説明

インダクタ一体型リードフレーム、並びに、電子回路モジュール及びその製造方法

【課題】配線リードとコイルを接続する工程を不要とするとともに、配線リードおよびコイル間の電気的接続に対する信頼性を向上させる。
【解決手段】本発明の一実施形態によるインダクタ一体型リードフレームは、一枚の金属板から作製されたものであり、
複数の配線リード3aと、これら複数の配線リード3aの外周を囲うとともに複数の配線リード3aを支持する支持枠3bとを有する配線リードフレーム部3と、
配線リード3aから延びるように設けられた接続リード部4と、
接続リード部4を介して配線リード3aと接続され、かつ、複数の配線リード3aが位置する領域よりも小さい平面コイル部2と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタ一体型リードフレーム、並びに、電子回路モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁性体に埋め込まれたコイルと、該コイルと共に電気回路を構成する電子部品とを備える電子回路モジュールが開示されている。例えば、特許文献1に記載された電子回路モジュールは、絶縁性の磁性体20と、磁性体20の内部に埋め込まれたコイル10と、コイル接続部32及び素子接続部31を有し磁性体20に固定された複数の端子電極30と、コイル10と共に電気回路を構成する電子部品40とを備えている。
【0003】
なお、特許文献2には、コイル11を埋め込むように絶縁磁性粉末を堆積し、堆積した絶縁磁性粉末を加圧成形し、それによって固化された表面に配線を形成する磁性体の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−188023号公報
【特許文献2】国際公開第2009/001944号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された電子回路モジュールでは、コイル10はコイル接続部32を介して端子電極30と電気的に接続されている。このため、コイル11と端子電極30との電気接続の信頼性が低いという問題がある。特に、コイル10のリード部13,14とコイル接続部32とを接続した後に磁性体20を加圧成形する際、リード部13,14とコイル接続部32とが離間するおそれがある。また、コイル10のリード部13,14とコイル接続部32とを接続する工程が必要であるため、製造効率が低いという問題もある。
【0006】
さらに、特許文献1の電子回路モジュールでは、磁性体20に設けられた凹部21に樹脂50を充填して、磁性体20と素子接続部31とで画成される凹部21内に電子部品40を封じ込めている。しかし、樹脂50の上面と端子電極30の端子面とは面一ではないため、電子回路モジュールがプリント基板等に実装されたときに樹脂50とプリント基板との間に隙間が生じ、電子部品40の熱を効率良くプリント基板に放熱できないという問題もある。なお、樹脂50の上面と、端子電極30の端子面とを面一にして放熱の問題を解消するには、複雑な形状の端子部材が必要となり、電子回路モジュールの製造コストが上昇してしまう。
【0007】
そこで、本発明は、配線リードとコイルを接続する工程を不要とするとともに、配線リードおよびコイル間の電気的接続に対する信頼性を向上させることが可能なインダクタ一体型リードフレームを提供し、さらに、放熱性や製造コストに優れた電子回路モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るインダクタ一体型リードフレームは、
一枚の金属板から作製されたインダクタ一体型リードフレームであって、
複数の配線リードと、前記複数の配線リードの外周の少なくとも一部を囲うとともに前記複数の配線リードを支持する支持枠とを有する、配線リードフレーム部と、
前記配線リードフレーム部から延びるように設けられた、接続リード部と、
前記接続リード部を介して前記配線リードと接続され、かつ、前記複数の配線リードが位置する領域よりも小さい、平面コイル部と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
前記インダクタ一体型リードフレームにおいて、
前記平面コイル部は、前記接続リード部から直線状に延びる直行部と、前記直行部の端部と接続され、つづら折り形状に形成されたミアンダ部と、を有するようにしてもよい。
【0010】
前記インダクタ一体型リードフレームにおいて、
前記平面コイル部は、前記金属板の厚さ方向に波打つように形成されているようにしてもよい。
【0011】
前記インダクタ一体型リードフレームにおいて、
前記配線リードフレーム部および前記平面コイル部を囲う外枠部と、前記外枠部と前記配線リードフレーム部とを接続するランナー部と、をさらに備えるようにしてもよい。
【0012】
前記インダクタ一体型リードフレームにおいて、
前記外枠部に位置合わせ用の孔が設けられているようにしてもよい。
【0013】
本発明の一態様に係る電子回路モジュールは、
同一平面上に配置され、かつ対向する第1の面および第2の面を有する、複数の配線リードと、
前記配線リードの前記第1の面に実装された電子部品と、
接続リード部を介して前記配線リードと一体に構成され、かつ、前記接続リード部を折り曲げることで前記配線リードの前記第2の面側に設けられた、平面コイル部と、
金属粒子と前記金属粒子を絶縁する絶縁体とを有し、かつ、前記平面コイル部を埋め込むように前記配線リードの前記第2の面に設けられた、磁性体部と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
前記電子回路モジュールにおいて、
前記電子部品を封止するとともに、前記第1の面と平行な樹脂面を有する樹脂部と、
前記配線リードと電気的に接続されるとともに、前記第1の面と平行な端子面を有する外部端子とをさらに備え、
前記樹脂面と前記端子面は面一であるようにしてもよい。
【0015】
前記電子回路モジュールにおいて、
前記平面コイル部は、前記接続リード部から直線状に延びる直行部と、前記直行部の端部と接続され、つづら折り形状に形成されたミアンダ部と、を有するようにしてもよい。
【0016】
前記電子回路モジュールにおいて、
前記平面コイル部は、前記第1の面と垂直な方向に波打つように形成されているようにしてもよい。
