説明

インターフェースケーブル、及びセンサ

【課題】
背景技術の問題点を解決することを目的とする。
【解決手段】
センサ源は電極アレイに取り付けられたRFIDトランスポンダと患者インターフェースケーブル内に埋設されたRFIDインテロゲータとの間の無線インターフェースを手段として認証できる。信号取得開始に先立って電極に適することを確認するため使用基準が検証される。基準に適さない場合にはモニタを介してユーザにメッセージが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一体化RFIDインテロゲータシステムでのRFアイデンティフィケーションプロトコール手段による自動的な認証およびバリデーション確認を提供する生理学センサシステム及びインターフェースケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
RFID技術をベースにしたデータの無線伝達は、物理的な接続がなくとも、接触を介した技術と等しい伝達品質を提供することができる効果的なデータ通信およびデータ管理を可能にする。そのような実施形態の1つはコンタクトスマートカードの代用としてRFID技術を利用するか、保存データを通信するためにコンタクトを必要とする他のメモリ装置の代用としてRFID技術を利用することである。
【0003】
生物医学センサを介して記録および分析をするための生理学信号を取得するとき、センサに関する特定の情報がモニタシステムで利用可能であることはユーザにとり有益である。この情報はセンサタイプ、電極形状、センサ利用回数、センサ製造年月日、センサ製造業者名およびセンサ製造ロット番号を含む。モニタはこの情報を利用してデータの処理方法を決定するか、あるいはセンサの使用を許可するか再使用を制限すべきかを決定する。データを手動で入力する代わりに、メモリ装置内のそのようなデータをセンサ自身と一体化させることができる。生物医学センサ内と医療装置内のメモリ装置の一体化は一般的に多数の従前発明により解説されている。最も代表的なものは米国特許6298255である。この特許(コルデロ外)では、センサ源とセンサ有効性とを認証するためのモニタ、スマートセンサおよび付随するハードウェアとソフトウェアのインターフェースを含んだセンサシステムが解説されている。スマートカードメモリモジュールはセンサに関するデータを保存する目的で電気生理学センサに内蔵される。このメモリモジュールはセンサをモニタに接続するのに使用される剛質コネクタ上に搭載される。本発明のメモリ装置に含まれるデータは米国特許6298255で解説されているものと同一かも知れないが、メモリ装置の性質と、システムをメモリ装置と通信させる方法とは別のものである。
【0004】
米国特許願2004/0008123A1(カレンダ外)はRFID技術を利用して医療装置をモニタおよび追跡するためにRFIDの利用に焦点を当てている。装置の製造および装置の現況に関する情報がプログラムされたRFIDタッグがモニタ対象の医療装置に取り付けられる。データアクセスのため、検出システムがタッグにカップリングされる。別形態ではデータはデータベースにリンクされた読取装置により読み取られ、校正される。
【0005】
米国特許願US2005/025842A1(ザレンボ)は埋込み用医療具に関する情報の管理システムと管理方法とを解説する。このシステムは埋込用医療具(IMD)とは別であるがその医療具と共に包装されている使い捨てのRFID器具セットを含む。このRFID器具セットは特にこの装置の製造に関する情報を含んでいる。そのようなデータは在庫情報、製造管理情報、測定結果および追跡情報を含むことができる。RF通信装置はRFID器具セットをインテロゲートするために使用される。このRF通信装置はIMDプログラマーと連関させることができる。または世界規模あるいは病院の通信ネットワークの一部とすることもできる。
【0006】
医療分野におけるさらに別なRFIDの利用法は薬剤および医療具の偽造防止である。米国特許願2005/0289083(ヌガイ外)では、1つの包装体内に包装された複数の容器内で搬送される製品の認証を目的として2つのRFIDタッグ間の“親子”関係を採用するシステムが解説されている。各容器にはRFID“子”タッグが付され、外側の包装体には“親”タッグが付される。各タッグ(例:UIDタッグ)に保存されたデータおよびデータベースの情報に基づいた様々な方法が使用され、その関係の認証と包装体の認証とが決定される。
