説明

ウエハーレベルパッケージ焦点面アレイ

【課題】ウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイを製造する方法を提供する。
【解決手段】ウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイの製造方法は、検出器ウエハーを形成する。該形成は、複数の検出器アレイ及び複数の読出し回路を形成する。該方法は又、蓋ウエハーを形成する。該形成は、磁気閉じ込めチョクラルスキー(MCZ)ウエハーの表面を研磨し、MCZウエハーにチョクラルスキー・ウエハーを接合し、且つチョクラルスキー・ウエハー内に複数のポケットを形成する。各ポケットはMCZウエハーの研磨面の一部を露出させる。更に、各検出器アレイ及び読出し回路が異なるポケット内で封止されるように蓋ウエハーと検出器ウエハーとを接合する。これにより、複数のウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイが形成される。更に、複数のウエハーレベルパッケージ焦点面アレイからウエハーレベルパッケージ焦点面アレイを分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、ウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイに関する。
【背景技術】
【0002】
パッケージされた焦点面アレイは、検出器アレイと、付随する読出し回路と、該検出器アレイ及び読出し回路を封止する透過カバーとを有する。焦点面アレイをパッケージングする1つの手法は、先ず、対応する読出し回路を備えた複数の検出器アレイを製造することを含む。そして、各焦点面アレイが個別に、透過カバーで覆われて封止される。カバーは、典型的に、別個のプロセスで設けられ、ゲルマニウム又はフローティングゾーン・シリコンからなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特定の実施形態に従って、ウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイを製造する方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
特定の実施形態によれば、ウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイを製造する方法は、検出器ウエハーを形成することを含む。検出器ウエハーを形成することは、複数の検出器アレイを形成することを含み得る。各検出器アレイは複数の個別の検出器を有し得る。検出器ウエハーを形成することは更に、複数の読出し回路を形成することを含み得る。各読出し回路は、異なる1つの検出器アレイと結合され得る。当該方法はまた、蓋ウエハーを形成することを含み得る。蓋ウエハーを形成することは、磁気閉じ込めチョクラルスキー(MCZ)ウエハーの少なくとも一方の表面を研磨することを含み得る。蓋ウエハーを形成することはまた、チョクラルスキー・ウエハーと前記MCZウエハーとを接合することを含み得る。蓋ウエハーを形成することは更に、前記チョクラルスキー・ウエハー内に複数のポケットを形成することを含み得る。各ポケットは、MCZウエハーの研磨された前記少なくとも一方の表面の一部を露出させ得る。当該方法はまた、各検出器アレイ及び読出し回路が、異なる1つのポケット内で封止されるように、蓋ウエハーと検出器ウエハーとを接合することを含み得る。これにより、複数のウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイが形成され得る。当該方法は更に、前記複数のウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイから、少なくとも1つのウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイを分離することを含み得る。
【発明の効果】
【0005】
