説明

ウォータージェット加工装置

【課題】第1の加工水開閉弁および第2の加工水開閉弁の切り換え時に加工水開閉弁および配管に大きな負荷が作用しないようにしたウォータージェット加工装置を提供する。
【解決手段】被加工物保持手段6と、砥粒が混入された加工水を噴射する加工水噴射手段7とを具備するウォータージェット加工装置であって、加工水噴射手段7は、高圧タンク70a、70bと、タンクに接続されたノズルとを接続する加工水送出管711a、711bにそれぞれ配設された加工水開閉弁77a、77bと高圧タンクに砥粒が混入された加工水を補充する加工水補充手段74と、高圧水を供給する主高圧水供給手段73と、主高圧水供給手段73と、高圧タンク70a、70bに接続された補助高圧水供給手段81と、補助高圧水供給手段81と高圧タンク70a、70bとをそれぞれ接続する第1の補助高圧水導管813a,813b,と、制御手段9とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物を高圧の加工水を噴射して切断するウォータージェット加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列された多数の領域にIC、LSI等の回路を形成し、該回路が形成された各領域を所定のストリートと呼ばれる切断予定ラインに沿ってダイシングすることにより個々の半導体チップを製造している。このようにして分割された半導体チップは、パッケージングされて携帯電話やパソコン等の電気機器に広く利用されている。
【0003】
携帯電話やパソコン等の電気機器はより軽量化、小型化が求められており、半導体チップのパッケージもチップサイズパッケージ(CSP)と称する小型化できるパッケージ技術が開発されている。CSP技術の一つとして、Quad Flat Non−lead Package(QFN)と称するパッケージ技術が実用化されている。このQFNと称するパッケージ技術は、半導体チップの接続端子に対応した接続端子が複数形成されているとともに半導体チップ毎に区画する分割予定ラインが格子状に形成された銅板等の金属板に複数個の半導体チップをマトリックス状に配設し、半導体チップの裏面側から樹脂をモールディングした樹脂部によって金属板と半導体チップを一体化することによりCSP基板を形成する。このCSP基板を分割予定ラインに沿って切断することにより、個々にパッケージされたチップサイズパッケージ(CSP)に分割する。
【0004】
上記CSP基板の切断は、一般に精密切削装置によって施される。この切削装置は、環状の砥粒層を備えた切削ブレードを具備し、この切削ブレードを回転させつつCSP基板の分割予定ラインに沿って相対移動することにより、CSP基板を分割予定ラインに沿って切断し、個々のチップサイズパッケージ(CSP)に分割する。しかるに、CSP基板を切削ブレードによって切断すると、接続端子にバリが生じ、隣接する接続端子同士が短絡してチップサイズパッケージ(CSP)の品質および信頼性を低下させるという問題がある。
【0005】
また、CSP基板に限らず、半導体ウエーハ等の被加工物を切削ブレードによって切断すると、被加工物の表面に微細な切削屑が付着して汚染するという問題もある。
このような切削ブレードによる切断における問題を解消する切断技術として、被加工物保持手段によって保持された被加工物にシリカ、ガーネット、ダイヤモンド等の砥粒を混入した高圧の加工水をノズルから噴射して被加工物を切断するウォータージェット切断加工が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2005−231000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示されたウォータージェット加工装置は、第1の高圧タンクに収容された加工水と第2の高圧タンクに収容された加工水を切り換える際には、高圧水供給手段と第1の高圧タンクおよび第2の高圧タンクとを接続する配管に配設された第1の高圧水開閉弁および第2の高圧水開閉弁を作動して高圧水の経路を切り替えるが、高圧水供給手段から供給される高圧水は70Mpa前後の高圧であるため、第1の高圧水開閉弁および第2の高圧水開閉弁の上流側と下流側において高い圧力差が発生し、この繰り返しによって第1の高圧水開閉弁と第2の高圧水開閉弁および配管に大きな負荷が作用して破損するという問題がある。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、高圧水供給手段と第1の高圧タンクおよび第2の高圧タンクとを接続する配管に配設された第1の高圧水開閉弁および第2の高圧水開閉弁の切り換え時に第1の高圧水開閉弁と第2の高圧水開閉弁および配管に大きな負荷が作用しないようにしたウォータージェット加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物に砥粒が混入された加工水を噴射する加工水噴射手段と、を具備するウォータージェット加工装置において、
該加工水噴射手段は、砥粒が混入された加工水を収容した第1の高圧タンクおよび第2の高圧タンクと、
該第1の高圧タンクおよび該第2の高圧タンクに接続されたノズルと、
該第1の高圧タンクおよび該第2の高圧タンクと該ノズルとを接続する第1の加工水送出管におよび第2の加工水送出管にそれぞれ配設された第1の加工水開閉弁および第2の加工水開閉弁と、
該第1の加工水送出管および該第2の加工水送出管における該第1の加工水開閉弁および該第2の加工水開閉弁と該ノズルとの間にそれぞれ配設された第1の加工水合流手段および第2の加工水合流手段と、
該第1の高圧タンクおよび該第2の高圧タンクに砥粒が混入された加工水を補充する加工水補充手段と、
該第1の高圧タンクおよび該第2の高圧タンクに補助高圧水を供給する主高圧水供給手段と、
該主高圧水供給手段と該第1の高圧タンクとを接続する第1の主高圧水導管および該主高圧水供給手段と該第1の加工水合流手段とを接続する第1の副高圧水導管に配設された第1の高圧水開閉弁と、
該主高圧水供給手段と該第2の高圧タンクとを接続する第2の主高圧水導管および該主高圧水供給手段と該第1の加工水合流手段とを接続する第2の副高圧水導管に配設された第2の高圧水開閉弁と、
該第1の高圧タンクおよび該第2の高圧タンクに高圧水を供給する補助高圧水供給手段と、
該第1の加工水開閉弁および該第2の加工水開閉弁と該加工水補充手段と該主高圧水供給手段と該第1の高圧水開閉弁および該第2の高圧水開閉弁と該補助高圧水供給手段を制御する制御手段と、を具備し、
該制御手段は、該第1の高圧水開閉弁および該第1の加工水開閉弁を閉路するとともに該第2の高圧水開閉弁および該第2の加工水開閉弁を開路して該第2の高圧タンクに収容されている加工水を該ノズルに供給する際には、該第2の高圧水開閉弁を開路する前に、該補助高圧水供給手段から該第2の高圧タンクに補助高圧水を流入し該第2の高圧タンク内の圧力を増加せしめた後に該第2の高圧水開閉弁を開路し、該第2の高圧水開閉弁および該第2の加工水開閉弁を閉路するとともに該第1の高圧水開閉弁および該第1の加工水開閉弁を開路して該第1の高圧タンクに収容されている加工水を該ノズルに供給する際には、該第1の高圧水開閉弁を開路する前に、該補助高圧水供給手段から該第1の高圧タンクに補助高圧水を流入し該第1の高圧タンク内の圧力を増加せしめた後に該第1の高圧水開閉弁を開路するように制御する、
ことを特徴とするウォータージェット加工装置が提供される。
【0009】
上記第1の高圧タンクおよび第2の高圧タンクをそれぞれ大気に開放する第1の大気開放手段および第2の大気開放手段を具備しており、上記制御手段は、第1の高圧水開閉弁および第1の加工水開閉弁を閉路するとともに第2の高圧水開閉弁および第2の加工水開閉弁を開路して第2の高圧タンクに収容されている加工水をノズルに供給する際には、第1の大気開放手段を作動して第1の高圧タンクを大気に開放するとともに加工水補充手段を作動して加工水を第1の高圧タンクに補充し、第2の高圧水開閉弁および第2の加工水開閉弁を閉路するとともに第1の高圧水開閉弁および第1の加工水開閉弁を開路して第1の高圧タンクに収容されている加工水をノズルに供給する際には、第2の大気開放手段を作動して第2の高圧タンクを大気に開放するとともに加工水補充手段を作動して加工水を第2の高圧タンクに補充する。
