説明

エステラーゼ

【課題】 酵素エステラーゼをコードする、新しく同定されたポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド、該ポリヌクレオチドおよび該ポリペプチドの使用、ならびに該ポリヌクレオチドおよび該ポリペプチドの製造および単離方法を提供する。
【解決手段】 種々の生物Staphylothermus、Pyrodictium、Archaeoglobus、Aquifex、M11TL、Thermococcus、Teredinibacter、およびSulfolobus等由来のエステラーゼ酵素を開示する。これらの酵素は、天然または組換え宿主細胞から産生され、医薬品工業、農業、および他の工業で利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しく同定されたポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド、該ポリヌクレオチドおよび該ポリペプチドの使用、ならびに該ポリヌクレオチドおよび該ポリペプチドの製造および単離に関する。より詳細には、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、エステラーゼとして同定されたものと推定される。エステラーゼは、エステル基の有機酸およびアルコールへの加水分解を触媒する酵素である。
【背景技術】
【0002】
多くのエステラーゼが周知であり、細菌、酵母、ならびに他の高等動物および植物など、多種多様な生物中に見出されている。エステラーゼの代表例は、脂質の加水分解、アシドリシス(エステル化された脂肪酸の遊離脂肪酸への変換)反応、エステル交換反応(トリグリセリド間の脂肪酸の交換)およびエステル合成に使用されるリパーゼである。リパーゼの主な工業用途としては、洗濯物の汚れに含まれる脂肪質を、容易に除去可能な親水性物質に分解するためにリパーゼが利用される洗剤業界;チーズの製造に、チーズの熟成および着香に、パン製品用の老化防止剤として、更に、マーガリン、および天然バター香味料を含む他のスプレッドの製造にリパーゼが使用される食品および飲料業界;ならびに消化助剤としてリパーゼが使用される医薬品業界が挙げられる。
【発明の開示】
【0003】
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、その酵素活性から、エステラーゼとして同定されている。
【0004】
本発明の一つの態様によれば、新規な酵素、ならびに該酵素の活性断片、類似体、および誘導体が提供される。
【0005】
本発明のもう1つの態様によれば、mRNA、cDNA、およびゲノムDNAを含む、本発明の酵素ならびに該酵素の活性類似体および断片をコードする単離された核酸分子が提供される。
【0006】
本発明の更に別の態様によれば、前記酵素の発現を促進する条件下で、本発明の核酸配列を含有する組換え原核および/または真核宿主細胞を培養する工程、およびそれに続いて前記酵素を回収する工程を含む組換え技術により、このようなポリペプチドを製造する方法が提供される。
【0007】
本発明の更に別の態様によれば、このような酵素、またはこのような酵素をコードするポリヌクレオチドを、エステル基の分解により有機酸およびアルコールを生成するために利用する方法が提供される。本発明のエステラーゼは、高温および有機溶剤中において安定であり、従って、医薬品工業、農業、およびその他の化学工業で使用される光学的に純粋なキラル化合物の製造に使用するための優れた物質である。
【0008】
本発明の更に別の態様によれば、本発明の核酸配列にハイブリダイズするのに十分な長さをもつ核酸分子を含む核酸プローブも提供される。
【0009】
本発明の更に別の態様によれば、科学研究に関連したin vitroの目的のために、例えば、ヌクレオチド配列の所定の領域すなわち保存配列領域により、他の生物由来の類似の酵素をコードする可能性のある類似の配列を同定するためのプローブを作製するために、このような酵素またはこのような酵素をコードするポリヌクレオチドを利用する方法が提供される。
【0010】
本発明のこれらのおよび他の態様は、当業者にとって、本明細書中の教示から自明であろう。
【0011】
以下の図面は、本発明の実施態様を説明するものであり、請求の範囲に包含される本発明の範囲を制限するものではない。
【0012】
図1は、本発明のStaphylothermus marinus F1-12LCの全長DNA(配列番号23)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号33)を示したものである。本発明のすべての配列について、378自動DNAシークエンサー(Applied Biosystems, Inc.)を使用して配列決定を行った。
【0013】
図2は、Pyrodictium TAG11-17LCの全長DNA(配列番号24)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号34)を示したものである。
【0014】
図3は、Archaeoglobus venificus SNP6-24LCの全長DNA(配列番号25)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号35)を示したものである。
【0015】
図4は、Aquifex pyrophilus-28LCの全長DNA(配列番号26)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号36)を示したものである。
【0016】
図5は、M11TL-29Lの全長DNA(配列番号27)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号37)を示したものである。
【0017】