本発明の特定の実施形態は1つ以上の技術的利点を提供し得る。例えば、一実施形態の1つの技術的利点は、1つ以上の焦点面アレイが、ウエハーレベルパッケージされる検出器にて、1枚のMCZウエハーを用いて製造され得ることである。これは、検出器のコストを低減し、且つ/或いは製造時間を短縮し得る。以下の図、説明及び特許請求の範囲から、その他の技術的利点が当業者に明らかになるであろう。また、特定の利点を挙げたが、様々な実施形態は、上述の利点の全て又は一部を含むこともあるし、それらを含まないこともある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
特定の実施形態及びその利点の一層完全なる理解のため、以下の説明を、以下の図を含む添付図面とともに参照する。
【図1】特定の実施形態に従ったウエハーレベルパッケージ焦点面アレイを製造する際に使用される蓋ウエハーの一例を示す図である。
【図2】特定の実施形態に従ったウエハーレベルパッケージ焦点面アレイを切断して示すブロック図である。
【図3A】特定の実施形態に従ったウエハーレベルパッケージ焦点面アレイを製造する方法を例示する図である。
【図3B】特定の実施形態に従ったウエハーレベルパッケージ焦点面アレイを製造する方法を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、特定の実施形態に従ったウエハーレベルパッケージ焦点面アレイを製造する際に使用される蓋ウエハーの一例を示している。蓋ウエハー100は、ウエハーレベルパッケージされた複数の異なる焦点面アレイのカバーとして機能し得る。故に、蓋ウエハー100は、複数の検出器アレイとそれらに対応する読出し回路とを、周囲の環境から封止し得る。便宜上、検出器アレイ及びそれに対応する読出し回路を焦点面アレイ(focal plane array;FPA)と総称することがある。ウエハーレベルパッケージ焦点面アレイの検出器アレイは、例えば、遠赤外線検出器、短波長赤外線検出器、近赤外線検出器、又は画像、熱若しくはその他のものを捕捉することが可能なその他の検出器など、多様な検出器のうちの何れかを含み得る。図1において、蓋ウエハー100は、蓋ウエハー100の下側を見せるような視点から描かれている。蓋ウエハー100の下側は、複数の焦点面アレイを有する検出器ウエハーの基板に接合される蓋ウエハー100表面を有し得る。蓋ウエハー100は、各ポケット(凹部)130が異なる1つの焦点面アレイと位置整合するように、検出器ウエハーにアライメントされ得る。
【0008】
図示した実施形態において、蓋ウエハー100は、チョクラルスキー・ウエハー120(CZウエハー120)内に形成された複数のポケット130を有し得る。各ポケット130は、1つの異なる焦点面アレイに対応し、焦点面アレイが対応するポケット130内にフィット(適合)することができるように構成され得る。ポケット130は、研磨された磁気閉じ込め(magnetically confined)チョクラルスキー・ウエハー110(MCZウエハー110)によってカバーされ得る。
【0009】
MCZウエハー110は、高純度の低酸素シリコンから形成され得る。一部の状況において、MCZウエハー110は、200mm及び300mmのウエハーサイズにおいて容易に入手可能なシリコンウエハーであり得る。一部の実施形態において、MCZウエハー110は、中波長赤外線(例えば、3μmと5μmとの間の光)及び長波長赤外線(例えば、7μmと14μmとの間の光)の双方を含む多様な入射放射線波長に対して透過性であり得る。例えば、MCZウエハー110は、赤外線(IR)イメージングに使用される長波長IR検出器用のカバーとして使用され得る。一部の実施形態において、MCZウエハー110は、蓋ウエハー110が透過性である帯域幅を、より良好に調整あるいはフィルタリングするよう、1つ以上の材料でコーティングされ得る。例えば、MCZウエハー110は反射防止膜でコーティングされてもよい。他の一例として、MCZウエハー110は、カバーされた焦点面アレイに長波長赤外光が一層効率的に届くことを可能にするよう、サブ波長構造でパターニングされ得る。特定の実施形態において、MCZウエハー110は、更に良好に光が通過することを可能にするように、MCZウエハー110を通過する入射放射線に対するMCZウエハー110の影響を低減するために、両面を研磨され得る。例えば、MCZウエハー110は光学品質基準で研磨され得る。一部の実施形態において、MCZウエハー110は、およそ200μmと1500μmとの間の厚さとし得る。例えば、特定の実施形態において、MCZウエハー110はおよそ725μm厚とし得る。
【0010】
