説明

インプリント装置、それを用いた物品の製造方法

【課題】基板上に予め存在するパターン領域に形成されるパターンと、新たに形成する樹脂のパターンとの重ね合わせに有利なインプリント装置を提供する。
【解決手段】インプリント装置1は、型8に形成されているパターンを基板10上の樹脂14に転写する。このインプリント装置1は、型8に力を加え、型8に形成されているパターン領域を変形させるモールド形状補正機構201と、基板10上に形成されている基板側パターン領域20を加熱し、基板側パターン領域20を変形させるウエハ加熱機構6と、型8に形成されているパターン領域8aと、基板側パターン領域20との形状の差に関する情報を得、得られた情報に基づいて、型8に形成されているパターン領域8aと基板側パターン領域20との形状の差を低減するように、モールド形状補正機構201およびウエハ加熱機構6を制御する制御部7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント装置、およびそれを用いた物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやMEMSなどの微細化の要求が進み、従来のフォトリソグラフィー技術に加え、基板上の未硬化樹脂を型(モールド)で成形し、樹脂のパターンを基板上に形成する微細加工技術が注目を集めている。この技術は、インプリント技術とも呼ばれ、基板上に数ナノメートルオーダーの微細な構造体を形成することができる。例えば、インプリント技術の1つとして、光硬化法がある。この光硬化法を採用したインプリント装置では、まず、基板(ウエハ)上のインプリント領域であるショットに紫外線硬化樹脂(インプリント材、光硬化性樹脂)を塗布する。次に、この樹脂(未硬化樹脂)を型により成形する。そして、紫外線を照射して樹脂を硬化させたうえで引き離すことにより、樹脂のパターンが基板上に形成される。
【0003】
ここで、インプリント処理が施される基板は、一連のデバイス製造工程において、例えばスパッタリングなどの成膜工程での加熱処理を経ることで、基板が拡大または縮小し、平面内で直交する2軸方向でパターン領域の形状(またはサイズ)が変化する場合がある。したがって、インプリント装置では、型と基板上の樹脂とを押し付けるに際し、基板上に予め形成されているパターン領域(基板側パターン領域)の形状と、型に形成されているパターン領域の形状とを合わせる必要がある。この僅かに変形した基板側パターン領域の形状と型のパターン領域の形状とを合わせる技術として、特許文献1は、型の外周に対して外力を与えることで、型(パターン領域)を変形させる装置を開示している。しかしながら、この特許文献1に示す装置では、例えば、型の材質が石英であるとすると、ポアソン比が0.16であるため、型の軸方向の一端を圧縮すると、その軸に直交する方向の一端が膨張する。したがって、このような型のポアソン比に依存する変形が生じると、特に型を台形形状に変形させたい場合に、型の面内が線形に変形しづらいため、重ね合わせ精度に影響を及ぼす可能性がある。そこで、このような形状補正時に、型にポアソン比に依存した変形を生じさせない方法として、特許文献2は、型を加熱して熱変形させることで、基板側パターン領域の形状と型のパターン領域の形状とを合わせるインプリント方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−504141号公報
【特許文献2】国際公開第2009/153925号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、型の材質が石英であるとすると、石英の熱膨張係数が0.51ppmであり、一方、基板の材質であるシリコンの熱膨張係数が2.4ppmであるので、型と基板とでは、熱膨張係数が1桁異なっている。したがって、特許文献2に示す方法では、熱変形した型と基板上のパターンとを押し付けた瞬間から、型から基板へ熱が伝達する。この熱により、比較的熱膨張係数の大きい基板は、その表面が大きく変形する可能性があるため、結果的に重ね合わせ精度への影響を抑えることは難しい。
【0006】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、インプリント処理に際し、基板上に予め存在するパターン領域と、新たに形成される樹脂のパターン領域との重ね合わせに有利なインプリント装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、型に形成されているパターンを基板上の樹脂に転写するインプリント装置であって、型に力を加え、型に形成されているパターン領域を変形させる形状補正機構と、基板上に形成されている基板側パターン領域を加熱し、基板側パターン領域を変形させる加熱機構と、型に形成されているパターン領域と、基板側パターン領域との形状の差に関する情報を得、得られた情報に基づいて、型に形成されているパターン領域と基板側パターン領域との形状の差を低減するように、形状補正機構および加熱機構を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インプリント処理に際し、基板上に予め存在するパターン領域と、新たに形成される樹脂のパターン領域との重ね合わせに有利なインプリント装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係るインプリント装置の構成を示す図である。
【図2】第1実施形態に係るウエハ加熱機構の構成および配置を示す図である。
【図3】予め存在するパターン領域の形状補正の流れを示すフローチャートである。
【図4】予め存在するパターン領域に対する照射量分布などを示す図である。
