説明

ウレタン発泡成形用補強基布

【課題】金型への馴染み性、樹脂の浸透性、樹脂漏れ性が良好な発泡成形用補強布と、これを用いた、強度、クッション性に優れ、且つ異音の生じない発泡成形体の提供。
【解決手段】熱圧着面積率が3〜30%であり、該熱圧着部の1個の融着面積が0.3〜10mmであり、間隔が0.5〜10mm、捲縮性長繊維からなるポリプロピレン系スパンボンド不織布から構成される補強布であり、該不織布の目付けが50〜200g/m、JIS−L−1906で測定される、目付けあたりのペンジュラム法引裂強さが0.1N〜2Nであることを特徴とするウレタン発泡成形用補強基布。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン発泡成形用補強基布として、引裂強力に優れ破れ難く、補強効果に優れた成形性ポリウレタン座席用クッション材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用等のクッション材は、軟質ポリウレタンフオーム型内発泡成形体が主として用いられている。
ポリウレタンフオームは、例えば、成型用凹凸金型にポリウレタン樹脂原液を注入し、発泡成形して得られる。得られたクッション体は、バネ、フレーム、パイプ等の取り付け鋼材に装着され使用されるが、車両等の振動時や着席時に擦過音などの異音が発生する。
このような異音の発生防止するために、ウレタンフオームに不織布を補強布として用いる提案がなされている。
特許文献1には、捲縮長繊維不織布を用いた補強布が提案されており、捲縮長繊維を用いる事で、嵩高な構成繊維であり、ウレタン樹脂の浸透性に優れているが、該補強布は取り付け鋼材との接触により破れ易く、取り付け時の張力により融着部に亀裂や、破れ、穴あきなどが発生して樹脂漏れなどの問題が生じる。
【0003】
【特許文献1】特開2000−62061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の課題を解決することを目的とし、嵩高性、高い引裂強力を有するウレタン発泡成形用補強布を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討した結果、捲縮性ポリプロピレン系長繊維不織布を用い、繊維中の酸化チタンの含有量を特定範囲以下とし、不織布の気孔率を高い範囲とし、且つ、熱圧着条件をマイルドにすることで、部分熱圧着部の熱圧着程度を調節することができ、その結果、引裂き強力が向上し、ウレタン発泡の成形性など実用上の取り扱い性が向上できることを見出し、本発明に到達した。本願で特許請求される発明は以下のとおりである。
(1)熱圧着面積率が3〜30%であり、熱圧着部の1個の融着面積が0.3〜10mmであり、間隔が0.5〜10mmである、捲縮性長繊維からなるポリプロピレン系スパンボンド不織布から構成される補強布であり、該不織布の目付けが50〜200g/m、JIS−L−1906で測定される、単位目付けあたりのペンジュラム法引裂強力が1.0N以上であることを特徴とするウレタン発泡成形用補強基布。
(2)前記捲縮性長繊維の捲縮数が2〜40個/25mmであることを特徴とする上記(1)に記載のウレタン発泡成形用補強基布。
(3)前記捲縮性長繊維が繊維径1〜30μmであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のウレタン発泡成形用補強基布。
(4)熱圧着の温度が100〜145℃であり、圧力が10〜700kPa/cmであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のウレタン発泡成形用補強基布。
(5)前記長繊維不織布の気孔容積率が80〜95%であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のウレタン発泡成形用補強基布。
(6)前記長繊維に含有される酸化チタンが0.3wt%以下であることを上記(1)〜(5)のいずれかに記載のウレタン発泡成形用補強基布。
(7)上記(1)〜(6)記載のウレタン発泡成形用補強基布を用いて、該基布内にウ
レタン樹脂液を浸透させ、発泡して、ポリウレタンフオームを補強一体化せしめたことを特徴とする発泡成形体。
【発明の効果】
【0006】
