説明

エアフィルタの製造方法

【課題】濾材のエアフィルタ用金型への挿入を容易にする。
【解決手段】金型10は下型11と上型21を備える。下型11の底面13に、複数の下型防液板を立設する。上型21の底面23に複数の上型防液板を立設する。下型防液板は、4枚の下型防液板17A〜17Dを1組として下型防液板部16を形成する。下型防液板部16は、所定方向Xに複数並列する。各下型防液板部16において、下型防液板17A〜17Dは、同一平面上に設けられ、空隙18A〜18Cを介して配置される。空隙18A、18B、18Cそれぞれは、連続して流路19A、19B、19Cを形成する。上型防液板及び下型防液板は、それらの間に濾材を挟み込みつつ、噛み合うように配置される。このとき、各濾材のセパレータは、流路19A〜19Cに配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注型樹脂を成形型に流し込んでエアフィルタ枠を成形してエアフィルタを製造するエアフィルタ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、送気マスク用等の小型タイプのエアフィルタは、フィルタ枠を注型樹脂で成形する場合がある。この種のエアフィルタは、従来、上型及び下型によって形成されるキャビティ内に、ひだ折り加工された濾材をセットした後、その濾材外周に注型樹脂を流し込んで製造するのが一般的である。このような製造方法で使用される金型では、上型及び下型の互いに対向する底面それぞれに、濾材のひだ山と同じ数だけ並列された複数の防液板が立設されている。
【0003】
エアフィルタ製造においては、まず、下型の防液板それぞれの間に、濾材のひだ山を挿入配置し、下型の上に濾材を取り付ける。次いで、濾材が取り付けられた下型の上に上型を重ねて、上型の各防液板を各濾材のひだ山内部に挿入配置した後、濾材外周に注型樹脂を流し込む。この方法では、濾材の各ひだ山が、下型の防液板と上型の防液板とで挟まれるため、ひだ山間から、濾材内部に樹脂を流入させずにフィルタ枠を成形することが可能になる。
【0004】
しかし、ひだ折り加工された濾材は、通常、その折り目方向に直交する方向に伸縮性が高いため、下型に濾材を取り付けるとき、各防液板の間にひだ山を配置しにくいという問題がある。
【0005】
一方、濾材は、ひだ山間に介挿したセパレータによってひだ山間を固定することにより、上記直交方向における伸縮性を低くすることができる。しかし、このような濾材は、防液板間にひだ山を挿入するとき、その挿入がセパレータによって阻害されるため、上記樹脂成型タイプのエアフィルタに従来使用されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みて成されたものであり、ひだ折り加工された濾材を、下型に容易に取り付けることが可能なエアフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエアフィルタの製造方法は、所定方向に並べられ、櫛歯状を呈する複数の上型防液部が立設された上型と、所定方向に並べられ、櫛歯状を呈する複数の下型防液部が立設された下型とを備え、各下型防液部は、所定方向に直交する方向に間隙おいて少なくとも2つに分割され、その間隙が連続して、流路が形成されるとともに、上型防液部は、下型防液部に噛み合うように設けられる成型型を用いてエアフィルタを製造する方法であって、濾材がひだ状に折り畳まれて形成され、その折り畳まれた濾材間を所定の間隔を介して固定するセパレータが設けられた濾材パックを用意する第1工程と、セパレータが流路に配置されるように、複数の下型防液部に濾材パックを嵌め入れる第2工程と、複数の上型防液部を、濾材パックが間に挟まれるようにして複数の下型防液部と噛み合うように配置させる第3工程と、濾材パックの外周及び流路に注型液を流し込み、濾材パック外周にフィルタ枠を成形するとともに、フィルタ枠に掛け渡されたリブを成形する第4工程とを備えることを特徴とする。
【0008】