【0017】
前記電子回路モジュールにおいて、
前記平面コイル部は、前記配線リードの前記第2の面と平行に設けられているようにしてもよい。
【0018】
本発明の一態様に係る電子回路モジュールの製造方法は、
複数の配線リードと、前記複数の配線リードの外周の少なくとも一部を囲うとともに前記複数の配線リードを支持する支持枠とを有する配線リードフレーム部と、前記配線リードフレーム部から延びるように設けられた接続リード部と、前記接続リード部を介して前記配線リードと接続され、かつ、前記複数の配線リードが位置する領域よりも小さい平面コイル部とを備えるインダクタ一体型リードフレームを、1枚の金属板を加工することにより作製する工程と、
前記接続リード部を折り曲げて、前記平面コイル部が前記配線リードフレーム部の磁性体形成面の上方に配置されるようにする工程と、
前記平面コイル部を埋め込むように、金属粒子と前記金属粒子を絶縁する絶縁体とを有する磁性体部を前記磁性体形成面の磁性体形成領域に形成する工程と、
前記配線リードフレーム部の前記磁性体形成面と逆側の電子部品実装面に電子部品を実装する工程と、
開口部および前記開口部と連結する樹脂流込口が設けられるとともに、前記開口部の辺から突成された複数の凸部を有する端子リードフレームを、1枚の金属板を加工して作製する工程と、
前記凸部が前記支持枠の内縁を跨ぎ前記凸部の少なくとも一部が前記配線リードと電気的に接続され、且つ前記実装された電子部品が前記開口部内に収容されるように、前記端子リードフレームを前記配線リードフレーム部の前記電子部品実装面に重ね合わせる工程と、
前記電子部品実装面に実装された電子部品を樹脂で封止する工程と、
前記樹脂が硬化した後、前記端子リードフレームの前記凸部の少なくとも一部が前記配線リード上に残るように前記端子リードフレームを切り落として前記凸部同士を電気的に分離させるとともに、前記配線リードフレーム部の前記支持枠を切り落として前記配線リード同士を電気的に分離させる工程と、
を備えることを特徴とする。
【0019】
前記電子回路モジュールの製造方法において、
前記電子部品を樹脂で封止する工程は、
前記端子リードフレームの開口部と樹脂流込口を覆うように前記端子リードフレームの上に閉塞部材を形成して、前記開口部および前記閉塞部材により凹部を画成する工程と、
前記磁性体形成面側から前記樹脂流込口に樹脂を注入し、前記凹部に樹脂を充填する工程と、
を備えてもよい。
【0020】
前記電子回路モジュールの製造方法において、
前記磁性体形成領域を前記支持枠の内縁より内側とし、隣り合う前記配線リード間の隙間の一部を、前記凹部に樹脂を充填する際に発生するエアの放出口としてもよい。
【0021】
前記電子回路モジュールの製造方法において、
前記電子部品を樹脂で封止する工程は、
前記端子リードフレームの開口部を覆うように前記端子リードフレームの上に閉塞部材を形成して、前記開口部、前記閉塞部材および前記配線リードフレーム部により封止空間を画成する工程と、
前記磁性体部を収容可能な収容部を有する治具を用意し、前記磁性体部が前記治具の収容部に収容されるように、前記インダクタ一体型リードフレームを前記治具の上に載置する工程と、
前記電子部品実装面側から前記樹脂流込口に樹脂を注入し、前記封止空間に樹脂を充填する工程と、
を備えるようにしてもよい。
【0022】
前記電子回路モジュールの製造方法において、
前記封止空間に樹脂を注入する前に、前記治具の収納部と前記封止空間とを繋ぐ前記配線リードフレーム部の貫通孔を前記磁性体形成面側から樹脂で塞いでもよい。
【0023】
前記電子回路モジュールの製造方法において、
前記閉塞部材は、粘着テープを前記端子リードフレーム上に貼付する、または、弾性体を前記端子リードフレーム上に押し付けることにより形成してもよい。
【0024】
前記電子回路モジュールの製造方法において、
前記磁性体部は、
前記磁性体形成領域の形状と同じ横断面形状の貫通孔を有する上側金型と、平らな上面を有する下側金型と、前記上側金型の貫通孔に嵌合する加圧金型とを有するプレス装置を用意し、
前記配線リードフレーム部の電子部品実装面が前記下側金型の上面に接するように、前記インダクタ一体型リードフレームを前記下側金型に載置し、
前記平面コイル部が前記上側金型の貫通孔内に位置し、かつ前記貫通孔の側面が前記磁性体形成領域の境界線に一致するように、前記インダクタ一体型リードフレームの上に前記上側金型を載せ、
絶縁体の薄層で覆われた金属粒子を含む絶縁磁性粉末を前記上側金型の貫通孔に注ぎ込んで、前記平面コイル部を前記絶縁磁性粉末で埋め込み、
前記加圧金型により前記上側金型の貫通孔内に堆積した絶縁磁性粉末に圧力を印加して加圧成形し、その後、加圧成形された前記絶縁磁性粉末を加熱して硬化させる、
ことにより形成してもよい。
【0025】
前記電子回路モジュールの製造方法において、
前記接続リード部を折り曲げる際、前記接続リード部から前記平面コイル部の先端方向に行くにつれて前記平面コイル部と前記配線リードフレーム部との間隔が大きくなるように前記接続リード部を折り曲げておき、
前記加圧金型の圧力により、前記平面コイル部が前記配線リードフレーム部の磁性体形成面に対して平行になるようにしてもよい。
【0026】
前記電子回路モジュールの製造方法において、
前記インダクタ一体型リードフレームを作製する際、前記金属板の厚さ方向に波打つように前記平面コイル部を形成してもよい。
【0027】
前記電子回路モジュールの製造方法において、
前記インダクタ一体型リードフレームおよび前記端子リードフレームに位置合わせ孔を設けておき、
前記位置合わせ孔にピンを挿入することにより、前記インダクタ一体型リードフレームと前記端子リードフレームとの位置合わせを行ってもよい。
【0028】
本発明の別態様に係る電子回路モジュールの製造方法は、
表面に電子部品実装面が設けられ、前記電子部品実装面に形成された複数の配線パターンと、前記複数の配線パターンを囲う外周部とを有する基板を作製する工程と、
前記基板の電子部品実装面に電子部品を実装する工程と、
開口部および前記開口部と連結する樹脂流込口が設けられるとともに、前記開口部の辺から突成された凸部を有する端子リードフレームを、1枚の金属板を加工して作製する工程と、
前記凸部が前記外周部の内縁を跨ぎ前記凸部の少なくとも一部が前記配線パターンと電気的に接続され、且つ前記実装された電子部品が前記開口部内に収容されるように、前記端子リードフレームを前記基板の前記電子部品実装面に重ね合わせる工程と、