本発明のウレタン発泡成形用補強基布は、捲縮性ポリプロピレン長繊維からなるスパンボンド不織布から構成され、繊維を白度化させる目的で原料中に添加される酸化チタン微粒子などの添加量を少なくし、且つ、マイルドな熱圧着条件にすることで、実用上の引裂強力などの強度が向上できる。
従って、本発明の目的とする、嵩高性に優れ、かつ、引張強力、引裂強力に優れ、発泡成形体の破れ、穴あきなどの問題がなく、作業性に優れたウレタン発泡成形用補強布であり、更に、クッション性、異音の発生がないなどの優れたウレタン発泡成形体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明について詳述する。
本発明のウレタン発泡成形用補強基布は、捲縮性ポリプロピレン長繊維からなるスパンボンド法によって得られる長繊維不織布である。
第一の特徴としては、本発明の不織布で用いる捲縮性ポリプロピレン長繊維は、捲縮数2〜40個/25mmの長繊維より構成され嵩高性で、粗な構造の不織布であり、気孔容積率が高い不織布である。従って、空隙性の高い不織布であり、ウレタン樹脂の浸透がし易くなり、発泡後、ウレタンフオームと補強布が一体化する程度に接着が良好にできる。
第二の特徴としては、繊維中の酸化チタン微粒子の含有率を少なくすることで、熱圧着処理において、繊維同士の熱圧着性を向上させ、且つ、マイルドな熱圧着条件を選択することによって、破断伸度が向上し、その結果、引裂強度などの実用上の強度を向上させることができる。
従って、ポリウレタン発泡成形体がバネ、フレームなどの座席鋼材などと接触しても、基布の引裂特性が良好であるため、穴あき、破れなど起こり難く、擦過音などの異音が生じ難く、摩擦強力などの耐久性にも優れている。
【0008】
本発明の捲縮性ポリプロピレン系長繊維としては、粗な構成でウレタン樹脂の染み込みが生じる嵩高性を有し、金型への馴染み性に優れ、且つ、引張強力、引裂強力などに優れる点から、繊維径が1〜30μm、好ましくは3〜25μmの単一の繊維構成または細い繊維径と太い繊維径の組み合わせたものが使用でき、捲縮数が2〜40回/25mm、好ましくは5〜35回/25mmである。
繊維径が1μm未満、捲縮数が2未満では、緻密な繊維構成となり、樹脂の染み込み性、強力などが低下する。一方、繊維径が30μmを超えると、捲縮し難くなり、且つ繊維分散性が低下し、捲縮数が40回/25mmを超える嵩高繊維は、開繊性が低下し、繊維分散の均等性が低下するなどの問題が生じる。
【0009】
本発明のポリプロピレン系繊維としては、捲縮性を有する以外は特に制限がなく。例えばポリプロピレンにポリエチレンなどの樹脂を混合した繊維、共重合ポリプロピレン繊維、芯がポリエチレン、鞘がポリプロピレンなどの芯鞘型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維などが用いられる。
【0010】
更に本発明の嵩高性不織布を満足する構成としては、少なくとも一層が捲縮性ポリプロピレン繊維層を有する事が必要であるが、他の層に繊維径が10〜25μmの非捲縮性ポリプロピレン繊維層、メルトブロー法などの繊維径1〜7μmの極細繊維層などとの多層の積層構造などが用いられる。
具体的には、繊維径が15〜30μmの捲縮性ポリプロピレン繊維層と、繊維径が10〜25μmの非捲縮性ポリプロピレン繊維層との積層、繊維径が15〜30μmの捲縮性
ポリプロピレン繊維層と、繊維径が10〜25μmの非捲縮性ポリプロピレン繊維とメルトブロー法の繊維径が1〜7μmの極細繊維、繊維径が10〜25μmの非捲縮性ポリプロピレン繊維の多層構成の繊維層との積層などが用いられる。
【0011】
一般に、熱可塑性合成繊維不織布に於いては、原料中に無機微粒子、例えば、酸化チタンなどを艶消し剤として添加し、繊維の白度化を行っている。しかし、繊維中の酸化チタン微粒子は、繊維同士の熱圧着による接着性を低下させる作用を有する。酸化チタンの粒子径は0.1〜1μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。
従って、本願の如く、マイルドな熱圧着で、十分な接着力を得るためには、無機微粒子の添加量を少なくする事が好ましい。例えば、添加量を0.3wt%以下、好ましくは0.2wt%以下、より好ましくは0.1wt%以下であり、特に好ましくは0wt%である。無機微粒子などの添加量が0.3wt%を超えると繊維同士の接着力が低下する。
