説明

ウラシルスピロオキセタンヌクレオシド

その任意の可能な立体異性体を包含する式(I)
【化1】


[式中:Rは1リン酸、2リン酸もしくは3リン酸エステルであるか;またはRは式(II)もしくは式(III)
【化2】


であり、Rは場合により置換されていてもよいフェニル、場合により置換されていてもよいナフチルもしくは場合により置換されていてもよいインドリルであり;RおよびR8’は水素、C〜Cアルキル、ベンジルもしくはフェニルであるか;またはRおよびR8’はC〜Cシクロアルキルを形成し;RはC〜C10アルキル、C〜Cシクロアルキル、フェニルもしくはフェニル-C〜Cアルキルであり、ここで、フェニルもしくはフェニル-C〜Cアルキルにおけるフェニル部分は場合により置換されていてもよい]
の化合物;またはその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物;製薬学的製剤およびHCV阻害剤としての化合物Iの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)の阻害剤であるウラシルスピロオキセタンヌクレオシドに関する。
【背景技術】
【0002】
HCVは、ヘパシウイルス属におけるウイルスのフラビウイルス科に属する一本鎖プラスセンスRNAウイルスである。RNAポリジーンのNS5B領域は、ウイルスの複製に必須である、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)をコードする。初期急性感染後に、HCVは肝細胞において優先的に複製するが直接的に細胞変性性ではないので感染個体の大部分は慢性肝炎を発症する。特に、活発なTリンパ球応答の欠如および突然変異するウイルスの高い傾向は、高い割合の慢性感染を促進するように思われる。慢性肝炎は、肝硬変、末期肝疾患およびHCC(肝細胞癌)を引き起こす、肝線維症に進行する可能性があり、それを肝臓移植の主要原因にしている。6つの主要なHCV遺伝子型および50より多くの亜型があり、それらは地理的に異なって分布している。HCV遺伝子型1型は、欧州におけるそして米国における優勢遺伝子型である。HCVの広範な遺伝的多様性は重要な診断的および臨床的意味を有し、おそらくワクチン開発の難しさおよび現行治療への反応の欠如を説明する。
【0003】
HCVの伝染は、例えば輸血もしくは静脈内薬物使用の後に、汚染された血液もしくは血液製剤との接触を介して起こり得る。血液スクリーニングにおいて使用される診断試験の導入は、輸血後のHCV発生率の減少傾向をもたらしている。しかしながら、末期肝疾患への緩徐な進行を考えると、既存の感染は数十年にわたって深刻な医学的および経済的負担を与え続ける。
【0004】
現行のHCV治療は、リバビリンと組み合わせた(PEG化)インターフェロン−アルファ(IFN−α)に基づく。この併用療法は、遺伝子型1型HCVに感染した患者の40%より多くそして遺伝子型2および3型に感染したものの約80%において持続性ウイルス学的著効をもたらす。HCV遺伝子型1型への限られた効能に加えて、この併用療法は重大な副作用を有し、そして多数の患者において十分に耐容されない。主要な副作用にはインフルエンザ様症状、血液学的異常および神経精神症状が包含される。従って、より有効な、都合の良い、そしてより耐容性の高い処置の必要性がある。
【0005】
HIV薬での、特にHIVプロテアーゼ阻害剤での経験は、次善の薬物動態および複雑な投与計画が不注意によるコンプライアンス不履行をすぐにもたらすことを教示している。これは結果として、HIV処方計画におけるそれぞれの薬剤の24時間トラフ濃度(最小血漿濃度)が1日の大部分にわたってIC90もしくはED90閾値より低くなることが多いことを意味する。少なくともIC50、そしてより現実的にはIC90もしくはED90の24時間トラフレベルは、薬剤エスケープ突然変異体の発生を遅らせるために必須であると考えられる。そのようなトラフレベルを可能にするために必要な薬物動態および薬物代謝を達成することは、薬剤設計に厳しい課題を与える。
【0006】
NS5B RdRpは、一本鎖プラスセンスHCV RNAゲノムの複製に必須である。この酵素は、医薬品化学者の間で高い関心を引いている。NS5Bのヌクレオシドおよび非ヌクレオシド阻害剤の両方とも既知である。ヌクレオシド阻害剤は、鎖停止剤としてもしくは競合的阻害剤として、または両方として働くことができる。活性を有するためには、ヌクレオシド阻害剤は細胞により取り込まれそしてインビボで3リン酸エステルに転化されなければならない。3リン酸エステルへのこの転化は細胞キナーゼにより一般に媒
介され、それは潜在的ヌクレオシドポリメラーゼ阻害剤にさらなる構造的要求を与える。さらにこれは、インサイチューリン酸化の能力を有する細胞に基づくアッセイにHCV複製の阻害剤としてのヌクレオシドの直接評価を限定する。
【0007】
HCV RdRpの阻害剤としてのヌクレオシドを開発するためにいくつかの試みがなされているが、少数の化合物が臨床開発に入っているものの、登録まで進んでいるものはない。HCV標的化ヌクレオシドがこれまで直面している問題の中には、毒性、変異原性、選択性の欠如、低い効能、低い生物学的利用能、次善の投薬計画および高い錠剤負荷を保証すること、ならびに商品原価がある。
【0008】
副作用、限られた効能、耐性の出現およびコンプライアンス不履行のような現行のHCV治療の不都合を克服し、ならびに持続性ウイルス学的著効を改善し得るHCV阻害剤の必要性がある。
【0009】
本発明は、以下のパラメーター:抗ウイルス効能、耐性発現の好ましいプロフィール、毒性および遺伝毒性の欠如、好ましい薬物動態学および薬力学ならびに製剤および投与の容易さの1つもしくはそれ以上に関して有用な特性を有する一群のHCV抑制1−(8−ヒドロキシ-7-(ヒドロキシ-メチル)-1,6-ジオキサスピロ[3.4]オクタン-5-イル)ピリミジン-2,4-ジオン誘導体に関する。スピロオキセタンヌクレオシド、特に1−(2-O,2-C-エタノ-β-D-リボフラノシル)チミンおよび1−(2-O,2-C-エタノ-β-D-リボフラノシル)ウラシルは、非特許文献1に記述されている。これらの化合物はHIVに対して試験されたが、活性は見られなかった。
【0010】
本発明の化合物はまた、他のウイルスに対する、特にHIVに対する活性を欠くということによっても魅力的であり得る。HIV感染患者は、HCVのような共感染を患うことが多い。HIVもまた抑制するHCV阻害剤でのそのような患者の処置は、耐性HIV株の出現をもたらし得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Org.Biomol.Chem.,2003,3514-3526
【発明の概要】
【0012】
[発明の記述]
1つの態様において、本発明はその任意の可能な立体異性体を包含する式I:
【0013】
【化1】

