説明

インテグリンαVβ6のアンタゴニストを用いる慢性喘息の処置および予防

αβ受容体は細胞表面ヘテロ二量体タンパク質として発現されるインテグリンのファミリーの一員である。本発明はαβ結合抗体のようなαβアンタゴニストを用いる喘息の処置および予防の方法に関する。とりわけ本発明はαβの発現の低下と慢性アレルゲン誘発マウスにおいて認められる気道感受性の増大からの保護との間の相関性の発見に関する。この保護は気道上皮肥満細胞における通常のアレルゲン誘起の増大からの保護に関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2006年10月19日に出願された米国仮特許出願第60/852,638号の優先権の利益を主張する。米国仮特許出願第60/852,638号の全体は、その全てが参考として本明細書中に援用される。
【0002】
本発明はαβ結合抗体のようなαβアンタゴニストを用いる喘息の処置および予防の方法に関する。とりわけ本発明はαβの発現の低下と慢性アレルゲン誘発マウスにおいて認められる気道感受性の増大からの保護との間の相関性の発見に関する。この保護は気道上皮肥満細胞における通常のアレルゲン誘起の増大からの保護に関連する。
【背景技術】
【0003】
インテグリンは細胞外マトリックスタンパク質に結合し、そして細胞−細胞および細胞−細胞外マトリックス相互作用(一般的に細胞接着事象と称される)を媒介する細胞表面糖タンパク質受容体である(Ruoslahti,E.、J.Clin.Invest.87:1−5(1991);Hynes,R.O.、Cell 69:11−25(1992))。これらの受容体は、組み合わされて異なる細胞および接着特異性を有する種々のヘテロ二量体を生じる非共有結合性アルファ(α)およびベータ(β)鎖から構成される。(Albeda,S.M.、Lab.Invest.68:4−14(1993))。最近の研究により特定のインテグリンが細胞接着、遊走、浸潤、分化、増殖、アポトーシスおよび遺伝子発現を含む種々の細胞過程の調節に関与すると見なされている(Albeda,S.M.、Lab.Invest.68:4−14(1993);Juliano,R.、Cancer Met.Rev.13:25−30(1994);Ruoslahti,E.およびReed,J.C.、Cell 77:477−478(1994);ならびにRuoslahti,E.およびGiancotti,F.G.、Cancer Cells 1:119−126(1989);Plow,Haasら、2000;van der FlierおよびSonnenberg 2001)。
【0004】
αβ受容体は細胞表面ヘテロ二量体タンパク質として発現されるインテグリンのファミリーの一員である(Busk,M.ら、J.Biol Chem.267(9):5790−5796(1992))。αサブユニットは種々のβサブユニット(β、β、β、βおよびβ)とヘテロ二量体を形成できるが、βサブユニットはαサブユニットとのヘテロ二量体としてしか発現できない。αβインテグリンはフィブロネクチン−、潜伏期関連ペプチド(LAP)−およびテネイシンC−結合細胞表面受容体であり、その上のRGDトリペプチド結合部位を介して細胞外マトリックスと相互作用することが知られている(Busk,M.ら、J.Biol.Chem.267:5790−5796(1992);Weinacker,A.ら、J.Biol.Chem.269:6940−6948(1994);Prieto,A.L.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:10154−10158(1993))。αβインテグリンは最初に同定され、そして10年以上前にシークエンシングされたが、αβの特に疾患における生物学的重要性は依然調査中である。αβの発現は上皮細胞に限定され、そこでそれは健常組織では相対的に低レベルで発現され、そして発達、損傷および創傷治癒の間は有意に上方調節される(Breuss,J.M.ら、J.Histochem.Cytochem.41:1521−1527(1993);Breuss,J.M.ら、J.Cell Sci.108:2241−2251(1995);Koivisto,L.ら、Cell Adhes.Communic.7:245−257(1999);Zambruno,G.ら、J.Cell Biol.129(3):853−865(1995);Hakkinen,L.ら、J.Histochem.Cytochem.48(6):985−998(2000))。
【0005】
αβインテグリンは気道リモデリングにおいて複数の調節機能を有し得る。最近の研究により、αβインテグリンの気道上皮発現の増加は潜在型TGF−βの活性化の増大に寄与し得ることが示されている。以前の研究により、インテグリンαβは潜在型TGF−β1に結合および活性化し、そしてαβは上皮、とりわけ肺および皮膚上皮においてのみ発現されている非常に限定された組織発現パターンを有することが実証されている(Munger,J.S.ら、Cell 96:319−328(1999);Huang,X.Z.ら、J.Cell Biol.133:921−928;Breuss,J.M.ら、J.Cell Sci.108:2241−2251))。βサブユニットの細胞質ドメインはαβ調節された細胞増殖、MMP生成、遊走および生存促進を媒介するのに重要である独特な11−アミノ酸配列を含有する(Li,X.ら、J.Biol.Chem.278(43):41646−41653(2003);Thomas,G.J.ら、J.Invest.Derm.117(1):67−73(2001);Thomas,G.J.ら、Br.J.Cancer 87(8):859−867(2002);Janes,S.M.およびWatt,F.M.、J.Cell Biol 166(3):4l9−431(2004))。βサブユニットはクローン化、発現、および精製されており(Sheppardら、米国特許第6787322(B2)号(その開示はその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする))、そしてαβインテグリンに選択的に結合する機能遮断抗体が報告されている(Weinrebら、J.Biol Chem.279:17875−17877(2004)(その開示はその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする))。αβのアンタゴニスト(特定のモノクローナル抗体を含む)はまた急性肺損傷および線維症の特定の形態に関する可能な処置として示唆されている(米国特許第6692741(B2)号および国際公開第99/07405号(その開示はその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)を参照のこと)。
【0006】
αβはフィブロネクチン、テネイシンならびに潜伏期関連ペプチド−1および−3(LAP1およびLAP3)、TGF−β1およびTGF−β2の潜在型前駆体形態のN末端278アミノ酸領域を含むいくつかのリガンドに、各々アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(「RGD」)モチーフと直接相互作用することにより結合できる(Busk,M.ら、J.Biol.Chem.267(9):5790−5796(1992);Yokosaki,Y.ら、J.Biol.Chem.271(39):24144−24150(1996);Huang,X.Z.ら、J.Cell.Sci.111:2189−2195(1998);Munger,J.S.ら、Cell 96:319−328(1999))。TGF−βサイトカインは成熟活性型C末端TGF−βサイトカインと非共有結合したN末端LAPを有する潜在型複合体として合成される。潜在型TGF−β複合体はその同族(cognate)受容体とは結合できず、そして故に活性化形態に変換されるまで、生物学的に活性でない(Barcellos−Hoff,M.H.、J.Mamm.Gland Biol.1(4):353−363(1996);Gleizes,P.E.ら、Stem Cells 15(3):190−197(1997);Munger,J.S.ら、Kid.Int.51:1376−1382(1997);Khalil,N.、Microbes Infect.1(15):1255−1263(1999))。LAP1またはLAP3に結合するαβは、TGF−βがその受容体に結合するのを可能にする潜在型複合体の立体構造の変化の結果として提示される、TGF−β1およびTGF−β3の潜在型前駆体形態の活性化を招く(Munger,J.S.ら、Cell 96:319−328(1999))。故にαβの発現の上方調節は、事象の下流の事象のカスケードを順繰りに活性化できるTGF−βの局部的な活性化を招くことができる。
【0007】
TGF−β1サイトカインは細胞増殖、分化および免疫応答を調節する多面的な成長因子である(Wahl,S.M.、J.Exp.Med.180:1587−1590(1994);Massague,J.、Annu.Rev.Biochem.67:753−791(1998);Chen,W.およびWahl,S.M.、TGF−β:Receptors,Signaling Pathways and Autoimmunity,Basel:Karger、62−91頁(2002);Thomas,D.A.およびMassague,J.、Cancer Cell 8:369−380(2005);Liら、Annul.Rev.Immunol.24:99−146(2006))。WTマウスのリモデリングされた気道におけるTGF−β発現は、多量のマクロファージおよび肥満細胞を含む気道リモデリングの多くの特色の原因となり得る。TGF−βは線維芽細胞を刺激してコラーゲンのようなECMタンパク質を生成する(Blobe,G.C.ら、New Engl.J.Med.342:1350−1358(2000))ので、OVAで誘発された野生型マウスにおいて検出されるTGF−β発現のレベル上昇は、線維芽細胞コラーゲン合成に寄与し得るが、一方TGF−β発現の低下はOVAで誘発されたマウスで注目されるコラーゲン合成の低下の原因となり得る(Cho,J.Y.ら、J.Clin.Invest.113:551−560(2004))。TGF−β1 mRNAおよびタンパク質の上皮発現は上皮内マクロファージの数と相関するが、一方上皮内肥満細胞数は上皮TGF−β1 mRNA発現と相関し、それはアレルゲン誘発された気道上皮へのマクロファージの補充におけるTGF−β1の役割を示唆している(Boer,W.I.ら、Am.J.Respir.Crit.Care Med.158:1951−1957(1998))。
【0008】
αβのヒトおよびネズミの双方の形態に結合し、そしてαβのそのリガンドに対する結合およびTGF−β1のαβ媒介活性化を遮断する強力でそして選択的な抗αβモノクローナル抗体(mAb)の作成が以前から記載されている(Weinreb,P.H.ら、J.Biol.Chem.279(17):17875−17887(2004);Violetteらによる、「Humanized αβ Antibodies and Uses Thereof」と題された2006年7月10日出願の米国特許出願第11/483190号(その全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)もまた参照のこと)。PCT公開WO第03/100033号(その全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)においても記載されるように、αβに対する高親和性抗体が見出され、そして特徴付けされ、それにはかかる抗体の相補性決定領域(CDR)における重要アミノ酸残基の同定および分析が含まれた。とりわけこれらの高親和性抗体は(a)αβに特異的に結合する;(b)αβのLAP、フィブロネクチンおよびテネイシンのようなそのリガンドに対する結合を10D5よりも低いIC50値で阻止する(国際特許出願公開第WO99/07405号);(c)TGF−βの活性化を遮断する;(d)αβに対する結合特異性を提供するCDRにおいて特定のアミノ酸配列を含有する;(e)βサブユニットに特異的に結合する;および/または(f)パラフィン包埋組織の免疫染色のような免疫染色手順においてαβを認識する。
【0009】
第WO03/100033号はまた、αβに結合する抗体を生物物理学的に異なるクラスおよびサブクラスに群分けできるという発見をも記載する。抗体の一つのクラスはαβ(ブロッカー)に対するリガンド(例えばLAP)の結合を遮断する能力を呈する。このクラスの抗体をさらにカチオン依存性ブロッカーおよびカチオン非依存性ブロッカーのサブクラスに分けることができる。カチオン依存性ブロッカーには、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)ペプチド配列を含有するものがあり、一方カチオン非依存性ブロッカーはRGD配列を含有しない。別のクラスの抗体はαβに結合する能力を呈し、そしてしかもαβのリガンドに対する結合を遮断しない(非ブロッカー)。
【0010】
さらに第WO03/100033号は、その相補性決定領域(CDR)1、2および3がαβに対する結合特異性を提供する特定のアミノ酸配列からなる重鎖および軽鎖を含んでなる抗体を開示する。第WO03/100033号はまたαβに特異的に結合するが、αβの潜伏期関連ペプチド(LAP)および同一のエピトープに結合する抗体に対する結合を阻止しない抗体もまた提供する。
【0011】
第WO03/100033号はさらにハイブリドーマ6.1A8、6.2B10、6.3G9、6.8G6、6.2B1、6.2A1、6.2E5、7.1G10、7.7G5および7.1C5の細胞、コード化配列を含んでなる単離された核酸ならびに抗αβ抗体のアミノ酸配列を含んでなる単離されたポリペプチドを開示する。とりわけ第WO03/100033号はハイブリドーマ6.1A8、6.3G9、6.8G6、6.2B1、6.2B10、6.2A1、6.2E5、7.1G10、7.7G5または7.1C5により生成される抗体としての重および軽鎖ポリペプチド配列を含んでなる抗αβ抗体を開示する。いくつかのハイブリドーマはブダペスト条約の下でAmerican Type Culture Collection(「ATCC」;私書箱1549、マナサス、バージニア州20108、米国)に寄託された。とりわけハイブリドーマクローン6.3G9および6.8G6は2001年8月16日に寄託され、そして各々の受け入れ番号はATCC PTA−3649およびPTA−3645である。ハイブリドーマ6.3G9および6.8G6により生成されたネズミ抗体は本出願においてヒト化抗体としてのその開発可能性に関してさらに探究されている。
【0012】
ネズミモノクローナル抗体3G9はヒト可溶性αβで免疫されたβインテグリン−/−マウスから単離されたネズミIgG1、カッパ抗体である(Huangら、J.Cell Biol.133:921−928(1996))。3G9抗体は損傷、線維症および癌の間に上方調節されたレベルで発現されるαβインテグリンエピトープを特異的に認識する(例えばThomasら、J.Invest.Dermatology 117:67−73(2001);Bruntonら、Neoplasia 3:215−226(2001);Agrezら、Int.J.Cancer 81:90−97(1999);Breuss,J.Cell Science 108:2241−2251(1995)を参照のこと)。それはその他のαインテグリンに結合せず、そしてヒトおよびネズミ分子の双方に交差反応する。ネズミモノクローナル抗体3G9は、精製されたヒト可溶性αβまたはβ発現細胞のいずれかに対するリガンド結合の遮断により決定されるように、αβのLAPに対する結合を遮断し、それによりTGF−β受容体活性化の線維化促進作用を阻止すると記載されている(第WO03/100033号を参照のこと)。それはまたTGF−βのαβ媒介活性化を公知のαβ抗体の一つである10D5よりも低いIC50値で阻止することも示されている(Huangら、J.Cell Sci.111:2189−2195(1998))。
【0013】
ネズミモノクローナル抗体8G6は第WO03/100033号に記載されるように、αβインテグリンエピトープをも認識するネズミIgG1、カッパ抗体である。ネズミモノクローナル抗体8G6はカチオン依存性の、αβの高親和性ブロッカーであり、TGF−βのαβ媒介活性化を10D5よりも低いIC50値で阻止する能力を示す(第WO03/100033号を参照のこと)。
【0014】
3G9および8G6双方のネズミ抗体は第WO03/100033号に記載されるように、腎臓および肺の線維症を予防するのに有効であった。さらにネズミ抗体3G9はヒト腫瘍異種移植モデルにおいて腫瘍成長を効率的に阻止することができ、それは癌病理学におけるαβの潜在的役割およびαβを指向する抗体を用いるかかる遮断の有効性を示唆している。
【0015】
喘息は推定1000万人の米国人が患っている重篤な慢性症状である。喘息は(i)気管支収縮、(ii)粘液の過剰生成、ならびに(iii)気道の炎症および腫脹を特徴とする。これらの症状は広範な、そして変動性の気流閉塞を引き起こし、それにより喘息患者の呼吸が困難になる。喘息はさらに反応性亢進した気道平滑筋の収縮によるさらなる気道狭小化の急性のエピソードまたは発作を含む。COPDのようなその他の閉塞性疾患はまた、前記された三つのエレメントの一つまたはそれより多くにより引き起こされる可逆性の構成要素を有し得る。
【0016】
喘息は一般的に気管支樹における粘液の過剰生成を含む。通常大気管支の容積の一般的な増大(肥大)および小気道における慢性炎症変化がある。過剰量の粘液が気道において見出され、そして粘液の半流動性の塞栓がいくつかの小気管支を閉塞し得る。また小気道が狭小化し、そして炎症変化を示す。COPDの可逆的な態様には過剰分泌による部分的気道閉塞および平滑筋収縮、気管支壁浮腫および気道の炎症に対して二次的な気道狭小化が含まれる。
【0017】
喘息では、気道における慢性炎症過程は、肺内の気流に対する抵抗性の増大において中心的な役割を果たす。多くの細胞および細胞性エレメント、特に肥満細胞、好酸球Tリンパ球、好中球、上皮細胞および気道平滑筋自体さえ炎症過程に関与する。これらの細胞の反応は結果的に気道に並ぶ気道平滑筋の、関与する特定の刺激に対する既存の感受性および反応性亢進における関連する増大に至る。
【0018】
喘息の慢性的な性質はまた気道壁のリモデリング(すなわち肥厚または浮腫のような構造変化)にも至り得て、それはさらに気道壁の機能に影響し、そして気道反応性亢進に影響し得る。喘息に関連するその他の生理学的変化には、粘液の過剰生成、そして喘息が重篤である場合、粘液塞栓化ならびに進行中の上皮裸出および修復が含まれる。上皮裸出は基底組織を、正常ではそれらと接触することのない物質に暴露し、細胞傷害および炎症応答の周期をさらに強化する。
【0019】
感受性のある個体では、喘息の病徴には再発性の息切れのエピソード(呼吸困難)、喘鳴、胸部絞扼感および咳が含まれる。現在では喘息は刺激回避および薬理学の組み合わせにより管理される。
【0020】
刺激回避は各々の型の刺激の系統的な同定およびそれとの接触を最低限にすることにより達成される。しかしながらそれは非現実的であり、そして全ての可能性のある刺激を回避するのにいつも役立つとは限らないかもしれない。
【0021】
喘息は:(1)抗炎症薬および長時間作用型気管支拡張薬の使用による長期間制御、および(2)短時間作用型気管支拡張薬の使用による急性の悪化の短期間管理により薬理学的に管理される。これらの研究法の双方は処方された薬物の反復した、および定期的な使用を必要とする。高用量のコルチコステロイド抗炎症性薬物は注意深い管理を必要とする重篤な副作用を有し得る。加えてステロイド処置に対して抵抗する患者もいる。薬理学管理を伴う患者のコンプライアンスに関与する困難および喘息の引き金となる刺激の回避の困難は喘息の管理の成功に対する一般的な障壁である。故に現在の管理技術は完全には成功しておらず、そして副作用から開放されてもいない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明はαβ結合抗体のようなαβ結合アンタゴニストを用いる喘息処置および予防の方法に関する。とりわけ本発明はαβの発現の低下と慢性アレルゲン誘発マウスにおいて認められる気道感受性の増大からの保護との間の相関性の発見に関する。この保護は気道上皮肥満細胞における通常のアレルゲン誘起の増大からの保護に関連する。
【0023】
さらにとりわけ本発明は喘息または喘息関連症状の一つまたはそれより多い病徴を有するかまたは有する危険性のある哺乳動物を処置する方法を提供する。一つの実施態様では、その方法はインテグリンαβを認識および/または結合するリガンドの治療上有効な用量を哺乳動物に投与することを含んでなる。いくつかの実施態様では、リガンドはインテグリンαβの一つまたはそれより多いサブユニットのアンタゴニストである。
【0024】
特定のかかる実施態様では、アンタゴニストはインテグリンαβの一つまたはそれより多いサブユニット、すなわちαおよび/またはβサブユニットに結合する抗体またはそのフラグメントである。いくつかの実施態様では、喘息の病徴または喘息関連病徴を有する危険性のある患者に抗体を投与する。いくつかの実施態様では、抗体を非経口的に投与する。その他の実施態様では、抗体をエアロゾルとして投与する。いくつかの実施態様では、抗体を鼻内に投与する。
【0025】
いくつかの実施態様では、抗体はモノクローナル抗体、キメラ、霊長類化またはヒト化モノクローナル抗体である。特定のかかる実施態様では、モノクローナル抗体は2A1、2E5、1A8、2B10、2B1、1G10、7G5、1C5、8G6、3G9、10D5およびCSβ6、ならびにさらにとりわけ3G9または8G6からなる群から選択される。その他の実施態様では、モノクローナル抗体はhu3G9(BG00011)またはhu8G6のようなヒト化抗体である。
【0026】
本発明のこの態様による適当な実施態様は、αβ結合抗体またはそのαβエピトープ結合フラグメントであるαβインテグリン結合リガンドを使用する。特定のかかる実施態様によれば、抗体は米国特許出願公開第2005/0255102(A1)号(その開示をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)に開示されたものを含むモノクローナル抗体(キメラ、霊長類化またはヒト化されていてよい)である。適当なかかる抗体には、限定するものではないが1A8、3G9、8G6、2B1、2B10、2A1、2E5、1G10、7G5、1C5、10D5(ATCC寄託番号HB12382)およびCSβ6と称されるαβ結合モノクローナル抗体、並びにそのフラグメント、キメラおよびハイブリッドが含まれる。とりわけ本発明のかかる実施態様における使用に適当であるのは、モノクローナル抗体3G9および8G6である。また本発明のかかる実施態様における使用に適当であるのは、hu3G9(BG00011)と称されるヒト化3G9抗体およびhu8G6と称されるヒト化8G6抗体のようなヒト化モノクローナル抗体であり、それは本明細書前記にて論じられ、そしてPCT公開第WO2007/008712号およびその対応米国特許出願第11/483190号(その各々をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)にてさらに詳記される。
【0027】
本発明のさらなる治療的実施態様では、αβ結合リガンド(例えばαβ結合抗体)を喘息の処置のための一つまたはそれより多いかかる治療薬と組み合わせて患者に投与する。
【0028】
特定の態様では本発明は、治療上有効な用量のインテグリンαβに対するリガンドを哺乳動物に投与することを含んでなる、一つまたはそれより多い喘息または喘息関連症状の病徴を有するかまたは有する危険性のある哺乳動物を処置する方法に関する。特定の実施態様では、リガンドはインテグリンαβの一つまたはそれより多いサブユニットのアンタゴニストである。
【0029】
特定の実施態様では、本発明は治療上有効な用量の、インテグリンαβの一つまたはそれより多いサブユニットに結合する抗体またはそのフラグメントを哺乳動物に投与することを含んでなる、一つまたはそれより多い喘息または喘息関連症状の病徴を有するかまたは有する危険性のある哺乳動物を処置する方法に関する。医薬品および、とりわけタンパク質基盤の医薬品の投与のために伝統的に用いられる任意の経路により抗体を投与でき、そして非経口、経口、エアロゾルまたは鼻内投与を含み得る。
【0030】
好ましくは投与されている抗体はモノクローナル抗体である。例えばモノクローナル抗体はキメラ、霊長類化またはヒト化モノクローナル抗体である。
【0031】
具体的な実施態様では、本発明の方法は2A1、2E5、1A8、2B10、2B1、1G10、7G5、1C5、8G6、3G9、10D5およびCSβ6からなる群から選択されるモノクローナル抗体を用いる。特定の実施態様では、ヒト化モノクローナル抗体はhu3G9(BG00011)である。
【0032】
具体的な実施態様では本発明の治療方法は、配列番号:1および配列番号:2の各々の重および軽鎖可変ドメインを含んでなる抗体を投与することを含んでなる。
【0033】
その他の具体的な実施態様では本発明の治療方法は、そのCDR1、2および3が各々配列番号:1のアミノ酸31−35、50−65および98−109を含んでなる重鎖を含んでなるヒト化モノクローナル抗体を投与することを含んでなる。
【0034】
さらにその他の実施態様では本発明の治療方法は、そのCDR1、2および3が各々配列番号:2のアミノ酸24−35、51−57および90−98を含んでなる軽鎖を含んでなるヒト化モノクローナル抗体を投与することを含んでなる。
【0035】
さらにその他の実施態様では本発明の治療方法は、そのフレームワーク領域(FR)1、2、3および4が各々配列番号:1のアミノ酸残基1−30、36−49、66−97および110−120を含んでなる重鎖を含んでなるヒト化モノクローナル抗体を投与することを含んでなる。
【0036】
さらにその他の実施態様では本発明の治療方法は、そのフレームワーク領域(FR)1、2、3および4が各々配列番号:2のアミノ酸残基1−23、36−50、58−89および99−108を含んでなる軽鎖を含んでなるヒト化モノクローナル抗体を投与することを含んでなる。
【0037】
さらにその他の実施態様では本発明の治療方法は、配列番号:1のQ3MおよびN74Sからなる重鎖における一つもしくはそれより多い上記のアミノ酸置換、ならびに/または配列番号:2のE1Q、L47W、I58V、A60VおよびY87Fからなる軽鎖における一つもしくはそれより多い上記のアミノ酸置換を含んでなるヒト化モノクローナル抗体を投与することを含んでなる。
【0038】
