説明

エアゾール製品

【課題】火気に対する安全性が高く、噴射対象物が50cm〜2m程度離れていても、対象物上で噴射物の少なくとも一部が凍結し、噴射対象物が害虫である場合は、噴射物が害虫の体表面で凍結して充分に冷却し、殺虫成分がなくても駆除することができるエアゾール製品を提供すること。
【解決手段】水性原液10〜50重量%と、液化ガス50〜90重量%とが乳化されてなるエアゾール組成物が、エアゾール容器に充填されてなるエアゾール製品であって、該エアゾール容器に装着される噴射部材の噴射孔3の断面積が、該エアゾール容器の弁孔1の断面積以下であることを特徴とするエアゾール製品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール製品に関する。さらに詳しくは、火気に対する安全性が高く、噴射対象物が50cm〜2m程度離れていても、対象物上で噴射物の少なくとも一部が凍結し、噴射対象物が害虫である場合は、噴射物が害虫の体表面で凍結して充分に冷却し、殺虫成分がなくても駆除することができることを特徴とするエアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ジメチルエーテルおよび水を含有し、ジメチルエーテル中に水が溶解されており、かつ均一相を形成するエアゾール組成物であって、ジメチルエーテルの気化熱により水とジメチルエーテルとの凍結体を形成するエアゾール組成物が開示されている。特許文献2には、水性原液と液化ガスとが乳化したエアゾール組成物を、断面積が1〜30mm2である吐出孔から吐出することで、泡などの流動可能な状態で吐出され、その後経時的に凍結するエアゾール製品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−168943号公報
【特許文献2】特開2008−31097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のエアゾール組成物は、噴射対象物が噴射孔から30cm程度の距離にあれば噴射対象物上で凍結物を形成するものの、50cm以上離れると冷却効果が急激に弱くなり凍結しなくなるという問題がある。また、エアゾールバルブや噴射部材の口径を大きくして単位時間当たりの噴射量を多くしても、凍結できる距離は大きく変わらないという問題がある。特許文献2に記載のエアゾール製品は、吐出孔から手のひらなどに吐出するものであり、こちらも遠方に使用することはできないという問題がある。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明は、火気に対する安全性が高く、噴射対象物が50cm〜2m程度離れていても、対象物上で噴射物の少なくとも一部が凍結し、噴射対象物が害虫である場合は、噴射物が害虫の体表面で凍結して充分に冷却し、殺虫成分がなくても駆除することができるエアゾール製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエアゾール製品は、水性原液10〜50重量%と、液化ガス50〜90重量%とが乳化されてなるエアゾール組成物が、エアゾール容器に充填されてなるエアゾール製品であって、該エアゾール容器に装着される噴射部材の噴射孔の断面積が、該エアゾール容器の弁孔の断面積以下であることを特徴とするエアゾール製品である。
【0007】
前記噴射孔の断面積が、0.03〜0.3mm2であり、前記弁孔の断面積が、0.05〜2.0mm2であることが好ましい。
【0008】
前記噴射孔の断面積/弁孔の断面積が、0.03〜0.8であることが好ましい。
【0009】
前記エアゾール組成物が噴射孔を通過するときの流速が、10〜20m/秒であることが好ましい。
【0010】
前記水性原液の粘度が、2〜20000(mPa・s)であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のエアゾール製品によれば、火気に対する安全性が高く、噴射対象物が50cm〜2m程度離れていても、対象物上で噴射物の少なくとも一部が凍結し、噴射対象物が害虫である場合は、噴射物が害虫の体表面で凍結して充分に冷却し、殺虫成分がなくても駆除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のエアゾール製品の一実施形態にかかるエアゾール製品の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のエアゾール製品は、水性原液10〜50重量%と、液化ガス50〜90重量%とが乳化されてなるエアゾール組成物が、エアゾール容器に充填されてなるエアゾール製品であって、該エアゾール容器に装着される噴射部材の噴射孔の断面積が、該エアゾール容器の弁孔の断面積以下であることを特徴とするエアゾール製品である。
【0014】
本発明のエアゾール製品は、前記特定の割合で水性原液と液化ガスとが配合され、水性原液と液化ガスとが乳化しているエアゾール組成物を、特定の噴射経路から噴射することにより、大気中に噴射されても広角に拡がらずに棒状を維持でき、噴射孔から遠く離れた位置でも噴射物の少なくとも一部が凍結する。
【0015】
前記水性原液は、エアゾール容器内では液化ガスと乳化しており、大気中に噴射されると液化ガスの推進力により遠方に噴射され、また液化ガスの気化熱より対象物上で凍結する。
【0016】
前記水性原液は、液化ガスと乳化するための界面活性剤を水に含有しており、必要に応じて水溶性高分子、有効成分、アルコール類、油分、パウダーなどを配合することができる。
