説明

ウェザーストリップ

【課題】ドアの突出曲面部に弾接する場合に、十分なシール機能を得ることのできるウェザーストリップを提供する。
【解決手段】自動車ボディBのドア開口周縁部に取付けられた断面略U字形状の取付基部30と、その車外側に設けられ、ドアDの断面略U字形状の突出曲面部Daに弾接する中空シール部40を備えるウェザーストリップ100で、中空シール部40は、断面略く字形状に形成された第一中空壁41と、断面略逆く字形状に形成された第二中空壁42が接続されてなり、突出曲面部Daに弾接するとともに、中空シール部40の内方に向けて膨出湾曲されたシール壁42Yと、シール壁42Yに連続して車外側に突出するように設けられ、シール壁42Yとともに突出曲面部Daに弾接するリップ部43を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のボディのドア開口部に沿って取付けられ、ドア閉時にドアに弾接して車内外をシールするウェザーストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5に示すように、自動車のボディB側には、ドアD開口部に沿ってウェザーストリップ1が取付けられ、ドアDの閉時にそのドアDに弾接して車内外をシールするようになっている。
このようなウェザーストリップ1は、ドアD側の平面部に弾接する場合が多いが、車両のデザインや建付け精度の関係から、図6に示すように、ドアDから内側(ドアDの閉時においては車内側)に向けて突設された断面略U字形状の突出曲面部Daに弾接するものがある。
【0003】
ウェザーストリップ1は、ドアDの開口部に沿って設けられたフランジFに挿入される車外側側壁11,車内側側壁12及び両側壁11,12を連結する底壁13からなる断面略U字形の取付基部10と、その取付基部10の車外側側壁11に一体成形され、ドアD閉時にドアDの突出曲面部Daに弾接する中空シール部20を備えている。
中空シール部20は、第一屈曲点R1を中心に断面略く字形状に折れ曲がった第一中空壁21と、第二屈曲点R2を中心に断面略逆く字形状に折れ曲がった第二中空壁22とが接続され、パンタグラフのような形状をしている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
また、取付基部10の車外側側壁11の内側(車内側)には、挿入時にフランジFの車外側面に摺接する突条片15が設けられ、車内側側壁12の内側(車外側)には、挿入時にフランジFの車内側面に摺接する断面略舌状のリップ部16が設けられている。また、車内側側壁12と底壁13との連結位置には車内側に延びる断面略舌状の装飾リップ部17が設けられ、また取付基部10には断面略U字形状の芯材18が埋設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−174196号公報
【特許文献2】特開2010−030445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図6で示したウェザーストリップ1や、特許文献1及び特許文献2に記載されたウェザーストリップでは、ドアDに弾接するシール壁側となる中空シール部20の第二中空壁22は、車外側に向けて膨出湾曲しているため、ドアD側の平面部に弾接する場合には特に問題にはならないが、ドアDから内側に向けて突設された断面略U字形状の突出曲面部Daに弾接する場合には、第二中空壁22の先端22a側が車内側に近づくように湾曲しその第二中空壁22の先端22aと突出曲面部Daとの間に三角スキSが発生し、ドアDを開いたときに三角スキSに溜った水滴が室内側に滴下するといった不具合があった。
また、中空シール部20をドアD側の平面部ではなく突出曲面部Daに弾接させる場合には弾接位置に高精度が要求されるため、建付けバラツキによって弾接位置が僅かにずれても、急激に面圧(反力)が低下してシール性能が劣り水漏れが発生したり、三角スキSがより大きくなる場合があった。
【0006】