本発明において、特に、捲縮性ポリプロピレン長繊維の、繊維中の酸化チタンの含有量を少なくすることで、紡糸工程での繊維形状において、結晶性が抑制され、熱エンボス工程での熱圧着性が向上し、通常より、マイルドな熱圧着条件が採用できる。具体的には、温度、圧力、熱圧着率、1個あたりのエンボス面積などのそれぞれを低下でき、強固な熱圧着を施さなくても、不織布としての、一体性、形態安定性、実用強度を有することができる。
【0012】
本発明の長繊維ウエブの熱圧着処理は、一対のエンボス凹凸ロールと金属性平滑ロールとの間で、特定の温度と圧力下で、部分的に軟化または融着により接着される。熱圧着条件、例えば、エンボスロール凸部の1個当たりの大きさ、間隔、深さ、形状等により、不織布の特性が大きく変わる。
従って、本発明の目的を満足する嵩高性、強力を得る為には、熱圧着条件を特定範囲に限定することが必要である。
ロール温度は、ポリプロピレン樹脂の融点(165℃)より20〜65℃低い温度、好ましくは35〜55℃低い温度、熱圧着の圧力は10〜700kPa/cm、好ましくは50〜500kPa/cmである。
熱圧着温度が融点近くの温度では、繊維同士が融着により強固な接着となり、繊維が固定化されて、引裂強力が低下する。
従って、融点より、20〜65℃低い温度で圧着させることで、繊維同士の接着ができ、張力などの力がかかっても、圧着部周辺に穴などが生じない。更に、温度と圧力を低くすることで、嵩高性と引裂強力を高く保持することができる。
【0013】
次いで、エンボスロールのエンボス模様は、丸状、楕円状、菱形状、円柱状、四角状などで、平行均等配置、千鳥状配置などの均等配置が好ましい。熱圧着部一個の面積は、0.3〜10mm、好ましくは、0.5〜6mmであり、エンボス模様の深さは、0.5〜2mm、好ましくは0.7〜1.7mmであり、熱圧着の間隔は、0.5〜10mm、好ましくは、0.8〜6mmの均等配置が好ましい。
【0014】
本発明の長繊維不織布の熱圧着面積率は、3〜30%が好ましく、より好ましくは5〜25%であり、引張強力、引裂強力の両方を高く保持し、且つ、嵩高で柔軟性を有するためには、上記の熱圧着面積率が必要である。圧着面積率が3%未満では、接合面積が少なくなり、引張強力、磨耗強度が低下する。一方、30%を超えると、引張強力、磨耗強度が高くなるが、風合いがペーパーライクとなり、引裂強力が低下し、金型などとの馴染み性が低下する。
【0015】
本発明の長繊維不織布の目付けは、50〜200g/m、好ましくは70〜160g/mである。
目付けが50g/m未満では、嵩高性が低下し、引張強力、引裂強力が低下する。一
方200g/mを超えると、嵩高性、引張強力、引裂強力が高くできるが柔軟性が低下する。
【0016】
本発明の長繊維不織布の気孔容積率Pは、A:見かけ比重(目付け)/1000(厚み)とB:繊維の比重(ポリプロピレン0.91)から計算される。
気孔容積率 P=(B−A)/B ×100(%)
本発明の長繊維不織布の気孔容積率Pは、80〜95%、好ましくは83〜93%である。
気孔容積率Pが80%未満では、緻密構成となり、空隙が少なく、ウレタン発泡と基布との一体化が低下しやすく、また、繊維の剛性が増し、一方、95%を超えると粗な構成となり、柔軟性は得られるが強度が低下する。
【0017】
本発明の長繊維不織布は、熱圧着で繊維同士が強固に固定化されず、適度な引張強力が得られる程度に熱圧着されて、破断伸度に優れ、高い引裂強力をえることができる。
従って、長繊維不織布のJIS−L−1906で測定される、単位目付けあたりのペンジュラム法引裂強力が1.0N以上であり、より好ましくは、1.2N以上、3.0N以下である。
引裂強力を目付け当たりで換算した値が1.0N未満では、金型などの取り付け張力で、圧着部周辺に穴あき、破れなどが生じ易くなる
【0018】
本発明の長繊維不織布の引張強力は、(タテ+ヨコ)方向の値を目付けで換算した値が、1N/5cm以上、好ましくは1.5N/5cm以上5N/5cm以下である。
引張強力は、(タテ+ヨコ)方向の値を目付けで換算した値が1N/5cm未満では、不織布を構成する繊維同士の接着が弱くなり、摩擦毛羽立ちが生じ易くなり、取り扱い性が悪くなる。