前記電子部品実装面に実装された電子部品を樹脂で封止する工程と、
前記樹脂が硬化した後、前記端子リードフレームの前記凸部の少なくとも一部が前記配線パターン上に残るように前記端子リードフレームを切り落として前記凸部同士を電気的に分離させる工程と、
を備えることを特徴とする。
【0029】
前記電子回路モジュールの製造方法において、
前記電子部品を樹脂で封止する工程は、
前記端子リードフレームの開口部と樹脂流込口を覆うように前記端子リードフレームの上に閉塞部材を形成して、前記開口部および前記閉塞部材により凹部を画成する工程と、
前記電子部品実装面の逆側から前記樹脂流込口に樹脂を注入し、前記凹部に樹脂を充填する工程と、
を備えてもよい。
【0030】
前記電子回路モジュールの製造方法において、
前記電子部品を樹脂で封止する工程は、
前記端子リードフレームの開口部を覆うように前記端子リードフレームの上に閉塞部材を形成して、前記開口部、前記閉塞部材および前記配線リードフレーム部により封止空間を画成する工程と、
前記基板を平板の上に載置し、前記電子部品実装面側から前記樹脂流込口に樹脂を注入し、前記封止空間に樹脂を充填する工程と、
を備えてもよい。
【0031】
前記電子回路モジュールの製造方法において、
前記閉塞部材は、粘着テープを前記端子リードフレーム上に貼付する、または、弾性体を前記端子リードフレーム上に押し付けることにより形成してもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一態様に係るインダクタ一体型リードフレームは、1枚の金属板から作製されているため、平面コイル部と配線リードとを接続する必要がなく、また、平面コイル部および配線リードフレーム部間の電気的接続を高い信頼性で確保することができる。このため、平面コイル部を埋め込む磁性体部を加圧成形する際、平面コイル部と配線リードとが離間することはなく、磁性体基板の歩留まりを向上させることができる。
【0033】
本発明の一態様に係る電子回路モジュールでは、電子部品を封止する樹脂の樹脂面と外部端子の端子面は面一であるため、電子回路モジュールをプリント基板等に実装したとき、樹脂面が該プリント基板に接触することとなり、電子部品の発する熱を効率良くプリント基板に放熱することができる。
【0034】
本発明の一態様に係る電子回路モジュールの製造方法では、配線リードと外部端子を構成し、かつ電子部品を封止する樹脂を溜める凹部を構成するために、複雑な形状の部材を用意する必要がない。よって、電子回路モジュールを安価に製造することができる。また、配線リードを折り曲げることで配線リードの一部を外部端子にする必要がないため、配線リードを折り曲げる際に磁性体部にクラックが生じることを防ぐことができるとともに、配線リードが狭ピッチ化した場合でも配線リード同士の電気的な短絡を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】(a)は、本発明の実施形態に係るインダクタ一体型リードフレームの平面図である。(b)は、(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図2A】本発明の実施形態に係る電子回路モジュールを製造する方法を説明するための工程断面図である。
【図2B】図2Aに続く、本発明の実施形態に係る電子回路モジュールを製造する方法を説明するための工程断面図である。
【図2C】図2Bに続く、本発明の実施形態に係る電子回路モジュールを製造する方法を説明するための工程断面図である。
【図3】堆積した絶縁磁性粉末を加圧成形する工程を説明するための断面図である。
【図4】平面コイルの変形例を説明するための断面図である。
【図5】端子リードフレームの一例を示す平面図である。
【図6】電子部品が搭載された磁性体基板の電子部品実装面に、端子リードフレームを重ね合わせた状態を示す平面図である。
【図7】治具の収容部に磁性体部が収容されるように治具上に載置されたインダクタ一体型リードフレームおよび端子リードフレームの断面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る電子回路モジュールの外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態に係るインダクタ一体型リードフレーム、および電子回路モジュールの製造方法について説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。
【0037】
(インダクタ一体型リードフレーム)
図1(a)は本発明の実施形態に係るインダクタ一体型リードフレーム1の平面図を示している。図1(b)は、図1(a)のA−A線に沿う断面図を示している。
【0038】
インダクタ一体型リードフレーム1は、図1(a)に示すように、1枚の金属板(例えば銅板)から作製されたものであり、平面コイル部2と、配線リードフレーム部3と、接続リード部4と、外枠部5と、ランナー部6とを備えている。
【0039】
図1(b)に示すように、配線リードフレーム部3の一方の面は電子部品を実装するための電子部品実装面3Xであり、他方の面は磁性体を形成するための磁性体形成面3Yである。配線リードフレーム部3は、複数の配線リード3aと、複数の配線リード3aの外周を囲うとともに複数の配線リード3aを支持する支持枠3bとを有する。換言すれば、複数の配線リード3aが、支持枠3bの内縁(配線リード3aと支持枠3bとの境界)から配線リードフレーム部3の内側に向かって突出するように形成されている。
【0040】
平面コイル部2は、接続リード部4を介して配線リードフレーム部3と一体のものとして構成されている。図1(a)に示すように、平面コイル部2は、接続リード部4から直線状に延びる直行部2aと、直行部2aの端部と接続され、つづら折り形状に形成されたミアンダ部2bと、を有する。直行部2aの一端は接続リード部4と接続され、ミアンダ部2bの一端は別の接続リード部4と接続されている。
【0041】
なお、平面コイル部2は、後述の図4からわかるように、インダクタ一体型リードフレーム1を構成する金属板の厚さ方向に波打つように形成されてもよい。
【0042】
