インターフェロンを哺乳動物に送達するための脂質構築物
本発明は、両親媒性脂質分子と受容体結合分子を含んで成る脂質構築物と合併しているインターフェロンを含んで成る肝細胞標的組成物に向けたものである。本組成物は錯体と合併しているインターフェロンと遊離インターフェロンの混合物を含有して成り得る。この組成物に改変をインターフェロンおよび前記錯体が劣化から保護されるように受けさせることも可能である。本発明は、また、本組成物を製造しそしてインターフェロンを本組成物に充填しそして本組成物のいろいろな成分を回収する方法、およびC型肝炎および他の肝炎ウイルスに感染している人を治療する方法も包含する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染が米国における最も一般的な慢性の血液媒介感染である。The Center for Disease Control(CDC)は、1980年の間に1年当たり平均で240,000人の新しい感染が起こったと推定している。1年当たりの新しい感染数は1980年代から減少して2003年には約30,000人になった。約3.9百万人の米国人、即ち米国人口のおおよそ1.8%がHCVに感染していると推定されている。そのような人達の中の約2.7百万人は慢性的に感染していても感染に気づいていない可能性がある、と言うのは、彼らは臨床的に病気ではないからである。感染した人は他の人への伝染源になり、そして初期感染後から最初の20年またはそれ以上かかって慢性の肝臓病またはHCVに関連した他の慢性病になる危険性がある。
【0002】
現在のC型肝炎治療プロトコルは、インターフェロン−アルファのいろいろな製剤の使用が基になっていて、それらは筋肉内または皮下注射で投与される。インターフェロン−アルファは、細胞がウイルス感染に反応して分泌する天然に存在する糖蛋白である。インターフェロン−アルファ(これは免疫調節、抗増殖および抗ウイルス特性を有する)はそれの効果を膜受容体と結合することで及ぼす。インターフェロン−アルファは免疫系均衡の維持で重要な役割を果たすが、これを体が産生する濃度は一般に伝統的なインターフェロン注射療法における濃度に比べて非常に低いことから、病気部位に必要な濃度を達成するにはそれを高い投薬量で投与する必要がある。インターフェロン−アルファを血流の中に直接投与する場合、病気になった組織に充分な量が到達することを確保するには非常に高い投薬量が必要、即ち数百万の国際単位(IU)が必要である。放出されたインターフェロン−アルファは体の標的領域に送達されないでむしろ体の中の幅広い範囲の領域に到達する。必要とされているインターフェロン−アルファ組成物は、インターフェロン−アルファを長期間に渡って比較的一定した速度で放出しかつ当該組成物中のインターフェロン−アルファの一部をこれが肝臓を標的にするように送達することでC型肝炎ウイルスをより良好に減少させるか或はなくす組成物である。
【0003】
インターフェロン−アルファ2a(ROFERON−A(R);Hoffmann−La
Roche),インターフェロン−アルファ2b(INTRON−A(R);Schering−Plough)およびインターフェロン−アルファコン−1(INFERGEN(R);Intermune)が慢性C型肝炎にかかっている成人を治療する単一薬剤として米国で認可されている。インターフェロン−アルファ−2bおよびアルファ−2aを慢性C型肝炎の治療で用いる時の推奨される用量は1週間で3,000,000単位(3回)であり、これは皮下または筋肉内注射で投与される。治療は6カ月から2年間に渡って施される。インターフェロン−アルファコン−1の場合の推奨投薬量は、最初の治療で1週間に9ミクログラム(3回)そしてそれに反応しないか或は再発する患者の場合には更に6カ月の間に1週間に15ミクログラム(3回)である。インターフェロン単独を用いた治療で持続した反応がもたらされるのは被験体の中の15%未満である。慢性C型肝炎の治療では、しばしば、リバビリン、即ち幅広いスペクトルのウイルスに対して活性を有する合成ヌクレオシドがインターフェロン−アルファと組み合わせて投与される。
【0004】
最近、PEGインターフェロン−アルファ(時にはPEG化インターフェロンと呼ばれる)が慢性C型肝炎の治療で用いられている。下記の2種類のPEGインターフェロン−アルファ製剤がC型肝炎患者で試験された:PEGインターフェロン−アルファ−2b(PEG−INTRON(R);Schering−Plough)およびPEGインターフェロン−アルファ−2a(PEGASYS(R);Hoffmann−La Roche)
。PEGインターフェロン−アルファはポリエチレングリコール分子がインターフェロン分子と結合している点で未改変インターフェロン−アルファとは異なる。そのような構造的改変の結果として体から除去される速度が遅くなり、それによって、投薬頻度を低くしてもより高くてより一定した血中インターフェロン−アルファ濃度が達成される。未改変インターフェロン−アルファ(慢性C型肝炎を治療するには週に3回注射する必要がある)とは対照的に、PEGインターフェロン−アルファを注射する必要がある頻度は週に1回のみである。
【0005】
慢性C型肝炎の主要な治療目的は検出可能なウイルスRNAを血液から除去することにある。治療が完了してから6カ月後の血液からC型肝炎ウイルスのRNAが検出されなれば、これは持続的な反応であるとして認識される。
【0006】
従って、C型肝炎ウイルスに感染している患者を治療する組成物および方法の必要性は本技術分野で充たされないままである。本発明は、肝臓を標的として送達される長期作用組成物を提供することでそのような必要性を満たすものである。
【発明の開示】
【0007】
発明の簡単な要約
本発明は、1つの面において、少なくとも1種のインターフェロン、両親媒性脂質および伸張両親媒性脂質を含んで成る脂質構築物を包含し、ここで、前記伸張両親媒性脂質は近位、中位および遠位部分を含有して成っていて、前記近位部分が前記伸張両親媒性脂質を該構築物と連結させており、前記遠位部分によって該構築物が肝細胞が提示する受容体を標的にしそして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分を連結させている。
【0008】
別の面では、前記インターフェロンがインターフェロン−アルファ,インターフェロン−アルファ−1a,PEG化インターフェロン−アルファ−1a,インターフェロン−アルファ−n1,インターフェロン−アルファ−2a,インターフェロン−アルファ−2b,インターフェロン−アルファ−n3,インターフェロン−アルファコン−1,インターフェロン n−3,PEGインターフェロン−アルファ2a,PEGインターフェロン−アルファ2b,インターフェロンベータ;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンベータ−1b,インターフェロンガンマ;インターフェロンガンマ−1a;インターフェロンガンマ−1b,PEG化インターフェロンベータ−1a,PEG化インターフェロンベータ−1b,これらの誘導体,および前記インターフェロンのいずれかの組み合わせから成る群から選択される。
【0009】
更に別の面における脂質構築物は、少なくとも1種の抗ウイルス薬(ここで、前記抗ウイルス薬はインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない)、両親媒性脂質および伸張両親媒性脂質を含んでおり、ここで、前記伸張両親媒性脂質は近位、中位および遠位部分を含有して成っていて、前記近位部分が前記伸張両親媒性脂質を該構築物と連結させており、前記遠位部分によって該構築物が肝細胞が提示する受容体を標的にしそして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分を連結させている。
【0010】
別の面における有効成分は少なくとも1種のインターフェロンおよび少なくとも1種の抗ウイルス薬を含んでおり、ここで、前記抗ウイルス薬はインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない。
【0011】
更に別の面における本脂質構築物は更に該脂質構築物と合併している不溶形態の少なくとも1種の有効成分も含んで成る。
【0012】
別の面における前記両親媒性脂質は1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホ
スホコリン、コレステロール、ジセチルホスフェート、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロール−[3−ホスホ−rac−(1−グリセロ)]、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル)、これらの誘導体および前記化合物のいずれかの混合物から成る群から選択された少なくとも1種の脂質を含んで成る。
【0013】
更に別の面における前記伸張両親媒性脂質は近位部分にバックボーンと結合している長鎖アシル炭化水素鎖を少なくとも1個であるが、2個以下の数で含有して成り、ここでは、前記炭化水素鎖が各々独立して飽和炭化水素鎖および不飽和炭化水素鎖から成る群から選択される。
【0014】
更に別の面における前記バックボーンはグリセロールを含んで成る。
【0015】
更に別の面における前記伸張両親媒性脂質は遠位部分にビオチン、ビオチン誘導体、イミノビオチン、イミノビオチン誘導体、ビオシチン、ビオシチン誘導体、イミノビオシチン、イミノビオシチン誘導体および肝細胞上の受容体と結合する肝細胞特異的分子から成る群から選択される少なくとも一員を含んで成る。
【0016】
別の面では、前記伸張両親媒性脂質がN−ヒドロキシスクシニミド(NHS)ビオチン;スルホ−NHS−ビオチン;N−ヒドロキシスクシニミド長鎖ビオチン,スルホ−N−ヒドロキシスクシニミド長鎖ビオチン;D−ビオチン;ビオシチン;スルホ−N−ヒドロキシスクシニミド−S−S−ビオチン;ビオチン−BMCC;ビオチン−HPDP;ヨードアセチル−LC−ビオチン;ビオチン−ヒドラジド;ビオチン−LC−ヒドラジド;ビオシチンヒドラジド;ビオチンカダベリン;カルボキシビオチン;フォトビオチン;トリフルオロ酢酸ρ−アミノベンゾイルビオシチン;ρ−ジアゾベンゾイルビオシチン;ビオチン DHPE;ビオチン−X−DHPE;12−((ビオチニル)アミノ)ドデカン酸;12−((ビオチニル)アミノ)ドデカン酸スクシニミジルエステル;S−ビオチニルホモシステイン;ビオシチンX;ビオシチン x−ヒドラジド;ビオチンエチレンジアミン;ビオチン−XL;ビオチン−X−エチレンジアミン;ビオチン−XX−ヒドラジド;ビオチン−XX−SE;ビオチン−XX,SSE;ビオチン−X−カダベリン;α−(t−BOC)ビオシチン;N−(ビオチニル)−N’−(ヨードアセチル)エチレンジアミン;DNP−X−ビオシチンX−SE;ビオチン−X−ヒドラジド;塩酸ノルビオチンアミン;3−(N−マレイミジルプロピオニル)ビオシチン;ARP;ビオチン−l−スルホキサイド;ビオチンのメチルエステル;ビオチン−マレイミド;ビオチン−ポリ(エチレングリコール)アミン;(+)ビオチン 4−アミド安息香酸ナトリウム塩;ビオチン
2−N−アセチルアミノ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド;ビオチン−α−D−N−アセチルニューラミニド;ビオチン−α−L−フコシド;ビオチンラクト−N−ビオシド;ビオチン−ルイス−A 三糖;ビオチン−ルイス−Y 四糖;ビオチン−α−D−マンノピラノシド;ビオチン 6−O−ホスホ−α−D−マンノピラノシド;およびポリクロム−ポリ(ビス)−[N−(2,6−(ジイソプロピルフェニル)カルバモイル
メチル)イミノ]ジ酢酸から成る群から選択される。
【0017】
さらなる面における前記伸張両親媒性脂質は中位部分にチオ−アセチルトリグリシン重合体またはこれの誘導体を含んで成り、ここで、前記伸張両親媒性脂質の分子は該脂質構築物の表面から外側に伸びている。
【0018】
1つの面における本構築物は更に水に不溶な標的分子錯体と合併している少なくとも1種の有効成分も含んで成り、ここで、前記錯体は多数の連結した個々の単位を含んで成り、前記個々の単位は、遷移元素、内部遷移元素、遷移元素の同胞元素および前記元素のいずれかの混合物から成る群から選択した橋かけ成分;および錯体形成成分を含んで成るが
、但し前記遷移元素がクロムの時にはクロム標的分子錯体が生じることを条件とする。
【0019】
別の面における本構築物は更に前記標的分子錯体と合併していない少なくとも1種の有効成分も含んで成る。
【0020】
更に別の面における前記橋かけ成分はクロムである。
【0021】
更に別の面における前記錯体形成成分はポリ(ビス)−[(N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルバモイルメチル)イミノジ酢酸]を含んで成る。
【0022】
1つの面における前記伸張両親媒性脂質の遠位成分は非極性誘導体化ベンゼン環または複素二環式環構造を含んで成る。
【0023】
別の面における本構築物は正電荷、負電荷またはこれらの組み合わせを含んで成る。
【0024】
更に別の面における前記伸張両親媒性脂質は前記遠位部分の末端終点から約13.5オングストローム以内の距離に位置するカルボニル部分を少なくとも1個含んで成る。
【0025】
さらなる面における前記伸張両親媒性脂質は第二級アミン含有カルバモイル部分を少なくとも1個含んで成る。
【0026】
1つの面における前記伸張両親媒性脂質は帯電したクロムを中位に含んで成る。
【0027】
別の面における本脂質構築物は更に酢酸水素フタル酸セルロースも含んで成る。
【0028】
1つの面において、本発明は、少なくとも1種のインターフェロン、両親媒性脂質および伸張両親媒性脂質[前記伸張両親媒性脂質は近位、中位および遠位部分を含んで成り、ここで、前記近位部分が前記伸張両親媒性脂質を該構築物と連結させており、前記遠位部分によって該構築物が肝細胞が提示する受容体を標的にしそして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分を連結させている]を含んで成る脂質構築物を製造する方法を包含し、ここでは、前記脂質構築物が水に入っている懸濁液を生じさせ;そして有効成分を前記脂質構築物の中に充填することで脂質構築物を製造する。
【0029】
更に別の面では、前記有効成分を前記脂質構築物の中に充填する段階に平衡充填および非平衡充填を含める。
【0030】
1つの面では、前記有効成分を前記脂質構築物に充填する段階に遊離有効成分が入っている溶液を前記脂質構築物が水に入っている混合物に添加しそして前記有効成分と前記混合物を平衡状態に到達するまで接触させたままにしておくことを含める。
【0031】
別の面では、インターフェロン結合脂質構築物を製造する方法に、更に、前記混合物が平衡に到達した後に前記有効成分を前記脂質構築物の中に最終的に充填することも含んで成り、ここで、前記遊離有効成分が入っている溶液を前記構築物から除去し、更に、この構築物はこの構築物と合併している少なくとも1種の有効成分も含有する。
【0032】
別の面では、インターフェロン結合脂質構築物を製造する方法に、更に、急速濾過手順、遠心分離、濾過遠心分離およびイオン交換樹脂またはビオチン、イミノビオチンもしくはこれらの誘導体に親和性を示すストレプトアビジンアガロース親和性樹脂ゲルが用いられているクロマトグラフィーから成る群から選択した方法を用いて前記遊離有効成分が入っている溶液を前記構築物と合併している少なくとも1種の有効成分を含有する前記脂質
構築物から除去することも含んる。
【0033】
更に別の面では、インターフェロン結合脂質構築物を製造する方法に、更に、多数の連結した個々の単位を含んで成るクロム錯体を前記脂質構築物に添加することも含める。
【0034】
更に別の面では、インターフェロン結合脂質構築物を製造する方法に、更に、酢酸水素フタル酸セルロースを前記脂質構築物に添加することも含める。
【0035】
別の面では、インターフェロン結合脂質構築物を製造する方法に、更に、有効成分、イオン交換樹脂およびストレプトアビジンアガロース親和性ゲルから成る群から選択した少なくとも1種の材料を工程から回収することも含める。
【0036】
1つの面では、少なくとも1種の有効成分が患者内で示す生物学的利用能を向上させる方法に、少なくとも1種の有効成分を多数の非共有多座結合部位を含んで成る脂質構築物と一緒にし、そして前記有効成分を含有する構築物を前記患者に投与することを含める。
【0037】
別の面では、生物学的利用能の向上に、更に、少なくとも1種の有効成分が示す等電点を調節する段階も含める。
【0038】
更に別の面では、前記有効成分がインターフェロン−アルファ,インターフェロン−アルファ−1a,PEG化インターフェロン−アルファ−1a,インターフェロン−アルファ−n1,インターフェロン−アルファ−2a,インターフェロン−アルファ−2b,インターフェロン−アルファ−n3,インターフェロン−アルファコン−1,インターフェロン n−3,PEGインターフェロン−アルファ2a,PEGインターフェロン−アルファ2b,インターフェロンベータ;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンベータ−1b,インターフェロンガンマ;インターフェロンガンマ−1a;インターフェロンガンマ−1b,PEG化インターフェロンベータ−1a,PEG化インターフェロンベータ−1b,これらの誘導体および前記インターフェロンのいずれかの組み合わせから成る群から選択される。
【0039】
更に別の面における前記有効成分は抗ウイルス薬であり、ここで、前記抗ウイルス薬はインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない。
【0040】
更に別の面における前記有効成分は少なくとも1種のインターフェロンおよび少なくとも1種の抗ウイルス薬を含んで成り、ここで、前記抗ウイルス薬はインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない。
【0041】
更に別の面における前記脂質構築物はインターフェロン,1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン,コレステロール,ジセチルホスフェート,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−[3−ホスホ−rac−(1−グリセロール)],1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンおよび1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル)またはこれらの誘導体および肝細胞受容体結合分子を含んで成る。
【0042】
1つの面では、少なくとも1種の有効成分が宿主内で示す生物学的利用能を向上させる徐放性組成物を製造する方法に、脂質構築物をイミノビオチンまたはイミノビオチン誘導体を含んで成る脂質を通してストレプトアビジンアガロース親和性ゲルとpH9.5以上で結合させることで前記構築物を多量相媒体(bulk phase media)から取り出し、前記構築物を前記多量相媒体から分離し;前記親和性ゲルの水性混合物のpHをpH4.5に調整することで前記構築物を前記親和性ゲルから放出させることを含める
が、ここで、前記放出された構築物は少なくとも1種の不溶有効成分を含有しており、前記構築物を温血宿主に投与すると、前記不溶有効成分が宿主内の生理学的pH条件下で再溶解する。
【0043】
別の面では、肝炎に感染した患者を治療する方法に、前記患者に少なくとも1種のインターフェロン、両親媒性脂質および伸張両親媒性脂質[前記伸張両親媒性脂質は近位、中位および遠位部分を含んでおり、ここで、前記近位部分が前記伸張両親媒性脂質を該構築物と連結させており、前記遠位部分によって該構築物が肝細胞が提示する受容体を標的にしそして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分を連結させている]を含んで成る脂質構築物を有効量で投与することを含める。
【0044】
更に別の面における前記患者はA型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎、F型肝炎およびG型肝炎から成る群から選択される少なくとも1種の肝炎に感染している。
【0045】
別の面では、前記有効成分がインターフェロン−アルファ,インターフェロン−アルファ−1a,PEG化インターフェロン−アルファ−1a,インターフェロン−アルファ−n1,インターフェロン−アルファ−2a,インターフェロン−アルファ−2b,インターフェロン−アルファ−n3,インターフェロン−アルファコン−1,インターフェロン
n−3,PEGインターフェロン−アルファ2a,PEGインターフェロン−アルファ2b,インターフェロンベータ;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンベータ−1b,インターフェロンガンマ;インターフェロンガンマ−1a;インターフェロンガンマ−1b,PEG化インターフェロンベータ−1a,PEG化インターフェロンベータ−1b,これらの誘導体および前記インターフェロンのいずれかの組み合わせから成る群から選択される。
【0046】
別の面における前記有効成分は抗ウイルス薬であり、ここで、前記抗ウイルス薬はインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない。
【0047】
更に別の面における前記有効成分は少なくとも1種のインターフェロンおよび少なくとも1種の抗ウイルス薬を含んで成り、ここで、前記抗ウイルス薬はインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない。
【0048】
更に別の面における前記脂質構築物は更に標的分子錯体も含有して成り、ここで、前記錯体は多数の連結した個々の単位を含有して成り、更にここで、前記連結した個々の単位は、遷移元素、内部遷移元素、遷移元素の同胞元素および前記元素のいずれかの混合物を包含する群から選択された橋かけ成分および錯体形成成分を含んで成るが、但し前記遷移元素がクロムの時にはクロム標的分子錯体が生じることを条件とする。
【0049】
更に別の面における前記脂質構築物は更に前記標的分子錯体と合併していない少なくとも1種の有効成分も含んで成る。
【0050】
更に別の面における投与は経口または皮下投与である。
【0051】
1つの面において、本発明は、肝炎に感染している患者の肝臓の中の肝細胞にインターフェロンを送達する送達を向上させる方法を包含し、ここでは、肝細胞受容体と結合する部分を含む伸張脂質分子およびインターフェロンを含んで成る脂質構築物を前記患者に投与することによって向上させるが、肝細胞受容体は最適な大きさの構築物と結合することから、ここでは、前記脂質構築物を複数の大きさで存在させ、それによって、エンドサイトーシスを増加させかつ本脂質構築物の意図した薬理学的作用を明らかに生じさせる。
【0052】
別の面における前記患者はA型肝炎,B型肝炎,C型肝炎,D型肝炎,E型肝炎,F型肝炎またはG型肝炎または前記肝炎ウイルスの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種のウイルスに感染している。
【0053】
更に別の面では、前記有効成分がインターフェロン−アルファ,インターフェロン−アルファ−1a,PEG化インターフェロン−アルファ−1a,インターフェロン−アルファ−n1,インターフェロン−アルファ−2a,インターフェロン−アルファ−2b,インターフェロン−アルファ−n3,インターフェロン−アルファコン−1,インターフェロン n−3,PEGインターフェロン−アルファ2a,PEGインターフェロン−アルファ2b,インターフェロンベータ;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンベータ−1b,インターフェロンガンマ;インターフェロンガンマ−1a;インターフェロンガンマ−1b,PEG化インターフェロンベータ−1a,PEG化インターフェロンベータ−1b,これらの誘導体および前記インターフェロンのいずれかの組み合わせから成る群から選択される。
【0054】
更に別の面における前記有効成分は抗ウイルス薬であり、ここで、前記抗ウイルス薬はインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない。
【0055】
更に別の面における前記有効成分は少なくとも1種のインターフェロンおよび少なくとも1種の抗ウイルス薬を含んで成り、ここで、前記抗ウイルス薬はインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない。
【0056】
別の面では、前記患者を治療する方法に、更に、前記有効成分が加水分解酵素に近づかないように脂質分子の三次元構造配列を生じさせることで前記脂質構築物内の前記有効成分を加水分解による劣化から保護することも含める。
【0057】
更に別の面では、前記方法に、更に、酢酸水素フタル酸セルロースを前記脂質構築物に添加することで個々の脂質分子と反応させることも含める。
【0058】
更に別の面では、前記方法に、更に、不溶化した投薬形態の前記有効成分を前記脂質構築物内に生じさせること含める。
【0059】
1つの面において、本発明は、ウイルスに感染した哺乳動物を治療する時に用いるに適したキットを包含し、前記キットは、脂質構築物[この脂質構築物は、少なくとも1種のインターフェロン、両親媒性脂質および伸張両親媒性脂質を含み、ここで、前記伸張両親媒性脂質は近位、中位および遠位部分を含んでいて、前記近位部分が前記伸張両親媒性脂質を該構築物と連結させており、前記遠位部分によって該構築物が肝細胞が提示する受容体を標的にしそして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分を連結させている]、生理学的緩衝剤溶液、アプリケーターおよび使用説明資料を含んで成る。
【0060】
別の面における前記キットは、更に、少なくとも1種の有効成分も含んで成る。
【0061】
更に別の面における前記キットは、A型肝炎,B型肝炎,C型肝炎,D型肝炎,E型肝炎,F型肝炎およびG型肝炎から成る群から選択される少なくとも1種のウイルスに感染している患者を治療するためのキットである。
【0062】
発明の詳細な説明
本発明は肝細胞を標的する製薬学的組成物を包含し、ここでは、インターフェロンを構築物の中で水に不溶な標的分子錯体と合併させておき、そして前記組成物が患者の肝臓の
中の肝細胞を標的にするようにすることで、C型肝炎ウイルスおよび他のウイルスを取り扱う有効な手段を提供するものである。
【0063】
本発明は、インターフェロンと両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質(受容体結合分子)を含んで成る脂質構築物を包含する。前記伸張両親媒性脂質は近位、中位および遠位部分を含んで成る。前記近位部分が前記伸張脂質を本構築物とつなげており、前記遠位部分が本構築物を肝臓の中の肝細胞結合受容体と連結させ、そして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分をつなげている。
【0064】
脂質構築物は球形の脂質および燐脂質粒子であり、この粒子の中で個々の脂質分子が協調的に相互作用することで二極性脂質膜を構成しており、その膜が媒体(この中で前記膜が形成される)の一部を封じ込めかつ孤立させる。本脂質構築物はインターフェロンを肝臓の中の肝細胞に送達するようにそれを標的にする能力を有しかつインターフェロンを持続的に放出することで肝臓を侵しているC型肝炎ウイルスまたは他のウイルスをより良好に減少させるか或はなくす能力を有する。
【0065】
本発明の組成物は、C型肝炎ウイルスおよび他のウイルスに感染している哺乳動物を治療する目的でいろいろな経路で投与可能であり、そのような経路には、皮下または経口が含まれる。
【0066】
本発明は、更に、インターフェロンと両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質を含んで成る脂質構築物を製造する方法も提供する。前記伸張両親媒性脂質は近位、中位および遠位部分を含んで成る。前記近位部分が前記伸張脂質を本構築物とつなげている。前記遠位部分が本構築物を肝細胞結合受容体と連結させ、そして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分をつなげている。
【0067】
本発明は、また、水に不溶な標的分子錯体と合併しているインターフェロンと遊離インターフェロンを構築物(前記錯体が肝細胞に向かうようにそれへの送達を標的にする)の中に含んで成る組成物を製造する方法も提供する。前記標的分子錯体をある構造を有する多数の連結した個々の単位で構成させ、それを金属錯体で生じさせ、それを脂質構築物マトリクスの中に含有させる。
【0068】
加うるに、本発明は、C型肝炎および他のウイルスに感染している人を治療する方法も提供し、ここでは、インターフェロンと両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質(肝細胞に送達するようにそれを標的にする)を含んで成る脂質構築物を有効量で投与することで治療を施す。
【0069】
本発明は、また、C型肝炎および他のウイルスに感染している人を治療する方法も提供し、ここでは、インターフェロンと両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質と水に不溶な標的分子錯体(肝細胞に送達するようにそれを標的にする)を含んで成る脂質構築物を有効量で投与することで治療を施す。
【0070】
定義
特に明記しない限り、本明細書で用いる技術的および科学的用語の全部に一般に本発明が属する技術分野の通常の技術者が通常理解する意味と同じ意味を持たせる。本明細書および有機化学および蛋白質化学における実験室手順で用いる命名法は一般に本技術分野で良く知られていて通常用いられる用語である。
【0071】
本明細書では、品詞“a”および“an”をその品詞の文法的目的物の1個または2個以上(即ち少なくとも1個)を指す目的で用いる。例として、“元素”は、1個の元素ま
たは2個以上の元素を意味する。
【0072】
用語“有効成分”はインターフェロンおよび他の抗ウイルス性化合物を指す。
【0073】
用語“低級”は、それで記述する基が炭素原子を1から6個含有することを意味する。
【0074】
用語“アルキル”は、それ自身または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、炭素原子を表示する数で有する直鎖、分枝または環式鎖炭化水素を意味し(即ちC1−C6は1から6個の炭素を意味し)、直鎖、分枝鎖または環式基を包含する。例にはメチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,イソブチル,t−ブチル,ペンチル,ネオペンチル,ヘキシル,シクロヘキシルおよびシクロプロピルメチルが含まれる。(C1−C3)アルキル、特にエチル、メチルおよびイソプロピルが最も好適である。
【0075】
用語“アルキレン”は、それ自身または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、置換部位を2個有する直鎖、分枝または環式鎖炭化水素、例えばメチレン(−CH2−),エチレン(−CH2CH2−),イソプロピレン(−CH(CH3)=CH2)などを意味する。
【0076】
用語“アリール”は、これを単独または他の用語と組み合わせて用い、特に明記しない限り、飽和もしくは不飽和の環を1個以上(典型的には環を1、2または3個)含有する環式炭素環構造を意味し、ここで、前記環はペンダント様式で一緒に結合していてもよい(例えばビフェニル)か、或は縮合していてもよい(例えばナフタレン)。例にはフェニル;アントラシルおよびナフチルが含まれる。前記構造は置換部位を1個以上持ち得、その部位に官能基、例えばアルコール,アルコキシ,アミド,アミノ,シアニド,ハロゲンおよびニトロなどが結合する。
【0077】
用語“アリール低級アルキル”は、アリール基が低級アルキレン基と結合している官能基、例えば−CH2CH2−フェニルなどを意味する。
【0078】
用語“アルコキシ”は、これを単独または他の用語と組み合わせて用い、特に明記しない限り、酸素原子を通して分子の残りと連結していて炭素原子を表示する数で有するアルキル基または置換基、例えばヒドロキシル基などを含有するアルキル、例えば−OCHOH−,−OCH2OH,メトキシ(−OCH3),エトキシ(−OCH2CH3),1−プロポキシ(−OCH2CH2CH3),2−プロポキシ(イソプロポキシ),ブトキシ(−OCH2CH2CH2CH3),ペントキシ(−OCH2CH2CH2CH2CH3)および高級同族体および異性体などを意味する。
【0079】
用語“アシル”は、一般式 −C(=O)−R[式中、−Rは水素,ヒドロカルビル,アミノまたはアルコキシである]で表される官能基を意味する。例にはアセチル(−C(=O)CH3),プロピオニル(−C(=O)CH2CH3),ベンゾイル(−C(=O)C6H5),フェニルアセチル(−C(=O)CH2C6H5),カルボエトキシ(−CO2CH2CH3)およびジメチルカルバモイル(−C(=O)N(CH3)2)が含まれる。
【0080】
用語“ハロ”または“ハロゲン”は、それ自身または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味する。
【0081】
用語“複素環”または“ヘテロシクリル”または“複素環式”は、それ自身または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、炭素原子およびN,OおよびSを包含する群から選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有しかつ前記窒素および硫黄ヘテロ原子が
場合により酸化されていてもよくかつ前記窒素原子が場合により第四級化されていてもよい安定な単環式もしくは多環式の置換もしくは非置換複素環式環系を意味する。前記複素環系は、特に明記しない限り、安定な構造物がもたらされるように如何なるヘテロ原子または炭素原子の所で結合していてもよい。例にはピロール,イミダゾール,ベンゾイミダゾール,フタレイン,ピリデニル,ピラニル,フラニル,チアゾール,チオフェン,オキサゾール,ピラゾール,3−ピロリン,ピロリデン,ピリミジン,プリン,キノリン,イソキノリン,カルバゾールなどが含まれる。
【0082】
アミノ酸を本明細書で用いる場合、それらを以下の表に示すようにフルネームでか、それに相当する3文字コードで示す:
【0083】
【表1】
【0084】
用語“クロム標的分子錯体”は、数多くの個々の単位を含んで成る錯体を指し、ここで、各単位は、多価分子が寄与するリガンド、例えば数多くのN−(2,6−ジイソプロピルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸分子に由来するリガンドなどを6個以下の数で受け入れ得るクロム(Cr)原子を含んで成る。その個々の単位が互いに連結して三次元配列で連結している複雑な高分子構造を形成している。その高分子錯体は水に不溶であるが、有機溶媒には可溶である。
【0085】
用語“脂質構築物”は、球形の脂質および/または燐脂質粒子を指し、この中の個々の脂質分子が協調して相互作用することで二極性脂質膜が生じ、その膜が媒体(この中で前記膜が形成される)の一部を封じ込めかつ孤立させる。
【0086】
用語“両親媒性脂質分子”は、極性末端部と非極性末端部を有する脂質分子を意味する。
【0087】
用語“伸張両親媒性脂質”は、それが脂質構造物の一部である時に前記脂質構造物からこの構造物を取り巻く媒体の中に伸びそして受容体と結合または相互作用し得る構造を有する両親媒性分子を意味する。
【0088】
“錯化剤”は、選択した金属橋かけ剤と一緒に高分子錯体を形成する化合物、例えばクロム、ジルコニウムなどの塩であり、これは当該高分子錯体が実質的に水に不溶でありかつ有機溶媒に可溶であると言った高分子特性を示す。
【0089】
“水性媒体”は、水、または緩衝剤または塩が入っている水を意味する。
【0090】
“実質的に可溶”は、結果としてもたらされる高分子クロム標的分子錯体または他の金属標的錯体(これらは錯化剤から生じさせた組成物の中で結晶性または非晶質であり得る
)などの如き材料が室温の水に不溶であると言った特性を示すことを意味する。そのような高分子錯体またはそれの解離形態が脂質構築物マトリクスと合併すると、インターフェロンを温血宿主の肝臓の中の肝細胞に運んで送達する機能を果たす輸送剤が形成される。
【0091】
用語“と合併”を用いる場合、これは言及する材料が当該脂質構築物マトリクスの表面の中または表面上またはその中に取り込まれることを意味する。
【0092】
用語“遊離”を用いる場合、これは、言及する材料が溶液中に存在していて当該脂質構築物とも標的分子錯体とも合併していないことを意味する。
【0093】
用語“インターフェロン”は、天然もしくは組換え形態のインターフェロンを指し、それには、アルファ、ベータ、ガンマおよび他の形態のインターフェロン、PEGインターフェロンおよび上述したインターフェロンの誘導体が含まれる。インターフェロンの例には、これらに限定するものでないが、インターフェロン−アルファ,インターフェロン−アルファ−1a,PEG化インターフェロン−アルファ−1a,インターフェロン−アルファ−n1,インターフェロン−アルファ−2a,インターフェロン−アルファ−2b,インターフェロン−アルファ−n3,インターフェロン−アルファコン−1,インターフェロン n−3,PEGインターフェロン−アルファ2a,PEGインターフェロン−アルファ2b,インターフェロンベータ;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンベータ−1b,インターフェロンガンマ;インターフェロンガンマ−1a;インターフェロンガンマ−1b,PEG化インターフェロンベータ−1a,PEG化インターフェロンベータ−1b,これらの誘導体,および前記インターフェロンのいずれかの組み合わせが含まれる。
【0094】
用語“誘導体”は、同様な化合物から生じた化合物、別の化合物から生じたと想像することができる化合物(1つの原子が別の原子または別の群の原子に置き換わっている場合)、または挙げた化合物から少なくとも理論的に生じる可能性のある化合物を指す。
【0095】
用語“平衡”は、遊離有効成分が当該脂質構築物と合併する速度が当該脂質構築物と合併した有効成分が当該脂質構築物から解離して遊離有効成分になる速度とほぼ等しい状態を指す。
【0096】
用語“生物学的利用能”は、インターフェロンまたは別の抗ウイルス性化合物が全身循環に到達して作用部位で利用され得る速度および度合の尺度を指す。
【0097】
生物学的または化学的プロセスまたは状態“を改変”または“の改変”の用語を本明細書で用いる場合、これは、その生物学的または化学的プロセスの正常な過程を変化させるか或は前記生物学的または化学的プロセスの状態を変化させて現在の状態とは異なる新しい状態にすることを指す。例えば、ポリペプチドが示す等電点の改変は、そのポリペプチドが示す等電点を高くする変化を伴い得る。別法として、ポリペプチドが示す等電点の改変は、ポリペプチドが示す等電点を低くする変化を伴い得る。
【0098】
“HDV”または“肝細胞送達用媒体”は、金属橋かけ剤と錯化剤の組み合わせで作られたある構造を有する多数の連結した個々の単位を含有する脂質構築物マトリクスを含んで成る水に不溶な標的分子錯体である。“HDV”はWO99/59545,Targeted Liposomal Drug送達Systemに記述されている。
【0099】
“統計学的構造物”は、1つの脂質構築物から別の脂質構築物に移行し得る分子で構成されている構造物を指し、その構造物は、ガウス分布で表され得る複数の粒径で存在する。
【0100】
“多座結合”は、当該脂質構築物内の多数の結合部位、例えば酢酸水素フタル酸セルロース、燐脂質およびインターフェロンなどを利用する化学的結合プロセスである。そのような結合部位によって水素結合、イオン−双極子および双極子−双極子相互作用が助長され、その場合、個々の分子が協力して働くことで非共有結合を形成し、それが2個以上の分子を結合または連結させる働きをする。
