説明

エキセメスタンの結晶多形体

【課題】エキセメスタンの新規な結晶多形体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】10.7±0.1、15.9±0.1、及び18.1±0.1(2θ度)にピークを有する粉末X線回折パターンによって特徴づけられる、エキセメスタンの新規な結晶多形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキセメスタンの新規な結晶多形体に関する。
本出願は、2007年6月25日出願の米国特許仮出願番号第60/937,099号に基づく優先権を主張する。米国特許仮出願番号第60/937,099号の内容全体は、引用により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
エキセメスタン(商品名アロマシン(登録商標))は、アロマターゼ阻害作用を有することが報告されている。エキセメスタンは、化学的には、6−メチレンアンドロスタ−1,4−ジエン3,17−ジオンと表記される。その分子式は、C20242であり、その構造式は、下記の通りである。
【化1】

【0003】
エキセメスタンを製造するためのさまざまな合成経路が、当該技術分野において公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薬学的用途にさらに適した、新規な形態のエキセメスタンを開発することが依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の発明は、エキセメスタンの新規な結晶多形体及びその製造方法を提供する。
【0006】
本発明の1つの実施形態によれば、新規な結晶性エキセメスタンは、10.71±0.1、15.9±0.1、及び18.1±0.1(2θ度)にピークを有する粉末X線回折パターンによって特徴づけられる。好ましくは、粉末X線回折パターンは、さらに、17.5±0.1、20.9±0.1、及び23.4±0.1(2θ度)にピークを有する。さらに好ましくは、粉末X線回折パターンは、さらに、16.4±0.1、14.0±0.1、14.4±0.1、21.4±0.1、22.9±0.1、23.1±0.1、26.1±0.1、及び29.3±0.1(2θ度)にピークを有する。
本発明の別の実施形態によれば、結晶性固体エキセメスタンは、図1に示されるような粉末X線回折パターンを有する。
【0007】
本発明のさらに別の実施形態によれば、結晶性固体エキセメスタンは、2944±2cm-1、1732±2cm-1、及び1659±2cm-1にバンドを有する赤外スペクトルを有する。好ましくは、赤外スペクトルは、さらに、3078±2cm-1、1623±2cm-1、1406±2cm-1、1298±2cm-1、1003±2cm-1、902±2cm-1、及び818±2cm-1にバンドを有する。
本発明の好ましい実施形態によれば、結晶性固体エキセメスタンは、図2に示されるような赤外スペクトルを有する。
【0008】
本出願はまた、結晶性固体エキセメスタンの製造プロセスも提供し、このプロセスは、
(1)アセトン、エタノール、及びそれらの混合物から成る群から選択される溶媒に粗エキセメスタンを溶解して、溶液を形成するステップと、
(2)ステップ(1)の溶液にイソプロピルエーテルを添加してスラリーを得ることによって、エキセメスタンの結晶を形成するステップと、
(3)ステップ(2)のスラリーをろ過して、結晶性固体エキセメスタンを得るステップとを含む。
溶解は、摂氏70〜80度の温度で行われることが好ましい。ステップ(2)は、摂氏0〜10度の温度で行われることが好ましい。
【0009】
本発明を特徴づける新規性の種々の特徴は、特に、本開示に添付され、その一部を構成する特許請求の範囲において示される。本発明、その操作の利点、及びその使用によって達成される具体的な目的をさらによく理解するために、本発明の好ましい実施形態が図示され、説明された図面及び記述事項を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の1つの実施形態による固体状結晶性エキセメスタンの粉末X線回折パターンを示す。
【図2】本発明の1つの実施形態による固体状結晶性エキセメスタンの赤外スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施例は、本発明を説明するために提示するものであり、本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0012】
適切な反応器に、エキセメスタン(約3g)及びアセトン(約15mL)を仕込む。この混合物を攪拌し、固形分が溶解するまで45〜55℃に加温する。45〜70℃で、イソプロピルエーテル(約50mL)を添加する。この溶液を0〜10℃まで冷却し、0〜10℃で少なくとも(NLT)1時間保持する。このスラリーをろ過し、70℃で乾燥させて、約0.4gのエキセメスタンを得る。
【実施例2】
【0013】
適切な反応器に、エキセメスタン(約3g)及びEtOH(約12mL)を仕込む。得られた混合物を攪拌し、溶解するまで70〜80℃に加温する。60〜80℃で、イソプロピルエーテル(約72mL)を添加する。この溶液を0〜10℃まで冷却し、0〜10℃で少なくとも(NLT)1時間保持する。このスラリーをろ過し、乾燥させて、約2.01gのエキセメスタンを得る。