図1においてCZウエハー120はCZシリコンからなるが、多様なバルクシリコンウエハーのうちの何れがCZウエハー120に使用されてもよい。特定の実施形態において、CZウエハー120は、蓋ウエハー100によってカバーされる対応する焦点面アレイの上方にMCZウエハー110を保持する支持体となり得る。CZウエハー120の厚さは、蓋ウエハー100によってカバーされる焦点面アレイの厚さ、及び/又は焦点面アレイとMCZウエハー110との間の所望の間隙サイズに応じて様々であり得る。その状況に応じて、CZウエハー120はおよそ50μmと1000μmとの間の厚さとし得る。例えば、一部の実施形態において、CZウエハー120はおよそ300μm厚とし得る。
【0011】
一部の実施形態において、CZウエハー120は、熱酸化膜140を介してMCZウエハー110と接合され得る。例えば、MCZウエハー110又はCZウエハー120の上に、接合に先立って、熱酸化膜140が成長され得る。そして、CZウエハー120をMCZウエハー110と熱接合することに酸化膜140が使用され得る。CZウエハー120とMCZウエハー110との接合を支援することに加えて、熱酸化膜140は、ポケット130を形成するときのエッチングストッパとして作用し得る。
【0012】
ポケット130の長さ、幅及び深さは、焦点面アレイの長さ、幅及び高さに対応し得る。このことは、焦点面アレイがポケット130内にフィットすることを可能にし得る。ポケット130の深さは、CZウエハー120の厚さによって制御され得る。ポケット130は、CZウエハー120がMCZウエハー110と接合される前又は後の何れかに実行される多様な技術のうちの何れかを用いて、CZウエハー120内に形成され得る。例えば、一部の実施形態において、ポケット130は、CZウエハー120の反応性イオンエッチングによって形成され得る。そのような一実施形態において、熱酸化膜140は、反応性イオンエッチングを、MCZウエハー110に到達しないように停止させ得る。これは、MCZウエハー110の滑らかさに影響を及ぼす反応性イオンエッチングの腐食作用を防止する助けとなり得る。CZウエハー120内にポケット130がエッチングされた後、熱酸化膜140がポケット130から除去され、MCZウエハー110の研磨面が露出され得る。これは、光がMCZウエハー110を通過して、その下に位置する焦点面アレイに到達することを可能にし得る。他の一例として、ポケット130は、CZウエハー120がMCZウエハー110に接合される前に、CZウエハー120内に形成されてもよい。例えば、ポケット130はCZウエハー120の切り抜きであってもよく、あるいは、内部にポケット130が形成されたCZウエハー120が製造されてもよい。
【0013】
図2は、特定の実施形態に従ったウエハーレベルパッケージ焦点面アレイの切断ブロック図を示している。図示した実施形態には、シーン(環境)270から入射放射線280(例えば、長波長赤外線、短波長赤外線、中波長赤外線など)を受けるウエハーレベルパッケージFPA200が示されている。入射放射線280は、MCZ層210を通り過ぎ、検出器アレイ250及び読出し回路260によって測定される。例えば、読出し回路260は、入射放射線280に応じた、検出器アレイ250の個々の検出器の抵抗変化を決定し得る。これらの抵抗変化は、シーン270の画像を生成するために使用され得る。
【0014】
検出器アレイ250に到達する入射放射線280の帯域幅又はスペクトル範囲は、MCZ層210に適用されたコーティングに依存し得る。例えば、MCZ層210は、実質的な量の入射放射線280を吸収あるいは反射することなく、入射放射線のうちの広い帯域が通り抜けることを可能にし得るような、低い酸素含有率及び研磨面を有し得る。例えば硫化亜鉛及び/又はゲルマニウムなどの材料の1つ以上の層からなるコーティングが、MCZ層210に設けられ得る。コーティングは、入射放射線280のうちの特定の帯域をフィルタリングし得る。そのフィルタリングは、ウエハーレベルパッケージFPA200の意図する用途又は使用に基づき得る。MCZ層210にMCZシリコンを使用することは、カバーウィンドウがゲルマニウム又はフローティングゾーン・シリコンで製造される伝統的な手法でパッケージングされたFPAとは対照的である。
【0015】