【0101】
“治療”を本明細書で用いる場合、これは患者がかかっている病気、疾患または不利な状態などの症状の頻度を低下させることを意味する。
【0102】
本明細書で用いる如き用語“製薬学的に受け入れられる担体”は、当該有効成分と組み合わせ可能でありかつ組み合わせた後に前記有効成分を被験体に投与する時に使用可能な化学的組成物を意味する。
【0103】
本明細書で用いる如き用語“生理学的に受け入れられる”は、当該生成物を投与すべき被験体にとってその材料が有害ではないことを意味する。
【0104】
発明の説明−組成物
インターフェロンと両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質を含んで成るインターフェロン結合脂質構築物の図を図1に示す。前記伸張両親媒性脂質(また受容体結合分子としても認識する)は、近位、中位および遠位部分を含有して成り、ここで、前記近位部分が前記伸張脂質を当該構築物と連結させており、前記遠位部分が当該構築物を肝臓の中の肝細胞結合受容体と連結させ、そして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分をつなげている。適切な両親媒性脂質は、一般に、極性頭基と非極性尾基を含有して成っていて、それらが互いにグリセロール−バックボーンを通して結合している。
【0105】
適切な両親媒性脂質には、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン,1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン,コレステロール,コレステロールオレエート,ジセチルホスフェート,1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスフェート,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスフェート,1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスフェート,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(Cap ビオチニル),1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル),1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)](ナトリウム塩),2,3−ジアセトキシプロピル 2−(5−((3aS,6aR)−2−オキソヘキサヒドロ−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−4−イル)ペンタンアミド)エチル燐酸トリエチルアンモニウムおよび前記脂質または前記脂質の適切な誘導体のいずれかの混合物が含まれ、それらを表1に示す。
【0106】
【表2】
【0107】
1つの態様における両親媒性脂質には、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン,コレステロール,ジセチルホスフェート,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(Cap ビオチニル);1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3− ホスホエタノールアミン,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル),1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)](ナトリウム塩)、2,3−ジアセトキシプロピル 2−(5−((3aS,6aR)−2−オキソヘキサヒドロ−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−4−イル)ペンタンアミド)エチル燐酸トリエチルアンモニウムおよび前記脂質のいずれかの混合物が含まれる。
【0108】
前記伸張両親媒性脂質(また受容体結合分子としても認識)は、近位、中位および遠位部分を含んで成る。前記近位部分が前記伸張脂質を当該構築物と連結させており、そして前記遠位部分が当該構築物を肝臓の中の肝細胞結合受容体と連結させる。前記近位部分と遠位部分は中位部分を通して連結している。いろいろな受容体結合分子の組成を以下に記述する。脂質構築物を肝細胞の中の受容体と結合させる目的で、以下に示す群の中の1つ以上から生じさせた肝細胞受容体結合分子を前記脂質構築物の中に存在させることができ
る。
【0109】
1つの群の肝細胞受容体結合分子は末端のビオチンもしくはイミノビオチン部分ばかりでなくこれらの誘導体を含んで成る。ビオチン,イミノビオチン,カルボキシビオチンおよびビオシチンの構造式を表 2に示す。
【0110】
【表3】
【0111】
これらの分子をいろいろな技術を用いて燐脂質分子と結合させることで、脂質構築物の中に挿入することが可能な脂質つなぎ止め分子を生じさせることができる。そのような肝細胞受容体結合分子は、当該脂質構築物の近位に位置するつなぎ止め部分を含んで成る。そのつなぎ止め部分は2本の親油性炭化水素鎖を含有して成り、それらは当該脂質構築物の中の他の親油性炭化水素鎖または燐脂質分子と合併または結合し得る。
【0112】
好適な態様における2番目の群の肝細胞受容体結合分子は、当該脂質構築物から遠位に位置する末端のビオチンもしくはイミノビオチン部分を含んで成る。ビオチンおよびイミノビオチンは両方ともが中程度に親油性の二環式環構造を含有し、それはその二環式環上の4−炭素位の所で5炭素吉草酸鎖と結合している。1つの態様では、L−リシンであるアミノ酸を吉草酸のC−末端カルボキシル官能基と共有結合させることができるが、それは、吉草酸が有するカルボキシル基をL−リシンのN−末端α−アミノ基またはε−アミ
ノ基のいずれかと反応させることで実施可能である。そのような連成反応をカルボジイミド接合方法を用いて実施し、その結果として、図2に示すように、L−リシンとビオチンの間にアミド結合を生じさせる。
【0113】
3番目の群の肝細胞受容体結合分子にはイミノビオチン,カルボキシビオチンおよびビオシチンが含まれ、その場合には、吉草酸の側鎖をアミノ酸であるL−リシンのα−アミノ基またはε−アミノ基のいずれかとアミド結合で結合させる。好適な態様では、図3に示すように、イミノビオシチン部分を生じさせる時にイミノビオチンを用いる。図4に示すように、肝細胞受容体結合分子合成中にイミノビオシチンのα−アミノ基を活性エステルであるベンゾイルチオアセチルトリグリシンスルホ−N−ヒドロキシスクシニミド(BTA−3gly−スルホ−NHS)と反応させることで活性肝細胞結合分子(BTA−3gly−イミノビオシチン)を生じさせることができる。BTA−3gly−イミノビオシチンは、最終的に次の連成反応で使用可能な活性求核性スルフヒドラール官能基を発現する分子スペーサーとして機能する。そのスペーサーは当該脂質構築物に関して中位に位置し、末端のイミノビオシチン部分が前記脂質構築物の表面から約30オングストローム伸びることを可能にし、それによってイミノビオシチンの配向が最適になりかつ制限されなくなることで、肝細胞受容体と結合することが可能になる。そのような中位スペーサーには、末端のビオチン部分が示す立体化学的配向を補正する他の誘導体も含まれ得る。その中位スペーサーの主機能は、近位部分と遠位部分を線形配列で適切に共有結合させる機能である。
【0114】
前記肝細胞受容体結合分子のBTA−3gly−スルホ−NHS部分の合成はいろいろな手段を用いて実施可能であり、次の段階で、それらをビオシチンまたはイミノビオシチンと結合させることができる。最初の段階は、塩化ベンゾイルをチオ酢酸に求核付加で付加させて活性チオ官能性用の保護基を生じさせることを包含する。その反応の生成物は図5に示すようにベンゾイルチオ酢酸錯体と塩酸である。その合成の追加的段階は、図5に示すように、ベンゾイルチオ酢酸とスルホ−N−ヒドロキシスクシニミドの反応をジシクロヘキシルカルボジイミドまたは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを連成剤として用いて起こさせることでベンゾイルチオアセチルスルホ−N−ヒドロキシスクシニミド(BTA−スルホ−NHS)を生じさせることを伴う。次に、ベンゾイルチオアセチルスルホ−N−ヒドロキシスクシニミドをアミノ酸重合体(グリシン−グリシン−グリシン)と反応させる。図5に示すように、トリグリシンのα−アミノ基による求核攻撃によってベンゾイルチオアセチルトリグリシン(BTA−3gly)が生じると同時に、スルホ−N−ヒドロキシスクシニミド脱離基が水性媒体に溶解する。図6に示すように、ベンゾイルチオアセチルトリグリシンを再びジシクロヘキシルカルボジイミドまたは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドと反応させることでスルホ−N−ヒドロキシスクシニミドとのエステル結合を生じさせる。次に、その活性化されたベンゾイルチオアセチルトリグリシン(BTA−3gly−スルホ−NHS)のスルホ−N−ヒドロキシスクシニミドエステルをビオシチンまたはイミノビオシチンのL−リシン官能性のα−アミノ基と反応させることで肝細胞受容体結合部分、即ち図7に示すベンゾイルチオアセチルトリグリシンイミノビオシチン(BTA−3gly−イミノビオシチン)の伸張両親媒性脂質分子を生じさせる。
【0115】
肝細胞受容体結合分子を合成する時の2番目の主要な連成反応を説明するが、この反応では、ベンゾイルチオアセチルトリグリシンイミノビオシチンをチオエーテル結合を通してN−パラ−マレイミドフェニルブチレートホスファチジルエタノールアミン、即ち好適な燐脂質つなぎ止め分子と共有結合させる。その反応の結果として、末端のイミノビオシチン環と脂質構築物の間の正確な分子空間が分子中にもたらされる。伸張両親媒性脂質分子として機能する肝細胞受容体結合分子を生じさせるに適した反応スキームの全体を図8に示す。ベンゾイルチオアセチルトリグリシンイミノビオシチンとN−パラ−マレイミド
フェニルブチレートホスファチジルエタノールアミンを反応させてチオエーテル結合を生じさせる前に加熱を実施してベンゾイル保護基を除去しておくことで遊離のスルフヒドラール官能性を露出させる。この反応を前記スルフヒドラールが酸化されてジスルフィドになる度合が最小限になるように酸素の無い環境下で実施すべきである。さらなる酸化が起こるとスルホン、スルホキサイド、スルフェン酸またはスルホン酸誘導体が生じる可能性がある。
【0116】
1つの態様における前記分子のつなぎ止め部分は、この分子の脂質部分を構成する1対のアシル炭化水素鎖を含有する。前記分子のその部分は当該脂質構築物の脂質領域の中で非共有結合している。1つの態様では、N−パラ−マレイミドフェニルブチレートホスファチジルエタノールアミンを用いてつなぎ止め部分を生じさせる。他のつなぎ止め分子を用いることも可能である。1つの態様におけるつなぎ止め分子には、チオ−コレステロール,コレステロールオレエート,ジセチルホスフェート;1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル),1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)](ナトリウム塩)およびこれらの混合物が含まれ得る。完全に生じさせた脂質つなぎ止めおよび肝細胞受容体結合分子(LA−HRBMと表示する)の分子構造全体を図8に示す。
【0117】
4番目の群の肝細胞受容体結合分子には、水溶性部分と水に不溶な部分の両方を有する両親媒性有機分子が含まれる。その水に不溶な部分を中位または連結部分と配位または生体接合化学反応で反応させると同時に、前記水に不溶な部分が肝臓の中の肝細胞結合受容体と結合するようにする。そのような分子は、非極性誘導体化ベンゼン環構造、例えば2,6−ジイソプロピルベンゼン誘導体などまたは親油性複素二環式環構造のいずれかで構成されている遠位成分を含有する。その肝細胞受容体結合分子は全体として固定または過渡的電荷(正または負のいずれか)またはそれらのいろいろな組み合わせを有する。そのような分子は、遠位部分の末端部から約13.5オングストロームに相当するか或はそれ未満であるがそれ以上ではない所に位置するカルボニル基を少なくとも1個含有しかつ第二級アミンとカルボニル基を含有するカルバモイル部分を少なくとも1個含有する。カルバモイル部分を1個以上存在させると有機分子の分子安定性が向上する。そのような分子の中に第二級アミンを多数存在させることも可能である。そのような第二級アミンは1対の非共有電子を含有することで、当該構築物の中の他の分子とイオン−双極子および双極子−双極子結合相互作用を起こし得る。そのようなアミンは分子安定性を向上させかつ遠位部分と相互作用する負電荷をある程度生じさせることで、肝細胞受容体との結合および特異性を向上させる。この群の受容体結合分子の例は、ポリクロム−ポリ(ビス)−[N−(2,6−(ジイソプロピルフェニル)カルバモイルメチル)イミノジ酢酸]である。1つの態様では、クロムIIIを肝細胞受容体結合分子の中位に位置させる。そのような肝細胞特異的結合分子の近位部分は、その分子を当該脂質構築物の中に挿入させた後にそれの中で結合させることを可能にする疎水性および/または非極性構造を含有する。その中位および近位部分によって、また、肝細胞受容体結合分子の遠位部分の立体化学配向も補正される。
【0118】
本脂質構築物の構造および特性は当該脂質の構造および脂質間の相互作用に支配される。前記脂質の構造は主に共有結合で支配される。共有結合は本脂質構築物の個々の成分を構成する分子の構造的一体性を保持するに必要な分子結合力である。本脂質構築物は脂質間の非共有相互作用によって三次元形態に維持される。
【0119】
非共有結合は、一般的意味で、イオン−双極子または誘発されたイオン−双極子結合、および脂質の頭部に位置するいろいろな極性基と会合している水素結合で表され得る。疎水結合およびファンデルワールス相互作用は、脂質のアシル鎖の間の誘発された双極子会
合によって生じ得る。そのような結合機構は現実に過渡的であり、その結果として、結合形成と結合破壊過程がフェムト秒未満の間隔で起こる。例えばファンデルワールス相互作用は、双極子モーメントが一時的に変化することでもたらされ、それは、1つの原子または分子が有する軌道の電子が1つの側に短時間シフトすることで生じ、それによって、隣接する原子または分子にも同様なシフトが生じる。プロトンはδ+電荷を取りそして単一の電子はδ−電荷を取ることで、双極子が生じる。双極子相互作用は、両親媒性脂質分子が有する炭化水素アシル鎖の間で大きな頻度で起こる。個々の双極子が生じた後、それらはメチレン(−CH2−)官能性を含有する近隣原子の中に新しい双極子の形成を一時的に誘発する。多数の過渡的に誘発された双極子相互作用が本脂質構築物全体に渡ってアシル脂質鎖の間に生じる。そのように誘発された双極子相互作用が持続する時間はフェムト秒(1x10−15秒)の何分かの1のみであるが、官能性が集合的に働くと強力な力を及ぼす。そのような相互作用は絶えず変化しかつそれの力は共有結合の約1/20である。それにも拘らず、それらは安定な共有結合分子間の過渡的結合に責任を負っており、それによって、本構築物の三次元統計学的構造が決まりかつ本脂質構築物の中の分子の立体特異的分子配向が決まる。
【0120】
そのように誘発された双極子相互作用の結果として構築物間で脂質成分の交換が起こることで、本脂質構築物の構造が維持される。本構築物の個々の成分の組成は固定されているが、脂質構築物の個々の成分は構築物間の交換反応を受ける。そのような交換は、最初、脂質成分が脂質構築物から離れる時のゼロ次速度過程で支配される。その脂質成分が本脂質構築物から放出された後、それは近隣の脂質構築物によって再捕捉され得る。その放出された成分の再捕捉は二次反応速度過程で支配され、それは、その放出された成分がこの成分を捕捉する構築物の回りに存在する水性媒体中で示す濃度およびその放出された成分を捕捉する脂質構築物の濃度の影響を受ける。
【0121】
伸張両親媒性脂質の例は下記であり、それらを表 3に示す個々の番号の識別と一緒に示す:N−ヒドロキシスクシニミド(NHS)ビオチン[1];スルホ−NHS−ビオチン[2];N−ヒドロキシスクシニミド長鎖ビオチン[3],スルホ−N−ヒドロキシスクシニミド長鎖ビオチン[4];D−ビオチン[5];ビオシチン[6];スルホ−N−ヒドロキシスクシニミド−S−S−ビオチン[7];ビオチン−BMCC[8];ビオチン−HPDP[9];ヨードアセチル−LC−ビオチン[10];ビオチン−ヒドラジド[11];ビオチン−LC−ヒドラジド[12];ビオシチンヒドラジド[13];ビオチンカダベリン[14];カルボキシビオチン[15];フォトビオチン[16];ρ−アミノベンゾイルビオシチンのトリフルオロ酢酸塩[17];ρ−ジアゾベンゾイルビオシチン[18];ビオチン DHPE[19];ビオチン−X−DHPE[20];12−((ビオチニル)アミノ)ドデカン酸[21];12−((ビオチニル)アミノ)ドデカン酸 スクシニミジル エステル[22];S−ビオチニル ホモシステイン[23];ビオシチンX[24];ビオシチン x−ヒドラジド[25];ビオチンエチレンジアミン[26];ビオチン−XL[27];ビオチン−X−エチレンジアミン[28];ビオチン−XX−ヒドラジド[29];ビオチン−XX−SE[30];ビオチン−XX,SSE[31];ビオチン−X−カダベリン[32];α−(t−BOC)ビオシチン[33];N−(ビオチニル)−N’−(ヨードアセチル)エチレンジアミン[34];DNP−X−ビオシチンX−SE[35];ビオチン−X−ヒドラジド[36];塩酸ノルビオチンアミン[37];3−(N−マレイミジルプロピオニル)ビオシチン[38];ARP[39];ビオチン−l−スルホキサイド[40];ビオチンのメチルエステル[41];ビオチン−マレイミド[42];ビオチン−ポリ(エチレングリコール)アミン[43];(+)ビオチン 4−アミノ安息香酸ナトリウム塩[44];ビオチン 2−N−アセチルアミノ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド[45];ビオチン−α−D−N−アセチルニューラミニド[46];ビオチン−α−L−フコシド[47];ビオチン ラクト−N−ビオシド[48];ビオチン−ルイス−A 三糖[49];ビオチ
ン−ルイス−Y 四糖[50];ビオチン−α−D−マンノピラノシド[51];ビオチン 6−O−ホスホ−α−D−マンノピラノシド[52];and ポリクロム−ポリ(ビス)−[N−(2,6−(ジイソプロピルフェニル)カルバモイル メチル)イミノ]ジ酢酸[53]。
【0122】
1つの態様では、酢酸水素フタル酸セルロース重合体を本脂質構築物の中に取り込ませて、それをインターフェロン分子上の親水性官能基と結合させることでインターフェロンを加水分解による劣化から保護することができる。酢酸水素フタル酸セルロースは、重合体配置でベータ結合(1→4)しているグルコース分子を2個含有して成り、その重合体が有するヒドロキシル基上の水素原子の数個がアセチル官能性に置き換わっている(メチル基がカルボニルの炭素と結合している)か或はフタレート基(ベンゼン環がベンゼン環の1番目および2番目の位置の所に2個のカルボキシル基を有することで表される)に置き換わっている。酢酸水素フタル酸セルロース重合体の構造式を図9に示す。酢酸セルロース分子との共有エステル結合に関与しているカルボキシル基はフタレート環構造に存在するカルボキシル基の中の1個のみである。もう一方のカルボキシル基(カルボニルの炭素とヒドロキシル官能性を含有する)はインターフェロン上に存在していて隣接して位置する負帯電および正帯電双極子およびいろいろな脂質分子との水素結合に参与している。
【0123】
1つの態様において、酢酸水素フタル酸セルロース重合体は1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンホスフェートおよびジセチルホスフェート分子とのイオン−双極子結合を通して脂質と相互作用する。そのようなイオン−双極子結合は、セルロースが有するヒドロキシル基上のδ+水素と燐脂質分子が有するホスフェート部分上の負に帯電している酸素原子の間に生じる。そのようなイオン−双極子相互作用で最も大きな役割を果たす官能基は、燐脂質分子が有するホスフェート基上の負に帯電している酸素原子、インターフェロン分子が有するヒドロキシル基上の水素原子およびアミド結合上の水素原子である。負に帯電している官能基はイオン−双極子相互作用の部位および酢酸水素フタル酸セルロース上の個々のヒドロキシル基およびカルボキシル官能性のヒドロキシル基上のδ+水素原子との反応部位を形成する。イオン−双極子は、ホスホコリン官能上の正に帯電している第四級アミンと酢酸水素フタル酸セルロースおよびインターフェロン上に存在するδ−カルボニル酸素の間にも生じ得る。インターフェロンの中の分枝親水性構造を有する糖分子は水素結合およびイオン−双極子相互作用に参与し得る。
【0124】
【表4】
【0125】
【表5】
【0126】
【表6】
【0127】
【表7】
【0128】
【表8】
【0129】
【表9】
【0130】
【表10】
【0131】
【表11】
【0132】
【表12】
【0133】
【表13】
【0134】
【表14】
【0135】
【表15】
【0136】
【表16】
【0137】
【表17】
【0138】
【表18】
【0139】
【表19】
【0140】
【表20】
【0141】
【表21】
【0142】
【表22】
【0143】
重合体の分子形態および大きさ(適切な分子量は15,000以上である)によって、酢酸水素フタル酸セルロースは親水性頭基領域の中で本脂質構築物の個々の燐脂質分子を
覆うことができる。そのような被覆によって、本脂質構築物の中のインターフェロンが胃の酸性環境から保護される。酢酸水素フタル酸セルロースを本脂質構築物の中の分子の表面と結合させることを可能にする方法はいくつか存在する。酢酸水素フタル酸セルロースを本脂質構築物の表面と結合させる好適な手段は、インターフェロン分子の尾に高分子量セルロース種を結合させることで本脂質構築物の表面から突き出る糖を与える手段である。それによってインターフェロンの蛋白質系尾が酵素による加水分解から保護される。
【0144】
伸張両親媒性脂質は、受容体と結合するに適したいろいろな多座結合部位を含んで成る。多座結合を起こさせるには、本明細書で定義するように、酢酸水素フタル酸セルロース重合体が有するカルボニル、カルボキシルおよびヒドロキシル官能基と相互作用し得る多数の可能な結合部位をインターフェロンの表面におよび付随する糖部分上ばかりでなく本脂質構築物上にも存在させる必要がある。それによって、酢酸水素フタル酸セルロース重合体が本脂質構築物上ばかりでなくまたインターフェロン分子上にも存在する多数の親水性領域と結合することが可能になり、それによって、本親水性構築物の加水分解保護遮蔽が確立される。このようにして、インターフェロンおよび本脂質構築物の両方がインターフェロン投薬形態物を経口投与した後に胃の酸性環境から保護される。酢酸水素フタル酸セルロースは本脂質構築物の中および表面に存在する個々の脂質分子を覆うか或は遮蔽すると同時に胃を通過するが、それでも、本構築物が小腸のアルカリ性領域にまで移行すると、酢酸水素フタル酸セルロースは加水分解によって分解する。酢酸水素フタル酸セルロースが本脂質構築物の分子の表面から取り除かれた後、脂質つなぎ止め−肝細胞受容体結合分子、例えば1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(Cap ビオチニル)などが露出して、次に受容体との結合で利用されるようになる。インターフェロンのより高い生物学的利用能の達成を確保するには、そのように酢酸水素フタル酸セルロースでインターフェロンおよび本脂質構築物を覆う態様が必要である。
【0145】
1つの態様における本脂質構築物は、橋かけ成分と錯化剤が錯体を形成することで生じた多数の連結した個々の単位を含んで成る標的分子錯体を含んで成る。そのような橋かけ成分は、錯化剤と一緒に水に不溶な配位錯体を形成し得る金属の水溶性塩である。適切な金属を遷移金属および内部遷移金属または遷移金属の同胞から選択する。そのような金属を選択する源の遷移金属および内部遷移金属は下記である:Sc(スカンジウム),Y(イットリウム),La(ランタン),Ac(アクチニウム),アクチニド系列;Ti(チタン),Zr(ジルコニウム),Hf(ハフニウム),V(バナジウム),Nb(ニオブ),Ta(タンタル),Cr(クロム),Mo(モリブデン),W(タングステン),Mn(マンガン),Tc(テクネチウム),Re(レニウム),Fe(鉄),Co(コバルト),Ni(ニッケル),Ru(ルテニウム),Rh(ロジウム),Pd(パラジウム),Os(オスミウム),Ir(イリジウム)およびPt(白金)。そのような金属を選択することが可能な源の遷移金属同胞は下記である:Cu(銅),Ag(銀),Au(金),Zn(亜鉛),Cd(カドミウム),Hg(水銀),Al(アルミニウム),Ga(ガリウム),In(インジウム),Tl(タリウム),Ge(ゲルマニウム),Sn(錫),Pb(鉛),Sb(アンチモン)およびBi(ビスマス)および Po(ポロニウム)。橋かけ剤として有用な金属化合物の例には、塩化クロム(III)六水化物;フッ化クロム(III)四水化物;臭化クロム(III)六水化物;クエン酸ジルコニウム(IV)アンモニウム錯体;塩化ジルコニウム(IV);フッ化ジルコニウム(IV)水化物;ヨウ化ジルコニウム(IV);臭化モリブデン(III);塩化モリブデン(III);硫化モリブデン(IV);水化鉄(III);燐酸鉄(III)四水化物,硫酸鉄(III)五水化物などが含まれる。
【0146】
そのような錯化剤は、橋かけ成分と一緒に水に不溶な配位錯体を形成し得る化合物である。適切な錯化剤の系列はいくつか存在する。
【0147】
ある種の錯化剤は式(1)
【化1】
[式中、
R1は、低級アルキル,アリール,アリール低級アルキルおよび複素環式置換基である]で表されるイミノジ酢酸の系列から選択可能である。
【0148】
式(1)で表される適切な化合物には下記が含まれる:
N−(2,6−ジイソプロピルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(2,6−ジエチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(2,6−ジメチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(4−イソプロピルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(4−ブチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(2,3−ジメチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(2,4−ジメチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(2,5−ジメチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(3,4−ジメチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(3,5−ジメチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(3−ブチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(2−ブチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(4−第三ブチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(3−ブトキシフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(2−ヘキシルオキシフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(4−ヘキシルオキシフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
アミノピロール イミノジ酢酸;
N−(3−ブロモ−2,4,6−トリメチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
ベンゾイミダゾール メチル イミノジ酢酸;
N−(3−シアノ−4,5−ジメチル−2−ピリルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;N−(3−シアノ−4−メチル−5−ベンジル−2−ピリルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;および
N−(3−シアノ−4−メチル−2−ピリルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸、および式(2),
【0149】
【化2】
[式中、
R2およびR3は下記である:
R2 R3
H イソ−C4H9
H CH2CH2SCH3
H CH2C6H4−p−OH
CH3 CH3
CH3 イソ−C4H9
CH3 CH2CH2SCH3
CH3 C6H5
CH3 CH2C6H5
CH3 CH2C6H4−p−OCH3 ]
で表される他のN−(3−シアノ−4−メチル−2−ピリルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸誘導体。
【0150】
ある種の錯化剤を一般式(3)
【化3】
[式中、
R4,R5およびR6は、互いに独立して、水素,低級アルキル,アリール,アリール低級アルキル,アルコキシ低級アルキルおよび複素環であってもよい]
で表されるイミノ二酸誘導体の系列から選択する。
【0151】
式(3)で表される適切な化合物には、N’−(2−アセチルナフチル)イミノジ酢酸(NAIDA);N’−(2−ナフチルメチル)イミノジ酢酸(NMIDA);イミノジカルボキシメチル−2−ナフチルケトンフタレインコンプレクソン;3(3:7a:12a:トリヒドロキシ−24−ノルコラニル−23−イミノジ酢酸;ベンゾイミダゾールメチルイミノジ酢酸;およびN−(5,プレグネン−3−p−オール−2−オイルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸が含まれる。
【0152】
ある種の錯化剤を式(4),
【化4】
[式中、
R7は、アミノ酸側鎖であり、R8は低級アルキル,アリール,アリール低級アルキルであり、そしてR9はピリドキシリデンである]
で表されるアミノ酸の系列から選択する。
【0153】
式(4)で表される適切なアミノ酸は脂肪族アミノ酸であり、これには、これらに限定するものでないが、グリシン,アラニン,バリン,ロイシン,イソロイシン;ヒドロキシアミノ酸(セリンおよびトレオニンを包含);ジカルボキシルアミノ酸およびこれらのアミド(アスパラギン酸,アスパラギン,グルタミン酸,グルタミンを包含);塩基官能を有するアミノ酸(リシン,ヒドロキシリシン,ヒスチジン,アルギニンを包含);芳香族アミノ酸(フェニルアラニン,チロシン,トリプトファン,チロキシンを包含)および硫黄含有アミノ酸(シスチン,メチオニンを包含)が含まれる。
【0154】
ある種の錯化剤をアミノ酸誘導体から選択するが、それには、これらに必ずしも限定するものでないが、(3−アラニン−y−アミノ)酪酸,O−ジアゾアセチルセリン(アザセリン),ホモセリン,オルニチン,シトルリン,ペニシラミンおよびピリドキシリデンクラスの化合物の員が含まれ、それには、これらに限定するものでないが、グルタミン酸ピリドキシリデン;ピリドキシリデンイソロイシン;ピリドキシリデンフェニルアラニン;ピリドキシリデントリプトファン;ピリドキシリデン−5−メチルトリプトファン;ピリドキシリデン−5−ヒドロキシトリプタミン;およびピリドキシリデン−5−ブチルトリプタミンが含まれる。
【0155】
ある種の錯化剤を一般式(6),
【化5】
[式中、
R10は水素,低級アルキルまたはアリールであり;R11は低級アルキレンまたはアリール低級アルキルであり;R12 およびR13は独立して水素,低級アルキル,アルキル,アリール,アリール低級アルキル,アシル複素環,トルエン,スルホニルまたはトシレートである]
で表されるジアミンの系列から選択する。
【0156】
式(6)で表される数種の適切なジアミンには、これらに限定するものでないが、エチレンジアミン−N,N ジ酢酸;酢酸エチレンジアミン−N,N−ビス(−2−ヒドロキシ5−ブロモフェニル);N’−アセチルエチレンジアミン−N,N ジ酢酸;N’−ベンゾイル エチレンジアミン−N,N ジ酢酸;N’(p−トルエンスルホニル)エチレンジアミン−N,N ジ酢酸;N’−(p−t−ブチルベンゾイル)エチレンジアミン−N,N ジ酢酸;N’−(ベンゼンスルホニル)エチレンジアミン−N,N ジ酢酸;N’−(p−クロロベンゼンスルホニル)エチレンジアミン−N,N ジ酢酸;N’−(p
−エチルベンゼンスルホニル エチレンジアミン−N,N ジ酢酸;N’−アシルおよびN’−スルホニル エチレンジアミン−N,N ジ酢酸;N’−(p−n−プロピルベンゼンスルホニル)エチレンジアミン−N,N ジ酢酸;N’−(ナフタレン−2−スルホニル)エチレンジアミン−N,N ジ酢酸;および N’−(2,5−ジメチルベンゼンスルホニル)エチレンジアミン−N,N ジ酢酸が含まれる。
【0157】
他の適切な錯体形成化合物もしくは錯化剤には、これらに限定するものでないが、ペニシラミン;p−メルカプトイソ酪酸;ジヒドロチオクト酸;6−メルカプトプリン;ケトキサール−ビス(チオセミカルバゾン);肝胆汁性アミン錯体,1−ヒドラジノフタラジン(ヒドララジン);スルホニル尿素;肝胆汁性アミノ酸シッフ塩基錯体;グルタミン酸ピリドキシリデン;ピリドキシリデン イソロイシン;ピリドキシリデン フェニルアラニン;ピリドキシリデン トリプトファン;ピリドキシリデン 5−メチル トリプトファン;ピリドキシリデン−5−ヒドロキシトリプタミン;ピリドキシリデン−5−ブチルトリプタミン;テトラシクリン;7−カルボキシ−p−ヒドロキシキノリン;フェノールフタレイン;青みがかったエオシンI;黄色がかったエオシンI ;ベログラフィン;3−ヒドロキシル−4−ホルミル−ピリデングルタミン酸;アゾ置換イミノジ酢酸;肝胆汁性色素錯体、例えばローズベンガル;コンゴレッド;ブロモスルホフタレイン;ブロモフェノールブルー;トルイジンブルーおよびインドシアニングリーンなど;肝胆汁性コントラスト剤、例えばヨージパミド;およびイオグリカミン酸(ioglycamic acid);胆汁塩、例えばビリルビン;コルギシリオドヒスタミン(cholgycyliodohistamine);およびチロキシン;肝胆汁性チオ錯体、例えばペニシラミン;p−メルカプトイソ酪酸;ジヒドロチオシト酸(dihydrothiocytic
acid);6−メルカプトプリン;およびケトキサール−ビス(チオセミカルバゾン);肝胆汁性アミン錯体、例えば1−ヒドラジノフタラジン(ヒドララジン);およびスルホニル尿素;肝胆汁性アミノシッフ塩基錯体(ピリドキシリデン−5−ヒドロキシトリプタミンおよびピリドキシリデン−5−ブチルトリプタミンを包含);肝胆汁性蛋白質錯体、例えばプロタミン;フェリチン;およびアシアロ−オロソムコイド;およびアシアロ錯体、例えばラクトサミン化アルブミン;免疫グロブリン,G,IgG;およびヘモグロビンが含まれる。
【0158】
橋かけ剤と錯化剤を組み合わせることで生じさせた三次元標的分子錯体がWO 99/59545(これは引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。1つの態様における橋かけ剤は、錯化剤、例えばN−(2,6−ジイソプロピルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸などと一緒に配位錯体を形成し得る金属塩、例えば塩化クロム六水化物などである。そのような橋かけ剤と錯化剤を一緒にすることで三次元配列で連結した多数の単位で構成されている錯体を生じさせる。好適な態様では、そのような錯体をクロム(ビス)[N−(2,6−(ジイソプロピルフェニル)カルバモイルメチル)イミノジ酢酸]の多数の単位を一緒に連結させることで構成させる。1つの態様におけるクロム標的分子錯体物質は、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンとジセチルホスフェートとコレステロールを含有する脂質混合物に可溶である。そのような錯体をこの上に記述した群の脂質で構成させた脂質構築物の中に取り込ませる。
【0159】
1つの態様では、インターフェロンを適切な比率で抗ウイルス薬、例えばリビリビン、アシクロビル、二本鎖DNA、オリゴヌクレオチド、プロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤およびそれ自身は有効ではないがHDVに入れて送達した時に有効である他の可能な抗ウイルス剤と一緒に混合する。
【0160】
発明の説明−脂質構築物の製造方法
図11に、両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質とインターフェロンを含んで成る脂質構築
物を製造する方法の概略を示す。
【0161】
そのような組成物の製造は全体で下記の3段階を包含する:両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質の混合物を調製する段階、両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質の前記混合物から脂質構築物を調製する段階、およびインターフェロンを前記脂質構築物の中に組み入れる段階。
【0162】
脂質の製造および充填を本明細書に開示する方法および米国特許第4,946,787;4,603,044および5,104,661、およびそれらに引用されている文献に記述されている方法を用いて実施する。典型的には、本発明の水性脂質構築物配合物は、水溶液中に活性薬剤を0.1重量%から10重量%(即ち1ml当たり1−10mgの薬剤)および脂質を0.1重量%から4重量%含有して成り、場合により塩および緩衝液を100体積%になる量で含有していてもよい。好適な配合物は、活性薬剤含有量が0.1%から5%の配合物である。最も好適な配合物は活性薬剤が0.01重量%から5重量%および脂質成分が2重量%以下の量で100体積%になるに充分な量(q.s.)の水溶液に入っている配合物である。
【0163】
1つの態様では、本脂質構築物の調製を下記の手順を用いて実施する。個々の脂質成分を有機溶媒系中で一緒に混合するが、ここでは、その溶媒をこの溶媒に付随していくらか存在する可能性のある残存水を除去する目的でモレキュラーシーブを用いて約2時間乾燥させておいた。1つの態様では、そのような溶媒系にクロロホルムとメタノールが2:1の体積比の混合物を含めた。また、乾燥させた脂質の混合物から容易に除去可能な他の有機溶媒も使用可能である。最初の混合手順で脂質成分を単一段階で添加することを利用すると、脂質構築物の構造を不必要に複雑にする可能性がありかつ追加的分離手順を必要とする如何なる追加的連成反応も導入する必要がなくなる。その脂質成分と肝細胞受容体結合分子を溶媒に溶解させた後、その溶媒の除去を脂質の乾燥した混合物が生じるまで高真空下で実施する。1つの態様では、ロトエバポレーターを約60℃で約2時間ゆっくり回転させることでか或は本技術分野で公知の他の方法を用いて溶媒を真空下で除去する。その脂質混合物をさらなる使用の目的で貯蔵してもよいか或は直接用いることも可能である。
【0164】
