エアゾール容器
【課題】残ガスを確実に、かつ手軽に放散させることができ、かつ部品点数が少なく、組み付けが容易で、廃棄するにあたり分離が簡易な肩カバー付きのエアゾール容器を提供すること。
【解決手段】注出管を押下すると内容物を噴出させるエアゾール缶と、注出管に組み付けられ噴射口から内容物を噴射させる噴射ボタンと、エアゾール缶に組み付けられる肩カバーと、肩カバーに取り付けられるオーバーキャップとからなるエアゾール容器において、オーバーキャップはエアゾール缶の上部外周に組み付け可能で、オーバーキャップをエアゾール缶の上部外周に組み付けると、噴射口から内容物を噴出させる位置まで噴射ボタンが押下されるようにエアゾール容器を構成した。
また肩カバーと噴射ボタンを、破断可能な第一連結片で連結して一体に成形し、肩カバーをエアゾール缶に組み付けると噴射ボタンが注出管に組みつけられるとともに肩カバーから噴射ボタンが分離されるようにエアゾール容器を構成した。
【解決手段】注出管を押下すると内容物を噴出させるエアゾール缶と、注出管に組み付けられ噴射口から内容物を噴射させる噴射ボタンと、エアゾール缶に組み付けられる肩カバーと、肩カバーに取り付けられるオーバーキャップとからなるエアゾール容器において、オーバーキャップはエアゾール缶の上部外周に組み付け可能で、オーバーキャップをエアゾール缶の上部外周に組み付けると、噴射口から内容物を噴出させる位置まで噴射ボタンが押下されるようにエアゾール容器を構成した。
また肩カバーと噴射ボタンを、破断可能な第一連結片で連結して一体に成形し、肩カバーをエアゾール缶に組み付けると噴射ボタンが注出管に組みつけられるとともに肩カバーから噴射ボタンが分離されるようにエアゾール容器を構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、残ガスの放出と、廃棄時の取り外し作業を容易としたエアゾール容器に関する。
【背景技術】
【0002】
エアゾール容器は、内部に内容物と噴射用のガスを収納し、上部に組み付けられた噴射ボタンを押下すると、ガスの圧力を利用して噴射口から内容物が噴射される。通常かかるエアゾール容器は、内容物が注出された後も噴射用のガスが内部に残るようにガスの方が多く注入してあり、廃棄するにあたっては、内部に残存するガス成分を完全に外部に放出させる必要がある。
【0003】
従来残ガスを外部に放散させる方法としては、容器に直接孔を空けたり、容器にバルブを押圧するバルブボタンを取り付けてバルブを開放させる発明などが知られていた。
【0004】
またエアゾール容器には、上部外周に肩カバーを設け、露出した金属端面などから指を保護したり、外観を向上させたり、あるいはオーバーキャップの組み付け具合を快適にさせるなどの工夫がなされることがある。
【0005】
【特許文献1】特開2002−12276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら噴射用ガスを収納したエアゾール缶は通常金属製であるので、先の尖った工具をエアゾール缶に打ち込むなど孔を空けるのに手間がかかっていた。また孔を空けた瞬間に缶内に残っていた残ガスが一時に噴出し、手元が不安定になったり、空けた際の切くずが顔や目に飛んでくる恐れがあった。また容器にバルブボタンを取り付けて残ガスを放出させる場合には、すべての容器にバルブボタンを別途取り付ける必要があり、コストがかかることとなっていた。
【0007】
また廃棄時には、金属製のエアゾール缶と樹脂製の肩カバーや噴射ボタンを分離する必要がある。ところが肩カバーは、本来引っかかりが少なくなるように形成してあることからつかみ難く、加えて不用意に抜け出ないよう比較的強固に組み付けてあるため、肩カバーをエアゾール缶から取り外すことは容易でなかった。
【0008】
更に肩カバーを組み付けたエアゾール容器の場合、構成する部品点数が増加し、部品の製造や部品の組み付け工程に手間がかかりコストの上昇を招いていた。
【0009】
