説明

インターホン装置

【課題】来訪者の映像を取り込むことや登録することなく、「悪質と思われるセールス」を来訪者の話す言葉から検出し居住者に注意を促すことができるインターホン装置を提供する。
【解決手段】来訪者が居住者を呼び出すための呼出ボタン、居住者と通話をするための子機マイク及び子機スピーカを有する玄関子機と、玄関子機からの呼び出しに応答して通話するための親機マイク及び親機スピーカを有する居室親機とで構成されるインターホン装置において、居室親機は、子機マイクから入力された音声から取得し音声データとして出力する音声認識部と、予めキーワードが記録されるデータベース部と、音声認識部で抽出した音声データとデータベース部に登録されているキーワードを比較する比較部と、比較部で比較した結果一致した場合、親機スピーカから玄関子機からの音に重畳して住人に対して注意メッセージを出力する通話制御部とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターホン装置に係わり、特に玄関子機から入力される来訪者の音声を音声認識することにより悪質な訪問販売にだまされないように居住者に注意を促すインターホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、「耐震補強」や「太陽光発電」、「火災報知機」などを売りとした、悪質なセールスが増加している。従来のインターホン装置には、居室に設置される室内親機の特定のボタンを押下することで女性の声を男性の声に変換するボイスチェンジャ機能(例えば、特許文献1)、玄関子機から来訪者にお引取りをいただくことを促す機能を設けたインターホンが製品化され、また、来訪者の画像を認識して“悪質と思われるセールス”を検出することが提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−99546号公報
【特許文献2】特開2007−208533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のインターホン装置ではセールスの内容を聞かないと悪質と思われるセールスなのか判断できないし、そもそも当該セールスの製品の知識がない場合には悪質セールスであることを知らずに対応してしまう虞があった。
また、画像処理による判断の場合、玄関子機にカメラを備えていない場合には対応することができなかった。
【0005】
本発明はこの点に鑑みて提案されたもので、来訪者の映像を取り込むことや登録することなく、「悪質と思われるセールス」を来訪者の話す言葉から検出し居住者に注意を促すことができるインターホン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるインターホン装置は、来訪者が居住者を呼び出すための呼出ボタン、居住者と通話をするための子機マイク及び子機スピーカを有する玄関子機と、玄関子機からの呼び出しに応答して通話するための親機マイク及び親機スピーカを有する居室親機とで構成されるインターホン装置において、居室親機は、子機マイクから入力された音声を音声データとして出力する音声認識部と、予め複数のキーワードが記録されるデータベース部と、音声認識部で抽出した音声データとデータベース部に登録されているキーワードを比較する比較部と、比較部で比較した結果、少なくとも1つのキーワードと一致した場合、親機スピーカから玄関子機からの音に重畳して住人に対して注意メッセージを出力する通話制御部とを有することを特徴とする。

【0007】
また、本発明の第2の態様であるインターホン装置は、請求項1において、玄関子機は、来訪者を撮像するための子機カメラを備え、居室親機は、子機カメラで撮像した映像を出画するための親機モニタと、比較部で比較した結果一致した場合、親機表示部に玄関子機からの画像に重畳して住人に対して注意メッセージを表示する映像処理部を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第3の態様であるインターホン装置は、請求項1又は請求項2において、
居室親機は、データベース部に登録されているキーワードを外部から更新可能とするためのネットワーク接続部を有することを特徴とする。