【0014】
[式中:
は1リン酸、2リン酸もしくは3リン酸エステルであるか;またはRは式
【0015】
【化2】

【0016】
の基であり;
は、場合によりハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシおよびアミノから各々独立して選択される1、2個もしくは3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであるか;またはRは、場合によりハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシおよびアミノから各々独立して選択される1、2個もしくは3個の置換基で置換されていてもよいナフチルであるか;またはRは、場合により1個のC〜Cアルキルオキシカルボニル基でそして場合によりハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシおよびアミノから各々独立して選択される1、2個もしくは3個の置換基でさらに置換されていてもよいインドリルであり;
は水素、C〜Cアルキル、ベンジルもしくはフェニルであり;
8’は水素、C〜Cアルキル、ベンジルもしくはフェニルであるか;または
およびR8’はそれらが結合している炭素原子と一緒になってC〜Cシクロアルキルを形成し;
はC〜C10アルキル、C〜Cシクロアルキル、フェニルもしくはフェニル−C〜Cアルキルであり、ここで、フェニルもしくはフェニル−C〜Cアルキルにおけるフェニル部分は、場合によりヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、アミノ、モノ-およびジC〜Cアルキルアミノから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい]
により表すことができる化合物またはその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0017】
さらなる態様において、本発明は、HCVを抑制するための、本明細書において特定した通りの式Iの化合物の使用に関する。あるいはまた、HCVを抑制するための;本明細書において特定した通りの式Iの化合物の薬剤の製造のための使用が提供される。
【0018】
基-NH-C(R)(R’)-C(=O)-は、天然および非天然アミノ酸残基を包含するアミノ酸残基を形成することができる。興味深いのは、グリシン(Gly)およびジメチルグリシンン(Dmg)である。また興味深いのは、R8’が水素であるアミノ酸残基である。後者の場合においてRが水素以外である場合、アミノ酸残基はキラル中心を有し、そして不斉炭素原子での立体配置はL−アミノ酸のものであることができる。例にはアラニン(Ala)、バリン(Val)、イソロイシン(Ile)、α-アミノ酪酸(ABA、また2-アミノ酪酸もしくはエチルグリシンとも呼ばれる)、フェニルアラニン(Phe)およびフェニルグリシン(Phg)残基、特にL−Ala、L−Val、L−Ile、L−ABA、L−PheおよびL−Phgが包含される。RおよびR8’がそれらが結合している炭素原子と一緒になってC〜Cシクロアルキルを形成するアミノ酸残基の例は、1,1−シクロプロピルアミノ酸である。同様に、基
【0019】
【化3】

【0020】
はプロリン残基、好ましくはL−プロリン残基を形成する。
【0021】
式Iの化合物の亜群は、Rが式
【0022】
【化4】

【0023】
の基である、本明細書において定義した通りの式Iもしくは式Iの化合物の亜群の化合物である。
【0024】
式Iの化合物の亜群は:
(a)Rが、場合によりハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシおよびアミノから各々独立して選択される1、2個もしくは3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであるか;またはRが、場合によりハロ、C〜CアルキルもしくはC〜Cアルコキシで置換されていてもよいナフチルであるか;またはRがインドリルである;
(b)Rが、場合によりハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシおよびアミノから各々独立して選択される1個、2個もしくは3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであるか;またはRがナフチルであるか;またはRがインドリルである;
(c)Rが、場合によりハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシおよびアミノから各々独立して選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていてもよいフェニルであるか;またはRがナフチルであるか;またはRがインドリルである;
(d)Rが、場合によりハロ、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルおよびC〜Cアルコキシから各々独立して選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていてもよいフェニルであるか;またはRがナフチルである;
(e)Rが、場合により1もしくは2個のC〜Cアルキル基で置換されていてもよいフェニルであるか;またはRがナフチルである;
(f)Rがフェニル、ハロフェニル、ジC〜Cアルキルフェニルもしくはナフチルである;
(g)Rがフェニルである;
(h)Rがナフチルである;
(i)Rが5−インドリルである
本明細書において定義した通りの式Iもしくは式Iの化合物の亜群の化合物である。
【0025】
1つの態様において、Rは、場合により1個のC〜Cアルキルオキシ-カルボニル基でその窒素原子でそして場合によりハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシおよびアミノから各々独立して選択される1、2
個もしくは3個の置換基でさらにその炭素原子で置換されていてもよいインドリルである。
【0026】
さらなる態様において、式Iもしくはその亜群のいずれかの化合物においてインドリルである基Rは5−インドリルであり、もしくはN−C〜Cアルキルオキシ−カルボニルインドリルである基RはN−t.ブチルオキシカルボニル-5-インドリル、特にN−t.ブチルオキシカルボニル-5-インドリルである。インドリル基は、その5位で連結される場合、下記の通り表すことができ:
【0027】
【化5】

【0028】
、ここで、R7aは水素もしくはC〜Cアルキルオキシ-カルボニルであり、または特にR7aは水素、C〜Cアルキルオキシカルボニルであり、もしくはさらに特にR7aは水素もしくはt.ブチルオキシカルボニルである。さらなる態様において、式Iもしくはその亜群のいずれかの化合物における基インドリルは5-インドリルである(すなわち、ここで、Rは水素である)。
【0029】
式Iの化合物の亜群は、
(a)Rがメチルであり、そしてR8’がメチルである;または
(b)Rが水素であり、そしてR8’がフェニル、C〜CアルキルもしくはC〜Cアルキル、例えばメチル、エチル、イソプロピルもしくはイソブチルである
本明細書において定義した通りの式Iもしくは式Iの化合物の亜群の化合物である。式Iの化合物の亜群は、
【0030】
【化6】

【0031】
部分がグリシル、ジメチルグリシル、α-アミノブチリル、フェニルグリシン、イソロイシル、アラニル、フェニルアラニルもしくはバリル(それぞれ、Gly、Dmg、ABA、Phg、Ile、Ala、PheもしくはVal;特にL−ABA、L−Phg、L−Ile、L−Ala、L−PheもしくはL−Val)である、本明細書において定義した通りの式Iもしくは式Iの化合物の亜群の化合物である。
【0032】
式Iの化合物の亜群は、Rが水素、C〜Cアルキル、ベンジルもしくはフェニルであり;そしてR8’が水素、C〜Cアルキル、ベンジルもしくはフェニルである、本明細書において定義した通りの式Iのもしくは式Iの化合物の亜群の化合物である。
【0033】
式Iの化合物の亜群は、
【0034】
【化7】

【0035】
部分が構造
【0036】
【化8】

【0037】
[ここで、Rは水素であり、そしてR8’は水素、フェニル、C〜Cアルキル、ベンジルであり;または
は水素であり、そしてR8’は水素もしくはC〜Cアルキルであり;
は水素であり、そしてR8’はC〜Cアルキルであり;
は水素であり、そしてR8’はメチルである]
を有する、本明細書において定義した通りの式Iもしくは式Iの化合物の亜群の化合物である。
【0038】
1つの態様において、RおよびR8’はそれらが結合している炭素原子と一緒になってC〜Cシクロアルキルを形成し;または特にC〜Cシクロアルキルを形成し;または特にシクロプロピルを形成する。
【0039】
式Iの化合物の亜群は、
(a)RがC〜Cアルキル、ベンジル、もしくは場合によりヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、アミノ、モノ-およびジC〜Cアルキルアミノから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである;
(b)RがC〜Cアルキルもしくはベンジルである;
(c)RがC〜Cアルキルである;
(d)RがC〜Cアルキルである;
(e)Rがメチル、エチルもしくはt−ブチルである;
(f)RがC〜Cシクロアルキルである
本明細書において定義した通りの式Iのもしくは式Iの化合物の亜群の化合物である。
【0040】
興味深いのは、「実施例」の節において記載される化合物12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h、12i、12j、12k、12l、12mならびにこれらの化合物の製薬学的に許容しうる酸付加塩である。特に興味深いのは、これらの化合物の遊離形態(すなわち、非塩形態)におけるかもしくはその製薬学的に許容しうる酸付加塩としてのいずれかの、化合物12a、12c、12dおよび12kである。
【0041】
式Iの化合物は、特に炭素原子1’、3’および4’で、いくつかのキラリティー中心を有する。これらの炭素原子での立体化学は固定されるが、これらの化合物はキラル中心の各々で少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%、例えば95%もしくは98%を上回る鏡像異性体純度を示し得る。
【0042】
【化9】

【0043】
キラリティーはまた、Rが、R保有炭素(ここで、RおよびR8’は異なる)でそしてリン原子でキラリティーを有することができる、
【0044】
【化10】