そこで本発明の目的は、ドアの突出曲面部に弾接する場合に、十分なシール機能を得ることのできるウェザーストリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明のウェザーストリップは、自動車ボディ(B)のドア(D)開口周縁部に取付けられ、車外側側壁(31)と車内側側壁(32)とそれら両側壁(31,32)を連結する底壁(33)からなる断面略U字形状の取付基部(30)と、その取付基部(30)の車外側に設けられるとともに、前記ドア(D)から車内側に向けて突設された断面略U字形状の突出曲面部(Da)に弾接する中空シール部(40)を備えるウェザーストリップ(100)であって、
前記中空シール部(40)は、第一屈曲点(P1)を介して断面略く字形状に形成された第一中空壁(41)と、第二屈曲点(P2)を介して断面略逆く字形状に形成された第二中空壁(42)が接続され、
前記第一中空壁(41)の一端(41a)は、前記取付基部(30)の車外側側壁(31)の端部寄り部位に接続されるとともに、前記第二中空壁(42)の一端(42a)は、前記取付基部(30)の車外側側壁(31)の底壁(33)寄り部位から、車外側に向けて突出しさらに車外側側壁(31)に略平行で前記底壁(33)側に突出した部位に接続され、
前記第二中空壁(42)の一端(42a)と第二屈曲点(P2)の間は、車外側に向けて立設された立設壁(42X)とされるとともに、前記第二屈曲点(P2)と第二中空壁(42)の他端(42b)の間は、前記中空シール部(40)の内方に向けて膨出湾曲され、前記ドア(D)の突出曲面部(Da)に弾接するシール壁(42Y)とされ、
前記第二中空壁(42)の他端(42b)には、前記シール壁(42Y)から連続し、前記シール壁(42Y)とともに前記ドア(D)の突出曲面部(Da)に弾接する突起部(43)が形成され、
前記第一中空壁(41)の他端(41b)は、前記第二中空壁(42)の他端(42b)における前記中空シール部(40)の内方に接続され、前記突起部(43)を車外側に突出させてなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のウェザーストリップは、前記第二中空壁(42)のシール壁(42Y)の曲率半径(R)を、前記ドア(D)から突設された突出曲面部(Da)の曲率半径(r)よりも大きくしたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明のウェザーストリップは、前記第二中空壁(42)の第二屈曲点(P2)と前記第二中空壁(42)の他端(42b)の間は、前記立設壁(42X)に対して鈍角(θ)で形成されてなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のウェザーストリップは、前記第一中空壁(41)の一端(41a)から前記第一屈曲点(P1)までに、第一中空壁(41)のそれ以外と比較して剛性を高くする材質で構成した部位を設けるか、あるいは、第一中空壁(41)のそれ以外と比較して剛性を高くするように厚肉にした部位を設けたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明のウェザーストリップは、前記第二中空壁(42)の一端(42a)から前記第二屈曲点(P2)までに、第二中空壁(42)のそれ以外と比較して剛性を高くする材質で構成した部位を設けるか、あるいは、第二中空壁(42)のそれ以外と比較して剛性を高くするように厚肉にした部位を設けたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明のウェザーストリップは、自動車ボディ(B)のドア(D)開口周縁部に取付けられ、車外側側壁(31)と車内側側壁(32)とそれら両側壁(31,32)を連結する底壁(33)からなる断面略U字形状の取付基部(30)と、その取付基部(30)の車外側に設けられるとともに、前記ドア(D)から車内側に向けて突設された断面略U字形状の突出曲面部(Da)に弾接する中空シール部(40)を備えるウェザーストリップ(100)であって、
前記中空シール部(40)は、前記ドア(D)の突出曲面部(Da)に弾接するとともに前記突出曲面部(Da)の曲率半径(r)よりも大きい曲率半径(R)で、中空シール部(40)の内方に向けて膨出湾曲されたシール壁(42Y)と、