【0007】
本願は2006年10月13日出願の米国仮特許願60/851437「RFアイデンティフィケーションプロトコール手段による自動的な認証およびバリデーション確認を提供する電気生理学センサシステム」の優先権を主張する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、患者のインターフェースケーブルを検知することで電極アレイの認証とバリデーション確認の任務を達成するための無線通信技術、特にRFID技術の利用に関する。本発明は受動型RFIDトランスポンダまたはタッグを備えた電極、電極アレイまたは生理学測定装置を検出させ、保存データをRFIDインテロゲータに提供させ、その後に関連生理学モニタシステムに提供させる手段をも含む。このデータは、電極アレイ源を認証し、その電極アレイが使用基準を満たしていること(例:有効期限内であること、使用回数、等の有効性)を確認するために製造業者名、製造履歴情報および電極アレイ使用履歴を含むことができる。キャリブレーションに関するデータもプログラムできる。
【0009】
この機能はインテロゲータ集積回路(IC)、マイクロプロセッサ、アンテナおよび電極アレイをモニタシステムに接続する可撓性である患者インターフェースケーブル内に位置するアンテナ整合回路を含むインテロゲーションシステムのコンポーネントで実行される。このシステム全体は既存の非RFIDベースのセンサとモニタとのインターフェースに後付け可能とするために限定された電力消費によってこの機能を実行する。本願の発明は米国特許6298255が示すタイプのスマートメモリデバイスベースのシステムを使用したモニタシステムと互換性があるように設計されている。よって電力消費条件および出力データ構造を含んだ該特許において解説されている該装置の全要件を満たさなければならない。なぜならそのデータはスマートメモリモジュールフォーマットであるISO7816が期待するものだからである。センサが信号取得に使用されるとき、すなわち患者インターフェースケーブルと電極アレイとがスナップの接続を介してスナップ式ソケットと係合するとき、RFIDアンテナのペアはせいぜい15mm程度しか離れない。この読み取り距離は典型的な形態よりも短い。その結果、電力消費は減少でき、信頼性は向上する。しかしながら電力消費をさらに制御して限定するにはインテロゲータシステム回路の追加的な改良が必要である。
【0010】
電気生理学データは電極アレイ上の導電スナップと患者インターフェースケーブルに埋設されたスナップソケットとの間の直接接触によって電極の接触面から生理学モニタに伝達される。これらスナップが係合するとセンサ上に位置するトランスポンダが検出される。本発明では、インテロゲータは電気生理学信号を生物電位モニタに伝達するのに必要であるケーブルシステムと一体化されているという事実によって、RFIDインテロゲータ位置のネットワークの必要性も、手持ち用インテロゲータを持ち運ぶ必要性もない。
【0011】
トランスポンダが付されている電極アレイがインテロゲータによって発生されている電界内に進入すると測定可能な電圧変化が発生する。この電圧変化はトランスポンダの存在を検出する手段として使用が可能である。このトランスポンダの存在は連続的なインテロゲーションとトランスポンダのレスポンスとで確認できる。トランスポンダが検出されるとそれら2つのコンポーネントはアンテナによって発生されるRF電界のモジュレーションを介して通信できる。
【0012】
RFIDトランスポンダの検出でインテロゲータはトランスポンダICにその保存データの取得を促す。続いてそのデータはマイクロプロセッサによってレガシモニタシステムが期待するISO7816のメモリフォーマットに変換される。別実施例ではそのデータは追加的安全対策のために変換に先立って解読される必要がある。その後にこの情報は米国特許6298255で解説するように処理される。
【0013】
病院の施設ではこの生理学センサは電気外科装置と共に頻繁に使用される。この装置はインテロゲータとトランスポンダとの間の通信の大きな妨害源であり得る。従って病院施設内では頻繁に遭遇する電気外科装置(ESU)からの妨害を減少させるためにこのセンサに対してさらなる対処が為される。ESU妨害を減少させるためにフィルタが患者のインターフェースケーブルに追加される。
【0014】