【0045】
である場合のような、置換基においても存在し得る。リン中心は、RもしくはS、またはラセミ化合物を包含するそのような立体異性体の混合物として存在することができる。キラルリン中心およびキラル炭素原子に起因するジアステレオ異性体も同様に存在し得る。
【0046】
さらなる態様において、本発明はHCV感染の処置もしくは予防(または処置もしくは予防のための薬剤の製造)における使用のための式Iの化合物またはその製薬学的に許容しうる塩、水和物もしくは溶媒和物を提供する。本発明に従った処置もしくは予防との関連における代表的なHCV遺伝子型には、遺伝子型1b(欧州において蔓延している)もしくは1a(北アメリカにおいて蔓延している)が包含される。本発明はまたHCV感染の、特に遺伝子型1aもしくは1bの処置もしくは予防のための方法も提供する。
【0047】
式Iの化合物は、ホスホルアミデート(phosporamidate)基のリン原子での立体異性を除いて、定義された立体異性体として表される。そのような化合物の絶対立体配置は、例えばX線回折もしくはNMRおよび/または既知の立体化学の出発物質からの推測のような当該技術分野で既知の方法を用いて決定することができる。本発明に従った製薬学的組成物は、好ましくは式Iの特定の化合物の示される立体異性体の立体異性的に純粋な形態を含んでなる。
【0048】
本明細書において記載される場合の化合物および中間体の純粋な立体異性体は、該化合物もしくは中間体の同じ基本分子構造の他の鏡像異性体もしくはジアステレオマー形態を実質的に含まない異性体として定義される。特に、「立体異性的に純粋な」という用語は、少なくとも80%の立体異性体過剰率(すなわち、最低90%の一方の異性体および最大10%のもう一方の可能な異性体)〜100%の立体異性体過剰率(すなわち、100%の一方の異性体およびもう一方は全くない)を有する化合物もしくは中間体、さらに特に90%〜100%の立体異性体過剰率を有する、なおさらに特に94%〜100%の立体異性体過剰率を有する、そして最も特に97%〜100%のもしくは98%〜100%の立体異性体過剰率を有する化合物もしくは中間体に関する。「鏡像異性的に純粋な」および「ジアステレオマー的に純粋な」という用語は同様に、しかしその場合問題になっている混合物のそれぞれ鏡像異性体過剰率およびジアステレオマー過剰率を考慮して理解さ
れるべきである。
【0049】
本発明の化合物および中間体の純粋な立体異性体は、当該技術分野で既知の方法の適用により得ることができる。例えば、鏡像異性体は、光学活性酸もしくは塩基でのそれらのジアステレオマー塩の選択的結晶化により相互から分離することができる。その例は、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびショウノウスルホン酸である。あるいはまた、鏡像異性体は、キラル固定層を用いてクロマトグラフィー技術により分離することができる。該純粋な立体化学的異性体はまた、反応が立体特異的に起こるならば、適切な出発物質の対応する純粋な立体化学的異性体から得ることもできる。好ましくは、特定の立体異性体が所望される場合、該化合物は立体特異的製造方法により合成される。これらの方法は、鏡像異性的に純粋な出発物質を都合よく用いる。
【0050】
式Iの化合物のジアステレオマーラセミ化合物は、常法により別個に得ることができる。都合よく用いることができる適切な物理的分離方法は、例えば、選択的結晶化およびクロマトグラフィー、例えばカラムクロマトグラフィーである。
【0051】
製薬学的に許容しうる付加塩は、式Iの化合物の治療的に有効な無毒の酸および塩基付加塩を含んでなる。興味深いのは、本明細書において特定した式Iのもしくは式Iの化合物の任意の亜群の化合物の遊離した、すなわち無塩形態である。
【0052】
製薬学的に許容しうる酸付加塩は、塩基形態をそのような適切な酸で処理することにより都合よく得ることができる。適切な酸は、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸もしくは臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸;または例えば、酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸(すなわち、エタン二酸)、マロン酸、コハク酸(すなわち、ブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸(すなわち、ヒドロキシルブタン二酸)、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモン酸などのような有機酸を含んでなる。逆に、該塩形態は、適切な塩基での処理により遊離塩基形態に転化することができる。
【0053】
酸性プロトンを含有する式Iの化合物はまた、適切な有機および無機塩基での処理によりそれらの無毒の金属もしくはアミン付加塩形態に転化することもできる。適切な塩基塩形態は、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、ならびに例えばアルギニン、リシンなどのようなアミノ酸との塩を含んでなる。
【0054】
「溶媒和物」という用語は、式Iの化合物ならびにその塩が形成することのできる任意の製薬学的に許容しうる溶媒和物を含む。そのような溶媒和物は、例えば水和物、アルコラート、例えばエタノラート、プロパノラートなどである。
【0055】
式Iの化合物のあるものはまた、それらの互変異性体において存在することもできる。例えば、アミド(-C(=O)-NH-)基の互変異性体は、芳香族性を有する環において安定化することができる、イミノアルコール(-C(OH)=N-)である。ウリジン塩基は、そのような形態の例である。そのような形態は、本明細書に表される構造式において明白に示されないが、本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0056】
本明細書において用いる場合、基もしくは基の一部としての「C〜Cアルキル」は、例えばメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル-1-プロピル、2−メチル-2-プロピルのような1〜4個の炭素原子を有する飽和
した直鎖状もしくは分枝鎖状炭化水素基を定義する。「C〜Cアルキル」には、C〜Cアルキル基および例えば1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、2−メチル-1-ブチル、2−メチル-1-ペンチル、2−エチル-1-ブチル、3−メチル-2-ペンチルなどのような5もしくは6個の炭素原子を有するその高級同族体が包含される。C〜Cアルキルの中で興味深いのは、C〜Cアルキルである。「C〜C10アルキル」には、C〜Cアルキル基および例えばヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、2−メチルヘキシル、オクチル、2−オクチル、3−オクチル、ノニル、2−ノニル、3−ノニル、2−ブチルペンチル、デシル、2−デシルなどのような7、8、9もしくは10個の炭素原子を有するその高級同族体が包含される。C〜C10アルキルの中で興味深いのはC〜Cアルキルであり、C〜Cアルキルはメチルおよびエチルを定義する。
【0057】
「C1〜6アルコキシ」は、C〜Cアルキルが上記に定義した通りである基−O-C〜Cアルキルを意味する。C〜Cアルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシもしくはイソプロポキシである。
【0058】
「C3〜6シクロアルキル」には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが包含される。興味深いのは、シクロプロピルである。
【0059】
基もしくは基の一部としての「C3〜6アルケニル」という用語は、例えば1−プロペニル、2−プロペニル(もしくはアリル)、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル-2-プロペニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、2−メチル-2-ブテニル、2−メチル-2-ペンテニルなどのような、飽和した炭素-炭素結合および少なくとも1個の二重結合を有し、そして3〜6個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状炭化水素基を定義する。C3〜6アルケニルの中で興味深いのは、C3〜4アルケニルである。C3〜6アルケニルもしくはC3〜4アルケニルの中で興味深いのは、1個の二重結合を有する基である。
【0060】
「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの総称である。
【0061】
1つの態様において、「フェニル-C1〜6アルキル」という用語はベンジルである。
【0062】
本明細書において用いる場合、「(=O)」もしくは「オキソ」という用語は、炭素原子に結合する場合にカルボニル部分を形成する。原子は、その原子の価数がそのように許容する場合にのみオキソ基で置換され得ることに留意すべきである。
【0063】
「1リン酸、2リン酸もしくは3リン酸エステル」という用語は、基:
【0064】
【化11】

