説明

インターフェロンアルファとの組み合わせ投与のための組成物の調製における、インターロイキン6ファミリーサイトカインの使用

本発明は、ウイルス性疾患の処置に使用するための、少なくとも1つのIFN-αまたはそれをコードするDNA配列との組み合わせ投与を意図した医薬組成物の調製において、IL-6ファミリーgp130、好ましくはIL-11、白血病抑制因子(LIF)、オンコスタチンM(OSM)、カルジオトロフィン−1、毛様体神経栄養因子(CNTF)、カルジオトロフィン様サイトカイン(CLC)およびそれらの組み合わせ、またはそれらをコードするDNA配列から選択されるサイトカインのうち少なくとも1つを使用することに関する。本発明はまた、前記サイトカインとIFN-αとを組み合わせて投与するウイルス性疾患の処置のための、製薬的に許容される量の少なくとも1つのIL-6ファミリーgp130サイトカインまたはそれをコードするDNA配列、および製薬的に許容される量の少なくとも1つのIFN-αまたはそれをコードするDNA配列を含む医薬組成物、医薬キットおよび方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス性疾患の処置のために構成された組成物の調製において、インターフェロンと組み合わせてサイトカインを使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
インターフェロン(IFN)系は、哺乳類におけるウイルス性疾患に対する防衛の最前線である。I型インターフェロン(いくつかのIFN-αおよびIFN-βサブタイプを含む)は、抗ウイルス活性を有する分子であり、哺乳類動物においてウイルス感染に応答して誘導される。IFN-αの作用は、細胞表面レセプターの多サブユニット(IFN-αレセプター1(IFNAR1)およびIFNAR2の2つのレセプターサブユニットからなる)との相互作用によって媒介される。ただ1つのIFNAR1鎖が同定されており;また、IFNAR2サブユニットの3つの変異体が認識されており:その1つは完全長のIFRNAR2cであり、2つは切断イソ型のIFNAR2bおよびIFNAR2aである。IFNAR2c変異体は、リガンドとの結合とシグナル伝達に関与し、一方、2つの切断型IFNAR2bおよびIFNAR2a(これらは細胞内ドメインを持たない)は、IFN-αとの結合においてIFNAR2cと競合することにより、IFN-αシグナルを阻害する。
【0003】
IFN-αシグナルカスケードはIFN-αがレセプターと結合すると開始する。IFN-αがレセプターと結合すると、IFNARに不随するチロシンキナーゼ(ヤヌスキナーゼ1(Jak1)およびチロシンキナーゼ2(Tyk2))の活性化が起こり、これらが両サブユニットIFNAR1およびIFNAR2をリン酸化する。リン酸化されたIFNAR1は、Srcホモロジー2ドメインを含有する「シグナルトランスダクターおよび転写アクチベーター2」(STAT2)のための結合ポイントを供し、Tyk2またはJak1によってリン酸化される。STAT1、STAT3およびSTAT5などの他のSTATはリン酸化および活性化のために結果的にレセプターにリクルートされる。次いで、活性化したモノマーSTAT1およびSTAT2は再度サイトゾルに放出され、そこでヘテロダイマーを形成し、インターフェロン調節因子9/タンパク質p48と結合してインターフェロン刺激性遺伝子因子3(ISGF3)として知られる活性転写因子複合体を形成する。その複合体は核へ移動し、IFN刺激性応答要素(ISRE)と結合して、標的遺伝子(いくつかの抗ウイルスおよび免疫調節タンパク質など)の転写を開始させる。IFN-αはまた、STAT1/STAT1、STAT1/STAT3およびSTAT3/STAT3などの他のSTAT複合体の形成も誘導し、これらは感受性遺伝子のプロモーター領域の活性化γ配列と結合する。初代ヒト肝細胞において、IFN-αはSTAT1、STAT2、STAT3およびSTAT5を活性化し、ヒト肝臓におけるIFN-αの抗腫瘍および抗ウイルス活性に貢献し得る広範な抗ウイルスおよびアポトーシス促進遺伝子が続いて誘導される。
【0004】
STAT1、STAT2およびSTAT3を活性化するIFN-αとは対照的に、II型IFN(IFNγ)の場合、レセプターに結合すると、Jak1およびJak2によるSTAT1のリン酸化が排他的に起こり、次いでSTAT1がホモダイマー形成し、そのホモダイマーが核へ移動する。
【0005】
ウイルス感染は世界中の重大な健康被害を代表するものである。慢性感染症を引き起こすウイルスのうち、B型肝炎(HBV)およびC型肝炎(HCV)を引き起こすウイルスは、慢性ウイルス肝炎および肝硬変の主な病因学的因子として重要であり;これらの疾患は世界中の5億を超える人々に発症している(約3億人がHBVを、2億人がHCVを発症している)。HBVは主として母子感染および免疫抑制個体において慢性感染症を引き起こす。一方、HCV感染はほとんどの場合に慢性化する傾向があるため注目すべきであり、このことは、このウイルスがインターフェロン系を回避するために特に有効な機構を発達させていることを示唆している。慢性HCV感染症並びに慢性B型肝炎に罹患した患者は、インターフェロン治療に反応しない。慢性B型肝炎においては、症例の40%以下に持続性の抗ウイルス反応が起こる[1]。慢性C型肝炎の場合、遺伝子型HCV2または3に感染した患者の大部分が、ペグ化IFN-αとリバビリンによる組み合わせ治療の24または28週間後に持続性のウイルス学的反応(SVR)を示すが[2]、遺伝子型1に感染した症例は50%のみがこの治療計画によってSVRを達成した[2]。西欧諸国およびアジアのHCV感染患者の80%以上が遺伝子型1に相当するので、IFN-αの抗ウイルス効果を増大させるためのより有効な手段が至急必要である。HCVおよび他のウイルス性疾患に見られるIFN-αに対する耐性の根本メカニズムはいまだほとんど理解されておらず、これらの疾患におけるIFN-α治療に対する耐性を打破する治療方法を発見することが大いに必要である。
【0006】
ウイルスに感染した細胞の、インターフェロンαに対する反応は、ウイルスに関連する要因や宿主に関連するものに特異的な要因などのいくつかの決定的要因に依拠している。様々なHCV遺伝子産物が、IFN治療に対する宿主の反応を変化させること、またウイルス性疾患、特に肝臓疾患の場合にその重篤度に影響することが示されている。HCV非構造タンパク質(NS5A)および構造タンパク質(E2)がPKRと相互作用し、それら鍵分子の1つがIFN反応性の抗ウイルス状態の展開に関与することが指摘されている[3, 4]。これによりPKRがブロックされ、HCV感染細胞におけるIFN活性の抑制が起こり得る。一方、いくつかの研究により、HCVに感染した形質転換マウス、および慢性HCVに罹患した患者の肝臓生検の両方において、IFN-αにより誘導されたSTAT1シグナルが影響を受けることが示されている[5, 6]。
【0007】
HCV感染肝臓サンプル、およびゲノムHCVレプリコン(完全長)を含む肝臓細胞において、IFNAR2およびSTAT3のmRNA量が顕著に減少していることが確認されている。関連する発見に、完全長HCVレプリコンを含む肝臓細胞においてIFN-αによるSTAT1、STAT2およびSTAT3の活性化がブロックされたというものがあり、このことはHCV複製が感染細胞におけるIFN-αシグナリングをブロックする可能性があることを示唆している。また、これらの細胞を炎症促進性分子IFN-γとともにインキュベートした場合は、細胞におけるSTAT1活性化に影響はないということも興味深く、このことはHCVによって起こるSTAT1活性化のブロッキングはI型IFNシグナリングカスケードに特異的であり、II型IFNシグナリング経路には影響しないことを示唆している。
【0008】