無線技術のこの利用性は、生理学センサがモニタと物理的接続を形成せず、取得された信号も無線技術によって伝達される状況ではさらに有利であろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は電気生理学センサシステムのコンポーネントを図示するブロック図である。
【図2a】図2aは搭載されたRFIDトランスポンダを備えた電極アレイの複数電極実施例を示す斜視図である。
【図2b】図2bは搭載されたRFIDトランスポンダを備えた電極アレイの単電極実施例を示す斜視図である。
【図3】図3はこの適用形態(HF)のためのサンプルRFIDトランスポンダを図示する。
【図4a】図4aは電気生理学信号を取得するために完成形態の患者インターフェースケーブルの側面図と、その生物医学センサに対する位置関係を図示する。
【図4b】図4bはワイヤ配置および一体化された部品を示す型枠から取り出された状態の患者インターフェースの平面図である。
【図5】図5はインテロゲータとトランスポンダとの間の関係を示すブロック図である。
【図6】図6はインテロゲーションプロセス時の検出および通信のフロー図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、患者からの生理学信号を取得するのに使用される電極アレイ3と、電極アレイ3に接続されたインターフェースケーブル2とを含む電気生理学センサを提供する(図1)。このセンサは典型的には生理学信号を保存し、分析し、ユーザに対して表示するメモリ保存部4、プロセッサ5および表示装置6を含む生物電位信号モニタ7に接続されている。
【0017】
電気生理学データは電極10(図2aと図2b)の接触面からモニタ7(図示せず)に、電極アレイ上の導電スナップ11とインターフェースケーブルに埋設されたスナップ式ソケット30(スナップ式コネクタの上半分)とを直接的に接触させる典型的な方法によって伝達される。患者の皮膚に接着される電極アレイは少なくとも1体の電気生理学電極10(好適には銀/塩化銀製)で構成される。RFIDトランスポンダ12はこの電極アレイに接着される。
【0018】
RFIDトランスポンダ12はアンテナ21とトランスポンダ集積回路(IC)22とを含む(図3)。RFIDトランスポンダ12のマイクロチップ22は電極アレイの履歴と現況に関するデータによって生物医学センサ製造業者によりプログラムされたメモリ装置である。この実施例ではRFIDトランスポンダ12は好適にはポリエステルまたはポリプロピレン製である可撓性基板23上に構築されている。RFIDトランスポンダはエッチングまたは堆積された銅あるいはアルミ製であるコイルアンテナ21を有している。RFIDトランスポンダIC22は全ての必要なデータを保存するのに適したEEPROMメモリ容量を有している。またはこのメモリはEEPROMあるいはPROM(プログラム可能読取専用メモリ)であってもよい。好適にはこのトランスポンダIC22は256バイトから512バイトのメモリ容量を有する。そのようなICの例はNXP SLIS3001(I−CODE1)(NXPセミコンダクタ・ネザーランドB.V.製、アインドホーベン、オランダ)である。RFIDトランスポンダ12は受動性である。すなわち電池を含まず、消費電力をインテロゲータアンテナ(図示せず)を介してホストシステムから得る。このトランスポンダは高周波数(HF)帯(13.56MHz未満)で共鳴する。
【0019】
トランスポンダ12は接着性バッキングであり、直径が1.5インチ(38mm)を越えない環状リング形状に形成されている。これは商業的に入手可能なRFIDトランスポンダと同じである。このトランスポンダはアンテナと、電極と接触している表面上のICとを備えた電極に取り付けられており、液体への曝露あるいは不適切な取り扱いにより電子部品を損傷から保護する助けを提供している。これは電極アレイの1電極上の“雄型”EKG電極タイプ突起体または“スナップ”11の周囲に位置する。別実施例ではトランスポンダはそれを電極アレイ上に搭載させることができるどのような形状やデザインであってもよい。さらに別実施例では複数のトランスポンダをアレイの複数の電極上に設置することができる。
【0020】
電極アレイ3を患者インターフェースケーブル2に接続すると、電気生理学データと電極アレイに関するデータとの両方は生物電位信号モニタ(図示せず)に伝達される。電気生理学データはスナップを介して伝達され、電極アレイの認証、製造情報および有効性確認に関するデータのごときトランスポンダICに保存される電極アレイデータはRFトランスミッション(RF)によって伝達される。
