説明

エアゾール容器のガス抜き機構

【課題】 内容物がまだ残っている時には、オーバーキャップが噴出ヘッドを押下げることがなく確実に使用でき、使用済みエアゾール容器の残留ガスを抜き取る時には、オーバーキャップの一部を外した後にエアゾール容器の上部に装着し、残留ガスを抜き取るようにしたエアゾール容器のガス抜き機構を提供すること。
【解決手段】 噴出ヘッドを装着したエアゾール容器にオーバーキャップを装着した内容物噴出容器であって、エアゾール容器は、肩部上端に係合環を形成したマウンテンカップを具えており、オーバーキャップは、押下げキャップと、該押下げキャップを分離可能とした係合キャップとからなり、押下げキャップを係合キャップから外した後、押下げキャップをエアゾール容器に装着することにより、噴出ヘッドの押下げ状態を維持するようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器、とくに使用後における容器内の残留ガス抜き取り機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
噴出ヘッドを装着したエアゾール容器に、噴出ヘッドを保護するオーバーキャップを装着した内容物噴出容器において、使用済みエアゾール容器の残留ガスを抜き取るために、エアゾール容器に装着した肩カバーを取外し、オーバーキャップをエアゾール容器に直接装着することで噴出ヘッドを押下げ位置に維持して残留ガスを抜き取るようにした内容物噴出容器は、従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、使用済みエアゾール容器の残留ガスを抜き取るために、オーバーキャップの中央に装着したボタンカップを押下げ、噴出ヘッドを押下げ位置に維持して残留ガスを抜き取るようにした内容物噴出容器は、従来より知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−2154号公報
【特許文献1】特開2001−55284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の内容物噴出容器では、内容物がまだ残っている時に、肩カバーが外れてしまうと、オーバーキャップをエアゾール容器に装着して使用することができなくなるという問題もあった。
上記特許文献2記載の内容物噴出容器でも、内容物がまだ残っている時に、ボタンカップを押下げると噴出ヘッドが押下げられ、内容物が無駄に噴出してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、内容物噴出容器として、内容物がまだ残っている時には、オーバーキャップが噴出ヘッドを押下げることがなく確実に使用でき、使用済みエアゾール容器の残留ガスを抜き取る時には、オーバーキャップの一部を外した後にエアゾール容器の上部に装着し、残留ガスを抜き取るようにしたエアゾール容器のガス抜き機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、エアゾール容器のガス抜き機構として、噴出ヘッドを装着したエアゾール容器にオーバーキャップを装着した内容物噴出容器であって、エアゾール容器は、肩部上端に係合環を形成したマウンテンカップを具えており、オーバーキャップは、押下げキャップと、該押下げキャップを分離可能とした係合キャップとからなり、押下げキャップを係合キャップから外した後、押下げキャップをエアゾール容器に装着することにより、噴出ヘッドの押下げ状態を維持するようにしたことを特徴とする構成を採用する。
【0007】
ガス抜き機構の組立のために、エアゾール容器は、肩部下端に係合部を具えており、押下げキャップは、係合筒の下端にマウンテンカップの係合環に係合する嵌合突条が設けられ、係合キャップは、外筒の下端に、前記肩部下部の係合部に係合する嵌合突条が設けられていることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
