム(524)とを抽出し、それらをT.38 UDPTL誤り回復モジュール525に転送し、T.38 UDPTL誤り回復モジュール525は、それらを使用して、ほぼ誤りのないT.38 IFPパケット(526)を再構築する。次いで、ほぼ誤りのないT.38 IFPパケット526がT.38デコーダ527で復号化され、T.30制御及びファックス・イメージ・データ(528)が得られる。T.30制御及びファックス・イメージ・データ528をT.30/イメージ・データ・バッファ529に格納することができる。
【0055】
ファックス(T.38型)パケット・ストリームを受信するゲートウェイは、パケット損失を検出し、パケットが順序が狂ってゲートウェイ500に到着した場合にパケットをリオーダし、IPネットワークで失われたパケットを回復する。ファックス送信機530は、T.30/イメージ・データ528/529を再復調し、ITU−T勧告T.30に従ってファックス信号/トーン(Fax Samples Out 531)を受信側/所期のファックス・マシンに転送する。
【0056】
ファックス中継状態マシン511は、ファックス受信機502(512に示される)及びファックス送信機530(532に示される)を制御する。状態マシン511は、通信ゲートウェイ間でタイムスタンプを転送する必要がない。状態マシン511は、受信機502及び送信機530の現ステータス、IPネットワークを介して交換されるIFPデータの量、T.30勧告で定義されるG3ファックス・オペレーションの一般的規則を考慮に入れる。ファックス中継状態マシンの基本原理は本発明の主題ではない。
【0057】
次に図5bを参照すると、IPネットワークを介してRTPパケット・ストリームを通信する従来型ゲートウェイのブロック図が、示されている。VoIP Packet Out 551などのRTP型パケットをIPネットワーク(図示せず)に送信するゲートウェイ(例えばゲートウェイ560)は、スピーチ/ボイス・エンコーダ(例えばボイス・エンコーダ570)などの媒体ソース・モジュール、RTPパケッタイザ571などのRTPパケッタイザを含み、ボイス・エンコーダ570は、ボイスエンコーダ570への信号入力を符号化し(Samples In 561)、それから、対応するRTP1次パケット情報(572に示される)を生成する。次いで、RTP1次信号がRTPパケッタイザ571に転送され(573で示される)、RTPパケッタイザ571は、RTP1次信号をパケット化して、ヘッダ579及び1次パケット572を有するRTPパケット578をペイロードとして得る。任意選択で、ペイロードは、冗長性データ576を含むことができる。パケッタイザ571で生成されたヘッダ579はとりわけ、対応するRTPペイロード・タイプ識別子と、シーケンス番号と、Time 577によって生成され、RTPパケッタイザ571に転送されるタイムスタンプとを含むことができる。冗長性パケットがペイロードに含まれる場合、ヘッダ579は、1次パケットに対する各冗長パケットのタイムスタンプ・オフセット及びペイロード・タイプのリストを含むことができる。次いで、RTPパケット579は、パケット・インターフェース580に転送され(574で示される)、パケット・インターフェース580は、RTPパケットをUDPヘッダと共にカプセル化し、その後で、IPヘッダと共にカプセル化し(550で示される)、それによって対応するVoIPパケット(VoIP Packet Out 551)を生成し、次いでそれをIPネットワーク(図示せず)に送信することができる。
【0058】
RTPパケットを受信するゲートウェイは通常、1次パケット並びにタイムスタンプ及び/又はタイムスタンプ・オフセットを使用することにより、パケット損失を検出し、パケットの順序が狂ってゲートウェイに到着した場合にパケットをリオーダし、ネットワークで失われたパケットを回復し、「プレイアウト」バッファを構築し、「プレイアウト」バッファにデータをロードする。「プレイアウト・バッファ」とは、所期のモジュールが「データを再生する」ときにジッタがほぼ回避される方式で、格納された音声/オーディオ関連データがそこから取り出され/フェッチされ、所期のモジュールに送られるバッファを意味する。ゲートウェイは、スピーチ・デコーダ(例えばVoice Decoder Play 598)のような媒体モジュールを使用することによってバッファを再生することができる。ゲートウェイがRTPヘッダ(例えばヘッダ579)で指定されるペイロード・タイプを識別した後、異なる媒体タイプ間の切換えは、ゲートウェイによって自律的に行われる。
【0059】
VoIP Packet In(552)などのRTPパケットをパケット・インターフェース581で受信することができ、パケット・インターフェース581は、それをカプセル化解除して、RTPパケット(例えばRTPパケット578)を抽出することができる。RTPヘッダ(例えばヘッダ579)を統計評価のためにRTCP Statistics 593に転送することができる(592)。RTPパケット全体は、RTPデパケッタイザ591に(590で)転送され、RTPペイロードであるシーケンス番号と、RTPタイムスタンプと、1次パケットと、冗長性とが抽出され、これらは、パケット損失を検出し、パケットをリオーダし(パケットの順序が狂ってゲートウェイに到着した場合)、ネットワークで失われたパケットを回復するなどのために、RTPエラー回復595で使用される。1次パケット・ペイロードを「プレイアウト」バッファ595内に適時に整列し、リモート・ゲートウェイがペイロードを送信した元のシーケンスを復元又は回復するために、IP Time 596は、RTPタイムスタンプ(597で示される)(及び/又はタイムスタンプ・オフセット)を使用することができる。
【0060】
ゲートウェイ560は、RTPデコーダ・プロセスを使用することによってバッファを再生し、例えばVoice Decoder Play 598などのスピーチ・デコーダでバッファを使用することができる。同期(周期的)ビット・ストリーム(例えば、圧縮オーディオ信号に関する同期ビット・ストリーム)がリモート(送信側)ゲートウェイから受信側ゲートウェイに送信される場合、受信側ゲートウェイのボイス・デコーダ(例えば図5bのVoice Decoder Play 598)は、受信側ゲートウェイに到着するデータの平均ビット・レートに近いビット・レートを使用して、プレイアウト・バッファ595などのプレイアウト・バッファからデータを読み取る。非同期データ(例えばDTMF中継コマンド)が受信側ゲートウェイで受信される場合、受信側ゲートウェイのデコーダは、非同期データと共に受信されたタイムスタンプを使用して、元のタイム・シーケンスを複製し、再生し、再構築し、又は復元する。次いで、デコーダの出力信号を、サンプリングされた信号(Samples Out 562)の形で所期のマルチメディア(図示せず)に転送することができる。「元のタイム・シーケンス」とは、アウトバウンド・データをIPデータ・ネットワークに送信する前に送信側ゲートウェイによってアウトバウンド・データに割り当てられたタイム・シーケンスを意味する。
【0061】
ゲートウェイ500などの従来のゲートウェイは通常、ファックス通信とRTP通信をどちらも可能にするために、図5bに示し、図5bに関連して説明されるユニットも含むことに留意されたい。そのようなゲートウェイのFoIP部分及びRTP部分が、単に説明がわかりやすいようにする目的で、異なる図(図5a及び図5b)に示される。
【0062】
次に図6を参照すると、図3に示されるパケット・モデルに準拠する構造のパケットを通信する例示的ゲートウェイの略図が、示されている。ゲートウェイ600のインバウンド経路601は、ファックス受信機602と、T.38 IFPパケッタイザ603と、パケット・インターフェース605と、状態マシン611とを含み、これらは、それぞれ図5aのファックス受信機502と、T.38 IFPパケッタイザ503と、パケット・インターフェース505と、状態マシン511とほぼ同様に機能する。先に説明したように、RTPプロトコルの一部として、パケットがIPネットワークに送信される前にパケットのそれぞれをタイムスタンプしなければならない。従って、Time 677(図5bのTime 577とほぼ同様に機能する)は、時間情報を生成し、全RTPパケットを全体としてタイムスタンプするためにRTPパケッタイザ649に転送する(650で示される)。RTPプロトコルの一部として、RTPパケッタイザ649は、RTPペイロードとしてRTPヘッダ及びT.38 IFPとRTP冗長性パケットとからなるRTPパケット(651で示される)をパケット・インターフェース605に転送する。次いで、パケット・インターフェース605は、RTPパケット(FoIP Packet Out 610)をUDP及びIPヘッダと共にカプセル化した後に、RTPパケットをIPネットワーク(図示せず)に送信することができる。
【0063】
