ウェハ処理堆積物遮蔽構成材
本明細書に記載の実施形態は概して半導体処理チャンバ用の構成材、半導体処理チャンバ用の処理キット及び処理キットを有する半導体処理チャンバに関する。一実施形態において、スパッタリングターゲット及び基板支持体を取り囲むための下方シールドが提供される。この下方シールドは、スパッタリングターゲットのスパッタリング面及び基板支持体を取り囲む寸法設計の第1直径を有する円筒状外方バンドを備え、この円筒状バンドは、スパッタリングターゲットのスパッタリング面を取り囲む上部壁と、基板支持体を取り囲む底部壁とを備え、下方シールドは更に、載置面を備え且つ円筒状外方バンドから半径方向外側に延びる支持棚部と、円筒状バンドの底部壁から半径方向内側に延びるベースプレートと、ベースプレートに連結され且つ基板支持体の周縁部を部分的に取り囲む円筒状内方バンドとを備える。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
(発明の分野)
本明細書に記載の実施形態は概して半導体処理チャンバ用の構成材、半導体処理チャンバ用の処理キット及び処理キットを有する半導体処理チャンバに関する。より具体的には、本明細書に記載の実施形態は、物理気相蒸着チャンバでの使用に適したリングアセンブリ及び多重シールドを含む処理キットに関する。
【0002】
(関連技術の説明)
集積回路及びディスプレイの製造においては、半導体ウェハ、ディスプレイパネル等の基板を基板処理チャンバ内に載置し、チャンバ内の処理条件を設定して基板上に材料を堆積する又は基板上で材料をエッチングする。典型的な処理チャンバは処理区域を取り囲む囲壁、チャンバ内に処理ガスを供給するためのガス供給源、基板処理用の処理ガスにエネルギーを印加するためのガスエナジャイザ、使用済みのガスを除去してチャンバ内のガス圧を維持するためのガス排出口及び基板を保持するための基板支持体を含むチャンバ構成材を備える。このようなチャンバには、例えばスパッタリング(PVD)、化学気相蒸着(CVD)及びエッチングチャンバを含めることができる。PVDチャンバにおいて、ターゲット材料をスパッタするための励起させたガスによりターゲットをスパッタすると、ターゲット材料がターゲットに面した基板上に堆積される。
【0003】
スパッタリング処理において、ターゲットからスパッタされた材料はターゲットを取り囲むチャンバ構成材の縁部にも堆積し、望ましくない。周縁ターゲット領域には暗部領域があり、このエリアでのイオン拡散の結果、スパッタされた材料が再堆積される。スパッタされた材料のこの領域での蓄積及び増加は望ましくない。これはこのような蓄積堆積物によって装置の分解が必要となり、ターゲット及び周辺構成材の洗浄又は交換がプラズマの短絡につながり、またターゲットとチャンバ壁との間でのアーク放電を引き起こす可能性があるからである。これらの堆積物が熱応力により剥離し、剥れ落ちて内部に入り込み、チャンバ及びその構成材を汚染することも多い。
【0004】
基板支持体及びチャンバ側壁周囲に配置されるシールド、カバーリング及び堆積リングを備えた処理キットは、余分にスパッタされた材料を受けとめることでチャンバ壁及びその他の構成材の表面を保護し、その上への堆積を防止するために使用されることが多い。蓄積堆積物を洗浄するために、定期的に処理キットの構成材を分解し、チャンバから取り外す。このため、互いに若しくは基板と膠着することなく又はプロセス洗浄サイクル間での堆積物の剥落を生じさせることなく、より多くの蓄積堆積物を受け止め、許容するように設計された処理キット構成材を得ることが望ましい。また、部品又は構成材の数がより少なく、処理チャンバの内面に生じるスパッタ堆積物の量を減量できるような形状に形成され且つ位置関係に配置された構成材を有する処理キットを得ることが望ましい。
【0005】
チャンバ内でスパッタリング用プラズマに曝露され、シールドとチャンバ構成材との間の熱伝導不良によりチャンバのライナ及びシールドが過度に高温となった場合には、また別の問題が生じる。例えば、低熱伝導性材料から成るシールドの温度制御は困難である。アダプタ等の支持構成材との接触面における熱抵抗もシールド温度に影響を与える。シールドとアダプタとの間の締め付け力の弱さもまた、シールドの温度上昇を引き起こす可能性がある。熱制御をしない限り、連続して基板を処理する間、シールドの温度は待機時の室温状態と高温との間で循環することになる。高応力金属の処理堆積物がシールド上に堆積され大きな温度変化にさらされると、シールドへの膜の付着性及び膜のそれ自身への凝集力が、例えば膜とその下のシールドとの間の熱膨張係数の不整合から劇的に低下する可能性がある。基板処理中のシールド及びライナの温度を低下させてシールド表面からの蓄積堆積物の剥離を軽減することが望ましい。
【0006】
チャンバからのガスコンダクタンス不良により、慣用の基板処理チャンバ及びPVD処理では別の問題も生じる。必要な処理ガスの処理キャビティへの供給と使用済みの処理ガスの適切な排気の双方を実行するには高コンダクタンスのガス流経路が必要である。しかしながら、チャンバ壁の内側を覆うシールド及びその他のチャンバ構成材は、実質的にガスコンダクタンス流を低下させてしまう場合がある。これらの構成材に開口部を形成し、同時にその開口部を通るガスコンダクタンスを上昇させると、これらのガスコンダクタンス穴部を通って視線方向のスパッタリング堆積物も処理区域から流出し、チャンバ壁上に堆積されてしまう。このような穴部により処理キャビティ内から周囲のチャンバ領域へとプラズマ漏れが起こる可能性もある。また、このような穴部を有するチャンバ構成材は別の欠点も有しており、追加部品が必要なこと、その相対的な脆さ、複数の部品による累積誤差及び接触面における熱伝導性の不良が含まれるが、これらに限定されない。
【0007】
このため、構成材表面からの処理堆積物の剥離を軽減しつつ熱伝導性を上昇させる処理キット構成材を得ることが望ましい。プラズマ処理中にシールドとライナが過度な高温と低温との間とを循環しないようにその温度を制御することが更に望ましい。また、処理区域外での視線方向での堆積を防止しつつ、総体的なガスコンダクタンスを上昇させ且つプラズマ漏れを軽減することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
本明細書に記載の実施形態は概して半導体処理チャンバ用の構成材、半導体処理チャンバ用の処理キット及び処理キットを有する半導体処理チャンバに関する。一実施形態において、スパッタリングターゲット及び基板支持体を取り囲むための下方シールドが提供される。この下方シールドは、スパッタリングターゲットのスパッタリング面及び基板支持体を取り囲む寸法設計の第1直径を有する円筒状外方バンドを備え、この円筒状バンドは、スパッタリングターゲットのスパッタリング面を取り囲む上部壁と、基板支持体を取り囲む底部壁とを備え、下方シールドは更に、載置面を備え且つ円筒状外方バンドから半径方向外側に延びる支持棚部と、円筒状バンドの底部壁から半径方向内側に延びるベースプレートと、ベースプレートに連結され且つ基板支持体の周縁部を部分的に取り囲む円筒状内方バンドとを備える。
【0009】
別の実施形態において、処理チャンバにおいて基板支持体の周壁を取り囲むための堆積リングが提供される。この堆積リングは、基板支持体の周壁を取り囲むための環状バンドを備え、この環状バンドは、環状バンドから横方向に延び且つ基板支持体の周壁と実質的に平行である内方リップ部を備え、この内方リップ部は、基板の周縁部及び基板支持体を取り囲む堆積リングの内周を定め、処理中、基板によって覆われない支持体の領域を保護して周壁上へのスパッタリング堆積物の堆積を軽減する又は完全に妨げさえし、堆積リングは更に、バンドの中央部位に沿って延びるV型突起部を備え、このV型突起部の両側には内方リップ部に隣接した第1半径方向内側凹部及び第2半径方向内側凹部がある。
【0010】
更に別の実施形態において、堆積リングを取り囲み且つ堆積リングをスパッタリング堆積物から少なくとも部分的に守るためのカバーリングが提供される。この堆積リングは、上面と、半径方向内側に傾斜し且つ上面に連結された内周部及び外周部を有する傾斜上面と、堆積リングの棚部に載置される底面を備える環状ウェッジを備え、上面は実質的に底面に平行であり、環状ウェッジは更に突出ブリムを備え、突出ブリムは、突出ブリムと協働して視線方向の堆積物が内部容積から流出してチャンバ本体キャビティへと侵入するのを阻止する傾斜上面によって上面に連結され、カバーリングは更に、環状ウェッジから下方向に延びる内方円筒状バンドを備え、この内方円筒状バンドは外方円筒状バンドより低い高さを有する。
【0011】
更に別の実施形態において、半導体処理チャンバ用の処理キットが提供される。この処理キットは、内部チャンバ構成材及び基板の張り出し縁部への処理堆積物の堆積を軽減するための下方シールドと、中間シールドと、処理チャンバ内の基板支持体周囲に位置決めされたリングアセンブリとを備える。下方シールドは、スパッタリングターゲットを取り囲む上部壁及び基板支持体を取り囲む底部壁を有する外方円筒状バンドと、支持棚部と、基板支持体を取り囲む内方円筒状バンドとを備える。リングアセンブリは堆積リング及びカバーリングを備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の上記の構成が詳細に理解されるように、上記で簡単に要約した本発明のより詳細な説明を実施形態を参照して行う。実施形態の一部は添付図面に図示されている。しかしながら、添付図面は本発明の典型的な実施形態しか図示しておらず、本発明はその他の同等に効果的な実施形態も含み得ることから、本発明の範囲を制限すると解釈されないことに留意すべきである。
【0013】
【図1】本明細書に記載の処理キットの一実施形態を有する半導体処理システムの簡略化された断面図である。
【図2】図1のターゲット及びアダプタと界接した処理キットの部分断面図である。
【図3A】本明細書に記載の一実施形態による下方シールドの断面図である。
【図3B】図3Aの下方シールドの部分断面図である。
【図3C】図3Aの下方シールドの上面図である。
【図4A】本明細書に記載の一実施形態による堆積リングの断面図である。
【図4B】本明細書に記載の一実施形態による堆積リングの部分断面図である。
【図4C】図4Aの堆積リングの上面図である。
【図5A】本明細書に記載の一実施形態による中間シールドの部分断面図である。
【図5B】図5Aの中間シールドの上面図である。
【図6A】本明細書に記載の一実施形態によるカバーリングの部分断面図である。
【図6B】図6Aのカバーリングの断面図である。
【図6C】図6Aのカバーリングの上面図である。
【詳細な説明】
【0014】
本明細書に記載の実施形態は概して、物理気相蒸着(PVD)チャンバで使用するための処理キットを提供する。この処理キットは、有利には、処理キャビティ外のRF高調波及び漂遊プラズマを減少させ、これによってより長いチャンバ構成材耐用年数と共により高い処理均一性及び繰り返し精度を得る。
【0015】
図1は、基板105を処理可能な処理キット150の一実施形態を有する例示的な半導体処理チャンバ100を示す。処理キット150は、一体型下方シールド160、介挿カバーリング170、堆積リング180及び中間シールド190を含む。図示の実施形態において、処理チャンバ100は、チタン、酸化アルミニウム、アルミニウム、銅、タンタル、窒化タンタル、タングステン又は窒化タングステンを基板上に堆積可能なスパッタリングチャンバ(物理気相蒸着又はPVDチャンバとも称される)を含む。適したPVDチャンバの例には、ALPS(商標名)PLus及びSIP ENCORE(商標名)PVD処理チャンバが含まれ、両方共、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から商業的に入手可能である。その他の製造業者から入手可能な処理チャンバを利用して本明細書に記載の実施形態を実行することも考えられる。
【0016】