図6は、Thermococcus CL-2-30LCの全長DNA(配列番号28)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号38)を示したものである。
【0018】
図7は、Aquifex VF5-34LCの全長DNA(配列番号29)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号39)を示したものである。
【0019】
図8は、Teredinibacter-42Lの全長DNA(配列番号30)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号40)を示したものである。
【0020】
図9は、Archaeoglobus fulgidus VC16-16MCの全長DNA(配列番号31)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号41)を示したものである。
【0021】
図10は、Sulfolobus solfataricus P1-8LCの全長DNA(配列番号32)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号42)を示したものである。
【0022】
図11は、本発明のLA11.1エステラーゼes2の全長DNA(配列番号43)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号53)を示したものである。
【0023】
図12は、クジラMatサンプル11.801エステラーゼes9の全長DNA(配列番号44)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号54)を示したものである。
【0024】
図13は、Mらlosphaera Prunae Ron 12/2エステラーゼ23mc1の全長DNA(配列番号45)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号55)を示したものである。
【0025】
図14は、Thermotoga neapolitana 5068エステラーゼ56mc4の全長DNA(配列番号46)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号56)を示したものである。
【0026】
図15は、Melittangium lichenicolaエステラーゼ77mc1の全長DNA(配列番号47)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号57)を示したものである。
【0027】
図16は、クジラMatサンプル11.801エステラーゼes2の全長DNA(配列番号48)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号58)を示したものである。
【0028】
図17は、クジラMatサンプルAD3059エステラーゼes4の全長DNA(配列番号49)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号59)を示したものである。
【0029】
図18は、Microscilla furvescensエステラーゼ53sc2の全長DNA(配列番号50)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号60)を示したものである。
【0030】
図19は、Thermotoga maritima MSB8エステラーゼ6sc1の全長DNA(配列番号51)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号61)を示したものである。
【0031】
図20は、Polyangium brachysporumエステラーゼ78mc1の全長DNA(配列番号52)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号62)を示したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
「遺伝子」という用語は、ポリペプチド鎖の産生に関与するDNAのセグメントを意味し、コード領域の前および後の領域(リーダー領域およびテーラー領域)ならびに個々のコードセグメント(エキソン)の間の介在配列(イントロン)が含まれる。
【0033】
RNAポリメラーゼが2つのコード配列を転写して単一のmRNAを形成し、次いで、このmRNAが、両方のコード配列から誘導されるアミノ酸を有する単一のポリペプチドに翻訳される場合、コード配列は、他のコード配列と「動作可能に連結」されているとされる。発現される配列が最終的に所望のタンパク質を産生するように機能するかぎり、コード配列は互いに隣接している必要はない。
【0034】
「組換え」酵素とは、組換えDNA技術により産生された酵素、すなわち、所望の酵素をコードする外来DNA構築物により形質転換された細胞から産生された酵素を意味する。「合成」酵素とは、化学合成により調製された酵素である。
【0035】
特定の酵素のDNA「コード配列」または特定の酵素を「コードするヌクレオチド配列」とは、適切な調節配列の制御下に置かれたときに、転写および翻訳が行われて酵素を形成するDNA配列である。
【0036】
本発明の態様によれば、図1〜10の推定アミノ酸配列を有する成熟酵素をコードする単離された核酸(ポリヌクレオチド)(配列番号23〜32)が提供される。
【0037】
本発明のもう1つの態様によれば、本発明の酵素をコードする単離されたポリヌクレオチドが提供される。個々のDNAを含む各ゲノムクローンは、pBluescriptベクター(カリフォルニア州La JollaのStratagene)中に挿入されている。
【0038】