ゲートウェイ600のアウトバウンド経路612は通常、異なるタイプの媒体で共通に使用される入出力サンプル及びパケット・インターフェースを含むことができる。T.38ユニット627、629、及び630は、図5aのユニット527、529、及び530とそれぞれほぼ同様に機能する。RTPユニット641、643、645、及び646は、それぞれ図5bのユニット591、593、595、及び596と同様に通常のRTPパケット処理を実施する。ゲートウェイ600は、図5bのRTP経路使用可能ユニットも含むことができる(インバウンド経路とアウトバウンド経路の両方)。
【0064】
(RTPを介するT.38 IFPパケットの通信に伴う問題)
(図5aで例示した)T.38 IFP/UDPTLプロトコルは、特にFoIP通信を可能にするように設計されたので、(図6で例示した)T.38 IFP/RTPプロトコルと比較して、信頼性及びファックス通信での相互運用性がずっと低い。T.38 IFP/RTPモデルは、以下で説明するように幾つかの欠点を有する。例えば、T.38 IFPパケット・ストリームは、非同期の性質であることを意味し、そのためにT.38 IFPパケットがソース・ゲートウェイでのファックス中継で処理中に、T.38 IFPパケットはタイムスタンプされない。宛先ゲートウェイでは、ファックス中継はパケットの回復のためにタイムスタンプをシークしていない。即ち、RTPパケッタイザとは異なり、T.38送信機及びT.38受信機は、パケットをタイムスタンプしない。一方、RTP型データ・ストリーム、具体的にはRFC 2198に準拠するデータ・ストリームは、同期通信向けに設計され、従ってデータ・パケットのタイムスタンピングは、デコーダでの正確な再生を可能にするためにRTPモデルで主要な役割を果たす。
【0065】
更に、T.38 UDPTLの幾つかの機能、例えばパケット複製(受信側ゲートウェイで紛失パケットの回復を可能にするために、パケットをIPネットワークに送信するゲートウェイによって適用される機能)と、パケット・リオーダを可能にすることは、以下で詳細に説明するように、RTPプロトコルとの競合のためにT.38 IFP/RTP(図6)には適用することができない。
【0066】
通常のT.38 IFPパケッタイザは、グループでのIFPパケットの伝送を可能にする。任意のグループ内のパケットを同時に生成することができる。しかし、RTPプロトコルの一部として、あらゆるパケットが、更に処理され、IPネットワークに送信される前に、Time 677によってタイムスタンプされる(例えば、図6の647で示される)。従って、図6で例示されるT.38 IFP/RTPは、伝送時間が同一の同時に送信されたIFPパケットのタイムスタンピングを必然的に伴う。しかし、RTPプロトコルと、グループ内のパケットを同時にタイムスタンプすることの間に矛盾が存在する。RTPプロトコルによれば、所与のタイムスタンプに割り当てることのできるパケットは1つだけであるからである。従って、正当なT.38 IFPの機能であるパケットの同時伝送が、RTPに関する矛盾を引き起こす可能性があり、その結果、パケット損失の範囲の如何に関わらず、RTPを介して転送されたT.38 IFRパケットを正しく解釈することができなくなる。
【0067】
図6に戻ると、T.38 IFPパケッタイザ603がT.38 IFPパケットを適時に待ち行列化及び配布する(通常のT.38 IFPパケッタイザ503に比べて)追加の機能を有する場合、幾つかのT.38 IFPパケットが同一のタイムスタンプを有するというファックス・パケット・バースト/グループの問題を解決することができる。パケット・バースト問題の他の解決策は、T.38パケット化(603)のステージでタイムスタンプ(647)を適用し、後にこうしたスタンプを、Time 677からの通常のタイムスタンプの代わりにRTPパケッタイザ(649)で使用することである。この解決策は、追加の遅延を導入しないので、適時にIFPパケットを配布することよりも良いが、通常のT.38 IFPパケッタイザ503に対してT.38 IFPパケッタイザ(603)、及び通常のRTPパケッタイザ571に対してRTPパケッタイザ(649)という2つのモジュールの変更を必要とする。
【0068】
(パケット・ストリーム:RTPオーディオ・パケットに対するT.38 IFPパケット)
ファックス中継パケット(T.38 IFPパケット)ストリームとオーディオ・パケット(RTPオーディオ・パケット)ストリームとの違いの幾つかを以下で説明する。RTPオーディオ・パケット・ストリームは通常、完全2重及び同期式(大部分は周期的)である。即ち、通信に関係する2つのゲートウェイのそれぞれが、IPネットワークにオーディオ関連パケットを周期的に転送する。宛先ゲートウェイとして働くゲートウェイは、ソース・ゲートウェイとして働くゲートウェイに対して同期式にオーディオ・パケットを復号化(再生)する。即ち、オーディオ関連データ・ストリームは、両方の(送信側及び受信側)ゲートウェイによってほぼ同一のビット・レートで処理される。オーディオ・ゲートウェイの1つの目標は、エンドツーエンドでひずみ及びジッタが可能な限り最小限に抑えられたオーディオ信号を送達することであるからである。
【0069】
一方、T.38 IFPパケット・ストリームは一般に、擬似ランダム・パケット送信/受信間隔の半2重及び非同期データ・ストリームである。T.38 IFPパケット・ストリームは、(時折、同期データについて)パケットのバースト(グループ)からなる可能性があり、パケットのバーストは、送信側ゲートウェイによって同時に生成されることがあり、或いはT.38 IFPパケット・ストリームは、連続するパケット間に長い時間ギャップ又はウィンドウを有することがある。
【0070】
(T.38 UDPTLでのシーケンス番号及びRFC 3550)
T.38 UDPTLでは、ファックス中継セッションの最初に送られる初期FoIPパケットのシーケンス番号が、ゼロであるべきであり、ファックス復調器から出力される新しいIFP1次パケットごとに、連続する送信パケットのシーケンス番号が1だけ増分される。しかし、T.38 IFPパケットが複製される場合、複製されたパケットのシーケンス番号は、先に送られたパケットに対して増分されず、複製されたパケットは、そのパケットが再現する元のパケットと同一のシーケンス番号を有する。一般には、UDPTLパケット・シーケンス番号は、到着ストリーム中の正しいパケット・シーケンスを識別するのに使用される。タイムスタンプ及び時間オフセットは不要であり、T.38 UDPTLプロトコルでも使用されない。従って、ファックス中継変調器は、(T.38パケットを送信するゲートウェイ内の)リモート・ファックス復調器で発生したファックス信号のタイム・シーケンスを復元する必要がない。T.38パケットを受信するゲートウェイは、リモート・ゲートウェイから受信したT.30制御メッセージ/コマンドを拒絶又は置換することが可能である。T.38パケットを受信するゲートウェイ内のファックス中継変調器は、それに接続されたファックス・マシンに、元のファックス・メッセージがIPネットワークを介して転送されたビット・レートとは異なるビット・レートで(例えばPSTNを介して)データ/信号を送信することができる。T.38モジュールの出力信号は、ファックス中継送信機がIPネットワークを介して首尾よくファクシミリ通信するための主要件であるファクシミリ伝送に関するT.30勧告で定義された手順に準拠すべきである。送信側ゲートウェイから受信されたT.38 IFPパケットの正しいシーケンスは、タイミング・シーケンスに勝る重要な意味を持つ。ゲートウェイがG3ファックス通信にとって受け入れられる信号シーケンスを送信した場合であっても、ゲートウェイが変調のためのバイナリ・データを失った場合、ファックス・セッションが失敗する可能性がある。
【0071】
T.38 UDPTLとは対照的に、且つRFC 3550に準拠して、第1RTPパケットに割り当てられた初期シーケンス番号は、ランダムであるべきであり、RTPシーケンス番号は、送信側ゲートウェイによってIPネットワークに転送される次のRTPデータ・パケットごとに1だけ増分されるべきである。シーケンス番号を増分することは、ペイロード(媒体)タイプとは無関係に実施される。シーケンス番号は、パケット損失を検出し、パケット・シーケンスを復元するために受信側ゲートウェイで使用される。しかし、パケット損失を検出及び回復することは、シーケンス番号だけを使用することでは行うことができない。例えば、ゲートウェイは、(異なるペイロード・タイプを有する)圧縮オーディオ及びDTMFストリームをIPネットワークに送信することができる。DTMF中継パケットは、ネットワーク内で失われる可能性があるのに対して、圧縮オーディオ・ストリームに関するあらゆるパケットは首尾よくその宛先(例えば受信側ゲートウェイ)に到達する。受信側ゲートウェイは、パケット損失を検出することができるが、パケット損失を受ける媒体タイプ・ストリームの識別、及び誤り回復の目的ではパケット損失を検出することができず、ゲートウェイは、区間タイムスタンプを必要とする。パケット損失に関連する統計は、受信されたシーケンス番号に基づき、パケット損失に関連する統計が必要とされる所がどこであっても、標準RTCPプロトコルを使用してレポートすることができる。
