説明

エアゾール製品

【課題】エアゾール製品の性能を向上させ、1回あたりの使用量を低減させることにより、1回使用あたりの容器の比率を低くし、製品を小型化でき、環境にやさしいエアゾール製品を提供すること。
【解決手段】20℃での蒸気圧が80mmHg以上の有機化合物30〜70%、20℃での蒸気圧が80mmHg未満の液状有機化合物および水のうちの少なくとも1種1〜50%および固体成分5〜50%を含み、霧状で噴射されるエアゾール製品を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧状で噴射されるエアゾール製品を製造し、使用する技術分野に属する。さらに詳しくは、有効成分の含有率が従来品と比較して高い、霧状で噴射されるエアゾール製品を製造し、使用する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来の霧状で噴射されるエアゾール製品(スプレー型エアゾール製品)は、セット剤成分、シリコーン剤成分、育毛剤成分などの有効成分が0.01〜20重量%(以下、%という)、噴射剤が、液化石油ガス、ジメチルエーテルなどの液化ガスを用いる場合は30〜70%、チッ素、炭酸ガスなどの圧縮ガスを用いる場合は0.1〜3%および残り30〜99%が精製水、エタノールなどの溶媒からなり、組成物中の有効成分の割合は少ない。また、制汗剤や傷薬などの有効成分が分散したエアゾール製品では、有効成分0.01〜10%、噴射剤70〜99%、油相0.1〜5%からなり、組成物中の有効成分の割合は少ない。そのため、所望の効果を得るためには、かなりの量を噴射する必要があり、また、製品の内容量も100〜250gと多く、当然製品サイズも大きくなる(一部には50g程度のミニサイズも存在するが、組成物中の有効成分の割合は少ないことにかわりはない)。その結果、使用しおわったエアゾール容器が廃棄される量も多く、省資源、環境にやさしい製品などの観点から問題がないとはいえず、環境問題がクローズアップされている近年、より一層省資源、環境にやさしい製品などを指向した製品の開発が望まれるようになってきている。
【0003】
前記問題を解決する方法として、有効成分の含有割合を高くして1回あたりの使用量を少なくし、製品中の有効成分量は従来品と同量配合したままスプレー型エアゾール製品のコンパクト化をはかる方法が考えられる。しかし、たとえばセット剤として用いるスプレー型エアゾール製品をコンパクト化する際の問題点として、下記の点があげられる。
【0004】
(1)従来、毛髪セット剤の場合には、有効成分である樹脂が純分で最大5%含まれていたが、従来処方で5%をこえて樹脂を含ませると、樹脂を溶解させた原液と噴射剤との相溶性がわるくなり、経時的に組成物中で樹脂が析出したり、この析出物により、バルブ、ボタン噴孔表面での樹脂の乾燥による詰まりが生じたりすることがあげられる。また、可燃性溶剤と噴射剤を多量に配合し、霧状で噴霧するため、火気に対する危険性が高く、バルブやボタン噴孔を絞っている。
【0005】
(2)有効成分である樹脂の割合をふやしたために、溶剤の割合を減らした場合の問題点としては、溶剤を減らすと乾燥が速くなり、樹脂が頭髪上でフケ状に析出するフレーキングがおこりやすくなる。速いものでは大気中で樹脂が粉末状になって噴霧される。
【0006】
他の有効成分(殺菌剤、育毛剤など)についても、セット剤の場合と有効成分量は異なるが、析出などによる問題が生じるのは同じである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来のスプレー型エアゾール製品と同量の有効成分を配合しているにもかかわらず、製品容量を小型化(約1/2〜1/4)することができ、少ない噴射量で従来と同等の性能を得ることができるエアゾール製品であって、前記のごとき問題が解決されたエアゾール製品を提供するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記エアゾール製品を小型化する方法について鋭意検討を重ねた結果、
(1)有効成分を溶剤に溶解させるかわりに、溶解力の高い噴射剤、たとえばジメチルエーテルなどに溶解させる、
(2)分子量500以上、好ましくは1000以上、100,000以下、好ましくは80,000以下程度の低分子量の樹脂を使用すると、噴射剤への溶解性に優れ、組成物中での粘度上昇を低くおさえることができる(なお、粘度が1000cps程度まで上昇すると、霧状に噴射することが困難になる)、
(3)多価アルコールやその誘導体など揮発しにくい溶媒を添加することによって、樹脂などの固形分のフレーキングを低減させることができる、
(4)有効成分が溶解せず、エアゾール組成物中で分散する場合には、蒸気圧の低い液状有機化合物や水を併用することによって、バルブ、ボタン噴孔表面での乾燥による詰まりが生じにくくなり、また、噴射対象面への付着性を改善することができる
などの知見を得、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。なお、前記(1)の知見は有効成分が溶解するスプレー型エアゾール製品全般に利用できる方法であり、(2)および(3)の知見は、セット剤用スプレー型エアゾール製品の課題を解決するのに利用できる方法であり、(4)の知見は、制汗剤や傷薬などのように有効成分がエアゾール組成物中で溶解せずに分散しているエアゾール製品の課題を解決するのに利用できる方法である。
【0009】
すなわち、本発明は、
20℃での蒸気圧が80mmHg以上の有機化合物30〜70%、20℃での蒸気圧が80mmHg未満の液状有機化合物および水のうちの少なくとも1種1〜50%および固体成分5〜50%からなるエアゾール組成物を含み、霧状で噴射されるエアゾール製品(請求項1)、
