説明

ウィルス性疾患用の孤立パッチ

【課題】ウィルス性疾患の治療での使用に好適な孤立パッチを提供する。
【解決手段】パッチは、裏打ち層と、接着剤層と、を含み、且つ接着剤層は、親水コロイド粒子を実質的に含まず、そしてパッチは、約10〜約1,500μmの範囲の厚さを有し、局所ニキビ抑制剤を実質的に含まない。そして、本発明は、本発明の孤立パッチがウィルス性疾患に施され、その接触状態が、疾患の再上皮化を実質的に完了させるのに効果的な時間に亘って保持されるウィルス性疾患の治療方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、ヘルペス等のウィルス性疾患用の孤立パッチ(discrete patch)、およびウィルス性疾患の治療方法に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
単純ヘルペスウィルスは、疾患に苦しめられる人々において口の開いた傷またはタダレの原因となることが知られている。単純ヘルペス−1ウィルスは、口の周りにおいて口辺ヘルペスの原因になることが知られている。口辺ヘルペスは、当初は痒みまたは灼熱感段階で、次に、ウィルス性疾患の発生が視認可能となるという特徴がある。かかる疾患は、湿性であり、そして保護されなかった場合、痒く且つひび割れする場合がある痂皮まで乾くであろう。発生期間は、通常、1〜2週間に亘って続く。単純ヘルペス−2は、生殖器のタダレの原因となることが知られている。他のウィルスの発生、例えば帯状疱疹(shingles)または水疱瘡は、帯状ヘルペス(herpes zoster)によって引き起こされる。ヘルペスウィルスに関連する疾患またはタダレ(以後「疾患」)は、完全に乾き、時間と共にひび割れる傾向にあり、そして相当に痛くなる可能性がある。ウィルスに苦しめられる人々は、しばしば、疾患の外観によって困惑する傾向にある。従って、疾患を保護し、そして疾患の治癒を促進するウィルス性疾患用の孤立被覆(discrete covering)が必要である。
【0003】
米国特許第6,495,158号は、ニキビ用のパッチについて教示している。そのパッチは、裏打ち材料と、裏打ち材料の少なくとも一部分を覆う疎水性サイズ剤と、パッチを皮膚に粘着させる接着剤と、ニキビ抑制剤と、を含む。接着剤は、親水性ポリマーを含んでいても良い。
【0004】
従来技術による教示があるにも拘わらず、疾患を保護し、そして疾患の治癒を促進するウィルス性疾患用の孤立被覆に対する必要性が引き続き存在している。
【0005】
〔発明の概要〕
本発明は、人間の解剖学的表面の一部分、例えばウィルス性疾患を被覆する接着性パッチに関し、前記パッチは、皮膚または粘膜、および/または創傷に接着可能であり、前記パッチは、裏打ち層と、親水コロイド粒子を実質的に含まず、パッチを皮膚または粘膜に接着させる皮膚にやさしい接着剤の層と、を含む。パッチは、約30〜約1500μmの厚さを有し、局所ニキビ抑制剤を含まないか、または実質的に含んでいなくても良い。局所ニキビ抑制剤を実質的に含まないということに関して、パッチは、かかる薬剤を、ニキビの抑制または治療に有効な量、例えば約0.3重量%未満にて含まないことを意味する。パッチは、裏打ち層と、接着剤層と、から主としてなっていても良い。第2の実施形態において、本発明は、ウィルス性疾患を治療する方法であって、本発明のパッチを用いてウィルス性疾患を被覆することと、パッチと疾患との接触を、疾患の実質的に完全な再上皮化に有効な時間に亘って保持することと、を含む方法を提供する。
【0006】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、非閉塞性の粘着性パッチ、すなわち、皮膚の表面における水分がパッチを通じて蒸発して、もし水分の蓄積が生じた場合には、パッチが皮膚から剥がれるか、またはパッチの下側でバクテリアの増殖を促進することさえあるので、水分の望ましくない蓄積を防止することを可能にしたパッチを提供する。本願の明細書で使用されるように、パッチなる用語は、吸収性構造または層を含まない接着剤被覆裏打ち材料(adhesive coated backing material)、例えば、一般的な創傷用包帯に用いられる創傷接触パッドを意味する。本発明は、より軽く、より可撓性で、より目立たない、パッチであって、同時に、口唇部分等の領域におけるウィルス性疾患等の湿潤創傷を治癒するのに必要とされる治癒特性、および良好な着用時間を依然として提供する、パッチを提供する。パッチは、主として、裏打ちシート、または裏打ち層と、接着剤層と、からなり、そしてパッチに吸収性を与えるいかなる第3の要素を含んでいなくても良い。例えば、パッチは、接着剤層、吸収性パッド等に含まれる親水コロイド粒子または吸収性繊維を実質的に含まない。