【0072】
(タイムスタンプ)
ファックス中継ゲートウェイは、送信されたFoIPパケットをタイムスタンプせず、FoIPパケットを受信したとき、ファックス信号を所期のファックス・マシンに送信するためにタイムスタンプを必要ともしない。T.38プロトコルとは対照的に、あらゆる1次RTPパケットは、RFC 3550に従うタイムスタンプを有し、あらゆる冗長パケットは、RFC 2198に従うタイムスタンプ・オフセットを有する。タイムスタンプ及びタイムスタンプ・オフセットは、誤り回復及び信号フローの再構築のためにRTP受信機によって使用され、RTP受信機がそのプレイアウト・バッファを正しく再生することを可能にする。ゲートウェイ間の同期データ転送中のパケット損失の場合、パケットが固定の持続時間を有すると仮定して、特定のペイロード・タイプに関係する紛失パケットの数をタイムスタンプから導出することができる。しかし、非同期データ転送中に失われたパケット、又は可変フレーム持続期間に関しては、タイムスタンプは役に立たない。非同期データ転送中の紛失パケットの問題を克服するために、受信側ゲートウェイは、RFC 3550及びRFC 2198プロトコルで説明され、又は提案されているものよりもずっと複雑な媒体特性、媒体プロトコル機能強化又は技法を使用する。非同期RTP転送の一例は、DTMFと、電話と、単純なモデム信号用に設計されたRFC 2833仕様を有するDTMF中継に関連する。しかし、AVTフォーラムは、ファックス中継データ転送専用のRFCをまだ提案しておらず、T.38 UDPTLよりずっと良いRFCを予期することができない。
【0073】
(T.38 IFPパケット複製)
T.38 IFP/UDPTLでは、ファックス・パケットの複製は、ファックス中継の信頼性を高める。従って、非常に重要なパケットに関して、例えばT.30 NDICATOR、T.30 DATA HDLC−OK/BAD、T.30 DATA SIGNAL−ENDなどに関係又は関連するパケットに関して複製を実施することができる。
【0074】
T.38 IFP/UDPTLプロトコルとは対照的に、T.38 IFP/RTPゲートウェイは、RTPシーケンス番号を増分せずにパケットを送信することができない。更に、増分されたRTPシーケンス番号を有するIFPパケットの複製を使用することができない。T.38受信機は、反復されるIFPデータを新しいバイナリ・データとみなし、その結果、T.38ファックス変調器は、例えばPSTN回線によってゲートウェイに結合されたファックス・マシンに、無効なバイナリ情報を送信することになる。
【0075】
(同時に複数のT.38 IFPパケットの生成)
RTPプロトコルとは対照的に、T.38パケット・ストリームは、ほぼ同時に生成されたパケットのシーケンスを含むことができる。この1つの理由は、関連する制御情報を使用することによって受信側ゲートウェイが適時にインバウンド・データ・ストリームを処理することを可能にするために、制御情報とデータを共に含むファックス信号をほぼ同時に送信及び受信しなければならないことである。例えば、T.30 DATA HDLC−DATA及びHDLC−OK/BADに関係するパケット、又はそれらから導出されるパケットをほぼ同時に生成及び通信することができる。同様に、T.30 DATA SIGNAL−END及びT.30 INDICATOR NO−SIGNALに関係するパケット、又はそれらから導出されるパケットをほぼ同時に生成及び通信することができる。T.38パケット・ストリームがほぼ同時に生成されたパケットのシーケンスを含むことができる別の理由は、宛先(受信側)ゲートウェイが処理することのできるパケット化間隔と、送出側(送信側)ゲートウェイの作業フレーム持続期間との間に存在する差である。例えば、宛先ゲートウェイの最大パケット化間隔が10ミリ秒(ms)であるが、ソース・ゲートウェイの最小フレーム持続期間が20msである場合、送信側ゲートウェイは、2つ以上のパケットからなるバーストとしてT.38型データ・ストリームを送信する。IP使用可能ファックス・マシンは、パケット・バーストも送信することができる。非IPファックス・マシンとは異なり、IP使用可能ファックス・マシンは、信号復調を実施又は使用せず、その結果IPファックス・マシンは、経時的なコマンド又はデータの配布を処理する必要がないからである。その代わりに、IP使用可能ファックス・マシンは、単一のパケット・キューを処理する。同一のタイムスタンプでRTPを介して送信されたT.38 IFPパケットは、プレイアウト・バッファの再構築の段階でRTP受信機によって拒絶される可能性がある。従って、RTPを介して中継される通常のT.38セッションは、パケット損失がない場合であっても失敗する可能性がある。
【0076】
(冗長性レベル)
T.38 UDPTLファックス中継セッションの間、FoIP情報の冗長性レベルは、例えばT.30制御コマンドを変更する可能性があり、データが、ファックス・イメージ・データの冗長性レベルよりも高い冗長性レベルで転送される可能性がある。これは、T.30制御信号を中継するときに信頼性を高めるのに有用である。RTPを介して転送されるT.38 IFPの場合、冗長性レベルの変化は、RTPパケット化の段階で(転送されるデータのタイプを理解するために)T.38 IFP復号化を必要とするので問題である。
【0077】
(T.38 IFP over RTP実装問題)
ゲートウェイ・レベルでは、T.38 IFP over RTPの実装に関連する主な難点は、2つの比較的複雑なモジュールであるT.38モジュールとRTPモジュールを、それらの性能/機能の適合を含めて、適合させ、又は変更する必要があることである。適合は、パケット生成、パケット受信、紛失パケットの回復、及び「順序が狂って」到着したパケットのリオーダを含むすべてのレベルのパケット処理で必要となる可能性がある。ある場合には、ファックス受信機/送信機及びT.38 IFPエンコーダ/デコーダがRTP/UDPTLパケッタイザ/デパケッタイザとは異なるハードウェア要素(例えばDSP)上に物理的に実装される幾つかのケースでは(後者は、例えばPC上に実装することができる)、T.38 IFP over RTPを実装するのに必要な範囲で「T.38経路」を変更することが可能である。IP使用可能電話及びIP使用可能ファックス・マシンでは、T.38 IFP over RTP手法はやはり非常に問題がある。IP使用可能ファックス・マシンは、タイムスタンプを使用せずにT.38 UDPTLパケットを送信/受信するからであり、そのような装置は、モデムのような信号処理を実施することができないからである。
【0078】
(代替プロトコル)
RTPを介して非オーディオ・データを転送することに関連する問題に対するその他の解決策を提供することを試みて、AVT Internationalフォーラムは、RFC 3550及びRFC 2198プロトコルに対する代替として3つのプロトコルを考案した。(1)FECデータ(既に先に述べた)を使用する方式を指定するRFC 2733、(2)例えば、参照により本明細書にその内容全体が組み込まれるJ.Rey等の「RTP Retransmission Payload Format」(Internet−Draft、2005年9月15日)に記載されているRTP再送信ペイロード・フォーマット、(3)例えば、参照により本明細書にその内容全体が組み込まれるJohn Lazzaro(Internet−Draft、2005年9月5日)「Framing RTP and RTCP Packets over Connection−Oriented Transport」に記載されているRTP over TCP。しかし、これらのプロトコルもまた、RFC 3550及びRFC 2198と比較して使用するのが複雑であり、更には、これらの3つのプロトコルの何れか1つを使用するときに、ファックス中継及びRTPモジュールを構造的且つ機能的に互いに適合させるのがより難しいという点で問題がある。
【0079】
RFC 2198の冗長性方式を使用することによって非オーディオ・データ用の新しいフォーマットを定義する試みが、Satish Mundra(Texas Instruments, Inc.)によってなされた。この試みは、例えば、参照により本明細書にその内容全体が組み込まれる「A RTP Payload for Redundant Non−Audio Data」(Internet−Draft、2004年6月7日)に記載されている。IFP/RTPファックス中継に関する問題は、このプロトコルがT.38及びRTPモジュールにかなりの変更を必要とすることである。