【0017】
前記界面活性剤としては、たとえば、モノヤシ油脂肪酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;モノステアリン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;POEラノリンアルコールなどのポリオキシエチレンラノリンアルコール;POE硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEイソセチルエーテル、POEイソステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;モノステアリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸ペンタグリセリル、モノミリスチン酸ペンタグリセリル、モノオレイン酸ペンタグリセリル、モノステアリン酸ペンタグリセリル、モノラウリン酸デカグルセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル;モノオレイン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;モノパルミチン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノイソステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸POEソルビット、テトラステアリン酸POEソルビット、テトラオレイン酸POEソルビットなどのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;などのHLBが10〜19、好ましくは11〜18であるものがあげられる。HLBが10よりも小さい場合は、液化ガスが連続相になりやすく噴射物が凍結しにくく、HLBが19よりも大きい場合は液化ガスを乳化しにくくなる傾向がある。
【0018】
前記界面活性剤の配合量は、水性原液中0.1〜10重量%、さらには0.2〜5重量%であることが好ましい。界面活性剤の配合量が0.1重量%よりも少ない場合は、水性原液と液化ガスとの乳化安定性が悪くなり、噴射物が凍結しにくく、10重量%よりも多い場合は付着面上で残りやすい。
【0019】
前記水は水性原液の主溶媒であり、火気に対する安全性を高める。前記水としては、たとえば、精製水、イオン交換水、生理食塩水、海洋深層水などがあげられる。
【0020】
前記水の配合量は、水性原液中60〜99.9重量%、さらには70〜99.5重量%であることが好ましい。水の配合量が60重量%よりも少ない場合は噴射物が凍結しにくく、火気に対する安全性が得られにくい。99.9重量%よりも多い場合は液化ガスと乳化させるための界面活性剤を必要量配合しにくくなる。
【0021】
前記水溶性高分子は水性原液の粘度を調整して液化ガスとの乳化安定性を良くし、噴射経路、特に噴射物が噴射孔で凍結して詰まったり、凍結した噴射物が噴射孔付近に付着して噴射状態(スプレーパターン)を乱すことなく、また大気中に噴射された後でも乳化状態を維持して対象物上で凍結しやすくする作用がある。
【0022】
前記水溶性高分子としては、たとえば、キサンタンガム、カラギーナン、アラビアゴム、トラガントゴム、カチオン化グアガム、グアガム、ジェランガム、ローカストビーンガムなどのガム質;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ニトロセルロース、結晶セルロースなどのセルロース系高分子;デキストラン、カルボキシメチルデキストランナトリウム、デキストリン、ペクチン、デンプン、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、アルギン酸ナトリウム、変性ポテトスターチ、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマーなどがあげられる。
【0023】
前記水溶性高分子の配合量は、水性原液中0.01〜5重量%、さらには0.05〜3重量%であることが好ましい。水溶性高分子の含有量が0.01重量%よりも少ない場合は前述の効果が得られにくく、5重量%を超える場合は水性原液の粘度が高くなりすぎ、液化ガスと乳化するのに時間がかかる。
【0024】
なお、水性原液の粘度は2〜20000(mPa・s 20℃)であることが好ましく、さらには3〜10000(mPa・s)、5〜5000(mPa・s)であることが好ましい。水性原液の粘度が2(mPa・s)よりも小さい場合は噴射物が広角に拡がりやすく凍りにくくなる。一方、20000(mPa・s)よりも大きい場合は通路抵抗を受けやすく噴射孔での流速が遅くなって噴射物が凍結する距離が短くなりやすい、火炎に向けて噴射したときの火炎の伸び(火炎長試験)が長くなりやすい、噴射物の凍結物が噴射孔に付着して噴射状態が乱れやすくなる。特に水性原液の粘度が50〜1500(mPa・s)である場合は火炎長試験において火炎の伸びが45cm以下と短くなり、火気への安全性が高くなる。
【0025】