処理チャンバ100は、内部容積110又はプラズマ区域を取り囲む囲壁102及び側壁104を有するチャンバ本体部101、底壁106及び蓋アセンブリ108を含む。チャンバ本体部101は典型的にはステンレススチールの溶接板又はアルミニウムの単塊から作製される。側壁104は一般に、基板105を処理チャンバ100内外に搬入・搬出するためのスリットバルブ(図示せず)を有する。側壁104に配置されたポンピングポート120は、排気を行い内部容積110の圧力を制御するポンピングシステム122に連結される。処理チャンバ100の蓋アセンブリ108は、カバーリング170に介挿される下方シールド160、中間シールド190及び上方シールド195と協働して、内部容積110内で形成されたプラズマを基板の上の領域に閉じ込める。
【0017】
台座アセンブリ124は、チャンバ100の底壁106によって支持される。台座アセンブリ124は、処理中、堆積リング180を基板105と共に支持する。台座アセンブリ124は、上方位置と下方位置との間で台座アセンブリ124を移動するように構成された昇降機構126によって、チャンバ100の底壁106に連結される。加えて、下方位置において、昇降ピンを台座アセンブリ124を貫通させて動かすことによって基板105を台座アセンブリ124から離し、処理チャンバ100外部に配置されたウェハ搬送機構(シングルブレードロボット等(図示せず))との間での基板105の受け渡しを円滑に行うことができる。蛇腹部129は典型的には台座アセンブリ124とチャンバ底壁106との間に配置され、チャンバ本体部101の内部容積110を台座アセンブリ124の内部及びチャンバ外部から隔離している。
【0018】
台座アセンブリ124は一般に、プラットフォームハウジング130に封止連結された基板支持体128を含む。このプラットフォームハウジング130は典型的には、ステンレススチール、アルミニウム等の金属材料から作製される。一般には冷却プレート(図示せず)をプラットフォームハウジング130内に配置し、基板支持体128の温度調節を行う。本発明が有益となるように構成し得る台座アセンブリ124の1つが、1996年4月16日にDavenportらに発行された米国特許第5507499号に記載されており、この文献は参照により全て本明細書に組み込まれる。
【0019】
基板支持体128は、アルミニウム又はセラミックを含むことができる。基板支持体128は、処理中、基板105を受け止めて支持する基板受け面132を有し、基板受け面132は、スパッタリングターゲット136のスパッタリング面134に実質的に平行な面を有する。支持体128は、基板105の張り出し縁部107の手前で終端する周壁138も有する。基板支持体128は、静電チャック、セラミック体、ヒータ又はこれらの組み合わせであってもよい。一実施形態において、基板支持体128は、導電層が埋設された誘電性本体部を含む静電チャックである。誘電性本体部は、典型的には高熱伝導性の誘電体(熱分解窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化シリコン、アルミナ等)又は同等の材料から作製される。
【0020】
蓋アセンブリ108は一般に、ターゲット136及びマグネトロン140を含む。蓋アセンブリ108は、図1に示されるように、閉鎖位置にある場合、側壁104によって支持される。アイソレータリング142がターゲット136と上方シールド195との間に配置され、その間での真空漏れを防止し且つチャンバ壁とターゲット136との間での電気的短絡を軽減する。一実施形態において、上方シールド195は、アルミニウム、ステンレススチール等の材料を含む。
【0021】
ターゲット136は蓋アセンブリ108に連結され、処理チャンバ100の内部容積110に露出している。ターゲット136は、PVD処理中、基板上に堆積させる材料を提供する。アイソレータリング142を、ターゲット136とチャンバ本体部101との間に配置し、ターゲット136をチャンバ本体部101から絶縁する。一実施形態において、アイソレータリング142はセラミック材料を含む。
【0022】
ターゲット136及び台座アセンブリ124は、電源144によって互いに相対的にバイアス印加される。アルゴン等のガスは、ガス供給源146から導管148を介して内部容積110に供給される。ガス供給源146は、アルゴン、キセノン等の非反応性ガスを含むことができ、この非反応性ガスは、ターゲット136に力強く衝突し、材料をターゲット136からスパッタ可能である。ガス供給源146は、スパッタリング材料と反応して基板上に層を形成可能な反応性ガス、例えば酸素含有ガス及び窒素含有ガスの1種以上を含むこともできる。使用済みの処理ガス及び副生成物は、ポンピングポート120を通してチャンバ100から排出される。ポンピングポート120は、使用済みの処理ガスを受け取ると、スロットルバルブを有する排気管121へとその使用済みのガスを流すことによってチャンバ100内のガス圧を制御する。排気管148はポンピングシステム122に接続される。典型的には、チャンバ100内のスパッタリングガスの圧力は、大気圧より低いレベル(真空環境、例えばガス圧1mTorr〜400mTorr等)に設定される。プラズマは、基板105とターゲット136との間でガスから形成される。プラズマ中のイオンはターゲット136に向かって加速し、ターゲット136から材料を叩き出す。この叩き出されたターゲット材料が、基板105上に堆積される。
【0023】
マグネトロン140は、蓋アセンブリ108に処理チャンバ100の外側で連結される。マグネトロン140は、PVD処理中のターゲット136の均等な消費を促進する少なくとも1つの回転磁石アセンブリ(図示せず)を含む。利用し得るマグネトロンの1つが、1999年9月21日にOrらに発行された米国特許第5953827号に記載されており、この文献は参照により全て本明細書に組み込まれる。
【0024】
チャンバ100は、チャンバ100の構成材を操作してチャンバ100内で基板を処理するための命令セットを有するプログラムコードを搭載したコントローラ196によって制御される。例えば、コントローラ196は、基板支持体128を操作するための基板位置決め命令セット、ガス流量制御バルブを操作してスパッタリングガスのチャンバ100への流量を設定するためのガス流量制御命令セット、スロットルバルブを操作してチャンバ100内の圧力を維持するためのガス圧制御命令セット、支持体128又は側壁104内の温度制御システム(図示せず)を基板又は側壁104の設定温度にそれぞれ制御するための温度制御命令セット及びチャンバ100内の処理を監視するための処理監視命令セットを含むプログラムコードを搭載可能である。
【0025】
コリメータ197を下方シールド160に連結して接地する。一実施形態において、コリメータは金属リングであってもよく、また外方管状セクション及び少なくとも1つの内方同心管状セクション、例えば支材でつながれた3つの同心管状セクションを含む。
【0026】
チャンバ100は、例えば構成材表面のスパッタリング堆積物を洗浄するために、侵食された構成材を交換又は修繕するために又はチャンバ100を別の処理用に適合させるためにチャンバ100から簡単に取り外し可能な様々な構成材を備えた処理キット150も備える。一実施形態において、処理キット150は、下方シールド160、中間シールド190及び基板105の張り出し縁部107の手前で終端する基板支持体128の周壁138周囲に配置するためのリングアセンブリ202を備える。図2に示されるように、リングアセンブリ202は、堆積リング180及びカバーリング170を備える。堆積リング180は、支持体128を取り囲む環状バンド402を備える。カバーリング170は少なくとも部分的に堆積リング180を覆う。堆積リング180とカバーリング170とが協働することによって、支持体128の周壁138及び基板105の張り出し縁部107上でのスパッタ堆積物の発生が減少する。
【0027】
下方シールド160は、基板支持体128に面するスパッタリングターゲット136のスパッタリング面134及び基板支持体128の周壁138を取り囲む。下方シールド160は、チャンバ100の側壁104を覆って隠し、下方シールド160の背後の構成材及び表面上への、スパッタリングターゲット136のスパッタリング面134から発生するスパッタリング堆積物の堆積を軽減する。例えば、下方シールド160は、支持体128の表面、基板105の張り出し縁部107、チャンバ100の側壁104及び底壁106を保護可能である。
【0028】
図3A及び3Bは、本明細書に記載の一実施形態による下方シールドの部分断面図である。図3Cは、図3Aの下方シールドの上面図である。図1及び図3A〜3Cに示されるように、下方シールド160は一体構成であり、スパッタリングターゲット136のスパッタリング面134及び基板支持体128を取り囲む寸法設計の直径を有する円筒状外方バンド310を備える。円筒状外方バンド310は、スパッタリングターゲット136のスパッタリング面134を取り囲む上部壁312を有する。支持棚部313は、円筒状外方バンド310の上部壁312から半径方向外側に延びる。支持棚部313は、チャンバ100の側壁104を取り囲む第1環状アダプタ172上に載置される載置面314を備える。載置面314は、下方シールド160を第1環状アダプタ172に整列させるためのピンを受けるような形状に形成された複数のスロットを有していてもよい。
【0029】
図3Bに示されるように、上部壁312は、内周部326及び外周部328を備える。外周部328は傾斜段差部330を形成するように延びる。傾斜段差部330は、垂直線から半径方向外側に約5°〜約10°、例えば垂直線から約8°傾斜している。一実施形態において、内周部326は、垂直線から半径方向内側に約2°〜約5°、例えば約3.5°傾斜している。
【0030】
第1環状アダプタ172は下方シールド160を支持し、また基板処理チャンバ100の側壁104周囲での熱交換機として機能可能である。第1環状アダプタ172とシールド160とがアセンブリを構成することによってシールド160からアダプタ172へのより良好な熱伝達がなされ、シールド上に堆積された材料にかかる熱膨張応力が減少する。基板処理チャンバ内で形成されたプラズマへの曝露によってシールド160の一部が過剰に熱せられてシールドが熱膨張してしまい、その上のスパッタリング堆積物が剥落し、基板105上に落ちて基板を汚染する場合がある。第1アダプタ172は、下方シールド160の載置面314と接触する接触面174を有していることからシールド160とアダプタ172との間で良好な熱導電性が得られる。一実施形態において、シールド160の載置面314及び第1アダプタ172の接触面174はそれぞれ約10〜約80マイクロインチ又は約16〜約63マイクロインチもの表面粗さ又は、一実施形態において、平均表面粗さ約32マイクロインチを有する。一実施形態において、第1アダプタ172は、熱伝達流体を流して第1アダプタ172の温度を制御するための導管を更に備える。
【0031】
下方シールド160の支持棚部313の下には、基板支持体128を取り囲む底部壁316がある。ベースプレート318が円筒状外方バンド310の底部壁316から半径方向内側に延びる。円筒状内方バンド320はベースプレート318に連結され、少なくとも部分的に基板支持体128の周壁138を取り囲む。円筒状内方バンド320、ベースプレート318及び円筒状外方バンド310はU型チャネルを構成する。円筒状内方バンド320は、円筒状外方バンド310の高さより低い高さを有する。一実施形態において、内方バンド320の高さは、円筒状外方バンド310の高さの約5分の1である。一実施形態において、底部壁316はノッチ322を有する。一実施形態において、円筒状外方バンド310は一連のガス穴部324を有する。
【0032】