【0021】
患者インターフェースケーブル2(図4aおよび図4b)は生物電位信号モニタと係合する端部にコネクタ39を有する。反対側端部ではケーブルは電極アレイの各電極の中央でスナップに取り付けられるように設計された複数の埋設されたEKG電極タイプソケット30を有する。ケーブルにはアレイの電極と等しい数のソケットが存在する。ケーブルには1つのソケットだけの場合もある。EKG電極タイプソケット30は一連の導電線31で電気的に接続されている。別実施例ではソケットは可撓性回路ボードの固定位置に搭載され、導電トレースがケーブルを形成し、電極アレイのそれぞれの電極からの信号をモニタにスナップソケットを介して伝達する。さらに別実施例では伝達線は導電トレースであり、可撓性回路ボードの基板の可撓性基板上に印刷された銀/塩化銀(Ag/AgCl)製のごとき導電性インクにより提供される。
【0022】
EKG電極タイプソケットと導電伝達線を収容する患者インターフェースケーブルは熱可塑性エラストマ材料製の被覆成型体38である。スナップソケットの底面だけが露出されており、電極アレイ3に取り付けられる。この構造によって回路と接触部とをオペレーションルームの厳しい環境から保護し、液体による侵襲の可能性を低減させ、医療担当者による容易な使用と患者に対するフィット性のためのフレキシブルなインターフェースをも創出する。
【0023】
患者インターフェースケーブル2はRFIDインテロゲータシステムをも収容する。このインテロゲータシステムはインテロゲータIC、インテロゲータ32のためのアンテナおよび2つの整合回路を含む。このインテロゲータICはデータの予備処理のために一体的なマイクロプロセッサを有することができる。
【0024】
この好適実施例ではインテロゲータシステムはケーブルに埋設された2体のプリント回路ボード(PCB)(テイルPCB40とヘッドPCB33)上に含まれる。このインテロゲータICはMLX90121(メレクシス)チップまたはHF周波数帯(13.56MHz)で作動する類似した商業的に入手できるチップでよい。RFIDインテロゲータICはどのようなISO無接触集積回路プロキシミティおよびビシニティカードプロトコール(例えばISO14443A/B、ISO15693)とも利用できるようなマイクロチップと通信することができる。
【0025】
この実施例ではインテロゲータアンテナはヘッドPCB33上に位置し、インテロゲータICはテイルPCB40上に位置する。電力を管理し、妨害を低減させるコンポーネントもテイルPCB40に搭載できる。さらに、テイルPCBは、MLX90121の入力を受領するために13.56MHz周辺の相対的に狭い周波数帯受動性フィルタあるいは均等作用のインテロゲータICをも含むことができる。この外部フィルタはESU妨害がMLX90121の入力電圧容量を超えないようにする。
【0026】
この好適実施例における電力管理のためには、切替式電力供給源が、電力を非効率に使用する標準式電流制限回路ではなくMLX90121の電力アンプに電圧を制限するために使用される。別実施例では電力制限はテイルPCB上のキャパシタ列を使用することで克服される。キャパシタは低速で充電し、高速で電力利用することができる。10mFキャパシタ列は1mAの充電電流により1秒で5ボルトまで充電でき、10mAの電流が0.1秒で利用可能である。
【0027】
この好適実施例ではインテロゲータアンテナ32がヘッドPCB33上にエッチングされる。100オームの捩りペア線34である2本の導電線34は一端がヘッドPCB33に、他端がテイルPCB40に接続されている。このような導電線はAC信号をヘッドPCBに伝達することでインテロゲータアンテナ32に電力を供給する。図5に示すように、インテロゲータIC50には、インテロゲータIC50の出力インピーダンスを100オームの捩りペア線34にマッチさせるインピーダンス整合回路51が取り付けられている。その他のインピーダンスの伝達線(例:50オームまたは300オーム)も利用できる。伝達線の遠端には整合回路52とアンテナ32が取り付けられている。整合回路52は伝達線34のインピーダンスをアンテナ32のインピーダンスとマッチさせてアンテナとの共鳴回路を形成する。この整合回路は共鳴回路のQを下げてその回路の帯域幅を増加させるためのレジスタを含むことができる。インテロゲータアンテナ32はトランスポンダアンテナ21でRF電界を発生させ、トランスポンダIC22との通信を可能にする。