前記有効成分としては、たとえば、クロタミトン、d−カンフルなどの鎮痒剤、サリチル酸メチル、インドメタシン、ピロキシカム、フェルビナク、ケトプロフェンなどの消炎鎮痛剤;オキシコナゾール、クロトリマゾール、スルコナゾール、ビフォナゾール、ミコナゾール、イソコナゾール、エコナゾール、チオコナゾール、ブテナフィン、およびこれらの塩酸塩、硝酸塩、酢酸塩などの塩、などの抗真菌剤;酸化亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤;アラントイン、グリシルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、アズレンなどの抗炎症剤;塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、リドカイン、塩酸リドカインなどの局所麻酔剤;ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン剤;パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジンなどの殺菌・消毒剤;l−メントール、カンフルなどの清涼剤;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、コラーゲン、キシリトール、ソルビトール、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、レシチン、尿素などの保湿剤;ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジルなどの消臭剤;N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)、カプリル酸ジエチルアミドなどの害虫忌避剤;フタルスリン、アレスリン、ペルメトリン、シスメスリン、プロパルスリン、レスメトリン、d−フェノトリン、テフルスリン、ベンフルスリンなどの殺虫成分、サイネピリン、ピペロニルブトキサイト、オクタクロロジプロピルエーテルなどの効力増強剤;パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾンなどの紫外線吸収剤;酸化亜鉛、酸化チタンなどの紫外線散乱剤;レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、dl−α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロールおよびこれらの混合物などのビタミン類;アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤;シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの抽出液;アルブチン、コウジ酸などの美白剤;天然香料、合成香料などの各種香料;などがあげられる。
【0026】
前記有効成分の配合量は、水性原液中0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%配合される。有効成分の配合量が0.05重量%よりも少ない場合は、有効成分の効果が充分に発揮できない傾向があり、10重量%よりも多い場合は、有効成分濃度が高くなりすぎ、有効成分によっては人体へ悪影響を及ぼす場合がある。
【0027】
前記アルコール類は、水に溶解しにくい有効成分を溶解するための溶媒として、また噴射したときの凍りやすさを調整するなどの目的で用いられる。
【0028】
前記アルコール類としては、たとえば、エタノール、イソプロパノールなどの炭素数が2〜3個の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンなどの2〜3価のポリオール、などがあげられる。
【0029】
前記アルコール類を配合する場合の配合量は、水性原液中0.1〜30重量%であることが好ましく、さらには0.3〜20重量%であることが好ましい。前記アルコール類の配合量が0.1重量%よりも少ない場合は前述の効果が得られにくく、30重量%よりも多い場合は水性原液と液化ガスとが乳化しにくく、噴射物が凍りにくくなる。
【0030】
前記油分は、水性原液と液化ガスとの乳化状態を調整する、対象物の油を除去する、あるいは対象物に浸透しやすくする、などの目的で用いられる。
【0031】
前記油分としては、たとえば、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、イソパラフィンなどの炭化水素油;アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、乳酸セチル、ステアリン酸イソセチル、セトステアリルアルコール、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリルなどのエステル油;メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などの脂肪酸;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコールなどの高級アルコール;アボガド油、マカダミアナッツ油、シア脂、オリーブ油、ツバキ油などの油脂;ミツロウ、ラノリンロウなどのロウ類;などがあげられる。
【0032】
前記油分の配合量は、水性原液中0.1〜10重量%、さらには0.5〜5重量%であることが好ましい。油分の配合量が0.1重量%よりも少ない場合は油分を配合する効果が得られにくく、10重量%よりも多い場合は乾燥性が悪くなるなど、使用感が低下する。
【0033】
前記パウダーは、水性原液と液化ガスとを乳化しやすくする、乳化安定性を向上させるなど、乳化補助剤として用いられる。
【0034】