【図5】予め存在するパターン領域に対する他の照射量分布などを示す図である。
【図6】予め存在するパターン領域の加熱時間に対する変位量を示すグラフである。
【図7】モールド形状補正の流れを示すフローチャートである。
【図8】第2実施形態に係る加熱時間に対する照射量などを示すグラフである。
【図9】他の実施形態に係るウエハ加熱機構の構成および配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面等を参照して説明する。
【0011】
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態に係るインプリント装置について説明する。図1は、本実施形態に係るインプリント装置1の構成を示す図である。このインプリント装置1は、物品としての半導体デバイスなどのデバイスの製造に使用され、被処理基板であるウエハ上(基板上)の未硬化樹脂をモールド(型)で成形し、ウエハ上に樹脂のパターンを形成する装置である。なお、ここでは光硬化法を採用したインプリント装置とする。また、以下の図においては、ウエハ上の樹脂に対して紫外線(紫外光)を照射する照明系の光軸に平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内に互いに直交するX軸およびY軸を取っている。インプリント装置1は、まず、光照射部2と、モールド保持機構3と、ウエハステージ4と、塗布部5と、ウエハ加熱機構6と、制御部7とを備える。
【0012】
光照射部2は、インプリント処理の際に、モールド8に対して紫外線9を照射する。この光照射部2は、不図示であるが、光源と、この光源から照射された紫外線9をインプリントに適切な光に調整する光学素子とから構成される。
【0013】
モールド8は、外周形状が角形であり、ウエハ10に対する面には、例えば回路パターンなどの転写すべき凹凸パターンが3次元状に形成されたパターン領域8aを含む。また、モールド8の材質は、紫外線9を透過させることが可能な材質であり、本実施形態では一例として石英とする。さらに、モールド8は、後述するような変形を容易とするために、紫外線9が照射される面に、平面形状が円形で、かつ、ある程度の深さを有するキャビティ(凹部)が形成された形状としてもよい。
【0014】
モールド保持機構3は、まず、モールド8を保持するモールドチャック11と、このモールドチャック11を保持し、モールド8(モールドチャック11)を移動させるモールド駆動機構12とを有する。モールドチャック11は、モールド8における紫外線9の照射面の外周領域を真空吸着力や静電力により引き付けることでモールド8を保持し得る。例えば、モールドチャック11が真空吸着力によりモールド8を保持する場合には、モールドチャック11は、外部に設置された不図示の真空ポンプに接続され、この真空ポンプのON/OFFによりモールド8の脱着が切り替えられる。また、モールドチャック11およびモールド駆動機構12は、光照射部2から照射された紫外線9がウエハ10に向かうように、中心部(内側)に開口領域13を有する。この開口領域13には、開口領域13の一部とモールド8とで囲まれる空間を密閉空間とする光透過部材(例えばガラス板)が設置され、真空ポンプなどを含む不図示の圧力調整装置により空間内の圧力が調整される。圧力調整装置は、例えば、モールド8とウエハ10上の樹脂14との押し付けに際して、空間内の圧力をその外部よりも高く設定することで、パターン領域8aをウエハ10に向かい凸形に撓ませ、樹脂14に対してパターン領域8aの中心部から接触させ得る。これにより、パターン領域8aと樹脂14との間に気体(空気)が残留することを抑え、パターン領域8aの凹凸部に樹脂14を隅々まで充填させることができる。
【0015】
モールド駆動機構12は、モールド8とウエハ10上の樹脂14との押し付け、または引き離しを選択的に行うようにモールド8を各軸方向に移動させる。このモールド駆動機構12に採用可能なアクチュエータとしては、例えばリニアモータまたはエアシリンダがある。また、モールド8の高精度な位置決めに対応するために、粗動駆動系や微動駆動系などの複数の駆動系から構成されていてもよい。さらに、Z軸方向だけでなく、X軸方向やY軸方向、またはθ(Z軸周りの回転)方向の位置調整機能や、モールド8の傾きを補正するためのチルト機能などを有する構成もあり得る。なお、インプリント装置1における押し付けおよび引き離し動作は、モールド8をZ軸方向に移動させることで実現してもよいが、ウエハステージ4をZ軸方向に移動させることで実現してもよく、または、その双方を相対的に移動させてもよい。
【0016】
ウエハ10は、例えば、単結晶シリコン基板やSOI(Silicon on Insulator)基板であり、この被処理面には、紫外線硬化樹脂であり、モールド8に形成されたパターン領域8aにより成形される樹脂14が塗布される。
【0017】
ウエハステージ4は、ウエハ10を保持し、モールド8とウエハ10上の樹脂14との押し付けに際してモールド8と樹脂14との位置合わせを実施する。このウエハステージ4は、ウエハ10を、吸着力により保持するウエハチャック16と、このウエハチャック16を機械的手段により保持し、各軸方向に移動可能とするステージ駆動機構17とを有する。このステージ駆動機構17に採用可能なアクチュエータとしては、例えばリニアモータや平面モータがある。ステージ駆動機構17も、X軸およびY軸の各方向に対して、粗動駆動系や微動駆動系などの複数の駆動系から構成されていてもよい。さらに、Z軸方向の位置調整のための駆動系や、ウエハ10のθ方向の位置調整機能、またはウエハ10の傾きを補正するためのチルト機能などを有する構成もあり得る。また、ウエハステージ4は、その側面に、X、Y、Z、ωx、ωy、ωzの各方向に対応した複数の参照ミラー18を備える。これに対して、インプリント装置1は、これらの参照ミラー18にそれぞれビームを照射することで、ウエハステージ4の位置を測定する複数のレーザー干渉計(測長器)19を備える。レーザー干渉計19は、ウエハステージ4の位置を実時間で計測し、後述する制御部7は、このときの計測値に基づいてウエハ10(ウエハステージ4)の位置決め制御を実行する。