前記シール壁(42Y)に連続して車外側に突出するように設けられ、前記シール壁(42Y)とともに前記突出曲面部(Da)に弾接する突起部(43)を備えることを特徴とする。
【0013】
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0014】
本発明のウェザーストリップによれば、ドアから車内側に向けて突設された断面略U字形状の突出曲面部に弾接する中空シール部は、第一屈曲点を介して断面略く字形状に形成された第一中空壁と、第二屈曲点を介して断面略逆く字形状に形成された第二中空壁からなり、第二中空壁には、中空シール部の内方に向けて膨出湾曲され、ドアの突出曲面部に弾接するシール壁が形成され、しかもシール壁の先端には、シール壁から連続し、シール壁とともにドアの突出曲面部に弾接する突起部が車外側に突出するように形成されている。
すなわち、シール壁とそれから延びる突起部は、車外側に向かって反った状態となっているので、ドア閉時にシール壁がドアの突出曲面部に弾接すると、突起部はドアの突出曲面部に近づいて密着し、突起部とドアの突出曲面部の間に従来例で示したような三角スキが生じることが防止される。
したがって、ドアを開けたときに突起部の車外側から水滴が室内側に浸入することは防止される。
また、シール壁は、中空シール部の内方に向けて膨出湾曲しているので、ドアの突出曲面部に無理なく追従させることができ、特に、シール壁の曲率半径を、突出曲面部の曲率半径よりも大きくすると安定したシール機能が得られ、多少の建付けバラツキにも対応できる。その結果、従来例で示したように、急激に面圧(反力)が低下するような事態は避けられる。
【0015】
また、中空シール部を構成する第二中空壁の一端は、取付基部の車外側側壁の底壁寄り部位に直接、接続されるのではなく、取付基部の車外側側壁の底壁寄り部位から、車外側に向けて突出しさらに車外側側壁に略平行で底壁側に突出した部位に接続され、しかもそこから立設壁が車外側に向けて立設され、その先に第二屈曲点が形成されているので、第二屈曲点はドア側に寄った位置に設けられているのに加え、また、第一中空壁の第一屈曲点も取付基部の車外側側壁からドア側に寄った位置に設けられている。
このように、第一、第二屈曲点は、中空シール部内でもドア側に寄った位置に設けられているので、第一屈曲点よりも車外側に位置する第一中空壁側の部位と、第二屈曲点よりも車外側に位置する第二中空壁側の部位となるシール壁と突起部は、ドアの突出曲面部に弾接したときに撓み方向は一定化し安定した状態でのシール性を確保することができ、多少の建付けバラツキにも対応できる。
【0016】
また、本発明によれば、前記第二屈曲点から前記第二中空壁の他端の間は、前記立設壁に対して鈍角で形成されているので、鋭角の場合と比較して中空部を大きくすることができ弾接による反力をアップすることができる。
【0017】
また、本発明によれば、第一中空壁の一端から第一屈曲点までに、第一中空壁のそれ以外と比較して剛性を高くする材質で構成した部位を設けたり、あるいは、第一中空壁のそれ以外と比較して剛性を高くするように厚肉にした部位を設けるので、中空シール部の土台側の剛性が確保され、一層安定したシール機能が得られる。
また、本発明によれば、第二中空壁の一端から第二屈曲点までに、第二中空壁のそれ以外と比較して剛性を高くする材質で構成した部位を設けたり、あるいは、第二中空壁のそれ以外と比較して剛性を高くするように厚肉にした部位を設けるので、上述したものと同様に、中空シール部の土台側の剛性が確保され、一層安定したシール機能が得られる。
【0018】
なお、中空シール部の形状としては様々のものがあるが、少なくとも、中空シール部において、ドアの突出曲面部に弾接するとともに突出曲面部の曲率半径よりも大きい曲率半径で、中空シール部の内方に向けて膨出湾曲されたシール壁と、そのシール壁に連続して車外側に突出するように設けられ、シール壁とともにドアの突出曲面部に弾接する突起部であって突部又はリップ部を備えるものであれば、突起部とドアの突出曲面部との間に三角スキが生じることを抑えることができ、多少の建付けバラツキにも対応できるウェザーストリップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るウェザーストリップを示すもので、図5のA−A線拡大断面図である。