さらにその他の実施態様では本発明の治療方法は、重鎖バージョン1(「HV1」);重鎖バージョン2(「HV2」);重鎖バージョン3からなる群から選択される重鎖バージョンを含んでなるヒト化モノクローナル抗体を投与することを含んでなり、ここでHV1重鎖は配列番号:1のアミノ酸置換Q3MおよびN74Sからなり;HV2軽鎖は配列番号:1のアミノ酸置換N74Sからなり;そしてHV3は配列番号:1からなる。
【0039】
さらなる実施態様では本発明の治療方法は、軽鎖バージョン1(「LV1」);軽鎖バージョン2(「LV2」);軽鎖バージョン3(「LV3」);軽鎖バージョン4(「LV4」)および軽鎖バージョン5(「LV5」);からなる群から選択される軽鎖バージョンを含んでなるヒト化モノクローナル抗体を投与することを含んでなり、ここでLV1軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換L47W、158V、A60VおよびY87Fからなり;LV2軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換L47WおよびI58Vからなり;LV3軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換L47Wからなり;LV4軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換E1QおよびL47Wからなり;そしてLV5軽鎖は配列番号:2からなる。
【0040】
さらなる実施態様では本発明の治療方法は、そのCDRがネズミ3G9抗体に由来するアグリコシル軽鎖を含んでなるヒト化モノクローナル抗体を投与することを含んでなる。
【0041】
さらにその他の実施態様では本発明の治療方法は、CDR1領域が配列番号:2のアミノ酸26でアスパラギンからセリンへの置換を含有する軽鎖可変ドメインを含有するヒト化モノクローナル抗体を投与することを含んでなる。
【0042】
さらにその他の実施態様では本発明の治療方法は、配列番号:7のアミノ酸残基319で生じる重鎖バージョン3におけるアスパラギンからグルタミンへの置換を含有するヒト化モノクローナル抗体を投与することを含んでなる。
【0043】
さらにその他の実施態様では本発明の治療方法は、プラスミドpKJS189(配列番号:6)を含んでなる組換えベクターにより生成された重鎖バージョン3およびプラスミドpKJS195(配列番号:5)を含んでなる組換えベクターにより生成された軽鎖バージョン5を含んでなるヒト化モノクローナル抗体を投与することを含んでなる。
【0044】
さらにその他の実施態様では本発明の治療方法は、プラスミドpKJS196(配列番号:7)を含んでなる組換えベクターにより生成されたアグリコシル重鎖バージョン3およびプラスミドpKJS195(配列番号:5)を含んでなる組換えベクターにより生成された軽鎖バージョン5を含んでなるヒト化モノクローナル抗体を投与することを含んでなる。
【0045】
さらにその他の実施態様では本発明の治療方法は:
a)配列番号:101−105のいずれか一つからなる群から選択される配列を含んでなる重鎖CDR1;
b)配列番号:106−111のいずれか一つからなる群から選択される配列を含んでなる重鎖CDR2;
c)配列番号:112−117のいずれか一つからなる群から選択される配列を含んでなる重鎖CDR3;
を含んでなるヒト化モノクローナル抗体を投与することを含んでなる。
【0046】
さらにその他の実施態様では本発明の治療方法は:
a)配列番号:118−123のいずれか一つからなる群から選択される配列を含んでなる軽鎖CDR1;
b)配列番号:124−127のいずれか一つからなる群から選択される配列を含んでなる軽鎖CDR2;および
c)配列番号:128−133のいずれか一つからなる群から選択される配列を含んでなる軽鎖CDR3;
を含んでなるヒト化モノクローナル抗体を投与することを含んでなる。
【0047】
さらにその他の実施態様では本発明の治療方法は、hu8G6として本明細書にて定義されるヒト化モノクローナル抗体を投与することを含んでなる。
【0048】
本発明の治療方法では、投与されている抗体はインテグリンαβのβサブユニットに結合するものである。
【0049】
さらに具体的な実施態様では、抗体はαβ複合体におけるインテグリンαβのβサブユニットに結合するがα単独には結合しない。
【0050】
本発明の種々の態様では、その方法は色素産生標識、酵素標識、放射性同位元素標識、非放射性同位元素標識、蛍光標識、化学発光標識、X線撮影用標識、スピン標識および核磁気共鳴造影剤標識からなる群から選択される少なくとも一つの検出可能な標識と抱合されたアンタゴニスト(インテグリンαβのリガンドまたは本明細書で例示されるもののような抗体である)を用いる。
【0051】
本発明の具体的な態様では、アンタゴニストはαβに関するリガンドである。その他の具体的な実施態様では、アンタゴニストはアンチセンス核酸である。
【0052】
具体的な実施態様では、かかるアンタゴニストを少なくとも一つの検出可能な標識と抱合させ、例えば検出可能な標識は色素産生標識、酵素標識、放射性同位元素標識、非放射性同位元素標識、蛍光標識、化学発光標識、X線撮影用標識、スピン標識および核磁気共鳴造影剤標識からなる群から選択される。
【0053】
色素産生標識の実例には限定するものではないが、ジアミノベンジジンおよび4ヒドロキシアゾ−ベンゼン−2−カルボン酸からなる群から選択される標識が含まれ得る。
【0054】
酵素標識の実例には限定するものではないが、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、デルタ5ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、アルファグリセロールリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、βガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼおよびアセチルコリンエステラーゼからなる群から選択される酵素が含まれ得る。
【0055】
放射性同位元素標識の実例には限定するものではないが、3H、111In、125I、131I、32P、35S、14C、51Cr、57To、58Co、59Fe、75Se、152Eu、90Y、67Cu、217Ci、211At、212Pb、47Scおよび109Pdからなる群から選択される放射性同位元素が含まれ得る。
【0056】
非放射性同位元素標識の実例には限定するものではないが、157Gd、55Mn、162Dy、52Tr、56Fe、99mTcおよびll2Inからなる群から選択される非放射性同位元素標識が含まれ得る。
【0057】
蛍光標識の実例には限定するものではないが、152Eu標識、フルオレセイン標識、イソチオシアン酸標識、ローダミン標識、フィコエリスリン標識、フィコシアニン標識、アロフィコシアニン標識、緑色蛍光タンパク質(GFP)標識、o−フタアルデヒド標識およびフルオレサミン標識からなる群から選択される蛍光標識が含まれ得る。
【0058】
本発明のその他の態様はインテグリンαβの一つまたはそれより多いサブユニットに結合する治療上有効な用量の抗体またはそのフラグメントおよび一つまたはそれより多いさらなる活性薬剤を哺乳動物に同時投与することを含んでなる、喘息または喘息関連症状の一つまたはそれより多い病徴を有するかまたは有する危険性のある哺乳動物を処置する方法に関する。
【0059】
さらに具体的な実施態様では、一つまたはそれより多いさらなる活性薬剤は:
(a)一つまたはそれより多い抗ヒスタミン薬;(b)一つまたはそれより多いコルチコステロイド;(c)一つまたはそれより多いロイコトリエンアンタゴニスト;(d)一つまたはそれより多いうっ血除去薬;(e)一つまたはそれより多い非ステロイド抗炎症薬;(f)一つまたはそれより多い抗コリン薬;(g)一つまたはそれより多い長時間作用型ベータ刺激薬;および(i)一つまたはそれより多いメチルキサンチンからなる群から選択される。
【0060】
本発明の別の態様はインテグリンαβの一つまたはそれより多いサブユニットに結合する治療上有効な用量の抗体またはそのフラグメントを動物に投与することを含んでなる、動物の肺気道における浮腫を緩和する方法に関する。さらに具体的には、その方法は喘息に関連する浮腫である浮腫を緩和することに関する。具体的な態様では、浮腫は心原性肺水腫である。その他の態様では、浮腫は非心原性浮腫である。
【0061】
本発明の別の態様では、インテグリンαβの一つまたはそれより多いサブユニットに結合する治療上有効な用量の抗体またはそのフラグメントを動物に投与することを含んでなる、動物の肺気道における粘液生成を減少させる方法が提供される。さらに具体的には、これらの方法で処置されている動物は喘息を患っている。
【0062】
本発明のさらに別の態様は、インテグリンαβの一つまたはそれより多いサブユニットに結合する治療上有効な用量の抗体またはそのフラグメントを動物に投与することを含んでなる、動物における肺組織の上皮裸出を低下させる方法に関する。
【0063】
なおさらなる態様では、本発明はインテグリンαβの一つまたはそれより多いサブユニットに結合する治療上有効な用量の抗体またはそのフラグメントを動物に投与することを含んでなる、動物における肺の上皮組織の線維症、急性肺損傷、鼻炎、アナフィラキシー、副鼻腔炎、枯草熱、声帯機能不全および胃食道逆流性疾患からなる群から選択される喘息関連症状の一つまたはそれより多い病徴を緩和する方法に関する。
【0064】
さらにその他の態様では本発明は、インテグリンαβの一つまたはそれより多い該サブユニットに結合する治療上有効な用量の抗体またはそのフラグメントを動物に投与することを含んでなる、該動物におけるCOPDを処置する方法に関する。
【0065】
本発明のその他の態様は、治療上有効な用量のインテグリンαβに対するリガンドおよび一つまたはそれより多いさらなる活性薬剤を哺乳動物に同時投与することを含んでなる、喘息または喘息関連症状の一つまたはそれより多い病徴を有するかまたは有する危険性のある哺乳動物を処置する方法に関する。
【0066】
さらに具体的な実施態様では、一つまたはそれより多いさらなる活性薬剤は:(a)一つまたはそれより多い抗ヒスタミン薬;(b)一つまたはそれより多いコルチコステロイド;(c)一つまたはそれより多いロイコトリエンアンタゴニスト;(d)一つまたはそれより多いうっ血除去薬;(e)一つまたはそれより多い非ステロイド抗炎症薬;(f)一つまたはそれより多い抗コリン薬;(g)一つまたはそれより多い長時間作用型ベータ刺激薬;および(i)一つまたはそれより多いメチルキサンチンからなる群から選択される。
【0067】
本発明のその他の好ましい実施態様は以下の図面ならびに本発明および請求の範囲の記載に鑑みて当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】慢性アレルギー動物モデルを誘導するためのプロトコールを示す。イソフルラン麻酔下で、鼻内OVA誘発(生理食塩水中20ng/50μl)を26、29および32日に投与し、そして次に週2回、7週間繰り返した。高用量卵白アルブミン(OVA)誘発(生理食塩水中1mg/50μl)をさらに7週間実施した。最後の誘発後24時間にマウスを肺力学および肺炎症に関して分析した。
【図2】OVAで誘発されたβ6ノックアウトマウスにおける肺炎症を示す。生理食塩水で誘発された野生型マウスおよびOVAで誘発された野生型マウスにおいて全細胞数を計数した。加えて生理食塩水で誘発されたβ6ノックアウトマウスおよびOVAで誘発されたβ6ノックアウトマウスに関して細胞数を計数した。細胞数を全細胞、マクロファージ、好酸球、白血球および多形核白血球に関して計数した。
【図3】OVAで慢性的に誘発されたβ6ノックアウトマウスにおける気道応答性の保護を示す。マウスに尾静脈を介して漸増用量のアセチルコリン(0.03、0.1、0.3、1および3μg/g体重)を投与して、濃度−応答曲線を作成した。生理食塩水で誘発されたβ6ノックアウトマウスおよびOVAで誘発されたβ6ノックアウトマウスと共に生理食塩水で誘発された野生型マウスおよびOVAで誘発された野生型マウスに関して濃度−応答曲線を測定した。
【図4】OVAで慢性的に誘発された野生型およびβ6ノックアウトマウスの双方の上皮下線維症の増大を示す。Col(コラーゲン)容量/μM BM(基底膜)をOVAで慢性的に誘発された野生型およびβ6ノックアウトマウスの双方に関して測定した。
【図5】抗原で慢性的に刺激された野生型およびβ6ノックアウトマウスの双方におけるα−SMCアクチンの増加を示す。この図は生理食塩水およびOVA誘発された野生型およびβ6ノックアウトマウスの双方の染色された細胞を示す。
【図6】OVAで慢性的に誘発されたβ6ノックアウトマウスにおける上皮内肥満細胞の減少を示す。対照ならびにOVA誘発された野生型およびβ6ノックアウトマウス細胞の細胞数/cm BM(基底膜)を計数した。
【図7】抗原で慢性的に誘発されたマウスにおける肺炎症応答を示す。この図は生理食塩水およびOVA誘発された野生型およびβ6ノックアウトマウスの双方の染色された細胞を示す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
発明の詳細な説明
特記しない場合、本明細書にて使用される全ての技術的および科学的用語は本発明が属する分野の当業者により一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載されるものに類似するかまたは均等な任意の方法および材料を本発明の実施または試験において使用できるが、好ましい方法および材料を本明細書後記に記載する。
【0070】
定義
約:本明細書で使用される際には、任意の数値に言及する場合、「約」なる用語は表示された値の±10%の値を意味する(例えば「約50℃」は45℃以上55℃以下の温度の範囲を包含し;同様に「約100mM」は90mM以上110mM以下の濃度の範囲を包含する)。
【0071】
アンタゴニスト:本明細書で使用される際には、「アンタゴニスト」なる用語は細胞、組織または器官におけるαβインテグリンの生物学的および/または生理学的効果を低下、実質的に低下または完全に阻止する化合物、分子、部分または複合体を指す。アンタゴニストはαβに関するリガンドでよく、限定するものではないが細胞表面上のαβに対する結合に関して別のリガンドと競合すること;インテグリンがその他のリガンドに結合する能力を低下、実質的に低下または阻止するような方式でαβと相互作用すること;結合し、そしてその他のリガンドがもはや結合できない構造をインテグリンが取るように、細胞表面αβにおける立体構造変化を誘起すること(または結合できるが、親和性および/または効率が低下または実質的に低下している);その他のリガンドの結合または細胞上のαβへの結合時にかかるリガンドにより誘起される生理学的シグナルが低下、実質的に低下または完全に阻止されるように、細胞、組織または器官において生理学的変化(細胞内シグナリング複合体の増加;転写阻害剤の増加;細胞表面αβ発現の低下等)を誘起すること;および当業者によく知られているであろう、アンタゴニストがその活性を実行できるその他のメカニズムを含む種々の方式でかかる効果を実行し得る。当業者には理解されるように、アンタゴニストはそれが拮抗する別のαβ結合部分(例えばαβ結合リガンド)に類似の構造を有し得る(例えばアンタゴニストはアゴニストのムテイン、バリアント、フラグメントまたは誘導体でよい)か、または完全に無関係の構造を有し得る。本発明のかかる態様では、アンタゴニストは例えばαβ結合抗体のような任意の抗体でよい。
【0072】
結合した:本明細書で使用される際には、「結合した」なる用語は例えば化学的カップリングによる共有結合または非共有結合、例えばイオンの相互作用、疎水性相互作用、水素結合等でよい結合または付着を指す。共有結合は例えばエステル、エーテル、リン酸エステル、チオエステル、チオエーテル、ウレタン、アミド、アミン、ペプチド、イミド、ヒドラゾン、ヒドラジド、炭素−硫黄結合、炭素−リン結合等でよい。「結合した」なる用語はより広義であり、そして「カップリングした」、「抱合した」および「付着した」のような用語を含む。
【0073】
抱合体/抱合:本明細書で使用される際には、「抱合体」とは部分、例えば化学物質または放射性同位元素の、αβに結合するリガンド、例えばαβ結合抗体またはそのフラグメントへの共有結合性付着の生成物を指す。「抱合」とは前文で定義されるような抱合体の形成を指す。当業者に通常用いられる、化学物質または放射性同位元素の、タンパク質またはポリペプチド(抗体を含む)のような生物学的に活性な材料に対する抱合の任意の方法を本発明で用いることができる。
【0074】
疾患、障害、症状:本明細書で使用される際には、「疾患」または「障害」なる用語は腫瘍、癌、アレルギー、耽溺、自己免疫、感染、中毒または最適な精神的もしくは身体的機能の不全を含むヒトまたは動物の任意の有害な症状を指す。「症状」は本明細書で使用される際には、疾患および障害を含むが、生理学的状態をも指す。例えば受精能は生理学的状態であるが、疾患または障害ではない。それ故に受精能を低下させることによる妊娠の予防に適当な本発明の組成物は症状(受精能)の処置として記載されるが、障害または疾患の処置ではない。その他の症状は当業者により理解される。
【0075】
有効量:本明細書で使用される際には、「有効量」なる用語は望ましい生物学的効果を現実化するのに必要または十分である所定の化合物、抱合体または組成物の量を指す。本発明の方法による所定の化合物、抱合体または組成物の有効量はこの選択された結果を達成する量であり、そして当分野において公知である、および/または本明細書に記載されるアッセイを用いて、過度な実験の必要なく、当業者により日常の問題としてかかる量を決定することができる。例えば癌転移を処置または予防するための有効量は、インビボで基底膜をわたる、または内皮層をわたる腫瘍細胞の遊走および浸潤を予防するのに必要な量でよい。その用語はまた「十分量」と同義である。任意の特定の適用に関する有効量は処置されている疾患、障害もしくは症状、投与されている特定の組成物、投与の経路、対象の大きさおよび/または疾患もしくは症状の重篤度のような因子に依存して異なり得る。当業者は特定の本発明の化合物、抱合体または組成物の有効量を本明細書にて提供される手引きにしたがって、過度な実験を必要とせずに経験的に決定できる。
【0076】
一つの(one、aまたはan):「one」、「a」または「an」なる用語は本開示で用いられる場合、特記しなければ、「少なくとも一つ」、「一つまたはそれより多い」を意味する。このような場合、「a」(または「an」)、「一つまたはそれより多い」および「少なくとも一つ」を本明細書では互換的に使用できる。
【0077】
ペプチド、ポリペプチド、タンパク質:本明細書で使用される際には、「ポリペプチド」なる用語は単数の「ポリペプチド」および複数の「ポリペプチド」を包含すると意図され、そしてアミド結合(ペプチド結合としても公知)により直線的に連結された単量体(アミノ酸)から構成される分子を指す。「ポリペプチド」なる用語はアミノ酸の任意の鎖または二つもしくはそれより多い鎖を指し、そして生成物の具体的な長さを指すのではない。故にペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」または、二つもしくはそれより多いアミノ酸の一つもしくは複数の鎖を指すために用いられる任意のその他の用語は「ポリペプチド」の定義内に含まれ、そして「ポリペプチド」なる用語をこれらの用語のいずれかの代わりに、またはそれと互換的に用いることができる。「ポリペプチド」なる用語はまた限定するものではないがグリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護/遮断基による誘導体化、タンパク質分解性切断または非天然発生アミノ酸による修飾を含むポリペプチドの発現後修飾の生成物を指すとも意図される。ポリペプチドを天然の生物学的供給源から誘導するか、または組換えテクノロジーにより生成することができるが、必ずしも明示された核酸配列から翻訳される必要はない。化学合成を含む任意の様式でそれを作成することができる。この定義にしたがって、本発明で用いられるポリペプチドは約3もしくはそれより多い、5もしくはそれより多い、10もしくはそれより多い、20もしくはそれより多い、25もしくはそれより多い、50もしくはそれより多い、75もしくはそれより多い、100もしくはそれより多い、200もしくはそれより多い、500もしくはそれより多い、1000もしくはそれより多い、または2000もしくはそれより多いアミノ酸の大きさのものでよい。ポリペプチドは明確にされた三次元構造を有し得るが、それらが必ずしもかかる構造を有する必要はない。明確にされた三次元構造を有するポリペプチドはフォールドされていると称され、そして明確にされた三次元構造を保有しないが、むしろ多くの異なる立体構造を採用することができるポリペプチドは、アンフォールドされていると称される。本明細書で使用される際には、糖タンパク質なる用語はアミノ酸残基、例えばセリン残基またはアスパラギン残基の酸素含有または窒素含有側鎖を介してタンパク質に付着している少なくとも一つの炭水化物部分にカップリングされたタンパク質を指す。本発明にしたがって用いられる好ましいポリペプチドはリガンドであるか、または限定するものではないがαβ上の一つもしくはそれより多いエピトープを認識し、そして結合する抗体(特にモノクローナル抗体)を含む細胞の表面上のαβインテグリンに結合するポリペプチドを含む。
【0078】
「単離された」ポリペプチドまたはそのフラグメント、バリアントもしくは誘導体はその天然の環境にないポリペプチドと意図される。特定のレベルの精製が必要とされるわけではない。例えば単離されたポリペプチドをその自然のまたは天然の環境から除去することができる。宿主細胞において発現された組換えにより生成されたポリペプチドおよびタンパク質は、任意の適当な技術により分離、分画化または部分的もしくは実質的に精製されている自然のまたは組換えポリペプチドであるので、本発明の目的のために単離されたと考えられる。
【0079】
前記のポリペプチドのフラグメント、誘導体、類似体またはバリアントおよびその任意の組み合わせもまた本発明のポリペプチドに含まれる。「フラグメント」、「バリアント」、「誘導体」および「類似体」なる用語は、抗αβ抗体または抗体ポリペプチドを指す場合、対応する自然の抗体またはポリペプチドの抗原結合特性の少なくともいくつかを保持する任意のポリペプチド、すなわちαβインテグリン上の一つまたはそれより多いエピトープに結合する能力を保持するこれらのポリペプチドを含む。本発明のポリペプチドのフラグメントは本明細書の他の部分で論じられた具体的な抗体フラグメントに加えて、タンパク質分解フラグメントおよび欠失フラグメントを含む。本発明にしたがって有用な抗αβ抗体および抗体ポリペプチドのバリアントには前記されたようなフラグメント、およびアミノ酸置換、欠失または挿入により改変されたアミノ酸配列を有するポリペプチドもまた含まれる。バリアントは天然または非天然発生でよい。非天然発生バリアントを当分野において公知の変異誘発技術を用いて生成することができる。バリアントポリペプチドは保存または非保存アミノ酸置換、欠失または付加を含んでよい。本発明にしたがって有用な抗αβ抗体および抗体ポリペプチドの誘導体は自然のポリペプチドで見出されないさらなる特色を呈するように改変されているポリペプチドである。実例には融合タンパク質が含まれる。バリアントポリペプチドを本明細書では「ポリペプチド類似体」と称することもできる。本明細書で使用される際には、抗αβ抗体または抗体ポリペプチドの「誘導体」は官能性側鎖の反応により化学的に誘導体化された一つまたはそれより多い残基を有する対象ポリペプチドを指す。20個の標準アミノ酸の一つまたはそれより多い天然発生アミノ酸誘導体を含有するこれらのペプチドもまた「誘導体」として含まれる。例えばプロリンを4−ヒドロキシプロリンで置換でき;リジンを5−ヒドロキシリジンで置換でき;ヒスチジンを3−メチルヒスチジンで置換でき;セリンをホモセリンで置換でき;そしてリジンをオルニチンで置換できる。
【0080】
実質的に、実質的な:本明細書で使用される際には、抱合されたタンパク質の受容体に対する結合の率および/または量が、抱合されていない対応するサイトカイン、ケモカイン、成長因子もしくはポリペプチドホルモンの結合の率および/または量の少なくとも約40%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%もしくはそれより多い場合、タンパク質の抱合はその(複数の)受容体に結合するタンパク質の能力を「実質的に」干渉しないとされる。
【0081】
処置:本明細書で使用される際には、「処置」、「処置する」、「処置された」、「処置すること」なる用語は、とりわけその目的が多発性硬化症の進行のような望ましくない生理学的変化または障害を予防または減速する(減らす)ことである予防および/または治療を指す。有利なまたは望ましい臨床結果には、限定するものではないが、検出可能でも不能でも、病徴の軽減、疾患の程度の低減、疾患の状態の安定化(すなわち悪化しない)、疾患の進行の遅延または緩徐化、疾患状態の寛解または緩和、および(部分的でも全体的でも)緩解が含まれる。「処置」はまた、処置を受けなかった場合に予期される生存と比較されるような生存の延長をも意味し得る。処置を必要とするものには、既に症状もしくは障害を有するものおよび症状もしくは障害を有する傾向があるもの、または症状もしくは障害が予防されるべきであるものが含まれる。「対象」または「個体」または「動物」または「患者」または「哺乳動物」とは診断、予後診断または治療が望まれる任意の対象、とりわけ哺乳動物対象を意味する。哺乳動物対象にはヒトおよびその他の霊長類、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、うし、乳牛等のような家庭用動物、牧場用動物、および動物園、スポーツまたはペット動物が含まれる。
【0082】
概要
本発明はαβ結合抗体のようなαβアンタゴニストを用いる喘息の処置および予防の方法に関する。とりわけ本発明はαβの発現の低下と慢性アレルゲン誘発マウスにおいて認められる気道感受性の増大からの保護との間の相関性の発見に関する。この保護は気道上皮肥満細胞における通常のアレルゲン誘起の増大からの保護に関連する。
【0083】
本発明の特定の実施態様では、αβに結合するリガンドはαβのアンタゴニストである。かかるアンタゴニストには限定するものではないが、αβに特異的に結合する抗体;βに特異的に結合する抗体;αに特異的に結合する抗体;αβに関するリガンドに結合する抗体;αβに関するリガンド;アンチセンス核酸;ならびにかかるリガンドのペプチド、非ペプチドおよびペプチド擬似類似体が含まれる。
【0084】