ガス抜き機構の具体的な実施例として、押下げキャップは、頂壁と、頂壁下面に垂設された係合筒とを具え、係合筒の内周には、指掛片が配設され、下端には、エアゾール容器のマウンテンカップの係合環に係合する嵌合突部が設けられ、外周には、所定の位置に係合突部が配設され、係合キャップは、上壁と、内筒と外筒とを具え、内筒は、押下げキャップの係合筒の外周に係合する上部筒と、下部筒とを具え、上部筒の下部には、押下げキャップの係合突部に係合する係合溝部が穿設され、下部筒の下端には、エアゾール容器のマウンテンカップの係合環に係合する係合突部が設けられ、押下げキャップを係合キャップに対して廻動させ、押下げキャップの係合筒の係合突部と、係合キャップの内筒の上部筒の係合溝部との係合を外して、押下げキャップを係合キャップから外せるようにしたことを特徴とする構成、或いは、係合キャップの内筒の下部筒の下端に代え、係合キャップの外筒の下端にエアゾール容器の肩部下部に設けた係合部に係合する嵌合突部を設けたことを特徴とする構成を採用する。
【0009】
ガス抜き機構の他の実施例として、押下げキャップは、頂壁と、頂壁に垂設された押下げ筒と、頂壁の下面に垂設されるとともに、下端から延びる切込み部を複数設けた係合筒とを具え、係合筒の下端には、エアゾール容器のマウンテンカップの係合環に係合する嵌合突部が設けられ、係合キャップは、上壁と、内筒と外筒とを具え、上壁は、リング状の外上壁部と、内上壁部とを具え、外上壁部と内上壁部は、切断可能な複数のブリッジにより連設され、内上壁部には、押下げキャップの押下げ筒外周と嵌合する嵌合孔が穿設され、内筒の下端には、エアゾール容器のマウンテンカップの係合環に係合する係合突部が設けられ、押下げキャップを係合キャップに対して廻動させ、係合キャップの上壁のブリッジを切断し、係合キャップの上壁の内上壁部が押下げキャップとともに外上壁部から外れ、押下げキャップを係合キャップから外すようにしたことを特徴とする構成、或いは、係合キャップの内筒の下端に代え、係合キャップの外筒の下端にエアゾール容器の肩部下端に設けた係合部に係合する嵌合突部を設けたことを特徴とする構成を採用する。
【0010】
ガス抜き機構の他の実施例として、噴出ヘッドを装着したエアゾール容器にオーバーキャップを装着した内容物噴出容器であって、エアゾール容器は、肩部上端に係合環を形成したマウンテンカップを具えており、オーバーキャップは、押下げキャップと、該押下げキャップを分離可能とした係合キャップとからなり、押下げキャップは、頂壁と、頂壁の下面に垂設された押下げ筒と、頂壁の外縁に連設された外筒部とを具え、係合キャップは、内上壁と、内上壁の下面外縁に垂設される内筒と、内上壁の外縁に切断可能な複数のブリッジを介して連設されるリング状の外上壁と、外上壁の外縁に連設された外筒とを具え、内上壁の中央には、押下げキャップの押下げ筒と嵌合する嵌合孔が穿設され、内筒の下端には、エアゾール容器のマウンテンカップの係合環に係合する嵌合突部が設けられ、外筒の下端には、エアゾール容器のマウンテンカップの係合環、または肩部下部に設けた係合部に係合する係合突部が設けられ、押下げキャップの押下げ筒の外周に嵌合した係合キャップの内上壁を、ブリッジを切断して係合キャップの外上壁から切り離し、押下げキャップと内上壁をエアゾール容器の係合環に装着することにより、噴出ヘッドの押下げ状態を維持するようにしたことを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0011】
噴出ヘッドを装着したエアゾール容器にオーバーキャップを装着した内容物噴出容器において、オーバーキャップを、押下げキャップと係合キャップとから形成し、エアゾール容器のガス抜きの際、係合キャップに対して押下げキャップを廻動させ、押下げキャップを係合キャップから外した後、押下げキャップをエアゾール容器の係合環に装着することにより、押下げキャップが噴出ヘッドの押下げ状態を維持できるようにしたので、エアゾール容器のガス抜きが、簡単にかつ確実に行われるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の噴出容器について、実施例をあげ、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