【0080】
次に図7を参照すると、図4に示すモデルに準拠する構造のT.38 UDPTL(FoIP)パケットと、本開示のある実施形態によるRTPパケットとを通信するゲートウェイのブロック図が示されている。ゲートウェイ700のインバウンド経路701は、ゲートウェイ700のファックス・インバウンド経路を形成するユニット702、703、704、及び771を含むことができ、ユニット702、703、及び704は一般に、図5aのゲートウェイ500内のそれぞれユニット502、503、及び504とほぼ同様に機能する。ゲートウェイ700のインバウンド経路701はまた、ゲートウェイ700のRTPインバウンド経路を形成するユニット770及び771も含み、一般に、図5bのゲートウェイ560内のそれぞれユニット570及び571とほぼ同様に機能する。ファックス・インバウンド経路とRTPインバウンド経路の両方でユニット771(RTPパケッタイザ771)を使用することができ(同時にではない)、ファックス中継状態マシン711は一般に、図5aの状態マシン511及び図6の状態マシン611とほぼ同様に機能する。RTP通信では、Time 777は一般に、図5bのTime 577とほぼ同様に機能する。ファックス受信モジュールであるファックス受信機702は一般に、図5aのゲートウェイ500内のファックス受信機502とほぼ同様に機能する。即ち、ファックス受信機702は、アナログ・ファックス伝送(この例ではFax Samples In 761)をファックス・データ・セット(この例では、T.30制御及びファックス・イメージ・データ764)に変換することができる。FoIPパケットでは、パケット・インターフェース705は一般に、図5aのゲートウェイ500内のパケット・インターフェース505とほぼ同様に機能するのに対して、RTPパケットパケット・インターフェース705は一般に、図5bのゲートウェイ560内のパケット・インターフェース580とほぼ同様に機能する。T.38 IFPパケッタイザ703と、T.38 UDPTLパケッタイザ704と、RTPパケッタイザ771は、IP通信モジュールを形成することができ、IP通信モジュールはまず、第1ストリーミング・プロトコル(この例ではT.38 UDPTL)を使用してファックス・データ・セット(764で示される)をカプセル化して、ファックス・パケット(766で示される)を得、次いで、第2ストリーミング・プロトコル(この例ではRTP)を使用して、得られたカプセル化ファックス・パケット(766で示される)を更にカプセル化する。
【0081】
ゲートウェイ700のアウトバウンド経路712は、ユニット723、725、727、729、及び730を含むことができ、ユニット723、725、727、729、及び730は、ゲートウェイ700のファックス・アウトバウンド経路を形成し、一般に図5aのゲートウェイ500内のそれぞれユニット523、525、527、529、及び530とほぼ同様に機能する。ゲートウェイ700のアウトバウンド経路712はまた、ユニット791、793、795、及び798も含み、ユニット791、793、795、及び798は、ゲートウェイ700のRTPアウトバウンド経路を形成し、一般に図5bのゲートウェイ560内のそれぞれユニット591、593、595、598とほぼ同様に機能する。ゲートウェイ700のアウトバウンド経路712はまた、IP Time(図示せず)も含み、IP Timeは、図5bのゲートウェイ560内のIP Time 596(又は図6のゲートウェイ600内のIP Time646)とほぼ同様に機能する。
【0082】
FoIPパケットでは、パケット・インターフェース721は一般に、図5aのゲートウェイ500内のパケット・インターフェース521とほぼ同様に機能する。RTPパケットでは、パケット・インターフェース721は一般に、図5bのゲートウェイ560内のパケット・インターフェース581とほぼ同様に機能する。ファックス送信機730は一般に、図5aのゲートウェイ500内のファックス送信機530とほぼ同様に機能する。
【0083】
図7のゲートウェイ700のインバウンド経路701に関して、ゲートウェイ700に対する入力ソース(760)は、ファックス信号(Fax Samples In 761)又は音声(Voice Samples In 762)でよく、それらは、ファックス・マシン、マルチメディア装置(図示せず)などから発生又は転送させることができる。本開示は、RTPを介してファックス通信を通信すると共に、RTP関連データ/情報が従来の方式で通信される新規な方式を開示する。本開示の一部として、ゲートウェイ700が、ファックス・データ、又はFoIP Packet Out 710などのファックス関連データ/情報をIPネットワーク(図示せず)に送信するときはいつでも、RTPパケットのペイロードは、例えばRTPペイロードが基本的T.38 IFPパケットである図3及び6に示される方法とは対照的に、関連するT.38 UDPTLパケット763全体である。即ち、T.30制御/ファックス・イメージ・データ764が、従来通りT.38 IFPパケッタイザ703で処理され、対応する標準T.38 IFPパケット(765)が生成される。次いで、得られるT.38 IFPパケットが、T.38 UDPTLパケッタイザ704で処理され、対応するT.38 UDPTLパケット(766)が生成される。
【0084】
図6に示すようにT.38 IFPパケットをタイムスタンプすることは(647)、T.38 UDPTLパケットの保全性又は従来のフォーマットを破る。従って、そのようなタイムスタンピングを避けることは、従来のT.38 UDPTLフォーマットの保全性、従ってT.38 UDPTLフォーマットに関連する元の利点を維持する。次いで、T.38 UDPTLパケット全体(766)がRTPパケッタイザ771によってRTPペイロードとしてRTPカプセル化される。RTPカプセル化は、1つのタイムスタンピング・プロセスだけを含む。即ち、RTPパケット全体だけが、RTPパケットのペイロードとしてのRTPパケット内のT.38 UDPTLパケットと共にタイムスタンプされる(図7の750として示される)。RTPパケッタイザ771によってRTPヘッダと共にカプセル化されたファックス中継(T.38 UDPTL)パケットは、RFC 3550に従ってフォーマットされる。ファックス中継パケットをパケット・インターフェース705に送信する前に、異なる媒体データについて共通の任意選択の暗号化をファックス中継パケットに対して使用することができる。RFC 2198によるRTP冗長性又はRFC 2733によるRTP FECはファックス中継データ通信中に使用されない(必要でもない)。ファックス中継データを保護するのに必要な誤り回復データが、通常のファックス通信と同様にT.38 UDPTLを介して転送されるからである。
【0085】
ゲートウェイ700のアウトバウンド経路712に関して、FoIP Packet Out 710などのFoIPパケットがパケット・インターフェース721で受信されるときはいつでも、パケット・インターフェース721は、FoIPパケットのIP及びUDPヘッダからFoIPパケットをカプセル化解除し、この場合、RTPパケットのペイロードを伴うRTPパケットと、FoIPパケットとを(T.38 UDPTLフォーマットの形式で)抽出する。RTPパケットのヘッダを、前述のようにRTPプロトコルの従来の特徴である統計評価のために、RTCP793で使用することができる。次いで、T.38 UDPTLパケットを、T.38 UDPTLデパケッタイザ723と、T.38 UDPTL誤り回復725と、T.38デコーダ727と、T.30/イメージ・データ・バッファ729と、ファックス送信機730とを含むことのできるT.38経路で従来通り処理することができる。
【0086】
音声が通信されるときはいつでも、音声は、ゲートウェイ700で従来の方式で処理される。即ち、音声に関連する信号(Voice Samples In 762)がボイス・エンコーダ770で符号化され、符号化データがRTPパケッタイザ771に転送され(768)、RTPパケッタイザ771は、(図7ではなく)図5bに示すのと同様に、この時にはRTPヘッダと、1次パケット及び冗長性パケットを含むRTPペイロードとからなるRTPパケット(751)をパケット・インターフェース705に転送する。次いで、パケット・インターフェース705は、RTPパケット(VoIP Packet Out 767)をUDPヘッダ及びIPヘッダと共にカプセル化した後に、RTPパケットを、IPネットワーク(図示せず)に送信することができ、所期の受信側ゲートウェイに送信することができる。
【0087】