【0018】
塗布部5は、モールド保持機構3の近傍に設置され、ウエハ10上に樹脂(未硬化樹脂)14を塗布する。ここで、この樹脂14は、紫外線9を受光することにより硬化する性質を有する光硬化性樹脂(インプリント材)であり、半導体デバイス製造工程などの各種条件により適宜選択される。また、塗布部5の吐出ノズル5aから吐出される樹脂14の量も、ウエハ10上に形成される樹脂14の所望の厚さや、形成されるパターンの密度などにより適宜決定される。
【0019】
ウエハ加熱機構(基板加熱機構)6は、ウエハ10上の一部の領域のみを加熱可能である。また、インプリント装置1に搬入されたウエハ10上に予め存在する被処理部としてのパターン領域(基板側パターン領域)20を加熱することで、パターン領域20を所望の形状またはサイズに変化させる。図2は、インプリント装置1に設置されたモールド8とウエハ10とに対するウエハ加熱機構6の構成および配置を示す概略図である。なお、図2において、図1と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。このウエハ加熱機構6は、ウエハ10上のパターン領域20を加熱するための照射光21を照射する加熱用光源22と、この照射光21の照射量を調整する光調整器23と、調整された調整光24がウエハ10の表面に向かうように光路を規定する反射板25とを含む。まず、加熱用光源22は、紫外線硬化樹脂である樹脂14が感光(硬化)しない波長の光、例えば波長が400〜2000nmの波長帯域に存在する光とするのが望ましい。特に、加熱効率の観点から500〜800nmの波長帯域に存在する光とするのがより望ましい。さらに、加熱用光源22は、照射光21として、波長が上記波長帯域に存在する光に限らず、例えば、樹脂14が感光する波長帯域200〜400nmの紫外線のうち樹脂14が感光しづらい波長帯域に存在する紫外線としてもよい。光調整器23は、パターン領域20の少なくとも平面領域にて所望の照射量分布を形成させるために、照射光21のうち特定の波長の光のみをウエハ10の表面に向けて照射可能とする。この光調整器23としては、例えば、複数の液晶素子を光透過面に配置し、複数の液晶素子に対する電圧を個別に制御することで照射量分布を変化させることが可能な液晶装置を採用し得る。または、光調整器23として、複数のミラー素子を光反射面に配置し、各ミラー素子の面方向を個別に調整することで照射量分布を変化させることが可能なデジタル・ミラー・デバイス(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を採用し得る。
【0020】
上記の加熱用光源22と光調整器23とは、インプリント装置1内にて、樹脂14を硬化させる際に光照射部2から照射される紫外線9の光路を妨げないように設置されることが望ましい。そこで、本実施形態では、加熱用光源22と光調整器23とは、モールド8の紫外線照射側に位置する開口領域13の上側(光照射部2側)のX軸方向側面から調整光24を照射する構成とする。この場合、調整光24は、開口領域13に連設された空間内に進入した後、反射板25により反射されてモールド8を透過し、ウエハ10上に存在するパターン領域20に照射される。一方、光照射部2から照射される紫外線9は、反射板25を透過し、そのままウエハ10上に照射される。
【0021】
制御部7は、インプリント装置1の各構成要素の動作および調整などを制御し得る。制御部7は、例えばコンピュータなどで構成され、インプリント装置1の各構成要素に回線を介して接続され、プログラムなどにしたがって各構成要素の制御を実行し得る。本実施形態の制御部7は、少なくともウエハ加熱機構6の動作を制御する。なお、制御部7は、インプリント装置1の他の部分と一体で(共通の筐体内に)構成してもよいし、インプリント装置1の他の部分とは別体で(別の筐体内に)構成してもよい。
【0022】
また、インプリント装置1は、インプリント処理に際し、ウエハ10上に存在し、被処理部となるパターン領域20の形状またはサイズを計測するための計測部であるアライメント計測系(検出部)26を備える。
【0023】
ここで、モールド8およびウエハ10上には不図示の複数のマークが形成されており、アライメント計測系26は、そのマークを検出することにより、形状を計測する。本発明の一実施形態では、モールド8およびウエハ10上にそれぞれ4つずつマークが形成されているが、マークの数は、4つ以上であってもよい。また、アライメント計測系26は、図2に示すように、インプリント中において、モールド8に形成されているパターン領域8aの形状と、ウエハ10上に形成されたパターン領域20の形状を計測出来るように構成しても良い。
【0024】
また、インプリント装置1は、ウエハステージ4を載置するベース定盤27と、モールド保持機構3を固定するブリッジ定盤28と、ベース定盤27から延設され、除振器29を介してブリッジ定盤28を支持するための支柱30とを備える。除振器29は、床面からブリッジ定盤28へ伝わる振動を除去する。さらに、インプリント装置1は、共に不図示であるが、モールド8を装置外部からモールド保持機構3へ搬送するモールド搬送機構や、ウエハ10を装置外部からウエハステージ4へ搬送する基板搬送機構などを含み得る。