図示した実施形態において、MCZ層210は、熱酸化膜240を介してCZ層220と接合され得る。熱酸化膜240は、MCZ層210とCZ層220とを共に接合するときの接合材料と、ポケット230を形成するときのエッチングストッパと、の双方として機能し得る。ポケット230内の熱酸化物は、検出器アレイ250に到達する入射放射線280と干渉しないように、CZ層220がシリコン基板290に接合される前に除去され得る。
【0016】
CZ層220がシリコン基板290に接合されると、CZ層220は、MCZ層210を検出器アレイ250及び読出し回路260の上方に支持し得る。これにより、検出器アレイ250及び読出し回路260が内部に収容された、密閉されたキャビティ(空洞)が作り出され得る。
【0017】
検出器アレイ250は、多様な異なる波長の入射放射線280のうちの何れかを検出するように構成された、多様な異なる検出器のうちの何れかを有し得る。検出器アレイ250の検出器の種類、及びMCZ層210に適用されるコーティングは、相互に対応し得る。例えば、検出器アレイ250が短波長IRを検出するように構成される場合、MCZ層210は、短波長IRにとって透過性であり且つ/或いは短波長IR以外の波長を吸収あるいは反射する材料、でコーティングされ得る。
【0018】
特定の実施形態において、検出器アレイ250は、2次元アレイ状の個々の検出器を有していてもよく、各検出器が個々に入射放射線280に応答し得る。2次元アレイの寸法は、意図される用途に応じて様々であり得る。例えば、一部の実施形態において、2次元アレイは640列×480行を有し得る。一部の実施形態において、検出器アレイ250は、マイクロボロメータ検出器アレイを有し得る。各マイクロボロメータは、入射放射線280によって生じる温度変化に起因した抵抗変化を被り得る。この抵抗変化は読出し回路260によって決定され、且つ/或いは解釈され得る。読出し回路260から得られる信号は、シーン270の例えば熱画像などの画像を生成するために使用され得る。
【0019】
検出器アレイ250及び読出し回路260は基板290上に形成され得る。基板290、検出器アレイ250、及び読出し回路260は、より大きい検出器ウエハーの一部とし得る。検出器ウエハーは、図1に示した蓋ウエハー100とほぼ同じ大きさ及び形状とし得る。検出器ウエハーは、単一の基板290上に形成された多数の検出器アレイ及び読出し回路を有し得る。検出器アレイ及び読出し回路の数は、蓋ウエハーのポケットの数に一致し得る。
【0020】
図3A及び3Bは、特定の実施形態に従ったウエハーレベルパッケージ焦点面アレイを製造する方法を例示している。図3Aは、ウエハーレベルパッケージFPAを製造する方法の特定の工程群を示すフローチャートを図示している。図3Bは、ウエハーレベルパッケージFPAの製造中の様々な段階におけるウエハーレベルパッケージFPAの様々なレイヤ(層)を図示している。図3Bのレイヤには、図3Aに示す工程の番号に一致する番号を付している。例えば、レイヤ315bは工程315aに対応し得る。
【0021】
この方法は、工程305aにて、複数の検出器アレイの形成で開始する。複数の検出器アレイが単一のシリコン基板上に形成され得る。各検出器アレイは別個の検出器アレイとし得る。工程305aで形成された各検出器アレイは、2次元アレイ状の複数の個別の検出器を有し得る。検出器の種類は、その実施形態又は状況に応じて様々となり得る。例えば、一部の実施形態において、個々の検出器は、熱画像を生成するために使用され得るマイクロボロメータ検出器を有していてもよい。
【0022】
工程310aにて、複数の読出し回路が形成される。各読出し回路は1つの異なる検出器アレイに結合され得る。特定の実施形態において、検出器アレイ及び読出し回路の双方が同一のシリコン基板上に形成され得る。実施形態に応じて、読出し回路は、検出器アレイの前、後又は同時に形成され得る。各読出し回路は、対応する検出器アレイの検出器からの応答に基づいて例えば画像信号などの信号を生成するように構成され得る。
【0023】
検出器アレイと読出し回路との対の各々が焦点面アレイを形成し得る。故に、複数の検出器アレイ及び読出し回路によって、複数の焦点面アレイが形成され得る。これら複数の焦点面アレイは、同一のシリコンウエハー上に形成され得る。これら複数の焦点面アレイを有するウエハーは検出器ウエハーと称し得る。一部の実施形態において、検出器ウエハーは微小電気機械システム(MEMS)ウエハーと見なされ得る。一部の実施形態において、工程305a及び310aは、検出器ウエハーを受け取る単一の工程に結合されてもよい。