本脂質構築物の調製を両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質の乾燥させた混合物を用いて実施する。その乾燥させた脂質混合物を適切な量の緩衝水溶液媒体に加えた後、その混合物を渦巻き撹拌することで均一な懸濁液を生じさせる。次に、その脂質混合物を乾燥窒素雰囲気下で混合しながら約80℃に約30分間加熱する。その加熱した均一な懸濁液を約70℃に前以て加熱しておいたミクロ流動装置(micro−fluidizer)に直ちに移す。その懸濁液をミクロ流動装置の中に通す。均一な脂質ミクロ懸濁液を得るには前記懸濁液を前記ミクロ流動装置に追加的に通す必要もあり得る。1つの態様では、Model #M−110 EHIミクロ流動装置を用い、ここでは、最初に通す時の圧力を約9,000psigにした。均一な脂質ミクロ懸濁液の特性を示す生成物を生じさせるには、前記脂質懸濁液を前記ミクロ流動装置に2回通す必要があるかもしれない。そのような生成物は肝細胞受容体結合分子を含有する三次元脂質構築物として構造的および形態的に限定されている。
【0165】
インターフェロンをそのような脂質構築物の中に下記の2方法の中の1つを用いて充填する:平衡充填および非平衡充填。インターフェロンの平衡充填は、インターフェロンを前記脂質構築物の懸濁液に添加した時点で始まる。時間が経過すると、インターフェロン分子が前記脂質構築物に出入りする。そのような動きは分配平衡に支配され、インターフェロンを最初に前記懸濁液に導入した後にインターフェロンが前記脂質構築物の中に入り込む。
【0166】
インターフェロンが前記脂質構築物の中に非平衡充填で入り込むことでインターフェロンが前記脂質構築物の中に局在化する。遊離インターフェロンが前記脂質構築物の中に入り込む平衡充填が起こった後に遊離インターフェロンが入っている多量相媒体を除去する。非平衡充填手順はベクトル推進プロセス(vector−driven process)であり、それは外部の多量相媒体を除去した瞬間に始まる。インターフェロンが入っている水相を除去するとインターフェロンが脂質構築物から移行して出て行く勾配ポテンシャル(gradient potential)がなくなる。このプロセス全体の結果として、最終的脂質構築物の中に存在するインターフェロンの濃度がより高くなる、と言うのは、インターフェロンが前記構築物の中から出て行く動きがなくなるからである。インターフェロンの平衡充填は時間に依存する現象であるが、非平衡充填手順は実際上瞬時である。溶液に入っている材料を脂質構築物から分離するいろいろな方法を用いて非平衡充填を開始させることができる。そのような方法の例には、これらに限定するものでないが、濾過、セントリコン(centricon)濾過、遠心分離、バッチ型アフィニティークロマトグラフィー、ストレプトアビジンアガロース親和性ゲルクロマトグラフィーまたはバッチ型イオン交換クロマトグラフィーが含まれる。インターフェロンが拡散して出て行く勾配ポテンシャルをなくさせかつインターフェロンが脂質構築物に保持されるようにする如何なる手段も使用可能である。
【0167】
バッチ型クロマトグラフィーを用いる場合、アフィニティーまたはイオン交換ゲルをインターフェロンと本構築物の混合物と急速混合する。そのクロマトグラフィーの媒体との結合が迅速に起こり、そしてその水相を傾斜法で除去するか或は古典的な濾過技術、例えば濾紙とブフナー漏斗の使用などで前記クロマトグラフィー用媒体を前記水性媒体から除去する。
【0168】
本脂質構築物は、この脂質構築物の内部ばかりでなくまたそれの表面の中および表面の上に存在する充填されたインターフェロンを個別の量で含有する。そのようにして生じさせた脂質構築物は新しい新規な組成物であり、非平衡充填の結果としてインターフェロンを有効量で送達するに適した組成物になる。インターフェロンをそのような脂質構築物の中に充填した後に多量相のインターフェロンを除去すると、結果として、外部相媒体の除去に要する時間が短くなることで、脂質構築物の中に存在するインターフェロンの濃度が高くなる。時間に依存する手順、例えばイオン交換またはゲル濾過クロマトグラフィーなどを用いたのでは構築物へのそのようなインターフェロン充填度合を達成するのは困難であると思われる、と言うのは、そのような手順ではインターフェロンが高濃度で入っている緩衝液を絶えず注入する必要があるからである。例えば、小規模のカラムクロマトグラフィーを用いてインターフェロンを構築物の中に充填しようとする場合、インターフェロンが入っている外部の多量相媒体をインターフェロンを含有する構築物から除去するに要する時間は約20分である。その期間の間にインターフェロンが前記構築物から出て行くことで平衡状態が再び確立される。インターフェロンが脂質構築物の中および上に高濃度で存在することが維持されることが、非平衡充填を用いる肯定的な利点の中の1つである。
【0169】
そのような非平衡充填方法を拡張した方法では、インターフェロンを脂質構築物に充填する段階中、インターフェロンに平衡充填を受けさせた後であるが非平衡充填過程を開始する前に酢酸水素フタル酸セルロースを脂質構築物に添加する。インターフェロン分子の性質および構造によってインターフェロンが脂質構築物の中に入り込んで、それが脂質構築物全体に渡って分散する。インターフェロンの親水性部分ばかりでなく分枝した複雑な糖および追加的官能基が脂質構築物の表面から多量相媒体の中に伸びる。そのようなインターフェロンの伸張親水性部分は、脂質構築物の表面の所で、図10に示す如き酢酸水素フタル酸セルロースが有するヒドロキシル基,カルボキシル基およびカルボニル官能との
水素結合、双極子−双極子およびイオン−双極子相互作用に参与し得る。酢酸水素フタル酸セルロースは、脂質構築物の分子を一緒にするユニークな手段を与えるものであり、それによって、当該脂質構築物の内容物を胃の消化環境から保護する優れた遮蔽が与えられる。胃の中で起こる消化過程は、酵素であるペプシンが蛋白質系基質を加水分解で開裂させるばかりでなく酸による加水分解によって開裂させる結果として起こる。そのような胃の酸性環境によって遊離インターフェロンが分解を起こしかつ燐脂質分子の中のアシル炭化水素鎖をグリセロールバックボーンに保持させているエステル結合が加水分解を起こし得る。加水分解による開裂はまたホスホコリン基が有するホスフェート官能性のいずれの側でも起こり得る。その消化系は胃の酸性領域から小腸のアルカリ性領域に移り、そこにはトリプシンおよびキモトリプシンの酵素作用が存在する。アミノ酸溶解酵素、例えばアルファアミノペプチダーゼなどによって蛋白質、例えばインターフェロンなどはN−末端から劣化を起こし得る。酢酸水素フタル酸セルロースを脂質構築物に存在させておくとインターフェロンが加水分解による劣化から保護される。小腸のアルカリ性環境によって脂質構築物を遮蔽している酢酸水素フタル酸セルロースが加水分解で劣化を起こすことから、肝細胞受容体結合分子が利用可能になることで当該構築物が肝細胞結合受容体と結合することができるようになる。如何なる特別な理論でも範囲を限定することを望むものでないが、非平衡充填が終了した時点で酢酸水素フタル酸セルロースを添加すると加水分解からの防護が相乗的に起こる。そのような防護はインターフェロンおよび個々の脂質分子に分配されるばかりでなくまた脂質構築物全体にも与えられる。そのような相乗性によって集合的ばかりでなく個々の分子が酵素および酸による加水分解から保護される。
【0170】
1つ態様では、いろいろな方法を用いて酢酸水素フタル酸セルロースをインターフェロンまたは脂質構築物のいずれかと共有結合させる。例えば、1つの方法は、酢酸水素フタル酸セルロースが有するヒドロキシル基を1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン上またはインターフェロン分子が有する10個のL−リシンのε−アミノ基上に存在するアミン官能性とマンニッヒ反応を利用して連成させることを伴う。
【0171】
1つの態様では、酢酸水素フタル酸セルロースを脂質構築物の中にインターフェロンを前記構築物の中に平衡充填している間に詰め込む。前記酢酸水素フタル酸セルロースが有するヒドロキシルおよびカルボニル官能性と脂質構築物の中の脂質分子が水素結合を形成する。酢酸水素フタル酸セルロースと前記構築物の間に水素結合が形成される時期はインターフェロンを平衡条件下で脂質構築物の中に充填している時期と同時であり、それによって、インターフェロンの回りおよび前記構築物の回りに遮蔽が作り出される。
【0172】
HDV インターフェロンをストレプトアビジン−アガロースイミノビオチンと結合させることを通して、それを水性媒体から回収して再利用する。ストレプトアビジンは臭化シアンで活性化されたアガロースと共有結合し、それによって、当該構築物へのインターフェロンの非平衡充填が終了した時点でイミノビオチンが基になった脂質構築物を水性媒体中のインターフェロンから分離する手段がもたらされる。1つの態様では、イミノビオチン誘導体を用いて当該脂質構築物の中の燐脂質部分の肝細胞受容体結合部分を生じさせる。その脂質つなぎ止め分子の水溶性部分は脂質表面から約30オングストローム伸び、それによって、燐脂質部分の肝細胞受容体結合部分と肝細胞受容体の結合が助長されかつ当該脂質構築物とストレプトアビジンの結合が助長される。
【0173】
ストレプトアビジンはイミノビオチンと9.5以上のpH値で可逆的に結合し、イミノビオチンが有する帯電してないグアンジノ官能基が蛋白質表面の下方約9オングストロームの所に位置するストレプトアビジン上の4個の結合部位の中の1つと強力に結合する。20mMの炭酸ナトリウム−重炭酸ナトリウム緩衝液を添加して前記構築物が入っている水性混合物のpHをpH9.5にまで上昇させることで、イミノビオチンを含有する脂質構築物を緩衝媒体から取り出す。そのようなpHにすると、多量相媒体の中に遊離インタ
ーフェロンが入り込み、それをいろいろな手順で脂質構築物から回収して分離するが、そのような手順には、これらに限定するものでないが、濾過、遠心分離またはクロマトグラフィーが含まれる。
【0174】
次に、pHが9.5の前記混合物をストレプトアビジン−アガロース架橋ビードと混合することで、前記構築物をストレプトアビジン上に吸着させる。前記ビード(直径が約120ミクロン)を濾過で前記溶液から分離する。20mMの酢酸ナトリウム−酢酸緩衝液(pH4.5)を添加してpHをpH9.5からpH4.5にまで低くすることで、脂質構築物をストレプトアビジン−アガロース親和性ゲルから放出させる。pHが4.5の時、図10に示すように、イミノビオチンのグアンジノ基はプロトン化して正に帯電する。脂質構築物が放出され、それを濾過でストレプトアビジン−アガロースビードから分離する。ストレプトアビジン−アガロースビードを回収して追加的に用いる。このように、遊離インターフェロンとストレプトアビジン−アガロースの両方を節約して再使用することができる。
【0175】
1つの態様では、イミノビオチンまたはイミノビオシチン脂質構築物にインターフェロン−アルファをストレプトアビジン−アガロースビードを用いて充填すると、インターフェロンを長時間に渡って放出する組成物がもたらされる。上述した構築物のpHをpH9.5からpH4.5に調整するとpHが約5.9になった時点でインターフェロン−アルファが前記脂質構築物の中で沈澱を起こす。インターフェロン−アルファの等電点はpH5.9であり、これはインターフェロン−アルファが水中で最も低い溶解度を示す時のpHに相当する。pHがpH5.9からpH6.7の範囲より高いと、インターフェロン−アルファは本質的に不溶のままでありかつ粒子状物質に共通した属性である特性を示す。脂質構築物の中でインターフェロン−アルファが不溶化することで、皮下注射または経口投与で投与された時にインターフェロン−アルファ分子を徐放する新規なインターフェロン−アルファ製剤がもたらされる。インターフェロン−アルファの可溶化は当該脂質構築物のpHがpH7.4に近づくと始まる。
【0176】
本脂質構築物を凍結乾燥させるか或は投与するまで非水性環境の中に保持する。水性投薬形態のインターフェロン−アルファの場合には、インターフェロン−アルファが不溶形態のままであるように、そのインターフェロン−アルファ溶液のpHを約pH6.5に維持する。インターフェロン−アルファが外部の生体内pH勾配にさらされると、インターフェロン−アルファが可溶化して当該脂質構築物から出て行くことで、インターフェロン−アルファがウイルスが潜んでいる他の組織に供給される。当該脂質構築物と一緒のままのインターフェロンは、肝臓の中の肝細胞上の肝細胞結合受容体に向かう能力を維持したままである。従って、そのような特別な脂質構築物を用いると2種類の形態のインターフェロン−アルファがもたらされる。生体内環境では、遊離インターフェロン−アルファおよび脂質と合併したインターフェロン−アルファが時間に依存した様式で生じる。この上に記述したようにして脂質と合併しているインターフェロン−アルファの可溶化物を製造することができ、それによってインターフェロンを指定放出時間の間に放出させることができると予測する。そのようにするとウイルスに感染している患者に投与する予定の頻度が少なくなる。
【0177】
好適な態様において、インターフェロン分子は当該脂質構築物の中に移動しそしてそれを詰め込む脂質構築物の脂質領域の中に隔離される。インターフェロン充填手順の最終段階中に化学的平衡が乱れた時でもインターフェロン分子が1つの方向に移動するようにする目的でベクトル推進方法を用いる。最終的インターフェロン充填段階中に緩衝剤または水性媒体が移動する速度は速いことから、当該脂質構築物と合併したインターフェロン分子は、それが入り込む外部の媒体から追いやられる。その外部の媒体を除去すると、前記脂質構築物と合併しているインターフェロンと前記外部の媒体に溶解しているインターフ
ェロンの間の平衡が効果的に壊れる。この過程を本明細書の他の場所で記述した如き非平衡充填と呼ぶ。
【0178】
1つの態様では、平衡方法を用いて脂質構築物にインターフェロンを充填する。そのような充填手順を開始させる目的で、蛋白質1ミクログラム当たりのインターフェロンが273,000単位のインターフェロン濃度を選択する。平衡充填を当該脂質構築物がインターフェロンで飽和状態になるまで継続する。
【0179】
脂質構築物へのインターフェロンの非平衡充填を終了する過程では、遊離インターフェロンが入っている緩衝媒体から固体状の脂質構築物を分離する手順を用いる必要がある。1つの態様では、当該脂質構築物を外部の媒体から分離する目的で、非常に微細な微小孔を有する合成膜を用いた濾過手順を用いる。別の態様では、100,000分子量カットオフ膜が備わっている適切なフィルター、例えばNanoSepフィルターなどが備わっている濾過遠心分離装置、例えばセントリコン装置などを用いて、当該脂質構築物を遊離インターフェロンが入っている緩衝媒体から取り出す。そのような脂質構築物に入っているインターフェロンの濃度は、合併したインターフェロンと前記構築物から除去した多量相媒体の中に入っている遊離インターフェロン分子とはもはや平衡状態ではないことから維持される。溶液に入っている遊離インターフェロンは他の脂質構築物の充填で使用可能である。このように、インターフェロンを脂質構築物の中に集中させるベクトル推進方法を本質的に時間に依存しない手順を用いて1段階で達成する。
【0180】
多量相媒体から単離した後の脂質構築物の大きさは直径で表して約0.0200ミクロンから0.4000ミクロンの範囲であり得る。脂質構築物の粒径は一般にガウス分布に従ういろいろな粒径を包含する。意図した薬理学的効力を達成するに必要な適切な脂質構築物サイズの選択では、脂質構築物の粒径が肝細胞結合受容体がガウス分布において示す粒径を包含するように選択することができる。
【0181】
インターフェロンと両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質を含んで成る脂質構築物の調製を、大きな脂質構築物をより小さな構築物に崩壊させる高いせん断力を与えるミクロ流動方法を用いて実施する。本脂質構築物に含有させる両親媒性脂質成分には、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン,コレステロール,ジセチルホスフェート,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(Cap ビオチニル),1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル),1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)](ナトリウム塩),2,3−ジアセトキシプロピル 2−(5−((3aS,6aR)−2−オキソヘキサヒドロ−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−4−イル)ペンタンアミド)エチル燐酸トリエチルアンモニウムおよびこれらの適切な誘導体が含まれ得、それらの代表的な構造を表 3に示す。
【0182】
1つの態様における構築物は、橋かけ成分と錯化剤の錯体形成で生じた多数の連結した個々の単位を含んで成る標的分子錯体を含んで成る。そのような標的分子錯体を、典型的には、選択した金属化合物、例えば塩化クロム(III)六水化物などと当該錯化剤の緩衝水溶液を一緒にすることで生じさせる。1つの態様では、当該錯化剤が入っている緩衝水溶液の調製を、錯化剤、例えばN−(2,6−ジイソプロピルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸などを緩衝水溶液、例えば10mMの酢酸ナトリウム緩衝液などの中に最終pHが3.2−3.3になるように溶解させることを通して実施する。前記金属化合物を当該錯化剤の不溶部分との錯体が生じるに充分な過剰量で加えて、反応を20℃から33℃の温度で24から96時間、または結果として生じた錯体が緩衝水溶液から析出するまで実施する。次に、その沈澱してきた錯化剤(これは重合体特性を示す)を単離し
て、将来用いる。前記錯体を両親媒性脂質分子と伸張両親媒性脂質の混合物に添加した後に脂質構築物の調製を実施する。
【0183】
発明の説明−使用方法
肝炎にかかっている患者に水に不溶な標的分子錯体と合併しているインターフェロンと遊離インターフェロンの混合物を含んで成る肝細胞標的組成物を有効量で投与する。1つの態様では、インターフェロンを抗ウイルス薬、例えばルビビリン、アシクロビル、二本鎖DNA、オリゴヌクレオチド、プロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤およびそれ自身は有効ではないがHDVに入れて送達した時に有効になり得る他の可能な抗ウイルス剤と適切な比率で混合する。1つの態様では、そのような組成物を皮下または経口経路で投与してもよい。
【0184】
前記組成物を患者に皮下注射で投与した後、その注射領域の中の生理学的pHのインシトゥ環境によってpHが上昇し、それによって遊離インターフェロンおよび水に不溶な標的分子錯体と合併しているインターフェロンが有する形態および化学的構造が影響を受ける。そのインターフェロンの回りの環境のpHが高くなると、脂質構築物の中に入っていてそれと結合しているインターフェロンが可溶形態に変化し、それによって循環系から肝臓に移動することが可能になる。
【0185】
標的分子錯体と合併しているインターフェロンを含んで成る製薬学的組成物を投与すると、その後、その標的分子錯体と合併しているインターフェロンが腸で吸収されて体の循環系の中に入り、それはまた血液の生理学的pHにもさらされる。前記脂質構築物が肝臓を標的にして送達される。1つの態様では、前記脂質構築物の中に酢酸水素フタル酸セルロースを存在させることで前記構築物を加水分解酵素から遮蔽する。その経口投与過程で前記遮蔽されている脂質構築物は口腔を通過し、胃の中を移行した後、小腸の中に移動し、その小腸のアルカリ性pHによってその遮蔽していた酢酸水素フタル酸セルロースが分解を起こす。その遮蔽が取り除かれた脂質構築物が吸収されて循環系の中に入り込む。それによって、前記脂質構築物は肝類洞の中に送達される。受容体結合分子、例えば1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(Cap ビオチニル)または上述した他の肝細胞特異的分子などは、前記脂質構築物が前記受容体と結合する手段を与え、そしてその後に肝細胞に飲み込まれるか或は取り込まれる。次に、インターフェロンが前記脂質構築物から放出され、細胞環境に入り込むことで、感染ウイルス、例えばA型肝炎,B型肝炎,C型肝炎,D型肝炎,E型肝炎,F型肝炎およびG型肝炎および他のウイルスなどに対抗する薬剤として作用することに関して考案した機能を果たす。
【0186】
本発明の脂質構築物の構造によって、インターフェロンを宿主に投与するための製薬学的用途に有用な薬剤がもたらされる。従って、本発明の構造物は製薬学的に受け入れられる担体と組み合わせた製薬学的組成物として用いるに有用である。本明細書に記述する構造物の投与は、投与する必要のあるインターフェロンに受け入れられる投与様式のいずれかを用いて実施可能である。そのような方法には経口,非経口,鼻および他の全身用もしくはエーロゾル形態が含まれる。
【0187】
投与するインターフェロンの量は、治療すべき被験体、病気の種類およびひどさ、投与様式および処方する医者の判断に依存するであろう。興味の持たれる特定の生物学的活性物質に有効な投薬量の範囲はいろいろな要因に依存しかつ一般に本分野の通常の技術者に公知であるが、いくつかの投薬指針は一般的に明記可能である。大部分の投薬形態物では、脂質成分を水溶液の中に入れて懸濁させるが、それの量を一般に製剤全体の4.0%(重量/体積)以下にする。そのような製剤の薬剤成分の量を最も高い可能性として当該製剤の一般に0.01%(重量/体積)以上から20%(重量/体積)未満にする。
【0188】
有効成分の含有量が0.005%から5%の範囲で残りを無毒の担体が構成している投薬形態物または組成物を生じさせることができる。
【0189】
そのような製剤に持たせる正確な組成は当該薬剤が示す個々の特性に応じて幅広く多様であり得る。しかしながら、有効成分の含有量を一般に効力が高い薬剤の場合には0.01%から5%、好適には0.05%から1%にしそして活性が中程度の薬剤の場合には2%−4%にする。
【0190】
そのような非経口組成物に入れる活性化合物のパーセントは高度にそれの特定の性質ばかりでなく当該化合物の活性および当該被験体の必要性に依存する。しかしながら、溶液の場合には有効成分を0.01%から5%のパーセントで用いることができ、そして当該組成物が固体の場合には、より高いパーセントにして、後で希釈してこの上に示したパーセントにする。そのような組成物の有効成分含有量を好適には溶液中0.2%−2.0%にする。
【0191】
本明細書に記述する製薬学的組成物の調剤の調製は薬理学技術で公知の方法または本明細書以降に開発されるであろう方法のいずれかを用いて実施可能である。そのような調製方法は、一般に、有効成分を担体または他の1種以上の材料と一緒にした後、必要または望まれる時には、その生成物の成形または包装を実施して所望の単一もしくは複数投薬単位にする段階を包含する。
【0192】
本明細書に示す製薬学的組成物の説明は原則として人に処方して投与するに適した製薬学的組成物に向けたものであるが、本分野の技術者は、そのような組成物は一般にあらゆる種類の動物に投与するに適することを理解するであろう。人に投与するに適した製薬学的組成物がいろいろな動物への投与に適するように前記組成物を改変することは充分に理解され、通常の技術を持つ獣医薬理学者は、単に通常(行うとしても)の実験を行うことでそのような改変を考案して実施することができるであろう。本発明の製薬学的組成物を投与することを意図する被験体には、これらに限定するものでないが、ヒトおよび他の霊長類、哺乳動物が含まれ、それには商業に関連した哺乳動物、例えばウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコおよびイヌなどが含まれる。
【0193】
本発明の方法で用いるに有用な製薬学的組成物の調製、包装または販売は経口、非経口、肺、鼻内、口腔または別の投与経路に適した製剤として実施可能である。
【0194】
本発明の製薬学的組成物の調製、包装または販売は大量、単位投薬物または複数の単位投薬物として実施可能である。本明細書で用いる“単位投薬物”は、有効成分を前以て決めておいた量で含んで成る個別量の製薬学的組成物である。有効成分の量は、一般に、被験体に投与されるであろう有効成分の投薬量に相当するか或はそのような投薬量の便利な一部、例えば前記投薬量の半分または1/3などに相当する。しかしながら、本発明に示す如き有効成分の送達量は通常投与される投薬量の約1/10,1/100または1/1,000以下であってもよい、と言うのは、本インターフェロン治療薬は標的に向かう性質を有するからである。
【0195】
本発明の製薬学的組成物に入れる有効成分と製薬学的に受け入れられる担体といずれかの追加的材料の相対量は、治療すべき被験体の同定、大きさおよび状態に応じかつ更に本組成物を投与する経路にも応じて多様である。例として、本組成物の有効成分含有量は0.1%から100%(重量/重量)であってもよい。
【0196】
経口投与に適した本発明の製薬学的組成物の製剤の調製、包装または販売は個別の固体
状投薬単位の形態で実施可能であり、そのような形態には、これらに限定するものでないが、錠剤、硬質もしくは軟質カプセル、カプセル、トローチまたはロゼンジが含まれ、それらの各々に有効成分を前以て決めた量で含有させる。経口投与に適した他の製剤には、これらに限定するものでないが、粉末または顆粒状の製剤、水性もしくは油性懸濁液、水性もしくは油性溶液または乳液が含まれる。
【0197】
本明細書で用いる如き“油性”液は、炭素含有液状分子が入っていて水に比べて低い極性を示す液である。
【0198】
有効成分を含んで成る錠剤の製造は、例えば有効成分を場合により1種以上の追加的材料と一緒に圧縮または成形することなどで実施可能である。圧縮錠剤の調製は、自由に流れる形態、例えば粉末または顆粒状製剤などの形態の有効成分を場合により結合剤、滑剤、賦形剤、表面活性剤および分散剤などの中の1種以上と一緒に混合しておいて適切な装置で圧縮することで実施可能である。成形錠剤の製造は、有効成分と製薬学的に受け入れられる担体の混合物とこの混合物を湿らせるに少なくとも充分な量の液体を適切な装置で成形することで実施可能である。錠剤を製造する時に用いる製薬学的に受け入れられる賦形剤には、これらに限定するものでないが、不活性な希釈剤、顆粒および崩壊剤、結合剤および滑剤が含まれる。公知の分散剤には、これらに限定するものでないが、ジャガイモ澱粉および澱粉グリコール酸ナトリウムが含まれる。公知の表面活性剤には、これらに限定するものでないが、ラウリル硫酸ナトリウムが含まれる。公知の希釈剤には、これらに限定するものでないが、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、微結晶性セルロース、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウムおよび燐酸ナトリウムが含まれる。公知の顆粒および崩壊剤には、これらに限定するものでないが、コーンスターチおよびアルギン酸が含まれる。公知の結合剤には、これらに限定するものでないが、ゼラチン、アカシア、前以てゼラチン状にしておいたトウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドンおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。公知の滑剤には、これらに限定するものでないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリカおよびタルクが含まれる。
【0199】
錠剤に被覆を受けさせなくてもよいか、或はそれらに公知方法を用いた被覆を受けさせることで被験体の胃腸管の中で起こる崩壊を遅らせることで有効成分の持続放出および吸収を達成することも可能である。例として、モノステアリルグリセリルまたはジステアリルグリセリルなどの如き材料を錠剤の被覆で用いてもよい。さらなる例として、錠剤に米国特許第4,256,108;4,160,452および4,265,874に記述されている方法を用いた被覆を受けさせることで放出が浸透圧的に制御される錠剤を生じさせることも可能である。更に、錠剤に甘味剤、風味剤、着色剤、防腐剤またはそれらの数種の組み合わせを含有させることで製薬学的に優雅で飲み易い製剤を生じさせることも可能である。
【0200】
有効成分を含んで成る硬質カプセルの製造は生理学的に分解し得る組成物、例えばゼラチンなどを用いて実施可能である。そのような硬質カプセルに有効成分を含有させかつ更に追加的材料を含有させることも可能であり、そのような追加的材料には、例えば不活性な固体状の希釈剤、例えば炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、カオリンまたは酢酸水素フタル酸セルロースなどが含まれる。
【0201】
有効成分を含んで成る軟質ゼラチン製カプセルの製造は生理学的に分解し得る組成物、例えばゼラチンなどを用いて実施可能である。そのような軟質カプセルに有効成分を含有させて、それを水または油媒体、例えば落花生油、液状パラフィンまたはオリーブ油などと混合してもよい。
【0202】
経口投与に適した本発明の製薬学的組成物の液状製剤の調製、包装および販売は液状形
態または使用前に水または別の適切な媒体を用いて再構成させることを意図する乾燥製品の形態で実施可能である。
【0203】
液状懸濁液の調製は、有効成分が水性もしくは油性媒体に入っている懸濁液を達成する通常方法を用いて実施可能である。水性媒体には、例えば水および等張性食塩水が含まれる。油性媒体には、例えばアーモンド油、油状エステル、エチルアルコール、植物油、例えば落花生、オリーブ、ゴマまたはヤシ油、分溜植物油など、および鉱油、例えば液状パラフィンなどが含まれる。液状懸濁液に更に1種以上の追加的材料を含有させることも可能であり、そのような材料には、これらに限定するものでないが、懸濁剤、分散もしくは湿潤剤、乳化剤、粘滑剤、防腐剤、緩衝剤、塩類、風味剤、着色剤および甘味剤が含まれる。油性懸濁液に更に増粘剤を入れることも可能である。公知の懸濁剤には、これらに限定するものでないが、ソルビトールシロップ、水添食用油、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、アカシアゴムおよびセルロース誘導体、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが含まれる。公知の分散もしくは湿潤剤には、これらに限定するものでないが、天然に存在するホスファチド、例えばレシチンなど、アルキレンオキサイドを脂肪酸、長鎖脂肪アルコール、脂肪酸とヘキシトールから生じさせた部分エステルまたは脂肪酸と無水ヘキシトールから生じさせた部分エステルと縮合させることで生じさせた生成物(例えば、それぞれポリオキシエチレンステアレート、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートおよびポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)が含まれる。公知の乳化剤には、これらに限定するものでないが、レシチンおよびアカシアが含まれる。公知の防腐剤には、これらに限定するものでないが、パラ−ヒドロキシ安息香酸メチル、エチルもしくはn−プロピル、アスコルビン酸およびソルビン酸が含まれる。公知甘味剤には、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、スクロースおよびサッカリンが含まれる。油性懸濁液用の公知増粘剤には、例えば蜜蝋、硬質パラフィンおよびセチルアルコールが含まれる。
【0204】
有効成分が水性もしくは油性溶媒に入っている液状溶液の調製は、液状懸濁液の調製と実質的に同じ様式で実施可能であるが、主な差は、有効成分が溶媒に懸濁するのではなく溶解する点である。本発明の製薬学的組成物の液状溶液は、液状懸濁液に関して記述した成分の各々を含有していてもよいが、有効成分を溶媒に溶解させる補助で必ずしも懸濁剤を用いる必要はないと理解する。水性溶媒には、例えば水および等張性食塩水が含まれる。油性溶媒には、例えばアーモンド油、油状エステル、エチルアルコール、植物油、例えば落花生、オリーブ、ゴマまたはヤシ油、分溜植物油など、および鉱油、例えば液状パラフィンなどが含まれる。
【0205】
本発明の製薬学的製剤の粉末および顆粒配合物の調製は公知方法を用いて実施可能である。そのような配合物を被験体に直接投与してもよいか、それを用いて例えば錠剤を成形するか、カプセルを満たすか、或はそれに水性もしくは油性媒体を添加することで水性もしくは油性の懸濁液または溶液を生じさせることも可能である。そのような配合物の各々に更に分散もしくは湿潤剤、懸濁剤および防腐剤の中の1種以上を含有させることも可能である。また、追加的賦形剤、例えば充填剤および甘味剤、風味剤または着色剤などをそのような配合物に含有させることも可能である。
【0206】
また、本発明の製薬学的組成物の調製、包装または販売を水中油エマルジョンまたは油中水エマルジョンの形態で実施することも可能である。その油相は植物油、例えばオリーブまたは落花生油など、鉱油、例えば液状パラフィンなど、またはそれらの組み合わせであってもよい。そのような組成物に更に1種以上の乳化剤、例えば天然に存在するゴム、例えばアカシアゴムまたはトラガカントゴムなど、天然に存在するホスファチド、例えば大豆もしくはレシチンホスファチドなど、脂肪酸と無水ヘキシトールの組み合わせから誘
導されたエステルもしくは部分エステル、例えばソルビタンモノオレエートなど、およびそのような部分エステルとエチレンオキサイドの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどを含有させることも可能である。そのようなエマルジョンにまた追加的材料を含有させることも可能であり、そのような材料には、例えば甘味剤または風味剤が含まれる。
【0207】
本明細書で用いる如き製薬学的組成物の“非経口投与”には、被験体の組織に物理的穴を開けそしてその組織の穴を通して製薬学的組成物を投与することで特徴づけられる如何なる投与経路も含まれる。従って、非経口投与には、これらに限定するものでないが、製薬学的組成物を注入するか、製薬学的組成物を外科切開を通して加えるか、製薬学的組成物を組織を貫通する非外科創傷を通して加えることなどで前記組成物を投与することが含まれる。特に、非経口投与に、これらに限定するものでないが、皮下、腹腔内、筋肉内、胸骨内注入および腎臓透析輸液技術を包含させることを意図する。
【0208】
非経口投与に適した製薬学的組成物の製剤は、有効成分を製薬学的に受け入れられる担体、例えば無菌水または無菌の等張性食塩水などと一緒に含んで成る。そのような製剤の調製、包装または販売はボーラス投与または連続投与に適した形態で実施可能である。注射可能製剤の調製、包装または販売は単位投薬形態、例えば防腐剤を入れておいたアンプルまたは複数回投与用容器などの形態で実施可能である。非経口投与に適した製剤には、これらに限定するものでないが、油性もしくは水性媒体に入っている懸濁液、溶液、乳液、ペーストおよび移植可能な持続放出もしくは生分解性製剤が含まれる。そのような製剤に更に1種以上の追加的材料を含有させることも可能であり、そのような材料には、これらに限定するものでないが、懸濁剤、安定剤または分散剤が含まれる。非経口投与用製剤の1つの態様では、有効成分を適切な媒体(例えば、発熱物質が入っていない無菌水)で再構成させるに適した乾燥(即ち粉末または顆粒)形態で提供した後、その再構成させた組成物を非経口投与する。
【0209】
製薬学的組成物の調製、包装または販売を注射可能な無菌の水性もしくは油性懸濁液もしくは溶液の形態で実施することも可能である。そのような懸濁液もしくは溶液の調製は公知技術に従って実施可能であり、それに有効成分に加えて本明細書に記述する追加的材料、例えば分散剤、湿潤剤または懸濁剤などを含有させることも可能である。そのような注射可能な無菌製剤の調製は、非経口的に受け入れられる無毒の希釈剤もしくは溶媒、例えば水または1,3−ブタンジオールなどを用いて実施可能である。他の受け入れられる希釈剤および溶媒には、これらに限定するものでないが、リンゲル液、等張性塩化ナトリウム溶液および固定油、例えば合成モノ−もしくはジグリセリドなどが含まれる。有用な他の非経口投与可能製剤には、微結晶形態の有効成分が脂質構築物製剤の中に入っているか或は生分解性重合体系の1成分として入っている製剤が含まれる。持続放出または移植に適した組成物に、製薬学的に受け入れられる高分子または疎水性材料、例えばエマルジョン、イオン交換樹脂、難溶性重合体または難溶性塩などを含有させてもよい。
【0210】
本発明の製薬学的組成物の調製、包装または販売は口腔経由の肺投与に適した製剤として実施可能である。そのような製剤は、有効成分を含有する直径が約0.5から約7ミクロン、好適には約1から約6ミクロンの範囲の乾燥粒子を構成していてもよい。そのような組成物を便利には乾燥粉末貯蔵部を含んで成る装置を用いて投与するに適した乾燥粉末の形態にし、その装置に噴射剤の流れを向けることで前記粉末を分散させるか、或は自己噴射性溶媒/粉末分与用容器、例えば有効成分が低沸点の噴射剤に溶解または懸濁している状態で密封容器に入っている装置などを用いて投与する。好適には、そのような粉末が粒子の少なくとも98重量%が0.5ミクロン以上の直径を有しかつ粒子の数の少なくとも95%が7ミクロン未満の直径を有する粒子を構成するようにする。より好適には、粒子の少なくとも95重量%が1ナノメートル以上の直径を有しかつ粒子の数の少なくとも
90% が6ミクロン未満の直径を有するようにする。乾燥粉末組成物に好適には固体状の微粉末希釈剤、例えば糖などを含有させ、便利には、単位投薬形態で提供する。
【0211】
低沸点の噴射剤には、一般に、周囲圧力における沸点が65°F未満の液状噴射剤が含まれる。一般的には、そのような噴射剤が当該組成物の50から99.9%(重量/重量)を構成しそして有効成分が当該組成物の0.1から20%(重量/重量)を構成するようにしてもよい。そのような噴射剤に更に追加的材料、例えば液状の非イオン性もしくは固体状のアニオン性界面活性剤または固体状の希釈剤(好適には当該有効成分を含んで成る粒子の粒径と同じ桁の粒径を有する)などを含有させることも可能である。
【0212】
肺送達の目的で調製する本発明の製薬学的組成物は、また、有効成分を溶液もしくは懸濁液の液滴の形態で与える組成物であってもよい。そのような製剤の調製、包装または販売は有効成分が入っている水溶液もしくは希アルコール溶液もしくは懸濁液(場合により無菌であってもよい)として実施可能でありかつそれらの投与は便利には噴霧もしくは霧化用装置のいずれかを用いて実施可能である。それらの製剤に更に1種以上に追加的材料を含有させることも可能であり、そのような材料には、これらに限定するものでないが、風味剤、例えばサッカリンナトリウム、揮発性油、緩衝剤、表面活性剤または防腐剤、例えばヒドロキシ安息香酸メチルなどが含まれる。そのような投与経路で生じる液滴の平均直径が好適には約0.1から約200ミクロンの範囲になるようにする。
【0213】
本明細書に肺送達に有用であると記述した製剤はまた本発明の製薬学的組成物を鼻内送達するにも有用である。
【0214】
鼻内送達に適した別の製剤は、有効成分を含んで成る平均粒径が約0.2から500ミクロンの粗い粉末である。そのような製剤の投与を鼻から吸う様式で実施する、即ち前記粉末が入っている容器を鼻孔の近くに保持してそれを鼻路に通して急速に吸入することで投与する。
【0215】
鼻投与に適した製剤に含有させる有効成分の量は例えば約0.1%(重量/重量)の如き少ない量から75%(重量/重量)の如き多い量であってもよく、それに更に本明細書に記述する追加的材料の中の1種以上を含有させることも可能である。
【0216】
本発明の製薬学的組成物の調製、包装または販売は口腔投与に適した製剤として実施可能である。そのような製剤は、例えば通常方法を用いて生じさせた錠剤またはロゼンジの形態であってもよく、それの有効成分含有量を例えば0.1から20%(重量/重量)にし、その残りに経口的に溶解もしくは分解し得る組成物を含めかつ場合により本明細書に記述する追加的材料の中の1種以上を含めてもよい。別法として、口腔投与に適した製剤には、有効成分が入っている粉末またはエーロゾル化もしくは霧化した溶液もしくは懸濁液も含まれ得る。そのような粉末化、エーロゾル化、または分散した時にエーロゾル化する製剤の平均粒径または液滴サイズが好適には約0.1から約200ミクロンの範囲になるようにし、そしてそれらに更に本明細書に記述する追加的材料の中の1種以上を含有させることも可能である。
【0217】