流路は、例えば、所定方向に直線状に延在し、また、セパレータは、濾材の折り目方向に直交する方向に沿って延在し連続していても良いが、直交する方向に沿って不連続に形成されていても良い。セパレータは、濾材の少なくとも一方の面に設けられても良いし、濾材の両面に設けられても良い。セパレータは、例えば、糸セパレータである。
【0009】
本発明の別の態様のエアフィルタの製造方法は、所定方向に複数の防液部が並べられて櫛歯状を呈するとともに、各防液部が、所定方向に直交する方向に間隙おいて少なくとも2つに分割され、その間隙が連続して、流路が形成された成型型を用いて、エアフィルタを製造する方法であって、濾材がひだ状に折り畳まれて形成され、折り畳まれた濾材間を所定の間隔を介して固定するセパレータが設けられた濾材パックを用意する第1工程と、セパレータが流路に配置されるように、櫛歯状の複数の防液部に濾材パックを嵌め入れる第2工程と、濾材パックの外周及び流路に注型液を流し込み、濾材パック外周にフィルタ枠を成形するとともに、フィルタ枠に掛け渡されたリブを成形する第3工程とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るエアフィルタは、濾材がひだ状に折られて形成され、かつその折り畳まれた濾材間を所定の間隔を介して固定するセパレータが設けられた濾材パックと、濾材パックをその内部に保持するフィルタ枠と、濾材パックの各ひだ山を交差するように設けられ、エアフィルタ枠に掛け渡されたリブとを備え、セパレータがリブの内部に埋没されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、セパレータでひだ山間が固定された濾材を用いて注型樹脂タイプのエアフィルタを製造することが可能になったので、濾材の下型への取り付けを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】金型を示す斜視図である。
【図2】濾材を示す斜視図である。
【図3】エアフィルタの製造過程を示す断面図である。
【図4】濾材が下型に取り付けられたときの上面図であって、濾材を点線で下型を実線で示す。
【図5】注型液が充填される時の濾材端部の様子を示す断面図である。
【図6】エアフィルタを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る金型を示す斜視図である。本実施形態の金型10は、互いに対向するように設けられた下型11及び上型21を備える。
【0014】
下型11には、その上面15から凹んだ凹部12が設けられる。凹部12は底面13と側壁14で形成される。凹部12の側壁14は、所定方向Xに対向する第1及び第2の側壁部14A、14Bと、所定方向に直交する直交方向Yに対向する第3及び第4の側壁部14C、14Dとで構成される。上型21は、その底面23を下型11の上面15に重ね合わせることにより、凹部12の上部を塞ぎ、下型11との間にフィルタ枠を成型するためのキャビティを形成する。
【0015】
凹部12の底面13には、上型21に向かって複数の下型防液板部16が立設されるとともに、上型21の底面23には、下型11に向かって複数の上型防液板部26が立設される。各上型防液板部26は、上型21が下型11に重ねられた状態では、凹部12内部に配置される。
【0016】
各下型防液板部16は、直交方向Yに長い略矩形の板が、空隙18A〜18Cをおいて、直交方向Yに4分割された形状を呈する。すなわち、1つの下型防液板部16は、同一平面上(所定方向Xに直交する平面上)に配置された4枚の下型分割板17A〜17Dから構成される。各下型分割板17A〜17Dの厚さ方向は、所定方向Xに略一致する。
【0017】
下型11において、下型防液板部16は、所定方向Xに複数並列され、櫛歯状を呈する。また、各下型防液板部16に設けられた3つの空隙18A〜18Cそれぞれは、他の下型防液板部16に設けられた空隙18A〜18Cそれぞれと、直交方向Yにおいて同一位置に配置される。そのため、各空隙18Aは連続し、所定方向Xに直線状に延在する通路(流路)19Aとなる。同様に、各空隙18B、18Cが連続して流路19B、19Cが形成される。
【0018】