【0007】
本発明のパッチは、疱疹の形成を抑え、そして痂皮の形成を防ぐように意図されている。痂皮の不存在により、治癒時間を短縮し、患者の不便を少なくすると考えられる。二次感染は回避され、そのことは治癒時間の短縮の一因ともなる。消費者は、パッチを約12〜約24時間に亘って着用し、その後、パッチを交換するのが一般的である。本発明のパッチは、疾患が触られるのを防ぎ、そして二次感染から保護する。パッチは、孤立しており、他の人たちによって簡単に認識されない。パッチの閉塞性によって、この製品は、疾患に関連する痒み、灼熱感および痛みをなだらかに取り除く。
【0008】
本発明のパッチの高い透過性に起因して、パッチは、多量の浸出液/水分を保存することが可能である必要がない場合がある。しかしながら、蒸発に起因して、パッチを通る水分の流動率が高いため、水分処理能力全体は、高くなるであろう。包帯の厚さは、損傷から予測される浸出液の量に基づいて選択される場合が多く、すなわち高浸出創傷に対しては厚い包帯が選択される。接着剤の厚さは、20〜300μmの範囲であっても良い。裏打ちシートの水蒸気透過性は、200〜6,000g/m2/日の範囲であっても良い。裏打ちシートの厚さは、10〜1,000μmの範囲であっても良い。かかる厚さおよび水蒸気透過性を有する裏打ちシートにより、非閉塞性パッチが提供されることが見出された。更に、パッチの厚さ全体が低いことにより、適用部分に施されると、孤立外観を形成する。
【0009】
本発明のパッチは、皮膚に対して、少なくとも8時間、更に好ましくは少なくとも12時間、なおいっそう好ましくは少なくとも24時間の着用時間を有していても良い。パッチが高湿度および高摩擦に曝される場所、例えば、口唇領域における粘膜および他の場所に施される場合、着用時間は、当然、より短時間であっても良い。口唇領域に施す場合、着用時間は、少なくとも2時間であるのが好ましく、少なくとも3時間であるのが更に好ましく、少なくとも4時間であるのが最も好ましい。所定の実施形態において、パッチは、疾患に施され、そしてパッチとの接触が、疾患の再上皮化を実質的に完了するのに効果的な時間に亘って保持される。
【0010】
所定の実施形態において、第1のパッチが施され、疾患との接触状態にて少なくとも約2時間か、または約2〜約12時間に亘って保持される。第1のパッチは、かかるパッチの交換が望ましくなるまでか、または皮膚および疾患部位に対するパッチの接着性を失ったことに起因してパッチの交換が必要となるまで、疾患と接触させたままである。その後、第1のパッチは取り除かれ、第2のパッチと交換される。第2のパッチは、少なくとも約2時間に亘って疾患と接触させたままにするか、或いは第3のパッチとの交換が望ましくなるまでか、または皮膚および疾患部位に対するパッチの接着性を失ったことに起因して第3のパッチとの交換が必要となるまで、疾患と接触させたままにする。この周期は、パッチを次のパッチと次々に交換することによって、疾患の再上皮化が実質的に完了するまで繰り返される。所定の実施形態において、疾患は、疾患の洗浄を可能にするためか、または疾患を空気に曝すために、第1、第2、第3などのパッチのそれぞれの適用の間の時間に亘って被覆されていなくても良い。
【0011】
パッチの一方の面は、接着剤で被覆されている。接着剤被覆面は、消費者の皮膚に対してパッチまたはカバーを付着させるために用いられる。接着剤は、親水コロイド粒子を実質的に含まない。本願の明細書で使用されるように、親水コロイド粒子を実質的に含まないとは、接着剤が、接着剤組成物の全重量に対して、約1重量%未満の親水コロイド粒子を含み;例えば、約0.5重量%未満、または約0.1重量%未満の親水コロイド粒子を含むことを意味する。好適な接着剤としては、スチレン系ブロック共重合体、および粘着性付与樹脂(tackifying resins)、例えば、HBフラー社(HB-Fuller Co.)(ミネソタ州セントポール所在)から市販されているHL-1491、ATOフィンドリー(ATO-Findley)(ウィスコンシン州Wawatausa所在)から市販されているH-2543、およびナショナルスターチ・アンド・ケミカルカンパニー(National Starch & Chemical Company)(ニュージャージー州ブリッジウォーター所在)から市販されているResyn 34-5534を含むが、これらに限定されない。また、エチレン酢酸ビニル共重合体を含むエチレン共重合体も、接着剤として有用である。シリコーン接着剤、例えばダウ・ケミカル社によって提供されているシリコーン接着剤についても有用である。
