説明

エアバックを漸進的に膨張可能とする方法

【課題】エアバックの漸進的な膨張を提供するための簡単に利用できて、経済的な方法を提供することである。
【解決手段】発生器は、発生器内に位置する固形の火薬(9)の燃焼から少なくとも一部のガスを発生させるものであり、火薬は、20MPaの圧力下で25mm/s以上の線燃焼速度V1を有する主火薬と、20MPaの圧力下で0.05V1≦V2≦0.5V1の関係を満足する線燃焼速度V2を有する外側被覆によって少なくとも部分的に覆われた主火薬の表面部分とを有しており、主火薬の表面部分の全体が主火薬の燃焼開始表面として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突時において火工式ガス発生器によって膨張させられるエアバックによる自動車搭乗者の保護の分野に関する。より詳細には、本発明は、エアバックの漸進的な展開を保証する方法に関する。本発明は、本発明による方法の実施を可能にする火薬にも関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の衝突時において、火工式ガス発生器から発生するガスによって膨張させられるエアバックにより自動車搭乗者を保護することが知られている。エアバックを膨張させるために機能するガスは、完全に火薬の燃焼から生じるか、又は、いわゆるハイブリッド式ガス発生器の場合のように圧力室に蓄えられているガスと火薬の燃焼から生じるガスとを混合することによって生じる。火工式ガス発生材の組成物として、当業者は、例えばフランス国特許第2649478号又はその対応米国特許第5139280号に開示されたようなアジ化ナトリウムを主成分とする無機組成物を用いている。当業者は、さらにニトロセルロースから成る単一の主成分を有するか、又は、ニトロセルロースとニトログリセリンから成る二つの主成分を有する武器用発射火薬と同様な組成物か、又は、他に、例えば、フランス国特許第262322号又はその対応米国特許第5160163号に開示されているような有機バインダと酸化剤とを主成分とするいわゆる混合火薬を用いている。
【0003】
自動車搭乗者を保護するエアバックは、30から40msオーダーの極めて短い時間で展開しなければならず、そのために非常に高い燃焼速度を有する火薬の使用を必要とする。しかしながら、このような火薬の使用は動作の最初の数msにおけるエアバックの展開が突然すぎるために、エアバックが保護のために支える自動車搭乗者の深刻な傷害を引き起こす新たな問題が生じる。それゆえ、自動車の安全性の要求と両立する全体的な燃焼速度を有し、漸進的な燃焼特性を有する火薬を用いる必要がある。当業者は、このような火薬にとって、閉鎖室内での点火時において閉鎖室内の圧力を表す曲線が時間の関数として全体的にS字形を有すると述べている。
【0004】
この種の考え方は、着火程度を高めるコーティングによって完全に又は部分的に覆われている火薬を使用することから完全に逸脱している。例えば、米国特許第4246051号に開示されている火薬は、所望の漸進的な性質とは矛盾する初期の圧力展開を有している。
【0005】
エアバックの漸進的な展開を得るために、当業者は数種の解決方法を模索している。
【0006】
当業者は異なる厚さと異なる燃焼速度を有するいくつかの層を具備する火薬を製造することを試みている。こうして、米国特許第5507890号は、加圧によって製造されるアジ化ナトリウムを主成分とするような火薬を開示している。それにもかかわらず、こうして開示された技術は、アジ化ナトリウムを主成分とする組成物への適用の可能性を制限している。さらに言えば、この組成物は、この種の組成物と関連する有害性と安全性との問題のために、急激に見捨てられている。
【0007】
当業者は、さらに、例えばヨーロッパ特許出願第0586045号及び同第0586060号に開示されているような樹脂又は不活性無機物質を主成分とする抑制被覆で、高い燃焼速度を有する組成物を主成分とする火薬をコーティングすることによって、漸進的な火薬を試みている。しかしながら、これらの解決方法は、こうして発生されるガスの無害性と清潔性の観点から満足されるものではない。
【0008】
従って、当業者は、それぞれが異なる火薬を含む多数の同軸燃焼室を有するガス発生器を用いることによってガスの漸進的な放出を得ることを試みている。例えば、特にシートベルトリトラクタのための発生器に関する米国特許第5529335号において開示されている解決方法は、ガス発生器の複雑な構造及びその結果としての高いコストを伴うものである。
【0009】