円筒状外方バンド310、上部壁312、支持棚部313、底部壁316及び内方円筒状バンド320は一体構造をなす。例えば、一実施形態においては下方シールド160全体を300シリーズのステンレススチールから、別の実施形態においてはアルミニウムから形成可能である。一体型下方シールド160は、複数の構成材、多くは2つか3つの別々の部品で完全な下方シールドを構成する従来のシールドより有利である。例えば、単一部品のシールドのほうが、複数の部品から成るシールドより熱処理及び冷却処理の両方において熱的に均一である。例えば、単一部品の下方シールド160は第1アダプタ172に対して1つしか熱界面を有していないため、シールド160と第1アダプタ172との間での熱交換をより制御しやすくなる。複数の構成材から成るシールド160だと、クリーニングの際にシールドを取り外すのがより困難で手間がかかってしまう。単一部品のシールド160のスパッタリング堆積物に曝される面は連続的であり、洗浄がより困難となる界面や角がない。また、この単一部品のシールド160は、処理サイクル中、側壁104をスパッタ堆積からより効果的に遮断する。
【0033】
一実施形態においては、下方シールド160の露出面を、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から商業的に入手可能なCLEANCOAT(商標名)で処理する。CLEANCOAT(商標名)はツインワイヤアルミニウムアーク溶射コーティングであり、基板処理チャンバ構成材(下方シールド160等)に適用することによって下方シールド160上への堆積物の粒子落下を軽減してチャンバ100内の基板105の汚染を防止する。一実施形態において、下方シールド160上のツインワイヤアルミニウムアーク溶射コーティングは、約600〜約2300マイクロインチの表面粗さを有する。
【0034】
下方シールド160は、チャンバ100内の内部容積110に面した露出面を有する。一実施形態においては、露出面にビードブラスト加工を施して表面粗さを175±75マイクロメートルとする。テクスチャ加工されたビードブラスト加工済み表面は、粒子の落下を軽減し、またチャンバ100内の汚染を防止する役割を果たす。平均表面粗さは、露出面に沿った粗さを特徴づける山及び谷の平均線からの差の絶対値の平均である。平均粗さ、ひずみ又はその他の特性は、露出面に針を通して表面上の凸凹の高さの変動のトレースを描く粗面計又は表面で反射した電子ビームを利用して表面の画像を得る走査電子顕微鏡によって求めることができる。
【0035】
図4A〜4Cを参照するが、堆積リング180は図2に示されるように支持体128の周壁138近くまで延びそれを取り囲む環状バンド402を備える。環状バンド402は、バンド402から横方向に延び且つ支持体128の周壁138と実質的に平行な内方リップ部404を備える。内方リップ部404は、基板105の張り出し縁部107のすぐ下で終端する。内方リップ部404は、基板105の周縁部及び基板支持体128を取り囲む堆積リング180の内周を定め、処理中、基板105によって覆われない支持体128の領域を保護する。例えば、内方リップ部404は、そのままでは処理環境に露出してしまう支持体128の周壁138を取り囲み且つ少なくとも部分的に覆うことによって、周壁138上へのスパッタリング堆積物の堆積を軽減する又は完全に妨げさえする。有利には、堆積リング180を簡単に取り外してリング180の露出面からスパッタリング堆積物を洗浄することが可能であり、支持体128を洗浄のために分解する必要がない。堆積リング180は、支持体128の露出側面を保護して、エネルギー印加されたプラズマ種によるその侵食を軽減する役目を果たすことも可能である。
【0036】
図2に示す実施形態において、堆積リング180の環状バンド402は、バンド402の中央部位に沿って延びるV型突起部406を有し、このV型突起部406の両側には第1半径方向内側凹部408a及び第2半径方向内側凹部408bがある。一実施形態において、V型突起部406の対向する面は角度αを形成する。一実施形態において、この角度αは約25°〜約30°である。別の実施形態において、角度αは約27°〜約28°である。第1半径方向内側凹部408aは、第2半径方向内側凹部408bの水平面より若干下の水平面に位置する。一実施形態において、第2半径方向内側凹部408bは、約0.8インチ〜約0.9インチの幅を有する。別の実施形態において、第2半径方向内側凹部408bは、約0.83インチ〜約0.84インチの幅を有する。一実施形態において、第1半径方向内側凹部408a及び第2半径方向内側凹部408bは、堆積リング180の底面420と実質的に平行である。第2半径方向内側凹部408bはカバーリング170から離間され、カバーリング170との間にアーク状チャネル410を形成し、このアーク状チャネルは、図2に示されるように、プラズマ種のアーク状チャネル410内への侵入を軽減するための迷路として機能する。開放内方チャネル412は内方リップ部404とV型突起部406との間に延びる。開放内方チャネル412は半径方向内側に延び、基板105の張り出し縁部107の少なくとも部分的に下で終端する。開放内方チャネル412によって、堆積リング180の洗浄中のこれらの部位からのスパッタリング堆積物の除去が円滑になる。堆積リング180は、外側に延び且つV型突起部406の半径方向外側に位置する棚部414も有する。棚部414はカバーリング170を支持する役割を果たす。環状バンド402の底面420は、V型突起部406下を内方リップ部404から延びるノッチ422を有する。一実施形態において、このノッチは約0.6インチ〜約0.75インチの幅を有する。別の実施形態において、ノッチは約0.65インチ〜約0.69インチの幅を有する。一実施形態において、ノッチは約0.020インチ〜約0.030インチの高さを有する。別の実施形態において、ノッチは約0.023インチ〜約0.026インチの高さを有する。
【0037】
一実施形態において、第2半径方向内側凹部408bは、矢印Aで示される外径を有する。一実施形態において、第2半径方向内側凹部408bの直径Aは約13インチ〜約13.5インチである。別の実施形態において、第2半径方向内側凹部408bの直径Aは、約13.1インチ〜約13.2インチである。一実施形態において、第2半径方向内側凹部408bは、矢印Eで示される内径を有する。一実施形態において、第2半径方向内側凹部408bの直径Eは約12インチ〜約12.5インチである。別の実施形態において、直径Eは約12.2インチ〜約12.3インチである。
【0038】
一実施形態において、環状バンド402は、矢印Dで示されるような直径を有する。一実施形態において、環状バンド402の直径Dは約11インチ〜約12インチである。別の実施形態において、環状バンド402の直径Dは約11.25インチ〜約11.75インチである。更に別の実施形態において、環状バンド402の直径Dは約11.40インチ〜約11.60インチである。一実施形態において、環状バンド402は、矢印Fによって示されるような外径を有する。一実施形態において、環状バンド402の直径Fは約13インチ〜約14インチである。別の実施形態において、環状バンド402の直径Fは約13.25インチ〜約13.75インチである。更に別の実施形態において、直径Fは13.40インチ〜約13.60インチである。
【0039】
一実施形態において、V型突起部の上部は、矢印Bによって示される直径を有する。一実施形態において、直径Bは約12インチ〜約12.3インチである。別の実施形態において、直径Bは約12.1インチ〜約12.2インチである。
【0040】
一実施形態において、内方リップ部404は、矢印Cによって示される外径を有する。一実施形態において、直径Cは約11インチ〜約12インチである。別の実施形態において、直径Cは約11.5インチ〜約11.9インチである。更に別の実施形態において、直径Cは約11.7インチ〜約11.8インチである。
【0041】
堆積リング180は、セラミック材料(酸化アルミニウム等)を成形し機械加工することによって作製可能である。好ましくは、酸化アルミニウムは、望ましくない元素(鉄等)によるチャンバ100の汚染を軽減するために少なくとも約99.5%の純度を有する。このセラミック材料を、慣用の技法(静水圧プレス成形等)用いて成型及び焼成し、それに続いて適切な機械加工法を用いて成型・焼成された予備成形物を機械加工することで必要とされる形状と寸法にする。
【0042】
堆積リング180の環状バンド402は、グリットブラスト加工された露出面を含むことができる。グリットブラスト加工は、既定の表面粗さを得るのに適したグリットサイズで行われる。一実施形態においては、堆積リング180の表面をツインワイヤアルミニウムアーク溶射コーティング(例えば、CLEANCOAT(商標名)等)で処理して、粒子の落下と汚染を軽減する。
【0043】
図5Aは、本明細書に記載の一実施形態による中間シールド190の部分断面図である。中間シールド190は、基板支持体128に面したスパッタリングターゲット136のスパッタリング面134を取り囲む。中間シールド190は下方シールド160の上部壁312及びチャンバ100の側壁104を覆って隠し、中間シールド160の背後の構成材及び表面上への、スパッタリングターゲット136のスパッタリング面134から発生するスパッタリング堆積物の堆積を軽減する。
【0044】
図1及び5Aに示されるように、中間シールド160は一体構成であり、上方シールド195を取り囲む寸法設計の第1直径D1を有する円筒状バンド510を備える。円筒状外方バンド310は、上方シールド195を取り囲む上部壁512、中間壁517及び底部壁518を有する。取付フランジ514が円筒状バンド510の上部壁512から半径方向外側に延びる。取付フランジ514は、チャンバ100の側壁104を取り囲む第2環状アダプタ176上に載置される載置面516を備える。載置面は、中間シールド190をアダプタ176に整列させるためのピンを受けるような形状に形成された複数のスロットを備えていてもよい。
【0045】
中間壁517は上部壁512の延長である。中間壁517は、上部壁512から、上部壁512と中間壁517との間の移行点から始まって半径方向内側に傾斜している。一実施形態において、中間壁517は垂直線から約5°〜約10°、例えば垂直線から約7°傾斜している。円筒状バンドの中間壁517は第2直径D2を形成する。第2直径D2は、下方シールド160の上部壁312の傾斜部位内に収まるように寸法設計される。
【0046】
底部壁518は、中間壁517の延長である。底部壁518は、中間壁517と底部壁518との間の移行点から始まって中間壁517に対して半径方向外側に傾斜している。一実施形態において、底部壁518は垂直線から約1°〜約5°、例えば垂直線から約4°傾斜している。
【0047】
上部壁512、中間壁517、底部壁518及び取付フランジ514は一体構造をなす。例えば、一実施形態において、中間シールド190全体を300シリーズのステンレススチールから、別の実施形態においてはアルミニウムから作製可能である。
【0048】
図1、2、6A、6B、6Cを参照するが、カバーリング170は、堆積リング180を取り囲み且つ少なくとも部分的に覆うことによってスパッタリング堆積物の大部分を受け止め、堆積リング180を堆積物から守っている。カバーリング170は、スパッタリングプラズマによる侵食に耐性がある材料、例えば金属材料(ステンレススチール、チタン、アルミニウム等)又はセラミック材料(酸化アルミニウム等)から作製される。一実施形態において、カバーリング170は、少なくとも約99.9%の純度を有するチタンから構成される。一実施形態においては、カバーリング170の表面をツインワイヤアーク溶射コーティング(例えば、CLEANCOTA(商標名)等)で処理することによって、カバーリング170の表面からの粒子落下を軽減する。カバーリングは、矢印Hによって示される外径を有する。一実施形態において、直径Hは約14.5インチ〜約15インチである。別の実施形態において、直径Hは約14.8インチ〜約14.9インチである。カバーリングは、矢印Iによって示される内径を有する。一実施形態において、直径Iは約11.5インチ〜約12.5インチである。別の実施形態において、直径Iは約11.8インチ〜約12.2インチである。更に別の実施形態において、直径Iは約11.9インチ〜約12.0インチである。
【0049】