前記パウダーとしては、たとえば、タルク、酸化亜鉛、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、シリカ、ゼオライト、セラミックパウダー、窒化ホウ素などがあげられる。
【0035】
前記パウダーの配合量は、水性原液中0.1〜5重量%、さらには0.3〜3重量%であることが好ましい。パウダーの配合量が0.1重量%よりも少ない場合は、前述の効果が得られにくく、5重量%よりも多い場合は噴射経路、特に噴射孔で詰まりやすくなる。
【0036】
本発明に用いられる水性原液は、界面活性剤、必要に応じて配合される水溶性高分子などを水やアルコール類に溶解させて調製する。なお、水性原液は、必要に応じて油分を乳化させたり、粉体を分散させてもよい。
【0037】
前記水性原液の配合量は、エアゾール組成物中10〜50重量%であり、15〜40重量%であることが好ましい。水性原液の配合量が10重量%よりも少ない場合は噴射物が広角に拡がりやすく噴射物が凍結しにくく、50重量%よりも多い場合は噴射物が凍結しにくくなる。
【0038】
前記液化ガスは、エアゾール容器内では液体であり、水性原液と乳化して乳化物を形成する。大気中に噴射されると気化し、気化熱により噴射物を冷却して少なくとも一部を凍結する。
【0039】
前記液化ガスとしては、たとえば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンおよびこれらの混合物である液化石油ガス、ジメチルエーテル、前記液化石油ガスとジメチルエーテルの混合物などがあげられる。
【0040】
前記液化ガスのうち、水性原液と乳化しやすく安定性に優れており、噴射物が凍結しやすい点から液化石油ガスを液化ガス中に60重量%以上、さらには70重量%以上含有するものを用いることが好ましい。また、20℃における蒸気圧が0.10〜0.40MPa、さらには0.12〜0.30MPaとなるように調整したものを用いることが好ましい。蒸気圧が0.10MPaよりも小さい場合は噴射距離が短くなり、50cm以上離れると凍結しにくくなる。蒸気圧が0.40MPaよりも大きい場合は火炎長試験において火炎の伸びが前方に60cm以上と長くなり、火気に対する安全性が得られにくくなる。
【0041】
前記液化ガスの配合量は、エアゾール組成物中50〜90重量%であり、60〜85重量%であることが好ましい。液化ガスの配合量が50重量%よりも少ない場合は冷却能力が不充分であり噴射物が凍結しにくく、90重量%よりも多い場合は噴射物が広角に拡がりやすく噴射物が凍結しにくくなる。
【0042】
本発明のエアゾール製品は、たとえば、耐圧容器に水性原液と液化ガスを充填し、耐圧容器にエアゾールバルブを固着してエアゾール容器を組み立て、エアゾール容器を振とうして水性原液と液化ガスとを乳化させることによりエアゾール組成物を充填することができる。
【0043】
なおエアゾール組成物の圧力を調整するために、加圧剤として炭酸ガス、チッ素ガス、圧縮空気、酸素ガスなどの圧縮ガスを用いることができる。
【0044】
前記耐圧容器としては、たとえば、アルミニウムやブリキなどの金属、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂を用いて、上端に開口部を有する有底筒状に成形したものを用いることができる。
【0045】
前記エアゾールバルブとしては、弁棒(以下、ステム)、ステムラバー、スプリングからなる弁機構と、弁機構を収容するハウジングと、ハウジングを保持すると共に耐圧容器の開口部に固着されるマウンティングカップとを備えている。
【0046】
前記ステムは、筒状のステム上部と、円柱状のステム下部とからなり、ステム上部の基部に弁孔(以下、ステム孔)が設けられている。ステム孔は、ステムがスプリングにより上方へ付勢され、ステムラバーの内径面により常時シールされている。ステム上部には噴射部材(噴射ボタン)が装着され、ステム上部内にはステム孔から噴射部材に連通するステム内通路が設けられている。
【0047】
ハウジングは有底筒状であり、内部に前述のステム、ステムラバー、スプリングからなる弁機構を収容する。ハウジングの底部には、使用時にエアゾール組成物の液相をディップチューブからハウジング内に導入するための導入孔が形成されている。
【0048】
前記ステム上部には噴射ボタンが装着され、噴射ボタンはステム上部に装着されるステム装着部、大気に開口する噴射孔、噴射孔とステム装着部とを連通するボタン内通路を備えている。
【0049】
前記噴射部材を指で押し下げるとステムが下方に移動してステム孔が開放される。このときエアゾール容器内のエアゾール組成物はディップチューブからハウジングの導入孔を通ってハウジング内に導入され、ステム孔、ステム内通路、ボタン内通路を通って噴射孔から大気中に噴射される。
【0050】
前記ボタン内通路の先端にはノズルが装着されており、ノズルの内部はボタン内通路よりも小径のノズル内通路が設けられており、先端には噴射孔が設けられている。前記ノズル内通路の長さは0.1〜50mmであることが好ましく、さらには0.5〜30mmであることが好ましい。ノズル内通路の長さが0.1mmよりも短い場合は広角に拡がりやすく、50mmよりも長い場合は圧力損失により流速が低下し、通路内で凍結し詰まりやすくなる。
【0051】
液化ガスを50〜90重量%含有したエアゾール組成物を棒状に噴射し、対象物上で噴射物の少なくとも一部を凍らせるために、液化ガスを水性原液と乳化させるとともに、噴射孔の断面積がステム孔の断面積以下である噴射ボタンを用いている。噴射孔がステム孔よりも大きい場合は広角に拡がりやすく、噴射孔から離れると凍りにくくなる。