【0028】
ヘッドPCB33の設置位置は電極アレイ上の固定トランスポンダに対応する位置のスナップソケットの周囲または脇である。ヘッドPCBはスナップにはんだ付けされている。あるいは熱可塑性被覆成型(またはプレモールド)によって固定することもできる。ヘッドPCBは強度と信頼性とを向上させるため、導電トレースと同じ可撓性基板を共有し、及び/又は可撓性回路ボードと剛質回路ボードの組合せとすることができる。インテロゲータアンテナ32は30mmの最大径を有する。ヘッドPCB33上のインテロゲータアンテナ32は図4aで示すように、ケーブルと電極アレイが係合しているときに、アンテナが電極アレイに取り付けられたRFIDトランスポンダ12の真上で平行に位置するように配置されている。この好適実施例ではテイルPCB40は生物電位信号モニタと係合するコネクタ39と一体化されている。
【0029】
1実施例では、インテロゲータアンテナとインテロゲータICはヘッドPCB上に共に配置されている。整合回路はその後、インテロゲータアンテナとインテロゲータICとの間の相対的位置の変更を調節するように修正される。さらに別の実施例ではインテロゲータIC、マイクロプロセッサおよび電子部品を含む回路を収容し、インテロゲータアンテナをマッチさせるためのテイルPCB40を独立した容器に収容するか、またはモニタハードウェアへ一体化させることができる。
【0030】
この利用形態では、電極アレイ3がスナップソケット30と係合する導電スナップ11によって患者インターフェースケーブル2に物理的に取り付けられており、およびインテロゲータアンテナ32とRFIDトランスポンダ12が結果的に相互接近しているとき、ケーブルが電極アレイに接続されている場合のインテロゲータアンテナとトランスポンダとの間の好適な距離は2mmから15mmである。
【0031】
トランスポンダICがインテロゲータによって発生されている電界内に進入すると、測定可能な電圧変化がアンテナ整合回路52の出力側で測定される。この電圧変化の検出はトランスポンダの存在を検出する手段として使用される。1実施例では、インテロゲータシステムは継続的なモニタリングを介して、絶えず電圧をサンプリングするアナログ‐デジタルコンバータによって電圧変化を継続的にチェックする。別の実施例でも電圧変化を検知するためにハードウェア電圧コンパレータを利用するであろう。この電圧変化はトランスポンダの存在を検出する手段として使用が可能である。トランスポンダ検出の別手段は単純に装置をインテロゲートしてレスポンスの有無を決定することである。
【0032】
これらの検出方法はインテロゲータシステムにトランスポンダの不存在、または検出電界からトランスポンダが外れていることを検出させることもできる。このようにして生物電位モニタシステムは電極アレイが患者インターフェースケーブルに接続されているかいないかを知る。トランスポンダが検出されるとそれら2つのコンポーネントはRFモジュレーションを介して標準式RFID通信法に従って通信できる。
【0033】
図6は検出と通信のためのハイレベルステップの概略を示している。このシステムは電圧の変化を検出し(60)、トランスポンダICのインテロゲーション(61)へと進む。トランスポンダがインテロゲータによるインテロゲーションに反応しない場合(62)、システムの状態は電圧変化検出の試行(60)へと戻る。トランスポンダがインテロゲータによるインテロゲーションに反応する場合(63)、インテロゲータはトランスポンダに収容されているトランスポンダICに保存されているデータパケットの読取(64)へと進む。その後、データが予め暗号化されている場合(65)にはマイクロプロセッサによってデータパケットが解読され、レガシホストシステムが期待するスマートモジュールのエミュレートのためにデータ構造がISO7816に変換される(66)。データが変換されるとそれはさらなる処理‐センサの予備認証およびバリデーションのために生物電位信号モニタに送られる(67)。このシステムの認証およびバリデーションについては米国特許6298255で詳細に解説されている。さらに、例えば使用カウンタの増加などのセンサ状況の変化を反映するようにデータパケットが改正され、トランスポンダICに書き込まれる。