本発明の製薬学的組成物の調製、包装または販売は眼投与に適した製剤として実施可能である。そのような製剤は、例えば点眼液の形態であってもよく、それには例えば有効成分が水性もしくは油性の液状担体に0.1%−1.0%(重量/重量)入っている溶液もしくは懸濁液が含まれる。そのような点眼液に更に緩衝剤、塩類または本明細書に記述する他の追加的材料の中の1種以上を含有させることも可能である。有用な他の眼投与可能配合物には、有効成分が微結晶性形態または脂質構築物製剤の形態で入っている製剤が含まれる。
【0218】
本明細書で用いる如き“追加的材料”には、これらに限定するものでないが、下記の中の1種以上が含まれる:賦形剤、表面活性剤、分散剤、不活性希釈剤、顆粒および崩壊剤、結合剤、滑剤、甘味剤、風味剤、着色剤、防腐剤、生理学的に分解し得る組成物、例えばゼラチンなど、水性の媒体および溶媒、油性の媒体および溶媒、懸濁剤、分散もしくは湿潤剤、乳化剤、粘滑剤、緩衝剤、塩類、増粘剤、充填剤、乳化剤、抗酸化剤、抗生物質、抗菌・カビ剤、安定剤および製薬学的に受け入れられる高分子もしくは疎水性材料。本発明の製薬学的組成物に入れることができる他の“追加的材料”は本技術分野で公知でありかつ例えばGenaro編集,1985,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,PA(これは引用することによって本明細書に組み入れられる)などに記述されている。
【0219】
動物、好適にはヒトに投与可能な本発明の組成物の投薬量は、典型的に、動物の体重1キログラム当たり1ミクログラムから約100gの量の範囲である。その投与する正確な投薬量は様々な要因に応じて変わるが、そのような要因には、これらに限定するものでないが、治療すべき動物の種類および病気状態の種類、動物の年齢および投与経路が含まれる。本組成物の投薬量は好適には動物の体重1キログラム当たり約1mgから約10gに及んで多様である。より好適には、その投薬量は動物の体重1キログラム当たり約10mgから約1gに及んで多様である。
【0220】
本組成物を動物に日に数回の如き頻度で投与してもよいか、或はそれはより少ない頻度、例えば日に1回、週に1回、2週毎に1回、月に1回または更により少ない頻度、例えば数カ月毎に1回または1年に1回またはそれより少ない回数でさえ投与可能である。そのような投薬頻度を技術を持つ医者に容易に明らかであると思われ、それは様々な要因、例えばこれらに限定するものでないが、治療すべき病気の種類およびひどさ、動物の種類および年齢などに依存するであろう。
【0221】
本発明は、また、本発明の組成物および本組成物を哺乳動物の組織に投与することを説明する使用説明資料を含んで成るキットも包含する。別の態様では、そのようなキットに、本発明の組成物を哺乳動物に投与する前に前記組成物を溶解または懸濁させるに適した溶媒(好適には無菌)も含有させる。
【0222】
本明細書で用いる如き“使用説明資料”には、本明細書に示すいろいろな病気もしくは疾患の軽減を実施することに関して本キットに入っている本発明の蛋白質が有効であることを伝える目的で使用可能な資料、記録、図または他の表現媒体のいずれも含まれる。場合によるか或は別法として、そのような使用説明資料に、哺乳動物の細胞または組織における病気または疾患を軽減する1種の方法を記述することも可能である。本発明のキットに入れる使用説明資料を例えば本発明の成分を入れる容器に固定しているか或は本発明の成分を入れる容器と一緒に輸送してもよい。別法として、その使用説明資料と本組成物を受益者が協調的に用いることを意図して、前記使用説明資料を前記容器と個別に輸送することも可能である。
【0223】
本発明の実施で用いるに有用な製薬学的組成物を投与することでインターフェロンを標準的用量に相当する用量で送達することができる。
【0224】
本明細書に示した製薬学的組成物の説明は原則としてヒトに処方して投与するに適した製薬学的組成物に向けたものであるが、本分野の技術者はそのような組成物は一般にあらゆる種類の動物に投与するに適することを理解するであろう。人に投与するに適した製薬学的組成物がいろいろな動物への投与に適するように前記組成物を改変することは充分に
理解され、通常の技術を持つ獣医薬理学者は、単に通常(行うとしても)の実験を行うことでそのような改変を考案して実施することができるであろう。本発明の製薬学的組成物を投与することを意図する被験体には、これらに限定するものでないが、ヒトおよび他の霊長類、ペットおよび他の哺乳動物が含まれる。
【0225】
本発明の方法で用いるに有用な製薬学的組成物の調製、包装または販売は経口または注射投与経路に適した製剤として実施可能である。
【0226】
本発明の製薬学的組成物に入れる有効成分、製薬学的に受け入れられる担体および任意の追加的材料の相対量は、治療すべき被験体の同定、大きさおよび状態に応じかつ更に本組成物を投与する経路に応じても変わるであろう。
【0227】
実施例
本発明をここに以下の実施例を参照して記述する。本実施例は単に説明の目的で示すものであり、決して本発明を本実施例に限定すると解釈されるべきでなく、むしろ、本明細書に示す教示の結果として明らかになるであろう変形のいずれもおよび全部を包含させると解釈されるべきである。
【0228】
本実施例に示す実験で用いる材料および方法をここに記述する。
【実施例1】
【0229】
製薬学的組成物1
脂質構築物に両親媒性脂質である1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン,コレステロール,ジセチルホスフェート,1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル),1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)](ナトリウム塩)と伸張両親媒性脂質である1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(Cap ビオチニル)とインターフェロンの混合物を含有させる。
【実施例2】
【0230】
製薬学的組成物2
脂質構築物に両親媒性脂質である1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン,コレステロール,ジセチルホスフェート,1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル),1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロ)](ナトリウム塩)とインターフェロン−アルファと伸張両親媒性脂質である1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(Cap ビオチニル)および/またはポリクロム−ポリ(ビス)−[N−(2,6−(ジイソプロピルフェニル)カルバモイルメチル)イミノ] ジ酢酸]の混合物を含有させる。伸張両親媒性脂質である1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(Cap ビオチニル)およびポリクロム−ポリ(ビス)−[N−(2,6−(ジイソプロピルフェニル)カルバモイル メチル)イミノジ酢酸]を前記脂質構築物にそれぞれ1.68±0.5重量%および1.2±0.5重量%の濃度で添加した。
【実施例3】
【0231】
製薬学的組成物3
脂質構築物に両親媒性脂質である1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(12.09g),コレステロール(1.60g),ジセチルホスフェート(3
.10g),ポリクロム−ポリ(ビス)−[N−(2,6−(ジイソプロピルフェニル)カルバモイルメチル)イミノ]ジ酢酸](0.20g)とインターフェロン−アルファの混合物を含有させる。前記混合物を水性媒体に添加することで総質量を1200gにした。
【実施例4】
【0232】
インターフェロン−アルファ含有脂質構築物の調製
両親媒性脂質分子と伸張両親媒性脂質の混合物を調製し、前記両親媒性脂質分子と伸張両親媒性脂質の混合物から脂質構築物を調製しそして前記脂質構築物の中にインターフェロン−アルファを組み込むことを通して、脂質構築物を生じさせた。
【0233】
両親媒性脂質分子と伸張両親媒性脂質の混合物を下記の手順で生じさせた。脂質構築物に含有させる脂質成分の混合物[全質量が8.5316g]の調製を一定分量の脂質1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(5.6881g),結晶性コレステロール(0.7980g),ジセチルホスフェート(1.5444g),1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(Cap ビオチニル)(0.1436g),1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(0.1144g),1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル)(0.1245g)および1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)](ナトリウム塩)(0.1186g)を一緒にすることで実施した。
【0234】
100mlのクロロホルム:メタノール(2:1体積:体積)溶液に脱水を5.0グラムのモレキュラーシーブを用いて受けさせた。その脂質構築物の脂質成分混合物を3リットルのフラスコに入れた後、その脂質混合物に45mlの前記クロロホルム/メタノール溶液を加えた。その溶液をロトエバポレーターに取り付けたフラスコに入れ、水浴を60°C ±2℃にして、前記フラスコをゆっくり回転させた。ロータリーエバポレーターを用いて前記クロロホルム/メタノール溶液をアスピレーターを用いた真空下で約45分間除去した後、真空ポンプを約2時間用いることで残存する溶媒を除去し、それによって脂質の固体状混合物が生じた。その乾燥させた脂質混合物は約−20℃−0℃の冷凍庫内で無限に貯蔵可能である。
【0235】
下記の手順を用いて、前記両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質の混合物から脂質構築物を調製した。前記脂質混合物を約600mlの28.4mM燐酸ナトリウム(一塩基性−二塩基性)緩衝液とpH7.0で混合した。前記脂質混合物を渦巻き撹拌した後、80℃±4℃に加熱しておいた水浴に30分間入れたままゆっくり回転させることで前記脂質に水和を受けさせた。
【0236】
M−110 EHIミクロ流動装置をpHが6.5−7.5の範囲のSWIを用いて70℃±10℃に前以て加熱しておいた。前記水和を受けさせた標的錯体の懸濁液を前記ミクロ流動装置に移して、前記水和標的分子錯体の懸濁液を前記流動装置に約9000psigで1回通すことでミクロ流動させた。前記ミクロ流動装置に通した後の流動懸濁液の未濾過サンプル(2.0−5.0ml)を集めて、それに単峰型分布データを用いた粒径分析をCoulter N−4プラス粒径分析装置を用いて受けさせた。あらゆる粒径測定を実施する前に、サンプルに希釈を0.2ミクロンのフィルターに通しておいたSWI(pHを6.5−7.5に調整しておいた)を用いて受けさせた。その粒径を0.020−0.40ミクロンの範囲にする必要があった。粒径が前記範囲内でない場合には、前記懸濁液を前記ミクロ流動装置に約9000psigで再び通し、そして再び粒径分析をそれが粒径要求に到達するまで受けさせた。そのミクロ流動を受けさせた標的分子錯体を無菌容器の中に集めた。
【0237】
前記ミクロ流動を受けさせた標的分子錯体を60℃±2℃に維持しながら、0.8ミクロン+0.2ミクロンの無菌ギャングフィルター(gang filter)[5.0mlのシリンジに取り付けておいた]に2回通すことで濾過した。その濾過した懸濁液の一定分量に分析を受けさせることで前記懸濁液に入っている粒子の粒径範囲を測定した。最終的に0.2ミクロンのフィルターに通したサンプルが示す粒径範囲は、粒径分析器からプリントアウトした単峰型分布から決定して0.0200−0.2000ミクロンの範囲内であるべきである。
【0238】
米国特許第5,104,661(引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている方法を用いて、前記構築物に逆充填を受けさせることでインターフェロンを前記構築物の中に充填する。
【実施例5】
【0239】
使用方法
HDV−インターフェロンアルファが示す効力の評価をインターフェロンの肝臓効果に反応を示す遺伝子マーカー有するマウスモデルを用いて実施した。C57Bl6マウスをJackson Laboratoryから入手して、繁殖コロニーをCleveland MetroHealth Center,Cleveland,Ohioで確立した。マウスを前記繁殖コロニーから入手した。試験グループと対照グループの2グループのマウスに処置を受けさせた。試験グループにはインターフェロン+HDVを与える一方、対照グループにはインターフェロンを単独で与えた。HDV−インターフェロンを100mcgのHDVと10mcgのインターフェロンアルファで構成させた。HDVをHepasome Pharmaceuticalsが供給しており、そしてRoeferonがインターフェロンアルファの源であった。HDVとインターフェロンアルファをマウスに注入する前に12時間かけて平衡状態にしておいた。両方のグループのマウスに投与した量は体重1kg当たり100,000Uであった。IFNに対する反応の時期を試験する目的で、Roferonをマウスに皮下注射した。投与してから6時間後にマウスを屠殺した。その屠殺したラットから脾臓と肝臓を得て、分析を実施した。
【0240】
2本鎖RNA依存蛋白質キナーゼ(PKR)遺伝子の誘発に関するインターフェロン刺激反応を肝組織へのインターフェロン送達のマーカーとして用いた。この検定では、PKRメッセンジャーリボ核酸(mRNA)の濃度を検定する目的で実時間定量的PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を用いた。マウスPKR mRNAのイントロン全域エキソン配列に相当するオリゴヌクレオチドプライマーをOligo V6ソフトウエアでデザインし、そしてそれにNCBIの所でゲノムおよびmRNAマウス配列に対するブラストサーチ(blast search)を受けさせることで、その配列がユニークであることを立証した。30種類以上のプライマー対をデザインしたが、実験の目的で選択した対は2対のみであった。その選択した対の状態を逐次的温度およびマグネシウム勾配で最適にした。RNAを動物の肝臓および脾臓から抽出した後、ランダムヘキサマー(random hexamer)とオリゴ−dTとM−MLV RTから成る我々独自のミックスレーション(mix ration)を用いて逆転写を起こさせた。その生じさせたcDNAに半定量的PCRを受けさせ、HDV 実験の目的で6時間点を選択した。2組のマウス(各々3匹)にHDV−IFNまたはIFNのみのいずれかを食塩水に入れて注入した。マウスを6時間後に屠殺し、肝臓および脾臓からRNAを抽出した後、それにRT反応を受けさせた。その生じさせたcDNAに対して実時間定量的PCRをcybr green技術を用いて実施した。PKR発現レベルの比較を肝臓と脾臓の間およびHDV−IFN処置マウスとIFN処置マウスの間で実施した。
【0241】
PKRの結果を図12に示す。図12aに、インターフェロンアルファを投与したマウ
スから得た肝臓および脾臓の中の相対的発現レベルを示す。脾臓を全身送達評価の代理として選択した。脾臓内の相対的発現レベルを肝臓内の相対的発現レベルと比較した。脾臓内の相対的発現レベルは肝臓内の相対的発現レベルのほぼ2倍であった。図12bに、インターフェロンアルファをHDVと組み合わせて投与したマウスから得た肝臓および脾臓の中の相対的発現レベルを示す。肝臓の中の相対的発現レベルは脾臓の中の相対的発現レベルのほぼ2倍であった。HDV−インターフェロンで処置したマウスの肝臓の中の相対的発現レベルはインターフェロン単独で処置したマウスの肝臓の中の相対的発現レベルのほぼ2倍であった。
【0242】
マウスモデルにおけるインターフェロンアルファによる肝臓PKR活性化に対してHDVが標的にすることに関する効果を図13に示す。インターフェロンを単独で用いるとPKR活性化がベースラインに比べてほぼ5倍高くなった。HDV−インターフェロンを用いるとPKR活性化がベースラインに比べてほぼ15倍高くなりかつインターフェロン単独に比べてほぼ3倍高くなった。HDVを用いてインターフェロンを送達するとインターフェロンが肝組織で示す活性が有意に向上する。
【0243】
本発明を特定の態様を言及することで開示してきたが、本分野の他の技術者は本発明の真の精神および範囲から逸脱することのない本発明の他の態様および変形を考案することができることは明らかである。添付請求項にそのような態様および相当する変形の全部を包含させると解釈されるべきであることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0244】
本発明を例示する目的で本発明の特定の態様を本図に示す。しかしながら、本発明を本図に示す態様の正確な配置および手段に限定するものでない。
【図1】図1は、インターフェロンと両親媒性脂質分子と伸張両親媒性脂質を含んで成るインターフェロン結合脂質構築物の図である。
【図2】図2は、ビオシチンの製造経路を示す図である。
【図3】図3は、イミノビオシチンの製造経路を示す図である。
【図4】図4は、ベンゾイルチオアセチルトリグリシンイミノビオシチン(BTA−3gly−イミノビオシチン)の製造経路を示す図である。
【図5】図5は、ベンゾイルチオアセチルトリグリシンの製造経路を示す図である。
【図6】図6は、ベンゾイルチオアセチルトリグリシンスルホ−N−ヒドロキシスクシニミド(BTA−3−gly−スルホ−NHS)の製造経路を示す図である。
【図7】図7は、ベンゾイルチオアセチルトリグリシンイミノビオシチン(BTA−3−gly−イミノビオシチン)の製造経路を示す図である。
【図8】図8は、脂質つなぎ止めおよび肝細胞受容体結合分子(LA−HRBM)の製造経路を示す図である。
【図9】図9は、酢酸水素フタル酸セルロースとインターフェロンの間の可能な結合部位を示す図である。
【図10】図10は、イミノビオチンの構造的変化を酸性条件と塩基性条件を対比させて示す図である。
【図11】図11は、両親媒性脂質分子と伸張両親媒性脂質を含んで成るインターフェロン結合脂質構築物を製造する方法の概略である。
【図12】図12を2つの部分で構成させる。図12aに、インターフェロンアルファを投与したマウスから得た肝臓および脾臓の中の相対的発現レベルを示す。図12bに、インターフェロンアルファとHDVを投与したマウスから得た肝臓および脾臓の中の相対的発現レベルを示す。
【図13】図13に、マウスモデルにおけるインターフェロンアルファによる肝臓PKR活性化に対してHDVが標的にすることに関する効果を示す。
【背景技術】
【0001】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染が米国における最も一般的な慢性の血液媒介感染である。The Center for Disease Control(CDC)は、1980年の間に1年当たり平均で240,000人の新しい感染が起こったと推定している。1年当たりの新しい感染数は1980年代から減少して2003年には約30,000人になった。約3.9百万人の米国人、即ち米国人口のおおよそ1.8%がHCVに感染していると推定されている。そのような人達の中の約2.7百万人は慢性的に感染していても感染に気づいていない可能性がある、と言うのは、彼らは臨床的に病気ではないからである。感染した人は他の人への伝染源になり、そして初期感染後から最初の20年またはそれ以上かかって慢性の肝臓病またはHCVに関連した他の慢性病になる危険性がある。
【0002】
現在のC型肝炎治療プロトコルは、インターフェロン−アルファのいろいろな製剤の使用が基になっていて、それらは筋肉内または皮下注射で投与される。インターフェロン−アルファは、細胞がウイルス感染に反応して分泌する天然に存在する糖蛋白である。インターフェロン−アルファ(これは免疫調節、抗増殖および抗ウイルス特性を有する)はそれの効果を膜受容体と結合することで及ぼす。インターフェロン−アルファは免疫系均衡の維持で重要な役割を果たすが、これを体が産生する濃度は一般に伝統的なインターフェロン注射療法における濃度に比べて非常に低いことから、病気部位に必要な濃度を達成するにはそれを高い投薬量で投与する必要がある。インターフェロン−アルファを血流の中に直接投与する場合、病気になった組織に充分な量が到達することを確保するには非常に高い投薬量が必要、即ち数百万の国際単位(IU)が必要である。放出されたインターフェロン−アルファは体の標的領域に送達されないでむしろ体の中の幅広い範囲の領域に到達する。必要とされているインターフェロン−アルファ組成物は、インターフェロン−アルファを長期間に渡って比較的一定した速度で放出しかつ当該組成物中のインターフェロン−アルファの一部をこれが肝臓を標的にするように送達することでC型肝炎ウイルスをより良好に減少させるか或はなくす組成物である。
【0003】
インターフェロン−アルファ2a(ROFERON−A(R);Hoffmann−La
Roche),インターフェロン−アルファ2b(INTRON−A(R);Schering−Plough)およびインターフェロン−アルファコン−1(INFERGEN(R);Intermune)が慢性C型肝炎にかかっている成人を治療する単一薬剤として米国で認可されている。インターフェロン−アルファ−2bおよびアルファ−2aを慢性C型肝炎の治療で用いる時の推奨される用量は1週間で3,000,000単位(3回)であり、これは皮下または筋肉内注射で投与される。治療は6カ月から2年間に渡って施される。インターフェロン−アルファコン−1の場合の推奨投薬量は、最初の治療で1週間に9ミクログラム(3回)そしてそれに反応しないか或は再発する患者の場合には更に6カ月の間に1週間に15ミクログラム(3回)である。インターフェロン単独を用いた治療で持続した反応がもたらされるのは被験体の中の15%未満である。慢性C型肝炎の治療では、しばしば、リバビリン、即ち幅広いスペクトルのウイルスに対して活性を有する合成ヌクレオシドがインターフェロン−アルファと組み合わせて投与される。
【0004】
最近、PEGインターフェロン−アルファ(時にはPEG化インターフェロンと呼ばれる)が慢性C型肝炎の治療で用いられている。下記の2種類のPEGインターフェロン−アルファ製剤がC型肝炎患者で試験された:PEGインターフェロン−アルファ−2b(PEG−INTRON(R);Schering−Plough)およびPEGインターフェロン−アルファ−2a(PEGASYS(R);Hoffmann−La Roche)
。PEGインターフェロン−アルファはポリエチレングリコール分子がインターフェロン分子と結合している点で未改変インターフェロン−アルファとは異なる。そのような構造的改変の結果として体から除去される速度が遅くなり、それによって、投薬頻度を低くしてもより高くてより一定した血中インターフェロン−アルファ濃度が達成される。未改変インターフェロン−アルファ(慢性C型肝炎を治療するには週に3回注射する必要がある)とは対照的に、PEGインターフェロン−アルファを注射する必要がある頻度は週に1回のみである。
【0005】
慢性C型肝炎の主要な治療目的は検出可能なウイルスRNAを血液から除去することにある。治療が完了してから6カ月後の血液からC型肝炎ウイルスのRNAが検出されなれば、これは持続的な反応であるとして認識される。
【0006】
従って、C型肝炎ウイルスに感染している患者を治療する組成物および方法の必要性は本技術分野で充たされないままである。本発明は、肝臓を標的として送達される長期作用組成物を提供することでそのような必要性を満たすものである。
【発明の開示】
【0007】
発明の簡単な要約
本発明は、1つの面において、少なくとも1種のインターフェロン、両親媒性脂質および伸張両親媒性脂質を含んで成る脂質構築物を包含し、ここで、前記伸張両親媒性脂質は近位、中位および遠位部分を含有して成っていて、前記近位部分が前記伸張両親媒性脂質を該構築物と連結させており、前記遠位部分によって該構築物が肝細胞が提示する受容体を標的にしそして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分を連結させている。
【0008】
別の面では、前記インターフェロンがインターフェロン−アルファ,インターフェロン−アルファ−1a,PEG化インターフェロン−アルファ−1a,インターフェロン−アルファ−n1,インターフェロン−アルファ−2a,インターフェロン−アルファ−2b,インターフェロン−アルファ−n3,インターフェロン−アルファコン−1,インターフェロン n−3,PEGインターフェロン−アルファ2a,PEGインターフェロン−アルファ2b,インターフェロンベータ;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンベータ−1b,インターフェロンガンマ;インターフェロンガンマ−1a;インターフェロンガンマ−1b,PEG化インターフェロンベータ−1a,PEG化インターフェロンベータ−1b,これらの誘導体,および前記インターフェロンのいずれかの組み合わせから成る群から選択される。
【0009】
更に別の面における脂質構築物は、少なくとも1種の抗ウイルス薬(ここで、前記抗ウイルス薬はインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない)、両親媒性脂質および伸張両親媒性脂質を含んでおり、ここで、前記伸張両親媒性脂質は近位、中位および遠位部分を含有して成っていて、前記近位部分が前記伸張両親媒性脂質を該構築物と連結させており、前記遠位部分によって該構築物が肝細胞が提示する受容体を標的にしそして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分を連結させている。
【0010】
別の面における有効成分は少なくとも1種のインターフェロンおよび少なくとも1種の抗ウイルス薬を含んでおり、ここで、前記抗ウイルス薬はインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない。
【0011】
更に別の面における本脂質構築物は更に該脂質構築物と合併している不溶形態の少なくとも1種の有効成分も含んで成る。
【0012】
別の面における前記両親媒性脂質は1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホ
スホコリン、コレステロール、ジセチルホスフェート、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロール−[3−ホスホ−rac−(1−グリセロ)]、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル)、これらの誘導体および前記化合物のいずれかの混合物から成る群から選択された少なくとも1種の脂質を含んで成る。
【0013】
更に別の面における前記伸張両親媒性脂質は近位部分にバックボーンと結合している長鎖アシル炭化水素鎖を少なくとも1個であるが、2個以下の数で含有して成り、ここでは、前記炭化水素鎖が各々独立して飽和炭化水素鎖および不飽和炭化水素鎖から成る群から選択される。
【0014】
更に別の面における前記バックボーンはグリセロールを含んで成る。
【0015】
更に別の面における前記伸張両親媒性脂質は遠位部分にビオチン、ビオチン誘導体、イミノビオチン、イミノビオチン誘導体、ビオシチン、ビオシチン誘導体、イミノビオシチン、イミノビオシチン誘導体および肝細胞上の受容体と結合する肝細胞特異的分子から成る群から選択される少なくとも一員を含んで成る。
【0016】
別の面では、前記伸張両親媒性脂質がN−ヒドロキシスクシニミド(NHS)ビオチン;スルホ−NHS−ビオチン;N−ヒドロキシスクシニミド長鎖ビオチン,スルホ−N−ヒドロキシスクシニミド長鎖ビオチン;D−ビオチン;ビオシチン;スルホ−N−ヒドロキシスクシニミド−S−S−ビオチン;ビオチン−BMCC;ビオチン−HPDP;ヨードアセチル−LC−ビオチン;ビオチン−ヒドラジド;ビオチン−LC−ヒドラジド;ビオシチンヒドラジド;ビオチンカダベリン;カルボキシビオチン;フォトビオチン;トリフルオロ酢酸ρ−アミノベンゾイルビオシチン;ρ−ジアゾベンゾイルビオシチン;ビオチン DHPE;ビオチン−X−DHPE;12−((ビオチニル)アミノ)ドデカン酸;12−((ビオチニル)アミノ)ドデカン酸スクシニミジルエステル;S−ビオチニルホモシステイン;ビオシチンX;ビオシチン x−ヒドラジド;ビオチンエチレンジアミン;ビオチン−XL;ビオチン−X−エチレンジアミン;ビオチン−XX−ヒドラジド;ビオチン−XX−SE;ビオチン−XX,SSE;ビオチン−X−カダベリン;α−(t−BOC)ビオシチン;N−(ビオチニル)−N’−(ヨードアセチル)エチレンジアミン;DNP−X−ビオシチンX−SE;ビオチン−X−ヒドラジド;塩酸ノルビオチンアミン;3−(N−マレイミジルプロピオニル)ビオシチン;ARP;ビオチン−l−スルホキサイド;ビオチンのメチルエステル;ビオチン−マレイミド;ビオチン−ポリ(エチレングリコール)アミン;(+)ビオチン 4−アミド安息香酸ナトリウム塩;ビオチン
2−N−アセチルアミノ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド;ビオチン−α−D−N−アセチルニューラミニド;ビオチン−α−L−フコシド;ビオチンラクト−N−ビオシド;ビオチン−ルイス−A 三糖;ビオチン−ルイス−Y 四糖;ビオチン−α−D−マンノピラノシド;ビオチン 6−O−ホスホ−α−D−マンノピラノシド;およびポリクロム−ポリ(ビス)−[N−(2,6−(ジイソプロピルフェニル)カルバモイル
メチル)イミノ]ジ酢酸から成る群から選択される。
【0017】
さらなる面における前記伸張両親媒性脂質は中位部分にチオ−アセチルトリグリシン重合体またはこれの誘導体を含んで成り、ここで、前記伸張両親媒性脂質の分子は該脂質構築物の表面から外側に伸びている。
【0018】
1つの面における本構築物は更に水に不溶な標的分子錯体と合併している少なくとも1種の有効成分も含んで成り、ここで、前記錯体は多数の連結した個々の単位を含んで成り、前記個々の単位は、遷移元素、内部遷移元素、遷移元素の同胞元素および前記元素のいずれかの混合物から成る群から選択した橋かけ成分;および錯体形成成分を含んで成るが
、但し前記遷移元素がクロムの時にはクロム標的分子錯体が生じることを条件とする。
【0019】
別の面における本構築物は更に前記標的分子錯体と合併していない少なくとも1種の有効成分も含んで成る。
【0020】
更に別の面における前記橋かけ成分はクロムである。
【0021】
更に別の面における前記錯体形成成分はポリ(ビス)−[(N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルバモイルメチル)イミノジ酢酸]を含んで成る。
【0022】
1つの面における前記伸張両親媒性脂質の遠位成分は非極性誘導体化ベンゼン環または複素二環式環構造を含んで成る。
【0023】
別の面における本構築物は正電荷、負電荷またはこれらの組み合わせを含んで成る。
【0024】
更に別の面における前記伸張両親媒性脂質は前記遠位部分の末端終点から約13.5オングストローム以内の距離に位置するカルボニル部分を少なくとも1個含んで成る。
【0025】
さらなる面における前記伸張両親媒性脂質は第二級アミン含有カルバモイル部分を少なくとも1個含んで成る。
【0026】
1つの面における前記伸張両親媒性脂質は帯電したクロムを中位に含んで成る。
【0027】
別の面における本脂質構築物は更に酢酸水素フタル酸セルロースも含んで成る。
【0028】
1つの面において、本発明は、少なくとも1種のインターフェロン、両親媒性脂質および伸張両親媒性脂質[前記伸張両親媒性脂質は近位、中位および遠位部分を含んで成り、ここで、前記近位部分が前記伸張両親媒性脂質を該構築物と連結させており、前記遠位部分によって該構築物が肝細胞が提示する受容体を標的にしそして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分を連結させている]を含んで成る脂質構築物を製造する方法を包含し、ここでは、前記脂質構築物が水に入っている懸濁液を生じさせ;そして有効成分を前記脂質構築物の中に充填することで脂質構築物を製造する。
【0029】
更に別の面では、前記有効成分を前記脂質構築物の中に充填する段階に平衡充填および非平衡充填を含める。
【0030】
1つの面では、前記有効成分を前記脂質構築物に充填する段階に遊離有効成分が入っている溶液を前記脂質構築物が水に入っている混合物に添加しそして前記有効成分と前記混合物を平衡状態に到達するまで接触させたままにしておくことを含める。
【0031】
別の面では、インターフェロン結合脂質構築物を製造する方法に、更に、前記混合物が平衡に到達した後に前記有効成分を前記脂質構築物の中に最終的に充填することも含んで成り、ここで、前記遊離有効成分が入っている溶液を前記構築物から除去し、更に、この構築物はこの構築物と合併している少なくとも1種の有効成分も含有する。
【0032】
別の面では、インターフェロン結合脂質構築物を製造する方法に、更に、急速濾過手順、遠心分離、濾過遠心分離およびイオン交換樹脂またはビオチン、イミノビオチンもしくはこれらの誘導体に親和性を示すストレプトアビジンアガロース親和性樹脂ゲルが用いられているクロマトグラフィーから成る群から選択した方法を用いて前記遊離有効成分が入っている溶液を前記構築物と合併している少なくとも1種の有効成分を含有する前記脂質
構築物から除去することも含んる。
【0033】
更に別の面では、インターフェロン結合脂質構築物を製造する方法に、更に、多数の連結した個々の単位を含んで成るクロム錯体を前記脂質構築物に添加することも含める。
【0034】
更に別の面では、インターフェロン結合脂質構築物を製造する方法に、更に、酢酸水素フタル酸セルロースを前記脂質構築物に添加することも含める。
【0035】
別の面では、インターフェロン結合脂質構築物を製造する方法に、更に、有効成分、イオン交換樹脂およびストレプトアビジンアガロース親和性ゲルから成る群から選択した少なくとも1種の材料を工程から回収することも含める。
【0036】
1つの面では、少なくとも1種の有効成分が患者内で示す生物学的利用能を向上させる方法に、少なくとも1種の有効成分を多数の非共有多座結合部位を含んで成る脂質構築物と一緒にし、そして前記有効成分を含有する構築物を前記患者に投与することを含める。
【0037】
別の面では、生物学的利用能の向上に、更に、少なくとも1種の有効成分が示す等電点を調節する段階も含める。
【0038】
更に別の面では、前記有効成分がインターフェロン−アルファ,インターフェロン−アルファ−1a,PEG化インターフェロン−アルファ−1a,インターフェロン−アルファ−n1,インターフェロン−アルファ−2a,インターフェロン−アルファ−2b,インターフェロン−アルファ−n3,インターフェロン−アルファコン−1,インターフェロン n−3,PEGインターフェロン−アルファ2a,PEGインターフェロン−アルファ2b,インターフェロンベータ;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンベータ−1b,インターフェロンガンマ;インターフェロンガンマ−1a;インターフェロンガンマ−1b,PEG化インターフェロンベータ−1a,PEG化インターフェロンベータ−1b,これらの誘導体および前記インターフェロンのいずれかの組み合わせから成る群から選択される。
【0039】
更に別の面における前記有効成分は抗ウイルス薬であり、ここで、前記抗ウイルス薬はインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない。
【0040】
更に別の面における前記有効成分は少なくとも1種のインターフェロンおよび少なくとも1種の抗ウイルス薬を含んで成り、ここで、前記抗ウイルス薬はインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない。
【0041】
更に別の面における前記脂質構築物はインターフェロン,1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン,コレステロール,ジセチルホスフェート,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−[3−ホスホ−rac−(1−グリセロール)],1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンおよび1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル)またはこれらの誘導体および肝細胞受容体結合分子を含んで成る。
【0042】
1つの面では、少なくとも1種の有効成分が宿主内で示す生物学的利用能を向上させる徐放性組成物を製造する方法に、脂質構築物をイミノビオチンまたはイミノビオチン誘導体を含んで成る脂質を通してストレプトアビジンアガロース親和性ゲルとpH9.5以上で結合させることで前記構築物を多量相媒体(bulk phase media)から取り出し、前記構築物を前記多量相媒体から分離し;前記親和性ゲルの水性混合物のpHをpH4.5に調整することで前記構築物を前記親和性ゲルから放出させることを含める
が、ここで、前記放出された構築物は少なくとも1種の不溶有効成分を含有しており、前記構築物を温血宿主に投与すると、前記不溶有効成分が宿主内の生理学的pH条件下で再溶解する。
【0043】
別の面では、肝炎に感染した患者を治療する方法に、前記患者に少なくとも1種のインターフェロン、両親媒性脂質および伸張両親媒性脂質[前記伸張両親媒性脂質は近位、中位および遠位部分を含んでおり、ここで、前記近位部分が前記伸張両親媒性脂質を該構築物と連結させており、前記遠位部分によって該構築物が肝細胞が提示する受容体を標的にしそして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分を連結させている]を含んで成る脂質構築物を有効量で投与することを含める。
【0044】
更に別の面における前記患者はA型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎、F型肝炎およびG型肝炎から成る群から選択される少なくとも1種の肝炎に感染している。
【0045】
別の面では、前記有効成分がインターフェロン−アルファ,インターフェロン−アルファ−1a,PEG化インターフェロン−アルファ−1a,インターフェロン−アルファ−n1,インターフェロン−アルファ−2a,インターフェロン−アルファ−2b,インターフェロン−アルファ−n3,インターフェロン−アルファコン−1,インターフェロン
n−3,PEGインターフェロン−アルファ2a,PEGインターフェロン−アルファ2b,インターフェロンベータ;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンベータ−1b,インターフェロンガンマ;インターフェロンガンマ−1a;インターフェロンガンマ−1b,PEG化インターフェロンベータ−1a,PEG化インターフェロンベータ−1b,これらの誘導体および前記インターフェロンのいずれかの組み合わせから成る群から選択される。
【0046】
別の面における前記有効成分は抗ウイルス薬であり、ここで、前記抗ウイルス薬はインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない。
【0047】
更に別の面における前記有効成分は少なくとも1種のインターフェロンおよび少なくとも1種の抗ウイルス薬を含んで成り、ここで、前記抗ウイルス薬はインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない。
【0048】