すなわち、複数の下型分割板17Aは所定方向Xに一列に並列されるとともに、複数の下型分割板17Bも所定方向Xに一列に並列され、その複数に配列された複数の下型分割板17Bと、複数の下型分割板17Aとの間に流路19Aが形成される。流路19B、19Cも同様に形成される。
【0019】
複数の下型防液板部16のうち、所定方向Xにおいて、最も両端側に設けられた下型防液板部16、16は、所定の間隙31、32を介して、側壁部14A、14Bに隣接する。また、各下型防液板部16の直交方向Yにおける両端部の端面(下型分割板17Aの端面、及び下型分割板17Dの端面)それぞれは、所定の間隔33、34を介して、側壁部14C、14Dに対向する。
【0020】
間隙31〜34は、注型液が注入されるための四角枠形の外周流路35となる。また、上記した流路19A〜19Cの所定方向Xにおける両端は、外周流路35に接続しており、外周流路35に注型液が注入されると、流路19A〜19Cにも注型液が流入される。上型21の底面23には、四角枠形の外周流路35の少なくとも4隅に連通する複数の注入・排気口36が設けられる。
【0021】
なお、側壁部14Cに対向する下型分割板17Aの端面の位置は、直交方向Yにおいて互いに一致していても良いが、ずれていても良い。本実施形態では、外周流路35が注入・排気口36に連通されるスペースを確保するために、最も両側壁部14A、14B側(所定方向Xにおいて最も両端部側)の1〜3枚程度の下型分割板17Aの端面の位置は、他の下型分割板17Aの端面の位置よりも内側に配置される。側壁部14Dに対向する下型分割板17Dの端面の位置も同様である。
【0022】
複数の上型防液板部26は、下型防液板部16に対応して形成される。すなわち、4枚の上型分割板27A〜27Dから成る上型防液板部26が、所定方向Xに複数並列され、櫛歯状を呈する。各上型防液板部26において、上型分割板27A〜27Dは、同一平面(所定方向Xに直交する平面)上において、空隙28A〜28Cをおいて配置される。空隙28A〜28Cそれぞれは、下型11の流路19A〜19Cそれぞれに一致した位置に配置される。なお、上型分割板27A〜27Dの構成は、下型分割板17A〜17Dと同様であるため、その他の説明は省略する。
【0023】
上型分割板27A〜27Dそれぞれの位置は、下型分割板17A〜17Dの配置位置から僅かにずれており、上型21が下型11に重ねられると、複数の上型分割板27A〜27Dは複数の下型分割板17A〜17Dに噛み合うように配置される。すなわち、各上型分割板27Aは、図3に示すように、所定方向Xにおいて隣接する2枚の下型分割板17A、17Aの間に配置される。同様に、上型分割板27B〜27Dも所定方向Xに隣接する2枚の下型分割板17B〜17Dの間に配置される。
【0024】
なお、図3に示すように、所定方向Xにおいて最も両端側に設けられた上型防液板部26、26は、最も両端側に設けられた下型防液板部16、16それぞれの内側に配置されるように、上型防液板部26は、下型防液板部16の数より1つ少ない。
【0025】
また、各分割板は、図1では、模式的に平面状に示したが、実際には図3に示すように、断面三角形を呈し、先端に向かうに従ってその厚さが薄くなるものである。また、図3に示すように、複数の下型分割板17Aの基端は互いに接続されて一体化して、1つの部材25Aとして構成される。その一体化された1つの部材25Aは、底面13に取り付けられる。複数の上型分割板27Aも、同様に1つの部材25Bとして底面23に取り付けられる。また、分割板17B、17C、17D、27B、27C、27Dそれぞれも、一体化されて1つの部材として底面に取り付けられる。
【0026】
図2は、本実施形態で使用される濾材パック40を示すものである。濾材パック40は、折り目40Eが互いに略平行となるように、シート状の濾材がひだ折りされて形成されたものであり、多数のひだ山42が設けられる。各ひだ山42は、互いに対向する2つの略平面状の折り壁41、41から成る。濾材は、例えばガラス繊維、合成繊維から形成される濾紙や不織布等によって構成される。
【0027】