上記第1の大気開放手段および第2の大気開放手段は、それぞれ第1の高圧タンクおよび第2の高圧タンクに接続された第1の大気開放管および第2の大気開放管と、第1の大気開放管および第2の大気開放管にそれぞれ配設された第1のオリフィスおよび第2のオリフィスと、第1の大気開放管および第2の大気開放管における第1の高圧タンクおよび第2の高圧タンクと第1のオリフィスおよび第2のオリフィスとの間にそれぞれ配設された第1の大気開放弁および第2の大気開放弁とからなっており、上記補助高圧水供給手段は、第1の大気開放手段および第2の大気開放手段の第1の大気開放管および第2の大気開放管における第1の大気開放弁および第2の大気開放弁と第1のオリフィスおよび第2のオリフィスとの間に補助高圧水を供給するように構成されており、制御手段は、第1の大気開放弁を開路して第1の高圧タンクを大気に開放する際には、第1の大気開放弁を開路する前に、補助高圧水供給手段を作動して第1の大気開放弁と第1のオリフィスとの間に補助高圧水を流入して第1の大気開放弁と第1のオリフィスとの間の圧力を増加せしめた後に第1の大気開放弁を開路し、第2の大気開放弁を開路して第2の高圧タンクを大気に開放する際には、第2の大気開放弁を開路する前に、補助高圧水供給手段を作動して第2の大気開放弁と第2のオリフィスとの間に補助高圧水を流入して第2の大気開放弁と第2のオリフィスとの間圧力を増加せしめた後に第1の大気開放弁を開路するように制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるウォータージェット加工装置は上記のように構成され、第1の高圧水開閉弁および第1の加工水開閉弁を閉路するとともに第2の高圧水開閉弁および第2の加工水開閉弁を開路して第2の高圧タンクに収容されている加工水をノズルに供給する際には、第2の高圧水開閉弁を開路する前に、補助高圧水供給手段から第2の高圧タンクに補助高圧水を流入し第2の高圧タンク内の圧力を増加せしめた後に第2の高圧水開閉弁を開路するので、第2の高圧水開閉弁の上流側と下流側に大きな圧力差が生じないため、第2の高圧水開閉弁および第2の高圧水導管に大きな負荷が作用することはない。
また、第2の高圧水開閉弁および第2の加工水開閉弁を閉路するとともに第1の高圧水開閉弁および第1の加工水開閉弁を開路して第1の高圧タンクに収容されている加工水をノズルに供給する際には、第1の高圧水開閉弁を開路する前に、補助高圧水供給手段から第1の高圧タンクに補助高圧水を流入し第1の高圧タンク内の圧力を増加せしめた後に第1の高圧水開閉弁を開路するので、第1の高圧水開閉弁の上流側と下流側に大きな圧力差が生じないため、第1の高圧水開閉弁および第1の高圧水導管に大きな負荷が作用することはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明によるウォータージェット加工装置の好適な実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0012】
図1には、本発明に従って構成されたウォータージェット加工装置の要部斜視図が示されている。図1に示されたウォータージェット加工装置は、静止基台2と、第1の可動基台3と、第2の可動基台4と、第3の可動基台5を具備している。この静止基台2の手前側の側面には、矢印Xで示す方向に沿って平行に延びる一対の案内レール21、21が設けられている。
【0013】
上記静止基台2には、第1の可動基台3が上記一対の案内レール21、21に沿って摺動可能に装着されている。即ち、図1に示すように第1の可動基台3における第1の可動基台3と対向する一方の面には静止基台2に設けられた一対の案内レール21、21に嵌合する一対の被案内溝31、31が設けられており、この一対の被案内溝31、31を上記一対の案内レール21、21に嵌合することにより、第1の可動基台3は静止基台2に一対の案内レール21、21に沿って矢印Xで示す方向に摺動可能に装着される。また、第1の可動基台3の他方の面には、矢印Zで示す方向に平行に延びる一対の案内レール32、32が設けられている。図示の実施形態におけるウォータージェット加工装置は、第1の可動基台3を上記静止基台2に設けられた一対の案内レール21、21に沿って矢印Xで示す方向に移動させるための第1の移動手段30を具備している。第1の移動手段30は、一対の案内レール21と21との間に該案内レールと平行に配設された雄ネジロッド301と、該雄ネジロッド301を回転駆動するためのパルスモータ302とを含んでいる。雄ネジロッド301は、上記第1の可動基台3に設けられた雌ネジ33と螺合し、その一端が静止基台2に配設された軸受部材303に回転可能に支持されている。パルスモータ302は、その駆動軸が雄ネジロッド301の他端に連結されている。従って、パルスモータ302を正転または逆転駆動して雄ネジロッド301を正転または逆転駆動することにより、第1の可動基台3を静止基台2に設けられた一対の案内レール21、21に沿って矢印Xで示す方向に移動せしめる。
【0014】
上記第1の可動基台3には、第2の可動基台4が上記一対の案内レール32、32に沿って摺動可能に装着されている。即ち、第2の可動基台4における第1の可動基台3と対向する一方の側面には第1の可動基台3に設けられた一対の案内レール32、32に摺動可能に嵌合する一対の被案内溝41、41が設けられており、この一対の被案内溝41、41を上記一対の案内レール32、32に嵌合することにより、第2の可動基台4は第1の可動基台3に一対の案内レール32、32に沿って矢印Zで示す方向に摺動可能に装着される。また、第2の可動基台4は、上記一方の側面に対して垂直な側面に設けられ矢印Yで示す方向に平行に延びる一対の案内レール42、42を備えている。図示の実施形態におけるウォータージェット加工装置は、第2の可動基台4を上記第1の可動基台3に設けられた一対の案内レール32、32に沿って矢印Zで示す方向に移動させるための第2の移動手段40を具備している。第2の移動手段40は、一対の案内レール32と32との間に該案内レールと平行に配設された雄ネジロッド401と、該雄ネジロッド401を回転駆動するためのパルスモータ402とを含んでいる。雄ネジロッド401は、上記第2の可動基台4に設けられた雌ネジ43と螺合し、その一端が第1の可動基台3に配設された軸受部材403に回転可能に支持されている。パルスモータ402は、その駆動軸が雄ネジロッド401の他端に連結されている。従って、パルスモータ402を正転または逆転駆動して雄ネジロッド401を正転または逆転駆動することにより、第2の可動基台4を第1の可動基台3に設けられた一対の案内レール32、32に沿って矢印Zで示す方向に移動せしめる。
【0015】
上記第2の可動基台4には、第3の可動基台5が上記一対の案内レール42、42に沿って摺動可能に装着されている。即ち、第3の可動基台5における第2の可動基台4と対向する一方の側面には上記第2の可動基台4に設けられた一対の案内レール42、42に摺動可能に嵌合する一対の被案内溝51、51(図1においては上側の一方だけが示されている)が設けられており、この一対の被案内溝51、51を上記一対の案内レール42、42に嵌合することにより、第3の可動基台5は第2の可動基台4に一対の案内レール42、42に沿って矢印Yで示す方向に摺動可能に装着される。図示の実施形態におけるウォータージェット加工装置は、第3の可動基台5を上記第2の可動基台4に設けられた一対の案内レール42、42に沿って矢印Yで示す方向に移動させるための第3の移動手段50を具備している。第3の移動手段50は、一対の案内レール42と42との間に該案内レールと平行に配設された雄ネジロッド501と、該雄ネジロッド501を回転駆動するためのパルスモータ502とを含んでいる。雄ネジロッド501は、上記第3の可動基台5に設けられた雌ネジ(図示せず)と螺合し、その一端が第2の可動基台4に配設された軸受部材503に回転可能に支持されている。パルスモータ502は、その駆動軸が雄ネジロッド501の他端に連結されている。従って、パルスモータ502を正転または逆転駆動して雄ネジロッド501を正転または逆転駆動することにより、第3の可動基台5を第3の可動基台4に設けられた一対の案内レール42、42に沿って矢印Yで示す方向に移動せしめる。