Jak-STATシグナリング経路を活性化する他のサイトカインも存在し、具体的にはIL-6ファミリーのメンバーがあり、これにはIL-6、IL-11、白血病抑制因子(LIF)、オンコスタチン(OSM)、カルジオトロフィン−1(cardiotrophin-1)(CT-1)、毛様体神経栄養因子(CNTF)およびカルジオトロフィン様サイトカイン(CLC)が含まれる[7]。これらのサイトカインは、共通gp130シグナル伝達レセプター鎖を含む原形質膜レセプター複合体と結合する[7]。そのシグナル伝達はJakチロシンキナーゼファミリーのメンバーの活性化を伴い、転写因子STAT1およびSTAT3の活性化を引き起こす。これらのサイトカインは共通gp130レセプターサブユニットを介して、STAT3を、およびより低い程度でSTAT1を活性化する可能性がある。しかしながら、IL-6はいくつかの抗ウイルス効果を誘導することが示されているが[8]、このサイトカインの抗ウイルス活性はインターフェロンαのそれよりもかなり低い。
【0009】
本発明は、IL-6ファミリーインターロイキン、好ましくはカルジオトロフィン−1(CT 1)またはオンコスタチンM(OSM)の以下のための使用に関する:
(1) インターフェロンアルファ(IFN-α)の抗ウイルス活性を増強する;
(2) IFN-α治療(単独による治療または他の抗ウイルス成分と関連させた治療)に反応しない、慢性ウイルス感染症に罹患した患者に見られるインターフェロンに対する耐性を打破する;
(3) あらゆるタイプのウイルス感染、特にC型肝炎ウイルス(HCV)感染のために改善された抗ウイルス治療として、IL-6ファミリーインターロイキン、好ましくはCT-1またはOSMとIFN-αとの組み合わせ処置を達成する(ここで、好ましい組み合わせであるCT-1−IFN-αまたはOSM−IFN-αはHCV複製の抑制に特に強力であることが判明している)。
【0010】
本発明は以下の目的を達成した:
(1) IFN-αとIL-6ファミリーインターロイキン、好ましくはCT-1およびOSMとの組み合わせは、サイトカイン(IFNまたはIL-6ファミリーサイトカイン)単独よりも強力な抗ウイルス効果を創出することを示す;および
(2) IL-6ファミリーサイトカイン、特にCT-1またはオンコスタチンMと合わせられたIFN-αは、IFN-αシグナリングカスケードのブロッキング(およびその結果起こるIFN-α効果の減衰。ウイルス、好ましくはHCVが感染細胞において複製する時に起こる。)を打破できることを示す。
【発明の開示】
【0011】
[発明の説明]
本発明は、まず第一に、ウイルス性疾患の処置における少なくとも1つのIFN-αまたはそれをコードするDNA配列との組み合わせ投与のための医薬組成物を調製する際の、少なくとも1つのIL-6ファミリーサイトカイン「gp130ファミリー」またはそれをコードするDNA配列の使用に関し、そのサイトカインはカルジオトロフィン−1、IL-11、白血病抑制因子、オンコスタチンM、毛様体神経栄養因子、カルジオトロフィン様サイトカインおよびそれらの組み合わせのうちから選択され;さらに好ましくは、そのサイトカインはカルジオトロフィン−1またはオンコスタチンMである。
【0012】
本発明において使用する、「IL-6ファミリー」サイトカイン、例えばCT-1は以下を意味する:
− そのサイトカインの完全野生型(native)形態;
− そのサイトカインのあらゆる活性フラクション、すなわち、本発明において特許請求されているその完全サイトカインの生理学的効果を維持するそのサイトカインのあらゆる部分ポリペプチド配列;および
− そのサイトカインのあらゆるポリペプチド誘導体、すなわち、その野生型サイトカインと80%より高い相同性を有し、かつ本発明において特許請求するその完全サイトカインの生理学的効果を維持するあらゆるポリペプチド配列。
【0013】
IL-6ファミリーサイトカイン(完全型、活性フラクションまたはポリペプチド誘導体にかかわらず)は、完全サイトカイン、活性フラクションまたはポリペプチド誘導体をコードするあらゆるポリヌクレオチド型を始めとして、野生型形態およびあらゆる形態の組換えサイトカインの両方に由来するサイトカインであり得る。
【0014】
さらに、完全または活性フラクションと考えられるIL-6ファミリータンパク質、またはその組換えサイトカイン内に、本発明に予想される活性を維持させながら、あらゆる既知の方法によって1つまたは数個のアミノ酸をそのタンパク質に対して欠失、置換または付加することができた。
【0015】
一方、本発明によると、本発明のIFN-αはあらゆるタイプのIFN-αである。特定の実施態様において、そのIFN-αはIFN-α-2a、IFN-α-2b、IFN-α-5、コンセンサスインターフェロン、精製IFN-α、ペグ化IFN-αおよびそれらの組み合わせから選択される。別の特定の実施態様において、そのIFN-αはペグ化IFN-α-2b、ペグ化IFN-α-2a、ペグ化IFN-α-5およびそれらの組み合わせから選択される。
【0016】
IFN-αとIL-6ファミリーサイトカインの組み合わせ使用は、好ましくはウイルス性疾患の処置のために構成する。インターフェロンとIL-6ファミリーサイトカインの併用により処置され得るウイルス性疾患の例として、とりわけ以下のものを挙げることができる:脳心筋炎ウイルス、B型およびC型肝炎、HIV、皮膚のウイルス感染症(水疱、帯状疱疹、麻疹)、呼吸器のウイルス感染症、中枢神経系のウイルス感染症、肝臓のウイルス感染症、唾液腺のウイルス感染症、伝染性単核球症および陰部疣贅によって引き起こされる疾患。
【0017】
好ましくは、そのウイルス性疾患はC型肝炎である。
【0018】
さらに、本発明によると、IL-6ファミリーサイトカイン(またはサイトカイン類)およびIFN-αは異なる医薬組成物によって別個に投与され得る;または同じ医薬組成物によって一緒に投与され得る。
【0019】
従って、本発明のさらなる対象は、製薬的に許容される量の少なくとも1つのIL-6ファミリーサイトカイン「gp130ファミリー」またはそれをコードするDNA配列、および製薬的に許容される量の少なくとも1つのIFN-αまたはそれをコードするDNA配列を含む医薬組成物である。
【0020】
その少なくとも1つのIFN-αまたはそれをコードするDNA配列、および少なくとも1つのIL-6ファミリーサイトカインまたはそれをコードするDNA配列を含む医薬組成物において、IL-6ファミリーサイトカインは好ましくはIL-6、IL-11、白血病抑制因子、オンコスタチンM、カルジオトロフィン−1、毛様体神経栄養因子、カルジオトロフィン様サイトカインおよびそれらの組み合わせから選択される;さらにより好ましくは、そのIL-6ファミリーサイトカインはカルジオトロフィン−1またはオンコスタチンMである。
【0021】
本発明の医薬組成物において、IFN-αはあらゆるタイプのIFN-αである。好ましい実施態様において、IFN-αは、IFN-α-2a、IFN-α-2b、IFN-α-5、コンセンサスインターフェロン、精製IFN-α、ペグ化IFN-αおよびそれらの組み合わせから選択される。別のさらなる好ましい実施態様において、IFN-αはペグ化IFN-α-2b、ペグ化IFN-α-2a、ペグ化IFN-α-5およびそれらの組み合わせから選択された。
【0022】
特定の実施態様において、IL-6ファミリーサイトカイン(完全型、活性フラクションまたはポリペプチド誘導体にかかわらず)またはIFN-αをコードするDNA配列は、発現ベクター、例えば、プラスミドまたはウイルスベクターに組み込まれており、好ましくは、そのサイトカインまたはIFN-αの発現を調節する制御配列に作動可能に結合している。そのDNA配列を有する発現ベクターの構築は、例えば「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」、J. Sambrook, D.W. Russel版、2001、第3版、Cold Spring Harbor, New Yorkのようなハンドブックに記載されている従来の組換え技術で行うことができる。本医薬組成物のこれらの実施態様は、遺伝子導入を用いる治療(遺伝子治療)として興味深いものである。
【0023】
本発明の医薬組成物は、IL-6ファミリーサイトカインまたはそれをコードするDNA配列と製薬的に適合性であり、かつIFN-αまたはそれをコードするDNA配列と製薬的に適合性である少なくとも1つの賦形剤をさらに含み得る。
【0024】
さらに、本医薬組成物において、IL-6ファミリーサイトカインまたはそれをコードするDNA配列、およびIFN-αまたはそれをコードするDNA配列は、それぞれの担体物質に含ませることができる。
