インターロイキン−1受容体アンタゴニスト、組成物、及び治療方法
IL−1 1型受容体の生物活性を阻害し、且つIL−1R/IL−1RacP関連細胞シグナル伝達及び生物活性を阻害するようにデザインされたペプチドが開示される。本発明のIL−1Rアンタゴニストを含む組成物は、関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、及び炎症性大腸炎、並びに他の慢性又は急性の炎症性疾患などのIL−1関連疾患又は病態の治療に有用である。また、本発明は、アミノ酸配列RYTPELXを含むペプチド(式中、R、Y、T、P、E、Lは対応のアミノ酸を表し、Xはアミノ酸なし及びアラニン(A)から選択される);及びペプチドのRYTPEL部分にアミノ酸の付加、欠失、又は置換から選択される1つ、2つ、又は3つのアミノ酸修飾を組み込み、且つそのIL−1Rアンタゴニスト活性維持する(a)の誘導体から成る群より選択される、IL−1Rアンタゴニスト活性を有する単離化合物を開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IL−1受容体アンタゴニスト、及びそれを用いたIL−1受容体活性の調節方法に関する。より詳細には、本発明は、細胞外非競合的IL−1受容体(IL−1R/IL−1RAcP)ペプチド及びペプチド模倣アンタゴニスト、それらの同定及び治療用途に関する。より具体的には、本発明は、関節リウマチ及び炎症性大腸炎などのIL−1関連疾患の治療に使用するためのペプチド及びペプチド模倣アンタゴニストに関する。本発明は、生化学及び医薬品化学の分野へ応用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
サイトカインは、生物学的に活性なホルモン様タンパク質(インターロイキン、インターフェロン、腫瘍壊死因子、成長因子)を示す総称であり、受容体のスーパーファミリーによってその効果を介在する。サイトカイン及びその受容体は強力な制御ネットワークを構成しており、それによって細胞はシグナルを送り、細胞増殖及び分化、細胞死及び生存を調整する。サイトカインは、具体的に、非常に強力な生物活性を有する低分子量ペプチドであり得る。それらの作用メカニズムは、通常、オートクリン及びパラクリンであり、最終的に遺伝子発現を調節することによって作用する。
【0003】
ポリペプチドホルモンのインターロイキン−1(IL−1)ファミリーは、単球(IL−1の顕著な供給源である)、線維芽細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、破骨細胞、星状細胞、上皮細胞、T細胞、B細胞、及び数多くのがん細胞を含めたさまざまな細胞種によって発現されるサイトカインの重要なクラスを表す。このサイトカインファミリーは、IL−1α、IL−1β、及びIL−18を含めた7つを越える異なるが構造的に関連のある分子から成り、これらは、生物学的反応、及び天然に産生される受容体アンタゴニストであるIL−1raを顕在化する(Kumarら、2000)。
【0004】
IL−1α遺伝子及びIL−1β遺伝子はともに2番染色体に局在する。それぞれの遺伝子は7つのエクソンを含有し、第6エクソンの領域が相同である。IL−1α及びIL−1βはいずれも、初めに31kDaの前駆体として産生されるが、プロテアーゼによってプロセシングされて17、5kDaの成熟タンパク質を生ずる。IL−1受容体はα型もβ型も認識し、いずれの形態も類似の生物学的特性を有する。IL−1αはマウスで顕著な形態であるが、IL−1βはヒトで顕著なサイトカインである。IL−1の生物学的特性は数多くあり、感染及び損傷に対する多くの免疫反応及び炎症反応を介在することが含まれる。
【0005】
感染及び損傷への生体反応に対するその正常な有益効果にもかかわらず、IL−1の作用が有害な状況が明らかになっている。例えば、IL−1の不適切な産生又は反応が、関節リウマチ、炎症性大腸炎(IBD)、変形性関節症、乾癬、敗血症、脳炎、及び呼吸窮迫症候群などの多くの急性及び慢性の炎症性疾患において示されている。IL−1は、アルツハイマー病、脳室周囲白質軟化症、髄膜炎、卒中、及び多くの自己免疫疾患を含めたいくつかの他の病気において役割を果たすことが示されている。
【0006】
インターロイキン−1(IL−1)は、IL−6、プロスタグランジンE2(PGE2;COX−2及びPGE合成酵素(mPGES)の発現誘導を介する)、及びそれ自体のような炎症性メディエーターの産生を刺激することによって、炎症の調節の上流において主要な役割を果たし、したがって、炎症プロセスを促進する。IL−1の他の生物活性は、T細胞のような数多くの細胞種の増殖及び活性化を誘導することである(Cullinanら、1998;Dunne及びO’Neill、2003)。IL−1は、関節においてコラーゲナーゼレベルを増加させることもでき、関節リウマチの免疫病理学の急性期及び慢性期に関係している。IL−1は、内皮細胞機能を変化させ、リンパ球及び白血球の滑膜組織への走化性を指示し、並びに軟骨細胞及び線維芽細胞による潜在的コラーゲナーゼの分泌を誘導することに関与することができる。IL−1は、TNFとともに、炎症性サイトカインの代表例であると考えられている。しかしながら、IL−1の効果は炎症に限定されず、このサイトカインは骨形成及びリモデリング、インスリン分泌、並びに発熱誘導においても役割を果たす。
【0007】
主要な炎症性サイトカインとして、IL−1は、関節炎などの関節軟骨損傷のような疾患における治療行為のための潜在的に強力な標的である。北米では、変形性関節症や関節リウマチは、心疾患に次いで2番目に勤労不能を引き起こし、その罹患率は年齢と共に劇的に増加する(Hallegua及びWeisman、2002)。
【0008】
2つの異なるIL−1受容体がクローニングされ、特徴付けられている:IL−1の生体作用を生ずるIL−1RI(Simsら、1989)と、IL−1RIIである。更に、受容体複合体の推定シグナル伝達サブユニットである受容体アクセサリータンパク質(IL−1RAcP)が同定されている。IL−1RI型は主にT細胞、表皮細胞、線維芽細胞、軟骨細胞、滑膜細胞、及び上皮細胞に見出される。生体作用を生ずるには、IL−1RはIL−1に結合し、続いてIL−1RacPに結合してシグナル伝達を誘引する必要がある。IL−1Rの細胞外部分は、IL−1に結合する3つのIg様ドメインを含有する(Vigersら、1997;Vigersら、2000)。IL−1R受容体サブユニットとは対照的に、そしてIL−1Rアクセサリータンパク質の細胞外部分に対する抗体に関与する研究によれば、後者はサイトカインと相互作用しない(Cullinanら、1998;Layeら、1998;Malinowskyら、1998;Casadioら、2001)。
【0009】
IL−1が結合した後のシグナル伝達の最初のイベントは、IL−1R/IL−1RacP複合体の形成であり、これは、複合体へのIRAK(IL−1受容体結合キナーゼ)動員、及びキナーゼによるリン酸化カスケードをもたらし、NFκB及びAP−1を含めた転写因子の活性化を引き起こす。IL−1R/IL−1RacP複合体は、PI3K及びAktのようなキナーゼを動員して活性化することもでき、シグナル伝達のPLC/PKC経路の活性化をもたらすこともできる(Daun及びFenton、2000)。
【0010】
IL−1Rアンタゴニストの2つの主要な臨床応用は、関節炎及び炎症性大腸炎(IBD)の治療である。これらの病状に利用可能な治療は現在限られている。それらは毒性及び副次的効果を生ずることが多い。したがって、より安全で標的化した治療に対する医学界の要求は無視できない。
【0011】
IBD及び関節リウマチ療法の分野における最近のアプローチには、可溶性受容体、IL−1R及びTNFRに対するモノクローナル抗体、サイトカイン模倣薬、アンチセンス技術、並びにキナーゼ阻害剤の開発が含まれる(Vigersら、1997;Vigersら、2000;Hallegua及びWeisman、2002;Bouma及びStrober、2003)。IL−1の具体的な場合では、天然可溶性受容体IL−1Ra模倣薬であるアナキンラ(一般名キネレット(商標))が、メトトレキセート(ジヒドロ葉酸(葉酸)還元酵素阻害剤)の代わりに重症の活性な関節リウマチを治療するためにアムジェンによって開発された。他の主要な炎症性サイトカイン受容体TNFRの場合、2つのアンタゴニスト エタネルセプト(エンブレル(商標)、アムジェン)及びインフリキシマブ(レミケード(商標)、シェーリングプラウ)が開発されている。
【0012】
先行技術のアンタゴニストはいずれも競合的であり(例えば可溶性受容体、抗体、サイトカイン模倣薬)、多くの場合製造費用がかかるか又はin vivoで適用困難である(例えばアンチセンス)。リガンドは受容体濃度を遙かに超えているため、IL−1とその天然受容体との相互作用を阻害するために要する競合的阻害剤の濃度は相当量であることが多い。
【0013】
したがって、IL−1によって介在される活性を下方制御できる新規療法に対する必要性が残されている。
本発明は、これらの必要性及び他の必要性を満たすことを求めている。
【0014】
本明細書は、多くの文献を参照し、それらの内容は本明細書にその全体が援用される。
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【発明の開示】
【0015】
発明の概要
したがって、本発明は、非競合的な、効率的且つ選択的細胞外IL−1受容体アンタゴニストに関するものであり、先行技術のIL−1受容体アンタゴニストの1以上の欠点を克服する。
【0016】
また、本発明は、本発明の非競合的且つ選択的アンタゴニストの、IL−1関連疾患における使用に関するものである。
1つの態様では、本発明の化合物は、IL−1Rの生物活性を阻害し、受容体を介したシグナル伝達を妨げることによってサイトカイン活性を阻害するペプチド及びペプチド模倣薬である。したがって、IL−1介在イベントの阻害は、例えば、いくつかある炎症性疾患並びにIL−1機能に関連した疾患及び病態の中で、関節リウマチ及び炎症性大腸炎などのさまざまな慢性及び急性の炎症性疾患の予防又は治療に有益な抗炎症性反応をもたらす。
【0017】
細胞外標的を狙うようにデザインすることにより、IL−1受容体の細胞内領域を標的とする、ある公知の薬物候補とは異なり、本発明のアンタゴニストは、薬理反応を生ずるように標的細胞へ接近するために細胞膜を前もって透過性にすること又は他の破壊を必要としない。
【0018】
それらは非競合的アンタゴニストとして機能するため、本発明のアンタゴニストは、それらが標的とする受容体を阻害するのに必要な量が競合的阻害剤と比較して少ない。
関連する態様では、本発明のアンタゴニストは有利に簡便に合成される。
【0019】
本発明のペプチド、その誘導体及びペプチド模倣薬は、受容体活性を阻害するようにIL−1R/IL−1RacP受容体複合体の特定細胞外ドメインと相互作用する。重要なことには、本発明のペプチド、ペプチド誘導体、及びペプチド模倣薬は、IL−1RサブユニットのIL−1結合部位と相互作用せず、したがって、非競合的ペプチドアンタゴニストであると考えられる。本発明のアンタゴニストは、表示がある場合以外は全てD−アミノ酸である、以下のAPI−101配列:APRYTVELA(配列番号1)に由来する(配列番号135のアスタリスクは、残基(R)がL−アミノ酸であることを示している、表1を参照されたい)。
【0020】
【表1】
【0021】
特定の理論に限定されることなく、IL−1受容体アンタゴニストは、IL−1受容体の具体的立体構造を助成し又は安定化することができ、受容体活性の阻害を生ずる。本発明のペプチド、ペプチド誘導体、及びペプチド模倣薬はIL−1依存性細胞内シグナル伝達を非競合的な方法で阻害する。これらのペプチドは、IL−1受容体のシグナル伝達に関与する細胞内受容体ドメインの活性化を有効に妨げる。疾患の発現に部分的に関与する分子(例えばサイトカイン、サイトカイン受容体、プロスタグランジン、コラーゲナーゼ分泌などのような炎症性分子)の発現をもたらすその後の細胞シグナル伝達イベントは、それによって妨げられる。
【0022】
これらの化合物には、リード化合物、及びリード化合物と同一若しくは類似の分子構造又は形状を有するが、加水分解若しくはタンパク質分解に対する感受性、又は生物学的特性(例えば受容体に対する親和性増加)に関してリード化合物とは異なるように構築された誘導体化合物が含まれる。また、本発明は、不適切なIL−1産生若しくはIL−1反応に関連した病態、疾患、又は障害の治療又は予防に有用な化合物及び組成物に関する。
【0023】
他の態様では、本発明は、本明細書に記載の1以上の化合物と生理的に許容可能な担体とを含む医薬組成物にも関する。これらの医薬組成物は、経口剤形、局所クリーム、坐薬、鼻腔用スプレー、及び吸入器、並びに注射液及び輸液を含めたさまざまな形態であり得る。医薬組成物の調整方法は、『レミントンの薬学』、Mack Publishing Company、イートン、ペンシルバニア州、米国が参照されるように、当該技術分野に周知である。
【0024】
本発明の治療方法は、予防的であり、IL−1に関連する疾患又は病態を発症する危険性を低下させることができ、そして病態の緩和又は回避に用いることができる。治療剤は、好適な担体中の医薬的に許容可能な形態で、治療的に許容可能な用量で投与することができる。
【0025】
動物の数多くの経路及び病態におけるIL−1及び/又はIL−1R/IL−1RacP受容体の機能の重要性に鑑みると、本発明は、IL−1の反応に関連した病態又は疾患の同定、検証、及び治療に対して広範な影響を及ぼす(例えばIL−1の過剰発現又はIL−1R/IL−1RacPを介した異常なシグナル伝達)。
【0026】
また、本発明は、非競合的、効率的、且つ選択的な細胞外受容体アゴニストに関するものである。更に、本発明は、インターロイキン−1(IL−1)が既に炎症活性又は他の活性を示しているインターロイキン関連疾患の治療における、本発明の非競合的且つ選択的アゴニストの使用に関するものであり、1以上の本発明のアゴニストは上記の抗炎症作用又は他の活性を有するILの活性を上昇させる。関連する態様では、本発明のアゴニストは、有利に簡便に合成される。本発明によるアゴニストの非限定的な例には、ペプチドTTI−101.101(配列番号13)及びTTI−101.102(配列番号14)、並びにペプチド模倣薬TTI−101−137及びTTI−101−142(それぞれ図29及び30)が含まれる。
【0027】
本発明のアゴニストが治療用途を見出すことができるサイトカイン受容体の非限定的な例には、以下が含まれる:
(1) 色素上皮由来因子。PEDFは網膜の色素上皮細胞によって合成される、網膜の抗血管新生因子である。また、酸化ストレス及びグルタミン酸の外毒性から神経細胞を保護する。したがって、本発明のアゴニストは、網膜及び腫瘍増殖(例えば糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、及びがん;Barnstableら、2004)における異常な血管新生の症例に治療可能性を有するであろう。
(2) IL−4受容体:IL−4は、単球によるIL−1、IL−6、TNF−αのような炎症性分子の産生、及びT細胞によるTNF−αの産生を炎症部位で阻害できる抗炎症性サイトカインである。IL−4は、結腸癌及び乳癌の増殖も阻害する。関節リウマチでは、軟骨細胞に対する保護作用及び炎症性メディエーターの産生阻害によって、抗炎症性サイトカインとしても作用する(Schuerweghら)。
(3) IL−10サイトカインファミリー:このファミリーは全て炎症部位に対して有益な効果を有し、その抗炎症作用は創傷治癒、炎症性大腸炎、及び乾癬の症例において記載されている。IL−10は、IL−2、TNF−α、及びIFN−γのような炎症性因子の産生をTh1細胞において低下させる。IL−10は、腫瘍部位においてマクロファージの浸潤を阻害することにより腫瘍増殖を低下させる(Liら、2004;Asadullahら、2004)。
【0028】
1つの態様では、本発明は、a)IL−1Rに結合し、又はIL−1Rアンタゴニスト活性(例えばIL−1R/IL−1RacPアンタゴニスト活性)を有する、アミノ酸配列RYTPELAを含むペプチド、又は単離ペプチド(式中、R、Y、T、P、E、L、及びAは対応のアミノ酸を表し、ペプチドはIL−1Rに結合できるか、又はIL−1Rアンタゴニスト活性(例えばIL−1R/IL−1RacPアンタゴニスト活性)を有する);及びb)1つ〜4つのアミノ酸の付加、欠失、又は置換を組み込み、且つIL−1Rへの結合に関してa)のペプチドと競合するか、又はそのIL−1Rアンタゴニスト活性(例えばIL−1R/IL−1RacPアンタゴニスト活性)を維持するa)の誘導体から成る群より選択される単離化合物に関する。1つの具体的な態様では、そのような誘導体は、3つ、2つ、又は1つのアミノ酸の付加、欠失、又は置換を組み込む。
【0029】
1つの更なる態様では、本発明は、一般式:RYTPELXによって特徴付けられる配列を含む、IL−1Rの生物活性に拮抗するペプチド、又は単離ペプチドに関するものであり、式中、R、Y、T、P、E、及びLは対応のアミノ酸を表し、Xはアミノ酸なし及びアラニン(A)から選択される。また、本発明は、incorporates ペプチドRYTPELXのRYTPEL部分にアミノ酸の付加、欠失、又は置換から選択される1つ、2つ、又は3つのアミノ酸修飾を組み込み、且つそのIL−1Rアンタゴニスト活性(例えばIL−1R/IL−1RacPアンタゴニスト活性)を維持する、この一般式の誘導体に関するものである。通常、アミノ酸の置換は、類似アミノ酸又は保存アミノ酸を用いてなされる。以下を参照されたい。
【0030】
1つの更なる態様では、誘導体は、アミノ酸の付加、欠失、又は置換から選択される2以下のアミノ酸修飾をペプチドのRYTPEL部分に含む。1つの具体的な態様では、そのようなペプチド、単離ペプチド、又はそれらの誘導体は、101−113、101−103、101−114、101−117、101.10、101.106、101.116、101.108、101.135、101.128、101.9、101.105、101.129、101.11、101.12、及び101.132から成る群より選択される。更に他の具体的な態様では、アンタゴニスト化合物は、101−113、101−103、101−114、101−117、及び101.10から成る群より選択される。
【0031】
更に他の態様では、本発明は、a)アミノ酸配列RYTPELXを含むペプチド(式中R、Y、T、P、E、Lは対応のアミノ酸を表し、Xはアミノ酸なし及びアラニン(A)から選択される);及びペプチドのRYTPEL部分にアミノ酸の付加、欠失、又は置換から選択される1つ、2つ、又は3つのアミノ酸修飾を組み込み、且つそのIL−1R/IL−1RacPアンタゴニスト活性を維持するa)の誘導体から成る群より選択される、IL−1R/IL−1RacPアンタゴニスト活性を有する単離化合物に関するものである。本発明は、当然ながら、そのような修飾を1つのみ、又は2つのみ有するそのような誘導体にも関するものである。そのようなアンタゴニストの例は、ペプチド101−113、101−103、101−114、101−117、101.10、101.106、101.116、101.108、101.135、101.128、101.9、101.105、101.129、101.11、101.12、及び101.132を含み、より好ましくはペプチド101−113、101−103、101−114、101−117、及び101.10を含む。
【0032】
1つの特定の態様では、本発明は、以下の一般式によって特徴付けられる配列を含む、IL−1Rの生物活性に拮抗するペプチドに関するものである:
X−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5 式I
式中、X、aa1、aa2、aa3−aa4、及びaa5は、独立して選択され、
Xは、A1P2R3Y4、A1A2R3Y4、A1P2A3Y4、A1P2R3A4、P2R3Y4、R3Y4、Z3Y4、R3F4、及びY4から選択され、式中、A、P、R、Y、及びFは対応のアミノ酸を表し、数はA1P2R3Y4配列中のアミノ酸の位置を表し、Zはシトルリンである;
A1は、アラニン、ロイシン、バリン、メチオニン、及びφから成る群より選択され、φは、限定されるものではないが、ノルロイシン、イソロイシン、tert−ロイシン、シクロヘキシルアラニン、アリルグリシンなどの疎水性側鎖を有するα−アミノ酸を定義する;
P2は、プロリン、アラニン、アミノイソ酪酸(Aib)、N−メチル−L−アラニン(MeAla)、トランス−4−ヒドロキシプロリン、ジエチルチアゾリジン カルボン酸(Dtc)、及びΩから成る群より選択され、Ωは構造制約を生ずるアミノ酸を定義する(Hanessian,Sら、1997;Halabら、2000;Cluzeau及びLubell、2004;Feng及びLubell、2001);その非限定的な例には、アゼチジン−2−カルボン酸、ピペコリン酸、イソニペコチン酸、4−(アミノメチル)安息香酸、2−アミノ安息香酸、ニペコチン酸が含まれる;
R3は、ヒスチジン、リジン、アラニン、オルニチン、シトルリン、2−ピリジルアラニン、3−ピリジルアラニン、4−ピリジルアラニン、及び限定されるものではないが4−アミジノフェニルアセチル、4−アミジノフェニルプロピオニル、4−アミジノフェニルグリシル、4−アミジノフェニルメチルグリシル、4−グアニジノフェニルアセチル、4−グアニジノフェニルプロピオニル、4−グアニジノフェニルグリシル、4−グアニジノフェニルメチルグリシルなどのアルギニン代用物から成る群より選択される(Masic及びKikelj、2001;Feng及びLubell、2001);
Y4は、残基なし、フェニルアラニン、トリプトファン、アラニン、及びΣから成る群より選択され、Σは疎水性側鎖Σ又は芳香族側鎖を有するα−アミノ酸を定義し、例には、限定されるものではないが、ノルロイシン、イソロイシン、tert−ロイシン、シクロヘキシルアラニン、アリルグリシン、ナフチルアラニン、ピリジルアラニン、ヒスチジン、チロシンが含まれる;
aa1は、スレオニン、セリン、バリン、及びηから成る群より選択され、ηは中性親水性アミノ酸を定義し、例には、限定されるものではないが、ヒドロキシバリン、Dettwiler及びLubell、2004に記載のようなβ,β−ジアルキルセリン、ホモセリン、アロスレオニン、ヒドロキシプロリンが含まれる;
aa2は、イソロイシン、ロイシン、バリン、プロリン、メチオニン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−カルボン酸、ヒドロキシプロリン チアゾリジン−a−カルボン酸、及びφから成る群より選択され、φは疎水性側鎖を有するα−アミノ酸を定義する(上記を参照されたい);
aa3は、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、セリン、ヒスチジン、ホモセリン、β−ロイシン、β−フェニルアラニン、α−アミノアジピン酸、及びΨから成る群より選択され、Ψは疎水性側鎖、芳香族アミン、脂肪族アミン、及び1級アリールアルキルアミンを有する3−アミノ−5−フェニルペンタン酸−α−アミノ酸を定義し、例には、限定されるものではないが、ベンジルアミン、フェニルエチルアミン、2,2−ジフェニルエチルアミン、4−フェニル−ベンジルアミンが含まれる;
aa4は、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びΛから選択され、Λは中性脂肪族アミノ酸を定義し、例には、限定されるものではないが、ノルロイシン、イソロイシン、tert−ロイシン、シクロヘキシアラニン、アリルグリシン;限定されるものではないがメチルアミン、イソブチルアミン、イソバレリルアミン、シクロヘキシルアミンなどの炭素数1〜10の脂肪族アミン;限定されるものではないがアニリン、ナフチルアミン、ベンジルアミン、シンナミルアミン、及びフェニルエチルアミンなどの芳香族アミン又はアリールアルキルアミンが含まれる。
【0033】
他の特定の態様では、本発明は、本発明による精製されたペプチドアンタゴニスト又はその誘導体に関する。
更に他の特定の態様では、本発明は、以下の一般式のうちの1つによって特徴付けられる配列を含む、IL−1Rの生物活性に拮抗するペプチド又はその誘導体に関する:
G1−X−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5− 式II
−X−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5−G2 式III
G1−X−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5−G2 式IV
式中:
G1はペプチドのアミノ末端に付着し、残基なし、水素、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基、アシル基(RCO)(アセチル、メチル、エチルなど)、プロピアノイル、ブタノイル、イソプロピアノイル、イソブタノイル、又は3級アミン(ジアルキルアミノ基又はモノアルキルアミノ基)から成る群より選択される;
G2はペプチドのカルボキシ末端に付着し、残基なし、水素、NH2、炭素数1〜10の脂肪族アミン(限定されるものではないが、メチルアミンなど)、イソブチルアミン、イソバレリルアミン、シクロヘキシルアミン、芳香族アミン、又はアリールアルキルアミン(限定されるものではないが、アニリン、ナフチルアミン、ベンジルアミン、シンナミルアミン、フェニルエチルアミンなど)、及び/又は3級アミン(ジアルキルアミノ基又はモノアルキルアミノ基)から成る群より選択される。
【0034】
本発明の更に他の態様では、IL−1Rの生物活性に拮抗するペプチド又はその誘導体は、式I、式II、式III、又は式IVによって定義される一般式のうちの1つによって特徴付けられる配列を有する。
【0035】
本発明の更なる態様では、IL−1R/IL−1RacPペプチド又はその誘導体は比較的小さな分子である。1つの態様では、ペプチドのサイズは5〜25アミノ酸であり、より具体的には5〜16アミノ酸であり、より具体的には5〜10アミノ酸であり、更により具体的には5〜9アミノ酸である。
【0036】
他の特定の態様では、本発明は、IL−1Rの生物活性に拮抗する、式I及び式IVに由来するペプチド模倣薬に関する。より特定の態様では、本発明のペプチド模倣薬は、図20及び図21に表される構造によって定義される。
【0037】
本発明によれば、下記一般式のペプチド模倣アンタゴニストが提供される
R1−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5−aa6−aa7−R2
式中、R1、aa1、aa2、aa3、aa4、aa5、aa6、aa7、及びR2は独立して選択される。
【0038】
R1は、残基なし、水素、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基、アシル基(RCO−)(式中、Rは炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基である)から成る群より選択される。Rの非限定的な例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、及びイソブチルが含まれる。
【0039】
aa1は、残基なし、アルギニン、リジン、オルニチン、シトルリン、炭素数2〜8のω−アミノアシル基、炭素数2〜6のω−グアニジニルアシル基、限定されるものではないが4−アミジノフェニルアセチル、4−アミジノフェニルプロピオニル、4−アミジノフェニルグリシル、4−アミジノフェニルメチルグリシル、4−グアニジノフェニルアセチル、4−グアニジノフェニルプロピオニル、4−グアニジノフェニルグリシル、4−グアニジノフェニルメチルグリシルなどのアルギニン代用物から成る群より選択される。
【0040】
aa2は、残基なし、チロシン、フェニルアラニン、ナフチルアラニン、ヒスチジン、4−ヒドロキシフェニルグリシン、トリプトファン、フェニルグリシン、ピリジルアラニン、ホモセリン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、及び4−クロロフェニルアラニンから成る群より選択される。
【0041】
aa3は、残基なし、スレオニン、セリン、β−ヒドロキシバリン、アロスレオニン、バリン、tert−ブチルロイシン、ロイシン、プロリン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−カルボン酸、ヒドロキシプロリン、及びアラニンから成る群より選択される。
【0042】
aa4は、残基なし、バリン、プロリン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−カルボン酸、ヒドロキシプロリン、チアゾリジン−4−カルボン酸、及び2,2−ジメチルチアゾリジン−4−カルボン酸から成る群より選択される。
【0043】
他の態様では、一体となったaa3−aa4は、3−アミノインドリジジン−2−オン 9−カルボン酸、3−アミノピロリジジン−2−オン 8−カルボン酸、3−アミノキノリジジン−2−オン 10−カルボン酸、8−アミノインドリジジン−9−オン 2−カルボン酸、ジペプチド代用物、又は限定されるものではないがHanessianらに概説されている例などのβ−ターン模倣体から成ることができる。
【0044】
aa5は、残基なし、アラニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン、ヒスチジン、ホモセリン、β−ロイシン、β−フェニルアラニン、及びα−アミノアジピン酸から成る群より選択される。
【0045】
aa6は、残基なし、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、限定されるものではないがメチルアミン、イソブチルアミン、イソバレリルアミン、シクロヘキシルアミンなどの炭素数1〜10の脂肪族アミン、限定されるものではないがアニリン、ナフチルアミン、ベンジルアミン、シンナミルアミン、又はフェニルエチルアミンなどの芳香族アミン又はアリールアルキルアミンから成る群より選択される。
【0046】
aa7は、残基なし、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、限定されるものではないがメチルアミン、イソブチルアミン、イソバレリルアミン、シクロヘキシルアミンなどの炭素数1〜10の脂肪族アミン、限定されるものではないがアニリン、ナフチルアミン、ベンジルアミン、シンナミルアミン、又はフェニルエチルアミンなどの芳香族アミン又はアリールアルキルアミンから成る群より選択される。
【0047】
R2は、残基なし、水素、NH2、限定されるものではないがメチルアミン、イソブチルアミン、イソバレリルアミン、シクロヘキシルアミンなどの炭素数1〜10の脂肪族アミン、限定されるものではないがアニリン、ナフチルアミン、ベンジルアミン、シンナミルアミン、フェニルエチルアミンなどの芳香族アミン及びアリールアルキルアミンから成る群より選択される。
【0048】
一般配列R1−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5−aa6−aa7−R2の残基のキラル中心の立体化学的立体配置は、R−立体配置及びS−立体配置、D−立体配置及びL−立体配置であり得ることに注目されたい。好ましい態様では、ペプチドは、全てのD−異性体から成る。オレフィンは、シス配置及びトランス配置であり得る。一般配列R1−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5−aa6−aa7−R2のアミノ酸残基は、限定されるものではないがアザアラニン、アザチロシン、アザフェニルアラニンなどの、キラルα炭素が窒素で置換されたアザアミノ酸対応物でもよい。
【0049】
本発明を図20及び図21の特定のペプチド模倣薬、並びに図26〜図30に例示されたものによって例示するが、本発明はあまり限定的ではない。本明細書の開示に基づいて、当該技術分野に熟練した者は、IL−1受容体に対するアンタゴニスト活性を有するペプチド模倣薬を容易に得、IL−1R/IL−1RacP受容体阻害化合物を更に同定し、又は本明細書に例示したものを改善することができる。本発明のペプチド模倣薬は、内在プロテアーゼによる分解に対する感受性が低く、したがってin vivo半減期が長い。
【0050】
本発明の1つの具体的態様では、IL−1受容体に対するアンタゴニスト活性を有するペプチド模倣薬は、TTI−101.140、TTI−101.141、TTI−101.125、TTI−101.110、TTI−101.111、TTI−101.136、及びTTI−101.143から成る群より選択される。好ましい態様では、ペプチド模倣薬は、TTI−101.140、TTI−101.141、TTI−101.125、及びTTI−101.110から成る群より選択される。
【0051】
本発明の化合物は、in vitroで、IL−1、並びにIL−1産生及びそのIL−1R/IL−1RacPへの結合に影響を及ぼし、そして影響される多くの因子の生物学的役割を理解するための独特の道具として有用である。本発明のペプチドアンタゴニストは、開発を容易にする、構造と活性との関係に関する重要な情報を提供するため、本発明のアンタゴニストは、IL−1受容体に結合する他の化合物の開発においても有用である。
【0052】
本発明のアンタゴニストは、細胞表面のIL−1R受容体の発現を測定するためのアッセイにおいてプローブとして用いることもできる。そのようなアッセイは、例えば組織感染又は障害に対する細胞炎症反応の程度の測定に有用であり得る。典型的には、試験対象の細胞を本発明のペプチド又はペプチド模倣に曝して細胞表面に存在する受容体に結合させ、反応した細胞を可視化する(例えば洗浄後、細胞選別、親和性クロマトグラフィ、免疫組織化学、オートラジオグラフィなど)。
【0053】
化合物は、類似の新規ペプチド受容体アンタゴニストをスクリーニングし、又は特徴付けるためのアッセイにおいて競合的阻害剤として用いることができる。そのようなアッセイ、及びIL−1R発現を測定するためのアッセイでは、本発明のペプチド又はペプチド模倣薬は修飾することなく用いることができ、又は標識することができる(即ち、検出可能なシグナルを直接的又は間接的に提供する部分に共有結合的又は非共有結合的に連結させる)。標識の例には、125I、14C、及び3Hなどの放射性標識、アルカリホスファターゼ及び西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素標識(米国特許第3,645,090号)、ビオチン、アビジンなどのリガンド標識、生物発光、リン光、化学発光を含めた発光化合物、又は蛍光標識(米国特許第3,940,475号)が含まれる。
【0054】
本発明の化合物は、in vivoでIL−1R反応に対するIL−1α又はIL−1βの効果を完全に又は部分的に阻害するように被験者に投与することができる。したがって、本発明の方法は、IL−1関連障害の治療的処置に有用である。例えば、本発明の組成物は、IL−1の不適切な産生又はIL−1に対する不適切な反応に関連した症状(例えば関節リウマチ及び炎症性大腸炎)を治療するのに治療的に有効な量で投与することができる。
【0055】
明細書及び特許請求の範囲において用いた用語について、そのような用語を与えるべき範囲を含めて明確且つ一貫した理解を提供するために、以下に多くの定義を提供する。
定義
他に定義されない限り、本明細書において用いた科学用語及び技術用語並びに命名は、本発明が関連する分野において通常の技術を有する者に一般に理解されるのと同一の意味を有する。分子生物用語の一般に理解される定義は、例えば、『微生物学及び分子生物学辞典』、第2版(Singletonら、1994、John Wiley&Sons、ニューヨーク、ニューヨーク州)、『Harper Collinsの生物学事典』(Hale&Marham、1991、Harper Perennial、ニューヨーク、ニューヨーク州)、Riegerら、『遺伝学用語解説:古典と分子』、第5版、Springer−Verlag、ニューヨーク、1991;Albertsら、『細胞の分子生物学』、第4版、Garland science、ニューヨーク、2002;並びにLewin、『遺伝子 VII』、オックスフォード大学出版、ニューヨーク、2000に見出すことができる。一般に、細胞培養、感染、分子生物法のなどの手順は、当該技術分野において一般に用いられている方法である。そのような標準技術は、例えば、Sambrookら(2000、『分子クローニング−実験室マニュアル』、第3版、コールドスプリングハーバー研究所);及びAusubelら(1994、『分子生物学の最新プロトコール』、John Wiley&Sons、ニューヨーク)などの参考書に見出すことができる。
【0056】
本明細書において、20の天然アミノ酸及びそれらの略語は慣例的用法にしたがう。α,α−2置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸、及び他の非慣用的アミノ酸のような立体異性体(例えばD−アミノ酸)も本発明のポリペプチドの好適な成分であり得る。非慣用的アミノ酸の例には、限定されるものではないが、シトルリン、オルニチン、ノルバリン、4−(E)−ブテニル−4(R)−メチル−N−メチルスレオニン(MeBmt)、N−メチル−ロイシン(MeLeu)、アミノイソ酪酸、スタチン、N−メチル−アラニン(MeAla)が含まれる。
【0057】
本明細書において芳香族アミンという用語は、6〜10炭素原子の環を有する分子であると理解され、例には、限定されるものではないが、フェニルメチルアミン、フェニルエチルアミン、フェニルプロピルアミン、及び飽和又は不飽和炭化水素鎖を含むアミンが含まれる。
【0058】
本明細書において、アリールアルキルアミンという用語は、飽和又は不飽和炭化水素鎖を含むアミンであると理解される。1級アリールアルキルアミンは6〜10炭素原子の環で構成され、例には、限定されるものではないが、フェニル、トリル、アルコキシフェニル、アルコキシカルボニルフェニル、及びハロフェニルが含まれる。
【0059】
本明細書において、「アリール」という用語は、フェニル、1−ナフチル、及び2−ナフチルであると理解される。本明細書において、「置換アリール」という用語は、フェニル、ヘテロアリール、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、ハロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、アミノ、−NH(低級アルキル)、及び−N(低級アルキル)2から成る群より選択される置換基を有するフェニル、1−ナフチル、及び2−ナフチル、並びにメチル、メトキシ、メチルチオ、ハロ、ヒドロキシ、及びアミノから成る群より選択される置換基を含む1−、2−、及び3−置換フェニル、1−ナフチル、及び2−ナフチルであると理解される。
【0060】
本明細書において、「アルキル」という用語は、8以下の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖ラジカルであると理解される。本明細書において、「低級アルキル」という用語は、4以下の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖ラジカルであると理解され、「アルキル」という用語の好ましい下位群である。
【0061】
本明細書において、「置換アルキル」という用語は、1以上の、好ましくは1つ、2つ、又は3つの水素原子が、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、トリフルオロメチル、−NH(低級アルキル)、−N(低級アルキル)2、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、及びカルボキシ、アリール及びヘテロアリールから成る群より選択される置換基によって置換されている、8以下の炭素原子を有するそのような直鎖又は分岐鎖ラジカルであると理解される。
【0062】
特に断りのない限り、「IL−1」は、IL−1α及びIL−1βのいずれか又は両方を表す。「IL」という用語は、インターロイキンの広範なファミリーを表す。
上記のように、本明細書において、20の天然L−アミノ酸及びそれらの略語は慣例的用法にしたがう。本明細書で用いたポリペプチド表記法では、標準的用法及び慣例にしたがい、左方向はアミノ末端方向であり、右方向はカルボキシ末端方向である。本明細書において、「ペプチド」及び「ポリペプチド」という用語は、非常の多数のアミノ酸又はイミノ酸(又はそれらの同等物)をペプチド結合によって含む高分子を表し、ポリペプチドは翻訳後修飾を含んでいても欠失していてもよい。したがって、ペプチドという用語には、改変がIL−1受容体活性の調整能を変化させない限り、IL−1受容体D−アミノ酸アンタゴニストペプチド及びペプチドの他の改変型が含まれる。本発明の全てのアンタゴニストペプチドは、IL−1受容体活性の調整能を共有する。改変の非限定的な例には、N末端アセチル化、グリコシル化、及びビオチン化が含まれる。本発明によるペプチドの具体的な改変型を以下に更に記載する。
【0063】
本明細書において、「逆Dペプチド」という用語は、L−アミノ酸を含有するペプチドに対して逆配列に配置されたD−アミノ酸を含有するペプチドを表す。したがって、L−アミノ酸ペプチドのC末端残基はD−アミノ酸ペプチドのN末端になる、などである。逆D−ペプチドはL−アミノ酸ペプチドと同一の3次構造を保持し、したがって同一活性を保持することが多いが、酵素的分解に対してはin vitro及びin vivoでオリジナルのペプチドより安定であり、したがって治療効果が大きい(Brady及びDodson、1994;Jamesonら、1994)。
【0064】
本明細書において、「機能性誘導体」の意味は、アミノ酸配列の機能性誘導体の文脈ではオリジナル配列と実質的に類似する生物活性(機能的又は構造的)を保持する分子を示す。この機能性誘導体又は同等物は天然であっても合成してもよい。そのような誘導体には、タンパク質の生物活性が保存されるという条件で(例えばIL−1受容体の非競合的アンタゴニストとして作用する)、1以上のアミノ酸の置換、欠失、又は付加を有するアミノ酸配列が含まれる。置換するアミノ酸は、通常、置換されたアミノ酸と類似の物理化学特性を有する。類似の物理化学特性には、電荷、かさ高、疎水性、親水性などにおける類似性が含まれる。「機能性誘導体」という用語は、本発明の主題の「セグメント」、「変異体」、「アナログ」、又は「化学的誘導体」を含むことが意図される。
【0065】