【0016】
上記第3の可動基台5の他方の面には、矢印Xで示す方向に延びる被加工物保持手段としての被加工物保持テーブル6が装着されている。この被加工物保持テーブル6には、矩形状の開口61が形成されているとともに、該開口61の周囲上面に4本の位置決めピン62が突出して配設されている。図示の実施形態におけるウォータージェット加工装置は、被加工物保持テーブル6の下側に配設され、後述する使用済みの加工水を緩衝する水を収容するキャッチタンク60を備えている。
【0017】
図示の実施形態におけるウォータージェット加工装置は、上述した被加工物保持手段としての被加工物保持テーブル6に保持された被加工物に砥粒が混入された加工水を噴射する加工水噴射手段7を具備している。この加工水噴射手段7について、図2を参照して説明する。図2に示す加工水噴射手段7は、砥粒が混入された加工水を収容する第1の高圧タンク71aおよび第2の高圧タンク71bと、該第1の高圧タンク71aおよび該第2の高圧タンク71bに接続されたノズル72と、第1の高圧タンク71aおよび第2の高圧タンク71bに高圧水を供給する主高圧水供給手段73と、第1の高圧タンク71aおよび第2の高圧タンク71bに砥粒が混入された加工水を補充する加工水補充手段74を具備している。
【0018】
上記第1の高圧タンク71aおよび第2の高圧タンク71bには、それぞれ第1の高圧タンク71aおよび第2の高圧タンク71bに高圧水を供給する第1の高圧水供給管711aおよび第2の高圧水供給管711bと、第1の高圧タンク71aおよび第2の高圧タンク71b内の加工水を吐出する第1の加工水吐出管712aおよび第2の加工水吐出管712bと、第1の高圧タンク71aおよび第2の高圧タンク71b内の加工水を吸引する第1の加工水吸引管713aおよび第2の加工水吸引管713bと、第1の高圧タンク71aおよび第2の高圧タンク71bに加工水を補充する第1の加工水補充管714aおよび第2の加工水補充管714bと、第1の高圧タンク71aおよび第2の高圧タンク71b内を大気に開放する第1の大気連通管715aおよび第2の大気連通管715bが配設されている。以上のように構成された第1の高圧タンク71aおよび第2の高圧タンク71bには砥粒が混入された加工水700が収容されるが、砥粒は水よりも比重が大きいので第1の高圧タンク71aおよび第2の高圧タンク71bの下方に沈殿し、水が第1の高圧タンク71aおよび第2の高圧タンク71bの上方に位置することになる。
【0019】
上記第1の高圧水供給管711aおよび第2の高圧水供給管711bは、それぞれ第1の主高圧水導管751aおよび第2の主高圧水導管751bと第1の高圧水開閉弁79aおよび第2の高圧水開閉弁79bを介して主高圧水供給手段73に接続されている。また、上記第1の加工水吐出管712aおよび第2の加工水吐出管712bは、それぞれ第1の加工水送出管76aおよび第2の加工水送出管76bと後述する第1の加工水開閉弁77aおよび第2の加工水開閉弁77bと第1の加工水合流手段78aおよび第2の加工水合流手段78bを介して上記ノズル72に接続されている。第1の加工水送出管76aおよび第2の加工水送出管76bには、それぞれ第1の加工水開閉弁77aおよび第2の加工水開閉弁77bが配設されているとともに、第1の加工水開閉弁77aおよび第2の加工水開閉弁77bとノズル72との間に第1の加工水合流手段78aおよび第2の加工水合流手段78bが配設されている。第1の加工水開閉弁77aおよび第2の加工水開閉弁77bは、除勢(OFF)している状態では閉路しており、附勢(ON)されると開路するように構成されている。
【0020】
第1の加工水合流手段78aおよび第2の加工水合流手段78bは、それぞれ加工水流入通路781aおよび781bと高圧水流入通路782aおよび782bと加工水流出通路783aおよび783bを備えている。高圧水流入通路782aおよび782bと加工水流出通路783aおよび783bは直線状に形成されており、加工水流入通路781aおよび781bは高圧水流入通路782aおよび782bと加工水流出通路783aおよび783bの間の合流部784aおよび784bに連通されている。このように構成された第1の加工水合流手段78aおよび第2の加工水合流手段78bは、加工水流入通路781aおよび781bがそれぞれ第1の加工水送出管76aおよび第2の加工水送出管76bの第1の加工水吐出管712aおよび第2の加工水吐出管712b側に接続され、高圧水流入通路782aおよび782bがそれぞれ第1の副高圧水導管752aおよび第2の副高圧水導管752bを介して上記主高圧水供給手段73に接続され、加工水流出通路783aおよび783bがそれぞれ第1の加工水送出管76aおよび第2の加工水送出管76bのノズル72接続されている。
【0021】
上記第1の主高圧水導管751aおよび第1の副高圧水導管752aには第1の高圧水開閉弁79aが配設され、上記第2の主高圧水導管751bおよび第2の副高圧水導管752bには第2の高圧水開閉弁79bが配設されている。上記第1の高圧水開閉弁79aおよび第2の高圧水開閉弁79bは、それぞれ4ポート電磁切り替え弁からなっており、除勢(OFF)している状態で閉路しており、附勢(ON)される開路するように構成されている。なお、上記高圧水供給手段73は、水タンク731と、該水タンク731に収容された水を高圧にして送給する高圧水送給ポンプ732とからなっている。
【0022】
上記加工水補充手段74は、吸引ポンプ741と砥粒フィルター742を具備しており、吸引ポンプ741が上記第1の加工水吸引管713aおよび第2の加工水吸引管713bに配管743a、743bを介して接続され、砥粒フィルター742が上記第1の加工水補充管714aおよび第2の加工水補充管714bに配管744a、744bを介して接続されている。なお、上記配管743a、743bにはそれぞれ電磁開閉弁745a、745bが配設されており、配管744a、744bにはそれぞれ電磁開閉弁746a、746bが配設されている。また、砥粒フィルター742は、配管747を介して上記キャッチタンク60に接続されている。
【0023】
図示の実施形態における加工水噴射手段7は、上記第1の高圧タンク71aおよび第2の高圧タンク71bをそれぞれ大気に開放する第1の大気開放手段80aおよび第2の大気開放手段80bを具備している。第1の大気開放手段80aおよび第2の大気開放手段80bは、上記第1の大気連通管715aおよび第2の大気連通管715bに接続された第1の大気開放管801aおよび第2の大気開放管801bと、該第1の大気開放管801aおよび第2の大気開放管801bの先端部にそれぞれ配設された第1のオリフィス802aおよび第2のオリフィス802bと、該第1の大気開放管801aおよび第2の大気開放管801bにおける第1の大気連通管715aおよび第2の大気連通管715bと第1のオリフィス802aおよび第2のオリフィス802bとの間にそれぞれ配設された第1の大気開放弁803aおよび第2の大気開放弁803bとからなっている。第1の大気開放弁803aおよび第2の大気開放弁803bは、それぞれ除勢(OFF)している状態では閉路しており、附勢(ON)されると開路するように構成されている。
【0024】