【0025】
次に、インプリント装置1によるインプリント処理について説明する。まず、制御部7は、基板搬送機構によりウエハ10を搬入させ、ウエハステージ4上のウエハチャック16にウエハ10を載置および固定させる。次に、制御部7は、ステージ駆動機構17を駆動させ、パターン形成領域(被処理部)としてウエハ10上に存在するパターン領域20を、塗布部5による塗布位置へ移動させる。次に、制御部7は、塗布部5に対し、塗布工程としてパターン領域20上に樹脂14を塗布させる。次に、制御部7は、ステージ駆動機構17を再駆動させ、ウエハ10上のパターン領域20がモールド8に形成されたパターン領域8aの直下に位置するように移動させる。次に、制御部7は、押型工程として、モールド駆動機構12を駆動させ、ウエハ10上の樹脂14にモールド8を押し付ける。この押し付けにより、樹脂14は、パターン領域8aの凹凸部に充填される。この状態で、制御部7は、硬化工程として、光照射部2にモールド8の上面から紫外線9を照射させ、モールド8を透過した紫外線9により樹脂14を硬化させる。そして、樹脂14が硬化した後に、制御部7は、離型工程として、モールド駆動機構12を再駆動させ、モールド8を樹脂14から引き離す。これにより、ウエハ10上のパターン領域20の表面には、パターン領域8aの凹凸部に倣った3次元形状の樹脂14のパターン(層)が成形される。このような一連のインプリント動作をウエハステージ4の駆動によりパターン形成領域を変更しつつ複数回実施することで、1枚のウエハ10上に複数の樹脂14のパターンを成形することができる。
【0026】
ここで、インプリント装置1によりインプリント処理が施されるウエハ10は、一連のデバイス製造工程において、例えばスパッタリングなどの成膜工程での加熱処理などを経た後に、インプリント装置1内に搬入される。したがって、ウエハ10は、インプリント装置1内に搬入される前に拡大または縮小し、XY平面内で直交する2軸方向でパターン領域20の形状(またはサイズ)が変化している場合がある。このパターン領域20の変形には、主に倍率成分、平行四辺形成分、または台形成分の変形成分に分類され、それらが組み合わされていることもある。そこで、インプリント装置1は、モールド8とウエハ10上の樹脂14とを押し付けるに際し、ウエハ10上に予め形成されているパターン領域20の形状を補正し、モールド8に形成されているパターン領域8aの形状とを合わせる必要がある。特に、本実施形態のインプリント装置1では、制御部7は、アライメント計測系26による計測結果からパターン領域8aの形状の補正量を算出し、パターン領域20を熱変形させることにより形状を補正させる。
【0027】
まず、パターン領域20の形状補正の流れについて概説する。インプリント装置1では、パターン領域20の形状、すなわち変形成分を補正するために、パターン領域20の平面領域の内外に所望の補正量を得るための温度分布を形成する。図3は、本実施形態に係るパターン領域20の形状補正の流れを示すフローチャートである。まず、制御部7は、アライメント計測系26に対してウエハ10上に存在するパターン領域20の形状を計測させる(ステップS100)。次に、制御部7は、ステップS100における計測結果に基づいてパターン領域20に含まれる変形成分を分析し、その場合の補正量を算出する(ステップS101)。次に、制御部7は、ステップS101にて得られた補正量と、予め準備された各変形成分における補正量に対応した加熱用光源22と光調整器23による照射量の関係表とを照合し、パターン領域20の形状補正のために必要な照射量を導出する(ステップS102)。そして、制御部7は、ステップS102で得られた照射量を指標として加熱用光源22と光調整器23との動作を制御する(ステップS103)。このとき、パターン領域20の平面領域の内外では、照射量が調整された光(調整光24)を受けて、照射量分布が形成される。
【0028】
ここで、一例として、パターン領域20に台形成分のみを含む変形が生じている場合について具体的に説明する。図4は、パターン領域20の補正前および補正後の形状に対応した照射量分布、およびその照射量に伴いパターン領域20に生じる温度と変形量との分布を示す概略図である。なお、このパターン領域20は、Y軸方向(座標Y)のみに台形成分を含み、X軸方向には特に変形していないものとする。まず、制御部7は、ステップS101にて、パターン領域20の変形成分が、図4の最左に示すようにY軸方向のプラス側の上底が正常幅である下底よりも狭くなった台形成分であると認識し、同時に補正量、すなわち上底の幅を正常に戻す量を算出する。次に、制御部7は、ステップS102にて補正量と関係表とを照合し、必要となる照射量を導出する。そして、制御部7は、加熱用光源22と光調整器23とを動作させ、パターン領域20においてY軸方向のみに照射量分布40を形成する。このとき、照射量分布40は、上底の部分で最大の補正幅としつつ、上底から下底に向かい徐々に補正幅を小さくさせるため、図4に示すような線形となる。なお、パターン領域20のX軸方向では台形成分の変形がないと仮定しているため、X軸方向の照射量は、一様である。このように照射量分布40が調整された調整光24を受け、パターン領域20は、図4に示すような温度分布41で加熱される。ここで、温度分布41が下底から上底に向けて一様に上昇せず上底付近にて下降するのは、パターン領域20の外側の領域では加熱がなされていないので、放熱によりパターン領域20の外周部の温度が低下するためである。この加熱により、パターン領域20は、図4に示すような変形量分布42で熱変形し、図4の最右に示すように、上底の両端では変形が残存する部分があるものの、所望の形状に近似した形状に補正される。ここで、ウエハ10への入熱によって、Y方向にも熱変形するが、ここでは主にX方向の変形に関して詳細に述べる。Y方向の熱変形に関しては、後述するモールド形状補正機構201で補正を行っても良い。