「生物活性」又は「IL−1R/IL−1RacP活性」又は「受容体活性」という用語は、IL−1若しくはIL−1R/IL−1RacPの遺伝子又はタンパク質の検出可能な生物活性を表す。細胞内シグナル伝達におけるIL−1R/IL−1RacPタンパク質の特定の生物活性を含むことができる。これには、PGE2産生の測定、増殖アッセイ、並びに遺伝子及びタンパク質の発現変化(例えばIL−6、IL−1、COX酵素)が含まれる。しかしながら、IL−1R/IL−1RacP活性は、これらの重要な生物活性に限定されるものではない。生物活性には、例えば、化合物、基質、相互作用タンパク質などによるIL−1Rへの単純な結合も含まれる。例えば、IL−1反応又はIL−1Rの結合若しくは相互作用を阻害能又は増加能(例えば調整能)に対する試験化合物の効果を測定することは、本明細書において、本発明によるIL−1Rの生物活性を測定することとみなされる。概して、本発明のペプチド、ペプチド誘導体、又はペプチド模倣薬の非存在下と存在下とを対比した受容体サブユニット(例えばIL−1R及びIL−1RacP)の分子内又は分子間結合は、本発明による生物活性の更に他の例である。IL−1R/IL−1RacPの生物活性には、この受容体の生化学的測定値、立体構造変化、リン酸化状態、及び受容体のシグナル伝達の下流効果、例えばタンパク質リン酸化(又は他の翻訳後修飾、例えばユビキチン化、ユビキチン様タンパク質による修飾、パルミチン酸化、プレニル化など)、キナーゼ作用、又は当該技術分野に公知の技術を用いて測定できるタンパク質の他の特徴なども含まれる。最後に、IL−1R/IL−1RacPの生物活性には、細胞構築、細胞増殖、又は所定の受容体に対するリガンド(即ちIL−1)の作用によって調節される他の細胞現象における検出可能な変化が含まれる。
【0066】
本明細書において「変異体」という用語は、構造及び生物活性においてそのタンパク質と実質的に類似し、少なくとも1つの生物活性を維持するタンパク質を表す。したがって、2つの分子が共通の活性を有し、互いに置換できるという条件において、たとえ1つの分子の組成、又は2次構造、3次構造、若しくは4次構造が他に見られるものと同一でない場合であっても、あるいはアミノ酸配列又は核酸配列が同一でない場合でも、本明細書において用いるように、それらは変異体であるとみなされる。本発明はペプチド配列並びにそれらの誘導体及び変異体に関するものであるが、遺伝学的にコードされたアミノ酸から成る本発明のペプチドアンタゴニストを発現するように核酸配列をデザインできることを理解すべきである。発現ベクター、調節配列(例えばプロモーター)、リーダー配列、並びにそれらを作製する方法及びそれらを細胞へ導入する方法は号外技術分野において周知である。したがって、1つの態様では、本発明のそのようなアンタゴニストペプチドは、組換え技術によって細胞で発現される。1つの態様では、細胞は原核細胞であり、そのようなペプチドを作製し精製する役割を果たす。他の態様では、真核細胞は、IL−1活性を調節する必要がある特定の真核細胞である。
【0067】
本発明の機能性誘導体は、化学的に合成することも組換えDNA技術で作製することもできる。これらの方法は全て当該技術分野において周知である。
本明細書において「被験者」又は「患者」という用語は、治療、観察、又は実験の対象である動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを表す。
【0068】
「阻害」、「減少」、又は「予防」という用語、あるいはこれらの用語の変形には、特許請求の範囲及び/又は明細書で用いる場合、所望の結果を達成するための受容体活性の測定可能な減少又は完全な阻害が含まれる。例えば、ペプチドは、本発明のペプチド、ペプチド誘導体、又はペプチド模倣薬で処理した後、これらのペプチドの非存在下と比較してPGE2産生の減少が測定される場合、IL−1活性を阻害すると言われる。
【0069】
本明細書において「精製された」という用語は、それがもともと存在していた組成物の成分から分離された分子(例えばIL−1受容体、ペプチド、ペプチド誘導体、ペプチド模倣薬、核酸、タンパク質など)を表す。したがって、例えば、「精製されたIL−1受容体」は、天然には観られないレベルまで精製されている。「実質的に純粋な」分子は、他の成分の大部分を喪失した(例えば混入物質の30、40、50、60、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、100%が存在しない)分子である。逆に、「粗製」という用語は、それが存在していたもともとの組成物の成分から分離されていない分子を意味する。したがって、「分離する」又は「精製する」という用語は、生体サンプルの1以上の成分が、サンプルの1以上の他の成分から取り除かれる方法を表す。サンプル成分には、タンパク質、炭水化物、又は脂質などの他の成分を含み得る通常水溶液中の核酸が含まれる。分離工程又は精製工程は、少なくとも約70%(例えば70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、100%)、より好ましくは少なくとも約90%(例えば90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%)、更により好ましくは少なくとも約95%(例えば95、96、97、98、99、100%)のサンプル中に存在する他の成分を所望の成分から除去することが好ましい。簡潔にするために、単位(例えば66、67...81、82、...91、92%....)が系統的に列挙されていないが、それでも本発明の範囲内であるとみなされる。
【0070】
「医薬的に許容可能な担体」という用語は、化合物の活性成分の生物活性の有効性を妨げず、投与される宿主(例えば患者)に対して毒性がない担体媒体を表す。
本明細書において「治療的に又は医薬的に有効な量」とは、所望の効果を誘導するのに十分な本発明の組成物の量を表す。そのような結果は、疾患の徴候、症状、若しくは原因の緩和又は軽減、あるいは標的生理系の他の所望の変化であり得る。例えば、炎症性疾患の場合(例えば関節炎及び炎症性大腸炎)、典型的な結果は炎症反応及び免疫反応の低下を包含するであろう。
【0071】
本明細書において、「分子」、「化合物」、「物質」、又は「リガンド」という用語は、互換的に用いられ、天然、合成、又は半合成の分子又は化合物を広く表す。したがって、「分子」という用語は、例えば化学物質、高分子、細胞又は組織の抽出物(植物又は動物由来)などを意味する。分子の非限定的な例には、ペプチド、抗体、炭水化物、及び医薬物質が含まれる。物質は、ランダムスクリーニング、合理的選択を含めたさまざまな手段によって、及び例えばコンピュータモデリングなどのタンパク質又はリガンドのモデリング法を用いた合理的デザインによって選択し、スクリーニングすることができる。「合理的に選択された」又は「合理的にデザインされた」という用語は、本発明の相互作用ドメインの立体配置に基づいて、あるいは本発明のアンタゴニストペプチド及び/又はペプチド模倣薬の立体配置に基づいて選択されている化合物を定義することを意味する。通常の技術を有する者に理解されるように、非天然修飾を有する高分子も「分子」という用語の範囲内である。例えば、医薬産業において周知であり、通常ペプチドアナログといわれるペプチド模倣薬は、上記のようなモデリングによって作製することができる。同様に、好ましい態様では、本発明のポリペプチドは、安定性を高めるために修飾される。多くの場合、この修飾は相互作用ドメインの生物活性を変えるべきでないことが理解されるはずである。本発明の教示にしたがい同定される分子は、細胞及び/又は組織の生理機能又はホメオスタシスがIL−1の産生又は反応における欠陥によって傷つけられている疾患又は病態に治療価値を有する。そのような疾患又は病態の非限定的な例には、関節リウマチ、炎症性大腸炎(IBD)、変形性関節症、乾癬、敗血症、脳炎、及び呼吸窮迫症候群などの急性及び慢性の炎症性疾患、アルツハイマー病、脳室周囲白質軟化症、髄膜炎、卒中、及び多くの自己免疫疾患が含まれる。化合物は、本明細書において、「API−X」、「TTI−X」として、又は単に化合物番号によって互換的に記載されることが理解されるであろう(例えば:「101.10」、「API−101.10」、又は「TTI−101.10」)。
【0072】
本明細書において、「アンタゴニスト」、「ペプチドアンタゴニスト」、又は「IL−1R/IL−1RacPアンタゴニスト」は、IL−1又はIL−1R/IL−1RacPの生物活性を阻害可能(完全に又は部分的に)な分子を表す。「アンタゴニスト」、「ペプチドアンタゴニスト」、又は「IL−1R/IL−1RacPアンタゴニスト」という用語には、公知化合物の、アンタゴニスト特性を有する増強剤も含まれる。
【0073】
本明細書において、「模倣体」「模倣薬」「ペプチド模倣薬」などの専門用語は、互換的に用いられる。
「1つの(a)」という語の使用は、特許請求の範囲及び/又は明細書において「含む(comprising)」という用語とともに用いる場合、「1」を意味することができるが、「1以上」、「少なくとも1つ」、及び「1以上」の意味とも一致する。
【0074】
本願を通して、「約」という用語は、ある値が、その値を決定するために用いる装置又は方法の誤差の標準偏差を含むことを示すために用いられる。
特許請求の範囲における「又は」という用語は、本明細書の開示は代替物のみ及び「及び/又は」を表す定義を支持しているが、代替物のみを表すことが明確に示されていないか、又は代替物が互いに排他的でない場合は、「及び/又は」を意味するために用いられる。
【0075】
本明細書及び特許請求の範囲において、「含む(comprising)」(及び含むの変形)、「有する(having)」(及び有するの変形)、「含めた(including)」(及び含めたの変形)、又は「含有する(containing)」(及び含有するの変形)という語は、包括的又は非制限的であり、追加の、引用されていない要素又は方法工程を排除するものではない。
【0076】
「短いペプチド」という用語は、約6〜25アミノ酸の配列を意味することを意図する。
本明細書において、「精製された」という用語は、それが元々含有されていた組成物の成分から分離されている化合物を表す。したがって、例えば、「精製されたペプチド」又は「ペプチドの精製された組成物」は、天然に見られないレベルまで精製されている。「実質的に純粋な」粗化合物は、他の成分の大部分を喪失した化合物である(例えば混入物質の30、40、50、60、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、100%が存在しない)。逆に、「粗製」という用語は、それが存在したオリジナル組成物の成分から分離されていない化合物を意味する。簡潔にするために、単位(例えば66、67...81、82、...91、92%....)を具体的に列挙しないが、それでも本発明の範囲内であるとみなされる。
【0077】
「単離ペプチド」又は「単離化合物」は、その天然のin vivo状態、又は初期段階においてそれが他の成とともに存在する状態から(例えば合成から)精製される。
本明細書において考察される態様は、本発明の方法又は組成物に関して実施でき、逆もまた同様であることが意図される。更に、本発明の組成物及びキットは、本発明の方法を達成するために使用できる。
【0078】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明及び特定の実施例は、本発明の具体的態様を示しているが、当該技術分野に熟練した者にはこの詳細な説明から本発明の精神及び範囲内でさまざまな改変及び修飾が明らかとなるため、説明のためにのみ提供するものであることが理解されるはずである。
【0079】
図面の簡単な説明
このように本発明を一般的に記載する上で、具体的態様を説明するためにのみ示す添付の図面を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0080】
具体的態様の説明
本発明の1つの目的は、IL−1受容体アクセサリータンパク質の生体機能を阻害可能なペプチド及びペプチド模倣化合物のファミリーについて記載することである、したがって、非常に多くの病的状態に有用であろう。
【0081】
開示を明確にするために、そして限定するためでなく、本発明の詳細な説明を以下のサブセクションに分割する:
I. 本発明のペプチドを同定するためのアッセイ
II. ペプチドの調製
III. ペプチド誘導体とペプチド模倣薬
IV. ペプチド模倣薬を同定するためのアッセイ
V. 医薬組成物。
【0082】
I. 本発明のペプチドを同定するためのアッセイ
候補化合物のIL−1受容体活性の阻害能を試験するための方法を本明細書に提示する。本発明はさほど限定されないことが理解されるであろう。実際、本発明の非競合的細胞外アゴニスト又はアンタゴニストを同定するために、当該技術分野に周知の他のアッセイを用いることができる。
【0083】
通常、IL−1R/IL−1RacPアンタゴニスト(即ち、ペプチド、ペプチド模倣薬、小分子、又は他の薬物のような候補若しくは試験化合物又は物質)のスクリーニングは、IL−1R/IL−1RacPの生物活性を測定するアッセイに基づくことができる。本発明のアッセイは、天然又は組換えIL−1受容体を使用する。IL−1活性のアンタゴニストに関する細胞画分又は無細胞系スクリーニングアッセイは、精製されたIL−1受容体、又は精製された組換えIL−1受容体をin situで用いることができる。細胞に基づいたアッセイは、IL−1受容体を天然に発現する細胞、又は組換えIL−1受容体を含有する細胞を使用することができる。全ての場合において、IL−1受容体の生物活性は直接的又は間接的に測定することができる;したがって、IL−1受容体活性の阻害剤又は活性化剤を同定することができる。標準的コンビナトリアル化学技術によって阻害剤又は活性化剤自体を更に修飾し、最初に同定された化合物の改良型アナログを提供することもできる。
【0084】
1つの態様では、アッセイは細胞に基づいたアッセイであり、天然又は組換え由来であるIL−1R/IL−1RacP受容体複合体又はその生物学的に活性な部分を発現する細胞を試験化合物と接触させ、試験化合物のIL−1R/IL−1RacP受容体生物活性の調製能、例えばPGE2産生、増殖アッセイ、IL−1Rの結合パートナー(IL−1RacP)への結合、又はIL−1受容体の他の測定可能な生物活性の調節を測定する。
【0085】
別の態様では、試験化合物のIL−1R/IL−1RacP受容体複合体の活性調整能の測定は、試験化合物のIL−1R/IL−1RacP受容体標的分子の下流エフェクターの活性調整能を測定することによって達成することができる。例えば、試験化合物のエフェクター分子に対する活性を測定することができる。そのような下流エフェクターの非限定的な例には、インターロイキン受容体活性化キナーゼ(IRAK);TRAF、NI−KB(例えばp65)の活性化、変異原性活性化プロテインキナーゼ(MAPK)が含まれる。本発明の化合物の調節活性(アゴニスト又はアンタゴニスト)を規定するためにアッセイされるであろうエフェクター分子の他の例はSimsら、2002;及びKashiwamuraら、2002に記載されている。
【0086】
本発明の上記アッセイ法の1以上の態様では、相互作用タンパク質の一方又は両方の非複合体から複合体を容易に分離するため、及びアッセイの自動化に対応するために、IL−1、IL−1R、IL−1RacP、又は本発明の相互作用ペプチド若しくはペプチド模倣薬を固定することが望ましい。候補化合物の存在下及び非存在下における試験化合物のIL−1Rタンパク質への結合、又はIL−1Rタンパク質と標的分子(例えばIL−1RacP)との相互作用は、反応物質を含有するのに好適な容器中で達成することができる。そのような容器の例には、マイクロタイタープレート、試験管、及びマイクロ遠心管が含まれる。1つの態様では、タンパク質の一方又は両方をマトリックスに結合させるドメインを追加する融合タンパク質を提供することができる。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/IL−1R融合タンパク質、又はグルタチオン−S−トランスフェラーゼ/IL−1RacP融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(シグマ化学、セントルイス、ミズーリ州)、又はグルタチオン被覆マイクロタイタープレートに吸着させることができる。次に、それらを、試験化合物、及び非吸着標的タンパク質又はIL−1Rタンパク質と組み合わせ、複合体形成を誘導する条件下(例えば塩及びpHに関し生理的条件)で混合物をインキュベーションする。インキュベーション後、ビーズ又はマイクロタイタープレートのウェルを洗浄して未結合成分を除去し、例えば上記のようにして複合体形成を直接的又は間接的に測定する。あるいは、複合体をマトリックスから解離させ、IL−1Rの結合レベル又は活性レベルを標準技術を用いて測定することができる。
【0087】
タンパク質をマトリックスに固定するための他の技術(当該技術分野で周知である)を本発明のスクリーニングアッセイに用いることもできる。例えば、IL−1Rタンパク質又はIL−1R相互作用分子(例えばIL−1、IL−1RacP)を、ビオチンとストレプトアビジンとの結合を用いて固定することができる。ビオチン化IL−1Rタンパク質又はIL−1R相互作用分子は、ビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から、当該技術分野に公知の技術(例えばビオチン化キット、Pierce Chemicals、ロックフォード、イリノイ州)を用いて調製し、ストレプトアビジンを被覆した96ウェルプレート(Pierce Chemical)のウェルに固定することができる。あるいは、IL−1Rタンパク質又はIL−1R相互作用分子と反応するが、IL−1Rタンパク質のIL−1R相互作用分子への結合は妨げない抗体をプレートのウェルに被覆し、未結合の標的又はIL−1Rタンパク質を抗体結合によってウェルに捕捉することができる。GST固定化複合体に関して上記したものに加えて、そのような複合体の検出法には、IL−1Rタンパク質又は標的分子に反応する抗体、及びIL−1R又はIL−1R相互作用分子に関連した酵素活性の検出に依拠する酵素結合アッセイを用いた複合体の免疫検出が含まれる。
【0088】
本明細書に記載し、例示したようなin vivo実験モデルは、in vitroアッセイの実施に用いることもできることが理解されるであろう。
in vitroアッセイ
1つの態様では、IL−1受容体の細胞増殖調整能の活性化能又は阻害能に関し、3H−チミジン取り込み法で候補ペプチドを試験する。更に他の態様では、IL−1受容体の細胞増殖調整能の活性化能又は阻害能に関し、例えば(Bakerら、1995;Cheviron、Grillonら、1996);(Elliottら、1999;Huら、1999)に記載のアッセイを用いて候補ペプチドを試験する。
【0089】
他の態様では、IL−1R若しくはその部分、又はIL−1R/IL−1RacP経路の上流若しくは下流の標的タンパク質のリン酸化状態の調整能に関し、例えばin vitroキナーゼアッセイを用いて候補ペプチドを試験する。
【0090】
他の態様では、PGE2レベル、IL−6若しくはコラーゲナーゼの発現、又は軟骨細胞及び線維芽細胞などのIL−IR/IL−1RacP発現細胞においてIL−1刺激後に修飾されるレベルを有する他の分子に関し、IL−1Rを標的とする候補ペプチドを試験する。
【0091】
in vivoアッセイ
上記アッセイは、更に開発するための有望なリード化合物を検出するための初期又は1次スクリーニングとして用いることができる:リードペプチドは、追加の、異なるスクリーニングで更に評価されるであろう。したがって、本発明は、これらの受容体を発現する哺乳動物細胞株又は他のアッセイを利用したさまざまなアッセイを包含し得る2次IL−1Rスクリーニングも包含する。
【0092】
3級スクリーニングは、臨床症状に関する動物モデルにおいて同定した阻害剤の試験を包含することができる。したがって、本明細書に記載したようにして、ラット又はマウスのような適切な動物モデルにおいて同定された物質(ペプチド又はペプチド模倣薬)を更に使用することは本発明の範囲内である。例えば、ペプチドを動物モデルに用いて、そのような物質による処理の有効性、毒性、又は副作用を決定することができる。あるいは、本明細書に記載したようにして同定した物質を動物モデルに用いて、そのような物質の作用機序を決定することができる。更に、本発明は、明細書に記載のように、処置(例えば、IL−1受容体の脱制御又は機能不良に関連したさまざまな種類の障害の処置)に関する上記スクリーニングアッセイで同定された新規物質の使用に関係する。そのようなアッセイに使用できる非限定的な動物モデルには、コラーゲンで誘発されたラット関節炎、急性IBDの動物モデル、免疫抑制マウスにおける腫瘍増殖、新生児マウスの気道の感作、及びトランスジェニック動物を含めた他の公知の動物モデルが含まれる。
【0093】
II. ペプチドの調製
本発明のペプチド又はペプチド誘導体は、合成技術(例えば排他的固相合成、部分的固相合成、フラグメント縮合、古典的液相合成)及び組換え技術を含めた、当該技術分野に熟練した者に公知のペプチド合成法によって得られる。例えば、ペプチド又はペプチド誘導体は、手短にはC末端アミノ酸のカルボキシル基を樹脂(例えばベンズヒドリルアミン樹脂、クロロメチル化樹脂、ヒドロキシメチル樹脂)にカップリングさせ、続いてN−α保護アミノ酸を加えることから成る固相ペプチド合成によって得ることができる。保護基は当該技術分野に公知の如何なる基でもよい。個々の新たなアミノ酸を伸びている鎖に加える前に、鎖に加えた前のアミノ酸の保護基を除去する。そのような固相合成は、例えば、Merrifield、1964、J.Am.Chem.Soc.85:2149;Valeら;1981、Science、213:1394−1397によって、そして米国特許第4,305,872号及び第4,316,891号、Bodonskyら、1966、Chem.Ind.(ロンドン)、38:1597;Pietta及びMarshall、1970、Chem.Comm.650に記載されている。アミノ酸の適切な樹脂へのカップリングも当該技術分野に周知であり、米国特許第4,244,946号に記載されている。(Houver−Weyl、『有機化学法』、Vol.E22a、「ペプチドとペプチド模倣薬の合成」、Murray Goodman、編集長、Thieme、Stuttgart、ニューヨーク、2002に概説されている)。
【0094】
本発明の化合物の調製工程のあいだ、関係する分子上の感受性反応基を保護することは必要及び/又は望ましいかもしれない。これは、『有機合成における保護基』、T.W.Greene&P.G.M.Wuts、1991、John Wiley and Sons、ニューヨーク;並びに『ペプチド:化学と生物学』、Sewald及びJakubke、2002、Wiley−VCH、Wheinheim、p.142に記載のような慣用の保護基によって達成することができる。例えば、αアミノ保護基には、アシル型保護基(例えばトリフルオロアセチル、ホルミル、アセチル)、脂肪族ウレタン型保護基(例えばt−ブチルオキシカルボニル(BOC)、シクロヘキシルオキシカルボニル)、芳香族ウレタン型保護基(例えばフルオレニル−9−メトキシ−カルボニル(Fmoc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、Cbz誘導体)、及びアルキル型保護基(例えばトリフェニルメチル、ベンジル)が含まれる。アミノ酸側鎖の保護基には、ベンジル(Thr及びSer用)、Cbz(Tyr、Thr、Ser、Arg、Lys)、メチル エチル、シクロヘキシル(Asp、His)、Boc(Arg、His、Cys)などが含まれる。保護基は、都合のよいその後の段階で、当該技術分野に公知の方法を用いて除去することができる。
【0095】
1つの態様では、アナログ及び他の修飾変異体を含めた本発明のペプチドは、通常、FMOCプロトコールにしたがい、保護基を用いて有機相で合成することができる。それらは、HPLCを用いて、C18カラムで、10〜60%のアセトニトリル濃度勾配で溶出させて、収率70%で精製することができる。次に、分子量を質量分析(Fields,G.B.『固相ペプチド合成』、Methods in Enzymology、第289巻、Academic Press、1997に概説されている)で確認することができる。
【0096】
あるいは、遺伝的にコードされたアミノ酸から成る本発明のペプチドは、ペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を用いて組換えシステムで調製することができる。本発明のペプチドは、1より多い上記修飾を同一ペプチド内に含有できることが理解される。本発明のペプチド又はその誘導体の医薬的に許容可能な塩複合体も本発明に包含される。
【0097】
合成したペプチド又はペプチド誘導体の精製は、クロマトグラフィ(例えばイオン交換、サイズ排除、親和性)、遠心、沈殿、又はペプチド及びペプチド誘導体を精製するための標準技術を含めた標準法によって行う。1つの態様では、薄層クロマトグラフィを使用する。他の態様では、逆相HPLCを使用する。当該技術分野に周知で、ペプチドの単離及び精製に好適な他の精製技術を本発明に用いてもよい。
【0098】
本発明による化合物の調製工程が立体異性体の混合物を生じさせる場合、これらの異性体は、分取クロマトグラフィなどの慣用技術によって分離することができる。化合物は、ラセミ体で調製することができ、あるいはエナンチオ特異的合成又は分割によって個々のエナンチオマーを調製することもできる。化合物は、例えば、光学活性酸との塩形成後、分別再結晶及び遊離塩基の再生によってジアステレオ異性体対を形成するなどの標準技術によってエナンチオマー成分に分割することができる。化合物は、ジアステレオマーのエステル又はアミドを形成した後、キラル補助基を除去することによって分割することもできる。あるいは、化合物は、キラルHPLCカラムを用いて分割することができる。
【0099】
III. ペプチド誘導体とペプチド模倣薬
天然アミノ酸のみから成るペプチドに加えて、ペプチド模倣薬又はペプチドアナログも本発明に包含される。ペプチドアナログは医薬産業において、鋳型ペプチドと類似した特性を有する非ペプチド薬として一般に用いられている。非ペプチド化合物の類型は、「ペプチド模倣体」又はペプチド模倣薬と呼ばれている(Fauchere,J.1986、Adv.Drug Res.15:29;Evansら、1987、J.Med.Chem.30:1229)。治療的に有用なペプチドと構造的に関連したペプチド模倣体は、同等の若しくは増強された治療効果又は予防効果を生ずるために用いることができる。一般に、ペプチド模倣薬は、天然受容体結合ポリペプチドのようなパラダイムポリペプチドと構造的に類似する(即ち、生物活性又は薬理活性を有するポリペプチド)が、当該技術分野に周知の方法で場合により−CH2NH−、−CH2S−、−CH2−CH2−、−CH=CH−(シス及びトランス)、−CH2SO−、−CH(OH)CH2−、−COCH2−などのような結合によって置換された1以上のペプチド結合を有する(Spatola A.F.、ペプチド骨格修飾、Vega Data、March 1983、1(3):267;Spatolaら、Life Sci.、1986、38:1243−1249;Hudson D.ら、Int.J.Pept.Res.1979、14:177−185;Weinstein.B.、1983、『アミノ酸、ペプチド、及びタンパク質の化学と生化学』、Weinstein監修、Marcel Dekker、ニューヨーク)。そのようなペプチド模倣体は、天然ポリペプチドよりも、経済的生産向上、化学的安定性の増加、薬理特性(例えば、半減期、吸収、効能、効率など)の増大、抗原性の減少などを含めた顕著な利点を有するかもしれない。
【0100】
ペプチドは野生型IL−1のin vitro阻害に有効であるが、それらのin vivo有効性はプロテアーゼの存在により弱められるであろう。血清プロテアーゼには特異的基質要求性がある。基質は、L−アミノ酸と、切断のためのペプチド結合とを有する必要がある。更に、血清プロテアーゼ活性の最も顕著な成分を表すエクソペプチダーゼは、ペプチドの最初のペプチド結合に通常作用し、遊離N末端を必要とする(Powellら、1993)。これを考慮すると、ペプチドアナログ又は誘導体とも呼ばれる修飾型ペプチドを使用することは有益であることが多い。修飾ペプチドは、IL−1に関して生物活性を付与するオリジナルL−アミノ酸ペプチドの構造特性を保持するが、有利にも、プロテアーゼ及び/又はエクソペプチダーゼによって容易に切断されない。
【0101】
保存配列の1以上のアミノ酸の、同種のD−アミノ酸による体系的な置換(例えばL−リジンの代わりにD−リジン)を用いて、より安定なペプチドを作製することができる。したがって、本発明のペプチド誘導体又はペプチド模倣薬は、全てL、全てD、又はD、Lを混合したペプチドでもよい。好ましい態様では、ペプチドは全てD−アミノ酸から成る。D−アミノ酸のN末端又はC末端の存在は、ペプチダーゼはD−アミノ酸を基質として使用できないため、ペプチドのin vivo安定性を高める(Powellら、1993)。逆D−ペプチドは、L−アミノ酸を含有するペプチドに対して逆配列に配置された、D−アミノ酸を含有するペプチドである。したがって、L−アミノ酸ペプチドのC末端残基は、D−アミノ酸ペプチドのN末端になる、などである。逆D−ペプチドは、L−アミノ酸ペプチドと同一の3次構造を保持し、したがって同一活性を保持するが、酵素分解に対してin vitro及びin vivoでより安定であるため、オリジナルペプチドよりも治療効果が大きい(Brady及びDodson 1994;Jamesonら、1994)。逆D−ペプチドに加えて、保存配列、又は実質的に同一の配列の変形を含む制約されたペプチドを、当該技術分野に周知の方法で、例えばペプチドを環化するジスルフィド結合を形成可能なシステイン残基を付加することによって作製することができる(Rizo et Gierasch、Ann.Rev.Biochem.、1992、61:387)。環状ペプチドには遊離のN末端もC末端もない。したがって、それらは当然エンドペプチダーゼの影響を受けやすいが、ペプチド末端を切断しないエクソペプチダーゼによるタンパク質分解を受けにくい。したがって、N末端又はC末端のD−アミノ酸を有するペプチド、及び環状ペプチドのアミノ酸配列は、それぞれ、N末端又はC末端のD−アミノ酸残基の存在、あるいはその環状構造以外は、対応するペプチドの配列と通常同一である。
【0102】
分子間ジスルフィド結合を含有する環状誘導体は、慣用の固相合成法で、アミノ末端及びカルボキシ末端のような環化のために選択された位置に好適なS−保護システイン又はホモシステイン残基を組み込みながら調製することができる(SahMら、1996、J.Pharm.Pharmacol.48:197)。鎖の組み立てが終了した後、(1)S−保護基を選択的に除去し、その結果、対応する2つの遊離SH−官能基を支持体上で酸化させてS−S結合を形成し、その後、支持体から産物を簡便に除去し、適切な精製手順を実施することによって;又は、(2)側鎖の完全な脱保護とともに支持体からペプチドを除去し、その後、高度に希釈した水溶液中で遊離のSH−官能基を酸化することによって環化を行うことができる。
【0103】
分子内アミド結合を含有する環状誘導体は、慣用の固相合成法で、環化のために選択された位置に好適なアミノ及びカルボキシ側鎖が保護されたアミノ酸誘導体を組み込みながら調製することができる。分子内−S−アルキル結合を含有する環状誘導体は、慣用の固相合成法で、環化のために選択された位置に好適なアミノ−保護側鎖と好適なS−保護システイン又はホモシステイン残基を有するアミノ酸残基を組み込みながら調製することができる。
【0104】
ペプチドの部分配列の天然アミノ酸を非天然アミノ酸に置換することで、タンパク質分解に対する耐性を付与することもできる。そのような置換は、例えば、N末端に作用するエクソペプチダーゼによるタンパク質分解に対する耐性を付与することができる。そのような置換は記載されており、これらの置換は生物活性に影響を及ぼさない。非天然アミノ酸の例には、α,α−2置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸、C−α−メチルアミノ酸、及びβ−メチルアミノ酸が含まれる。本発明において有用なアミノ酸アナログには、限定されるものではないが、β−アラニン、ノルバリン、ノルロイシン、4−アミノ酪酸、オルニチン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、シクロヘキシルアラニン、2−アミノイソ酪酸、6−アミノヘキサン酸、t−ブチルグリシン、フェニルグリシン、o−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、及び他の特殊なアミノ酸を含めることができる。更に、非天然アミノ酸を用いたペプチド合成は、当該技術分野において日常的な公知のものである。
【0105】
ペプチドのN末端又はC末端残基に作用するペプチダーゼに対する耐性を付与するための他の有効なアプローチの1つは、改変ペプチドがもはやペプチダーゼの基質ではなくなるようにペプチド末端に化学基を付加することである。そのような化学修飾の1つは、1端又は両端のペプチドのグリコシル化である。特定の化学修飾、特にN末端グリコシル化は、ヒト血清ペプチドの安定性を増加させることが知られている(Powellら、1993)。血清安定性を高める他の化学修飾には、限定されるものではないが、アセチル基などの炭素数1〜20の低級アルキルから成るN−末端アルキル基の付加、及び/又はC−末端アミド若しくは置換アミド基の付加が含まれる。特に、本発明には、N−末端アセチル基及び/又はC末端アミド基を有するペプチドから成る改変ペプチドが含まれる。
【0106】
通常ペプチドの部分ではない追加の化学部分を含有する他の種類のペプチド誘導体も、誘導体がペプチドの所望の機能活性を保持する限り本発明に含まれる。そのような誘導体の例には、(i)アミノ末端又は他の遊離アミノ基のN−アシル誘導体、ここで、アシル基はアルカノイル基(例えばアセチル、ヘキサノイル、オクタノイル)、アロイル基(例えばベンゾイル)、又はF−moc(フルオレニルメチル−O−CO−)などの保護基であり得る;(ii)カルボキシ末端又は他の遊離カルボキシ基又はヒドロキシル基のエステル;(iii)アンモニア又は好適なアミンとの反応により作製されるカルボキシ末端又は他の遊離カルボキシル基のアミド;(iv)リン酸化誘導体;(v)抗体又は他の生体リガンドに結合した誘導体、及び他の種類の誘導体が含まれる。
【0107】
余分のアミノ酸残基を本発明のペプチドに付加することで生ずる長いペプチド配列は、それらは上記ペプチドと同一の生物活性(IL−1受容体の阻害活性)を有するはずであるため、本発明に包含される。相当数の追加のアミノ酸を有するペプチドは除外するが、大きなポリペプチドには、有効な配列をつくってIL−1Rへの結合を妨げる立体配置を想定し得るものもあることが理解されるであろう。これらの誘導体は、競合的アンタゴニストとして作用し、本発明から除外される。したがって、本発明は延長鎖を有するペプチド又は誘導体を包含するが、そのように長いペプチドは、ペプチド又は誘導体の調節活性を破壊しないように選択する必要がある。
【0108】
本発明に包含される他の誘導体は、直接的に又はスペーサーを介して、例えばアラニン残基の短いストレッチによって、又は推定タンパク質分解部位によって(例えばカテプシンによって、米国特許第5,126,249号及び欧州特許第495,049号を参照されたい)、互いに共有結合的に連結した本発明の2つの同一又は異なるペプチドから成る2重ペプチドである。本発明のペプチドのマルチマーは、同一若しくは異なるペプチド又はその誘導体から形成される分子のポリマーから成る。
【0109】
他の態様では、本発明のペプチド誘導体は、そのアミノ末端若しくはカルボキシ末端で又は両方で異なるタンパク質のアミノ酸配列に連結した、本発明のペプチド若しくはその断片を含むキメラ又は融合タンパク質である。そのようなキメラ又は融合タンパク質は、タンパク質をコードする核酸の組換え発現によって作製することができる。1つの態様では、そのようなキメラ又は融合タンパク質は、本発明のペプチドの少なくとも6アミノ酸を含有し、本発明のペプチドと同等又はそれより大きい機能活性を有する。
【0110】
本発明のペプチド誘導体は、所望により機能的に同等な分子、又は機能的に増強されたか若しくは弱められた分子を提供する置換、付加、又は欠失によりアミノ酸配列を変えることで作製することができる。本発明の誘導体には、限定されるものではないが、配列内の同等物が機能的に同等なアミノ酸残基に置換された改変配列を含めた本発明のポリペプチドのアミノ酸配列の全部又は一部を1次アミノ酸配列として含有するものが含まれる。例えば、配列内の1以上のアミノ酸残基を、機能的同等物として作用する、極性が類似する他のアミノ酸で置換することができ、サイレント変化を生ずる。配列内のアミノ酸の置換は、そのアミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択することができる。例えば、正に荷電した(塩基性)アミノ酸には、アルギニン、リジン、及びヒスチジンが含まれる。非極性(疎水性)アミノ酸には、ロイシン、イソロイシン、アラニン、フェニルアラニン、バリン、プロリン、トリプトファン、及びメチオニンが含まれる。非荷電極性アミノ酸には、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、及びグルタミンが含まれる。負に荷電した(酸性)アミノ酸には、グルタミン酸及びアスパラギン酸が含まれる。アミノ酸のグリシンは、非極性アミノ酸ファミリーに含まれることもあれば、非荷電(中性)極性アミノ酸ファミリーに含まれることもある。アミノ酸ファミリー内でなされる置換は、通常、保存的置換であることが理解される。
【0111】
本発明の1つの具体的態様では、アンタゴニストペプチドは、配列TTI−101.140、TTI−101.141、TTI−101.125、TTI−101.110、TTI−101.111、TTI−101.136、及びTTI−101.143を含む。
【0112】
IV. ペプチド模倣薬を同定するためのアッセイ
上記のように、本発明の方法で同定されたペプチドの骨格配置とファーマコフォアの呈示(ペプチド模倣薬)を複製するように作製された非ペプチジル化合物は、代謝安定性が高く、効能が高く、作用期間が長く、そしてバイオアベイラビリティがよいという特質を有することが多い。
【0113】
本発明のペプチド模倣薬化合物は、生物学的ライブラリー;空間的にアドレス可能なパラレル固相又は液相ライブラリー;デコンボリューションを必要とする合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;及び親和性クロマトグラフィ選択を用いた合成ライブラリー法を含めた当該技術分野に公知のコンビナトリアルライブラリー法における数多くのアプローチを用いて得ることができる。生物学的ライブラリーアプローチは、ペプチドライブラリーに限定されるが、他の4つのアプローチは、化合物のペプチド、非ペプチドオリゴマー、又は小分子のライブラリーに応用可能である(Lam、Anticancer Drug Des.12:145、1997)。分子ライブラリーの合成方法の例は、当該技術分野において、例えば:DeWittら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA.90:6909;Erbら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11422;Zuckermannら(1994)J.Med.Chem.37:2678;Choら(1993)Science 261:1303;Carellら(1994)Angew.Chem、Int.Ed Engl.33:2059;及び同文献2061;並びにGallopら(1994)Med.Chem.37:1233に見出すことができる。化合物のライブラリーは、溶液(例えばHoughten(1992)Biotechniques 13:412−421)、又はビーズ(Lam(1991)Nature 354;82−84)、チップ(Fodor(1993)Nature 364;555−556)、細菌若しくは胞子(Ladner、米国特許第5,223,409号)、プラスミド(Cullら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1865−1869)、又はファージ(Scott及びSmith(1990);Science 249:386−390)で提供することができる。分子ライブラリーの合成方法の例は、当該技術分野において、例えば:DeWittら(1993)上記;Erbら(1994)上記;Zuckermanら(1994)上記;Choら(1993)上記;Carrellら(1994)上記に見出すことができ、又は適切な基質による生成物への変換を測定することによって検出されるルシフェラーゼ、及び酵素標識であることができる。
【0114】
いったん本発明のペプチドを同定すれば、限定されるものではないが、示差溶解度(即ち沈殿)、遠心、クロマトグラフィ(親和性、イオン交換、サイズ排除など)、又はペプチド、ペプチド模倣薬、又はタンパク質の精製に用いられる他の標準技術を含めた多くの標準法で単離・精製することができる。同定された目的ペプチドの機能特性は、当該技術分野に公知の機能アッセイを用いて評価することができる。1つの態様では、細胞内シグナル伝達における下流受容体機能を評価するためのアッセイが用いられる(例えばPGE2合成)。
【0115】
1つの態様では、本発明のペプチド模倣化合物は、以下の3相工程で得られる:1)本発明のペプチドをスキャニングしてIL−1受容体の認識とそれに対する活性に必要な2次構造領域を同定すること;2)配座固定されたジペプチド代用物を用いて骨格配置を絞り込み、これらの代用物に対応する有機プラットホームを提供すること;そして3)最高の有機プラットホームを用いて、天然ペプチドの所望の活性を最小にするようにデザインされた候補のライブラリーにおいて有機ファーマコフォアを呈示すること。より詳細には、3相は以下の通りである。第1相では、リードペプチドをスキャンしてそれらの構造を短くし、活性に対する要求を同定すること。オリジナルに対する一連のペプチドアナログを合成する。第2相では、配座固定されたジペプチド代用物を用いて最高のペプチドアナログを調査する。インドリジジン−2−オン、インドリジジン−9−オン、及びキノリジジノンアミノ酸(それぞれI2aa、I9aa、及びQaa)を最高のペプチド候補の骨格配置を試験するためのプラットホームとして用いる。これら及び関連するプラットホーム(Halab,Li;Gosselin,F;Lubell,WD;Biopolymers(Peptide Science)Vol.55、101−122、2000;Hanessian,S.J.、McNaughton−Smith G;Lombart,H−G.;Lubell,W.D.、Tetrahedron、Vol.53、12789−12854、1997に概説されている)は、ファーマコフォアを異なる方向に向けるためにペプチドの特定領域に組み込むことができる。これらのアナログの生物学的評価により、活性に対する幾何学的要求を最小にする改良されたリードを同定する。第3相では、最も活性なリード由来のプラットホームを用いて、天然ペプチドの活性に関与するファーマコフォアの有機代用物を呈示する。平行合成形式でファーマコフォアと骨格とを組み合わせる。当然ながら、ペプチドの誘導ひいてはさまざまな相は、当該技術分野に公知の他の手段及び方法によって行うことができる。
【0116】
本発明のペプチド、ペプチド誘導体、ペプチド模倣薬、又は他の小分子から決定された構造機能関係を用いて同様の又はより良い特性を有する類似の分子構造を絞り込み、調製することができる。したがって、具体的に開示したものに加えて、本明細書に例示した特定の態様の構造、極性、電荷の特徴、及び側鎖特性を共有する分子も本発明の範囲内である。
【0117】