【0012】
本発明のパッチの接着剤は、好適な皮膚にやさしい接着剤であっても良い。皮膚にやさしい接着剤は、それ自体公知の任意の皮膚にやさしい接着剤であっても良く、人間の皮膚に付着される医学品の製造に用いられる。好適な接着剤は、溶剤ベース、アクリルベース、デキストリンベース、およびウレタンベースの接着剤、ならびに天然および合成エラストマーを含む。また、接着剤は、無定形ポリプロピレンを含む無定形ポリオレフィン、例えばHBフラー社から市販されているHL-1308、またはハンツマン(Huntsman)(テキサス州オデッサ(Odesssa))から市販されているRextac RT2373を含んでいても良い。接着剤は、Kraton(登録商標)Brandの合成エラストマー、または天然ゴムを基礎としていても良い。かかる接着剤は、当該分野で知られているような粘着性付与剤、酸化防止剤、加工油(processing oil)等を含んでいても良い。接着剤は、水性または溶剤ベースの接着剤、或いは所望により、ホットメルト接着剤であっても良い。接着剤は、所望の手法、例えば噴霧、スクリーン印刷またはスロットダイ塗布によって施され得る。一般に施される接着剤の量は、1平方メートルに対して約20グラム(”gsm”)の基準重量から約100gsmまで変更可能である。本願の明細書で使用されるように、基準重量は、厚さに関連し、そしてgsmおよびμmなる用語は、互換性を持って用いられても良い。1gsmは、およそ30μmに等しい。
【0013】
接着剤なる用語が本願の明細書で使用されるものの、かかる用語は、付着特性を有する任意の物質、例えば接着剤、シリコーンまたはゴム質の物質、ペトロラタム等に亘る場合があることが理解される。接着剤は、それ自体公知の好適な種類の感圧接着剤であっても良い。本発明のパッチにおける接着剤層の厚さは、表面に亘って実質的に一定であっても良く、或いはパッチは、パッチの中心位置において、より薄い周辺部、すなわち面取り縁部によって囲まれる、より厚い部分を有していても良い。驚くべきことに、パッチの良好な性能は、薄い縁部を有することによって達成されることが示された。薄い周辺部またはパッチにより、縁部が巻き上がるというリスクを低減する。縁部の巻き上がりにより、着用時間が短縮される場合があり、望ましくない。更に、薄い縁部は、外部からの水に殆ど曝されず、そして最高の水ブロック(water-block)を得ることが可能である。接着剤層の厚さは、20〜200μmの範囲か、または25〜150μmの範囲か、または30〜100μmか、または50〜80μmの範囲であっても良い。
【0014】
パッチは、実質的に均一な厚さを有しているのが好ましい場合がある。少ない厚さに起因して、面取り部は、良好な粘着性を保証し、そして縁部の巻き上がりを少なくするために必要ではない場合がある。本発明の一実施形態において、パッチは、100〜200μmの厚さである。従って、これにより得られるパッチは、重ね折りまたはしわ寄せすることなく扱われるのに十分な厚さであると同時に、従来の親水コロイド包帯と比較して、著しく薄い。透過性に起因して、かかるパッチは、より厚いパッチで処置されるのが一般的であるひっかき傷および創傷での使用に好適な場合がある。このパッチは、従来の厚い親水コロイドによる高い水分収容量が必要とされない軽傷の創傷または皮膚損傷に好適な場合がある。本発明のパッチは、皮膚の動きに伴って簡単に動き、更に、このパッチは場所をほとんどとらず、このことは、ぴったり合う靴内に置かれる足またはつま先に着用させる場合に重要となりうる。接着剤の薄層は、パッチの厚さ全体を低減するため望ましい。
【0015】
包帯またはパッチを薄くすればするほど、可撓性が高くなり、人体の動きに伴う動きが更に高められ、そして更に孤立するのが明らかとなる。包帯またはパッチは、顔、または人体の、他の視認可能な領域または露出した領域での使用に特に好適であるので、パッチが、皮膚に混じって、殆ど見分けが付かなくなるようにするのが望ましい場合がある。
【0016】
裏打ちシートの表面積は、例えば、5〜25cm2、例えば10〜20cm2、またはそれより小さく、例えば5cm2未満、例えば大きくても4cm2、例えば大きくても2cm2、例えば1〜2cm2の範囲、またはそれより小さく、例えば0.08〜1cm2の範囲、例えば0.1〜0.8cm2の範囲、例えば0.12〜5cm2の範囲であっても良い。例えば、薄膜パッチを顔に施す場合、表面積は、通常、5cm2未満である。
【0017】