【0024】
工程315aにて、磁気閉じ込めチョクラルスキー・ウエハー(MCZウエハー)が研磨される。MCZウエハーは半導体標準(例えば、1nm未満のラフネスを有する)まで研磨され得る。例えば、MCZウエハーは、ガラスレンズを研磨するために使用される技術を用いて研磨され得る。これは、研磨されたMCZウエハーを通り抜け得る入射放射線に対するMCZウエハーの影響を抑制する助けとなり得る。研磨されたMCZウエハーは、複数の焦点面アレイのカバーとなる窓基板として作用し得る。例えば、一部の実施形態において、MCZウエハーは、複数の非冷却式の長波長IR検出器のカバーとなり得る。
【0025】
特定の実施形態において、MCZ法によって成長されたシリコンが、低い酸素含有量を有し得るMCZウエハーを作り出すために使用され得る。典型的なシリコンウエハーにおいて、酸素レベルは、9μmを超える波長がシリコン内の酸素の存在によってしばしば吸収されるようなものである。これらの波長は赤外線検出器でしばしば使用されるものであり、故に、典型的なシリコンは、長波長赤外線検出器のカバーにはあまり望ましくない。MCZウエハーは、MCZ成長シリコンの比較的低い酸素含有量により、例えば7μmから14μmといった帯域の光に対して透過性となり得る。MCZシリコンは、例えば200mm又は300mmなど、如何なる好適サイズのウエハーとして成長されてもよい。MCZウエハーの光学特性は、フローティングゾーン・シリコンウエハーのそれと等価であり得る。レイヤ315bは、MCZウエハーの一部の側面図を示している。
【0026】
工程320aにて、MCZウエハー上に熱酸化膜が成長される。熱酸化膜は2つの機能を提供し得る。第1に、熱酸化膜は、後述のように、工程325aにてMCZウエハーとCZウエハーとの間の接着を提供してこれら2つのウエハーを共に接合する。第2に、熱酸化膜はエッチングストッパを提供し得る。エッチングストッパとして、熱酸化膜は、後述のように、工程330aでCZウエハー内にポケットを形成する際に使用される化学エッチングを、MCZウエハーに到達させないように停止させ得る。これにより、化学エッチングがMCZウエハーの研磨面を損ねることが阻止され得る。レイヤ320bは、MCZウエハーの底面に沿って形成された熱酸化膜を示している。
【0027】
工程325aにて、CZウエハーとMCZウエハーとが共に接合される。この実施形態例において、工程320aで成長された熱酸化膜が、CZウエハーとMCZウエハーとを共に酸化物接合するために使用され得る。この実施形態例においては2つのウエハーを共に接合するために酸化物接合が使用されるが、他の実施形態は、例えば酸化物の存在なしでの直接シリコン接合といった、2つのウエハーを共に接合するためのその他の技術を使用してもよい。他の一例として、接着接合が使用されてもよい。明らかなように、工程320aで成長された熱酸化膜以外の何かを用いて2つのウエハーが共に接合される場合、工程320aは、省略されるか、あるいは、2つのウエハーを接合するために使用される接着剤が塗布あるいは成長される別の工程で置換されるかし得る。上述のように、CZウエハーは、焦点面アレイの高さ、及び/又は焦点面アレイとMCZウエハーとの間に所望される間隙の大きさに基づく厚さを有し得る。例えば、焦点面アレイのそのシリコン基板の上方の高さが大きいほど、CZウエハーは厚くされる。レイヤ325bにて見て取れるように、MCZウエハー及びCZウエハーは合わさって、それらの間に熱酸化膜を有する単一のスタック(積層体)へと接合される。
【0028】
工程330aにて、CZウエハー内にポケットが形成される。一部の実施形態において、CZウエハー内に形成されるポケットは、ディープ(深掘り)反応性イオンエッチング(DRIE)を用いて形成され得る。DRIEを用いるとき、MCZウエハーの底面に成長された熱酸化膜は、イオンエッチングがMCZウエハーの研磨面を損ねることを阻止するエッチングストッパとして作用し得る。工程330aで形成されるポケットの大きさは、検出器アレイ及びそれに対応する読出し回路の大きさに対応し得る。CZウエハーがエッチングされた後、熱酸化膜が除去され得る。故に、ポケットが形成された後、形成された各ポケットに対して、MCZウエハーの対応する領域が露出され得る。レイヤ330bは、CZ層内に形成されたポケットと、熱酸化膜とを示している。レイヤ330bは、完成後の蓋ウエハーの一部を示している。