前記固体成分がエアゾール組成物中で溶解または分散しており、噴射対象面に付着してその効能効果を発揮する請求項1記載のエアゾール製品(請求項2)、および
エアゾール容器が定量噴射機構または噴射量抑制機構を装着したものである請求項1記載のエアゾール製品(請求項3)
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のエアゾール製品によれば、従来のものと同様の効果がありながら、従来のものに比べて、1回あたりの使用量を著しく低減させることができるため、1回の使用あたりの容器の比率が低くなり、製品を小型化でき、環境にやさしいエアゾール製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態にかかわる定量噴射型エアゾール容器の静止状態を示す概略断面図である。
【図2】図1の定量噴射型エアゾール容器の作動状態を示す概略断面図である。
【図3】本発明の噴射量抑制機構の一例を示す概略断面説明図である。
【図4】図3の噴射量抑制機構を挿入した押しボタン構造の一例を示す断面説明図である。
【図5】噴射量抑制機構の他の例を示す斜視図である。
【図6】噴射量抑制機構のさらに他の例を示す斜視図である。
【図7】噴射量抑制機構を備えたバルブ構造の一例を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の霧状で噴射されるエアゾール製品(スプレー型エアゾール製品)は、有効成分である固体成分の含有率が高く、1回の使用量を少なくすることができるため、製品中の有効成分量は従来品と同量を保ったまま、エアゾール製品のコンパクト化をはかることができる。また、固体の有効成分が溶解しているエアゾール製品の場合、エアゾール容器中での固体成分の析出、バルブ、ボタン噴孔表面での乾燥による詰まり、フレーキングなどを低減させた製品であり、固体の有効成分が溶解せずに分散しているエアゾール製品の場合、バルブ、ボタン噴孔での詰まりが生じにくくなり、噴射対象面への付着性を改善した製品である。
【0013】
本発明のエアゾール製品に使用されるスプレー型エアゾール容器には特別な限定はなく、通常のスプレー型エアゾール容器として使用されるものであれば使用し得る。
【0014】
前記エアゾール容器に充填される組成物は、容器内では液状を保ち(固体成分が分散しているものもある)、噴射後霧状で噴射され、その組成は、噴射剤兼可溶化剤、分散剤として使用される20℃での蒸気圧が80mmHg以上の有機化合物30〜70%、好ましくは35〜65%、蒸気圧が80mmHg以上の有機化合物の急速な気化を防止したり、急速な乾燥による固体成分のはがれやすさを防止したり、使用感を向上させる(冷感、飛散など)ために使用される20℃での蒸気圧が80mmHg未満、好ましくは2mmHg未満の液状有機化合物および水のうちの少なくとも1種1〜50%、好ましくは3〜40%および固体成分5〜50%、好ましくは10〜45%からなる。前記固体成分の割合は従来品と比較して2〜10倍であり、前記範囲内の場合には、従来品と比較して少量の噴射で必要とする固体成分量が得られる点から好ましく、また、前記20℃での蒸気圧が80mmHg以上の有機化合物が前記範囲内の場合には、固体成分を良好に溶解または分散させる点から好ましく、さらに、前記20℃での蒸気圧が80mmHg未満の液状有機化合物および水のうちの少なくとも1種の割合が前記範囲内の場合には、固体成分が溶解している場合には、噴射後ただちに乾燥せず、固体成分がフケ状に析出するのが防止され、また、固体成分が分散している場合には、噴射時に噴射対象面への付着性が改善される点から好ましい。前記固体成分の割合が5%未満の場合には、本発明の目的である従来品と比較して少量の使用で所望の効果を得ることが充分できず、多量に噴射する必要があり、50%をこえて使用すると、噴射剤などに溶解または分散しにくくなり、組成物を均一にすることができにくくなり、組成物中で固体成分の濃度差が生じやすくなる。また、前記20℃での蒸気圧が80mmHg以上の有機化合物の割合が30%未満の場合には固体成分を噴射剤などに充分溶解または分散させにくくなり、また、固体成分にセット剤などを用いた場合には、ステムやボタンで詰まるおそれがあり、70%をこえる場合には他の成分(固体成分など)の割合が小さくなり本発明の目的を達することができなくなる。さらに、前記20℃での蒸気圧が80mmHg未満の液状有機化合物および水のうちの少なくとも1種の割合が1%未満の場合には、噴射後の乾燥が速くなり、固体成分として、セット剤などのように溶解する成分を用いた場合には、フケ状に析出しやすくなり、また、溶解しない成分を用いた場合には、噴射対象面への付着性が充分改善されず、一方、50%をこえると、噴射後の乾燥が遅くなり、しばらくの間べたつきなどが生じる。
【0015】
前記20℃での蒸気圧が80mmHg以上の有機化合物の蒸気圧が、20℃で80mmHg以上であるため、常温で気化しやすく、固体成分を噴射するために必要な圧力を得ることができる。
【0016】
前記20℃での蒸気圧が80mmHg以上の有機化合物は、一般に高揮発性有機化合物(HVOC)とよばれるものである。
【0017】