濾材の表面43及び裏面44それぞれの上には、セパレータ45が接着されている。セパレータ45は、波状を呈する濾材に合わせて、折り目方向に直交する方向(すなわち、ひだ山42が並べられる方向)に沿って波状に延在する。セパレータ45は、糸の外周が合成樹脂等の接着剤で被膜された糸セパレータである。ただし、セパレータとしては、糸セパレータの代わりにホットメルト樹脂から成るセパレータや、両面に接着剤が塗布されたテープ等が使用されても良い。また、セパレータは、折り目方向に直交する方向に連続していなくても良く、例えばホットメルト樹脂等の樹脂を間欠塗布することにより、折り目方向に直交する方向に沿って不連続に形成されても良い。
【0028】
ひだ折りされた濾材パック40の隣接するひだ山42、42間では表面43同士が対向させられるとともに、各ひだ山42内部では裏面44同士が対向させられる。表面43上のセパレータ45は、隣接するひだ山42の対向する表面43上のセパレータ45に接着し、隣接するひだ山42、42(すなわち、折り畳まれた濾材)間を、所定の間隔で離間させて固定する。裏面44上のセパレータ45も、同様にひだ山42内部で折り壁41、41(すなわち、折り畳まれた濾材)間を所定の間隔で離間して固定する。
【0029】
表面43、裏面44上のセパレータ45は、折り目方向において同一位置に配置される。またセパレータ45は、表面43、裏面44それぞれにおいて、複数(本実施形態では3つ)設けられる。後述するように、濾材パック40が下型11に取り付けられた時、各セパレータ45の位置は、各流路19A〜19Cの位置に一致する。
【0030】
濾材パックのひだ山42の数は、所定方向Xに並べられた上型防液板部26の数に一致する。また、隣接するひだ山42、42の頂部47、47間の距離は、セパレータ45によって、下型11の所定方向Xにおいて隣接する2枚の板(例えば、下型分割板17A、17A)間の距離に略等しくなるように保持される。
【0031】
次に、本実施形態に係るエアフィルタの製造方法について説明する。本実施形態では、図3に示すように、まず、濾材パック40のひだ山42それぞれが所定方向Xに隣接する2つの下型防液板部16、16の間に挿入されて、濾材パック40が下型11に嵌め入れられる。このとき図4に示すように、裏面及び表面に設けられた各セパレータ45は、各流路19A〜19C(空隙18A〜18C)内部に配置される。したがって、濾材パック40が下型11へ挿入されるとき、その挿入がセパレータ45によって干渉されることはない。なお、下型11に取り付けられた濾材40は、その折り目方向が、直交方向Yに、ひだ山42が並べられる方向が所定方向Xに一致する。
【0032】
次いで、上型21が下方に移動されて、下型11の上に上型21が重ねられる。このとき、図3に示すように、上型防液板部26それぞれは、ひだ山42の内部それぞれに挿入され、複数の上型分割板27A〜27Dは、複数の下型分割板17A〜17Dに噛み合うように配置される。
【0033】
ここで、上型21における、下型11の各流路19A〜19Cに一致する部分には、上記したように空隙28A〜28Cが設けられている。したがって、上型21と下型11が重ねられると、各濾材パック40のセパレータ45は、空隙28A〜28C内に配置され、上型分割板27A〜27Dに接触・干渉することはない。
【0034】
次に、1つ以上の注入・排気口36から注型液が注入され、濾材パック40の外周を囲む外周流路35及び流路19A〜19Cに注型液が充填される。このとき、注入・排気口36の1つ以上から外周流路35及び流路19A〜19C内部の空気が排出される。注型液としては、周知の液状ないし流動性のある樹脂等が使用される。
【0035】
図5に示すように、注型液39は、濾材パック40の折り目方向に直交する方向における両端部40A、40B(図2参照)に接触するように間隙31、32に充填される。但し、注型液39は、最も側壁部14A、14B側の下型分割板と上型分割板の間(例えば、板17A、27Aの間)の隙間から濾材パック40内部に浸入しない。下型分割板17Aと上型分割板27A間には、図3、5に示すように、濾材パック40の折り壁41が配置されており、その折り壁41によって注型液39の流入が阻害されるからである。
【0036】