【0052】
前記噴射孔の断面積は0.03〜0.3mm2であることが好ましく、さらには0.05〜0.20mm2であることが好ましく、特に0.05〜0.15mm2であることが好ましい。噴射孔が円形である場合、その直径は0.2〜0.5mmであることが好ましく、さらには0.25〜0.45mmであることが好ましい。噴射孔の断面積が0.03mm2より小さい場合は噴射孔を通過するエアゾール組成物の流速は速くなるが噴射物が凍ったときに詰まりやすく、また噴射状態が乱れやすくなり、0.3mm2よりも大きい場合は流速が遅く凍結する距離が短くなる。また噴射孔やノズル内通路で噴射物が凍結すると外部に押し出しにくくなって噴射孔で詰まったり、噴射孔付近に付着してスプレーパターンを乱し狙った対象物に正確に付着しにくくなる。
【0053】
前記ステム孔の断面積は0.05〜2.0mm2であることが好ましく、さらには0.15〜1.8mm2であることが好ましい。ステム孔は円形でもよく、四角形でもよい。またステム孔は1個でもよく、複数個設けても良い。ステム孔の断面積は、ステム孔が複数個ある場合はその合計面積であるが、ステム孔を複数個設ける場合でも噴射孔の断面積が1個のステム孔の断面積以下にすることが好ましい。ステム孔の断面積が0.05mm2よりも小さい場合は噴射量が少なく凍結する距離が短くなる、パウダーを含む場合は詰まりやすくなる。2.0mm2よりも大きい場合は噴射量が多くなり、火気に対する安全性が低下する。
【0054】
前記噴射孔の断面積/弁孔(ステム孔)の断面積の比は0.02〜1.0であることが好ましく、さらには0.03〜0.8であることが好ましい。前記比が0.02よりも小さい場合は弁孔に対して噴射孔が小さすぎるため噴射物が詰まりやすくなり、1.0よりも大きい場合は凍結する距離が短く、また噴射物が凍結しにくくなる。
【0055】
前記噴射孔をエアゾール組成物が通過するときの流速は10〜20m/秒であることが好ましく、さらには13〜19m/秒であることが好ましい。流速が10m/秒よりも小さい場合は凍結する距離が短くなり、火炎長試験において火炎が噴射孔側に戻ってくる逆火現象が起こりやすい。20m/秒よりも大きい場合は火気への安全性が低下するなどの問題がある。
【0056】
ハウジングの導入孔の断面積は、0.7〜7mm2であることが好ましく、さらには1.5〜5mm2であることが好ましい。導入孔が円形である場合、その直径は1〜3mmであることが好ましく、さらには1.5〜2.5mmであることが好ましい。導入孔の断面積が0.7mm2よりも小さい場合は噴射量が少なく噴射孔での流速が遅くなって噴射距離が短くなり、7mm2よりも大きい場合は噴射量が多くなり、火気に対する安全性が低下する。
【0057】
本発明のエアゾール製品は、水性原液と液化ガスとが乳化したエアゾール組成物が、噴射孔の断面積が弁孔の断面積以下である噴射経路から噴射されるため、液化ガスを多く配合しているにも関わらず噴射物が凍結して噴射孔に付着しスプレーパターンが乱れるなどの問題がなく、安定して棒状を維持するため50〜200cm、好ましくは70〜180cm離れた対象物に正確に付着させることができるとともに、対象物上で凍結するため、やけど治療薬、消炎鎮痛剤、鎮痒剤、皮膚保護剤、抗真菌剤、制汗剤、収斂剤、ほてり止めなど、皮膚に付着させる人体用製品の他にも、害虫駆除剤としても好適に用いることができる。
【0058】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
評価方法を下記に示す。
【0060】
得られたエアゾール製品を25℃の恒温水槽中に1時間浸漬し、床面に向けて5秒間噴射したときの状態を評価した。
【0061】
1.噴射状態
○:スプレーパターンの乱れがなく、安定して棒状に噴射された。
△:噴射孔の先端に凍結した噴射物が付着してスプレーパターンが乱れた。
×:広範囲に拡がった。
−:乳化しなかったため評価できなかった。
【0062】
2.噴射孔での流速
1秒あたりの噴射量を測定し、エアゾール組成物の密度と噴射孔の断面積から流速を算出した。
【0063】
【数1】

【0064】
3.凍結距離
床面に向けて噴射し、噴射物の一部が凍結する距離を測定した。
◎:100cm以上
○:50〜95cm
×:45cm以下
××:凍結しなかった。
−:乳化しなかったため評価できなかった。
【0065】
4.冷却能力
25℃の室温内で、噴射孔から50cm離れた位置に設けた温度計に噴射し、噴射物により低下する温度を経時的に測定した。
◎:最低温度が5℃以下であり、20℃に戻る時間が200秒以上かかった。
○:最低温度が10℃以下であり、20℃に戻る時間が150秒以上であった。
×:最低温度が10℃以上であり、20℃に戻る時間150秒以内であった。
−:乳化しなかったため評価できなかった。
【0066】
5.火炎長試験
噴射孔から距離15cmにある高さ5cmの火炎に向けて噴射したときの火炎の伸びを測定した。
◎:45cm以下、逆火なし
○:50〜60cm、逆火なし
△1:65〜80cm、逆火なし
△2:50〜60cm、逆火あり
×1:85cm以上
×2:65cm以上、逆火あり
【実施例】
【0067】
実施例1