前記20℃での蒸気圧が80mmHg以上の有機化合物の具体例としては、たとえばプロパン(6240mmHg)、ブタン(1560mmHg)、ペンタン(420mmHg)、イソペンタン(580mmHg)など炭素数5以下の飽和炭化水素、ジメチルエーテル(3730mmHg)、ジエチルエーテル(440mmHg)などのアルキルエーテルなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく、また、圧力調整、所望のスプレー特性を得るために2種以上を混合して用いてもよい。これらのなかではジメチルエーテルが、固体成分、たとえば樹脂などの溶解性が高く、水溶性を有する点から好ましい。
【0018】
前記20℃での蒸気圧が80mmHg未満の液状有機化合物の蒸気圧が、20℃で80mmHg未満であるため、常温で気化しにくく、噴射後ただちに内容物が乾燥せず、固体成分がフケ状に析出したり、噴射対象面に噴射物が付着しにくいなどの問題が防止される。
【0019】
前記20℃での蒸気圧が80mmHg未満の有機化合物は、一般に中揮発性有機化合物(MVOC)、とくに2mmHg未満の有機化合物は低揮発性有機化合物(LVOC)とよばれるものである。
【0020】
前記20℃での蒸気圧が80mmHg未満の液状有機化合物の具体例としては、たとえばエタノール(44.1mmHg)、イソプロパノール(32.4mmHg)、プロパノール(14.6mmHg)、ブタノール(4.4mmHg)、ペンタノール(1.4mmHg)、ヘキサノール(0.46mmHg)、ヘプタノール(0.14mmHg)などの1価アルコール、エチレングリコール(0.05mmHg)、プロピレングリコール(0.08mmHg)、ジエチレングリコール(0.01mmHg以下)、1,3−ブチレングリコール、トリエチレングリコール(0.01mmHg以下)、グリセリン(0.01mmHg以下)、ジグリセリン、バチルアルコール、ソルビトール、マンニトールなどの多価アルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル(3.8mmHg)、エチレングリコールモノブチルエーテル(0.76mmHg)、エチレングリコールメチルエーテルアセテート(3.3mmHg)、エチレングリコールエチルエーテルアセテート(1.2mmHg)、エチレングリコールフェニルエーテルアセテート(0.01mmHg以下)などの多価アルコール誘導体、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、モノステアリン酸エチレングリコールなどのエステル類、流動パラフィン、スクワレンなどの炭化水素類、サフラワー油、トウモロコシ油、落花生油などの油脂類などがあげられる。さらに、界面活性剤として、たとえばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン脂肪酸エステル類;グリセリルモノステアレート、グリセリルモノオレエートなどのグリセリン脂肪酸エステル類;デカグリセリルモノステアレート、デカグリセリルモノオレエート、デカグリセリルジステアレート、デカグリセリルジオレエート、デカグリセリルトリステアレート、デカグリセリルトリオレエートなどのデカグリセリン脂肪酸エステル類;ジグリセリルモノオレエート、テトラグリセリルモノオレエート、ヘキサグリセリルモノミリステートなどのポリグリセリン脂肪酸エステル類;POE(n)−ソルビタンモノステアレート、POE(n)−ソルビタンモノオレエート、POE(n)−ソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;POE(n)−ソルビットテトラオレエート、POE(n)−ソルビットモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類;POE(n)−グリセリルモノオレエート、POE(n)−グリセリルモノステアレートなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類;POE(n)−モノステアレート、POE(n)−モノオレエートなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル類;POE(n)−セチルエーテル、POE(n)−ラウリルエーテル、POE(n)−ステアリルエーテル、POE(n)−オレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;POE(n)POP(m)−セチルエーテル、POE(n)POP(m)−デシルテトラデシルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類;POE(n)−ノニルフェニルエーテル、POE(n)−オクチルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;POE(n)−ヒマシ油、POE(n)−硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油類やポリオキシエチレンヒマシ油誘導体;POE(n)−ステアリルアミン、POE(n)−オレイルアミン、POE(n)−ステアリン酸アミド、POE(n)−オレイン酸アミドなどのポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド類などの非イオン型界面活性剤(なお、前記(n)は(CH2CH2O)の重合数を、前記(m)は(CH2CH(CH3)O)の重合数を、前記POEはポリオキシエチレンを、前記POPはポリオキシプロピレンを表わす)、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩などの陰イオン型界面活性剤、アルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩などの陽イオン型界面活性剤、酢酸ベタイン、イミダゾリウムベタイン、レシチンなどの両性型界面活性剤、アルギン酸ナトリウムなどの高分子界面活性剤、ラノリン、レシチン、サポニン、大豆リン脂質、大豆リゾリン脂質液などの天然界面活性剤などがあげられる。これらは単独で用いてもよく、また、所望の使用感、乾燥性を得るために2種以上を混合して用いてもよい。これらのなかでは多価アルコールまたはその誘導体が揮発性が低く、噴射剤との相溶性に優れている点から好ましい。