【0065】
をさす。
【0066】
分子部分上の基の位置が特定されないか(例えばフェニル上の置換基)もしくはフローティング(floating)結合により表される場合、得られる構造が化学的に安定である限り、そのような基はそのような部分の任意の原子上に位置することができる。任意の変記号が分子において1回より多く存在する場合、各定義は独立している。
【0067】
「式Iの化合物」もしくは「本発明の化合物」という用語または同様の用語を本明細書において用いる場合はいつでも、可能な立体化学的異性体を包含する式Iの化合物、ならびにそれらの製薬学的に許容しうる塩および溶媒和物が包含されるものとする。
【0068】
本発明にはまた、自然界において典型的に見られるもの(1つもしくは複数)と異なる同位体で原子の1つもしくはそれ以上が置換される、式Iもしくは式Iの任意の亜群の同位体標識化合物も包含される。そのような同位体の例には、HおよびHのような水素;11C、13Cおよび14Cのような炭素;13Nおよび15Nのような窒素;15O、17Oおよび18Oのような酸素;31Pおよび32Pのようなリン;35Sのような硫黄;18Fのようなフッ素;36Clのような塩素;75Br、76Br、77Brおよび82Brのような臭素;ならびに123I、124I、125Iおよび131Iのようなヨウ素の同位体が包含される。本発明の同位体標識化合物は、適切な同位体標識試薬もしくは出発物質を用いることによって本明細書に記載のものと同様の方法により、または当該技術分野で既知の技術により製造することができる。同位体標識化合物に含まれる同位体の選択は、その化合物の特定の用途により決まる。例えば、組織分布アッセイには、Hもしくは14Cのような放射性同位体が取り込まれる。放射性イメージング用途には、11C、18F、13Nもしくは15Oのような陽電子放出同位体が有用である。重水素の取り込みはより大きい代謝安定性を与えることができ、例えば化合物の増加したインビボ半減期もしくは減少した用量の必要性をもたらす。
【0069】
合成方法
出発物質1-[(4R,5R,7R,8R)-8-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)−1,6−ジオキサ-スピロ[3.4]オクタン-5-イル]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン10は、下記の通り製造することができる。中間体4はOrg.Lett.,2007,9,3009-3012に記載の通り得ることができ、そして臭化アリルマグネシウムと中間体5へと反応させる。後者におけるヒドロキシ基を塩基、例えばトリエチルアミンのようなトリアルキルアミン、もしくはN,N−ジメチルピリジン-4-アミン(DMAP)の存在下で塩化ベンゾイルでベンゾイル化し、中間体6をもたらす。後者の中間体をルイス酸で、特にSnClで活性化し、そして例えばウラシルをN,O−ビス[トリメチルシリル]アセトアミド(BSA)と反応させることにより得られる、シリル化ウラシルと反応させる。この反応により中間体7がもたらされ、ここで、アリル基における二重結合は過ヨウ素酸塩の存在下で四酸化オスミウムでアルデヒドに酸化され、それは次に対応するアルコール8に還元される。塩基、例えばピリジンの存在下での塩化メシルでの後者のメシル化、続いて水素化ナトリウムのような強塩基での処理により、オキセタン形成がもたらされる。例えば水素での貴金属触媒、例えば水酸化パラジウムの存在下での、9におけるベンジル基の除去により中間体10がもたらされる。後者を塩基、例えばN−メチルイミダゾール(NMI)の存在下でホスホルアミドクロリディック(phosphoramidochloridic)酸エステル11aもしくは11bと反応させることができる。
【0070】
【化12】

【0071】
上記の反応は、下記のスキームにおいて説明される。
【0072】
【化13】

【0073】
ホスホルアミドクロリディック酸エステル11aもしくは11bは、塩基の存在下でアルコール1aをPOClと反応させることにより製造することができ、このようにしてホスホリルジクロリド1bが得られ、それをアミノ酸1cもしくは1dとさらに反応させる。
【0074】
【化14】

【0075】
さらなる態様において、本発明は、本明細書において特定した通りの式Iの化合物の治療的に有効な量および製薬学的に許容しうる担体を含んでなる製薬学的組成物に関する。該組成物は1%〜50%もしくは10%〜40%の式Iの化合物を含有することができ、そして組成物の残りは該担体である。これに関連して治療的に有効な量は、感染患者もしくは感染する危険性がある患者において、HCV感染に対して予防的に働くために、HCVを抑制するために、HCV感染を安定させるためにもしくは減らすために十分な量である。なおさらなる態様において、本発明は、本明細書において特定した通りの式Iの化合物の治療的に有効な量と製薬学的に許容しうる担体をよく混合することを含んでなる、本明細書において特定した通りの製薬学的組成物を製造する方法に関する。
【0076】
式Iのもしくはその任意の亜群の化合物は、投与目的のために様々な製薬学的形態に調合することができる。適切な組成物として、薬剤を全身的に投与するために通常用いられる全ての組成物を挙げることができる。本発明の製薬学的組成物を製造するために、有効成分として、場合により付加塩形態もしくは金属錯体における、特定の化合物の有効量を製薬学的に許容しうる担体とよく混合して合わせ、この担体は投与に所望される製剤の形態により多種多様な形態をとることができる。これらの製薬学的組成物は、特に経口的、経直腸的、経皮的もしくは非経口注射による投与に適当な単位投与形態物においてが望ましい。例えば、経口投与形態物における組成物を製造することにおいて、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および液剤のような経口用液状製剤の場合には例えば水、グリコール、油、アルコールなどのような通常の製薬学的媒質のいずれかを;または散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には澱粉、糖、カオリン、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などのような固形担体を用いることができる。錠剤およびカプセル剤は、それらの投与の容易さのために、最も都合のよい経口投与単位形態物に相当し、この場合、固形の製薬学的担体が明らかに用いられる。非経口組成物では、例えば、溶解性を促進するために他の成分を含むことができるが、担体は少なくとも大部分において滅菌水を通常は含んでなる。例えば、注入可能な液剤を製造することができ、ここで、担体は食塩水溶液、グルコース溶液もしくは食塩水とグルコース溶液の混合物を含んでなる。注入可能な懸濁剤もまた製造することができ、この場合、適切な液状担体、沈殿防止剤などを用いることができる。また包含されるのは、使用直前に液状製剤に転化することが意図される固形製剤である。経皮投与に適当な組成物において、担体は、場合によりわずかな割合の任意の性質の適当な添加剤と組み合わせて、場合により浸透促進剤および/もしくは適当な湿潤剤を含んでなってもよく、これらの添加剤は皮膚に重大な悪影響をもたらさない。本発明の化合物はまた、任意の当該技術分野で既知の送達系を用いて溶液、懸濁液もしくは乾燥粉末の形態において経口吸入もしくは吹送によって投与することもできる。
【0077】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために単位投与形態物における上記の製薬学的組成物を調合することは特に好都合である。単位投与形態物は、本明細書において用いる場合、単位投薬量として適当な物理的に別個の単位をさし、各単位は、必要とされる製薬学的担体と会合して所望の治療効果をもたらすように計算された有効成分の所定の量を含有
する。そのような単位投与形態物の例は、錠剤(分割錠もしくはコート錠を包含する)、カプセル剤、丸剤、座薬、散剤パケット、カシェ剤、注入可能な液剤もしくは懸濁剤など、およびその分離した倍量である。
【0078】
式Iの化合物はHCVに対する活性を示し、そしてHCV感染もしくはHCVと関連する疾患の処置および予防において用いることができる。後者には、肝硬変、末期肝疾患およびHCCを引き起こす進行性肝線維症、炎症および壊死が包含される。本発明の多数の化合物はさらに、HCVの突然変異株に対して有効であると考えられる。さらに、本発明の化合物の多くは好ましい薬物動態プロフィールを示し、そして許容しうる半減期、AUC(曲線下面積)およびピーク値を包含するそして不十分な速やかな発現および組織保持のような好ましくない現象を欠く、生物学的利用能に関して魅力的な特性を有する。
【0079】
式Iの化合物のHCVに対するインビトロ抗ウイルス活性は、Krieger et al.(2001)Journal of Virology 75:4614−4624(引用することにより本明細書に組み込まれる)により記述されるさらなる改変を有する、Lohmann et al.(1999)Science 285:110−113に基づく細胞HCVレプリコン系において試験することができ、それは実施例の節においてさらに例示される。このモデルは、HCVの完全な感染モデルではないが、現在利用可能な自律的HCV RNA複製の最も強力なそして効率のよいモデルとして広く認められている。HCVレプリコンモデルにおいて細胞毒性もしくは細胞静止効果を及ぼしそして結果としてHCV RNAもしくは連結されるレポーター酵素濃度の減少を引き起こすものからHCV機能を特異的に妨げる化合物間を区別することは重要であると認識される。例えばレザズリンのような蛍光性レドックス色素を用いるミトコンドリア酵素の活性に基づく細胞毒性の評価のために該分野においてアッセイは既知である。さらに、細胞カウンタースクリーニングは、ホタルルシフェラーゼのような連結されるレポーター遺伝子活性の非選択的阻害の評価のために存在する。適切な細胞タイプは、その発現が構成的に活性の遺伝子プロモーターに依存するルシフェラーゼレポーター遺伝子での安定なトランスフェクションにより用意することができ、そしてそのような細胞は非選択的阻害剤を除くためにカウンタースクリーニングとして用いることができる。
【0080】
任意の可能な立体異性体を包含する式Iの化合物、その製薬学的に許容しうる付加塩もしくは溶媒和物は、それらの抗HCV特性のために、HCVに感染した温血動物、特にヒトの処置において、そしてHCV感染の予防において有用である。従って、本発明の化合物は薬剤として、特に抗HCVもしくはHCV抑制薬剤として用いることができる。本発明はまた、HCV感染の処置もしくは予防のための薬剤の製造における本発明の化合物の使用にも関する。さらなる態様において、本発明は、HCVに感染したもしくはHCVに感染する危険性がある温血動物、特にヒトを処置する方法に関し、該方法は、本明細書において特定した通りの式Iの化合物の抗HCV有効量の投与を含んでなる。薬剤としての該使用もしくは処置の方法は、HCV感染と関連する症状と闘うために有効な量のHCV感染患者へのもしくはHCV感染を受けやすい患者への全身投与を含んでなる。
【0081】
一般に、抗ウイルス有効毎日量は約1〜約200mg/kg、もしくは約5〜約175mg/kg、もしくは約10〜約150mg/kg、もしくは約20〜約100mg/kg、もしくは約50〜約75mg/kg体重であると考えられる。平均毎日用量は、これらの毎日量に約70を掛けることにより得ることができる。1日を通して適切な間隔で2、3、4もしくはそれ以上のサブ用量として必要とされる用量を投与することが適切であり得る。該サブ用量は、例えば単位投与形態物当たり約1〜約5000mg、もしくは約50〜約3000mg、もしくは約100〜約1000mg、もしくは約200〜約600mg、もしくは約100〜約400mgの有効成分を含有する、単位投与形態物として調合することができる。
【0082】
本明細書において用いる場合、「約」という用語は当業者に既知である意味を有する。ある種の態様において、「約」という用語は省略される可能性があり、そして正確な量が意図される。他の態様において、「約」という用語は、「約」という用語の後の数値が該数値の±15%の、もしくは±10%の、もしくは±5%の、もしくは±1%の範囲においてであることを意味する。
【実施例】
【0083】
以下のスキームは実例となるように意図されるだけであり、そして決して範囲を限定しない。
【0084】
LC−MS分析は、以下の方法のいずれか1つを用いて行った。NMRデータは、Bruker 400MHz分光計上で記録した。
【0085】
HPLC条件A
システム:Waters Alliance 2695
カラム:Waters XTerra 2.5μm 4.6x50mm;カラム温度:55℃;流量:2mL/分
移動相A:HO中10mM酢酸アンモニウム+0.1%HCOOH
移動相B:CHCN
時間 %A %B
0.00 85 15
3.00 5 95
4.20 5 95
4.30 85 15
5.40 85 15
【0086】
HPLC条件B
システム:Waters Alliance 2695
カラム:Hypercarb 3μ 4.6x50mm;カラム温度:50℃;流量:2mL/分
移動相A:HO中10mM酢酸アンモニウム/CHCN 1/9
移動相B:HO中10mM酢酸アンモニウム/CHCN 9/1
時間 %A %B
0.00 0 100
3.00 100 0
4.20 100 0
4.30 0 100
5.40 0 100
【実施例1】
【0087】
(2S,3R,4R,5R)-3-アリル-4-(ベンジルオキシ)-5-(ベンジルオキシメチル)-2-メトキシテトラヒドロフラン-3-オール(5)
【0088】
【化15】