図1において、Aはエアゾール容器、Bはエアゾール容器Aに装着された噴出ヘッド、Cはエアゾール容器Aに装着されたオーバーキャップである。
【0014】
エアゾール容器Aは、金属製、または合成樹脂製であり、胴部1と、胴部1上端から内側上方に傾斜する肩部2と、肩部2上端に連設されたマウンテンカップ3とを具備している。
マウンテンカップ3は、上部に係合環4を形成し、内方中央には、上端にステム5を突出したエアゾールバルブが取着されている。
【0015】
噴出ヘッドBは、合成樹脂によって成形され、エアゾール容器Aのステム5に装着されており、頂壁10と、頂壁10外縁に垂設され、噴出孔11を配設した側周壁12とを具えており、頂壁10は、噴出孔11の側を高くした傾斜面からなっている。
【0016】
図1、2に示すように、オーバーキャップCは、合成樹脂によって成形され、押下げキャップC1と、係合キャップC2とからなっている。
押下げキャップC1は、頂壁15と、頂壁15の下面に垂設された係合筒16とを具えており、頂壁周縁には、嵌合リング15aが垂設されている。
係合筒16の内周には、上部の所定の位置に、頂壁15下面から垂設される指掛片17が配設され、下端に、エアゾール容器Aのマウンテンカップ3の係合環4外周に係合する嵌合突部18が設けられている。
係合筒16の外周には、所定の位置に係合突部19が配設されている。
【0017】
押下げキャップC1の係合筒16内周下部には、押下げキャップC1内から外に通じる空気の流路が、縦溝など(図示しない)により設けられている。
【0018】
係合キャップC2は、押下げキャップC1の頂壁15下面に当接し、嵌合リング15aと係合する嵌合リング20aを立設した上壁20と、上壁20の内縁に垂設された内筒21と、上壁20の外縁に垂設された外筒22とを具えている。
内筒21は、押下げキャップC1の係合筒16の外周に係合する上部筒23と、上部筒23の内周下端より段部24を介して縮径されて形成される下部筒25とを具えている。
【0019】
上部筒23の下部には、図2、図3(a)に示すように、押下げキャップC1の係合筒16の外周の所定の位置に配設した係合突部19に係合する一定巾の係合溝部26が穿設されている。
下部筒25の内周下端には、エアゾール容器Aのマウンテンカップ3の係合環4外周に係合する係合突部27が設けられている。
【0020】
次に、本実施例の噴出容器の使用態様と、作用効果について説明する。
噴出容器の組立は、まず、係合キャップC2の内筒21内に上方より押下げキャップC1の係合筒16を挿入し、内筒21の係合溝部26に係合筒16の外周に配設した係合突部19を係合させるとともに、押下げキャップC1の頂壁15周縁の嵌合リング15aと係合キャップC2の上壁20上面の嵌合リング20aを係合させて、押下げキャップC1を係合キャップC2に装着したオーバーキャップCを形成する。
【0021】
次に、ステム5に噴出ヘッドBを装着したエアゾール容器Aの上方にオーバーキャップCを被せ、エアゾール容器Aのマウンテンカップ3の係合環4に係合キャップC2の内筒21の下部筒25下端の係合突部27を係合させることで、エアゾール容器Aの上部にオーバーキャップCを装着し、閉蓋した噴出容器を得ることができる。
【0022】
噴出容器の使用にあたっては、係合キャップC2の外筒22を把持してオーバーキャップCをエアゾール容器Aから上方に引張って開蓋し、噴出ヘッドBを押下げ操作すると、内容物を噴出孔11から噴出させることができる。
【0023】
内容物を全て使用し、エアゾール容器Aを廃棄する際には、エアゾール容器A内の残留ガスの抜き取りを行う。
残留ガスの抜き取りは、まず、オーバーキャップCをエアゾール容器Aから取外し、押下げキャップC1の内方の指掛片17に指などを掛け、係合キャップC2に対し押下げキャップC1を廻動させる。