ゲートウェイ700のアウトバウンド経路712に関して、VoIP Packet Out 767などのVoIPパケットがパケット・インターフェース721で受信されるときはいつでも、パケット・インターフェース721は、VoIPパケットのIPヘッダ及びUDPヘッダからVoIPパケットをカプセル化解除し、この場合は(標準RTPフォーマットの)VoIPパケットであるRTPパケットをそのRTPペイロードと共に抽出する。RTCP 793は、統計評価のためにRTPパケットのヘッダを使用することができる。次いで、RTPデパケッタイザ791と、誤り回復及びRTPプレイアウト・バッファ795と、Voice Decoder(Play)798とを含むことのできる従来のRTP経路でRTPパケットを通常通り処理することができる。
【0088】
RTPデパケッタイザ791によるRTPパケット化解除の結果として、送信されるRTPシーケンス番号、RTPタイムスタンプ、及び/又はタイムスタンプ・オフセット、1次(VoIP)パケット、並びに冗長性データ又はパケットが抽出され(例えば図5bの594として示される)、(誤り回復及び)RTPプレイアウト・バッファ795で使用されて、パケット・シーケンスが補正され、又は紛失パケットが回復され、Voice Decoder Play 798での使用のために一時的にパケットが格納される。
【0089】
図7のゲートウェイは、従来技術のゲートウェイに勝る幾つかの利点を有する。図5aのゲートウェイ500に示されるファックス(インバウンド及びアウトバウンド)経路などのファックス経路と、図5bのゲートウェイ560に示されるRTP(インバウンド及びアウトバウンド)経路などのRTP経路の両方を含むゲートウェイに関して、ファックス経路及びRTP経路は、互いに独立に動作する。ファックス経路及びRTP経路は、RTPペイロード(RTPパケットであってもT.38 UDPTLパケットであっても)が受信側ゲートウェイで識別されると、他の経路(それぞれT.38 UDPTL又はRTP)の要件及び機能の如何に関わらず、対応する経路(それぞれRTP又はT.38 UDPTL)でペイロードが処理されるという意味で互いに独立に動作する。従って、各タイプの経路の従来の利点が維持される。更に、ファックス通信が図7のゲートウェイ700などのゲートウェイで実装される場合、ファックス通信は、自律的媒体(ペイロード・タイプ)切換え、セキュア転送、統計評価などのRTP経路の従来の利点も亨受する。
【0090】
図6の従来のゲートウェイ600に関して、図7のゲートウェイ700は、T.38 IFPの変更或いはT.38 IFPパケッタイザとRTPパケッタイザの両方の変更を必然的に伴う図6の647及び650で示されるタイムスタンピング・プロセスを使用するのではなく、通常のRTPで一般に使用される図7の750に示されるタイムスタンピング・プロセスを使用する。受信されたT.38 UDPTL/RTPパケットのRTPヘッダは、RTCP statistics(793)のためだけに使用され、T.38 UDPTLデパケッタイザ(723)への入力では省略される。パケット損失の保護又は回復のためのUDPTLシーケンス番号、冗長性、又はFEC処理は一般に、通常のT.38 UDPTL経路で実施される。
【0091】
更に、UDPTLデータをRTPヘッダと共にカプセル化する結果、RTPヘッダがIFPデータをカプセル化するときのRTPヘッダのサイズと比較して、RTPヘッダが小さくなる。一般に、使用される冗長性が多くなるほど、ヘッダ・サイズがより節約される。IFP/RTPでは、RFC 2198で指定されるように、RTPヘッダ長は冗長性レベルに比例するのに対して、UDPTL/RTPでは、RTPヘッダは、RFC 3550で定義される固定のサイズを有する。
【0092】
図7の新規なゲートウェイに関して、T.38 UDPTL標準及びRTPプロトコルの点で変更は不要である。本明細書で開示される新規なプロトコル(例えばT.38 UDPTL over RTP又はT.38 UDPTL/RTP)は、T.38 UDPTLパケットを図7の705として示されるパケット・インターフェースに直接送信するのではなく、図7の771として示されるRTPパケッタイザへのT.38 UDPTLパケットの比較的単純なリダイレクトを使用する。T.38/UDPTL/RTP型パケットがパケット・インターフェース721で受信されるとき、新規なゲートウェイ(図7のゲートウェイ700)は、図6のRTPデパケッタイザ641などのRTPデパケッタイザにRTPパケット全体をリダイレクトするのではなく、RTPパケット・ペイロード(1次RTP)を図7のT.38 UDPTLデパケッタイザ723などのT.38 UDFTLデパケッタイザにリダイレクトする。
【0093】
図7のゲートウェイ700の新規な機能を、図1のインターネット・アウェア装置113及び114などのインターネット・アウェア装置に結びつけ、埋め込み、又は組み込むことができ、図1のゲートウェイ103又は104などのゲートウェイを使用することなく、ほぼ本明細書で開示したような新規なストリーミング・プロトコル(例えばT.38 UDPTL over RTP型通信)が可能となる。
【0094】
一般には、本開示で開示される方法を使用して、今日知られている、又は将来考案されるファックス中継プロトコル又は標準にほぼ準拠することのできるファックス・データ(及び/又はファックス関連データ)をRTPヘッダと共にカプセル化することができる。RTPヘッダと共にカプセル化された任意のファックス・データ(及び/又はファックス関連データ)を、RTPパケットのペイロードとして、好ましくはファックス・パケットの形でよいRTPパケット内のファックス・データとしてパケット交換ネットワークを介して通信することができる。例えば、T.38経路でファックス・データを処理し、T.38 UDPTL型ファックス・パケット(T.38パケットと呼ばれる)を得ることができる。より一般には、FRP経路でファックス・データを処理し、FRP型ファックス・パケット(FRPパケット)を得ることができる。ゲートウェイ700は、ファックス・データ(T.38 UDPTL)の1タイプを処理する例示的ゲートウェイであるのに対して、図8及び9は、第2のタイプのファックス・データ(PRP)を指す。
【0095】
次に図8を参照すると、FRP/RTP/UDP/IPパケットの一般的構造(800で示される)が示されている。FRP/RTP/UDP/IPパケット800は、RTPヘッダ(802で示される)と共にカプセル化されたFRPパケット(801で示される)を含むことができる。得られるRTPパケットを、UDPヘッダ(803で示される)と共に更にカプセル化することができ、次いでIPヘッダ(804で示される)と共にカプセル化し、FRPパケットをRTPパケットとして送信することができる。
【0096】
次に図9を参照すると、(図8に示されるようなモデルに準拠した構造の)FRP(FoIP)パケットと、本開示の幾つかの実施形態によるRTPパケットとを通信するゲートウェイ(全体的に900で示される)の例示的ブロック図が示されている。ゲートウェイ900のレイアウト及び機能は、図9のFRP Primary 903及びFRPパケッタイザ904がそれぞれ図7のT.38 IFPパケッタイザ703及びT.38 UDPTLパケッタイザ704に置き換わり、ファックス通信に関連するインバウンドFRP経路を形成することを除いて、ゲートウェイ700のレイアウト及び機能と同様でよい。同様に、図9のFRPデパケッタイザ923と、FRP誤り回復925と、FRPデコーダ927とが、それぞれ図7のT.38デパケッタイザ723と、T.38 UDPTL誤り725と、T.38デコーダ727とに置き換わり、ファックス通信に関連するアウトバウンドFRP経路を形成する。
【0097】
ゲートウェイ900のファックス・インバウンド経路901は、図7のファックス受信機702と同様に機能する(ファックス受信モジュールである)ファックス受信機902と、FRP1次パケッタイザ903と、FRPパケッタイザ904とを含むことができる。即ち、ファックス受信機902は、アナログ・ファックス伝送(この例ではFax Samples In 961)をファックス・データセット(この例ではT.30制御及びファックス・イメージ・データ964)に変換することができる。FRP1次パケッタイザ903は、T.30制御及びFaxイメージ・データ964から、対応するFRP1次パケット(965で示される)を生成する。FRPパケッタイザ904は、対応するFRPパケット966を生成する。ゲートウェイ900のインバウンド経路901はまた、ゲートウェイ900のRTPインバウンド経路を形成し、図5bのゲートウェイ560内のそれぞれユニット570及び571と一般にほぼ同様に機能するユニット970及び971も含む。ユニット971(RTPパケッタイザ971)をファックス・インバウンド経路とRTPインバウンド経路の両方で使用することができる(同時にではない)。状態マシン911は一般に、図7の状態マシン711とほぼ同様に機能する。RTP通信では、Time 977は一般に、図7のTime 777とほぼ同様に機能する。パケット・インターフェース905は一般に、図7のゲートウェイ700内のパケット・インターフェース705とほぼ同様に機能するのに対して、RTPパケットでは、パケット・インターフェース905は一般に、図7のゲートウェイ700内のパケット・インターフェース705とほぼ同様に機能する。FRP1次パケッタイザ903と、FRPパケッタイザ904と、RTPパケッタイザ971とは、IP通信モジュールを形成することができ、IP通信モジュールは、第1ストリーミング・プロトコル(この例ではFRP)を使用してファックス・データセット(964で示される)をまずカプセル化し、ファックス・パケット(966で示される)を得、次いで、第2ストリーミング・プロトコル(この例ではRTP)を使用して、得られたカプセル化ファックス・パケット(966で示される)を更にカプセル化する。