カバーリング170は、環状ウェッジ602を備える。この環状ウェッジは、上面603及び堆積リング180の棚部414上に載置される底面604を備える。上面603は実質的に底面604に平行である。傾斜上面603は上面603と突出ブリム610とを連結している。傾斜上面605は半径方向内側に傾斜し且つ基板支持体128を取り囲む。環状ウェッジ602の傾斜上面605は内周部及び外周部606、608を有する。内周部606は突出ブリム610を含み、この突出ブリムは堆積リング180の第2半径方向内側凹部408b上にかかり、堆積リング180のアーク状チャネル410を形成している。突出ブリム610によって、堆積リング180のアーク状チャネル410上へのスパッタリング堆積物の堆積が減少する。有利には、突出ブリム610は、堆積リング180と共に形成される開放内方チャネル412の幅の少なくとも約半分に対応する距離だけ突出する。突出ブリム610はアーチ状チャネル410及び開放内方チャネル412と協働し且つ相補することによってカバーリング170と堆積リング180との間に回旋状の狭窄した流路を形成するようなサイズ、形状及び位置に構成され、この流路が周壁138上への処理堆積物の流れを阻害する。アーク状チャネル410の狭窄した流路により、そのままでは互いに膠着する又は基板105の外縁の張り出し縁部と膠着してしまう、堆積リング180とカバーリング170との係合面上での低エネルギースパッタ堆積物の増加が制限される。基板105の張り出し縁部107の下に延びる堆積リング180の開放内方チャネル412は、カバーリング170の突出ブリム610による保護と共に、例えば、アルミニウムスパッタリングチャンバにおいてアルミニウムスパッタ堆積物を回収し、その一方で2つのリング170、180の係合面上へのスパッタ堆積を軽減する又は実質的に妨げるように設計されている。
【0050】
傾斜上面605は、突出ブリム610と協働して視線方向の堆積物が内部容積110から流出してチャンバ本体キャビティへと侵入するのを阻止する。傾斜上面605を、角度βで示されるように、上面603に対してある角度でもって傾斜させることができる。一実施形態において、角度βは約5°〜約15°である。別の実施形態において、角度βは約9°〜約11°である。一実施形態において、角度βは約10°である。カバーリング170の傾斜上面605の角度は、例えば、基板105の張り出し縁部107に最も近い位置での、そのままでは基板105全体で得られる堆積の均一性に悪影響を与えてしまうスパッタ堆積物の増加を最小限に留めるように設計されている。
【0051】
カバーリング170は、環状ウェッジ602の傾斜上面605下に位置する傾斜段差部612を更に備える。この傾斜段差部612は、突出ブリム610と底面604とを連結している。傾斜段差部612は環状ウェッジ602から下方向に且つ内周部606から半径方向外側に延びる。傾斜段差部612は、角度Yに示されるように底面に対してある角度で傾斜させることができる。一実施形態において、角度Yは約40°〜約50°である。別の実施形態において、角度Yは約42°〜約48°である。更に別の実施形態において、角度Yは約44°〜約46°である。
【0052】
傾斜段差部は、矢印Jによって示される内径を有する。一実施形態において、傾斜段差部612の直径Jは約12インチ〜約13インチである。別の実施形態において、傾斜段差部612の直径Jは約12.2インチ〜約12.5インチである。更に別の実施形態において、傾斜段差部612の直径Jは約12.3インチ〜約12.4インチである。傾斜段差部612は、矢印Kによって示される直径も有する。一実施形態において、傾斜段差部612の直径Kは約12.5インチ〜約13インチである。別の実施形態において、傾斜段差部612の直径Kは約12.7インチ〜約12.8インチである。一実施形態において、傾斜段差部612の直径Kは、底面604の内径として機能する。
【0053】
底面は、矢印Lによって示される外径を有する。一実施形態において、底面の直径Lは約13.5インチ〜約13.8インチである。別の実施形態において、直径Lは約13.4インチ〜約13.5インチである。
【0054】
カバーリング170は、環状ウェッジ602から下方向に延びる内方円筒状バンド614a及び外方円筒状バンド614bを更に備え、これらの間に間隙616を有する。一実施形態において、間隙616は幅0.5インチ〜約1インチを有する。別の実施形態において、間隙616は幅約0.7インチ〜約0.8インチを有する。一実施形態において、内方及び外方円筒状バンド614a、614bは実質的に垂直である。円筒状バンド614a、614bは、ウェッジ602の傾斜段差部602の半径方向外側に位置する。内方円筒状バンド614aの内周部618は、底面604に連結される。一実施形態において、内方円筒状バンド614aの内周部618は、垂直線から角度Φで傾斜している。一実施形態において、角度Φは約10°〜約20°である。別の実施形態において、角度Φは約14°〜約16°である。
【0055】
内方円筒状バンド614aは、外方円筒状バンド614bより低い高さを有する。典型的には、外方円筒状バンド614bの高さは、内方円筒状バンド614aの高さの少なくとも約2倍である。一実施形態において、外方円筒状バンド614bの高さは約0.4インチ〜約1インチである。別の実施形態において、外方円筒状バンド614bの高さは0.6インチ〜0.7インチである。一実施形態において、内方円筒状バンド614aの高さは約0.2インチ〜0.6インチである。別の実施形態において、内方円筒状バンド614aの高さは約0.3インチ〜0.4インチである。
【0056】
一実施形態において、底面の外径Lは、内方円筒状バンド614aの内径として機能する。内方円筒状バンド614aは、矢印Mによって示される外径を有する。一実施形態において、内方円筒状バンド614aの直径Mは約13.5インチ〜約14.2インチである。別の実施形態において、内方円筒状バンド614aの直径Mは約13.7〜14インチである。更に別の実施形態において、内方円筒状バンドの直径Mは約13.8インチ〜約13.9インチである。
【0057】
一実施形態において、外方円筒状バンド614bは、矢印Nによって示されるような内径を有する。一実施形態において、直径Nは約14インチ〜約15インチである。別の実施形態において、外方円筒状バンド614bの直径Nは約14.2インチ〜約14.8インチである。別の実施形態において、外方円筒状バンド614bの直径Nは約14.5インチ〜約14.6インチである。一実施形態において、カバーリングの直径Hは、外方円筒状バンドHの外径として機能する。
【0058】
一実施形態において、カバーリング170は異なる高さ範囲で調節可能であり且つ下方シールド160のコンダクタンス穴部を効果的に遮蔽する。例えば、カバーリング170を上昇又は下降させてチャンバ100内での基板支持体128に対してのその高さを調節することが可能である。
【0059】
下方シールド160とカバーリング170との間の空間又は間隙が、プラズマが通る回旋状のS型経路又は迷路を形成する。この経路の形状は、例えば、プラズマ種のこの領域への侵入を妨害し且つ遅らせることによってスパッタ材料の望ましくない堆積を軽減することから有利である。
【0060】
上記は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく本発明のその他及び更に別の実施形態を創作することができ、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。
【発明の背景】
【0001】
(発明の分野)
本明細書に記載の実施形態は概して半導体処理チャンバ用の構成材、半導体処理チャンバ用の処理キット及び処理キットを有する半導体処理チャンバに関する。より具体的には、本明細書に記載の実施形態は、物理気相蒸着チャンバでの使用に適したリングアセンブリ及び多重シールドを含む処理キットに関する。
【0002】
(関連技術の説明)
集積回路及びディスプレイの製造においては、半導体ウェハ、ディスプレイパネル等の基板を基板処理チャンバ内に載置し、チャンバ内の処理条件を設定して基板上に材料を堆積する又は基板上で材料をエッチングする。典型的な処理チャンバは処理区域を取り囲む囲壁、チャンバ内に処理ガスを供給するためのガス供給源、基板処理用の処理ガスにエネルギーを印加するためのガスエナジャイザ、使用済みのガスを除去してチャンバ内のガス圧を維持するためのガス排出口及び基板を保持するための基板支持体を含むチャンバ構成材を備える。このようなチャンバには、例えばスパッタリング(PVD)、化学気相蒸着(CVD)及びエッチングチャンバを含めることができる。PVDチャンバにおいて、ターゲット材料をスパッタするための励起させたガスによりターゲットをスパッタすると、ターゲット材料がターゲットに面した基板上に堆積される。
【0003】
スパッタリング処理において、ターゲットからスパッタされた材料はターゲットを取り囲むチャンバ構成材の縁部にも堆積し、望ましくない。周縁ターゲット領域には暗部領域があり、このエリアでのイオン拡散の結果、スパッタされた材料が再堆積される。スパッタされた材料のこの領域での蓄積及び増加は望ましくない。これはこのような蓄積堆積物によって装置の分解が必要となり、ターゲット及び周辺構成材の洗浄又は交換がプラズマの短絡につながり、またターゲットとチャンバ壁との間でのアーク放電を引き起こす可能性があるからである。これらの堆積物が熱応力により剥離し、剥れ落ちて内部に入り込み、チャンバ及びその構成材を汚染することも多い。
【0004】
基板支持体及びチャンバ側壁周囲に配置されるシールド、カバーリング及び堆積リングを備えた処理キットは、余分にスパッタされた材料を受けとめることでチャンバ壁及びその他の構成材の表面を保護し、その上への堆積を防止するために使用されることが多い。蓄積堆積物を洗浄するために、定期的に処理キットの構成材を分解し、チャンバから取り外す。このため、互いに若しくは基板と膠着することなく又はプロセス洗浄サイクル間での堆積物の剥落を生じさせることなく、より多くの蓄積堆積物を受け止め、許容するように設計された処理キット構成材を得ることが望ましい。また、部品又は構成材の数がより少なく、処理チャンバの内面に生じるスパッタ堆積物の量を減量できるような形状に形成され且つ位置関係に配置された構成材を有する処理キットを得ることが望ましい。
【0005】
チャンバ内でスパッタリング用プラズマに曝露され、シールドとチャンバ構成材との間の熱伝導不良によりチャンバのライナ及びシールドが過度に高温となった場合には、また別の問題が生じる。例えば、低熱伝導性材料から成るシールドの温度制御は困難である。アダプタ等の支持構成材との接触面における熱抵抗もシールド温度に影響を与える。シールドとアダプタとの間の締め付け力の弱さもまた、シールドの温度上昇を引き起こす可能性がある。熱制御をしない限り、連続して基板を処理する間、シールドの温度は待機時の室温状態と高温との間で循環することになる。高応力金属の処理堆積物がシールド上に堆積され大きな温度変化にさらされると、シールドへの膜の付着性及び膜のそれ自身への凝集力が、例えば膜とその下のシールドとの間の熱膨張係数の不整合から劇的に低下する可能性がある。基板処理中のシールド及びライナの温度を低下させてシールド表面からの蓄積堆積物の剥離を軽減することが望ましい。
【0006】
チャンバからのガスコンダクタンス不良により、慣用の基板処理チャンバ及びPVD処理では別の問題も生じる。必要な処理ガスの処理キャビティへの供給と使用済みの処理ガスの適切な排気の双方を実行するには高コンダクタンスのガス流経路が必要である。しかしながら、チャンバ壁の内側を覆うシールド及びその他のチャンバ構成材は、実質的にガスコンダクタンス流を低下させてしまう場合がある。これらの構成材に開口部を形成し、同時にその開口部を通るガスコンダクタンスを上昇させると、これらのガスコンダクタンス穴部を通って視線方向のスパッタリング堆積物も処理区域から流出し、チャンバ壁上に堆積されてしまう。このような穴部により処理キャビティ内から周囲のチャンバ領域へとプラズマ漏れが起こる可能性もある。また、このような穴部を有するチャンバ構成材は別の欠点も有しており、追加部品が必要なこと、その相対的な脆さ、複数の部品による累積誤差及び接触面における熱伝導性の不良が含まれるが、これらに限定されない。