【0025】
本発明の医薬組成物の有効な例には、あらゆる適切な投与経路(例えば、経口、経鼻、非経口、局所、経皮、直腸など)による投与のための、あらゆる固体組成物(例えば、錠剤、カプセル、顆粒剤など)または液体組成物(例えば、溶液剤、懸濁剤、エマルジョンなど)が含まれるがこれらに限定されない。
【0026】
特定の実施態様において、本医薬組成物は固体または液体の経口投与剤形であり得る。経口投与剤形の説明に役立つ実例には、錠剤、カプセル、顆粒剤、溶液剤、懸濁剤などがあり、従来の賦形剤、例えば、結合剤、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤、湿潤剤などを含有してもよく、また従来法によって調製できる。本医薬組成物はまた、例えば滅菌した溶液剤、懸濁剤または凍結乾燥製剤の剤形で適切な投与形態による非経口投与に適合させることができ;この場合、本医薬組成物は適切な賦形剤、例えば緩衝剤、界面活性剤などを含むであろう。いずれにせよ、賦形剤は選択した投与剤形に基づいて選択されるであろう。これらの投与経路および他の潜在的な別経路のための様々な薬物投与剤形およびそれらの調製についての総説は、例えば、「Tecnologia farmaceutica(製薬技術)」J.L. Vila Jatoによる、1997、IおよびII巻 Sintesis版、Madrid;または「Handbook of Pharmaceutical Manufacturing Formulations」S.K. Niaziによる、2004、IからVI巻、CRC出版、Boca Ratonを参照することができる。
【0027】
特定の実施態様において、本医薬組成物は、非経口投与、好ましくは皮下、静脈内、筋肉内または腹腔内投与のために構成する。
【0028】
本発明の医薬組成物の特定の実施態様において、IFN-αはペグ化型である。ペグ化型を有する組成物を調製するいくつかの例については、米国特許第5,762,923号明細書および米国特許第5,766,582号明細書を参照できる。これらのペグ化型のいくつかは市販のものを購入することもでき、例えばSchering Corporation (Kenilworth, N.J., U.S.A.)のPEG-Intron(ペグ化IFN-α-2b)やHoffmann La Roche (Nutley, N.J., U.S.A.)のPEGASYS (IFN-α-2a)などがある。
【0029】
治療に適用する際、IL-6ファミリーサイトカインおよびIFN-αの両方は、好ましくは製薬的に許容されるかまたは実質的に純粋な形態であるべきであり、つまり、それらは製薬的に許容される賦形剤を除いて、製薬的に許容される純度水準を有し、かつ通常の投与量で毒性となると考えられる物質を含まないようにするべきである。IL-6ファミリーサイトカインおよびIFN-αの純度水準は好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上である。好ましい実施態様において、それらは95%以上である。
【0030】
一般に、投与するIL-6ファミリーサイトカインおよびIFN-αの治療的有効量は、他の要素よりもとりわけ処置する個体、個体の疾患重篤度、選択した投与形態などに依拠するであろう。この理由から、本発明に記載の用量は、単に当業者のためのガイドと考え、当業者は前記の要素に基づいて用量を調整するべきである。しかしながら、IL-6ファミリーサイトカインおよびIFN-αは、1日に1回以上、例えば1日に1、2、3または4回投与してもよい。
【0031】
保護の範囲を限定するのではなく、説明に役立つ実例として、カルジオトロフィン−1およびIFN-α-2a(または2b)を組み合わせる特定の実施態様において、カルジオトロフィン−1の典型的な1日の総用量は、体重に対して1μg/kgから10mg/kgであろう;IFN-α-2aの典型的な1日の総用量は、1日につき1.5から10MIUまたは1週間につき40から300μgのペグ化IFN-αである。通常、処置の始めの1週間は投与量レベルはより高く、後の段階では減少するであろう。同様に、投与計画も、毎日、週に3回、または週に1回ともなり得る。他方で、カルジオトロフィン−1およびIFN-αを以下の種々の投与計画で投与してもよい(例えば、種々の投与経路または頻度)。
【0032】
本発明のさらなる対象は、ウイルス性疾患の処置のための、少なくとも以下を含む医薬キットである:
− 少なくとも1つのIL-6ファミリーサイトカイン「gp130ファミリー」(上記のように、完全型、活性フラクションまたはポリペプチド誘導体のいずれか)またはそのサイトカインをコードするDNA配列を含む第1の成分;および
− 少なくとも1つのIFN-αまたはそのIFN-αをコードするDNA配列を含む第2の成分。
【0033】
本発明によるキットは、好ましくは、IL-6、IL-11、白血病抑制因子、オンコスタチンM、カルジオトロフィン−1、毛様体神経栄養因子、カルジオトロフィン様サイトカインおよびそれらの組み合わせから選択されるIL-6ファミリーサイトカインを含み、さらにより好ましくは、IL-6ファミリーサイトカインはカルジオトロフィン−1またはオンコスタチンMである。
【0034】
本発明によるキットは、あらゆるタイプのIFN-α、好ましくはIFN-α-2a、IFN-α-2b、IFN-α-5、コンセンサスインターフェロン、精製IFN-α、ペグ化IFN-αおよびそれらの組み合わせから選択されるものを含む。別のさらなる好ましい実施態様において、IFN-αは、ペグ化IFN-α-2b、ペグ化IFN-α-2a、ペグ化IFN-α-5およびそれらの組み合わせから選択される。
【0035】
特定の実施態様において、本キットのIL-6ファミリーサイトカイン(完全型、活性フラクションまたはポリペプチド誘導体にかかわらず)またはIFN-αをコードするDNA配列は、発現ベクターに組み込まれている。
【0036】
本発明のキットにおいて、第1の成分および第2の成分は、IL-6ファミリーサイトカインまたはそれをコードするDNA配列、およびIFN-αまたはそれをコードするDNA配列に適合性の、製薬的に許容される少なくとも1つの賦形剤をさらに含み得る。
【0037】
本発明によると、上記のキットは、第1および第2の成分を別の医薬組成物内に含み得る;あるいは、第1および第2の成分はそのキットの同じ医薬組成物の中に存在し得る。
【0038】
このキットはまた、IL-6ファミリーサイトカインまたはそれをコードするDNA配列、およびIFN-αまたはそれをコードするDNA配列と製薬的に適合性の1以上の賦形剤を含む第3の成分を含み得る。
【0039】
その第3の成分は、IL-6ファミリーサイトカインまたはそれをコードするDNA配列、およびIFN-αまたはそれをコードするDNA配列と製薬的に適合性の1以上の担体物質をさらに含み得る。
【0040】
本発明のさらなる対象は、ウイルス性疾患を処置するための方法であって、治療的有効量の少なくとも1つのIL-6ファミリー「gp130ファミリー」サイトカイン(前記のように、完全型、活性フラクションまたはポリペプチド誘導体にかかわらず)またはそれをコードするDNA配列、および治療的有効量の少なくとも1つのIFN-αまたはそれをコードするDNA配列を組み合わせて投与することを含む方法である。
【0041】
特定の実施態様において、本方法のIL-6ファミリーサイトカインまたはIFN-αをコードするDNA配列は、発現ベクターに組み込まれている。
【0042】
上記の方法において、ウイルス性疾患は、脳心筋炎ウイルス、B型およびC型肝炎、HIV、皮膚のウイルス感染症(水疱、帯状疱疹、麻疹)、呼吸器のウイルス感染症、中枢神経系のウイルス感染症、肝臓のウイルス感染症、唾液腺のウイルス感染症、伝染性単核球症および陰部疣贅によって引き起こされ得る。
【0043】
本発明の方法の好ましい実施態様によると、ウイルス性疾患はC型肝炎である。
【0044】
本発明の方法によると、IL-6ファミリーサイトカインは好ましくは、IL-6、IL-11、白血病抑制因子、オンコスタチンM、カルジオトロフィン−1、毛様体神経栄養因子、カルジオトロフィン様サイトカインおよびそれらの組み合わせから選択され;さらにより好ましくは、IL-6ファミリーサイトカインは、カルジオトロフィン−1またはオンコスタチンMである。