本発明の特定のかかる実施態様では、インテグリンαβに結合するリガンドは、インテグリンαβ(またはインテグリンαβの一つもしくはそれより多いサブユニット)に結合する抗体、またはそのインテグリンαβ結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体である。かかる抗体はインテグリンの一つのサブユニット(例えばαサブユニット上に位置するエピトープまたはβサブユニット上に位置するエピトープに結合する抗体)、または双方のサブユニット(例えばαおよびβサブユニットの双方を架橋するインテグリンヘテロ二量体の領域に位置するエピトープに結合する抗体)に結合できる。天然発生抗体のような全長抗体に具体的に言及しない場合、「αβ抗体」なる用語は全長抗体およびかかる抗体のαβ結合フラグメント、バリアント、類似体または誘導体、例えば天然発生抗体または免疫グロブリン分子または抗体分子に類似した様式で抗原に結合する操作された抗体分子もしくはフラグメントを包含する。抗体は合成、モノクローナルまたはポリクローナルでよく、そして当分野において公知の技術により作成され得る。治療適用には、抗体に対する患者の免疫応答を最小にするようにヒト定常および可変領域を有する「ヒト」(または「ヒト化」または「霊長類化」)モノクローナル抗体がしばしば好ましい。ヒト免疫グロブリン遺伝子を含有するトランスジェニック動物を免疫することにより、かかる抗体を作成することができる(例えばJakobovitsら、Ann.N.Y.Acad.Sci.764:525−535(1995)を参照のこと)。合成および半合成抗体に関連して、かかる用語は限定するものではないが、抗体フラグメント、アイソタイプスイッチ抗体、ヒト化抗体(例えばマウス−ヒト、ヒト−マウス等)、ハイブリッド、複数の特異性を有する抗体、完全合成抗体様分子等を含めると意図される。
【0085】
本発明のヒト化抗体は完全抗体、例えば2本の重鎖および2本の軽鎖を含んでなる抗体、またはFabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメントもしくはF(v)フラグメントのような完全抗体の抗原結合フラグメントを指す。本発明のヒト化抗体は任意のアイソタイプおよびサブタイプ、例えばIgA(例えばIgA1およびIgA2)、IgG(例えばIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4)、IgE、IgD、IgMのものでよく、ここで免疫グロブリンの軽鎖はカッパまたはラムダ型でよい。
【0086】
いくつかの実施態様では、本発明のヒト化抗体は、抗体の抗原結合能力には影響しないで抗体のエフェクター機能(例えばFc受容体または補体因子に結合する抗体の能力)が改変されるように、重鎖の一つまたはそれより多い(例えば2、3、4、5または6個の)特定の位置での変異(例えば欠失、置換または付加)を含んでよい。
【0087】
その他の実施態様では、本発明のヒト化抗体はグリコシル化のための部位であるアミノ酸残基で、グリコシル化部位が排除されるように変異を含有できる。かかるヒト化抗体はエフェクター機能またはその他の望ましくない機能を低下させるが、その抗原結合親和性を維持しており、臨床上有利であり得る。グリコシル化部位の変異はプロセス開発(例えばタンパク質発現および精製)にも有利であり得る。
【0088】
本発明の特定の実施態様では、ヒト化抗体はそのCDRがネズミ3G9抗体に由来するアグリコシル軽鎖を含んでなる。特定の実施態様ではヒト化3G9抗体は、CDR1領域が配列番号:2のアミノ酸残基26でアスパラギン(N)からセリン(S)への置換を含有する軽鎖可変ドメインを含有する。ネズミ3G9 CDR1領域はこのアミノ酸位置でアスパラギンを含有する。しかしながら、3G9抗体のヒト化バージョンでは、軽鎖(LV1、LV2、LV3、LV4およびLV5)の5個全てのバージョンがこの位置で3G9 CDR1領域内でセリンを含有する。ヒト化3G9抗体の全ての軽鎖バージョンにおけるこの部位のアグリコシル化は軽鎖のタンパク質発現および精製の双方に関して有利であることが示されている。特定の実施態様では、ヒト化3G9抗体は正常なFc受容体結合に通常必要とされるグリコシル化部位で変異を含有する。特定の実施態様では、ヒト化3G9抗体はアスパラギン(N)からグルタミン(Q)へのアミノ酸置換を含有する。特定の実施態様では、ヒト化3G9抗体はプラスミドpKJS196(配列番号:7)を含んでなる組換えベクターにより生成される重鎖バージョン3(HV3)におけるNからQへのアミノ酸置換を含有する。特定の実施態様では、配列番号:7のアミノ酸残基319でNからQへのアミノ酸置換を生じる。ヒト化3G9抗体の重鎖バージョン3(HV3)におけるこの部位のアグリコシル化はヒト化抗体の抗原結合親和性に影響することなく、正常なFc受容体結合に必要とされるグリコシル化シグナルを除去することが示されている。特定の実施態様では、ヒト化3G9抗体は、プラスミドpKJS189(配列番号:6)を含んでなる組換えベクターにより生成される重鎖バージョン3(HV3)およびプラスミドpKJS195(配列番号:5)を含んでなる組換えベクターにより生成される軽鎖バージョン5(LV5)を含んでなる。特定の実施態様では、ヒト化3G9抗体はプラスミドpKJS196(配列番号:7)を含んでなる組換えベクターにより生成されるアグリコシル重鎖バージョン3(a−HV3)およびプラスミドpKJS195(配列番号:5)を含んでなる組換えベクターにより生成される軽鎖バージョン5(LV5)を含んでなる。
【0089】
さらにその他の実施態様では、重または軽鎖は親和性または潜在能力を増大させる変異を含有できる。
【0090】
本発明のヒト化抗体は、LAPおよびフィブロネクチンのような、αβのそのリガンドへの結合により媒介される任意の臨床的に望ましくない症状または疾患(本明細書で論じたような)を処置するのに有用である。これらのヒト化抗体につき、親和性または結合力、およびカチオン依存性またはリガンドへの結合の独立性をより高めることにより、以前から知られているαβ抗体よりもさらに強力にできる。ネズミモノクローナル抗体とは対照的に、本発明のヒト化抗体は対象の、特にヒトの身体において抗マウス免疫グロブリン抗体生成を引き起こさないであろうが、代わりに副作用の頻度の低下を伴って血中半減期の延長を示すので、αβにより媒介される疾患の処置において効果がマウスモノクローナル抗体よりも優れていると予期され得る。
【0091】
「抗体」および「免疫グロブリン」なる用語は本明細書では互換的に用いられる。抗体または免疫グロブリンは重鎖の少なくとも可変ドメインを含んでなり、そして通常重鎖および軽鎖の少なくとも可変ドメインを含んでなる。脊椎動物系では、基本的な免疫グロブリン構造は相対的に十分に理解されている。例えばHarlowら、Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988)を参照のこと。当業者には理解されるように、「抗体」および「免疫グロブリン」なる用語は生化学的に区別できる種々の広義のクラスのポリペプチドを含んでなる。重鎖がガンマ、ミュー、アルファ、デアルタまたはイプシロン(γ、μ、α、δ、ε)として分類され、その中にいくつかのサブクラスがある(例えばγ1−γ4)ことは当業者には理解されよう。抗体の「クラス」を各々IgG、IgM、IgA、IgGまたはIgEとして決定するのはこの鎖の性質である。免疫グロブリンサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG、IgG、IgG、IgG、IgA等は十分に特徴付けされ、そして機能的特殊化を付与することが知られている。これらのクラスおよびアイソタイプの各々の修飾バージョンは本開示を鑑みて当業者には容易に識別可能であり、そしてしたがって、本発明の範囲内である。
【0092】
本発明における使用に適当であるαβに結合する抗体またはそのαβ結合フラグメント、バリアントもしくは誘導体には限定するものではないが、ポリクローナル、モノクローナル、多特異性、ヒト、ヒト化、霊長類化またはキメラ抗体、一本鎖抗体、エピトープ結合フラグメント、例えばFab、Fab’およびF(ab’)、Fd、Fv、一本鎖Fv(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド連結されたFv(sdFv)、VまたはVドメインのいずれかを含んでなるフラグメント、Fab発現ライブラリーにより生成されたフラグメント、ならびに抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば本明細書に開示される抗αβ抗体に対する抗Id抗体を含む)が含まれる。ScFv分子は当分野において公知であり、そして例えば米国特許第5892019号に記載されている。本発明の免疫グロブリンまたは抗体分子は任意の型(例えばIgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)または免疫グロブリン分子のサブクラスのものでよい。
【0093】
一本鎖抗体を含む抗体フラグメントは(複数の)可変領域を単独で、または以下:ヒンジ領域、C1、C2およびC3ドメインの全体もしくは一部との組み合わせで含んでよい。(複数の)可変領域のヒンジ領域、C1、C2およびC3ドメインとの任意の組み合わせをも含んでなる抗原結合フラグメントもまた本発明に含まれる。本明細書にて開示される診断および治療方法において使用するための抗体またはその免疫特異的フラグメントは鳥類および哺乳動物を含む任意の動物起源からのものでよい。好ましくは、抗体はヒト、ネズミ、ラット、ロバ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ラマ、ウマ、ウシまたはニワトリ抗体である。最も好ましくは、抗体はヒト、ヒト化もしくは霊長類化抗体、またはキメラ抗体、とりわけモノクローナル抗体である。本明細書で使用される際には、「ヒト」(または「ヒト化」もしくは「霊長類化」)抗体にはヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体が含まれ、そしてヒト免疫グロブリンライブラリーから、または後記、および例えばKucherlapatiらによる米国特許第5939598号に記載されるように、一つまたはそれより多いヒト免疫グロブリンに関してトランスジェニックであり、そして内因性免疫グロブリンを発現しない動物から単離された抗体が含まれる。本明細書で使用される際には「キメラ抗体」なる用語は、第1の種から免疫反応性領域または部位が得られるか、または誘導され、そして第2の種から定常領域(それは本発明にしたがってインタクト、部分的または修飾されてよい)が得られる任意の抗体を意味すると見なされるであろう。好ましい実施態様では、標的結合領域または部位はヒト以外の供給源(例えばマウスまたは霊長類)からのものであり、そして定常領域はヒトである。
【0094】
本発明にしたがって使用するためのとりわけ好ましい抗体は、そこに開示されるモノクローナル抗体6.8G6(「8G6」)および6.3G9(「3G9」)を含むWeinrebら、J.Biol.Chem.279(17):17875−17877(2004)(その開示をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)に開示されるもののような抗αβモノクローナル抗体である。αβに結合し、そしてしたがって本発明による使用に適当であるさらなる抗体には、Weinackerら、J.Cell Biol 269:1−9(1994)(それをその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)にて;および米国特許第6692741(B2)号(それをその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)にて、特にその第2−3欄および第7−8欄で開示されるもののような、10D5(ATCC寄託番号HB12382、1997年8月6日寄託、American Type Culture Collection、私書箱1549、マナサス、バージニア州20108)(米国特許第6692741号、第3欄、7−13行および第7−8欄参照)およびCSβ6(米国特許第6692741号、第7−8欄参照)と称されるモノクローナル抗体を含む、インテグリンαβのβサブユニットに結合する(そしてしたがってそれは「抗β抗体」と考えられる)抗体(またはそのフラグメント、バリアントもしくは誘導体)が含まれる。本発明のこの態様による適当な実施態様はαβ結合抗体またはそのαβエピトープ結合フラグメントであるαβインテグリン結合リガンドを使用する。本発明のこの態様による使用に適当なさらなる抗体には限定するものではないが、そこで3G9、8G6、1A8、2B1、2B10、2A1、2E5、1G10、7G5、1C5と称されるもの、ならびにそのフラグメント、キメラおよびハイブリッドを含む米国特許出願公開第2005/0255102(A1)号(その開示をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)に開示されるαβ結合モノクローナル抗体が含まれる。本発明による使用にとりわけ適当な抗体はモノクローナル抗体2B1、3G9および8G6である。
【0095】
いくつかの実施態様では、抗体はハイブリドーマ6.1A8、6.3G9、6.8G6、6.2B1、6.2B10、6.2A1、6.2E5、7.1G10、7.7G5または7.1C5により生成される抗体と同一の重および軽鎖ポリペプチド配列を含んでなる。とりわけ本発明による使用に適当な抗体はハイブリドーマ6.2B1(ATCC寄託番号PTA−3646、2001年8月16日寄託、American Type Culture Collection、私書箱1549、マナサス、バージニア州20108)により生成される2B1抗体、ハイブリドーマ6.8G6(ATCC寄託番号PTA−3645、2001年8月16日寄託、American Type Culture Collection、私書箱1549、マナサス、バージニア州20108)により生成される8G6抗体、およびハイブリドーマ6.3G9(ATCC寄託番号PTA−3649、2001年8月16日寄託、American Type Culture Collection、私書箱1549、マナサス、バージニア州20108)(米国特許出願公開第2005/0255102(A1)号、その開示をその全てにおいて、とりわけ1頁第0008段落;2頁第0032および第0036段落で;ならびに6−14頁の実施例において出典明示により本明細書の一部とする)により生成される3G9抗体、および10D5と称される抗体(その抗体を分泌するハイブリドーマは1997年8月6日にATCC寄託番号HB12382、American Type Culture Collection、私書箱1549、マナサス、バージニア州20108として寄託された)(米国特許第6692741号参照、その開示をその全てにおいて、とりわけ第3欄、7−13行および第7−8欄を出典明示により本明細書の一部とする)と同一の重および軽鎖ポリペプチド配列を含んでなるモノクローナル抗体である。
【0096】
その他の関連する実施態様では、本発明にしたがって用いられるモノクローナル抗体はキメラ抗体、すなわち重および/または軽鎖のヒンジおよび/または定常領域の一部または全てが別の種(例えばヒト)からの抗体の対応する構成成分で置き換えられるように、一つの種(例えばネズミ、ラットまたはウサギ)からの同族(cognate)抗体が組換えDNAテクノロジーにより改変されているものである。一般的に操作された抗体の可変ドメインは、同族抗体の可変ドメインと同一または実質的に同一なままである。かかる操作された抗体はキメラ抗体と称され、そしてヒンジおよび/または定常領域が誘導される種(例えばヒト)の個体に投与される場合、同族抗体よりも抗原性が低い。キメラ抗体を作成する方法は当分野において周知である。
【0097】
その他の関連する実施態様では、本発明にしたがって用いられるモノクローナル抗体は完全なヒト抗体である。かかる完全なヒトモノクローナル抗体を生成するための方法は当分野において周知である(例えば米国特許出願第2005/0255102(A1)号、4頁第0069−0070段落(それを出典明示により本明細書の一部とする)参照)。
【0098】
その他の関連する実施態様では、本発明にしたがって用いられるモノクローナル抗体はその他の種から誘導された抗αβ同族抗体のヒト化バージョンである。ヒト化抗体は組換えDNAテクノロジーにより生成された抗体であり、ここで抗原結合に必要とされないヒト免疫グロブリン軽または重鎖(例えば定常領域および可変ドメインのフレームワーク領域)のアミノ酸のいくつかまたは全てを用いてヒト以外の同族抗体の軽または重鎖からの対応するアミノ酸と置換する。例としては、所定の抗原に対するネズミ抗体のヒト化バージョンはその重および軽鎖の双方で:(a)ヒト抗体の定常領域;(b)ヒト抗体の可変ドメインからのフレームワーク領域;および(c)ネズミ抗体からのCDR;を有する。必要により、ヒト化抗体の抗原に対する結合親和性を保存するように、ヒトフレームワーク領域における一つまたはそれより多い残基をネズミ抗体における対応する位置での残基に変化させることができる。この変化は時に「復帰変異」と称される。ヒト化抗体は一般的にキメラヒト抗体と比較して、含有するヒト以外の構成成分がかなり少ないので、ヒトにおける免疫応答を惹起する可能性が低い。かかるヒト化モノクローナル抗体を生成するための方法は当分野において周知である(例えば米国特許出願第2005/0255102(A1)号、4−5頁、第0072−0077段落(それを出典明示により本明細書の一部とする)参照)。
【0099】
一つの実施態様では、本発明は喘息を処置する方法において使用するためのαβインテグリンに関する結合特異性を有するヒト化モノクローナル抗体に関する。さらにとりわけその抗体は各々配列番号:1および配列番号:2の重および軽鎖可変ドメインを含んでなる。かかるヒト化抗体はネズミ3G9抗体のヒト化から誘導され、特定の実施態様ではヒト化抗体は、その相補性決定領域(CDR)1、2および3が各々配列番号:1のアミノ酸残基31−35、50−65および98−109を含んでなる重鎖を含んでなる。特定の実施態様ではヒト化抗体は、そのCDR1、2および3が各々配列番号:2のアミノ酸残基24−35、51−57および90−98を含んでなる軽鎖を含んでなる。特定の実施態様ではヒト化抗体は、そのフレームワーク領域(FR)1、2、3および4が各々配列番号:1のアミノ酸残基1−30、36−49、66−97および110−120を含んでなる重鎖を含んでなる。特定の実施態様ではヒト化抗体は、そのフレームワーク領域(FR)1、2、3および4が各々配列番号:2のアミノ酸残基1−23、36−50、58−89および99−108を含んでなる軽鎖を含んでなる。
【0100】
特定の実施態様では、喘息の病徴を制御、処置、予防または寛解させるための治療方法において用いられるヒト化抗体は配列番号:1のQ3MおよびN74Sからなる重鎖における少なくとも一つの上記のアミノ酸置換を含んでなる。特定の実施態様では、ヒト化抗体は配列番号:2のE1Q、L47W、I58V、A60VおよびY87Fからなる軽鎖における少なくとも一つの上記のアミノ酸置換を含んでなる。
【0101】
特定の実施態様では、本発明の治療方法において用いられるヒト化抗体は、重鎖が配列番号:1のアミノ酸置換Q3MおよびN74Sからなる重鎖バージョン1(「HV1」)を含んでなる。特定の実施態様ではヒト化抗体は、重鎖が配列番号:1のアミノ酸置換N74Sからなる重鎖バージョン2(「HV2」)を含んでなる。特定の実施態様ではヒト化抗体は、重鎖が配列番号:1からなる重鎖バージョン3(「HV3」)を含んでなる。
【0102】
いくつかの実施態様では、本明細書に開示される処置方法において用いられるヒト化抗体は、軽鎖が配列番号:2のアミノ酸置換L47W、I58V、A60VおよびY87Fからなる軽鎖バージョン1(「LV1」)を含んでなる。特定の実施態様ではヒト化抗体は、軽鎖が配列番号:2のアミノ酸置換L47WおよびI58Vからなる軽鎖バージョン2(「LV2」)を含んでなる。特定の実施態様ではヒト化抗体は、軽鎖が配列番号:2のアミノ酸置換L47Wからなる軽鎖バージョン3(「LV3」)を含んでなる。特定の実施態様では、ヒト化抗体は軽鎖が配列番号:2のアミノ酸置換E1QおよびL47Wからなる軽鎖バージョン4(「LV4」)を含んでなる。特定の実施態様ではヒト化抗体は、軽鎖が配列番号:2からなる軽鎖バージョン5(「LV5」)を含んでなる。
【0103】
特定の実施態様ではヒト化抗体は、重鎖が配列番号:1からなるHV3および軽鎖が配列番号:2からなるLV5を含んでなる重および軽鎖可変ドメインを含んでなる。
【0104】
特定の実施態様では、ヒト化抗体はネズミ6.3G9抗体(ATCC受け入れ番号PTA−3649)から誘導されるCDRを有する。
【0105】
関連する実施態様では、本発明はまた喘息を処置するためのαβインテグリンに関する結合特異性を有するヒト化モノクローナル抗体の使用に関し、ここでその抗体は配列番号:3および配列番号:4の重および軽鎖可変ドメインを含んでなる。かかるヒト化抗体はネズミ8G6抗体のヒト化から誘導される。特定の実施態様ではヒト化抗体は、その相補性決定領域(CDR)1、2および3が各々配列番号:3のアミノ酸残基(すなわちいくつかの保存変化を除く)31−35、50−66および99−115を含んでなる重鎖を含んでなる。特定の実施態様ではヒト化抗体は、そのCDR1、2および3が各々配列番号:4のアミノ酸残基24−38、54−60および93−101を含んでなる軽鎖を含んでなる。特定の実施態様ではヒト化抗体は、そのフレームワーク領域(FR)1、2、3および4が各々配列番号:3のアミノ酸残基1−30、36−49、67−98および116−126を含んでなる重鎖を含んでなる。特定の実施態様ではヒト化抗体は、そのFR1、2、3および4が各々配列番号:4のアミノ酸残基1−23、39−53、61−92および102−111を含んでなる軽鎖を含んでなる。
【0106】
特定の実施態様では、本明細書に記載される方法において用いられるヒト化抗体は配列番号:3のA24G、G26S、Q39L、M48I、V68A、R72VおよびT74Kからなる、重鎖における少なくとも一つの上記のアミノ酸置換を含んでなる。特定の実施態様では、ヒト化抗体は配列番号:4のE1D、L46FおよびY49Kからなる、軽鎖における少なくとも一つの上記のアミノ酸置換を含んでなる。
【0107】
特定の実施態様では、本明細書に記載される方法において用いられるヒト化抗体は重鎖が配列番号:3のアミノ酸置換A24G、G26S、Q39L、M48I、V68A、R72VおよびT74Kからなる重鎖バージョン1(「HV1」)を含んでなる。特定の実施態様では、ヒト化抗体は重鎖が配列番号:3のアミノ酸置換M48I、V68A、R72VおよびT74Kからなる重鎖バージョン2(「HV2」)を含んでなる。特定の実施態様では、本明細書に記載される方法において用いられるヒト化抗体は重鎖が配列番号:3のアミノ酸置換V68A、R72VおよびT74Kからなる重鎖バージョン3(「HV3」)を含んでなる。
【0108】
特定の実施態様では、喘息の処置において用いられるヒト化抗体は軽鎖が配列番号:4のアミノ酸置換E1D、L46FおよびY49Kからなる軽鎖バージョン1(「LV1」)を含んでなる。特定の実施態様では、ヒト化抗体は軽鎖が配列番号:4のアミノ酸置換L46FおよびY49Kからなる軽鎖バージョン2(「LV2」)を含んでなる。特定の実施態様では、ヒト化抗体は軽鎖が配列番号:4のアミノ酸置換Y49Kからなる軽鎖バージョン3(「LV3」)を含んでなる。
【0109】
特定の実施態様では、本明細書に記載される治療方法において用いられるヒト化抗体はネズミ6.8G6抗体から誘導されたCDRを有する。特定の実施態様では、ヒト化抗体はαβに対する結合に関してネズミ8G6抗体と競合できる。
【0110】
本発明はまた喘息の病徴の処置、予防または寛解のための前記された抗体のいずれかと同一のエピトープに結合するヒト化抗体の使用を包含する。
【0111】
本発明はまた喘息の処置のための該抗体をコードする核酸を含んでなる組換えベクターにより生成されるヒト化抗体の使用を包含する。特定の実施態様では、組換えベクターはpKJS195(配列番号:5)、pKJS189(配列番号:6)およびpKJS196(配列番号:7)からなる群から選択されるプラスミドでよい。
【0112】
PCT公開第WO2007/008712号およびその対応米国特許出願第11/483190号(その各々をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)に記載されるように、キメラ抗体3G9および8G6のヒト化バージョンの実例が作成されている。3G9抗体に関しては、これは本明細書の実施例に記載されるようにネズミ3G9可変重および軽鎖領域のクローニングを伴った。次いで軽および重鎖のネズミ3G9可変領域をコードするcDNAを用いて、ネズミ3G9可変領域がヒトIgG1(重鎖に関して)およびヒトカッパ(軽鎖に関して)定常領域に連結されたネズミ−ヒトキメラの発現のためのベクターを構築した。293−EBNA細胞へのトランスフェクションに続く軽鎖および重鎖3G9発現ベクターの発現により、キメラ3G9トランスフェクトされた細胞が重および軽鎖を合成し、そして効率的に組み立て、そして抗体を分泌した(PCT公開第WO2007/008712号およびその対応米国特許出願第11/483190号の実施例2を参照のこと)。加えて、キメラ3G9抗体のアグリコシル変異体形態もまた創成された。3G9の軽鎖の第1のCDRにおけるN連結されたグリコシル化部位内でのアスパラギン(N)からセリン(S)へのアミノ酸置換は結合親和性を改変することなく、タンパク質発現および精製を大いに改善することが示された(例えばPCT公開第WO2007/008712号およびその対応米国特許出願第11/483190号の図1を参照のこと)。
【0113】
ヒト化3G9抗体を生成するために、ヒト生殖細胞配列に対する相同性の照合によりヒトアクセプターフレームワークドメインを選択した。実施例3に記載されるように、軽鎖に関しては、ヒトL6アクセプターフレームワークが最も相同であることが見出され、そして重鎖に関しては、ヒト3−7アクセプターフレームワークが最も相同であることが見出された。これらの選択されたヒトアクセプターフレームワークを用いて軽および重鎖可変ドメインを設計し、そして各々の多くのバリアント/バージョンを作成し、そして発現させた(PCT公開第WO2007/008712号およびその対応米国特許出願第11/483190号の実施例4を参照のこと)。
【0114】
本発明の方法において使用され得るヒト化3G9抗体の実例には、配列番号:1の重鎖可変ドメインおよび配列番号:2の軽鎖可変ドメインを含んでなるものが含まれる。
【0115】
【化1】