【0007】
このため、構成材表面からの処理堆積物の剥離を軽減しつつ熱伝導性を上昇させる処理キット構成材を得ることが望ましい。プラズマ処理中にシールドとライナが過度な高温と低温との間とを循環しないようにその温度を制御することが更に望ましい。また、処理区域外での視線方向での堆積を防止しつつ、総体的なガスコンダクタンスを上昇させ且つプラズマ漏れを軽減することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
本明細書に記載の実施形態は概して半導体処理チャンバ用の構成材、半導体処理チャンバ用の処理キット及び処理キットを有する半導体処理チャンバに関する。一実施形態において、スパッタリングターゲット及び基板支持体を取り囲むための下方シールドが提供される。この下方シールドは、スパッタリングターゲットのスパッタリング面及び基板支持体を取り囲む寸法設計の第1直径を有する円筒状外方バンドを備え、この円筒状バンドは、スパッタリングターゲットのスパッタリング面を取り囲む上部壁と、基板支持体を取り囲む底部壁とを備え、下方シールドは更に、載置面を備え且つ円筒状外方バンドから半径方向外側に延びる支持棚部と、円筒状バンドの底部壁から半径方向内側に延びるベースプレートと、ベースプレートに連結され且つ基板支持体の周縁部を部分的に取り囲む円筒状内方バンドとを備える。
【0009】
別の実施形態において、処理チャンバにおいて基板支持体の周壁を取り囲むための堆積リングが提供される。この堆積リングは、基板支持体の周壁を取り囲むための環状バンドを備え、この環状バンドは、環状バンドから横方向に延び且つ基板支持体の周壁と実質的に平行である内方リップ部を備え、この内方リップ部は、基板の周縁部及び基板支持体を取り囲む堆積リングの内周を定め、処理中、基板によって覆われない支持体の領域を保護して周壁上へのスパッタリング堆積物の堆積を軽減する又は完全に妨げさえし、堆積リングは更に、バンドの中央部位に沿って延びるV型突起部を備え、このV型突起部の両側には内方リップ部に隣接した第1半径方向内側凹部及び第2半径方向内側凹部がある。
【0010】
更に別の実施形態において、堆積リングを取り囲み且つ堆積リングをスパッタリング堆積物から少なくとも部分的に守るためのカバーリングが提供される。この堆積リングは、上面と、半径方向内側に傾斜し且つ上面に連結された内周部及び外周部を有する傾斜上面と、堆積リングの棚部に載置される底面を備える環状ウェッジを備え、上面は実質的に底面に平行であり、環状ウェッジは更に突出ブリムを備え、突出ブリムは、突出ブリムと協働して視線方向の堆積物が内部容積から流出してチャンバ本体キャビティへと侵入するのを阻止する傾斜上面によって上面に連結され、カバーリングは更に、環状ウェッジから下方向に延びる内方円筒状バンドを備え、この内方円筒状バンドは外方円筒状バンドより低い高さを有する。
【0011】
更に別の実施形態において、半導体処理チャンバ用の処理キットが提供される。この処理キットは、内部チャンバ構成材及び基板の張り出し縁部への処理堆積物の堆積を軽減するための下方シールドと、中間シールドと、処理チャンバ内の基板支持体周囲に位置決めされたリングアセンブリとを備える。下方シールドは、スパッタリングターゲットを取り囲む上部壁及び基板支持体を取り囲む底部壁を有する外方円筒状バンドと、支持棚部と、基板支持体を取り囲む内方円筒状バンドとを備える。リングアセンブリは堆積リング及びカバーリングを備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の上記の構成が詳細に理解されるように、上記で簡単に要約した本発明のより詳細な説明を実施形態を参照して行う。実施形態の一部は添付図面に図示されている。しかしながら、添付図面は本発明の典型的な実施形態しか図示しておらず、本発明はその他の同等に効果的な実施形態も含み得ることから、本発明の範囲を制限すると解釈されないことに留意すべきである。
【0013】
【図1】本明細書に記載の処理キットの一実施形態を有する半導体処理システムの簡略化された断面図である。
【図2】図1のターゲット及びアダプタと界接した処理キットの部分断面図である。
【図3A】本明細書に記載の一実施形態による下方シールドの断面図である。
【図3B】図3Aの下方シールドの部分断面図である。
【図3C】図3Aの下方シールドの上面図である。
【図4A】本明細書に記載の一実施形態による堆積リングの断面図である。
【図4B】本明細書に記載の一実施形態による堆積リングの部分断面図である。
【図4C】図4Aの堆積リングの上面図である。
【図5A】本明細書に記載の一実施形態による中間シールドの部分断面図である。
【図5B】図5Aの中間シールドの上面図である。
【図6A】本明細書に記載の一実施形態によるカバーリングの部分断面図である。
【図6B】図6Aのカバーリングの断面図である。
【図6C】図6Aのカバーリングの上面図である。
【詳細な説明】
【0014】
本明細書に記載の実施形態は概して、物理気相蒸着(PVD)チャンバで使用するための処理キットを提供する。この処理キットは、有利には、処理キャビティ外のRF高調波及び漂遊プラズマを減少させ、これによってより長いチャンバ構成材耐用年数と共により高い処理均一性及び繰り返し精度を得る。
【0015】
図1は、基板105を処理可能な処理キット150の一実施形態を有する例示的な半導体処理チャンバ100を示す。処理キット150は、一体型下方シールド160、介挿カバーリング170、堆積リング180及び中間シールド190を含む。図示の実施形態において、処理チャンバ100は、チタン、酸化アルミニウム、アルミニウム、銅、タンタル、窒化タンタル、タングステン又は窒化タングステンを基板上に堆積可能なスパッタリングチャンバ(物理気相蒸着又はPVDチャンバとも称される)を含む。適したPVDチャンバの例には、ALPS(商標名)PLus及びSIP ENCORE(商標名)PVD処理チャンバが含まれ、両方共、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から商業的に入手可能である。その他の製造業者から入手可能な処理チャンバを利用して本明細書に記載の実施形態を実行することも考えられる。
【0016】
処理チャンバ100は、内部容積110又はプラズマ区域を取り囲む囲壁102及び側壁104を有するチャンバ本体部101、底壁106及び蓋アセンブリ108を含む。チャンバ本体部101は典型的にはステンレススチールの溶接板又はアルミニウムの単塊から作製される。側壁104は一般に、基板105を処理チャンバ100内外に搬入・搬出するためのスリットバルブ(図示せず)を有する。側壁104に配置されたポンピングポート120は、排気を行い内部容積110の圧力を制御するポンピングシステム122に連結される。処理チャンバ100の蓋アセンブリ108は、カバーリング170に介挿される下方シールド160、中間シールド190及び上方シールド195と協働して、内部容積110内で形成されたプラズマを基板の上の領域に閉じ込める。
【0017】
台座アセンブリ124は、チャンバ100の底壁106によって支持される。台座アセンブリ124は、処理中、堆積リング180を基板105と共に支持する。台座アセンブリ124は、上方位置と下方位置との間で台座アセンブリ124を移動するように構成された昇降機構126によって、チャンバ100の底壁106に連結される。加えて、下方位置において、昇降ピンを台座アセンブリ124を貫通させて動かすことによって基板105を台座アセンブリ124から離し、処理チャンバ100外部に配置されたウェハ搬送機構(シングルブレードロボット等(図示せず))との間での基板105の受け渡しを円滑に行うことができる。蛇腹部129は典型的には台座アセンブリ124とチャンバ底壁106との間に配置され、チャンバ本体部101の内部容積110を台座アセンブリ124の内部及びチャンバ外部から隔離している。
【0018】
台座アセンブリ124は一般に、プラットフォームハウジング130に封止連結された基板支持体128を含む。このプラットフォームハウジング130は典型的には、ステンレススチール、アルミニウム等の金属材料から作製される。一般には冷却プレート(図示せず)をプラットフォームハウジング130内に配置し、基板支持体128の温度調節を行う。本発明が有益となるように構成し得る台座アセンブリ124の1つが、1996年4月16日にDavenportらに発行された米国特許第5507499号に記載されており、この文献は参照により全て本明細書に組み込まれる。
【0019】
基板支持体128は、アルミニウム又はセラミックを含むことができる。基板支持体128は、処理中、基板105を受け止めて支持する基板受け面132を有し、基板受け面132は、スパッタリングターゲット136のスパッタリング面134に実質的に平行な面を有する。支持体128は、基板105の張り出し縁部107の手前で終端する周壁138も有する。基板支持体128は、静電チャック、セラミック体、ヒータ又はこれらの組み合わせであってもよい。一実施形態において、基板支持体128は、導電層が埋設された誘電性本体部を含む静電チャックである。誘電性本体部は、典型的には高熱伝導性の誘電体(熱分解窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化シリコン、アルミナ等)又は同等の材料から作製される。
【0020】
蓋アセンブリ108は一般に、ターゲット136及びマグネトロン140を含む。蓋アセンブリ108は、図1に示されるように、閉鎖位置にある場合、側壁104によって支持される。アイソレータリング142がターゲット136と上方シールド195との間に配置され、その間での真空漏れを防止し且つチャンバ壁とターゲット136との間での電気的短絡を軽減する。一実施形態において、上方シールド195は、アルミニウム、ステンレススチール等の材料を含む。
【0021】
ターゲット136は蓋アセンブリ108に連結され、処理チャンバ100の内部容積110に露出している。ターゲット136は、PVD処理中、基板上に堆積させる材料を提供する。アイソレータリング142を、ターゲット136とチャンバ本体部101との間に配置し、ターゲット136をチャンバ本体部101から絶縁する。一実施形態において、アイソレータリング142はセラミック材料を含む。
【0022】
ターゲット136及び台座アセンブリ124は、電源144によって互いに相対的にバイアス印加される。アルゴン等のガスは、ガス供給源146から導管148を介して内部容積110に供給される。ガス供給源146は、アルゴン、キセノン等の非反応性ガスを含むことができ、この非反応性ガスは、ターゲット136に力強く衝突し、材料をターゲット136からスパッタ可能である。ガス供給源146は、スパッタリング材料と反応して基板上に層を形成可能な反応性ガス、例えば酸素含有ガス及び窒素含有ガスの1種以上を含むこともできる。使用済みの処理ガス及び副生成物は、ポンピングポート120を通してチャンバ100から排出される。ポンピングポート120は、使用済みの処理ガスを受け取ると、スロットルバルブを有する排気管121へとその使用済みのガスを流すことによってチャンバ100内のガス圧を制御する。排気管148はポンピングシステム122に接続される。典型的には、チャンバ100内のスパッタリングガスの圧力は、大気圧より低いレベル(真空環境、例えばガス圧1mTorr〜400mTorr等)に設定される。プラズマは、基板105とターゲット136との間でガスから形成される。プラズマ中のイオンはターゲット136に向かって加速し、ターゲット136から材料を叩き出す。この叩き出されたターゲット材料が、基板105上に堆積される。
【0023】
マグネトロン140は、蓋アセンブリ108に処理チャンバ100の外側で連結される。マグネトロン140は、PVD処理中のターゲット136の均等な消費を促進する少なくとも1つの回転磁石アセンブリ(図示せず)を含む。利用し得るマグネトロンの1つが、1999年9月21日にOrらに発行された米国特許第5953827号に記載されており、この文献は参照により全て本明細書に組み込まれる。