【0034】
電極アレイの出所および製造に関するデータはトランスポンダICに保存されている。このデータはキーコード、製造者コード、OEMコード、製品貯蔵寿命コード、電極タイプコード、ロットコード、および通し番号と使用回数等を含むが、これらに限られない。データの全部または一部は単または多重暗号による暗号化形態で保存されている。データは米国特許6298255で解説されている状態で電極アレイを認証および有効化するためのデジタル署名を含むこともできる。製造者コードは電極アレイ源を認証するために利用されるが、製品貯蔵寿命コード、使用回数およびセンサタイプコードはセンサが使用に必要な基準に合うかを決定するために利用される。電極アレイに関するキャリブレーションデータもまたトランスポンダICに保存され、センサが取り外されて異なるモニタに再接続された場合の再キャリブレーションを回避させる。これは患者移送と関連して医療施設または病院施設で一般的に行なわれている。
【0035】
別実施例においてレガシシステムによる制限が適用されない場合には、電力制限回路およびコンタクトベースのISO7816データ構造へのデータ変換に関する方法並びにコンポーネントは内蔵されていない。
【0036】
別実施例では、RFIDトランスポンダは生物信号を取得するために光電子装置に埋設されている。これらの装置は患者に直接接触するコンタクトを含まないため、RFIDトランスポンダは、装置にコンタクトスマートチップ上のコンタクト等の外部コンタクトを不要とするには便利な手段である。
【0037】
RFIDベースの技術を電子生理学モニタシステムに内蔵させることは技術的および経済的な面の両方でいくつかの大きな利点を提供する。多くの産業におけるRFIDタグ化(すなわちRFIDトランスポンダのあらゆる部品への取り付け)の普及しており、ますます増加する需要によって、RFIDマイクロチップのコストは同様の機能および容量のRFID半導体メモリ装置のコストよりも大幅に下がっている。さらにRFIDをコンタクトスマートチップの代用とすることでセンサへの電気的接続が少なくて済む。このため、センサ側とモニタ側両方への接続用の導電トレースやコンタクトパッドの必要数が減少して製造コストが下がる。コンタクトによる接続や関連するコンタクトパッドおよび導線がないため、接触不良インピーダンスによる装置の不具合や水などの液体や体液が隣接するコンタクトパッド間の空間に侵襲することによる通信不良の可能性を防止し、信頼性を向上させることができる。この無線技術は、生物医学センサがモニタと物理的に接続しないので有利であるが、取得信号は無線技術によっても伝達されるので有利である。このように、本発明は装置の無菌状態を維持するために有益である。
【0038】
本発明の好適実施例について説明したが、当業者であれば本発明を多様に変更させることが可能であろう。これら変更は添付の「請求の範囲」の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極を生理学モニタに接続するためのインターフェースケーブルであって、
少なくとも1つの電極を有した電極アレイに接続可能なソケットと、
RFIDインテロゲータと、
RFIDアンテナ整合回路と、
RFIDアンテナと、
を含んでおり、
前記RFIDインテロゲータ、前記アンテナ整合回路および前記アンテナは本患者インターフェースケーブルに内蔵されていることを特徴とするインターフェースケーブル。
【請求項2】
ソケット周囲に配置された熱可塑性被覆成型体をさらに含んでいることを特徴とする請求項1記載のインターフェースケーブル。
【請求項3】
切替式電力供給源をさらに含んでおり、該切替式電力供給源はRFIDインテロゲータの電力消費を制限するために前記RFIDインテロゲータに接続されていることを特徴とする請求項1記載のインターフェースケーブル。
【請求項4】
キャパシタ列をさらに含んでおり、該キャパシタ列はRFIDインテロゲータの電力消費を制限するために前記RFIDインテロゲータに接続されていることを特徴とする請求項1記載のインターフェースケーブル。
【請求項5】
生理学信号を取得するためのセンサであって、
少なくとも1つの電極を有した電極アレイに接続可能なソケット、RFIDインテロゲータ、RFIDアンテナ整合回路およびRFIDアンテナを含んだインターフェースケーブルを含んでおり、前記RFIDインテロゲータ、前記アンテナ整合回路および前記アンテナは前記患者インターフェースケーブルに内蔵されており、本センサは、