どの組み合わせがαβに対する優れた結合親和性および遮断活性を有する最良のヒト化抗体を生成するかを決定するために、様々な程度の復帰変異を有する3G9重および軽鎖の様々なバリアント/バージョンを作成した。作成された軽鎖の5個の異なるバージョンおよび重鎖の3個の異なるバージョンのうち、3G9重鎖バージョン3(HV3)と3G9軽鎖バージョン5(LV5)の対形成により、最良のヒト化抗体が作成された(PCT公開第WO2007/008712号およびその対応米国特許出願第11/483190号の実施例4を参照のこと)。このヒト化3G9バージョン5(H3/L5)抗体はプラスミドpKJS195(配列番号:5)を含んでなる軽鎖バージョン5(LV5)に関する組換えベクターと組み合わされた、プラスミドpKJS189(配列番号:6)を含んでなる重鎖バージョン3(HV3)に関する組換えベクターの発現により生成される。
【0116】
【化2−1】

【0117】
【化2−2】

【0118】
【化3】

正常なFc受容体結合には必要とされることが示されている定常領域におけるグリコシル化部位を除去するために重鎖が変異された、ヒト化3G9バージョン5(H3/L5)抗体の別のバージョンもまた作成された(PCT公開第WO2007/008712号およびその対応米国特許出願第11/483190号の実施例5を参照のこと)。ヒト化3G9抗体のこのアグリコシル形態(a−H3/L5)は重鎖バージョン3(H3)の定常領域においてアミノ酸残基アスパラギン(N)をグルタミン(Q)と置換することにより生成される。アグリコシルヒト化3G9(a−H3/L5)抗体は、プラスミドpKJS195(配列番号:5;前記を参照)を含んでなる軽鎖バージョン5(L5)に関する組換えベクターと組み合わされたプラスミドpKJS196(配列番号:7)を含んでなるアグリコシル重鎖バージョン3(a−H3)に関する組換えベクターの発現により生成される。
【0119】
【化4−1】

【0120】
【化4−2】

ヒト化8G6抗体(PCT公開第WO2007/008712号およびその対応米国特許出願第11/483190号の実施例7を参照のこと)の設計において類似の研究法を用いた。8G6可変軽鎖および可変重鎖の三つのバージョンを設計し、第1のバージョンは最多の復帰変異を含有し、そして第3のバージョンは最小の復帰変異を含有した(最も「ヒト化」された)(PCT公開第WO2007/008712号およびその対応米国特許出願第11/483190号の実施例5を参照のこと)。
【0121】
【化5】

【0122】
【化6】

【0123】
【化7】

【0124】
【化8】

【0125】
【化9】

【0126】
【化10】

いくつかの実施態様では抗体は、その相補性決定領域(CDR)1、2および3が本質的には以下の表1で示される配列からなる(すなわちいくつかの保存変化を除く)重鎖を含んでなる。特定のかかる実施態様では抗体は、そのCDR1が本質的には配列番号:14−18のいずれか一つからなり;そのCDR2が本質的には配列番号:19−24のいずれか一つからなり;そしてそのCDR3が本質的には配列番号:25−30のいずれか一つからなる重鎖;ならびに/またはそのCDR1、2および3が本質的には各々配列番号:31−36、37−40および41−46の配列のいずれか一つからなる軽鎖を含んでなる。さらにその他のあまり好ましくない実施態様では、hu8G6重鎖バージョン1、2および3は各々残基110でアルギニン(R)の代わりにグルタミン(Q)を含有し、それでhu8G6バージョン1、バージョン2およびバージョン3の配列が配列番号:90、91および92になる。これは最初の研究で複数の単離体をシークエンシングすることにより8G6重鎖の110位置で多型が示されたためである。残基はQまたはRのいずれかであった。ヒト化研究の間に、110位置のRが優れた特性を有することが決定された。質量分析を用いるさらなる調査により、今では110位置の残基がRであることが示されている。故に好ましいhu8G6重鎖バージョン1、2および3は各々110位置でRを有する。
【0127】
【表1−1】

【0128】
【表1−2】

その他の関連する実施態様では、本発明にしたがって用いられるモノクローナル抗体はキメラ抗体、すなわち重および/または軽鎖のヒンジおよび/または定常領域の一部または全てが別の種(例えばヒト)からの抗体の対応する構成成分で置き換えられるように、一つの種(例えばネズミ、ラットまたはウサギ)からの同族抗体が組換えDNAテクノロジーにより改変されているものである。一般的に操作された抗体の可変ドメインは、同族抗体の可変ドメインと同一または実質的に同一なままである。かかる操作された抗体はキメラ抗体と称され、そしてヒンジおよび/または定常領域が誘導される種(例えばヒト)の個体に投与される場合、同族抗体よりも抗原性が低い。キメラ抗体を作成する方法は当分野において周知である。
【0129】
その他の関連する実施態様では、本発明にしたがって用いられるモノクローナル抗体は完全なヒト抗体である。かかる完全なヒトモノクローナル抗体を生成するための方法は当分野において周知である(例えば米国特許出願第2005/0255102(A1)号、4頁第0069−0070段落(それを出典明示により本明細書の一部とする)参照)。
【0130】
その他の関連する実施態様では、本発明にしたがって用いられるモノクローナル抗体はその他の種から誘導された抗αβ同族抗体のヒト化バージョンである。ヒト化抗体は組換えDNAテクノロジーにより生成された抗体であり、ここで抗原結合に必要とされないヒト免疫グロブリン軽または重鎖(例えば定常領域および可変ドメインのフレームワーク領域)のアミノ酸のいくつかまたは全てを用いてヒト以外の同族抗体の軽または重鎖からの対応するアミノ酸と置換する。例としては、所定の抗原に対するネズミ抗体のヒト化バージョンはその重および軽鎖の双方で:(a)ヒト抗体の定常領域;(b)ヒト抗体の可変ドメインからのフレームワーク領域;および(c)ネズミ抗体からのCDR;を有する。必要により、ヒト化抗体の抗原に対する結合親和性を保存するように、ヒトフレームワーク領域における一つまたはそれより多い残基をネズミ抗体における対応する位置での残基に変化させることができる。この変化は時に「復帰変異」と称される。ヒト化抗体は一般的にキメラヒト抗体と比較して、含有するヒト以外の構成成分がかなり少ないので、ヒトにおける免疫応答を惹起する可能性が低い。かかるヒト化モノクローナル抗体を生成するための方法は当分野において周知である(例えば米国特許出願第2005/0255102(A1)号、4−5頁、第0072−0077段落(それを出典明示により本明細書の一部とする)参照)。
【0131】
さらなるかかる実施態様ではヒト化抗体は、異なる抗体の重および/または軽鎖における対応するCDRから誘導される重および/または軽鎖における一つまたはそれより多いCDRを含んでなる。かかる抗体の一つの適当な非限定例は、寄託された3G9抗体(配列番号:34)に関する軽鎖CDR1の配列の代わりに2B1抗体(配列番号:33)から誘導される軽鎖CDR1の配列を有する軽鎖CDR1を含んでなるヒト化3G9抗体である。配列番号:33に示される軽鎖CDR1配列を有するかかるヒト化3G9抗体は本明細書ではhu3G9(またはBG00011)と称される。かかる抗体の別の適当な非限定例は、寄託された8G6抗体(配列番号:31)に関する軽鎖CDR1の配列の代わりに2B1抗体(配列番号:33)から誘導される軽鎖CDR1の配列を有する軽鎖CDR1を含んでなるヒト化8G6抗体である。配列番号:33に示される軽鎖CDR1配列を有するかかるヒト化8G6抗体は本明細書ではhu8G9と称される。一つまたはそれより多い重鎖および/または軽鎖CDRが別の抗体からの一つまたはそれより多い対応する重鎖および/または軽鎖CDRと置き換えられており、そして本発明による使用に適当であるかかる誘導抗体のさらなる実例は、表1に表される配列および本明細書にて提供される手引きに鑑みて当業者には容易に明らかになろう。かかる誘導ヒト化抗体を含むかかるヒト化抗体を調製するための適当な方法は当業者にはよく知られており、そして例えば米国特許出願公開第2005/0255102(Al)号(その開示をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)にて示される。
【0132】
ヒト化3G9は本方法における使用に好ましい抗体である。ヒト化3G9(hu3G9)を生成するために再形成された可変ドメインの設計を以下のとおりに行った。3G9軽鎖可変ドメインはヒトカッパ3に、および重鎖可変ドメインはヒト重鎖サブグループ3に相当する。以下の表1Aに示されるように、再形成された可変軽および重鎖の各々の三つのバージョンが設計された。第1のバージョンはネズミドナー配列に対して最多の復帰変異を含有するが、第3のバージョンは最小の復帰変異を含有した(最も「ヒト化」された)。以下の表1に示されるような重および軽鎖可変ドメインのCDR領域は従来のカバット番号付け分類システムにより定義されている。しかしながら配列の番号付けは、異なる配列が互いに相対的に直線に位置することに基づいて以下に示される。
【0133】
表1A:hu3G9に関する重および軽鎖配列
【0134】
【化11−1】

【0135】
【化11−2】

【0136】
【化12】

その他の好ましい実施態様では、用いられる抗体はhu3G9である。hu3G9重(バージョン1、2、3および5)および軽(バージョン1−5)可変ドメインの異なるバージョンのDNAおよび対応するタンパク質配列を本明細書以下の表2にて示す。重鎖可変ドメインに関しては、配列は:
(a)VH3−7のFR1から誘導されたヒトFR1;
(b)ネズミ3G9 CDR1重鎖配列;
(c)VH3−7のFR2から誘導されたヒトFR2;
(d)ネズミ3G9 CDR2重鎖配列;
(e)VH3−7のFR3から誘導されたヒトFR3;
(f)ネズミ3G9 CDR3重鎖配列;および
(g)以下の配列:WGQGTLVTVSSを有するヒト抗体の大部分に存在するコンセンサスフレームワーク配列から誘導されたヒトFR4;
を含んでなる。
【0137】
軽鎖可変ドメインに関しては、配列は:
(a)L6のFR1から誘導されたヒトFR1;
(b)アスパラギン(N)からセリン(S)へのアミノ酸置換を伴うネズミ3G9 CDR1軽鎖配列;
(c)L6のFR2から誘導されたヒトFR2;
(d)ネズミ3G9 CDR2軽鎖配列;
(e)L6のFR3から誘導されたヒトFR3;
(f)ネズミ3G9 CDR3軽鎖配列;および
(g)以下の配列:FGGGTKVEKを有するヒト抗体の大部分に存在するコンセンサスフレームワーク配列から誘導されたヒトFR4;
を含んでなる。
【0138】

表2:hu3G9可変ドメインの重および軽鎖配列
【0139】
【化13】

【0140】
【化14】

【0141】
【化15】

【0142】
【化16】

【0143】
【化17】

【0144】
【化18】

【0145】
【化19−1】

【0146】
【化19−2】

【0147】
【化20】

さらなる実施態様では、再形成された8G6可変軽鎖の三つのバージョンおよび再形成された8G6可変重鎖の三つのバージョンを本発明において好ましい抗体として使用できる。第1のバージョンは最多の復帰変異を含有し、そして第3のバージョンは最小の復帰変異を含有した(最も「ヒト化」された)。以下の表3はヒト化8G6(hu8G6)抗体に関する重および軽鎖可変ドメイン配列を表す。
【0148】
表3:hu8G6に関する重および軽鎖配列
【0149】
【化21】

【0150】
【化22】

hu8G6重(バージョン1、2および3)および軽(バージョン1、2および3)可変ドメインの様々なバージョンのタンパク質配列を表4に示す。重鎖可変ドメインに関しては、配列は:
(a)VH1−2のFR1から誘導されたヒトFR1;
(b)ネズミ8G6 CDR1重鎖配列;
(c)VH1−2のFR2から誘導されたヒトFR2;
(d)ネズミ8G6 CDR2重鎖配列;
(e)VH1−2のFR3から誘導されたヒトFR3;
(f)ネズミ8G6 CDR3重鎖配列;および
(g)NRデータベースからのヒトフレームワークgi|392715に100%同一であり、そして以下の配列:WGQGTLVTVSSを有するヒト抗体の大部分に存在するコンセンサスフレームワーク配列から誘導されたヒトFR4;
を含んでなる。
【0151】
軽鎖可変ドメインに関しては、配列は:
(a)L6のFR1から誘導されたヒトFR1;
(b)ネズミ8G6 CDR1軽鎖配列;
(c)L6のFR2から誘導されたヒトFR2;
(d)ネズミ8G6 CDR2軽鎖配列;
(e)L6のFR3から誘導されたヒトFR3;
(f)ネズミ8G6 CDR3軽鎖配列;および
(g)以下の配列:FGGGTKVEIKを有するヒト抗体の大部分に存在するコンセンサスフレームワーク配列から誘導されたヒトFR4;
を含んでなる。
【0152】
表4:hu8G6可変ドメインの重および軽鎖配列
【0153】
【化23】