【0098】
ゲートウェイ900のファックス・アウトバウンド経路912は、ユニット923、925、927、929、及び930を含むことができる。ゲートウェイ900のアウトバウンド経路912はまた、ゲートウェイ900のRTPアウトバウンド経路を形成し、図7のゲートウェイ700内のそれぞれユニット791、793、795、及び798と一般にほぼ同様に機能するユニット991、993、995、及び998も含む。ゲートウェイ900のアウトバウンド経路932はまた、図5bのゲートウェイ560内のIP Time 596(又は図6のゲートウェイ600内のIP Time 646)とほぼ同様に機能するIP Time(図示せず)も含む。FoIPパケットでは、パケット・インターフェース921は一般に、図7のゲートウェイ700内のパケット・インターフェース721とほぼ同様に機能する。RTPパケットでは、パケット・インターフェース921は一般に、図7のゲートウェイ700内のパケット・インターフェース721とほぼ同様に機能する。ファックス送信機930は一般に、図7のゲートウェイ700内のファックス送信機730とほぼ同様に機能する。
【0099】
図9のゲートウェイ900のインバウンド経路901に関して、ゲートウェイ900に対する入力ソース(960)は、ファックス信号(Fax Samples In 961)又は音声(Voice Samples In 962)でよく、それらは、ファックス・マシン、マルチメディア装置(図示せず)などから発生又は転送させることができる。ゲートウェイ700と同様に、ゲートウェイ900は、RTPを介してファックス通信を通信すると共に、RTP関連データ/情報が従来の方式で通信されるように設計される。本開示の一部として、ゲートウェイ900が、ファックス・データ、又はFoIP Packet Out 910などのファックス関連データ/情報をIPネットワーク(図示せず)に送信するときはいつでも、RTPパケットのペイロードは、関連するFRPパケット963全体である。即ち、T.30制御/ファックス・イメージ・データ964が、従来通りFRP1次パケッタイザ903で処理され、対応する標準FRP1次パケット(965)が生成され、その対応する標準FRP1次パケット(965)が、FRPパケッタイザ904で処理され、対応するFRPパケット(966)が生成される。
【0100】
ゲートウェイ900のアウトバウンド経路912に関して、FoIP Packet Out 910などのFoIPパケットがパケット・インターフェース921で受信されるときはいつでも、パケット・インターフェース921は、FoIPパケットのIP及びUDPヘッダからFoIPパケットをカプセル化解除し、この場合、RTPパケットのペイロードを伴うRTPパケットと、FoIPパケットとを(FRPフォーマットの形式で)抽出する。RTPパケットのヘッダを、前述のようにRTPプロトコルの従来の特徴である統計評価のために、RTCP993で使用することができる。次いで、FRPパケットを、FRPデパケッタイザ923と、FRP誤り回復925と、FRPデコーダ927と、T.30/イメージ・データ・バッファ929と、ファックス送信機930とを含むことのできる従来のFRP経路で従来通り処理することができる。
【0101】
音声が通信されるときはいつでも、音声は、ゲートウェイ900で従来の方式で処理される。即ち、音声に関連する信号(Voice Samples In 962)がボイス・エンコーダ970で符号化され、符号化データがRTPパケッタイザ971に転送され(968)、RTPパケッタイザ971は、例えば図5b(それぞれ572及び576)に示すのと同様に、この時にはRTPヘッダと、1次パケット及び冗長性パケットを含むRTPペイロードとからなるRTPパケット(951で示される)をパケット・インターフェース905に転送する。次いで、パケット・インターフェース905は、RTPパケット(VoIP Packet Out 967)をUDPヘッダ及びIPヘッダと共にカプセル化した後に、RTPパケットを、IPネットワーク(図示せず)に送信することができ、所期の受信側ゲートウェイ又は他の受信側装置に送信することができる。
【0102】
ゲートウェイ900のアウトバウンド経路912に関して、VoIP Packet Out 967などのVoIPパケットがパケット・インターフェース921で受信されるときはいつでも、パケット・インターフェース921は、VoIPパケットのIPヘッダ及びUDPヘッダからVoIPパケットをカプセル化解除し、この場合は(標準RTPフォーマットの)VoIPパケットであるRTPパケットをそのRTPペイロードと共に抽出する。RTCP993は、統計評価のためにRTPパケットのヘッダを使用することができる。次いで、RTPデパケッタイザ991と、RTPプレイアウト・バッファ995と、Voice Decoder Play998とを含むことのできる従来のRTP経路でRTPパケットを通常通り処理することができる。
【0103】
RTPデパケッタイザ991によるRTPパケット化解除の結果として、送信されるRTPシーケンス番号、RTPタイムスタンプ、及び/又はタイムスタンプ・オフセット、1次(VoIP)パケット、並びに冗長性データ又はパケットが抽出され(例えば図5bの594として示される)、(誤り回復及び)RTPプレイアウト・バッファ995で使用されて、パケット・シーケンスが補正され、紛失パケットが回復され、Voice Decoder Play 998での使用のために一時的にパケットが格納される。ゲートウェイ900などのゲートウェイは、図7のゲートウェイ700に関連して説明した利点と同様の、従来技術のゲートウェイに勝る幾つかの利点を有する。
【0104】
図9の新規なゲートウェイに関して、FRP標準及びRTPプロトコルの点で変更は不要である。本明細書で開示される新規なプロトコル(FRP over RTP又はFRP/RTP)は、FRPパケットを905として示されるパケット・インターフェースに直接送信するのではなく、971として示されるRTPパケッタイザへのFRPパケットの比較的単純なリダイレクトを使用する。FRP/RTP型パケットがパケット・インターフェース921で受信されるとき、ゲートウェイ900は、RTPデパケッタイザ991などのRTPデパケッタイザにRTPパケット全体をリダイレクトするのではなく、RTPパケット・ペイロード(1次RTP)をFRPデパケッタイザ923などのFRPデパケッタイザにリダイレクトする。
【0105】
図7のゲートウェイ700と同様に、図9のゲートウェイ900の新規な機能を、図1のインターネット・アウェア装置113及び114などのインターネット・アウェア装置に結びつけ、埋め込み、又は組み込むことができ、図1のゲートウェイ103又は104などのゲートウェイを使用することなく、ほぼ本明細書で開示したような新規なFRP over RTP型通信が可能となる。更に、図7のゲートウェイ700などのゲートウェイ又は図9のゲートウェイ900は、コントローラを含むことができる。
【0106】
本開示の幾つかの特徴を図示し、本明細書で説明したが、多数の修正と、置換と、変更と、均等物とが当業者には今や思い浮かぶであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の精神の中に含まれるすべての修正及び変更を包含するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】例示的な基本的FoIP/VoIPシステムの略図である。
【図2】ファックス通信で使用されるIFP/UDPTL/UDP/IPパケットの一般的構造を示す図である(従来技術)。
【図3】IFP/RTP/UDP/IPパケットの一般的構造を示す図である(従来技術)。
【図4】本開示のある実施形態によるT.38 UDPTL/RTP/UDP/IPパケットの一般的構造を示す図である。
【図5a】図2に示されるパケット・モデルに準拠する構造のT.38 UDPTL(FoIP)パケットを通信する従来型ゲートウェイのブロック図である。