更に別の面における前記脂質構築物は更に標的分子錯体も含有して成り、ここで、前記錯体は多数の連結した個々の単位を含有して成り、更にここで、前記連結した個々の単位は、遷移元素、内部遷移元素、遷移元素の同胞元素および前記元素のいずれかの混合物を包含する群から選択された橋かけ成分および錯体形成成分を含んで成るが、但し前記遷移元素がクロムの時にはクロム標的分子錯体が生じることを条件とする。
【0049】
更に別の面における前記脂質構築物は更に前記標的分子錯体と合併していない少なくとも1種の有効成分も含んで成る。
【0050】
更に別の面における投与は経口または皮下投与である。
【0051】
1つの面において、本発明は、肝炎に感染している患者の肝臓の中の肝細胞にインターフェロンを送達する送達を向上させる方法を包含し、ここでは、肝細胞受容体と結合する部分を含む伸張脂質分子およびインターフェロンを含んで成る脂質構築物を前記患者に投与することによって向上させるが、肝細胞受容体は最適な大きさの構築物と結合することから、ここでは、前記脂質構築物を複数の大きさで存在させ、それによって、エンドサイトーシスを増加させかつ本脂質構築物の意図した薬理学的作用を明らかに生じさせる。
【0052】
別の面における前記患者はA型肝炎,B型肝炎,C型肝炎,D型肝炎,E型肝炎,F型肝炎またはG型肝炎または前記肝炎ウイルスの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種のウイルスに感染している。
【0053】
更に別の面では、前記有効成分がインターフェロン−アルファ,インターフェロン−アルファ−1a,PEG化インターフェロン−アルファ−1a,インターフェロン−アルファ−n1,インターフェロン−アルファ−2a,インターフェロン−アルファ−2b,インターフェロン−アルファ−n3,インターフェロン−アルファコン−1,インターフェロン n−3,PEGインターフェロン−アルファ2a,PEGインターフェロン−アルファ2b,インターフェロンベータ;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンベータ−1b,インターフェロンガンマ;インターフェロンガンマ−1a;インターフェロンガンマ−1b,PEG化インターフェロンベータ−1a,PEG化インターフェロンベータ−1b,これらの誘導体および前記インターフェロンのいずれかの組み合わせから成る群から選択される。
【0054】
更に別の面における前記有効成分は抗ウイルス薬であり、ここで、前記抗ウイルス薬はインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない。
【0055】
更に別の面における前記有効成分は少なくとも1種のインターフェロンおよび少なくとも1種の抗ウイルス薬を含んで成り、ここで、前記抗ウイルス薬はインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない。
【0056】
別の面では、前記患者を治療する方法に、更に、前記有効成分が加水分解酵素に近づかないように脂質分子の三次元構造配列を生じさせることで前記脂質構築物内の前記有効成分を加水分解による劣化から保護することも含める。
【0057】
更に別の面では、前記方法に、更に、酢酸水素フタル酸セルロースを前記脂質構築物に添加することで個々の脂質分子と反応させることも含める。
【0058】
更に別の面では、前記方法に、更に、不溶化した投薬形態の前記有効成分を前記脂質構築物内に生じさせること含める。
【0059】
1つの面において、本発明は、ウイルスに感染した哺乳動物を治療する時に用いるに適したキットを包含し、前記キットは、脂質構築物[この脂質構築物は、少なくとも1種のインターフェロン、両親媒性脂質および伸張両親媒性脂質を含み、ここで、前記伸張両親媒性脂質は近位、中位および遠位部分を含んでいて、前記近位部分が前記伸張両親媒性脂質を該構築物と連結させており、前記遠位部分によって該構築物が肝細胞が提示する受容体を標的にしそして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分を連結させている]、生理学的緩衝剤溶液、アプリケーターおよび使用説明資料を含んで成る。
【0060】
別の面における前記キットは、更に、少なくとも1種の有効成分も含んで成る。
【0061】
更に別の面における前記キットは、A型肝炎,B型肝炎,C型肝炎,D型肝炎,E型肝炎,F型肝炎およびG型肝炎から成る群から選択される少なくとも1種のウイルスに感染している患者を治療するためのキットである。
【0062】
発明の詳細な説明
本発明は肝細胞を標的する製薬学的組成物を包含し、ここでは、インターフェロンを構築物の中で水に不溶な標的分子錯体と合併させておき、そして前記組成物が患者の肝臓の
中の肝細胞を標的にするようにすることで、C型肝炎ウイルスおよび他のウイルスを取り扱う有効な手段を提供するものである。
【0063】
本発明は、インターフェロンと両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質(受容体結合分子)を含んで成る脂質構築物を包含する。前記伸張両親媒性脂質は近位、中位および遠位部分を含んで成る。前記近位部分が前記伸張脂質を本構築物とつなげており、前記遠位部分が本構築物を肝臓の中の肝細胞結合受容体と連結させ、そして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分をつなげている。
【0064】
脂質構築物は球形の脂質および燐脂質粒子であり、この粒子の中で個々の脂質分子が協調的に相互作用することで二極性脂質膜を構成しており、その膜が媒体(この中で前記膜が形成される)の一部を封じ込めかつ孤立させる。本脂質構築物はインターフェロンを肝臓の中の肝細胞に送達するようにそれを標的にする能力を有しかつインターフェロンを持続的に放出することで肝臓を侵しているC型肝炎ウイルスまたは他のウイルスをより良好に減少させるか或はなくす能力を有する。
【0065】
本発明の組成物は、C型肝炎ウイルスおよび他のウイルスに感染している哺乳動物を治療する目的でいろいろな経路で投与可能であり、そのような経路には、皮下または経口が含まれる。
【0066】
本発明は、更に、インターフェロンと両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質を含んで成る脂質構築物を製造する方法も提供する。前記伸張両親媒性脂質は近位、中位および遠位部分を含んで成る。前記近位部分が前記伸張脂質を本構築物とつなげている。前記遠位部分が本構築物を肝細胞結合受容体と連結させ、そして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分をつなげている。
【0067】
本発明は、また、水に不溶な標的分子錯体と合併しているインターフェロンと遊離インターフェロンを構築物(前記錯体が肝細胞に向かうようにそれへの送達を標的にする)の中に含んで成る組成物を製造する方法も提供する。前記標的分子錯体をある構造を有する多数の連結した個々の単位で構成させ、それを金属錯体で生じさせ、それを脂質構築物マトリクスの中に含有させる。
【0068】
加うるに、本発明は、C型肝炎および他のウイルスに感染している人を治療する方法も提供し、ここでは、インターフェロンと両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質(肝細胞に送達するようにそれを標的にする)を含んで成る脂質構築物を有効量で投与することで治療を施す。
【0069】
本発明は、また、C型肝炎および他のウイルスに感染している人を治療する方法も提供し、ここでは、インターフェロンと両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質と水に不溶な標的分子錯体(肝細胞に送達するようにそれを標的にする)を含んで成る脂質構築物を有効量で投与することで治療を施す。
【0070】
定義
特に明記しない限り、本明細書で用いる技術的および科学的用語の全部に一般に本発明が属する技術分野の通常の技術者が通常理解する意味と同じ意味を持たせる。本明細書および有機化学および蛋白質化学における実験室手順で用いる命名法は一般に本技術分野で良く知られていて通常用いられる用語である。
【0071】
本明細書では、品詞“a”および“an”をその品詞の文法的目的物の1個または2個以上(即ち少なくとも1個)を指す目的で用いる。例として、“元素”は、1個の元素ま
たは2個以上の元素を意味する。
【0072】
用語“有効成分”はインターフェロンおよび他の抗ウイルス性化合物を指す。
【0073】
用語“低級”は、それで記述する基が炭素原子を1から6個含有することを意味する。
【0074】
用語“アルキル”は、それ自身または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、炭素原子を表示する数で有する直鎖、分枝または環式鎖炭化水素を意味し(即ちC1−C6は1から6個の炭素を意味し)、直鎖、分枝鎖または環式基を包含する。例にはメチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,イソブチル,t−ブチル,ペンチル,ネオペンチル,ヘキシル,シクロヘキシルおよびシクロプロピルメチルが含まれる。(C1−C3)アルキル、特にエチル、メチルおよびイソプロピルが最も好適である。
【0075】
用語“アルキレン”は、それ自身または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、置換部位を2個有する直鎖、分枝または環式鎖炭化水素、例えばメチレン(−CH2−),エチレン(−CH2CH2−),イソプロピレン(−CH(CH3)=CH2)などを意味する。
【0076】
用語“アリール”は、これを単独または他の用語と組み合わせて用い、特に明記しない限り、飽和もしくは不飽和の環を1個以上(典型的には環を1、2または3個)含有する環式炭素環構造を意味し、ここで、前記環はペンダント様式で一緒に結合していてもよい(例えばビフェニル)か、或は縮合していてもよい(例えばナフタレン)。例にはフェニル;アントラシルおよびナフチルが含まれる。前記構造は置換部位を1個以上持ち得、その部位に官能基、例えばアルコール,アルコキシ,アミド,アミノ,シアニド,ハロゲンおよびニトロなどが結合する。
【0077】
用語“アリール低級アルキル”は、アリール基が低級アルキレン基と結合している官能基、例えば−CH2CH2−フェニルなどを意味する。
【0078】
用語“アルコキシ”は、これを単独または他の用語と組み合わせて用い、特に明記しない限り、酸素原子を通して分子の残りと連結していて炭素原子を表示する数で有するアルキル基または置換基、例えばヒドロキシル基などを含有するアルキル、例えば−OCHOH−,−OCH2OH,メトキシ(−OCH3),エトキシ(−OCH2CH3),1−プロポキシ(−OCH2CH2CH3),2−プロポキシ(イソプロポキシ),ブトキシ(−OCH2CH2CH2CH3),ペントキシ(−OCH2CH2CH2CH2CH3)および高級同族体および異性体などを意味する。
【0079】
用語“アシル”は、一般式 −C(=O)−R[式中、−Rは水素,ヒドロカルビル,アミノまたはアルコキシである]で表される官能基を意味する。例にはアセチル(−C(=O)CH3),プロピオニル(−C(=O)CH2CH3),ベンゾイル(−C(=O)C6H5),フェニルアセチル(−C(=O)CH2C6H5),カルボエトキシ(−CO2CH2CH3)およびジメチルカルバモイル(−C(=O)N(CH3)2)が含まれる。
【0080】
用語“ハロ”または“ハロゲン”は、それ自身または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味する。
【0081】
用語“複素環”または“ヘテロシクリル”または“複素環式”は、それ自身または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、炭素原子およびN,OおよびSを包含する群から選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有しかつ前記窒素および硫黄ヘテロ原子が
場合により酸化されていてもよくかつ前記窒素原子が場合により第四級化されていてもよい安定な単環式もしくは多環式の置換もしくは非置換複素環式環系を意味する。前記複素環系は、特に明記しない限り、安定な構造物がもたらされるように如何なるヘテロ原子または炭素原子の所で結合していてもよい。例にはピロール,イミダゾール,ベンゾイミダゾール,フタレイン,ピリデニル,ピラニル,フラニル,チアゾール,チオフェン,オキサゾール,ピラゾール,3−ピロリン,ピロリデン,ピリミジン,プリン,キノリン,イソキノリン,カルバゾールなどが含まれる。
【0082】
アミノ酸を本明細書で用いる場合、それらを以下の表に示すようにフルネームでか、それに相当する3文字コードで示す:
【0083】
【表1】
【0084】
用語“クロム標的分子錯体”は、数多くの個々の単位を含んで成る錯体を指し、ここで、各単位は、多価分子が寄与するリガンド、例えば数多くのN−(2,6−ジイソプロピルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸分子に由来するリガンドなどを6個以下の数で受け入れ得るクロム(Cr)原子を含んで成る。その個々の単位が互いに連結して三次元配列で連結している複雑な高分子構造を形成している。その高分子錯体は水に不溶であるが、有機溶媒には可溶である。
【0085】
用語“脂質構築物”は、球形の脂質および/または燐脂質粒子を指し、この中の個々の脂質分子が協調して相互作用することで二極性脂質膜が生じ、その膜が媒体(この中で前記膜が形成される)の一部を封じ込めかつ孤立させる。
【0086】
用語“両親媒性脂質分子”は、極性末端部と非極性末端部を有する脂質分子を意味する。
【0087】
用語“伸張両親媒性脂質”は、それが脂質構造物の一部である時に前記脂質構造物からこの構造物を取り巻く媒体の中に伸びそして受容体と結合または相互作用し得る構造を有する両親媒性分子を意味する。
【0088】
“錯化剤”は、選択した金属橋かけ剤と一緒に高分子錯体を形成する化合物、例えばクロム、ジルコニウムなどの塩であり、これは当該高分子錯体が実質的に水に不溶でありかつ有機溶媒に可溶であると言った高分子特性を示す。
【0089】
“水性媒体”は、水、または緩衝剤または塩が入っている水を意味する。
【0090】
“実質的に可溶”は、結果としてもたらされる高分子クロム標的分子錯体または他の金属標的錯体(これらは錯化剤から生じさせた組成物の中で結晶性または非晶質であり得る
)などの如き材料が室温の水に不溶であると言った特性を示すことを意味する。そのような高分子錯体またはそれの解離形態が脂質構築物マトリクスと合併すると、インターフェロンを温血宿主の肝臓の中の肝細胞に運んで送達する機能を果たす輸送剤が形成される。
【0091】
用語“と合併”を用いる場合、これは言及する材料が当該脂質構築物マトリクスの表面の中または表面上またはその中に取り込まれることを意味する。
【0092】
用語“遊離”を用いる場合、これは、言及する材料が溶液中に存在していて当該脂質構築物とも標的分子錯体とも合併していないことを意味する。
【0093】
用語“インターフェロン”は、天然もしくは組換え形態のインターフェロンを指し、それには、アルファ、ベータ、ガンマおよび他の形態のインターフェロン、PEGインターフェロンおよび上述したインターフェロンの誘導体が含まれる。インターフェロンの例には、これらに限定するものでないが、インターフェロン−アルファ,インターフェロン−アルファ−1a,PEG化インターフェロン−アルファ−1a,インターフェロン−アルファ−n1,インターフェロン−アルファ−2a,インターフェロン−アルファ−2b,インターフェロン−アルファ−n3,インターフェロン−アルファコン−1,インターフェロン n−3,PEGインターフェロン−アルファ2a,PEGインターフェロン−アルファ2b,インターフェロンベータ;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンベータ−1b,インターフェロンガンマ;インターフェロンガンマ−1a;インターフェロンガンマ−1b,PEG化インターフェロンベータ−1a,PEG化インターフェロンベータ−1b,これらの誘導体,および前記インターフェロンのいずれかの組み合わせが含まれる。
【0094】
用語“誘導体”は、同様な化合物から生じた化合物、別の化合物から生じたと想像することができる化合物(1つの原子が別の原子または別の群の原子に置き換わっている場合)、または挙げた化合物から少なくとも理論的に生じる可能性のある化合物を指す。
【0095】
用語“平衡”は、遊離有効成分が当該脂質構築物と合併する速度が当該脂質構築物と合併した有効成分が当該脂質構築物から解離して遊離有効成分になる速度とほぼ等しい状態を指す。
【0096】
用語“生物学的利用能”は、インターフェロンまたは別の抗ウイルス性化合物が全身循環に到達して作用部位で利用され得る速度および度合の尺度を指す。
【0097】
生物学的または化学的プロセスまたは状態“を改変”または“の改変”の用語を本明細書で用いる場合、これは、その生物学的または化学的プロセスの正常な過程を変化させるか或は前記生物学的または化学的プロセスの状態を変化させて現在の状態とは異なる新しい状態にすることを指す。例えば、ポリペプチドが示す等電点の改変は、そのポリペプチドが示す等電点を高くする変化を伴い得る。別法として、ポリペプチドが示す等電点の改変は、ポリペプチドが示す等電点を低くする変化を伴い得る。
【0098】
“HDV”または“肝細胞送達用媒体”は、金属橋かけ剤と錯化剤の組み合わせで作られたある構造を有する多数の連結した個々の単位を含有する脂質構築物マトリクスを含んで成る水に不溶な標的分子錯体である。“HDV”はWO99/59545,Targeted Liposomal Drug送達Systemに記述されている。
【0099】
“統計学的構造物”は、1つの脂質構築物から別の脂質構築物に移行し得る分子で構成されている構造物を指し、その構造物は、ガウス分布で表され得る複数の粒径で存在する。
【0100】
“多座結合”は、当該脂質構築物内の多数の結合部位、例えば酢酸水素フタル酸セルロース、燐脂質およびインターフェロンなどを利用する化学的結合プロセスである。そのような結合部位によって水素結合、イオン−双極子および双極子−双極子相互作用が助長され、その場合、個々の分子が協力して働くことで非共有結合を形成し、それが2個以上の分子を結合または連結させる働きをする。
【0101】
“治療”を本明細書で用いる場合、これは患者がかかっている病気、疾患または不利な状態などの症状の頻度を低下させることを意味する。
【0102】
本明細書で用いる如き用語“製薬学的に受け入れられる担体”は、当該有効成分と組み合わせ可能でありかつ組み合わせた後に前記有効成分を被験体に投与する時に使用可能な化学的組成物を意味する。
【0103】
本明細書で用いる如き用語“生理学的に受け入れられる”は、当該生成物を投与すべき被験体にとってその材料が有害ではないことを意味する。
【0104】
発明の説明−組成物
インターフェロンと両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質を含んで成るインターフェロン結合脂質構築物の図を図1に示す。前記伸張両親媒性脂質(また受容体結合分子としても認識する)は、近位、中位および遠位部分を含有して成り、ここで、前記近位部分が前記伸張脂質を当該構築物と連結させており、前記遠位部分が当該構築物を肝臓の中の肝細胞結合受容体と連結させ、そして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分をつなげている。適切な両親媒性脂質は、一般に、極性頭基と非極性尾基を含有して成っていて、それらが互いにグリセロール−バックボーンを通して結合している。
【0105】
適切な両親媒性脂質には、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン,1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン,コレステロール,コレステロールオレエート,ジセチルホスフェート,1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスフェート,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスフェート,1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスフェート,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(Cap ビオチニル),1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル),1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)](ナトリウム塩),2,3−ジアセトキシプロピル 2−(5−((3aS,6aR)−2−オキソヘキサヒドロ−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−4−イル)ペンタンアミド)エチル燐酸トリエチルアンモニウムおよび前記脂質または前記脂質の適切な誘導体のいずれかの混合物が含まれ、それらを表1に示す。
【0106】
【表2】
【0107】
1つの態様における両親媒性脂質には、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン,コレステロール,ジセチルホスフェート,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(Cap ビオチニル);1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3− ホスホエタノールアミン,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル),1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)](ナトリウム塩)、2,3−ジアセトキシプロピル 2−(5−((3aS,6aR)−2−オキソヘキサヒドロ−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−4−イル)ペンタンアミド)エチル燐酸トリエチルアンモニウムおよび前記脂質のいずれかの混合物が含まれる。
【0108】
前記伸張両親媒性脂質(また受容体結合分子としても認識)は、近位、中位および遠位部分を含んで成る。前記近位部分が前記伸張脂質を当該構築物と連結させており、そして前記遠位部分が当該構築物を肝臓の中の肝細胞結合受容体と連結させる。前記近位部分と遠位部分は中位部分を通して連結している。いろいろな受容体結合分子の組成を以下に記述する。脂質構築物を肝細胞の中の受容体と結合させる目的で、以下に示す群の中の1つ以上から生じさせた肝細胞受容体結合分子を前記脂質構築物の中に存在させることができ
る。
【0109】
1つの群の肝細胞受容体結合分子は末端のビオチンもしくはイミノビオチン部分ばかりでなくこれらの誘導体を含んで成る。ビオチン,イミノビオチン,カルボキシビオチンおよびビオシチンの構造式を表 2に示す。
【0110】
【表3】
【0111】
これらの分子をいろいろな技術を用いて燐脂質分子と結合させることで、脂質構築物の中に挿入することが可能な脂質つなぎ止め分子を生じさせることができる。そのような肝細胞受容体結合分子は、当該脂質構築物の近位に位置するつなぎ止め部分を含んで成る。そのつなぎ止め部分は2本の親油性炭化水素鎖を含有して成り、それらは当該脂質構築物の中の他の親油性炭化水素鎖または燐脂質分子と合併または結合し得る。
【0112】
好適な態様における2番目の群の肝細胞受容体結合分子は、当該脂質構築物から遠位に位置する末端のビオチンもしくはイミノビオチン部分を含んで成る。ビオチンおよびイミノビオチンは両方ともが中程度に親油性の二環式環構造を含有し、それはその二環式環上の4−炭素位の所で5炭素吉草酸鎖と結合している。1つの態様では、L−リシンであるアミノ酸を吉草酸のC−末端カルボキシル官能基と共有結合させることができるが、それは、吉草酸が有するカルボキシル基をL−リシンのN−末端α−アミノ基またはε−アミ
ノ基のいずれかと反応させることで実施可能である。そのような連成反応をカルボジイミド接合方法を用いて実施し、その結果として、図2に示すように、L−リシンとビオチンの間にアミド結合を生じさせる。
【0113】
3番目の群の肝細胞受容体結合分子にはイミノビオチン,カルボキシビオチンおよびビオシチンが含まれ、その場合には、吉草酸の側鎖をアミノ酸であるL−リシンのα−アミノ基またはε−アミノ基のいずれかとアミド結合で結合させる。好適な態様では、図3に示すように、イミノビオシチン部分を生じさせる時にイミノビオチンを用いる。図4に示すように、肝細胞受容体結合分子合成中にイミノビオシチンのα−アミノ基を活性エステルであるベンゾイルチオアセチルトリグリシンスルホ−N−ヒドロキシスクシニミド(BTA−3gly−スルホ−NHS)と反応させることで活性肝細胞結合分子(BTA−3gly−イミノビオシチン)を生じさせることができる。BTA−3gly−イミノビオシチンは、最終的に次の連成反応で使用可能な活性求核性スルフヒドラール官能基を発現する分子スペーサーとして機能する。そのスペーサーは当該脂質構築物に関して中位に位置し、末端のイミノビオシチン部分が前記脂質構築物の表面から約30オングストローム伸びることを可能にし、それによってイミノビオシチンの配向が最適になりかつ制限されなくなることで、肝細胞受容体と結合することが可能になる。そのような中位スペーサーには、末端のビオチン部分が示す立体化学的配向を補正する他の誘導体も含まれ得る。その中位スペーサーの主機能は、近位部分と遠位部分を線形配列で適切に共有結合させる機能である。
【0114】
前記肝細胞受容体結合分子のBTA−3gly−スルホ−NHS部分の合成はいろいろな手段を用いて実施可能であり、次の段階で、それらをビオシチンまたはイミノビオシチンと結合させることができる。最初の段階は、塩化ベンゾイルをチオ酢酸に求核付加で付加させて活性チオ官能性用の保護基を生じさせることを包含する。その反応の生成物は図5に示すようにベンゾイルチオ酢酸錯体と塩酸である。その合成の追加的段階は、図5に示すように、ベンゾイルチオ酢酸とスルホ−N−ヒドロキシスクシニミドの反応をジシクロヘキシルカルボジイミドまたは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを連成剤として用いて起こさせることでベンゾイルチオアセチルスルホ−N−ヒドロキシスクシニミド(BTA−スルホ−NHS)を生じさせることを伴う。次に、ベンゾイルチオアセチルスルホ−N−ヒドロキシスクシニミドをアミノ酸重合体(グリシン−グリシン−グリシン)と反応させる。図5に示すように、トリグリシンのα−アミノ基による求核攻撃によってベンゾイルチオアセチルトリグリシン(BTA−3gly)が生じると同時に、スルホ−N−ヒドロキシスクシニミド脱離基が水性媒体に溶解する。図6に示すように、ベンゾイルチオアセチルトリグリシンを再びジシクロヘキシルカルボジイミドまたは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドと反応させることでスルホ−N−ヒドロキシスクシニミドとのエステル結合を生じさせる。次に、その活性化されたベンゾイルチオアセチルトリグリシン(BTA−3gly−スルホ−NHS)のスルホ−N−ヒドロキシスクシニミドエステルをビオシチンまたはイミノビオシチンのL−リシン官能性のα−アミノ基と反応させることで肝細胞受容体結合部分、即ち図7に示すベンゾイルチオアセチルトリグリシンイミノビオシチン(BTA−3gly−イミノビオシチン)の伸張両親媒性脂質分子を生じさせる。
【0115】
肝細胞受容体結合分子を合成する時の2番目の主要な連成反応を説明するが、この反応では、ベンゾイルチオアセチルトリグリシンイミノビオシチンをチオエーテル結合を通してN−パラ−マレイミドフェニルブチレートホスファチジルエタノールアミン、即ち好適な燐脂質つなぎ止め分子と共有結合させる。その反応の結果として、末端のイミノビオシチン環と脂質構築物の間の正確な分子空間が分子中にもたらされる。伸張両親媒性脂質分子として機能する肝細胞受容体結合分子を生じさせるに適した反応スキームの全体を図8に示す。ベンゾイルチオアセチルトリグリシンイミノビオシチンとN−パラ−マレイミド
フェニルブチレートホスファチジルエタノールアミンを反応させてチオエーテル結合を生じさせる前に加熱を実施してベンゾイル保護基を除去しておくことで遊離のスルフヒドラール官能性を露出させる。この反応を前記スルフヒドラールが酸化されてジスルフィドになる度合が最小限になるように酸素の無い環境下で実施すべきである。さらなる酸化が起こるとスルホン、スルホキサイド、スルフェン酸またはスルホン酸誘導体が生じる可能性がある。
【0116】
1つの態様における前記分子のつなぎ止め部分は、この分子の脂質部分を構成する1対のアシル炭化水素鎖を含有する。前記分子のその部分は当該脂質構築物の脂質領域の中で非共有結合している。1つの態様では、N−パラ−マレイミドフェニルブチレートホスファチジルエタノールアミンを用いてつなぎ止め部分を生じさせる。他のつなぎ止め分子を用いることも可能である。1つの態様におけるつなぎ止め分子には、チオ−コレステロール,コレステロールオレエート,ジセチルホスフェート;1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル),1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)](ナトリウム塩)およびこれらの混合物が含まれ得る。完全に生じさせた脂質つなぎ止めおよび肝細胞受容体結合分子(LA−HRBMと表示する)の分子構造全体を図8に示す。
【0117】
4番目の群の肝細胞受容体結合分子には、水溶性部分と水に不溶な部分の両方を有する両親媒性有機分子が含まれる。その水に不溶な部分を中位または連結部分と配位または生体接合化学反応で反応させると同時に、前記水に不溶な部分が肝臓の中の肝細胞結合受容体と結合するようにする。そのような分子は、非極性誘導体化ベンゼン環構造、例えば2,6−ジイソプロピルベンゼン誘導体などまたは親油性複素二環式環構造のいずれかで構成されている遠位成分を含有する。その肝細胞受容体結合分子は全体として固定または過渡的電荷(正または負のいずれか)またはそれらのいろいろな組み合わせを有する。そのような分子は、遠位部分の末端部から約13.5オングストロームに相当するか或はそれ未満であるがそれ以上ではない所に位置するカルボニル基を少なくとも1個含有しかつ第二級アミンとカルボニル基を含有するカルバモイル部分を少なくとも1個含有する。カルバモイル部分を1個以上存在させると有機分子の分子安定性が向上する。そのような分子の中に第二級アミンを多数存在させることも可能である。そのような第二級アミンは1対の非共有電子を含有することで、当該構築物の中の他の分子とイオン−双極子および双極子−双極子結合相互作用を起こし得る。そのようなアミンは分子安定性を向上させかつ遠位部分と相互作用する負電荷をある程度生じさせることで、肝細胞受容体との結合および特異性を向上させる。この群の受容体結合分子の例は、ポリクロム−ポリ(ビス)−[N−(2,6−(ジイソプロピルフェニル)カルバモイルメチル)イミノジ酢酸]である。1つの態様では、クロムIIIを肝細胞受容体結合分子の中位に位置させる。そのような肝細胞特異的結合分子の近位部分は、その分子を当該脂質構築物の中に挿入させた後にそれの中で結合させることを可能にする疎水性および/または非極性構造を含有する。その中位および近位部分によって、また、肝細胞受容体結合分子の遠位部分の立体化学配向も補正される。
【0118】
本脂質構築物の構造および特性は当該脂質の構造および脂質間の相互作用に支配される。前記脂質の構造は主に共有結合で支配される。共有結合は本脂質構築物の個々の成分を構成する分子の構造的一体性を保持するに必要な分子結合力である。本脂質構築物は脂質間の非共有相互作用によって三次元形態に維持される。
【0119】
非共有結合は、一般的意味で、イオン−双極子または誘発されたイオン−双極子結合、および脂質の頭部に位置するいろいろな極性基と会合している水素結合で表され得る。疎水結合およびファンデルワールス相互作用は、脂質のアシル鎖の間の誘発された双極子会
合によって生じ得る。そのような結合機構は現実に過渡的であり、その結果として、結合形成と結合破壊過程がフェムト秒未満の間隔で起こる。例えばファンデルワールス相互作用は、双極子モーメントが一時的に変化することでもたらされ、それは、1つの原子または分子が有する軌道の電子が1つの側に短時間シフトすることで生じ、それによって、隣接する原子または分子にも同様なシフトが生じる。プロトンはδ+電荷を取りそして単一の電子はδ−電荷を取ることで、双極子が生じる。双極子相互作用は、両親媒性脂質分子が有する炭化水素アシル鎖の間で大きな頻度で起こる。個々の双極子が生じた後、それらはメチレン(−CH2−)官能性を含有する近隣原子の中に新しい双極子の形成を一時的に誘発する。多数の過渡的に誘発された双極子相互作用が本脂質構築物全体に渡ってアシル脂質鎖の間に生じる。そのように誘発された双極子相互作用が持続する時間はフェムト秒(1x10−15秒)の何分かの1のみであるが、官能性が集合的に働くと強力な力を及ぼす。そのような相互作用は絶えず変化しかつそれの力は共有結合の約1/20である。それにも拘らず、それらは安定な共有結合分子間の過渡的結合に責任を負っており、それによって、本構築物の三次元統計学的構造が決まりかつ本脂質構築物の中の分子の立体特異的分子配向が決まる。
【0120】
そのように誘発された双極子相互作用の結果として構築物間で脂質成分の交換が起こることで、本脂質構築物の構造が維持される。本構築物の個々の成分の組成は固定されているが、脂質構築物の個々の成分は構築物間の交換反応を受ける。そのような交換は、最初、脂質成分が脂質構築物から離れる時のゼロ次速度過程で支配される。その脂質成分が本脂質構築物から放出された後、それは近隣の脂質構築物によって再捕捉され得る。その放出された成分の再捕捉は二次反応速度過程で支配され、それは、その放出された成分がこの成分を捕捉する構築物の回りに存在する水性媒体中で示す濃度およびその放出された成分を捕捉する脂質構築物の濃度の影響を受ける。
【0121】
伸張両親媒性脂質の例は下記であり、それらを表 3に示す個々の番号の識別と一緒に示す:N−ヒドロキシスクシニミド(NHS)ビオチン[1];スルホ−NHS−ビオチン[2];N−ヒドロキシスクシニミド長鎖ビオチン[3],スルホ−N−ヒドロキシスクシニミド長鎖ビオチン[4];D−ビオチン[5];ビオシチン[6];スルホ−N−ヒドロキシスクシニミド−S−S−ビオチン[7];ビオチン−BMCC[8];ビオチン−HPDP[9];ヨードアセチル−LC−ビオチン[10];ビオチン−ヒドラジド[11];ビオチン−LC−ヒドラジド[12];ビオシチンヒドラジド[13];ビオチンカダベリン[14];カルボキシビオチン[15];フォトビオチン[16];ρ−アミノベンゾイルビオシチンのトリフルオロ酢酸塩[17];ρ−ジアゾベンゾイルビオシチン[18];ビオチン DHPE[19];ビオチン−X−DHPE[20];12−((ビオチニル)アミノ)ドデカン酸[21];12−((ビオチニル)アミノ)ドデカン酸 スクシニミジル エステル[22];S−ビオチニル ホモシステイン[23];ビオシチンX[24];ビオシチン x−ヒドラジド[25];ビオチンエチレンジアミン[26];ビオチン−XL[27];ビオチン−X−エチレンジアミン[28];ビオチン−XX−ヒドラジド[29];ビオチン−XX−SE[30];ビオチン−XX,SSE[31];ビオチン−X−カダベリン[32];α−(t−BOC)ビオシチン[33];N−(ビオチニル)−N’−(ヨードアセチル)エチレンジアミン[34];DNP−X−ビオシチンX−SE[35];ビオチン−X−ヒドラジド[36];塩酸ノルビオチンアミン[37];3−(N−マレイミジルプロピオニル)ビオシチン[38];ARP[39];ビオチン−l−スルホキサイド[40];ビオチンのメチルエステル[41];ビオチン−マレイミド[42];ビオチン−ポリ(エチレングリコール)アミン[43];(+)ビオチン 4−アミノ安息香酸ナトリウム塩[44];ビオチン 2−N−アセチルアミノ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド[45];ビオチン−α−D−N−アセチルニューラミニド[46];ビオチン−α−L−フコシド[47];ビオチン ラクト−N−ビオシド[48];ビオチン−ルイス−A 三糖[49];ビオチ
ン−ルイス−Y 四糖[50];ビオチン−α−D−マンノピラノシド[51];ビオチン 6−O−ホスホ−α−D−マンノピラノシド[52];and ポリクロム−ポリ(ビス)−[N−(2,6−(ジイソプロピルフェニル)カルバモイル メチル)イミノ]ジ酢酸[53]。
【0122】
1つの態様では、酢酸水素フタル酸セルロース重合体を本脂質構築物の中に取り込ませて、それをインターフェロン分子上の親水性官能基と結合させることでインターフェロンを加水分解による劣化から保護することができる。酢酸水素フタル酸セルロースは、重合体配置でベータ結合(1→4)しているグルコース分子を2個含有して成り、その重合体が有するヒドロキシル基上の水素原子の数個がアセチル官能性に置き換わっている(メチル基がカルボニルの炭素と結合している)か或はフタレート基(ベンゼン環がベンゼン環の1番目および2番目の位置の所に2個のカルボキシル基を有することで表される)に置き換わっている。酢酸水素フタル酸セルロース重合体の構造式を図9に示す。酢酸セルロース分子との共有エステル結合に関与しているカルボキシル基はフタレート環構造に存在するカルボキシル基の中の1個のみである。もう一方のカルボキシル基(カルボニルの炭素とヒドロキシル官能性を含有する)はインターフェロン上に存在していて隣接して位置する負帯電および正帯電双極子およびいろいろな脂質分子との水素結合に参与している。
【0123】
1つの態様において、酢酸水素フタル酸セルロース重合体は1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンホスフェートおよびジセチルホスフェート分子とのイオン−双極子結合を通して脂質と相互作用する。そのようなイオン−双極子結合は、セルロースが有するヒドロキシル基上のδ+水素と燐脂質分子が有するホスフェート部分上の負に帯電している酸素原子の間に生じる。そのようなイオン−双極子相互作用で最も大きな役割を果たす官能基は、燐脂質分子が有するホスフェート基上の負に帯電している酸素原子、インターフェロン分子が有するヒドロキシル基上の水素原子およびアミド結合上の水素原子である。負に帯電している官能基はイオン−双極子相互作用の部位および酢酸水素フタル酸セルロース上の個々のヒドロキシル基およびカルボキシル官能性のヒドロキシル基上のδ+水素原子との反応部位を形成する。イオン−双極子は、ホスホコリン官能上の正に帯電している第四級アミンと酢酸水素フタル酸セルロースおよびインターフェロン上に存在するδ−カルボニル酸素の間にも生じ得る。インターフェロンの中の分枝親水性構造を有する糖分子は水素結合およびイオン−双極子相互作用に参与し得る。
【0124】
【表4】
【0125】
【表5】
【0126】
【表6】
【0127】
【表7】
【0128】
【表8】
【0129】
【表9】
【0130】
【表10】
【0131】
【表11】
【0132】
【表12】
【0133】
【表13】
【0134】
【表14】
【0135】
【表15】
【0136】
【表16】
【0137】
【表17】
【0138】
【表18】
【0139】
【表19】
【0140】
【表20】
【0141】
【表21】
【0142】
【表22】
【0143】
重合体の分子形態および大きさ(適切な分子量は15,000以上である)によって、酢酸水素フタル酸セルロースは親水性頭基領域の中で本脂質構築物の個々の燐脂質分子を