図示の実施形態における加工水噴射手段7は、上記第1の高圧タンク71aおよび第2の高圧タンク71bに選択的に補助高圧水を供給する補助高圧水供給手段81を具備している。補助高圧水供給手段81は、補助水タンク811と、該水タンク811に収容された水を高圧にして送給する補助高圧水送給ポンプ812と、該補助高圧水送給ポンプ812と上記第1の大気連通管715aおよび第2の大気連通管715bとを接続する第1の補助高圧水導管813aおよび第2の補助高圧水導管813bと、該第1の補助高圧水導管813aおよび第2の補助高圧水導管813bと上記第1の大気開放手段80aおよび第2の大気開放手段80bの第1の大気開放管801aおよび第2の大気開放管801bにおける第1の大気開放弁803aおよび第2の大気開放弁803bと第1のオリフィス802aおよび第2のオリフィス802bとの間に接続された第1の予圧水導管814aおよび第2の予圧水導管814bと、第1の補助高圧水導管813aおよび第2の補助高圧水導管813bにそれぞれ配設された第1の補助高圧水開閉弁815aおよび第2の補助高圧水開閉弁815bと、第1の予圧水導管814aおよび第2の予圧水導管814bにそれぞれ配設された第1の予圧水開閉弁816aおよび第2の予圧水開閉弁816bとからなっている。上記第1の補助高圧水開閉弁815aおよび第2の補助高圧水開閉弁815bは、それぞれ除勢(OFF)している状態では閉路しており、附勢(ON)されると開路するように構成されている。また、上記第1の予圧水開閉弁816aおよび第2の予圧水開閉弁816bも、それぞれ除勢(OFF)している状態では閉路しており、附勢(ON)されると開路するように構成されている。なお、上記第1の補助高圧水導管813aおよび第2の補助高圧水導管813bにおける第1の補助高圧水開閉弁815aおよび第2の補助高圧水開閉弁815bと第1の大気連通管715aおよび第2の大気連通管715bとの間には第1の圧力センサー817aおよび第2の圧力センサー817bが配設されている。また、第1の予圧水導管814aおよび第2の予圧水導管814bにおける第1の予圧水開閉弁816aおよび第2の予圧水開閉弁816bと第1の大気開放配管801aおよび第2の大気開放配管801bとの間には第3の圧力センサー818aおよび第4の圧力センサー818bが配設されている。
【0025】
図示の実施形態における加工水噴射手段7は、上記第1の高圧タンク71aおよび第2の高圧タンク71bに収容された加工水に混入された砥粒の量をそれぞれ検出する第1の砥粒量検出手段82aおよび第2の砥粒量検出手段82bを備えている。なお、第1の砥粒量検出手段82aおよび第2の砥粒量検出手段82bは、図示の実施形態においては重量計からなっている。また、図示の実施形態における加工水噴射手段7は、上記該第1の砥粒量検出手段82aおよび第2の砥粒量検出手段82bや上記第1の圧力センサー817aおよび第2の圧力センサー817bや第3の圧力センサー818aおよび第4の圧力センサー818b等からの検出信号に基づいて上記高圧水供給手段73の高圧水送給ポンプ732、第1の高圧水開閉弁79aおよび第2の高圧水開閉弁79b、加工水補充手段74の吸引ポンプ741や電磁開閉弁745a、745bおよび電磁開閉弁746a、746b、第1の大気開放手段80aおよび第2の大気開放手段80bの第1の大気開放弁803aおよび第2の大気開放弁803b、補助高圧水供給手段81の補助高圧水送給ポンプ812や第1の補助高圧水開閉弁815aおよび第2の補助高圧水開閉弁815bや第1の予圧水開閉弁816aおよび第2の予圧水開閉弁816bを制御する制御手段9を具備している。この制御手段9は、上記第1の移動手段30のパルスモータ302、上記第2の移動手段40のパルスモータ402、上記第3の移動手段50のパルスモータ502にも制御信号を出力する。
【0026】
図2に示す実施形態における加工水噴射手段7は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
制御手段9は、加工水噴射手段7の高圧水供給手段73を構成する高圧水送給ポンプ732を作動するとともに第1の高圧水開閉弁79aを附勢(ON)するとともに、第1の加工水開閉弁77aを附勢(ON)して開路する。第1の高圧水開閉弁79aを附勢(ON)して開路すると、高圧水送給ポンプ732と第1の高圧水導管751aが連通し、高圧水が第1の高圧水導管751aを介して第1の高圧タンク71aに供給される。この結果、第1の高圧タンク71a内は高圧(例えば69Mpa)となり、第1の高圧タンク71aに収容され砥粒が混入された加工水700が第1の加工水吐出管712aを通して押し出される。また、第1の高圧水開閉弁79aを附勢(ON)して開路すると、高圧水送給ポンプ732と第1の副高圧水導管752aが連通し、高圧水が第1の副高圧水導管752aを介して第1の加工水合流手段78aの高圧水流入通路782aに供給される。この結果、第1の加工水吐出管712aから押し出された加工水と加工水流入通路781aから供給された高圧水が合流部784aで合流し、該合流部784aで合流した加工水は第1の加工水送出管76aを介してノズル72から噴射せしめられる(第1の噴射工程)。この結果、被加工物保持テーブル6に保持された被加工物Wがウォータージェット加工される。なお、ウォータージェット加工を実施した使用済みの加工水は、キャッチタンク60に収容された緩衝用の水によってその勢いが和らげられ、収容される。
【0027】
上述したように第1の高圧タンク71aに収容され砥粒が混入された加工水700をノズル72から噴射してウォータージェット加工を実施すると、第1の高圧タンク71aに収容され加工水に混入された砥粒の量が減少する。加工水に混入された砥粒の量が第1の所定値以下になると加工効率が低下する。そこで、図示の実施形態においては砥粒量検出手段82aによって第1の高圧タンク71aに収容された加工水の重量が計測されており、その検出信号が制御手段9に送られている。即ち、砥粒は水よりも比重が大きいため、砥粒が少なくなると水の量が同じでも第1の高圧タンク71aに収容されている加工水の重量は軽くなる。そこで、制御手段9は、砥粒量検出手段82aからの検出信号に基づいて第1の高圧タンク71aに収容された加工水の重量が第1の所定値以下になったならば、第1の高圧水開閉弁79aおよび第1の加工水開閉弁77aを除勢(OFF)するとともに第2の高圧水開閉弁79bおよび第1の加工水開閉弁77bを附勢(ON)する。このとき、第2の高圧水開閉弁79bの高圧水送給ポンプ732側と第2の高圧水導管751b側とは圧力差があるため、第2の高圧水開閉弁79bを作動すると第2の高圧水開閉弁79bおよび第2の高圧水導管751bに大きな負荷が作用して破損するという問題がある。なお、第2の副高圧水導管752bは第2の加工水合流手段78b、第2の加工水送出管76b、第1の加工水送出管76a、第1の加工水合流手段78a、第1の加工水開閉弁77bを介して第1の高圧タンク71aに連通しているので、第2の副高圧水導管752bの圧力は第1の高圧タンク71a内の圧力同じで高圧(例えば69Mpa)になっているため、上記問題は生じない。そこで、制御手段9は、第2の高圧水開閉弁79bを附勢(ON)する前に、補助高圧水供給手段81の補助高圧水送給ポンプ812を作動するとともに第2の補助高圧水開閉弁815bを附勢(ON)して開路する。この結果、補助高圧水送給ポンプ812から送給された補助高圧水が第2の補助高圧水開閉弁815bおよび第2の大気連通管715bを介して第2の高圧タンク71bに流入するので、第2の高圧タンク71b内の圧力が増加していく。従って、第2の高圧水開閉弁79bの第2の高圧水導管751b側の圧力も増加していく。そして、制御手段9は、第2の圧力センサー817bからの検出信号に基いて第2の高圧タンク71b内の圧力が高圧水送給ポンプ732側の圧力(例えば69Mpa)と同等の圧力に達したならば、第2の高圧水開閉弁79bを附勢(ON)して開路する。このように第2の高圧水開閉弁79bの高圧水送給ポンプ732側の圧力と第2の高圧水導管751b側の圧力が同等の圧力になってから第2の高圧水開閉弁79bを附勢(ON)するので、第2の高圧水開閉弁79bおよび第2の高圧水導管751bに大きな負荷が作用することはない。そして、制御手段9は、第2の補助高圧水開閉弁815bを除勢(OFF)して補助高圧水送給ポンプ812の作動と停止する。