【図5b】IPネットワークを介してRTPパケット・ストリームを通信する従来型ゲートウェイのブロック図である。
【図6】図3に示されるパケット・モデルに準拠する構造のFoIPパケットを通信する例示的な従来型ゲートウェイの略図である。
【図7】図4に示すモデルに準拠する構造のT.38 UDPTL(FoIP)パケットと、本開示のある実施形態によるRTPパケットとを通信するゲートウェイの例示的ブロック図である。
【図8】FRP/RTP/UDP/IPパケットの一般的構造を示す図である(従来技術)。
【図9】図8に示されるようなモデルに準拠した構造のFRP(FoIP)パケットと、本開示の幾つかの実施形態によるRTPパケットとを通信するゲートウェイの例示的ブロック図である。
【符号の説明】
【0108】
100 FoIP/VoIPシステム
101 ファックス・マシン
102 ファックス・マシン
103 ゲートウェイ
104 ゲートウェイ
105 PSTN回線接続
106 PSTN回線接続
107 IPネットワーク
111 ネットワーク接続
112 ネットワーク接続
113 インターネット・アウェア装置
114 インターネット・アウェア装置
115 接続回線
116 接続回線
200 IFP/UDPTL/UDP/IPパケット
201 IFPパケット
202 冗長性パケット
203 FECメッセージ
204 UDPTLヘッダ
205 ユーザ・データグラム・プロトコル(「UDP」)ヘッダ
206 IPヘッダ
301 IFPパケット
302 パケット
303 パケット
304 RTPヘッダ
401 標準T.38 UDPTLパケット
402 RTPヘッダ
500 ゲートウェイ
501 インバウンド・ファックス・データ/情報処理経路
502 ファックス受信機
503 T.38 IFPパケッタイザ
504 T.38 UDPTLパケッタイザ
505 パケット・インターフェース
507 T.30制御及びファックス・データ
508 T.38 IFPパケット
509 T.38 UDPTLパケット
510 FoIP Packet Out
511 ファックス中継状態マシン
520 FoIP Packet In
521 パケット・インターフェース
522 T.38 UDPTLパケット
523 T.38 UDPTLデパケッタイザ
524 UDPTLシーケンス番号、T.38 IFPパケット、冗長性又はFECフレーム
525 T.38 UDPTL誤り回復モジュール
526 T.38 IFPパケット
527 T.38デコーダ
528 T.30制御及びファックス・イメージ・データ
529 T.30/イメージ・データ・バッファ
530 ファックス送信機
531 Fax Samples Out
535 シーケンス番号
536 T.38 UDPTL冗長性フレーム
551 VoIP Packet Out
552 VoIP Packet In
560 ゲートウェイ
561 Samples In
562 Samples Out
570 ボイス・エンコーダ
571 RTPパケッタイザ
572 RTP1次パケット情報
576 冗長性データ
577 Time
578 RTPパケット
579 ヘッダ
580 パケット・インターフェース
581 パケット・インターフェース
591 RTPデパケッタイザ
593 RTCP Statistics
594 RTPエラー回復
595 プレイアウト・バッファ
596 Time
597 RTPタイムスタンプ
598 Voice Decode Play
600 ゲートウェイ
601 インバウンド経路
602 ファックス受信機
603 T.38 IFPパケッタイザ
605 パケット・インターフェース
610 FoIP Packet Out
611 状態マシン
612 アウトバウンド経路
641 RTPデパケッタイザ
646 IP Time
649 RTPパケッタイザ
700 ゲートウェイ
701 インバウンド経路
702 ファックス受信機
703 T.38 IFPパケッタイザ
704 T.38 UDPTLパケッタイザ
705 パケット・インターフェース
710 FoIP Packet Out
711 状態マシン
712 アウトバウンド経路
721 パケット・インターフェース
723 T.38 UDPTLデパケッタイザ
725 T.38 UDPTL誤り回復
727 T.38デコーダ
729 T.30/イメージ・データ・バッファ
730 ファックス送信機
760 入力ソース
762 Voice Samples In
763 T.38 UDPTLパケット
764 T.30制御/ファックス・イメージ・データ
765 標準T.38 IFPパケット
766 T.38 UDPTLパケット
767 VoIP Packet Out
770 ボイス・エンコーダ
771 RTPパケッタイザ
777 Time
791 RTPデパケッタイザ
793 RTCP statistics
795 誤り回復及びRTPプレイアウト・バッファ
798 Voice Decoder(Play)
800 FRP/RTP/UDP/IPパケット
801 FRPパケット
802 RTPヘッダ
803 UDPヘッダ
804 IPヘッダ
900 ゲートウェイ
901 ファックス・インバウンド経路
902 ファックス受信機
903 FRP1次パケッタイザ
904 PRPパケッタイザ
905 パケット・インターフェース
910 FoIP Packet Out
911 状態マシン
912 ファックス・アウトバウンド経路
921 パケット・インターフェース
923 FRPデパケッタイザ
925 FRP誤り回復
927 FRPデコーダ
929 T.30/イメージ・データ・バッファ
930 ファックス送信機
932 アウトバウンド経路
951 RTPパケット
960 入力ソース
961 Fax Samples In
962 Voice Samples In
963 FRPパケット
964 T.30制御/ファックス・イメージ・データ
965 標準FRP1次パケット
966 FRPパケット
967 VoIP Packet Out
970 ボイス・エンコーダ
971 RTPパケッタイザ
977 Time
991 RTPデパケッタイザ
995 RTPプレイアウト・バッファ
998 Voice Decoder Play

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートウェイであって、
アナログ・ファックス伝送をファックス・データセットに変換するように適合されたファックス受信モジュールと、
前記データセットを第1ストリーミング・プロトコルを使用してカプセル化し、このカプセル化データセットを第2ストリーミング・プロトコルを使用して更にカプセル化するように適合されたIP通信モジュールと、
を備えるゲートウェイ。
【請求項2】
請求項1に記載のゲートウェイであって、前記第1ストリーミング・プロトコルは、ファックス中継プロトコルであり、第2ストリーミング・プロトコルは、リアル・タイム・プロトコルである、ゲートウェイ。
【請求項3】
請求項2に記載のゲートウェイであって、前記ファックス中継プロトコルは、T.38 UDPTLプロトコルである、ゲートウェイ。
【請求項4】
請求項1に記載のゲートウェイであって、前記受信モジュール及び前記IP通信モジュールは、前記アナログ・ファックス伝送を受信し、前記アナログ・ファックス伝送からファックス・パケットを生成し、前記ファックス・パケットをリアル・タイム・プロトコルを使用してカプセル化するように適合されたインバウンド・ファックス経路を形成する、ゲートウェイ。
【請求項5】
請求項4に記載のゲートウェイであって、前記インバウンド・ファックス経路は、ファックス中継プロトコル経路であり、前記ファックス・パケットは、ファックス中継プロトコル・パケットである、ゲートウェイ。
【請求項6】
請求項5に記載のゲートウェイであって、前記インバウンド・ファックス中継プロトコル経路は、
アナログ・ファックス伝送からデータセットを生成するように適合されたファックス受信機と、
前記ファックス受信機に結合され、前記データセットからファックス中継プロトコル1次パケットを生成するように適合されたファックス中継プロトコル1次パケッタイザと、
前記ファックス中継プロトコル1次パケッタイザに結合され、前記ファックス中継プロトコル1次パケットからファックス中継プロトコル・パケットを生成するように適合されたファックス中継プロトコル・パケッタイザと、
前記ファックス中継プロトコル・パケットをカプセル化するように適合されたリアル・タイム・プロトコル・パケッタイザと、
を含む、ゲートウェイ。
【請求項7】
請求項4に記載のゲートウェイであって、前記インバウンド・ファックス中継プロトコル経路は、T.38経路であり、前記ファックス・パケットは、T.38 UDPTLパケットである、ゲートウェイ。
【請求項8】
請求項7に記載のゲートウェイであって、前記インバウンドT.38経路は、
受信した前記アナログ・ファックス伝送から前記データセットを生成するように適合されたファックス受信機と、