【0024】
廻動させることで、図3(b)に示すように、押下げキャップC1の係合筒16に配設した係合突部19と係合キャップC2の内筒21の係合溝部26の係合が外れるとともに、係合突部19の側周が内筒21の上部筒23内周面に当接して、内筒21は一部を変形させられる。
【0025】
係合キャップC2の内筒21の一部を変形したまま、押下げキャップC1を下方から押し上げると、係合キャップC2の内筒21内から押下げキャップC1が上方に摺動し、最後は外れる。
【0026】
次に、押下げキャップC1を直接エアゾール容器Aの上方に被せ、エアゾール容器Aのマウンテンカップ3の係合環4外周に押下げキャップC1の係合筒16の嵌合突部18を係合させて装着し、閉蓋する。
【0027】
エアゾール容器Aの上部に押下げキャップC1を装着すると、図4に示すように、押下げキャップC1の頂壁15の下面が噴出ヘッドBの頂壁10上面に当接し、噴出ヘッドBを一定の位置まで押下げ、残留ガスの抜き取りが行われる。
残留ガスは、噴出ヘッドBの噴出孔11から押下げキャップC1内に噴出され、押下げキャップC1に設けた空気の流路を通り、エアゾール容器A外に排出される。
【0028】
押下げキャップC1の係合筒16の嵌合突部18と、エアゾール容器Aのマウンテンカップ3の係合環4との係合が維持され、そのまま放置するだけで、ガスの抜き取りが継続され、エアゾール容器A内の残留ガスや内容物は完全に抜き取られ、エアゾール容器Aを安全に廃棄することができる。
また、エアゾール容器A内の残留ガスや内容物を完全に抜き取り後、エアゾール容器Aから押下げキャップC1を取外し、分別廃棄することもできる。
【0029】
上記実施例では、係合キャップC2の内筒21の内周下端に設けた係合突部27と、エアゾール容器Aのマウンテンカップ3の係合環4外周とを係合させて、エアゾール容器Aの上部にオーバーキャップCを装着して閉蓋したが、変形実施例として、図5に示すように、エアゾール容器Aの肩部2の外縁に係合部2aを設け、係合キャップC2の外筒22の内周下端に肩部2の外縁に設けた係合部2aに係合する係合突条22aを設けて、エアゾール容器Aの上部にオーバーキャップCを装着し、閉蓋するように係合キャップC2を形成してもよい。
【0030】
係合キャップC2の外筒22の内周下端に係合突条22aを設ける場合には、内筒21の下部筒25は必要としないので、係合キャップC2の成形が簡単なものとなる。
オーバーキャップの係合キャップをエアゾール容器に装着させる構成は、上記実施例の形態に限定されない。
【実施例2】
【0031】
次に、オーバーキャップの押下げキャップと係合キャップとの装着方法を変えた第2実施例について説明する。
本実施例の第1実施例と同一の構成部分には、同一の符号を付して図示し、詳しい説明を省略する。
【0032】
図6において、Aはエアゾール容器、Bはエアゾール容器Aに装着された噴出ヘッド、Caはエアゾール容器Aに装着されたオーバーキャップである。
【0033】
図6、7に示すように、オーバーキャップCaは、合成樹脂によって成形され、押下げキャップCa1と、係合キャップCa2とからなっている。
押下げキャップCa1は、頂壁30と、頂壁30の下面中央に垂設された押下げ筒31と、頂壁30の下面に垂設されるとともに、下端から延びる切込み部32を所定の位置に複数設けた係合筒33と、頂壁30の外縁に連設された外筒部34とを具えている。
【0034】
押下げ筒31の外周には、嵌合部35が設けられている。
係合筒33の外周下端には、エアゾール容器Aのマウンテンカップ3の係合環4内周に係合する嵌合突部36が設けられている。
【0035】
図7に示すように、係合キャップCa2は、押下げキャップCa1の頂壁30の下面に上面が係合する上壁40と、上壁40の下面に垂設された内筒41と、上壁40の外縁に押下げキャップCa1の外筒部34と係合する段部42を介して連設された外筒43とを具えている。
【0036】