覆うことができる。そのような被覆によって、本脂質構築物の中のインターフェロンが胃の酸性環境から保護される。酢酸水素フタル酸セルロースを本脂質構築物の中の分子の表面と結合させることを可能にする方法はいくつか存在する。酢酸水素フタル酸セルロースを本脂質構築物の表面と結合させる好適な手段は、インターフェロン分子の尾に高分子量セルロース種を結合させることで本脂質構築物の表面から突き出る糖を与える手段である。それによってインターフェロンの蛋白質系尾が酵素による加水分解から保護される。
【0144】
伸張両親媒性脂質は、受容体と結合するに適したいろいろな多座結合部位を含んで成る。多座結合を起こさせるには、本明細書で定義するように、酢酸水素フタル酸セルロース重合体が有するカルボニル、カルボキシルおよびヒドロキシル官能基と相互作用し得る多数の可能な結合部位をインターフェロンの表面におよび付随する糖部分上ばかりでなく本脂質構築物上にも存在させる必要がある。それによって、酢酸水素フタル酸セルロース重合体が本脂質構築物上ばかりでなくまたインターフェロン分子上にも存在する多数の親水性領域と結合することが可能になり、それによって、本親水性構築物の加水分解保護遮蔽が確立される。このようにして、インターフェロンおよび本脂質構築物の両方がインターフェロン投薬形態物を経口投与した後に胃の酸性環境から保護される。酢酸水素フタル酸セルロースは本脂質構築物の中および表面に存在する個々の脂質分子を覆うか或は遮蔽すると同時に胃を通過するが、それでも、本構築物が小腸のアルカリ性領域にまで移行すると、酢酸水素フタル酸セルロースは加水分解によって分解する。酢酸水素フタル酸セルロースが本脂質構築物の分子の表面から取り除かれた後、脂質つなぎ止め−肝細胞受容体結合分子、例えば1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(Cap ビオチニル)などが露出して、次に受容体との結合で利用されるようになる。インターフェロンのより高い生物学的利用能の達成を確保するには、そのように酢酸水素フタル酸セルロースでインターフェロンおよび本脂質構築物を覆う態様が必要である。
【0145】
1つの態様における本脂質構築物は、橋かけ成分と錯化剤が錯体を形成することで生じた多数の連結した個々の単位を含んで成る標的分子錯体を含んで成る。そのような橋かけ成分は、錯化剤と一緒に水に不溶な配位錯体を形成し得る金属の水溶性塩である。適切な金属を遷移金属および内部遷移金属または遷移金属の同胞から選択する。そのような金属を選択する源の遷移金属および内部遷移金属は下記である:Sc(スカンジウム),Y(イットリウム),La(ランタン),Ac(アクチニウム),アクチニド系列;Ti(チタン),Zr(ジルコニウム),Hf(ハフニウム),V(バナジウム),Nb(ニオブ),Ta(タンタル),Cr(クロム),Mo(モリブデン),W(タングステン),Mn(マンガン),Tc(テクネチウム),Re(レニウム),Fe(鉄),Co(コバルト),Ni(ニッケル),Ru(ルテニウム),Rh(ロジウム),Pd(パラジウム),Os(オスミウム),Ir(イリジウム)およびPt(白金)。そのような金属を選択することが可能な源の遷移金属同胞は下記である:Cu(銅),Ag(銀),Au(金),Zn(亜鉛),Cd(カドミウム),Hg(水銀),Al(アルミニウム),Ga(ガリウム),In(インジウム),Tl(タリウム),Ge(ゲルマニウム),Sn(錫),Pb(鉛),Sb(アンチモン)およびBi(ビスマス)および Po(ポロニウム)。橋かけ剤として有用な金属化合物の例には、塩化クロム(III)六水化物;フッ化クロム(III)四水化物;臭化クロム(III)六水化物;クエン酸ジルコニウム(IV)アンモニウム錯体;塩化ジルコニウム(IV);フッ化ジルコニウム(IV)水化物;ヨウ化ジルコニウム(IV);臭化モリブデン(III);塩化モリブデン(III);硫化モリブデン(IV);水化鉄(III);燐酸鉄(III)四水化物,硫酸鉄(III)五水化物などが含まれる。
【0146】
そのような錯化剤は、橋かけ成分と一緒に水に不溶な配位錯体を形成し得る化合物である。適切な錯化剤の系列はいくつか存在する。
【0147】
ある種の錯化剤は式(1)
【化1】
[式中、
R1は、低級アルキル,アリール,アリール低級アルキルおよび複素環式置換基である]で表されるイミノジ酢酸の系列から選択可能である。
【0148】
式(1)で表される適切な化合物には下記が含まれる:
N−(2,6−ジイソプロピルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(2,6−ジエチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(2,6−ジメチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(4−イソプロピルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(4−ブチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(2,3−ジメチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(2,4−ジメチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(2,5−ジメチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(3,4−ジメチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(3,5−ジメチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(3−ブチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(2−ブチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(4−第三ブチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(3−ブトキシフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(2−ヘキシルオキシフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
N−(4−ヘキシルオキシフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
アミノピロール イミノジ酢酸;
N−(3−ブロモ−2,4,6−トリメチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
ベンゾイミダゾール メチル イミノジ酢酸;
N−(3−シアノ−4,5−ジメチル−2−ピリルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;N−(3−シアノ−4−メチル−5−ベンジル−2−ピリルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;および
N−(3−シアノ−4−メチル−2−ピリルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸、および式(2),
【0149】
【化2】
[式中、
R2およびR3は下記である:
R2 R3
H イソ−C4H9
H CH2CH2SCH3
H CH2C6H4−p−OH
CH3 CH3
CH3 イソ−C4H9
CH3 CH2CH2SCH3
CH3 C6H5
CH3 CH2C6H5
CH3 CH2C6H4−p−OCH3 ]
で表される他のN−(3−シアノ−4−メチル−2−ピリルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸誘導体。
【0150】
ある種の錯化剤を一般式(3)
【化3】
[式中、
R4,R5およびR6は、互いに独立して、水素,低級アルキル,アリール,アリール低級アルキル,アルコキシ低級アルキルおよび複素環であってもよい]
で表されるイミノ二酸誘導体の系列から選択する。
【0151】
式(3)で表される適切な化合物には、N’−(2−アセチルナフチル)イミノジ酢酸(NAIDA);N’−(2−ナフチルメチル)イミノジ酢酸(NMIDA);イミノジカルボキシメチル−2−ナフチルケトンフタレインコンプレクソン;3(3:7a:12a:トリヒドロキシ−24−ノルコラニル−23−イミノジ酢酸;ベンゾイミダゾールメチルイミノジ酢酸;およびN−(5,プレグネン−3−p−オール−2−オイルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸が含まれる。
【0152】
ある種の錯化剤を式(4),
【化4】
[式中、
R7は、アミノ酸側鎖であり、R8は低級アルキル,アリール,アリール低級アルキルであり、そしてR9はピリドキシリデンである]
で表されるアミノ酸の系列から選択する。
【0153】
式(4)で表される適切なアミノ酸は脂肪族アミノ酸であり、これには、これらに限定するものでないが、グリシン,アラニン,バリン,ロイシン,イソロイシン;ヒドロキシアミノ酸(セリンおよびトレオニンを包含);ジカルボキシルアミノ酸およびこれらのアミド(アスパラギン酸,アスパラギン,グルタミン酸,グルタミンを包含);塩基官能を有するアミノ酸(リシン,ヒドロキシリシン,ヒスチジン,アルギニンを包含);芳香族アミノ酸(フェニルアラニン,チロシン,トリプトファン,チロキシンを包含)および硫黄含有アミノ酸(シスチン,メチオニンを包含)が含まれる。
【0154】
ある種の錯化剤をアミノ酸誘導体から選択するが、それには、これらに必ずしも限定するものでないが、(3−アラニン−y−アミノ)酪酸,O−ジアゾアセチルセリン(アザセリン),ホモセリン,オルニチン,シトルリン,ペニシラミンおよびピリドキシリデンクラスの化合物の員が含まれ、それには、これらに限定するものでないが、グルタミン酸ピリドキシリデン;ピリドキシリデンイソロイシン;ピリドキシリデンフェニルアラニン;ピリドキシリデントリプトファン;ピリドキシリデン−5−メチルトリプトファン;ピリドキシリデン−5−ヒドロキシトリプタミン;およびピリドキシリデン−5−ブチルトリプタミンが含まれる。
【0155】
ある種の錯化剤を一般式(6),
【化5】
[式中、
R10は水素,低級アルキルまたはアリールであり;R11は低級アルキレンまたはアリール低級アルキルであり;R12 およびR13は独立して水素,低級アルキル,アルキル,アリール,アリール低級アルキル,アシル複素環,トルエン,スルホニルまたはトシレートである]
で表されるジアミンの系列から選択する。
【0156】
式(6)で表される数種の適切なジアミンには、これらに限定するものでないが、エチレンジアミン−N,N ジ酢酸;酢酸エチレンジアミン−N,N−ビス(−2−ヒドロキシ5−ブロモフェニル);N’−アセチルエチレンジアミン−N,N ジ酢酸;N’−ベンゾイル エチレンジアミン−N,N ジ酢酸;N’(p−トルエンスルホニル)エチレンジアミン−N,N ジ酢酸;N’−(p−t−ブチルベンゾイル)エチレンジアミン−N,N ジ酢酸;N’−(ベンゼンスルホニル)エチレンジアミン−N,N ジ酢酸;N’−(p−クロロベンゼンスルホニル)エチレンジアミン−N,N ジ酢酸;N’−(p
−エチルベンゼンスルホニル エチレンジアミン−N,N ジ酢酸;N’−アシルおよびN’−スルホニル エチレンジアミン−N,N ジ酢酸;N’−(p−n−プロピルベンゼンスルホニル)エチレンジアミン−N,N ジ酢酸;N’−(ナフタレン−2−スルホニル)エチレンジアミン−N,N ジ酢酸;および N’−(2,5−ジメチルベンゼンスルホニル)エチレンジアミン−N,N ジ酢酸が含まれる。
【0157】
他の適切な錯体形成化合物もしくは錯化剤には、これらに限定するものでないが、ペニシラミン;p−メルカプトイソ酪酸;ジヒドロチオクト酸;6−メルカプトプリン;ケトキサール−ビス(チオセミカルバゾン);肝胆汁性アミン錯体,1−ヒドラジノフタラジン(ヒドララジン);スルホニル尿素;肝胆汁性アミノ酸シッフ塩基錯体;グルタミン酸ピリドキシリデン;ピリドキシリデン イソロイシン;ピリドキシリデン フェニルアラニン;ピリドキシリデン トリプトファン;ピリドキシリデン 5−メチル トリプトファン;ピリドキシリデン−5−ヒドロキシトリプタミン;ピリドキシリデン−5−ブチルトリプタミン;テトラシクリン;7−カルボキシ−p−ヒドロキシキノリン;フェノールフタレイン;青みがかったエオシンI;黄色がかったエオシンI ;ベログラフィン;3−ヒドロキシル−4−ホルミル−ピリデングルタミン酸;アゾ置換イミノジ酢酸;肝胆汁性色素錯体、例えばローズベンガル;コンゴレッド;ブロモスルホフタレイン;ブロモフェノールブルー;トルイジンブルーおよびインドシアニングリーンなど;肝胆汁性コントラスト剤、例えばヨージパミド;およびイオグリカミン酸(ioglycamic acid);胆汁塩、例えばビリルビン;コルギシリオドヒスタミン(cholgycyliodohistamine);およびチロキシン;肝胆汁性チオ錯体、例えばペニシラミン;p−メルカプトイソ酪酸;ジヒドロチオシト酸(dihydrothiocytic
acid);6−メルカプトプリン;およびケトキサール−ビス(チオセミカルバゾン);肝胆汁性アミン錯体、例えば1−ヒドラジノフタラジン(ヒドララジン);およびスルホニル尿素;肝胆汁性アミノシッフ塩基錯体(ピリドキシリデン−5−ヒドロキシトリプタミンおよびピリドキシリデン−5−ブチルトリプタミンを包含);肝胆汁性蛋白質錯体、例えばプロタミン;フェリチン;およびアシアロ−オロソムコイド;およびアシアロ錯体、例えばラクトサミン化アルブミン;免疫グロブリン,G,IgG;およびヘモグロビンが含まれる。
【0158】
橋かけ剤と錯化剤を組み合わせることで生じさせた三次元標的分子錯体がWO 99/59545(これは引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。1つの態様における橋かけ剤は、錯化剤、例えばN−(2,6−ジイソプロピルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸などと一緒に配位錯体を形成し得る金属塩、例えば塩化クロム六水化物などである。そのような橋かけ剤と錯化剤を一緒にすることで三次元配列で連結した多数の単位で構成されている錯体を生じさせる。好適な態様では、そのような錯体をクロム(ビス)[N−(2,6−(ジイソプロピルフェニル)カルバモイルメチル)イミノジ酢酸]の多数の単位を一緒に連結させることで構成させる。1つの態様におけるクロム標的分子錯体物質は、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンとジセチルホスフェートとコレステロールを含有する脂質混合物に可溶である。そのような錯体をこの上に記述した群の脂質で構成させた脂質構築物の中に取り込ませる。
【0159】
1つの態様では、インターフェロンを適切な比率で抗ウイルス薬、例えばリビリビン、アシクロビル、二本鎖DNA、オリゴヌクレオチド、プロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤およびそれ自身は有効ではないがHDVに入れて送達した時に有効である他の可能な抗ウイルス剤と一緒に混合する。
【0160】
発明の説明−脂質構築物の製造方法
図11に、両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質とインターフェロンを含んで成る脂質構築
物を製造する方法の概略を示す。
【0161】
そのような組成物の製造は全体で下記の3段階を包含する:両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質の混合物を調製する段階、両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質の前記混合物から脂質構築物を調製する段階、およびインターフェロンを前記脂質構築物の中に組み入れる段階。
【0162】
脂質の製造および充填を本明細書に開示する方法および米国特許第4,946,787;4,603,044および5,104,661、およびそれらに引用されている文献に記述されている方法を用いて実施する。典型的には、本発明の水性脂質構築物配合物は、水溶液中に活性薬剤を0.1重量%から10重量%(即ち1ml当たり1−10mgの薬剤)および脂質を0.1重量%から4重量%含有して成り、場合により塩および緩衝液を100体積%になる量で含有していてもよい。好適な配合物は、活性薬剤含有量が0.1%から5%の配合物である。最も好適な配合物は活性薬剤が0.01重量%から5重量%および脂質成分が2重量%以下の量で100体積%になるに充分な量(q.s.)の水溶液に入っている配合物である。
【0163】
1つの態様では、本脂質構築物の調製を下記の手順を用いて実施する。個々の脂質成分を有機溶媒系中で一緒に混合するが、ここでは、その溶媒をこの溶媒に付随していくらか存在する可能性のある残存水を除去する目的でモレキュラーシーブを用いて約2時間乾燥させておいた。1つの態様では、そのような溶媒系にクロロホルムとメタノールが2:1の体積比の混合物を含めた。また、乾燥させた脂質の混合物から容易に除去可能な他の有機溶媒も使用可能である。最初の混合手順で脂質成分を単一段階で添加することを利用すると、脂質構築物の構造を不必要に複雑にする可能性がありかつ追加的分離手順を必要とする如何なる追加的連成反応も導入する必要がなくなる。その脂質成分と肝細胞受容体結合分子を溶媒に溶解させた後、その溶媒の除去を脂質の乾燥した混合物が生じるまで高真空下で実施する。1つの態様では、ロトエバポレーターを約60℃で約2時間ゆっくり回転させることでか或は本技術分野で公知の他の方法を用いて溶媒を真空下で除去する。その脂質混合物をさらなる使用の目的で貯蔵してもよいか或は直接用いることも可能である。
【0164】
本脂質構築物の調製を両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質の乾燥させた混合物を用いて実施する。その乾燥させた脂質混合物を適切な量の緩衝水溶液媒体に加えた後、その混合物を渦巻き撹拌することで均一な懸濁液を生じさせる。次に、その脂質混合物を乾燥窒素雰囲気下で混合しながら約80℃に約30分間加熱する。その加熱した均一な懸濁液を約70℃に前以て加熱しておいたミクロ流動装置(micro−fluidizer)に直ちに移す。その懸濁液をミクロ流動装置の中に通す。均一な脂質ミクロ懸濁液を得るには前記懸濁液を前記ミクロ流動装置に追加的に通す必要もあり得る。1つの態様では、Model #M−110 EHIミクロ流動装置を用い、ここでは、最初に通す時の圧力を約9,000psigにした。均一な脂質ミクロ懸濁液の特性を示す生成物を生じさせるには、前記脂質懸濁液を前記ミクロ流動装置に2回通す必要があるかもしれない。そのような生成物は肝細胞受容体結合分子を含有する三次元脂質構築物として構造的および形態的に限定されている。
【0165】
インターフェロンをそのような脂質構築物の中に下記の2方法の中の1つを用いて充填する:平衡充填および非平衡充填。インターフェロンの平衡充填は、インターフェロンを前記脂質構築物の懸濁液に添加した時点で始まる。時間が経過すると、インターフェロン分子が前記脂質構築物に出入りする。そのような動きは分配平衡に支配され、インターフェロンを最初に前記懸濁液に導入した後にインターフェロンが前記脂質構築物の中に入り込む。
【0166】
インターフェロンが前記脂質構築物の中に非平衡充填で入り込むことでインターフェロンが前記脂質構築物の中に局在化する。遊離インターフェロンが前記脂質構築物の中に入り込む平衡充填が起こった後に遊離インターフェロンが入っている多量相媒体を除去する。非平衡充填手順はベクトル推進プロセス(vector−driven process)であり、それは外部の多量相媒体を除去した瞬間に始まる。インターフェロンが入っている水相を除去するとインターフェロンが脂質構築物から移行して出て行く勾配ポテンシャル(gradient potential)がなくなる。このプロセス全体の結果として、最終的脂質構築物の中に存在するインターフェロンの濃度がより高くなる、と言うのは、インターフェロンが前記構築物の中から出て行く動きがなくなるからである。インターフェロンの平衡充填は時間に依存する現象であるが、非平衡充填手順は実際上瞬時である。溶液に入っている材料を脂質構築物から分離するいろいろな方法を用いて非平衡充填を開始させることができる。そのような方法の例には、これらに限定するものでないが、濾過、セントリコン(centricon)濾過、遠心分離、バッチ型アフィニティークロマトグラフィー、ストレプトアビジンアガロース親和性ゲルクロマトグラフィーまたはバッチ型イオン交換クロマトグラフィーが含まれる。インターフェロンが拡散して出て行く勾配ポテンシャルをなくさせかつインターフェロンが脂質構築物に保持されるようにする如何なる手段も使用可能である。
【0167】
バッチ型クロマトグラフィーを用いる場合、アフィニティーまたはイオン交換ゲルをインターフェロンと本構築物の混合物と急速混合する。そのクロマトグラフィーの媒体との結合が迅速に起こり、そしてその水相を傾斜法で除去するか或は古典的な濾過技術、例えば濾紙とブフナー漏斗の使用などで前記クロマトグラフィー用媒体を前記水性媒体から除去する。
【0168】
本脂質構築物は、この脂質構築物の内部ばかりでなくまたそれの表面の中および表面の上に存在する充填されたインターフェロンを個別の量で含有する。そのようにして生じさせた脂質構築物は新しい新規な組成物であり、非平衡充填の結果としてインターフェロンを有効量で送達するに適した組成物になる。インターフェロンをそのような脂質構築物の中に充填した後に多量相のインターフェロンを除去すると、結果として、外部相媒体の除去に要する時間が短くなることで、脂質構築物の中に存在するインターフェロンの濃度が高くなる。時間に依存する手順、例えばイオン交換またはゲル濾過クロマトグラフィーなどを用いたのでは構築物へのそのようなインターフェロン充填度合を達成するのは困難であると思われる、と言うのは、そのような手順ではインターフェロンが高濃度で入っている緩衝液を絶えず注入する必要があるからである。例えば、小規模のカラムクロマトグラフィーを用いてインターフェロンを構築物の中に充填しようとする場合、インターフェロンが入っている外部の多量相媒体をインターフェロンを含有する構築物から除去するに要する時間は約20分である。その期間の間にインターフェロンが前記構築物から出て行くことで平衡状態が再び確立される。インターフェロンが脂質構築物の中および上に高濃度で存在することが維持されることが、非平衡充填を用いる肯定的な利点の中の1つである。
【0169】
そのような非平衡充填方法を拡張した方法では、インターフェロンを脂質構築物に充填する段階中、インターフェロンに平衡充填を受けさせた後であるが非平衡充填過程を開始する前に酢酸水素フタル酸セルロースを脂質構築物に添加する。インターフェロン分子の性質および構造によってインターフェロンが脂質構築物の中に入り込んで、それが脂質構築物全体に渡って分散する。インターフェロンの親水性部分ばかりでなく分枝した複雑な糖および追加的官能基が脂質構築物の表面から多量相媒体の中に伸びる。そのようなインターフェロンの伸張親水性部分は、脂質構築物の表面の所で、図10に示す如き酢酸水素フタル酸セルロースが有するヒドロキシル基,カルボキシル基およびカルボニル官能との
水素結合、双極子−双極子およびイオン−双極子相互作用に参与し得る。酢酸水素フタル酸セルロースは、脂質構築物の分子を一緒にするユニークな手段を与えるものであり、それによって、当該脂質構築物の内容物を胃の消化環境から保護する優れた遮蔽が与えられる。胃の中で起こる消化過程は、酵素であるペプシンが蛋白質系基質を加水分解で開裂させるばかりでなく酸による加水分解によって開裂させる結果として起こる。そのような胃の酸性環境によって遊離インターフェロンが分解を起こしかつ燐脂質分子の中のアシル炭化水素鎖をグリセロールバックボーンに保持させているエステル結合が加水分解を起こし得る。加水分解による開裂はまたホスホコリン基が有するホスフェート官能性のいずれの側でも起こり得る。その消化系は胃の酸性領域から小腸のアルカリ性領域に移り、そこにはトリプシンおよびキモトリプシンの酵素作用が存在する。アミノ酸溶解酵素、例えばアルファアミノペプチダーゼなどによって蛋白質、例えばインターフェロンなどはN−末端から劣化を起こし得る。酢酸水素フタル酸セルロースを脂質構築物に存在させておくとインターフェロンが加水分解による劣化から保護される。小腸のアルカリ性環境によって脂質構築物を遮蔽している酢酸水素フタル酸セルロースが加水分解で劣化を起こすことから、肝細胞受容体結合分子が利用可能になることで当該構築物が肝細胞結合受容体と結合することができるようになる。如何なる特別な理論でも範囲を限定することを望むものでないが、非平衡充填が終了した時点で酢酸水素フタル酸セルロースを添加すると加水分解からの防護が相乗的に起こる。そのような防護はインターフェロンおよび個々の脂質分子に分配されるばかりでなくまた脂質構築物全体にも与えられる。そのような相乗性によって集合的ばかりでなく個々の分子が酵素および酸による加水分解から保護される。
【0170】
1つ態様では、いろいろな方法を用いて酢酸水素フタル酸セルロースをインターフェロンまたは脂質構築物のいずれかと共有結合させる。例えば、1つの方法は、酢酸水素フタル酸セルロースが有するヒドロキシル基を1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン上またはインターフェロン分子が有する10個のL−リシンのε−アミノ基上に存在するアミン官能性とマンニッヒ反応を利用して連成させることを伴う。
【0171】
1つの態様では、酢酸水素フタル酸セルロースを脂質構築物の中にインターフェロンを前記構築物の中に平衡充填している間に詰め込む。前記酢酸水素フタル酸セルロースが有するヒドロキシルおよびカルボニル官能性と脂質構築物の中の脂質分子が水素結合を形成する。酢酸水素フタル酸セルロースと前記構築物の間に水素結合が形成される時期はインターフェロンを平衡条件下で脂質構築物の中に充填している時期と同時であり、それによって、インターフェロンの回りおよび前記構築物の回りに遮蔽が作り出される。
【0172】
HDV インターフェロンをストレプトアビジン−アガロースイミノビオチンと結合させることを通して、それを水性媒体から回収して再利用する。ストレプトアビジンは臭化シアンで活性化されたアガロースと共有結合し、それによって、当該構築物へのインターフェロンの非平衡充填が終了した時点でイミノビオチンが基になった脂質構築物を水性媒体中のインターフェロンから分離する手段がもたらされる。1つの態様では、イミノビオチン誘導体を用いて当該脂質構築物の中の燐脂質部分の肝細胞受容体結合部分を生じさせる。その脂質つなぎ止め分子の水溶性部分は脂質表面から約30オングストローム伸び、それによって、燐脂質部分の肝細胞受容体結合部分と肝細胞受容体の結合が助長されかつ当該脂質構築物とストレプトアビジンの結合が助長される。
【0173】
ストレプトアビジンはイミノビオチンと9.5以上のpH値で可逆的に結合し、イミノビオチンが有する帯電してないグアンジノ官能基が蛋白質表面の下方約9オングストロームの所に位置するストレプトアビジン上の4個の結合部位の中の1つと強力に結合する。20mMの炭酸ナトリウム−重炭酸ナトリウム緩衝液を添加して前記構築物が入っている水性混合物のpHをpH9.5にまで上昇させることで、イミノビオチンを含有する脂質構築物を緩衝媒体から取り出す。そのようなpHにすると、多量相媒体の中に遊離インタ
ーフェロンが入り込み、それをいろいろな手順で脂質構築物から回収して分離するが、そのような手順には、これらに限定するものでないが、濾過、遠心分離またはクロマトグラフィーが含まれる。
【0174】
次に、pHが9.5の前記混合物をストレプトアビジン−アガロース架橋ビードと混合することで、前記構築物をストレプトアビジン上に吸着させる。前記ビード(直径が約120ミクロン)を濾過で前記溶液から分離する。20mMの酢酸ナトリウム−酢酸緩衝液(pH4.5)を添加してpHをpH9.5からpH4.5にまで低くすることで、脂質構築物をストレプトアビジン−アガロース親和性ゲルから放出させる。pHが4.5の時、図10に示すように、イミノビオチンのグアンジノ基はプロトン化して正に帯電する。脂質構築物が放出され、それを濾過でストレプトアビジン−アガロースビードから分離する。ストレプトアビジン−アガロースビードを回収して追加的に用いる。このように、遊離インターフェロンとストレプトアビジン−アガロースの両方を節約して再使用することができる。
【0175】
1つの態様では、イミノビオチンまたはイミノビオシチン脂質構築物にインターフェロン−アルファをストレプトアビジン−アガロースビードを用いて充填すると、インターフェロンを長時間に渡って放出する組成物がもたらされる。上述した構築物のpHをpH9.5からpH4.5に調整するとpHが約5.9になった時点でインターフェロン−アルファが前記脂質構築物の中で沈澱を起こす。インターフェロン−アルファの等電点はpH5.9であり、これはインターフェロン−アルファが水中で最も低い溶解度を示す時のpHに相当する。pHがpH5.9からpH6.7の範囲より高いと、インターフェロン−アルファは本質的に不溶のままでありかつ粒子状物質に共通した属性である特性を示す。脂質構築物の中でインターフェロン−アルファが不溶化することで、皮下注射または経口投与で投与された時にインターフェロン−アルファ分子を徐放する新規なインターフェロン−アルファ製剤がもたらされる。インターフェロン−アルファの可溶化は当該脂質構築物のpHがpH7.4に近づくと始まる。
【0176】
本脂質構築物を凍結乾燥させるか或は投与するまで非水性環境の中に保持する。水性投薬形態のインターフェロン−アルファの場合には、インターフェロン−アルファが不溶形態のままであるように、そのインターフェロン−アルファ溶液のpHを約pH6.5に維持する。インターフェロン−アルファが外部の生体内pH勾配にさらされると、インターフェロン−アルファが可溶化して当該脂質構築物から出て行くことで、インターフェロン−アルファがウイルスが潜んでいる他の組織に供給される。当該脂質構築物と一緒のままのインターフェロンは、肝臓の中の肝細胞上の肝細胞結合受容体に向かう能力を維持したままである。従って、そのような特別な脂質構築物を用いると2種類の形態のインターフェロン−アルファがもたらされる。生体内環境では、遊離インターフェロン−アルファおよび脂質と合併したインターフェロン−アルファが時間に依存した様式で生じる。この上に記述したようにして脂質と合併しているインターフェロン−アルファの可溶化物を製造することができ、それによってインターフェロンを指定放出時間の間に放出させることができると予測する。そのようにするとウイルスに感染している患者に投与する予定の頻度が少なくなる。
【0177】
好適な態様において、インターフェロン分子は当該脂質構築物の中に移動しそしてそれを詰め込む脂質構築物の脂質領域の中に隔離される。インターフェロン充填手順の最終段階中に化学的平衡が乱れた時でもインターフェロン分子が1つの方向に移動するようにする目的でベクトル推進方法を用いる。最終的インターフェロン充填段階中に緩衝剤または水性媒体が移動する速度は速いことから、当該脂質構築物と合併したインターフェロン分子は、それが入り込む外部の媒体から追いやられる。その外部の媒体を除去すると、前記脂質構築物と合併しているインターフェロンと前記外部の媒体に溶解しているインターフ
ェロンの間の平衡が効果的に壊れる。この過程を本明細書の他の場所で記述した如き非平衡充填と呼ぶ。
【0178】
1つの態様では、平衡方法を用いて脂質構築物にインターフェロンを充填する。そのような充填手順を開始させる目的で、蛋白質1ミクログラム当たりのインターフェロンが273,000単位のインターフェロン濃度を選択する。平衡充填を当該脂質構築物がインターフェロンで飽和状態になるまで継続する。
【0179】
脂質構築物へのインターフェロンの非平衡充填を終了する過程では、遊離インターフェロンが入っている緩衝媒体から固体状の脂質構築物を分離する手順を用いる必要がある。1つの態様では、当該脂質構築物を外部の媒体から分離する目的で、非常に微細な微小孔を有する合成膜を用いた濾過手順を用いる。別の態様では、100,000分子量カットオフ膜が備わっている適切なフィルター、例えばNanoSepフィルターなどが備わっている濾過遠心分離装置、例えばセントリコン装置などを用いて、当該脂質構築物を遊離インターフェロンが入っている緩衝媒体から取り出す。そのような脂質構築物に入っているインターフェロンの濃度は、合併したインターフェロンと前記構築物から除去した多量相媒体の中に入っている遊離インターフェロン分子とはもはや平衡状態ではないことから維持される。溶液に入っている遊離インターフェロンは他の脂質構築物の充填で使用可能である。このように、インターフェロンを脂質構築物の中に集中させるベクトル推進方法を本質的に時間に依存しない手順を用いて1段階で達成する。
【0180】
多量相媒体から単離した後の脂質構築物の大きさは直径で表して約0.0200ミクロンから0.4000ミクロンの範囲であり得る。脂質構築物の粒径は一般にガウス分布に従ういろいろな粒径を包含する。意図した薬理学的効力を達成するに必要な適切な脂質構築物サイズの選択では、脂質構築物の粒径が肝細胞結合受容体がガウス分布において示す粒径を包含するように選択することができる。
【0181】
インターフェロンと両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質を含んで成る脂質構築物の調製を、大きな脂質構築物をより小さな構築物に崩壊させる高いせん断力を与えるミクロ流動方法を用いて実施する。本脂質構築物に含有させる両親媒性脂質成分には、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン,コレステロール,ジセチルホスフェート,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(Cap ビオチニル),1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル),1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)](ナトリウム塩),2,3−ジアセトキシプロピル 2−(5−((3aS,6aR)−2−オキソヘキサヒドロ−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−4−イル)ペンタンアミド)エチル燐酸トリエチルアンモニウムおよびこれらの適切な誘導体が含まれ得、それらの代表的な構造を表 3に示す。
【0182】
1つの態様における構築物は、橋かけ成分と錯化剤の錯体形成で生じた多数の連結した個々の単位を含んで成る標的分子錯体を含んで成る。そのような標的分子錯体を、典型的には、選択した金属化合物、例えば塩化クロム(III)六水化物などと当該錯化剤の緩衝水溶液を一緒にすることで生じさせる。1つの態様では、当該錯化剤が入っている緩衝水溶液の調製を、錯化剤、例えばN−(2,6−ジイソプロピルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸などを緩衝水溶液、例えば10mMの酢酸ナトリウム緩衝液などの中に最終pHが3.2−3.3になるように溶解させることを通して実施する。前記金属化合物を当該錯化剤の不溶部分との錯体が生じるに充分な過剰量で加えて、反応を20℃から33℃の温度で24から96時間、または結果として生じた錯体が緩衝水溶液から析出するまで実施する。次に、その沈澱してきた錯化剤(これは重合体特性を示す)を単離し
て、将来用いる。前記錯体を両親媒性脂質分子と伸張両親媒性脂質の混合物に添加した後に脂質構築物の調製を実施する。
【0183】
発明の説明−使用方法
肝炎にかかっている患者に水に不溶な標的分子錯体と合併しているインターフェロンと遊離インターフェロンの混合物を含んで成る肝細胞標的組成物を有効量で投与する。1つの態様では、インターフェロンを抗ウイルス薬、例えばルビビリン、アシクロビル、二本鎖DNA、オリゴヌクレオチド、プロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤およびそれ自身は有効ではないがHDVに入れて送達した時に有効になり得る他の可能な抗ウイルス剤と適切な比率で混合する。1つの態様では、そのような組成物を皮下または経口経路で投与してもよい。
【0184】
前記組成物を患者に皮下注射で投与した後、その注射領域の中の生理学的pHのインシトゥ環境によってpHが上昇し、それによって遊離インターフェロンおよび水に不溶な標的分子錯体と合併しているインターフェロンが有する形態および化学的構造が影響を受ける。そのインターフェロンの回りの環境のpHが高くなると、脂質構築物の中に入っていてそれと結合しているインターフェロンが可溶形態に変化し、それによって循環系から肝臓に移動することが可能になる。
【0185】
標的分子錯体と合併しているインターフェロンを含んで成る製薬学的組成物を投与すると、その後、その標的分子錯体と合併しているインターフェロンが腸で吸収されて体の循環系の中に入り、それはまた血液の生理学的pHにもさらされる。前記脂質構築物が肝臓を標的にして送達される。1つの態様では、前記脂質構築物の中に酢酸水素フタル酸セルロースを存在させることで前記構築物を加水分解酵素から遮蔽する。その経口投与過程で前記遮蔽されている脂質構築物は口腔を通過し、胃の中を移行した後、小腸の中に移動し、その小腸のアルカリ性pHによってその遮蔽していた酢酸水素フタル酸セルロースが分解を起こす。その遮蔽が取り除かれた脂質構築物が吸収されて循環系の中に入り込む。それによって、前記脂質構築物は肝類洞の中に送達される。受容体結合分子、例えば1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(Cap ビオチニル)または上述した他の肝細胞特異的分子などは、前記脂質構築物が前記受容体と結合する手段を与え、そしてその後に肝細胞に飲み込まれるか或は取り込まれる。次に、インターフェロンが前記脂質構築物から放出され、細胞環境に入り込むことで、感染ウイルス、例えばA型肝炎,B型肝炎,C型肝炎,D型肝炎,E型肝炎,F型肝炎およびG型肝炎および他のウイルスなどに対抗する薬剤として作用することに関して考案した機能を果たす。
【0186】
本発明の脂質構築物の構造によって、インターフェロンを宿主に投与するための製薬学的用途に有用な薬剤がもたらされる。従って、本発明の構造物は製薬学的に受け入れられる担体と組み合わせた製薬学的組成物として用いるに有用である。本明細書に記述する構造物の投与は、投与する必要のあるインターフェロンに受け入れられる投与様式のいずれかを用いて実施可能である。そのような方法には経口,非経口,鼻および他の全身用もしくはエーロゾル形態が含まれる。
【0187】
投与するインターフェロンの量は、治療すべき被験体、病気の種類およびひどさ、投与様式および処方する医者の判断に依存するであろう。興味の持たれる特定の生物学的活性物質に有効な投薬量の範囲はいろいろな要因に依存しかつ一般に本分野の通常の技術者に公知であるが、いくつかの投薬指針は一般的に明記可能である。大部分の投薬形態物では、脂質成分を水溶液の中に入れて懸濁させるが、それの量を一般に製剤全体の4.0%(重量/体積)以下にする。そのような製剤の薬剤成分の量を最も高い可能性として当該製剤の一般に0.01%(重量/体積)以上から20%(重量/体積)未満にする。
【0188】
有効成分の含有量が0.005%から5%の範囲で残りを無毒の担体が構成している投薬形態物または組成物を生じさせることができる。
【0189】
そのような製剤に持たせる正確な組成は当該薬剤が示す個々の特性に応じて幅広く多様であり得る。しかしながら、有効成分の含有量を一般に効力が高い薬剤の場合には0.01%から5%、好適には0.05%から1%にしそして活性が中程度の薬剤の場合には2%−4%にする。
【0190】
そのような非経口組成物に入れる活性化合物のパーセントは高度にそれの特定の性質ばかりでなく当該化合物の活性および当該被験体の必要性に依存する。しかしながら、溶液の場合には有効成分を0.01%から5%のパーセントで用いることができ、そして当該組成物が固体の場合には、より高いパーセントにして、後で希釈してこの上に示したパーセントにする。そのような組成物の有効成分含有量を好適には溶液中0.2%−2.0%にする。