また、注型液39は、濾材パック40の折り目方向における両端部40C、40D(図2参照)の端面に接触しつつ、間隙33、34に充填される。さらに、注型液39は、セパレータ45の上から、濾材の表面43及び裏面44の一部を覆うようにして、流路19A〜19C内に充填される。すなわち、注型液39は、流路19A〜19Cに配置されたセパレータ45や、濾材パック40の一部をその内部に埋没させつつ、流路19A〜19C内に充填される。但し、注型液は、所定方向Xにおいて隣接する2枚の下型分割板の間(例えば板17A、17Aの間)に実質的に流入しない。隣接する2枚の下型分割板(例えば、板17A、17A)間の隙間には、濾材パック40の各ひだ山42及び上型21の各上型分割板(例えば、板27A)が挿入されることにより、シールされるからである。
【0037】
外周流路35、及び流路19A〜19C内部に注入された注型液は、固化ないし硬化されて、図6に示すようなエアフィルタ60が得られる。エアフィルタ60は、濾材パック40と、その内部に濾材パック40を保持する四角枠形のフィルタ枠50と、リブ51とを備える。フィルタ枠50は、折り目方向に直交する方向において対向する両側枠部53、54と、折り目方向において対向する天枠部55、地枠部56とから成る。
【0038】
外周流路35(図1参照)に注入された注型液は固化ないし硬化されてフィルタ枠50を成形するとともに、流路19A〜19Cに注入された注型液はリブ51を成形する。リブ51は、濾材パックの折り目方向に直交するように延在する。リブ51は、四角枠形のフィルタ枠50の4辺のうち、対向する2辺(両側枠部53、54)間に掛け渡されており、エアフィルタ60を補強する。
【0039】
なお、外周流路35内部に充填された注型液は、濾材パック40の端部40A〜40Dに接触した状態で固化ないし硬化されるので、濾材パック40の端部40A〜40Dは、フィルタ枠50の枠部53〜56の内面に接着される。また、セパレータ45、及び濾材パック40のセパレータ45が設けられた部分は、リブ51内部に埋没される。
【0040】
以上のように、本実施形態では、ひだ山42、42間がセパレータ45によって固定された濾材パック40が下型11に挿入されて、エアフィルタ60が製造される。このような濾材パック40は、折り目方向に直交する方向における伸縮性が低く、さらにひだ山42、42間の間隔がセパレータ45によって予め広げられているので、下型11に挿入しやすくなる。
【0041】
また、濾材パック40が金型に取り付けられるとき、セパレータ45は下型11に設けられた流路19A〜19C(空隙18A〜18C)に配置されるので、下型11への濾材パック40の取り付けが、セパレータ45によって干渉されることはない。
【0042】
さらに、本実施形態では、濾材パック40の補強部材としてセパレータ45及びリブ51が設けられるが、セパレータ45は各リブ51に埋没されているため、セパレータ45によって、濾材パック40の有効面積が減ぜられることはない。
【0043】
なお、本実施形態では、上型防液板部26の数が下型防液板部27より1つ多くても良い。この場合、上型21が下型11に重ねられたとき、上型21の最も側壁部14A、14B側の上型防液板部26が、下型11の最も側壁部14A、14B側の下型防液板部16の外側に配置される。また、最も端部40A、40B側それぞれの折り壁41、41は、最も側壁部14A、14B側の下型防液板部16、16の外側に配置される。
【0044】
本実施形態では、下型防液板部16及び上型防液板部26は、直交方向Yに4分割されていたが、2つ以上であればいくつに分割されても良い。また、本実施形態では、セパレータ45は、表面43、裏面44の一方のみに設けられても良い。ただし、各ひだ山42が下型防液板部16、16間に挿入しやすいように、セパレータ45は表面43に設けられ、隣接するひだ山42、42(下型防液板部16、16間に挿入されるひだ山)間が所定の間隔で固定されていたほうが良い。
【0045】