【0028】
このように第1の高圧水開閉弁79aを除勢(OFF)するとともに第2の高圧水開閉弁79bを附勢(ON) すると、高圧水送給ポンプ732と第2の高圧水導管751bが連通し、高圧水が第2の高圧水導管751bを介して第2の高圧タンク71bに供給される。この結果、第2の高圧タンク71b内は高圧(例えば69Mpa)が維持され、第2の高圧タンク71bに収容され砥粒が混入された加工水700が第2の加工水吐出管712bを通して押し出される。一方、第2の高圧水開閉弁79bを附勢(ON)して開路すると、高圧水送給ポンプ732と第2の副高圧水導管752bが連通し、高圧水が第2の副高圧水導管752bを介して第2の加工水合流手段78bの高圧水流入通路782bに供給される。この結果、第2の加工水吐出管712bから押し出された加工水と加工水流入通路781bから供給された高圧水が合流部784bで合流し、該合流部784bで合流した加工水は第2の加工水送出管76bを介してノズル72から噴射せしめられる(第2の噴射工程)。この結果、被加工物保持テーブル6に保持された被加工物Wがウォータージェット加工される。なお、ウォータージェット加工を実施した使用済みの加工水は、キャッチタンク60に収容された緩衝用の水によってその勢いが和らげられ、収容される。
【0029】
なお、上記第2の噴射工程を実施している際に制御手段9は、第1の大気開放手段80aの第1の大気開放弁803aを附勢(ON)して第1の高圧タンク71aを大気に開放するとともに、加工水補充手段74の吸引ポンプ741を作動するとともに電磁開閉弁745aおよび電磁開閉弁746aを附勢(ON)して開路せしめる。このとき、第1の大気開放弁803aの第1の高圧タンク71a側と第1のオリフィス802a側(大気側)とは圧力差があるため、第1の大気開放弁803aを作動すると第1の大気開放弁803aおよび第1の大気開放管801aに大きな負荷が作用して破損するという問題がある。そこで、制御手段9は、第1の大気開放弁803aを附勢(ON)する前に、補助高圧水供給手段81の補助高圧水送給ポンプ812を作動するとともに第1の予圧水開閉弁816aを附勢(ON)して開路する。この結果、補助高圧水送給ポンプ812から送給された補助高圧水が第1の大気開放管801aにおける第1の大気開放弁803aと第1のオリフィス802aとの間に供給されるので、第1の大気開放管801aにおける第1の大気開放弁803aと第1のオリフィス802aとの間の圧力が増加していく。そして、制御手段9は、第3の圧力センサー818aからの検出信号に基いて第1の大気開放管801aにおける第1の大気開放弁803aと第1のオリフィス802aとの間の圧力が第1の高圧タンク71a側即ち第1の圧力センサー817aからの圧力と同等の圧力に達したならば、第1の大気開放弁803aを附勢(ON)する。このように第1の大気開放弁803aの第1の高圧タンク71a側の圧力と第1のオリフィス802a側の圧力が同等の圧力になってから第1の大気開放弁803aを附勢(ON)するので、第1の大気開放弁803aおよび第1の大気開放管801aに大きな負荷が作用することはない。そして、制御手段9は、第1の大気開放弁803aを附勢(ON)して開路したならば、補助高圧水供給手段81の補助高圧水送給ポンプ812の作動を停止するとともに第1の予圧水開閉弁816aを除勢(OFF)して閉路する。
【0030】
このようにして、第1の大気開放手段80aの第1の大気開放弁803aを附勢(ON)して第1の高圧タンク71aを大気に開放するとともに、加工水補充手段74の吸引ポンプ741を作動するとともに電磁開閉弁745aおよび電磁開閉弁746aを附勢(ON)して開路せしめると、加工水吸引管713aを通して第1の高圧タンク71aの上部の水が吸引される。従って、第1の高圧タンク71a内が負圧になるため、キャッチタンク60に収容され砥粒が混入された加工水が配管747、砥粒フィルター742、配管744aおよび加工水供給管714aを介して第1の高圧タンク71aに補充される(第1の加工水補充工程)。この第1の加工水補充工程においては、キャッチタンク60に収容されている砥粒が混入された加工水に上記ウォータージェット加工によって生成された端材等が混入している場合には、砥粒フィルター743によって捕集され、砥粒が混入された加工水のみが補充される。また、第1の加工水補充工程においては、砥粒量検出手段82aによって第1の高圧タンク71aに収容された加工水の重量が計測されており、その検出信号が制御手段9に送られている。そして、制御手段9は、砥粒量検出手段82aからの検出信号に基づいて第1の高圧タンク71aに収容された加工水の重量が上記第1の所定値より所定量高い第2の所定値以上になったならば、第1の高圧タンク71aに収容された加工水に砥粒が必要量混入されたと判断し、吸引ポンプ741の作動を停止するとともに電磁開閉弁745aおよび電磁開閉弁746aを除勢(OFF)して閉路する。即ち、第1の高圧タンク71aは常に水と砥粒で飽和状態になっているが、水よりも比重の大きい砥粒が供給されることで重量が重くなる。
【0031】
なお、上述した第2の噴射工程を実施し、第2の高圧タンク71bに収容された加工水に混入されている砥粒の量が第1の所定値以下に減少したならば、砥粒量検出手段82bからの検出信号に基づいて制御手段9は、第2の高圧水開閉弁79bおよび第2の加工水開閉弁77bを除勢(OFF)するとともに第1の高圧水開閉弁79aおよび第1の加工水開閉弁77aを附勢(ON)する。このとき、第1の高圧水開閉弁79aの高圧水送給ポンプ732側と第1の高圧水導管751a側とは圧力差があるため、第1の高圧水開閉弁79aを作動すると第1の高圧水開閉弁79aおよび第1の高圧水導管751aに大きな負荷が作用して破損するという問題がある。なお、第1の副高圧水導管752aは第1の加工水合流手段78a、第1の加工水送出管76a、第2の加工水送出管76b、第2の加工水合流手段78b、第2の加工水開閉弁77bを介して第2の高圧タンク71bに連通しているので、第1の副高圧水導管752aの圧力は第2の高圧タンク71b内の圧力同じで高圧(例えば69Mpa)になっているため、上記問題は生じない。そこで、制御手段9は、第1の高圧水開閉弁79aを附勢(ON)する前に、補助高圧水供給手段81の補助高圧水送給ポンプ812を作動するとともに第1の補助高圧水開閉弁815aを附勢(ON)して開路する。この結果、補助高圧水送給ポンプ812から送給された高圧水が第1の補助高圧水開閉弁815aおよび第1の大気連通管715aを介して第1の高圧タンク71bに流入するので、第1の高圧タンク71b内の圧力が増加していく。従って、第2の高圧水開閉弁79bの第2の高圧水導管751a側の圧力も増加していく。そして、制御手段9は、第1の圧力センサー817aからの検出信号に基いて第1の高圧タンク71a内の圧力が高圧水送給ポンプ732側の圧力(例えば69Mpa)と同等の圧力に達したならば、第1の高圧水開閉弁79aを附勢(ON)して開路する。このように第1の高圧水開閉弁79aの高圧水送給ポンプ732側の圧力と第1の高圧水導管751a側の圧力が同等の圧力になってから第1の高圧水開閉弁79aを附勢(ON)するので、第1の高圧水開閉弁79aおよび第1の高圧水導管711aに大きな負荷が作用することはない。そして、制御手段9は、第1の補助高圧水開閉弁81aを除勢(OFF)して補助高圧水送給ポンプ812の作動と停止する。
【0032】
このようにして、第2の高圧水開閉弁79bおよび第2の加工水開閉弁77bを除勢(OFF)するとともに第1の高圧水開閉弁79aおよび第1の加工水開閉弁77aを附勢(ON)することにより、上記第1の噴射工程を実施する。