【0045】
本発明による方法において、IFN-αはあらゆるタイプのIFN-αである。好ましい実施態様において、それはIFN-α-2a、IFN-α-2b、IFN-α-5、コンセンサスインターフェロン、精製IFN-α、ペグ化IFN-αおよびそれらの組み合わせから選択される;別のさらなる好ましい実施態様において、IFN-αはペグ化IFN-α-2b、ペグ化IFN-α-2a、ペグ化IFN-α-5およびそれらの組み合わせから選択される。
【0046】
さらに、本発明の方法によると、本発明は、インターロイキンファミリーサイトカイン、好ましくはカルジオトロフィン−1、とIFN-αを組み合わせての同時投与を含み得る。
【0047】
この方法において、IL-6ファミリーサイトカイン(完全型、活性フラクションまたはポリペプチド誘導体にかかわらず)およびIFN-αは、同じ医薬組成物に含まれて患者に投与され得る;あるいはIL-6ファミリーサイトカインおよびIFN-αは、別の医薬組成物によって投与され得る。
【0048】
本発明によって、完全HCVレプリコンを含む肝臓細胞をIFN-αとIL-6ファミリーインターロイキン、特にカルジオトロフィン−1またはオンコスタチンMで刺激すると、以下のことが示される:
(1) 細胞をIFN-α単独またはIL-6ファミリーサイトカイン(例えばCT-1またはOSM)単独でインキュベートする場合に起こる、STAT3リン酸化に対するHCVの抑制効果が打破される;
(2) サイトカイン単独でインキュベートするよりも、インターフェロン感受性遺伝子(ISG)、例えば、2'-5'オリゴアデニル酸合成酵素(2'-5'OAS)がより多く誘導され、またSTAT1およびSTAT3レベルが高くなる;
(3) サイトカインを単独で用いるよりも、ウイルスの複製がより効果的に抑制される;
(4) IFN-αとCT-1間の相互作用、またはIFN-αとOSM間の相互作用に、強い相乗効果がある。
【実施例】
【0049】
[本発明の実施態様]
実験1
HCV複製を続ける細胞におけるシグナリングカスケードに対するIFN-α-2とCT-1の組み合わせの効果の研究(図1)。
非トランスフェクトHuh7細胞(肝癌細胞株)において、50 IU/mlのIFN-α-2 (IFN-α-2)を加えると、STAT1、STAT2およびSTAT3のリン酸化が誘導され、STAT1およびSTAT2は1時間および2時間目に、STAT3は1時間目に最大活性化を示した(図1Aを参照)。しかしながら、完全長HCVレプリコンでトランスフェクトしたHuh7細胞においては、IFN-α-2によるインキュベーション後、STAT1、STAT2およびSTAT3のリン酸化の顕著な抑制が確認された。その結果、活性化STAT3およびSTAT1は全く存在せず、STAT2活性化は著しく抑制された(図1A参照)。
【0050】
一方、非トランスフェクトHuh7細胞において、20ng/mlのCT-1を加えると、STAT3およびSTAT1の両方が活性化し(STAT3がより強く)、15分目と1時間目に最大値となり、2時間目に大幅に減少したことが確認された(図1B)。予想した通り、CT-1はSTAT2の活性化を全く誘導しなかった。完全HCVレプリコンでトランスフェクトしたHuh7細胞においては、CT-1によるSTAT3の活性化はかなり減少し、一方、STAT1のリン酸化は少ししか影響されなかった(図1B)。
【0051】
非トランスフェクトHuh7細胞を50 IU/mlのIFN-α-2と20ng/mlのCT-1の混合物でインキュベートすると、各サイトカイン単独でインキュベートした時よりも、より強く持続するSTAT3とSTAT1のリン酸化が検出された。STAT2の活性化はIFN-α-2 単独を用いた場合に観察されたものと似ていた。完全HCVレプリコンでトランスフェクトしたHuh7細胞をIFN-α-2 (50 IU/ml)とCT-1 (20ng/ml)の混合物でインキュベートすると、STAT3のリン酸化は何ら障害なく起こり、そのSTAT3の活性化は、非トランスフェクト細胞をIFN-α-2単独でインキュベートした時よりも強いだけでなく長く持続した、ということの意義は大きい(図1C)。この事実は注目に値するものである、なぜならば、既に述べたように(そして図1Aおよび1Bに示されるように)、Huh7細胞におけるHCV複製により、個別のIFN-α-2およびCT-1によるSTAT3の活性化が大いに減少したことから、この妨害が、2つのサイトカインを一緒に用いて細胞をインキュベートすると消失したことは驚くべきであるためであり;このことにより、ウイルス性疾患の処置における有望な戦略についての新たな見通しが開ける。HCVを複製する細胞をIFN-α-2とCT-1を組み合わせて処理すると、生じたSTAT3の活性化が強く持続するだけでなく、STAT1活性化が、非トランスフェクト細胞をCT-1単独でインキュベートした時に見られたものと似ており、また非トランスフェクト細胞をIFN-α-2単独でインキュベートした時よりも強かったということにも注目すべきである(図1Aおよび1Bと比較されたい)。IFN-α-2は、HCV複製が持続する細胞においてSTAT1を活性化できなかったが、一方CT-1とIFN-α-2の組み合わせは、HCVを複製する細胞においてこの重要な抗ウイルス因子を非常に効果的に活性化できたことに注目することは重要である。このことは、IFN-α-2とCT-1の組み合わせによって抗ウイルス活性が改善されることを明らかに示しており、HCV複製がない細胞を用いた場合よりも明らかに低いレベルであるにせよSTAT2のリン酸化が可能になっている(図1Cを参照)。
【0052】
結論として、HCV複製が持続する細胞をIFN-α-2単独で処理すると、STAT1およびSTAT3の活性化は起こらず、STAT2については低レベルでのみ観察された。活性化STAT1およびSTAT3(細胞の抗ウイルス状態の重要な2誘導因子)が存在しないと、STAT1-STAT2ヘテロダイマー、STAT1-STAT3ヘテロダイマー、およびSTAT1およびSTAT3のホモダイマーの形成が起こらず、従って細胞の抗ウイルス防衛が崩壊する。CT-1をIFN-α-2と組み合わせて用いると高レベルで活性化STAT1およびSTAT3が形成され、これにより細胞のウイルス耐性メカニズムが回復する。
【0053】
図1に示す実験で、HCV感染は、STAT1の活性化に欠陥を起こさせるだけでなく、STAT3およびSTAT2タンパク質レベルを減少させることが分かる。図1に示す研究は、IFN-α-2またはCT-1のいずれかによる、または両方の組み合わせによるインキュベーションの短期の効果を示している。以下に記載する実験では、72時間のインキュベーションを行い、CT-1とIFN-α-2の組み合わせ、またはOSMとIFN-α-2の組み合わせによる処理でSTAT3の発現が増加することが確認され、こうして感染細胞においてHCVの作用に対抗できることが示されている(図2を参照)。
【0054】
実験方法1
完全長HCVレプリコンを含むHuh7細胞株の確立。報告されている通りに、完全長HCVレプリコンを発現するHuh7細胞を確立した[9]。要約すると、pI389/Core-3'/5.1をScaI (New England Biolabs, USA)と直線化してテンプレートとし、T7 RNA ポリメラーゼ(Promega, USA)を用いてRNAを合成した。20μgの合成RNAを用いて107のHuh7細胞にエレクトロポレーションし、24時間後、500μg/mlのG418 (Gibco, USA)を加えた。週に2回、補足培地をG418と交換し、トランスフェクションの4週間後、G418耐性コロニー群を合わせて採取し、続く分析に用いた。
【0055】