【0029】
さらに、図4に示す例と比較し、パターン領域20の補正後の形状を所望の形状にさらに近づけ、重ね合わせ精度をより向上させる方法もある。図5は、図4に対応したパターン領域20の形状補正の他の例を示す概略図である。この図5に示す例では、パターン領域20の加熱範囲を、パターン領域20の平面領域に限らず、上底の上部に位置する領域50をも含ませたものとする。上記図4に示す例では、パターン領域20の上底の上部に位置する外側の領域では加熱がなされていないので、パターン領域20の平面領域にて温度分布41および変形量分布42の低下部分が発生した。これに対して、図5に示す例では、領域50も加熱範囲とすることで、パターン領域20の平面領域では、照射量分布51に対して、図5に示すような線形の温度分布52および変形量53となり、低下部分が発生しない。したがって、パターン領域20は、図5の最右に示すように、ほぼ所望の形状に補正される。
【0030】
上記のようなパターン領域20の形状補正では、調整光24の照射量を時間的に一定としているため、パターン領域20の加熱時間に対する変位量60は、図6に示すように、加熱の開始から変化するが、ある一定の時間が経過すると安定する。したがって、制御部7は、このパターン領域20の変位量60が安定したところで、パターン領域20の形状とモールド8のパターン領域8aの形状との位置を合わせ、上記押型工程に移行する。このように、インプリント装置1は、パターン領域20の形状補正を実施した後に、パターン領域20の平面領域に樹脂14のパターンを形成することで、パターン領域20の形状とパターン領域8aの形状とを精度良く合わせることができる。ここで、従来のインプリント装置では、モールド保持機構3に、モールド8の側面に外力または変位を与えることでモールド8(パターン領域8a)の形状を補正するモールド形状補正機構201(倍率補正機構)を有するものがある。本実施形態のインプリント装置1では、特に、上記のような従来の形状補正機構によりモールド8のみを変形させて台形成分を補正する場合に比べて、より高精度にパターン領域20の形状とパターン領域8aの形状とを合わせることができる。これにより、パターン領域20に形成されるパターンと、新たに形成される樹脂14のパターンとは、精度良く重ね合わされることになる。
【0031】
次に、本実施形態において、モールド形状補正機構201を用いて、モールド8の形状を変形させる工程を含んだインプリント処理について説明する。
【0032】
図7は、モールド8の形状を変形させる工程を含んだインプリント処理を示すフローチャートである。まず、制御部7は、樹脂14が塗布されたウエハ10をモールド8の下に搬送させる(ステップS300)。次に、制御部7は、アライメント計測系26に対してモールド8上のパターン領域8aとウエハ10上に形成されたパターン領域20の形状を計測させる(ステップS301)。次に、制御部7は、ステップS301における計測結果(情報)に基づいて、パターン領域20に含まれる変形成分を分析する(ステップS302)。ここで、変形成分とは、モールド8上のパターン領域8aとウエハ10上に形成されたパターン領域20の形状の差である。次に、制御部7は、ステップS302における分析結果に基づいて、形状の差を低減させるためにモールド形状補正機構201によるパターン領域8aの補正量、基板加熱用光源22の照射分布、および照射量を算出する(ステップS303)。次に、制御部7は、ステップS303で算出した補正量に基づき、モールド形状補正機構201に対してパターン領域8aの形状を補正させる(加力工程:ステップS304)。制御部7は、パターン領域8aの補正中も、アライメント計測系26に対してパターン領域8aとパターン領域20の形状を計測させ、得られた計測結果を、常にモールド形状補正機構201の補正量に反映する。その後、もしくはステップS304と同時に、制御部7は、ステップS303で算出した照射量分布に基づき、空間光変調器23によりウエハ10を加熱させ、ウエハ10上に形成されたパターン領域20の形状を補正させる(ステップS305)。制御部7は、パターン領域20の補正中も、アライメント計測系26に対してモールド8上のパターン領域8aとウエハ10上のパターン領域20の形状を計測させ、得られた計測結果を、常に空間光変調器23の照射量分布に反映する。
【0033】
パターン領域8aとウエハ10上に形成されたパターン領域20の形状補正後、樹脂14を介してモールド8とウエハ10を接触させ、パターン領域8aの凹凸パターン内へ樹脂14を充填させる押印動作が開始される(ステップS306)。押印動作完了後、制御部7は、ステップS301と同様にアライメント計測系26に対してモールド8上のパターン領域8aとウエハ10上のパターン領域51を再計測させ、得られた再計測結果に基づき、再度ステップS303およびステップS304の動作を行う。
【0034】
次に、樹脂14を光硬化させるために光源2からの紫外線により露光動作が開始される(ステップS307)。露光動作完了後、モールド8とウエハ10を引き離す離型動作が開始される(ステップS308)。離型動作完了後、制御部7は、次ショット位置に樹脂14を塗布するためにウエハステージ4を移動させる(ステップS309)。ステップS305で行うウエハ10の加熱は、ステップS306の押印動作完了、およびステップS307の露光動作完了まで続ける。さらにステップS308の離型動作完了まで続けてもよい。