下記の水性原液1を調製し、水性原液25gをアルミニウム製耐圧容器に充填した。アンダーカップ充填により液化石油ガス(*1)75gを充填し、耐圧容器の開口部にエアゾールバルブをクリンプした。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化石油ガスとを乳化させてエアゾール組成物を製造した。なお、エアゾールバルブは図1に示されるものを用いた。すなわち、ステム孔1がφ0.5mm(断面積0.25mm2)、ハウジングの導入孔2がφ2.0mm、ベーパータップ孔なしを用い、噴射ボタンは噴射孔3がφ0.3mm(断面積0.09mm2)、ノズル内通路4の長さが5mmであるものを用いた(噴射孔の断面積/ステム孔の断面積=0.36)。試験結果を表1に示す。なお、火炎長試験の結果は35cmであり、逆火は認められなかった。
【0068】
<水性原液1>
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*1) 0.5
キサンタンガム(*2) 0.1
フェノキシエタノール(*3) 0.5
タルク(*4) 0.5
精製水 98.4
合 計 100.0(重量%)

水性原液の粘度:80(mPa・s)
【0069】
<エアゾール組成物>
水性原液/液化石油ガス(*5)=25/75(重量比)
エアゾール組成物の密度:0.64(g/ml)
*1:NIKKOL PBC−44(商品名)、HLB12.5、日光ケミカルズ(株)社製
*2:Rhodigel−J(商品名)、ローディア日華(株)社製
*3:フェノキシエタノールS(商品名)、第一工業製薬(株)社製
*4:クラウンタルクPP(商品名)、松村産業(株)社製
*5:イソブタンとノルマルブタンの混合物、20℃での蒸気圧が0.15(MPa)
【0070】
実施例2
ステム孔がφ0.5mm(断面積0.25mm2)を2箇所有するエアゾールバルブを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した(噴射孔の断面積/ステム孔の断面積=0.18)。結果を表1に示す。なお、火炎長試験の結果は50cmであり、逆火は認められなかった。
【0071】
実施例3
ステム孔が四角孔1.0mm×0.5mm(断面積0.5mm2)を3箇所有するエアゾールバルブを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した(噴射孔の断面積/ステム孔の断面積=0.05)。結果を表1に示す。
【0072】
実施例4
噴射孔がφ0.4mm(断面積0.16mm2)である噴射ボタンを用いたこと以外は、実施例3と同様にしてエアゾール製品を製造した(噴射孔の断面積/ステム孔の断面積=0.09)。結果を表1に示す。
【0073】
実施例5
噴射孔がφ0.5mm(断面積0.25mm2)である噴射ボタンを用いたこと以外は、実施例3と同様にしてエアゾール製品を製造した(噴射孔の断面積/ステム孔の断面積=0.13)。結果を表1に示す。
【0074】
比較例1
噴射孔がφ0.6mm(断面積0.36mm2)である噴射ボタンを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した(噴射孔の断面積/ステム孔の断面積=1.4)。結果を表1に示す。なお、火炎長試験の結果は65cmであり、逆火は7cmであった。
【0075】
実施例6
水性原液1を20g、液化石油ガスを80g用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表2に示す。
水性原液/液化石油ガス(*5)=20/80(重量比)
エアゾール組成物の密度:0.63(g/ml)
【0076】
実施例7
水性原液1を30g、液化石油ガスを70g用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表2に示す。
水性原液/液化石油ガス(*5)=30/70(重量比)
エアゾール組成物の密度:0.66(g/ml)
【0077】
実施例8
水性原液1を40g、液化石油ガスを60g用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表2に示す。
水性原液/液化石油ガス(*5)=40/60(重量比)
エアゾール組成物の密度:0.70(g/ml)
【0078】
比較例2
水性原液1を5g、液化石油ガスを95g用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表2に示す。なお、火炎長試験の結果は90cmであり、逆火は15cmであった。
水性原液/液化石油ガス(*5)=5/95(重量比)
エアゾール組成物の密度:0.59(g/ml)
【0079】
比較例3
水性原液1を55g、液化石油ガスを45g用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表2に示す。なお、火炎長試験の結果は30cmであり、逆火は認められなかった。
水性原液/液化石油ガス(*5)=55/45(重量比)
エアゾール組成物の密度:0.76(g/ml)
【0080】
実施例9
ノズル内通路の長さが20mmであること以外は、実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表2に示す。
【0081】
実施例10
ノズル内通路の長さが30mmであること以外は、実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表2に示す。
【0082】
実施例11
下記の水性原液2を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。水性原液2の粘度は40(mPa・s)であった。結果を表3に示す。なお、火炎長試験の結果は60cmであり、逆火は認められなかった。