【0019】
本発明の補強布を用いた発泡ウレタン成形加工は、発泡成形用金型内に、補強布を取り付け、発泡性ウレタン樹脂を注入し、加熱、加圧下でポリウレタンの発泡成形を行い、軟質ポリウレタンフオームの発泡成形体を得る。発泡方法としては、低温のコールド発泡法、またはホット発泡法がある。発泡成形時に必要なことは、ウレタンフオームと補強布とが接着一体化されることであり、且つ、ウレタン樹脂の染み出しがないことである。
【実施例】
【0020】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、下記の実施例に制限されるものではない。
〔測定方法〕
1.目付(g/m
JIS−L1906に規定の方法に従い、経20cm×緯25cmの試験片を試料の幅1mあたり3箇所採取して質量を測定し、その平均値を単位面積あたりの質量に換算して求める。
2.厚み(mm)
JIS−L1906に規定の方法に従い、接圧荷重100g/cmにて幅方向に10箇所測定し、その平均値を厚みとした。厚み計は、PEACOCK社製NO.207を用いた。
3.繊維径(μm)
繊維ウェブ、不織布などの試料の両端部10cmを除いて、布帛の幅20cm毎の区域からそれぞれ1cm角の試験片を切り取ってサンプルとした。各試験片についてマイクロスコープで繊維の直径を30点測定し、該測定値の平均値を算出して繊維径とした。
4.引裂強力(N):JIS−L−1906 ペンジュラム法に準処して測定
タテ方向を測定し、得られた値を単位目付け1g/mに換算して
示す。

5.引張強力(N/5cm):JIS−L−1906に準処して測定
(タテ+ヨコ)方向の得られた値を単位目付け1g/m
換算して示す。
6.気孔容積率(%):JIS−L−1096に準じる。 (ポリプロピレン0.91)
みかけ比重Aは、目付け(g/m)/厚み(mm)×1000
気孔容積率(%)=(繊維比重―試料みかけ比重)/繊維比重 ×100
【0021】
[実施例1〜3]
スパンボンド法により、原料中の酸化チタン(粒子径0.2μmの添加量が異なるポリプロピレン樹脂を用いて、V型異形断面紡口より溶融紡糸を行い、冷却装置から温度60℃の冷風を糸条の側面から吹き付け捲縮を発現させ、牽引装置により延伸し、異形断面の捲縮性連続フイラメントを得、次いで、ウエブを開繊してコンベアネット上に捕集し、一対の凹凸ロール間で熱圧着する。熱圧着条件は、圧着部が融着圧着で強固な接着にならない程度、マイルドな圧着条件として、温度は、125℃〜145℃(ポリプロピレン樹脂の融点(165℃)より、20〜40℃低い温度)、圧力は、400kPa/cm〜700kPa/cm、エンボスロール模様は、1個当たり面積がダイヤ形状で1.8mm、深さ1.2mm、最小間隔が3.5mmの千鳥配置で圧着し、得られたウエブを熱圧着率12%で部分熱圧着して得られた本発明の捲縮性ポリプロピレン長繊維スパンボンド不織布を表―1に記載した。
次いで、発泡成形装置で2液型ウレタン樹脂を用い成形加工を行った。座席用金型に前記捲縮性ポリプロピレン長繊維スパンボンド不織布を凹凸部分に馴染ませるように取り付けたところ、柔軟性があり、金型の形状に馴染むことが出来た。次いで、2液ウレタン樹脂を用いて60℃のコールド成形法で、発泡成型加工を行い、ウレタンフオームの発泡成形体が得られた。得られた成形体は、不織布の中に樹脂の浸透があり、補強布とウレタン樹脂との接着が良く、且つ、樹脂漏れが生じないため、バネ、フレームなどとの擦過音などの発生がなかった。
【0022】
[比較例1]
原料中の酸化チタン添加量が1.0wt%以外は、実施例1と同様の方法でウエブを得、熱圧着条件をエンボス部が融着状態で強固に接着するように行った。得られた不織布は引張強力が高く剛性があり、成形金型の馴染みが悪かった。次いで、発泡成形加工を行ったが、熱圧着周辺部から樹脂漏れが発生し、樹脂漏れ部分でバネ、フレームなどの擦過音が発生し、本願の目的とする補強布の効果が得られなかった。
[比較例2]
原料中の酸化チタン添加量が1.0wt%以外は、実施例1と同様の方法でウエブを得、熱圧着条件をマイルドな条件にした。得られた不織布の特性は、樹脂漏れはなくなったが熱圧着部の接着力が不足してか、引裂強力 引張強力の低いものであり、本願の目的とする強力が得られなかった。
【0023】