本発明は、残ガスを確実に、かつ手軽に放散でき、廃棄するにあたり樹脂成分の分離が簡易で、しかも部品点数が少なく、組み付けが容易な肩カバー付きのエアゾール容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1、内容物が噴射用ガスとともに収納されたエアゾール缶と、エアゾール缶の注出管に組み付けられ、注出管を押下して内容物を噴出させる噴射ボタンと、エアゾール缶の上部外周に組み付けられる肩カバーと、肩カバーに着脱自在に組み付けられるオーバーキャップとからなるエアゾール容器において、オーバーキャップは、エアゾール缶の上部外周に組み付け可能で、エアゾール缶の上部外周にオーバーキャップを組み付けると、噴射ボタンを内容物を噴出させる位置まで押下するように形成した。
【0011】
オーバーキャップをエアゾール缶の上部外周に直接組み付けたときの組付け力は、噴射ボタンを押下して、連続して残ガスを噴射させるに十分な組付け力である。オーバーキャップは、噴射ボタンをその頂壁内面を直接接触させて押下するのみでなく、オーバーキャップの頂壁内面などに噴射ボタンを押下させる部材を予め形成し、それにより噴射ボタンを押下させてもよい。
【0012】
2、1に記載のエアゾール容器において、オーバーキャップは、エアゾール缶の上部外周に、オーバーキャップを肩カバーに組み付けたときより大きい組付け力で組み付けられるようにした。組付け力の変更は、例えば肩カバーとエアゾール缶上部の外径を異ならせたり、組付け形状を変更するなどして行う。尚、残ガスをオーバーキャップの外に放出するための孔などをオーバーキャップに設けてもよい。
【0013】
3、1または2に記載のエアゾール容器において、肩カバーは、エアゾール缶の上部外周に組み付けられる外環体と、外環体の内側にあってつまみ片を具えた内環体とからなり、更につまみ片に対向した位置に外環体と内環体を分離不能に連結するヒンジを具え、かつつまみ片周辺に外環体と内環体を分離可能に連結する第一連結片を具えて構成した。
【0014】
第一連結片は、つまみ片を引き上げる動作により破断される強度に形成してある。ヒンジは、つまみ片あるいは内環体を持って外環体を引き上げた際、外環体をエアゾール缶から引き抜くに十分な強度に形成してある。ヒンジとつまみ片は、肩カバーの中心を挟んで対向した位置に設けるのが好ましいが、対向した位置からずれた位置にそれぞれを設けてもよい。
【0015】
4、1〜3のいずれかに記載のエアゾール容器において、肩カバーと噴射ボタンは、第一連結片より破断強度が低い第二連結片で分離可能に、かつ一体に連結され、肩カバーをエアゾール缶に組み付けると噴射ボタンが注出管に組み付けられるとともに第二連結片が破断し、肩カバーと記噴射ボタンが分離されるように成形した。
【0016】
この場合噴射ボタンと肩カバーは、肩カバーをエアゾール缶に組付けることにより噴射ボタンがそのまま注出管に組み付けられるように一体に形成するのが好ましく、噴射ボタンが注出管に組み付けられた後、更に肩カバーを引き下げると第二連結片が破断して肩カバーがエアゾール缶に組み付くように形成するのがより好ましい。
【0017】
第二連結片は、第一連結片より先に破断するように形成してある。第二連結片は、肩カバーと噴射ボタンの間に少なくとも一箇所形成されていればよいが、肩カバーを組み付ける観点からは対称位置にあるとよい。更に第2連結片は、噴射ボタンの全周にわたって形成されていてもよい。
【0018】
また第二連結片は、肩カバーをエアゾール缶の上部外周に組み付ける動作によって破断されるのみでなく、肩カバーを組み付けた後、噴射ボタンを押下する動作などを加えて破断させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のエアゾール容器は、次のような効果を有している。
【0020】
肩カバーを具えたことにより、オーバーキャップの取り付け取り外しを適度な操作感覚で行うことができる。
【0021】
肩カバーを取り外したエアゾール缶の上部にオーバーキャップを直接組み付けることにより、噴射ボタンを押下し、別途部品などを必要とすることなく、残ガスをエアゾール缶から容易に、かつ完全に放散できる。