【図2】図1に示すウェザーストリップがドアに弾接した状態を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る別のウェザーストリップを示すもので、図5のA−A線拡大断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るさらに別のウェザーストリップを示すもので、図5のA−A線拡大断面図である。
【図5】自動車の外観側面図である。
【図6】従来例に係るウェザーストリップを示すもので、図5のA−A線拡大断面図である。
【図7】図6に示すウェザーストリップがドアに弾接した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係るウェザーストリップ100について説明する。図1は本発明の実施形態に係るウェザーストリップ100を示す拡大断面図であり、図5のA−A線に相当する。また、図2は実施形態に係るウェザーストリップ100がドアDに弾接して中空シール部40が撓んだ様子を示す断面図である。なお、従来で示したものと同一部分には同一符号を付した。
【0021】
本発明の実施形態に係るウェザーストリップ100は、自動車のボディBのドアD開口周縁部に沿って設けられたフランジFに挿入して取付けられる取付基部30と、その取付基部30の車外側となる車外側側壁31に設けられ、ドアD閉時にそのドアDから内側(ドアDの閉時においては車内側)に向けて突設された断面略U字形状の突出曲面部Daに弾接する中空シール部40を備えている。
【0022】
取付基部30は、車外側側壁31と,車内側側壁32と,それら両側壁31,32を連結する底壁33からなる断面略U字形であり、その材質は、特に限定されるものではないが、例えば、EPDMなどのソリッド材や比重が0.4よりも大きなEPDMなどのスポンジ材で形成されている。そして、取付基部30の車外側側壁31の内側(車内側)には、挿入時にフランジFの車外側面に摺接する複数(ここでは3個)の突条片35が設けられ、車内側側壁32の内側(車外側)には、挿入時にフランジFの車内側面に摺接する断面略舌状のリップ部36が設けられている。また、車内側側壁32と底壁33との連結位置には車内側に延びる断面略舌状の装飾リップ部37が設けられ、取付基部30には断面略U字形状の芯材38(金属製でも樹脂製でもよい)が埋設されている。
【0023】
中空シール部40は、第一屈曲点P1を介して断面略く字形状に形成された第一中空壁41と、第二屈曲点P2を介して断面略逆く字形状に形成された第二中空壁42が各屈曲点P1,P2を互いに離間させる方向で接続されてなり、パンタグラフのような形状をしている。
【0024】
第一中空壁41について説明すると、第一中空壁41の一端41aは、取付基部30の車外側側壁31の端部寄り部位に接続され、斜め外向き(図1において、フランジFの延びる線に対して斜め左上側)に延び、第一屈曲点P1で折れ曲がって第一中空壁41の他端41bは車外側でかつ中空シール部40の内方に向けて延び、第二中空壁42の他端42bにおける中空シール部40の内方に接続されている。
また、第一中空壁41の一端41aから第一屈曲点P1までは、第一中空壁41のそれ以外と比較して剛性を高くするように厚肉にされている。なお、第一中空壁41の一端41aから第一屈曲点P1までの全体ではなく、部分的に厚肉部を設けるようにすることもできる。ここでは、断面形状において、第一中空壁41の一端41aから第一屈曲点P1までの長さよりも、第一屈曲点P1から第一中空壁41の他端41bまでの長さの方を少し長くしているが、略同一の長さにしても、あるいは、逆に第一中空壁41の一端41aから第一屈曲点P1までの長さの方を少し長くして第一屈曲点P1をドアD側に一層近づけるようにしてもよい。
【0025】