【0089】
アルゴン雰囲気下で、-78℃で乾式テトラヒドロフラン(THF;400mL)中の4(Org.Lett.,2007,9,3009−3012における通り得られる)の溶液に、臭化アリルマグネシウム(400mL、400mmol;ジエチルエーテル中1.0M)を加えた。反応混合物を-78℃で4時間攪拌した後に、反応混合物を室温で2時間攪拌させた。反応を飽和水性塩化アンモニウムで注意深くクエンチした。混合物をジクロロメタンで抽出し、そして有機層をブラインで洗浄した。溶媒を除き、そして残留物をヘキサン中15%〜20%の酢酸エチルでの勾配溶出によりシリカゲルクロマトグラフィー(600gのシリカ) で精製して反応生成物5を無色の油(32.9g、70%)として生成せしめた。HPLC条件A、Rt:2.97分、m/z=402(M+NHH NMR(400MHz,CDCl)δppm7.38−7.20(m,10H),5.84−5.97(m,1H),5.12(d,1H,J=10.2Hz),5.01(d,1H,J=17.2Hz),4.74(d,1H,J=12.3Hz),4.56(s,1H),4.53−4.40(m,3H),4.05−4.11(m,1H),3.32−3.53(m,4H),3.44(s,3H),2.37(dd,1H,J=14.3,6.7Hz),2.25(dd,1H,J=14.3,7.6Hz).
【実施例2】
【0090】
安息香酸(2S,3R,4R,5R)-3-アリル-4-(ベンジルオキシ)-5-(ベンジルオキシメチル)-2-メトキシテトラヒドロフラン-3-イル(6)
【0091】
【化16】

【0092】
室温で乾式ジクロロメタン(500mL)中の5(26.6g、69.2mmol)の溶液に、N,N-ジメチルピリジン-4-アミン(DMAP;2.113g、17.30mmol)、トリエチルアミン(217mL、1557mmol)および塩化ベンゾイル(18.05mL、156mmol)を加えた。1時間後に、追加の塩化ベンゾイル(6mL)およびDMAP(2.1g)を加えた。混合物を5日間攪拌した。
【0093】
次に、反応混合物を1N HClと攪拌し、そしてジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、そして飽和水性NaHCO、続いてブラインで洗浄した。MgSOでの乾燥、濾過および揮発性物質の蒸発後に、残留物をヘプタン〜ヘプタン中15%の酢酸エチルで溶出するカラムクロマトグラフィー(400gのシリカ)により精製して反応生成物を油として(化合物5との混合物として)生成せしめた。CHClを溶離剤として混合物を再び精製した(400gのシリカ)。純粋画分を集め、そして中間体6を無色の油(13.05g、39%)として得た。HPLC条件A、Rt:3.41分、m/z=457(M-OMe)H NMR(400MHz,CDCl)δppm8.1(d,2H,J=7.9Hz),7.68−7.28(m,13H),5.84−5.77(m,1H),5.12(d,1H,J=16Hz),4.95(d,1H,J=16Hz),4.92(d,1H,J=12.3Hz),4.56(d,1H,J=12.3Hz),4.48(d,1H,J=11.6Hz),4.40(d,lH,J=11.6Hz),4.2(m,1H),3.85(d,1H,J=6.2Hz),3.53(d,1H,J=10.8Hz),3.7(s,3H),3.45(dd,1H,J=10.8,6.2Hz),3.25(dd,1H,J=15.5,7.3Hz),2.45(dd,1
H,J=15.5,7.3Hz).
【実施例3】
【0094】
1-[(2R,3R,4R,5R)-3-アリル-4-(ベンジルオキシ)-5-(ベンジルオキシメチル)-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(7)
【0095】
【化17】