【0154】
【化24】

【0155】
【化25】

【0156】
【化26】

【0157】
【化27】

【0158】
【化28】

本明細書にて使用できるさらなる配列には、例えばpKJS195ベクター−3G9バージョン5軽鎖(配列番号:77);pKJS189 ベクター−3G9ベクター3重鎖(配列番号:78);pKJS196ベクター−アグリコシル−3G9バージョン3重鎖(配列番号:79);hu3G9バージョン1軽鎖(配列番号:80);hu3G9バージョン2軽鎖(配列番号:81);hu3G9バージョン3軽鎖(配列番号:82);hu3G9バージョン4 軽鎖(配列番号:83);hu3G9バージョン5軽鎖(配列番号:84);hu3G9バージョン1重鎖(配列番号:85);hu3G9バージョン2重鎖(配列番号:86);hu3G9バージョン3および5重鎖(配列番号:87);コンセンサスフレームワーク配列から誘導されたヒトFR4(配列番号:88);コンセンサスフレームワーク配列から誘導されたヒトFR4(配列番号:89)に関するものが含まれる。
【0159】
以下に再形成された可変軽鎖における復帰変異について記載する:以下を含む:
E1D−これはCDR立体構造/抗原結合に影響することが示されている(Kolbingerら、Protein Eng.8:971−980(1993))。モデルでは、それはCDR L1およびL3におけるS26、Q27および/またはE93のバックボーンまたは側鎖と相互作用し得る。置換が保存されるので、それはバージョン2および3で除去される。
【0160】
L46F−これはVH/VLパッキングインターフェース(packing interface)残基である。それはまたCDR−L2残基E55のちょうど下にあると思われる。それはバージョン3では除去される。
【0161】
Y49K−これはCDR−L2に隣接し、そしてモデルの残基E55と相互作用していると思われる。これは非常に重要な復帰変異である可能性があり、そしてそれ故に除去されない。
【0162】
以下は再形成された可変重鎖における復帰変異について記載する:
A24G−これはCDR−H1に関して基準の残基である。
【0163】
保存置換。バージョン2では除去される:
G26S−これはCDR−H1に関して基準の残基である。
【0164】
保存置換。バージョン2では除去される:
Q39L−これはパッキングインターフェース残基である。それは軽鎖との非常に限定された相互作用を有し、そしてそれ故にバージョン2では除去される。M48I−これは一般的な復帰変異である。モデルでは、それはCDR−H2におけるY59およびF63と相互作用し得る。それはバージョン3では除かれる。V68A−この残基はCDR−H2の下に位置し、恐らくY59およびF63と相互作用する。
【0165】
R72V−これはCDR−H2に関して基準の残基である。
【0166】
T74K−この残基はCDR−H2の下に位置し、恐らくY53と相互作用するかまたは抗原と直接接触する。
【0167】
本発明のその他の実施態様では、細胞接着ドメインアルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)の存在に基づいてαβに関するリガンドとして設計されるペプチド、ポリペプチド、タンパク質またはペプチド擬似物質であるαβのアンタゴニストが用いられる。インテグリンに関するリガンドとしてのかかる分子の設計は例えばPierschbacherら、J.Cell.Biochem.56:150−154(1994);Ruoslahti、Ann Rev.Cell.Dev.Biol.12:697−715(1996);Chorevら、Biopolymers 37:367−375(1995);Pasqualiniら、J.Cell.Biol.130:1189−1196(1995));およびSmithら、J.Biol.Chem.269:32788−32795(1994)において例示される。
【0168】
本発明のいくつかの実施態様では、アンチセンス核酸分子がαβのアンタゴニストとして用いられる。アンチセンス核酸分子はターゲティングされるタンパク質の生成を阻止するためにヌクレオチドの特異的配列に結合するように設計された核酸の相補的オリゴヌクレオチド鎖である。βインテグリンサブユニットのヌクレオチド配列は米国特許第5962643号(その全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)に開示された。これらの薬剤を単独で、または本明細書に記載されるもののようなその他のαβアンタゴニストと組み合わせて用いることができる。アンチセンスアンタゴニストをRNAのようなアンチセンスオリゴヌクレオチドとして提供することができる(例えばMurayamaら、Antisense Nucleic Acid Drug Dev.7:109−114(1997)参照)。アンチセンス遺伝子をまたウイルスベクター中で、例えば肝炎Bウイルス中で(例えばJiら、J.Viral Hepat.4:167−173(1997)参照);アデノ随伴ウイルス中で(例えばXiaoら、Brain Res.756:76−83(1997)参照);または限定するものではないがHVJ(センダイウイルス)−リポソーム遺伝子分配系を含むその他の系で(例えばKanedaら、Ann,N.Y.Acad.Sci.811:299−308(1997)参照);「ペプチドベクター」(例えばVidalら、CR Acad.Sci III 32:279−287(1997)参照);エピソームまたはプラスミドベクター中の遺伝子として(例えばCooperら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.94:6450−6455(1997)、Yewら、Hum Gene Ther 5:575−584(1997)参照);ペプチド−DNA凝集体中の遺伝子として(例えばNiidomeら、J.Biol.Chem.272:15307−15312(1997)参照);「裸のDNA」として(例えば米国特許第5580859号および第5589466号参照);および脂質ベクター系中で(例えばLeeら、Crit Rev Ther Drug Carrier Syst,14:173−206(1997)参照)提供することができる。
【0169】
本発明のいくつかの実施態様では、細胞接着ドメインアルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)の存在に基づいてαβに関するリガンドとして設計されるペプチド、ポリペプチド、タンパク質またはペプチド擬似物質であるアンタゴニストが用いられる。インテグリンに関するリガンドとしてのかかる分子の設計は例えばPierschbacherら、J.Cell.Biochem.56:150−154(1994);Ruoslahti,Ann Rev.Cell.Dev.Biol.12:697−715(1996);Chorevら、Biopolymers 37:367−375(1995);Pasqualiniら、J.Cell.Biol.130:1189−1196(1995);およびSmithら、J.Biol,Chem,269:32788−32795(1994)において例示される。
【0170】
マウスモデルにおけるブレオマイシン誘起線維症に対する保護(第WO03/100033号、その全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする);腫瘍細胞の増殖の阻止(Agrezら、J.Cell Bio.127:547−556(1994));ならびに細胞遊走の阻止および/または細胞接着の阻止のような当分野において公知の、および/または本出願内に開示される種々の技術により、αβの候補アンタゴニストを機能に関してスクリーニングすることができる。
【0171】
αβ結合リガンドの抱合体およびその他の修飾
特定の実施態様では、αβと結合またはそうでなければ拮抗するリガンド、例えば抗体を非抱合形態で使用することができる。その他の実施態様では、αβと結合またはそうでなければ拮抗するリガンド、例えば抗体を、例えば検出可能な標識、薬物、プロドラッグまたは同位元素と抱合させることができる。ヒト化抗体は単離または検出を容易にするための部分(例えばビオチン、蛍光部分、放射活性部分、ヒスチジンタグまたはその他のペプチドタグ)を含んでよい。ヒト化抗体はまたその血清半減期を延長させることができる部分、例えばポリエチレングリコール(PEG)部分または(ポリ)シアル酸部分、FMOC部分または循環中のタンパク質の半減期を延長させるために一般的に用いられるその他の化学的修飾をも含んでよい。
【0172】
上皮細胞がαβ結合リガンドに応答する潜在能力の測定値として細胞または組織におけるαβ発現を検出する方法のような、以下にさらに詳細に記載される本発明の特定の方法では、αβ結合リガンド(例えば抗体)を一つまたはそれより多い検出可能な標識と抱合させる。かかる使用のために、αβ結合リガンド、例えばαβ結合抗体を色素産生性、酵素性、放射性同位元素性、同位元素性、蛍光性、毒素性、化学発光性、核磁気共鳴造影剤またはその他の標識の共有結合または非共有結合により、検出可能に標識することができる。
【0173】
適当な色素産生標識の実例にはジアミノベンジジンおよび4−ヒドロキシアゾ−ベンゼン−2−カルボン酸が含まれる。
【0174】
適当な酵素標識の実例にはリンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、Δ−5−ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α−グリセロールリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼおよびアセチルコリンエステラーゼが含まれる。
【0175】
適当な放射性同位元素標識の実例にはH、111In、125I、131I、32P、35S、14C、51Cr、57To、58Co、59Fe、75Se、152Eu、90Y、67Cu、217Ci、211At、212Pb、47Sc、109Pd等が含まれる。インビボ撮像を用いる場合、肝臓による125Iまたは131I標識αβ結合リガンドの脱ハロゲン化の問題を回避するので、111Inが好ましい同位元素である。加えてこの放射性ヌクレオチドは撮像のためにさらに都合のよいガンマ放出エネルギーを有している(Perkinsら、Eur.J.Nucl.Med.10:296−301(1985);Carasquilloら、J.Nucl.Med.28:281−287(1987))。例えば1−(P−イソチオシアナトベンジル)−DPTAを有するモノクローナル抗体にカップリングされた111Inは非腫瘍組織、とりわけ肝臓にはほとんど取り込まれないことが示されており、そしてそれ故に腫瘍局在の特異性を強化する(Estebanら、J.Nucl.Med.28:861−870(1987))。
【0176】
適当な非放射性同位元素標識の実例には157Gd、55Mn、162Dy、52Trおよび56Feが含まれる。
【0177】
適当な蛍光標識の実例には152Eu標識、フルオレセイン標識、イソチオシアン酸標識、ローダミン標識、フィコエリスリン標識、フィコシアニン標識、アロフィコシアニン標識、緑色蛍光タンパク質(GFP)標識、o−フタアルデヒド標識およびフルオレサミン標識が含まれる。
【0178】
化学発光標識の実例にはルミノール標識、イソルミノール標識、芳香族アクリジニウムエステル標識、イミダゾール標識、アクリジニウム塩標識、シュウ酸エステル標識、ルシフェリン標識、ルシフェラーゼ標識およびエクオリン標識が含まれる。
【0179】
核磁気共鳴造影剤の実例にはGd、Mnおよび鉄のような重金属核が含まれる。
【0180】
前記された標識のαβ結合リガンド、例えばαβ結合抗体への結合のための典型的な技術はKennedyら、Clin.Chim.Acta 70:1−31(1976)およびSchursら、Clin.Chim.Ada 81:1−40(1977)により提供される。後記されるカップリング技術はグルタルアルデヒド法、過ヨウ素酸法、ジマレイミド法、m−マレイミドベンジル−N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステル法(それらの方法は全て出典明示により本明細書の一部とする)である。
【0181】
これに代えて、αβ結合リガンドを一つまたはそれより多いカリケアマイシン分子と抱合させることができる。抗生物質のカリケアマイシンファミリーはピコモル以下の濃度で二本鎖DNA破断を生むことができる。用いることができるカリケアマイシンの構造類似体には、限定するものではないがγ、α、α、N−アセチル−γ、PSAGおよびΦが含まれる(Hinmanら、Cancer Research 53:3336−3342(1993)およびLodeら、Cancer Research 58:2925−2928(1998))。
【0182】
種々の放射性同位元素はまた本発明の治療方法における使用のための放射性抱合されたαβ結合リガンドの生成に利用可能である。実例には211At、131I、125I、90Y、186Re、188Re、153Sm、212Bi、32Pおよび放射性同位元素のLuが含まれる。
【0183】
さらに別の実施態様では、αβ結合リガンド−受容体抱合体を患者に投与する「プレターゲティング」における利用のために、αβ結合リガンドを「受容体」(かかるストレプトアビジン)に抱合させ、続いて透徹剤を用いて未結合抱合体を循環から除去し、そして次に細胞毒性剤(例えば放射性ヌクレオチド)に抱合された「リガンド」(例えばアビジン)を投与することができる。
【0184】
プロドラッグ(例えばペプチジル化学療法剤、第WO81/01145号参照)を活性薬物に変換するプロドラッグ活性化酵素と本発明のαβ結合リガンドを抱合させることもできる。例えば第WO88/07378号および米国特許第4975278号を参照のこと。かかる抱合体の酵素の構成要素には、それをそのさらに活性な細胞毒性形態に変換するような方式でプロドラッグに作用できる任意の酵素が含まれる。
【0185】
本発明の方法において有用である酵素には、限定するものではないが、リン酸含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用なアルカリ性ホスファターゼ;硫酸含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用なアリールスルファターゼ;無毒性5−フルオロシトシンを抗癌剤、5−フルオロウラシルに変換するのに有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用であるセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼおよびカテプシン(例えばカテプシンBおよびL)のようなプロテアーゼ;D−アミノ酸置換基を含有するプロドラッグを変換するのに有用なD−アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用なO−ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼのような炭水化物切断酵素;P−ラクタムで誘導体化された薬物を遊離薬物に変換するのに有用なP−ラクタマーゼ;ならびにそのアミン窒素をフェノキシアセチルまたはフェニルアセチル基で誘導体化された薬物を各々遊離薬物に変換するのに有用なペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼのようなペニシリンアミダーゼが含まれる。
【0186】
ヘテロ二官能性架橋剤の使用のような当分野において周知の技術により酵素をαβ結合リガンドに共有結合させることができる。これに代えて、酵素の少なくとも機能的に活性な部分に連結された本発明のαβ結合リガンドの少なくとも抗原結合領域を含んでなる融合タンパク質を、当分野において周知の組換えDNA技術を用いて構築することができる(例えばNeubergerら、Nature 312:604−608(1984)参照)。
【0187】
種々の治療薬をターゲティングヒト化抗体とカップリングさせることができる。好ましくは、結合時に内部移行されるヒト化抗体が最良であろうが、非内部移行型ヒト化抗体の使用は排除されない。抱合体を調製するために使用できる喘息処置薬物の一覧は長大であり、そして望ましい化合物に化学的修飾を施し、本発明の抱合体を調製する目的のためにさらに都合良いその化合物の反応を行う方法は当業者には公知であろう。例えば血清中で差別的にさらに安定であり、しかも腫瘍細胞の内側で薬物を放出する「放出可能なリンカー」を介して薬物をカップリングさせる。具体的な薬物に依存していくつかの放出メカニズムを用いることができる。これらの放出メカニズムの実例には酸感受性ヒドラゾン、酸化還元感受性リンカー、例えばジスルフィドおよびタンパク質分解により切断されるペプチドリンカーの使用が含まれる。
【0188】
前記のいずれかの抗体抱合体にはフラグメントFab、F(ab’)25scFv、ミニボディー、CH2ドメイン欠失抗体構築物およびFcRn−変異体の使用もまた含まれる。これらのAbフラグメントまたは遺伝的に修飾された構築物は、特定の適用において有利になり得るインタクトなIgGとは異なる薬物動態、腫瘍透過および腫瘍局在特性を有する。例えばより早く除去されるFabは放射性免疫診断適用のための診断適用に有用であり得る。一方、放射性免疫治療または薬物ターゲティングのために、より長い血清tmを有するターゲティングベヒクルを選択することがさらに有効であり得る。
【0189】
治療方法
本発明の特定の実施態様では、本発明の方法を特定の疾患、とりわけ本明細書に開示されるような喘息の特定の病徴を患う哺乳動物を処置するための処置計画において治療的に使用できる。本発明のかかる方法は喘息および関連する病徴を処置および/または予防するのに有用である。とりわけかかる研究法に受け入れられるのは、インテグリンαβの発現を低下させるかまたは遮断することにより、アレルゲンにより誘発された場合に認められる気道の感受性の増大から保護されるこれらの組織または細胞である。本発明のこの態様による方法は、例えば(a)喘息または喘息関連病徴を有する患者を同定すること、および(b)一つまたはそれより多いαβ結合抗体もしくはそのフラグメントのような一つまたはそれより多いαβ結合リガンドで患者を処置することを含んでなる。本発明のこの態様による方法はさらに、例えば(a)喘息または喘息関連病徴に対する感受性が増大した患者を同定すること、および(b)一つまたはそれより多いαβ結合抗体もしくはそのフラグメントのような一つまたはそれより多いαβ結合リガンドで患者を処置することを含んでなる。
【0190】
処置のための好ましい哺乳動物にはサル、類人猿、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、ウマ、ウサギおよびヒトが含まれる。とりわけ好ましいのはヒトである。
【0191】
前記されたような関連する実施態様では本発明は、気道上皮における一つまたはそれより多い細胞上のインテグリンαβの一つまたはそれより多いサブユニットに結合する、治療上有効量の一つまたはそれより多いリガンドを患者に投与することを含んでなる、患者における喘息を低下または予防する方法を提供し、ここでリガンドのインテグリンへの結合が気道肥満細胞におけるアレルゲン誘起の増加の保護、低下または予防を招く。
【0192】
本発明のかかる治療方法において、非経口、肺内、頭蓋内、経皮および鼻内を含む任意の適当な手段により対象または患者にαβ結合リガンドまたはそのフラグメントを投与できる。非経口注入には筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内または皮下投与が含まれる。加えてαβ結合リガンドまたはそのフラグメントをパルス注入により、例えば漸減用量のαβ結合リガンドまたはそのフラグメントを適当に投与することができる。好ましくは注射により、投与が短期かまたは長期かにある程度依存して、最も好ましくは静脈内または皮下注射により投与を行う。
【0193】
いくつかの実施態様では、αβ結合リガンドまたはそのフラグメントを対象または患者にエアロゾルにより投与することができる。エアロゾル投与用には、本発明の組成物は界面活性剤および噴霧剤と一緒に微細に分割された形態で供給されるのが好ましい。本発明の組成物の典型的なパーセンテージは0.01重量%−20重量%、好ましくは1−10重量%である。界面活性剤はもちろん無毒性でなければならず、そして好ましくは噴霧剤中で可溶性である。かかる薬剤の代表的なものはカプロン酸、オクタノン酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、オレステリン(olesteric)酸およびオレイン酸のような6から22個の炭素原子を含有する脂肪酸と脂肪族多価アルコールまたはその環状無水物とのエステルまたは部分エステルである。混合または天然グリセリドのような混合エステルを用いることができる。界面活性剤は組成物の0.1重量%−20重量%、好ましくは0.25−5重量%を構成し得る。通常噴霧剤で組成物の全量を合わせる。所望により例えば鼻内分配用のレシチンのような担体もまた含まれ得る。
【0194】
本発明のこれらの治療方法を実施するのに、αβ結合抗体のようなαβ結合リガンドもしくはそのフラグメントまたはその他のαβアンタゴニストを治療用処方(それは本明細書では医薬用組成物として互換的および均等に称される)の形態で患者に投与することができる。望ましい程度の純度のαβ結合リガンドまたはそのフラグメントを場合によっては薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 第16版、Osol,A.編(1980))と混合することにより、本発明にしたがって使用されるαβ結合リガンドまたはそのフラグメントの治療用処方を保存用に、例えば凍結乾燥された処方または水溶液の形態で調製する。αβ結合リガンドまたはそのフラグメントのような薬理学的に活性な化合物に加えて、本発明の治療方法において使用される組成物は、活性化合物の医薬用に使用できる調製物への加工を促す賦形剤および補助剤を含んでなる一つまたはそれより多い適当な薬学的に許容される担体を含有できる。本発明の医薬用調製物はそれ自体公知である様式で、例えば従来の混合、顆粒化、糖衣化、溶解または凍結乾燥過程により製造される。故に、所望または必要により、適当な補助剤を添加した後、活性化合物を固体賦形剤と組み合わせ、場合によっては得られた混合物を粉砕し、そして顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣錠の核を得ることにより、経口使用のための医薬用調製物を得ることができる。
【0195】
適当な賦形剤はとりわけ糖類、例えばラクトースもしくはスクロース、マンニトールもしくはソルビトール、セルロース調製物および/またはリン酸カルシウム、例えばリン酸三カルシウムもしくはリン酸水素カルシウムのような充填剤、ならびにデンプンペーストのような結合剤であり、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシ−メチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドンを用いる。所望により、前記したデンプンおよびまたカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天もしくはアルギン酸またはアルギン酸ナトリウムのようなその塩のような崩壊剤を添加することができる。補助剤、とりわけ流動調節剤および滑沢剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸またはステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウムのようなその塩、および/またはポリエチレングリコールである。糖衣錠の核は所望により、胃液に抵抗する適当なコーティングを伴って提供される。この目的のために、濃縮された糖類溶液を用いることができ、それは場合によってはアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/またはチタンジオキシド、ラッカー溶液ならびに適当な有機溶媒または溶媒混合物を含有できる。胃液に抵抗するコーティングを生成するために、フタル酸アセチルセルロースまたはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースのような適当なセルロース調製物の溶液を用いる。例えば同定のため、または活性化合物の用量の組み合わせを特徴付けするために色素または顔料を錠剤または糖衣錠コーティングに添加することができる。
【0196】
経口的に用いることができるその他の医薬用調製物にはゼラチンから作られたプッシュフィットカプセルならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールのような可塑剤から作られた軟質密封カプセルが含まれる。プッシュフィットカプセルはラクトースのような充填剤、デンプンのような結合剤および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤、ならびに場合によっては安定剤と混合できる顆粒の形態の活性化合物を含有できる。軟質カプセルでは、活性化合物を好ましくは脂肪油または液体パラフィンのような適当な液体中に溶解または懸濁する。加えて安定剤を添加できる。
【0197】
非経口投与に適当な処方には、水溶性形態の活性化合物の水溶液、例えば水溶性塩およびアルカリ性溶液が含まれる。アルカリ性塩には例えばTris、水酸化コリン、ビス−Trisプロパン、N−メチルグルカミンまたはアルギニンで調製されたアンモニウム塩が含まれ得る。加えて、適切な油状注射用懸濁液として活性化合物の懸濁液を投与することができる。適当な親油性溶媒またはベヒクルには脂肪油、例えばゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドもしくはポリエチレングリコール−400(その化合物はPEG−400に溶解する)が含まれる。水性注射用懸濁液は懸濁液の粘度を増大させる物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストランを含有できる。場合によっては、懸濁液はまた安定剤をも含有できる。
【0198】
本発明の化合物を点眼液として、または軟膏、ゲル、リポソームもしくは生体適合性重合体ディスク、ペレット内で動物およびヒトの眼に投与できるか、またはコンタクトレンズ内に担持できる。眼内用組成物はまた当業者が従来の基準を用いて選択できるような生理学的に適合性の眼科用ベヒクルを含有できる。限定するものではないが水、ポリエチレングリコール400のようなポリエーテル、ポリビニルアルコールのようなポリビニル、ポビドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース誘導体、鉱物油および白色ワセリンのような石油誘導体、ラノリンのような動物脂肪、落花生油のような植物脂肪、カルボキシルポリメチレンゲルのようなアクリル酸の重合体、デキストランおよびグリコサミノグリカンのような多糖類、塩化ナトリウムおよびカリウムのような塩化物、塩化亜鉛、ならびに炭酸水素ナトリウムまたは乳酸ナトリウムのようなバッファーを含む公知の眼科用ベヒクルからベヒクルを選択できる。高分子量分子を用いることもできる。組成物中で本発明の化合物を不活化しない生理学的に適合性の保存剤には、クロロブタノールのようなアルコール、塩化ベンザルコニウムおよびEDTA、または当業者に公知の任意のその他の適切な保存剤が含まれる。
【0199】
皮下投与用に適合させた抗体の凍結乾燥処方は米国特許第6267958号に記載されており、その開示をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする。かかる凍結乾燥処方を適当な希釈剤で高タンパク質濃度に再構築でき、そして再構築された処方を本明細書にて処置されるべき患者に皮下投与できる。
【0200】
αβ結合リガンドはまた例えばコアセルベーション技術により、または界面重合化により調製されたマイクロカプセル、例えばヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタシラート(methylmethacylate))マイクロカプセル中、各々コロイド薬物分配系(例えばリポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルジョンに捕捉され得る。かかる技術はRemington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol,A.編(1980)に開示されている。
【0201】
αβ結合リガンドの徐放調製物を調製することができる。徐放調製物の適当な実例にはαβ結合リガンドを含有する固体疎水性重合体の半透過性マトリックスが含まれ、そのマトリックスは造形品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形態である。徐放マトリックスの実例にはポリエステル、ヒドロゲル(例えばポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリラート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3773919号)、L−グルタミン酸およびγ−エチル−L−グルタマートの共重合体、非分解性エチレン−酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸共重合体および酢酸ロイプロリドから構成される注射用マイクロスフェア)のような分解性乳酸−グリコール酸共重合体、ならびにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が含まれる。
【0202】
インビボ投与に用いられることになっている処方は無菌性でなければならない。これは無菌濾過膜を通す濾過により容易に達成される。
【0203】
本発明の特定の実例的な実施態様では、αβ結合リガンドまたはそのフラグメントを約1mg/mと約500mg/mの間の投薬量で患者に(例えば静脈内に)投与する。例えばαβ結合リガンドまたはそのフラグメントを約:
【0204】
【化29】