結論として、本発明のペプチド、ペプチド誘導体、ペプチド模倣薬、又は他の小分子は機能的に活性である(即ち、本発明のペプチドに関連した1以上の同定された機能活性を発揮可能である)。例えば、所望の特性(例えばIL−1RacPのタンパク質パートナー又はリガンドへの結合)を阻害するそのようなペプチド、ペプチド誘導体、ペプチド模倣薬、又はアナログは、そのような特性及びその生理的に関連するものの阻害剤として用いることができる。ペプチド、誘導体、ペプチド模倣薬、又は本発明のペプチドアナログは、当該技術分野において公知の機能アッセイ(例えばPGE2合成)によって、IL−1R/IL−1RacP受容体を介した細胞内シグナル伝達の阻害に関して試験することができる。
【0118】
V. 医薬組成物
本発明は、本発明のペプチド、ペプチド誘導体、及びペプチド模倣薬との相互作用を介したIL−1受容体活性の阻害方法に関するものである。動物の数多くの経路及び病態におけるIL−1及び/又はIL−1R/IL1RacP受容体機能の重要性に鑑みると、本発明のペプチド、ペプチド誘導体、及びペプチド模倣薬は、IL−1反応(例えばIL−1過剰発現又はIL−1R/IL1−RacPを介した異常なシグナル伝達)に関連した病態又は疾患の治療に有用である。
【0119】
したがって、本発明の方法は、それを必要とする被験者又はそれを必要とする危険性のある被験者に、有効量のペプチド、ペプチド誘導体、若しくはペプチド模倣薬、又はペプチド、ペプチド誘導体、若しくはペプチド模倣薬を含む組成物を投与し、IL−1R/RacP生物活性を阻害することを含む。1つの態様では、ペプチド又はそのペプチド誘導体と、好適な医薬担体とを含む有効量の治療用組成物を被験者に投与し、IL−1R/IL−1RacP生物活性を阻害し、IL−1R/IL−1RacPを介した異常なシグナル伝達(例えばIL−1/IL−1RacPリガンドの過剰産生を介した、又は構成的に活性な受容体若しくは他の欠陥を介したIL−I/IL−1RacP受容体の過剰刺激)に関連した症状を予防、改善するか、又は障害、疾患、若しくは病態を治療する。1つの態様では、被験者は動物である。他の態様では、被験者は哺乳動物であり、好ましくはヒトである。
【0120】
本発明のペプチド、ペプチド誘導体、及びペプチド模薬は、IL−1R/IL−1RacP生物活性の阻害が有益である病態又は障害の症状の治療、予防、又は改善に有用である。本発明のペプチド、ペプチド誘導体、又はペプチド模倣薬が有益であり得る疾患、病態、又は障害には、限定されるものではないが、以下の例が含まれる:関節リウマチ、炎症性大腸炎のような慢性及び急性の炎症性疾患、敗血症、変形性関節症、乾癬、脳炎、糸球体腎炎、呼吸窮迫症候群、及びライター症候群。他の病態には、全身性エリテマトーデス、強皮症、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性関節疾患、ある種の白血病の悪液質、アルツハイマー病、数多くの種類のがん、若年型糖尿病、肺高血圧症、卒中、脳室周囲白血球減少症、及び髄膜炎が含まれる。
【0121】
本発明の範囲内の組成物は、活性物質(例えばペプチド、ペプチド誘導体、又はペプチド模倣薬)を、不都合な副作用を回避しながら所望の治療効果を達成するのに有効な量で含有する必要がある。活性物質の医薬的に許容可能な製剤及び塩は本発明の範囲内であり、当該技術分野において周知である。ポリペプチドアンタゴニストなどを投与するには、不都合な副作用を回避するように投与量を選択する必要がある。具体的な疾患、障害、又は病態の治療に有効な治療用組成物又は医薬組成物の量は、疾患の性質及び重篤度、作用の標的部位、患者の体重、患者の特別食、最近用いた投薬、投与経路、及び当該技術分野に熟練した者に認識される他の要因に依存するであろう。用量は、疾患の程度及び患者に由来するさまざまなパラメータのような慣例的要因にしたがい、臨床医によって適合されるであろう。典型的には、0.001〜100mg/kg/日が被験者に投与されるであろう。有効用量は、in vitro又は動物モデルの試験系に由来する用量反応曲線から推定することができる。例えば、ラットの研究から得られたデータに基づいてヒトに対する有効なmg/kg用量を得るには、ラットの有効なmg/kg用量を6で割る。
【0122】
さまざまな送達システムが公知であり、本発明のペプチド、ペプチド誘導体、又はペプチド模倣薬、又は医薬組成物の投与に用いることができる。本発明の医薬組成物は、静脈内若しくは筋肉内注射、脳室内若しくは髄膜注射(中枢神経系投与のため)、経口、局所、皮下、結膜下、経鼻、皮内、舌下、経膣、直腸内、又は硬膜外経路を含めた好適な経路で投与することができる。
【0123】
当該技術分野において周知の他の送達システムを用いて、例えば水溶液、マイクロ粒子への封入、又はマイクロカプセルを介して、本発明の医薬組成物を送達することができる。
【0124】
更に他の態様では、本発明の医薬組成物は、制御放出システムで送達することができる。1つの態様では、ポリマー材料を用いることができる(Smolen及びBall、『制御された薬物バイオアベイラビリティ、製剤のデザインと性能』、1984、John Wiley&Sons;Ranade及びHollinger、『薬物送達システム、薬理学と毒物学シリーズ』、2003、第2版、CRRC出版を参照されたい)。他の態様では、ポンプを用いることができる(Saudekら、1989、N.Engl.J.Med.321:574)。
【0125】
本発明の化合物は、化合物分子がそれにカップリングした個別の担体としてモノクローナル抗体を使用することによって送達することもできる。本発明の化合物は、薬物の制御放出を達成するのに有用な生分解性ポリマーのクラスにカップリングさせることもでき、非限定的な例には:ポリ乳酸、ポリオルトエステル、架橋した両親媒性ブロックコポリマー及びヒドロゲル、ポリヒドロキシ酪酸及びポリジヒドロピランが含まれる。
【0126】
上記のように、本発明の医薬組成物は、ペプチド、ペプチド誘導体、又はペプチド模倣薬を、医薬的に許容可能な担体と組み合わせて含む。担体という用語は、ペプチド、ペプチド誘導体、又はペプチド模倣薬と一緒に投与する希釈剤、補助剤、充填剤又は結合剤などの賦形剤、崩壊剤、滑剤、シリカ フローコンディショナー、安定化剤、又はビヒクルを表す。そのような医薬担体には、水、又は鉱油、植物油(例えばピーナッツ油、ダイズ油、ゴマ油、ナタネ油)、動物油、若しくは合成油を含めたオイルのような滅菌液が含まれる。グリセロール及びデキストロース水溶液、並びに生理食塩水溶液を本発明の医薬組成物の液体担体として用いることもできる。当然ながら、担体の選択は、ペプチド、ペプチド誘導体、又はペプチド模倣薬の性質、その溶解度、及び他の生理的特性、並びに送達及び適用の標的部位に依存する。例えば、血液脳関門を浸透できる担体は、中枢神経系の疾患又は病態(例えば炎症)の症状の治療、予防、又は改善に用いられる。好適な医薬担体の例は、『レミントン:薬学の科学と実践』、Alfonso R.Gennaro、2003、第21版、Mack Publishing Companyに記載されている。
【0127】
更に、本発明の医薬製剤に組み込むことができる医薬的に好適な材料には、吸収促進剤、pH調製剤及び緩衝剤、浸透圧調製剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、界面活性剤、増粘剤、皮膚軟化剤、分散剤、香料、着色剤、並びに湿潤剤が含まれる。
【0128】
好適な医薬賦形剤の例には、水、グルコース、ショ糖、乳糖、グリコール、エタノール、モノステアリン酸グリセロール、ゼラチン、コメ、デンプン粉末、粉乳、ステアリン酸ナトリウム、モルト、塩化ナトリウムなどが含まれる。本発明の医薬組成物は、溶液、カプセル、錠剤、クリーム、ジェル、粉末、徐放性製剤などの形態を採ることができる。組成物は、トリグリセリドのような慣用の結合材及び担体とともに座剤として製剤化することができる(『レミントン:薬学の科学と実践』、Alfonso R.Gennaro、2003、第21版、Mack Publishing Companyを参照されたい)。そのような組成物は、被験者に正確に投与するための形態を提供するように、治療的に有効量の治療用組成物を、好適量の担体とともに含有する。製剤は、投与様式及び作用の標的部位(例えば具体的な臓器又は細胞種)に適するようにデザインされる。
【0129】
本発明の医薬組成物は、中性又は塩の形態で製剤化することができる。医薬的に許容可能な塩には、遊離アミノ基とともに形成するもの、及び遊離カルボキシル基と反応するものが含まれる。医薬産業において一般に用いられる非毒性のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アンモニウム、及びプロタミン亜鉛の塩が含まれ、当該技術分野に周知の方法で調整される。塩には、通常、本発明の化合物を好適な有機酸又は無機酸と反応させることによって調製される非毒性の酸付加塩も含まれる。代表的な塩には、臭化水素酸塩、塩酸塩、吉草酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、酢酸塩、リン酸塩、tysolate、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、ナプシル酸塩などが含まれる。
【0130】
本発明にしたがい使用できる充填剤又は結合剤の例には、アカシア、アルギン酸、リン酸カルシウム(2塩基性)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリン、デキストレート、ショ糖、チロース、α−デンプン、硫酸カルシウム、アミロース、グリシン、ベントナイト、マルトース、ソルビトール、エチルセルロース、リン酸水素2ナトリウム、リン酸2ナトリウム、ピロ亜硫酸2ナトリウム、ポリビニルアルコール、ゼラチン、グルコース、ガーゴム、液体グルコース、圧縮糖、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、マルトデキストリン、ポリエチレンオキシド、ポリメタクリル酸、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、トラガガント、微晶性セルロース、デンプン、及びゼインが含まれる。他の最も好ましい充填剤又は結合剤は、微晶性セルロースから成る。
【0131】
使用できる崩壊剤の例には、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース(低置換)、微晶性セルロース、粉末セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、メチルセルロース、ポラクリリンカリウム、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン、2亜硫酸2ナトリウム、エダタミル2ナトリウム、エデト酸2ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)2ナトリウム架橋ポリビニルピロリジン、α−デンプン、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、微晶性セルロースが含まれる。
【0132】
滑剤の例には、ステアリン酸カルシウム、ナタネ油、パルミトステアリン酸グリセリル、硬化植物油(I型)、酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸フマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、及びステアリン酸亜鉛、glyceryl behapate、ラウリル硫酸マグネシウム、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム/酢酸ナトリウム(混合)、DL−ロイシンが含まれる
シリカ フローコンディショナーの例には、コロイド状二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、及びガーゴムが含まれる。他の最も好適なシリカ フローコンディショナーは二酸化ケイ素から成る。
【0133】
安定化在の例には、アカシア、アルブミン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、ベントナイト、リン酸2カルシウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、コロイド状二酸化ケイ素、シクロデキストリン、モノステアリン酸グリセリン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、3ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、プロピレングリコール、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、カルナウバワックス、キサンタンゴム、デンプン、ステアリン酸塩、ステアリン酸、ステアリン酸モノグリセリド、及びステアリルアルコールが含まれる。
【0134】
本発明は、被験者にいったん投与すると、より安定な(即ち、いったん投与すると、未修飾型よりも半減期が長いか、又は有効期間が長い)ペプチド又はペプチド誘導体の修飾物も提供する。そのような修飾は、本発明が関連する分野に熟練した者に周知である(例え、PEG化としても知られるポリエチレングリコール誘導体化、マイクロカプセル化など)。
【0135】
本発明のIL−1R/IL−1RacPアンタゴニストは、単独で投与してもよいし、IL−1、IL−1R/IL−1RacPに関与する疾患又は病態の症状の治療、予防、又は改善に有用な他の活性物質と組み合わせて投与してもよい。したがって、本発明の組成物及び方法は、IL−1活性(例えば合成、放出及び/又はIL−1R/IL−1RacPへの結合)の調整能、又はIL−1関連疾患(例えば関節リウマチ及び炎症性大腸炎)の症状の軽減能を発揮する他の物質と組み合わせて用いることができる。そのような物質の例には、限定されるものではないが、抗リウマチ薬、例えばクロロキン、オーラノフィン(リドーラ(商標))、デキサメサゾン、金チオリンゴ酸ナトリウム、メトトレキセート(Leeら、1988、Proc.Int.Acad.Sci、85:1204を参照されたい)、プロブコール(Kuら、1988、Am.J.Cardiol.62:778を参照されたい)、ペントキシフィリン(例えばSullivanら、1988、Infect.Immun.56:1722)、ジスルフィラム(Marx、1988、Science、239:257を参照されたい)、抗酸化剤、例えばノルジヒドログアヤレト酸(Leeら、1988、Int J.Immunopharm.、10:385)、IL−1トラップ(例えば2003、Curr.Opin.Inv.Drugs、4(5):593−597を参照されたい)、アナキンラ(キネレット(商標)、PCT出願WO00/236152号)、レフルノミド、コルチコステロイド(メドロール(商標)、デルタゾン(商標)、Orasone(商標))、及び他の物質、例えばBender及びLee(1989)『医化学年報』、第20章:「IL−1の薬理学的調節」:185−193)に記載のものが含まれる。抗炎症薬、例えば非ステロイド抗炎症薬(NSAIDS、例えばロフェコキシブ(ビオックス(商標))、セレコキシブ(セレブレックス(商標))、バルデコキシブ(ベクストラ(商標))、アルピリン(商標)、アドビル(商標))、抗TNF−α薬(インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ)、コラーゲナーゼ阻害剤、その他のような他の薬物を本発明の化合物と組み合わせて用いることもできる。当然ながら、2以上のペプチド、誘導体、及びペプチド模倣体の組み合わせ、並びに1以上の薬物とそれらの組み合わせを、あらゆる組み合わせで用いることもできる(例えば、1以上のペプチドと1以上の模倣体、1以上の模倣体と1以上の誘導体、1以上のペプチドと1以上の薬物など)。
【0136】
本発明を以下の非限定的な実施例によって更に詳細に説明する。実施例は具体的な説明のためにのみ提供するのであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0137】
API−101ペプチドの効果
本発明の化合物及び方法の有効性の1例を、同定したペプチドAPI−101(配列番号1:APRYTVELA)を用いて得た結果によって表す。
【0138】
以下の実施例に記載した全てのペプチドは、保護基を有する有機相中の固相合成法のFMOCプロトコールにしたがい合成した。それらを、HPLCを用い、C18カラムにて、アセトニトリル濃度勾配10〜60%で溶離させて収率70%に精製した。質量分析によって分子量を検証した。当然ながら、上記のように、天然アミノ酸を用いる場合、当該技術分野に公知の遺伝子操作技術によって得ることができる。
【0139】
3H−チミジン取り込み法を用いて、ペプチドAPI−101(配列番号1)及びIL−1(10ng/ml)の存在下、A549がん細胞においてIL−1の増殖作用を測定した。IL−1β(10ng/ml)(37℃)で24時間刺激する前、A549細胞をさまざまな濃度のペプチドとプレインキュベーションした(45分間);IL−1βによる刺激の24時間前にウシ胎仔血清を除いて他の分裂促進剤の増殖作用を回避した。次に3H−チミジン(1μCi/ml)を24時間加え、その後、10%冷TCAで細胞を3回洗浄し、0.1N NaOH/0.1%Triton X−100で溶解させた。シンチレーションカウンターで放射活性を測定した。実験を2重で3回繰り返した。図1に見られるように、ペプチドは、IC50 10-6MでIL−1による増殖阻害を完全に無効にした。
【0140】
IL−1がプロスタグランジンE2(PGE2)の合成を内皮細胞及び/又は軟骨細胞においてin vitro誘導することは当該技術分野において周知である。したがって、ヒト軟骨細胞及びコブタ脳微小血管内皮細胞をペプチドAPI−101(10-6M)とともに45〜60分間、37℃でプレインキュベーションし、ヒトIL−1(10ng/ml)を増殖培地に加えた。24時間のインキュベーション後、増殖培地を除去して蒸発させた。市販のキット(Cederlane)を用いてRIAアッセイにてPGE2値を測定した。
【0141】
図2は、IL−1(10ng/ml)によって誘導されたPGE2合成が、10-6Mの濃度のAPI−101(配列番号1)で、IC50 10-6Mにて50%以上顕著に減少したことを示している(図3)。
【0142】
生体外特性
他の実験では、コブタ軟膜血管で血管運動性試験を行い、IL−1βの血管拡張作用に対するAPI−101(配列番号1)の具体的効果を更に評価した。
【0143】
脳血管に対する生体外血管運動反応を記載の通りに行った(Liら、1996;Houら、2000;Houら、2001;Houら、2003)。ヨークシャーコブタから脳を取り出した。軟膜血管を露出した皮質切片を、95%O2、5%CO2で平衡化し、37℃に維持したクレブスバッファー(pH7.4)を含有する20ml浴のワックス基剤に対して固定した。解剖顕微鏡に取り付けられたビデオカメラで微小血管を可視化し、記録した。デジタル画像解析機で血管径を測定した。プレ収縮剤U46619(10-7M)の局所投与前後に血管径を記録した。標本の安定化後、安定な血管拡張が検出されるまでリガンド(IL−1β、75ng/ml)を加えた。続いてペプチドを、10-10〜10-5Mのさまざまな濃度で加えた。先に記載された通りに血管拡張の逆転を可視化して測定した(Houら、2000;Houら、2001;Houら、2003);2匹の動物について3重測定を行った。
【0144】
図4からわかるように、API−101(配列番号1)は、IL−1β(75ng/ml)によって誘導された血管拡張をIC50 182nMにて防ぐことができた。
要約すれば、これらの結果は、IL−1R/IL−1Racp受容体を標的にすることで、API−101(配列番号1)はIL−1の生体反応の阻害に有効であったことを示している。
【実施例2】
【0145】
アラニンスキャンによって得たAPI−101誘導体の効果
API−101(配列番号1)アンタゴニストの顕著な効果を実証するために、API−101と誘導体に関する構造機能関係データを提供するための実験を行い、活性に関して最も重要な領域を同定した。したがって、アラニンスキャン変異をAPI−101(配列番号1)について行った(ペプチド配列に関しては図17を参照されたい)。当然ながら、アラニンの代わりに他のアミノ酸を用いてスキャン実験を行うこともできたであろう。
【0146】
In vitro特性
実施した変異に応じた結果の表の概要を図17に示す。
変異ペプチドの効率及び阻害活性をIL−1誘導性PGE2合成の阻害を測定することによって決定した(上記実施例1の実験プロトコールを参照されたい)。API−101.1(配列番号2)のみが親ペプチドAPI−101(配列番号1)と比較して内皮細胞及び軟骨細胞においてわずかに効率が上昇していた。一方、API−101.5(配列番号6)、−101.6(配列番号7)、及び−101.7(配列番号8)は両細胞種においてほとんど全ての活性を失っていた。このことは、標的としたVELA領域がペプチドの活性に重要であることを示唆している。図5は、このシリーズの最も有効なペプチドについてグラフ表示したものである。全てのペプチドは10-6Mの濃度で試験した。
【0147】
生体外特性
API−101のアラニンスキャンペプチドについても血管運動性試験を行った(実施例1の実験プロトコールを参照されたい)。図6は、API−101(配列番号1)、−101.1、−101.3、及び−101.6(それぞれ配列番号2、4、及び7)はいずれもIL−1β(75ng/ml)で誘導される血管拡張を逆転させ、そしてAPI−101.1(配列番号2)はAPI−101よりもわずかに阻害活性が上昇し、血管拡張を70%止めたことを示している。
【0148】
全体的に見て、変異も置換もペプチド誘導体の活性をAPI−101(配列番号1)より顕著に増加させなかったが、ペプチドの活性に重要な領域に関する情報が得られた。
【実施例3】
【0149】
API−101の更なる最適化による活性改善効果
活性を更に改善し、その活性に重要なAPI−101内の領域について得たアラニンスキャンの結論を評価するために、ペプチドのN末端アミノ酸を徐々に切断した。図7は、新たなペプチドの配列、及びAPI−101について採用した最適化の一般的パターンを示す
In vitro特性
IL−1βはヒト線維芽細胞の増殖を誘導する。3H−チミジン取り込みプロトコール(実施例1のプロトコールを参照されたい)を用いて、IL−1β誘導性WI−38(ヒト肺線維芽細胞)増殖に関し短鎖型ペプチドをアッセイした。
【0150】
IL−1R誘導性増殖の65%を止めるAPI−101(配列番号1)に対し、API−101.10(配列番号10)及びAPI−101.11(配列番号11)はIL−1β誘導性増殖を100%止める(図8)。
【0151】
API−101短鎖型誘導体についてもIL−1誘導性PGE2合成の測定を行った。図18は、さまざまなペプチドの効能及び効果の概要を示す。API−101.10(配列番号10)は最も有効で強力な短鎖型ペプチドであり、WI−38細胞及び内皮細胞に対するIC50が、API−101(790nM及び220nM)と比較して、0.2nM及び1.2nMであった。API−101.11(配列番号11)及び12(配列番号12)は効能及び効果が減少しており、アルギニンの後のペプチド切断はその効能及び効果に影響を及ぼすことを示していた。
【0152】
細胞障害性
API−101の最新誘導体の細胞障害性も2つの細胞種:WI−38及び脳微小血管内皮細胞について測定した。先に記載された通りに細胞生存率をアッセイした(Beauchampら、2001;Braultら、2003)。内皮細胞及び線維芽細胞をさまざまな濃度のペプチドとともに37℃で24時間インキュベーションした。MTT(3−[4,5−ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニル−テトラゾリウムブロミド)のPBS溶液を終濃度50μg/mlで増殖培地に加えた。細胞をMTTとともに37℃で2時間インキュベーションした。次に増殖培地を吸引し、イソプロパノール:1N HCl 24:1の溶液200μlを各ウェルに加えて細胞を溶解させた。生存細胞はMTT産物(ミトコンドリアを介して)をホルマザンと呼ばれる測定可能比色(青色)産物に変換する。ホルマザン産生(及び細胞生存率)を、溶解物100μlの光学密度を600nmで測定することによって決定した。
【0153】
図9に示すように、10-5Mペプチドに24時間曝したとき、細胞は毒性を示さなかった。
生体外特性
IL−1誘導性血管拡張に対するAPI−101.10(配列番号10)の効果を評価するため(in vitroで最高活性を示したペプチド)、血管運動性実験も行った(プロトコールについては実施例1を参照されたい)。API−101.10(配列番号10)は10.8nMで最高のIC50を示し、API−101(182nM)よりも100倍強力であった(図18)。ペプチド101.9(配列番号9)、101.11(配列番号11)、及び101.12(配列番号12)は、API−101(配列番号1)よりも良好なIC50を示した(図18及び図10)。図10のペプチドの濃度範囲は10-10M〜10-5Mであった。したがって、生体外実験では、API−101.11(配列番号11)及びAPI−101.12(配列番号12)が親ペプチドと比較して顕著に改善された阻害活性を示した。
【0154】
in vivo特性
IL−1R/IL−1RacPペプチドアンタゴニストの全身作用
誘導体を頚部又は直接胃に注射することによって天然リガンドの生理作用をin vivoで逆転できるかどうか評価するため(消化管を介したペプチドの安定性を証明するため)、API−101誘導体のAPI−101.10(配列番号10)(及びその他)を試験した。スプラーグ・ドーリーラット(300g)をイソフルラン(2.5〜4%)で麻酔した。天然リガンド(IL−1β)又はビヒクル(生理食塩水)を頚静脈から注射した(5μg/kg)。その後のPGE2測定のために、各注射の前及び10分後に頚動脈から採血した。頚静脈又は直接胃にペプチドを投与した(IC50値に基づいた用量、及び細胞外空間と同等な分布量)(静脈内(iv)で用いた5回用量)。動脈圧及び心拍数を持続的にモニターし(Gould)、一方、日常的な解析で体温及び血液ガス(Radiometer)を先に記載された通りに測定した(Liら、1997;Hardyら、1999;Najarianら、2000)。実験は3回繰り返した。
【0155】
上記方法のいずれかでラットに投与したとき、IL−1β誘導性の重篤な低血圧を観察した。以下のペプチドは、低血圧をin vivoで防ぐことができる例示アンタゴニストを構成する:
1. API−101.10(配列番号10):IL−1βの注射後(5μg/kg)に頚部注射によって投与した場合、10-8Mの濃度で低血圧を95%防いだ(即ち、IL−1誘導性低血圧を和らげた)。API−101.9(配列番号9)のような他の誘導体も、このIL−1βの生体作用を防いだが、生理食塩水対照(図11A)よりも顕著に良好であったものの、ペプチドAPI−101.10(配列番号10)、101.101(配列番号13)、又はペプチド模倣薬101.109、101.111、及び11.112(図20)よりも効果が小さかった。これは、ペプチドが動物においてIL−1βの効果を逆転させることによってin vivoで血圧上昇効果を有することを明確に立証している。
2. 10-5Mの濃度で胃に直接投与した場合、ペプチドはIL−1βによる低血圧を60%減少させた。この結果は、101.10(配列番号10)ペプチドの腸内投与がIL−1β誘導性低血圧の主要な効果を依然として維持し(図12A)、したがって消化管に沿って効果及び安定性を維持できることを立証した。
【0156】
本発明のIL−1受容体アンタゴニストのIL−1R活性に対する効果をin vivoで評価する他の方法は、ラット血清のPGE2レベルを測定することである。
本発明のIL−1R受容体アンタゴニストが低血圧をin vivoで防止できる場合、PGE2の合成も予防できるはずである。したがって、上記実験に用いたラット血清のPGE2を測定した(例えば動脈圧変動測定)。短鎖型API−101誘導体ペプチドを用いて得た結果の例を以下に記載する。
【0157】
再度、API−101.10(配列番号10)は、ペプチドを頚部に注射したとき、PGE2合成(60%)の防止について試験したAPI−101誘導体の中で最も有効であることを示した。ペプチドを直接胃に注射したとき、更に高い阻害が得られた(図11B及び図12B)。
【0158】
API−101.10の更なる最適化
最適化の最終ラウンドから、API−101.10(配列番号10)を最高のペプチド誘導体として同定した。したがって、API−101をN端から9〜7アミノ酸切断することにより、in vitro、ex vivo、及びin vivo効果を傷つけることなく、効能を改善させることができるであろう。
【0159】
図15は、API−101.10(配列番号10)について行った次の変異を示す。API−101.10(配列番号10)のアルギニンをシトルリンに置換した −N端付近でグアニジンからウレア基に改変。他の変異(例えば、API−101.102(配列番号14)及び101.103(配列番号15)においてEからQへ)及びC端の短鎖型ペプチド(API−101.108(配列番号20))も行ってペプチドの効能及び効果を改善させた。
【0160】
図15は、これらのペプチドのin vitro特性を示す。コブタ脳微小血管内皮細胞及びWI−38ヒト線維芽細胞を用いてPGE2を測定した。変異のいくつかは有益であり、効能に主要な増加を与えた。例えば、API−101.103(配列番号15)及び101.107(配列番号19)は、1000倍を越える良好な効能を示し、ヒトWI−38細胞におけるIC50が0.05pM及び0.1pMであった。
【0161】
次に、これらの新たに生成されたペプチドに関し、生体外実験を行った。脳組織をペプチド及びIL−1βとともにインキュベーションし、市販のキット(アマシャムバイオサイエンス、cGMPアッセイbiotrack(商標)システム)でcGMPを測定した。API−101.10(配列番号10)は既に85%のIL−1β誘導性cGMP産生を阻害し(10-6M)、API−101.103(配列番号15)及び101.106(配列番号18)は90%を越えるcGMP産生を阻害した(結果は示していない)。したがって、グルタミン酸の陰電荷の除去とスレオニンの除去によりアンタゴニストの効能を改善できるようである。注目すべきは、API−101.10(配列番号10)の活性がアムジェンの薬物キネレット(商標)よりも優れていることが示されたことである(データは示していない)。
【0162】
総合すれば、本発明は、AP1−101は強力で有効なIL−1受容体アンタゴニストであることを明確に立証している。更に、API−101(配列番号1)から出発して、本発明者らは、系統的様式で更により強力で有効なアンタゴニストを生成することができたことを明確に立証している(API−101及び101.100シリーズの誘導体のIC50と比較して示すように)。したがって、本発明は、新規IL−1R/IL−RacP受容体アンタゴニストを同定する手段、及びIL−1R/IL−RacPが関与する経路における欠陥に関連する疾患又は障害を治療又は予防する方法を提供する。当該技術分野において通常の技術を有する者は、本発明の教示と当該技術分野における一般常識の水準に基づいて、以下に記載のように、ペプチド模倣薬及び他の誘導体を生成することもできる。
【実施例4】
【0163】
ラット炎症性大腸炎(IBD)モデルにおけるAPI−101の効率
IBDはヒト集団において罹患率の高い胃腸管の慢性炎症である。ペプチドAPI−101.10(配列番号10)が、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)で誘発したIBD動物モデルにおいて、更に他の炎症プロセスを防げるかどうかを実証するために本実験を行った。TNBSは、急性腸炎及びクローン病に典型的な好中球及びマクロファージの経壁浸潤、亀裂潰瘍形成、並びに粘膜下線維症を特徴とするIL−12介在TH−1反応を引き起こす(Bouma及びStrober、2003)。
【0164】
炎症性大腸炎モデル
結腸炎症は、雄性スプラーグ・ドーリーラット(175〜200g)にハプテンであるトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)を直腸内/結腸投与することによって誘導した(Bouma、Nature Rev、2003;Morris、Gastroenterology、1989)。イソフルランで動物を麻酔し、TNBSを50%エタノール(容量/容量)に溶解した。120mg/ml(TNBS)をポリエチレンチューブ(PE50)を用いて結腸に投与した(ラットあたり合計量0.25ml)。肛門から8cmのところにカニューレを挿入し、溶液の排出を防ぐためにTNBS投与後少なくとも15分間適当な位置に維持した。TNBS投与前2時間に、API−101誘導体API−101.10(配列番号10、1.1mg/kg)又は0.9%生理食塩水を尾静脈から静脈内投与した(合計量0.3ml)。次に、プライム腹腔内alzetポンプを用いてAPI−101.10(2.2mg/kg、さまざまなペプチドのt1/2=2〜3時間に基づいて血圧実験に用いた6回用量)又は0.9%生理食塩水を持続注入した。第3群(対照)にはTNBSを注射しなかった。TNBS投与後6日目に、CO2吸入によってラットを屠殺した。第7日目までに自然な組織再生が始まり、これは試験ペプチド又はペプチド誘導体の治療効果を覆い隠すことができるため、第6日目を終点として選択した。結腸を取り出し、巨視的に(癒着、潰瘍形成、変色、及び出血)及び組織学的に(好中球浸潤、上皮傷害、陰窩変形、及び潰瘍形成)調べた(Anthonyら、1995;Padolら、2000;Dieleman,LAら、1997;Torres MIら、1999)。1群あたり2匹の動物を試験した。
【0165】
近位肛門領域から4〜6cmのところで組織横断切片を切り出し、ヘマトキシリン/エオジン法で染色した。
炎症性大腸炎のTNBSモデルは、(例えばヒトにおける)クローン病の炎症特性及び組織傷害を再現する。図14A及び図14Bに示すように、TNBSを注射した動物の結腸は、形態的に腸壁の肥厚、浮腫、及び変色を呈示し、顕著な炎症を示した。API−101.10(配列番号10)で前処理した動物の結腸の巨視的特徴は対照動物のものと(図14C)似ていた。組織学的特徴は、上皮層及び陰窩への好中球浸潤(図16Bを参照されたい)、上皮層傷害、並びに陰窩の喪失(図16B)から成っていた。動物をAPI−101.10(配列番号10)で前処理することにより、TNBSで誘発された結腸損傷が妨げられた。図16では、API−101.10(配列番号10)で処理した結腸における陰窩の組織化と完全性は、たとえ依然として炎症が存在しても保存されることが理解できるであろう(巨視的解析実験と比較して、API−101.10の用量の半分を用いた)。図16Bに示す上皮層の傷は、API−101.10(配列番号10)処理動物において完全に妨げられる(図16C)。したがって、本発明のIL−1Rアンタゴニストは炎症性大腸炎動物モデルにおいても非常に有効である。
【実施例5】
【0166】
ペプチド模倣薬API−101.109、API−101.110
本発明のアンタゴニストの効果及び効能を更に改善するために、ペプチド模倣薬をin vitroで合成し、スクリーニングした。1つの態様では、ペプチド模倣薬はAPI−101.10(配列番号10)又はAPI−101.107(配列番号19)に由来し、1次構造は:API−101.109はRY(HyVal)PELAであり(図20)、API−101.110はRY(I2aa)ELAである(図21)。ここで、HyValはβ−ヒドロキシバリンであり、I2aaはインドリジジン−2−オン アミノ酸(2−オキソ−3−アミノ−アザビシクロ[4.3.0]ノナン−9−カルボン酸である。これらのペプチド模倣薬もD−ペプチドである。
【0167】
手順:
固体支持体の調製
ベンズヒドリルアミン樹脂塩酸塩(2g、Advanced Chemtech、ロット番号11988、100〜200メッシュ、添加1.2ミリモル/g)を、10ml/gの以下のそれぞれの試薬:5%DIEA/CH2Cl2;CH2Cl2;DMFで1分間×3回洗浄した。樹脂を、N−(Fmoc)アミノカプロン酸(1.27g、3.6ミリモル、150モル%)、TBTU(1.27g、3.96ミリモル、165モル%)、DIEA(690μL、3.96ミリモル、165モル%)、及びHOBt(535mg、3.96ミリモル、165モル%)のDMF(20ml、10ml/gの樹脂)溶液で処理し、カイザー試験が陰性になるまで1時間撹拌した。樹脂を10ml/gの以下の溶液で交互に洗浄した:DMF(3×1分)及びイソプロピルアルコール(3×1分)。次に樹脂をピペリジンのDMF液で処理し(20%v/v、20ml、1×2分、1×3分、1×10分)、続いて10ml/gのDMF(3×1分)とイソプロピルアルコール(3×1分)で交互に処理した。樹脂を、4−[(R,S)−α−1(9H−フルオレン−9−イル)−メトキシ−ホルムアミド]−2,4−ジメトキシベンジル]−フェノキシ酢酸(Knorrリンカー、1.94g、3.6ミリモル、150モル%)、TBTU(1.27g、3.96ミリモル、165モル%)、及びDIEA(690μL、3.96ミリモル、165モル%)のDMF(20ml)溶液で1時間撹拌した。樹脂を10ml/gの以下の溶液で連続的に洗浄した:DMF(3×2分)、イソプロピルアルコール(3×2分)、及びCH2Cl2(3×2分)。高真空下で樹脂を一晩乾燥させて3.66gの樹脂を得た。
【0168】
添加の決定
ピペリジン(20g)とDMF(20g)を混合した。サンプルバイアル中の一定量のこの溶液に(20ml、18.08g)乾燥樹脂(20mg)を加え、アルゴン気流の通過によって懸濁液を穏やかに撹拌した。50分後、樹脂を安定させた。溶液のアリコート(1ml)をエタノールで50倍希釈し、吸光度を301nMにて測定した(N−(9−フルオレニル−メチル)ピペリジン UV λmax 267nM(ε17500)、290(5800)、及び301(7800)。2回の個別の測定(平均化)はA301=0.0785であった。下式:[c(ミリモル/g)=(OD×50×102)/7800]より、c=0.50ミリモル/gであった(Meienhoferら、1979)。
【0169】
ペプチド合成
アミノ酸はAdvanced Chemtech(ルイビル、ケンタッキー州)から購入し、以下の誘導体として用いた:N−Fmoc−D−Ala−OH・H2O、N−Fmoc−D−Leu−OH、N−Fmoc−D−Glu(O−t−Bu)−OH、N−Fmoc−D−Pro−OH、N−Fmoc−D−Tyr(O−t−Bu)、N−Fmoc−D−Arg(Pmc)−OH。(R)−β−ヒドロキシ−N−(Fmoc)バリンを、(R)−β−ヒドロキシ−N−(Boc)バリンから(Dettwilerら、2003)、Boc基を除去し(1:1 TFA(トリフルオロ酢酸)/CH2Cl2)、含水アセトン中のFmoc−OSu及びNaHCO3で保護し(Capatsanisら、1983)、続いてクロマトグラフィによりシリカゲルに対して精製し(1:1:98 MeOH/HOAc/CHCl3)、含水アセトニトリルから凍結乾燥することによって調製した(収率78%)。(3R,6R,9R)−2−オキソ−3−[N−(Fmoc)アミノ]−1−アザビシクロ[4.3.0]−ノナン−9−カルボン酸を、(3R,6R,9R)−2−オキソ−3−アミノ−1−アザビシクロ[4.3.0]−ノナン−9−カルボン酸メチルから、含水アセトン中のFmoc−OSu及びNaHCO3でFmoc−保護し(Capatsanisら、1983)、続いてメチルエステルを選択的加水分解することによって(Pascalら、1998)調製した(D−グルタミン酸から順に調製(Lombartら、1996))。ペプチド合成を0.1ミリモルスケールで行い(200mg樹脂)、DMF中のピペリジンで脱保護し(10ml/g樹脂、20%v/v、1×2分、1×3分、1×10分)、続いてDMFで洗浄(10ml/g樹脂、5×1分)することによって実施した。TBTUのDMF(0.25M、2ml)溶液に溶解したFmoc保護アミノ酸(0.5ミリモル、500モル%)を樹脂に加えた。樹脂を撹拌後(5分)、DIEA(0.6ミリモル、600モル%)を加え、撹拌を1時間継続した。樹脂をDMFで洗浄し(10ml/g樹脂、5×1分)、カイザー試験でカップリング効率を測定した。カップリングのあいだ、樹脂を機械的なボルテックス装置で撹拌し、リンスし、配列を脱保護した。Alltech C18カラム(寸法250mm×4.6mm)で、アセトニトリル/水/TFA混合物を用いてRp−HPLC解析を行った。ここで、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=MeCN/0.1%TFAである(以下を参照されたい)。流速は0.5ml/分であり214nMで検出した。
【0170】
ペプチド模倣薬API−101.109(KH−C29099)
樹脂を、TFA(82.5%)、チオアニソール(5%)、水(5%)、フェノール(5%)、及びトリエチルシラン(2.5%)を含有する20ml/gのカクテルで処理し、機械的なボルテックス装置で1時間室温にて撹拌することによって、樹脂(180mg)からの切断を、同時に起こる側鎖の脱保護とともに行った。その後、ろ過し、TFAでリンスし(2×1ml)、0℃でEt2O中に沈殿させてペプチドを得た。HCl溶液(1M)からの凍結乾燥によって粗製ペプチドを2塩酸塩として単離し、白色粉末(18mg)を得た。これは、A中5〜40%Bの溶離液を用いた20分にわたるrp−HPLC(RT=14.6分)により純度90%以上を示した。C39H64N11O11(MH+)に対するLRMSの計算値は862、実測値862であった。
【0171】
ペプチド模倣薬API−101.110(KH−C50110)
樹脂を、TFA(82.5%)、チオアニソール(5%)、水(5%)、フェノール(5%)、及びトリエチルシラン(2.5%)を含有する20ml/gのカクテルで処理し、機械的なボルテックス装置で1時間室温にて撹拌することによって、樹脂(22mg)からの切断を、同時に起こる側鎖の脱保護とともに行った。その後、ろ過し、TFAでリンスし(2×1ml)、0℃でEt2O中に沈殿させてペプチドを得た。HCl溶液(1M)からの凍結乾燥によって粗製ペプチドを2塩酸塩として単離し、白色粉末(5.7mg)を得た。これは、A中5〜40%Bの溶離液を用いた20分にわたるrp−HPLC(RT=19.8分)により純度85%以上を示した。C38H60N11O10(MH+)に対するLRMSの計算値は830、実測値830であった。
【0172】
結果:
ペプチド模倣薬のスクリーニングアッセイとして、内皮細胞におけるIL−1誘導性PGE2合成アッセイを用いた。ペプチド模倣化合物API−101.110(図21)の効能はIC50 0.2pMであり、これは、API−101.107(配列番号19)よりも10倍高く、後者の効果の2倍である。化合物API−101.109(図20)もPGE2の阻害(IC50)において効能が向上していた(図19)が、そのKDは有効な薬物であるには高すぎる。
【実施例6】
【0173】
ラット炎症性大腸炎(IBD)モデルにおけるAPI−101.10、API−101.107、及びAPI−101.113の効率