【0191】
本明細書に記述する製薬学的組成物の調剤の調製は薬理学技術で公知の方法または本明細書以降に開発されるであろう方法のいずれかを用いて実施可能である。そのような調製方法は、一般に、有効成分を担体または他の1種以上の材料と一緒にした後、必要または望まれる時には、その生成物の成形または包装を実施して所望の単一もしくは複数投薬単位にする段階を包含する。
【0192】
本明細書に示す製薬学的組成物の説明は原則として人に処方して投与するに適した製薬学的組成物に向けたものであるが、本分野の技術者は、そのような組成物は一般にあらゆる種類の動物に投与するに適することを理解するであろう。人に投与するに適した製薬学的組成物がいろいろな動物への投与に適するように前記組成物を改変することは充分に理解され、通常の技術を持つ獣医薬理学者は、単に通常(行うとしても)の実験を行うことでそのような改変を考案して実施することができるであろう。本発明の製薬学的組成物を投与することを意図する被験体には、これらに限定するものでないが、ヒトおよび他の霊長類、哺乳動物が含まれ、それには商業に関連した哺乳動物、例えばウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコおよびイヌなどが含まれる。
【0193】
本発明の方法で用いるに有用な製薬学的組成物の調製、包装または販売は経口、非経口、肺、鼻内、口腔または別の投与経路に適した製剤として実施可能である。
【0194】
本発明の製薬学的組成物の調製、包装または販売は大量、単位投薬物または複数の単位投薬物として実施可能である。本明細書で用いる“単位投薬物”は、有効成分を前以て決めておいた量で含んで成る個別量の製薬学的組成物である。有効成分の量は、一般に、被験体に投与されるであろう有効成分の投薬量に相当するか或はそのような投薬量の便利な一部、例えば前記投薬量の半分または1/3などに相当する。しかしながら、本発明に示す如き有効成分の送達量は通常投与される投薬量の約1/10,1/100または1/1,000以下であってもよい、と言うのは、本インターフェロン治療薬は標的に向かう性質を有するからである。
【0195】
本発明の製薬学的組成物に入れる有効成分と製薬学的に受け入れられる担体といずれかの追加的材料の相対量は、治療すべき被験体の同定、大きさおよび状態に応じかつ更に本組成物を投与する経路にも応じて多様である。例として、本組成物の有効成分含有量は0.1%から100%(重量/重量)であってもよい。
【0196】
経口投与に適した本発明の製薬学的組成物の製剤の調製、包装または販売は個別の固体
状投薬単位の形態で実施可能であり、そのような形態には、これらに限定するものでないが、錠剤、硬質もしくは軟質カプセル、カプセル、トローチまたはロゼンジが含まれ、それらの各々に有効成分を前以て決めた量で含有させる。経口投与に適した他の製剤には、これらに限定するものでないが、粉末または顆粒状の製剤、水性もしくは油性懸濁液、水性もしくは油性溶液または乳液が含まれる。
【0197】
本明細書で用いる如き“油性”液は、炭素含有液状分子が入っていて水に比べて低い極性を示す液である。
【0198】
有効成分を含んで成る錠剤の製造は、例えば有効成分を場合により1種以上の追加的材料と一緒に圧縮または成形することなどで実施可能である。圧縮錠剤の調製は、自由に流れる形態、例えば粉末または顆粒状製剤などの形態の有効成分を場合により結合剤、滑剤、賦形剤、表面活性剤および分散剤などの中の1種以上と一緒に混合しておいて適切な装置で圧縮することで実施可能である。成形錠剤の製造は、有効成分と製薬学的に受け入れられる担体の混合物とこの混合物を湿らせるに少なくとも充分な量の液体を適切な装置で成形することで実施可能である。錠剤を製造する時に用いる製薬学的に受け入れられる賦形剤には、これらに限定するものでないが、不活性な希釈剤、顆粒および崩壊剤、結合剤および滑剤が含まれる。公知の分散剤には、これらに限定するものでないが、ジャガイモ澱粉および澱粉グリコール酸ナトリウムが含まれる。公知の表面活性剤には、これらに限定するものでないが、ラウリル硫酸ナトリウムが含まれる。公知の希釈剤には、これらに限定するものでないが、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、微結晶性セルロース、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウムおよび燐酸ナトリウムが含まれる。公知の顆粒および崩壊剤には、これらに限定するものでないが、コーンスターチおよびアルギン酸が含まれる。公知の結合剤には、これらに限定するものでないが、ゼラチン、アカシア、前以てゼラチン状にしておいたトウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドンおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。公知の滑剤には、これらに限定するものでないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリカおよびタルクが含まれる。
【0199】
錠剤に被覆を受けさせなくてもよいか、或はそれらに公知方法を用いた被覆を受けさせることで被験体の胃腸管の中で起こる崩壊を遅らせることで有効成分の持続放出および吸収を達成することも可能である。例として、モノステアリルグリセリルまたはジステアリルグリセリルなどの如き材料を錠剤の被覆で用いてもよい。さらなる例として、錠剤に米国特許第4,256,108;4,160,452および4,265,874に記述されている方法を用いた被覆を受けさせることで放出が浸透圧的に制御される錠剤を生じさせることも可能である。更に、錠剤に甘味剤、風味剤、着色剤、防腐剤またはそれらの数種の組み合わせを含有させることで製薬学的に優雅で飲み易い製剤を生じさせることも可能である。
【0200】
有効成分を含んで成る硬質カプセルの製造は生理学的に分解し得る組成物、例えばゼラチンなどを用いて実施可能である。そのような硬質カプセルに有効成分を含有させかつ更に追加的材料を含有させることも可能であり、そのような追加的材料には、例えば不活性な固体状の希釈剤、例えば炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、カオリンまたは酢酸水素フタル酸セルロースなどが含まれる。
【0201】
有効成分を含んで成る軟質ゼラチン製カプセルの製造は生理学的に分解し得る組成物、例えばゼラチンなどを用いて実施可能である。そのような軟質カプセルに有効成分を含有させて、それを水または油媒体、例えば落花生油、液状パラフィンまたはオリーブ油などと混合してもよい。
【0202】
経口投与に適した本発明の製薬学的組成物の液状製剤の調製、包装および販売は液状形
態または使用前に水または別の適切な媒体を用いて再構成させることを意図する乾燥製品の形態で実施可能である。
【0203】
液状懸濁液の調製は、有効成分が水性もしくは油性媒体に入っている懸濁液を達成する通常方法を用いて実施可能である。水性媒体には、例えば水および等張性食塩水が含まれる。油性媒体には、例えばアーモンド油、油状エステル、エチルアルコール、植物油、例えば落花生、オリーブ、ゴマまたはヤシ油、分溜植物油など、および鉱油、例えば液状パラフィンなどが含まれる。液状懸濁液に更に1種以上の追加的材料を含有させることも可能であり、そのような材料には、これらに限定するものでないが、懸濁剤、分散もしくは湿潤剤、乳化剤、粘滑剤、防腐剤、緩衝剤、塩類、風味剤、着色剤および甘味剤が含まれる。油性懸濁液に更に増粘剤を入れることも可能である。公知の懸濁剤には、これらに限定するものでないが、ソルビトールシロップ、水添食用油、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、アカシアゴムおよびセルロース誘導体、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが含まれる。公知の分散もしくは湿潤剤には、これらに限定するものでないが、天然に存在するホスファチド、例えばレシチンなど、アルキレンオキサイドを脂肪酸、長鎖脂肪アルコール、脂肪酸とヘキシトールから生じさせた部分エステルまたは脂肪酸と無水ヘキシトールから生じさせた部分エステルと縮合させることで生じさせた生成物(例えば、それぞれポリオキシエチレンステアレート、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートおよびポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)が含まれる。公知の乳化剤には、これらに限定するものでないが、レシチンおよびアカシアが含まれる。公知の防腐剤には、これらに限定するものでないが、パラ−ヒドロキシ安息香酸メチル、エチルもしくはn−プロピル、アスコルビン酸およびソルビン酸が含まれる。公知甘味剤には、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、スクロースおよびサッカリンが含まれる。油性懸濁液用の公知増粘剤には、例えば蜜蝋、硬質パラフィンおよびセチルアルコールが含まれる。
【0204】
有効成分が水性もしくは油性溶媒に入っている液状溶液の調製は、液状懸濁液の調製と実質的に同じ様式で実施可能であるが、主な差は、有効成分が溶媒に懸濁するのではなく溶解する点である。本発明の製薬学的組成物の液状溶液は、液状懸濁液に関して記述した成分の各々を含有していてもよいが、有効成分を溶媒に溶解させる補助で必ずしも懸濁剤を用いる必要はないと理解する。水性溶媒には、例えば水および等張性食塩水が含まれる。油性溶媒には、例えばアーモンド油、油状エステル、エチルアルコール、植物油、例えば落花生、オリーブ、ゴマまたはヤシ油、分溜植物油など、および鉱油、例えば液状パラフィンなどが含まれる。
【0205】
本発明の製薬学的製剤の粉末および顆粒配合物の調製は公知方法を用いて実施可能である。そのような配合物を被験体に直接投与してもよいか、それを用いて例えば錠剤を成形するか、カプセルを満たすか、或はそれに水性もしくは油性媒体を添加することで水性もしくは油性の懸濁液または溶液を生じさせることも可能である。そのような配合物の各々に更に分散もしくは湿潤剤、懸濁剤および防腐剤の中の1種以上を含有させることも可能である。また、追加的賦形剤、例えば充填剤および甘味剤、風味剤または着色剤などをそのような配合物に含有させることも可能である。
【0206】
また、本発明の製薬学的組成物の調製、包装または販売を水中油エマルジョンまたは油中水エマルジョンの形態で実施することも可能である。その油相は植物油、例えばオリーブまたは落花生油など、鉱油、例えば液状パラフィンなど、またはそれらの組み合わせであってもよい。そのような組成物に更に1種以上の乳化剤、例えば天然に存在するゴム、例えばアカシアゴムまたはトラガカントゴムなど、天然に存在するホスファチド、例えば大豆もしくはレシチンホスファチドなど、脂肪酸と無水ヘキシトールの組み合わせから誘
導されたエステルもしくは部分エステル、例えばソルビタンモノオレエートなど、およびそのような部分エステルとエチレンオキサイドの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどを含有させることも可能である。そのようなエマルジョンにまた追加的材料を含有させることも可能であり、そのような材料には、例えば甘味剤または風味剤が含まれる。
【0207】
本明細書で用いる如き製薬学的組成物の“非経口投与”には、被験体の組織に物理的穴を開けそしてその組織の穴を通して製薬学的組成物を投与することで特徴づけられる如何なる投与経路も含まれる。従って、非経口投与には、これらに限定するものでないが、製薬学的組成物を注入するか、製薬学的組成物を外科切開を通して加えるか、製薬学的組成物を組織を貫通する非外科創傷を通して加えることなどで前記組成物を投与することが含まれる。特に、非経口投与に、これらに限定するものでないが、皮下、腹腔内、筋肉内、胸骨内注入および腎臓透析輸液技術を包含させることを意図する。
【0208】
非経口投与に適した製薬学的組成物の製剤は、有効成分を製薬学的に受け入れられる担体、例えば無菌水または無菌の等張性食塩水などと一緒に含んで成る。そのような製剤の調製、包装または販売はボーラス投与または連続投与に適した形態で実施可能である。注射可能製剤の調製、包装または販売は単位投薬形態、例えば防腐剤を入れておいたアンプルまたは複数回投与用容器などの形態で実施可能である。非経口投与に適した製剤には、これらに限定するものでないが、油性もしくは水性媒体に入っている懸濁液、溶液、乳液、ペーストおよび移植可能な持続放出もしくは生分解性製剤が含まれる。そのような製剤に更に1種以上の追加的材料を含有させることも可能であり、そのような材料には、これらに限定するものでないが、懸濁剤、安定剤または分散剤が含まれる。非経口投与用製剤の1つの態様では、有効成分を適切な媒体(例えば、発熱物質が入っていない無菌水)で再構成させるに適した乾燥(即ち粉末または顆粒)形態で提供した後、その再構成させた組成物を非経口投与する。
【0209】
製薬学的組成物の調製、包装または販売を注射可能な無菌の水性もしくは油性懸濁液もしくは溶液の形態で実施することも可能である。そのような懸濁液もしくは溶液の調製は公知技術に従って実施可能であり、それに有効成分に加えて本明細書に記述する追加的材料、例えば分散剤、湿潤剤または懸濁剤などを含有させることも可能である。そのような注射可能な無菌製剤の調製は、非経口的に受け入れられる無毒の希釈剤もしくは溶媒、例えば水または1,3−ブタンジオールなどを用いて実施可能である。他の受け入れられる希釈剤および溶媒には、これらに限定するものでないが、リンゲル液、等張性塩化ナトリウム溶液および固定油、例えば合成モノ−もしくはジグリセリドなどが含まれる。有用な他の非経口投与可能製剤には、微結晶形態の有効成分が脂質構築物製剤の中に入っているか或は生分解性重合体系の1成分として入っている製剤が含まれる。持続放出または移植に適した組成物に、製薬学的に受け入れられる高分子または疎水性材料、例えばエマルジョン、イオン交換樹脂、難溶性重合体または難溶性塩などを含有させてもよい。
【0210】
本発明の製薬学的組成物の調製、包装または販売は口腔経由の肺投与に適した製剤として実施可能である。そのような製剤は、有効成分を含有する直径が約0.5から約7ミクロン、好適には約1から約6ミクロンの範囲の乾燥粒子を構成していてもよい。そのような組成物を便利には乾燥粉末貯蔵部を含んで成る装置を用いて投与するに適した乾燥粉末の形態にし、その装置に噴射剤の流れを向けることで前記粉末を分散させるか、或は自己噴射性溶媒/粉末分与用容器、例えば有効成分が低沸点の噴射剤に溶解または懸濁している状態で密封容器に入っている装置などを用いて投与する。好適には、そのような粉末が粒子の少なくとも98重量%が0.5ミクロン以上の直径を有しかつ粒子の数の少なくとも95%が7ミクロン未満の直径を有する粒子を構成するようにする。より好適には、粒子の少なくとも95重量%が1ナノメートル以上の直径を有しかつ粒子の数の少なくとも
90% が6ミクロン未満の直径を有するようにする。乾燥粉末組成物に好適には固体状の微粉末希釈剤、例えば糖などを含有させ、便利には、単位投薬形態で提供する。
【0211】
低沸点の噴射剤には、一般に、周囲圧力における沸点が65°F未満の液状噴射剤が含まれる。一般的には、そのような噴射剤が当該組成物の50から99.9%(重量/重量)を構成しそして有効成分が当該組成物の0.1から20%(重量/重量)を構成するようにしてもよい。そのような噴射剤に更に追加的材料、例えば液状の非イオン性もしくは固体状のアニオン性界面活性剤または固体状の希釈剤(好適には当該有効成分を含んで成る粒子の粒径と同じ桁の粒径を有する)などを含有させることも可能である。
【0212】
肺送達の目的で調製する本発明の製薬学的組成物は、また、有効成分を溶液もしくは懸濁液の液滴の形態で与える組成物であってもよい。そのような製剤の調製、包装または販売は有効成分が入っている水溶液もしくは希アルコール溶液もしくは懸濁液(場合により無菌であってもよい)として実施可能でありかつそれらの投与は便利には噴霧もしくは霧化用装置のいずれかを用いて実施可能である。それらの製剤に更に1種以上に追加的材料を含有させることも可能であり、そのような材料には、これらに限定するものでないが、風味剤、例えばサッカリンナトリウム、揮発性油、緩衝剤、表面活性剤または防腐剤、例えばヒドロキシ安息香酸メチルなどが含まれる。そのような投与経路で生じる液滴の平均直径が好適には約0.1から約200ミクロンの範囲になるようにする。
【0213】
本明細書に肺送達に有用であると記述した製剤はまた本発明の製薬学的組成物を鼻内送達するにも有用である。
【0214】
鼻内送達に適した別の製剤は、有効成分を含んで成る平均粒径が約0.2から500ミクロンの粗い粉末である。そのような製剤の投与を鼻から吸う様式で実施する、即ち前記粉末が入っている容器を鼻孔の近くに保持してそれを鼻路に通して急速に吸入することで投与する。
【0215】
鼻投与に適した製剤に含有させる有効成分の量は例えば約0.1%(重量/重量)の如き少ない量から75%(重量/重量)の如き多い量であってもよく、それに更に本明細書に記述する追加的材料の中の1種以上を含有させることも可能である。
【0216】
本発明の製薬学的組成物の調製、包装または販売は口腔投与に適した製剤として実施可能である。そのような製剤は、例えば通常方法を用いて生じさせた錠剤またはロゼンジの形態であってもよく、それの有効成分含有量を例えば0.1から20%(重量/重量)にし、その残りに経口的に溶解もしくは分解し得る組成物を含めかつ場合により本明細書に記述する追加的材料の中の1種以上を含めてもよい。別法として、口腔投与に適した製剤には、有効成分が入っている粉末またはエーロゾル化もしくは霧化した溶液もしくは懸濁液も含まれ得る。そのような粉末化、エーロゾル化、または分散した時にエーロゾル化する製剤の平均粒径または液滴サイズが好適には約0.1から約200ミクロンの範囲になるようにし、そしてそれらに更に本明細書に記述する追加的材料の中の1種以上を含有させることも可能である。
【0217】
本発明の製薬学的組成物の調製、包装または販売は眼投与に適した製剤として実施可能である。そのような製剤は、例えば点眼液の形態であってもよく、それには例えば有効成分が水性もしくは油性の液状担体に0.1%−1.0%(重量/重量)入っている溶液もしくは懸濁液が含まれる。そのような点眼液に更に緩衝剤、塩類または本明細書に記述する他の追加的材料の中の1種以上を含有させることも可能である。有用な他の眼投与可能配合物には、有効成分が微結晶性形態または脂質構築物製剤の形態で入っている製剤が含まれる。
【0218】
本明細書で用いる如き“追加的材料”には、これらに限定するものでないが、下記の中の1種以上が含まれる:賦形剤、表面活性剤、分散剤、不活性希釈剤、顆粒および崩壊剤、結合剤、滑剤、甘味剤、風味剤、着色剤、防腐剤、生理学的に分解し得る組成物、例えばゼラチンなど、水性の媒体および溶媒、油性の媒体および溶媒、懸濁剤、分散もしくは湿潤剤、乳化剤、粘滑剤、緩衝剤、塩類、増粘剤、充填剤、乳化剤、抗酸化剤、抗生物質、抗菌・カビ剤、安定剤および製薬学的に受け入れられる高分子もしくは疎水性材料。本発明の製薬学的組成物に入れることができる他の“追加的材料”は本技術分野で公知でありかつ例えばGenaro編集,1985,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,PA(これは引用することによって本明細書に組み入れられる)などに記述されている。
【0219】
動物、好適にはヒトに投与可能な本発明の組成物の投薬量は、典型的に、動物の体重1キログラム当たり1ミクログラムから約100gの量の範囲である。その投与する正確な投薬量は様々な要因に応じて変わるが、そのような要因には、これらに限定するものでないが、治療すべき動物の種類および病気状態の種類、動物の年齢および投与経路が含まれる。本組成物の投薬量は好適には動物の体重1キログラム当たり約1mgから約10gに及んで多様である。より好適には、その投薬量は動物の体重1キログラム当たり約10mgから約1gに及んで多様である。
【0220】
本組成物を動物に日に数回の如き頻度で投与してもよいか、或はそれはより少ない頻度、例えば日に1回、週に1回、2週毎に1回、月に1回または更により少ない頻度、例えば数カ月毎に1回または1年に1回またはそれより少ない回数でさえ投与可能である。そのような投薬頻度を技術を持つ医者に容易に明らかであると思われ、それは様々な要因、例えばこれらに限定するものでないが、治療すべき病気の種類およびひどさ、動物の種類および年齢などに依存するであろう。
【0221】
本発明は、また、本発明の組成物および本組成物を哺乳動物の組織に投与することを説明する使用説明資料を含んで成るキットも包含する。別の態様では、そのようなキットに、本発明の組成物を哺乳動物に投与する前に前記組成物を溶解または懸濁させるに適した溶媒(好適には無菌)も含有させる。
【0222】
本明細書で用いる如き“使用説明資料”には、本明細書に示すいろいろな病気もしくは疾患の軽減を実施することに関して本キットに入っている本発明の蛋白質が有効であることを伝える目的で使用可能な資料、記録、図または他の表現媒体のいずれも含まれる。場合によるか或は別法として、そのような使用説明資料に、哺乳動物の細胞または組織における病気または疾患を軽減する1種の方法を記述することも可能である。本発明のキットに入れる使用説明資料を例えば本発明の成分を入れる容器に固定しているか或は本発明の成分を入れる容器と一緒に輸送してもよい。別法として、その使用説明資料と本組成物を受益者が協調的に用いることを意図して、前記使用説明資料を前記容器と個別に輸送することも可能である。
【0223】
本発明の実施で用いるに有用な製薬学的組成物を投与することでインターフェロンを標準的用量に相当する用量で送達することができる。
【0224】
本明細書に示した製薬学的組成物の説明は原則としてヒトに処方して投与するに適した製薬学的組成物に向けたものであるが、本分野の技術者はそのような組成物は一般にあらゆる種類の動物に投与するに適することを理解するであろう。人に投与するに適した製薬学的組成物がいろいろな動物への投与に適するように前記組成物を改変することは充分に
理解され、通常の技術を持つ獣医薬理学者は、単に通常(行うとしても)の実験を行うことでそのような改変を考案して実施することができるであろう。本発明の製薬学的組成物を投与することを意図する被験体には、これらに限定するものでないが、ヒトおよび他の霊長類、ペットおよび他の哺乳動物が含まれる。
【0225】
本発明の方法で用いるに有用な製薬学的組成物の調製、包装または販売は経口または注射投与経路に適した製剤として実施可能である。
【0226】
本発明の製薬学的組成物に入れる有効成分、製薬学的に受け入れられる担体および任意の追加的材料の相対量は、治療すべき被験体の同定、大きさおよび状態に応じかつ更に本組成物を投与する経路に応じても変わるであろう。
【0227】
実施例
本発明をここに以下の実施例を参照して記述する。本実施例は単に説明の目的で示すものであり、決して本発明を本実施例に限定すると解釈されるべきでなく、むしろ、本明細書に示す教示の結果として明らかになるであろう変形のいずれもおよび全部を包含させると解釈されるべきである。
【0228】
本実施例に示す実験で用いる材料および方法をここに記述する。
【実施例1】
【0229】
製薬学的組成物1
脂質構築物に両親媒性脂質である1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン,コレステロール,ジセチルホスフェート,1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル),1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)](ナトリウム塩)と伸張両親媒性脂質である1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(Cap ビオチニル)とインターフェロンの混合物を含有させる。
【実施例2】
【0230】
製薬学的組成物2
脂質構築物に両親媒性脂質である1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン,コレステロール,ジセチルホスフェート,1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル),1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロ)](ナトリウム塩)とインターフェロン−アルファと伸張両親媒性脂質である1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(Cap ビオチニル)および/またはポリクロム−ポリ(ビス)−[N−(2,6−(ジイソプロピルフェニル)カルバモイルメチル)イミノ] ジ酢酸]の混合物を含有させる。伸張両親媒性脂質である1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(Cap ビオチニル)およびポリクロム−ポリ(ビス)−[N−(2,6−(ジイソプロピルフェニル)カルバモイル メチル)イミノジ酢酸]を前記脂質構築物にそれぞれ1.68±0.5重量%および1.2±0.5重量%の濃度で添加した。
【実施例3】
【0231】
製薬学的組成物3
脂質構築物に両親媒性脂質である1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(12.09g),コレステロール(1.60g),ジセチルホスフェート(3
.10g),ポリクロム−ポリ(ビス)−[N−(2,6−(ジイソプロピルフェニル)カルバモイルメチル)イミノ]ジ酢酸](0.20g)とインターフェロン−アルファの混合物を含有させる。前記混合物を水性媒体に添加することで総質量を1200gにした。
【実施例4】
【0232】
インターフェロン−アルファ含有脂質構築物の調製
両親媒性脂質分子と伸張両親媒性脂質の混合物を調製し、前記両親媒性脂質分子と伸張両親媒性脂質の混合物から脂質構築物を調製しそして前記脂質構築物の中にインターフェロン−アルファを組み込むことを通して、脂質構築物を生じさせた。
【0233】
両親媒性脂質分子と伸張両親媒性脂質の混合物を下記の手順で生じさせた。脂質構築物に含有させる脂質成分の混合物[全質量が8.5316g]の調製を一定分量の脂質1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(5.6881g),結晶性コレステロール(0.7980g),ジセチルホスフェート(1.5444g),1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(Cap ビオチニル)(0.1436g),1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(0.1144g),1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル)(0.1245g)および1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)](ナトリウム塩)(0.1186g)を一緒にすることで実施した。
【0234】
100mlのクロロホルム:メタノール(2:1体積:体積)溶液に脱水を5.0グラムのモレキュラーシーブを用いて受けさせた。その脂質構築物の脂質成分混合物を3リットルのフラスコに入れた後、その脂質混合物に45mlの前記クロロホルム/メタノール溶液を加えた。その溶液をロトエバポレーターに取り付けたフラスコに入れ、水浴を60°C ±2℃にして、前記フラスコをゆっくり回転させた。ロータリーエバポレーターを用いて前記クロロホルム/メタノール溶液をアスピレーターを用いた真空下で約45分間除去した後、真空ポンプを約2時間用いることで残存する溶媒を除去し、それによって脂質の固体状混合物が生じた。その乾燥させた脂質混合物は約−20℃−0℃の冷凍庫内で無限に貯蔵可能である。
【0235】
下記の手順を用いて、前記両親媒性脂質と伸張両親媒性脂質の混合物から脂質構築物を調製した。前記脂質混合物を約600mlの28.4mM燐酸ナトリウム(一塩基性−二塩基性)緩衝液とpH7.0で混合した。前記脂質混合物を渦巻き撹拌した後、80℃±4℃に加熱しておいた水浴に30分間入れたままゆっくり回転させることで前記脂質に水和を受けさせた。
【0236】
M−110 EHIミクロ流動装置をpHが6.5−7.5の範囲のSWIを用いて70℃±10℃に前以て加熱しておいた。前記水和を受けさせた標的錯体の懸濁液を前記ミクロ流動装置に移して、前記水和標的分子錯体の懸濁液を前記流動装置に約9000psigで1回通すことでミクロ流動させた。前記ミクロ流動装置に通した後の流動懸濁液の未濾過サンプル(2.0−5.0ml)を集めて、それに単峰型分布データを用いた粒径分析をCoulter N−4プラス粒径分析装置を用いて受けさせた。あらゆる粒径測定を実施する前に、サンプルに希釈を0.2ミクロンのフィルターに通しておいたSWI(pHを6.5−7.5に調整しておいた)を用いて受けさせた。その粒径を0.020−0.40ミクロンの範囲にする必要があった。粒径が前記範囲内でない場合には、前記懸濁液を前記ミクロ流動装置に約9000psigで再び通し、そして再び粒径分析をそれが粒径要求に到達するまで受けさせた。そのミクロ流動を受けさせた標的分子錯体を無菌容器の中に集めた。
【0237】
前記ミクロ流動を受けさせた標的分子錯体を60℃±2℃に維持しながら、0.8ミクロン+0.2ミクロンの無菌ギャングフィルター(gang filter)[5.0mlのシリンジに取り付けておいた]に2回通すことで濾過した。その濾過した懸濁液の一定分量に分析を受けさせることで前記懸濁液に入っている粒子の粒径範囲を測定した。最終的に0.2ミクロンのフィルターに通したサンプルが示す粒径範囲は、粒径分析器からプリントアウトした単峰型分布から決定して0.0200−0.2000ミクロンの範囲内であるべきである。
【0238】
米国特許第5,104,661(引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている方法を用いて、前記構築物に逆充填を受けさせることでインターフェロンを前記構築物の中に充填する。
【実施例5】
【0239】
使用方法
HDV−インターフェロンアルファが示す効力の評価をインターフェロンの肝臓効果に反応を示す遺伝子マーカー有するマウスモデルを用いて実施した。C57Bl6マウスをJackson Laboratoryから入手して、繁殖コロニーをCleveland MetroHealth Center,Cleveland,Ohioで確立した。マウスを前記繁殖コロニーから入手した。試験グループと対照グループの2グループのマウスに処置を受けさせた。試験グループにはインターフェロン+HDVを与える一方、対照グループにはインターフェロンを単独で与えた。HDV−インターフェロンを100mcgのHDVと10mcgのインターフェロンアルファで構成させた。HDVをHepasome Pharmaceuticalsが供給しており、そしてRoeferonがインターフェロンアルファの源であった。HDVとインターフェロンアルファをマウスに注入する前に12時間かけて平衡状態にしておいた。両方のグループのマウスに投与した量は体重1kg当たり100,000Uであった。IFNに対する反応の時期を試験する目的で、Roferonをマウスに皮下注射した。投与してから6時間後にマウスを屠殺した。その屠殺したラットから脾臓と肝臓を得て、分析を実施した。
【0240】
2本鎖RNA依存蛋白質キナーゼ(PKR)遺伝子の誘発に関するインターフェロン刺激反応を肝組織へのインターフェロン送達のマーカーとして用いた。この検定では、PKRメッセンジャーリボ核酸(mRNA)の濃度を検定する目的で実時間定量的PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を用いた。マウスPKR mRNAのイントロン全域エキソン配列に相当するオリゴヌクレオチドプライマーをOligo V6ソフトウエアでデザインし、そしてそれにNCBIの所でゲノムおよびmRNAマウス配列に対するブラストサーチ(blast search)を受けさせることで、その配列がユニークであることを立証した。30種類以上のプライマー対をデザインしたが、実験の目的で選択した対は2対のみであった。その選択した対の状態を逐次的温度およびマグネシウム勾配で最適にした。RNAを動物の肝臓および脾臓から抽出した後、ランダムヘキサマー(random hexamer)とオリゴ−dTとM−MLV RTから成る我々独自のミックスレーション(mix ration)を用いて逆転写を起こさせた。その生じさせたcDNAに半定量的PCRを受けさせ、HDV 実験の目的で6時間点を選択した。2組のマウス(各々3匹)にHDV−IFNまたはIFNのみのいずれかを食塩水に入れて注入した。マウスを6時間後に屠殺し、肝臓および脾臓からRNAを抽出した後、それにRT反応を受けさせた。その生じさせたcDNAに対して実時間定量的PCRをcybr green技術を用いて実施した。PKR発現レベルの比較を肝臓と脾臓の間およびHDV−IFN処置マウスとIFN処置マウスの間で実施した。
【0241】
PKRの結果を図12に示す。図12aに、インターフェロンアルファを投与したマウ
スから得た肝臓および脾臓の中の相対的発現レベルを示す。脾臓を全身送達評価の代理として選択した。脾臓内の相対的発現レベルを肝臓内の相対的発現レベルと比較した。脾臓内の相対的発現レベルは肝臓内の相対的発現レベルのほぼ2倍であった。図12bに、インターフェロンアルファをHDVと組み合わせて投与したマウスから得た肝臓および脾臓の中の相対的発現レベルを示す。肝臓の中の相対的発現レベルは脾臓の中の相対的発現レベルのほぼ2倍であった。HDV−インターフェロンで処置したマウスの肝臓の中の相対的発現レベルはインターフェロン単独で処置したマウスの肝臓の中の相対的発現レベルのほぼ2倍であった。
【0242】
マウスモデルにおけるインターフェロンアルファによる肝臓PKR活性化に対してHDVが標的にすることに関する効果を図13に示す。インターフェロンを単独で用いるとPKR活性化がベースラインに比べてほぼ5倍高くなった。HDV−インターフェロンを用いるとPKR活性化がベースラインに比べてほぼ15倍高くなりかつインターフェロン単独に比べてほぼ3倍高くなった。HDVを用いてインターフェロンを送達するとインターフェロンが肝組織で示す活性が有意に向上する。
【0243】
本発明を特定の態様を言及することで開示してきたが、本分野の他の技術者は本発明の真の精神および範囲から逸脱することのない本発明の他の態様および変形を考案することができることは明らかである。添付請求項にそのような態様および相当する変形の全部を包含させると解釈されるべきであることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0244】
本発明を例示する目的で本発明の特定の態様を本図に示す。しかしながら、本発明を本図に示す態様の正確な配置および手段に限定するものでない。
【図1】図1は、インターフェロンと両親媒性脂質分子と伸張両親媒性脂質を含んで成るインターフェロン結合脂質構築物の図である。
【図2】図2は、ビオシチンの製造経路を示す図である。
【図3】図3は、イミノビオシチンの製造経路を示す図である。
【図4】図4は、ベンゾイルチオアセチルトリグリシンイミノビオシチン(BTA−3gly−イミノビオシチン)の製造経路を示す図である。
【図5】図5は、ベンゾイルチオアセチルトリグリシンの製造経路を示す図である。
【図6】図6は、ベンゾイルチオアセチルトリグリシンスルホ−N−ヒドロキシスクシニミド(BTA−3−gly−スルホ−NHS)の製造経路を示す図である。
【図7】図7は、ベンゾイルチオアセチルトリグリシンイミノビオシチン(BTA−3−gly−イミノビオシチン)の製造経路を示す図である。
【図8】図8は、脂質つなぎ止めおよび肝細胞受容体結合分子(LA−HRBM)の製造経路を示す図である。
【図9】図9は、酢酸水素フタル酸セルロースとインターフェロンの間の可能な結合部位を示す図である。
【図10】図10は、イミノビオチンの構造的変化を酸性条件と塩基性条件を対比させて示す図である。
【図11】図11は、両親媒性脂質分子と伸張両親媒性脂質を含んで成るインターフェロン結合脂質構築物を製造する方法の概略である。
【図12】図12を2つの部分で構成させる。図12aに、インターフェロンアルファを投与したマウスから得た肝臓および脾臓の中の相対的発現レベルを示す。図12bに、インターフェロンアルファとHDVを投与したマウスから得た肝臓および脾臓の中の相対的発現レベルを示す。
【図13】図13に、マウスモデルにおけるインターフェロンアルファによる肝臓PKR活性化に対してHDVが標的にすることに関する効果を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のインターフェロン、両親媒性脂質および伸張両親媒性脂質を含んで成る脂質構築物であって、前記伸張両親媒性脂質が近位、中位および遠位部分を含んでいて前記近位部分が前記伸張両親媒性脂質を該構築物と連結させており、前記遠位部分によって該構築物が肝細胞が提示する受容体を標的にしそして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分を連結させている脂質構築物。
【請求項2】
前記インターフェロンがインターフェロン−アルファ,インターフェロン−アルファ−1a,PEG化インターフェロン−アルファ−1a,インターフェロン−アルファ−n1,インターフェロン−アルファ−2a,インターフェロン−アルファ−2b,インターフェロン−アルファ−n3,インターフェロン−アルファコン−1,インターフェロン n−3,PEGインターフェロン−アルファ2a,PEGインターフェロン−アルファ2b,インターフェロンベータ;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンベータ−1b,インターフェロンガンマ;インターフェロンガンマ−1a;インターフェロンガンマ−1b,PEG化インターフェロンベータ−1a,PEG化インターフェロンベータ−1b,これらの誘導体および前記インターフェロンのいずれかの組み合わせから成る群から選択される請求項1記載の脂質構築物。
【請求項3】
インターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない少なくとも1種の抗ウイルス薬、両親媒性脂質および伸張両親媒性脂質を含んで成る脂質構築物であって、前記伸張両親媒性脂質が近位、中位および遠位部分を含んでいて前記近位部分が前記伸張両親媒性脂質を該構築物と連結させており、前記遠位部分によって該構築物が肝細胞が提示する受容体を標的にしそして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分を連結させている脂質構築物。
【請求項4】
有効成分が少なくとも1種のインターフェロンおよび少なくとも1種の抗ウイルス薬を含んでおり、前記抗ウイルス薬がインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない請求項1記載の脂質構築物。
【請求項5】
更に該脂質構築物と合併している不溶形態の少なくとも1種の有効成分も含んで成る請求項1記載の脂質構築物。
【請求項6】
前記両親媒性脂質が1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、コレステロール、ジセチルホスフェート、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロール−[3−ホスホ−rac−(1−グリセロ)]、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル)、これらの誘導体および前記化合物のいずれかの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の脂質を含んで成る請求項1記載の脂質構築物。