【0096】
無水アセトニトリル(300mL)中の6(14.0g、23.1mmol)およびウラシル(5.99g、53.4mmol)の混合物にビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA;29.2mL、118mmol)を加えた。反応混合物を1時間還流させ、そして清澄溶液を室温まで冷却させた。塩化スズ(11.55mL、99mmol)を室温で滴下して加え、そして混合物を1時間さらに攪拌した。次に、混合物を1.5時間還流で攪拌し、そして室温まで再び冷却した。酢酸エチル(250mL)、続いて飽和水性NaHCO(250mL)を加え、そして混合物を15分間攪拌した。セライトを通した濾過の後に、有機層を分離し、そして飽和水性NaHCO(250mL)で洗浄した。合わせた水層を酢酸エチル(250mL)で抽出し、そして合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして減圧下で蒸発乾固させた。得られる黄色の油をメタノールに溶解し、そして25%のナトリウムメタノレート(25mL)を加えた。攪拌を一晩続けた。追加の25%ナトリウムメタノレート(15mL)を加え、そして攪拌を一晩続けた。酢酸(30mL)を加え、そして溶媒を除いた。残留物をヘプタン/酢酸エチル50:50〜100%酢酸エチルでカラムクロマトグラフィーにより精製した。中間体7(9.38g、76%)が無色の油として得られた。HPLC条件A、Rt:2.49分、m/z=465(M+H)H NMR(400MHz,CDCl)δppm8.39(1H,NH),7.75(d,1H,J=8.0Hz),7.22−7.43(m,10H),6.05(s,1H),5.71−5.84(m,1H),5.35(d,1H,J=8.0Hz),5.00−5.11(m,2H),4.70(d,1H,J=11.5Hz),4.53(d,1H,J=11.5Hz),4.47(d,1H,J=11.1Hz),4.47(d,1H,J=11.1Hz),4.11−4.16(m,1H),4.04(d,1H,J=8.0Hz),3.81−3.87(m,1H),3.45−3.52(m,1H),3.17(bs,OH),2.15−2.33(m,2H).
【実施例4】
【0097】
1-[(2R,3R,4R,5R)-4-(ベンジルオキシ)-5-(ベンジルオキシメチル)-3-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシエチル)テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(8)
【0098】
【化18】

【0099】
THF(10mL)およびHO(10mL)の混合物中の7(7.8g、16.79mmol)の攪拌溶液に、過ヨウ素酸ナトリウム(11.17g、52.2mmol)、続いて四酸化オスミウム(VIII)(2mL、tert-ブタノール中2.5w/v%、0.168mmol)を加え、そして攪拌を室温で2時間続けた。水(100mL)を加え、そして抽出を酢酸エチル(2x50mL)で行った。有機層を飽和水性NaHCO(2x30mL)で洗浄した。合わせた水層を酢酸エチルで抽出し、そして合わせた有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で蒸発乾固させた。得られる油性残留物をTHF(100mL)およびHO(20mL)の混合物に溶解し、そして水素化ホウ素ナトリウム(1.361g、36.0mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩攪拌し、すぐに水(100mL)を加え、そして抽出を酢酸エチル(2x50mL)で行った。合わせた有機層を飽和水性NaHCOで洗浄し、合わせた水層を酢酸エチルで抽出し、そして合わせた有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で蒸発乾固させた。得られる油性残留物をカラムクロマトグラフィー(CHCl中0〜10%(v/v)メタノール、次に10%アイソクラチック)により精製し、反応生成物8を白色のフォーム(foam)(4.8g、57%)として生成せしめた。HPLC条件A、Rt:2.12分、m/z=469(M+H)H NMR(400MHz,CDCl)δppm9.85(1H,NH),7.85(d,1H,J=8.0Hz),7.22−7.43(m,10H),6.05(s,1H),5.35(d,1H,J=8.0Hz),4.75(d,1H,J=11.5Hz),4.53(d,1H,J=11.5Hz),4.45(d,1H,J=11.3Hz),4.35(d,1H,J=11.3Hz),4.27(d,1H,J=6.6Hz),4.2(s,1H),4.1,(d,1H,J=6.6Hz),3.95(d,1H,J=10.8Hz),3.75−3.7(m,1H),3.62(d,1H,J=10.8Hz),3.17(bs,OH),1.8−1.7(m,2H).
【実施例5】
【0100】
1-[(4R,5R,7R,8R)-8-(ベンジルオキシ)-7-(ベンジルオキシメチル)-1,6-ジオキサスピロ[3.4]オクタン-5-イル]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(9)
【0101】
【化19】

【0102】
乾式ピリジン(100mL)中の8(4.32g、9.22mmol)に塩化メタンス
ルホニル(0.800mL、10.34mmol)を加えた。1時間15分後に、0.1当量追加の塩化メタンスルホニルを加え、そして混合物を室温で45分間さらに攪拌した。次に、少量のメタノールを加え、そして混合物を蒸発乾固させた。残留物を酢酸エチル(100mL)に溶解し、そして飽和NaHCO(2x50mL)で洗浄した。合わせた水層を酢酸エチルで抽出した。次に、合わせた有機層をNaSO上で乾燥させ、そして真空中で濃縮した。合わせた残留物を乾式THFに溶解し、そして95%NaH(932mg、36.9mmol)を室温ですぐに加えた。室温で2時間攪拌した後、反応混合物をNHCl(30mL)の飽和水性溶液上に注ぎ、続いてCHCl(250mL)を加えた。分離した有機層を飽和水性NaHCO(2x100mL)で洗浄し、そして合わせた水層をCHCl(250mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして減圧下で蒸発乾固させた。得られる残留物を最初にヘプタンで、次に酢酸エチルで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して9(3.27g、79%)をフォームとして生成せしめた。HPLC条件A、Rt:2.33分、m/z=451(M+H)H NMR(400MHz,CDCl)δppm2.20−2.38(m,1H)2.38−2.52(m,1H)3.62−3.73(m,1H)3.89−4.13(m,3H)4.38−4.56(m,3H)4.56−4.68(m,1H)4.70−4.88(m,2H)5.25(d,J=8.00Hz,1H)6.25(s,1H)7.18−7.47(m,10H)7.87(d,J=8.20Hz,1H)8.90(br.s.,1H)
【実施例6】
【0103】
1-[(4R,5R,7R,8R)-8-ヒドロキシ-7-(ヒドロキシメチル)-1,6-ジオキサスピロ[3.4]オクタン-5-イル]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(10)
【0104】
【化20】

【0105】
メタノール(1mL)およびPd(OH)(8mg)中の9(50mg、0.111mmol)の混合物を室温で水素雰囲気下で攪拌した。4時間後に、追加のPd(OH)(30mg)およびメタノール(1mL)を加えた。混合物をH雰囲気下で一晩強く攪拌した。触媒をジカライト上での濾過により除き、そして溶媒を蒸発により除いた。得られる残留物を酢酸エチル中10%のメタノールで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して中間体10を白色の粉末(16.8mg;56%)として生成せしめた。HPLC条件B、Rt:1.98分、m/z=271(M+H)H NMR(400MHz,DO)δppm7.65(d,1H,J=8.0Hz),6.11(s,1H),5.82(d,1H,J=8.0Hz),4.46−4.61(m,2H),4.06−4.13(m,1H),3.87−3.95(m,1H),3.69−3.77(m,2H),2.62−2.73(m,1H),2.48−2.58(m,1H).
【実施例7】
【0106】
2−(クロロ(フェノキシ)ホスホリルアミノ)-2-メチルプロピオン酸メチル(11)
【0107】
【化21】