これまではAPI−101.10(配列番号10)と呼んでいたリードペプチドTTI−101.10、TTI−101.107及びTTI−101.113(それぞれ101.107及び101.113;又はそれぞれAPI−101.107及びAPI−101.113ともいう)が実施例4に記載の動物IBDモデルの炎症特徴を防ぐことができるかどうかを検証するために更なる実験を行った。結腸炎症は、実施例4に記載のように、ハプテンであるトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)の直腸内/結腸投与によって誘発した。TNBS投与前2時間に、ペプチド、ペプチド模倣薬、又は0.9%生理食塩水を尾静脈から静脈内投与した(iv)(各種濃度、mg/kg/日)(合計量0.3ml)。持続注入の場合、API−101.10(又は他のペプチド若しくはペプチド模倣薬)(2.2mg/kg、さまざまなペプチドのt1/2=2〜3時間に基づいて血圧実験に用いた4回用量)又は0.9%生理食塩水をプライム腹腔内alzetポンプを用いて持続注入した。第3群(対照)にはTNBSを注射しなかった。間欠投与の場合、TNBS投与後15分に101.10(0.25〜1mg/kg)、101.107(0.2mg/kg)、101.113(0.05〜1mg/kg)を間欠腹腔内注射(ip)によって投与した。また、これらのIL−1Rアンタゴニストは1日2回(BID)投与した;レミケード(登録商標)(抗TNFα)(10mg/kg)及びデキサメサゾン(0.75mg/kg)を腹腔内投与したが、これらは1日1回(qd)のみである。101.10、101.113(1及び2.5mg/kg)、及び5−ASA(50mg/kg)をTNBS投与後1時間に直腸内投与(ir)した。5−ASAは1日1回で、他は1日2回である。最後に、101.10(1〜5mg/kg)も1日2回、強制経口投与した(po)。TNBS投与後48時間にCO2吸入によってラットを屠殺した。結腸を取り出し、巨視的に(癒着、潰瘍形成、変色、及び出血)及び組織学的に(好中球浸潤、上皮傷害、陰窩変形、及び潰瘍形成)評価した。処理により、1群あたり1〜7匹の動物を試験した。組織溶解物についてミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性を測定した。
【0174】
結果:
前述のように、TNBS動物モデルは、クローン病の炎症特徴及び組織傷害を再現するため、ヒトの炎症性疾患の、より詳細には炎症性大腸炎(IBD)の有効なin vivoモデルである。表2に示すように、さまざまな用量で本発明のアンタゴニスト(例えばペプチド、ペプチド誘導体、及びペプチド模倣薬)を腹腔内持続注射及び間欠注射することにより、潰瘍の形成、陰窩の喪失、及び上皮層傷害などの炎症による組織損傷を妨げた。
【0175】
101.10及び101.107を含有する腹腔内浸透圧ポンプ(持続注入)を受けた動物は、MPO活性の顕著な低下、巨視的及び組織学的スコア、キネレットに対する効果の優位性又は同等性を実証した(表2)。101.10、101.107(1濃度のみ)、及び101.113の間欠投与は、1日2回投与の用量依存性効果を示した。これは、IBDに対して近年用いられている薬剤、即ちデキサメサゾン、レミケード(登録商標)、及び5−ASAによって観察される効果を上回っている。結腸傷害の巨視的観察を採点したところ(4人の盲検観察者)、ペプチドで処理した(BID)動物は癒着及び潰瘍形成が少なかった(TNBS処理動物と比較して50%未満)。動物は、かなり活力があるようにも見えた。
【0176】
【表2】
【0177】
【表3】
【0178】
図22は、1つの特定濃度に関する全てのペプチドの巨視的採点と、評価した特徴のリストを図示している。また、図23からわかるように、ペプチドの間欠注射を受けた動物は、TNBS対照と比較して、好中球浸潤(ミエロペルオキシダーゼアッセイ)が20〜50%少なかった。組織切片の検査は、ペプチドで処理した動物は炎症によって誘発された結腸傷害の特徴が少ないことを示した。用いた組織学的傷害採点システムを表3に示し、結果を図24に図式化する。当然ながら、本発明が関連する分野の熟練技術者によって他の採点システムを用いて適合させることができるであろう。したがって、図25のパネルC及びDにおける潰瘍及び上皮層傷害の量が、炎症組織を示すパネルBと比較して減少していることが認識できる。更に、TNBS誘導後12時間に本発明の物質(例えばペプチド)を投与しても、結腸炎症の減少を示した。残留する高ミエロペルオキシダーゼ活性は、処置前に好中球浸潤が既に発生しているという事実によるものである。
【0179】
本発明のペプチド及びペプチド模倣薬は他の手段で投与でき、TNBSによって生じた炎症を低下させることを実証するために、API−101.10及びAPI−101.113を直腸内注射した。炎症レベルを上記のように巨視的及び組織学的に評価した。表2からわかるように、2。5mg/kg/日のAPI−101.10は、実質的に(50%)MPO活性を低下させ、結腸の組織損傷を部分的に防いだ。
【0180】
API−101.10を他の手段:強制(1日2回)でも投与し、消化管を通るペプチドの安定性を実証した。5.0mg/kg/日の濃度のAPI−101.10は実質的に炎症特徴を軽減し、MPO活性を低下させ、本発明の化合物の安定性を立証した。
【実施例7】
【0181】
TTI−101.107ペプチド誘導体及び模倣体
TTI−101.107(配列番号19及び図15;IC50 1.2pM)をリードペプチドとして用い、いくつかのアナログシリーズをデザインし、合成し、試験して、各残基の重要性を証明した。
【0182】
構造と活性の対比:
表4からわかるように、末端D−アルギニンをアセチル化して化合物TTI−101.121(配列番号29)を生じた場合、ペプチドの活性は完全に消失した。一方、アルギニン残基をオルニチン又はリジンで置換することもでき、得られたペプチドはその活性を維持する(TTI−101.114、配列番号22;及びTTI−101.115、配列番号23)。したがって、アルギニンのグアニジン基は(オルニチンが有するように)、ペプチド活性に重要であると思われる。
【0183】
ペプチドTTI−101.105(配列番号17)及び101.106(配列番号8)、並びにペプチド模倣薬TTI−101.109を用いて、上記D−スレオニン残基及びD−バリン残基の置換によって得たデータ(図15及び図19を参照されたい)から、これらの残基について曲がった領域の可能性の仮説を立て、(3R,6R,9R;TTI−101.110)及び(3S,6S,9S;TTI−101.112)−インドリジジン−2−オン アミノ酸(R−及びS−I2aa)を導入することによって2つのペプチド模倣体を作製した。図26に示すこれらのペプチド模倣薬は、それぞれII型及びII’型βターンを模倣する。ペプチド模倣薬TTI−101.110は、それが由来するペプチド101.107と比較して、10pMの活性を示した(図26)。
【0184】
それぞれグルタミン酸をアスパラギン酸、アスパラギン、及びアラニンに置換したTTI−101.117(配列番号25)、TTI−101.118(配列番号26)、及びTTI−101.123(配列番号31)を用いてグルタミン酸位置の重要性に取り組んだ。結果は、カルボン酸又はカルボキサミドの除去はペプチド機能に有害であることを示している(表4)。
【0185】
C末端D−ロイシニル−D−アラニン残基の検査により、欠失及び置換を有する一連の誘導体を作製した:TTI−101.113(配列番号21);TTI−101.119(配列番号27)、及びTTI−101.120(配列番号28)。D−アラニン残基の欠失により、7〜30pMの活性を有するヘキサペプチドTTI−101.113((配列番号21)表4)を生じた。ロイシン残基の修飾により活性範囲が消失した。
【0186】
上記データに基づいて、2つの他の模倣体化合物を合成した(図26を参照されたい):TTI−101.124(IC50 2.4μM及び効果100%を示したry[R−I2aa]el;図26)及びTTI−101.125(IC50 90pM及び効果100%を示した(D−orn)y[R−I2aa]ela;図26)。
【0187】
101.113ペプチドの誘導体
リードペプチド(101.107 rytpela(配列番号19)、101.10 rytvela(配列番号10)、及び101.113 rytpel(配列番号21))に基づいて、他のアナログシリーズを作製し、ペプチドと誘導体の構造−活性関係(構造−機能関係)を更に試験した。
【0188】
塩基性アミノ酸の末端アルギニンの重要性を探究したところ、一連のアナログは、グアニジン部分を塩基性アミンに置換すると活性が比較的低下したことを示した。実際、化合物TTI−101.126(配列番号32)、TTI−101.133(配列番号37)、及びTTI−101.134(配列番号38)は、ほとんど又は全く活性を示さなかった(表5)。TTI−101.135(配列番号39)のように立体化学を反転させた場合、配列番号21のD−アミノ酸とは対照的にアルギニン「R」はL−アミノ酸であるが、活性が低下したが完全には消失しなかった(表5)。
【0189】
表5に更に示すように、ペプチド101.113の活性も、フェノール基を有する芳香族残基チロシンを芳香族残基のフェニルアラニン(101.132;配列番号36)又はトリプトファン(101.128;配列番号34)で置換すると比較的低下した。TTI−101.127(配列番号33)のヒドロキシル基を除去するとペプチドの活性は完全に無効になったが、チロシンをトリプトファンで置換すると低下したが活性を維持した。
【0190】
C末端のロイシンをバリンで置換しても活性が低下した。これは、TTI−101.129(配列番号35)(rytpev 400nM;50%)を用いた表5において見られるように、疎水性残基の長さの重要性を実証している。
【0191】
リードペプチド模倣薬(TTI−101.125;図26)に基づいて、他の模倣薬シリーズを調製し、本発明の化合物の構造−活性を更に探究した。
チロシンをロイシン及びアラニン残基にそれぞれ置換するためにアザ−アミノ酸残基を用いて、101.136〜101.140と101.141〜101.144のシリーズを調製した(図27及び28)。アザ−アミノ酸は酵素分解に対するペプチドの耐性を改善することができるため、特定のアナログにおける活性の維持はそのin vivo作用期間を延長させるための1つの手段を例示する。こうした最後の修飾により、化合物TTI−101.140の開発をもたらした。図29及び図30は、ペプチド模倣薬101.125、101.136〜101.144の構造と活性、特に活性が増加した模倣薬101−140の効能と効果を示す。
【0192】
【表4】
【0193】
【表5】
【0194】
結論
要約すると、本発明は、インターロイキン1のin vitro、ex vivo、及びin vivoの効果を無効にできる、IL−1R/IL−1RacP受容体の効率的且つ強力なアンタゴニストについて記載する。これらのペプチドは、さまざまな細胞種及びさまざまな生体効果(増殖及びPGE2合成)に対し、in vitroで有効であり、IL−1の軟膜血管に対する血管運動作用及び新鮮なサンプル組織のPGE2合成を無効にすることによってex vivoで有効であった。更に、これらのAPI−101誘導体は、全身投与及び胃に直接投与したときin vivoでも非常に有効であった。胃への送達によって得た最後の結果は、本発明のペプチドは経口投与したとき活性である可能性があることを示している。これは、強制経口投与したときに実際に証明された。より重要なのは、確立されたラット炎症性大腸炎(IBD)モデルにおいて、API−101.10が、ラットにTNBSを注射して誘発した結腸損傷を防ぐことができたことである。他の誘導体(101.100シリーズ)による結果に基づいて、これらのペプチド誘導体及びそのペプチド模倣薬は、ラットにTNBSを注射して誘発した結腸損傷を防ぐ役割によって証明されたように、強力な抗炎症剤であることが証明されている。
【0195】
本発明は、本発明のペプチド及びペプチド模倣体は、IL−1R/IL−1RacPに関与する多くの経路に対して明らかな効果を有することを示している。したがって、本発明の治療的及び予防的な可能性は、一般に動物に、より詳細には哺乳動物、特にヒトに広く影響を及ぼす。
【0196】
本明細書の開示に基づいて、当該技術分野に熟練した者は、IL−1R/IL−1RacP受容体阻害化合物の更なる同定に有用な、ペプチド、ペプチド誘導体、及びペプチド模倣薬のスクリーニングアッセイを開発することができ、あるいは本明細書に例示したものを改良することができる。本発明のアッセイは、ロースループット、ハイスループット、又はウルトラハイスループットのスクリーニング形式のために開発することができる。当然ながら、本発明のアッセイには自動化しやすいアッセイが含まれる。
【0197】
したがって、天然アミノ酸を有するペプチドを用いた研究により、本発明は、それらが強力で有効な化合物であることをin vitro及びin vivo試験で証明する(例えば、TTI−101.107(配列番号19)及び113(配列番号21))。更に、本発明は、活性に必要なファーマコフォア及び立体構造、ペプチド及びそれらから生じた模倣薬について初めて記載する。
【0198】
注目すべきは、本発明は、非常に顕著な活性(7.4pM;効果80%)を有するヘキサペプチドリード:TTI−101.113(rytpel[配列番号21])を提供することである。更に、中央のD−スレオニン−d−バリン(D−Pro)領域を置換するためにインドリジジノンアミノ酸を用いて模倣体又は模倣薬を作製し、それによってリード模倣体TTI−101.125及びTTI−101.140の同定を可能にした。
【0199】
当然ながら、本発明のアンタゴニストの組み合わせ、又は本発明のアンタゴニストと公知薬物との組み合わせは、本発明の医学的、臨床的、及び薬剤開発の可能性を更に増加させるであろう。
【0200】
本発明をその具体的態様によって説明しているが、当該技術分野に熟練した者には、本明細書の開示を読むことで、添付の特許請求の範囲に定義したような本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、形態及び細部においてさまざまな改変がなされ得ることが明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】図1は、IL−1β(10ng/ml)の存在下におけるがん細胞(A549)の増殖アッセイを示す。細胞をさまざまな濃度の抗IL−1R API−101(配列番号1)ペプチドとともにプレインキュベーションし、次に10ng/mlのIL−1βで24時間処理した。次に3H−チミジンを加えた。24時間後、細胞を回収し、溶解し、3H−チミジンを計数した。
【図2】図2は、IL−1で誘発された微小血管内皮細胞によるPGE2合成に対する抗IL−1Rペプチドの阻害活性を示す。細胞をペプチドと共に45分間プレインキュベーションし、10ng/mlの濃度でヒト組換えIL−Iβと共にインキュベーションした。PGE2合成は増殖培地中で測定した。
【図3】図3は、10ng/mlのIL−1βの存在下、API−101(配列番号1)ペプチドを用いた微小血管内皮細胞のPGE2合成の用量反応曲線を示す。
【図4】図4は、100ng/mlのIL−1β並びに抗IL−1R API−101(配列番号1)及びAPI−108ペプチド存在下における軟膜微小血管の血管拡張の用量反応曲線を示す。
【図5】図5は、IL−1β(10ng/ml)及びアラニンをスキャンしたペプチド(10-6M)の存在下におけるブタ微小血管内皮細胞(A)及びヒト軟骨細胞(B)のin vitro PGE2合成を示す。
【図6】図6は、IL−1βによって誘発される(100ng/ml)軟膜微小血管の血管拡張の、最も活性なAPI−101(配列番号1)のアラニンをスキャンしたペプチドを用いたex vivo逆転を示す。
【図7】図7は、APIペプチドに関する最適化スキームの説明を示す。
【図8】図8は、IL−1β(10ng/ml)及び短鎖型API−101(配列番号1)誘導体の存在下、ヒト肺線維芽細胞(WI−38)に対して行った増殖アッセイを示す。
【図9】図9は、API−101ペプチドの誘導体の、WI−38細胞(A);及び脳微小血管内皮細胞(B)に対する細胞障害性を示す(10-5M、MTTアッセイ)。
【図10】図10は、IL−1β(75ng/ml)で誘発されたラット動脈血管拡張の、API−101誘導体:API−101.10(配列番号10)及びAPI−101.12(配列番号12)を両ペプチドとも10-5M〜10-10Mの濃度範囲で用いた存在下における用量反応曲線を示す。
【図11】図11は、ラットにおけるAPI−101ペプチドの全身投与によるIL−1βで誘発された全身性低血圧及び血清PGE2合成のin vivo効果を示す。(A)平均血圧(MBP)はIL−1β及び/又はペプチド101.10(10-5M)の存在下で減少する。(B)IL−1β及びペプチド101.10(10-5M)の存在下で血清PGE2合成の調節が増加する。
【図12】図12は、ラットにおけるAPI−101.10の腸内注射の、IL−1βで誘発された低血圧及びPGE2合成に対する効果を示す。A)平均血圧(MBP)はIL−1β及び/又はペプチド101.10の存在下で低下する。B)IL−1β及びペプチド101.10の存在下で血清PGE2合成の調節が増す。
【図13】図13は、更なる最適化のためにデザインされたAPI−101.10ペプチド誘導体の配列を示す。
【図14】図14は、ラット炎症性大腸炎モデルにおけるAPI−101.10ペプチドの効果を示す(全身)(肉眼検査)。(A)生理食塩水、(B)TNBS+生理食塩水、及び(C)TNBS+API−101.10(2.2mg/kg/日)。
【図15】図15は、微小血管内皮細胞及びWI−38ヒト線維芽細胞におけるIL−1βで誘発されたPGE2合成のin vitroペプチド阻害による101.10ペプチド誘導体の特性を示す(IC50及び最大効率(Emax)を示す)。
【図16】図16は、TNBSで誘発されたラット炎症性大腸炎モデルにおけるAPI−101.10の治療効果を示す(組織学)。(A)生理食塩水、(B)TNBS(120mg/ml)+生理食塩水、(C)TNBS+API−101.10(1.1mg/kg/日)。
【図17】図17は、ブタの内皮細胞及び軟骨細胞におけるAPI−101誘導体の特性(IL−1βで誘発されたPGE2産生に対する阻害活性)を示す。
【図18】図18は、API−101誘導体の特性(IC50及び最大効率)を示す。
【図19】図19は、ブタ微小血管内皮細胞において、さまざまなペプチド模倣体の存在下、IL−1で誘発されたPGE2合成に関する用量反応アッセイを示す。
【図20】図20は、API−101.109(「C2099」ry(HyVal)pela)及びAPI−101.111ペプチド模倣体の構造を示す。
【図21】図21は、API−101.110ペプチド模倣体の構造を示す。
【図22】図22は、ラット炎症性大腸炎モデルにおけるペプチド101.10、101.107、及び101.113の腹腔内注射に反応した結腸損傷の巨視的評価を示す。
【図23】図23は、ラット炎症性大腸炎モデル(48:00)における腹腔内注射されたペプチド101.10、101.107、及び101.113の、組織好中球浸潤(MPOアッセイ)に対する効果を示す。
【図24】図24は、TNBSで誘発されたラット炎症性大腸炎モデルにおけるペプチド101.10、101.107、及び101.113の腹腔内注射に反応した組織学的評価及び組織損傷の採点を示す。
【図25】図25は、TNBS並びにTTI−101.10及び101.107で処理した結腸組織の組織切片の写真を示す。パネルA) 対照(未処理);B) TNBSで処理した動物;C) TNBSで処理し、101.10(1.0mg/kg/日)ペプチドを腹腔内注射した動物;D) 101.107(0.2mg/kg/日)を腹腔内注射した動物。
【図26A】図26は、TTI−101.110の模倣誘導体の構造及び特性の結果を示す。
【図26B】図26は、TTI−101.110の模倣誘導体の構造及び特性の結果を示す。
【図27A】図27は、TTI−101.125の模倣誘導体の構造を示す。
【図27B】図27は、TTI−101.125の模倣誘導体の構造を示す。
【図28A】図28は、TTI−101.125の他の模倣誘導体の構造を示す。
【図28B】図28は、TTI−101.125の他の模倣誘導体の構造を示す。
【図29−1】図29は、TTI−101.125の模倣誘導体の構造及び特性の結果を示す。
【図29−2】図29は、TTI−101.125の模倣誘導体の構造及び特性の結果を示す。
【図29−3】図29は、TTI−101.125の模倣誘導体の構造及び特性の結果を示す。
【図30−1】図30は、TTI−101.125の他の模倣誘導体の構造及び特性の結果を示す。
【図30−2】図30は、TTI−101.125の他の模倣誘導体の構造及び特性の結果を示す。
【図30−3】図30は、TTI−101.125の他の模倣誘導体の構造及び特性の結果を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、IL−1受容体アンタゴニスト、及びそれを用いたIL−1受容体活性の調節方法に関する。より詳細には、本発明は、細胞外非競合的IL−1受容体(IL−1R/IL−1RAcP)ペプチド及びペプチド模倣アンタゴニスト、それらの同定及び治療用途に関する。より具体的には、本発明は、関節リウマチ及び炎症性大腸炎などのIL−1関連疾患の治療に使用するためのペプチド及びペプチド模倣アンタゴニストに関する。本発明は、生化学及び医薬品化学の分野へ応用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
サイトカインは、生物学的に活性なホルモン様タンパク質(インターロイキン、インターフェロン、腫瘍壊死因子、成長因子)を示す総称であり、受容体のスーパーファミリーによってその効果を介在する。サイトカイン及びその受容体は強力な制御ネットワークを構成しており、それによって細胞はシグナルを送り、細胞増殖及び分化、細胞死及び生存を調整する。サイトカインは、具体的に、非常に強力な生物活性を有する低分子量ペプチドであり得る。それらの作用メカニズムは、通常、オートクリン及びパラクリンであり、最終的に遺伝子発現を調節することによって作用する。
【0003】
ポリペプチドホルモンのインターロイキン−1(IL−1)ファミリーは、単球(IL−1の顕著な供給源である)、線維芽細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、破骨細胞、星状細胞、上皮細胞、T細胞、B細胞、及び数多くのがん細胞を含めたさまざまな細胞種によって発現されるサイトカインの重要なクラスを表す。このサイトカインファミリーは、IL−1α、IL−1β、及びIL−18を含めた7つを越える異なるが構造的に関連のある分子から成り、これらは、生物学的反応、及び天然に産生される受容体アンタゴニストであるIL−1raを顕在化する(Kumarら、2000)。
【0004】
IL−1α遺伝子及びIL−1β遺伝子はともに2番染色体に局在する。それぞれの遺伝子は7つのエクソンを含有し、第6エクソンの領域が相同である。IL−1α及びIL−1βはいずれも、初めに31kDaの前駆体として産生されるが、プロテアーゼによってプロセシングされて17、5kDaの成熟タンパク質を生ずる。IL−1受容体はα型もβ型も認識し、いずれの形態も類似の生物学的特性を有する。IL−1αはマウスで顕著な形態であるが、IL−1βはヒトで顕著なサイトカインである。IL−1の生物学的特性は数多くあり、感染及び損傷に対する多くの免疫反応及び炎症反応を介在することが含まれる。
【0005】
感染及び損傷への生体反応に対するその正常な有益効果にもかかわらず、IL−1の作用が有害な状況が明らかになっている。例えば、IL−1の不適切な産生又は反応が、関節リウマチ、炎症性大腸炎(IBD)、変形性関節症、乾癬、敗血症、脳炎、及び呼吸窮迫症候群などの多くの急性及び慢性の炎症性疾患において示されている。IL−1は、アルツハイマー病、脳室周囲白質軟化症、髄膜炎、卒中、及び多くの自己免疫疾患を含めたいくつかの他の病気において役割を果たすことが示されている。
【0006】
インターロイキン−1(IL−1)は、IL−6、プロスタグランジンE2(PGE2;COX−2及びPGE合成酵素(mPGES)の発現誘導を介する)、及びそれ自体のような炎症性メディエーターの産生を刺激することによって、炎症の調節の上流において主要な役割を果たし、したがって、炎症プロセスを促進する。IL−1の他の生物活性は、T細胞のような数多くの細胞種の増殖及び活性化を誘導することである(Cullinanら、1998;Dunne及びO’Neill、2003)。IL−1は、関節においてコラーゲナーゼレベルを増加させることもでき、関節リウマチの免疫病理学の急性期及び慢性期に関係している。IL−1は、内皮細胞機能を変化させ、リンパ球及び白血球の滑膜組織への走化性を指示し、並びに軟骨細胞及び線維芽細胞による潜在的コラーゲナーゼの分泌を誘導することに関与することができる。IL−1は、TNFとともに、炎症性サイトカインの代表例であると考えられている。しかしながら、IL−1の効果は炎症に限定されず、このサイトカインは骨形成及びリモデリング、インスリン分泌、並びに発熱誘導においても役割を果たす。
【0007】
主要な炎症性サイトカインとして、IL−1は、関節炎などの関節軟骨損傷のような疾患における治療行為のための潜在的に強力な標的である。北米では、変形性関節症や関節リウマチは、心疾患に次いで2番目に勤労不能を引き起こし、その罹患率は年齢と共に劇的に増加する(Hallegua及びWeisman、2002)。
【0008】
2つの異なるIL−1受容体がクローニングされ、特徴付けられている:IL−1の生体作用を生ずるIL−1RI(Simsら、1989)と、IL−1RIIである。更に、受容体複合体の推定シグナル伝達サブユニットである受容体アクセサリータンパク質(IL−1RAcP)が同定されている。IL−1RI型は主にT細胞、表皮細胞、線維芽細胞、軟骨細胞、滑膜細胞、及び上皮細胞に見出される。生体作用を生ずるには、IL−1RはIL−1に結合し、続いてIL−1RacPに結合してシグナル伝達を誘引する必要がある。IL−1Rの細胞外部分は、IL−1に結合する3つのIg様ドメインを含有する(Vigersら、1997;Vigersら、2000)。IL−1R受容体サブユニットとは対照的に、そしてIL−1Rアクセサリータンパク質の細胞外部分に対する抗体に関与する研究によれば、後者はサイトカインと相互作用しない(Cullinanら、1998;Layeら、1998;Malinowskyら、1998;Casadioら、2001)。
【0009】
IL−1が結合した後のシグナル伝達の最初のイベントは、IL−1R/IL−1RacP複合体の形成であり、これは、複合体へのIRAK(IL−1受容体結合キナーゼ)動員、及びキナーゼによるリン酸化カスケードをもたらし、NFκB及びAP−1を含めた転写因子の活性化を引き起こす。IL−1R/IL−1RacP複合体は、PI3K及びAktのようなキナーゼを動員して活性化することもでき、シグナル伝達のPLC/PKC経路の活性化をもたらすこともできる(Daun及びFenton、2000)。
【0010】
IL−1Rアンタゴニストの2つの主要な臨床応用は、関節炎及び炎症性大腸炎(IBD)の治療である。これらの病状に利用可能な治療は現在限られている。それらは毒性及び副次的効果を生ずることが多い。したがって、より安全で標的化した治療に対する医学界の要求は無視できない。
【0011】
IBD及び関節リウマチ療法の分野における最近のアプローチには、可溶性受容体、IL−1R及びTNFRに対するモノクローナル抗体、サイトカイン模倣薬、アンチセンス技術、並びにキナーゼ阻害剤の開発が含まれる(Vigersら、1997;Vigersら、2000;Hallegua及びWeisman、2002;Bouma及びStrober、2003)。IL−1の具体的な場合では、天然可溶性受容体IL−1Ra模倣薬であるアナキンラ(一般名キネレット(商標))が、メトトレキセート(ジヒドロ葉酸(葉酸)還元酵素阻害剤)の代わりに重症の活性な関節リウマチを治療するためにアムジェンによって開発された。他の主要な炎症性サイトカイン受容体TNFRの場合、2つのアンタゴニスト エタネルセプト(エンブレル(商標)、アムジェン)及びインフリキシマブ(レミケード(商標)、シェーリングプラウ)が開発されている。
【0012】
先行技術のアンタゴニストはいずれも競合的であり(例えば可溶性受容体、抗体、サイトカイン模倣薬)、多くの場合製造費用がかかるか又はin vivoで適用困難である(例えばアンチセンス)。リガンドは受容体濃度を遙かに超えているため、IL−1とその天然受容体との相互作用を阻害するために要する競合的阻害剤の濃度は相当量であることが多い。
【0013】
したがって、IL−1によって介在される活性を下方制御できる新規療法に対する必要性が残されている。
本発明は、これらの必要性及び他の必要性を満たすことを求めている。
【0014】
本明細書は、多くの文献を参照し、それらの内容は本明細書にその全体が援用される。
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【発明の開示】
【0015】
発明の概要
したがって、本発明は、非競合的な、効率的且つ選択的細胞外IL−1受容体アンタゴニストに関するものであり、先行技術のIL−1受容体アンタゴニストの1以上の欠点を克服する。
【0016】
また、本発明は、本発明の非競合的且つ選択的アンタゴニストの、IL−1関連疾患における使用に関するものである。
1つの態様では、本発明の化合物は、IL−1Rの生物活性を阻害し、受容体を介したシグナル伝達を妨げることによってサイトカイン活性を阻害するペプチド及びペプチド模倣薬である。したがって、IL−1介在イベントの阻害は、例えば、いくつかある炎症性疾患並びにIL−1機能に関連した疾患及び病態の中で、関節リウマチ及び炎症性大腸炎などのさまざまな慢性及び急性の炎症性疾患の予防又は治療に有益な抗炎症性反応をもたらす。
【0017】
細胞外標的を狙うようにデザインすることにより、IL−1受容体の細胞内領域を標的とする、ある公知の薬物候補とは異なり、本発明のアンタゴニストは、薬理反応を生ずるように標的細胞へ接近するために細胞膜を前もって透過性にすること又は他の破壊を必要としない。
【0018】
それらは非競合的アンタゴニストとして機能するため、本発明のアンタゴニストは、それらが標的とする受容体を阻害するのに必要な量が競合的阻害剤と比較して少ない。
関連する態様では、本発明のアンタゴニストは有利に簡便に合成される。
【0019】
本発明のペプチド、その誘導体及びペプチド模倣薬は、受容体活性を阻害するようにIL−1R/IL−1RacP受容体複合体の特定細胞外ドメインと相互作用する。重要なことには、本発明のペプチド、ペプチド誘導体、及びペプチド模倣薬は、IL−1RサブユニットのIL−1結合部位と相互作用せず、したがって、非競合的ペプチドアンタゴニストであると考えられる。本発明のアンタゴニストは、表示がある場合以外は全てD−アミノ酸である、以下のAPI−101配列:APRYTVELA(配列番号1)に由来する(配列番号135のアスタリスクは、残基(R)がL−アミノ酸であることを示している、表1を参照されたい)。
【0020】
【表1】
【0021】
特定の理論に限定されることなく、IL−1受容体アンタゴニストは、IL−1受容体の具体的立体構造を助成し又は安定化することができ、受容体活性の阻害を生ずる。本発明のペプチド、ペプチド誘導体、及びペプチド模倣薬はIL−1依存性細胞内シグナル伝達を非競合的な方法で阻害する。これらのペプチドは、IL−1受容体のシグナル伝達に関与する細胞内受容体ドメインの活性化を有効に妨げる。疾患の発現に部分的に関与する分子(例えばサイトカイン、サイトカイン受容体、プロスタグランジン、コラーゲナーゼ分泌などのような炎症性分子)の発現をもたらすその後の細胞シグナル伝達イベントは、それによって妨げられる。
【0022】
これらの化合物には、リード化合物、及びリード化合物と同一若しくは類似の分子構造又は形状を有するが、加水分解若しくはタンパク質分解に対する感受性、又は生物学的特性(例えば受容体に対する親和性増加)に関してリード化合物とは異なるように構築された誘導体化合物が含まれる。また、本発明は、不適切なIL−1産生若しくはIL−1反応に関連した病態、疾患、又は障害の治療又は予防に有用な化合物及び組成物に関する。
【0023】
他の態様では、本発明は、本明細書に記載の1以上の化合物と生理的に許容可能な担体とを含む医薬組成物にも関する。これらの医薬組成物は、経口剤形、局所クリーム、坐薬、鼻腔用スプレー、及び吸入器、並びに注射液及び輸液を含めたさまざまな形態であり得る。医薬組成物の調整方法は、『レミントンの薬学』、Mack Publishing Company、イートン、ペンシルバニア州、米国が参照されるように、当該技術分野に周知である。
【0024】
本発明の治療方法は、予防的であり、IL−1に関連する疾患又は病態を発症する危険性を低下させることができ、そして病態の緩和又は回避に用いることができる。治療剤は、好適な担体中の医薬的に許容可能な形態で、治療的に許容可能な用量で投与することができる。
【0025】
動物の数多くの経路及び病態におけるIL−1及び/又はIL−1R/IL−1RacP受容体の機能の重要性に鑑みると、本発明は、IL−1の反応に関連した病態又は疾患の同定、検証、及び治療に対して広範な影響を及ぼす(例えばIL−1の過剰発現又はIL−1R/IL−1RacPを介した異常なシグナル伝達)。
【0026】
また、本発明は、非競合的、効率的、且つ選択的な細胞外受容体アゴニストに関するものである。更に、本発明は、インターロイキン−1(IL−1)が既に炎症活性又は他の活性を示しているインターロイキン関連疾患の治療における、本発明の非競合的且つ選択的アゴニストの使用に関するものであり、1以上の本発明のアゴニストは上記の抗炎症作用又は他の活性を有するILの活性を上昇させる。関連する態様では、本発明のアゴニストは、有利に簡便に合成される。本発明によるアゴニストの非限定的な例には、ペプチドTTI−101.101(配列番号13)及びTTI−101.102(配列番号14)、並びにペプチド模倣薬TTI−101−137及びTTI−101−142(それぞれ図29及び30)が含まれる。
【0027】
本発明のアゴニストが治療用途を見出すことができるサイトカイン受容体の非限定的な例には、以下が含まれる:
(1) 色素上皮由来因子。PEDFは網膜の色素上皮細胞によって合成される、網膜の抗血管新生因子である。また、酸化ストレス及びグルタミン酸の外毒性から神経細胞を保護する。したがって、本発明のアゴニストは、網膜及び腫瘍増殖(例えば糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、及びがん;Barnstableら、2004)における異常な血管新生の症例に治療可能性を有するであろう。
(2) IL−4受容体:IL−4は、単球によるIL−1、IL−6、TNF−αのような炎症性分子の産生、及びT細胞によるTNF−αの産生を炎症部位で阻害できる抗炎症性サイトカインである。IL−4は、結腸癌及び乳癌の増殖も阻害する。関節リウマチでは、軟骨細胞に対する保護作用及び炎症性メディエーターの産生阻害によって、抗炎症性サイトカインとしても作用する(Schuerweghら)。
(3) IL−10サイトカインファミリー:このファミリーは全て炎症部位に対して有益な効果を有し、その抗炎症作用は創傷治癒、炎症性大腸炎、及び乾癬の症例において記載されている。IL−10は、IL−2、TNF−α、及びIFN−γのような炎症性因子の産生をTh1細胞において低下させる。IL−10は、腫瘍部位においてマクロファージの浸潤を阻害することにより腫瘍増殖を低下させる(Liら、2004;Asadullahら、2004)。
【0028】
1つの態様では、本発明は、a)IL−1Rに結合し、又はIL−1Rアンタゴニスト活性(例えばIL−1R/IL−1RacPアンタゴニスト活性)を有する、アミノ酸配列RYTPELAを含むペプチド、又は単離ペプチド(式中、R、Y、T、P、E、L、及びAは対応のアミノ酸を表し、ペプチドはIL−1Rに結合できるか、又はIL−1Rアンタゴニスト活性(例えばIL−1R/IL−1RacPアンタゴニスト活性)を有する);及びb)1つ〜4つのアミノ酸の付加、欠失、又は置換を組み込み、且つIL−1Rへの結合に関してa)のペプチドと競合するか、又はそのIL−1Rアンタゴニスト活性(例えばIL−1R/IL−1RacPアンタゴニスト活性)を維持するa)の誘導体から成る群より選択される単離化合物に関する。1つの具体的な態様では、そのような誘導体は、3つ、2つ、又は1つのアミノ酸の付加、欠失、又は置換を組み込む。
【0029】
1つの更なる態様では、本発明は、一般式:RYTPELXによって特徴付けられる配列を含む、IL−1Rの生物活性に拮抗するペプチド、又は単離ペプチドに関するものであり、式中、R、Y、T、P、E、及びLは対応のアミノ酸を表し、Xはアミノ酸なし及びアラニン(A)から選択される。また、本発明は、incorporates ペプチドRYTPELXのRYTPEL部分にアミノ酸の付加、欠失、又は置換から選択される1つ、2つ、又は3つのアミノ酸修飾を組み込み、且つそのIL−1Rアンタゴニスト活性(例えばIL−1R/IL−1RacPアンタゴニスト活性)を維持する、この一般式の誘導体に関するものである。通常、アミノ酸の置換は、類似アミノ酸又は保存アミノ酸を用いてなされる。以下を参照されたい。
【0030】
1つの更なる態様では、誘導体は、アミノ酸の付加、欠失、又は置換から選択される2以下のアミノ酸修飾をペプチドのRYTPEL部分に含む。1つの具体的な態様では、そのようなペプチド、単離ペプチド、又はそれらの誘導体は、101−113、101−103、101−114、101−117、101.10、101.106、101.116、101.108、101.135、101.128、101.9、101.105、101.129、101.11、101.12、及び101.132から成る群より選択される。更に他の具体的な態様では、アンタゴニスト化合物は、101−113、101−103、101−114、101−117、及び101.10から成る群より選択される。
【0031】
更に他の態様では、本発明は、a)アミノ酸配列RYTPELXを含むペプチド(式中R、Y、T、P、E、Lは対応のアミノ酸を表し、Xはアミノ酸なし及びアラニン(A)から選択される);及びペプチドのRYTPEL部分にアミノ酸の付加、欠失、又は置換から選択される1つ、2つ、又は3つのアミノ酸修飾を組み込み、且つそのIL−1R/IL−1RacPアンタゴニスト活性を維持するa)の誘導体から成る群より選択される、IL−1R/IL−1RacPアンタゴニスト活性を有する単離化合物に関するものである。本発明は、当然ながら、そのような修飾を1つのみ、又は2つのみ有するそのような誘導体にも関するものである。そのようなアンタゴニストの例は、ペプチド101−113、101−103、101−114、101−117、101.10、101.106、101.116、101.108、101.135、101.128、101.9、101.105、101.129、101.11、101.12、及び101.132を含み、より好ましくはペプチド101−113、101−103、101−114、101−117、及び101.10を含む。
【0032】
1つの特定の態様では、本発明は、以下の一般式によって特徴付けられる配列を含む、IL−1Rの生物活性に拮抗するペプチドに関するものである:
X−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5 式I
式中、X、aa1、aa2、aa3−aa4、及びaa5は、独立して選択され、
Xは、A1P2R3Y4、A1A2R3Y4、A1P2A3Y4、A1P2R3A4、P2R3Y4、R3Y4、Z3Y4、R3F4、及びY4から選択され、式中、A、P、R、Y、及びFは対応のアミノ酸を表し、数はA1P2R3Y4配列中のアミノ酸の位置を表し、Zはシトルリンである;
A1は、アラニン、ロイシン、バリン、メチオニン、及びφから成る群より選択され、φは、限定されるものではないが、ノルロイシン、イソロイシン、tert−ロイシン、シクロヘキシルアラニン、アリルグリシンなどの疎水性側鎖を有するα−アミノ酸を定義する;
P2は、プロリン、アラニン、アミノイソ酪酸(Aib)、N−メチル−L−アラニン(MeAla)、トランス−4−ヒドロキシプロリン、ジエチルチアゾリジン カルボン酸(Dtc)、及びΩから成る群より選択され、Ωは構造制約を生ずるアミノ酸を定義する(Hanessian,Sら、1997;Halabら、2000;Cluzeau及びLubell、2004;Feng及びLubell、2001);その非限定的な例には、アゼチジン−2−カルボン酸、ピペコリン酸、イソニペコチン酸、4−(アミノメチル)安息香酸、2−アミノ安息香酸、ニペコチン酸が含まれる;
R3は、ヒスチジン、リジン、アラニン、オルニチン、シトルリン、2−ピリジルアラニン、3−ピリジルアラニン、4−ピリジルアラニン、及び限定されるものではないが4−アミジノフェニルアセチル、4−アミジノフェニルプロピオニル、4−アミジノフェニルグリシル、4−アミジノフェニルメチルグリシル、4−グアニジノフェニルアセチル、4−グアニジノフェニルプロピオニル、4−グアニジノフェニルグリシル、4−グアニジノフェニルメチルグリシルなどのアルギニン代用物から成る群より選択される(Masic及びKikelj、2001;Feng及びLubell、2001);
Y4は、残基なし、フェニルアラニン、トリプトファン、アラニン、及びΣから成る群より選択され、Σは疎水性側鎖Σ又は芳香族側鎖を有するα−アミノ酸を定義し、例には、限定されるものではないが、ノルロイシン、イソロイシン、tert−ロイシン、シクロヘキシルアラニン、アリルグリシン、ナフチルアラニン、ピリジルアラニン、ヒスチジン、チロシンが含まれる;
aa1は、スレオニン、セリン、バリン、及びηから成る群より選択され、ηは中性親水性アミノ酸を定義し、例には、限定されるものではないが、ヒドロキシバリン、Dettwiler及びLubell、2004に記載のようなβ,β−ジアルキルセリン、ホモセリン、アロスレオニン、ヒドロキシプロリンが含まれる;
aa2は、イソロイシン、ロイシン、バリン、プロリン、メチオニン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−カルボン酸、ヒドロキシプロリン チアゾリジン−a−カルボン酸、及びφから成る群より選択され、φは疎水性側鎖を有するα−アミノ酸を定義する(上記を参照されたい);
aa3は、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、セリン、ヒスチジン、ホモセリン、β−ロイシン、β−フェニルアラニン、α−アミノアジピン酸、及びΨから成る群より選択され、Ψは疎水性側鎖、芳香族アミン、脂肪族アミン、及び1級アリールアルキルアミンを有する3−アミノ−5−フェニルペンタン酸−α−アミノ酸を定義し、例には、限定されるものではないが、ベンジルアミン、フェニルエチルアミン、2,2−ジフェニルエチルアミン、4−フェニル−ベンジルアミンが含まれる;
aa4は、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びΛから選択され、Λは中性脂肪族アミノ酸を定義し、例には、限定されるものではないが、ノルロイシン、イソロイシン、tert−ロイシン、シクロヘキシアラニン、アリルグリシン;限定されるものではないがメチルアミン、イソブチルアミン、イソバレリルアミン、シクロヘキシルアミンなどの炭素数1〜10の脂肪族アミン;限定されるものではないがアニリン、ナフチルアミン、ベンジルアミン、シンナミルアミン、及びフェニルエチルアミンなどの芳香族アミン又はアリールアルキルアミンが含まれる。