の投薬量で投与できる。
【0205】
αβ結合リガンドまたはそのフラグメントを多様な投与スケジュールにしたがって投与することができる。例えばαβ結合リガンドまたはそのフラグメントを予め決定された期間(例えば4から8週またはそれより長い)、1日1回、または予め決定された期間(例えば4から8週またはそれより長い)、週間スケジュールにしたがって(例えば週1日、週2日、週3日、週4日、週5日、週6日または週7日)投与することができる。「週1回」投与スケジュールの具体的な実例は処置期間の1、8、15および22日のαβ結合リガンドまたはそのフラグメントの投与である。代替えの実施態様では、αβ結合リガンド、そのフラグメントを数か月の期間にわたって断続的に投与することができる。例えばαβ結合リガンドまたはそのフラグメントを年2回、連続3週間毎週投与することができる(すなわち週間投与スケジュールを6か月毎に繰り返す)。かかる投与計画を延長された期間(年のオーダーで)続けて最初の処置により提供された有利な治療効果を維持できることは理解されよう。さらにその他の実施態様では、癌性、転移性または上皮内癌症状の即時的病徴を低下させるために設計された急性投与計画に従ってかかる維持療法を行うことができる。
【0206】
処置期間を通じて毎度投与されるαβ結合リガンドまたはそのフラグメントの量は同一でよい;これに代えて処置期間の間、毎度投与される量を変えることができる(例えば所定の度に投与される量は以前に投与された量より多いかまたは少なくてよい)。例えば維持療法の間に与えられた用量は処置の急性相の間に投与されたものよりも少なくてよい。具体的な状況に依存する適切な投与スケジュールは当業者に明らかであろう。
【0207】
本発明の特定の実施態様では、複数の型または種のαβ結合リガンドを互いに組み合わせ、そして患者に投与して喘息または喘息関連症状を処置する。例えば本発明は二つまたはそれより多い異なるαβ結合リガンドまたはそのフラグメントの本明細書に開示されるもののような患者への投与を企図する。複数のαβ結合リガンドまたはそのフラグメントを患者に投与する場合、異なるαβ結合リガンドおよび/もしくはTGF−β遮断剤またはそのフラグメントを単一の医薬用組成物中一緒に投与できるか、またはさらに好ましくは、別個の投薬で逐次的に投与できる。かかるその他の薬剤の有効量は処方中に存在するαβ結合リガンドまたはそのフラグメントの量、疾患または障害または処置の型、およびその他の因子に依存する。
【0208】
本発明はまた第1の薬剤を第2の薬剤と組み合わせて患者に投与することを含んでなる喘息症状を処置するための方法を含み、ここで第1の薬剤はαβ結合リガンドであり、そして第2の薬剤は喘息または原位置の喘息症状を処置するのに有用である薬剤であるが、αβ結合リガンドである必要はない。第1の薬剤を第2の薬剤と「組み合わせて」投与することとは、治療計画の間に双方の薬剤が患者に投与されるように、第2の薬剤を患者に投与する前、同時または後に第1の薬剤を患者に投与できることを意味する。例えば本発明の特定のかかる実施態様にしたがって、当分野において公知である一つまたはそれより多いインテグリン受容体(例えばαβ、αβ、αβ、αβ、αβ等)に特異的な抗体、ポリペプチドアンタゴニストおよび/または小型分子アンタゴニストを含む、一つまたはそれより多いその他のインテグリン受容体(αβ、αβ、αβ、αβ、αβ等)のアンタゴニストの患者への投与と組み合わせて(すなわち前、同時または後に)αβ結合リガンドを患者に投与する。
【0209】
本発明のこの態様の特定の実施態様では、αβ結合リガンドまたはそのフラグメントと組み合わせて投与される第2の薬剤は、例えばステロイド、細胞毒性化合物(本明細書の他の部分で記載されたものを含み、そしてとりわけパクリタキセル、ゲムシタビンまたはアドリアマイシン(ドキソルビシン)、放射性同位元素(本明細書の他の部分で記載されたものを含む)、プロドラッグ活性化酵素(本明細書の他の部分で記載されたものを含む)、コルヒチン、酸素、抗酸化剤(例えばN−アセチルシステイン)、金属キレート剤(例えばテトラチオモリブデン酸)、IFN−β、IFN−γ、アルファ−アンチトリプシン等である。本発明のこの態様にしたがって治療目的のために一つまたはそれより多いαβ結合リガンドのような一つまたはそれより多い第1の薬剤と組み合わせて患者に投与できるさらなる第2の薬剤または化合物は当業者によく知られており;かかるさらなる第2の薬剤または化合物の使用はそれ故に本発明に包含されると考えられる。
【0210】
病徴および関連症状
さらなる実施態様では、本発明は喘息の病徴を有するかまたは有する危険性のある哺乳動物を処置する方法を志向する。喘息の病徴には、限定するものではないが、息切れ(呼吸困難)の再発エピソード、喘鳴、胸部圧迫感および咳が含まれる。とりわけかかる研究法に受け入れられるのは、インテグリンαβの発現を低下させるかまたは遮断することにより、アレルゲンにより誘発された場合に認められる気道の感受性の増大から保護されるこれらの組織または細胞である。本発明のこの態様による方法は、例えば(a)喘息または喘息関連病徴(例えば息切れの再発エピソード、喘鳴、胸部圧迫感および咳)を有する患者を同定すること、および(b)一つまたはそれより多いαβ結合抗体もしくはそのフラグメントのような一つまたはそれより多いαβ結合リガンドで患者を処置することを含んでなる。本発明のこの態様による方法は、例えば(a)喘息または喘息関連病徴に対する感受性が増大した患者を同定すること、および(b)一つまたはそれより多いαβ結合抗体もしくはそのフラグメントのような一つまたはそれより多いαβ結合リガンドで患者を処置することを含んでなる。
【0211】
特定の実施態様では、本発明は喘息関連症状の病徴を有するかまたは有する危険性のある哺乳動物を処置する方法を志向する。喘息関連症状の病徴には、限定するものではないが、上皮器官における線維症、急性肺損傷、鼻炎、アナフィラキシー、副鼻腔炎、枯草熱、アレルギー、声帯機能不全および胃食道逆流性疾患が含まれる。とりわけかかる研究法に受け入れられるのは、インテグリンαβの発現を低下させるかまたは遮断することにより、アレルゲンにより誘発された場合に認められる気道の感受性の増大から保護されるこれらの組織または細胞である。本発明のこの態様による方法は、例えば(a)喘息関連症状(例えば上皮器官における線維症、急性肺損傷、鼻炎、アナフィラキシー、副鼻腔炎、枯草熱、アレルギー、声帯機能不全および胃食道逆流性疾患)を有するかまたは有する危険性のある患者を同定すること、および(b)一つまたはそれより多いαβ結合抗体もしくはそのフラグメントのような一つまたはそれより多いαβ結合リガンドで患者を処置することを含んでなる。本発明のこの態様による方法は、例えば(a)喘息関連症状に対する感受性が増大した患者を同定すること、および(b)一つまたはそれより多いαβ結合抗体もしくはそのフラグメントのような一つまたはそれより多いαβ結合リガンドで患者を処置することを含んでなる。
【0212】
さらなる活性薬剤を含んでなる方法
特定の実施態様では、治療上有効な用量のインテグリンαβに対するリガンドおよび、米国特許公開第2005/0148562号(その開示をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)全体にわたって開示されるもののような一つまたはそれより多いさらなる活性薬剤を哺乳動物に同時投与することを含んでなる本発明の方法を用いて、一つまたはそれより多い喘息の病徴もしくは喘息関連症状を有するかまたは有する危険性のある哺乳動物を処置することができる。さらなる活性薬剤の実例には、限定するものではないが、さらなる抗ヒスタミン薬(H1、H3およびH4受容体アンタゴニストを含む)、ステロイド(例えば安全なステロイド)、ロイコトリエンアンタゴニスト、プロスタグランジンD2受容体アンタゴニスト、うっ血除去薬、去痰薬、抗真菌薬、トリアムシノロンおよびトリアムシノロン誘導体、非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制薬(NsIDI)、抗炎症薬、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、COX−2阻害剤、抗感染薬、粘液溶解薬、抗コリン薬、肥満細胞安定剤、非抗生物質性抗微生物薬、抗ウイルス薬、消毒薬、ニューロキニンアンタゴニスト、血小板活性化因子(PAF)および5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害剤が含まれる。
【0213】
故にαβインテグリンに関して結合特異性を有する一つまたはそれより多い抗体もしくは抗体フラグメントを含んでなる組成物を、喘息を制御するために用いられる一つまたはそれより多いその他の医薬品と組み合わせて投与する組み合わせ治療として本発明の処置方法を用いることができると企図される。喘息を制御するのに用いられる医薬品に主要な二つの群:抗炎症薬(コルチコステロイド)および気管支拡張薬がある。抗炎症性医薬品は気道における炎症細胞の数を減少させ、そして液体の気道組織への漏出から血管を防御する。炎症を低下させることにより、それらは気道筋肉の自発性の痙攣を低下させる。抗炎症薬を急性喘息発作の危険性を減らす予防手段として用いる。
【0214】
本方法に含めるのに適当な抗ヒスタミン薬の実例には、限定するものではないが、アクリバスチン、アゼラスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、ドキシラミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、ケトチフェン、レボカバスチン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノラステミゾール(norastemizole)、オロパタジン、ピクマスト、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジン、トリプロリジン、ブロモフェニラミン、クロルフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、トリプロリジン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、トリペレンアミン、ヒドロキシジン、メトジラジン、プロメタジン、トリメプラジン、アザタジン、シプロヘプタジン、アンタゾリン、フェニラミン、ピリラミン、アステミゾール、テルフェナジン、ロラタジン、セチリジン、レボセチリジン、フェクソフェナジン、デスカルボエトキシロラタジン、デスロラタジン、ジメンヒドリナートおよびヒドロキシジンが含まれる。
【0215】
本方法に含めるのに適当なH3受容体アンタゴニストの実例には、限定するものではないが、チオペラミド、インプロミジン、ブリマミド、クロベンプロピット、インペンタミン(impentamine)、ミフェチジン(mifetidine)、クロザピン、S−ソプロミジン、R−ソプロミジンおよびシプロキシファンが含まれる。
【0216】
喘息の処置のための抗炎症性医薬品の実例には、ロイコトリエン阻害剤が含まれる。ザフィルルカスト(Accolate)、モンテルカスト(Singulair)およびジロートン(Zyflo)がこの薬剤のクラスに属する。これらの薬物は経口的に投与され、そして気道を内張りする平滑筋細胞へのロイコトリエンの結合を阻止する。その他の吸入用抗炎症性薬物にはクロモリンナトリウム(Intal)およびネドクロミル(Tilade)が含まれる。
【0217】
本方法に含めるのに適当なロイコトリエンアンタゴニスト(例えばロイコトリエンD4アンタゴニスト)の実例には、限定するものではないが、硫酸アルブテロール、アミノフィリン、アモキシシリン、アンピシリン、アステミゾール、弱毒化結核菌、アジスロマイシン、バカンピシリン、プロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、塩酸ブプロピオン、セファクロル、セファドロキシル、セフィキシム、セフプロジル、セフロキシムアキセチル、セファレキシン、塩酸シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クリンダマイシン、クロキサシリン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、エタンブトール、臭化水素酸フェノテロール、フルコナゾール、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、フマル酸フォルモテロール、ガチフロキサシン、インフルエンザウイルスワクチン、臭化イプラトロピウム、イソニアジド、塩酸イソプロテレノール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ケトチフェン、レボフロキサシン、ミノサイクリン、モンテルカスト(例えばモンテルカストナトリウム)、モキシフロキサシン、ネドクロミルナトリウム、ニコチン、ニスタチン、オフロキサシン、オルシプレナリン、オセルタミビル、硫酸オセルタミビル、オクストリフィリン、ペニシリン、酢酸ピルブテロール、ピバンピシリン、肺炎球菌ワクチン、肺炎球菌多糖体ワクチン、プレドニゾン、ピラジナミド、リファンピン、サルブタモール、キシナホ酸サルメテロール、クロモグリク酸ナトリウム(クロモリンナトリウム)、硫酸テルブタリン、テルフェナジン、テオフィリン、トリアムシノロンアセトニド、ザフィルルカストおよびザナミビルが含まれる。
【0218】
本方法に含めるのに適当なうっ血除去薬の実例には、限定するものではないが、プセウドエフェドリン、フェニルエフェドリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、オキシメタゾリン、プロピルヘキセドリン、キシロメタゾリン、エピネフリン、エフェドリン、デスオキシエフェドリン、ナファゾリンおよびテトラヒドロゾリンが含まれる。
【0219】
本方法に含めるのに適当な去痰薬の実例には、限定するものではないが、グアイフェネシン、リン酸コデインおよび塩酸イソプロテレノールが含まれる。
【0220】
本方法に含めるのに適当な抗真菌薬の実例には、限定するものではないが、アンフォテリシンB、ニスタチン、フルコナゾール、ケトコナゾール、テルビナフィン、イトラコナゾール、イミダゾール、トリアゾール、シクロピロックス、クロトリマゾールおよびミコナゾールが含まれる。
【0221】
本方法に含めるのに適当なNSAIDの実例には、限定するものではないが、イブプロフェン、アセクロフェナク、ジクロフェナク、ナプロキセン、エトドラク、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、スプロフェン、フェンブフェン、フルプロフェン、トルメチンナトリウム、オキサプロジン、ゾメピラク、スリンダク、インドメタシン、ピロキシカム、メフェナム酸、ナブメトン、メクロフェナム酸ナトリウム、ジフルニサル、フルフェニサール、ピロキシカム、ケトロラック、スドキシカムおよびイソキシカムが含まれる。
【0222】
「非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制薬」または「NsIDI」とは炎症誘発性サイトカイン生成または分泌を低下させるか、イムノフィリンに結合するか、または炎症誘発性反応の下方調節を引き起こす任意の非ステロイド薬を意味する。本組成物に含めるのに適当なNsIDIには、限定するものではないが、シクロスポリン、タクロリムス、アスコマイシン、ピメクロリムス、およびカルシニューリンのホスファターゼ活性を阻止するその他の薬剤(ペプチド、ペプチドフラグメント、化学的に修飾されたペプチド、またはペプチド擬似物質)のようなカルシニューリン阻害剤が含まれる。NsIDIにはラパマイシン(シロリムス)およびエベロリムスもまた含まれ、それらはFK506結合タンパク質、FKBP−12に結合し、そして抗原誘起の白血球の増殖およびサイトカイン分泌を遮断する。
【0223】
本方法に含めるのに適当なCOX−2阻害剤の実例には、限定するものではないが、ロフェコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、メロキシカムおよびニメスリドが含まれる。
【0224】
コルチコステロイド抗炎症薬を二つの方式:定量吸入器(MDI)による吸入または丸剤/錠剤もしくは液体形態による経口により投与する。吸入用コルチコステロイドの実例には、フルチカゾン(Flovent)、ブデソニド(Pulmicort)、フルニソリド(AeroBid)、トリアムシノロン(Azmacort、Nasacort、Atlone)およびベクロメタゾン(Beclovent、VacerilおよびVancenase)が含まれる。経口コルチコステロイド(丸剤/錠剤形態)の実例はプレドニゾン(Deltasone、Meticorten またはParacort)、メチルプレドニゾロン(Medrol)およびプレドニゾロン(Delta−CortefおよびSterane)である。経口コルチコステロイド(液体形態)はPedipredおよびPreloneである。これらの液体形態は喘息の小児に用いられる。喘息の処置のための小児科治療がとりわけ企図される。本方法に含めるのに適当なステロイドのさらなる実例には、限定するものではないが、フルオロメトロン、フルチカゾン、モメタゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、フルニソリド、ブデソニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、リメキソロン、ベロキシル、プレドニゾン、ロテプレドノール、デキサメタゾン、ならびに米国特許第5223493号および第5420120号(その全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)に記載されるその類似体(例えばデキサメタゾンベロキシル)が含まれる。
【0225】
気管支拡張薬は気道の直径を増大させ、そして肺へおよび肺からの気体の流れを容易にすることにより働く。それらは二つの基本的な形態:短時間作用型および長時間作用型に入る。短時間作用型気管支拡張薬の実例にはメタプロテレノール(Alupent、Metaprel)、エフェドリン、テルブタリン(Brethaire)およびアルブテロール(Proventil、Ventolin)が含まれる。これらの薬物は吸入され、そして急性喘息発作の間の病徴を和らげるために用いられる。長時間作用型気管支拡張薬の実例には、サルメテロール(Serevent)、メタプロテレノール(Alupent)ならびにテオフィリン(Aerolate、Bronkodyl、Slo−phyllinおよびTheo−Dur)およびアミノフィリンが含まれる。SereventおよびAlupentは吸入され、そしてテオフィリンは経口により摂取される。テオフィリンおよびアミノフィリンはメチルキサンチン医薬品の実例である。医薬品のこの群は化学的にカフェインに関連し、そして喘息の日常的な管理に頻繁に用いられている。
【0226】
抗コリン薬は喘息発作の間の救急薬として有用な薬物の別のクラスである。吸入用抗コリン薬は気道を開き、ベータアゴニストの作用に類似する。吸入用抗コリン薬はその効果を達成するのにベータアゴニストよりもわずかに長くかかるが、それらはベータアゴニストより長く持続する。抗コリン薬はしばしばベータアゴニスト薬物と一緒に用いられ、いずれかの薬物が単独で達成できるものよりもさらに大きな効果を生み出す。臭化イプラトロピウム(Atrovent)は喘息救急薬として一般的に用いられる吸入用抗コリン薬である。Advairはフルチカゾンおよびサルメテロールを組み合わせて炎症および気道収縮の双方を低下させる別の吸入用医薬品である。
【0227】
その他の医薬品は喘息の引き金となるアレルギーを処置することに焦点が合わされ、そして:免疫治療および抗IGEモノクローナル抗体が含まれる。喘息の免疫治療基盤の処置は、対象を問題のアレルゲンに対して脱感作するための少用量のアレルゲンを含有する、治療用注射のアレルギー脱感作シリーズを伴う。アレルギー性喘息のための別の治療はオマリズマブ(Xolair)により例示されるような抗IgE抗体での処置を伴う。Xolairはアレルギーにより引き起こされる中度から重度の喘息の12歳を超える小児および成人において用いられる。
【0228】
本方法に含めるのに適当な抗感染薬の実例には、限定するものではないが、ペニシリン系およびその他のベータラクタム抗生物質、セファロスポリン系、マクロライド系、ケトライド系、スルホンアミド系、キノロン系、アミノグリコシド系およびリネゾリドが含まれる。
【0229】
本方法に含めるのに適当な非抗生物質性抗微生物薬の実例には、限定するものではないが、タウロリジンが含まれる。
【0230】
本方法に含めるのに適当な肥満細胞安定剤の実例には、限定するものではないが、クロモリンおよびネドクロミルナトリウムが含まれる。
【0231】
本方法に含めるのに適当な粘液溶解薬の実例には、限定するものではないが、アセチルシステインおよびドルナーゼアルファが含まれる。
【0232】
本方法に含めるのに適当な抗生物質の実例には、限定するものではないが、セフロキシム、バンコマイシン、アモキシシリンおよびゲンタマイシンが含まれる。
【0233】
本方法に含めるのに適当な消毒薬の実例には、限定するものではないが、ヨウ素、酢酸クロルヘキシジン、次亜塩素酸ナトリウムおよび水酸化カルシウムが含まれる。
【0234】
本方法に含めるのに適当な抗コリン薬の実例には、限定するものではないが、イプラトロピウム、アトロピンおよびスコポラミンが含まれる。
【0235】
本方法に含めるのに適当なニューロキニンアンタゴニストの実例には、限定するものではないが米国特許第号5798359号;第5795894号;第5789422号;第5783579号;第5719156号;第5696267号;第5691362号;第5688960号;第5654316号(その全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)に開示されるもののような、オキシム系、ヒドラゾン系、ピペリジン系、ピペラジン系、アリールアルキルアミン系、ヒドラゾン系、ニトロアルカン系、アミド系、イソキサゾリン系、キノリン系、イソキノリン系、アザノルボルナン系、ナフチリジン系およびベンゾジアゼピン系が含まれる。
【0236】
本方法に含めるのに適当な5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害剤の実例には、限定するものではないが、ジロートン、ドセベノン、ピリポストおよびテニダップが含まれる。
【0237】
診断用キット
さらなる実施態様では、本発明はキット、とりわけ喘息のような疾患または障害の処置または予防に有用なキットを提供する。本発明のこの態様によるキットはインテグリンαβを結合または認識する抗体のような一つまたはそれより多い前記されたリガンドを含有する少なくとも一つの容器を含んでよい。本発明のこれらのキットは場合によっては、例えばリガンド(例えば抗体)を患者からの器官、組織または細胞試料のような被験試料に分配するための試薬(例えば緩衝塩溶液)を含有し得るさらに少なくとも一つのさらなる容器を含んでよい。本発明のかかるキットのその他の適当なさらなる構成要素は当業者にはよく知られているであろう。
【0238】
本明細書に記載される方法および適用へのその他の適当な修飾および適応は明白であり、そして本発明の範囲または任意の実施態様から逸脱することなく行うことができることは当業者には容易に明らかになろう。ここで本発明は詳細に記載されたので、以下の実施例を参照して同一物は明確に理解されようが、それは説明の目的のためだけに本明細書に含められ、そして本発明の限定を意図するものではない。
【実施例】
【0239】
実施例
本実験では、慢性的なアレルゲン誘発下でインテグリンβ6サブユニットのヌル変異を発現するマウスの研究を始めた。我々のデータによりαβがヒト喘息に果たす役割が支持され、そして機能遮断αβmAbを用いる治療的介入が喘息を処置、制御および/または予防するための貴重な方法であることが示唆される。
【0240】
感作および誘発
6から8週齢の性別の一致したC57BL/6野生型およびβ6ノックアウトマウスを、通常の生理食塩水200μl中ミョウバン(Sigma−Aldrich)1mgに吸収させたOVA(等級V;Sigma−Aldrich、セントルイス、ミズーリ州、米国)50μgで0および12日に腹腔内で感作した。イソフルラン麻酔下、鼻内OVA誘発(生理食塩水50μl中20ng)を26、29および32日に投与し、そして次に週2回7週間繰り返した。高用量OVA誘発(生理食塩水50μl中1mg)をさらに7週間実施した。最後の誘発の24時間後に肺力学および肺炎症に関してマウスを分析した。
【0241】
アセチルコリンに対する気道応答の測定
ケタミン(100mg/kg)およびキシラジン(10mg/kg)でマウスを麻酔した。気管切開術を実施し、そしてチュービングアダプター(20ゲージ)を用いて気管をカニューレ処置した。次いでマウスにげっ歯類ベンチレーターおよび肺力学分析器(FlexiVent、SIRAQ Inc、カナダ)を装着し、そして1回換気量9ml/kg、呼吸数150回/分および2cm H2O呼吸終末陽圧で換気した。パンクロニウム(0.1mg/kg 、腹腔内)でマウスを麻痺させた。27G針を尾静脈中に配置し、そして気道力学を単一周波数の正弦波信号で連続的に測定した。マウスには尾静脈を介して漸増用量のアセチルコリン(0.03、0.1、0.3、1および3μg/g体重)を投与して、濃度−応答曲線を作成した。
【0242】
気道炎症および粘液生成の評価
肺をPBS 0.8mlで5回洗浄した。遠心(1000rpm、5分)の後、赤血球を溶解させた後に細胞ペレットを通常の生理食塩水に再懸濁した。血球計で全細胞を計数した。サイトスピン調製物を調製し、そしてHEMA3染色セット(Fisher)で染色し、そして>300セル/スライドの光学顕微鏡評価に基づいて気管支肺胞洗浄(BAL)液の細胞別パーセンテージを決定した。
【0243】
洗浄後、肺を10%緩衝ホルマリンで25cm HOの圧まで膨張させ、そして10%緩衝ホルマリンの入ったチューブに移した。マウス肺全体の複数のパラフィン包埋5μm切片を調製し、そして定型的な形態学に関してヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で、および粘液生成の評価に関して過ヨウ素シッフ(PAS)で染色した。
【0244】
気管支周囲線維症および平滑筋の定量化
パラフィン包埋した肺における気管支周囲シリウスレッドおよびα平滑筋アクチン染色の区域の輪郭を描き、そしてComputer−Assisted Stereology Toolboxソフトウェアシステム(C.A.S.T−Grid;Olympus、アルバーツルンド(Albertslund)、デンマーク)を装着した光学顕微鏡を用いて定量化した。操作者は盲検で無作為にサンプリングされた顕微鏡視野のポイント計数により全肺容量およびシリウスレッドまたはα平滑筋アクチン陽性区域の容量を測定した。少なくとも10個の気管支梢が各スライドで計数された。