また、第1の噴射工程を実施している際に、制御手段9は第2の大気開放手段80bの第2の大気開放弁803bを附勢(ON)して第2の高圧タンク71bを大気に開放するとともに、加工水補充手段74の吸引ポンプ741を作動するとともに電磁開閉弁745bおよび電磁開閉弁746bを附勢(ON)して開路せしめる。このとき、第2の大気開放弁803bの第2の高圧タンク71b側と第1のオリフィス802a側(大気側)とは圧力差があるため、第2の大気開放弁803bを作動すると第2の大気開放弁803bおよび第2の大気開放管801bに大きな負荷が作用して破損するという問題がある。そこで、制御手段9は、第2の大気開放弁803bを附勢(ON)する前に、補助高圧水供給手段81の補助高圧水送給ポンプ812を作動するとともに第2の予圧水開閉弁816bを附勢(ON)して開路する。この結果、補助高圧水送給ポンプ812から送給された補助高圧水が第2の大気開放管801bにおける第2の大気開放弁803bと第2のオリフィス802bとの間に供給されるので、第2の大気開放管801bにおける第2の大気開放弁803bと第2のオリフィス802bとの間の圧力が増加していく。そして、制御手段9は、第4の圧力センサー818bからの検出信号に基いて第2の大気開放管801bにおける第2の大気開放弁803bと第2のオリフィス802bとの間の圧力が第2の高圧タンク71b側即ち第2の圧力センサー817bからの圧力と同等の圧力に達したならば、第2の大気開放弁803bを附勢(ON)する。このように第2の大気開放弁803bの第2の高圧タンク71b側の圧力と第2のオリフィス802b側の圧力が同等の圧力になってから第2の大気開放弁803bを附勢(ON)するので、第2の大気開放弁803bおよび第2の大気開放管801bに大きな負荷が作用することはない。そして、制御手段9は、第2の大気開放弁803bを附勢(ON)して開路したならば、補助高圧水供給手段81の補助高圧水送給ポンプ812の作動を停止するとともに第2の予圧水開閉弁816bを除勢(OFF)して閉路する。
【0033】
このようにして、第2の大気開放手段80bの第2の大気開放弁803bを附勢(ON)して第2の高圧タンク71bを大気に開放するとともに、加工水補充手段74の吸引ポンプ741を作動するとともに電磁開閉弁745bおよび電磁開閉弁746bを附勢(ON)して開路せしめると、加工水吸引管713bを通して第2の高圧タンク71bの上部の水が吸引される。従って、第2の高圧タンク71b内が負圧になるため、キャッチタンク60に収容され砥粒が混入された加工水が配管747、砥粒フィルター742、配管744bおよび加工水供給管714bを介して第2の高圧タンク71bに補充される(第2の加工水補充工程)。この第2の加工水補充工程においては、キャッチタンク60に収容されている砥粒が混入された加工水に上記ウォータージェット加工によって生成された端材等が混入している場合には、砥粒フィルター743によって捕集され、砥粒が混入された加工水のみが補充される。また、第2の加工水補充工程においては、砥粒量検出手段82bによって第2の高圧タンク71bに収容された加工水の重量が計測されており、その検出信号が制御手段9に送られている。そして、制御手段9は、砥粒量検出手段82bからの検出信号に基づいて第2の高圧タンク71bに収容された加工水の重量が上記第1の所定値より所定量高い第2の所定値以上になったならば、第2の高圧タンク71bに収容された加工水に砥粒が必要量混入されたと判断し、吸引ポンプ741の作動を停止するとともに電磁開閉弁745bおよび電磁開閉弁746bを除勢(OFF)して閉路する。即ち、第2の高圧タンク71bは常に水と砥粒で飽和状態になっているが、水よりも比重の大きい砥粒が供給されることで重量が重くなる。
以上のようにして、第1の噴射工程、第1の加工水補充工程、第2の噴射工程、第2の加工水補充工程を交互に継続して実施する。
【0034】
次に、上述したウォータージェット加工装置によって被加工物としてのCSP基板を切断するウォータージェット加工について説明する。
先ず、被加工物としてのCSP基板について、図3および図4を参照して説明する。
図3および図4に示すCSP基板10は、金属板100に3個のブロック10a、10b、10cが連続して形成されている。CSP基板10を構成する3個のブロック10a、10b、10cの表面100aには、それぞれ所定の方向に延びる複数の第1の分割予定ライン101と、該第1の分割予定ライン101と直交する方向に延びる第2の分割予定ライン102が格子状に形成されている。第1の分割予定ライン101と第2の分割予定ライン102によって区画された複数の領域にそれぞれチップサイズパッケージ(CSP)103が配置されており、このチップサイズパッケージ(CSP)103は各ブロック10a、10b、10c毎に金属板100の裏面側から合成樹脂部110a、110b、110cによってモールディングされている。なお、CSP基板10を構成する金属板100の外周部は3個のブロック10a、10b、10cより外側に突出して形成されており、この長手方向両側の突出部に位置決め用の複数の穴104(図示の実施形態においては、それぞれ4個)が設けられている。このように形成されたCSP基板10は、第1の分割予定ライン101および第2の分割予定ライン102に沿って切断され個々にパッケージされたチップサイズパッケージ(CSP)103に分割される。
【0035】
上述したCSP基板10は、図5に示す第1の被加工物保持治具12aおよび図6に示す第2の被加工物保持治具12bによって保持され、ウォータージェット加工装置の上記被加工物保持テーブル6上に保持される。なお、図5に示す第1の被加工物保持治具12aおよび図6に示す第2の被加工物保持治具12bは、後述する第1の貫通溝および第2の貫通溝以外は同一の構成であるため、同一部材には同一符号を付して説明する。図5に示す第1の被加工物保持治具12aおよび図6に示す第2の被加工物保持治具12bは、それぞれ下挟持板13と上挟持板14とからなっており、片側辺が2個のヒンジ15、15によって互いにヒンジ結合されている。
【0036】
第1の被加工物保持治具12aおよび第2の被加工物保持治具12bを構成する下挟持板13は、金属または合成樹脂によって矩形状に形成された板材からなっており、その上面には上記CSP基板10が嵌合する矩形状の凹部130が形成されている。この矩形状の凹部130の長手方向両側には上記CSP基板10の電極板100に形成された複数の位置決め用の穴104が嵌合する複数の位置決めピン131が配設されている。また、下挟持板13の4隅部には、上記第1の被加工物保持テーブル6aおよび第2の被加工物保持テーブル6bに配設された4本の位置決めピン62と嵌合する位置決め用の4個の穴132が設けられている。そして、図5に示す第1の被加工物保持治具12aを構成する下挟持板13の矩形状の凹部130には、上記CSP基板10の第1の分割予定ライン101と対応する第1の貫通溝133aと、該第1の貫通溝133aの一端および他端において隣接する第1の貫通溝133aを交互に連通する第2の貫通溝134aが形成されている。また、図6に示す第2の被加工物保持治具12bを構成する下挟持板13の矩形状の凹部130には、上記CSP基板10の第2の分割予定ライン102と対応する第1の貫通溝133bと、該第1の貫通溝133bの一端および他端において隣接する第1の貫通溝133bを交互に連通する第2の貫通溝134bが形成されている。
【0037】
第1の被加工物保持治具12aおよび第2の被加工物保持治具12bを構成する上挟持板14には、それぞれ開口141が設けられている。この開口141は、上記CSP基板10と相似形でCSP基板10より僅かに小さい寸法形状に形成されている。
【0038】