【0029】
工程335aにて、ポケット及び/又はMCZウエハーの頂面に、透過材料のコーティングが設けられる。該材料は、入射放射線のうちの特定の帯域をフィルタリングするために設けられ得る。設けられる材料の種類は、所望の用途に応じて様々であり得る。すなわち、焦点面アレイに到達するのが望まれる放射線の波長に応じて、異なる透過材料がMCZウエハーに設けられ得る。一部の実施形態において、設けられる材料は、7μmと14μmとの間の波長を有する光に対して透過性である。これらは、長波長赤外線イメージングに使用される一般的な帯域幅であり得る。一部の実施形態において、交互にされた複数のゲルマニウムの層及びセレン化亜鉛の層で構成された多層コーティングが、MCZウエハーの研磨された頂面及び/又はMCZウエハーのポケットに設けられ得る。一部の実施形態において、透過材料は、MCZウエハーに塗布され得る反射防止膜を有し得る。特定の実施形態において、2つ以上の透過材料コーティングが設けられてもよい。蓋ウエハーと検出器ウエハーとが共に接合された後に設けられる透過材料を示すが、特定の実施形態において、透過材料は、蓋ウエハーと検出器ウエハーとが共に接合される前に設けられてもよい。特定の実施形態において、透過材料は、接合後のMCZウエハーの頂面に設けられ得る。
【0030】
工程340aにて、蓋ウエハーと検出器ウエハーとが共に接合される。蓋ウエハーは、工程315aから330aまでで形成されたウエハーに相当し、検出器ウエハーは、工程305aから310aまでで形成されたウエハーに相当し得る。蓋ウエハー及び検出器ウエハーは、蓋ウエハー内に工程330aで形成されたポケットが、検出器ウエハーに工程305a及び310aで形成された焦点面アレイに対応するように、共に接合され得る。蓋ウエハーと検出器ウエハーとを接合する際、蓋ウエハーは、個々のポケット内の検出器ウエハーの部品をカバーし、且つ/或いは封止し得る。これにより、各焦点面アレイの保護が提供される。検出器ウエハーの複数の焦点面アレイの各々のカバー及び封止を行うために単一の蓋ウエハーを使用することは、(各焦点面アレイを個別にカバー・封止することとは対照的に)複数の焦点面アレイのウエハー全体を単一工程で覆うことを可能にし得る。単一の検出器ウエハーに対して単一の蓋ウエハーが使用されるので、得られる焦点面アレイは、ウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイと見なされ得る。これは、検出器ウエハーが個々の検出器へと切断された後に焦点面アレイのカバーが置かれる従来手法によりパッケージされる焦点面アレイとは対照的である。ウエハーレベルで複数の焦点面アレイをパッケージングすることは、パッケージ化された複数の焦点面アレイを製造するのに必要なコスト及び製造時間を低減し得る。
【0031】
工程345aにて、個々のウエハーレベルパッケージ焦点面アレイが分離される。分離される各ウエハーレベルパッケージ焦点面アレイは、焦点面アレイ及びカバーの双方を有する。故に、各焦点面アレイが、封止され、保護され、且つ所望の用途で使用されることができるものとなり得る。
【0032】
図3に示した工程群の一部は、適宜に結合、変更あるいは削除され得る。また、このフローチャートに更なる工程が追加されてもよい。さらに、工程群は、特定の実施形態の範囲を逸脱することなく、如何なる好適な順序で実行されてもよい。図3Aに示した工程群は、特定の実施形態で実行される工程群の単なる一例であり、他の実施形態は、異なる順序で編成された異なる工程群を用いてもよい。例えば、一部の実施形態において、MCZウエハーは2回以上研磨されてもよい。例えば、工程315aにて、先ず、MCZウエハーの下面が研磨され得る。そして、後の時点で(例えば、工程340aの後に)、MCZウエハーの上面が研磨され得る。他の一例として、一部の実施形態において、この方法は、既に形成されている検出器ウエハーを受け取ることを含んでいてもよい。そのような状況においては、工程305a及び310aは、検出器ウエハーを受け取る単一の工程で置き換えられ得る。他の一例として、一部の実施形態において、ポケットは、CZウエハーがMCZウエハーと接合されるのに先立って、CZウエハー内にエッチング(あるいは、その他の方法で形成)されてもよい。そのような一実施形態においては、工程325aと330aとが入れ替えられ得る。更なる他の一例として、一部の実施形態において、透過材料のコーティングは、工程335aより以前にMCZウエハーに設けられてもよい。例えば、透過材料は、MCZウエハーが工程315aで研磨された後に設けられてもよい。