ウェスタンブロット解析。6ウェルプレートの10%FCS (Gibco)を含有するD-MEM (Gibco)中に完全長HCVレプリコンを発現するHuh7細胞、または発現しないHuh7細胞のいずれかを200,000/ウェル分播種した。50 IU/mlのIFN-α-2 (Intron A, Schering-Plough)、または20ng/mlのCT-1 (R&D Systems, UK)、またはIFN-α-2 (50 IU/ml)とCT-1 (20ng/ml)の組み合わせを加え、以下の各期間置いた:15分、1時間および2時間。次いで、Huh7細胞を溶解バッファー(60mM Tris-HCl pH6.8、2% SDS、2.5%グリセロール、0.7M 2-メルカプトエタノールおよび0.02% ブロモフェノールブルー)に溶解させた。サンプルを還元条件下、7.5%SDS-ポリアクリルアミドゲル(Bio-Rad Laboratories, CA)上で分離した。電気泳動後、それらをニトロセルロース膜(Bio-Rad Laboratories)に移し、Ponceauレッド溶液 (Sigma-Aldrich, Germany)で染色してタンパク質が等しく取り込まれていることを確認した。その膜を、TBS-T(50mM Tris-HCl (pH 7.6)、200mM NaClおよび0.1% Tween-20)に5%粉ミルクを添加したものでインキュベートした。特異的一次抗体を加えたTBS-T中で1時間インキュベーションしてタンパク質を検出した。次いで膜をTBS-T中で洗浄し、過酸化水素とコンジュゲートした二次抗体を加えて1時間おいた。その膜をTBS-T中で丁寧に洗浄し、特異的なタンパク質のバンドを、「Western Lightning Chemiluminescence Reagent Plus」という化学発光検出系(Perkin Elmer, USA)をメーカーの説明書に沿って用いて観察した。次いで、その膜をオートラジオグラフィーにかけ、Molecular Analyst/PC programme (Bio-Rad Laboratories)によって濃度測定分析を行いバンドを定量化した。
【0056】
抗体。anti-phospho-STAT1tyr701およびanti-phospho-STAT3tyr705抗体およびHRPとコンジュゲートした抗ウサギIgG抗体をCell Signaling Technology (USA)から購入した。anti-STAT3、anti-phospho-STAT1ser727、anti-STAT2およびanti-phospho-STAT2tyr689抗体をUpstate Biotechnology (USA)から入手した。anti-STAT1抗体はSanta Cruz Biotechnology (Santa Cruz, CA)から入手した。抗アクチン抗体はSigma-Aldrich (Germany)から入手した。
【0057】
IL-6ファミリーサイトカインとIFN-αの組み合わせにより、細胞において、より強い抗ウイルス状態が起こるかどうかを決定するために、我々は以下のためにさらなる実験を計画し行った:a) IFN-αとIL-6ファミリーサイトカインの組み合わせ治療によって、インターフェロン感受性遺伝子の発現を、いずれかのサイトカインを単独で用いるよりも強く増大させられるかどうかを評価する;b) IFN-αとIL-6ファミリーサイトカインの組み合わせ治療によって、各サイトカインを個別に用いるよりも、HCV複製を強く抑制できるかどうかを決定する;c) IFN-α-2とCT-1の組み合わせ治療によって、非HCV関連ウイルスの細胞変性作用に対して、より効果的に細胞を防護することができるかどうかを評価する;およびd) IFN-αとIL-6ファミリーサイトカインの間の相互作用の種類を決定する。
【0058】
実験2。IFN-α-2とCT-1、またはIFN-α-2とOSMの組み合わせ治療の、インターフェロン感受性遺伝子(ISG)の誘導に対する効果の評価(図2)。
HCVレプリコンを含むHuh7細胞を、IFN-α-2(5または50 IU/ml)またはCT-1(20ng/ml)またはOSM(20ng/ml)、またはIFN-α-2とCT-1の組み合わせまたはIFN-α-2とOSMの組み合わせによって72時間インキュベーションした後、ISGである2'-5'OAS、STAT1およびSTAT3の発現を調べた(図2A−2Fを参照)。我々は、CT-1またはOSM単独ではこれらのISGの発現を増加させられないかまたは弱く増加させるのみであったが、CT-1またはOSMを低容量または高用量のIFN-α-2に加えると、ISG発現が顕著に増加したことを確認し、このことはCT-1またはOSMによって、ウイルス複製を持続する細胞において、抗ウイルス遺伝子を増加調節するIFN-α-2の能力を顕著に増大させられることを示している。ここで解析した3つのISGは重要な抗ウイルス作用を有するが、STAT3は抗ウイルス特性を持つだけでなく強力な細胞保護作用および抗炎症活性を示すので、CT-1またはOSMとIFN-α-2との組み合わせによるこの因子の発現増加は、特に意義がある。
【0059】
実験方法2
ISGのmRNA発現のリアルタイムRT-PCR解析。6ウェルプレートの10% FCS (Gibco)を含むD-MEM (Gibco)中に完全長HCVレプリコンを発現するHuh7細胞を100,000/ウェル分播種した。50または5 IU/mlのIFN-α-2を単独で、または20ng/mlのCT-1または20ng/mlのOSMと組み合わせて加えた。その細胞培養を3日間維持した。補足培養培地を毎日それらのサイトカインと交換した。ChomczynskiとSacchiによって記載された方法に基づく「Ultraspec RNA Isolation System」プロトコル(Biotech, USA)に従ってトータルRNAを得た[10]。2μgのトータルRNAをDNAase (Gibco-BRL, UK)で処理し、RNaseOUT (Gibco-BRL)の存在下M-MLV Reverse Transcriptase(Gibco BRL)を用いて逆転写した。STAT、2'-5'OASおよびβアクチンの発現をIcyclerおよびIQ SYBR Green Supermix (Bio-Rad Laboratories, CA)を用いてリアルタイムPCRによって測定した。cDNAプールの2μlアリコットを、各遺伝子に特異的な順方向および逆方向プライマー(表1)を含めて最終体積20μlとして用い、各PCRを行った。得られたPCR産物の特異性を調べるために、それらの解離温度を解析した。その結果を同じサンプル中のβアクチンの定量化に基づいて標準化した。各転写物の量を式2ct(アクチン)−ct(遺伝子)で表した(ctは蛍光がバックグラウンドの蛍光に対し有意に増加したポイントである)。
【0060】
【表1】

【0061】
実験3。完全長HCVレプリコンでトランスフェクトしたHuh7細胞のHCV複製に対する、IFN-α-2とIL-6ファミリーサイトカインの組み合わせの効果の研究(図3)。
IFN-α-2とCT-1またはOSMを組み合わせるとより強いISG誘導が見られたので、完全長HCVレプリコンを含む細胞のウイルス負荷を減少させることについて、IFN-α-2単独またはIL-6ファミリーサイトカイン単独よりもこの組み合わせの方が優れているかどうかを解析することが望まれた。従って、HCVレプリコンを含むHuh7細胞をIFN-α(5または50 IU/mlのIFN-α-2またはIFN-α-5)単独、またはIL-6ファミリーサイトカイン(IL 6、CT-1、OSM;20ng/ml)との組み合わせ、またはIL-6ファミリーサイトカイン単独によってインキュベートした。72時間の培養後にHCV RNAの量を測定した(図3A、3B、3C)。図3において、IL-6ファミリーサイトカイン:IL-6、CT-1およびOSM単独は、中程度の抗ウイルス効果を有することが分かる。しかしながら、IFN-α-2とIFN-α-5の低(5 IU/ml)または高(50 IU/ml)用量を用いた場合、これらの両サイトカインの抗ウイルス効果はCT-1およびOSMによって同程度に強く増大した(図3Aおよび3B)。IL-6はIFN-α-2とIFN-α-5の両方の抗ウイルス効果を同程度により弱く増大させた(図3C)。このように、IFN-α-2またはIFN-α-5と、CT-1またはOSMとの組み合わせ治療は、IFN-αの抗ウイルス効果をそれぞれ約5および10倍増加させる。さらに、IFN-α-2またはIFN-α-5とIL 6の組み合わせ治療は、その効果を約2倍増加させる。
【0062】