【0245】
結果
肺炎症を測定するために、生理食塩水で誘発された野生型マウスおよび卵白アルブミン(OVA)で誘発された野生型マウスにおいて細胞の全数を計数した。加えて生理食塩水で誘発されたβ6ノックアウトマウスおよびOVAで誘発されたβ6ノックアウトマウスにおいて細胞数を計数した。全細胞、マクロファージ、好酸球、白血球および多形核白血球に関して細胞数を計数した。OVAで誘発されたβ6ノックアウトマウスはOVAで誘発された野生型マウスと比較して全細胞、マクロファージ、好酸球、白血球および多形核白血球の減少が示された。結果を図2に示す。
【0246】
マウスには尾静脈を介して漸増用量のアセチルコリン(0.03、0.1、0.3、1および3μg/g体重)を投与して、濃度−応答曲線を作成した。生理食塩水で誘発されたβ6ノックアウトマウスおよびOVAで誘発されたβ6ノックアウトマウスと共に、生理食塩水で誘発された野生型マウスおよびOVAで誘発された野生型マウスに関して濃度−応答曲線を測定した。結果を図3に示す。これらの結果により、β6ノックアウトマウスは慢性的なアレルゲン誘発の後のアセチルコリン誘起の気管支収縮に対する応答性が対照野生型マウスよりも有意に低いことが示される。
【0247】
加えてOVAで誘発された野生型およびβ6ノックアウトマウスの双方が上皮下線維症の増大を示す。結果を図4に示す。これらの結果により、β6ノックアウトマウスと野生型マウスの間で上皮下線維症の差異は示されず、それは上皮下線維症からの保護は、誘起された気道反応性亢進からのノックアウトマウスの保護に寄与しないことを実証する。
【0248】
OVAで誘発された野生型およびβ6ノックアウトマウスの双方は生理食塩水で誘発された野生型およびβ6ノックアウトマウスの双方と比較して、気道におけるα−SMCアクチンの増大を示した。結果を図5に示す。これらの結果により、慢性的なアレルゲン誘発に応答したβ6ノックアウトマウスおよび野生型における平滑筋容量における類似の増大が実証され、それはアレルゲン誘起の平滑筋過形成からの保護が、誘起された気道反応性亢進からのノックアウトマウスの保護に寄与しないことを示唆している。
【0249】
OVAで誘発されたβ6ノックアウトマウスは、OVAで誘発された野生型マウスと比較した場合、上皮内肥満細胞の数を低下させることが示される。結果を図6に示す。アレルゲン誘発されたβ6ノックアウトマウスにおいて認められる上皮肥満細胞の減少は、これらの動物において認められる気道反応性亢進からの保護を説明できるかもしれない。
【0250】
OVAで誘発された野生型およびβ6ノックアウトマウスの双方、対、生理食塩水で誘発された野生型およびβ6ノックアウトマウスの双方における肺炎症性応答を図7に示す。β6ノックアウトおよび野生型マウスで慢性的なアレルゲン誘発に応答した肺炎症において差異はない。これらの結果により、慢性的なアレルゲン誘発に対する炎症性応答からの一般的な保護はβ6ノックアウトマウスにおいて認められる気道反応性亢進からの保護を説明しないことが示唆される。
【0251】
ここで本発明は十分に記載されたので、本発明または任意のそれの実施態様の範囲に影響を及ぼすことなく、症状、処方およびその他のパラメーターの広範なそして均等な範囲内で同一物を実施できることは当業者には理解されよう。
【0252】
本明細書にて引用された全ての文書、例えば科学的出版物、特許、特許出願および特許公報は、各個々の文書がその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とされることが具体的および個別に示されるかのように、その全てにおいて同一の程度まで出典明示により本明細書の一部とされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
喘息または喘息関連症状の一つまたはそれより多い病徴を有するかまたは有する危険性のある哺乳動物を処置する方法であって、治療上有効な用量のインテグリンαβに対するリガンドを哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項2】
該リガンドがインテグリンαβの一つまたはそれより多いサブユニットのアンタゴニストである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
喘息または喘息関連症状の一つまたはそれより多い病徴を有するかまたは有する危険性のある哺乳動物を処置する方法であって、インテグリンαβの一つまたはそれより多い該サブユニットに結合する抗体またはそのフラグメントの治療上有効な用量を哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項4】
抗体を非経口的に、経口的に、エアロゾルとしてまたは鼻内に投与する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
抗体がモノクローナル抗体である請求項3に記載の方法。
【請求項6】
該モノクローナル抗体がキメラ、霊長類化またはヒト化モノクローナル抗体である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
該モノクローナル抗体が2A1、2E5、1A8、2B10、2B1、1G10、7G5、1C5、8G6、3G9、10D5およびCSβ6からなる群から選択される請求項5に記載の方法。
【請求項8】
該ヒト化モノクローナル抗体がhu3G9(BG00011)である請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ヒト化モノクローナル抗体が各々配列番号:1および配列番号:2の重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインを含む請求項6に記載の方法。
【請求項10】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのCDR1、2および3が各々配列番号:1のアミノ酸31−35、50−65および98−109を含む重鎖を含む請求項6に記載の方法。
【請求項11】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのCDR1、2および3が各々配列番号:2のアミノ酸24−35、51−57および90−98を含む軽鎖を含む請求項6に記載の方法。
【請求項12】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのフレームワーク領域(FR)1、2、3および4が各々配列番号:1のアミノ酸残基1−30、36−49、66−97および110−120を含む重鎖を含む請求項6に記載の方法。
【請求項13】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのフレームワーク領域(FR)1、2、3および4が各々配列番号:2のアミノ酸残基1−23、36−50、58−89および99−108を含む軽鎖を含む請求項6に記載の方法。
【請求項14】
ヒト化モノクローナル抗体が配列番号:1のQ3MおよびN74Sからなる重鎖における一つもしくはそれより多い上記のアミノ酸置換、ならびに/または配列番号:2のE1Q、L47W、I58V、A60VおよびY87Fからなる軽鎖における一つもしくはそれより多い上記のアミノ酸置換を含む請求項6に記載の方法。
【請求項15】
ヒト化モノクローナル抗体が重鎖バージョン1(「HV1」);重鎖バージョン2(「HV2」);および重鎖バージョン3からなる群から選択される重鎖バージョンを含み、ここでHV1重鎖は配列番号:1のアミノ酸置換Q3MおよびN74Sからなり;HV2重鎖は配列番号:1のアミノ酸置換N74Sからなり;そしてHV3重鎖は配列番号:1からなる請求項6に記載の方法。
【請求項16】
ヒト化モノクローナル抗体が軽鎖バージョン1(「LV1」);軽鎖バージョン2(「LV2」);軽鎖バージョン3(「LV3」);軽鎖バージョン4(「LV4」)および軽鎖バージョン5(「LV5」)からなる群から選択される軽鎖バージョンを含み、ここでLV1軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換L47W、158V、A60VおよびY87Fからなり;LV2軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換L47WおよびI58Vからなり;LV3軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換L47Wからなり;LV4軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換E1QおよびL47Wからなり;そしてLV5軽鎖は配列番号:2からなる請求項6に記載の方法。
【請求項17】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのCDRがネズミ3G9抗体に由来するアグリコシル軽鎖を含む請求項6に記載の方法。
【請求項18】
ヒト化モノクローナル抗体が、CDR1領域が配列番号:2のアミノ酸26でアスパラギンからセリンへの置換を含有する軽鎖可変ドメインを含有する請求項6に記載の方法。
【請求項19】
ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号:7のアミノ酸残基319で生じる重鎖バージョン3におけるアスパラギンからグルタミンへの置換を含有する請求項6に記載の方法。
【請求項20】
ヒト化モノクローナル抗体が、プラスミドpKJS189(配列番号:6)を含む組換えベクターにより生成された重鎖バージョン3およびプラスミドpKJS195(配列番号:5)を含む組換えベクターにより生成された軽鎖バージョン5を含む請求項6に記載の方法。
【請求項21】
ヒト化モノクローナル抗体が、プラスミドpKJS196(配列番号:7)を含む組換えベクターにより生成されたアグリコシル重鎖バージョン3およびプラスミドpKJS195(配列番号:5)を含む組換えベクターにより生成された軽鎖バージョン5を含む請求項6に記載の方法。
【請求項22】
ヒト化モノクローナル抗体が:
a)配列番号:101−105のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む重鎖CDR1;
b)配列番号:106−111のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む重鎖CDR2;
c)配列番号:112−117のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む重鎖CDR3;
を含む請求項6に記載の方法。
【請求項23】
ヒト化モノクローナル抗体が:
a)配列番号:118−123のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む軽鎖CDR1;
b)配列番号:124−127のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む軽鎖CDR2;および
c)配列番号:128−133のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む軽鎖CDR3;
を含む請求項6に記載の方法。
【請求項24】
ヒト化モノクローナル抗体がhu8G6である請求項6に記載の方法。
【請求項25】
該抗体がインテグリンαβのβサブユニットに結合する請求項5に記載の方法。
【請求項26】
該抗体がαβ複合体におけるインテグリンαβのβサブユニットに結合するがα単独には結合しない請求項3に記載の方法。
【請求項27】
該抗体を色素産生標識、酵素標識、放射性同位元素標識、非放射性同位元素標識、蛍光標識、化学発光標識、X線撮影用標識、スピン標識および核磁気共鳴造影剤標識からなる群から選択される少なくとも一つの検出可能な標識と抱合させる請求項3に記載の方法。
【請求項28】
アンタゴニストがαβに関するリガンドである請求項2に記載の方法。
【請求項29】
該アンタゴニストを少なくとも一つの検出可能な標識と抱合させる請求項28に記載の方法。
【請求項30】
該検出可能な標識が色素産生標識、酵素標識、放射性同位元素標識、非放射性同位元素標識、蛍光標識、化学発光標識、X線撮影用標識、スピン標識および核磁気共鳴造影剤標識からなる群から選択される請求項29に記載の方法。
【請求項31】
色素産生標識がジアミノベンジジンおよび4−ヒドロキシアゾ−ベンゼン−2−カルボン酸からなる群から選択される請求項30に記載の方法。
【請求項32】
該酵素標識がリンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、デルタ−5−ステロイドイソメラーゼ、酵母−アルコールデヒドロゲナーゼ、アルファ−グリセロールリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼおよびアセチルコリンエステラーゼからなる群から選択される請求項30に記載の方法。
【請求項33】
該放射性同位元素標識がH、111In、125I、131I、32P、35S、14C、51Cr、57To、58Co、59Fe、75Se、152Eu、90Y、67Cu、217Ci、211At、212Pb、47Scおよび109Pdからなる群から選択される請求項30に記載の方法。
【請求項34】
該非放射性同位元素標識が157Gd、55Mn、162Dy、52Tr、56Fe、99mTcおよびll2Inからなる群から選択される請求項30に記載の方法。
【請求項35】
該蛍光標識が152Eu標識、フルオレセイン標識、イソチオシアン酸標識、ローダミン標識、フィコエリスリン標識、フィコシアニン標識、アロフィコシアニン標識、緑色蛍光タンパク質(GFP)標識、o−フタアルデヒド標識およびフルオレサミン標識からなる群から選択される請求項32に記載の方法。
【請求項36】
アンタゴニストがアンチセンス核酸である請求項2に記載の方法。
【請求項37】
治療上有効な用量のインテグリンαβに対するリガンドおよび一つまたはそれより多いさらなる活性薬剤を哺乳動物に同時投与することを含む、喘息または喘息関連症状の一つまたはそれより多い病徴を有するかまたは有する危険性のある哺乳動物を処置する方法。
【請求項38】
該一つまたはそれより多いさらなる活性薬剤が:
(a)一つまたはそれより多い抗ヒスタミン薬;
(b)一つまたはそれより多いコルチコステロイド;
(c)一つまたはそれより多いロイコトリエンアンタゴニスト;
(d)一つまたはそれより多いうっ血除去薬;および
(e)一つまたはそれより多い非ステロイド抗炎症薬;
(f)一つまたはそれより多い抗コリン薬;
(g)一つまたはそれより多い短時間又は長時間作用型ベータ刺激薬;ならびに
(i)一つまたはそれより多いメチルキサンチンからなる群から選択される請求項37に記載の方法。
【請求項39】
インテグリンαβの一つまたはそれより多い該サブユニットに結合する治療上有効な用量の抗体またはそのフラグメントを動物に投与することを含む、該動物の肺気道における浮腫を緩和する方法。
【請求項40】
該浮腫が喘息関連浮腫である請求項39に記載の方法。
【請求項41】
抗体を非経口的に、経口的に、エアロゾルとしてまたは鼻内に投与する請求項39に記載の方法。
【請求項42】
抗体がモノクローナル抗体である請求項39に記載の方法。
【請求項43】
該モノクローナル抗体がキメラ、霊長類化またはヒト化モノクローナル抗体である請求項42に記載の方法。
【請求項44】
該ヒト化モノクローナル抗体が2A1、2E5、1A8、2B10、2B1、1G10、7G5、1C5、8G6、3G9、10D5およびCSβ6からなる群から選択される請求項43に記載の方法。
【請求項45】
該ヒト化モノクローナル抗体がhu3G9(BG00011)である請求項43に記載の方法。
【請求項46】
ヒト化モノクローナル抗体が各々配列番号:1および配列番号:2の重および軽鎖可変ドメインを含む請求項43に記載の方法。
【請求項47】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのCDR1、2および3が各々配列番号:1のアミノ酸31−35、50−65および98−109を含む重鎖を含む請求項43に記載の方法。
【請求項48】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのCDR1、2および3が各々配列番号:2のアミノ酸24−35、51−57および90−98を含む軽鎖を含む請求項43に記載の方法。
【請求項49】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのフレームワーク領域(FR)1、2、3および4が各々配列番号:1のアミノ酸残基1−30、36−49、66−97および110−120を含む重鎖を含む請求項43に記載の方法。
【請求項50】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのフレームワーク領域(FR)1、2、3および4が各々配列番号:2のアミノ酸残基1−23、36−50、58−89および99−108を含む軽鎖を含む請求項43に記載の方法。
【請求項51】
ヒト化モノクローナル抗体が配列番号:1のQ3MおよびN74Sからなる重鎖における一つもしくはそれより多い上記のアミノ酸置換、ならびに/または配列番号:2のE1Q、L47W、I58V、A60VおよびY87Fからなる軽鎖における一つもしくはそれより多い上記のアミノ酸置換を含む請求項43に記載の方法。
【請求項52】
ヒト化モノクローナル抗体が重鎖バージョン1(「HV1」);重鎖バージョン2(「HV2」);および重鎖バージョン3からなる群から選択される重鎖バージョンを含み、ここでHV1重鎖は配列番号:1のアミノ酸置換Q3MおよびN74Sからなり;HV2重鎖は配列番号:1のアミノ酸置換N74Sからなり;そしてHV3重鎖は配列番号:1からなる請求項43に記載の方法。
【請求項53】
ヒト化モノクローナル抗体が軽鎖バージョン1(「LV1」);軽鎖バージョン2(「LV2」);軽鎖バージョン3(「LV3」);軽鎖バージョン4(「LV4」)および軽鎖バージョン5(「LV5」);からなる群から選択される軽鎖バージョンを含み、ここでLV1軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換L47W、158V、A60VおよびY87Fからなり;LV2軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換L47WおよびI58Vからなり;LV3軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換L47Wからなり;LV4軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換E1QおよびL47Wからなり;そしてLV5軽鎖は配列番号:2からなる請求項43に記載の方法。
【請求項54】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのCDRがネズミ3G9抗体に由来するアグリコシル軽鎖を含む請求項43に記載の方法。
【請求項55】
ヒト化モノクローナル抗体が、CDR1領域が配列番号:2のアミノ酸26でアスパラギンからセリンへの置換を含有する軽鎖可変ドメインを含有する請求項43に記載の方法。
【請求項56】
ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号:7のアミノ酸残基319で生じる重鎖バージョン3におけるアスパラギンからグルタミンへの置換を含有する請求項43に記載の方法。
【請求項57】
ヒト化モノクローナル抗体が、プラスミドpKJS189(配列番号:6)を含む組換えベクターにより生成された重鎖バージョン3およびプラスミドpKJS195(配列番号:5)を含む組換えベクターにより生成された軽鎖バージョン5を含む請求項43に記載の方法。
【請求項58】
ヒト化モノクローナル抗体が、プラスミドpKJS196(配列番号:7)を含む組換えベクターにより生成されたアグリコシル重鎖バージョン3およびプラスミドpKJS195(配列番号:5)を含む組換えベクターにより生成された軽鎖バージョン5を含む請求項43に記載の方法。
【請求項59】
ヒト化モノクローナル抗体が:
a)配列番号:101−105のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む重鎖CDR1;
b)配列番号:106−111のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む重鎖CDR2;
c)配列番号:112−117のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む重鎖CDR3;
を含む請求項43に記載の方法。
【請求項60】
ヒト化モノクローナル抗体が:
a)配列番号:118−123のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む軽鎖CDR1;
b)配列番号:124−127のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む軽鎖CDR2;および
c)配列番号:128−133のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む軽鎖CDR3;
を含む請求項43に記載の方法。
【請求項61】
該ヒト化モノクローナル抗体がhu8G6である請求項43に記載の方法。
【請求項62】
該抗体がインテグリンαβのβサブユニットに結合する請求項43に記載の方法。
【請求項63】
該抗体がαβ複合体におけるインテグリンαβのβサブユニットに結合するがα単独には結合しない請求項43に記載の方法。
【請求項64】
該アンタゴニストを色素産生標識、酵素標識、放射性同位元素標識、非放射性同位元素標識、蛍光標識、化学発光標識、X線撮影用標識、スピン標識および核磁気共鳴造影剤標識からなる群から選択される少なくとも一つの検出可能な標識と抱合させる請求項43に記載の方法。
【請求項65】
インテグリンαβの一つまたはそれより多いサブユニットに結合する治療上有効な用量の抗体またはそのフラグメントを動物に投与することを含む該動物の肺気道における粘液生成を減少させる方法。
【請求項66】
該動物が喘息を患っている請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記抗体を非経口的に、経口的に、エアロゾルとしてまたは鼻内に投与する請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記抗体がモノクローナル抗体である請求項65に記載の方法。
【請求項69】
該モノクローナル抗体がキメラ、霊長類化またはヒト化モノクローナル抗体である請求項68に記載の方法。
【請求項70】
該ヒト化モノクローナル抗体が2A1、2E5、1A8、2B10、2B1、1G10、7G5、IC5、8G6、3G9、10D5およびCSβ6からなる群から選択される請求項69に記載の方法。
【請求項71】
該ヒト化モノクローナル抗体がhu3G9(BG00011)である請求項69に記載の方法。
【請求項72】
ヒト化抗体が各々配列番号:1および配列番号:2の重および軽鎖可変ドメインを含む請求項69に記載の方法。
【請求項73】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのCDR1、2および3が各々配列番号:1のアミノ酸31−35、50−65および98−109を含む重鎖を含む請求項69に記載の方法。
【請求項74】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのCDR1、2および3が各々配列番号:2のアミノ酸24−35、51−57および90−98を含む軽鎖を含む請求項69に記載の方法。
【請求項75】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのフレームワーク領域(FR)1、2、3および4が各々配列番号:1のアミノ酸残基1−30、36−49、66−97および110−120を含む重鎖を含む請求項69に記載の方法。
【請求項76】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのフレームワーク領域(FR)1、2、3および4が各々配列番号:2のアミノ酸残基1−23、36−50、58−89および99−108を含む軽鎖を含む請求項69に記載の方法。
【請求項77】
ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号:1のQ3MおよびN74Sからなる重鎖における一つもしくはそれより多い上記のアミノ酸置換、ならびに/または配列番号:2のE1Q、L47W、I58V、A60VおよびY87Fからなる軽鎖における一つもしくはそれより多い上記のアミノ酸置換を含む請求項69に記載の方法。
【請求項78】
ヒト化モノクローナル抗体が重鎖バージョン1(「HV1」);重鎖バージョン2(「HV2」);および重鎖バージョン3からなる群から選択される重鎖バージョンを含み、ここでHV1重鎖は配列番号:1のアミノ酸置換Q3MおよびN74Sからなり;HV2重鎖は配列番号:1のアミノ酸置換N74Sからなり;そしてHV3重鎖は配列番号:1からなる請求項69に記載の方法。
【請求項79】
ヒト化モノクローナル抗体が軽鎖バージョン1(「LV1」);軽鎖バージョン2(「LV2」);軽鎖バージョン3(「LV3」);軽鎖バージョン4(「LV4」)および軽鎖バージョン5(「LV5」)からなる群から選択される軽鎖バージョンを含み、ここでLV1軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換L47W、158V、A60VおよびY87Fからなり;LV2軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換L47WおよびI58Vからなり;LV3軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換L47Wからなり;LV4軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換E1QおよびL47Wからなり;そしてLV5軽鎖は配列番号:2からなる請求項69に記載の方法。
【請求項80】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのCDRがネズミ3G9抗体に由来するアグリコシル軽鎖を含む請求項69に記載の方法。
【請求項81】
ヒト化モノクローナル抗体が、CDR1領域が配列番号:2のアミノ酸26でアスパラギンからセリンへの置換を含有する軽鎖可変ドメインを含有する請求項69に記載の方法。