【0033】
特定の実施形態について詳細に説明したが、理解されるように、この開示の精神及び範囲を逸脱することなく、その他の様々な変形、代用、組み合わせ及び改変が為され得る。特定の実施形態は、添付の請求項の精神及び範囲に入る全ての変形、代用、バリエーション、改変及び変更を包含するものである。例えば、実施形態は、ウエハーレベルパッケージFPAに含まれる多数の要素、例えばポケット、検出器アレイ、読出し回路、MCZ層及びCZ層など、を参照して説明されているが、これらの要素は、特定の検出ニーズに応えるように結合、再編あるいは配置され得る。また、これらの要素は何れも、適宜、統合された内部要素又は相互に別個の外部要素として提供されてもよい。特定の実施形態は、これらの要素及びその内部要素の編成に多大な柔軟性を意図している。
【0034】
本出願は、2010年11月23日に出願された米国仮出願第61/416,563号の利益を主張するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイを製造する方法であって:
検出器ウエハーを形成する工程であり:
複数の検出器アレイを形成し、各検出器アレイが、複数の個別の検出器の2次元アレイを有し;且つ
複数の読出し回路を形成し、各読出し回路が、異なる1つの検出器アレイと結合される;
ことを有する、検出器ウエハーを形成する工程;
蓋ウエハーを形成する工程であり:
磁気閉じ込めチョクラルスキー(MCZ)ウエハーの少なくとも一方の表面を研磨し;
チョクラルスキー・ウエハーと前記MCZウエハーとを接合し;且つ
前記チョクラルスキー・ウエハー内に複数のポケットを形成し、各ポケットが、前記MCZウエハーの研磨された前記少なくとも一方の表面の一部を露出させる;
ことを有する、蓋ウエハーを形成する工程;
各々の前記検出器アレイ及び前記読出し回路が、異なる1つのポケット内で封止されるように、前記蓋ウエハーと前記検出器ウエハーとを接合し、複数のウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイを形成する工程;及び
前記複数のウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイから、少なくとも1つのウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイを分離する工程;
を有する方法。
【請求項2】
磁気閉じ込めチョクラルスキー(MCZ)ウエハーの少なくとも一方の表面を研磨する工程;
チョクラルスキー・ウエハーと前記MCZウエハーとを接合する工程;及び
前記チョクラルスキー・ウエハー内に複数のポケットを形成する工程であり、該複数のポケットは、対応する複数の焦点面アレイを覆うように構成され、各ポケットは、前記MCZウエハーの、研磨された前記少なくとも一方の表面の、異なる一部を露出させる、工程;
を有する方法。
【請求項3】
前記対応する複数の焦点面アレイを、接合された前記MCZウエハー及び前記チョクラルスキー・ウエハーで覆うことで、対応する複数のウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイを形成する工程、を更に有する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つのウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイを、残りの複数のウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイから分離する工程、を更に有する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記MCZウエハーに、少なくとも1つの、光透過材料のコーティングを設ける工程、を更に有し、前記光透過材料のコーティング及び前記MCZウエハーは、およそ7μmと14μmとの間の波長を有する光が前記対応する複数の焦点面アレイに到達することを可能にする