図4において、IL-6、CT-1およびOSM (20ng/mL)によるIFN-α-2 (5 U/mL)(図4A)またはIFN-α-5(図4B)の抗ウイルス作用の増大効果を比較して表す。IFN-α/IL-6の組み合わせに対してIFN-α/CT-1およびIFN-α/OSMの組み合わせの方が抗ウイルス効果をより高く増大させていることが明らかに見て取れる。
【0063】
実験方法3
HCV RNAの定量的リアルタイムPCR解析。6ウェルプレートの10%FCSを含むD-MEM中に完全長HCVレプリコンを発現するHuh7細胞を100,000/ウェル分播種した。50または5 IU/mlのIFN-α-2またはIFN-α-5を単独で、または20ng/mlのCT-1またはOSMまたはIL-6と組み合わせて加えた。その細胞培養を3日間維持した。補足培養培地をそれらのサイトカインと毎日交換した。
【0064】
ChomczynskiとSacchiによって記載された方法に基づく「Ultraspec RNA Isolation System」プロトコル(Biotech, USA)に従って、完全長HCVレプリコンでトランスフェクトしたHuh7細胞のトータルRNAを得た[10]。2μgのトータルRNAをDNAase (Gibco-BRL)で処理し、RNaseOUT (Gibco-BRL)の存在下M-MLVReverse Transcriptase (Gibco BRL)を用いて逆転写した。HCV RNAおよびβアクチンmRNAの発現を、IcyclerおよびIQ SYBR Green Supermix (Bio-Rad Laboratiories)を用いて定量的リアルタイムPCRによって測定した。cDNAプールの2μlアリコットを、HCVまたはβアクチン遺伝子の5'非翻訳領域に特異的な順方向および逆方向プライマー(表1)を含めて最終体積20μlとして用い、各PCRを行った。PCR産物の特異性を調べるために、それらの解離温度を解析した。その結果を同じサンプル中のβアクチンの定量化に基づいて標準化した。HCV RNAの量を式2ct(アクチン)−ct(HCV)で表した(ctは蛍光がバックグラウンド蛍光に対し有意に増加したポイントである)。
【0065】
実験4。脳心筋炎ウイルス(EMCV)の細胞変性作用に対する防護についてのIFN-α-2とCT-1の組み合わせの効果の研究(図5)。
組み合わせ治療の相乗効果がHCVとは異なる他のウイルス感染においても生じるかどうかを調べるために、Huh7細胞において、EMCVの細胞変性作用に対して、この処置によって得られた防護効果を分析した。低(5ng/ml)または高(50ng/ml)用量のCT-1存在または非存在下、250から1 IU/mlまで減少する用量のIFN-α-2でHuh7細胞をインキュベートし、24時間EMCVに感染させた。極めて低容量のIFN-α-2にCT-1(低または高用量)を加えても細胞生存率は改善しなかったので、このサイトカイン単独にはEMCV感染細胞に対する細胞保護作用が少ししかないことが見て取れる。しかしながら、IFN-α-2により誘導された、EMCVの細胞変性作用に対する防護作用は、CT-1(低容量および高用量の両方)によって顕著に増大した。この相乗効果は250と28 IU/mlの間の用量のIFN-α-2を用いた場合に見られ、83と28 IU/mlの用量のIFN-α-2の場合に最も明らかである。これらのデータは、IFN-α-2とCT-1の抗ウイルス相乗効果はHCVに限定されず、広範なウイルス性疾患に当てはまることを示している。
【0066】
実験方法4
Huh7細胞におけるEMCVに対するIFN-α-2およびCT-1の細胞保護作用についてのアッセイ。IFN-α-2およびCT-1の細胞保護活性を、脳心筋炎ウイルスの細胞変性作用に対してHuh7細胞を保護するこれらのサイトカインの能力を測定して決定した。このアッセイは96ウェルマイクロタイタープレート上で行った。まず、1ウェルにつき2x104のHuh7細胞を、IFN-α-2単独の段階希釈(250から1 IU/ml)、またはIFN-α-2の同段階希釈と50または5 ng/mlのCT-1を含有する150μlの培地に播種し、24時間インキュベートした。105 PFUのEMCウイルスを各ウェルに加え、24時間時点の細胞変性作用を以下のように測定した:培地を除去した後、ウェルをPBSで2回洗浄し、クリスタルバイオレット着色溶液(メタノール:水=1:4(v/v)中0.5%)で染色した。540nmの光学密度を測定した。その結果をEMCVの細胞変性作用に対して保護された細胞の割合で表す。
【0067】
実験5。完全長HCVレプリコンでトランスフェクトしたHuh7細胞におけるHCV複製に対する、IFN-αと種々のインターロイキン6ファミリーサイトカイン間の作用の研究。
IFN-αとIL-6ファミリーサイトカインの組み合わせによって抗ウイルス効果が増大することが示されたので、IFN-α-2またはIFN-α-5とIL-6ファミリーサイトカイン:IL-6、OSMおよびCT-1の組み合わせに起こる相互作用の種類を決定することが望まれた。
【0068】
完全長HCVレプリコンでトランスフェクトしたHuh7細胞において、固定濃度(5または50 IU/ml)のIFN-α-2およびIFN-α-5を単独で、またはIL-6、OSMおよびCT-1 (20ng/mL)と組み合わせて、いくつかの抗ウイルス検査を行った。IFN-αとIL-6ファミリーサイトカインの間に起こった相互作用の種類について、T.C.Chouによって記載された方法による多変量解析によって数学的分析を行った(11)。2物質間の相互作用の種類は、相互作用指数(Interaction Index)「I」という因子によって測定する(ここで、I=d1/D1+d2/D2;d1、d2はその組み合わせにおける阻害性の度合であり、D1、D2はその組み合わせと同じ作用を効するであろう各々の阻害性の度合である)。そこで、「I」が1に等しいことは、両物質がそれらの間で反応しない(相加作用)ことを意味し;「I」が1より低いことは、その組み合わせが相乗的であることを意味し;「I」の値が1より大きいことは、その組み合わせが拮抗物質であることを意味する。表2は「I」の値に対する標準的な相乗性の度合を示す。
【0069】
【表2】

【0070】
IFN-αと前記のIL-6ファミリーサイトカインの種々の組み合わせについて得られる相互作用指数は、全ての組み合わせにおいて1より低く、よって、IFN-α(2または5)とこれらのサイトカイン、IL-6、OSMおよびCT-1の組み合わせは相乗性である(表3)。さらに、得られたデータは、相乗作用はたいていIFN-α/IL-6の組み合わせ(I<0.7 相乗性)よりもIFN-α/OSMおよびIFN-α/CT-1の組み合わせにおいて顕著に高い(I<0.3強い相乗性)ことを示している。
【0071】
【表3】

【0072】
【表4】

【0073】
【表5】

【0074】
実験方法5
HCV RNAの定量的リアルタイムPCR解析。24ウェルプレートの10%FCSを含むD-MEM中に完全長HCVレプリコンを発現するHuh7細胞を20,000/ウェル分播種した。以下の種々の実験を行った:50または5 IU/mlのIFN-α-2またはIFN-α-5を単独で、または20ng/mlのCT-1、OSMまたはIL-6 (R&D Systems, UK)と組み合わせて加えた。その細胞培養を3日間維持した。補足培養培地をそれらのサイトカインと毎日交換した。
【0075】
Kit Nucleic Acid Purification Lysis Solution (Applied BioSystems, Foster City, CA)および半自動系ABI PRISM 6100 Nucleic Acid PrepStation (Applied BioSystems)を用いて、完全長HCVレプリコンでトランスフェクトしたHuh7細胞のトータルRNAを得た。2μgのトータルRNAをDNAase (Gibco-BRL)で処理し、RNaseOUT (Gibco-BRL)の存在下、M-MLV Reverse Transcriptase (Gibco BRL)を用いて逆転写した。HCV RNAおよびβアクチンmRNAの発現を、IcyclerおよびIQ SYBR Green Supermix (Bio-Rad Laboratiories)を用いて定量的リアルタイムPCRによって測定した。cDNAプールの2μlアリコットを、HCVまたはβアクチン遺伝子の5'非翻訳領域に特異的な順方向および逆方向プライマー(表1)を含めて最終体積20μlとして用い、各PCRを行った。PCR産物の特異性を調べるために、それらの解離温度を解析した。その結果を同じサンプル中のβアクチンの定量化に基づいて標準化した。HCV RNAの量を式2ct(アクチン)−ct(HCV)で表した(ctは蛍光がバックグラウンド蛍光に対し有意に増加したポイントである)。