[実施例4]
スパンボンド法により、原料中の酸化チタンの添加量の0wt%のポリプロピレン樹脂を用いて、V型異形断面紡口より溶融紡糸を行い、冷却装置から温度60℃の冷風を糸条の側面から吹き付け捲縮を発現させ、牽引装置により延伸し、異形断面の捲縮性連続フイラメント、目付け40g/mのウエブ(繊維径25μm、捲縮数20個/25mm)を上層とし、無機充填剤(酸化チタン)の添加量の0wt%のポリプロピレン樹脂を用いて、丸型紡口より溶融紡糸を行い、非捲縮性連続フイラメント、目付け40g/mのウエブ(繊維径16μm)を下層として積層ウエブを、コンベアネット上に捕集し、一対の凹凸ロール間で熱圧着する。熱圧着条件は、マイルドな圧着条件として温度は、130℃、
圧力は、400kPa/cm、エンボスロール模様は、1個当たり面積がダイヤ形状で2.5mm、深さ1.0mm、最小間隔が5.5mmの千鳥配置で圧着し、得られたウエブを熱圧着率8%で部分熱圧着して得られた本発明の捲縮性ポリプロピレン長繊維スパンボンド不織布を表―1に記載した。
次いで、発泡成形装置で2液型ウレタン樹脂を用い発泡成形加工を行った。座席用金型に前記捲縮性ポリプロピレン長繊維スパンボンド不織布を凹凸部分に馴染ませるように取り付けたところ、柔軟性があり、金型の形状に馴染むことが出来た。次いで、2液ウレタン樹脂を用いて60℃のコールド成形法で、発泡成型加工を行い、ウレタンフオームの発泡成形体が得られた。得られた成形体は、不織布の中に樹脂の浸透があり、補強布とウレタン樹脂との接着が良く、且つ、樹脂漏れが生じないため、バネ、フレームなどとの擦過音などの発生がなかった。
【0024】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のウレタン発泡成形用補強基布は、捲縮繊維からなるために嵩高性に優れ、かつ、引張強力、引裂強力に優れ、柔軟で金型などへの馴染みが良く、作業性に優れたウレタン発泡成形用補強布であり、発泡成形体が樹脂漏れなどの問題がなく、バネ、フレームなどの座席用鋼材などとの接触による、破れ、穴あき、などが生じなく、クッション性、擦過音などが生じない。従って、車両などの座席等に広く用いる事ができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱圧着面積率が3〜30%であり、熱圧着部の1個の融着面積が0.3〜10mmであり、間隔が0.5〜10mmである、捲縮性長繊維からなるポリプロピレン系スパンボンド不織布から構成される補強布であり、該不織布の目付けが50〜200g/m、JIS−L−1906で測定される、単位目付けあたりのペンジュラム法引裂強力が1.0N以上であることを特徴とするウレタン発泡成形用補強基布。
【請求項2】
前記捲縮性長繊維の捲縮数が2〜40個/25mmであることを特徴とする請求項1に記載のウレタン発泡成形用補強基布。
【請求項3】
前記捲縮性長繊維が繊維径1〜30μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のウレタン発泡成形用補強基布。
【請求項4】
熱圧着の温度が100〜145℃であり、圧力が10〜700kPa/cmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のウレタン発泡成形用補強基布。
【請求項5】
前記長繊維不織布の気孔容積率が80〜95%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のウレタン発泡成形用補強基布。
【請求項6】
前記長繊維に含有される酸化チタンが0.3wt%以下であることを請求項1〜5のいずれかに記載のウレタン発泡成形用補強基布。
【請求項7】
請求項1〜6記載のウレタン発泡成形用補強基布を用いて、該基布内にウレタン樹脂液を浸透させ、発泡して、ポリウレタンフオームを補強一体化せしめたことを特徴とする発泡成形体。

【公開番号】特開2009−167570(P2009−167570A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−9425(P2008−9425)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【Fターム(参考)】