【0033】
他の特定の態様では、本発明は、本発明による精製されたペプチドアンタゴニスト又はその誘導体に関する。
更に他の特定の態様では、本発明は、以下の一般式のうちの1つによって特徴付けられる配列を含む、IL−1Rの生物活性に拮抗するペプチド又はその誘導体に関する:
G1−X−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5− 式II
−X−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5−G2 式III
G1−X−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5−G2 式IV
式中:
G1はペプチドのアミノ末端に付着し、残基なし、水素、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基、アシル基(RCO)(アセチル、メチル、エチルなど)、プロピアノイル、ブタノイル、イソプロピアノイル、イソブタノイル、又は3級アミン(ジアルキルアミノ基又はモノアルキルアミノ基)から成る群より選択される;
G2はペプチドのカルボキシ末端に付着し、残基なし、水素、NH2、炭素数1〜10の脂肪族アミン(限定されるものではないが、メチルアミンなど)、イソブチルアミン、イソバレリルアミン、シクロヘキシルアミン、芳香族アミン、又はアリールアルキルアミン(限定されるものではないが、アニリン、ナフチルアミン、ベンジルアミン、シンナミルアミン、フェニルエチルアミンなど)、及び/又は3級アミン(ジアルキルアミノ基又はモノアルキルアミノ基)から成る群より選択される。
【0034】
本発明の更に他の態様では、IL−1Rの生物活性に拮抗するペプチド又はその誘導体は、式I、式II、式III、又は式IVによって定義される一般式のうちの1つによって特徴付けられる配列を有する。
【0035】
本発明の更なる態様では、IL−1R/IL−1RacPペプチド又はその誘導体は比較的小さな分子である。1つの態様では、ペプチドのサイズは5〜25アミノ酸であり、より具体的には5〜16アミノ酸であり、より具体的には5〜10アミノ酸であり、更により具体的には5〜9アミノ酸である。
【0036】
他の特定の態様では、本発明は、IL−1Rの生物活性に拮抗する、式I及び式IVに由来するペプチド模倣薬に関する。より特定の態様では、本発明のペプチド模倣薬は、図20及び図21に表される構造によって定義される。
【0037】
本発明によれば、下記一般式のペプチド模倣アンタゴニストが提供される
R1−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5−aa6−aa7−R2
式中、R1、aa1、aa2、aa3、aa4、aa5、aa6、aa7、及びR2は独立して選択される。
【0038】
R1は、残基なし、水素、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基、アシル基(RCO−)(式中、Rは炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基である)から成る群より選択される。Rの非限定的な例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、及びイソブチルが含まれる。
【0039】
aa1は、残基なし、アルギニン、リジン、オルニチン、シトルリン、炭素数2〜8のω−アミノアシル基、炭素数2〜6のω−グアニジニルアシル基、限定されるものではないが4−アミジノフェニルアセチル、4−アミジノフェニルプロピオニル、4−アミジノフェニルグリシル、4−アミジノフェニルメチルグリシル、4−グアニジノフェニルアセチル、4−グアニジノフェニルプロピオニル、4−グアニジノフェニルグリシル、4−グアニジノフェニルメチルグリシルなどのアルギニン代用物から成る群より選択される。
【0040】
aa2は、残基なし、チロシン、フェニルアラニン、ナフチルアラニン、ヒスチジン、4−ヒドロキシフェニルグリシン、トリプトファン、フェニルグリシン、ピリジルアラニン、ホモセリン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、及び4−クロロフェニルアラニンから成る群より選択される。
【0041】
aa3は、残基なし、スレオニン、セリン、β−ヒドロキシバリン、アロスレオニン、バリン、tert−ブチルロイシン、ロイシン、プロリン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−カルボン酸、ヒドロキシプロリン、及びアラニンから成る群より選択される。
【0042】
aa4は、残基なし、バリン、プロリン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−カルボン酸、ヒドロキシプロリン、チアゾリジン−4−カルボン酸、及び2,2−ジメチルチアゾリジン−4−カルボン酸から成る群より選択される。
【0043】
他の態様では、一体となったaa3−aa4は、3−アミノインドリジジン−2−オン 9−カルボン酸、3−アミノピロリジジン−2−オン 8−カルボン酸、3−アミノキノリジジン−2−オン 10−カルボン酸、8−アミノインドリジジン−9−オン 2−カルボン酸、ジペプチド代用物、又は限定されるものではないがHanessianらに概説されている例などのβ−ターン模倣体から成ることができる。
【0044】
aa5は、残基なし、アラニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン、ヒスチジン、ホモセリン、β−ロイシン、β−フェニルアラニン、及びα−アミノアジピン酸から成る群より選択される。
【0045】
aa6は、残基なし、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、限定されるものではないがメチルアミン、イソブチルアミン、イソバレリルアミン、シクロヘキシルアミンなどの炭素数1〜10の脂肪族アミン、限定されるものではないがアニリン、ナフチルアミン、ベンジルアミン、シンナミルアミン、又はフェニルエチルアミンなどの芳香族アミン又はアリールアルキルアミンから成る群より選択される。
【0046】
aa7は、残基なし、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、限定されるものではないがメチルアミン、イソブチルアミン、イソバレリルアミン、シクロヘキシルアミンなどの炭素数1〜10の脂肪族アミン、限定されるものではないがアニリン、ナフチルアミン、ベンジルアミン、シンナミルアミン、又はフェニルエチルアミンなどの芳香族アミン又はアリールアルキルアミンから成る群より選択される。
【0047】
R2は、残基なし、水素、NH2、限定されるものではないがメチルアミン、イソブチルアミン、イソバレリルアミン、シクロヘキシルアミンなどの炭素数1〜10の脂肪族アミン、限定されるものではないがアニリン、ナフチルアミン、ベンジルアミン、シンナミルアミン、フェニルエチルアミンなどの芳香族アミン及びアリールアルキルアミンから成る群より選択される。
【0048】
一般配列R1−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5−aa6−aa7−R2の残基のキラル中心の立体化学的立体配置は、R−立体配置及びS−立体配置、D−立体配置及びL−立体配置であり得ることに注目されたい。好ましい態様では、ペプチドは、全てのD−異性体から成る。オレフィンは、シス配置及びトランス配置であり得る。一般配列R1−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5−aa6−aa7−R2のアミノ酸残基は、限定されるものではないがアザアラニン、アザチロシン、アザフェニルアラニンなどの、キラルα炭素が窒素で置換されたアザアミノ酸対応物でもよい。
【0049】
本発明を図20及び図21の特定のペプチド模倣薬、並びに図26〜図30に例示されたものによって例示するが、本発明はあまり限定的ではない。本明細書の開示に基づいて、当該技術分野に熟練した者は、IL−1受容体に対するアンタゴニスト活性を有するペプチド模倣薬を容易に得、IL−1R/IL−1RacP受容体阻害化合物を更に同定し、又は本明細書に例示したものを改善することができる。本発明のペプチド模倣薬は、内在プロテアーゼによる分解に対する感受性が低く、したがってin vivo半減期が長い。
【0050】
本発明の1つの具体的態様では、IL−1受容体に対するアンタゴニスト活性を有するペプチド模倣薬は、TTI−101.140、TTI−101.141、TTI−101.125、TTI−101.110、TTI−101.111、TTI−101.136、及びTTI−101.143から成る群より選択される。好ましい態様では、ペプチド模倣薬は、TTI−101.140、TTI−101.141、TTI−101.125、及びTTI−101.110から成る群より選択される。
【0051】
本発明の化合物は、in vitroで、IL−1、並びにIL−1産生及びそのIL−1R/IL−1RacPへの結合に影響を及ぼし、そして影響される多くの因子の生物学的役割を理解するための独特の道具として有用である。本発明のペプチドアンタゴニストは、開発を容易にする、構造と活性との関係に関する重要な情報を提供するため、本発明のアンタゴニストは、IL−1受容体に結合する他の化合物の開発においても有用である。
【0052】
本発明のアンタゴニストは、細胞表面のIL−1R受容体の発現を測定するためのアッセイにおいてプローブとして用いることもできる。そのようなアッセイは、例えば組織感染又は障害に対する細胞炎症反応の程度の測定に有用であり得る。典型的には、試験対象の細胞を本発明のペプチド又はペプチド模倣に曝して細胞表面に存在する受容体に結合させ、反応した細胞を可視化する(例えば洗浄後、細胞選別、親和性クロマトグラフィ、免疫組織化学、オートラジオグラフィなど)。
【0053】
化合物は、類似の新規ペプチド受容体アンタゴニストをスクリーニングし、又は特徴付けるためのアッセイにおいて競合的阻害剤として用いることができる。そのようなアッセイ、及びIL−1R発現を測定するためのアッセイでは、本発明のペプチド又はペプチド模倣薬は修飾することなく用いることができ、又は標識することができる(即ち、検出可能なシグナルを直接的又は間接的に提供する部分に共有結合的又は非共有結合的に連結させる)。標識の例には、125I、14C、及び3Hなどの放射性標識、アルカリホスファターゼ及び西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素標識(米国特許第3,645,090号)、ビオチン、アビジンなどのリガンド標識、生物発光、リン光、化学発光を含めた発光化合物、又は蛍光標識(米国特許第3,940,475号)が含まれる。
【0054】
本発明の化合物は、in vivoでIL−1R反応に対するIL−1α又はIL−1βの効果を完全に又は部分的に阻害するように被験者に投与することができる。したがって、本発明の方法は、IL−1関連障害の治療的処置に有用である。例えば、本発明の組成物は、IL−1の不適切な産生又はIL−1に対する不適切な反応に関連した症状(例えば関節リウマチ及び炎症性大腸炎)を治療するのに治療的に有効な量で投与することができる。
【0055】
明細書及び特許請求の範囲において用いた用語について、そのような用語を与えるべき範囲を含めて明確且つ一貫した理解を提供するために、以下に多くの定義を提供する。
定義
他に定義されない限り、本明細書において用いた科学用語及び技術用語並びに命名は、本発明が関連する分野において通常の技術を有する者に一般に理解されるのと同一の意味を有する。分子生物用語の一般に理解される定義は、例えば、『微生物学及び分子生物学辞典』、第2版(Singletonら、1994、John Wiley&Sons、ニューヨーク、ニューヨーク州)、『Harper Collinsの生物学事典』(Hale&Marham、1991、Harper Perennial、ニューヨーク、ニューヨーク州)、Riegerら、『遺伝学用語解説:古典と分子』、第5版、Springer−Verlag、ニューヨーク、1991;Albertsら、『細胞の分子生物学』、第4版、Garland science、ニューヨーク、2002;並びにLewin、『遺伝子 VII』、オックスフォード大学出版、ニューヨーク、2000に見出すことができる。一般に、細胞培養、感染、分子生物法のなどの手順は、当該技術分野において一般に用いられている方法である。そのような標準技術は、例えば、Sambrookら(2000、『分子クローニング−実験室マニュアル』、第3版、コールドスプリングハーバー研究所);及びAusubelら(1994、『分子生物学の最新プロトコール』、John Wiley&Sons、ニューヨーク)などの参考書に見出すことができる。
【0056】
本明細書において、20の天然アミノ酸及びそれらの略語は慣例的用法にしたがう。α,α−2置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸、及び他の非慣用的アミノ酸のような立体異性体(例えばD−アミノ酸)も本発明のポリペプチドの好適な成分であり得る。非慣用的アミノ酸の例には、限定されるものではないが、シトルリン、オルニチン、ノルバリン、4−(E)−ブテニル−4(R)−メチル−N−メチルスレオニン(MeBmt)、N−メチル−ロイシン(MeLeu)、アミノイソ酪酸、スタチン、N−メチル−アラニン(MeAla)が含まれる。
【0057】
本明細書において芳香族アミンという用語は、6〜10炭素原子の環を有する分子であると理解され、例には、限定されるものではないが、フェニルメチルアミン、フェニルエチルアミン、フェニルプロピルアミン、及び飽和又は不飽和炭化水素鎖を含むアミンが含まれる。
【0058】
本明細書において、アリールアルキルアミンという用語は、飽和又は不飽和炭化水素鎖を含むアミンであると理解される。1級アリールアルキルアミンは6〜10炭素原子の環で構成され、例には、限定されるものではないが、フェニル、トリル、アルコキシフェニル、アルコキシカルボニルフェニル、及びハロフェニルが含まれる。
【0059】
本明細書において、「アリール」という用語は、フェニル、1−ナフチル、及び2−ナフチルであると理解される。本明細書において、「置換アリール」という用語は、フェニル、ヘテロアリール、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、ハロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、アミノ、−NH(低級アルキル)、及び−N(低級アルキル)2から成る群より選択される置換基を有するフェニル、1−ナフチル、及び2−ナフチル、並びにメチル、メトキシ、メチルチオ、ハロ、ヒドロキシ、及びアミノから成る群より選択される置換基を含む1−、2−、及び3−置換フェニル、1−ナフチル、及び2−ナフチルであると理解される。
【0060】
本明細書において、「アルキル」という用語は、8以下の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖ラジカルであると理解される。本明細書において、「低級アルキル」という用語は、4以下の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖ラジカルであると理解され、「アルキル」という用語の好ましい下位群である。
【0061】
本明細書において、「置換アルキル」という用語は、1以上の、好ましくは1つ、2つ、又は3つの水素原子が、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、トリフルオロメチル、−NH(低級アルキル)、−N(低級アルキル)2、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、及びカルボキシ、アリール及びヘテロアリールから成る群より選択される置換基によって置換されている、8以下の炭素原子を有するそのような直鎖又は分岐鎖ラジカルであると理解される。
【0062】
特に断りのない限り、「IL−1」は、IL−1α及びIL−1βのいずれか又は両方を表す。「IL」という用語は、インターロイキンの広範なファミリーを表す。
上記のように、本明細書において、20の天然L−アミノ酸及びそれらの略語は慣例的用法にしたがう。本明細書で用いたポリペプチド表記法では、標準的用法及び慣例にしたがい、左方向はアミノ末端方向であり、右方向はカルボキシ末端方向である。本明細書において、「ペプチド」及び「ポリペプチド」という用語は、非常の多数のアミノ酸又はイミノ酸(又はそれらの同等物)をペプチド結合によって含む高分子を表し、ポリペプチドは翻訳後修飾を含んでいても欠失していてもよい。したがって、ペプチドという用語には、改変がIL−1受容体活性の調整能を変化させない限り、IL−1受容体D−アミノ酸アンタゴニストペプチド及びペプチドの他の改変型が含まれる。本発明の全てのアンタゴニストペプチドは、IL−1受容体活性の調整能を共有する。改変の非限定的な例には、N末端アセチル化、グリコシル化、及びビオチン化が含まれる。本発明によるペプチドの具体的な改変型を以下に更に記載する。
【0063】
本明細書において、「逆Dペプチド」という用語は、L−アミノ酸を含有するペプチドに対して逆配列に配置されたD−アミノ酸を含有するペプチドを表す。したがって、L−アミノ酸ペプチドのC末端残基はD−アミノ酸ペプチドのN末端になる、などである。逆D−ペプチドはL−アミノ酸ペプチドと同一の3次構造を保持し、したがって同一活性を保持することが多いが、酵素的分解に対してはin vitro及びin vivoでオリジナルのペプチドより安定であり、したがって治療効果が大きい(Brady及びDodson、1994;Jamesonら、1994)。
【0064】
本明細書において、「機能性誘導体」の意味は、アミノ酸配列の機能性誘導体の文脈ではオリジナル配列と実質的に類似する生物活性(機能的又は構造的)を保持する分子を示す。この機能性誘導体又は同等物は天然であっても合成してもよい。そのような誘導体には、タンパク質の生物活性が保存されるという条件で(例えばIL−1受容体の非競合的アンタゴニストとして作用する)、1以上のアミノ酸の置換、欠失、又は付加を有するアミノ酸配列が含まれる。置換するアミノ酸は、通常、置換されたアミノ酸と類似の物理化学特性を有する。類似の物理化学特性には、電荷、かさ高、疎水性、親水性などにおける類似性が含まれる。「機能性誘導体」という用語は、本発明の主題の「セグメント」、「変異体」、「アナログ」、又は「化学的誘導体」を含むことが意図される。
【0065】
「生物活性」又は「IL−1R/IL−1RacP活性」又は「受容体活性」という用語は、IL−1若しくはIL−1R/IL−1RacPの遺伝子又はタンパク質の検出可能な生物活性を表す。細胞内シグナル伝達におけるIL−1R/IL−1RacPタンパク質の特定の生物活性を含むことができる。これには、PGE2産生の測定、増殖アッセイ、並びに遺伝子及びタンパク質の発現変化(例えばIL−6、IL−1、COX酵素)が含まれる。しかしながら、IL−1R/IL−1RacP活性は、これらの重要な生物活性に限定されるものではない。生物活性には、例えば、化合物、基質、相互作用タンパク質などによるIL−1Rへの単純な結合も含まれる。例えば、IL−1反応又はIL−1Rの結合若しくは相互作用を阻害能又は増加能(例えば調整能)に対する試験化合物の効果を測定することは、本明細書において、本発明によるIL−1Rの生物活性を測定することとみなされる。概して、本発明のペプチド、ペプチド誘導体、又はペプチド模倣薬の非存在下と存在下とを対比した受容体サブユニット(例えばIL−1R及びIL−1RacP)の分子内又は分子間結合は、本発明による生物活性の更に他の例である。IL−1R/IL−1RacPの生物活性には、この受容体の生化学的測定値、立体構造変化、リン酸化状態、及び受容体のシグナル伝達の下流効果、例えばタンパク質リン酸化(又は他の翻訳後修飾、例えばユビキチン化、ユビキチン様タンパク質による修飾、パルミチン酸化、プレニル化など)、キナーゼ作用、又は当該技術分野に公知の技術を用いて測定できるタンパク質の他の特徴なども含まれる。最後に、IL−1R/IL−1RacPの生物活性には、細胞構築、細胞増殖、又は所定の受容体に対するリガンド(即ちIL−1)の作用によって調節される他の細胞現象における検出可能な変化が含まれる。
【0066】
本明細書において「変異体」という用語は、構造及び生物活性においてそのタンパク質と実質的に類似し、少なくとも1つの生物活性を維持するタンパク質を表す。したがって、2つの分子が共通の活性を有し、互いに置換できるという条件において、たとえ1つの分子の組成、又は2次構造、3次構造、若しくは4次構造が他に見られるものと同一でない場合であっても、あるいはアミノ酸配列又は核酸配列が同一でない場合でも、本明細書において用いるように、それらは変異体であるとみなされる。本発明はペプチド配列並びにそれらの誘導体及び変異体に関するものであるが、遺伝学的にコードされたアミノ酸から成る本発明のペプチドアンタゴニストを発現するように核酸配列をデザインできることを理解すべきである。発現ベクター、調節配列(例えばプロモーター)、リーダー配列、並びにそれらを作製する方法及びそれらを細胞へ導入する方法は号外技術分野において周知である。したがって、1つの態様では、本発明のそのようなアンタゴニストペプチドは、組換え技術によって細胞で発現される。1つの態様では、細胞は原核細胞であり、そのようなペプチドを作製し精製する役割を果たす。他の態様では、真核細胞は、IL−1活性を調節する必要がある特定の真核細胞である。
【0067】
本発明の機能性誘導体は、化学的に合成することも組換えDNA技術で作製することもできる。これらの方法は全て当該技術分野において周知である。
本明細書において「被験者」又は「患者」という用語は、治療、観察、又は実験の対象である動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを表す。
【0068】
「阻害」、「減少」、又は「予防」という用語、あるいはこれらの用語の変形には、特許請求の範囲及び/又は明細書で用いる場合、所望の結果を達成するための受容体活性の測定可能な減少又は完全な阻害が含まれる。例えば、ペプチドは、本発明のペプチド、ペプチド誘導体、又はペプチド模倣薬で処理した後、これらのペプチドの非存在下と比較してPGE2産生の減少が測定される場合、IL−1活性を阻害すると言われる。
【0069】
本明細書において「精製された」という用語は、それがもともと存在していた組成物の成分から分離された分子(例えばIL−1受容体、ペプチド、ペプチド誘導体、ペプチド模倣薬、核酸、タンパク質など)を表す。したがって、例えば、「精製されたIL−1受容体」は、天然には観られないレベルまで精製されている。「実質的に純粋な」分子は、他の成分の大部分を喪失した(例えば混入物質の30、40、50、60、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、100%が存在しない)分子である。逆に、「粗製」という用語は、それが存在していたもともとの組成物の成分から分離されていない分子を意味する。したがって、「分離する」又は「精製する」という用語は、生体サンプルの1以上の成分が、サンプルの1以上の他の成分から取り除かれる方法を表す。サンプル成分には、タンパク質、炭水化物、又は脂質などの他の成分を含み得る通常水溶液中の核酸が含まれる。分離工程又は精製工程は、少なくとも約70%(例えば70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、100%)、より好ましくは少なくとも約90%(例えば90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%)、更により好ましくは少なくとも約95%(例えば95、96、97、98、99、100%)のサンプル中に存在する他の成分を所望の成分から除去することが好ましい。簡潔にするために、単位(例えば66、67...81、82、...91、92%....)が系統的に列挙されていないが、それでも本発明の範囲内であるとみなされる。
【0070】
「医薬的に許容可能な担体」という用語は、化合物の活性成分の生物活性の有効性を妨げず、投与される宿主(例えば患者)に対して毒性がない担体媒体を表す。
本明細書において「治療的に又は医薬的に有効な量」とは、所望の効果を誘導するのに十分な本発明の組成物の量を表す。そのような結果は、疾患の徴候、症状、若しくは原因の緩和又は軽減、あるいは標的生理系の他の所望の変化であり得る。例えば、炎症性疾患の場合(例えば関節炎及び炎症性大腸炎)、典型的な結果は炎症反応及び免疫反応の低下を包含するであろう。
【0071】
本明細書において、「分子」、「化合物」、「物質」、又は「リガンド」という用語は、互換的に用いられ、天然、合成、又は半合成の分子又は化合物を広く表す。したがって、「分子」という用語は、例えば化学物質、高分子、細胞又は組織の抽出物(植物又は動物由来)などを意味する。分子の非限定的な例には、ペプチド、抗体、炭水化物、及び医薬物質が含まれる。物質は、ランダムスクリーニング、合理的選択を含めたさまざまな手段によって、及び例えばコンピュータモデリングなどのタンパク質又はリガンドのモデリング法を用いた合理的デザインによって選択し、スクリーニングすることができる。「合理的に選択された」又は「合理的にデザインされた」という用語は、本発明の相互作用ドメインの立体配置に基づいて、あるいは本発明のアンタゴニストペプチド及び/又はペプチド模倣薬の立体配置に基づいて選択されている化合物を定義することを意味する。通常の技術を有する者に理解されるように、非天然修飾を有する高分子も「分子」という用語の範囲内である。例えば、医薬産業において周知であり、通常ペプチドアナログといわれるペプチド模倣薬は、上記のようなモデリングによって作製することができる。同様に、好ましい態様では、本発明のポリペプチドは、安定性を高めるために修飾される。多くの場合、この修飾は相互作用ドメインの生物活性を変えるべきでないことが理解されるはずである。本発明の教示にしたがい同定される分子は、細胞及び/又は組織の生理機能又はホメオスタシスがIL−1の産生又は反応における欠陥によって傷つけられている疾患又は病態に治療価値を有する。そのような疾患又は病態の非限定的な例には、関節リウマチ、炎症性大腸炎(IBD)、変形性関節症、乾癬、敗血症、脳炎、及び呼吸窮迫症候群などの急性及び慢性の炎症性疾患、アルツハイマー病、脳室周囲白質軟化症、髄膜炎、卒中、及び多くの自己免疫疾患が含まれる。化合物は、本明細書において、「API−X」、「TTI−X」として、又は単に化合物番号によって互換的に記載されることが理解されるであろう(例えば:「101.10」、「API−101.10」、又は「TTI−101.10」)。
【0072】
本明細書において、「アンタゴニスト」、「ペプチドアンタゴニスト」、又は「IL−1R/IL−1RacPアンタゴニスト」は、IL−1又はIL−1R/IL−1RacPの生物活性を阻害可能(完全に又は部分的に)な分子を表す。「アンタゴニスト」、「ペプチドアンタゴニスト」、又は「IL−1R/IL−1RacPアンタゴニスト」という用語には、公知化合物の、アンタゴニスト特性を有する増強剤も含まれる。
【0073】
本明細書において、「模倣体」「模倣薬」「ペプチド模倣薬」などの専門用語は、互換的に用いられる。
「1つの(a)」という語の使用は、特許請求の範囲及び/又は明細書において「含む(comprising)」という用語とともに用いる場合、「1」を意味することができるが、「1以上」、「少なくとも1つ」、及び「1以上」の意味とも一致する。
【0074】
本願を通して、「約」という用語は、ある値が、その値を決定するために用いる装置又は方法の誤差の標準偏差を含むことを示すために用いられる。
特許請求の範囲における「又は」という用語は、本明細書の開示は代替物のみ及び「及び/又は」を表す定義を支持しているが、代替物のみを表すことが明確に示されていないか、又は代替物が互いに排他的でない場合は、「及び/又は」を意味するために用いられる。
【0075】
本明細書及び特許請求の範囲において、「含む(comprising)」(及び含むの変形)、「有する(having)」(及び有するの変形)、「含めた(including)」(及び含めたの変形)、又は「含有する(containing)」(及び含有するの変形)という語は、包括的又は非制限的であり、追加の、引用されていない要素又は方法工程を排除するものではない。
【0076】
「短いペプチド」という用語は、約6〜25アミノ酸の配列を意味することを意図する。
本明細書において、「精製された」という用語は、それが元々含有されていた組成物の成分から分離されている化合物を表す。したがって、例えば、「精製されたペプチド」又は「ペプチドの精製された組成物」は、天然に見られないレベルまで精製されている。「実質的に純粋な」粗化合物は、他の成分の大部分を喪失した化合物である(例えば混入物質の30、40、50、60、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、100%が存在しない)。逆に、「粗製」という用語は、それが存在したオリジナル組成物の成分から分離されていない化合物を意味する。簡潔にするために、単位(例えば66、67...81、82、...91、92%....)を具体的に列挙しないが、それでも本発明の範囲内であるとみなされる。
【0077】
「単離ペプチド」又は「単離化合物」は、その天然のin vivo状態、又は初期段階においてそれが他の成とともに存在する状態から(例えば合成から)精製される。
本明細書において考察される態様は、本発明の方法又は組成物に関して実施でき、逆もまた同様であることが意図される。更に、本発明の組成物及びキットは、本発明の方法を達成するために使用できる。
【0078】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明及び特定の実施例は、本発明の具体的態様を示しているが、当該技術分野に熟練した者にはこの詳細な説明から本発明の精神及び範囲内でさまざまな改変及び修飾が明らかとなるため、説明のためにのみ提供するものであることが理解されるはずである。
【0079】
図面の簡単な説明
このように本発明を一般的に記載する上で、具体的態様を説明するためにのみ示す添付の図面を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0080】
具体的態様の説明
本発明の1つの目的は、IL−1受容体アクセサリータンパク質の生体機能を阻害可能なペプチド及びペプチド模倣化合物のファミリーについて記載することである、したがって、非常に多くの病的状態に有用であろう。
【0081】
開示を明確にするために、そして限定するためでなく、本発明の詳細な説明を以下のサブセクションに分割する:
I. 本発明のペプチドを同定するためのアッセイ
II. ペプチドの調製
III. ペプチド誘導体とペプチド模倣薬
IV. ペプチド模倣薬を同定するためのアッセイ
V. 医薬組成物。
【0082】
I. 本発明のペプチドを同定するためのアッセイ
候補化合物のIL−1受容体活性の阻害能を試験するための方法を本明細書に提示する。本発明はさほど限定されないことが理解されるであろう。実際、本発明の非競合的細胞外アゴニスト又はアンタゴニストを同定するために、当該技術分野に周知の他のアッセイを用いることができる。
【0083】
通常、IL−1R/IL−1RacPアンタゴニスト(即ち、ペプチド、ペプチド模倣薬、小分子、又は他の薬物のような候補若しくは試験化合物又は物質)のスクリーニングは、IL−1R/IL−1RacPの生物活性を測定するアッセイに基づくことができる。本発明のアッセイは、天然又は組換えIL−1受容体を使用する。IL−1活性のアンタゴニストに関する細胞画分又は無細胞系スクリーニングアッセイは、精製されたIL−1受容体、又は精製された組換えIL−1受容体をin situで用いることができる。細胞に基づいたアッセイは、IL−1受容体を天然に発現する細胞、又は組換えIL−1受容体を含有する細胞を使用することができる。全ての場合において、IL−1受容体の生物活性は直接的又は間接的に測定することができる;したがって、IL−1受容体活性の阻害剤又は活性化剤を同定することができる。標準的コンビナトリアル化学技術によって阻害剤又は活性化剤自体を更に修飾し、最初に同定された化合物の改良型アナログを提供することもできる。
【0084】
1つの態様では、アッセイは細胞に基づいたアッセイであり、天然又は組換え由来であるIL−1R/IL−1RacP受容体複合体又はその生物学的に活性な部分を発現する細胞を試験化合物と接触させ、試験化合物のIL−1R/IL−1RacP受容体生物活性の調製能、例えばPGE2産生、増殖アッセイ、IL−1Rの結合パートナー(IL−1RacP)への結合、又はIL−1受容体の他の測定可能な生物活性の調節を測定する。
【0085】
別の態様では、試験化合物のIL−1R/IL−1RacP受容体複合体の活性調整能の測定は、試験化合物のIL−1R/IL−1RacP受容体標的分子の下流エフェクターの活性調整能を測定することによって達成することができる。例えば、試験化合物のエフェクター分子に対する活性を測定することができる。そのような下流エフェクターの非限定的な例には、インターロイキン受容体活性化キナーゼ(IRAK);TRAF、NI−KB(例えばp65)の活性化、変異原性活性化プロテインキナーゼ(MAPK)が含まれる。本発明の化合物の調節活性(アゴニスト又はアンタゴニスト)を規定するためにアッセイされるであろうエフェクター分子の他の例はSimsら、2002;及びKashiwamuraら、2002に記載されている。
【0086】
本発明の上記アッセイ法の1以上の態様では、相互作用タンパク質の一方又は両方の非複合体から複合体を容易に分離するため、及びアッセイの自動化に対応するために、IL−1、IL−1R、IL−1RacP、又は本発明の相互作用ペプチド若しくはペプチド模倣薬を固定することが望ましい。候補化合物の存在下及び非存在下における試験化合物のIL−1Rタンパク質への結合、又はIL−1Rタンパク質と標的分子(例えばIL−1RacP)との相互作用は、反応物質を含有するのに好適な容器中で達成することができる。そのような容器の例には、マイクロタイタープレート、試験管、及びマイクロ遠心管が含まれる。1つの態様では、タンパク質の一方又は両方をマトリックスに結合させるドメインを追加する融合タンパク質を提供することができる。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/IL−1R融合タンパク質、又はグルタチオン−S−トランスフェラーゼ/IL−1RacP融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(シグマ化学、セントルイス、ミズーリ州)、又はグルタチオン被覆マイクロタイタープレートに吸着させることができる。次に、それらを、試験化合物、及び非吸着標的タンパク質又はIL−1Rタンパク質と組み合わせ、複合体形成を誘導する条件下(例えば塩及びpHに関し生理的条件)で混合物をインキュベーションする。インキュベーション後、ビーズ又はマイクロタイタープレートのウェルを洗浄して未結合成分を除去し、例えば上記のようにして複合体形成を直接的又は間接的に測定する。あるいは、複合体をマトリックスから解離させ、IL−1Rの結合レベル又は活性レベルを標準技術を用いて測定することができる。
【0087】
タンパク質をマトリックスに固定するための他の技術(当該技術分野で周知である)を本発明のスクリーニングアッセイに用いることもできる。例えば、IL−1Rタンパク質又はIL−1R相互作用分子(例えばIL−1、IL−1RacP)を、ビオチンとストレプトアビジンとの結合を用いて固定することができる。ビオチン化IL−1Rタンパク質又はIL−1R相互作用分子は、ビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から、当該技術分野に公知の技術(例えばビオチン化キット、Pierce Chemicals、ロックフォード、イリノイ州)を用いて調製し、ストレプトアビジンを被覆した96ウェルプレート(Pierce Chemical)のウェルに固定することができる。あるいは、IL−1Rタンパク質又はIL−1R相互作用分子と反応するが、IL−1Rタンパク質のIL−1R相互作用分子への結合は妨げない抗体をプレートのウェルに被覆し、未結合の標的又はIL−1Rタンパク質を抗体結合によってウェルに捕捉することができる。GST固定化複合体に関して上記したものに加えて、そのような複合体の検出法には、IL−1Rタンパク質又は標的分子に反応する抗体、及びIL−1R又はIL−1R相互作用分子に関連した酵素活性の検出に依拠する酵素結合アッセイを用いた複合体の免疫検出が含まれる。
【0088】
本明細書に記載し、例示したようなin vivo実験モデルは、in vitroアッセイの実施に用いることもできることが理解されるであろう。
in vitroアッセイ
1つの態様では、IL−1受容体の細胞増殖調整能の活性化能又は阻害能に関し、3H−チミジン取り込み法で候補ペプチドを試験する。更に他の態様では、IL−1受容体の細胞増殖調整能の活性化能又は阻害能に関し、例えば(Bakerら、1995;Cheviron、Grillonら、1996);(Elliottら、1999;Huら、1999)に記載のアッセイを用いて候補ペプチドを試験する。
【0089】
他の態様では、IL−1R若しくはその部分、又はIL−1R/IL−1RacP経路の上流若しくは下流の標的タンパク質のリン酸化状態の調整能に関し、例えばin vitroキナーゼアッセイを用いて候補ペプチドを試験する。
【0090】
他の態様では、PGE2レベル、IL−6若しくはコラーゲナーゼの発現、又は軟骨細胞及び線維芽細胞などのIL−IR/IL−1RacP発現細胞においてIL−1刺激後に修飾されるレベルを有する他の分子に関し、IL−1Rを標的とする候補ペプチドを試験する。
【0091】
in vivoアッセイ
上記アッセイは、更に開発するための有望なリード化合物を検出するための初期又は1次スクリーニングとして用いることができる:リードペプチドは、追加の、異なるスクリーニングで更に評価されるであろう。したがって、本発明は、これらの受容体を発現する哺乳動物細胞株又は他のアッセイを利用したさまざまなアッセイを包含し得る2次IL−1Rスクリーニングも包含する。
【0092】
3級スクリーニングは、臨床症状に関する動物モデルにおいて同定した阻害剤の試験を包含することができる。したがって、本明細書に記載したようにして、ラット又はマウスのような適切な動物モデルにおいて同定された物質(ペプチド又はペプチド模倣薬)を更に使用することは本発明の範囲内である。例えば、ペプチドを動物モデルに用いて、そのような物質による処理の有効性、毒性、又は副作用を決定することができる。あるいは、本明細書に記載したようにして同定した物質を動物モデルに用いて、そのような物質の作用機序を決定することができる。更に、本発明は、明細書に記載のように、処置(例えば、IL−1受容体の脱制御又は機能不良に関連したさまざまな種類の障害の処置)に関する上記スクリーニングアッセイで同定された新規物質の使用に関係する。そのようなアッセイに使用できる非限定的な動物モデルには、コラーゲンで誘発されたラット関節炎、急性IBDの動物モデル、免疫抑制マウスにおける腫瘍増殖、新生児マウスの気道の感作、及びトランスジェニック動物を含めた他の公知の動物モデルが含まれる。
【0093】
II. ペプチドの調製
本発明のペプチド又はペプチド誘導体は、合成技術(例えば排他的固相合成、部分的固相合成、フラグメント縮合、古典的液相合成)及び組換え技術を含めた、当該技術分野に熟練した者に公知のペプチド合成法によって得られる。例えば、ペプチド又はペプチド誘導体は、手短にはC末端アミノ酸のカルボキシル基を樹脂(例えばベンズヒドリルアミン樹脂、クロロメチル化樹脂、ヒドロキシメチル樹脂)にカップリングさせ、続いてN−α保護アミノ酸を加えることから成る固相ペプチド合成によって得ることができる。保護基は当該技術分野に公知の如何なる基でもよい。個々の新たなアミノ酸を伸びている鎖に加える前に、鎖に加えた前のアミノ酸の保護基を除去する。そのような固相合成は、例えば、Merrifield、1964、J.Am.Chem.Soc.85:2149;Valeら;1981、Science、213:1394−1397によって、そして米国特許第4,305,872号及び第4,316,891号、Bodonskyら、1966、Chem.Ind.(ロンドン)、38:1597;Pietta及びMarshall、1970、Chem.Comm.650に記載されている。アミノ酸の適切な樹脂へのカップリングも当該技術分野に周知であり、米国特許第4,244,946号に記載されている。(Houver−Weyl、『有機化学法』、Vol.E22a、「ペプチドとペプチド模倣薬の合成」、Murray Goodman、編集長、Thieme、Stuttgart、ニューヨーク、2002に概説されている)。
【0094】
本発明の化合物の調製工程のあいだ、関係する分子上の感受性反応基を保護することは必要及び/又は望ましいかもしれない。これは、『有機合成における保護基』、T.W.Greene&P.G.M.Wuts、1991、John Wiley and Sons、ニューヨーク;並びに『ペプチド:化学と生物学』、Sewald及びJakubke、2002、Wiley−VCH、Wheinheim、p.142に記載のような慣用の保護基によって達成することができる。例えば、αアミノ保護基には、アシル型保護基(例えばトリフルオロアセチル、ホルミル、アセチル)、脂肪族ウレタン型保護基(例えばt−ブチルオキシカルボニル(BOC)、シクロヘキシルオキシカルボニル)、芳香族ウレタン型保護基(例えばフルオレニル−9−メトキシ−カルボニル(Fmoc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、Cbz誘導体)、及びアルキル型保護基(例えばトリフェニルメチル、ベンジル)が含まれる。アミノ酸側鎖の保護基には、ベンジル(Thr及びSer用)、Cbz(Tyr、Thr、Ser、Arg、Lys)、メチル エチル、シクロヘキシル(Asp、His)、Boc(Arg、His、Cys)などが含まれる。保護基は、都合のよいその後の段階で、当該技術分野に公知の方法を用いて除去することができる。
【0095】
1つの態様では、アナログ及び他の修飾変異体を含めた本発明のペプチドは、通常、FMOCプロトコールにしたがい、保護基を用いて有機相で合成することができる。それらは、HPLCを用いて、C18カラムで、10〜60%のアセトニトリル濃度勾配で溶出させて、収率70%で精製することができる。次に、分子量を質量分析(Fields,G.B.『固相ペプチド合成』、Methods in Enzymology、第289巻、Academic Press、1997に概説されている)で確認することができる。
【0096】