【0108】
CHCl(80mL)中のフェニルホスホロジクロリデート(1.0eq.、13.0mmol、1.9mL)およびα-アミノイソ酪酸メチル塩酸塩(1.0eq.、13.0mmol、2.0g)の溶液を-80℃に冷却した。乾式N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA;2.0eq.、26.0mmol、4.3mL)を滴下して加えた。2時間後に、反応物を室温まで温め、そして溶媒を減圧下で除いた。乾式ジエチルエーテルを加え、そして沈殿物を濾過して分離し、そしてアルゴン雰囲気下で乾式ジエチルエーテルで2回洗浄した。濾液を蒸発乾固させて11を生成せしめ、それを-18℃で乾式テトラヒドロフラン(THF)中0.90M溶液として保存した。
【実施例8】
【0109】
2−[[[(4R,5R,7R,8R)-5-(2,4−ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-8-ヒドロキシ-1,6-ジオキサスピロ[3.4]オクタン-7-イル]メトキシ](フェノキシ)ホスホリルアミノ]-2-メチルプロパン酸メチル(12e)
【0110】
【化22】

【0111】
乾式THF(3mL)中の10(1.0eq.、0.28mmol、75mg)の溶液に室温で1−メチルイミダゾール(NMI;12.0eq.、3.33mmmol、0.27mL)を加えた。中間体11(1.4eq.、0.39mmol、0.43mL)の溶液を滴下して加え、そして混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を0.5M HClで3回洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させ、そして真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(CHCl中0〜10%メタノール)により精製して化合物12e(24mg、収率=15%、純度=95%)をジアステレオマーの混合物として生成せしめた。HPLC条件A、Rt:1.49分、m/z=526(M+H)。1H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm1.33(s,3H),1.37(s,3H),2.42−2.43(m,2H),3.56(s,3H),3.70−3.79(m,1H),3.80−3.88(m,0.4H),3.88−3.96(m,0.6H),4.09−4.20(m,1H),4.26−4.48(
m,3H),5.50−5.56(m,1H),5.61−5.69(m,1H),5.88−5.97(m,1H),5.97−6.04(m,1H),7.12−7.24(m,3H),7.31−7.41(m,2H),7.44(d,J=8.22Hz,0.4H),7.52(d,J=8.02Hz,0.6H),11.49(br.s.,1H).
【実施例9】
【0112】
上記に概説するのと同様の方法を用いて、以下の化合物を製造した。各場合において分析はジアステレオマーの混合物に対して行った。
【0113】
【化23】

【0114】
HPLC条件A、Rt:2.00分、m/z=602(M+H);1H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.71−0.83(m,3H),1.45−1.73(m,2H),2.33−2.48(m,2H),3.59−3.80(m,2H),3.79−3.96(m,1H),4.04−4.19(m,1H),4.24−4.47(m,3H),4.98−5.14(m,2H),5.47−5.57(m,1H),5.58−5.73(m,1H),5.96−6.03(m,1H),5.96−6.03(m,1H),7.09−7.22(m,3H),7.27−7.39(m,7H),7.44(d,J=8.02Hz,0.5H),7.48(d,J=8.22Hz,0.5H),11.50(br.s.,1H).
【0115】
【化24】

【0116】
HPLC条件A、Rt:1.92分、m/z=588(M+H);1H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm1.19−1.29(m,3H),2.38−2.46(m,2H),3.53−3.97(m,3H),4.06−4.20(m,1H),4.26−4.46(m,3H),5.05−5.14(m,2H),5.49−5.59(m,1H),5.61−5.73(m,1H),5.88−6.05(m,1H),6.07−6.18(m,1H),7.09−7.23(m,3H),7.30−7.40(m,7H),7.43−7.51(m,1H),11.51(br.s.,1H).
【0117】
【化25】

【0118】
HPLC条件A、Rt:2.00分、m/z=568(M+H);1H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.79−0.93(m,9H),1.20−1.32(m,3H),2.33−2.50(m,2H),3.63−3.70(m,1H),3.71−3.80(m,2H),3.80−3.93(m,2H),4.04−4.21(m,1H),4.23−4.46(m,3H),5.49−5.59(m,1H),5.58−5.72(m,1H),5.94−6.03(m,1H),6.02−6.14(m,1H),7.11−7.25(m,3H),7.32−7.39(m,2H),7.41−7.53(m,1H),11.51(br.s.,1H).
【0119】
【化26】

【0120】
HPLC条件A、Rt:1.88分、m/z=554(M+H)H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.77−0.93(m,3H),1.14−1.25(m,3H),1.24−1.37(m,2H),1.41−1.62(m,2H),2.35−2.47(m,2H),3.63−3.92(m,3H),3.92−4.06(m,2H),4.05−4.21(m,1H),4.23−4.46(m,3H),5.48−5.59(m,1H),5.59−5.72(m,1H),5.89−6.15(m,2H),7.09−7.25(m,3H),7.31−7.41(m,2H),7.43−7.52(m,1H),11.51(br.s.,1H)
【0121】
【化27】

【0122】
HPLC条件A、Rt:3.46分、m/z=644(M+H)H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm11.37−11.61(1H,m)7.40−7.46(1H,m)7.27−7.39(5H,m)7.09−7.19(2H,m)6.89−6.96(1H,m)6.07−6.20(1H,m)5.98−6.03(1H,m)5.58−5.72(1H,m)5.45−5.52(1H,m)5.02−5.15(2H,m)4.23−4.45(3H,m)4.05−4.18(1H,m)3.82−3.98(2H,m)3.69−3.78(1H,m)3.13−3.26(1H,m)2.37−2.47(2H,m)2.15−2.23(3H,m)1.24−1.32(3H,m)1.06−1.15(6H,m)
【0123】
【化28】

【0124】
HPLC条件A、Rt:2.08および2.21分(個々のジアステレオマーが見られる)、m/z=540(M+H)H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm11.39−11.60(1H,m)7.44−7.52(1H,m)7.31−7.40(2H,m)7.12−7.24(3H,m)5.95−6.07(2H,m)5.59−5.71(1H,m)5.51−5.58(1H,m)4.78−4.91(1H,m)4.26−4.44(3H,m)4.06−4.20(1H,m)3.84−3.95(1H,m)3.68−3.83(2H,m)2.37−2.58(2H,m)1.16−1.25(3H,m)1.11−1.16(6H,m)
【0125】
【化29】

【0126】
HPLC条件A、Rt:3.03分、m/z=650(M+H)H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm11.34−11.62(1H,m)7.05−7.46(16H,m)6.71−6.84(1H,m)5.95−6.03(1H,m)5.56−5.71(1H,m)5.46−5.53(1H,m)4.95−5.16(3H,m)4.23−4.45(3H,m)4.05−4.21(1H,m)3.77−3.88(1H,m)3.68−3.77(1H,m)2.35−2.45(2H,m)
【0127】
【化30】

【0128】
HPLC条件A、Rt:2.38および2.48分(個々のジアステレオマーが見られる)、m/z=554(M+H)H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm11.38−11.61(1H,m)7.43−7.53(1H,m)7.31−7.41(2H,m)7.11−7.25(3H,m)5.90−6.06(2H,m)5.59−5.71(1H,m)5.50−5.59(1H,m)4.79−4.93(1H,m)4.27−4.46(3H,m)4.03−4.21(1H,m)3.82−3.95(1H,m)3.68−3.81(1H,m)3.52−3.66(1H,m)2.38−2.51(2H,m)1.44−1.72(2H,m)1.09−1.21(6H,m)0.72−0.89(3H,m)
【0129】
【化31】