上壁40は、所定の位置に押下げキャップのCa1の係合筒33が挿入するように形成された嵌挿部44が穿設され、嵌挿部44により、リング状の外上壁部45と、外上壁部45内縁に連設された内上壁部46が形成されている。
外上壁部45と内上壁部46は、嵌挿部44内で、押下げキャップCa1の係合筒33に設けた切込み部32に適合する位置に設けられた切断可能な複数のブリッジ47により連設されている。
内上壁部46の中央には、押下げキャップCa1の押下げ筒31外周および嵌合部35と嵌合する嵌合孔48が穿設されている。
【0037】
内筒41の内周下端には、エアゾール容器Aのマウンテンカップ3の係合環4外周に係合する係合突部49が設けられている。
【0038】
次に、本実施例の噴出容器の使用態様と、作用効果について説明する。
噴出容器の組立は、まず、押下げキャップCa1の係合筒33を係合キャップCa2の上壁40の嵌挿部44に上方より挿通させる。
その際、押下げキャップCa1の係合筒33に設けた切込み部32内に、係合キャップCa2の嵌挿部44内に設けたブリッジ47が挿入されていく。
【0039】
次に、押下げキャップCa1の押下げ筒31を、係合キャップCa2の上壁40の内上壁部46の嵌合孔48に挿入し、嵌合させるとともに、押下げキャップCa1の頂壁30下面と係合キャップCa2の上壁40上面、および、押下げキャップCa1の外筒部34と係合キャップCa2の段部42を係合させて、押下げキャップCa1を係合キャップCa2に装着したオーバーキャップCaが得られる。
【0040】
次に、ステム5に噴出ヘッドBを装着したエアゾール容器Aの上方にオーバーキャップCaを被せ、エアゾール容器Aのマウンテンカップ3の係合環4外周に係合キャップCa2の内筒41の係合突部49を係合させ、エアゾール容器Aの上部にオーバーキャップCaを装着し、閉蓋した噴出容器を得ることができる。
【0041】
噴出容器の使用にあたっては、係合キャップCa2の外筒43を把持してオーバーキャップCaをエアゾール容器Aから上方に引張って開蓋し、噴出ヘッドBを押下げ操作して、内容物を噴出孔11から噴出させることができる。
【0042】
全内容物の使用後、エアゾール容器A内の残留ガスの抜き取りは、まず、押下げキャップCa1の外筒部34の外周を把持し、係合キャップCa2に対し押下げキャップCa1を廻動させ、その廻動により、押下げキャップCa1の係合筒33に設けた切込み部32内に係合している係合キャップCa2の嵌挿部44内のブリッジ47が、切込み部32の廻動により切断され、係合キャップCa2の上壁40は、内上壁部46が外上壁部45から外される。
【0043】
内上壁部46が外れた状態で、押下げキャップCa1を外筒部34をつかんで上方に持ち上げると、押下げキャップCa1は、押下げ筒31に嵌合された内上壁部46とともに係合キャップCa2より外される。
【0044】
次に、押下げキャップCa1を直接エアゾール容器Aの上方に被せ、エアゾール容器Aのマウンテンカップ3の係合環4の内側に押下げキャップCa1の係合筒33の嵌合突部36を係合させて装着する。
【0045】
エアゾール容器Aの上部に押下げキャップCa1を装着すると、図8に示すように、押下げキャップCa1の押下げ筒31の下端面が噴出ヘッドBの頂壁10上面に当接し、噴出ヘッドBを一定の位置まで押下げ、残留ガスの抜き取りが行われる。
残留ガスは、噴出ヘッドBの噴出孔11から押下げキャップCa1内に噴出され、押下げキャップCa1の切込み部32を通り、エアゾール容器A外に排出される。
その他、第1実施例と同一の作用効果を得ることができる。
【0046】
上記実施例では、係合キャップCa2の内筒41の内周下端に設けた係合突部49を設けたが、実施例1と同様に、エアゾール容器Aの肩部2の外縁に係合部を設け、係合キャップCa2の外筒43の内周下端に、肩部2の外縁に設けた係合部に係合する係合突条を設けて、エアゾール容器Aの上部にオーバーキャップCaを装着し、閉蓋するように係合キャップを形成してもよい。
【0047】