【0021】
なお、20℃での蒸気圧が80mmHg未満の有機化合物の全部または一部を水におきかえてもよい。
【0022】
前記固体成分としては、20℃で固体であり、20℃での蒸気圧が80mmHg以上の有機化合物に溶解または分散しにくかったり、溶解安定性がわるいなどの好ましくない性質を有しないものであるかぎりとくに限定はない。その具体例としては、たとえばセット剤の有効成分として用いられるポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン−アルキルアミノアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン−アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリビニルピロリドン−アルキルアミノアクリレート−ビニルカプロラクタム共重合体などのポリビニルピロリドン系高分子化合物;メチルビニルエーテル−無水マレイン酸アルキルハーフエステル共重合体などの酸性ビニルエーテル系高分子化合物;酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸−ネオデカン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸−プロピオン酸ビニル共重合体などの酸性ポリ酢酸ビニル系高分子化合物;アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル−アルキルアクリルアミド共重合体、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリル酸ヒドロキシプロピル−メタクリル酸ブチルアミノエチル−アクリル酸オクチルアミド共重合体、アクリル酸オクチルアミド−アクリル酸ヒドロキシプロピル−メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体などのアクリル系高分子化合物;アクリルアミド・アクリルエステル系四元共重合体などの塩基性アクリル系高分子化合物;カチオン性セルロース誘導体などのセルロース誘導体;ヒドロキシプロピルキトサン、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサンなどのキチン・キトサン誘導体;ポリビニルアルコールなどの樹脂、染毛剤、ファンデーション、塗料などの有効成分として用いられるアゾ系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、レーキ、有機顔料(アゾ系顔料、インジゴ系顔料、フタロシアニン系顔料)などの有機合成色素、カロチノイド系、フラボノイド系、キノン系などの天然色素、体質顔料(マイカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、無水ケイ酸、酸化アルミニウムなど)、着色顔料(ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、カーボンブラックなど)、白色顔料(二酸化チタン、酸化亜鉛など)、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロンパウダーなどの高分子粉体、チッ化ケイ素、ホトクロミック顔料、合成フッ素金雲母などの機能性顔料などの色材、育毛剤の有効成分として用いられる血行促進剤(セファランチン、γ−オリザノールなど)、栄養剤(ビオチン、アスコルビン酸、塩酸ピリドキシン、塩酸チアミン、トリプトファン、塩酸L−メチルシステインなど)、エラストラジオールなどのホルモン剤、パントテン酸カルシウム、アラントインなどの毛根促進剤など、制汗剤の有効成分として用いられるクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛など、トリートメント剤の有効成分として用いられる油脂、固状の炭化水素、ロウ、固状の高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級アルコール、シリコーン油などや、パラアミノ安息香酸誘導体(パラジメチルアミノ安息香酸オクチルなど)、メトキシケイ皮酸誘導体(メトキシケイ皮酸オクチルなど)などの紫外線吸収剤、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール類などの酸化防止剤、メントール、カンフルなどの清涼化剤、サリチル酸、塩化ベンザルコニウム、レゾルシン、マレイン酸クロルフェニラミンなどのフケ、カユミ用薬剤、パラ安息香酸エステルなどの防腐剤、アミノ安息香酸エチル、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、塩酸リドカインなどの局所麻酔剤、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェミラミン、プロメタジンなどの抗ヒスタミン剤、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、レゾルシンなどの殺菌消毒剤、カンフル、ジフェンヒドラミン、インドメタシン、ピロキシカム、フェルビナク、ケトプロフェン、クロタミトンなどの消炎鎮痛剤、各種の香料などがあげられる。