本実施形態では、セパレータ45は、表面及び裏面それぞれにおいて、流路の数と同数設けられたが、流路の数より少なくても良い。例えば、セパレータ45は、表面及び裏面それぞれにおいて、1または2つ設けられても良い。この場合、流路19A〜19Cのうち、1又は2つの流路の内部には、セパレータ45が配置されるが、その他の流路の内部にはセパレータが配置されない。
【符号の説明】
【0046】
10 金型(エアフィルタ用成型型)
11 下型
12 凹部
13、23 底面
16 下型防液板部
17A〜17D 下型分割板
18A〜18C 空隙
19A〜19C 流路
26 上型防液板部
27A〜27D 下型分割板
28A〜28C 空隙
40 濾材パック
40A〜40D 濾材パックの端部
42 ひだ山

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に並べられ、櫛歯状を呈する複数の上型防液部が立設された上型と、前記所定方向に並べられ、櫛歯状を呈する複数の下型防液部が立設された下型とを備え、各下型防液部は、前記所定方向に直交する方向に間隙おいて少なくとも2つに分割され、その間隙が連続して、流路が形成されるとともに、前記上型防液部は、前記下型防液部に噛み合うように設けられる成型型を用いてエアフィルタを製造する方法であって、
濾材がひだ状に折り畳まれて形成され、その折り畳まれた濾材間を所定の間隔を介して固定するセパレータが設けられた濾材パックを用意する第1工程と、
前記セパレータが前記流路に配置されるように、前記複数の下型防液部に前記濾材パックを嵌め入れる第2工程と、
前記複数の上型防液部を、前記濾材パックが間に挟まれるようにして前記複数の下型防液部と噛み合うように配置させる第3工程と、
前記濾材パックの外周及び前記流路に注型液を流し込み、前記濾材パック外周にフィルタ枠を成形するとともに、前記フィルタ枠に掛け渡されたリブを成形する第4工程と
を備えることを特徴とするエアフィルタの製造方法。
【請求項2】
前記流路は、前記所定方向に直線状に延在することを特徴とする請求項1に記載のエアフィルタの製造方法。
【請求項3】
前記セパレータは、濾材の折り目方向に直交する方向に沿って延在することを特徴とする請求項2に記載のエアフィルタの製造方法。
【請求項4】
前記セパレータは、前記濾材の少なくとも一方の面に設けられることを特徴とする請求項1に記載のエアフィルタの製造方法。
【請求項5】
前記セパレータは、前記濾材の両面に設けられることを特徴とする請求項1に記載のエアフィルタの製造方法。
【請求項6】
前記セパレータは、糸セパレータであることを特徴とする請求項1に記載のエアフィルタの製造方法。
【請求項7】
所定方向に複数の防液部が並べられて櫛歯状を呈するとともに、各防液部が、前記所定方向に直交する方向に間隙おいて少なくとも2つに分割され、その間隙が連続して、流路が形成された成型型を用いて、エアフィルタを製造する方法であって、
濾材がひだ状に折り畳まれて形成され、折り畳まれた濾材間を所定の間隔を介して固定するセパレータが設けられた濾材パックを用意する第1工程と、
前記セパレータが前記流路に配置されるように、前記複数の防液部に前記濾材パックを嵌め入れる第2工程と、
前記濾材パックの外周及び前記流路に注型液を流し込み、前記濾材パック外周にフィルタ枠を成形するとともに、前記フィルタ枠に掛け渡されたリブを成形する第3工程と
を備えることを特徴とするエアフィルタの製造方法。
【請求項8】
濾材がひだ状に折られて形成され、かつその折り畳まれた濾材間を所定の間隔を介して固定するセパレータが設けられた濾材パックと、
前記濾材パックをその内部に保持するフィルタ枠と、
前記濾材パックの各ひだ山を交差するように設けられ、前記エアフィルタ枠に掛け渡されたリブとを備え、
前記セパレータが前記リブの内部に埋没されていることを特徴とするエアフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−269462(P2010−269462A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121145(P2009−121145)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)
【Fターム(参考)】