あるいは、遺伝的にコードされたアミノ酸から成る本発明のペプチドは、ペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を用いて組換えシステムで調製することができる。本発明のペプチドは、1より多い上記修飾を同一ペプチド内に含有できることが理解される。本発明のペプチド又はその誘導体の医薬的に許容可能な塩複合体も本発明に包含される。
【0097】
合成したペプチド又はペプチド誘導体の精製は、クロマトグラフィ(例えばイオン交換、サイズ排除、親和性)、遠心、沈殿、又はペプチド及びペプチド誘導体を精製するための標準技術を含めた標準法によって行う。1つの態様では、薄層クロマトグラフィを使用する。他の態様では、逆相HPLCを使用する。当該技術分野に周知で、ペプチドの単離及び精製に好適な他の精製技術を本発明に用いてもよい。
【0098】
本発明による化合物の調製工程が立体異性体の混合物を生じさせる場合、これらの異性体は、分取クロマトグラフィなどの慣用技術によって分離することができる。化合物は、ラセミ体で調製することができ、あるいはエナンチオ特異的合成又は分割によって個々のエナンチオマーを調製することもできる。化合物は、例えば、光学活性酸との塩形成後、分別再結晶及び遊離塩基の再生によってジアステレオ異性体対を形成するなどの標準技術によってエナンチオマー成分に分割することができる。化合物は、ジアステレオマーのエステル又はアミドを形成した後、キラル補助基を除去することによって分割することもできる。あるいは、化合物は、キラルHPLCカラムを用いて分割することができる。
【0099】
III. ペプチド誘導体とペプチド模倣薬
天然アミノ酸のみから成るペプチドに加えて、ペプチド模倣薬又はペプチドアナログも本発明に包含される。ペプチドアナログは医薬産業において、鋳型ペプチドと類似した特性を有する非ペプチド薬として一般に用いられている。非ペプチド化合物の類型は、「ペプチド模倣体」又はペプチド模倣薬と呼ばれている(Fauchere,J.1986、Adv.Drug Res.15:29;Evansら、1987、J.Med.Chem.30:1229)。治療的に有用なペプチドと構造的に関連したペプチド模倣体は、同等の若しくは増強された治療効果又は予防効果を生ずるために用いることができる。一般に、ペプチド模倣薬は、天然受容体結合ポリペプチドのようなパラダイムポリペプチドと構造的に類似する(即ち、生物活性又は薬理活性を有するポリペプチド)が、当該技術分野に周知の方法で場合により−CH2NH−、−CH2S−、−CH2−CH2−、−CH=CH−(シス及びトランス)、−CH2SO−、−CH(OH)CH2−、−COCH2−などのような結合によって置換された1以上のペプチド結合を有する(Spatola A.F.、ペプチド骨格修飾、Vega Data、March 1983、1(3):267;Spatolaら、Life Sci.、1986、38:1243−1249;Hudson D.ら、Int.J.Pept.Res.1979、14:177−185;Weinstein.B.、1983、『アミノ酸、ペプチド、及びタンパク質の化学と生化学』、Weinstein監修、Marcel Dekker、ニューヨーク)。そのようなペプチド模倣体は、天然ポリペプチドよりも、経済的生産向上、化学的安定性の増加、薬理特性(例えば、半減期、吸収、効能、効率など)の増大、抗原性の減少などを含めた顕著な利点を有するかもしれない。
【0100】
ペプチドは野生型IL−1のin vitro阻害に有効であるが、それらのin vivo有効性はプロテアーゼの存在により弱められるであろう。血清プロテアーゼには特異的基質要求性がある。基質は、L−アミノ酸と、切断のためのペプチド結合とを有する必要がある。更に、血清プロテアーゼ活性の最も顕著な成分を表すエクソペプチダーゼは、ペプチドの最初のペプチド結合に通常作用し、遊離N末端を必要とする(Powellら、1993)。これを考慮すると、ペプチドアナログ又は誘導体とも呼ばれる修飾型ペプチドを使用することは有益であることが多い。修飾ペプチドは、IL−1に関して生物活性を付与するオリジナルL−アミノ酸ペプチドの構造特性を保持するが、有利にも、プロテアーゼ及び/又はエクソペプチダーゼによって容易に切断されない。
【0101】
保存配列の1以上のアミノ酸の、同種のD−アミノ酸による体系的な置換(例えばL−リジンの代わりにD−リジン)を用いて、より安定なペプチドを作製することができる。したがって、本発明のペプチド誘導体又はペプチド模倣薬は、全てL、全てD、又はD、Lを混合したペプチドでもよい。好ましい態様では、ペプチドは全てD−アミノ酸から成る。D−アミノ酸のN末端又はC末端の存在は、ペプチダーゼはD−アミノ酸を基質として使用できないため、ペプチドのin vivo安定性を高める(Powellら、1993)。逆D−ペプチドは、L−アミノ酸を含有するペプチドに対して逆配列に配置された、D−アミノ酸を含有するペプチドである。したがって、L−アミノ酸ペプチドのC末端残基は、D−アミノ酸ペプチドのN末端になる、などである。逆D−ペプチドは、L−アミノ酸ペプチドと同一の3次構造を保持し、したがって同一活性を保持するが、酵素分解に対してin vitro及びin vivoでより安定であるため、オリジナルペプチドよりも治療効果が大きい(Brady及びDodson 1994;Jamesonら、1994)。逆D−ペプチドに加えて、保存配列、又は実質的に同一の配列の変形を含む制約されたペプチドを、当該技術分野に周知の方法で、例えばペプチドを環化するジスルフィド結合を形成可能なシステイン残基を付加することによって作製することができる(Rizo et Gierasch、Ann.Rev.Biochem.、1992、61:387)。環状ペプチドには遊離のN末端もC末端もない。したがって、それらは当然エンドペプチダーゼの影響を受けやすいが、ペプチド末端を切断しないエクソペプチダーゼによるタンパク質分解を受けにくい。したがって、N末端又はC末端のD−アミノ酸を有するペプチド、及び環状ペプチドのアミノ酸配列は、それぞれ、N末端又はC末端のD−アミノ酸残基の存在、あるいはその環状構造以外は、対応するペプチドの配列と通常同一である。
【0102】
分子間ジスルフィド結合を含有する環状誘導体は、慣用の固相合成法で、アミノ末端及びカルボキシ末端のような環化のために選択された位置に好適なS−保護システイン又はホモシステイン残基を組み込みながら調製することができる(SahMら、1996、J.Pharm.Pharmacol.48:197)。鎖の組み立てが終了した後、(1)S−保護基を選択的に除去し、その結果、対応する2つの遊離SH−官能基を支持体上で酸化させてS−S結合を形成し、その後、支持体から産物を簡便に除去し、適切な精製手順を実施することによって;又は、(2)側鎖の完全な脱保護とともに支持体からペプチドを除去し、その後、高度に希釈した水溶液中で遊離のSH−官能基を酸化することによって環化を行うことができる。
【0103】
分子内アミド結合を含有する環状誘導体は、慣用の固相合成法で、環化のために選択された位置に好適なアミノ及びカルボキシ側鎖が保護されたアミノ酸誘導体を組み込みながら調製することができる。分子内−S−アルキル結合を含有する環状誘導体は、慣用の固相合成法で、環化のために選択された位置に好適なアミノ−保護側鎖と好適なS−保護システイン又はホモシステイン残基を有するアミノ酸残基を組み込みながら調製することができる。
【0104】
ペプチドの部分配列の天然アミノ酸を非天然アミノ酸に置換することで、タンパク質分解に対する耐性を付与することもできる。そのような置換は、例えば、N末端に作用するエクソペプチダーゼによるタンパク質分解に対する耐性を付与することができる。そのような置換は記載されており、これらの置換は生物活性に影響を及ぼさない。非天然アミノ酸の例には、α,α−2置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸、C−α−メチルアミノ酸、及びβ−メチルアミノ酸が含まれる。本発明において有用なアミノ酸アナログには、限定されるものではないが、β−アラニン、ノルバリン、ノルロイシン、4−アミノ酪酸、オルニチン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、シクロヘキシルアラニン、2−アミノイソ酪酸、6−アミノヘキサン酸、t−ブチルグリシン、フェニルグリシン、o−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、及び他の特殊なアミノ酸を含めることができる。更に、非天然アミノ酸を用いたペプチド合成は、当該技術分野において日常的な公知のものである。
【0105】
ペプチドのN末端又はC末端残基に作用するペプチダーゼに対する耐性を付与するための他の有効なアプローチの1つは、改変ペプチドがもはやペプチダーゼの基質ではなくなるようにペプチド末端に化学基を付加することである。そのような化学修飾の1つは、1端又は両端のペプチドのグリコシル化である。特定の化学修飾、特にN末端グリコシル化は、ヒト血清ペプチドの安定性を増加させることが知られている(Powellら、1993)。血清安定性を高める他の化学修飾には、限定されるものではないが、アセチル基などの炭素数1〜20の低級アルキルから成るN−末端アルキル基の付加、及び/又はC−末端アミド若しくは置換アミド基の付加が含まれる。特に、本発明には、N−末端アセチル基及び/又はC末端アミド基を有するペプチドから成る改変ペプチドが含まれる。
【0106】
通常ペプチドの部分ではない追加の化学部分を含有する他の種類のペプチド誘導体も、誘導体がペプチドの所望の機能活性を保持する限り本発明に含まれる。そのような誘導体の例には、(i)アミノ末端又は他の遊離アミノ基のN−アシル誘導体、ここで、アシル基はアルカノイル基(例えばアセチル、ヘキサノイル、オクタノイル)、アロイル基(例えばベンゾイル)、又はF−moc(フルオレニルメチル−O−CO−)などの保護基であり得る;(ii)カルボキシ末端又は他の遊離カルボキシ基又はヒドロキシル基のエステル;(iii)アンモニア又は好適なアミンとの反応により作製されるカルボキシ末端又は他の遊離カルボキシル基のアミド;(iv)リン酸化誘導体;(v)抗体又は他の生体リガンドに結合した誘導体、及び他の種類の誘導体が含まれる。
【0107】
余分のアミノ酸残基を本発明のペプチドに付加することで生ずる長いペプチド配列は、それらは上記ペプチドと同一の生物活性(IL−1受容体の阻害活性)を有するはずであるため、本発明に包含される。相当数の追加のアミノ酸を有するペプチドは除外するが、大きなポリペプチドには、有効な配列をつくってIL−1Rへの結合を妨げる立体配置を想定し得るものもあることが理解されるであろう。これらの誘導体は、競合的アンタゴニストとして作用し、本発明から除外される。したがって、本発明は延長鎖を有するペプチド又は誘導体を包含するが、そのように長いペプチドは、ペプチド又は誘導体の調節活性を破壊しないように選択する必要がある。
【0108】
本発明に包含される他の誘導体は、直接的に又はスペーサーを介して、例えばアラニン残基の短いストレッチによって、又は推定タンパク質分解部位によって(例えばカテプシンによって、米国特許第5,126,249号及び欧州特許第495,049号を参照されたい)、互いに共有結合的に連結した本発明の2つの同一又は異なるペプチドから成る2重ペプチドである。本発明のペプチドのマルチマーは、同一若しくは異なるペプチド又はその誘導体から形成される分子のポリマーから成る。
【0109】
他の態様では、本発明のペプチド誘導体は、そのアミノ末端若しくはカルボキシ末端で又は両方で異なるタンパク質のアミノ酸配列に連結した、本発明のペプチド若しくはその断片を含むキメラ又は融合タンパク質である。そのようなキメラ又は融合タンパク質は、タンパク質をコードする核酸の組換え発現によって作製することができる。1つの態様では、そのようなキメラ又は融合タンパク質は、本発明のペプチドの少なくとも6アミノ酸を含有し、本発明のペプチドと同等又はそれより大きい機能活性を有する。
【0110】
本発明のペプチド誘導体は、所望により機能的に同等な分子、又は機能的に増強されたか若しくは弱められた分子を提供する置換、付加、又は欠失によりアミノ酸配列を変えることで作製することができる。本発明の誘導体には、限定されるものではないが、配列内の同等物が機能的に同等なアミノ酸残基に置換された改変配列を含めた本発明のポリペプチドのアミノ酸配列の全部又は一部を1次アミノ酸配列として含有するものが含まれる。例えば、配列内の1以上のアミノ酸残基を、機能的同等物として作用する、極性が類似する他のアミノ酸で置換することができ、サイレント変化を生ずる。配列内のアミノ酸の置換は、そのアミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択することができる。例えば、正に荷電した(塩基性)アミノ酸には、アルギニン、リジン、及びヒスチジンが含まれる。非極性(疎水性)アミノ酸には、ロイシン、イソロイシン、アラニン、フェニルアラニン、バリン、プロリン、トリプトファン、及びメチオニンが含まれる。非荷電極性アミノ酸には、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、及びグルタミンが含まれる。負に荷電した(酸性)アミノ酸には、グルタミン酸及びアスパラギン酸が含まれる。アミノ酸のグリシンは、非極性アミノ酸ファミリーに含まれることもあれば、非荷電(中性)極性アミノ酸ファミリーに含まれることもある。アミノ酸ファミリー内でなされる置換は、通常、保存的置換であることが理解される。
【0111】
本発明の1つの具体的態様では、アンタゴニストペプチドは、配列TTI−101.140、TTI−101.141、TTI−101.125、TTI−101.110、TTI−101.111、TTI−101.136、及びTTI−101.143を含む。
【0112】
IV. ペプチド模倣薬を同定するためのアッセイ
上記のように、本発明の方法で同定されたペプチドの骨格配置とファーマコフォアの呈示(ペプチド模倣薬)を複製するように作製された非ペプチジル化合物は、代謝安定性が高く、効能が高く、作用期間が長く、そしてバイオアベイラビリティがよいという特質を有することが多い。
【0113】
本発明のペプチド模倣薬化合物は、生物学的ライブラリー;空間的にアドレス可能なパラレル固相又は液相ライブラリー;デコンボリューションを必要とする合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;及び親和性クロマトグラフィ選択を用いた合成ライブラリー法を含めた当該技術分野に公知のコンビナトリアルライブラリー法における数多くのアプローチを用いて得ることができる。生物学的ライブラリーアプローチは、ペプチドライブラリーに限定されるが、他の4つのアプローチは、化合物のペプチド、非ペプチドオリゴマー、又は小分子のライブラリーに応用可能である(Lam、Anticancer Drug Des.12:145、1997)。分子ライブラリーの合成方法の例は、当該技術分野において、例えば:DeWittら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA.90:6909;Erbら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11422;Zuckermannら(1994)J.Med.Chem.37:2678;Choら(1993)Science 261:1303;Carellら(1994)Angew.Chem、Int.Ed Engl.33:2059;及び同文献2061;並びにGallopら(1994)Med.Chem.37:1233に見出すことができる。化合物のライブラリーは、溶液(例えばHoughten(1992)Biotechniques 13:412−421)、又はビーズ(Lam(1991)Nature 354;82−84)、チップ(Fodor(1993)Nature 364;555−556)、細菌若しくは胞子(Ladner、米国特許第5,223,409号)、プラスミド(Cullら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1865−1869)、又はファージ(Scott及びSmith(1990);Science 249:386−390)で提供することができる。分子ライブラリーの合成方法の例は、当該技術分野において、例えば:DeWittら(1993)上記;Erbら(1994)上記;Zuckermanら(1994)上記;Choら(1993)上記;Carrellら(1994)上記に見出すことができ、又は適切な基質による生成物への変換を測定することによって検出されるルシフェラーゼ、及び酵素標識であることができる。
【0114】
いったん本発明のペプチドを同定すれば、限定されるものではないが、示差溶解度(即ち沈殿)、遠心、クロマトグラフィ(親和性、イオン交換、サイズ排除など)、又はペプチド、ペプチド模倣薬、又はタンパク質の精製に用いられる他の標準技術を含めた多くの標準法で単離・精製することができる。同定された目的ペプチドの機能特性は、当該技術分野に公知の機能アッセイを用いて評価することができる。1つの態様では、細胞内シグナル伝達における下流受容体機能を評価するためのアッセイが用いられる(例えばPGE2合成)。
【0115】
1つの態様では、本発明のペプチド模倣化合物は、以下の3相工程で得られる:1)本発明のペプチドをスキャニングしてIL−1受容体の認識とそれに対する活性に必要な2次構造領域を同定すること;2)配座固定されたジペプチド代用物を用いて骨格配置を絞り込み、これらの代用物に対応する有機プラットホームを提供すること;そして3)最高の有機プラットホームを用いて、天然ペプチドの所望の活性を最小にするようにデザインされた候補のライブラリーにおいて有機ファーマコフォアを呈示すること。より詳細には、3相は以下の通りである。第1相では、リードペプチドをスキャンしてそれらの構造を短くし、活性に対する要求を同定すること。オリジナルに対する一連のペプチドアナログを合成する。第2相では、配座固定されたジペプチド代用物を用いて最高のペプチドアナログを調査する。インドリジジン−2−オン、インドリジジン−9−オン、及びキノリジジノンアミノ酸(それぞれI2aa、I9aa、及びQaa)を最高のペプチド候補の骨格配置を試験するためのプラットホームとして用いる。これら及び関連するプラットホーム(Halab,Li;Gosselin,F;Lubell,WD;Biopolymers(Peptide Science)Vol.55、101−122、2000;Hanessian,S.J.、McNaughton−Smith G;Lombart,H−G.;Lubell,W.D.、Tetrahedron、Vol.53、12789−12854、1997に概説されている)は、ファーマコフォアを異なる方向に向けるためにペプチドの特定領域に組み込むことができる。これらのアナログの生物学的評価により、活性に対する幾何学的要求を最小にする改良されたリードを同定する。第3相では、最も活性なリード由来のプラットホームを用いて、天然ペプチドの活性に関与するファーマコフォアの有機代用物を呈示する。平行合成形式でファーマコフォアと骨格とを組み合わせる。当然ながら、ペプチドの誘導ひいてはさまざまな相は、当該技術分野に公知の他の手段及び方法によって行うことができる。
【0116】
本発明のペプチド、ペプチド誘導体、ペプチド模倣薬、又は他の小分子から決定された構造機能関係を用いて同様の又はより良い特性を有する類似の分子構造を絞り込み、調製することができる。したがって、具体的に開示したものに加えて、本明細書に例示した特定の態様の構造、極性、電荷の特徴、及び側鎖特性を共有する分子も本発明の範囲内である。
【0117】
結論として、本発明のペプチド、ペプチド誘導体、ペプチド模倣薬、又は他の小分子は機能的に活性である(即ち、本発明のペプチドに関連した1以上の同定された機能活性を発揮可能である)。例えば、所望の特性(例えばIL−1RacPのタンパク質パートナー又はリガンドへの結合)を阻害するそのようなペプチド、ペプチド誘導体、ペプチド模倣薬、又はアナログは、そのような特性及びその生理的に関連するものの阻害剤として用いることができる。ペプチド、誘導体、ペプチド模倣薬、又は本発明のペプチドアナログは、当該技術分野において公知の機能アッセイ(例えばPGE2合成)によって、IL−1R/IL−1RacP受容体を介した細胞内シグナル伝達の阻害に関して試験することができる。
【0118】
V. 医薬組成物
本発明は、本発明のペプチド、ペプチド誘導体、及びペプチド模倣薬との相互作用を介したIL−1受容体活性の阻害方法に関するものである。動物の数多くの経路及び病態におけるIL−1及び/又はIL−1R/IL1RacP受容体機能の重要性に鑑みると、本発明のペプチド、ペプチド誘導体、及びペプチド模倣薬は、IL−1反応(例えばIL−1過剰発現又はIL−1R/IL1−RacPを介した異常なシグナル伝達)に関連した病態又は疾患の治療に有用である。
【0119】
したがって、本発明の方法は、それを必要とする被験者又はそれを必要とする危険性のある被験者に、有効量のペプチド、ペプチド誘導体、若しくはペプチド模倣薬、又はペプチド、ペプチド誘導体、若しくはペプチド模倣薬を含む組成物を投与し、IL−1R/RacP生物活性を阻害することを含む。1つの態様では、ペプチド又はそのペプチド誘導体と、好適な医薬担体とを含む有効量の治療用組成物を被験者に投与し、IL−1R/IL−1RacP生物活性を阻害し、IL−1R/IL−1RacPを介した異常なシグナル伝達(例えばIL−1/IL−1RacPリガンドの過剰産生を介した、又は構成的に活性な受容体若しくは他の欠陥を介したIL−I/IL−1RacP受容体の過剰刺激)に関連した症状を予防、改善するか、又は障害、疾患、若しくは病態を治療する。1つの態様では、被験者は動物である。他の態様では、被験者は哺乳動物であり、好ましくはヒトである。
【0120】
本発明のペプチド、ペプチド誘導体、及びペプチド模薬は、IL−1R/IL−1RacP生物活性の阻害が有益である病態又は障害の症状の治療、予防、又は改善に有用である。本発明のペプチド、ペプチド誘導体、又はペプチド模倣薬が有益であり得る疾患、病態、又は障害には、限定されるものではないが、以下の例が含まれる:関節リウマチ、炎症性大腸炎のような慢性及び急性の炎症性疾患、敗血症、変形性関節症、乾癬、脳炎、糸球体腎炎、呼吸窮迫症候群、及びライター症候群。他の病態には、全身性エリテマトーデス、強皮症、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性関節疾患、ある種の白血病の悪液質、アルツハイマー病、数多くの種類のがん、若年型糖尿病、肺高血圧症、卒中、脳室周囲白血球減少症、及び髄膜炎が含まれる。
【0121】
本発明の範囲内の組成物は、活性物質(例えばペプチド、ペプチド誘導体、又はペプチド模倣薬)を、不都合な副作用を回避しながら所望の治療効果を達成するのに有効な量で含有する必要がある。活性物質の医薬的に許容可能な製剤及び塩は本発明の範囲内であり、当該技術分野において周知である。ポリペプチドアンタゴニストなどを投与するには、不都合な副作用を回避するように投与量を選択する必要がある。具体的な疾患、障害、又は病態の治療に有効な治療用組成物又は医薬組成物の量は、疾患の性質及び重篤度、作用の標的部位、患者の体重、患者の特別食、最近用いた投薬、投与経路、及び当該技術分野に熟練した者に認識される他の要因に依存するであろう。用量は、疾患の程度及び患者に由来するさまざまなパラメータのような慣例的要因にしたがい、臨床医によって適合されるであろう。典型的には、0.001〜100mg/kg/日が被験者に投与されるであろう。有効用量は、in vitro又は動物モデルの試験系に由来する用量反応曲線から推定することができる。例えば、ラットの研究から得られたデータに基づいてヒトに対する有効なmg/kg用量を得るには、ラットの有効なmg/kg用量を6で割る。
【0122】
さまざまな送達システムが公知であり、本発明のペプチド、ペプチド誘導体、又はペプチド模倣薬、又は医薬組成物の投与に用いることができる。本発明の医薬組成物は、静脈内若しくは筋肉内注射、脳室内若しくは髄膜注射(中枢神経系投与のため)、経口、局所、皮下、結膜下、経鼻、皮内、舌下、経膣、直腸内、又は硬膜外経路を含めた好適な経路で投与することができる。
【0123】
当該技術分野において周知の他の送達システムを用いて、例えば水溶液、マイクロ粒子への封入、又はマイクロカプセルを介して、本発明の医薬組成物を送達することができる。
【0124】
更に他の態様では、本発明の医薬組成物は、制御放出システムで送達することができる。1つの態様では、ポリマー材料を用いることができる(Smolen及びBall、『制御された薬物バイオアベイラビリティ、製剤のデザインと性能』、1984、John Wiley&Sons;Ranade及びHollinger、『薬物送達システム、薬理学と毒物学シリーズ』、2003、第2版、CRRC出版を参照されたい)。他の態様では、ポンプを用いることができる(Saudekら、1989、N.Engl.J.Med.321:574)。
【0125】
本発明の化合物は、化合物分子がそれにカップリングした個別の担体としてモノクローナル抗体を使用することによって送達することもできる。本発明の化合物は、薬物の制御放出を達成するのに有用な生分解性ポリマーのクラスにカップリングさせることもでき、非限定的な例には:ポリ乳酸、ポリオルトエステル、架橋した両親媒性ブロックコポリマー及びヒドロゲル、ポリヒドロキシ酪酸及びポリジヒドロピランが含まれる。
【0126】
上記のように、本発明の医薬組成物は、ペプチド、ペプチド誘導体、又はペプチド模倣薬を、医薬的に許容可能な担体と組み合わせて含む。担体という用語は、ペプチド、ペプチド誘導体、又はペプチド模倣薬と一緒に投与する希釈剤、補助剤、充填剤又は結合剤などの賦形剤、崩壊剤、滑剤、シリカ フローコンディショナー、安定化剤、又はビヒクルを表す。そのような医薬担体には、水、又は鉱油、植物油(例えばピーナッツ油、ダイズ油、ゴマ油、ナタネ油)、動物油、若しくは合成油を含めたオイルのような滅菌液が含まれる。グリセロール及びデキストロース水溶液、並びに生理食塩水溶液を本発明の医薬組成物の液体担体として用いることもできる。当然ながら、担体の選択は、ペプチド、ペプチド誘導体、又はペプチド模倣薬の性質、その溶解度、及び他の生理的特性、並びに送達及び適用の標的部位に依存する。例えば、血液脳関門を浸透できる担体は、中枢神経系の疾患又は病態(例えば炎症)の症状の治療、予防、又は改善に用いられる。好適な医薬担体の例は、『レミントン:薬学の科学と実践』、Alfonso R.Gennaro、2003、第21版、Mack Publishing Companyに記載されている。
【0127】
更に、本発明の医薬製剤に組み込むことができる医薬的に好適な材料には、吸収促進剤、pH調製剤及び緩衝剤、浸透圧調製剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、界面活性剤、増粘剤、皮膚軟化剤、分散剤、香料、着色剤、並びに湿潤剤が含まれる。
【0128】
好適な医薬賦形剤の例には、水、グルコース、ショ糖、乳糖、グリコール、エタノール、モノステアリン酸グリセロール、ゼラチン、コメ、デンプン粉末、粉乳、ステアリン酸ナトリウム、モルト、塩化ナトリウムなどが含まれる。本発明の医薬組成物は、溶液、カプセル、錠剤、クリーム、ジェル、粉末、徐放性製剤などの形態を採ることができる。組成物は、トリグリセリドのような慣用の結合材及び担体とともに座剤として製剤化することができる(『レミントン:薬学の科学と実践』、Alfonso R.Gennaro、2003、第21版、Mack Publishing Companyを参照されたい)。そのような組成物は、被験者に正確に投与するための形態を提供するように、治療的に有効量の治療用組成物を、好適量の担体とともに含有する。製剤は、投与様式及び作用の標的部位(例えば具体的な臓器又は細胞種)に適するようにデザインされる。
【0129】
本発明の医薬組成物は、中性又は塩の形態で製剤化することができる。医薬的に許容可能な塩には、遊離アミノ基とともに形成するもの、及び遊離カルボキシル基と反応するものが含まれる。医薬産業において一般に用いられる非毒性のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アンモニウム、及びプロタミン亜鉛の塩が含まれ、当該技術分野に周知の方法で調整される。塩には、通常、本発明の化合物を好適な有機酸又は無機酸と反応させることによって調製される非毒性の酸付加塩も含まれる。代表的な塩には、臭化水素酸塩、塩酸塩、吉草酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、酢酸塩、リン酸塩、tysolate、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、ナプシル酸塩などが含まれる。
【0130】
本発明にしたがい使用できる充填剤又は結合剤の例には、アカシア、アルギン酸、リン酸カルシウム(2塩基性)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリン、デキストレート、ショ糖、チロース、α−デンプン、硫酸カルシウム、アミロース、グリシン、ベントナイト、マルトース、ソルビトール、エチルセルロース、リン酸水素2ナトリウム、リン酸2ナトリウム、ピロ亜硫酸2ナトリウム、ポリビニルアルコール、ゼラチン、グルコース、ガーゴム、液体グルコース、圧縮糖、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、マルトデキストリン、ポリエチレンオキシド、ポリメタクリル酸、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、トラガガント、微晶性セルロース、デンプン、及びゼインが含まれる。他の最も好ましい充填剤又は結合剤は、微晶性セルロースから成る。
【0131】
使用できる崩壊剤の例には、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース(低置換)、微晶性セルロース、粉末セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、メチルセルロース、ポラクリリンカリウム、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン、2亜硫酸2ナトリウム、エダタミル2ナトリウム、エデト酸2ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)2ナトリウム架橋ポリビニルピロリジン、α−デンプン、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、微晶性セルロースが含まれる。
【0132】
滑剤の例には、ステアリン酸カルシウム、ナタネ油、パルミトステアリン酸グリセリル、硬化植物油(I型)、酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸フマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、及びステアリン酸亜鉛、glyceryl behapate、ラウリル硫酸マグネシウム、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム/酢酸ナトリウム(混合)、DL−ロイシンが含まれる
シリカ フローコンディショナーの例には、コロイド状二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、及びガーゴムが含まれる。他の最も好適なシリカ フローコンディショナーは二酸化ケイ素から成る。
【0133】
安定化在の例には、アカシア、アルブミン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、ベントナイト、リン酸2カルシウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、コロイド状二酸化ケイ素、シクロデキストリン、モノステアリン酸グリセリン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、3ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、プロピレングリコール、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、カルナウバワックス、キサンタンゴム、デンプン、ステアリン酸塩、ステアリン酸、ステアリン酸モノグリセリド、及びステアリルアルコールが含まれる。
【0134】
本発明は、被験者にいったん投与すると、より安定な(即ち、いったん投与すると、未修飾型よりも半減期が長いか、又は有効期間が長い)ペプチド又はペプチド誘導体の修飾物も提供する。そのような修飾は、本発明が関連する分野に熟練した者に周知である(例え、PEG化としても知られるポリエチレングリコール誘導体化、マイクロカプセル化など)。
【0135】
本発明のIL−1R/IL−1RacPアンタゴニストは、単独で投与してもよいし、IL−1、IL−1R/IL−1RacPに関与する疾患又は病態の症状の治療、予防、又は改善に有用な他の活性物質と組み合わせて投与してもよい。したがって、本発明の組成物及び方法は、IL−1活性(例えば合成、放出及び/又はIL−1R/IL−1RacPへの結合)の調整能、又はIL−1関連疾患(例えば関節リウマチ及び炎症性大腸炎)の症状の軽減能を発揮する他の物質と組み合わせて用いることができる。そのような物質の例には、限定されるものではないが、抗リウマチ薬、例えばクロロキン、オーラノフィン(リドーラ(商標))、デキサメサゾン、金チオリンゴ酸ナトリウム、メトトレキセート(Leeら、1988、Proc.Int.Acad.Sci、85:1204を参照されたい)、プロブコール(Kuら、1988、Am.J.Cardiol.62:778を参照されたい)、ペントキシフィリン(例えばSullivanら、1988、Infect.Immun.56:1722)、ジスルフィラム(Marx、1988、Science、239:257を参照されたい)、抗酸化剤、例えばノルジヒドログアヤレト酸(Leeら、1988、Int J.Immunopharm.、10:385)、IL−1トラップ(例えば2003、Curr.Opin.Inv.Drugs、4(5):593−597を参照されたい)、アナキンラ(キネレット(商標)、PCT出願WO00/236152号)、レフルノミド、コルチコステロイド(メドロール(商標)、デルタゾン(商標)、Orasone(商標))、及び他の物質、例えばBender及びLee(1989)『医化学年報』、第20章:「IL−1の薬理学的調節」:185−193)に記載のものが含まれる。抗炎症薬、例えば非ステロイド抗炎症薬(NSAIDS、例えばロフェコキシブ(ビオックス(商標))、セレコキシブ(セレブレックス(商標))、バルデコキシブ(ベクストラ(商標))、アルピリン(商標)、アドビル(商標))、抗TNF−α薬(インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ)、コラーゲナーゼ阻害剤、その他のような他の薬物を本発明の化合物と組み合わせて用いることもできる。当然ながら、2以上のペプチド、誘導体、及びペプチド模倣体の組み合わせ、並びに1以上の薬物とそれらの組み合わせを、あらゆる組み合わせで用いることもできる(例えば、1以上のペプチドと1以上の模倣体、1以上の模倣体と1以上の誘導体、1以上のペプチドと1以上の薬物など)。
【0136】
本発明を以下の非限定的な実施例によって更に詳細に説明する。実施例は具体的な説明のためにのみ提供するのであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0137】
API−101ペプチドの効果
本発明の化合物及び方法の有効性の1例を、同定したペプチドAPI−101(配列番号1:APRYTVELA)を用いて得た結果によって表す。
【0138】
以下の実施例に記載した全てのペプチドは、保護基を有する有機相中の固相合成法のFMOCプロトコールにしたがい合成した。それらを、HPLCを用い、C18カラムにて、アセトニトリル濃度勾配10〜60%で溶離させて収率70%に精製した。質量分析によって分子量を検証した。当然ながら、上記のように、天然アミノ酸を用いる場合、当該技術分野に公知の遺伝子操作技術によって得ることができる。
【0139】
3H−チミジン取り込み法を用いて、ペプチドAPI−101(配列番号1)及びIL−1(10ng/ml)の存在下、A549がん細胞においてIL−1の増殖作用を測定した。IL−1β(10ng/ml)(37℃)で24時間刺激する前、A549細胞をさまざまな濃度のペプチドとプレインキュベーションした(45分間);IL−1βによる刺激の24時間前にウシ胎仔血清を除いて他の分裂促進剤の増殖作用を回避した。次に3H−チミジン(1μCi/ml)を24時間加え、その後、10%冷TCAで細胞を3回洗浄し、0.1N NaOH/0.1%Triton X−100で溶解させた。シンチレーションカウンターで放射活性を測定した。実験を2重で3回繰り返した。図1に見られるように、ペプチドは、IC50 10-6MでIL−1による増殖阻害を完全に無効にした。
【0140】
IL−1がプロスタグランジンE2(PGE2)の合成を内皮細胞及び/又は軟骨細胞においてin vitro誘導することは当該技術分野において周知である。したがって、ヒト軟骨細胞及びコブタ脳微小血管内皮細胞をペプチドAPI−101(10-6M)とともに45〜60分間、37℃でプレインキュベーションし、ヒトIL−1(10ng/ml)を増殖培地に加えた。24時間のインキュベーション後、増殖培地を除去して蒸発させた。市販のキット(Cederlane)を用いてRIAアッセイにてPGE2値を測定した。
【0141】
図2は、IL−1(10ng/ml)によって誘導されたPGE2合成が、10-6Mの濃度のAPI−101(配列番号1)で、IC50 10-6Mにて50%以上顕著に減少したことを示している(図3)。
【0142】
生体外特性
他の実験では、コブタ軟膜血管で血管運動性試験を行い、IL−1βの血管拡張作用に対するAPI−101(配列番号1)の具体的効果を更に評価した。
【0143】
脳血管に対する生体外血管運動反応を記載の通りに行った(Liら、1996;Houら、2000;Houら、2001;Houら、2003)。ヨークシャーコブタから脳を取り出した。軟膜血管を露出した皮質切片を、95%O2、5%CO2で平衡化し、37℃に維持したクレブスバッファー(pH7.4)を含有する20ml浴のワックス基剤に対して固定した。解剖顕微鏡に取り付けられたビデオカメラで微小血管を可視化し、記録した。デジタル画像解析機で血管径を測定した。プレ収縮剤U46619(10-7M)の局所投与前後に血管径を記録した。標本の安定化後、安定な血管拡張が検出されるまでリガンド(IL−1β、75ng/ml)を加えた。続いてペプチドを、10-10〜10-5Mのさまざまな濃度で加えた。先に記載された通りに血管拡張の逆転を可視化して測定した(Houら、2000;Houら、2001;Houら、2003);2匹の動物について3重測定を行った。
【0144】
図4からわかるように、API−101(配列番号1)は、IL−1β(75ng/ml)によって誘導された血管拡張をIC50 182nMにて防ぐことができた。
要約すれば、これらの結果は、IL−1R/IL−1Racp受容体を標的にすることで、API−101(配列番号1)はIL−1の生体反応の阻害に有効であったことを示している。
【実施例2】
【0145】
アラニンスキャンによって得たAPI−101誘導体の効果
API−101(配列番号1)アンタゴニストの顕著な効果を実証するために、API−101と誘導体に関する構造機能関係データを提供するための実験を行い、活性に関して最も重要な領域を同定した。したがって、アラニンスキャン変異をAPI−101(配列番号1)について行った(ペプチド配列に関しては図17を参照されたい)。当然ながら、アラニンの代わりに他のアミノ酸を用いてスキャン実験を行うこともできたであろう。
【0146】
In vitro特性
実施した変異に応じた結果の表の概要を図17に示す。
変異ペプチドの効率及び阻害活性をIL−1誘導性PGE2合成の阻害を測定することによって決定した(上記実施例1の実験プロトコールを参照されたい)。API−101.1(配列番号2)のみが親ペプチドAPI−101(配列番号1)と比較して内皮細胞及び軟骨細胞においてわずかに効率が上昇していた。一方、API−101.5(配列番号6)、−101.6(配列番号7)、及び−101.7(配列番号8)は両細胞種においてほとんど全ての活性を失っていた。このことは、標的としたVELA領域がペプチドの活性に重要であることを示唆している。図5は、このシリーズの最も有効なペプチドについてグラフ表示したものである。全てのペプチドは10-6Mの濃度で試験した。
【0147】
生体外特性
API−101のアラニンスキャンペプチドについても血管運動性試験を行った(実施例1の実験プロトコールを参照されたい)。図6は、API−101(配列番号1)、−101.1、−101.3、及び−101.6(それぞれ配列番号2、4、及び7)はいずれもIL−1β(75ng/ml)で誘導される血管拡張を逆転させ、そしてAPI−101.1(配列番号2)はAPI−101よりもわずかに阻害活性が上昇し、血管拡張を70%止めたことを示している。
【0148】
全体的に見て、変異も置換もペプチド誘導体の活性をAPI−101(配列番号1)より顕著に増加させなかったが、ペプチドの活性に重要な領域に関する情報が得られた。
【実施例3】
【0149】
API−101の更なる最適化による活性改善効果
活性を更に改善し、その活性に重要なAPI−101内の領域について得たアラニンスキャンの結論を評価するために、ペプチドのN末端アミノ酸を徐々に切断した。図7は、新たなペプチドの配列、及びAPI−101について採用した最適化の一般的パターンを示す
In vitro特性
IL−1βはヒト線維芽細胞の増殖を誘導する。3H−チミジン取り込みプロトコール(実施例1のプロトコールを参照されたい)を用いて、IL−1β誘導性WI−38(ヒト肺線維芽細胞)増殖に関し短鎖型ペプチドをアッセイした。
【0150】
IL−1R誘導性増殖の65%を止めるAPI−101(配列番号1)に対し、API−101.10(配列番号10)及びAPI−101.11(配列番号11)はIL−1β誘導性増殖を100%止める(図8)。
【0151】
API−101短鎖型誘導体についてもIL−1誘導性PGE2合成の測定を行った。図18は、さまざまなペプチドの効能及び効果の概要を示す。API−101.10(配列番号10)は最も有効で強力な短鎖型ペプチドであり、WI−38細胞及び内皮細胞に対するIC50が、API−101(790nM及び220nM)と比較して、0.2nM及び1.2nMであった。API−101.11(配列番号11)及び12(配列番号12)は効能及び効果が減少しており、アルギニンの後のペプチド切断はその効能及び効果に影響を及ぼすことを示していた。
【0152】
細胞障害性