【0035】
また、パターン領域8aの形状補正中およびウエハ10上に形成されたパターン領域20の形状補正中、制御部7は、常にアライメント計測系26に対してモールド8上のパターン領域8aとウエハ10上に形成されたパターン領域20の形状を計測させる。しかしながら、装置のスループット向上のために、ウエハ10上に形成されたすべてのパターン領域20をインプリント処理前に、アライメント計測系26によりモールド8上のパターン領域8aとウエハ10上に形成されたパターン領域20の形状を計測してもよい。制御部7は、得られた計測結果に基づいて、予めモールド形状補正機構201によるパターン領域8aの補正量、および空間光変調器23による照射量分布を算出する。これにより、制御部7は、インプリント処理(ステップS301〜ステップS308)中において、アライメント計測系26に対してモールド8上のパターン領域8aとウエハ10上に形成されたパターン領域20の形状を計測させることを省くことが出来る。
【0036】
さらに、本実施形態は、ステップS306の押印動作開始前に、制御部7は、パターン領域8aの補正(ステップS304)およびパターン領域20の補正(ステップS305)をさせることとしている。このような処理は、特に樹脂14の粘性が高い場合に有効であり、パターン領域8aと基板10上のパターン領域20が樹脂14を介して接触した後では、補正量が減少することが考えられる。
【0037】
なお、上記パターン領域20の形状補正では、台形成分に関する補正について説明したが、例えば倍率成分を補正する場合には、制御部7は、パターン領域20の平面領域の内外に均一な温度分布が形成されるように、光調整器23を制御すればよい。同様に、例えば樽形や糸巻き形の変形成分を補正する場合には、制御部7は、パターン領域20の平面領域にて、適切な温度分布が形成されるように、光調整器23を制御すればよい。さらに、上記パターン領域20の形状補正では、パターン領域20のY軸方向のみに照射量分布を形成するものとしたが、変形成分によりパターン領域20のX軸方向に照射量分布を形成してもよく、または、X、Y軸の両方向に照射量分布を形成してもよい。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、インプリント処理に際し、ウエハ10上に予め存在するパターン領域20に形成されたパターンと、新たに形成される樹脂14のパターンとの重ね合わせに有利なインプリント装置1を提供することができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るインプリント装置について説明する。本実施形態のインプリント装置の特徴は、スループットを向上させるために、第1実施形態のパターン領域20の形状補正における調整光24の照射量の照射方法を変更する点にある。第1実施形態のインプリント装置1では、調整光24の照射量を時間的に一定とした。したがって、図6に示すように、変位量60が安定するまでには一定の時間を要する。そこで、本実施形態では、パターン領域20の変位量を第1実施形態での変位量60よりも早く一定値に近づけるために、パターン領域20の形状補正の際には、調整光24をステップ状に照射させる。図8は、本実施形態のパターン領域20の形状補正時における加熱時間に対する調整光24の照射量と、その場合の変位量とを示すグラフである。特に、図8(a)は、ステップ状に照射された照射量に関するグラフである。この場合、制御部7は、調整光24の照射の開始時から時間Aの経過時まで、照射量を第1実施形態の場合よりも増加させ、一方、時間Aの経過後は、照射量を第1実施形態の場合よりも減少させるように制御する。ここで、時間Aは、第1実施形態の場合に変位量60が安定するまでの時間B(後述の図8(b)参照)よりも短く、望ましくは時間Bの半分以下である。図8(b)は、図8(a)に対応した変位量に関するグラフである。この場合のパターン領域20の変位量61は、第1実施形態の場合の変位量60と比較し、短時間で立ち上がり、また、時間Aにて照射量を最適に減少させることで、短時間で安定させることができる。なお、本実施形態における照射量のプロファイルは、図8(a)に示すような連続性のあるものに限られず、例えば、図8(c)に示すように、時間Aで照射量を一旦ゼロとし、一定時間経過した後、再度一定の照射量を加えるような断続性のものとしてもよい。
【0040】
(他の実施形態)
次に、本発明の他の実施形態として、上記実施形態のインプリント装置の種々の変形例について説明する。まず、上記実施形態では、ウエハ10上に存在するパターン領域20の形状補正に際し、ウエハ加熱機構6に光調整器23を採用しているが、本発明は、これに限定するものではない。例えば、この光調整器23に換えて、図9に示すようにモールド8とウエハ10との間隙からパターン領域20の平面領域に向けて加熱用の光を照射する複数の加熱用光源70を採用してもよい。この場合、制御部7は、複数の加熱用光源70によりパターン領域20の表面またはその外周領域の加熱領域に照射される光の位置などを適宜調整することで照射量分布を形成し、パターン領域20に温度分布を形成する。これによれば、例えば、開口領域13内に反射板25を設置して調整光24の光路を確保する必要がないので、一般のインプリント装置に追加で新設するのが容易であるなどの利点がある。なお、複数の加熱用光源70を採用する以外にも、ウエハ加熱機構として、例えば、ウエハチャック16にヒータを設置し、このヒータによりパターン領域20を加熱して熱変形させる構成もあり得る。この場合、ヒータは、ウエハ10内で温度分布が形成されるように複数の領域用に分割され、制御部7により個別に制御されることが望ましい。