【請求項7】
前記伸張両親媒性脂質の近位部分がバックボーンと結合している長鎖アシル炭化水素鎖を少なくとも1個であるが、2個以下の数で含んでおり、前記炭化水素鎖の各々が独立して飽和炭化水素鎖および不飽和炭化水素鎖から成る群から選択される請求項1記載の脂質構築物。
【請求項8】
前記バックボーンがグリセロールを含んで成る請求項7記載の脂質構築物。
【請求項9】
前記伸張両親媒性脂質の遠位部分がビオチン、ビオチン誘導体、イミノビオチン、イミノビオチン誘導体、ビオシチン、ビオシチン誘導体、イミノビオシチン、イミノビオシチン誘導体および肝細胞上の受容体と結合する肝細胞特異的分子から成る群から選択される
少なくとも一員を含んで成る請求項1記載の脂質構築物。
【請求項10】
前記伸張両親媒性脂質がN−ヒドロキシスクシニミド(NHS)ビオチン;スルホ−NHS−ビオチン;N−ヒドロキシスクシニミド長鎖ビオチン,スルホ−N−ヒドロキシスクシニミド長鎖ビオチン;D−ビオチン;ビオシチン;スルホ−N−ヒドロキシスクシニミド−S−S−ビオチン;ビオチン−BMCC;ビオチン−HPDP;ヨードアセチル−LC−ビオチン;ビオチン−ヒドラジド;ビオチン−LC−ヒドラジド;ビオシチンヒドラジド;ビオチンカダベリン;カルボキシビオチン;フォトビオチン;トリフルオロ酢酸ρ−アミノベンゾイルビオシチン;ρ−ジアゾベンゾイルビオシチン;ビオチン DHPE;ビオチン−X−DHPE;12−((ビオチニル)アミノ)ドデカン酸;12−((ビオチニル)アミノ)ドデカン酸スクシニミジルエステル;S−ビオチニルホモシステイン;ビオシチンX;ビオシチン x−ヒドラジド;ビオチンエチレンジアミン;ビオチン−XL;ビオチン−X−エチレンジアミン;ビオチン−XX−ヒドラジド;ビオチン−XX−SE;ビオチン−XX,SSE;ビオチン−X−カダベリン;α−(t−BOC)ビオシチン;N−(ビオチニル)−N’−(ヨードアセチル)エチレンジアミン;DNP−X−ビオシチンX−SE;ビオチン−X−ヒドラジド;塩酸ノルビオチンアミン;3−(N−マレイミジルプロピオニル)ビオシチン;ARP;ビオチン−l−スルホキサイド;ビオチンのメチルエステル;ビオチン−マレイミド;ビオチン−ポリ(エチレングリコール)アミン;(+)ビオチン 4−アミド安息香酸ナトリウム塩;ビオチン 2−N−アセチルアミノ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド;ビオチン−α−D−N−アセチルニューラミニド;ビオチン−α−L−フコシド;ビオチンラクト−N−ビオシド;ビオチン−ルイス−A 三糖;ビオチン−ルイス−Y 四糖;ビオチン−α−D−マンノピラノシド;ビオチン 6−O−ホスホ−α−D−マンノピラノシド;およびポリクロム−ポリ(ビス)−[N−(2,6−(ジイソプロピルフェニル)カルバモイル メチル)イミノ]ジ酢酸から成る群から選択される請求項1記載の脂質構築物。
【請求項11】
前記伸張両親媒性脂質の中位部分がチオ−アセチルトリグリシン重合体またはこれの誘導体を含んでおり、前記伸張両親媒性脂質の分子が該脂質構築物の表面から外側に伸びている請求項1記載の脂質構築物。
【請求項12】
更に水に不溶な標的分子錯体と合併している少なくとも1種の有効成分も含んでおり、前記錯体が多数の連結した個々の単位を含んでおり、ここで、前記個々の単位が、
a.遷移元素、内部遷移元素、遷移元素の同胞元素および前記元素のいずれかの混合物から成る群から選択される橋かけ成分;および
b.錯体形成成分;
を含んで成るが、但し前記遷移元素がクロムの時にはクロム標的分子錯体が生じることを条件とする請求項1記載の脂質構築物。
【請求項13】
更に前記標的分子錯体と合併していない少なくとも1種の有効成分も含んで成る請求項12記載の脂質構築物。
【請求項14】
前記橋かけ成分がクロムである請求項12記載の脂質構築物。
【請求項15】
前記錯体形成成分がポリ(ビス)−[(N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルバモイルメチル)イミノジ酢酸]を含んで成る請求項12記載の脂質構築物。
【請求項16】
前記脂質成分が1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンとコレステロールとジセチルホスフェートの混合物を含んで成る請求項51記載の肝細胞標的組成物。
【請求項17】
前記伸張両親媒性脂質の遠位成分が非極性誘導体化ベンゼン環または複素二環式環構造を含んで成る請求項1記載の脂質構築物。
【請求項18】
該構築物が正電荷、負電荷またはこれらの組み合わせを含んで成る請求項1記載の脂質構築物。
【請求項19】
前記伸張両親媒性脂質が前記遠位部分の末端終点から約13.5オングストローム以内の距離に位置するカルボニル部分を少なくとも1個含んで成る請求項1記載の脂質構築物。
【請求項20】
前記伸張両親媒性脂質が第二級アミン含有カルバモイル部分を少なくとも1個含んで成る請求項1記載の脂質構築物。
【請求項21】
前記伸張両親媒性脂質が帯電したクロムを中位に含んで成る請求項1記載の脂質構築物。
【請求項22】
更に酢酸水素フタル酸セルロースも含んで成る請求項1記載の脂質構築物。
【請求項23】
少なくとも1種のインターフェロン、両親媒性脂質および伸張両親媒性脂質を含んでおり、前記伸張両親媒性脂質が近位、中位および遠位部分を含んでおり、ここで、前記近位部分が前記伸張両親媒性脂質を該構築物と連結させており、前記遠位部分によって該構築物が肝細胞が提示する受容体を標的にしそして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分を連結させている脂質構築物を製造する方法であって、
a.前記両親媒性脂質と前記伸張両親媒性脂質を含む混合物を生じさせ;
b.前記脂質構築物が水性媒体に入っている懸濁液を生じさせ;そして
c.有効成分を前記脂質構築物の中に充填する;
ことを含んで成る方法。
【請求項24】
前記有効成分を前記脂質構築物の中に充填する段階が平衡充填および非平衡充填を含んで成る請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記有効成分を前記脂質構築物に充填する段階が遊離有効成分が入っている溶液を前記脂質構築物が水性媒体に入っている混合物に添加し、そして前記有効成分と前記混合物を平衡状態に到達するまで接触させたままにしておくことを含んで成る請求項23記載の方法。
【請求項26】
d.前記混合物が平衡に到達した後に前記有効成分を前記脂質構築物の中に最終的に充填し、前記遊離有効成分が入っている溶液を前記構築物から除去し、更に、前記構築物が前記構築物と合併している少なくとも1種の有効成分も含有する、
段階も、更に、含んで成る請求項25記載の方法。
【請求項27】
e.急速濾過手順、遠心分離、濾過遠心分離およびイオン交換樹脂またはビオチン、イミノビオチンもしくはこれらの誘導体に親和性を示すストレプトアビジンアガロース親和性樹脂ゲルが用いられているクロマトグラフィーから成る群から選択した方法を用いて前記遊離有効成分が入っている溶液を前記構築物と合併している少なくとも1種の有効成分を含有する前記脂質構築物から除去する、
段階も、更に、含んで成る請求項25記載の方法。
【請求項28】
f.多数の連結した個々の単位を含んで成るクロム錯体を前記脂質構築物に添加する、
段階も、更に、含んで成る請求項23記載の方法。
【請求項29】
g.酢酸水素フタル酸セルロースを前記脂質構築物に添加する、
段階も、更に、含んで成る請求項23記載の方法。
【請求項30】
h.有効成分、イオン交換樹脂およびストレプトアビジンアガロース親和性ゲルから成る群から選択した少なくとも1種の材料を工程から回収する、
段階も、更に、含んで成る請求項23記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1種の有効成分が患者内で示す生物学的利用能を向上させる方法であって、a.少なくとも1種の有効成分を多数の非共有多座結合部位を含む脂質構築物と一緒にし、そして
b.前記有効成分を含有する構築物を前記患者に投与する、
ことを含んで成る、上記方法。
【請求項32】
少なくとも1種の有効成分が示す等電点を調節する段階も、更に、含んで成る請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記有効成分がインターフェロン−アルファ,インターフェロン−アルファ−1a,PEG化インターフェロン−アルファ−1a,インターフェロン−アルファ−n1,インターフェロン−アルファ−2a,インターフェロン−アルファ−2b,インターフェロン−アルファ−n3,インターフェロン−アルファコン−1,インターフェロン n−3,PEGインターフェロン−アルファ2a,PEGインターフェロン−アルファ2b,インターフェロンベータ;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンベータ−1b,インターフェロンガンマ;インターフェロンガンマ−1a;インターフェロンガンマ−1b,PEG化インターフェロンベータ−1a,PEG化インターフェロンベータ−1b,これらの誘導体および前記インターフェロンのいずれかの組み合わせから成る群から選択される請求項31記載の方法。
【請求項34】
前記有効成分が抗ウイルス薬であり、ここで、前記抗ウイルス薬がインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない請求項31記載の方法。
【請求項35】
前記有効成分が少なくとも1種のインターフェロンおよび少なくとも1種の抗ウイルス薬を含み、前記抗ウイルス薬がインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない請求項31記載の方法。
【請求項36】
前記脂質構築物がインターフェロン,1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン,コレステロール,ジセチルホスフェート,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−[3−ホスホ−rac−(1−グリセロール)],1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンおよび1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル)またはこれらの誘導体および肝細胞受容体結合分子を含んで成る請求項31記載の方法。
【請求項37】
少なくとも1種の有効成分が宿主内で示す生物学的利用能を向上させる徐放性組成物を製造する方法であって、
a.脂質構築物をイミノビオチンまたはイミノビオチン誘導体を含む脂質を通してストレプトアビジンアガロース親和性ゲルとpH9.5以上で結合させることで前記構築物を多量相媒体から取り出し;
b.前記構築物を前記多量相媒体から分離し;そして
c.前記親和性ゲルの水性混合物のpHをpH4.5に調整することで前記構築物を前記親和性ゲルから放出させるが、前記放出された構築物が少なくとも1種の不溶有効成分を
含有し;ここで、
前記構築物を温血宿主に投与した後に前記不溶有効成分が宿主内の生理学的pH条件下で再溶解する、
ことを含んで成る、上記方法。
【請求項38】
肝炎に感染した患者を治療する方法であって、前記患者に少なくとも1種のインターフェロン、両親媒性脂質および伸張両親媒性脂質を含み、前記伸張両親媒性脂質が近位、中位および遠位部分を含んでおり、ここで、前記近位部分が前記伸張両親媒性脂質を該構築物と連結させており、前記遠位部分によって該構築物が肝細胞が提示する受容体を標的にしそして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分を連結させている脂質構築物を有効量で投与することを含んで成る、上記方法。
【請求項39】
前記患者がA型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎、F型肝炎およびG型肝炎から成る群から選択される少なくとも1種の肝炎に感染している請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記有効成分がインターフェロン−アルファ,インターフェロン−アルファ−1a,PEG化インターフェロン−アルファ−1a,インターフェロン−アルファ−n1,インターフェロン−アルファ−2a,インターフェロン−アルファ−2b,インターフェロン−アルファ−n3,インターフェロン−アルファコン−1,インターフェロン n−3,PEGインターフェロン−アルファ2a,PEGインターフェロン−アルファ2b,インターフェロンベータ;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンベータ−1b,インターフェロンガンマ;インターフェロンガンマ−1a;インターフェロンガンマ−1b,PEG化インターフェロンベータ−1a,PEG化インターフェロンベータ−1b,これらの誘導体および前記インターフェロンのいずれかの組み合わせから成る群から選択される請求項38記載の方法。
【請求項41】
前記有効成分が抗ウイルス薬であり、ここで、前記抗ウイルス薬がインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない請求項38記載の方法。
【請求項42】
前記有効成分が少なくとも1種のインターフェロンおよび少なくとも1種の抗ウイルス薬を含み、前記抗ウイルス薬がインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない請求項38記載の方法。
【請求項43】
前記脂質構築物が更に標的分子錯体も含み、前記錯体が多数の連結した個々の単位を含んでおり、ここで、前記連結した個々の単位が、
a.遷移元素、内部遷移元素、遷移元素の同胞元素および前記元素のいずれかの混合物を包含する群から選択される橋かけ成分;および
b.錯体形成成分;
を含んでおるが、但し前記遷移元素がクロムの時にはクロム標的分子錯体が生じることを条件とする請求項38記載の方法。
【請求項44】
前記脂質構築物が更に前記標的分子錯体と合併していない少なくとも1種の有効成分も含む請求項38記載の方法。
【請求項45】
前記投与の経路を経口、非経口、皮下、肺および口腔から成る群から選択する請求項38記載の方法。
【請求項46】
ウイルスに感染している患者の肝臓の中の肝細胞への少なくとも1種の有効成分の送達を向上させる方法であって、少なくとも1種の有効成分、両親媒性脂質および伸張脂質を
含み、前記伸張脂質が肝細胞受容体と結合する部分を含んで成る複数の大きさで存在する脂質構築物を前記患者に投与することによる、上記方法。
【請求項47】
前記患者がA型肝炎,B型肝炎,C型肝炎,D型肝炎,E型肝炎,F型肝炎またはG型肝炎または前記肝炎ウイルスの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種のウイルスに感染している請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記有効成分がインターフェロン−アルファ,インターフェロン−アルファ−1a,PEG化インターフェロン−アルファ−1a,インターフェロン−アルファ−n1,インターフェロン−アルファ−2a,インターフェロン−アルファ−2b,インターフェロン−アルファ−n3,インターフェロン−アルファコン−1,インターフェロン n−3,PEGインターフェロン−アルファ2a,PEGインターフェロン−アルファ2b,インターフェロンベータ;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンベータ−1b,インターフェロンガンマ;インターフェロンガンマ−1a;インターフェロンガンマ−1b,PEG化インターフェロンベータ−1a,PEG化インターフェロンベータ−1b,これらの誘導体および前記インターフェロンのいずれかの組み合わせから成る群から選択される請求項46記載の方法。
【請求項49】
前記有効成分が抗ウイルス薬であり、ここで、前記抗ウイルス薬がインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない請求項46記載の方法。
【請求項50】
前記有効成分が少なくとも1種のインターフェロンおよび少なくとも1種の抗ウイルス薬を含み、前記抗ウイルス薬がインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない請求項46記載の方法。
【請求項51】
前記有効成分が加水分解酵素に近づかないように脂質分子の三次元構造配列を生じさせることで前記脂質構築物内の前記有効成分を加水分解による劣化から保護することも、更に、含んで成る請求項46記載の方法。
【請求項52】
酢酸水素フタル酸セルロースを前記脂質構築物に添加することで個々の脂質分子と反応させることも、更に、含んで成る請求項46記載の方法。
【請求項53】
不溶化した投薬形態の前記有効成分を前記脂質構築物内に生じさせることも、更に、含んで成る請求項46記載の方法。
【請求項54】
ウイルスに感染した哺乳動物を治療する時に用いるに適したキットであって、少なくとも1種のインターフェロン、両親媒性脂質および伸張両親媒性脂質を含み、前記伸張両親媒性脂質が近位、中位および遠位部分を含んでおり、ここで、前記近位部分が前記伸張両親媒性脂質を該構築物と連結させており、前記遠位部分によって該構築物が肝細胞が提示する受容体を標的にしそして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分を連結させている脂質構築物、生理学的緩衝剤溶液、アプリケーターおよび使用説明資料を含んで成る、上記キット。
【請求項55】
少なくとも1種の有効成分も、更に、含んで成る請求項54記載のキット。
【請求項56】
前記患者がA型肝炎,B型肝炎,C型肝炎,D型肝炎,E型肝炎,F型肝炎およびG型肝炎から成る群から選択される少なくとも1種のウイルスに感染している請求項54記載のキット。
【請求項1】
少なくとも1種のインターフェロン、両親媒性脂質および伸張両親媒性脂質を含んで成る脂質構築物であって、前記伸張両親媒性脂質が近位、中位および遠位部分を含んでいて前記近位部分が前記伸張両親媒性脂質を該構築物と連結させており、前記遠位部分によって該構築物が肝細胞が提示する受容体を標的にしそして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分を連結させている脂質構築物。
【請求項2】
前記インターフェロンがインターフェロン−アルファ,インターフェロン−アルファ−1a,PEG化インターフェロン−アルファ−1a,インターフェロン−アルファ−n1,インターフェロン−アルファ−2a,インターフェロン−アルファ−2b,インターフェロン−アルファ−n3,インターフェロン−アルファコン−1,インターフェロン n−3,PEGインターフェロン−アルファ2a,PEGインターフェロン−アルファ2b,インターフェロンベータ;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンベータ−1b,インターフェロンガンマ;インターフェロンガンマ−1a;インターフェロンガンマ−1b,PEG化インターフェロンベータ−1a,PEG化インターフェロンベータ−1b,これらの誘導体および前記インターフェロンのいずれかの組み合わせから成る群から選択される請求項1記載の脂質構築物。
【請求項3】
インターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない少なくとも1種の抗ウイルス薬、両親媒性脂質および伸張両親媒性脂質を含んで成る脂質構築物であって、前記伸張両親媒性脂質が近位、中位および遠位部分を含んでいて前記近位部分が前記伸張両親媒性脂質を該構築物と連結させており、前記遠位部分によって該構築物が肝細胞が提示する受容体を標的にしそして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分を連結させている脂質構築物。
【請求項4】
有効成分が少なくとも1種のインターフェロンおよび少なくとも1種の抗ウイルス薬を含んでおり、前記抗ウイルス薬がインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない請求項1記載の脂質構築物。
【請求項5】
更に該脂質構築物と合併している不溶形態の少なくとも1種の有効成分も含んで成る請求項1記載の脂質構築物。
【請求項6】
前記両親媒性脂質が1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、コレステロール、ジセチルホスフェート、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロール−[3−ホスホ−rac−(1−グリセロ)]、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル)、これらの誘導体および前記化合物のいずれかの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の脂質を含んで成る請求項1記載の脂質構築物。
【請求項7】
前記伸張両親媒性脂質の近位部分がバックボーンと結合している長鎖アシル炭化水素鎖を少なくとも1個であるが、2個以下の数で含んでおり、前記炭化水素鎖の各々が独立して飽和炭化水素鎖および不飽和炭化水素鎖から成る群から選択される請求項1記載の脂質構築物。
【請求項8】
前記バックボーンがグリセロールを含んで成る請求項7記載の脂質構築物。
【請求項9】
前記伸張両親媒性脂質の遠位部分がビオチン、ビオチン誘導体、イミノビオチン、イミノビオチン誘導体、ビオシチン、ビオシチン誘導体、イミノビオシチン、イミノビオシチン誘導体および肝細胞上の受容体と結合する肝細胞特異的分子から成る群から選択される
少なくとも一員を含んで成る請求項1記載の脂質構築物。
【請求項10】
前記伸張両親媒性脂質がN−ヒドロキシスクシニミド(NHS)ビオチン;スルホ−NHS−ビオチン;N−ヒドロキシスクシニミド長鎖ビオチン,スルホ−N−ヒドロキシスクシニミド長鎖ビオチン;D−ビオチン;ビオシチン;スルホ−N−ヒドロキシスクシニミド−S−S−ビオチン;ビオチン−BMCC;ビオチン−HPDP;ヨードアセチル−LC−ビオチン;ビオチン−ヒドラジド;ビオチン−LC−ヒドラジド;ビオシチンヒドラジド;ビオチンカダベリン;カルボキシビオチン;フォトビオチン;トリフルオロ酢酸ρ−アミノベンゾイルビオシチン;ρ−ジアゾベンゾイルビオシチン;ビオチン DHPE;ビオチン−X−DHPE;12−((ビオチニル)アミノ)ドデカン酸;12−((ビオチニル)アミノ)ドデカン酸スクシニミジルエステル;S−ビオチニルホモシステイン;ビオシチンX;ビオシチン x−ヒドラジド;ビオチンエチレンジアミン;ビオチン−XL;ビオチン−X−エチレンジアミン;ビオチン−XX−ヒドラジド;ビオチン−XX−SE;ビオチン−XX,SSE;ビオチン−X−カダベリン;α−(t−BOC)ビオシチン;N−(ビオチニル)−N’−(ヨードアセチル)エチレンジアミン;DNP−X−ビオシチンX−SE;ビオチン−X−ヒドラジド;塩酸ノルビオチンアミン;3−(N−マレイミジルプロピオニル)ビオシチン;ARP;ビオチン−l−スルホキサイド;ビオチンのメチルエステル;ビオチン−マレイミド;ビオチン−ポリ(エチレングリコール)アミン;(+)ビオチン 4−アミド安息香酸ナトリウム塩;ビオチン 2−N−アセチルアミノ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド;ビオチン−α−D−N−アセチルニューラミニド;ビオチン−α−L−フコシド;ビオチンラクト−N−ビオシド;ビオチン−ルイス−A 三糖;ビオチン−ルイス−Y 四糖;ビオチン−α−D−マンノピラノシド;ビオチン 6−O−ホスホ−α−D−マンノピラノシド;およびポリクロム−ポリ(ビス)−[N−(2,6−(ジイソプロピルフェニル)カルバモイル メチル)イミノ]ジ酢酸から成る群から選択される請求項1記載の脂質構築物。
【請求項11】
前記伸張両親媒性脂質の中位部分がチオ−アセチルトリグリシン重合体またはこれの誘導体を含んでおり、前記伸張両親媒性脂質の分子が該脂質構築物の表面から外側に伸びている請求項1記載の脂質構築物。
【請求項12】
更に水に不溶な標的分子錯体と合併している少なくとも1種の有効成分も含んでおり、前記錯体が多数の連結した個々の単位を含んでおり、ここで、前記個々の単位が、
a.遷移元素、内部遷移元素、遷移元素の同胞元素および前記元素のいずれかの混合物から成る群から選択される橋かけ成分;および
b.錯体形成成分;
を含んで成るが、但し前記遷移元素がクロムの時にはクロム標的分子錯体が生じることを条件とする請求項1記載の脂質構築物。
【請求項13】
更に前記標的分子錯体と合併していない少なくとも1種の有効成分も含んで成る請求項12記載の脂質構築物。
【請求項14】
前記橋かけ成分がクロムである請求項12記載の脂質構築物。
【請求項15】
前記錯体形成成分がポリ(ビス)−[(N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルバモイルメチル)イミノジ酢酸]を含んで成る請求項12記載の脂質構築物。
【請求項16】
前記脂質成分が1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンとコレステロールとジセチルホスフェートの混合物を含んで成る請求項51記載の肝細胞標的組成物。
【請求項17】
前記伸張両親媒性脂質の遠位成分が非極性誘導体化ベンゼン環または複素二環式環構造を含んで成る請求項1記載の脂質構築物。
【請求項18】
該構築物が正電荷、負電荷またはこれらの組み合わせを含んで成る請求項1記載の脂質構築物。
【請求項19】
前記伸張両親媒性脂質が前記遠位部分の末端終点から約13.5オングストローム以内の距離に位置するカルボニル部分を少なくとも1個含んで成る請求項1記載の脂質構築物。
【請求項20】
前記伸張両親媒性脂質が第二級アミン含有カルバモイル部分を少なくとも1個含んで成る請求項1記載の脂質構築物。
【請求項21】
前記伸張両親媒性脂質が帯電したクロムを中位に含んで成る請求項1記載の脂質構築物。
【請求項22】
更に酢酸水素フタル酸セルロースも含んで成る請求項1記載の脂質構築物。
【請求項23】
少なくとも1種のインターフェロン、両親媒性脂質および伸張両親媒性脂質を含んでおり、前記伸張両親媒性脂質が近位、中位および遠位部分を含んでおり、ここで、前記近位部分が前記伸張両親媒性脂質を該構築物と連結させており、前記遠位部分によって該構築物が肝細胞が提示する受容体を標的にしそして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分を連結させている脂質構築物を製造する方法であって、
a.前記両親媒性脂質と前記伸張両親媒性脂質を含む混合物を生じさせ;
b.前記脂質構築物が水性媒体に入っている懸濁液を生じさせ;そして
c.有効成分を前記脂質構築物の中に充填する;
ことを含んで成る方法。
【請求項24】
前記有効成分を前記脂質構築物の中に充填する段階が平衡充填および非平衡充填を含んで成る請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記有効成分を前記脂質構築物に充填する段階が遊離有効成分が入っている溶液を前記脂質構築物が水性媒体に入っている混合物に添加し、そして前記有効成分と前記混合物を平衡状態に到達するまで接触させたままにしておくことを含んで成る請求項23記載の方法。
【請求項26】
d.前記混合物が平衡に到達した後に前記有効成分を前記脂質構築物の中に最終的に充填し、前記遊離有効成分が入っている溶液を前記構築物から除去し、更に、前記構築物が前記構築物と合併している少なくとも1種の有効成分も含有する、
段階も、更に、含んで成る請求項25記載の方法。
【請求項27】
e.急速濾過手順、遠心分離、濾過遠心分離およびイオン交換樹脂またはビオチン、イミノビオチンもしくはこれらの誘導体に親和性を示すストレプトアビジンアガロース親和性樹脂ゲルが用いられているクロマトグラフィーから成る群から選択した方法を用いて前記遊離有効成分が入っている溶液を前記構築物と合併している少なくとも1種の有効成分を含有する前記脂質構築物から除去する、
段階も、更に、含んで成る請求項25記載の方法。
【請求項28】
f.多数の連結した個々の単位を含んで成るクロム錯体を前記脂質構築物に添加する、
段階も、更に、含んで成る請求項23記載の方法。
【請求項29】
g.酢酸水素フタル酸セルロースを前記脂質構築物に添加する、
段階も、更に、含んで成る請求項23記載の方法。
【請求項30】
h.有効成分、イオン交換樹脂およびストレプトアビジンアガロース親和性ゲルから成る群から選択した少なくとも1種の材料を工程から回収する、
段階も、更に、含んで成る請求項23記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1種の有効成分が患者内で示す生物学的利用能を向上させる方法であって、a.少なくとも1種の有効成分を多数の非共有多座結合部位を含む脂質構築物と一緒にし、そして
b.前記有効成分を含有する構築物を前記患者に投与する、
ことを含んで成る、上記方法。
【請求項32】
少なくとも1種の有効成分が示す等電点を調節する段階も、更に、含んで成る請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記有効成分がインターフェロン−アルファ,インターフェロン−アルファ−1a,PEG化インターフェロン−アルファ−1a,インターフェロン−アルファ−n1,インターフェロン−アルファ−2a,インターフェロン−アルファ−2b,インターフェロン−アルファ−n3,インターフェロン−アルファコン−1,インターフェロン n−3,PEGインターフェロン−アルファ2a,PEGインターフェロン−アルファ2b,インターフェロンベータ;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンベータ−1b,インターフェロンガンマ;インターフェロンガンマ−1a;インターフェロンガンマ−1b,PEG化インターフェロンベータ−1a,PEG化インターフェロンベータ−1b,これらの誘導体および前記インターフェロンのいずれかの組み合わせから成る群から選択される請求項31記載の方法。
【請求項34】
前記有効成分が抗ウイルス薬であり、ここで、前記抗ウイルス薬がインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない請求項31記載の方法。
【請求項35】
前記有効成分が少なくとも1種のインターフェロンおよび少なくとも1種の抗ウイルス薬を含み、前記抗ウイルス薬がインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない請求項31記載の方法。
【請求項36】
前記脂質構築物がインターフェロン,1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン,コレステロール,ジセチルホスフェート,1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−[3−ホスホ−rac−(1−グリセロール)],1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンおよび1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−(スクシニル)またはこれらの誘導体および肝細胞受容体結合分子を含んで成る請求項31記載の方法。
【請求項37】
少なくとも1種の有効成分が宿主内で示す生物学的利用能を向上させる徐放性組成物を製造する方法であって、
a.脂質構築物をイミノビオチンまたはイミノビオチン誘導体を含む脂質を通してストレプトアビジンアガロース親和性ゲルとpH9.5以上で結合させることで前記構築物を多量相媒体から取り出し;
b.前記構築物を前記多量相媒体から分離し;そして
c.前記親和性ゲルの水性混合物のpHをpH4.5に調整することで前記構築物を前記親和性ゲルから放出させるが、前記放出された構築物が少なくとも1種の不溶有効成分を
含有し;ここで、
前記構築物を温血宿主に投与した後に前記不溶有効成分が宿主内の生理学的pH条件下で再溶解する、
ことを含んで成る、上記方法。
【請求項38】
肝炎に感染した患者を治療する方法であって、前記患者に少なくとも1種のインターフェロン、両親媒性脂質および伸張両親媒性脂質を含み、前記伸張両親媒性脂質が近位、中位および遠位部分を含んでおり、ここで、前記近位部分が前記伸張両親媒性脂質を該構築物と連結させており、前記遠位部分によって該構築物が肝細胞が提示する受容体を標的にしそして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分を連結させている脂質構築物を有効量で投与することを含んで成る、上記方法。
【請求項39】
前記患者がA型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎、F型肝炎およびG型肝炎から成る群から選択される少なくとも1種の肝炎に感染している請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記有効成分がインターフェロン−アルファ,インターフェロン−アルファ−1a,PEG化インターフェロン−アルファ−1a,インターフェロン−アルファ−n1,インターフェロン−アルファ−2a,インターフェロン−アルファ−2b,インターフェロン−アルファ−n3,インターフェロン−アルファコン−1,インターフェロン n−3,PEGインターフェロン−アルファ2a,PEGインターフェロン−アルファ2b,インターフェロンベータ;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンベータ−1b,インターフェロンガンマ;インターフェロンガンマ−1a;インターフェロンガンマ−1b,PEG化インターフェロンベータ−1a,PEG化インターフェロンベータ−1b,これらの誘導体および前記インターフェロンのいずれかの組み合わせから成る群から選択される請求項38記載の方法。
【請求項41】
前記有効成分が抗ウイルス薬であり、ここで、前記抗ウイルス薬がインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない請求項38記載の方法。
【請求項42】
前記有効成分が少なくとも1種のインターフェロンおよび少なくとも1種の抗ウイルス薬を含み、前記抗ウイルス薬がインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない請求項38記載の方法。
【請求項43】
前記脂質構築物が更に標的分子錯体も含み、前記錯体が多数の連結した個々の単位を含んでおり、ここで、前記連結した個々の単位が、
a.遷移元素、内部遷移元素、遷移元素の同胞元素および前記元素のいずれかの混合物を包含する群から選択される橋かけ成分;および
b.錯体形成成分;
を含んでおるが、但し前記遷移元素がクロムの時にはクロム標的分子錯体が生じることを条件とする請求項38記載の方法。
【請求項44】
前記脂質構築物が更に前記標的分子錯体と合併していない少なくとも1種の有効成分も含む請求項38記載の方法。
【請求項45】
前記投与の経路を経口、非経口、皮下、肺および口腔から成る群から選択する請求項38記載の方法。
【請求項46】
ウイルスに感染している患者の肝臓の中の肝細胞への少なくとも1種の有効成分の送達を向上させる方法であって、少なくとも1種の有効成分、両親媒性脂質および伸張脂質を
含み、前記伸張脂質が肝細胞受容体と結合する部分を含んで成る複数の大きさで存在する脂質構築物を前記患者に投与することによる、上記方法。
【請求項47】
前記患者がA型肝炎,B型肝炎,C型肝炎,D型肝炎,E型肝炎,F型肝炎またはG型肝炎または前記肝炎ウイルスの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種のウイルスに感染している請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記有効成分がインターフェロン−アルファ,インターフェロン−アルファ−1a,PEG化インターフェロン−アルファ−1a,インターフェロン−アルファ−n1,インターフェロン−アルファ−2a,インターフェロン−アルファ−2b,インターフェロン−アルファ−n3,インターフェロン−アルファコン−1,インターフェロン n−3,PEGインターフェロン−アルファ2a,PEGインターフェロン−アルファ2b,インターフェロンベータ;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンベータ−1b,インターフェロンガンマ;インターフェロンガンマ−1a;インターフェロンガンマ−1b,PEG化インターフェロンベータ−1a,PEG化インターフェロンベータ−1b,これらの誘導体および前記インターフェロンのいずれかの組み合わせから成る群から選択される請求項46記載の方法。
【請求項49】
前記有効成分が抗ウイルス薬であり、ここで、前記抗ウイルス薬がインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない請求項46記載の方法。
【請求項50】
前記有効成分が少なくとも1種のインターフェロンおよび少なくとも1種の抗ウイルス薬を含み、前記抗ウイルス薬がインターフェロンでもインターフェロン誘導体でもない請求項46記載の方法。
【請求項51】
前記有効成分が加水分解酵素に近づかないように脂質分子の三次元構造配列を生じさせることで前記脂質構築物内の前記有効成分を加水分解による劣化から保護することも、更に、含んで成る請求項46記載の方法。
【請求項52】
酢酸水素フタル酸セルロースを前記脂質構築物に添加することで個々の脂質分子と反応させることも、更に、含んで成る請求項46記載の方法。
【請求項53】
不溶化した投薬形態の前記有効成分を前記脂質構築物内に生じさせることも、更に、含んで成る請求項46記載の方法。
【請求項54】
ウイルスに感染した哺乳動物を治療する時に用いるに適したキットであって、少なくとも1種のインターフェロン、両親媒性脂質および伸張両親媒性脂質を含み、前記伸張両親媒性脂質が近位、中位および遠位部分を含んでおり、ここで、前記近位部分が前記伸張両親媒性脂質を該構築物と連結させており、前記遠位部分によって該構築物が肝細胞が提示する受容体を標的にしそして前記中位部分が前記近位部分と遠位部分を連結させている脂質構築物、生理学的緩衝剤溶液、アプリケーターおよび使用説明資料を含んで成る、上記キット。
【請求項55】
少なくとも1種の有効成分も、更に、含んで成る請求項54記載のキット。
【請求項56】
前記患者がA型肝炎,B型肝炎,C型肝炎,D型肝炎,E型肝炎,F型肝炎およびG型肝炎から成る群から選択される少なくとも1種のウイルスに感染している請求項54記載のキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2008−542270(P2008−542270A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513540(P2008−513540)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/019118
【国際公開番号】WO2006/127360
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(507387387)エスデイージー・インコーポレーテツド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/019118
【国際公開番号】WO2006/127360
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(507387387)エスデイージー・インコーポレーテツド (3)
【Fターム(参考)】
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