【0083】
<水性原液2>
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*1) 0.5
キサンタンガム(*2) 0.05
フェノキシエタノール(*3) 0.5
タルク(*4) 0.5
精製水 98.45
合 計 100.0(重量%)
【0084】
実施例12
水性原液2を用いたこと以外は、実施例2と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表3に示す。
【0085】
実施例13
水性原液2を用いたこと以外は、実施例3と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表3に示す。
【0086】
実施例14
水性原液2を用いたこと以外は、実施例4と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表3に示す。
【0087】
実施例15
水性原液2を用いたこと以外は、実施例5と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表3に示す。
【0088】
比較例4
水性原液2を用いたこと以外は、比較例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表3に示す。なお、火炎長試験の結果は65cmであり、逆火は10cmであった。
【0089】
実施例16
下記の水性原液3を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。水性原液3の粘度は20(mPa・s)であった。結果を表4に示す。なお、火炎長試験の結果は60cmであり、逆火は認められなかった。
【0090】
<水性原液3>
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*1) 0.5
キサンタンガム(*2) 0.01
フェノキシエタノール(*3) 0.5
タルク(*4) 0.5
精製水 98.49
合 計 100.0(重量%)
【0091】
実施例17
水性原液3を用いたこと以外は、実施例2と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表4に示す。
【0092】
実施例18
水性原液3を用いたこと以外は、実施例3と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表4に示す。
【0093】
比較例5
水性原液3を用いたこと以外は、比較例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表4に示す。なお、火炎長試験の結果は65cmであり、逆火は10cmであった。
【0094】
実施例19
下記の水性原液4を用いたこと以外は、実施例3と同様にしてエアゾール製品を製造した。水性原液4の粘度は240(mPa・s)であった。結果を表5に示す。なお、火炎長試験の結果は40cmであり、逆火は認められなかった。
【0095】
<水性原液4>
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*1) 0.5
キサンタンガム(*2) 0.2
フェノキシエタノール(*3) 0.5
タルク(*4) 0.5
精製水 98.3
合 計 100.0(重量%)
【0096】
実施例20
水性原液4を用いたこと以外は、実施例4と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表5に示す。
【0097】
実施例21
水性原液4を用いたこと以外は、実施例5と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表5に示す。
【0098】
比較例6
水性原液4を用いたこと以外は、比較例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表5に示す。なお、火炎長試験の結果は50cmであり、逆火は3cmであった。
【0099】
実施例22
下記の水性原液5を用いたこと以外は、実施例3と同様にしてエアゾール製品を製造した。水性原液5の粘度は1250(mPa・s)であった。結果を表6に示す。なお、火炎長試験の結果は50cmであり、逆火は認められなかった。
【0100】
<水性原液5>
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*1) 0.5
キサンタンガム(*2) 1.0
フェノキシエタノール(*3) 0.5
タルク(*4) 0.5
精製水 97.5
合 計 100.0(重量%)
【0101】
実施例23
水性原液5を用いたこと以外は、実施例4と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表6に示す。
【0102】
比較例7
水性原液5を用いたこと以外は、比較例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表6に示す。
【0103】
実施例24
下記の水性原液6を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。水性原液6の粘度は18000(mPa・s)であった。結果を表6に示す。なお、火炎長試験の結果は60cmであり、逆火は認められなかった。