外枠部5は、図1(a)に示すように、配線リードフレーム部3および平面コイル部2を囲うように設けられている。ランナー部6は、外枠部5と平面コイル部2とを接続し、または、外枠部5と、配線リードフレーム部3の支持枠3bとを接続する。これにより、平面コイル部2および配線リードフレーム部3は外枠部5に支持固定される。なお、外枠部5と平面コイル部2を接続するランナー部は省略することも可能である。
【0043】
また、外枠部5には、図1(a)に示すように、後述の電子回路モジュールを作製する際にインダクタ一体型リードフレーム1と端子リードフレーム14とを位置合わせするための位置合わせ孔5aが設けられてもよい。
【0044】
図1(a)に示す破線で囲われた磁性体形成領域Mは、後述の磁性体部11が形成される領域を示している。図1に示す例では、磁性体形成領域Mは、その境界線が支持枠3bの内縁(配線リード3aと支持枠3bの境界線)と一致するように設けられているが、磁性体形成領域Mの境界線を支持枠3bの内縁より内側にしてもよい。
【0045】
上記のように、本実施形態に係るインダクタ一体型リードフレーム1は、一枚の金属板から作製されたものであり、複数の配線リード3a、及びこれら複数の配線リード3aの外周の少なくとも一部を囲うとともに複数の配線リード3aを支持する支持枠3bを有する配線リードフレーム部3と、配線リードフレーム部3から延びるように設けられた接続リード部4と、この接続リード部4を介して配線リード3aと接続され、かつ、複数の配線リード3aが位置する領域よりも小さい平面コイル部2と、を備える。
【0046】
このようなインダクタ一体型リードフレームによれば、平面コイル部と配線リードを接続する必要がなく、平面コイル部と配線リードフレーム部との間の電気的接続を高い信頼性で確保することができる。
【0047】
(電子回路モジュールの製造方法)
次に、上記のインダクタ一体型リードフレーム1を用いて電子回路モジュールを製造する方法について、図2A〜図2Cに沿って説明する。図2A〜図2Cは、本実施形態に係る電子回路モジュールの製造方法を説明するための工程断面図を示している。
【0048】
(1)まず、前述のインダクタ一体型リードフレーム1を1枚の金属板を加工して作製する。この際、図4からわかるように、金属板の厚さ方向に波打つように平面コイル部2を形成してもよい。これにより、平面コイル部2と後述の磁性体部11との密着性が向上する。その結果、環境温度の変動や温度サイクル試験等によって磁性体部11内でクラックが生じた場合しても、このクラックが平面コイル部2に沿って成長することを抑制することができる。
【0049】
(2)次に、平面コイル部2と外枠部5とを接続するランナー部6を切断し、平面コイル部2を外枠部5から切り離す。なお、平面コイル部2と外枠部5との間にランナー部6が設けられていない場合には、本工程は不要である。
【0050】
(3)次に、図2A(1)に示すように、接続リード部4を折り曲げて、平面コイル部2が配線リードフレーム部3の磁性体形成面3Yの上方に配置されるようにする。例えば、接続リード部4と配線リードフレーム部3との接続部位B1で平面コイル部2を磁性体形成面3Y側に折り曲げることにより、平面コイル部2が配線リードフレーム部3に対してほぼ垂直になるようにし、次いで、接続リード部4と平面コイル部2との接続部位B2で折り曲げることにより、平面コイル部2が磁性体形成面3Yの上方に配置されるようにする。
【0051】
前述のように平面コイル部2および配線リードフレーム部3が一体のものとして構成されているため、平面コイル部2を配線リードフレーム部3に接続する工程は不要である。また、従来の巻線コイルの場合、コイル線(導線)間を絶縁するためにコイル線を樹脂で被覆する必要があったが、平面コイル部2の場合、表面を樹脂で被覆する必要はない。
【0052】
(4)次に、図2A(2)に示すように、平面コイル部2を埋め込むように、磁性体形成面3Yに磁性体部11を形成する。本工程について図3を用いて詳しく説明する。磁性体部11を加圧形成するために、プレス装置を用意する。このプレス装置は、図3に示すように、貫通孔101aを有する上側金型101と、平らな上面を有する下側金型102と、上側金型101の貫通孔に嵌合する加圧金型103とを有する。なお、上側金型101の貫通孔101aは、磁性体形成領域Mと同じ形状の横断面形状を有する。平面コイル部2が磁性体部11に埋設されるように、平面コイル部2は磁性体形成領域Mよりも小さい。
【0053】
まず、電子部品実装面3Xが下側金型102に接するように、インダクタ一体型リードフレーム1を下側金型102に載置する。次に、平面コイル部2が上側金型101の貫通孔101a内に位置し、かつ貫通孔101aの側面が磁性体形成領域Mの境界線に一致するように、インダクタ一体型リードフレーム1の上に上側金型101を載せる。これにより、インダクタ一体型リードフレーム1は上側金型101と下側金型102とで挟持される。
【0054】
次に、上側金型101の貫通孔101aに絶縁磁性粉末11Aを注ぎ込んで、平面コイル部2を絶縁磁性粉末11Aで埋め込む。なお、この絶縁磁性粉末11Aは、絶縁体(樹脂、ガラス等)の薄層で覆われた鉄などの金属粒子を含む。
【0055】
次に、加圧金型103により、貫通孔101a内に堆積した絶縁磁性粉末11Aに所定の圧力(例えば500MPa〜1GPa)を印加して加圧成形する。その後、加圧成形された絶縁磁性粉末を加熱(例えば120℃〜200℃)して硬化させるキュア処理を行う。このキュア処理により、絶縁磁性粉末11Aの金属粒子を覆う絶縁体の薄層が溶融し、絶縁性の磁性体部11が形成される。即ち、絶縁体と、該絶縁体により絶縁された金属粒子とを有するものとして構成された磁性体部11が形成される。
【0056】
なお、前述のように、巻線コイルの場合と異なり、平面コイル部2は樹脂で被覆される必要はない。このため、従来よりもキュア処理の温度を高く設定することが可能である。よって、絶縁磁性粉末11Aの金属粒子を覆う絶縁体として、樹脂よりも溶融温度の高い材料(例えばガラス)を用いることができる。
【0057】
本工程により、図2A(2)に示すように、平面コイル部2および接続リード部4を埋設する略直方体の磁性体部11を有する磁性体基板20が作製される。
【0058】
前述のように、平面コイル部2および配線リードフレーム部3が1枚の金属板から形成されているため、本工程の加圧成形によって平面コイル部2と配線リード3aとが離間することはなく、磁性体基板20の歩留まりを向上させることができる。