【0022】
エアゾール缶とオーバーキャップとの組付き力を強固にすることにより、通常の使用時には操作感のよいオーバーキャップとして利用し、残ガス放出時には、エアゾール缶に強固に組み付けて、残ガスを確実に放出させることができる。
【0023】
肩カバーのつまみ片を持ち上げることにより、まず内環体を斜めに引き上げ、これに続けて外環体をエアゾール缶から引き抜くことができ、肩カバーをエアゾール缶から容易に取り外すことができる。
【0024】
噴射ボタンと肩カバーを一部品として成形したので、製造コストを低減できる。肩カバーをエアゾール缶の上部に組み付ける動作によって、噴射ボタンを注出管に組み付けることができ、かつ肩カバーと噴射ボタンとを分離できるので、肩カバー付きのエアゾール容器を簡略化した組み付け工程で提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図2に本発明にかかるエアゾール容器1を示す。
【0026】
エアゾール容器1は、エアゾール缶2と、肩カバー4と、噴射ボタン6と、オーバーキャップ8から構成してある。
【0027】
エアゾール缶2は、円筒状の金属製容器からなり、図1に示すように上面に注出管10が設けてあり、注出管10を押下すると図示しない開閉弁が開き、エアゾール缶2の内部に収納されている内容物が揮発性ガスとともに噴出する。
【0028】
肩カバー4と噴射ボタン6は、連結片5(第二連結片)により分離可能に連結され、一体に成形してある。連結片5は、図5に示すように肩カバー4と噴射ボタン6の間に4箇所設けてあり、肩カバー4をエアゾール缶2の肩部11に組み付ける際に容易に破断する。これにより、肩カバー4と噴射ボタン6が分離される。
【0029】
肩カバー4は、図1にも示すように外環体12と内環体14からなり、外環体12と内環体14はヒンジ13と連結片15(第一連結片)で連結されている。ヒンジ13は、ヒンジ13を介して外環体12を引き上げると、破断する以前に外環体12がエアゾール缶2の組付きから外れる強度を有し、連結片15は、連結片5より破断強度は大きいが、適度な引張り力により破断するように形成してある。
【0030】
外環体12は、下筒体16と下筒体16より径が小さい上筒体18からなり、下筒体16の内面にはエアゾール缶2の肩部11に嵌合する突条17が形成してある。上筒体18は上述したようにヒンジ13と連結片15により内環体14と上端で連結し、外周には、オーバーキャップ8の内面と嵌合する突条19が形成してある。
【0031】
内環体14は、ヒンジ15と対向した位置につまみ片20を具え、下端で連結片5により噴射ボタン6の下端と連結している。内環体14の下端は、噴射ボタン6を注出管10に完全に嵌め込んだ状態でも、更に肩カバー4を引き下げなければ外環体12がエアゾール缶2の肩部11に嵌合しない位置となっている。
【0032】
噴射ボタン6は、有頂筒体状の枠体9と、枠体9の中央に設けられた導通管7と、導通管7に連通し、横方向に開口した噴射口22からなり、導通管7は、注出管10に隙間なく嵌合する径で、枠体9の頂壁23に指を置いて押下すると注出管10を押下して内容物を噴射口22から噴射させる。
【0033】
オーバーキャップ8は、肩カバー4の上筒体18に嵌合する内径の樹脂製カバーであり、内面に上筒体18に嵌合させる突条25を有し、上筒体18に嵌合させると噴射ボタン6をカバーする。またオーバーキャップ8は、エアゾール缶2の肩部11に直接嵌合可能で、エアゾール缶2の肩部11に嵌合させると、頂板24が図4に示すように噴射ボタン6を押下し、エアゾール缶2の内容物を放出させる。肩部11は、上筒体18より若干大径に形成してあり、オーバーキャップ8は、上筒体18に嵌合するより強い力で肩部11に嵌合する。
【0034】
このように構成したのでエアゾール容器1は、肩カバー4と噴射ボタン6が一体で成形され、部品の製造工程を低減できる。肩カバー4を肩部11に組み付ける動作で噴射ボタン6を注出管10に嵌合し、しかも連結片5を破断させて肩カバー4から噴射ボタン6を分離できるので作業工程を簡略化できる。