本発明の一実施形態において、パッチは、面取り縁部を有していても良い。面取りによって、パッチと皮膚との間の移行部(transition)がより滑らかになり得、パッチを更に目立たせなくさせることができる。パッチの外側周辺部は、着用時間を短縮するパッチの縁部における”巻き上がり”のリスクを減らすために、米国特許第4,867,748号または同第5,133,821号の開示内容と同様に面取りされているのが好ましく、各々の開示内容は、参照することによって本願に組み込まれる。縁部は、かかる縁部に隣接する厚さが、パッチの最大厚の約30%を超えないか、または最大厚の25%を超えないように面取りされているのが好ましい。
【0018】
驚くべきことに、本発明のパッチは、良好な耐水性を有し、そして縁部の面取りにより、更に、かかる特性を高める場合がある。”耐水性”なる表現に関して、体の部分にパッチを施した後、パッチが水または湿気、例えば漬け手洗い(bathing hand washing)、水泳または発汗に抗することが可能であると理解される。良好な耐水性および良好な水分処理性により、一般的に知られている製品と比較して、パッチの極めて長い着用時間が達成可能となる。パッチの縁部を極めて薄い厚さに面取りするか、またはパッチの厚さ全体を薄くすることによって、着用時間は、増大され得る。使用中におけるパッチの縁部の巻き上がりは、縁部に沿って露出した接着剤の量に応じている場合があるので、縁部に沿って接着剤の層を薄くすればするほど、巻き上がりは生じなくなる場合がある。
【0019】
パッチは、製造中の高い柔軟性が達成される場合がある一ステップ法によって製造されても良く、且つ、薄い面取り部が、中心の厚さと同時に、創傷または疱疹からの浸出液を処理するのに十分な容量に適合されつつ作製される場合がある。
【0020】
接着剤層は、幾何学的パターンまたはランダムパターン等のパターンの形態であっても良く、或いは接着剤層は、接着剤を含まない領域の形態である、より大きな中断部、例えばパッチの中央部を含んでいても良い。接着剤層は中断されていないのが好ましい。非中断層により、幾つかの利点が得られ、例えば、よりしわ寄せしなくなり、不可視性が良好となり、そして皮膚に対して良好に混じる。接着剤で被覆されない裏打ち層は、より非透過性(non-transparent)であるので、更に視認可能となる場合がある。更に、型は、パッチが取り除かれた場合、皮膚に印を残すことが可能である。付着性パッチは、平坦な連続層であっても良い。
【0021】
本発明の物品は、孤立である。本願の明細書で使用されるように、孤立(discrete)は、カバーが他の人々に対して視覚的に明らかとならないことを意味する。裏打ち層の寸法と裏打ち層の色は、両方とも、パッチの孤立性に影響を与える場合がある。創傷のケア技術で知られている殆どの裏打ち材料が本発明での使用の好適である。透明または半透明の裏打ち材料および皮膚の色に適合する色を有する裏打ち材料が好ましい。色は、裏打ち材料が作製されるポリマーに対して固有であっても良い。或いは、かかるポリマーに顔料が添加され、そしてブレンドされて、皮膚の色に適合する色の裏打ち材料を提供することが可能である。好適な裏打ち材料としては、ポリオレフィンフィルム、例えばポリエチレンおよびポリプロピレン、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエーテルアミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、織布、不織布、フォーム、ならびにポリウレタンフィルムを含むが、これらに限定されない。
【0022】
好適な裏打ちまたはフィルムは、裏打ちまたはフィルムを皮膚に施した場合、使用者にとって快適となるように裏打ちまたはフィルムが皮膚と共に動いたり屈曲したりするように可撓性である必要がある。裏打ち材料は、モノリシック(非開口)、マイクロポア、または開口部を備えていても良い。裏打ち層は、着用者が水に浸かっているときか、または領域の偶発的な湿潤の場合に、及ぼされる悪影響から接着剤を保護する実質的に水を通さないフィルムであるのが適当である。裏打ち材料は、約200gms/24時間〜約6,000gms/24時間の水蒸気透過率(”MVTR”)を有するか、または約800gms/24時間〜約1,300gms/24時間の水蒸気透過率を有する。裏打ち材料および接着剤は、パッチ全体のMVTRが200gms/24時間〜約6,000gms/24時間の範囲か、または約500gms/24時間〜約1,300gms/24時間の範囲となるように選択される。
【0023】