【0024】
チャンバ100は、チャンバ100の構成材を操作してチャンバ100内で基板を処理するための命令セットを有するプログラムコードを搭載したコントローラ196によって制御される。例えば、コントローラ196は、基板支持体128を操作するための基板位置決め命令セット、ガス流量制御バルブを操作してスパッタリングガスのチャンバ100への流量を設定するためのガス流量制御命令セット、スロットルバルブを操作してチャンバ100内の圧力を維持するためのガス圧制御命令セット、支持体128又は側壁104内の温度制御システム(図示せず)を基板又は側壁104の設定温度にそれぞれ制御するための温度制御命令セット及びチャンバ100内の処理を監視するための処理監視命令セットを含むプログラムコードを搭載可能である。
【0025】
コリメータ197を下方シールド160に連結して接地する。一実施形態において、コリメータは金属リングであってもよく、また外方管状セクション及び少なくとも1つの内方同心管状セクション、例えば支材でつながれた3つの同心管状セクションを含む。
【0026】
チャンバ100は、例えば構成材表面のスパッタリング堆積物を洗浄するために、侵食された構成材を交換又は修繕するために又はチャンバ100を別の処理用に適合させるためにチャンバ100から簡単に取り外し可能な様々な構成材を備えた処理キット150も備える。一実施形態において、処理キット150は、下方シールド160、中間シールド190及び基板105の張り出し縁部107の手前で終端する基板支持体128の周壁138周囲に配置するためのリングアセンブリ202を備える。図2に示されるように、リングアセンブリ202は、堆積リング180及びカバーリング170を備える。堆積リング180は、支持体128を取り囲む環状バンド402を備える。カバーリング170は少なくとも部分的に堆積リング180を覆う。堆積リング180とカバーリング170とが協働することによって、支持体128の周壁138及び基板105の張り出し縁部107上でのスパッタ堆積物の発生が減少する。
【0027】
下方シールド160は、基板支持体128に面するスパッタリングターゲット136のスパッタリング面134及び基板支持体128の周壁138を取り囲む。下方シールド160は、チャンバ100の側壁104を覆って隠し、下方シールド160の背後の構成材及び表面上への、スパッタリングターゲット136のスパッタリング面134から発生するスパッタリング堆積物の堆積を軽減する。例えば、下方シールド160は、支持体128の表面、基板105の張り出し縁部107、チャンバ100の側壁104及び底壁106を保護可能である。
【0028】
図3A及び3Bは、本明細書に記載の一実施形態による下方シールドの部分断面図である。図3Cは、図3Aの下方シールドの上面図である。図1及び図3A〜3Cに示されるように、下方シールド160は一体構成であり、スパッタリングターゲット136のスパッタリング面134及び基板支持体128を取り囲む寸法設計の直径を有する円筒状外方バンド310を備える。円筒状外方バンド310は、スパッタリングターゲット136のスパッタリング面134を取り囲む上部壁312を有する。支持棚部313は、円筒状外方バンド310の上部壁312から半径方向外側に延びる。支持棚部313は、チャンバ100の側壁104を取り囲む第1環状アダプタ172上に載置される載置面314を備える。載置面314は、下方シールド160を第1環状アダプタ172に整列させるためのピンを受けるような形状に形成された複数のスロットを有していてもよい。
【0029】
図3Bに示されるように、上部壁312は、内周部326及び外周部328を備える。外周部328は傾斜段差部330を形成するように延びる。傾斜段差部330は、垂直線から半径方向外側に約5°〜約10°、例えば垂直線から約8°傾斜している。一実施形態において、内周部326は、垂直線から半径方向内側に約2°〜約5°、例えば約3.5°傾斜している。
【0030】
第1環状アダプタ172は下方シールド160を支持し、また基板処理チャンバ100の側壁104周囲での熱交換機として機能可能である。第1環状アダプタ172とシールド160とがアセンブリを構成することによってシールド160からアダプタ172へのより良好な熱伝達がなされ、シールド上に堆積された材料にかかる熱膨張応力が減少する。基板処理チャンバ内で形成されたプラズマへの曝露によってシールド160の一部が過剰に熱せられてシールドが熱膨張してしまい、その上のスパッタリング堆積物が剥落し、基板105上に落ちて基板を汚染する場合がある。第1アダプタ172は、下方シールド160の載置面314と接触する接触面174を有していることからシールド160とアダプタ172との間で良好な熱導電性が得られる。一実施形態において、シールド160の載置面314及び第1アダプタ172の接触面174はそれぞれ約10〜約80マイクロインチ又は約16〜約63マイクロインチもの表面粗さ又は、一実施形態において、平均表面粗さ約32マイクロインチを有する。一実施形態において、第1アダプタ172は、熱伝達流体を流して第1アダプタ172の温度を制御するための導管を更に備える。
【0031】
下方シールド160の支持棚部313の下には、基板支持体128を取り囲む底部壁316がある。ベースプレート318が円筒状外方バンド310の底部壁316から半径方向内側に延びる。円筒状内方バンド320はベースプレート318に連結され、少なくとも部分的に基板支持体128の周壁138を取り囲む。円筒状内方バンド320、ベースプレート318及び円筒状外方バンド310はU型チャネルを構成する。円筒状内方バンド320は、円筒状外方バンド310の高さより低い高さを有する。一実施形態において、内方バンド320の高さは、円筒状外方バンド310の高さの約5分の1である。一実施形態において、底部壁316はノッチ322を有する。一実施形態において、円筒状外方バンド310は一連のガス穴部324を有する。
【0032】
円筒状外方バンド310、上部壁312、支持棚部313、底部壁316及び内方円筒状バンド320は一体構造をなす。例えば、一実施形態においては下方シールド160全体を300シリーズのステンレススチールから、別の実施形態においてはアルミニウムから形成可能である。一体型下方シールド160は、複数の構成材、多くは2つか3つの別々の部品で完全な下方シールドを構成する従来のシールドより有利である。例えば、単一部品のシールドのほうが、複数の部品から成るシールドより熱処理及び冷却処理の両方において熱的に均一である。例えば、単一部品の下方シールド160は第1アダプタ172に対して1つしか熱界面を有していないため、シールド160と第1アダプタ172との間での熱交換をより制御しやすくなる。複数の構成材から成るシールド160だと、クリーニングの際にシールドを取り外すのがより困難で手間がかかってしまう。単一部品のシールド160のスパッタリング堆積物に曝される面は連続的であり、洗浄がより困難となる界面や角がない。また、この単一部品のシールド160は、処理サイクル中、側壁104をスパッタ堆積からより効果的に遮断する。
【0033】
一実施形態においては、下方シールド160の露出面を、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から商業的に入手可能なCLEANCOAT(商標名)で処理する。CLEANCOAT(商標名)はツインワイヤアルミニウムアーク溶射コーティングであり、基板処理チャンバ構成材(下方シールド160等)に適用することによって下方シールド160上への堆積物の粒子落下を軽減してチャンバ100内の基板105の汚染を防止する。一実施形態において、下方シールド160上のツインワイヤアルミニウムアーク溶射コーティングは、約600〜約2300マイクロインチの表面粗さを有する。
【0034】
下方シールド160は、チャンバ100内の内部容積110に面した露出面を有する。一実施形態においては、露出面にビードブラスト加工を施して表面粗さを175±75マイクロメートルとする。テクスチャ加工されたビードブラスト加工済み表面は、粒子の落下を軽減し、またチャンバ100内の汚染を防止する役割を果たす。平均表面粗さは、露出面に沿った粗さを特徴づける山及び谷の平均線からの差の絶対値の平均である。平均粗さ、ひずみ又はその他の特性は、露出面に針を通して表面上の凸凹の高さの変動のトレースを描く粗面計又は表面で反射した電子ビームを利用して表面の画像を得る走査電子顕微鏡によって求めることができる。
【0035】
図4A〜4Cを参照するが、堆積リング180は図2に示されるように支持体128の周壁138近くまで延びそれを取り囲む環状バンド402を備える。環状バンド402は、バンド402から横方向に延び且つ支持体128の周壁138と実質的に平行な内方リップ部404を備える。内方リップ部404は、基板105の張り出し縁部107のすぐ下で終端する。内方リップ部404は、基板105の周縁部及び基板支持体128を取り囲む堆積リング180の内周を定め、処理中、基板105によって覆われない支持体128の領域を保護する。例えば、内方リップ部404は、そのままでは処理環境に露出してしまう支持体128の周壁138を取り囲み且つ少なくとも部分的に覆うことによって、周壁138上へのスパッタリング堆積物の堆積を軽減する又は完全に妨げさえする。有利には、堆積リング180を簡単に取り外してリング180の露出面からスパッタリング堆積物を洗浄することが可能であり、支持体128を洗浄のために分解する必要がない。堆積リング180は、支持体128の露出側面を保護して、エネルギー印加されたプラズマ種によるその侵食を軽減する役目を果たすことも可能である。
【0036】
図2に示す実施形態において、堆積リング180の環状バンド402は、バンド402の中央部位に沿って延びるV型突起部406を有し、このV型突起部406の両側には第1半径方向内側凹部408a及び第2半径方向内側凹部408bがある。一実施形態において、V型突起部406の対向する面は角度αを形成する。一実施形態において、この角度αは約25°〜約30°である。別の実施形態において、角度αは約27°〜約28°である。第1半径方向内側凹部408aは、第2半径方向内側凹部408bの水平面より若干下の水平面に位置する。一実施形態において、第2半径方向内側凹部408bは、約0.8インチ〜約0.9インチの幅を有する。別の実施形態において、第2半径方向内側凹部408bは、約0.83インチ〜約0.84インチの幅を有する。一実施形態において、第1半径方向内側凹部408a及び第2半径方向内側凹部408bは、堆積リング180の底面420と実質的に平行である。第2半径方向内側凹部408bはカバーリング170から離間され、カバーリング170との間にアーク状チャネル410を形成し、このアーク状チャネルは、図2に示されるように、プラズマ種のアーク状チャネル410内への侵入を軽減するための迷路として機能する。開放内方チャネル412は内方リップ部404とV型突起部406との間に延びる。開放内方チャネル412は半径方向内側に延び、基板105の張り出し縁部107の少なくとも部分的に下で終端する。開放内方チャネル412によって、堆積リング180の洗浄中のこれらの部位からのスパッタリング堆積物の除去が円滑になる。堆積リング180は、外側に延び且つV型突起部406の半径方向外側に位置する棚部414も有する。棚部414はカバーリング170を支持する役割を果たす。環状バンド402の底面420は、V型突起部406下を内方リップ部404から延びるノッチ422を有する。一実施形態において、このノッチは約0.6インチ〜約0.75インチの幅を有する。別の実施形態において、ノッチは約0.65インチ〜約0.69インチの幅を有する。一実施形態において、ノッチは約0.020インチ〜約0.030インチの高さを有する。別の実施形態において、ノッチは約0.023インチ〜約0.026インチの高さを有する。
【0037】