【0041】
さらに、上記実施形態では、モールド8とウエハ10上の樹脂14とが接触していない状態でパターン領域20の形状補正を行うが、パターン領域20の変位量60を維持するために、押型工程時などにて接触している状態で調整光24の照射を継続させてもよい。また、パターン領域20の形状補正を押型工程や硬化工程と並行して実施してもよい。例えば、押型工程時にモールド8とウエハ10とが樹脂14を介して接触すると、パターン領域20の熱がモールド8に伝達する可能性がある。この場合、モールド8の熱容量によっては、パターン領域20の温度が低下して変形量が変わり、重ね合わせ精度に影響する可能性がある。これに対して、本実施形態のインプリント装置1では、実施形態1で説明した図7に示す工程において、押印動作(ステップS306)をウエハ10への調整光24の照射(ステップS306)の前に行うことで、パターン領域20の温度の低下を抑えることができる。なお、パターン領域20の形状補正後における形状維持のための加熱では、パターン領域20に対する照射量の値は、形状補正時の値よりも小さくてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、モールド形状補正機構201によるパターン領域8aの形状補正(ステップS304)を行った後、押印動作(ステップS306)を行う流れとしている。しかしながら、これに限らず、押印動作(ステップS306)を行った後に、パターン領域8aの形状補正(ステップS304)、およびウエハ10上に形成されたパターン領域20の形状補正(ステップS305)を行ってもよい。
【0043】
また、本実施形態では、ステップS303でパターン領域8aの補正量と、ウエハ10上に形成されたパターン領域20の補正量を算出する流れとしている。しかしながら、これに限らず、ステップS304によるパターン領域8aの補正後、ステップS303におけるウエハ10上に形成されたパターン領域20の補正量を算出してもよい。
【0044】
(物品の製造方法)
物品としてのデバイス(半導体集積回路素子、液晶表示素子等)の製造方法は、上述したインプリント装置を用いて基板(ウエハ、ガラスプレート、フィルム状基板)にパターンを形成する工程を含む。さらに、該製造方法は、パターンを形成された基板をエッチングする工程を含み得る。なお、パターンドメディア(記録媒体)や光学素子などの他の物品を製造する場合には、該製造方法は、エッチングの代わりにパターンを形成された基板を加工する他の処理を含み得る。本実施形態の物品の製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
【0045】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 インプリント装置
6 ウエハ加熱機構
7 制御部
8 モールド
8a パターン領域
10 ウエハ
14 樹脂
20 基板側パターン領域
201 モールド形状補正機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型に形成されているパターンを基板上の樹脂に転写するインプリント装置であって、
前記型に力を加え、前記型に形成されているパターン領域を変形させる形状補正機構と、
前記基板上に形成されている基板側パターン領域を加熱し、前記基板側パターン領域を変形させる加熱機構と、
前記型に形成されているパターン領域と、前記基板側パターン領域との形状の差に関する情報を得、前記得られた情報に基づいて、前記型に形成されているパターン領域と前記基板側パターン領域との形状の差を低減するように、前記形状補正機構および前記加熱機構を制御する制御部と、
を備えることを特徴とするインプリント装置。