本発明によれば、実際には、医療用包帯を製造する場合に通常用いられるものよりも、より薄い裏打ち層またはフィルムが使用される場合、改良された伸縮性および適合性が、係数(modulus)の低減と同時に得られることが見出された。裏打ち層は、保存中ならびに使用中に接着剤を保護する、弾性で、可撓性で、そして非粘着性のフィルムであっても良いことが好ましい。水を通さないものの、水蒸気透過性の層またはフィルムは、施された領域における望まない応力のリスクを低減する低摩擦で、可撓性のポリマーフィルムであるのが好ましい。
【0024】
裏打ち層は、使用目的に合わせて好適な厚さを有していることが可能である。パッチが”目につかない”顔面パッチ用として所望の場合、相当に薄いフィルムが適当であろう。裏打ち層は、25μm未満の厚さを有しているのが好ましい。かかるフィルムの好ましい厚さは、20μm未満の場合があり、約10〜18μm、例えば約15μmであるのが更に好ましく、これにより、医療用包帯を製造する場合に通常用いられるフィルムと比較して、係数が大幅に低減する。改良された伸縮性および適合性が、係数の低減と同時に得られる。
【0025】
好ましい実施形態によれば、裏打ち層は、低い面摩擦を示すフィルムである。更に、その表面は、皮膚の反射に近い反射を有する不透明体であっても良く、これによりパッチは、皮膚の色および反射と混じり、可視性がより低下することが可能である。裏打ち層は、適当な色、例えば肌色(fresh-color)に着色されていても良い。裏打ち層は、使用目的に応じて透明、半透明、不透明、または非透過性であっても良い。
【0026】
本発明のパッチは、必要により、適用前または適用中に取り除かれる1種以上の解放ライナー(release liners)または被覆フィルム(cover films)で部分的にまたは完全に覆われても良い。保護カバーまたは解放ライナーは、例えばシリコーン処理された紙であっても良い。保護カバーまたは解放ライナーは、パッチと同一の輪郭を有する必要はなく、例えば、多数のパッチは、保護カバーのより大きなシートに付着されても良い。保護カバーは、本発明のパッチの使用中に存在しないので、本発明の必須の要素ではない。更に、本発明のパッチは、接着剤層に接触することなく皮膚に対してパッチを施すために、それ自体公知の1個以上の”非接触”グリップを含んでいても良い。かかる非接触グリップは、パッチを施した後に存在しない。より大きなパッチの場合、2または3個の”非接触”グリップを有することが好適であり、或いは4個の”非接触”グリップを有することでさえ好適である。
【0027】
本発明のパッチは、更に、1層以上の被覆層を含んでいても良い。被覆層は、保管中にパッチを保護し、そしてパッチの容易な適用を助けることが可能である。被覆層は、適用中または適用後に取り除かれる。本発明の全ての実施形態において、パッチは、一方の面に接着剤が施された裏打ち層の形態で提供されるのが好ましい。パッチの接着剤面は、医薬的に有効な物質を含んでいても良い。例えば、皮膚軟化剤、または例えば、乾癬、湿疹、胼胝、皮膚、ウオノメまたは疱疹を治療もしくは形成するのを防ぐのに用いられるレチノイドである。適用可能な薬剤の例示は、シトシン(cytochine)、例えば成長ホルモンまたはポリペプチド成長因子、例えばTGF、FGF、PDGF、EGF、IGF−1、IGF−2、コロニー刺激因子、形質転換成長因子、神経刺激成長因子(但し、これらの有効物質を、創傷に対して局所適用に適合される形で取り込む場合、薬剤は、創傷に対して作用を及ぼすことが可能である。)、他の薬剤、例えば静菌剤または殺菌化合物、例えばヨウ素、ヨードポビドン錯体(iodopovidone complexes)、クロラミン、クロルヘキシジン、銀塩、例えばサルファジジン(sulphadizine)、硝酸銀、酢酸銀、乳酸銀、硫酸銀、チオ硫酸ナトリウム銀(silver sodium thiosulphate)または塩化銀、ジンド(zind)またはそのメトロニダゾール塩、硫黄の薬剤、およびペニシリン(pencillins)、組織治癒促進剤、例えばRGDトリペプチド等、タンパク質、アミノ酸、例えばタウリン、ビタミン、例えばアスコルビン酸、創傷を洗浄する酵素、例えばペプシン、トリプシン等、例えばガン組織に包帯を外科的に挿入する場合に用いられるプロティナーゼ阻害剤および/または必要により、局所的に適用する場合に用いられる他の治療薬、鎮痛薬、例えばNSAIDS、リドカインまたはキンコカイン(chinchocaine)、皮膚軟化剤、レチノイドまたは冷却作用を有する薬品である。
【0028】