【0059】
なお、加圧金型103により絶縁磁性粉末11Aに印加される圧力は、平面コイル部2にも作用する。このため、この圧力を利用することにより、平面コイル部2を加圧成形中に屈曲させることができる。よって、圧力等の加圧成形の条件に基づいて平面コイル部2と配線リードフレーム部3とのなす角度を予め調整しておくことにより、磁性体部11の成形後における平面コイル部2と配線リードフレーム部3とのなす角度を所望の値にすることができる。例えば、図3に示すように、平面コイル部2をやや上向きに調整しておく。即ち、加圧金型103で加圧する前に、接続リード部4から平面コイル部2の先端方向に行くにつれて平面コイル部2と配線リードフレーム部3との間隔が大きくなるように接続リード部4を折り曲げておくことにより、加圧成形後において平面コイル部2が磁性体形成面3Yに対して平行になるようにしてもよい。ここでいう「平行」は、完全に平行である場合の他に、仕様の範囲内のインダクタンス値を得られれば実質的に平行である場合も含む。
【0060】
(5)次に、電子部品実装面3Xの所定の位置(電子部品の実装位置など)、および外枠部5の少なくとも一部(後述の端子リードフレーム14の凸部14aと当接する部分)にクリームはんだを印刷する。その後、図2B(3)に示すように、電子部品実装面3Xに印刷されたクリームはんだ(図示せず)上に電子部品13(制御チップ、抵抗、コンデンサ等)を搭載する。
【0061】
(6)次に、開口部および該開口部と連結する樹脂流込口が設けられるとともに、該開口部の辺から突成された凸部を有する端子リードフレーム14を作製する。この端子リードフレーム14は、1枚の金属板(例えば銅板)を加工して作製されたものであり、図5に示すように、四角形の開口部14hが設けられており、この開口部14hの辺にはそれぞれ、開口部14hの内側に向かう3つの凸部14aが設けられている。また、後段の工程において電子部品13を封止するための樹脂の供給口として機能する樹脂流込口14bが、開口部14hと連結するように設けられている。なお、図5では樹脂流込口14bは開口部14hの右上角の1カ所にのみ設けられているが、電子部品13を封止する樹脂の特性に応じて複数箇所(例えば、開口部14hの他の角)に設けられてもよい。また、樹脂流込口14bの形状についても、電子部品13を封止する樹脂の特性に応じて適宜変更することができる。
【0062】
また、図5に示すように、端子リードフレーム14には、インダクタ一体型リードフレーム1との位置合わせに使用するための位置合わせ孔14cを設けてもよい。
【0063】
(7)次に、図2B(4)及び図6に示すように、凸部14aが支持枠3bの内縁を跨ぎ凸部14aの少なくとも一部が配線リード3aと電気的に接続され、且つ電子部品実装面3Xに実装された電子部品13が開口部14h内に収容されるように、端子リードフレーム14を配線リードフレーム部3の電子部品実装面3Xに重ね合わせる。この重ね合わせの際、位置合わせ孔5aと14cに位置合わせ孔と同径のピンを挿入することで、配線リードフレーム部3と端子リードフレーム14との位置合わせを行ってもよい。
【0064】
(8)次に、リフロー処理によりクリームはんだを溶融させて、電子部品13及び端子リードフレーム14をインダクタ一体型リードフレーム1に結合させる。
【0065】
(9)次に、図2C(5)に示すように、端子リードフレーム14の開口部14hと樹脂流込口14bを覆うように、端子リードフレーム14の上に閉塞部材15を形成する。この閉塞部材15は、例えば、粘着テープを端子リードフレーム14上に貼付する、または、テフロン等の弾性体を端子リードフレーム14上に押し付けることにより形成する。
【0066】
本工程により、開口部14hおよび閉塞部材15により凹部12が画成される。この凹部12は、図6からわかるように、樹脂流込口14bと繋がっている。
【0067】
(10)次に、電子部品実装面3Xに実装された電子部品13を樹脂で封止する。より詳細には、インダクタ一体型リードフレーム1および端子リードフレーム14を上下にひっくり返して磁性体形成面3Yを上側にし、そして、磁性体形成面3Y側から樹脂流込口14bにポッティング樹脂などの樹脂を注入し、凹部12に樹脂を充填する。この際、凸部14aの上面は開口部14hを覆う閉塞部材15により被覆されているため、後述の外部端子17の端子面17aは注入される樹脂から保護される。
【0068】
なお、図6に示すように、インダクタ一体型リードフレーム1および端子リードフレーム14を貫通する貫通部分Tが設けられていることが好ましい。これにより、凹部12に樹脂を注入する際に発生するエアを貫通部分Tから磁性体形成面3Y側に放出することができる。その他、磁性体型領域Mを配線リードフレーム部3の支持枠3bの内縁よりも内側にすることで、隣り合う配線リード3a間の隙間の一部を磁性体部11で塞がれないようにし、この隙間の一部をエアの放出口としてもよい。このようにエアの放出口として機能する貫通部分T等を設けることで、電子部品13を封止する樹脂部16にボイドが発生することを防止できる
また、電子部品実装面3X側から樹脂を注入し、電子部品13を封止することも可能である。この場合の方法について図7を用いて説明する。
【0069】
まず、開口部14hを覆うように閉塞部材15を端子リードフレーム14上に形成する。それにより、開口部14h、閉塞部材15および配線リードフレーム部3により封止空間を画成する。次いで、磁性体部11を収容可能な収容部30aを有する治具30を用意する。そして、図7に示すように、磁性体部11が治具30の収容部30aに収容されるように、インダクタ一体型リードフレーム1を治具30の上に載置する。次いで、電子部品実装面3X側から樹脂流込口14bを介して前述の封止空間に樹脂を注入し、電子部品実装面3Xに実装された電子部品13が埋設されるように封止空間を樹脂で充填する。
【0070】
なお、この方法を採る場合、封止空間に樹脂を注入する前に、治具30の収納部30aと、封止空間とを繋ぐ配線リードフレーム部3の貫通孔(前述の貫通部分Tや隣り合う配線リード3a間の隙間の一部など)を磁性体形成面3Y側から樹脂(例えばシリコーン樹脂)で塞いでおくことが好ましい。これにより、封止空間に注入された樹脂が治具30の収容部30aに流れ落ちることを防止できる。
【0071】