一実施形態において、第2半径方向内側凹部408bは、矢印Aで示される外径を有する。一実施形態において、第2半径方向内側凹部408bの直径Aは約13インチ〜約13.5インチである。別の実施形態において、第2半径方向内側凹部408bの直径Aは、約13.1インチ〜約13.2インチである。一実施形態において、第2半径方向内側凹部408bは、矢印Eで示される内径を有する。一実施形態において、第2半径方向内側凹部408bの直径Eは約12インチ〜約12.5インチである。別の実施形態において、直径Eは約12.2インチ〜約12.3インチである。
【0038】
一実施形態において、環状バンド402は、矢印Dで示されるような直径を有する。一実施形態において、環状バンド402の直径Dは約11インチ〜約12インチである。別の実施形態において、環状バンド402の直径Dは約11.25インチ〜約11.75インチである。更に別の実施形態において、環状バンド402の直径Dは約11.40インチ〜約11.60インチである。一実施形態において、環状バンド402は、矢印Fによって示されるような外径を有する。一実施形態において、環状バンド402の直径Fは約13インチ〜約14インチである。別の実施形態において、環状バンド402の直径Fは約13.25インチ〜約13.75インチである。更に別の実施形態において、直径Fは13.40インチ〜約13.60インチである。
【0039】
一実施形態において、V型突起部の上部は、矢印Bによって示される直径を有する。一実施形態において、直径Bは約12インチ〜約12.3インチである。別の実施形態において、直径Bは約12.1インチ〜約12.2インチである。
【0040】
一実施形態において、内方リップ部404は、矢印Cによって示される外径を有する。一実施形態において、直径Cは約11インチ〜約12インチである。別の実施形態において、直径Cは約11.5インチ〜約11.9インチである。更に別の実施形態において、直径Cは約11.7インチ〜約11.8インチである。
【0041】
堆積リング180は、セラミック材料(酸化アルミニウム等)を成形し機械加工することによって作製可能である。好ましくは、酸化アルミニウムは、望ましくない元素(鉄等)によるチャンバ100の汚染を軽減するために少なくとも約99.5%の純度を有する。このセラミック材料を、慣用の技法(静水圧プレス成形等)用いて成型及び焼成し、それに続いて適切な機械加工法を用いて成型・焼成された予備成形物を機械加工することで必要とされる形状と寸法にする。
【0042】
堆積リング180の環状バンド402は、グリットブラスト加工された露出面を含むことができる。グリットブラスト加工は、既定の表面粗さを得るのに適したグリットサイズで行われる。一実施形態においては、堆積リング180の表面をツインワイヤアルミニウムアーク溶射コーティング(例えば、CLEANCOAT(商標名)等)で処理して、粒子の落下と汚染を軽減する。
【0043】
図5Aは、本明細書に記載の一実施形態による中間シールド190の部分断面図である。中間シールド190は、基板支持体128に面したスパッタリングターゲット136のスパッタリング面134を取り囲む。中間シールド190は下方シールド160の上部壁312及びチャンバ100の側壁104を覆って隠し、中間シールド160の背後の構成材及び表面上への、スパッタリングターゲット136のスパッタリング面134から発生するスパッタリング堆積物の堆積を軽減する。
【0044】
図1及び5Aに示されるように、中間シールド160は一体構成であり、上方シールド195を取り囲む寸法設計の第1直径D1を有する円筒状バンド510を備える。円筒状外方バンド310は、上方シールド195を取り囲む上部壁512、中間壁517及び底部壁518を有する。取付フランジ514が円筒状バンド510の上部壁512から半径方向外側に延びる。取付フランジ514は、チャンバ100の側壁104を取り囲む第2環状アダプタ176上に載置される載置面516を備える。載置面は、中間シールド190をアダプタ176に整列させるためのピンを受けるような形状に形成された複数のスロットを備えていてもよい。
【0045】
中間壁517は上部壁512の延長である。中間壁517は、上部壁512から、上部壁512と中間壁517との間の移行点から始まって半径方向内側に傾斜している。一実施形態において、中間壁517は垂直線から約5°〜約10°、例えば垂直線から約7°傾斜している。円筒状バンドの中間壁517は第2直径D2を形成する。第2直径D2は、下方シールド160の上部壁312の傾斜部位内に収まるように寸法設計される。
【0046】
底部壁518は、中間壁517の延長である。底部壁518は、中間壁517と底部壁518との間の移行点から始まって中間壁517に対して半径方向外側に傾斜している。一実施形態において、底部壁518は垂直線から約1°〜約5°、例えば垂直線から約4°傾斜している。
【0047】
上部壁512、中間壁517、底部壁518及び取付フランジ514は一体構造をなす。例えば、一実施形態において、中間シールド190全体を300シリーズのステンレススチールから、別の実施形態においてはアルミニウムから作製可能である。
【0048】
図1、2、6A、6B、6Cを参照するが、カバーリング170は、堆積リング180を取り囲み且つ少なくとも部分的に覆うことによってスパッタリング堆積物の大部分を受け止め、堆積リング180を堆積物から守っている。カバーリング170は、スパッタリングプラズマによる侵食に耐性がある材料、例えば金属材料(ステンレススチール、チタン、アルミニウム等)又はセラミック材料(酸化アルミニウム等)から作製される。一実施形態において、カバーリング170は、少なくとも約99.9%の純度を有するチタンから構成される。一実施形態においては、カバーリング170の表面をツインワイヤアーク溶射コーティング(例えば、CLEANCOTA(商標名)等)で処理することによって、カバーリング170の表面からの粒子落下を軽減する。カバーリングは、矢印Hによって示される外径を有する。一実施形態において、直径Hは約14.5インチ〜約15インチである。別の実施形態において、直径Hは約14.8インチ〜約14.9インチである。カバーリングは、矢印Iによって示される内径を有する。一実施形態において、直径Iは約11.5インチ〜約12.5インチである。別の実施形態において、直径Iは約11.8インチ〜約12.2インチである。更に別の実施形態において、直径Iは約11.9インチ〜約12.0インチである。
【0049】
カバーリング170は、環状ウェッジ602を備える。この環状ウェッジは、上面603及び堆積リング180の棚部414上に載置される底面604を備える。上面603は実質的に底面604に平行である。傾斜上面603は上面603と突出ブリム610とを連結している。傾斜上面605は半径方向内側に傾斜し且つ基板支持体128を取り囲む。環状ウェッジ602の傾斜上面605は内周部及び外周部606、608を有する。内周部606は突出ブリム610を含み、この突出ブリムは堆積リング180の第2半径方向内側凹部408b上にかかり、堆積リング180のアーク状チャネル410を形成している。突出ブリム610によって、堆積リング180のアーク状チャネル410上へのスパッタリング堆積物の堆積が減少する。有利には、突出ブリム610は、堆積リング180と共に形成される開放内方チャネル412の幅の少なくとも約半分に対応する距離だけ突出する。突出ブリム610はアーチ状チャネル410及び開放内方チャネル412と協働し且つ相補することによってカバーリング170と堆積リング180との間に回旋状の狭窄した流路を形成するようなサイズ、形状及び位置に構成され、この流路が周壁138上への処理堆積物の流れを阻害する。アーク状チャネル410の狭窄した流路により、そのままでは互いに膠着する又は基板105の外縁の張り出し縁部と膠着してしまう、堆積リング180とカバーリング170との係合面上での低エネルギースパッタ堆積物の増加が制限される。基板105の張り出し縁部107の下に延びる堆積リング180の開放内方チャネル412は、カバーリング170の突出ブリム610による保護と共に、例えば、アルミニウムスパッタリングチャンバにおいてアルミニウムスパッタ堆積物を回収し、その一方で2つのリング170、180の係合面上へのスパッタ堆積を軽減する又は実質的に妨げるように設計されている。
【0050】
傾斜上面605は、突出ブリム610と協働して視線方向の堆積物が内部容積110から流出してチャンバ本体キャビティへと侵入するのを阻止する。傾斜上面605を、角度βで示されるように、上面603に対してある角度でもって傾斜させることができる。一実施形態において、角度βは約5°〜約15°である。別の実施形態において、角度βは約9°〜約11°である。一実施形態において、角度βは約10°である。カバーリング170の傾斜上面605の角度は、例えば、基板105の張り出し縁部107に最も近い位置での、そのままでは基板105全体で得られる堆積の均一性に悪影響を与えてしまうスパッタ堆積物の増加を最小限に留めるように設計されている。
【0051】
カバーリング170は、環状ウェッジ602の傾斜上面605下に位置する傾斜段差部612を更に備える。この傾斜段差部612は、突出ブリム610と底面604とを連結している。傾斜段差部612は環状ウェッジ602から下方向に且つ内周部606から半径方向外側に延びる。傾斜段差部612は、角度Yに示されるように底面に対してある角度で傾斜させることができる。一実施形態において、角度Yは約40°〜約50°である。別の実施形態において、角度Yは約42°〜約48°である。更に別の実施形態において、角度Yは約44°〜約46°である。
【0052】
傾斜段差部は、矢印Jによって示される内径を有する。一実施形態において、傾斜段差部612の直径Jは約12インチ〜約13インチである。別の実施形態において、傾斜段差部612の直径Jは約12.2インチ〜約12.5インチである。更に別の実施形態において、傾斜段差部612の直径Jは約12.3インチ〜約12.4インチである。傾斜段差部612は、矢印Kによって示される直径も有する。一実施形態において、傾斜段差部612の直径Kは約12.5インチ〜約13インチである。別の実施形態において、傾斜段差部612の直径Kは約12.7インチ〜約12.8インチである。一実施形態において、傾斜段差部612の直径Kは、底面604の内径として機能する。
【0053】
底面は、矢印Lによって示される外径を有する。一実施形態において、底面の直径Lは約13.5インチ〜約13.8インチである。別の実施形態において、直径Lは約13.4インチ〜約13.5インチである。
【0054】
カバーリング170は、環状ウェッジ602から下方向に延びる内方円筒状バンド614a及び外方円筒状バンド614bを更に備え、これらの間に間隙616を有する。一実施形態において、間隙616は幅0.5インチ〜約1インチを有する。別の実施形態において、間隙616は幅約0.7インチ〜約0.8インチを有する。一実施形態において、内方及び外方円筒状バンド614a、614bは実質的に垂直である。円筒状バンド614a、614bは、ウェッジ602の傾斜段差部602の半径方向外側に位置する。内方円筒状バンド614aの内周部618は、底面604に連結される。一実施形態において、内方円筒状バンド614aの内周部618は、垂直線から角度Φで傾斜している。一実施形態において、角度Φは約10°〜約20°である。別の実施形態において、角度Φは約14°〜約16°である。
【0055】
内方円筒状バンド614aは、外方円筒状バンド614bより低い高さを有する。典型的には、外方円筒状バンド614bの高さは、内方円筒状バンド614aの高さの少なくとも約2倍である。一実施形態において、外方円筒状バンド614bの高さは約0.4インチ〜約1インチである。別の実施形態において、外方円筒状バンド614bの高さは0.6インチ〜0.7インチである。一実施形態において、内方円筒状バンド614aの高さは約0.2インチ〜0.6インチである。別の実施形態において、内方円筒状バンド614aの高さは約0.3インチ〜0.4インチである。
【0056】