【0130】
HPLC条件A、Rt:2.84および2.94分(個々のジアステレオマーが見られる)、m/z=622(M+H)H NMR(400MHz,CDCl)δppm1.38(d,J=8.59Hz,3H),2.38−2.57(m,1H),2.66−2.84(m,1H),3.25(br.s.,1H),3.78(br.s.,1H),3.81−3.94(m,1H),3.95−4.15(m,2H),4.23−4.42(m,1H),4.42−4.58(m,2H),4.60−4.72(m,1H),5.14(s,2H),5.68(d,J=8.00Hz,1H),6.07(s,0H),7.01−7.19(m,2H),7.20−7.43(m,7H),8.76(br.s.,1H)
【0131】
【化32】

【0132】
HPLC条件A、Rt:3.06分、m/z=638(M+H)1H NMR(400MHz,CDCl)δppm1.23−1.41(m,2H),1.66(br.s.,0H),1.93(br.s.,1H),2.37(m,J=12.56,12.56,8.63,6.24Hz,1H),2.54−2.75(m,1H),3.44−3.67(m,1H),3.78(dd,J=9.27,1.85Hz,1H),3.86−4.03(m,1H),4.05−4.17(m,1H),4.18−4.28(m,1H),4.31−4.41(m,1H),4.41−4.66(m,3H),4.96−5.16(m,2H),5.32(d,J=8.20Hz,0H),5.44(d,J=8.20Hz,0H),6.11(s,1H),7.08(d,J=8.19Hz,0H),7.18−7.41(m,6H),7.44−7.57(m,3H),7.64(d,J=8.00Hz,1H),7.78−7.89(m,1H),8.01−8.18(m,1H),9.37(br.s.,1H)
【0133】
【化33】

【0134】
HPLC条件A、Rt:2.48および2.59分(個々のジアステレオマーが見られる)、m/z=554(M+H)H NMR(400MHz,CDCl)δppm0.92(d,J=5.46Hz,5H)1.28−1.45(m,2H)1.48−2.02(m,2H)2.38−2.56(m,1H)2.64−2.87(m,1H)3.67−4.17(m,5H)4.28−4.58(m,2H)4.66(br.s.,1H)5.60−5.70(m,1H)6.19(s,1H)7.10−7.49(m,6H)8.56(br.s.,1H)
【0135】
【化34】

【0136】
HPLC条件A、Rt:2.61分、m/z=608(M+H)H NMR(400MHz,CDCl)δppm2.40−2.56(m,1H),2.67−2.82(m,1H),3.29(br.s.,1H),3.71−3.97(m,4H),3.97−4.10(m,1H),4.32−4.44(m,1H),4.45−4.59(m,2H),4.61−4.70(m,1H),5.16(s,2H),5.68(d,J=7.80Hz,1H),6.10(d,J=6.44Hz,1H),7.10−7.19(m,2H),7.24−7.30(m,3H),7.30−7.42(m,5H),8.82(br.s.,1H)
【0137】
[生物学的実施例]
レプリコンアッセイ
式Iの化合物は、細胞アッセイにおいてHCV−RNA複製の阻害における活性について調べた。アッセイは、HCVレプリコンとしても知られている、HCV機能性細胞複製
細胞系を式Iの化合物が阻害することを示すために用いた。細胞アッセイは、複数標的スクリーニング戦略における、Krieger et al.(2001)Journal
of Virology 75:4614−4624により記述される改変を有するLohmann et al.(1999)Science vol.285 pp.110−113により記述されるような、2シストロン性発現構築物に基づいた。
【0138】
本質的に、方法は下記の通りであった。アッセイは、安定にトランスフェクションされた細胞系Huh−7 luc/neo(以下にHuh−Lucと称する)を利用した。この細胞系は、レポーター部分(FfL−ルシフェラーゼ)および選択可能なマーカー部分(neo、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ)が前に置かれる、脳心筋炎ウイルス(EMCV)からの内部リボソーム侵入部位(IRES)から翻訳されるHCV1b型の野生型NS3−NS5B領域を含んでなる2シストロン性発現構築物をコードするRNAを保有する。構築物には、HCV遺伝子型1bからの5’および3’NTR(非翻訳領域)が隣接している。G418(neo)の存在下でのレプリコン細胞の継続培養は、HCV−RNAの複製に依存する。とりわけルシフェラーゼをコードする、自律的にそして高レベルに複製する、HCV−RNAを発現する安定にトランスフェクションされたレプリコン細胞を抗ウイルス化合物をスクリーニングするために使用した。
【0139】
様々な濃度において加えた試験およびコントロール化合物の存在下でレプリコン細胞を384ウェルプレートにおいて平板培養した。3日のインキュベーションの後に、ルシフェラーゼ活性をアッセイすることにより(標準的なルシフェラーゼアッセイ基質および試薬ならびにPerkin Elmer ViewLuxTM ultraHTSマイクロプレート撮像装置を用いて)HCV複製を測定した。コントロール培養物におけるレプリコン細胞は、任意の阻害剤の不在下で高いルシフェラーゼ発現を有する。ルシフェラーゼ活性に対する化合物の阻害活性をHuh−Luc細胞上でモニターし、各試験化合物について用量反応曲線を可能にした。次にEC50値を計算し、この値は検出されるルシフェラーゼ活性のレベルを50%、もしくはさらに特に、遺伝子的に連結されたHCVレプリコンRNAが複製する能力を減少するために必要とされる化合物の量を表す。
【0140】
結果
表1は、上記に示した実施例の化合物について得られるレプリコン結果(EC50、レプリコン)および細胞毒性結果(CC50(μM))(Huh−7))を示す。また、HIV活性(EC50HIV(μM))およびHIV細胞系における細胞毒性(CC50(μM)(MT−4))も示される。
【0141】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
その任意の可能な立体異性体を包含する式I:
【化1】

[式中:
は1リン酸、2リン酸もしくは3リン酸エステルであるか;またはRは式
【化2】

の基であり;
は、場合によりハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシおよびアミノから各々独立して選択される1、2個もしくは3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであるか;またはRは、場合によりハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシおよびアミノから各々独立して選択される1、2個もしくは3個の置換基で置換されていてもよいナフチルであるか;またはRは、場合により1個のC〜Cアルキルオキシ−カルボニル基でそして場合によりハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシおよびアミノから各々独立して選択される1、2個もしくは3個の置換基でさらに置換されていてもよいインドリルであり;
は水素、C〜Cアルキル、ベンジルもしくはフェニルであり;
8’は水素、C〜Cアルキル、ベンジルもしくはフェニルであるか;または
およびR8’はそれらが結合している炭素原子と一緒になってC〜Cシクロアルキルを形成し;
はC〜C10アルキル、C〜Cシクロアルキルもしくはフェニル−C〜Cアルキルであり、ここで、フェニルもしくはフェニル−C〜Cアルキルにおけるフェニル部分は、場合によりヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、アミノ、モノ-およびジC〜Cアルキルアミノから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい]
の化合物またはその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
が式
【化3】

の基である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、場合によりハロでまたは1もしくは2個のC〜Cアルキル基で置換されていてもよいフェニルであるか、またはRがナフチルもしくはインドリルである請求項1〜2のいずれかに記載の化合物。
【請求項4】
が、場合によりハロでまたは2個のC〜Cアルキル基で置換されていてもよいフェニルであるか、またはRがナフチルである請求項1〜2のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
がフェニルもしくはナフチルである請求項1〜2のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
が水素であり、そしてR8’が水素もしくはC〜Cアルキルである請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
が水素であり、そしてR8’がメチルもしくはエチルである請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
がC〜Cアルキルもしくはベンジルである請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
がn.ブチルもしくはベンジルである請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
式Iの化合物が:
【化4】

である請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の式Iの化合物の抗ウイルス的に有効な量および製薬学的に許容しうる担体を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項12】
HCV阻害剤としての使用のための請求項1〜10のいずれかに記載の化合物。

【公表番号】特表2012−526764(P2012−526764A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510269(P2012−510269)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056438
【国際公開番号】WO2010/130726
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(511276208)ジヤンセン・プロダクツ・エルピー (1)
【出願人】(508030109)
【Fターム(参考)】