(11)次に、凹部12に注入した樹脂が硬化し閉塞部材15を剥がした後、図2C(6)に示すように、磁性体形成領域Mの境界線に沿って端子リードフレーム14および支持枠3bを切り落とす。磁性体形成領域Mが支持枠3bの内縁よりも内側に設定されている場合には、支持枠3bの内縁と磁性体形成領域Mの境界線との間を切断する。これにより、凸部14aの少なくとも一部は、配線リード3aと電気的に接続され且つ他の凸部14aとは電気的に分離された状態で配線リード3a上に残り、外部端子17となる。また、支持枠3bを介して電気的に接続されていた複数の配線リード3aは、電気的に分離される。
【0072】
即ち、本工程では、端子リードフレーム14の凸部14aの少なくとも一部が配線リード3a上に残るように端子リードフレーム14を切り落として凸部14a同士を電気的に分離させるとともに、配線リードフレーム部3の支持枠3bを切り落として配線リード3a同士を電気的に分離させる。
【0073】
上述した本実施形態による電子回路モジュールの製造方法では、電子部品13を封止する樹脂は凹部12や封止空間に充填される。このため、配線リードと外部端子を構成し、かつ封止樹脂を溜める凹部等を構成するために、複雑な形状の部材を用意する必要がない。さらに、凹部12や封止空間の寸法および形状は、端子リードフレーム14の厚みや開口部14hの形状により容易に変えることができる。この結果、本実施形態に係る電子回路モジュールの製造方法によれば、電子回路モジュールを安価に製造することができる。
【0074】
また、本実施形態による電子回路モジュールの製造方法では、配線リード3aを折り曲げて配線リード3aの一部を外部端子にする必要がない。このため、配線リード3aを折り曲げる際に磁性体部11にクラックが生じることを防ぐことができるとともに、配線リード3aが狭ピッチ化した場合でも配線リード3a同士の電気的な短絡を防ぐことができる。
【0075】
また、本実施形態による電子回路モジュールの製造方法では、支持枠3bを切り落として配線リード3aを電気的に分離させる際に、磁性体部11を切断しないため、磁性体部11に損傷を与えることを防止することができる。
【0076】
また、本実施形態による電子回路モジュールの製造方法では、支持枠3bとともに外枠部5も切り落とされるため、電子回路モジュールの製造効率を向上させることができる。
【0077】
また、本実施形態による電子回路モジュールの製造方法では、開口部14hを覆う閉塞部材15により凸部14aは被覆されるため、外部端子17の端子面となる凸部14aの上面を封止樹脂から保護することができる。
【0078】
図8は、上記工程により作成された電子回路モジュール50の外観斜視図である。電子回路モジュール50の具体例としては、DC−DCコンバータなどの電源モジュールが挙げられる。
【0079】
図2C(6)及び図8に示すように、電子回路モジュール50は、同一平面上に配置され、かつ第1の面(電子部品実装面3X)および第2の面(磁性体形成面3Y)を有する複数の配線リード3aと、配線リード3aの第1の面に実装された電子部品13と、接続リード部4を介して配線リード3aと一体に構成され、かつ、接続リード部4を折り曲げることで配線リード3aの第2の面側に設けられた平面コイル部2と、金属粒子と該金属粒子を絶縁する絶縁体とを有し、かつ、平面コイル部2を埋め込むように配線リード3aの第2の面に設けられた磁性体部11と、を備えている。
【0080】
さらに、電子回路モジュール50は、電子部品13を封止するとともに、第1の面と平行な樹脂面16aを有する樹脂部16と、配線リード3aと電気的に接続されるとともに、第1の面と平行な端子面17aを有する外部端子17とをさらに備え、樹脂面16aと端子面17aは面一である。よって、電子回路モジュール50をプリント基板等に実装したとき、樹脂面16aが該プリント基板に接触することとなり、電子部品13の発する熱を効率良くプリント基板に放熱することができる。
【0081】
上記の電子回路モジュールの製造方法の説明では磁性体基板20を用いたが、これに限らない。即ち、磁性体基板に代えて、表面に配線パターンを有するプリント基板等の基板を用いて前述の方法と同様にして電子回路モジュールを製造することも可能である。
【0082】
この場合における電子回路モジュールの製造方法は、次の通りである。
【0083】
(1)まず、表面に電子部品実装面が設けられ、前記電子部品実装面に形成された複数の配線パターンと、前記複数の配線パターンを囲う外周部とを有する基板を作製する。
【0084】
(2)次に、前記電子部品実装面に電子部品を実装する。
【0085】
(3)次に、1枚の金属板を加工することにより、開口部および前記開口部と連結する樹脂流込口が設けられるとともに、前記開口部の辺から突成された凸部を有する端子リードフレームを作製する。
【0086】
(4)次に、前記凸部が前記外周部の内縁(外周部と配線パターンが形成された領域との境界線)を跨ぎ前記凸部の少なくとも一部が前記配線パターンと電気的に接続され、且つ前記実装された電子部品が前記開口部内に収容されるように、前記端子リードフレームを前記基板の前記電子部品実装面に重ね合わせる。
【0087】
(5)次に、前記電子部品実装面に実装された電子部品を樹脂で封止する。
【0088】
なお、電子部品を樹脂で封止する工程は、
前記端子リードフレームの開口部と樹脂流込口を覆うように前記端子リードフレームの上に閉塞部材を形成して、前記開口部および前記閉塞部材により凹部を画成する工程と、
前記電子部品実装面の逆側から前記樹脂流込口に樹脂を注入し、前記凹部に樹脂を充填する工程と、を備えるようにしてもよい。
【0089】
また、電子部品を樹脂で封止する工程は、
前記端子リードフレームの開口部を覆うように前記端子リードフレームの上に閉塞部材を形成して、前記開口部、前記閉塞部材および前記配線リードフレーム部により封止空間を画成する工程と、
前記基板を平板の上に載置し、前記電子部品実装面側から前記樹脂流込口に樹脂を注入し、前記封止空間に樹脂を充填する工程と、を備えるようにしてもよい。
【0090】
(6)次に、前記樹脂が硬化した後、前記端子リードフレームの前記凸部の少なくとも一部が前記配線パターン上に残るように前記端子リードフレームを切り落として前記凸部同士を電気的に分離させる。なお、外周部において配線パターンが電気的に接続されており、最終的に電気的に分離させる必要がある場合には、端子リードフレームとともに基板の外周部も切り落としてよい。