次に第二中空壁42について説明すると、第二中空壁42の一端42aは、取付基部30の車外側側壁31の底壁33寄り部位から、車外側に向けて突出しさらに車外側側壁31に略平行で底壁33側に突出した部位に接続され、斜め外向き(図1において、フランジFの延びる線に対して斜め左上側)に立ち上がるように延び、第二屈曲点P2で折れ曲がって第二中空壁42の他端42bは車外側でかつ中空シール部40の内方に向けて延び、第一中空壁41の他端41bを車外側から覆うように延びている。
そして、ここでは、第二中空壁42の一端42aから第二屈曲点P2の間を立設壁42Xとし、第二中空壁42の第二屈曲点P2と第二中空壁42の他端42bの間をシール壁42Yとしている。断面形状において、シール壁42Yの延びる方向は、立設壁42Xの延びる方向に対して鈍角θになるように形成され、しかも、シール壁42Yは、中空シール部40の内方に向けて膨出湾曲するように形成されている。
【0026】
さらに、第二中空壁42の他端42b、すなわち、シール壁42Yの先端には、シール壁42Yから連続する断面略舌状のリップ部43が形成されている。上述したように、第一中空壁41の他端41bは、第二中空壁42の他端42bにおける中空シール部40の内方に接続されているので、リップ部43は中空部より車外側に突出させられている。
また、シール壁42Yの曲率半径Rは、ドアDから突設された突出曲面部Daの曲率半径rよりも大きく、リップ部43はシール壁42Yと同じ曲率半径の軌跡上になるようにシール壁42Yから連続して設けられている。つまり、シール壁42Yとリップ部43は車外側、すなわち、ドアDの突出曲面部Da側に凹状に反った状態で、ドアDの閉時には突出曲面部Daに弾接する。
【0027】
また、第二中空壁42の一端42aから第二屈曲点P2までは、第二中空壁42のそれ以外と比較して剛性を高くするように厚肉にされている。なお、第二中空壁42の一端42aから第二屈曲点P2までの全体ではなく、部分的に厚肉部を設けるようにすることもできる。ここでは、断面形状において、第二中空壁42の一端42aから第二屈曲点P2までの長さよりも、第二屈曲点P2から第二中空壁42の他端42bまでの長さの方を少し長くしているが、略同一の長さにしても、あるいは、逆に第二中空壁42の一端42aから第二屈曲点P2までの長さの方を少し長くして第二屈曲点P2をドアD側に一層近づけるようにしてもよい。
【0028】
このように、中空シール部42は、取付基部30の車外側側壁31端部側に接続された断面略く字形状の第一中空壁41と、取付基部30の車外側側壁31の底壁33寄り部位から車外側に向けて突出しさらに車外側側壁31に略平行で底壁33側に突出した部位に接続された断面略逆く字形状の第二中空壁42が接続されたものであるので、中空部は、略七角形をしている。中空シール部42の材質は、特に限定されるものではないが、例えば、取付基部30を構成する材料と同等の剛性、あるいは、これより剛性の低いEPDMなどのスポンジ材やソリッド材で形成されている。
【0029】
このように構成されたウェザーストリップ100において、ドアDの閉時に、中空シール部40のシール壁42YがドアDの突出曲面部Daに弾接すると、断面略く字形状の第一中空壁41と断面略逆く字形状の第二中空壁42はそれぞれ第一屈曲点P1及び第二屈曲点P2が互いに離間してく字形状が車外側から車内側に向かって押し潰されるように撓み、第一中空壁41の他端41b側が中空シール部40の内方に向かって入り込むように湾曲する。このとき、シール壁42Yとそれから延びるリップ部43は、車外側に向かって反った状態となっているので、図2に示すように、リップ部43はドアDの突出曲面部Daに近づいてリップ部43の背面側(車外側)が突出曲面部Daに密着する。
これによって、リップ部43とドアDの突出曲面部Daの間に従来例で示したような三角スキSが生じることが防止されるので、ドアDを開けたときにリップ部43の車外側から水滴が室内側に浸入することは防止される。
また、シール壁42Yは中空シール部40の内方に向けて膨出湾曲しているので、ドアDの突出曲面部Daに無理なく追従させることができ、特に、シール壁42Yの曲率半径Rを、突出曲面部Daの曲率半径rよりも大きくしているので、安定したシール機能が得られ、多少の建付けバラツキにも対応できる。その結果、従来例で示したように、急激に面圧(反力)が低下するような事態は避けられる。