【0014】
上記の2つのプロセス(A)及び(B)は、図1に示されるような粉末X線回折パターン及び図2に示されるような赤外スペクトルを示す同じ多形を生成する。
【0015】
図1の結果を得るために用いたXRD試験の手順は、以下の通りである。試験試料を粉砕し、X線装置Scintag X2 Advance Diffractionのトレイ上に均一に置き、連続走査速度2.00度/分で、5.00〜40.00(度)の範囲を波長1.540562で測定した。
【0016】
図2の結果を得るために用いたIR試験の手順は、以下の通りである。試料約3mgを秤量し、この試料を300mgの乾燥KBr中に均一に分散させ、その後速やかに、拡散反射によって、400cm-1から4000cm-1までの間のスペクトルを記録した。この試料に対して、単回の測定を実施した。IR装置は、Nicolet、Magna−IR560分光計であった。試料走査回数は32回とした。バックグラウンドの走査回数は32回とした。分解能は4であった。試料ゲインは8であった。ミラー速度は0.6329とした。アパチャーは100とした。
【0017】
本発明は、例示のみのために提示した上記の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって規定される保護の範囲内で、さまざまな方法で改変することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10.7±0.1、15.9±0.1、及び18.1±0.1(2θ度)にピークを有する粉末X線回折パターンによって特徴づけられる結晶性エキセメスタン。
【請求項2】
前記粉末X線回折パターンにおいて、17.5±0.1、20.9±0.1、及び23.4±0.1(2θ度)に、さらにピークを有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶性固体エキセメスタン。
【請求項3】
前記粉末X線回折パターンにおいて、16.4±0.1、14.0±0.1、14.4±0.1、21.4±0.1、22.9±0.1、23.1±0.1、26.1±0.1、及び29.3±0.1(2θ度)に、さらにピークを有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶性固体エキセメスタン。
【請求項4】
図1に示される粉末X線回折パターンをさらに有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶性固体エキセメスタン。
【請求項5】
2944±2cm-1、1732±2cm-1、及び1659±2cm-1にバンドを有する赤外スペクトルを有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶性固体エキセメスタン。
【請求項6】
3078±2cm-1、1623±2cm-1、1406±2cm-1、1298±2cm-1、1003±2cm-1、902±2cm-1、及び818±2cm-1にバンドを有する赤外スペクトルをさらに有することを特徴とする、請求項5に記載の結晶性固体エキセメスタン。
【請求項7】
図2に示されるような赤外スペクトルを有することを特徴とする、請求項5に記載の結晶性固体エキセメスタン。
【請求項8】
結晶性固体エキセメスタンの製造方法であって、
(1)アセトン、エタノール、及びそれらの混合物から成る群から選択される溶媒に粗エキセメスタンを溶解して、溶液を形成するステップと、
(2)前記ステップ(1)の溶液にイソプロピルエーテルを添加してスラリーを得ることによって、エキセメスタンの結晶を形成するステップと、
(3)前記ステップ(2)のスラリーをろ過して、前記結晶性固体エキセメスタンを得るステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記溶媒が、アセトンであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記溶媒が、エタノールであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記溶解が、摂氏70〜80度の温度で行われることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップ(2)が、摂氏0〜10度の温度で行われることを特徴とする、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−531305(P2010−531305A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513278(P2010−513278)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/007892
【国際公開番号】WO2009/002510
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(503345569)サイノファーム タイワン リミテッド (18)
【Fターム(参考)】