【0035】
エアゾール容器1は、エアゾール缶2の上部に肩カバー4を有しているので外観を良好にでき、またエアゾール缶2のかしめ箇所をカバーして指の傷つきなどを防止できる。更にオーバーキャップ8が適度の力で組み付けられ、適宜取り外して噴射ボタン6から内容物を任意に噴射させることができる。
【0036】
内容物を使い切った後は、オーバーキャップ8を取り外し、図3に示すようにつまみ片20を引き上げることにより連結片15が破断し、斜めに内環体14が持ち上げられ、更に内環体14を持ち上げることによりヒンジ13を介して外環体12が肩部11から引き抜かれる。このように肩カバー4がつまみ片20を具えていることから、容易に肩カバー4をエアゾール缶2から取り外すことができる。
【0037】
そして肩カバー4を肩部11から取り外した後、オーバーキャップ8を肩部11に組み付けると、図4に示すようにオーバーキャップ8は、噴射ボタン6の頂壁23を押下するので、そのままの状態に置くことによりエアゾール缶2に残存している残ガスを完全に放出させることができる。
【0038】
オーバーキャップ8は、肩カバー4とエアゾール缶2の肩部11の双方に組み付けが可能であり、肩カバー4への組み付けは適度な嵌合力で組み付けられ、エアゾール缶2の肩部11への組み付けは肩カバー4への組み付けより強固に組み付けられるので、通常の使い勝手を良好にできるとともに廃棄時には噴射ボタン6を確実に押下して残ガスを完全に放出できる。
【0039】
このようにエアゾール容器1は、特別な器具等を使用することなく、肩カバー4を取り外したエアゾール缶2にオーバーキャップ8を組み付けることにより、エアゾール缶2の内部に残存するガスを確実に放出させることができる。
【0040】
尚上記例では肩カバー4と噴射ボタン6を一体に成形した例について説明したが、本発明は、肩カバー4と噴射ボタン6は一体に成形したものに限るものではなく、個別に成形し、組み付けたものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明にかかるエアゾール容器を示す部分分解断面図である。
【図2】図1のエアゾール容器を示す部分断面図である。
【図3】図1のエアゾール容器を示す部分断面図である。
【図4】図1のエアゾール容器を示す部分断面図である。
【図5】図1のエアゾール容器を示す平面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 エアゾール容器
2 エアゾール缶
4 肩カバー
5 連結片
6 噴射ボタン
7 導通管
8 オーバーキャップ
9 枠体
10 注出管
11 肩部
12 外環体
13 ヒンジ
14 内環体
15 連結片
16 下筒体
17 突条
18 上筒体
19 突条
20 つまみ片
22 噴射口
23、24 頂壁
25 突条
【技術分野】
【0001】
本発明は、残ガスの放出と、廃棄時の取り外し作業を容易としたエアゾール容器に関する。
【背景技術】
【0002】
エアゾール容器は、内部に内容物と噴射用のガスを収納し、上部に組み付けられた噴射ボタンを押下すると、ガスの圧力を利用して噴射口から内容物が噴射される。通常かかるエアゾール容器は、内容物が注出された後も噴射用のガスが内部に残るようにガスの方が多く注入してあり、廃棄するにあたっては、内部に残存するガス成分を完全に外部に放出させる必要がある。
【0003】
従来残ガスを外部に放散させる方法としては、容器に直接孔を空けたり、容器にバルブを押圧するバルブボタンを取り付けてバルブを開放させる発明などが知られていた。
【0004】
またエアゾール容器には、上部外周に肩カバーを設け、露出した金属端面などから指を保護したり、外観を向上させたり、あるいはオーバーキャップの組み付け具合を快適にさせるなどの工夫がなされることがある。
【0005】