【0030】
また、中空シール部40を構成する第一中空壁41及び第二中空壁42に設けられた第一屈曲点P1及び第二屈曲点P2は、中空シール部40内でもドアD側(車外側)に寄った位置に設けられているので、第一屈曲点P1よりも車外側に位置する第一中空壁41側の部位と、第二屈曲点P2よりも車外側に位置する第二中空壁42側の部位となるシール壁42Yとリップ部43は、ドアDの突出曲面部Daに弾接したときに撓み方向は一定化し安定した状態でのシール性を確保することができ、多少の建付けバラツキにも対応できる。
また、断面形状において、第二中空壁42の第二屈曲点P2から第二中空壁42の他端42bの間となるシール壁42Yの延びる方向を、立設壁42Xの延びる方向に対して鈍角θとなるように形成したので、鋭角の場合と比較して中空部を大きくすることができ弾接による反力をアップすることができる。
【0031】
また、第一中空壁41の一端41aから第一屈曲点P1までに、第一中空壁41のそれ以外と比較して剛性を高くするように厚肉にした部位を設けるとともに、第二中空壁42の一端42aから第二屈曲点P2までにも、第二中空壁42のそれ以外と比較して剛性を高くするように厚肉にした部位を設けたので、中空シール部40の土台側となる部位の剛性が確保され、一層安定したシール機能が得られる。
【0032】
また、第一中空壁41の一端41aから第一屈曲点P1までの間、及び第二中空壁42の一端42aから第二屈曲点P2までの間に、厚肉にした部位を設けることにかえて、図3に示すように、第一中空壁41の一端41aから第一屈曲点P1までに、第一中空壁41のそれ以外(ここでは、スポンジ材)と比較して剛性を高くする材質(例えば、取付基部30と同材質、ここでは、ソリッド材)で構成した部位を設けるとともに、第二中空壁42の一端42aから第二屈曲点P2までに、第二中空壁42のそれ以外(ここでは、スポンジ材)と比較して剛性を高くする材質(例えば、取付基部30と同材質、ここでは、ソリッド材)で構成した部位を設けるようにしてもよい。
【0033】
また、本発明の実施形態に係るウェザーストリップ100においては、中空シール部40の形状として様々のものが考えられるが、少なくとも、中空シール部40において、中空シール部40の内方に向けて膨出湾曲されたシール壁42Yと、そのシール壁42Yに連続して車外側に突出するように設けられ、シール壁42YとともにドアDの突出曲面部Daに弾接するリップ部43を備えるものであれば、リップ部43とドアDの突出曲面部Daとの間に三角スキSが生じることを抑えることができ、多少の建付けバラツキにも対応できるといった効果を発揮することができ、特に、シール壁42Yの曲率半径Rを突出曲面部Daの曲率半径rよりも大きいものにすると有効である。
よって、例えば、図4に示すように、断面略く字形状の第一中空壁41に接続され、中空シール部40を第一中空壁41とともに構成する断面略逆く字形状の第二中空壁52の一端52aを、取付基部30の車外側側壁31の底壁33側に直接接続したものであってもよい。このとき中空部は、略五角形をしている。なお、第二中空壁52の第二屈曲点P2よりも第二中空壁52の他端52b側がシール壁42Yとされ、シール壁42Yの他端52bに中空シール部40よりも車外側に突出するリップ部43が連続的に延びるように設けられている。
また、以上の説明におけるリップ部43の突起を、リップ部43よりも突出量が少なく、これ自体がしなったり撓んだりすることのない突部としてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 ウェザーストリップ
10 取付基部
11 車外側側壁
12 車内側側壁
13 底壁
15 突条片
16 リップ部
17 装飾リップ部
18 芯材
20 中空シール部
21 第一中空壁
22 第二中空壁
22a 先端
30 取付基部
31 車外側側壁
32 車内側側壁
33 底壁
35 突条片
36 リップ部
37 装飾リップ部