本発明のカバーは、孤立である。従って、カバーの寸法および形状は、他の人に対するカバーの視認性を最小限にするように設計されている。カバーの厚さは、約0.050〜約0.30mmの範囲であっても良く、約0.065〜約0.10mmの範囲であるのが好ましい。一実施形態において、カバーの厚さは0.085mmである。カバーの寸法および形状は、特定の用途および被覆されるべき疾患の位置に応じて変更可能である。カバーの寸法および形状は、疾患に対する連続した接着を効果的に被覆し、疾患に対して連続して付着すると共に、孤立を留めるようなものにする必要がある。例えば、カバーが口の領域、例えば口唇の近傍上または唇の近傍内のウィルス性疾患に施される場合、カバーの形状は円形であるのが有効である。円形カバーの直径は、約5〜約25mmの範囲であっても良く、約10〜約20mmの範囲が好ましい。一実施形態において、円形カバーの直径は15mmである。
【0029】
ウィルス性疾患の治療に用いる追加の薬剤が本発明の所定の実施形態において必要とされないのと同時に、他の実施形態において、パッチは、必要により、接着剤に含まれるか、または接着剤に施される場合にそれ自体公知の薬剤を含んでいても良い。ヘルペスの治療に好適な抗ウィルス薬は、例えば、アシクロビルまたはペンシクロビル(penciclovir)を含んでいても良い。アゼライン酸(Azelain acid)またはイソトレチノインは、ニキビの治療用の薬剤に用いられる場合がある。イボの治療に関して、分裂阻害剤、例えばポドフィロトキシンが利用可能である。ニキビおよび/または胼胝皮膚は、サリチル酸ベースの薬剤によって治療されても良い。ニキビ、引っ掻き傷または創傷の治療に用いるパッチは、例えば、防腐剤/抗生物質、ビタミン化合物または他の創傷治癒物質を含んでいても良い。
【0030】
上述した医薬的に有効な物質は、接着被覆の完了後に包帯シートの接着面に施されても良く、或いはかかる物質は、接着剤に混合された後に、裏打ち層に被覆されても良い。本発明の一実施形態において、薬剤は、適用前にパッチに施されても良い。所定量のゲルまたはクリームがパッチの中央部に施された後に、治療部位に施されても良い。ヘルペスを治療する場合、クリームまたはゲルを含むアシクロビル、例えばゾピル(Zovir)を施した後にヘルペス部位に施すことが有効な場合がある。
【0031】
〔実施例〕
数種類の実施例が、以下に記載される。特許請求の範囲は、これらの実施例の細部に限定されないと考えられる必要がある。
【0032】
実施例1
Lintec Ohkura 85NES50の透明なポリウレタンフィルム(厚さ50μm)が、30g/m2の膜厚(coat weight)にて、親水コロイド粒子を含まないLS486H溶剤ベースのアクリル系接着剤で被覆された。Tekkoteシリコーン解放ライナーが、被覆されたフィルムに施された。積層体が、20mmの直径を有する、本発明の円形包帯に裁断された。
【0033】
実施例2
完全に穿設された(clear perforated)三層の透明なABAポリエチレン外層および無定形ポリオレフィン内層フィルム(コード27936、標的厚さ100μm)が、50g/m2の膜厚にて、親水コロイド粒子を含まないBostik Findley HM321-02ホットメルト接着剤で被覆された。Tekkoteシリコーン解放ライナーが、被覆されたフィルムに施された。積層体が、20mmの直径を有する、本発明の円形包帯に裁断された。
【0034】
実施例3
Smith & Nephew Opaque社の、耐衝撃性ポリスチレンフィルムとブレンドされた二軸エンボス加工PBA74ポリウレタン(基準重量105g/m2)が、30g/m2の最小膜厚にて、親水コロイド粒子を実質的に含まないA16溶剤ベースのアクリル系接着剤(ID31/EU31B National Duro Tak社の接着剤)で被覆された。Tekkoteシリコーン解放ライナーが、被覆されたフィルムに施された。積層体が、15mmの直径を有する、本発明の円形包帯に裁断された。
【0035】
これは、単一施設で、評価装置盲式で、無作為化された、平行グループ調査であった。再発性口唇ヘルペス(RHL)の経歴を有する被験者が、3つの口辺ヘルペス調査パッチ(investigational cold sore patch)の1つを使用するために、3つの治療群の1つに割り振られた。被験者が、臨床評価のため、最初の徴候の24時間内に調査施設に戻るように指示された。全ての被験者の治療割り付けについて知られないようにした指定調査員が、各調査臨検において臨床評価を行った。被験者は、日誌(daily diary)を仕上げて、徴候の評価およびパッチの使用法を報告し、そして疾患が完全に治癒された場合、施設に戻された。
【0036】