【0076】
相互作用指数の計算には以下の方程式を適用できた:
I=d1/D1+d2/D2
【0077】
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11. Chou TC. Synergism and Antagonism in chemotherapy 1991; 61-102. Academic Press.
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1はSTAT1、STAT2およびSTAT3のリン酸化の分析を示す。Huh7細胞(Huh7)および完全ゲノムHCVレプリコンを含むHuh7細胞(Core-3')を50 IU/mlのIFN-α-2 (IFN-α)または20ng/mlのカルジオトロフィン−1(CT-1)、またはIFN-α-2とCT-1の組み合わせで、15、60および120分間処理し、細胞抽出物に存在するリン酸化STAT1、STAT2およびSTAT3の量をウェスタンブロットによって解析した。
【図2】図2は、5または50 IU/mlのIFN-α-2(IFN 5、IFN 50)単独(−CT)または20ng/mlのCT-1との組み合わせ(+CT)、および5または50 IU/mlのIFN-α-2単独(−OSM)または20ng/mlのOSMとの組み合わせ(+OSM)によって3日間処理した、完全HCVレプリコンを含むHuh7細胞に存在するSTAT1、STAT3および2'-5'OAS mRNAの、定量的リアルタイムRT-PCR分析を示す。対照:未処理細胞。
【図3】図3は、5または50 IU/mlのIFN-α-2またはIFN-α-5と、20ng/mlのCT-1またはOSMまたはIL-6によって3日間処理した、完全HCVレプリコンを含むHuh7細胞に存在するHCV RNAの、定量的リアルタイムRT-PCR分析を示す。
【図4】図4は、リアルタイムRT-PCRにより測定した、IFN-α-2またはIFN-α-5 (5 U/ml)と、CT-1またはOSMまたはIL-6 (20ng/mL)の組み合わせによって3日間処理した完全HCVレプリコンを含むHuh7細胞に存在するHCV RNAの、抗ウイルス効果の比較を示す。
【図5】図5は、脳心筋炎ウイルスの感染に対して防護されたHuh7細胞の割合を示す。Huh7細胞を、5 ng/mlまたは50 ng/mlのCT-1および種々の量のIFN-α-2によって前もって24時間処置し、105 PFUの脳心筋炎ウイルス(EMCV)に感染させ、24時間後に、その細胞をクリスタルバイオレット染色で染色して生存細胞の量を測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルス性疾患の処置のための、少なくとも1つのIFN-αまたはそれをコードするDNA配列との組み合わせ投与のために構成された医薬組成物の調製における、少なくとも1つのIL-6ファミリーサイトカイン「gp130ファミリー」またはそれをコードするDNA配列の使用であって、該サイトカインがIL-11、白血病抑制因子、オンコスタチンM、カルジオトロフィン−1、毛様体神経栄養因子、カルジオトロフィン様サイトカインおよびそれらの組み合わせから選択される使用。
【請求項2】
サイトカインが、カルジオトロフィン−1またはオンコスタチンMであることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
IFN-αが、IFN-α-2a、IFN-α-2b、IFN-α-5、コンセンサスインターフェロン、精製IFN-α、ペグ化IFN-αおよびそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
IFN-αが、ペグ化IFN-α-2b、ペグ化IFN-α-2a、ペグ化IFN-α-5およびそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項5】
IL-6ファミリーサイトカインが、完全野生型タンパク質、完全サイトカインの生理学的効果を維持する該サイトカインの部分ポリペプチド配列、および該野生型サイトカインと80%より高い相同性を有し、かつ完全サイトカインの生理学的効果を維持するポリペプチド配列から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項6】
前記ポリペプチド配列が、前記野生型サイトカインと90%より高い相同性を有することを特徴とする、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記ポリペプチド配列が、前記野生型サイトカインと95%より高い相同性を有することを特徴とする、請求項5に記載の使用。
【請求項8】
ウイルス性疾患がC型肝炎であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項9】
IL-6ファミリーサイトカインおよびIFN-αが、別の医薬組成物によって別個に投与されることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
IL-6ファミリーサイトカインおよびIFN-αが同じ医薬組成物によって一緒に投与される、前記請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項11】
製薬的に許容される量の少なくとも1つのIL-6ファミリーサイトカイン「gp130ファミリー」またはそれをコードするDNA配列、および製薬的に許容される量の少なくとも1つのIFN-αまたはそれをコードするDNA配列を含み、該サイトカインがIL-11、白血病抑制因子、オンコスタチンM、カルジオトロフィン−1、毛様体神経栄養因子、カルジオトロフィン様サイトカインおよびそれらの組み合わせから選択される、医薬組成物。
【請求項12】
IL-6ファミリーサイトカインが、カルジオトロフィン−1またはオンコスタチンMであることを特徴とする、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
IL-6ファミリーサイトカインが、完全野生型タンパク質、完全サイトカインの生理学的効果を維持する該サイトカインの部分ポリペプチド配列、および該野生型サイトカインと80%より高い相同性を有し、かつ完全サイトカインの生理学的効果を維持するポリペプチド配列から選択されることを特徴とする、請求項11または12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記ポリペプチド配列が、前記野生型サイトカインと90%より高い相同性を有することを特徴とする、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記ポリペプチド配列が、前記野生型サイトカインと95%より高い相同性を有することを特徴とする、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
IFN-αが、IFN-α-2a、IFN-α-2b、IFN-α-5、コンセンサスインターフェロン、精製IFN-α、ペグ化IFN-αおよびそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項11から15のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項17】