【特許文献1】特開2002−12276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら噴射用ガスを収納したエアゾール缶は通常金属製であるので、先の尖った工具をエアゾール缶に打ち込むなど孔を空けるのに手間がかかっていた。また孔を空けた瞬間に缶内に残っていた残ガスが一時に噴出し、手元が不安定になったり、空けた際の切くずが顔や目に飛んでくる恐れがあった。また容器にバルブボタンを取り付けて残ガスを放出させる場合には、すべての容器にバルブボタンを別途取り付ける必要があり、コストがかかることとなっていた。
【0007】
また廃棄時には、金属製のエアゾール缶と樹脂製の肩カバーや噴射ボタンを分離する必要がある。ところが肩カバーは、本来引っかかりが少なくなるように形成してあることからつかみ難く、加えて不用意に抜け出ないよう比較的強固に組み付けてあるため、肩カバーをエアゾール缶から取り外すことは容易でなかった。
【0008】
更に肩カバーを組み付けたエアゾール容器の場合、構成する部品点数が増加し、部品の製造や部品の組み付け工程に手間がかかりコストの上昇を招いていた。
【0009】
本発明は、残ガスを確実に、かつ手軽に放散でき、廃棄するにあたり樹脂成分の分離が簡易で、しかも部品点数が少なく、組み付けが容易な肩カバー付きのエアゾール容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1、内容物が噴射用ガスとともに収納されたエアゾール缶と、エアゾール缶の注出管に組み付けられ、注出管を押下して内容物を噴出させる噴射ボタンと、エアゾール缶の上部外周に組み付けられる肩カバーと、肩カバーに着脱自在に組み付けられるオーバーキャップとからなるエアゾール容器において、オーバーキャップは、エアゾール缶の上部外周に組み付け可能で、エアゾール缶の上部外周にオーバーキャップを組み付けると、噴射ボタンを内容物を噴出させる位置まで押下するように形成した。
【0011】
オーバーキャップをエアゾール缶の上部外周に直接組み付けたときの組付け力は、噴射ボタンを押下して、連続して残ガスを噴射させるに十分な組付け力である。オーバーキャップは、噴射ボタンをその頂壁内面を直接接触させて押下するのみでなく、オーバーキャップの頂壁内面などに噴射ボタンを押下させる部材を予め形成し、それにより噴射ボタンを押下させてもよい。
【0012】
2、1に記載のエアゾール容器において、オーバーキャップは、エアゾール缶の上部外周に、オーバーキャップを肩カバーに組み付けたときより大きい組付け力で組み付けられるようにした。組付け力の変更は、例えば肩カバーとエアゾール缶上部の外径を異ならせたり、組付け形状を変更するなどして行う。尚、残ガスをオーバーキャップの外に放出するための孔などをオーバーキャップに設けてもよい。
【0013】
3、1または2に記載のエアゾール容器において、肩カバーは、エアゾール缶の上部外周に組み付けられる外環体と、外環体の内側にあってつまみ片を具えた内環体とからなり、更につまみ片に対向した位置に外環体と内環体を分離不能に連結するヒンジを具え、かつつまみ片周辺に外環体と内環体を分離可能に連結する第一連結片を具えて構成した。
【0014】
第一連結片は、つまみ片を引き上げる動作により破断される強度に形成してある。ヒンジは、つまみ片あるいは内環体を持って外環体を引き上げた際、外環体をエアゾール缶から引き抜くに十分な強度に形成してある。ヒンジとつまみ片は、肩カバーの中心を挟んで対向した位置に設けるのが好ましいが、対向した位置からずれた位置にそれぞれを設けてもよい。
【0015】
4、1〜3のいずれかに記載のエアゾール容器において、肩カバーと噴射ボタンは、第一連結片より破断強度が低い第二連結片で分離可能に、かつ一体に連結され、肩カバーをエアゾール缶に組み付けると噴射ボタンが注出管に組み付けられるとともに第二連結片が破断し、肩カバーと記噴射ボタンが分離されるように成形した。
【0016】
この場合噴射ボタンと肩カバーは、肩カバーをエアゾール缶に組付けることにより噴射ボタンがそのまま注出管に組み付けられるように一体に形成するのが好ましく、噴射ボタンが注出管に組み付けられた後、更に肩カバーを引き下げると第二連結片が破断して肩カバーがエアゾール缶に組み付くように形成するのがより好ましい。