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記MCZウエハーの第2の表面を研磨する工程、を更に有する請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記チョクラルスキー・ウエハー内の前記複数のポケットは、前記チョクラルスキー・ウエハーと前記MCZウエハーとが接合される前に形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記チョクラルスキー・ウエハーと前記MCZウエハーとを接合する工程に先立って、前記MCZウエハーの研磨された前記少なくとも一方の表面に熱酸化膜を成長させる工程、を更に有する請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記チョクラルスキー・ウエハー内に複数のポケットを形成する工程は、反応性イオンエッチングを用いて前記チョクラルスキー・ウエハー内に複数のポケットをエッチングすることを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記チョクラルスキー・ウエハーと前記MCZウエハーとを接合する工程に先立って反射防止膜を設ける工程、を更に有する請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記チョクラルスキー・ウエハーと前記MCZウエハーとを接合する工程の後に反射防止膜を設ける工程、を更に有する請求項2に記載の方法。
【請求項12】
検出器の2次元アレイ及び読出し回路を有する焦点面アレイ;
前記焦点面アレイに結合され、前記検出器の2次元アレイ及び前記読出し回路を取り囲むチョクラルスキー層;及び
前記チョクラルスキー層に結合され、且つ少なくとも前記焦点面アレイの前記検出器の2次元アレイ及び前記読出し回路を空洞内に封止するように構成された、磁気閉じ込めチョクラルスキー(MCZ)シリコン層;
を有するウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイ。
【請求項13】
前記MCZシリコン層と前記チョクラルスキー層とを接合するように構成された熱酸化膜、を更に有する請求項12に記載のウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイ。
【請求項14】
前記MCZシリコン層は少なくとも1つの研磨面を有する、請求項12に記載のウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイ。
【請求項15】
前記MCZシリコン層に設けられた少なくとも1つの材料コーティングを更に有し、前記少なくとも1つの材料コーティング及び前記MCZシリコン層は、およそ7μmと14μmとの間の波長を有する光が前記検出器アレイに到達することを可能にするように構成される、請求項12に記載のウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイ。
【請求項16】
前記MCZシリコン層はMCZウエハーの一部であり、前記MCZウエハーは、検出器ウエハー上に形成された複数の焦点面アレイのカバーとなるように構成される、請求項12に記載のウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイ。
【請求項17】
前記検出器アレイに結合された前記チョクラルスキー層はチョクラルスキー・ウエハーの一部であり、前記チョクラルスキー・ウエハーは、検出器ウエハー上に形成された複数の焦点面アレイを個別に取り囲むように構成される、請求項12に記載のウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイ。
【請求項18】
前記チョクラルスキー・ウエハーは、当該チョクラルスキー・ウエハー内にエッチングされた複数のポケットを有し、前記複数のポケットの各ポケットは、前記検出器ウエハー上に形成された、異なる1つの焦点面アレイを取り囲むように構成される、請求項17に記載のウエハーレベルパッケージされた焦点面アレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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