IFN-αが、ペグ化IFN-α-2b、ペグ化IFN-α-2a、ペグ化IFN-α-5およびそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項11から16のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項18】
IL-6ファミリーサイトカインまたはそれをコードするDNA配列、およびIFN-αまたはそれをコードするDNA配列と製薬的に適合性である少なくとも1つの賦形剤をさらに含有することを特徴とする、請求項11から17のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項19】
IL-6ファミリーサイトカインおよびIFN-αが、それぞれの担体物質に含まれていることを特徴とする、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項20】
ウイルス性疾患の処置のための医薬キットであって、少なくとも以下を含むことを特徴とするキット:
−少なくとも1つのIL-6ファミリーサイトカイン「gp130ファミリー」または該サイトカインをコードするDNA配列を含む第1の成分;ここで該サイトカインはIL-11、白血病抑制因子、オンコスタチンM、カルジオトロフィン−1、毛様体神経栄養因子、カルジオトロフィン様サイトカインおよびそれらの組み合わせから選択される、
−少なくとも1つのIFN-αまたは該IFN-αをコードする配列を含む第2の成分。
【請求項21】
IL-6ファミリーサイトカインが、カルジオトロフィン−1またはオンコスタチンMであることを特徴とする、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
IL-6ファミリーサイトカインが、完全野生型タンパク質、完全サイトカインの生理学的効果を維持する該サイトカインの部分ポリペプチド配列、および該野生型サイトカインと80%より高い相同性を有し、かつ完全サイトカインの生理学的効果を維持するポリペプチド配列から選択されることを特徴とする、請求項20または21に記載のキット。
【請求項23】
前記ポリペプチド配列が、前記野生型サイトカインと90%より高い相同性を有することを特徴とする、請求項22に記載のキット。
【請求項24】
前記ポリペプチド配列が、前記野生型サイトカインと95%より高い相同性を有することを特徴とする、請求項22に記載のキット。
【請求項25】
IFN-αが、IFN-α-2a、IFN-α-2b、IFN-α-5、コンセンサスインターフェロン、精製IFN-α、ペグ化IFN-αおよびそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項22に記載のキット。
【請求項26】
IFN-αが、ペグ化IFN-α-2b、ペグ化IFN-α-2a、ペグ化IFN-α-5およびそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項22に記載のキット。
【請求項27】
IL-6ファミリーサイトカインまたはそれをコードするDNA配列、およびIFN-αまたはそれをコードするDNA配列と製薬的に適合性である1以上の賦形剤を含む第3の成分をさらに含むことを特徴とする、請求項22から26のいずれかに記載のキット。
【請求項28】
IL-6ファミリーサイトカインおよびIFN-αと製薬的に適合性である1以上の担体物質を含む第3の成分をさらに含むことを特徴とする、請求項22から27のいずれかに記載のキット。
【請求項29】
第1の成分が、製薬的に許容され、かつIL-6ファミリーサイトカインおよびIFN-αと製薬的に適合性である少なくとも1つの賦形剤をさらに含むことを特徴とする、請求項22に記載のキット。
【請求項30】
第2の成分が、製薬的に許容され、かつIL-6ファミリーサイトカインおよびIFN-αと製薬的に適合性である1以上の賦形剤をさらに含むことを特徴とする、請求項22に記載のキット。
【請求項31】
第1および第2の成分が別個の医薬組成物に存在することを特徴とする、請求項22に記載のキット。
【請求項32】
第1および第2の成分が同じ医薬組成物に存在することを特徴とする、請求項18に記載のキット。
【請求項33】
ウイルス性疾患の処置のために構成された方法であって、IL-11、白血病抑制因子、オンコスタチンM、カルジオトロフィン−1、毛様体神経栄養因子、カルジオトロフィン様サイトカインおよびそれらの組み合わせから選択される治療的有効量の少なくとも1つのIL-6ファミリーサイトカイン「gp130ファミリー」と、治療的有効量の少なくとも1つのIFN-αとの、組み合わせ投与を含む方法。
【請求項34】
ウイルス性疾患がC型肝炎である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
IL-6ファミリーサイトカインが、完全野生型タンパク質、完全サイトカインの生理学的効果を維持する該サイトカインの部分ポリペプチド配列、および該野生型サイトカインと80%より高い相同性を有し、かつ完全サイトカインの生理学的効果を維持するポリペプチド配列から選択されることを特徴とする、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
前記ポリペプチド配列が、前記野生型サイトカインと90%より高い相同性を有することを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ポリペプチド配列が、前記野生型サイトカインと95%より高い相同性を有することを特徴とする、請求項35に記載のキット。
【請求項38】
カルジオトロフィン−1とIFN-αの組み合わせ投与を含む、請求項33から37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
オンコスタチンMとIFN-αの組み合わせ投与を含む、請求項30から33のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
カルジオトロフィン−1とIFN-αを組み合わせて、同時に投与することを含む、請求項30から34のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
オンコスタチンMとIFN-αを組み合わせて、同時に投与することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
IFN-αが、IFN-α-2a、IFN-α-2b、IFN-α-5、コンセンサスインターフェロン、精製IFN-α、ペグ化IFN-αおよびそれらの組み合わせから選択される、請求項33から41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
IFN-αが、ペグ化IFN-α-2b、ペグ化IFN-α-2a、ペグ化IFN-α-5およびそれらの組み合わせから選択される、請求項33から42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
IL-6ファミリーサイトカインとIFN-αが、同じ医薬組成物によって患者に投与される、請求項33から43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
IL-6ファミリーサイトカインとIFN-αが、別個の医薬組成物によって投与される、請求項33から43のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−546672(P2008−546672A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516350(P2008−516350)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【国際出願番号】PCT/ES2006/000353
【国際公開番号】WO2006/134195
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(506061716)プロイェクト、デ、ビオメディシナ、シーマ、ソシエダッド、リミターダ (34)
【氏名又は名称原語表記】PROYECTO DE BIOMEDICINA CIMA, S.L.
【Fターム(参考)】