【0023】
なお、固体成分が溶解せず、分散する場合は、一般に、その平均粒子径は、0.1〜50μmである。
【0024】
前記固体成分が、たとえばセット剤の有効成分として用いられるような固状の樹脂の場合には、平均分子量が、500〜100000、さらには1000〜80000であるのが好ましい。前記平均分子量が前記範囲内の場合には、前記20℃での蒸気圧が80mmHg以上の有機化合物に対する溶解性が優れており、また、組成物の粘度を低く保てる点から好ましい。
【0025】
さらに、樹脂の水への溶解性をコントロールするために中和剤を用いる場合がある。
【0026】
前記中和剤としては、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(AMPD);2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール(AEPD);2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP);トリエタノールアミン(TEA);ジイソプロパノールアミン(DIPA);水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどがあげられる。中和剤は、中和度が10%以上となる量を添加するのが好ましい。
【0027】
前記エアゾール組成物の具体例としては、つぎのものがあげられる。
【0028】
(1)セット剤
固体成分としてビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体などの樹脂15〜40%、20℃での蒸気圧が80mmHg未満の液状有機化合物および水のうちの少なくとも1種としてエタノール、イソプロパノールなどの1価のアルコールやエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールおよび水を5〜40%、20℃での蒸気圧が80mmHg以上の有機化合物として、ジメチルエーテル、炭素数5以下の飽和炭化水素30〜70%を含んだスプレー型エアゾール組成物。
【0029】
(2)ファンデーション
固体成分として、色素や無機顔料など色材10〜40%、20℃での蒸気圧が80mmHg未満の液状有機化合物として、ステアリルアルコールなどの高級アルコールやミリスチン酸イソプロピルなどのエステル類、流動パラフィンなどの炭化水素3〜30%、20℃での蒸気圧が80mmHg以上の有機化合物として、ジメチルエーテル、炭素数5以下の飽和炭化水素30〜70%を含んだスプレー型エアゾール組成物。
【0030】
(3)制汗剤
固体成分として、クロルヒドロキシアルミニウム、タルクなど20〜50%、20℃での蒸気圧が80mmHg未満の液状有機化合物として、ミリスチン酸イソプロピルなどのエステル類、エタノール、プロパノールなどの1価のアルコール、エチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールおよび(または)水3〜50%、20℃での蒸気圧が80mmHg以上の有機化合物として、ジメチルエーテル、炭素数5以下の飽和炭化水素30〜70%を含んだスプレー型エアゾール組成物。
【0031】
前記エアゾール組成物をエアゾール容器に充填する方法としては、たとえば
(i)20℃での蒸気圧が80mmHg未満の液状有機化合物および水のうちの少なくとも1種に固形成分を溶解または分散させたのち、容器に充填し、そののち20℃での蒸気圧が80mmHg以上の有機化合物を充填する方法、
(ii)固形成分を容器に充填したのち、20℃での蒸気圧が80mmHg未満の液状有機化合物および水のうちの少なくとも1種を充填し、ついで20℃での蒸気圧が80mmHg以上の有機化合物を充填して、容器内で溶解または分散させる方法、
(iii)20℃での蒸気圧が80mmHg以上の有機化合物、20℃での蒸気圧が80mmHg未満の液状有機化合物および水のうちの少なくとも1種に固体成分をあらかじめ混合して溶解させたのち、エアゾール容器に充填する方法、
があるが、前記(i)、(ii)の方法が、通常の製造ラインで製造できる点から好ましい。
【0032】
本発明に使用されるエアゾール容器は、従来から使用されている一般的なエアゾール容器でよいが、エアゾール組成物中にしめる有効成分の濃度を高め、1回あたりの使用量をへらしたことによる使いにくさを解消するために、定量(適量)噴射機構または噴射量抑制機構が装着されているものが好ましい。前記定量噴射機構または噴射量抑制機構を装着したエアゾール容器を使用する場合には、高濃度で固体の有効成分を含むエアゾール製品を少量使用する場合に生じがちな使用量のバラツキ、使いすぎなどの問題が少なくなる。
【0033】
前記エアゾール容器に取り付けられている定量噴射機構は、とくに限定されないが、その具体例としては、たとえば実開平2−104861号公報の従来の技術として記載されている定量バルブ、実開平2−104861号公報の考案品として記載されている定量バルブ、特開平6−255688号公報に記載の定量噴射型エアゾール容器に使用されている定量バルブなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちでは、特開平6−255688号公報に記載の定量バルブが定量性の精度が優れている点から好ましい。
【0034】