上記CSP基板10を第1の分割予定ライン101および第2の分割予定ライン102に沿って切断するには、先ず第1の被加工物保持治具11aの下挟持板13にCSP基板10を載置する。このとき、CSP基板10を矩形状の凹部130に嵌合するとともに、電極板100に形成された複数の位置決め用の穴104を下挟持板13に設けられた複数の位置決めピン131に嵌合する。そして、上挟持板14を重合して係合片16を係合凹部133に係合する。このようにしてCSP基板10を第1の被加工物保持治具12aにセットしたならば、CSP基板10がセットされた第1の被加工物保持治具12aを被加工物搬入・搬出開口1dを通して被加工物保持テーブル6上に載置する。このとき、第1の被加工物保持治具12aの下挟持板13に設けられた4個のピン穴132を被加工物保持テーブル6に配設された4本の位置決めピン62と嵌合することにより、CSP基板10がセットされた第1の被加工物保持治具12aは被加工物保持テーブル6の所定位置に保持される。
【0039】
CSP基板10がセットされた第1の被加工物保持治具12aがウォータージェット加工装置における被加工物保持テーブル6の所定位置に保持されたならば、制御手段9は第1の移動手段30および第3の移動手段50を作動し第1の可動基台3および第3の可動基台5を矢印Xおよび矢印Yで示す方向に移動させて、被加工物保持テーブル6に保持されたCSP基板10をノズル72の下方である加工領域に移動し、所定の加工開始位置をノズル72の直下に位置付ける。そして、制御手段9は第2の移動手段40を作動して第2の可動基台4を矢印Zで示す方向に移動しノズル72をCSP基板10の表面から上方に所定の間隔(例えば、50μm)を置いた所定位置に位置付ける。
【0040】
次に、加工水噴射手段7の高圧水供給手段73を構成する高圧水送給ポンプ732を作動するとともに第1の高圧水開閉弁79aを附勢(ON)し、上記第1の第1の噴射工程を実施してノズル72から砥粒が混入された加工水を噴射するとともに、第3の移動手段50および第1の移動手段30を作動して第3の可動基台5および第1の可動基台3を矢印Yおよび矢印Xで示す方向に順次移動させることにより、被加工物保持テーブル6即ちCSP基板10をノズル72に対して第1の被加工物保持治具12aの下挟持板13に形成された第1の貫通溝133aおよび第2の貫通溝134aに沿って移動せしめる。この結果、CSP基板10は、第1の分割予定ライン101の全てと第2の分割予定ライン102の一部に沿って(第1の被加工物保持治具12aの下挟持板13に形成された第1の貫通溝133aおよび第2の貫通溝134aに沿って)切断される(第1の切断工程)。なお、切断時においては、高圧の加工水はCSP基板10を貫通するが、切断後の高圧の加工水は下挟持板13に形成された第1の貫通溝133aおよび第2の貫通溝134aを通り、キャッチタンク60に収容された緩衝用の水によってその勢いが和らげられる。
【0041】
なお、上記第1の切断工程を実施している際に、制御手段9は上記砥粒量検出手段82aおよび82bからの検出信号に基づいて上記第1の噴射工程、第1の加工水補充工程、第2の噴射工程、第2の加工水補充工程を交互に実施する。
【0042】
上述した第1の切断工程を実施したならば、第1の切断工程が実施されたCSP基板10を挟持している第1の被加工物保持治具12aを被加工物保持テーブル6から取り外す。そして、第1の被加工物保持治具12aに挟持されているCSP基板10を第2の被加工物保持治具12bにセットする。このCSP基板10のセットは、上記第1の被加工物保持治具12aへのセットと同様に実施する。
【0043】
CSP基板10を第2の被加工物保持治具12bにセットしたならば、CSP基板10がセットされた第2の被加工物保持治具12bを被加工物保持テーブル6上に載置し、上記第1の被加工物保持治具12aと同様に被加工物保持テーブル6の所定位置に保持する。次に、第1の移動手段30および第3の移動手段50を作動して第1の可動基台3および第3の可動基台5を矢印Xおよび矢印Yで示す方向に移動させて、被加工物保持テーブル6に保持されたCSP基板10をノズル72の下方である加工領域に移動し、所定の加工開始位置を例えばノズル72の直下に位置付ける。そして、第2の移動手段40を作動して第2の可動基台4を矢印Zで示す方向に移動しノズル72をCSP基板10の表面から上方に所定の間隔(例えば、50μm)を置いた所定位置に位置付ける。
【0044】
次に、上記第1の噴射工程を実施してノズル72から砥粒が混入された加工水を噴射するとともに、第3の移動手段50および第1の移動手段30を作動して第3の可動基台5および第1の可動基台3を矢印Yおよび矢印Xで示す方向に順次移動させることにより、被加工物保持テーブル6即ちCSP基板10をノズル72に対して第2の被加工物保持治具12bの下挟持板13に形成された第1の貫通溝133bおよび第2の貫通溝134bに沿って移動せしめる。この結果、CSP基板10は、第2の分割予定ライン102の全てと第1の分割予定ライン101の一部に沿って(第2の被加工物保持治具12bの下挟持板13に形成された第1の貫通溝133bおよび第2の貫通溝134bに沿って)切断される(第2の切断工程)。なお、切断時においては、高圧の加工水はCSP基板10を貫通するが、切断後の高圧の加工水は下挟持板13に形成された第1の貫通溝133bおよび第2の貫通溝134bを通り、キャッチタンク60に収容された緩衝用の水によってその勢いが和らげられる。
【0045】
なお、上記第2の切断工程を実施している際にも、制御手段9は上記砥粒量検出手段82aおよび82bからの検出信号に基づいて上記第1の噴射工程、第1の加工水補充工程、第2の噴射工程、第2の加工水補充工程を交互に実施する。
【0046】
上述した第2の切断工程を実施したならば、第2の切断工程が実施されたCSP基板10を挟持している第2の被加工物保持治具12bを被加工物保持テーブル6から取り外す。以上のようにして第1の切断工程および第2の切断工程を実施することによりCSP基板10は、第1の分割予定ライン101のおよび第2の分割予定ライン102に沿って切断され、個々のチップサイズパッケージ(CSP)に分割される。
【0047】
次に、上記第1の加工水開閉弁77aと第1の加工水合流手段78aおよび第2の加工水開閉弁77bと第2の加工水合流手段78bの他の実施形態について、図7を参照して説明する。
図7に示す実施形態は、第1の加工水合流手段78aおよび第2の加工水合流手段78bにそれぞれ上記第1の加工水開閉弁77aおよび第2の加工水開閉弁77bの開閉弁機能を組込んで一体的に構成したものである。なお、第1の加工水合流手段78aおよび第2の加工水合流手段78bは実質的に同一であるため、加工水合流手段78として説明する。
図7に示す実施形態における加工水合流手段78は、上記図2に示す第1の加工水合流手段78aおよび第2の加工水合流手段78bと同様にハウジング780には加工水流入通路781と高圧水流入通路782と加工水流出通路783を備えている。上記加工水流入通路781の合流部784側には、弁座785が形成されている。そして、ハウジング780にそれぞれ弁座785を開閉する弁771が摺動可能に配設される。この弁771は、弁作動アクチュエータ772によって作動せしめられるようになっている。弁作動アクチュエータ772は、ハ7ウジング780に形成された作動室773内に摺動可能に配設された作動ピストン774と、該作動ピストン774に連結されたピストンロッド775を備えており、該ピストンロッド775の先端が上記弁771に連結されている。図示の実施形態における弁作動アクチュエータ772は、上記作動ピストン774とハウジング780の上壁との間に配設された圧縮コイルスプリング776を備えており、該圧縮コイルスプリング776のバネ力によって作動ピストン774およびピストンロッド775を介して弁771が弁座785に着座して閉路するように附勢されている。一方、上記作動室773は、エアー供給通787を介して図示しないエアー供給手段に接続されている。従って、図示しないエアー供給手段を作動して作動室773にエアーが供給されると、図7に示すように作動ピストン774が圧縮コイルスプリング776のバネ力に抗して図において上方に摺動せしめられる。この結果、作動ピストン774にピストンドッド775を介して連結された弁771が上方に摺動し、弁座785から離れて開路する。なお、弁771が弁座785に着座して閉路した際も、高圧水流入通路782と加工水流出通路783は連通している。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に従って構成されたウォータージェット加工装置の斜視図。