現在において、当業者は、自動車の安全性の要求によって課される時間的条件の基で、エアバックの漸進的な膨張を提供するための簡単に利用できて、経済的な解決法を有していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は特にこの問題の解決法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
それにより、本発明は、自動車搭乗者の保護のためのエアバックを、装置によって漸進的に膨張可能とする方法に関する。前記装置は、主に、火工式の発生器へ接続されたエアバックを有し、前記発生器は、発生器内に位置する固形の火薬の燃焼から少なくとも一部のガスを発生させるものである。火薬の燃焼は、衝突検出器に接続された点火装置によって開始される。前述の方法は、
i)20MPaの圧力下で25mm/s以上の線燃焼速度V1を有する主火薬と0.05V1≦V2≦0.5V1の関係を満足する線燃焼速度V2を有して簡単な堆積によって前記主火薬へ付着する火工組成物の外側被覆によって少なくとも部分的に覆われていている前記主火薬の表面部分とを有する固形の二つの組成物の火薬が使用され、
ii)前記二つの組成物の火薬は前記発生器内に配置され、それにより、前記点火装置が衝突検知器によって作動させられる時に、こうして覆われた前記主火薬の前記表面部分の全体が前記主火薬の燃焼開始表面として機能することを特徴とする。
【0012】
こうして、本発明による方法は、エアバックを膨張させるために機能する全てのガスが固形火薬の燃焼により発生する保護装置と、エアバックを膨張させるために機能するガスが一部に固形火薬の燃焼により発生し、その他のガスが、加圧されたガス容器から発生する保護装置との両方に関する。後者は、いわゆるハイブリット式ガス発生器の場合又は外側から発生するサイフォン装置の場合である。
【0013】
本発明の第一の本質的な特徴によれば、自動車の安全性の要求を満たすことを可能とするために、20MPaの作動圧力下で25mm/s以上の好ましくは40mm/sに近い線燃焼速度V1を有する主ガス発生火薬を有する固形の二つの組成物の火薬が用いられている。この主火薬はディスク形であるが、主火薬を点火装置回りに配置することを可能とする少なくとも一つの中央の通路を有する環状の軸対称ブロックの形状であることが有利である。このブロックは、好ましくは少なくとも一つの周辺の通路を有し、通常は、複数の周辺の通路を有している。
【0014】
この主火薬の表面は、少なくとも部分的にガスを発生させる火工式ガス発生組成物の外側被覆で覆われていなければならない。このガス発生組成物の燃焼速度は、主火薬の燃焼速度より小さくするが、ゼロであってはならない。それゆえ、熱で分解するが適当な燃焼速度を有しない抑制成分は、本発明の分野から明確に除外される。実際、この被覆を形成するために同じ圧力下で
0.05V1≦V2≦0.5V1の関係
及び、好ましくは、
0.1V1≦V2≦0.5V1の関係を満たす線燃焼速度V2を有する火工組成物が選択される。
【0015】
火工組成物のこの外側被覆は、いずれの火工式不連続性を有することなく、特に接着剤を使用することなく、主火薬へ完全に付着していなければならない。それゆえ、この被覆は簡単な堆積によって主火薬に付着しなければならない。このため、外側被覆及び主火薬は通常同じ種類である。
【0016】
本発明の第一実施態様によれば、ニトロセルロースを主成分とした火工組成物が前記主火薬と前記外側被覆とを構成するために用いられる。これは、これらの組成物が、溶媒を蒸発させた後に前記主火薬に完全に付着する被覆を構成するために、主火薬上の薄い層として、浸しコーティング又は吹き付けによって堆積可能なラッカーの調合に良く適しているためである。有利なことに、強力な可塑材及び強力でない可塑材を前記ラッカーに含ませることが可能である。この特に好ましい一つの解法は、ニトロセルロースとニトログリセリンとから成る二つの主成分を有する主火薬を使用し、この主火薬がニトロセルロースから成る単一の主成分を有する粉体の被覆で覆われている。しかしながら、時間を通して安定させるために、本発明の好適な第二実施態様によれば、例えば“ロバ”という名で知られている組成物のようなバインダと強力な火薬とから成る混合火工組成物が、前記主火薬の外側部分及び前記外側被覆を構成するために用いられる。
【0017】
バインダの種類によっては、浸しコーティング又は吹き付けによって主火薬上に堆積されることは可能である。その組成物層は、揮発性溶媒の溶液の形態、又は、バインダが重合されていない混合ペーストの形態で、外側被覆を構成するように意図されている。その重合は主火薬上に堆積した後に起こる。被覆の主火薬への付着を改良するため、同じバインダを有する混合組成物が、前記主火薬及び前記被覆を構成するために有利に用いられる。