【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、来訪者であるセールスマンの話した内容からキーワードを抽出して悪質である可能性が高いと判断された場合には注意喚起することができるので、テレビドアホン等のモニタがなくても用意に悪質なセールスを把握することができる。請求項2の発明によれば、テレビドアホン等のように居室親機にモニタが備えられている場合には注意喚起の手段として当該モニタに表示させることができ、より居住者に注意を促すことができる。請求項3の発明によれば、時間の経過とともにセールスするものが変わっても、第三者が遠隔でキーワードを追加、変更することができるので、居住者の知識等によらずにキーワードを変更・追加等することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る実施形態であるインターホン装置のシステム構成図である。
【図2】本発明に係る実施形態であるインターホン装置の機能ブロック図である。
【図3】本発明に係る実施形態であるインターホン装置のデータベース部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明によるインターホン装置を適用した好ましい形態の実施例について、図を参照して説明する。
図1は、本発明のインターホン装置のシステム構成図であり、来訪者が居住者を呼び出すための呼出ボタン11、来訪者が居住者と通話するための子機マイク12及び子機スピーカ13、来訪者を撮像する子機カメラ15、来訪者にメッセージ等を表示する子機モニタ17から構成される玄関子機1と、玄関子機1からの呼び出しに応答するための通話ボタン21、居住者が来訪者と通話するための親機マイク22及び親機スピーカ23、子機カメラ15で撮像した映像を出画する親機モニタ25から構成される居室親機2とが接続されている。
【0012】
また、玄関子機1は、図2のブロック図に示すように、子機マイク12及び子機スピーカ13と後述する親機マイク22及び親機スピーカ23間の通話をおこなうための子機通話回路14、子機カメラ15で撮像した映像若しくは子機モニタ17に出画する映像を処理する子機映像処理部16、居室親機2と通信するための子機IF18、玄関子機1の各部を制御する子機CPU19を有している。また、居室親機2は、子機マイク12及び子機スピーカ13と親機マイク22及び親機スピーカ23間の通話をおこなうための親機通話回路24、玄関子機1の子機カメラ15で撮像した映像を親機モニタ25に出画するために映像処理する親機映像処理部26、来訪者が子機マイク12から入力した音声から音声データを抽出する音声認識部27、予め記憶され悪質なセールスの商品名等のキーワードが記憶されるデータベース部28、音声認識部27で抽出した音声データとデータベース部28に記憶されたキーワードが一致するかを比較するための比較部29、外部からデータベース部28に記憶されたキーワードを追加、変更するためのネットワーク接続部30、玄関子機1と通信するための親機IF31、居室親機2の各部を制御するための親機CPU32とを備えている。
【0013】
このように構成されたインターホン装置について、以下、動作を説明する。
来訪者は、玄関子機1の呼出ボタン11を押下して居住者を呼び出す。子機CPU19は呼出ボタン11が押下されたことを検出して呼出信号を生成し、子機IF18を介して居室親機2に送信する。居室親機2では、親機IF31を介して親機CPU32で呼出信号を受信し、通話回路24を介して親機スピーカ23から呼出音を報音する。
また、親機CPU32の制御により玄関子機1の子機カメラ15を駆動させ、来訪者を撮像し、その撮像した映像は映像処理部16、子機CPU19、子機IF18を介して居室親機2に送信される。居室親機2では親機IF31を介して親機CPU32にて受信し、親機映像処理部26で映像処理した後に親機モニタ25に来訪者の映像を出画する。
これを確認した居住者が、通話ボタン21を操作すると、親機CPU32及び子機CPU19の制御により子機マイク12及び子機スピーカ13と親機マイク22及び親機スピーカ23間で通話が開始される。
【0014】
そして、来訪者が通話中に発する音声が例えば、「耐震補強に関して無料で診断しています。診断させてください。」であった場合、この音声は玄関子機1の子機マイク12、子機通話回路14、子機CPU19及び子機IF18を介して居室親機2に送信され、居室親機2では親機IF31を介して親機CPU32にて受信さる。そして、親機通話回路24を介してから来訪者の音声を親機スピーカ23から報知させる。
このとき音声認識部27は、親機CPU32の制御により来訪者の音声を音声データとして文字データに変換する。変換された文字データは比較部29に送信され、比較部29は予め登録したキーワードと比較するためにデータベース部28を参照する。データベース部28は図3の説明図に示すように複数のキーワードが記憶されており、データベース部28内のキーワードに一致するものがないかを確認する。本実施例においてはデータベース部28内の“タイシンホキョウ”と一致するためキーワードと一致したと判定する。
【0015】
判定結果は、比較部29から親機CPU32に送信され、親機CPUでは居住者に注意喚起するために通話回路24を制御する。具体的には、親機スピーカ23から報音されている来訪者の声に重畳して住人に対して警告音、例えば「ピッ、ピッ、ピッ」を報音させる。また、映像処理部26を制御して親機モニタ25に出画されている子機カメラ15からの映像に重畳して文字情報やピクトを表示させる制御をおこない居住者に注意喚起をおこなう。
なお、上記実施例においては居室親機2の親機スピーカ23及び親機モニタ25にて注意喚起をしているが、親機CPU32の制御により子機スピーカ13及び子機モニタ17から警告をおこない来訪者であるセールスマンを威嚇させることもできる。
また、データベース部28に記憶されているキーワードは、ネットワーク接続部30を介して外部装置に接続されており、定期的に追加、変更をおこなうことができる。
【符号の説明】
【0016】
1・・・ 玄関子機
11・・・ 呼出ボタン
12・・・ 子機マイク
13・・・ 子機スピーカ
19・・・ 子機CPU
2・・・ 居室親機
22・・・ 親機マイク
23・・・ 親機スピーカ
25・・・ 親機モニタ
27・・・ 音声認識部
28・・・ データベース部
29・・・ 比較部
30・・・ ネットワーク接続部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者が居住者を呼び出すための呼出ボタン、居住者と通話をするための子機マイク及び子機スピーカを有する玄関子機と、前記玄関子機からの呼び出しに応答して通話するための親機マイク及び親機スピーカを有する居室親機とで構成されるインターホン装置において、
前記居室親機は、前記子機マイクから入力された音声を音声データとして出力する音声認識部と、予め複数のキーワードが記録されるデータベース部と、前記音声認識部で抽出した音声データと前記データベース部に登録されているキーワードを比較する比較部と、前記比較部で比較した結果、少なくとも1つのキーワードと一致した場合、前記親機スピーカから前記玄関子機からの音に重畳して住人に対して注意メッセージを出力する通話制御部とを有することを特徴とするインターホン装置。
【請求項2】
前記玄関子機は、来訪者を撮像するための子機カメラを備え、
前記居室親機は、前記子機カメラで撮像した映像を出画するための親機モニタと、前記比較部で比較した結果一致した場合、前記親機表示部に前記玄関子機からの画像に重畳して住人に対して注意メッセージを表示する映像処理部を有することを特徴とする請求項1記載のインターホン装置
【請求項3】
前記居室親機は、前記データベース部に登録されている前記キーワードを外部から更新可能とするためのネットワーク接続部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のインターホン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−138873(P2012−138873A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291649(P2010−291649)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】