【図2】図1に示すウォータージェット加工装置を構成する加工水噴射手段の構成ブロック図。
【図3】被加工物としてのCSP基板の斜視図。
【図4】図3に示すCSP基板の断面図。
【図5】被加工物としてのCSP基板を保持しウォータージェット加工装置の被加工物保持テーブル上に載置するための第1の被加工物保持治具の斜視図。
【図6】被加工物としてのCSP基板を保持しウォータージェット加工装置の被加工物保持テーブル上に載置するための第2の被加工物保持治具の斜視図。
【図7】図1に示すウォータージェット加工装置の加工水噴射手段を構成する第1の加工水開閉弁と第1の加工水合流手段および第2の加工水開閉弁と第2の加工水合流手段の他の実施形態を示す断面図。
【符号の説明】
【0049】
2:静止基台
3:第1の可動基台
30:第1の移動手段
4:第2の可能基台
40:第2の移動手段
5:第3の可動基台
50:第3の移動手段
6:被加工物保持テーブル
60:キャッチタンク
7:加工水噴射手段
71a:第1の高圧タンク
71b:第2の高圧タンク
711a、711b:加工水送出管
712a、712b:高圧水供給管
713a、713b:加工水吐出管
714a、714b:加工水吸引管
715a、715b:加工水供給管
72:ノズル
73:主高圧水供給手段
74:加工水補充手段
741:吸引ポンプ
743:砥粒フィルター
745a、745b:電磁開閉弁
746a、746b:電磁開閉弁
77a:第1の加工水開閉弁
77b:第2の加工水開閉弁
78a:第1の加工水合流手段
78b:第2の加工水合流手段
79a:第1の高圧水開閉弁
79b:第2の高圧水開閉弁
80a:第1の大気開放手段
80b:第2の大気開放手段
81:補助高圧水供給手段
82a:第1の砥粒量検出手段
82b:第2の砥粒量検出手段
9:制御手段
10:CSP基板(被加工物)
12a:第1の被加工物保持治具
12b:第2の被加工物保持治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物に砥粒が混入された加工水を噴射する加工水噴射手段と、を具備するウォータージェット加工装置において、
該加工水噴射手段は、砥粒が混入された加工水を収容した第1の高圧タンクおよび第2の高圧タンクと、
該第1の高圧タンクおよび該第2の高圧タンクに接続されたノズルと、
該第1の高圧タンクおよび該第2の高圧タンクと該ノズルとを接続する第1の加工水送出管におよび第2の加工水送出管にそれぞれ配設された第1の加工水開閉弁および第2の加工水開閉弁と、
該第1の加工水送出管および該第2の加工水送出管における該第1の加工水開閉弁および該第2の加工水開閉弁と該ノズルとの間にそれぞれ配設された第1の加工水合流手段および第2の加工水合流手段と、
該第1の高圧タンクおよび該第2の高圧タンクに砥粒が混入された加工水を補充する加工水補充手段と、
該第1の高圧タンクおよび該第2の高圧タンクに高圧水を供給する主高圧水供給手段と、
該主高圧水供給手段と該第1の高圧タンクとを接続する第1の主高圧水導管および該主高圧水供給手段と該第1の加工水合流手段とを接続する第1の副高圧水導管に配設された第1の高圧水開閉弁と、
該主高圧水供給手段と該第2の高圧タンクとを接続する第2の主高圧水導管および該主高圧水供給手段と該第1の加工水合流手段とを接続する第2の副高圧水導管に配設された第2の高圧水開閉弁と、
該第1の高圧タンクおよび該第2の高圧タンクに補助高圧水を供給する補助高圧水供給手段と、
該第1の加工水開閉弁および該第2の加工水開閉弁と該加工水補充手段と該主高圧水供給手段と該第1の高圧水開閉弁および該第2の高圧水開閉弁と該補助高圧水供給手段を制御する制御手段と、を具備し、
該制御手段は、該第1の高圧水開閉弁および該第1の加工水開閉弁を閉路するとともに該第2の高圧水開閉弁および該第2の加工水開閉弁を開路して該第2の高圧タンクに収容されている加工水を該ノズルに供給する際には、該第2の高圧水開閉弁を開路する前に、該補助高圧水供給手段から該第2の高圧タンクに補助高圧水を流入し該第2の高圧タンク内の圧力を増加せしめた後に該第2の高圧水開閉弁を開路し、該第2の高圧水開閉弁および該第2の加工水開閉弁を閉路するとともに該第1の高圧水開閉弁および該第1の加工水開閉弁を開路して該第1の高圧タンクに収容されている加工水を該ノズルに供給する際には、該第1の高圧水開閉弁を開路する前に、該補助高圧水供給手段から該第1の高圧タンクに補助高圧水を流入し該第1の高圧タンク内の圧力を増加せしめた後に該第1の高圧水開閉弁を開路するように制御する、
ことを特徴とするウォータージェット加工装置。
【請求項2】
該第1の高圧タンクおよび該第2の高圧タンクをそれぞれ大気に開放する第1の大気開放手段および第2の大気開放手段を具備しており、
該制御手段は、該第1の高圧水開閉弁および該第1の加工水開閉弁を閉路するとともに該第2の高圧水開閉弁および該第2の加工水開閉弁を開路して該第2の高圧タンクに収容されている加工水を該ノズルに供給する際には、該第1の大気開放手段を作動して該第1の高圧タンクを大気に開放するとともに該加工水補充手段を作動して加工水を該第1の高圧タンクに補充し、該第2の高圧水開閉弁および該第2の加工水開閉弁を閉路するとともに該第1の高圧水開閉弁および該第1の加工水開閉弁を開路して該第1の高圧タンクに収容されている加工水を該ノズルに供給する際には、該第2の大気開放手段を作動して該第2の高圧タンクを大気に開放するとともに該加工水補充手段を作動して加工水を該第2の高圧タンクに補充する、請求項1記載のウォータージェット加工装置。
【請求項3】
該第1の大気開放手段および該第2の大気開放手段は、それぞれ該第1の高圧タンクおよび該第2の高圧タンクに接続された第1の大気開放管および第2の大気開放管と、該第1の大気開放管および該第2の大気開放管にそれぞれ配設された第1のオリフィスおよび第2のオリフィスと、該第1の大気開放管および該第2の大気開放管における該第1の高圧タンクおよび該第2の高圧タンクと該第1のオリフィスおよび該第2のオリフィスとの間にそれぞれ配設された第1の大気開放弁および第2の大気開放弁とからなっており、
該補助高圧水供給手段は、該第1の大気開放手段および該第2の大気開放手段の該第1の大気開放管および該第2の大気開放管における該第1の大気開放弁および該第2の大気開放弁と該第1のオリフィスおよび該第2のオリフィスとの間に補助高圧水を供給するように構成されており、
該制御手段は、該第1の大気開放弁を開路して該第1の高圧タンクを大気に開放する際には、該第1の大気開放弁を開路する前に、該補助高圧水供給手段を作動して該第1の大気開放弁と該第1のオリフィスとの間に補助高圧水を流入して該第1の大気開放弁と該第1のオリフィスとの間の圧力を増加せしめた後に該第1の大気開放弁を開路し、該第2の大気開放弁を開路して該第2の高圧タンクを大気に開放する際には、該第2の大気開放弁を開路する前に、該補助高圧水供給手段を作動して該第2の大気開放弁と該第2のオリフィスとの間に補助高圧水を流入して該第2の大気開放弁と該第2のオリフィスとの間の圧力を増加せしめた後に該第1の大気開放弁を開路するように制御する、請求項2記載のウォータージェット加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−58247(P2010−58247A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228853(P2008−228853)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】