第1のエンドポイントは、患者評価され、そして臨床医は、治療しなかった場合と比較してパッチ治療による疾患の実質的に完全な再上皮化を達成するための時間として規定される、治療を終了するための時間を確認した。再上皮化の実質的な終了に関して、疾患が、明らかに目立たなくなり、そして被験者が、疾患による重大な徴候をもはや経験しなくなる程度に軽減されたことを意味する。
【0037】
第2のエンドポイントは、全ての処理のため、以下のものからなる治療の品質であった。被験者は、本発明のパッチを用いることなく先の経験に関して以下のものを評価するために質問された調査を受けた:すなわち、発赤、痒み、灼熱感、圧痛、不快感、痛み、膨張、および潰瘍の周囲における痂皮の形成である。
【0038】
無作為化の臨検において、被験者は、各々の目視評価前に、被験者の口唇をティッシュペーパーで軽く拭うことを要求された。目視による評価者は、被験者の適格性を確認し(口唇の口辺ヘルペスの活動常在度(active presence))、そして試験部位に対して段階または時期を割り当てた。被験者は、単一の試験品のみを評価するために無作為化された。各被験者は、製品を適用する適切な方法に関して指示され、そして被験者は、指導者の指示の下に最初の適用を行った。
【0039】
被験者は、必要な適用回数、使用条件および調査の制限に関して調査スタッフによって指示された。全ての被験者には、調査の継続中、続けるのに十分な試験品が供給され、かつ、起こりうる、刺痛、痒み、灼熱感、痛み、圧痛または不快感に関する自己評価を含む、各製品の適用時間を記録するための日誌が提供された。被験者は、在宅にて全ての次の適用を行うことを指示された。
【0040】
治療/治癒された疾患臨検の最後の朝、試験施設での最終評価の前に、パッチを施さなかった。最終評価は、施設のスタッフによって行われて、口辺ヘルペスの治癒を測定した。
【0041】
最後の臨検において、日誌が集められ、そして調査スタッフによって検討され、残りの試験品が集められた。逆効果の事象が評価され、そして随伴性の薬剤が検討された。
【0042】
結果
本発明のパッチは、良好に所定の位置に留まる傾向を示していた。平均して、パッチは、約12時間に亘って留まる傾向を示していた。シャワー浴び、顔の洗浄、または歯磨きにより、パッチを交換する必要がある機会があった。全体として、症状に関する指標の中には、何人かの被験者に関して数日間に亘って悪化したものがあったが、パッチは、潰瘍の発赤、痒み、灼熱感、圧痛、不快感、痛み、および膨張、ならびに痂皮の発達に関して好ましく評価された。
【0043】
〔実施の態様〕
(1)ウィルス性疾患用の孤立パッチにおいて、
裏打ち層と、
親水コロイド粒子を実質的に含まない接着剤層と、
を含み、
前記孤立パッチは、約10〜約1,500μmの範囲の厚さを有し、局所ニキビ抑制剤を実質的に含まない、孤立パッチ。
(2)実施態様1に記載の孤立パッチにおいて、
前記裏打ち層は、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエーテルアミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、織布、不織布、フォーム、およびポリウレタンフィルムからなる群から選択される、孤立パッチ。
(3)実施の態様1に記載の孤立パッチにおいて、
前記接着剤は、スチレン系ブロック共重合体および粘着性付与樹脂、エチレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、シリコーン接着剤、溶剤ベースのアクリル系ポリマー、デキストリンベースの接着剤、ウレタンベースの接着剤、ならびに無定形のポリオレフィンからなる群から選択される、孤立パッチ。
(4)実施態様1に記載の孤立パッチにおいて、
前記孤立パッチは、200〜6,000g/m2/日の範囲の水蒸気透過率を有する、孤立パッチ。
(5)実施態様1に記載の孤立パッチにおいて、
前記孤立パッチは、500〜1,300g/m2/日の範囲の水蒸気透過率を有する、孤立パッチ。
(6)実施態様1に記載の孤立パッチにおいて、
前記孤立パッチは、前記裏打ち層と、前記接着剤層と、から主としてなる、孤立パッチ。
(7)ウィルス性疾患の治療方法において、
孤立パッチを疾患に施して、前記孤立パッチと前記疾患との接触を少なくとも約2時間に亘って保持するステップと、
次に、前記孤立パッチを次の孤立パッチと置き換え、前記次の孤立パッチと前記疾患との接触を、前記疾患の再上皮化が実質的に完了するまで保持するステップと、
を含み、
前記孤立パッチは、裏打ち層、および接着剤層を含み、
前記接着剤層は、親水コロイド粒子を実質的に含まず、
前記孤立パッチは、約10〜約1,500μmの範囲の厚さを有し、前記孤立パッチは、局所ニキビ抑制剤を実質的に含まない、方法。