【0017】
第二連結片は、第一連結片より先に破断するように形成してある。第二連結片は、肩カバーと噴射ボタンの間に少なくとも一箇所形成されていればよいが、肩カバーを組み付ける観点からは対称位置にあるとよい。更に第2連結片は、噴射ボタンの全周にわたって形成されていてもよい。
【0018】
また第二連結片は、肩カバーをエアゾール缶の上部外周に組み付ける動作によって破断されるのみでなく、肩カバーを組み付けた後、噴射ボタンを押下する動作などを加えて破断させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のエアゾール容器は、次のような効果を有している。
【0020】
肩カバーを具えたことにより、オーバーキャップの取り付け取り外しを適度な操作感覚で行うことができる。
【0021】
肩カバーを取り外したエアゾール缶の上部にオーバーキャップを直接組み付けることにより、噴射ボタンを押下し、別途部品などを必要とすることなく、残ガスをエアゾール缶から容易に、かつ完全に放散できる。
【0022】
エアゾール缶とオーバーキャップとの組付き力を強固にすることにより、通常の使用時には操作感のよいオーバーキャップとして利用し、残ガス放出時には、エアゾール缶に強固に組み付けて、残ガスを確実に放出させることができる。
【0023】
肩カバーのつまみ片を持ち上げることにより、まず内環体を斜めに引き上げ、これに続けて外環体をエアゾール缶から引き抜くことができ、肩カバーをエアゾール缶から容易に取り外すことができる。
【0024】
噴射ボタンと肩カバーを一部品として成形したので、製造コストを低減できる。肩カバーをエアゾール缶の上部に組み付ける動作によって、噴射ボタンを注出管に組み付けることができ、かつ肩カバーと噴射ボタンとを分離できるので、肩カバー付きのエアゾール容器を簡略化した組み付け工程で提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図2に本発明にかかるエアゾール容器1を示す。
【0026】
エアゾール容器1は、エアゾール缶2と、肩カバー4と、噴射ボタン6と、オーバーキャップ8から構成してある。
【0027】
エアゾール缶2は、円筒状の金属製容器からなり、図1に示すように上面に注出管10が設けてあり、注出管10を押下すると図示しない開閉弁が開き、エアゾール缶2の内部に収納されている内容物が揮発性ガスとともに噴出する。
【0028】
肩カバー4と噴射ボタン6は、連結片5(第二連結片)により分離可能に連結され、一体に成形してある。連結片5は、図5に示すように肩カバー4と噴射ボタン6の間に4箇所設けてあり、肩カバー4をエアゾール缶2の肩部11に組み付ける際に容易に破断する。これにより、肩カバー4と噴射ボタン6が分離される。
【0029】
肩カバー4は、図1にも示すように外環体12と内環体14からなり、外環体12と内環体14はヒンジ13と連結片15(第一連結片)で連結されている。ヒンジ13は、ヒンジ13を介して外環体12を引き上げると、破断する以前に外環体12がエアゾール缶2の組付きから外れる強度を有し、連結片15は、連結片5より破断強度は大きいが、適度な引張り力により破断するように形成してある。
【0030】
外環体12は、下筒体16と下筒体16より径が小さい上筒体18からなり、下筒体16の内面にはエアゾール缶2の肩部11に嵌合する突条17が形成してある。上筒体18は上述したようにヒンジ13と連結片15により内環体14と上端で連結し、外周には、オーバーキャップ8の内面と嵌合する突条19が形成してある。
【0031】
内環体14は、ヒンジ15と対向した位置につまみ片20を具え、下端で連結片5により噴射ボタン6の下端と連結している。内環体14の下端は、噴射ボタン6を注出管10に完全に嵌め込んだ状態でも、更に肩カバー4を引き下げなければ外環体12がエアゾール缶2の肩部11に嵌合しない位置となっている。
【0032】