係合キャップCa2の外筒43の内周下端に係合突条を設けるのであれば、内筒41は必要としないので、係合キャップCa2の成形が簡単なものとなる。
オーバーキャップの係合キャップをエアゾール容器に装着させる構成は、上記実施例の形態に限定されない。
【実施例3】
【0048】
次に、オーバーキャップの押下げキャップと係合キャップとの装着方法を変えた第3実施例について説明する。
本実施例の第1実施例と同一の構成部分には、同一の符号を付して図示し、詳しい説明を省略する。
【0049】
図9において、Aはエアゾール容器、Bはエアゾール容器Aに装着された噴出ヘッド、Cbはエアゾール容器Aに装着されたオーバーキャップである。
【0050】
図9、10に示すように、オーバーキャップCbは、合成樹脂によって成形され、押下げキャップCb1と、係合キャップCb2とからなっている。
押下げキャップCb1は、頂壁50と、頂壁50の下面中央に垂設された押下げ筒51と、頂壁50の外縁に連設された外筒部52とを具えている。
押下げ筒51の外周には、嵌合部53が設けられている。
【0051】
係合キャップCb2は、内上壁55と、内上壁55の下面外縁に垂設される内筒56と、内上壁55の外縁に、切断可能な複数のブリッジ57を介して連設されるリング状の外上壁58と、外上壁58の外縁に押下げキャップCb1の外筒部52と係合する段部59を介して連設された外筒60とを具えている。
【0052】
内上壁55の中央には、押下げキャップCb1の押下げ筒51外周および嵌合部53と嵌合する嵌合孔61が穿設されている。
内筒56の外周下端には、エアゾール容器Aのマウンテンカップ3の係合環4内周に係合する嵌合突部62が設けられている。
外筒60の内周下端には、エアゾール容器Aのマウンテンカップ3の係合環4外周に係合する係合突部63が設けられている。
【0053】
次に、本実施例の噴出容器の使用態様と、作用効果について説明する。
噴出容器の組立は、まず、押下げキャップCb1の押下げ筒51を係合キャップCb2の内上壁55の嵌合孔61に挿入し、嵌合させるとともに、押下げキャップCb1の頂壁51下面と係合キャップCb2の内上壁55と外上壁58の上面、および、押下げキャップCb1の外筒部52と係合キャップCb2の段部59を係合させて、押下げキャップCb1を係合キャップCb2に装着したオーバーキャップCbが得られる。
【0054】
次に、ステム5に噴出ヘッドBを装着したエアゾール容器Aの上方にオーバーキャップCbを被せ、エアゾール容器Aのマウンテンカップ3の係合環4外周に係合キャップCb2の外筒60の係合突部63を係合させ、エアゾール容器Aの上部にオーバーキャップCbを装着し、閉蓋した噴出容器を得ることができる。
【0055】
噴出容器の使用にあたっては、係合キャップCb2の外筒60を把持してオーバーキャップCbをエアゾール容器Aから上方に引張って開蓋し、噴出ヘッドBを押下げ操作して、内容物を噴出孔11から噴出させることができる。
【0056】
残留ガスの抜き取りは、まず、押下げキャップCb1の外筒部52の外周を把持し、係合キャップCb2に対し押下げキャップCb1を廻動させるか、または引っ張り上げる。
【0057】
押下げキャップCb1を廻動させるか、または、引っ張り上げると、押下げキャップCb1の押下げ筒51の外周に嵌合した係合キャップCb2の内上壁55が、外上壁58に対して押下げキャップCb1とともに廻動、または、引っ張り上げられることで、ブリッジ57が切断され、係合キャップCb2の内上壁58および内筒56は、外上壁部58から押下げキャップCb1とともに外され、図11に示すように、係合キャップCb2の内上壁58および内筒56と押下げキャップCb1が嵌合した押下げ部材Dが形成される。
【0058】
次に、残りの係合キャップCb2をエアゾール容器Aから外した後、押下げ部材Dをエアゾール容器Aの上方に被せ、エアゾール容器Aのマウンテンカップ3の係合環4の内側に内筒56の嵌合突部62を係合させて装着する。
【0059】