前記ソケットに接続可能な少なくとも1つの電極を有した電極アレイと、
情報を保存するための少なくとも1つのRFIDトランスポンダと、
をさらに含んでおり、前記少なくとも1つのRFIDトランスポンダは前記電極アレイの少なくとも1つの電極に取り付けられていることを特徴とするセンサ。
【請求項6】
RFIDトランスポンダに保存される情報は電極アレイロットコードを含んでいることを特徴とする請求項5記載のセンサ。
【請求項7】
RFIDトランスポンダに保存される情報は電極アレイ通し番号を含んでいることを特徴とする請求項5記載のセンサ。
【請求項8】
RFIDトランスポンダに含まれる情報は電極アレイ貯蔵寿命コードを含んでいることを特徴とする請求項5記載のセンサ。
【請求項9】
RFIDトランスポンダに含まれる情報は電極アレイの販売者を特定するOEMコードを含んでいることを特徴とする請求項5記載のセンサ。
【請求項10】
RFIDトランスポンダに含まれる情報は使用残数を示す使用カウンタを含んでいることを特徴とする請求項5記載のセンサ。
【請求項11】
RFIDトランスポンダに含まれる情報は認証およびバリデーションのためのデジタル署名を含んでいることを特徴とする請求項5記載のセンサ。
【請求項12】
RFIDトランスポンダに保存されているデータを処理するためのインターフェースケーブル内に収容されるマイクロプロセッサをさらに含んでいることを特徴とする請求項5記載のセンサ。
【請求項13】
プロセッサは、電極アレイからの生理学信号の取得を許可するまたは許可しないためにOEMコードの値を使用するソフトウェアを作動させることを特徴とする請求項12記載のセンサ。
【請求項14】
マイクロプロセッサは、RFIDトランスポンダに保存されている情報をISO7816フォーマットに再フォーマットするソフトウェアを作動させることを特徴とする請求項12記載のセンサ。
【請求項15】
マイクロプロセッサは認証ソフトウェアを作動させることを特徴とする請求項12記載のセンサ。
【請求項16】
マイクロプロセッサは、RFIDトランスポンダに保存されているデジタル署名をバリデーションする認証ソフトウェアを使用し、電気生理学信号の取得のためにセンサアレイを使用する前に前記デジタル署名のバリデーションが成功する必要があることを特徴とする請求項12記載のセンサ。
【請求項17】
インターフェースケーブルをプロセッサを収容するモニタに電気的に接続するための係合差込口を含んでいることを特徴とする請求項3記載のセンサ。
【請求項18】
プロセッサはモニタ内に配置されていることを特徴とする請求項17記載のセンサシステム。
【請求項19】
RFIDインテロゲータはモニタ内に配置されていることを特徴とする請求項17記載のセンサシステム。
【請求項20】
アンテナ整合回路はモニタ内に配置されていることを特徴とする請求項17記載のセンサシステム。
【請求項21】
電極アレイの接続状態をモニタするための手段をさらに含んでいることを特徴とする請求項17記載のセンサシステム。
【請求項22】
電極アレイの接続状態をモニタする手段はRFIDインテロゲータによるRFIDトランスポンダICの継続的なモニタリングを実行することを特徴とする請求項21記載のセンサ。
【請求項23】
電極アレイの接続状態をモニタする手段はアンテナ整合回路の電圧をサンプリングするアナログ‐デジタルコンバータを含んでいることを特徴とする請求項21記載のセンサ。
【請求項24】
電極アレイの接続状態をモニタする手段はアンテナ整合回路の電圧を検知するための電圧コンパレータを含んでいることを特徴とする請求項21記載のセンサ。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−522575(P2010−522575A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532604(P2009−532604)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/081241
【国際公開番号】WO2008/054980
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(500568240)アスペクト メディカル システムズ,インク. (8)
【Fターム(参考)】