【0104】
<水性原液6>
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*1) 0.5
キサンタンガム(*2) 2.0
フェノキシエタノール(*3) 0.5
タルク(*4) 0.5
精製水 96.5
合 計 100.0(重量%)
【0105】
実施例25
水性原液6を用い、噴射孔がφ0.5mm(断面積0.25mm2)である噴射ボタンを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した(噴射孔の断面積/ステム孔の断面積=1.0)。結果を表6に示す。なお、火炎長試験の結果は55cmであり、逆火は認められなかった。
【0106】
実施例26
下記の水性原液7を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。水性原液7の粘度は5(mPa・s)であった。結果を表7に示す。なお、火炎長試験の結果は50cmであり、逆火は認められなかった。
【0107】
<水性原液7>
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*1) 0.5
フェノキシエタノール(*3) 0.5
タルク(*4) 0.5
精製水 98.5
合 計 100.0(重量%)
【0108】
実施例27
水性原液7を用いたこと以外は、実施例2と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表7に示す。
【0109】
実施例28
水性原液7を用いたこと以外は、実施例3と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表7に示す。
【0110】
比較例8
水性原液7を用いたこと以外は、比較例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。結果を表7に示す。
【0111】
【表1】

【0112】
【表2】

【0113】
【表3】

【0114】
【表4】

【0115】
【表5】

【0116】
【表6】

【0117】
【表7】

【0118】
表1〜7に示されるように、本願発明のエアゾール製品は水性原液と液化ガスとが特定の割合で乳化しており、噴射孔の断面積がステム孔の断面積以下である場合は噴射物が拡がらずに棒状となり、噴射物が凍結する距離は50cm以上と長くなった。特に噴射孔の断面積が0.13mm2以下である場合は、凍結距離が100cm以上と特に長くなり、さらに噴射パターンの乱れがないため、消費者が対象物の近くに寄らなくても狙い撃ちすることができる。一方、噴射孔の断面積がステム孔の断面積よりも大きい場合は噴射物が拡がりやすく、凍結距離が30cm程度と短くなった。
【0119】
また、表2に示されるように、水性原液の配合量が10〜50重量%、液化ガスの配合量が50〜90重量%の範囲にある場合は噴射物が拡がらずに棒状となり、噴射物が凍結する距離は50cm以上と長くなった。一方、水性原液の配合量が10重量%よりも少ない場合は水性原液と液化ガスとが乳化せず、水性原液の配合量が50重量%よりも多い場合は凍結しなかった。
【0120】
以上、本発明のエアゾール製品によれば、特定の割合で配合された水性原液と液化ガスとが乳化しているエアゾール組成物を、特定の噴射経路から噴射することにより、大気中に噴射されても広角に拡がらずに棒状を維持でき、噴射孔から遠く離れた位置でも噴射物の少なくとも一部が凍結する。そのため、噴射孔から離れた位置にある対象物を冷却することができ、人体用品としてだけではなく、冷却効果により害虫の動きを弱めることができ、害虫を駆除しやすくなる。さらに噴射距離が長いにもかかわらず、火炎の伸びが短くなり火気に対する安全性が高い。
【符号の説明】
【0121】
1 ステム孔
2 導入孔
3 噴射孔
4 ノズル内通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性原液10〜50重量%と、液化ガス50〜90重量%とが乳化されてなるエアゾール組成物が、エアゾール容器に充填されてなるエアゾール製品であって、
該エアゾール容器に装着される噴射部材の噴射孔の断面積が、該エアゾール容器の弁孔の断面積以下であることを特徴とするエアゾール製品。
【請求項2】
前記噴射孔の断面積が、0.03〜0.3mm2であり、
前記弁孔の断面積が、0.05〜2.0mm2である請求項1記載のエアゾール製品。
【請求項3】
前記噴射孔の断面積/弁孔の断面積が、0.03〜0.80である請求項1または2に記載のエアゾール製品。
【請求項4】
前記エアゾール組成物が噴射孔を通過するときの流速が、10〜20m/秒である請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアゾール製品。
【請求項5】
前記水性原液の粘度が、2〜20000(mPa・s)である請求項1〜4のいずれか1項に記載のエアゾール製品。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−260572(P2010−260572A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110854(P2009−110854)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】