エアゾール容器Aの上部に、押下げ部材Dの内筒56を装着すると、押下げキャップCb1の押下げ筒51の下端面が噴出ヘッドBの頂壁10上面に当接し、噴出ヘッドBを一定の位置まで押下げ、残留ガスの抜き取りが行われる。
その他、第1実施例と同一の作用効果を得ることができる。
【0060】
上記実施例では、エアゾール容器Aの肩部2の外縁に係合部を設け、係合キャップCb2の外筒60の係合突部63がエアゾール容器Aの肩部2の係合部に係合して、閉蓋するようにオーバーキャップCbの側部を形成してもよく、オーバーキャップの係合キャップをエアゾール容器に装着させる構成は、上記実施例の形態に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、押下げキャップと係合キャップとからなるオーバーキャップの押下げキャップを係合キャップに対して回転させることで取外し、押下げキャップのみをエアゾール容器の上部に装着することで残留ガスの抜き取りができるので、種々のエアゾール容器のガス抜き機構として広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1実施例の噴出容器の断面立面図である。
【図2】オーバーキャップの説明図で、(a)は断面立面図、(b)は下面図である。
【図3】オーバーキャップの図2(a)のA−A線における切断下面図で、(a)は押下げキャップ装着時、(b)は押下げキャップ回転時の図である。
【図4】押下げキャップをエアゾール容器に直接装着した時の断面立面図である。
【図5】変形実施例の断面立面図である。
【図6】本発明の第2実施例の噴出容器の断面立面図である。
【図7】オーバーキャップの説明図で、(a)は押下げキャップと係合キャップとの断面立面分解図、(b)は下面図である。
【図8】押下げキャップをエアゾール容器に直接装着した時の断面立面図である。
【図9】本発明の第3実施例の噴出容器の断面立面図である。
【図10】オーバーキャップの説明図で、(a)は押下げキャップと係合キャップとの断面立面分解図、(b)は下面図である。
【図11】押下げ部材をエアゾール容器に直接装着した時の断面立面図である。
【符号の説明】
【0063】
A エアゾール容器
B 噴出ヘッド
C、Ca、Cb オーバーキャップ
C1、Ca1、Cb1 押下げキャップ
C2、Ca2、Cb2 係合キャップ
D 押下げ部材
1 胴部
2 肩部
2a 係合部
3 マウンテンカップ
4 係合環
5 ステム
10、15、30、50 頂壁
11 噴出孔
12 側周壁
16、33 係合筒
17 指掛片
18、36、62 嵌合突部
19、27、49、63 係合突部
20、40 上壁
21、41、56 内筒
22、43、60 外筒
23 上部筒
24、42、59 段部
25 下部筒
26 係合溝部
31、51 押下げ筒
32 切込み部
34、52 外筒部
35、53 嵌合部
44 嵌挿部
45 外上壁部
46 内上壁部
47、57 ブリッジ
48、61 嵌合孔
55 内上壁
58 外上壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴出ヘッドを装着したエアゾール容器にオーバーキャップを装着した内容物噴出容器であって、
エアゾール容器は、肩部上端に係合環を形成したマウンテンカップを具えており、
オーバーキャップは、押下げキャップと、該押下げキャップを分離可能とした係合キャップとからなり、
押下げキャップを係合キャップから外した後、押下げキャップをエアゾール容器に装着することにより、噴出ヘッドの押下げ状態を維持するようにしたことを特徴とするエアゾール容器のガス抜き機構。
【請求項2】
エアゾール容器は、肩部下端に係合部を具えており、
押下げキャップは、係合筒の下端にマウンテンカップの係合環に係合する嵌合突条が設けられ、
係合キャップは、外筒の下端に、前記肩部下部の係合部に係合する嵌合突条が設けられていることを特徴とする請求項1記載のエアゾール容器のガス抜き機構。
【請求項3】
押下げキャップは、頂壁と、頂壁下面に垂設された係合筒とを具え、