API−101の最新誘導体の細胞障害性も2つの細胞種:WI−38及び脳微小血管内皮細胞について測定した。先に記載された通りに細胞生存率をアッセイした(Beauchampら、2001;Braultら、2003)。内皮細胞及び線維芽細胞をさまざまな濃度のペプチドとともに37℃で24時間インキュベーションした。MTT(3−[4,5−ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニル−テトラゾリウムブロミド)のPBS溶液を終濃度50μg/mlで増殖培地に加えた。細胞をMTTとともに37℃で2時間インキュベーションした。次に増殖培地を吸引し、イソプロパノール:1N HCl 24:1の溶液200μlを各ウェルに加えて細胞を溶解させた。生存細胞はMTT産物(ミトコンドリアを介して)をホルマザンと呼ばれる測定可能比色(青色)産物に変換する。ホルマザン産生(及び細胞生存率)を、溶解物100μlの光学密度を600nmで測定することによって決定した。
【0153】
図9に示すように、10-5Mペプチドに24時間曝したとき、細胞は毒性を示さなかった。
生体外特性
IL−1誘導性血管拡張に対するAPI−101.10(配列番号10)の効果を評価するため(in vitroで最高活性を示したペプチド)、血管運動性実験も行った(プロトコールについては実施例1を参照されたい)。API−101.10(配列番号10)は10.8nMで最高のIC50を示し、API−101(182nM)よりも100倍強力であった(図18)。ペプチド101.9(配列番号9)、101.11(配列番号11)、及び101.12(配列番号12)は、API−101(配列番号1)よりも良好なIC50を示した(図18及び図10)。図10のペプチドの濃度範囲は10-10M〜10-5Mであった。したがって、生体外実験では、API−101.11(配列番号11)及びAPI−101.12(配列番号12)が親ペプチドと比較して顕著に改善された阻害活性を示した。
【0154】
in vivo特性
IL−1R/IL−1RacPペプチドアンタゴニストの全身作用
誘導体を頚部又は直接胃に注射することによって天然リガンドの生理作用をin vivoで逆転できるかどうか評価するため(消化管を介したペプチドの安定性を証明するため)、API−101誘導体のAPI−101.10(配列番号10)(及びその他)を試験した。スプラーグ・ドーリーラット(300g)をイソフルラン(2.5〜4%)で麻酔した。天然リガンド(IL−1β)又はビヒクル(生理食塩水)を頚静脈から注射した(5μg/kg)。その後のPGE2測定のために、各注射の前及び10分後に頚動脈から採血した。頚静脈又は直接胃にペプチドを投与した(IC50値に基づいた用量、及び細胞外空間と同等な分布量)(静脈内(iv)で用いた5回用量)。動脈圧及び心拍数を持続的にモニターし(Gould)、一方、日常的な解析で体温及び血液ガス(Radiometer)を先に記載された通りに測定した(Liら、1997;Hardyら、1999;Najarianら、2000)。実験は3回繰り返した。
【0155】
上記方法のいずれかでラットに投与したとき、IL−1β誘導性の重篤な低血圧を観察した。以下のペプチドは、低血圧をin vivoで防ぐことができる例示アンタゴニストを構成する:
1. API−101.10(配列番号10):IL−1βの注射後(5μg/kg)に頚部注射によって投与した場合、10-8Mの濃度で低血圧を95%防いだ(即ち、IL−1誘導性低血圧を和らげた)。API−101.9(配列番号9)のような他の誘導体も、このIL−1βの生体作用を防いだが、生理食塩水対照(図11A)よりも顕著に良好であったものの、ペプチドAPI−101.10(配列番号10)、101.101(配列番号13)、又はペプチド模倣薬101.109、101.111、及び11.112(図20)よりも効果が小さかった。これは、ペプチドが動物においてIL−1βの効果を逆転させることによってin vivoで血圧上昇効果を有することを明確に立証している。
2. 10-5Mの濃度で胃に直接投与した場合、ペプチドはIL−1βによる低血圧を60%減少させた。この結果は、101.10(配列番号10)ペプチドの腸内投与がIL−1β誘導性低血圧の主要な効果を依然として維持し(図12A)、したがって消化管に沿って効果及び安定性を維持できることを立証した。
【0156】
本発明のIL−1受容体アンタゴニストのIL−1R活性に対する効果をin vivoで評価する他の方法は、ラット血清のPGE2レベルを測定することである。
本発明のIL−1R受容体アンタゴニストが低血圧をin vivoで防止できる場合、PGE2の合成も予防できるはずである。したがって、上記実験に用いたラット血清のPGE2を測定した(例えば動脈圧変動測定)。短鎖型API−101誘導体ペプチドを用いて得た結果の例を以下に記載する。
【0157】
再度、API−101.10(配列番号10)は、ペプチドを頚部に注射したとき、PGE2合成(60%)の防止について試験したAPI−101誘導体の中で最も有効であることを示した。ペプチドを直接胃に注射したとき、更に高い阻害が得られた(図11B及び図12B)。
【0158】
API−101.10の更なる最適化
最適化の最終ラウンドから、API−101.10(配列番号10)を最高のペプチド誘導体として同定した。したがって、API−101をN端から9〜7アミノ酸切断することにより、in vitro、ex vivo、及びin vivo効果を傷つけることなく、効能を改善させることができるであろう。
【0159】
図15は、API−101.10(配列番号10)について行った次の変異を示す。API−101.10(配列番号10)のアルギニンをシトルリンに置換した −N端付近でグアニジンからウレア基に改変。他の変異(例えば、API−101.102(配列番号14)及び101.103(配列番号15)においてEからQへ)及びC端の短鎖型ペプチド(API−101.108(配列番号20))も行ってペプチドの効能及び効果を改善させた。
【0160】
図15は、これらのペプチドのin vitro特性を示す。コブタ脳微小血管内皮細胞及びWI−38ヒト線維芽細胞を用いてPGE2を測定した。変異のいくつかは有益であり、効能に主要な増加を与えた。例えば、API−101.103(配列番号15)及び101.107(配列番号19)は、1000倍を越える良好な効能を示し、ヒトWI−38細胞におけるIC50が0.05pM及び0.1pMであった。
【0161】
次に、これらの新たに生成されたペプチドに関し、生体外実験を行った。脳組織をペプチド及びIL−1βとともにインキュベーションし、市販のキット(アマシャムバイオサイエンス、cGMPアッセイbiotrack(商標)システム)でcGMPを測定した。API−101.10(配列番号10)は既に85%のIL−1β誘導性cGMP産生を阻害し(10-6M)、API−101.103(配列番号15)及び101.106(配列番号18)は90%を越えるcGMP産生を阻害した(結果は示していない)。したがって、グルタミン酸の陰電荷の除去とスレオニンの除去によりアンタゴニストの効能を改善できるようである。注目すべきは、API−101.10(配列番号10)の活性がアムジェンの薬物キネレット(商標)よりも優れていることが示されたことである(データは示していない)。
【0162】
総合すれば、本発明は、AP1−101は強力で有効なIL−1受容体アンタゴニストであることを明確に立証している。更に、API−101(配列番号1)から出発して、本発明者らは、系統的様式で更により強力で有効なアンタゴニストを生成することができたことを明確に立証している(API−101及び101.100シリーズの誘導体のIC50と比較して示すように)。したがって、本発明は、新規IL−1R/IL−RacP受容体アンタゴニストを同定する手段、及びIL−1R/IL−RacPが関与する経路における欠陥に関連する疾患又は障害を治療又は予防する方法を提供する。当該技術分野において通常の技術を有する者は、本発明の教示と当該技術分野における一般常識の水準に基づいて、以下に記載のように、ペプチド模倣薬及び他の誘導体を生成することもできる。
【実施例4】
【0163】
ラット炎症性大腸炎(IBD)モデルにおけるAPI−101の効率
IBDはヒト集団において罹患率の高い胃腸管の慢性炎症である。ペプチドAPI−101.10(配列番号10)が、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)で誘発したIBD動物モデルにおいて、更に他の炎症プロセスを防げるかどうかを実証するために本実験を行った。TNBSは、急性腸炎及びクローン病に典型的な好中球及びマクロファージの経壁浸潤、亀裂潰瘍形成、並びに粘膜下線維症を特徴とするIL−12介在TH−1反応を引き起こす(Bouma及びStrober、2003)。
【0164】
炎症性大腸炎モデル
結腸炎症は、雄性スプラーグ・ドーリーラット(175〜200g)にハプテンであるトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)を直腸内/結腸投与することによって誘導した(Bouma、Nature Rev、2003;Morris、Gastroenterology、1989)。イソフルランで動物を麻酔し、TNBSを50%エタノール(容量/容量)に溶解した。120mg/ml(TNBS)をポリエチレンチューブ(PE50)を用いて結腸に投与した(ラットあたり合計量0.25ml)。肛門から8cmのところにカニューレを挿入し、溶液の排出を防ぐためにTNBS投与後少なくとも15分間適当な位置に維持した。TNBS投与前2時間に、API−101誘導体API−101.10(配列番号10、1.1mg/kg)又は0.9%生理食塩水を尾静脈から静脈内投与した(合計量0.3ml)。次に、プライム腹腔内alzetポンプを用いてAPI−101.10(2.2mg/kg、さまざまなペプチドのt1/2=2〜3時間に基づいて血圧実験に用いた6回用量)又は0.9%生理食塩水を持続注入した。第3群(対照)にはTNBSを注射しなかった。TNBS投与後6日目に、CO2吸入によってラットを屠殺した。第7日目までに自然な組織再生が始まり、これは試験ペプチド又はペプチド誘導体の治療効果を覆い隠すことができるため、第6日目を終点として選択した。結腸を取り出し、巨視的に(癒着、潰瘍形成、変色、及び出血)及び組織学的に(好中球浸潤、上皮傷害、陰窩変形、及び潰瘍形成)調べた(Anthonyら、1995;Padolら、2000;Dieleman,LAら、1997;Torres MIら、1999)。1群あたり2匹の動物を試験した。
【0165】
近位肛門領域から4〜6cmのところで組織横断切片を切り出し、ヘマトキシリン/エオジン法で染色した。
炎症性大腸炎のTNBSモデルは、(例えばヒトにおける)クローン病の炎症特性及び組織傷害を再現する。図14A及び図14Bに示すように、TNBSを注射した動物の結腸は、形態的に腸壁の肥厚、浮腫、及び変色を呈示し、顕著な炎症を示した。API−101.10(配列番号10)で前処理した動物の結腸の巨視的特徴は対照動物のものと(図14C)似ていた。組織学的特徴は、上皮層及び陰窩への好中球浸潤(図16Bを参照されたい)、上皮層傷害、並びに陰窩の喪失(図16B)から成っていた。動物をAPI−101.10(配列番号10)で前処理することにより、TNBSで誘発された結腸損傷が妨げられた。図16では、API−101.10(配列番号10)で処理した結腸における陰窩の組織化と完全性は、たとえ依然として炎症が存在しても保存されることが理解できるであろう(巨視的解析実験と比較して、API−101.10の用量の半分を用いた)。図16Bに示す上皮層の傷は、API−101.10(配列番号10)処理動物において完全に妨げられる(図16C)。したがって、本発明のIL−1Rアンタゴニストは炎症性大腸炎動物モデルにおいても非常に有効である。
【実施例5】
【0166】
ペプチド模倣薬API−101.109、API−101.110
本発明のアンタゴニストの効果及び効能を更に改善するために、ペプチド模倣薬をin vitroで合成し、スクリーニングした。1つの態様では、ペプチド模倣薬はAPI−101.10(配列番号10)又はAPI−101.107(配列番号19)に由来し、1次構造は:API−101.109はRY(HyVal)PELAであり(図20)、API−101.110はRY(I2aa)ELAである(図21)。ここで、HyValはβ−ヒドロキシバリンであり、I2aaはインドリジジン−2−オン アミノ酸(2−オキソ−3−アミノ−アザビシクロ[4.3.0]ノナン−9−カルボン酸である。これらのペプチド模倣薬もD−ペプチドである。
【0167】
手順:
固体支持体の調製
ベンズヒドリルアミン樹脂塩酸塩(2g、Advanced Chemtech、ロット番号11988、100〜200メッシュ、添加1.2ミリモル/g)を、10ml/gの以下のそれぞれの試薬:5%DIEA/CH2Cl2;CH2Cl2;DMFで1分間×3回洗浄した。樹脂を、N−(Fmoc)アミノカプロン酸(1.27g、3.6ミリモル、150モル%)、TBTU(1.27g、3.96ミリモル、165モル%)、DIEA(690μL、3.96ミリモル、165モル%)、及びHOBt(535mg、3.96ミリモル、165モル%)のDMF(20ml、10ml/gの樹脂)溶液で処理し、カイザー試験が陰性になるまで1時間撹拌した。樹脂を10ml/gの以下の溶液で交互に洗浄した:DMF(3×1分)及びイソプロピルアルコール(3×1分)。次に樹脂をピペリジンのDMF液で処理し(20%v/v、20ml、1×2分、1×3分、1×10分)、続いて10ml/gのDMF(3×1分)とイソプロピルアルコール(3×1分)で交互に処理した。樹脂を、4−[(R,S)−α−1(9H−フルオレン−9−イル)−メトキシ−ホルムアミド]−2,4−ジメトキシベンジル]−フェノキシ酢酸(Knorrリンカー、1.94g、3.6ミリモル、150モル%)、TBTU(1.27g、3.96ミリモル、165モル%)、及びDIEA(690μL、3.96ミリモル、165モル%)のDMF(20ml)溶液で1時間撹拌した。樹脂を10ml/gの以下の溶液で連続的に洗浄した:DMF(3×2分)、イソプロピルアルコール(3×2分)、及びCH2Cl2(3×2分)。高真空下で樹脂を一晩乾燥させて3.66gの樹脂を得た。
【0168】
添加の決定
ピペリジン(20g)とDMF(20g)を混合した。サンプルバイアル中の一定量のこの溶液に(20ml、18.08g)乾燥樹脂(20mg)を加え、アルゴン気流の通過によって懸濁液を穏やかに撹拌した。50分後、樹脂を安定させた。溶液のアリコート(1ml)をエタノールで50倍希釈し、吸光度を301nMにて測定した(N−(9−フルオレニル−メチル)ピペリジン UV λmax 267nM(ε17500)、290(5800)、及び301(7800)。2回の個別の測定(平均化)はA301=0.0785であった。下式:[c(ミリモル/g)=(OD×50×102)/7800]より、c=0.50ミリモル/gであった(Meienhoferら、1979)。
【0169】
ペプチド合成
アミノ酸はAdvanced Chemtech(ルイビル、ケンタッキー州)から購入し、以下の誘導体として用いた:N−Fmoc−D−Ala−OH・H2O、N−Fmoc−D−Leu−OH、N−Fmoc−D−Glu(O−t−Bu)−OH、N−Fmoc−D−Pro−OH、N−Fmoc−D−Tyr(O−t−Bu)、N−Fmoc−D−Arg(Pmc)−OH。(R)−β−ヒドロキシ−N−(Fmoc)バリンを、(R)−β−ヒドロキシ−N−(Boc)バリンから(Dettwilerら、2003)、Boc基を除去し(1:1 TFA(トリフルオロ酢酸)/CH2Cl2)、含水アセトン中のFmoc−OSu及びNaHCO3で保護し(Capatsanisら、1983)、続いてクロマトグラフィによりシリカゲルに対して精製し(1:1:98 MeOH/HOAc/CHCl3)、含水アセトニトリルから凍結乾燥することによって調製した(収率78%)。(3R,6R,9R)−2−オキソ−3−[N−(Fmoc)アミノ]−1−アザビシクロ[4.3.0]−ノナン−9−カルボン酸を、(3R,6R,9R)−2−オキソ−3−アミノ−1−アザビシクロ[4.3.0]−ノナン−9−カルボン酸メチルから、含水アセトン中のFmoc−OSu及びNaHCO3でFmoc−保護し(Capatsanisら、1983)、続いてメチルエステルを選択的加水分解することによって(Pascalら、1998)調製した(D−グルタミン酸から順に調製(Lombartら、1996))。ペプチド合成を0.1ミリモルスケールで行い(200mg樹脂)、DMF中のピペリジンで脱保護し(10ml/g樹脂、20%v/v、1×2分、1×3分、1×10分)、続いてDMFで洗浄(10ml/g樹脂、5×1分)することによって実施した。TBTUのDMF(0.25M、2ml)溶液に溶解したFmoc保護アミノ酸(0.5ミリモル、500モル%)を樹脂に加えた。樹脂を撹拌後(5分)、DIEA(0.6ミリモル、600モル%)を加え、撹拌を1時間継続した。樹脂をDMFで洗浄し(10ml/g樹脂、5×1分)、カイザー試験でカップリング効率を測定した。カップリングのあいだ、樹脂を機械的なボルテックス装置で撹拌し、リンスし、配列を脱保護した。Alltech C18カラム(寸法250mm×4.6mm)で、アセトニトリル/水/TFA混合物を用いてRp−HPLC解析を行った。ここで、溶媒A=水/0.1%TFA、溶媒B=MeCN/0.1%TFAである(以下を参照されたい)。流速は0.5ml/分であり214nMで検出した。
【0170】
ペプチド模倣薬API−101.109(KH−C29099)
樹脂を、TFA(82.5%)、チオアニソール(5%)、水(5%)、フェノール(5%)、及びトリエチルシラン(2.5%)を含有する20ml/gのカクテルで処理し、機械的なボルテックス装置で1時間室温にて撹拌することによって、樹脂(180mg)からの切断を、同時に起こる側鎖の脱保護とともに行った。その後、ろ過し、TFAでリンスし(2×1ml)、0℃でEt2O中に沈殿させてペプチドを得た。HCl溶液(1M)からの凍結乾燥によって粗製ペプチドを2塩酸塩として単離し、白色粉末(18mg)を得た。これは、A中5〜40%Bの溶離液を用いた20分にわたるrp−HPLC(RT=14.6分)により純度90%以上を示した。C39H64N11O11(MH+)に対するLRMSの計算値は862、実測値862であった。
【0171】
ペプチド模倣薬API−101.110(KH−C50110)
樹脂を、TFA(82.5%)、チオアニソール(5%)、水(5%)、フェノール(5%)、及びトリエチルシラン(2.5%)を含有する20ml/gのカクテルで処理し、機械的なボルテックス装置で1時間室温にて撹拌することによって、樹脂(22mg)からの切断を、同時に起こる側鎖の脱保護とともに行った。その後、ろ過し、TFAでリンスし(2×1ml)、0℃でEt2O中に沈殿させてペプチドを得た。HCl溶液(1M)からの凍結乾燥によって粗製ペプチドを2塩酸塩として単離し、白色粉末(5.7mg)を得た。これは、A中5〜40%Bの溶離液を用いた20分にわたるrp−HPLC(RT=19.8分)により純度85%以上を示した。C38H60N11O10(MH+)に対するLRMSの計算値は830、実測値830であった。
【0172】
結果:
ペプチド模倣薬のスクリーニングアッセイとして、内皮細胞におけるIL−1誘導性PGE2合成アッセイを用いた。ペプチド模倣化合物API−101.110(図21)の効能はIC50 0.2pMであり、これは、API−101.107(配列番号19)よりも10倍高く、後者の効果の2倍である。化合物API−101.109(図20)もPGE2の阻害(IC50)において効能が向上していた(図19)が、そのKDは有効な薬物であるには高すぎる。
【実施例6】
【0173】
ラット炎症性大腸炎(IBD)モデルにおけるAPI−101.10、API−101.107、及びAPI−101.113の効率
これまではAPI−101.10(配列番号10)と呼んでいたリードペプチドTTI−101.10、TTI−101.107及びTTI−101.113(それぞれ101.107及び101.113;又はそれぞれAPI−101.107及びAPI−101.113ともいう)が実施例4に記載の動物IBDモデルの炎症特徴を防ぐことができるかどうかを検証するために更なる実験を行った。結腸炎症は、実施例4に記載のように、ハプテンであるトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)の直腸内/結腸投与によって誘発した。TNBS投与前2時間に、ペプチド、ペプチド模倣薬、又は0.9%生理食塩水を尾静脈から静脈内投与した(iv)(各種濃度、mg/kg/日)(合計量0.3ml)。持続注入の場合、API−101.10(又は他のペプチド若しくはペプチド模倣薬)(2.2mg/kg、さまざまなペプチドのt1/2=2〜3時間に基づいて血圧実験に用いた4回用量)又は0.9%生理食塩水をプライム腹腔内alzetポンプを用いて持続注入した。第3群(対照)にはTNBSを注射しなかった。間欠投与の場合、TNBS投与後15分に101.10(0.25〜1mg/kg)、101.107(0.2mg/kg)、101.113(0.05〜1mg/kg)を間欠腹腔内注射(ip)によって投与した。また、これらのIL−1Rアンタゴニストは1日2回(BID)投与した;レミケード(登録商標)(抗TNFα)(10mg/kg)及びデキサメサゾン(0.75mg/kg)を腹腔内投与したが、これらは1日1回(qd)のみである。101.10、101.113(1及び2.5mg/kg)、及び5−ASA(50mg/kg)をTNBS投与後1時間に直腸内投与(ir)した。5−ASAは1日1回で、他は1日2回である。最後に、101.10(1〜5mg/kg)も1日2回、強制経口投与した(po)。TNBS投与後48時間にCO2吸入によってラットを屠殺した。結腸を取り出し、巨視的に(癒着、潰瘍形成、変色、及び出血)及び組織学的に(好中球浸潤、上皮傷害、陰窩変形、及び潰瘍形成)評価した。処理により、1群あたり1〜7匹の動物を試験した。組織溶解物についてミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性を測定した。
【0174】
結果:
前述のように、TNBS動物モデルは、クローン病の炎症特徴及び組織傷害を再現するため、ヒトの炎症性疾患の、より詳細には炎症性大腸炎(IBD)の有効なin vivoモデルである。表2に示すように、さまざまな用量で本発明のアンタゴニスト(例えばペプチド、ペプチド誘導体、及びペプチド模倣薬)を腹腔内持続注射及び間欠注射することにより、潰瘍の形成、陰窩の喪失、及び上皮層傷害などの炎症による組織損傷を妨げた。
【0175】
101.10及び101.107を含有する腹腔内浸透圧ポンプ(持続注入)を受けた動物は、MPO活性の顕著な低下、巨視的及び組織学的スコア、キネレットに対する効果の優位性又は同等性を実証した(表2)。101.10、101.107(1濃度のみ)、及び101.113の間欠投与は、1日2回投与の用量依存性効果を示した。これは、IBDに対して近年用いられている薬剤、即ちデキサメサゾン、レミケード(登録商標)、及び5−ASAによって観察される効果を上回っている。結腸傷害の巨視的観察を採点したところ(4人の盲検観察者)、ペプチドで処理した(BID)動物は癒着及び潰瘍形成が少なかった(TNBS処理動物と比較して50%未満)。動物は、かなり活力があるようにも見えた。
【0176】
【表2】
【0177】
【表3】
【0178】
図22は、1つの特定濃度に関する全てのペプチドの巨視的採点と、評価した特徴のリストを図示している。また、図23からわかるように、ペプチドの間欠注射を受けた動物は、TNBS対照と比較して、好中球浸潤(ミエロペルオキシダーゼアッセイ)が20〜50%少なかった。組織切片の検査は、ペプチドで処理した動物は炎症によって誘発された結腸傷害の特徴が少ないことを示した。用いた組織学的傷害採点システムを表3に示し、結果を図24に図式化する。当然ながら、本発明が関連する分野の熟練技術者によって他の採点システムを用いて適合させることができるであろう。したがって、図25のパネルC及びDにおける潰瘍及び上皮層傷害の量が、炎症組織を示すパネルBと比較して減少していることが認識できる。更に、TNBS誘導後12時間に本発明の物質(例えばペプチド)を投与しても、結腸炎症の減少を示した。残留する高ミエロペルオキシダーゼ活性は、処置前に好中球浸潤が既に発生しているという事実によるものである。
【0179】
本発明のペプチド及びペプチド模倣薬は他の手段で投与でき、TNBSによって生じた炎症を低下させることを実証するために、API−101.10及びAPI−101.113を直腸内注射した。炎症レベルを上記のように巨視的及び組織学的に評価した。表2からわかるように、2。5mg/kg/日のAPI−101.10は、実質的に(50%)MPO活性を低下させ、結腸の組織損傷を部分的に防いだ。
【0180】
API−101.10を他の手段:強制(1日2回)でも投与し、消化管を通るペプチドの安定性を実証した。5.0mg/kg/日の濃度のAPI−101.10は実質的に炎症特徴を軽減し、MPO活性を低下させ、本発明の化合物の安定性を立証した。
【実施例7】
【0181】
TTI−101.107ペプチド誘導体及び模倣体
TTI−101.107(配列番号19及び図15;IC50 1.2pM)をリードペプチドとして用い、いくつかのアナログシリーズをデザインし、合成し、試験して、各残基の重要性を証明した。
【0182】
構造と活性の対比:
表4からわかるように、末端D−アルギニンをアセチル化して化合物TTI−101.121(配列番号29)を生じた場合、ペプチドの活性は完全に消失した。一方、アルギニン残基をオルニチン又はリジンで置換することもでき、得られたペプチドはその活性を維持する(TTI−101.114、配列番号22;及びTTI−101.115、配列番号23)。したがって、アルギニンのグアニジン基は(オルニチンが有するように)、ペプチド活性に重要であると思われる。
【0183】
ペプチドTTI−101.105(配列番号17)及び101.106(配列番号8)、並びにペプチド模倣薬TTI−101.109を用いて、上記D−スレオニン残基及びD−バリン残基の置換によって得たデータ(図15及び図19を参照されたい)から、これらの残基について曲がった領域の可能性の仮説を立て、(3R,6R,9R;TTI−101.110)及び(3S,6S,9S;TTI−101.112)−インドリジジン−2−オン アミノ酸(R−及びS−I2aa)を導入することによって2つのペプチド模倣体を作製した。図26に示すこれらのペプチド模倣薬は、それぞれII型及びII’型βターンを模倣する。ペプチド模倣薬TTI−101.110は、それが由来するペプチド101.107と比較して、10pMの活性を示した(図26)。
【0184】
それぞれグルタミン酸をアスパラギン酸、アスパラギン、及びアラニンに置換したTTI−101.117(配列番号25)、TTI−101.118(配列番号26)、及びTTI−101.123(配列番号31)を用いてグルタミン酸位置の重要性に取り組んだ。結果は、カルボン酸又はカルボキサミドの除去はペプチド機能に有害であることを示している(表4)。
【0185】
C末端D−ロイシニル−D−アラニン残基の検査により、欠失及び置換を有する一連の誘導体を作製した:TTI−101.113(配列番号21);TTI−101.119(配列番号27)、及びTTI−101.120(配列番号28)。D−アラニン残基の欠失により、7〜30pMの活性を有するヘキサペプチドTTI−101.113((配列番号21)表4)を生じた。ロイシン残基の修飾により活性範囲が消失した。
【0186】
上記データに基づいて、2つの他の模倣体化合物を合成した(図26を参照されたい):TTI−101.124(IC50 2.4μM及び効果100%を示したry[R−I2aa]el;図26)及びTTI−101.125(IC50 90pM及び効果100%を示した(D−orn)y[R−I2aa]ela;図26)。
【0187】
101.113ペプチドの誘導体
リードペプチド(101.107 rytpela(配列番号19)、101.10 rytvela(配列番号10)、及び101.113 rytpel(配列番号21))に基づいて、他のアナログシリーズを作製し、ペプチドと誘導体の構造−活性関係(構造−機能関係)を更に試験した。
【0188】
塩基性アミノ酸の末端アルギニンの重要性を探究したところ、一連のアナログは、グアニジン部分を塩基性アミンに置換すると活性が比較的低下したことを示した。実際、化合物TTI−101.126(配列番号32)、TTI−101.133(配列番号37)、及びTTI−101.134(配列番号38)は、ほとんど又は全く活性を示さなかった(表5)。TTI−101.135(配列番号39)のように立体化学を反転させた場合、配列番号21のD−アミノ酸とは対照的にアルギニン「R」はL−アミノ酸であるが、活性が低下したが完全には消失しなかった(表5)。
【0189】
表5に更に示すように、ペプチド101.113の活性も、フェノール基を有する芳香族残基チロシンを芳香族残基のフェニルアラニン(101.132;配列番号36)又はトリプトファン(101.128;配列番号34)で置換すると比較的低下した。TTI−101.127(配列番号33)のヒドロキシル基を除去するとペプチドの活性は完全に無効になったが、チロシンをトリプトファンで置換すると低下したが活性を維持した。
【0190】
C末端のロイシンをバリンで置換しても活性が低下した。これは、TTI−101.129(配列番号35)(rytpev 400nM;50%)を用いた表5において見られるように、疎水性残基の長さの重要性を実証している。
【0191】
リードペプチド模倣薬(TTI−101.125;図26)に基づいて、他の模倣薬シリーズを調製し、本発明の化合物の構造−活性を更に探究した。
チロシンをロイシン及びアラニン残基にそれぞれ置換するためにアザ−アミノ酸残基を用いて、101.136〜101.140と101.141〜101.144のシリーズを調製した(図27及び28)。アザ−アミノ酸は酵素分解に対するペプチドの耐性を改善することができるため、特定のアナログにおける活性の維持はそのin vivo作用期間を延長させるための1つの手段を例示する。こうした最後の修飾により、化合物TTI−101.140の開発をもたらした。図29及び図30は、ペプチド模倣薬101.125、101.136〜101.144の構造と活性、特に活性が増加した模倣薬101−140の効能と効果を示す。
【0192】
【表4】
【0193】
【表5】
【0194】
結論
要約すると、本発明は、インターロイキン1のin vitro、ex vivo、及びin vivoの効果を無効にできる、IL−1R/IL−1RacP受容体の効率的且つ強力なアンタゴニストについて記載する。これらのペプチドは、さまざまな細胞種及びさまざまな生体効果(増殖及びPGE2合成)に対し、in vitroで有効であり、IL−1の軟膜血管に対する血管運動作用及び新鮮なサンプル組織のPGE2合成を無効にすることによってex vivoで有効であった。更に、これらのAPI−101誘導体は、全身投与及び胃に直接投与したときin vivoでも非常に有効であった。胃への送達によって得た最後の結果は、本発明のペプチドは経口投与したとき活性である可能性があることを示している。これは、強制経口投与したときに実際に証明された。より重要なのは、確立されたラット炎症性大腸炎(IBD)モデルにおいて、API−101.10が、ラットにTNBSを注射して誘発した結腸損傷を防ぐことができたことである。他の誘導体(101.100シリーズ)による結果に基づいて、これらのペプチド誘導体及びそのペプチド模倣薬は、ラットにTNBSを注射して誘発した結腸損傷を防ぐ役割によって証明されたように、強力な抗炎症剤であることが証明されている。
【0195】
本発明は、本発明のペプチド及びペプチド模倣体は、IL−1R/IL−1RacPに関与する多くの経路に対して明らかな効果を有することを示している。したがって、本発明の治療的及び予防的な可能性は、一般に動物に、より詳細には哺乳動物、特にヒトに広く影響を及ぼす。
【0196】
本明細書の開示に基づいて、当該技術分野に熟練した者は、IL−1R/IL−1RacP受容体阻害化合物の更なる同定に有用な、ペプチド、ペプチド誘導体、及びペプチド模倣薬のスクリーニングアッセイを開発することができ、あるいは本明細書に例示したものを改良することができる。本発明のアッセイは、ロースループット、ハイスループット、又はウルトラハイスループットのスクリーニング形式のために開発することができる。当然ながら、本発明のアッセイには自動化しやすいアッセイが含まれる。
【0197】
したがって、天然アミノ酸を有するペプチドを用いた研究により、本発明は、それらが強力で有効な化合物であることをin vitro及びin vivo試験で証明する(例えば、TTI−101.107(配列番号19)及び113(配列番号21))。更に、本発明は、活性に必要なファーマコフォア及び立体構造、ペプチド及びそれらから生じた模倣薬について初めて記載する。
【0198】
注目すべきは、本発明は、非常に顕著な活性(7.4pM;効果80%)を有するヘキサペプチドリード:TTI−101.113(rytpel[配列番号21])を提供することである。更に、中央のD−スレオニン−d−バリン(D−Pro)領域を置換するためにインドリジジノンアミノ酸を用いて模倣体又は模倣薬を作製し、それによってリード模倣体TTI−101.125及びTTI−101.140の同定を可能にした。
【0199】
当然ながら、本発明のアンタゴニストの組み合わせ、又は本発明のアンタゴニストと公知薬物との組み合わせは、本発明の医学的、臨床的、及び薬剤開発の可能性を更に増加させるであろう。
【0200】
本発明をその具体的態様によって説明しているが、当該技術分野に熟練した者には、本明細書の開示を読むことで、添付の特許請求の範囲に定義したような本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、形態及び細部においてさまざまな改変がなされ得ることが明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】図1は、IL−1β(10ng/ml)の存在下におけるがん細胞(A549)の増殖アッセイを示す。細胞をさまざまな濃度の抗IL−1R API−101(配列番号1)ペプチドとともにプレインキュベーションし、次に10ng/mlのIL−1βで24時間処理した。次に3H−チミジンを加えた。24時間後、細胞を回収し、溶解し、3H−チミジンを計数した。
【図2】図2は、IL−1で誘発された微小血管内皮細胞によるPGE2合成に対する抗IL−1Rペプチドの阻害活性を示す。細胞をペプチドと共に45分間プレインキュベーションし、10ng/mlの濃度でヒト組換えIL−Iβと共にインキュベーションした。PGE2合成は増殖培地中で測定した。
【図3】図3は、10ng/mlのIL−1βの存在下、API−101(配列番号1)ペプチドを用いた微小血管内皮細胞のPGE2合成の用量反応曲線を示す。
【図4】図4は、100ng/mlのIL−1β並びに抗IL−1R API−101(配列番号1)及びAPI−108ペプチド存在下における軟膜微小血管の血管拡張の用量反応曲線を示す。
【図5】図5は、IL−1β(10ng/ml)及びアラニンをスキャンしたペプチド(10-6M)の存在下におけるブタ微小血管内皮細胞(A)及びヒト軟骨細胞(B)のin vitro PGE2合成を示す。
【図6】図6は、IL−1βによって誘発される(100ng/ml)軟膜微小血管の血管拡張の、最も活性なAPI−101(配列番号1)のアラニンをスキャンしたペプチドを用いたex vivo逆転を示す。
【図7】図7は、APIペプチドに関する最適化スキームの説明を示す。
【図8】図8は、IL−1β(10ng/ml)及び短鎖型API−101(配列番号1)誘導体の存在下、ヒト肺線維芽細胞(WI−38)に対して行った増殖アッセイを示す。
【図9】図9は、API−101ペプチドの誘導体の、WI−38細胞(A);及び脳微小血管内皮細胞(B)に対する細胞障害性を示す(10-5M、MTTアッセイ)。
【図10】図10は、IL−1β(75ng/ml)で誘発されたラット動脈血管拡張の、API−101誘導体:API−101.10(配列番号10)及びAPI−101.12(配列番号12)を両ペプチドとも10-5M〜10-10Mの濃度範囲で用いた存在下における用量反応曲線を示す。
【図11】図11は、ラットにおけるAPI−101ペプチドの全身投与によるIL−1βで誘発された全身性低血圧及び血清PGE2合成のin vivo効果を示す。(A)平均血圧(MBP)はIL−1β及び/又はペプチド101.10(10-5M)の存在下で減少する。(B)IL−1β及びペプチド101.10(10-5M)の存在下で血清PGE2合成の調節が増加する。
【図12】図12は、ラットにおけるAPI−101.10の腸内注射の、IL−1βで誘発された低血圧及びPGE2合成に対する効果を示す。A)平均血圧(MBP)はIL−1β及び/又はペプチド101.10の存在下で低下する。B)IL−1β及びペプチド101.10の存在下で血清PGE2合成の調節が増す。
【図13】図13は、更なる最適化のためにデザインされたAPI−101.10ペプチド誘導体の配列を示す。
【図14】図14は、ラット炎症性大腸炎モデルにおけるAPI−101.10ペプチドの効果を示す(全身)(肉眼検査)。(A)生理食塩水、(B)TNBS+生理食塩水、及び(C)TNBS+API−101.10(2.2mg/kg/日)。
【図15】図15は、微小血管内皮細胞及びWI−38ヒト線維芽細胞におけるIL−1βで誘発されたPGE2合成のin vitroペプチド阻害による101.10ペプチド誘導体の特性を示す(IC50及び最大効率(Emax)を示す)。
【図16】図16は、TNBSで誘発されたラット炎症性大腸炎モデルにおけるAPI−101.10の治療効果を示す(組織学)。(A)生理食塩水、(B)TNBS(120mg/ml)+生理食塩水、(C)TNBS+API−101.10(1.1mg/kg/日)。
【図17】図17は、ブタの内皮細胞及び軟骨細胞におけるAPI−101誘導体の特性(IL−1βで誘発されたPGE2産生に対する阻害活性)を示す。
【図18】図18は、API−101誘導体の特性(IC50及び最大効率)を示す。
【図19】図19は、ブタ微小血管内皮細胞において、さまざまなペプチド模倣体の存在下、IL−1で誘発されたPGE2合成に関する用量反応アッセイを示す。
【図20】図20は、API−101.109(「C2099」ry(HyVal)pela)及びAPI−101.111ペプチド模倣体の構造を示す。
【図21】図21は、API−101.110ペプチド模倣体の構造を示す。
【図22】図22は、ラット炎症性大腸炎モデルにおけるペプチド101.10、101.107、及び101.113の腹腔内注射に反応した結腸損傷の巨視的評価を示す。
【図23】図23は、ラット炎症性大腸炎モデル(48:00)における腹腔内注射されたペプチド101.10、101.107、及び101.113の、組織好中球浸潤(MPOアッセイ)に対する効果を示す。
【図24】図24は、TNBSで誘発されたラット炎症性大腸炎モデルにおけるペプチド101.10、101.107、及び101.113の腹腔内注射に反応した組織学的評価及び組織損傷の採点を示す。
【図25】図25は、TNBS並びにTTI−101.10及び101.107で処理した結腸組織の組織切片の写真を示す。パネルA) 対照(未処理);B) TNBSで処理した動物;C) TNBSで処理し、101.10(1.0mg/kg/日)ペプチドを腹腔内注射した動物;D) 101.107(0.2mg/kg/日)を腹腔内注射した動物。
【図26A】図26は、TTI−101.110の模倣誘導体の構造及び特性の結果を示す。
【図26B】図26は、TTI−101.110の模倣誘導体の構造及び特性の結果を示す。
【図27A】図27は、TTI−101.125の模倣誘導体の構造を示す。
【図27B】図27は、TTI−101.125の模倣誘導体の構造を示す。
【図28A】図28は、TTI−101.125の他の模倣誘導体の構造を示す。
【図28B】図28は、TTI−101.125の他の模倣誘導体の構造を示す。
【図29−1】図29は、TTI−101.125の模倣誘導体の構造及び特性の結果を示す。
【図29−2】図29は、TTI−101.125の模倣誘導体の構造及び特性の結果を示す。
【図29−3】図29は、TTI−101.125の模倣誘導体の構造及び特性の結果を示す。
【図30−1】図30は、TTI−101.125の他の模倣誘導体の構造及び特性の結果を示す。
【図30−2】図30は、TTI−101.125の他の模倣誘導体の構造及び特性の結果を示す。
【図30−3】図30は、TTI−101.125の他の模倣誘導体の構造及び特性の結果を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IL−1Rアンタゴニスト活性を有する単離化合物であって:
(a)アミノ酸配列RYTPELXを含むペプチド、式中、R、Y、T、P、E、Lは対応のアミノ酸を表し、Xはアミノ酸なし及びアラニン(A)から選択される;及び
(b)ペプチドのRYTPEL部分にアミノ酸の付加、欠失、又は置換から選択される1つ、2つ、又は3つのアミノ酸修飾を組み込み、且つそのIL−1Rアンタゴニスト活性を維持する(a)の誘導体、
から成る群より選択される、前記化合物。
【請求項2】
IL−1Rアンタゴニスト活性を有する単離化合物であって:
(a)アミノ酸配列RYTPELXから成るペプチド、式中、R、Y、T、P、E、Lは対応のアミノ酸を表し、Xはアミノ酸なし及びアラニン(A)から選択される;及び
(b)ペプチドのRYTPEL部分にアミノ酸の付加、欠失、又は置換から選択される1つ、2つ、又は3つのアミノ酸修飾を組み込み、且つそのIL−1Rアンタゴニスト活性を維持する、(a)の誘導体、
から成る群より選択される、前記化合物。
【請求項3】
配列番号1(API−101)、配列番号2(API−101.1)、配列番号3(API−101.2)、配列番号4(API−101.3)、配列番号5(API−101.4)、配列番号6(API−101.5)、配列番号7(API−101.6)、配列番号8(API−101.7)、配列番号9(API−101.9)、配列番号10(API−101.10)、配列番号11(API−101.11)、配列番号13(API−101.101)、配列番号14(API−101.102)、配列番号15(API−101.103)、配列番号16(API−101.104)、配列番号17(API−101.105)、配列番号18(API−101.106)、配列番号19(API−101.107)、配列番号20(API−101.108)、配列番号21(API−101.113)、配列番号22(API−101.114)、配列番号23(API−101.115)、配列番号24(API−101.116)、配列番号25(API−101.117)、配列番号26(API−101.118)、配列番号27(API−101.119)、配列番号28(API−101.120)、配列番号29(API−101.121)、配列番号30(API−101.122)、配列番号31(API−101.123)、配列番号32(API−101.126)、配列番号33(API−101.127)、配列番号34(API−101.128)、配列番号35(API−101.129)、配列番号36(API−101.132)、配列番号37(API−101.133)、配列番号38(API−101.134)、配列番号39(API−101.135)から成る群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