一実施形態において、底面の外径Lは、内方円筒状バンド614aの内径として機能する。内方円筒状バンド614aは、矢印Mによって示される外径を有する。一実施形態において、内方円筒状バンド614aの直径Mは約13.5インチ〜約14.2インチである。別の実施形態において、内方円筒状バンド614aの直径Mは約13.7〜14インチである。更に別の実施形態において、内方円筒状バンドの直径Mは約13.8インチ〜約13.9インチである。
【0057】
一実施形態において、外方円筒状バンド614bは、矢印Nによって示されるような内径を有する。一実施形態において、直径Nは約14インチ〜約15インチである。別の実施形態において、外方円筒状バンド614bの直径Nは約14.2インチ〜約14.8インチである。別の実施形態において、外方円筒状バンド614bの直径Nは約14.5インチ〜約14.6インチである。一実施形態において、カバーリングの直径Hは、外方円筒状バンドHの外径として機能する。
【0058】
一実施形態において、カバーリング170は異なる高さ範囲で調節可能であり且つ下方シールド160のコンダクタンス穴部を効果的に遮蔽する。例えば、カバーリング170を上昇又は下降させてチャンバ100内での基板支持体128に対してのその高さを調節することが可能である。
【0059】
下方シールド160とカバーリング170との間の空間又は間隙が、プラズマが通る回旋状のS型経路又は迷路を形成する。この経路の形状は、例えば、プラズマ種のこの領域への侵入を妨害し且つ遅らせることによってスパッタ材料の望ましくない堆積を軽減することから有利である。
【0060】
上記は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく本発明のその他及び更に別の実施形態を創作することができ、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理チャンバにおいてスパッタリングターゲット及び基板支持体を取り囲むための下方シールドであって、
スパッタリングターゲットのスパッタリング面及び基板支持体を取り囲む寸法設計の第1直径を有する円筒状外方バンドを備え、円筒状バンドは、スパッタリングターゲットのスパッタリング面を取り囲む上部壁と、基板支持体を取り囲む底部壁とを備え、
下方シールドが更に、
載置面を備え且つ円筒状外方バンドから半径方向外側に延びる支持棚部と、
円筒状バンドの底部壁から半径方向内側に延びるベースプレートと、
ベースプレートに連結され且つ基板支持体の周縁部を部分的に取り囲む円筒状内方バンドとを備える下方シールド。
【請求項2】
上部壁が、
内周部と、
外周部とを備え、外周部が傾斜段差部を形成するように延び、傾斜段差部が垂直線から約5°〜約10°半径方向外側に傾斜している、請求項1記載の下方シールド。
【請求項3】
円筒状内方バンドと、ベースプレートと円筒状外方バンドとがU型チャネルを形成し、円筒状内方バンドが、円筒状外方バンドの高さより低い高さを有する、請求項1記載の下方シールド。
【請求項4】
円筒状外方バンドと、上部壁と、支持棚部と、底部壁と内方円筒状バンドとが一体構造をなす、請求項1記載の下方シールド。
【請求項5】
下方シールドの露出面をビードブラスト加工して表面粗さを175±75マイクロインチにする、請求項1に記載の下方シールド。
【請求項6】
処理チャンバにおいて基板支持体の周壁を取り囲むための堆積リングであって、
基板支持体の周壁を取り囲むための環状バンドを備え、環状バンドが、環状バンドから横方向に延び且つ基板支持体の周壁と実質的に平行である内方リップ部を備え、内方リップ部が、基板の周縁部及び基板支持体を取り囲む堆積リングの内周を定め、処理中、基板によって覆われない支持体の領域を保護して周壁上へのスパッタリング堆積物の堆積を軽減する又は完全に防止し、
堆積リングが更に、
バンドの中央部位に沿って延びるV型突起部を備え、V型突起部の両側には内方リップ部に隣接した第1半径方向内側凹部及び第2半径方向内側凹部がある堆積リング。
【請求項7】
V型突起部の対向する面が約25°〜約30°の角度を形成する、請求項6記載の堆積リング。
【請求項8】
第1半径方向内側凹部が第2半径方向内側凹部の水平面より若干下の水平面に位置し、第1半径方向内側凹部及び第2半径方向内側凹部が堆積リングの底面に平行である、請求項6記載の堆積リング。
【請求項9】
環状バンドの底面がV型突起部及び内方リップ部の下を延びるノッチを有し、ノッチが約0.6インチ〜約0.75インチの幅及び約0.020インチ〜0.030インチの高さを有する、請求項6記載の堆積リング。
【請求項10】
第2半径方向内側凹部が約13インチ〜約13.5インチの外径及び約12インチ〜約12.5インチの内径を有し、V型突起部の先端が約12インチ〜約12.3インチの直径を有し、内方リップ部が約11インチ〜約12インチの外径を有する、請求項6記載の堆積リング。
【請求項11】
堆積リングを取り囲み且つ堆積リングをスパッタリング堆積物から少なくとも部分的に守るためのカバーリングであって、
環状ウェッジを備え、環状ウェッジが、上面と、半径方向内側に傾斜し且つ上面に連結された内周部及び外周部を有する傾斜上面と、堆積リングの棚部に載置される底面とを備え、上面が実質的に底面に平行であり、環状ウェッジが更に、傾斜上面によって上面に連結された突出ブリムを備え、傾斜上面が突出ブリムと協働して視線方向の堆積物が内部容積から流出してチャンバ本体キャビティへと侵入するのを阻止し、環状ウェッジが更に、環状ウェッジの傾斜上面下に位置し且つ突出ブリムを底面と連結している傾斜段差部を備え、
カバーリングが更に、
環状ウェッジから下方向に延びる内方円筒状バンド及び外方円筒状バンドを備え、内方円筒状バンドが外方円筒状バンドより低い高さを有するカバーリング。
【請求項12】
傾斜段差部が、環状ウェッジから下方向に且つ内周部から半径方向外側に延び、傾斜段差部が、底面に対して約40°〜約50°の角度で傾斜している、請求項11記載のカバーリング。
【請求項13】
カバーリングが、ステンレススチール、チタン、アルミニウム、酸化アルミニウム及びこれらの組み合わせを含む群から選択された材料から作製される、請求項11記載のカバーリング。
【請求項14】
カバーリングの表面を、ツインワイヤアルミニウムアーク溶射コーティングで処理する、請求項11記載のカバーリング。
【請求項15】
カバーリングが約14.5インチ〜約15インチの外径及び約11.5インチ〜約12.5インチの内径を有し、傾斜上面が、上面に対して約5°〜約15°の角度で傾斜している、請求項11記載のカバーリング。
【請求項1】
基板処理チャンバにおいてスパッタリングターゲット及び基板支持体を取り囲むための下方シールドであって、
スパッタリングターゲットのスパッタリング面及び基板支持体を取り囲む寸法設計の第1直径を有する円筒状外方バンドを備え、円筒状バンドは、スパッタリングターゲットのスパッタリング面を取り囲む上部壁と、基板支持体を取り囲む底部壁とを備え、
下方シールドが更に、
載置面を備え且つ円筒状外方バンドから半径方向外側に延びる支持棚部と、
円筒状バンドの底部壁から半径方向内側に延びるベースプレートと、
ベースプレートに連結され且つ基板支持体の周縁部を部分的に取り囲む円筒状内方バンドとを備える下方シールド。
【請求項2】
上部壁が、
内周部と、
外周部とを備え、外周部が傾斜段差部を形成するように延び、傾斜段差部が垂直線から約5°〜約10°半径方向外側に傾斜している、請求項1記載の下方シールド。
【請求項3】
円筒状内方バンドと、ベースプレートと円筒状外方バンドとがU型チャネルを形成し、円筒状内方バンドが、円筒状外方バンドの高さより低い高さを有する、請求項1記載の下方シールド。
【請求項4】
円筒状外方バンドと、上部壁と、支持棚部と、底部壁と内方円筒状バンドとが一体構造をなす、請求項1記載の下方シールド。
【請求項5】
下方シールドの露出面をビードブラスト加工して表面粗さを175±75マイクロインチにする、請求項1に記載の下方シールド。
【請求項6】
処理チャンバにおいて基板支持体の周壁を取り囲むための堆積リングであって、
基板支持体の周壁を取り囲むための環状バンドを備え、環状バンドが、環状バンドから横方向に延び且つ基板支持体の周壁と実質的に平行である内方リップ部を備え、内方リップ部が、基板の周縁部及び基板支持体を取り囲む堆積リングの内周を定め、処理中、基板によって覆われない支持体の領域を保護して周壁上へのスパッタリング堆積物の堆積を軽減する又は完全に防止し、
堆積リングが更に、
バンドの中央部位に沿って延びるV型突起部を備え、V型突起部の両側には内方リップ部に隣接した第1半径方向内側凹部及び第2半径方向内側凹部がある堆積リング。
【請求項7】
V型突起部の対向する面が約25°〜約30°の角度を形成する、請求項6記載の堆積リング。
【請求項8】
第1半径方向内側凹部が第2半径方向内側凹部の水平面より若干下の水平面に位置し、第1半径方向内側凹部及び第2半径方向内側凹部が堆積リングの底面に平行である、請求項6記載の堆積リング。
【請求項9】
環状バンドの底面がV型突起部及び内方リップ部の下を延びるノッチを有し、ノッチが約0.6インチ〜約0.75インチの幅及び約0.020インチ〜0.030インチの高さを有する、請求項6記載の堆積リング。
【請求項10】
第2半径方向内側凹部が約13インチ〜約13.5インチの外径及び約12インチ〜約12.5インチの内径を有し、V型突起部の先端が約12インチ〜約12.3インチの直径を有し、内方リップ部が約11インチ〜約12インチの外径を有する、請求項6記載の堆積リング。
【請求項11】
堆積リングを取り囲み且つ堆積リングをスパッタリング堆積物から少なくとも部分的に守るためのカバーリングであって、
環状ウェッジを備え、環状ウェッジが、上面と、半径方向内側に傾斜し且つ上面に連結された内周部及び外周部を有する傾斜上面と、堆積リングの棚部に載置される底面とを備え、上面が実質的に底面に平行であり、環状ウェッジが更に、傾斜上面によって上面に連結された突出ブリムを備え、傾斜上面が突出ブリムと協働して視線方向の堆積物が内部容積から流出してチャンバ本体キャビティへと侵入するのを阻止し、環状ウェッジが更に、環状ウェッジの傾斜上面下に位置し且つ突出ブリムを底面と連結している傾斜段差部を備え、
カバーリングが更に、
環状ウェッジから下方向に延びる内方円筒状バンド及び外方円筒状バンドを備え、内方円筒状バンドが外方円筒状バンドより低い高さを有するカバーリング。
【請求項12】
傾斜段差部が、環状ウェッジから下方向に且つ内周部から半径方向外側に延び、傾斜段差部が、底面に対して約40°〜約50°の角度で傾斜している、請求項11記載のカバーリング。
【請求項13】
カバーリングが、ステンレススチール、チタン、アルミニウム、酸化アルミニウム及びこれらの組み合わせを含む群から選択された材料から作製される、請求項11記載のカバーリング。
【請求項14】
カバーリングの表面を、ツインワイヤアルミニウムアーク溶射コーティングで処理する、請求項11記載のカバーリング。
【請求項15】
カバーリングが約14.5インチ〜約15インチの外径及び約11.5インチ〜約12.5インチの内径を有し、傾斜上面が、上面に対して約5°〜約15°の角度で傾斜している、請求項11記載のカバーリング。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【公表番号】特表2011−518255(P2011−518255A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505129(P2011−505129)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/040487
【国際公開番号】WO2009/154853
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/040487
【国際公開番号】WO2009/154853
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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