係合筒の内周には、指掛片が配設され、下端には、エアゾール容器のマウンテンカップの係合環に係合する嵌合突部が設けられ、外周には、所定の位置に係合突部が配設され、
係合キャップは、上壁と、内筒と外筒とを具え、
内筒は、押下げキャップの係合筒の外周に係合する上部筒と、下部筒とを具え、
上部筒の下部には、押下げキャップの係合突部に係合する係合溝部が穿設され、
下部筒の下端には、エアゾール容器のマウンテンカップの係合環に係合する係合突部が設けられ、
押下げキャップを係合キャップに対して廻動させ、押下げキャップの係合筒の係合突部と、係合キャップの内筒の上部筒の係合溝部との係合を外して、押下げキャップを係合キャップから外せるようにしたことを特徴とする請求項1記載のエアゾール容器のガス抜き機構。
【請求項4】
請求項3記載のエアゾール容器のガス抜き機構において、
係合キャップの内筒の下部筒の下端に代え、係合キャップの外筒の下端にエアゾール容器の肩部下部に設けた係合部に係合する嵌合突部を設けたことを特徴とする請求項3記載のエアゾール容器のガス抜き機構。
【請求項5】
押下げキャップは、頂壁と、頂壁に垂設された押下げ筒と、頂壁の下面に垂設されるとともに、下端から延びる切込み部を複数設けた係合筒とを具え、
係合筒の下端には、エアゾール容器のマウンテンカップの係合環に係合する嵌合突部が設けられ、
係合キャップは、上壁と、内筒と外筒とを具え、
上壁は、リング状の外上壁部と、内上壁部とを具え、
外上壁部と内上壁部は、切断可能な複数のブリッジにより連設され、
内上壁部には、押下げキャップの押下げ筒外周と嵌合する嵌合孔が穿設され、
内筒の下端には、エアゾール容器のマウンテンカップの係合環に係合する係合突部が設けられ、
押下げキャップを係合キャップに対して廻動させ、係合キャップの上壁のブリッジを切断し、係合キャップの上壁の内上壁部が押下げキャップとともに外上壁部から外れ、押下げキャップを係合キャップから外すようにしたことを特徴とする請求項1記載のエアゾール容器のガス抜き機構。
【請求項6】
請求項5記載のエアゾール容器のガス抜き機構において、
係合キャップの内筒の下端に代え、係合キャップの外筒の下端にエアゾール容器の肩部下端に設けた係合部に係合する嵌合突部を設けたことを特徴とする請求項5記載のエアゾール容器のガス抜き機構。
【請求項7】
噴出ヘッドを装着したエアゾール容器にオーバーキャップを装着した内容物噴出容器であって、
エアゾール容器は、肩部上端に係合環を形成したマウンテンカップを具えており、
オーバーキャップは、押下げキャップと、該押下げキャップを分離可能とした係合キャップとからなり、
押下げキャップは、頂壁と、頂壁の下面に垂設された押下げ筒と、頂壁の外縁に連設された外筒部とを具え、
係合キャップは、内上壁と、内上壁の下面外縁に垂設される内筒と、内上壁の外縁に切断可能な複数のブリッジを介して連設されるリング状の外上壁と、外上壁の外縁に連設された外筒とを具え、
内上壁の中央には、押下げキャップの押下げ筒と嵌合する嵌合孔が穿設され、
内筒の下端には、エアゾール容器のマウンテンカップの係合環に係合する嵌合突部が設けられ、
外筒の下端には、エアゾール容器のマウンテンカップの係合環、または肩部下部に設けた係合部に係合する係合突部が設けられ、
押下げキャップの押下げ筒の外周に嵌合した係合キャップの内上壁を、ブリッジを切断して係合キャップの外上壁から切り離し、
押下げキャップと内上壁をエアゾール容器の係合環に装着することにより、噴出ヘッドの押下げ状態を維持するようにしたことを特徴とするエアゾール容器のガス抜き機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−114863(P2008−114863A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297158(P2006−297158)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】