前記ファックス受信機に結合され、前記データセットT.30制御及びファックス・イメージ・データからT.38 IFPパケットを生成するように適合されたT.38 IFPパケッタイザと、
前記T.38 IFPパケッタイザに結合され、前記T.38 IFPパケットからT.38 UDPTLパケットを生成するように適合されたT.38 UDPTLパケッタイザと、
前記ファックス中継プロトコル・パケットをカプセル化するように適合されたリアル・タイム・プロトコル・パケッタイザと、
を含む、ゲートウェイ。
【請求項9】
請求項6に記載のゲートウェイであって、前記データセットは、T.30制御データ及びファックス・イメージ・データを含む、ゲートウェイ。
【請求項10】
請求項4に記載のゲートウェイであって、
インバウンド・リアル・タイム・プロトコル経路を、
更に備え、前記インバウンド・リアル・タイム・プロトコル経路は、
入力音声/オーディオ信号に関する符号化データを生成するように適合されたボイス・エンコーダと、
前記ボイス・エンコーダに結合され、前記符号化データの部分をそれぞれのリアル・タイム・プロトコル・ヘッダと共にカプセル化することによってリアル・タイム・プロトコル・パケットを生成するように適合されたリアル・タイム・プロトコル・パケッタイザと、
を含む、ゲートウェイ。
【請求項11】
請求項4に記載のゲートウェイであって、
送信モジュールを、
更に備え、
前記送信モジュール及び前記IP通信モジュールは、前記第2ストリーミング・プロトコルを使用して、カプセル化ファックス・データセットを含むファックス・パケットをカプセル化解除し、前記第1ストリーミング・プロトコルを使用して、前記カプセル化ファックス・データセットを更にカプセル化解除するように適合されたアウトバウンド・ファックス経路を形成する、ゲートウェイ。
【請求項12】
請求項11に記載のゲートウェイであって、前記アウトバウンド・ファックス経路は、ファックス中継プロトコル経路であり、前記ファックス・パケットは、ファックス中継プロトコル・パケットである、ゲートウェイ。
【請求項13】
請求項15に記載のゲートウェイであって、前記アウトバウンド・ファックス中継プロトコル経路は、リアル・タイム・プロトコル・カプセル化ファックス中継プロトコル・パケットをカプセル化解除し、前記ファックス中継プロトコル経路内のファックス中継プロトコル・パケットを処理して、対応するファックス信号を生成するように適合される、ゲートウェイ。
【請求項14】
請求項12に記載のゲートウェイであって、前記アウトバウンド・ファックス中継プロトコル経路は、
前記第2ストリーム・プロトコルを使用して、前記ファックス中継プロトコル・パケットをカプセル化解除し、カプセル化ファックス・データセットを得るように適合されたパケット・インターフェースと、
前記第1ストリーム・プロトコルを使用して、前記カプセル化ファックス・データセットをカプセル化解除するように適合されたファックス中継プロトコル・デパケッタイザと、
前記ファックス中継プロトコル・デパケッタイザに結合され、前記ファックス・データセットを復号化するように適合されたファックス中継プロトコル・デコーダと、
前記データセットからアナログ・ファックス信号を生成及び出力するように適合されたファックス送信機と、
を含む、ゲートウェイ。
【請求項15】
請求項12に記載のゲートウェイであって、前記アウトバウンド・ファックス中継プロトコル経路は、T.38経路であり、前記ファックス・パケットは、T.38 UDPTLパケットである、ゲートウェイ。
【請求項16】
請求項15に記載のゲートウェイであって、前記アウトバウンドT.38経路は、
リアル・タイム・プロトコル・カプセル化T.38 UDPTLパケットをカプセル化解除し、前記T.38経路内のT.38 UDPTLパケットを処理して、対応するファックス信号を生成するように適合されたアウトバウンドT.38経路を含む、ゲートウェイ。
【請求項17】
交換パケット・ネットワークを介してファックス・データを送信する機器であって、
第1ストリーミング・プロトコルを使用してファックス・データセットをカプセル化し、ファックス・パケットを得、第2ストリーミング・プロトコルを使用して前記ファックス・パケットを更にカプセル化するように適合されたコントローラを、
備える機器。
【請求項18】
請求項17に記載の機器であって、前記第1ストリーミング・プロトコルは、ファックス中継プロトコルである、機器。
【請求項19】
請求項18に記載の機器であって、前記ファックス中継プロトコルは、T.38 UDPTLプロトコルであり、前記ファックス・パケットは、T.38 UDPTLパケットである、機器。
【請求項20】
請求項17に記載の機器であって、前記第2ストリーミング・プロトコルは、リアル・タイム・プロトコルである、機器。
【請求項21】
請求項17に記載の機器であって、{携帯電話、ファックス、モデム}からなるグループから選択されたインターネット・アウェア装置である機器。
【請求項22】
交換パケット・ネットワークを介してファックス・データを受信する機器であって、
第1ストリーミング・プロトコルを使用してファックス・パケットを抽出し、第2ストリーミング・プロトコルを使用して前記ファックス・パケットからデータセットを抽出するように適合されたコントローラを、
備える機器。
【請求項23】
請求項22に記載の機器であって、前記第1ストリーミング・プロトコルは、リアル・タイム・プロトコルである、機器。
【請求項24】
請求項22に記載の機器であって、前記第2ストリーミング・プロトコルは、ファックス中継プロトコルであり、前記ファックス・パケットは、ファックス中継プロトコル・パケットである、機器。
【請求項25】
請求項24に記載の機器であって、前記ファックス中継プロトコルは、T.38 UDPTLプロトコルであり、前記ファックス・パケットは、T.38 UDPTLパケットである、機器。
【請求項26】
請求項22に記載の機器であって、{携帯電話、ファックス、モデム}からなるグループから選択されたインターネット・アウェア装置である機器。
【請求項27】
交換パケット・ネットワークを介してファックス・データセットを送信する方法であって、
第1ストリーミング・プロトコルを使用してファックス・データセットをカプセル化し、ファックス・パケットを得、第2ストリーミング・プロトコルを使用して前記ファックス・パケットを更にカプセル化すること、
を含む方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記第1ストリーミング・プロトコルは、ファックス中継プロトコルであり、前記ファックス・パケットは、ファックス中継プロトコル・パケットである、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、前記ファックス中継プロトコルは、T.38 UDPTLプロトコルであり、前記ファックス・パケットは、T.38 UDPTLパケットである、方法。
【請求項30】
請求項27に記載の方法であって、前記第2ストリーミング・プロトコルは、リアル・タイム・プロトコルである、方法。
【請求項31】
交換パケット・ネットワークからファックス・データセットを受信する方法であって、
第1ストリーミング・プロトコルを使用して、受信したパケットをカプセル化解除し、ファックス・パケットを得ること、及び
第2ストリーミング・プロトコルを使用して前記ファックス・パケットをカプセル化解除し、ファックス・データセットを得ること、
を含む方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、前記第1ストリーミング・プロトコルは、リアル・タイム・プロトコルである、方法。
【請求項33】
請求項31に記載の方法であって、前記第2ストリーミング・プロトコルは、ファックス中継プロトコルであり、前記ファックス・パケットは、ファックス中継プロトコル・パケットである、方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法であって、前記ファックス中継プロトコルは、T.38 UDPTLプロトコルであり、前記ファックス・パケットは、T.38 UDPTLパケットである、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−274692(P2007−274692A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90076(P2007−90076)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(504163911)オーディオコーズ・リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】AUDIOCODES LTD.
【Fターム(参考)】