【0018】
本発明における特に好ましい火工組成物として、フランス国特許第2728562号又はその対応米国特許第5610444号、又は、その他のフランス国特許出願番号96.08050号において開示されている組成物が挙げられる。
【0019】
本発明の好適な実施態様によれば、主火薬は、環状ブロックの形状で使用され、環状ブロックの外側の側表面にだけしか、燃焼速度V2の被覆で覆われていない。
【0020】
本発明の第二の特徴によれば、前記二つの主成分の火薬が前記発生器内に配置され、それにより、こうして覆われた主火薬の少なくとも表面全体が、前記点火装置が作動される時に、主火薬の燃焼開始表面として機能する。遅い燃焼速度の火工組成物の外側被覆が火薬の燃焼開始に完全に寄与するということは、本発明の本質であり、これを達成するために、点火装置から生じる熱いガスがこの被覆全体に達することができることは重要である。これは、特に二つの組成物の火薬が環状ブロック形状である時に、このブロックが発生器の燃焼室より小さい寸法を有し、このブロック10が、点火ガスを透過可能な固定手段によって燃焼室内に固定されなければならないということを意味する。そのため、側壁と平面表面とを有し、中央の点火装置が通過する閉リングによって閉ざされている缶形の中空の筒状体から成るガス発生器は有利に用いられる。この点火装置は、前記缶に入り、例えば、網やばねのようなガスを透過する固定装置によって適切な位置に保持された環状ブロック形状の火薬によって囲まれている。前記ガス発生器の側壁は、さらに、前記発生器内の銅の薄い金属シェルによって動作前に遮断されているガス排出オリフィスを有する。
【0021】
主火薬が前記被覆によって覆われていない範囲を有するならば、場合によって、これらの範囲は火薬の燃焼開始に寄与できたり、できなかったりする。
【0022】
本発明は、前述された方法の実施を可能にする二つの組成物の火薬にも関する。これらの火薬は、20MPaの圧力下で少なくとも25mm/sの線燃焼速度を有する内部に閉じ込められた主火薬を有し、少なくとも前記主火薬の表面の一部が、簡単な堆積によって前記主火薬へ付着していて20MPaの圧力下で
0.05V1≦V2≦0.5V1の関係を満たす線燃焼速度V2を有する火工組成物の被覆で覆われていることを特徴とする。
すでに述べたように、線燃焼速度V2は、好ましくは、
0.1V1≦V2≦0.5V1の関係を満足する。
【0023】
この被覆は、多孔の環状ブロックの場合における通路の表面、又は、環状ブロック形状の主火薬の場合における例えば外側表面だけのような一部を有する主火薬の全体表面を覆っている。詳細に説明されるように、この被覆の燃焼は、完全な二つの組成物の火薬の燃焼における全体の最初の数msに一致しなければならない。それゆえ、この被覆は、微量の火工材料を含み、その厚さは非常に薄い、通常0.1mm以下そして好ましくは百分の数mmのオーダーである。実際、燃焼時間が主火薬の燃焼時間のせいぜい4分の1になるように、この被覆の厚さを設定することが求められる。
【0024】
こうして、自動車の衝突の場合において、衝突検知器が電気信号を点火装置へ送り、この点火装置が、発火して、遅い燃焼速度の火工組成物の被覆で覆われた二つの組成物の火薬の少なくとも全体表面上に熱いガスを送る。これはエアバックの展開を開始させるガスの穏やかな発生をもたらす。この被覆の厚さが前述のように非常に薄いので、数ms後に被覆はそれ自身の燃焼を終え、燃焼材料をまだ燃焼を開始していない主火薬の表面へ伝達させる。次いで、燃焼は主火薬の全表面にわたって高い燃焼速度及び大きなガス流量で続く。これは、自動車の安全性のために要求される時間内で、エアバックの展開が継続して終了する。本発明は、浸しコーティングや吹き付けによる二つの組成物の火薬の製造は容易に自動化できるので、製造コストを明らかに増加することなく、一般的な発生器を使用するエアバックの漸進的展開の可能性を当業者に提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1から4を参照して、好適な実施形態による本発明の実施の一例が以下に述べられる。
図1は自動車搭乗者を保護する装置を示す。この装置は、ねじ3によってガス発生器2に固定された膨張可能なエアバック1を有している。このねじ3は装置を自動車に固定する働きもする。
【0026】