前記定量バルブのうちの特開平6−255688号公報に記載の定量噴射型エアゾール容器に使用されている定量バルブを例にとって定量バルブを具体的に説明しておく。
【0035】
図1は、前記定量バルブを取り付けた定量噴射型エアゾール容器の定常状態(静止状態)を示す概略断面図である。
【0036】
前記定量バルブは、押しボタン1と連接されたステム2の下方に設けられたスプリング3によってステムラバー4がマウティングキャップ5に押圧され、ステムラバー4を固定しているガイドブッシュ8とハウジング10との間にタンク9が固定され、ガイドブッシュ8とタンク9との間に形状安定部材18(たとえばガイドブッシュ8と一体化されたもの)が設けられていてもよい構造を有している。
【0037】
前記定量バルブは、容器本体6とマウンティングキャップ5とによって固定され、ガスケット7およびステムラバー4によってシールされ、エアゾール容器が密閉状態に保たれている。
【0038】
ステムラバー4を固定しているガイドブッシュ8の外周には、たとえばゴム、エラストマー、軟質プラスチックなどで代表される可撓性を有する材料からなるタンク9が設けられ、タンク9は、ハウジング10によって固定されている。ハウジング10の下面には、ディップチューブ11が接続されている。
【0039】
エアゾール容器内に充填された組成物は、ディップチューブ11をとおしてハウジング10内に入り、ステム2とタンク9との間隙およびステム2とガイドブッシュ8との間隙をとおってガイドブッシュ8の内部に入り、ついでホール12をとおってガイドブッシュ8とタンク9との間に形成された定量室13内に充填される。
【0040】
押しボタン1を下方に押圧することにより、図2に示されるように作動させることができる。
【0041】
エアゾール容器内の組成物は、ディップチューブ11をとおってハウジング10内に入るが、ステム2の下部がタンク9との間で完全にシールされているので、ガイドブッシュ8内には該組成物は導入されない。
【0042】
エアゾール容器の内圧は、エアゾール容器の外圧(大気圧)よりも大であるから、押しボタン1を下方に押圧したときに押しボタン1の導通孔14と定量室13とがステム孔15、ガイドブッシュ8を介して連通されたときに、連通ホール16をとおって導入されたエアゾール容器内の組成物の圧力によって図2に示されるように、タンク9が変形し、定量室13内の組成物がホール12、ステム孔15および導通孔14を順次とおって噴射孔17から噴射される。
【0043】
なお、ガイドブッシュ8とタンク9との間に形状安定部材18が設けられている場合には、組成物を噴射孔17から噴射した際に、タンク9は、ほぼ均一形状に変形し、その形状が安定化され、形状安定部材18が設けられていないときのように、タンク9が不規則に変形することがないので、繰り返して組成物を定量的に噴射させることができる。
【0044】
図1および図2における形状安定部材18は、ガイドブッシュ8の外周面にいわゆるリブとして形成されており、形状安定部材18の形状についてはとくに限定がないが、たとえば四角柱状、半円柱状などがあげられる。なお、タンク9を規則正しい形状に変形させるようにするためには、形状安定部材18とタンク9との間には、図1および2に示されているように、間隙を設けないことが好ましい。また、形状安定部材18をガイドブッシュ8とタンク9との間に設ける箇所が少なすぎる場合には、タンク9が均一形状に変形しがたくなり、また多すぎる場合には、タンク9の変形量が小さくなって組成物の噴射量が少なくなるので、形状安定部材18の形状にもよるが、通常3〜16カ所程度であるのが好ましい。
【0045】
なお、前記定量バルブを装着したエアゾール容器を用いたエアゾール製品の吐出量は、タンクの容量によって異なるが、通常0.05〜2ml/回、さらには0.1〜1.5ml/回程度である。
【0046】
また、前記エアゾール容器に取り付けられている噴射量抑制機構は、とくに限定されないが、たとえば以下の(1)〜(3)に記載したような構造が適用される。
【0047】
(1)噴射ボタンの内部に設けられた組成物の通路に、圧縮ばねを介してプランジャを挿入し、圧縮ばねと通路内面およびプランジャとの隙間を組成物の通路とし、噴射量が0.1g/秒以下である機構(図3、4)(特開平10−218262号公報参照)。
(2)バルブの通路に、軸方向に伸びる複数本の微少通路を形成した円柱状の部材(フィルター)を設けた機構(図5)(特願平11−36009号明細書参照)。
(3)バルブの通路に、断面円状の少なくとも4本の心材を互いに密接するように束ねて充填し、心材間で形成される連続する長い通路を組成物の通路とした機構(図6)(特開平7−132981号公報参照)。
【0048】
図3は、前記(1)の噴射量抑制機構を示す断面図であり、図4は、押しボタンに噴射量抑制機構を挿入した実施形態である。
【0049】
図3〜4において、噴射量抑制機構を備えた押しボタン構造19は、押しボタン構造体19aと、押しボタン構造体19aの内部に設けられた下部通路20と、下部通路20と連通する上部通路21と、上部通路21に設けられた噴孔部を有するノズル22と、前記下部通路20および(または)上部通路21に圧縮ばねを介して挿入されたプランジャ24から構成されている。下部通路20の下側に径大部が形成されており、その径大部に、バルブのステムが挿入される。
【0050】
かかる構成を有する噴射量抑制機構を備えた押しボタン構造19の場合、プランジャ24と下部通路20および(または)上部通路21の内面との間の隙間C2から圧縮ばね23の部分を除いた螺旋状の空間がエアゾールの実質的な通路として機能する(図3参照)。なお、プランジャ24は、下部通路20または上部通路21のいずれかに挿入することもでき、また両方に挿入することもできる。