(8)実施態様7に記載の方法において、
前記裏打ち層は、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエーテルアミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、織布、不織布、フォーム、およびポリウレタンフィルムからなる群から選択される、方法。
(9)実施態様7に記載の方法において、
前記接着剤は、スチレン系ブロック共重合体および粘着性付与樹脂、エチレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、シリコーン接着剤、溶剤ベースのアクリル系ポリマー、デキストリンベースの接着剤、ウレタンベースの接着剤、ならびに無定形のポリオレフィンからなる群から選択される、方法。
(10)実施態様7に記載の方法において、
前記孤立パッチは、200〜6,000g/m2/日の範囲の水蒸気透過率を有する、方法。
(11)実施態様7に記載の方法において、
前記孤立パッチは、500〜1,300g/m2/日の範囲の水蒸気透過率を有する、方法。
(12)実施態様7に記載の方法において、
前記孤立パッチは、前記裏打ち層、および前記接着剤層から主としてなる、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウィルス性疾患用の孤立パッチにおいて、
裏打ち層と、
親水コロイド粒子を実質的に含まない接着剤層と、
を含み、
前記孤立パッチは、約10〜約1,500μmの範囲の厚さを有し、局所ニキビ抑制剤を実質的に含まない、孤立パッチ。
【請求項2】
請求項1に記載の孤立パッチにおいて、
前記裏打ち層は、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエーテルアミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、織布、不織布、フォーム、およびポリウレタンフィルムからなる群から選択される、孤立パッチ。
【請求項3】
請求項1に記載の孤立パッチにおいて、
前記接着剤は、スチレン系ブロック共重合体および粘着性付与樹脂、エチレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、シリコーン接着剤、溶剤ベースのアクリル系ポリマー、デキストリンベースの接着剤、ウレタンベースの接着剤、ならびに無定形のポリオレフィンからなる群から選択される、孤立パッチ。
【請求項4】
請求項1に記載の孤立パッチにおいて、
前記孤立パッチは、200〜6,000g/m2/日の範囲の水蒸気透過率を有する、孤立パッチ。
【請求項5】
請求項1に記載の孤立パッチにおいて、
前記孤立パッチは、500〜1,300g/m2/日の範囲の水蒸気透過率を有する、孤立パッチ。
【請求項6】
請求項1に記載の孤立パッチにおいて、
前記孤立パッチは、前記裏打ち層と、前記接着剤層と、から主としてなる、孤立パッチ。
【請求項7】
ウィルス性疾患の治療方法において、
孤立パッチを疾患に施して、前記孤立パッチと前記疾患との接触を少なくとも約2時間に亘って保持するステップと、
次に、前記孤立パッチを次の孤立パッチと置き換え、前記次の孤立パッチと前記疾患との接触を、前記疾患の再上皮化が実質的に完了するまで保持するステップと、
を含み、
前記孤立パッチは、裏打ち層、および接着剤層を含み、
前記接着剤層は、親水コロイド粒子を実質的に含まず、
前記孤立パッチは、約10〜約1,500μmの範囲の厚さを有し、前記孤立パッチは、局所ニキビ抑制剤を実質的に含まない、方法。

【公表番号】特表2008−541881(P2008−541881A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513757(P2008−513757)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/020426
【国際公開番号】WO2006/130461
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(502112382)ジョンソン・アンド・ジョンソン・コンシューマー・カンパニーズ・インコーポレイテッド (27)
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON & JOHNSON,CONSUMER,COMPANIES,INC.
【住所又は居所原語表記】199 Grandview Road,Skillman,NJ 08558,US
【Fターム(参考)】