噴射ボタン6は、有頂筒体状の枠体9と、枠体9の中央に設けられた導通管7と、導通管7に連通し、横方向に開口した噴射口22からなり、導通管7は、注出管10に隙間なく嵌合する径で、枠体9の頂壁23に指を置いて押下すると注出管10を押下して内容物を噴射口22から噴射させる。
【0033】
オーバーキャップ8は、肩カバー4の上筒体18に嵌合する内径の樹脂製カバーであり、内面に上筒体18に嵌合させる突条25を有し、上筒体18に嵌合させると噴射ボタン6をカバーする。またオーバーキャップ8は、エアゾール缶2の肩部11に直接嵌合可能で、エアゾール缶2の肩部11に嵌合させると、頂板24が図4に示すように噴射ボタン6を押下し、エアゾール缶2の内容物を放出させる。肩部11は、上筒体18より若干大径に形成してあり、オーバーキャップ8は、上筒体18に嵌合するより強い力で肩部11に嵌合する。
【0034】
このように構成したのでエアゾール容器1は、肩カバー4と噴射ボタン6が一体で成形され、部品の製造工程を低減できる。肩カバー4を肩部11に組み付ける動作で噴射ボタン6を注出管10に嵌合し、しかも連結片5を破断させて肩カバー4から噴射ボタン6を分離できるので作業工程を簡略化できる。
【0035】
エアゾール容器1は、エアゾール缶2の上部に肩カバー4を有しているので外観を良好にでき、またエアゾール缶2のかしめ箇所をカバーして指の傷つきなどを防止できる。更にオーバーキャップ8が適度の力で組み付けられ、適宜取り外して噴射ボタン6から内容物を任意に噴射させることができる。
【0036】
内容物を使い切った後は、オーバーキャップ8を取り外し、図3に示すようにつまみ片20を引き上げることにより連結片15が破断し、斜めに内環体14が持ち上げられ、更に内環体14を持ち上げることによりヒンジ13を介して外環体12が肩部11から引き抜かれる。このように肩カバー4がつまみ片20を具えていることから、容易に肩カバー4をエアゾール缶2から取り外すことができる。
【0037】
そして肩カバー4を肩部11から取り外した後、オーバーキャップ8を肩部11に組み付けると、図4に示すようにオーバーキャップ8は、噴射ボタン6の頂壁23を押下するので、そのままの状態に置くことによりエアゾール缶2に残存している残ガスを完全に放出させることができる。
【0038】
オーバーキャップ8は、肩カバー4とエアゾール缶2の肩部11の双方に組み付けが可能であり、肩カバー4への組み付けは適度な嵌合力で組み付けられ、エアゾール缶2の肩部11への組み付けは肩カバー4への組み付けより強固に組み付けられるので、通常の使い勝手を良好にできるとともに廃棄時には噴射ボタン6を確実に押下して残ガスを完全に放出できる。
【0039】
このようにエアゾール容器1は、特別な器具等を使用することなく、肩カバー4を取り外したエアゾール缶2にオーバーキャップ8を組み付けることにより、エアゾール缶2の内部に残存するガスを確実に放出させることができる。
【0040】
尚上記例では肩カバー4と噴射ボタン6を一体に成形した例について説明したが、本発明は、肩カバー4と噴射ボタン6は一体に成形したものに限るものではなく、個別に成形し、組み付けたものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明にかかるエアゾール容器を示す部分分解断面図である。
【図2】図1のエアゾール容器を示す部分断面図である。
【図3】図1のエアゾール容器を示す部分断面図である。
【図4】図1のエアゾール容器を示す部分断面図である。
【図5】図1のエアゾール容器を示す平面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 エアゾール容器
2 エアゾール缶
4 肩カバー
5 連結片
6 噴射ボタン
7 導通管
8 オーバーキャップ
9 枠体
10 注出管
11 肩部
12 外環体
13 ヒンジ
14 内環体
15 連結片
16 下筒体
17 突条
18 上筒体
19 突条
20 つまみ片
22 噴射口
23、24 頂壁
25 突条