【0091】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 インダクタ一体型リードフレーム
2 平面コイル部
2a 直行部
2b ミアンダ部
3 配線リードフレーム部
3a 配線リード
3b 支持枠
3X 電子部品実装面
3Y 磁性体形成面
4 接続リード部
5 外枠部
5a 位置合わせ孔
6 ランナー部
11A 絶縁磁性粉末
11 磁性体部
12 凹部
13 電子部品
14 端子リードフレーム
14a 凸部
14b 樹脂流込口
14c 位置合わせ孔
14h 開口部
15 閉塞部材
16 樹脂部
16a 樹脂面
17 外部端子
17a 端子面
20 磁性体基板
30 治具
30a 収容部
50 電子回路モジュール
101 上側金型
101a 貫通孔
102 下側金型
103 加圧金型
B1,B2 接続部位
M 磁性体形成領域
T 貫通部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の金属板から作製されたインダクタ一体型リードフレームであって、
複数の配線リードと、前記複数の配線リードの外周の少なくとも一部を囲うとともに前記複数の配線リードを支持する支持枠とを有する、配線リードフレーム部と、
前記配線リードフレーム部から延びるように設けられた、接続リード部と、
前記接続リード部を介して前記配線リードと接続され、かつ、前記複数の配線リードが位置する領域よりも小さい、平面コイル部と、
を備えることを特徴とするインダクタ一体型リードフレーム。
【請求項2】
前記平面コイル部は、前記接続リード部から直線状に延びる直行部と、前記直行部の端部と接続され、つづら折り形状に形成されたミアンダ部と、を有することを特徴とする請求項1に記載のインダクタ一体型リードフレーム。
【請求項3】
前記平面コイル部は、前記金属板の厚さ方向に波打つように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のインダクタ一体型リードフレーム。
【請求項4】
前記配線リードフレーム部および前記平面コイル部を囲う外枠部と、前記外枠部と前記配線リードフレーム部とを接続するランナー部と、をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインダクタ一体型リードフレーム。
【請求項5】
前記外枠部に位置合わせ用の孔が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のインダクタ一体型リードフレーム。
【請求項6】
同一平面上に配置され、かつ対向する第1の面および第2の面を有する、複数の配線リードと、
前記配線リードの前記第1の面に実装された電子部品と、
接続リード部を介して前記配線リードと一体に構成され、かつ、前記接続リード部を折り曲げることで前記配線リードの前記第2の面側に設けられた、平面コイル部と、
金属粒子と前記金属粒子を絶縁する絶縁体とを有し、かつ、前記平面コイル部を埋め込むように前記配線リードの前記第2の面に設けられた、磁性体部と、
を備えることを特徴とする電子回路モジュール。
【請求項7】
前記電子部品を封止するとともに、前記第1の面と平行な樹脂面を有する樹脂部と、
前記配線リードと電気的に接続されるとともに、前記第1の面と平行な端子面を有する外部端子とをさらに備え、
前記樹脂面と前記端子面は面一であることを特徴とする請求項6に記載の電子回路モジュール。
【請求項8】
前記平面コイル部は、前記接続リード部から直線状に延びる直行部と、前記直行部の端部と接続され、つづら折り形状に形成されたミアンダ部と、を有することを特徴とする請求項6または7に記載のインダクタ一体型リードフレーム。
【請求項9】
前記平面コイル部は、前記第1の面と垂直な方向に波打つように形成されていることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載のインダクタ一体型リードフレーム。
【請求項10】
前記平面コイル部は、前記配線リードの前記第2の面と平行に設けられていることを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載のインダクタ一体型リードフレーム。
【請求項11】
複数の配線リードと、前記複数の配線リードの外周の少なくとも一部を囲うとともに前記複数の配線リードを支持する支持枠とを有する配線リードフレーム部と、前記配線リードフレーム部から延びるように設けられた接続リード部と、前記接続リード部を介して前記配線リードと接続され、かつ、前記複数の配線リードが位置する領域よりも小さい平面コイル部とを備えるインダクタ一体型リードフレームを、1枚の金属板を加工することにより作製する工程と、
前記接続リード部を折り曲げて、前記平面コイル部が前記配線リードフレーム部の磁性体形成面の上方に配置されるようにする工程と、
前記平面コイル部を埋め込むように、金属粒子と前記金属粒子を絶縁する絶縁体とを有する磁性体部を前記磁性体形成面の磁性体形成領域に形成する工程と、
前記配線リードフレーム部の前記磁性体形成面と逆側の電子部品実装面に電子部品を実装する工程と、
開口部および前記開口部と連結する樹脂流込口が設けられるとともに、前記開口部の辺から突成された複数の凸部を有する端子リードフレームを、1枚の金属板を加工して作製する工程と、
前記凸部が前記支持枠の内縁を跨ぎ前記凸部の少なくとも一部が前記配線リードと電気的に接続され、且つ前記実装された電子部品が前記開口部内に収容されるように、前記端子リードフレームを前記配線リードフレーム部の前記電子部品実装面に重ね合わせる工程と、
前記電子部品実装面に実装された電子部品を樹脂で封止する工程と、
前記樹脂が硬化した後、前記端子リードフレームの前記凸部の少なくとも一部が前記配線リード上に残るように前記端子リードフレームを切り落として前記凸部同士を電気的に分離させるとともに、前記配線リードフレーム部の前記支持枠を切り落として前記配線リード同士を電気的に分離させる工程と、
を備えることを特徴とする電子回路モジュールの製造方法。
【請求項12】
前記電子部品を樹脂で封止する工程は、
前記端子リードフレームの開口部と樹脂流込口を覆うように前記端子リードフレームの上に閉塞部材を形成して、前記開口部および前記閉塞部材により凹部を画成する工程と、