【請求項82】
ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号:7のアミノ酸残基319で生じる重鎖バージョン3におけるアスパラギンからグルタミンへの置換を含有する請求項69に記載の方法。
【請求項83】
ヒト化モノクローナル抗体がプラスミドpKJS189(配列番号:6)を含む組換えベクターにより生成された重鎖バージョン3およびプラスミドpKJS195(配列番号:5)を含む組換えベクターにより生成された軽鎖バージョン5を含む請求項69に記載の方法。
【請求項84】
ヒト化モノクローナル抗体がプラスミドpKJS196(配列番号:7)を含む組換えベクターにより生成されたアグリコシル重鎖バージョン3およびプラスミドpKJS195(配列番号:5)を含む組換えベクターにより生成された軽鎖バージョン5を含む請求項69に記載の方法。
【請求項85】
ヒト化モノクローナル抗体が:
a)配列番号:101−105のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む重鎖CDR1;
b)配列番号:106−111のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む重鎖CDR2;
c)配列番号:112−117のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む重鎖CDR3;
を含む請求項69に記載の方法。
【請求項86】
ヒト化モノクローナル抗体が:
a)配列番号:118−123のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む軽鎖CDR1;
b)配列番号:124−127のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む軽鎖CDR2;および
c)配列番号:128−133のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む軽鎖CDR3;
を含む請求項69に記載の方法。
【請求項87】
前記ヒト化モノクローナル抗体がhu8G6である請求項69に記載の方法。
【請求項88】
該抗体がインテグリンαβのβサブユニットに結合する請求項68に記載の方法。
【請求項89】
該抗体がαβ複合体におけるインテグリンαβのβサブユニットに結合するがα単独には結合しない請求項65に記載の方法。
【請求項90】
該抗体を色素産生標識、酵素標識、放射性同位元素標識、非放射性同位元素標識、蛍光標識、化学発光標識、X線撮影用標識、スピン標識および核磁気共鳴造影剤標識からなる群から選択される少なくとも一つの検出可能な標識と抱合させる請求項65に記載の方法。
【請求項91】
インテグリンαβの一つまたはそれより多い該サブユニットに結合する治療上有効な用量の抗体またはそのフラグメントを動物に投与することを含んでなる該動物における肺組織の上皮裸出を低下させる方法。
【請求項92】
該動物が喘息を患っている請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記抗体を非経口的に、経口的に、エアロゾルとしてまたは鼻内に投与する請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記抗体がモノクローナル抗体である請求項91に記載の方法。
【請求項95】
該モノクローナル抗体がキメラ、霊長類化またはヒト化モノクローナル抗体である請求項94に記載の方法。
【請求項96】
該ヒト化モノクローナル抗体が2A1、2E5、1A8、2B10、2B1、1G10、7G5、1C5、8G6、3G9、10D5およびCSβ6からなる群から選択される請求項95に記載の方法。
【請求項97】
該ヒト化モノクローナル抗体がhu3G9(BG00011)である請求項95に記載の方法。
【請求項98】
抗体が各々配列番号:1および配列番号:2の重および軽鎖可変ドメインを含む請求項95に記載の方法。
【請求項99】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのCDR1、2および3が各々配列番号:1のアミノ酸31−35、50−65および98−109を含む重鎖を含む請求項95に記載の方法。
【請求項100】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのCDR1、2および3が各々配列番号:2のアミノ酸24−35、51−57および90−98を含む軽鎖を含む請求項95に記載の方法。
【請求項101】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのフレームワーク領域(FR)1、2、3および4が各々配列番号:1のアミノ酸残基1−30、36−49、66−97および110−120を含む重鎖を含む請求項95に記載の方法。
【請求項102】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのフレームワーク領域(FR)1、2、3および4が各々配列番号:2のアミノ酸残基1−23、36−50、58−89および99−108を含む軽鎖を含む請求項95に記載の方法。
【請求項103】
ヒト化モノクローナル抗体が配列番号:1のQ3MおよびN74Sからなる重鎖における一つもしくはそれより多い上記のアミノ酸置換、ならびに/または配列番号:2のE1Q、L47W、I58V、A60VおよびY87Fからなる軽鎖における一つもしくはそれより多い上記のアミノ酸置換を含む請求項95に記載の方法。
【請求項104】
ヒト化モノクローナル抗体が重鎖バージョン1(「HV1」);重鎖バージョン2(「HV2」);および重鎖バージョン3からなる群から選択される重鎖バージョンを含み、ここでHV1重鎖は配列番号:1のアミノ酸置換Q3MおよびN74Sからなり;HV2重鎖は配列番号:1のアミノ酸置換N74Sからなり;そしてHV3重鎖は配列番号:1からなる請求項95に記載の方法。
【請求項105】
ヒト化モノクローナル抗体が軽鎖バージョン1(「LV1」);軽鎖バージョン2(「LV2」);軽鎖バージョン3(「LV3」);軽鎖バージョン4(「LV4」)および軽鎖バージョン5(「LV5」)からなる群から選択される軽鎖バージョンを含み、ここでLV1軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換L47W、158V、A60VおよびY87Fからなり;LV2軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換L47WおよびI58Vからなり;LV3軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換L47Wからなり;LV4軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換E1QおよびL47Wからなり;そしてLV5軽鎖は配列番号:2からなる請求項95に記載の方法。
【請求項106】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのCDRがネズミ3G9抗体に由来するアグリコシル軽鎖を含む請求項95に記載の方法。
【請求項107】
ヒト化モノクローナル抗体が、CDR1領域が配列番号:2のアミノ酸26でアスパラギンからセリンへの置換を含有する軽鎖可変ドメインを含有する請求項95に記載の方法。
【請求項108】
ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号:7のアミノ酸残基319で生じる重鎖バージョン3におけるアスパラギンからグルタミンへの置換を含有する請求項95に記載の方法。
【請求項109】
ヒト化モノクローナル抗体が、プラスミドpKJS189(配列番号:6)を含む組換えベクターにより生成された重鎖バージョン3およびプラスミドpKJS195(配列番号:5)を含む組換えベクターにより生成された軽鎖バージョン5を含む請求項95に記載の方法。
【請求項110】
ヒト化モノクローナル抗体が、プラスミドpKJS196(配列番号:7)を含む組換えベクターにより生成されたアグリコシル重鎖バージョン3およびプラスミドpKJS195(配列番号:5)を含む組換えベクターにより生成された軽鎖バージョン5を含む請求項95に記載の方法。
【請求項111】
ヒト化モノクローナル抗体が:
a)配列番号:101−105のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む重鎖CDR1;
b)配列番号:106−111のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む重鎖CDR2;
c)配列番号:112−117のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む重鎖CDR3;
を含む請求項95に記載の方法。
【請求項112】
ヒト化モノクローナル抗体が:
a)配列番号:118−123のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む軽鎖CDR1;
b)配列番号:124−127のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む軽鎖CDR2;および
c)配列番号:128−133のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む軽鎖CDR3;
を含む請求項95に記載の方法。
【請求項113】
前記ヒト化モノクローナル抗体がhu8G6である請求項95に記載の方法。
【請求項114】
該抗体がインテグリンαβのβサブユニットに結合する請求項91に記載の方法。
【請求項115】
該抗体がαβ複合体におけるインテグリンαβのβサブユニットに結合するがα単独には結合しない請求項91に記載の方法。
【請求項116】
該抗体を色素産生標識、酵素標識、放射性同位元素標識、非放射性同位元素標識、蛍光標識、化学発光標識、X線撮影用標識、スピン標識および核磁気共鳴造影剤標識からなる群から選択される少なくとも一つの検出可能な標識と抱合させる請求項91に記載の方法。
【請求項117】
インテグリンαβの一つまたはそれより多いサブユニットに結合する治療上有効な用量の抗体またはそのフラグメントを動物に投与することを含む該動物における肺の上皮組織の線維症、急性肺損傷、鼻炎、アナフィラキシー、副鼻腔炎、枯草熱、声帯機能不全および胃食道逆流性疾患からなる群から選択される喘息関連症状の一つまたはそれより多い病徴を緩和する方法。
【請求項118】
該動物が喘息を患っている請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記抗体を非経口的に、経口的に、エアロゾルとしてまたは鼻内に投与する請求項117に記載の方法。
【請求項120】
前記抗体がモノクローナル抗体である請求項117に記載の方法。
【請求項121】
該モノクローナル抗体がキメラ、霊長類化またはヒト化モノクローナル抗体である請求項120に記載の方法。
【請求項122】
該ヒト化モノクローナル抗体が2A1、2E5、1A8、2B10、2B1、1G10、7G5、IC5、8G6、3G9、10D5およびCSβ6からなる群から選択される請求項121に記載の方法。
【請求項123】
該ヒト化モノクローナル抗体がhu3G9(BG00011)である請求項121に記載の方法。
【請求項124】
抗体が各々配列番号:1および配列番号:2の重および軽鎖可変ドメインを含む請求項121に記載の方法。
【請求項125】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのCDR1、2および3が各々配列番号:1のアミノ酸31−35、50−65および98−109を含む重鎖を含む請求項121に記載の方法。
【請求項126】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのCDR1、2および3が各々配列番号:2のアミノ酸24−35、51−57および90−98を含む軽鎖を含む請求項121に記載の方法。
【請求項127】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのフレームワーク領域(FR)1、2、3および4が各々配列番号:1のアミノ酸残基1−30、36−49、66−97および110−120を含む重鎖を含む請求項121に記載の方法。
【請求項128】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのフレームワーク領域(FR)1、2、3および4が各々配列番号:2のアミノ酸残基1−23、36−50、58−89および99−108を含む軽鎖を含む請求項121に記載の方法。
【請求項129】
ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号:1のQ3MおよびN74Sからなる重鎖における一つもしくはそれより多い上記のアミノ酸置換、ならびに/または配列番号:2のE1Q、L47W、I58V、A60VおよびY87Fからなる軽鎖における一つもしくはそれより多い上記のアミノ酸置換を含む請求項121に記載の方法。
【請求項130】
ヒト化モノクローナル抗体が重鎖バージョン1(「HV1」);重鎖バージョン2(「HV2」);および重鎖バージョン3からなる群から選択される重鎖バージョンを含み、ここでHV1重鎖は配列番号:1のアミノ酸置換Q3MおよびN74Sからなり;HV2重鎖は配列番号:1のアミノ酸置換N74Sからなり;そしてHV3重鎖は配列番号:1からなる請求項121に記載の方法。
【請求項131】
ヒト化モノクローナル抗体が軽鎖バージョン1(「LV1」);軽鎖バージョン2(「LV2」);軽鎖バージョン3(「LV3」);軽鎖バージョン4(「LV4」)および軽鎖バージョン5(「LV5」)からなる群から選択される軽鎖バージョンを含み、ここでLV1軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換L47W、158V、A60VおよびY87Fからなり;LV2軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換L47WおよびI58Vからなり;LV3軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換L47Wからなり;LV4軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換E1QおよびL47Wからなり;そしてLV5軽鎖は配列番号:2からなる請求項121に記載の方法。
【請求項132】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのCDRがネズミ3G9抗体に由来するアグリコシル軽鎖を含む請求項121に記載の方法。
【請求項133】
ヒト化モノクローナル抗体がCDR1領域が配列番号:2のアミノ酸26でアスパラギンからセリンへの置換を含有する軽鎖可変ドメインを含有する請求項121に記載の方法。
【請求項134】
ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号:7のアミノ酸残基319で生じる重鎖バージョン3におけるアスパラギンからグルタミンへの置換を含有する請求項121に記載の方法。
【請求項135】
ヒト化モノクローナル抗体が、プラスミドpKJS189(配列番号:6)を含む組換えベクターにより生成された重鎖バージョン3およびプラスミドpKJS195(配列番号:5)を含む組換えベクターにより生成された軽鎖バージョン5を含む請求項121に記載の方法。
【請求項136】
ヒト化モノクローナル抗体が、プラスミドpKJS196(配列番号:7)を含む組換えベクターにより生成されたアグリコシル重鎖バージョン3およびプラスミドpKJS195(配列番号:5)を含む組換えベクターにより生成された軽鎖バージョン5を含む請求項121に記載の方法。
【請求項137】
ヒト化モノクローナル抗体が:
a)配列番号:101−105のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む重鎖CDR1;
b)配列番号:106−111のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む重鎖CDR2;
c)配列番号:112−117のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む重鎖CDR3;
を含む請求項121に記載の方法。
【請求項138】
ヒト化モノクローナル抗体が:
a)配列番号:118−123のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む軽鎖CDR1;
b)配列番号:124−127のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む軽鎖CDR2;および
c)配列番号:128−133のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む軽鎖CDR3;
を含む請求項121に記載の方法。
【請求項139】
該ヒト化モノクローナル抗体がhu8G6である請求項121に記載の方法。
【請求項140】
該抗体がインテグリンαβのβサブユニットに結合する請求項121に記載の方法。
【請求項141】
該抗体がαβ複合体におけるインテグリンαβのβサブユニットに結合するがα単独には結合しない請求項117に記載の方法。
【請求項142】
該アンタゴニストを色素産生標識、酵素標識、放射性同位元素標識、非放射性同位元素標識、蛍光標識、化学発光標識、X線撮影用標識、スピン標識および核磁気共鳴造影剤標識からなる群から選択される少なくとも一つの検出可能な標識と抱合させる請求項117に記載の方法。
【請求項143】
a)インテグリンαβの一つまたはそれより多いサブユニットに結合する治療上有効な用量の抗体またはそのフラグメント;および
b)一つまたはそれより多いさらなる活性薬剤;
を哺乳動物に同時投与することを含む喘息または喘息関連症状の一つまたはそれより多い病徴を有するかまたは有する危険性のある哺乳動物を処置する方法。
【請求項144】
該一つまたはそれより多いさらなる活性薬剤が:
(a)一つまたはそれより多い抗ヒスタミン薬;
(b)一つまたはそれより多いコルチコステロイド;
(c)一つまたはそれより多いロイコトリエンアンタゴニスト;
(d)一つまたはそれより多いうっ血除去薬;および
(e)一つまたはそれより多い非ステロイド抗炎症薬;
(f)一つまたはそれより多い抗コリン薬;
(g)一つまたはそれより多い短時間又は長時間作用型ベータ刺激薬;ならびに
(i)一つまたはそれより多いメチルキサンチン;
からなる群から選択される請求項143に記載の方法。
【請求項145】
抗体を非経口的に、経口的に、エアロゾルとしてまたは鼻内に投与する請求項143に記載の方法。
【請求項146】
抗体がモノクローナル抗体である請求項143に記載の方法。
【請求項147】
該モノクローナル抗体がキメラ、霊長類化またはヒト化モノクローナル抗体である請求項146に記載の方法。
【請求項148】
該ヒト化モノクローナル抗体が2A1、2E5、1A8、2B10、2B1、1G10、7G5、1C5、8G6、3G9、10D5およびCSβ6からなる群から選択される請求項147に記載の方法。
【請求項149】
該ヒト化モノクローナル抗体がhu3G9(BG00011)である請求項147に記載の方法。
【請求項150】
抗体が各々配列番号:1および配列番号:2の重および軽鎖可変ドメインを含む請求項147に記載の方法。
【請求項151】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのCDR1、2および3が各々配列番号:1のアミノ酸31−35、50−65および98−109を含む重鎖を含む請求項147に記載の方法。
【請求項152】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのCDR1、2および3が各々配列番号:2のアミノ酸24−35、51−57および90−98を含む軽鎖を含む請求項147に記載の方法。
【請求項153】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのフレームワーク領域(FR)1、2、3および4が各々配列番号:1のアミノ酸残基1−30、36−49、66−97および110−120を含む重鎖を含む請求項147に記載の方法。
【請求項154】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのフレームワーク領域(FR)1、2、3および4が各々配列番号:2のアミノ酸残基1−23、36−50、58−89および99−108を含む軽鎖を含む請求項147に記載の方法。
【請求項155】
ヒト化モノクローナル抗体が、配列番号:1のQ3MおよびN74Sからなる重鎖における一つもしくはそれより多い上記のアミノ酸置換、ならびに/または配列番号:2のE1Q、L47W、I58V、A60VおよびY87Fからなる軽鎖における一つもしくはそれより多い上記のアミノ酸置換を含む請求項147に記載の方法。
【請求項156】
ヒト化モノクローナル抗体が重鎖バージョン1(「HV1」);重鎖バージョン2(「HV2」);および重鎖バージョン3からなる群から選択される重鎖バージョンを含み、ここでHV1重鎖は配列番号:1のアミノ酸置換Q3MおよびN74Sからなり;HV2重鎖は配列番号:1のアミノ酸置換N74Sからなり;そしてHV3重鎖は配列番号:1からなる請求項147に記載の方法。
【請求項157】
ヒト化モノクローナル抗体が軽鎖バージョン1(「LV1」);軽鎖バージョン2(「LV2」);軽鎖バージョン3(「LV3」);軽鎖バージョン4(「LV4」)および軽鎖バージョン5(「LV5」)からなる群から選択される軽鎖バージョンを含み、ここでLV1軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換L47W、158V、A60VおよびY87Fからなり;LV2軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換L47WおよびI58Vからなり;LV3軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換L47Wからなり;LV4軽鎖は配列番号:2のアミノ酸置換E1QおよびL47Wからなり;そしてLV5軽鎖は配列番号:2からなる請求項147に記載の方法。
【請求項158】
ヒト化モノクローナル抗体が、そのCDRがネズミ3G9抗体に由来するアグリコシル軽鎖を含む請求項147に記載の方法。
【請求項159】
ヒト化モノクローナル抗体が、CDR1領域が配列番号:2のアミノ酸26でアスパラギンからセリンへの置換を含有する軽鎖可変ドメインを含有する請求項147に記載の方法。
【請求項160】
ヒト化モノクローナル抗体が配列番号:7のアミノ酸残基319で生じる重鎖バージョン3におけるアスパラギンからグルタミンへの置換を含有する請求項147に記載の方法。
【請求項161】
ヒト化モノクローナル抗体が、プラスミドpKJS189(配列番号:6)を含む組換えベクターにより生成された重鎖バージョン3およびプラスミドpKJS195(配列番号:5)を含む組換えベクターにより生成された軽鎖バージョン5を含む請求項147に記載の方法。
【請求項162】
ヒト化モノクローナル抗体が、プラスミドpKJS196(配列番号:7)を含む組換えベクターにより生成されたアグリコシル重鎖バージョン3およびプラスミドpKJS195(配列番号:5)を含む組換えベクターにより生成された軽鎖バージョン5を含む請求項147に記載の方法。
【請求項163】
ヒト化モノクローナル抗体が:
a)配列番号:101−105のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む重鎖CDR1;
b)配列番号:106−111のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む重鎖CDR2;
c)配列番号:112−117のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む重鎖CDR3;
を含む請求項147に記載の方法。
【請求項164】
ヒト化モノクローナル抗体が:
a)配列番号:118−123のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む軽鎖CDR1;
b)配列番号:124−127のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む軽鎖CDR2;および
c)配列番号:128−133のいずれか一つからなる群から選択される配列を含む軽鎖CDR3;
を含む請求項147に記載の方法。
【請求項165】
該ヒト化モノクローナル抗体がhu8G6である請求項147に記載の方法。
【請求項166】
該抗体がインテグリンαβのβサブユニットに結合する請求項143に記載の方法。
【請求項167】
該抗体がαβ複合体におけるインテグリンαβのβサブユニットに結合するがα単独には結合しない請求項143に記載の方法。
【請求項168】
該抗体を色素産生標識、酵素標識、放射性同位元素標識、非放射性同位元素標識、蛍光標識、化学発光標識、X線撮影用標識、スピン標識および核磁気共鳴造影剤標識からなる群から選択される少なくとも一つの検出可能な標識と抱合させる請求項143に記載の方法。
【請求項169】
インテグリンαβの一つまたはそれより多いサブユニットに結合する治療上有効な用量の抗体またはそのフラグメントを動物に投与することを含む該動物におけるCOPDを処置する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2010−506944(P2010−506944A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533474(P2009−533474)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/081473
【国際公開番号】WO2008/147434
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(500025503)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (26)
【出願人】(592221528)バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド (224)
【Fターム(参考)】