ガス発生器2は、側壁4と、単一部材として作られる平面壁5とを具備する缶形状の中空の筒状体を有している。この筒状体は、ガス発生器2の本体を構成するために、筒状体の自由端において固定された閉リング6によって閉ざされている。閉リング6はガス発生器2に侵入する首部7と共に中央開口フランジを有する。電気式の点火装置8は、首部7に固定され、図示されていない衝突検知器へ電気的に接続されている。環状ブロック形状の火薬9は、点火装置8回りでガス発生器2の内側に配置される。さらに詳細に図2を参照すると、この環状ブロックは、中央の大直径通路10を有する丸い突出部のあるリングの形状を有していて、それぞれの丸い突出部11は小直径通路12を有しているということがわかる。火薬9の寸法は、ガス発生器2の内側の容積より小さく、火薬9は、点火装置8から生じたガスを透過させる組立体13及び14によって適切な位置に保持される。
【0027】
ガス発生器2の本体の側壁4は平面壁5の近傍に位置するガス排出オリフィス15を有する。これらのガス排出オリフィス15は、非常に薄い銅の内部缶部材16によって覆われている。この部材16の自由端は閉リング6と側壁4の間で挟持されている。
【0028】
これらのガス排出オリフィス15は、穴の開いたデフレクタ17に対向して配置されている。このデフレクタ17は、外部環状リング18及び環状ディフューザ19によって適切な位置に担持され保持されている。この環状ディフューザ19が平面壁5の縁に固定される一方で、外部環状リング18は側壁4上の外側平担部22に当接している。外部環状リング18と環状ディフューザ19の間中に押し込められた濾過網材20及び21は、膨張可能なエアバック1の内側にあるガス出口装置を完成させる。
【0029】
より詳細に図3を参照すると、火薬9は、前述の幾何形状を有する主火薬23と、図1の場合と同様に図3で明確化のために厚さを誇張して示された外側被覆24で覆われている主火薬の外側の側面とで構成されていることが理解される。
【0030】
フランス国特許第2728562号で開示されている技術によると、主火薬23は、シリコーンバインダと、過塩素酸アンモニウムと硝酸ナトリウムとの混合物である酸化剤とから基本的に構成される混合火薬である。この主火薬23中の酸化剤の含有量は重量で80%である。外側被覆24は同じ種類の火工組成物からなり、酸化剤の含有量は重量で40%である。この外側被覆24は、シリコーンバインダの架橋結合が終わる前に吹き付けることによって主火薬23上に堆積される。外側被覆24の厚さは0.1mm(1mmの10分の1)未満で、20MPaにおける主火薬23の線燃焼速度V1が40mm/sであるため、外側被覆24の20MPaにおける線燃焼速度V2は4mm/sのオーダーである。
【0031】
この発生器の動作は次の通りである。事故時に、接近可能な表面の全てにわたって火薬9の燃焼を始めさせるために、図示していない衝突検知器が、熱いガスを発生する点火装置8を発火させる電気信号を送る。この火薬の平坦な表面が、中央の大直径通路10及び周辺の小直径通路12の内部表面と共に高い速度V1で直ちに燃焼する一方で、火薬9の側面は、外側被覆24の厚さ分が燃焼された時にだけ高い燃焼速度V1で燃焼するように、穏やかな燃焼速度V2で燃焼を開始することは注記される。
【0032】
発生器内の圧力が予め定められた十分な値に達した時、ガス排出オリフィス15に対向して位置する内部缶部材16の一部を構成するキャップが破裂し、燃焼ガスは、エアバック1を膨張させる前に、穴の開いたデフレクタ17によって分散され、濾過網材20及び21を通過する。本発明において、キャップは外側被覆24が燃焼し終える前に破裂しなければならないことは注記される。
【0033】
驚くべきことに、薄い銅の内部缶部材16は、通常の薄いアルミニウムの内部缶部材で得られるガスより清潔で害の少ないガスを得ることを可能にすることが認められた。
【0034】
例として、前述されたと同一のガス発生器が、エアバックに提供される容積を示す60リットルの密閉室内で作動された。一方で、発生器内の圧力Pと、他方で、密閉室内の圧力Pとが、圧力センサーを用いて計測された。図4は、このようにして得られたP及びPの曲線を時間の関数として示す。曲線Pは密閉室内で圧力が漸進的に上昇しているという特性を明確に示している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による方法を実施可能にする装置の部分断面図である。
【図2】本発明で用いられる二つの組成物の火薬の斜視図である。
【図3】図2に示す火薬の軸対称平面における断面図である。