前記磁性体形成面側から前記樹脂流込口に樹脂を注入し、前記凹部に樹脂を充填する工程と、
を備えることを特徴とする請求項11に記載の電子回路モジュールの製造方法。
【請求項13】
前記磁性体形成領域を前記支持枠の内縁より内側とし、隣り合う前記配線リード間の隙間の一部を、前記凹部に樹脂を充填する際に発生するエアの放出口とすることを特徴とする請求項12に記載の電子回路モジュールの製造方法。
【請求項14】
前記電子部品を樹脂で封止する工程は、
前記端子リードフレームの開口部を覆うように前記端子リードフレームの上に閉塞部材を形成して、前記開口部、前記閉塞部材および前記配線リードフレーム部により封止空間を画成する工程と、
前記磁性体部を収容可能な収容部を有する治具を用意し、前記磁性体部が前記治具の収容部に収容されるように、前記インダクタ一体型リードフレームを前記治具の上に載置する工程と、
前記電子部品実装面側から前記樹脂流込口に樹脂を注入し、前記封止空間に樹脂を充填する工程と、
を備えることを特徴とする請求項11に記載の電子回路モジュールの製造方法。
【請求項15】
前記封止空間に樹脂を注入する前に、前記治具の収納部と前記封止空間とを繋ぐ前記配線リードフレーム部の貫通孔を前記磁性体形成面側から樹脂で塞ぐことを特徴とする請求項14に記載の電子回路モジュールの製造方法。
【請求項16】
前記閉塞部材は、粘着テープを前記端子リードフレーム上に貼付する、または、弾性体を前記端子リードフレーム上に押し付けることにより形成することを特徴とする請求項11ないし15のいずれかに記載の電子回路モジュールの製造方法。
【請求項17】
前記磁性体部は、
前記磁性体形成領域の形状と同じ横断面形状の貫通孔を有する上側金型と、平らな上面を有する下側金型と、前記上側金型の貫通孔に嵌合する加圧金型とを有するプレス装置を用意し、
前記配線リードフレーム部の電子部品実装面が前記下側金型の上面に接するように、前記インダクタ一体型リードフレームを前記下側金型に載置し、
前記平面コイル部が前記上側金型の貫通孔内に位置し、かつ前記貫通孔の側面が前記磁性体形成領域の境界線に一致するように、前記インダクタ一体型リードフレームの上に前記上側金型を載せ、
絶縁体の薄層で覆われた金属粒子を含む絶縁磁性粉末を前記上側金型の貫通孔に注ぎ込んで、前記平面コイル部を前記絶縁磁性粉末で埋め込み、
前記加圧金型により前記上側金型の貫通孔内に堆積した絶縁磁性粉末に圧力を印加して加圧成形し、その後、加圧成形された前記絶縁磁性粉末を加熱して硬化させる、
ことにより形成することを特徴とする請求項11ないし16のいずれかに記載の電子回路モジュールの製造方法。
【請求項18】
前記接続リード部を折り曲げる際、前記接続リード部から前記平面コイル部の先端方向に行くにつれて前記平面コイル部と前記配線リードフレーム部との間隔が大きくなるように前記接続リード部を折り曲げておき、
前記加圧金型の圧力により、前記平面コイル部が前記配線リードフレーム部の磁性体形成面に対して平行になるようにすることを特徴とする請求項17に記載の電子回路モジュールの製造方法。
【請求項19】
前記インダクタ一体型リードフレームを作製する際、前記金属板の厚さ方向に波打つように前記平面コイル部を形成することを特徴とする請求項11ないし18のいずれかに記載の電子回路モジュールの製造方法。
【請求項20】
前記インダクタ一体型リードフレームおよび前記端子リードフレームに位置合わせ孔を設けておき、
前記位置合わせ孔にピンを挿入することにより、前記インダクタ一体型リードフレームと前記端子リードフレームとの位置合わせを行うことを特徴とする請求項11ないし19のいずれかに記載の電子回路モジュールの製造方法。
【請求項21】
表面に電子部品実装面が設けられ、前記電子部品実装面に形成された複数の配線パターンと、前記複数の配線パターンを囲う外周部とを有する基板を作製する工程と、
前記基板の電子部品実装面に電子部品を実装する工程と、
開口部および前記開口部と連結する樹脂流込口が設けられるとともに、前記開口部の辺から突成された凸部を有する端子リードフレームを、1枚の金属板を加工して作製する工程と、
前記凸部が前記外周部の内縁を跨ぎ前記凸部の少なくとも一部が前記配線パターンと電気的に接続され、且つ前記実装された電子部品が前記開口部内に収容されるように、前記端子リードフレームを前記基板の前記電子部品実装面に重ね合わせる工程と、
前記電子部品実装面に実装された電子部品を樹脂で封止する工程と、
前記樹脂が硬化した後、前記端子リードフレームの前記凸部の少なくとも一部が前記配線パターン上に残るように前記端子リードフレームを切り落として前記凸部同士を電気的に分離させる工程と、
を備えることを特徴とする電子回路モジュールの製造方法。
【請求項22】
前記電子部品を樹脂で封止する工程は、
前記端子リードフレームの開口部と樹脂流込口を覆うように前記端子リードフレームの上に閉塞部材を形成して、前記開口部および前記閉塞部材により凹部を画成する工程と、
前記電子部品実装面の逆側から前記樹脂流込口に樹脂を注入し、前記凹部に樹脂を充填する工程と、
を備えることを特徴とする請求項21に記載の電子回路モジュールの製造方法。
【請求項23】
前記電子部品を樹脂で封止する工程は、
前記端子リードフレームの開口部を覆うように前記端子リードフレームの上に閉塞部材を形成して、前記開口部、前記閉塞部材および前記配線リードフレーム部により封止空間を画成する工程と、
前記基板を平板の上に載置し、前記電子部品実装面側から前記樹脂流込口に樹脂を注入し、前記封止空間に樹脂を充填する工程と、
を備えることを特徴とする請求項21に記載の電子回路モジュールの製造方法。
【請求項24】
前記閉塞部材は、粘着テープを前記端子リードフレーム上に貼付する、または、弾性体を前記端子リードフレーム上に押し付けることにより形成することを特徴とする請求項21ないし23のいずれかに記載の電子回路モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−234986(P2012−234986A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102912(P2011−102912)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】