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が噴射用ガスとともに収納されたエアゾール缶と、該エアゾール缶の注出管に組み付けられ、前記注出管を押下して内容物を噴出させる噴射ボタンと、前記エアゾール缶の上部外周に組み付けられる肩カバーと、該肩カバーに着脱自在に組み付けられるオーバーキャップとからなるエアゾール容器において、
オーバーキャップは、エアゾール缶の上部外周に組み付け可能で、該エアゾール缶の上部外周に該オーバーキャップを組み付けると、前記噴射ボタンを内容物を噴出させる位置まで押下するように形成したことを特徴とするエアゾール容器。
【請求項2】
オーバーキャップは、エアゾール缶の上部外周に、該オーバーキャップを肩カバーに組み付けたときより大きい組付け力で組み付けられるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のエアゾール容器。
【請求項3】
肩カバーは、エアゾール缶の上部外周に組み付けられる外環体と、該外環体の内側にあってつまみ片を具えた内環体とからなり、更に前記つまみ片に対向した位置に該外環体と内環体を分離不能に連結するヒンジを具え、かつ前記つまみ片周辺に前記外環体と内環体を分離可能に連結する第一連結片を具えて構成したことを特徴とする請求項1または2に記載のエアゾール容器。
【請求項4】
肩カバーと噴射ボタンは、第一連結片より破断強度が低い第二連結片で分離可能に、かつ一体に連結され、前記肩カバーをエアゾール缶に組み付けると前記噴射ボタンが注出管に組み付けられるとともに前記第二連結片が破断し、前記肩カバーと前記噴射ボタンが分離されるように成形したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアゾール容器。
【請求項1】
内容物が噴射用ガスとともに収納されたエアゾール缶と、該エアゾール缶の注出管に組み付けられ、前記注出管を押下して内容物を噴出させる噴射ボタンと、前記エアゾール缶の上部外周に組み付けられる肩カバーと、該肩カバーに着脱自在に組み付けられるオーバーキャップとからなるエアゾール容器において、
オーバーキャップは、エアゾール缶の上部外周に組み付け可能で、該エアゾール缶の上部外周に該オーバーキャップを組み付けると、前記噴射ボタンを内容物を噴出させる位置まで押下するように形成したことを特徴とするエアゾール容器。
【請求項2】
オーバーキャップは、エアゾール缶の上部外周に、該オーバーキャップを肩カバーに組み付けたときより大きい組付け力で組み付けられるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のエアゾール容器。
【請求項3】
肩カバーは、エアゾール缶の上部外周に組み付けられる外環体と、該外環体の内側にあってつまみ片を具えた内環体とからなり、更に前記つまみ片に対向した位置に該外環体と内環体を分離不能に連結するヒンジを具え、かつ前記つまみ片周辺に前記外環体と内環体を分離可能に連結する第一連結片を具えて構成したことを特徴とする請求項1または2に記載のエアゾール容器。
【請求項4】
肩カバーと噴射ボタンは、第一連結片より破断強度が低い第二連結片で分離可能に、かつ一体に連結され、前記肩カバーをエアゾール缶に組み付けると前記噴射ボタンが注出管に組み付けられるとともに前記第二連結片が破断し、前記肩カバーと前記噴射ボタンが分離されるように成形したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアゾール容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2007−153349(P2007−153349A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347282(P2005−347282)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
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