【図4】本発明による装置の動作時における圧力曲線である。
【符号の説明】
【0036】
1 エアバック
2 ガス発生器
8 点火装置
9 二つの組成物の火薬
23 主火薬
24 外側被覆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車搭乗者の保護のためのエアバック(1)を装置によって漸進的に膨張可能とする方法であって、前記装置は、主に、火工式の発生器(2)へ接続された前記エアバックを有し、前記発生器は、前記発生器内に位置する固形の火薬(9)の燃焼から少なくとも一部のガスを発生させるものであり、前記火薬の燃焼が衝突検出器に接続された点火装置(8)によって開始される方法において、
i)20MPaの圧力下で25mm/s以上の線燃焼速度V1を有する主火薬(23)と、20MPaの圧力下で0.05V1≦V2≦0.5V1の関係を満足する線燃焼速度V2を有して簡単な堆積によって前記主火薬へ付着する火工組成物の外側被覆(24)によって少なくとも部分的に覆われていている前記主火薬の表面部分とを有する固形の二つの組成物の火薬(9)が使用され、
ii)前記二つの組成物の火薬は前記発生器内に配置され、それにより、前記点火装置が前記衝突検知器によって作動させられる時に、前記主火薬の前記表面部分の全体が前記主火薬の燃焼開始表面として機能する
ことを特徴とするエアバックを漸進的に膨張可能とする方法。
【請求項2】
前記主火薬及び前記被覆を構成するためにニトロセルロースを主成分とする火工組成物を用いることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記主火薬及び前記被覆を構成するために主にバインダ及び強力な火薬を有する混合火工組成物を用いることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記主火薬及び前記被覆を構成するために同じバインダを有する混合組成物を用いることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ディスク形の火薬を主火薬として用いることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも一つの中央の通路を有する環状ブロック形状の火薬が主火薬として用いられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記環状ブロックの外側の側面だけが前記被覆(24)で覆われていることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記被覆の線燃焼速度V2が、20MPaの圧力下における主火薬の線燃焼速度であるV1と、20MPaの圧力下で、0.1V1≦V2≦0.5V1の関係を満足することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
側壁(4)及び平坦な表面(5)を有し、前記点火装置(8)が通過する閉リング(6)によって閉ざされている缶形の中空の筒状体から成る前記発生器(2)が用いられ、前記筒状体がガスを通過可能な固定手段(13,14)によって適切な位置に保持された環状ブロック(9)の形状の前記火薬を取り囲み、前記発生器の側壁は、前記筒状体へ銅製の薄い金属シェル(16)によって遮断されたガス排出オリフィスを有することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
請求項1による方法の実施を可能とする前記二つの組成物の火薬(9)であって、20MPaの圧力下で25mm/s以上の線燃焼速度を有する内側の主火薬(23)を有し、前記主火薬の表面の少なくとも一部が、前記主火薬に簡単な堆積によって付着して20MPaの圧力下で0.05V1≦V2≦0.5V1の関係を満たす線燃焼速度V2を有する火薬の前記被覆(24)によって覆われていることを特徴とする二つの組成物の火薬。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−45405(P2007−45405A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−240671(P2006−240671)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【分割の表示】特願平10−99337の分割
【原出願日】平成10年4月10日(1998.4.10)
【出願人】(597172270)
【Fターム(参考)】