アミノ酸配列が、API−101.113(配列番号21)、API−101.103(配列番号15)、API−101.114(配列番号22)、API−101.117(配列番号25)、API−101.10(配列番号10)、API−101.106(配列番号18)、API−101.116(配列番号24)、API−101.108(配列番号20)、API−101.135(配列番号39)、API−101.128(配列番号34)、API−101.9(配列番号9)、API−101.105(配列番号7)、API−101.129(配列番号35)、API−101.11(配列番号11)、API−101.12(配列番号12)、及びAPI−101.132(配列番号36)から成る群より選択される、請求項3に記載の単離化合物。
【請求項5】
アミノ酸配列が、API−101.113(配列番号21)、API−101.103(配列番号15)、API−101.114(配列番号22)、API−101.117(配列番号25)、API−101.10(配列番号10)から成る群より選択される、請求項4に記載の単離化合物。
【請求項6】
アミノ酸配列が配列番号21(API−101.113)の配列である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
IL−1R/IL−1RacP活性に関与するシグナル伝達経路の異常に関連する動物の疾患又は病態を治療又は予防するための方法であって、動物に治療的に有効量の請求項1又は2に記載のペプチドアンタゴニスト又はその誘導体を投与することを含む、前記方法。
【請求項8】
IL−1R/IL−1RacP受容体活性に関与するシグナル伝達経路の異常に関連する動物の疾患又は病態を治療又は予防するための医薬組成物であって、有効量の請求項1又は2に記載のペプチドアンタゴニスト又はその誘導体を、医薬的に許容可能な賦形剤とともに含む、前記医薬組成物。
【請求項9】
治療的に有効量の少なくとも1つの請求項1又は2に記載のペプチドを、医薬的に許容可能な賦形剤とともに含む、医薬組成物。
【請求項10】
疾患又は病態がIL−1関連疾患又は病態である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
疾患又は病態が炎症性疾患又は病態である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
疾患が、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、変形性関節症、乾癬、及び敗血症から成る群より選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
疾患が、アルツハイマー病、脳室周囲白質軟化症、髄膜炎、卒中、多発性硬化症、脳炎、及び自己免疫疾患から成る群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
動物がヒトの患者である、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
動物がヒトの患者である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
疾患又は病態が、IL−1関連疾患又は病態である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
アンタゴニストが、IL−1で誘導されるPGE2産生を阻害する、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項18】
ペプチド又はその誘導体が少なくとも1つのD−アミノ酸を含む、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項19】
ペプチド又はその誘導体のアミノ酸配列が、天然又は逆の立体配置であり、ペプチド又はその誘導体が、L−アミノ酸、D−アミノ酸、及びその混合物から成る群より選択されるアミノ酸を含有する、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項20】
ペプチド又はその誘導体が、非競合的、効率的、及び選択的である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項21】
一般式R1−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5−aa6−aa7−R2を有するIL−1R/IL−1RacPのペプチド模倣薬アンタゴニストであって、式中、
R1は、残基なし、水素、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基、及びRCO−基(式中、Rは炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基である)から成る群より選択され;
aa1は、残基なし、アルギニン、リジン、オルニチン、シトルリン、炭素数2〜8のω−アミノアシル基、炭素数2〜6のω−グアニジニルアシル基、及びアルギニン代用物から成る群より選択され;
aa2は、残基なし、チロシン、フェニルアラニン、ナフチルアラニン、ヒスチジン、4−ヒドロキシフェニルグリシン、トリプトファン、フェニルグリシン、ピリジルアラニン、ホモセリン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、及び4−クロロフェニルアラニンから成る群より選択され;
aa3は、残基なし、スレオニン、セリン、β−ヒドロキシバリン、アロスレオニン、バリン、tert−ブチルロイシン、ロイシン、プロリン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−カルボン酸、ヒドロキシプロリン、及びアラニンから成る群より選択され;
aa4は、残基なし、バリン、プロリン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−カルボン酸、ヒドロキシプロリン、チアゾリジン−4−カルボン酸、及び2,2−ジメチルチアゾリジン−4−カルボン酸から成る群より選択され;
aa5は、残基なし、アラニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン、ヒスチジン、ホモセリン、β−ロイシン、β−フェニルアラニン、及びα−アミノアジピン酸から成る群より選択され;
aa6は、残基なし、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、炭素数1〜10の脂肪族アミン、芳香族アミン、及びアリールアルキルアミンから成る群より選択され;
aa7は、残基なし、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、炭素数1〜10の脂肪族アミン、芳香族アミン、及びアリールアルキルアミンから成る群より選択され;
R2は、残基なし、水素、NH2、炭素数1〜10の脂肪族アミン、芳香族アミン、及びアリールアルキルアミンから成る群より選択され、
ペプチド模倣薬はIL−1R/IL−1RacP生物活性を阻害する、前記アンタゴニスト。
【請求項22】
一般式R1−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5−aa6−aa7−R2を有するペプチド模倣薬アンタゴニストであって、式中、
R1は、残基なし、水素、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基、及びRCO−基(式中、Rは炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基である)から成る群より選択され;
aa1は、アルギニン、リジン、オルニチン、シトルリン、炭素数2〜8のω−アミノアシル基、炭素数2〜6のω−グアニジニルアシル基、及びアルギニン代用物から成る群より選択され;
aa2は、チロシン、フェニルアラニン、ナフチルアラニン、ヒスチジン、4−ヒドロキシフェニルグリシン、トリプトファン、フェニルグリシン、ピリジルアラニン、ホモセリン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、及び4−クロロフェニルアラニンから成る群より選択され;
aa3は、スレオニン、セリン、β−ヒドロキシバリン、アロスレオニン、バリン、tert−ブチルロイシン、ロイシン、プロリン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−カルボン酸、ヒドロキシプロリン、及びアラニンから成る群より選択され;
aa4は、バリン、プロリン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−カルボン酸、ヒドロキシプロリン、チアゾリジン−4−カルボン酸、及び2,2−ジメチルチアゾリジン−4−カルボン酸から成る群より選択され;
aa5は、アラニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン、ヒスチジン、ホモセリン、β−ロイシン、β−フェニルアラニン、及びα−アミノアジピン酸から成る群より選択され;
aa6は、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、炭素数1〜10の脂肪族アミン、芳香族アミン、及びアリールアルキルアミンから成る群より選択され;
aa7は、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、炭素数1〜10の脂肪族アミン、芳香族アミン、及びアリールアルキルアミンから成る群より選択され;
R2は、残基なし、水素、NH2、炭素数1〜10の脂肪族アミン、芳香族アミン、及びアリールアルキルアミンから成る群より選択され、
ペプチド模倣薬はIL−1R/IL−1RacP生物活性を阻害する、請求項21に記載のアンタゴニスト。
【請求項23】
R1のRCO−基が、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、イソプロパノイル、及びイソブタノイルから成る群より選択される、請求項21又は22に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項24】
アルギニン代用物が、4−アミジノフェニルアセチル、4−アミジノフェニルプロピオニル、4−アミジノフェニルグリシル、4−アミジノフェニルメチルグリシル、4−グアニジノフェニルアセチル、4−グアニジノフェニルプロピオニル、4−グアニジノフェニルグリシル、及び4−グアニジノフェニルメチルグリシルから成る群より選択される、請求項21、22、又は23に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項25】
一体となったaa3−aa4が、3−アミノインドリジジン−2−オン 9−カルボン酸、3−アミノピロリジジン−2−オン 8−カルボン酸、3−アミノキノリジジン−2−オン 10−カルボン酸、8−アミノインドリジジン−9−オン 2−カルボン酸、ジペプチド代用物、及びβ−ターン模倣体から成る群より選択される、請求項21、22、23、又は24に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項26】
aa6、aa7、及びR2の脂肪族アミンが、独立して、メチルアミン、イソブチルアミン、イソバレリルアミン、及びシクロヘキシルアミンから成る群より選択される、請求項21、22、23、24、又は25に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項27】
aa6及びaa7の芳香族アミン又はアリールアルキルアミンが、独立して、アニリン、ナフチルアミン、ベンジルアミン、シンナミルアミン、及びフェニルエチルアミンから成る群より選択される、請求項21、22、23、24、25、又は26に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項28】
R−立体配置及びS−立体配置から成る群より選択される立体化学的立体配置を有する、請求項21、22、23、24、25、26、又は27に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項29】
オレフィンが、シス配置又はトランス配置である、請求項21、22、23、24、25、26、27、又は28に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項30】
一般配列中の少なくとも1つのアミノ酸残基が、キラルα炭素が窒素で置換された、そのアザアミノ酸対応物である、請求項21、22、23、24、25、26、27、28、又は29に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項31】
アザアミノ酸対応物が、アザアラニン、アザチロシン、及びアザフェニルアラニンから成る群より選択される、請求項30に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項32】
図20、21、26、27、28、29、又は30のうちの1つに示した構造を有する、請求項21に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項33】
ペプチド模倣薬が、図25、26、又は29に示した構造を有するTTI−101.125;図29に示した構造を有するペプチド模倣薬TTI−101.140;図30に示した構造を有するTTI−101.141;図26に示した構造を有するTTI−101.110;図20に示した構造を有するTTI−101.111;図27又は29に示した構造を有するTTI−101.136;図30に示した構造を有するTTI−101.143から成る群より選択される、請求項32に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項34】
TT1−101.140、TT1−101.141、TT1−101.125、TT1−101.140;及びTT1−101.110から成る群より選択される、請求項33に記載のペプチド模倣薬。
【請求項35】
式I:X−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5
に記載のアミノ酸配列を含むIL−IR/IL−1RacPペプチドアンタゴニスト又はその誘導体であって、式中、
Xは、A1P2R3Y4、A1A2R3Y4、A1P2A3Y4、A1P2R3A4、P2R3Y4、R3Y4、ZY4、R3F4、及びY4から成る群より選択され(式中、A、P、R、Y、及びFは対応のアミノ酸を表し、数はA1P2R3Y4配列中のアミノ酸の位置を表し、Zはシトルリンである);
a)A1は、アラニン、ロイシン、バリン、メチオニン、及びφから成る群より選択され(ここで、φは疎水性側鎖を有するα−アミノ酸を定義する);
b)P2は、プロリン、アラニン、アミノイソ酪酸(Aib)、N−メチル−L−アラニン(MeAla)、トランス−4−ヒドロキシプロリン、ジエチルチアゾリジン カルボン酸(Dtc)、及びΩから成る群より選択され(ここで、Ωは構造制約を生じるアミノ酸を定義する);
c)R3は、ヒスチジン、アラニン、アルギニン、リジン、オルニチン、シトルリン、2−ピリジルアラニン、3−ピリジルアラニン、炭素数2〜8のω−アミノアシル基、炭素数2〜6のω−グアニジニルアシル基、4−ピリジルアラニン、及びアルギニン代用物から成る群より選択され;
d)Y4は、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、アラニン ナフチルアラニン、ヒスチジン、4−ヒドロキシフェニルグリシン、フェニルグリシン、ピリジルアラニン、ホモセリン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、4−シクロフェニルアラニン、及びΣから成る群より選択され(ここで、Σは疎水性側鎖又は芳香族側鎖を有するα−アミノ酸を定義する);
aa1は、スレオニン、セリン、バリン、及びηから成る群より選択され(ここで、ηは中性親水性アミノ酸を定義する);
aa2は、イソロイシン、ロイシン、バリン、プロリン、メチオニン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−カルボン酸、ヒドロキシプロリン、チアゾリジン−4−カルボン酸、2,2−ジメチルチアゾリジン−4−カルボン酸、及びφから成る群より選択され(ここで、φは疎水性側鎖を有するα−アミノ酸を定義する);
aa3は、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、セリン、ヒスチジン、ホモセリン、β−ロイシン、β−フェニルアラニン、α−アミノアジピン酸、芳香族アミン、及びΨから成る群より選択され(ここで、Ψは疎水性側鎖を有する3−アミノ−5−フェニルペンタン酸−α−アミノ酸);
aa4は、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びΛから成る群より選択され(ここで、Λは中性脂肪族アミノ酸を定義する);
aa5は、残基なし、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びΛから成る群より選択され(ここで、Λは中性脂肪族アミノ酸を定義する)、
ペプチド又はその誘導体はIL−IR/IL−1RacP生物活性を阻害する、前記ペプチドアンタゴニスト又はその誘導体。
【請求項36】
式II:G1−X−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5
に記載のアミノ酸配列を含むペプチドアンタゴニストであって、
式中、G1は、水素、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基、RCO−基(式中、Rは炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基である)、及び3級アミンから成る群より選択される、請求項35に記載のペプチドアンタゴニスト。
【請求項37】
式III:X−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5−G2
に記載のアミノ酸配列を含むペプチドアンタゴニストであって、
式中、G2は、水素、NH2、炭素数1〜10の脂肪族アミン、芳香族アミン、アリールアルキルアミン、及び3級アミンから成る群より選択される、請求項35に記載のペプチドアンタゴニスト。
【請求項38】
式IV:G1−X−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5−G2
に記載のアミノ酸配列を含むペプチドアンタゴニストであって、
式中、G1は、水素、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基、RCO−基(式中、Rは炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基である)、3級アミンから成る群より選択より選択され、G2は、水素、NH2、炭素数1〜10の脂肪族アミン、芳香族アミン、アリールアルキルアミン、及び3級アミンから成る群より選択される、請求項35に記載のペプチドアンタゴニスト。
【請求項1】
IL−1Rアンタゴニスト活性を有する単離化合物であって:
(a)アミノ酸配列RYTPELXを含むペプチド、式中、R、Y、T、P、E、Lは対応のアミノ酸を表し、Xはアミノ酸なし及びアラニン(A)から選択される;及び
(b)ペプチドのRYTPEL部分にアミノ酸の付加、欠失、又は置換から選択される1つ、2つ、又は3つのアミノ酸修飾を組み込み、且つそのIL−1Rアンタゴニスト活性を維持する(a)の誘導体、
から成る群より選択される、前記化合物。
【請求項2】
IL−1Rアンタゴニスト活性を有する単離化合物であって:
(a)アミノ酸配列RYTPELXから成るペプチド、式中、R、Y、T、P、E、Lは対応のアミノ酸を表し、Xはアミノ酸なし及びアラニン(A)から選択される;及び
(b)ペプチドのRYTPEL部分にアミノ酸の付加、欠失、又は置換から選択される1つ、2つ、又は3つのアミノ酸修飾を組み込み、且つそのIL−1Rアンタゴニスト活性を維持する、(a)の誘導体、
から成る群より選択される、前記化合物。
【請求項3】
配列番号1(API−101)、配列番号2(API−101.1)、配列番号3(API−101.2)、配列番号4(API−101.3)、配列番号5(API−101.4)、配列番号6(API−101.5)、配列番号7(API−101.6)、配列番号8(API−101.7)、配列番号9(API−101.9)、配列番号10(API−101.10)、配列番号11(API−101.11)、配列番号13(API−101.101)、配列番号14(API−101.102)、配列番号15(API−101.103)、配列番号16(API−101.104)、配列番号17(API−101.105)、配列番号18(API−101.106)、配列番号19(API−101.107)、配列番号20(API−101.108)、配列番号21(API−101.113)、配列番号22(API−101.114)、配列番号23(API−101.115)、配列番号24(API−101.116)、配列番号25(API−101.117)、配列番号26(API−101.118)、配列番号27(API−101.119)、配列番号28(API−101.120)、配列番号29(API−101.121)、配列番号30(API−101.122)、配列番号31(API−101.123)、配列番号32(API−101.126)、配列番号33(API−101.127)、配列番号34(API−101.128)、配列番号35(API−101.129)、配列番号36(API−101.132)、配列番号37(API−101.133)、配列番号38(API−101.134)、配列番号39(API−101.135)から成る群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
アミノ酸配列が、API−101.113(配列番号21)、API−101.103(配列番号15)、API−101.114(配列番号22)、API−101.117(配列番号25)、API−101.10(配列番号10)、API−101.106(配列番号18)、API−101.116(配列番号24)、API−101.108(配列番号20)、API−101.135(配列番号39)、API−101.128(配列番号34)、API−101.9(配列番号9)、API−101.105(配列番号7)、API−101.129(配列番号35)、API−101.11(配列番号11)、API−101.12(配列番号12)、及びAPI−101.132(配列番号36)から成る群より選択される、請求項3に記載の単離化合物。
【請求項5】
アミノ酸配列が、API−101.113(配列番号21)、API−101.103(配列番号15)、API−101.114(配列番号22)、API−101.117(配列番号25)、API−101.10(配列番号10)から成る群より選択される、請求項4に記載の単離化合物。
【請求項6】
アミノ酸配列が配列番号21(API−101.113)の配列である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
IL−1R/IL−1RacP活性に関与するシグナル伝達経路の異常に関連する動物の疾患又は病態を治療又は予防するための方法であって、動物に治療的に有効量の請求項1又は2に記載のペプチドアンタゴニスト又はその誘導体を投与することを含む、前記方法。
【請求項8】
IL−1R/IL−1RacP受容体活性に関与するシグナル伝達経路の異常に関連する動物の疾患又は病態を治療又は予防するための医薬組成物であって、有効量の請求項1又は2に記載のペプチドアンタゴニスト又はその誘導体を、医薬的に許容可能な賦形剤とともに含む、前記医薬組成物。
【請求項9】
治療的に有効量の少なくとも1つの請求項1又は2に記載のペプチドを、医薬的に許容可能な賦形剤とともに含む、医薬組成物。
【請求項10】
疾患又は病態がIL−1関連疾患又は病態である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
疾患又は病態が炎症性疾患又は病態である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
疾患が、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、変形性関節症、乾癬、及び敗血症から成る群より選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
疾患が、アルツハイマー病、脳室周囲白質軟化症、髄膜炎、卒中、多発性硬化症、脳炎、及び自己免疫疾患から成る群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
動物がヒトの患者である、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
動物がヒトの患者である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
疾患又は病態が、IL−1関連疾患又は病態である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
アンタゴニストが、IL−1で誘導されるPGE2産生を阻害する、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項18】
ペプチド又はその誘導体が少なくとも1つのD−アミノ酸を含む、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項19】
ペプチド又はその誘導体のアミノ酸配列が、天然又は逆の立体配置であり、ペプチド又はその誘導体が、L−アミノ酸、D−アミノ酸、及びその混合物から成る群より選択されるアミノ酸を含有する、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項20】
ペプチド又はその誘導体が、非競合的、効率的、及び選択的である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項21】
一般式R1−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5−aa6−aa7−R2を有するIL−1R/IL−1RacPのペプチド模倣薬アンタゴニストであって、式中、
R1は、残基なし、水素、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基、及びRCO−基(式中、Rは炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基である)から成る群より選択され;
aa1は、残基なし、アルギニン、リジン、オルニチン、シトルリン、炭素数2〜8のω−アミノアシル基、炭素数2〜6のω−グアニジニルアシル基、及びアルギニン代用物から成る群より選択され;
aa2は、残基なし、チロシン、フェニルアラニン、ナフチルアラニン、ヒスチジン、4−ヒドロキシフェニルグリシン、トリプトファン、フェニルグリシン、ピリジルアラニン、ホモセリン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、及び4−クロロフェニルアラニンから成る群より選択され;
aa3は、残基なし、スレオニン、セリン、β−ヒドロキシバリン、アロスレオニン、バリン、tert−ブチルロイシン、ロイシン、プロリン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−カルボン酸、ヒドロキシプロリン、及びアラニンから成る群より選択され;
aa4は、残基なし、バリン、プロリン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−カルボン酸、ヒドロキシプロリン、チアゾリジン−4−カルボン酸、及び2,2−ジメチルチアゾリジン−4−カルボン酸から成る群より選択され;
aa5は、残基なし、アラニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン、ヒスチジン、ホモセリン、β−ロイシン、β−フェニルアラニン、及びα−アミノアジピン酸から成る群より選択され;
aa6は、残基なし、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、炭素数1〜10の脂肪族アミン、芳香族アミン、及びアリールアルキルアミンから成る群より選択され;
aa7は、残基なし、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、炭素数1〜10の脂肪族アミン、芳香族アミン、及びアリールアルキルアミンから成る群より選択され;
R2は、残基なし、水素、NH2、炭素数1〜10の脂肪族アミン、芳香族アミン、及びアリールアルキルアミンから成る群より選択され、
ペプチド模倣薬はIL−1R/IL−1RacP生物活性を阻害する、前記アンタゴニスト。
【請求項22】
一般式R1−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5−aa6−aa7−R2を有するペプチド模倣薬アンタゴニストであって、式中、
R1は、残基なし、水素、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基、及びRCO−基(式中、Rは炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基である)から成る群より選択され;
aa1は、アルギニン、リジン、オルニチン、シトルリン、炭素数2〜8のω−アミノアシル基、炭素数2〜6のω−グアニジニルアシル基、及びアルギニン代用物から成る群より選択され;
aa2は、チロシン、フェニルアラニン、ナフチルアラニン、ヒスチジン、4−ヒドロキシフェニルグリシン、トリプトファン、フェニルグリシン、ピリジルアラニン、ホモセリン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、及び4−クロロフェニルアラニンから成る群より選択され;
aa3は、スレオニン、セリン、β−ヒドロキシバリン、アロスレオニン、バリン、tert−ブチルロイシン、ロイシン、プロリン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−カルボン酸、ヒドロキシプロリン、及びアラニンから成る群より選択され;
aa4は、バリン、プロリン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−カルボン酸、ヒドロキシプロリン、チアゾリジン−4−カルボン酸、及び2,2−ジメチルチアゾリジン−4−カルボン酸から成る群より選択され;
aa5は、アラニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン、ヒスチジン、ホモセリン、β−ロイシン、β−フェニルアラニン、及びα−アミノアジピン酸から成る群より選択され;
aa6は、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、炭素数1〜10の脂肪族アミン、芳香族アミン、及びアリールアルキルアミンから成る群より選択され;
aa7は、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、炭素数1〜10の脂肪族アミン、芳香族アミン、及びアリールアルキルアミンから成る群より選択され;
R2は、残基なし、水素、NH2、炭素数1〜10の脂肪族アミン、芳香族アミン、及びアリールアルキルアミンから成る群より選択され、
ペプチド模倣薬はIL−1R/IL−1RacP生物活性を阻害する、請求項21に記載のアンタゴニスト。
【請求項23】
R1のRCO−基が、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、イソプロパノイル、及びイソブタノイルから成る群より選択される、請求項21又は22に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項24】
アルギニン代用物が、4−アミジノフェニルアセチル、4−アミジノフェニルプロピオニル、4−アミジノフェニルグリシル、4−アミジノフェニルメチルグリシル、4−グアニジノフェニルアセチル、4−グアニジノフェニルプロピオニル、4−グアニジノフェニルグリシル、及び4−グアニジノフェニルメチルグリシルから成る群より選択される、請求項21、22、又は23に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項25】
一体となったaa3−aa4が、3−アミノインドリジジン−2−オン 9−カルボン酸、3−アミノピロリジジン−2−オン 8−カルボン酸、3−アミノキノリジジン−2−オン 10−カルボン酸、8−アミノインドリジジン−9−オン 2−カルボン酸、ジペプチド代用物、及びβ−ターン模倣体から成る群より選択される、請求項21、22、23、又は24に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項26】
aa6、aa7、及びR2の脂肪族アミンが、独立して、メチルアミン、イソブチルアミン、イソバレリルアミン、及びシクロヘキシルアミンから成る群より選択される、請求項21、22、23、24、又は25に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項27】
aa6及びaa7の芳香族アミン又はアリールアルキルアミンが、独立して、アニリン、ナフチルアミン、ベンジルアミン、シンナミルアミン、及びフェニルエチルアミンから成る群より選択される、請求項21、22、23、24、25、又は26に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項28】
R−立体配置及びS−立体配置から成る群より選択される立体化学的立体配置を有する、請求項21、22、23、24、25、26、又は27に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項29】
オレフィンが、シス配置又はトランス配置である、請求項21、22、23、24、25、26、27、又は28に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項30】
一般配列中の少なくとも1つのアミノ酸残基が、キラルα炭素が窒素で置換された、そのアザアミノ酸対応物である、請求項21、22、23、24、25、26、27、28、又は29に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項31】
アザアミノ酸対応物が、アザアラニン、アザチロシン、及びアザフェニルアラニンから成る群より選択される、請求項30に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項32】
図20、21、26、27、28、29、又は30のうちの1つに示した構造を有する、請求項21に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項33】
ペプチド模倣薬が、図25、26、又は29に示した構造を有するTTI−101.125;図29に示した構造を有するペプチド模倣薬TTI−101.140;図30に示した構造を有するTTI−101.141;図26に示した構造を有するTTI−101.110;図20に示した構造を有するTTI−101.111;図27又は29に示した構造を有するTTI−101.136;図30に示した構造を有するTTI−101.143から成る群より選択される、請求項32に記載のペプチド模倣薬アンタゴニスト。
【請求項34】
TT1−101.140、TT1−101.141、TT1−101.125、TT1−101.140;及びTT1−101.110から成る群より選択される、請求項33に記載のペプチド模倣薬。
【請求項35】
式I:X−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5
に記載のアミノ酸配列を含むIL−IR/IL−1RacPペプチドアンタゴニスト又はその誘導体であって、式中、
Xは、A1P2R3Y4、A1A2R3Y4、A1P2A3Y4、A1P2R3A4、P2R3Y4、R3Y4、ZY4、R3F4、及びY4から成る群より選択され(式中、A、P、R、Y、及びFは対応のアミノ酸を表し、数はA1P2R3Y4配列中のアミノ酸の位置を表し、Zはシトルリンである);
a)A1は、アラニン、ロイシン、バリン、メチオニン、及びφから成る群より選択され(ここで、φは疎水性側鎖を有するα−アミノ酸を定義する);
b)P2は、プロリン、アラニン、アミノイソ酪酸(Aib)、N−メチル−L−アラニン(MeAla)、トランス−4−ヒドロキシプロリン、ジエチルチアゾリジン カルボン酸(Dtc)、及びΩから成る群より選択され(ここで、Ωは構造制約を生じるアミノ酸を定義する);
c)R3は、ヒスチジン、アラニン、アルギニン、リジン、オルニチン、シトルリン、2−ピリジルアラニン、3−ピリジルアラニン、炭素数2〜8のω−アミノアシル基、炭素数2〜6のω−グアニジニルアシル基、4−ピリジルアラニン、及びアルギニン代用物から成る群より選択され;
d)Y4は、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、アラニン ナフチルアラニン、ヒスチジン、4−ヒドロキシフェニルグリシン、フェニルグリシン、ピリジルアラニン、ホモセリン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、4−シクロフェニルアラニン、及びΣから成る群より選択され(ここで、Σは疎水性側鎖又は芳香族側鎖を有するα−アミノ酸を定義する);
aa1は、スレオニン、セリン、バリン、及びηから成る群より選択され(ここで、ηは中性親水性アミノ酸を定義する);
aa2は、イソロイシン、ロイシン、バリン、プロリン、メチオニン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−カルボン酸、ヒドロキシプロリン、チアゾリジン−4−カルボン酸、2,2−ジメチルチアゾリジン−4−カルボン酸、及びφから成る群より選択され(ここで、φは疎水性側鎖を有するα−アミノ酸を定義する);
aa3は、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、セリン、ヒスチジン、ホモセリン、β−ロイシン、β−フェニルアラニン、α−アミノアジピン酸、芳香族アミン、及びΨから成る群より選択され(ここで、Ψは疎水性側鎖を有する3−アミノ−5−フェニルペンタン酸−α−アミノ酸);
aa4は、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びΛから成る群より選択され(ここで、Λは中性脂肪族アミノ酸を定義する);
aa5は、残基なし、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びΛから成る群より選択され(ここで、Λは中性脂肪族アミノ酸を定義する)、
ペプチド又はその誘導体はIL−IR/IL−1RacP生物活性を阻害する、前記ペプチドアンタゴニスト又はその誘導体。
【請求項36】
式II:G1−X−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5
に記載のアミノ酸配列を含むペプチドアンタゴニストであって、
式中、G1は、水素、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基、RCO−基(式中、Rは炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基である)、及び3級アミンから成る群より選択される、請求項35に記載のペプチドアンタゴニスト。
【請求項37】
式III:X−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5−G2
に記載のアミノ酸配列を含むペプチドアンタゴニストであって、
式中、G2は、水素、NH2、炭素数1〜10の脂肪族アミン、芳香族アミン、アリールアルキルアミン、及び3級アミンから成る群より選択される、請求項35に記載のペプチドアンタゴニスト。
【請求項38】
式IV:G1−X−aa1−aa2−aa3−aa4−aa5−G2
に記載のアミノ酸配列を含むペプチドアンタゴニストであって、
式中、G1は、水素、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基、RCO−基(式中、Rは炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基である)、3級アミンから成る群より選択より選択され、G2は、水素、NH2、炭素数1〜10の脂肪族アミン、芳香族アミン、アリールアルキルアミン、及び3級アミンから成る群より選択される、請求項35に記載のペプチドアンタゴニスト。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26A】
【図26B】
【図27A】
【図27B】
【図28A】
【図28B】
【図29−1】
【図29−2】
【図29−3】
【図30−1】
【図30−2】
【図30−3】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26A】
【図26B】
【図27A】
【図27B】
【図28A】
【図28B】
【図29−1】
【図29−2】
【図29−3】
【図30−1】
【図30−2】
【図30−3】
【公表番号】特表2008−502598(P2008−502598A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511804(P2007−511804)
【出願日】平成17年5月5日(2005.5.5)
【国際出願番号】PCT/CA2005/000691
【国際公開番号】WO2005/105830
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(504255054)ヴァロリザーシヨン−ルシェルシュ,ソシエテ・アン・コマンディット (1)
【出願人】(506368637)ヴァロリザーシヨン・アッシュエスジ,ソシエテ・アン・コマンディット (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月5日(2005.5.5)
【国際出願番号】PCT/CA2005/000691
【国際公開番号】WO2005/105830
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(504255054)ヴァロリザーシヨン−ルシェルシュ,ソシエテ・アン・コマンディット (1)
【出願人】(506368637)ヴァロリザーシヨン・アッシュエスジ,ソシエテ・アン・コマンディット (1)
【Fターム(参考)】
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