【0051】
図5、6は、噴射量抑制機構の他の例を示す断面図であり、図7は、噴射量抑制機構をバルブに挿入した実施形態である。
【0052】
図5に示す(すなわち前記(2)の構造の)噴射量抑制機構は、プランジャ24の軸線方向に平行に複数の溝Gが形成されている。この軸線方向に形成された複数の溝Gがエアゾール組成物の実質的な通路として機能する(図5参照)。この機構は、組成物が細く長い通路を通ることにより、通路抵抗を受けて噴射量が抑制される。
【0053】
また、前記(3)の構造について、図6を参照しつつ説明する。
【0054】
図6に示したプランジャ24は、コアワイヤaの回りに6本のワイヤbを螺旋状に配してなる構造を有するワイヤである。ワイヤは4本以上設けることが好ましく、ワイヤ間の隙間が組成物の通路となる。この機構も組成物が細く長い隙間を通ることにより、通路抵抗を受けて噴射量が抑制される。プランジャ24に採用されるワイヤの構造は、図6に示す構造に限られることはなく、たとえばJIS G 3525やJIS G 3540(ワイヤロープ)に規定されている構造のワイヤロープなども採用することができる。
【0055】
前記(1)の機構は、噴射量を非常に少なくしたい場合に好適に用いられ、圧縮ばねの巻数や太さをかえることによって任意の噴射量にすることができる。また、前記(2)〜(3)の機構は、通路の開口が詰まりにくい形状を有し、かつ、連続した長い通路であるため、噴射量を通路抵抗により充分抑制できるだけでなく、詰まりやすい内容物にも好適に使用できる。
【0056】
これら噴射量抑制機構の使用例としては、噴射ボタン(図4)やバルブ(図7)に設けることができ、これらを組み合わせて用いてもよい。
【0057】
本発明のエアゾール製品は、たとえばセット剤、染毛剤、ファンデーション、制汗剤、ヘアトリートメント剤、保湿剤、クレンジング剤などの化粧品、殺菌消毒剤、消炎鎮痛剤、局所麻酔剤、抗ヒスタミン剤などの医薬品、自動車や家具のつや出し剤、塗料、くもり止め剤、ガラス洗浄剤などに好適に使用され得る。
【実施例】
【0058】
本発明のエアゾール製品を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
なお、実施例および比較例で用いた原材料のうち内容について説明が必要なものについては以下にまとめて説明する。
【0060】
固体成分
アクリル系共重合体(ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート−(メ タ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、分子量40000)
クロルヒドロキシアルミニウム
20℃での蒸気圧が80mmHg未満の液状有機化合物
99%変性エタノール(99%ブルシン変性エタノール)
イソプロピルミリステート
ジメチルポリシロキサン
ソルビタン脂肪酸エステル
ジグリセリルモノオレエート
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール
【0061】
また、実施例、比較例における評価は以下の方法によって行なった。
【0062】
(溶解性)
透明な耐圧性容器にエアゾール組成物を充填後、5℃にて保存し、組成物の外観を観察し、以下の基準で判定した。
○:異常なし
△:やや白濁するが、析出物なし
×:析出物あり
【0063】
(乾燥性)
長さ10cmの毛束に噴射して室温にて乾燥させ、以下の基準で判定した。
○:スムーズに乾燥し、フレーキングなし
△:乾燥にやや時間がかかり、わずかなフレーキングあり
×:乾燥が速すぎ、フレーキングによりきたなくなり、ごわつく
【0064】
(バルブ、ボタン詰まり)
製品を噴射したのち、45℃で乾燥、5℃で保存の手順を繰り返し、バルブやボタンの詰まりを確認し、以下の基準で判定した。
○:異常なし
×:噴射できず
【0065】
(分散性)
透明な耐圧容器にエアゾール組成物を充填し、固体成分の分散状態を観察し、以下の基準で判定した。
○:振盪により容易に分散し、沈降が遅い
△:振盪により分散するが、すぐに沈降する
×:容器底部で固体成分が固まり、振盪により分散しない
【0066】
(使用感)
得られたエアゾール製品を皮膚上に噴射して、固体成分の飛散や冷感を、以下の基準で判定した。
○:さらっとした感触で、好ましい使用感が得られた
△:乾燥が遅く、べたつく
×:固体成分の飛び散りが多く、冷感により痛みを伴う
【0067】
実施例1および比較例1〜2
図1に示したような内容積100mlの容器に、表1に示した成分、割合の固体成分ならびに20℃での蒸気圧が80mmHg未満の液状有機化合物および水のうちの少なくとも1種(以下、溶媒ともいう)を含んだ原液を充填したのち、1回あたりの噴出量0.2mlの定量バルブを取り付けた。その容器に20℃での蒸気圧が80mmHg以上の有機化合物(以下、噴射剤ともいう)を表1に示した割合になるように充填し、内容量が50gのヘアスプレー用エアゾール製品を製造した。
【0068】
得られたエアゾール製品を前記方法にしたがって評価した。結果を表1に示す。
【0069】
比較例3
内容積400mlの容器に、表1に示した成分、割合の固体成分および溶媒を含んだ原液100gを充填したのち、1秒あたりの噴出量0.6gのバルブを取り付けた。その容器に噴射剤として液化石油ガス(ブタン、プロパンの混合物(0.35MPa(20℃))100gを充填し、ヘアスプレー用エアゾール製品を製造した。
【0070】
得られたエアゾール製品を前記方法にしたがって評価した。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