【請求項2】
前記型に形成されている複数のマークと、前記基板に形成されている複数のマークを検出する検出部を備え、
前記制御部は、前記検出部によって検出された結果に基づいて前記情報を得ることを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。

【請求項3】
前記検出部は、前記型に形成されている少なくとも4つのマークと、前記基板に形成されている少なくとも4つのマークを計測することを特徴とする請求項1または2に記載のインプリント装置。

【請求項4】
前記制御部は、前記基板側パターン領域に温度分布が形成されるように、前記加熱機構を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインプリント装置。

【請求項5】
前記加熱機構は、前記基板上の一部の領域のみを加熱可能であり、
前記制御部は、前記得られた情報に基づいて、前記加熱機構が加熱する領域を決定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインプリント装置。

【請求項6】
前記加熱機構は、光源を含み、
前記光源からの光を前記基板に照射することによって、前記基板側パターン領域を加熱することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインプリント装置。

【請求項7】
前記樹脂は、紫外光により硬化する樹脂であり、
前記加熱機構を用いて前記基板に照射される光の波長は、波長が400〜2000nmであることを特徴とする請求項6に記載のインプリント装置。

【請求項8】
前記制御部は、前記基板上の樹脂と前記型とを接触させている状態で、前記加熱機構を制御することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインプリント装置。

【請求項9】
前記制御部は、前記形状補正機構により前記型に形成されているパターン領域を変形させた後、もしくは、前記形状補正機構により前記型に形成されているパターン領域を変形させている間に、前記加熱機構により前記基板側パターンを変形させることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインプリント装置。

【請求項10】
デバイスを製造するデバイス製造方法であって、
インプリント装置を用いて型に形成されたパターンを基板上の樹脂に転写する工程と、
転写されたパターンが形成された前記基板をエッチングする工程と、を備え、
前記インプリント装置は、
前記型に力を加え、該型に形成されているパターン領域を変形させる形状補正機構と、
前記基板上に形成されている基板側パターン領域を加熱し、前記基板側パターン領域を変形させる加熱機構と、
前記型に形成されているパターン領域およびと、前記基板側パターン領域との形状の差に関する情報を得、前記得られた情報に基づいて、前記型に形成されているパターン領域と前記基板側パターン領域との形状の差を低減するように、前記形状補正機構および前記加熱機構を制御する制御部と、
を備えることを特徴とするデバイス製造方法。

【請求項11】
型に形成されているパターンを基板上の樹脂に転写するインプリント方法であって、
前記型に力を加え、前記型に形成されているパターン領域を変形させる加力工程と、
前記基板上に形成されている基板側パターン領域を加熱し、前記基板側パターン領域を変形させる加熱工程と、
前記型に形成されているパターン領域および前記基板側パターン領域を変形させた状態で、前記基板上の樹脂を硬化させる工程と、
を備えることを特徴とするインプリント方法。

【請求項12】
前記加熱工程は、前記加力工程よりも前、もしくは前記加力工程と同時に行われることを特徴とする請求項11に記載のインプリント方法。

【請求項13】
前記型と前記基板上の樹脂とを接触させる接触工程を備え、
前記加熱工程は、前記型と前記基板上の樹脂とを接触させている状態で行われることを特徴とする請求項11または12に記載のインプリント方法。

【請求項14】
前記型に形成されている複数のマークと、前記基板側パターン領域に形成されている複数のマークを検出する検出工程を備えることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載のインプリント方法。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−102132(P2013−102132A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−202990(P2012−202990)
【出願日】平成24年9月14日(2012.9.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】