38 芯材
40 中空シール部
41 第一中空壁
41a 第一中空壁の一端
41b 第一中空壁の他端
42 第二中空壁
42a 第二中空壁の一端
42b 第二中空壁の他端
42X 立設壁
42Y シール壁
43 リップ部
52 第二中空壁
52a 第二中空壁の一端
52b 第二中空壁の他端
100 ウェザーストリップ
B ボディ
D ドア
Da 突出曲面部
F フランジ
P1 第一屈曲点
P2 第二屈曲点
R1 第一屈曲点
R2 第二屈曲点
S 三角スキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ボディのドア開口周縁部に取付けられ、車外側側壁と車内側側壁とそれら両側壁を連結する底壁からなる断面略U字形状の取付基部と、その取付基部の車外側に設けられるとともに、前記ドアから車内側に向けて突設された断面略U字形状の突出曲面部に弾接する中空シール部を備えるウェザーストリップであって、
前記中空シール部は、第一屈曲点を介して断面略く字形状に形成された第一中空壁と、第二屈曲点を介して断面略逆く字形状に形成された第二中空壁が接続され、
前記第一中空壁の一端は、前記取付基部の車外側側壁の端部寄り部位に接続されるとともに、前記第二中空壁の一端は、前記取付基部の車外側側壁の底壁寄り部位から、車外側に向けて突出しさらに車外側側壁に略平行で前記底壁側に突出した部位に接続され、
前記第二中空壁の一端と第二屈曲点の間は、車外側に向けて立設された立設壁とされるとともに、前記第二屈曲点と第二中空壁の他端の間は、前記中空シール部の内方に向けて膨出湾曲され、前記ドアの突出曲面部に弾接するシール壁とされ、
前記第二中空壁の他端には、前記シール壁から連続し、前記シール壁とともに前記ドアの突出曲面部に弾接する突起部が形成され、
前記第一中空壁の他端は、前記第二中空壁の他端における前記中空シール部の内方に接続され、前記突起部を車外側に突出させてなることを特徴とするウェザーストリップ。
【請求項2】
前記第二中空壁のシール壁の曲率半径を、前記ドアから突設された突出曲面部の曲率半径よりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載のウェザーストリップ。
【請求項3】
前記第二中空壁の第二屈曲点から前記第二中空壁の他端の間は、前記立設壁に対して鈍角で形成されてなる特徴とする請求項1又は2に記載のウェザーストリップ。
【請求項4】
前記第一中空壁の一端から前記第一屈曲点までに、第一中空壁のそれ以外と比較して剛性を高くする材質で構成した部位を設けるか、あるいは、第一中空壁のそれ以外と比較して剛性を高くするように厚肉にした部位を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載のウェザーストリップ。
【請求項5】
前記第二中空壁の一端から前記第二屈曲点までに、第二中空壁のそれ以外と比較して剛性を高くする材質で構成した部位を設けるか、あるいは、第二中空壁のそれ以外と比較して剛性を高くするように厚肉にした部位を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一つに記載のウェザーストリップ。
【請求項6】
自動車ボディのドア開口周縁部に取付けられ、車外側側壁と車内側側壁とそれら両側壁を連結する底壁からなる断面略U字形状の取付基部と、その取付基部の車外側に設けられるとともに、前記ドアから車内側に向けて突設された断面略U字形状の突出曲面部に弾接する中空シール部を備えるウェザーストリップであって、
前記中空シール部は、前記ドアの突出曲面部に弾接するとともに前記突出曲面部の曲率半径よりも大きい曲率半径で、中空シール部の内方に向けて膨出湾曲されたシール壁と、
前記シール壁に連続して車外側に突出するように設けられ、前記シール壁とともに前記突出曲面部に弾接する突起部を備えることを特徴とするウェザーストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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