実施例1では、エアゾール組成物の比重が0.72であり、1回の使用あたりの固体成分量は1回噴射したとすると0.029g、比較例3(従来品)では1秒噴射したとすると、0.03gとなり、噴射される有効成分量は同程度であるにもかかわらず、実施例1では製品の大きさを比較例3の約1/4にすることができた。
【0073】
実施例2
図1に示したような内容積100mlの容器に、表2に示した成分、割合の固体成分(パウダー状)を充填し、ついで溶媒を充填したのち、1回あたりの噴出量0.2mlの定量バルブを取り付けた。その容器に表2に示した成分、割合の噴射剤を充填し、内容量が50gのファンデーション用エアゾール製品を製造した。
【0074】
得られたエアゾール製品を前記方法にしたがって評価した。結果を表2に示す。
【0075】
比較例4〜5
表2に示した成分、割合で行なったほかは、実施例2と同様にしてエアゾール製品を製造した。
【0076】
得られたエアゾール製品を前記方法にしたがって評価した。結果を表2に示す。
【0077】
【表2】

【0078】
実施例3
内容積100mlの容器に、表3に示した成分、割合の固体成分(パウダー状)を充填し、ついで溶媒を充填したのち、噴出量0.2g/秒の図7に示した噴射量抑制部を有するバルブを取り付けた。その容器に表3に示した成分、割合の噴射剤を充填し、内容量が50gのW/O型エマルジョンタイプの制汗剤用エアゾール製品を製造した。
【0079】
得られたエアゾール製品を前記方法にしたがって評価した。結果を表3に示す。
【0080】
比較例6
表3に示した成分、割合で行なったほかは、実施例3と同様にしてW/O型エマルジョンタイプの制汗剤用エアゾール製品を製造した。
【0081】
得られたエアゾール製品を前記方法にしたがって評価した。結果を表3に示す。
【0082】
比較例7(従来品)
内容積250mlの容器に、表3に示した成分、割合の固体成分(パウダー状)を充填し、ついで溶媒を充填したのち、1回あたりの噴出量0.4g/秒の従来のバルブを取り付けた。その容器に表3に示した成分、割合の噴射剤を充填し、噴射剤中に固体成分が分散した内容量が100gの従来の制汗剤用エアゾール製品を製造した。
【0083】
得られたエアゾール製品を前記方法にしたがって評価した。結果を表3に示す。
【0084】
比較例8
内容積100mlの容器に、表3に示した成分、割合の固体成分(パウダー状)を充填し、ついで溶媒を充填したのち、1回あたりの噴出量0.4g/秒の従来のバルブを取り付けた。その容器に表3に示した成分、割合の噴射剤を充填し、比較例7の従来品の有効成分量を2倍にして小型化した内容量が50gの制汗剤用エアゾール製品製造した。
【0085】
得られたエアゾール製品を前記方法にしたがって評価した。結果を表3に示す。
【0086】
【表3】

【0087】
実施例3および比較例6では、同量の有効成分を配合しているが、実施例3はいずれも良好な結果を示し、比較例6は噴射剤の量が少なく、溶媒量が本発明の範囲より多いため、乾燥性がわるいことがわかる。また、実施例3は、比較例7(従来品)と同じ時間噴射しても噴射される有効成分量は同じであり、噴射できる回数は同じであるが、その製品サイズは比較例7の1/2にすることができることがわかる。なお、比較例8のように、従来品の有効成分量を2倍にして小型化しただけでは、使用感がわるく、好ましくないことがわかる。
【符号の説明】
【0088】
1 押しボタン
2 ステム
3 スプリング
4 ステムラバー
5 マウンティングキャップ
6 容器本体
7 ガスケット
8 ガイドブッシュ
9 タンク
10 ハウジング
11 ディップチューブ
12 ホール
13 定量室
14 導通孔
15 ステム孔
16 連通ホール
17 噴射孔
18 形状安定部材
19 噴射量抑制機構を備えた押しボタン構造
19a 押しボタン構造体
20 下部通路
21 上部通路
22 ノズル
23 圧縮ばね
24 プランジャ
25 圧縮ばね
26 噴射量抑制機構を備えたバルブ構造
2 隙間
3 隙間
G 溝
a コアワイヤ
b ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
20℃での蒸気圧が80mmHg以上の有機化合物30〜70重量%、20℃での蒸気圧が80mmHg未満の液状有機化合物および水のうちの少なくとも1種1〜50重量%および固体成分5〜50重量%からなるエアゾール組成物を含み、
前記固体成分が、クロルヒドロキシアルミニウムを含み、
エアゾール組成物を充填するエアゾール容器が定量噴射機構または噴射量抑制機構を装着しており、
霧状で噴射される制汗剤用エアゾール製品。
【請求項2】
前記エアゾール組成物がW/O型エマルジョンである請求項1記載の制汗剤用エアゾール製品。
【請求項3】
前記エアゾール製品の吐出量が0.05〜2ml/1回である請求項1記載の制汗剤用エアゾール製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−108103(P2009−108103A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31228(P2009−31228)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【分割の表示】特願平11−103249の分割
【原出願日】平成11年4月9日(1999.4.9)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】