本発明のポリヌクレオチドは、以下の生物から誘導されたゲノム遺伝子ライブラリーから独自に回収された。
【0039】
Staphylothermus marinus F1は、イタリアのVulcanoで単離された好熱性硫黄古細菌(archaea)である。85℃(Tmax=98℃)、pH6.5において、最適な増殖をする。
【0040】
Pyrodictium TAG11は、Middle Atlantic Ridgeで単離された好熱性硫黄古細菌である。103℃(Tmax=110℃)、pH6.5において、最適な増殖をする。
【0041】
Archaeoglobus venificus SNP6は、Middle Atlantic Ridgeで単離されたもので、75℃(Tmax=92℃)、pH6.9において、最適な増殖をする。
【0042】
Aquifex pyrophilus K01 5aは、アイスランド北部のKolbeinsey Ridgeで単離された。この海洋生物は、グラム陰性、棹状、偏性化学合成無機独立栄養の爆鳴気細菌である。85℃(Tmax=95℃)、pH6.8において、最適な増殖をする。
【0043】
M11TLは、YellowstoneのDiamond Pool (以前のJim's Black Pool)から単離されたDesulfurococcusの新種である。この生物は、85℃〜88℃、低塩培地中、pH7.0の最適条件下で、様々な有機物質(硫黄は必要でない)の発酵により従属栄養的に増殖し、ブドウ状集合体を形成する。
【0044】
Thermococcus CL-2は、Juan de Fuca RidgeのNorth Cleft Segmentにおいて、「ブラックスモーカー」の硫化物構造体上に生存するsevered alvinellid虫から単離された。この海洋古細菌は、多態性球菌を生成し、88℃で最適な増殖をする。
【0045】
Aquifex VF5は、イタリアのVulcanoの海辺で単離された。この海洋生物は、グラム陰性、棹状、偏性化学合成無機独立栄養の爆鳴気細菌である。85℃(Tmax=95℃)、pH6.8において、最適な増殖をする。
【0046】
Teredinibacter(純粋)は、フナクイムシBankia gouldiの内部共生生物である。この生物は、真っ直ぐまたは僅かに湾曲した5μm〜10μm桿体を有し、静止期になると螺旋細胞を形成する。この生物は、Science (1983) 22:1401-1403に記載された。30℃、pH8.0において、最適増殖をする。
【0047】
Archaeoglobus fulgidus VC16は、イタリアのVulcanoで単離された。この生物は、85℃(Tmax=92℃)、pH7.0において、最適な増殖をする。
【0048】
Sulfolobus solfataricus P1は、85℃(Tmax=87℃)、pH2.0において、最適な増殖をする。
【0049】
従って、ポリヌクレオチドおよび該ポリヌクレオチドによりコードされる酵素は、それらが単離された生物により特定され、これ以降ではしばしば次のように記される:F1/12LC(図1ならびに配列番号23および33)、TAG11/17LC(図2ならびに配列番号24および34)、SNP6/24LC(図3ならびに配列番号25および35)、AqP/28LC(図4ならびに配列番号26および36)、M11TL/29L(図5ならびに配列番号27および37)、CL-2/30LC(図6ならびに配列番号28および38)、VF5/34LC(図7ならびに配列番号29および39)、Trb/42L(図8ならびに配列番号30および40)、VC16/16MC(図9ならびに配列番号31および41)、およびP1/8LC(図10ならびに配列番号32および42)。
【0050】
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、表1に示されているように、ヌクレオチドおよびタンパク質のレベルで、既知の遺伝子および該遺伝子によりコードされるタンパク質と、同一性を示す。
【0051】
【表1】

【0052】
表1中の同定されたすべてのクローンは、エステラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする。
【0053】
本発明はまた、本発明の酵素をコードする単離された核酸分子の他に、実質的に類似の配列をも提供する。単離された核酸配列は、(i)以下に記載の条件下で、配列番号23〜32のポリヌクレオチドにハイブリダイズできる場合、または(ii)配列番号23〜32のポリヌクレオチドと縮重したDNA配列をコードする場合、実質的に類似しているとされる。縮重DNA配列は、配列番号33〜42のアミノ酸配列をコードするが、ヌクレオチドコード配列中に変異が存在する。本明細書中で使用する場合、実質的に類似とは、本発明の配列と類似した同一性を有する配列を意味する。実質的に同一であるヌクレオチド配列は、ハイブリダイゼーションによって、または配列比較によって、同定することができる。実質的に同一である酵素配列は、次の方法:すなわち、タンパク質分解消化、ゲル電気泳動、および/またはマイクロシークエンシング、のうちの1つ以上によって同定することができる。
【0054】
本発明の酵素をコードする核酸分子を単離する1つの方法は、当該技術分野で認定されている手順により天然のまたは人工的にデザインされたプローブを用いて遺伝子ライブラリーから釣り上げるものである(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel F.M. ら. (編) Green Publishing Company Assoc. and John Wiley Interscience, New York, 1989, 1992を参照されたい)。配列番号23〜32のポリヌクレオチドまたはそれらの断片(少なくとも12個の隣接ヌクレオチドを含む)が特に有用なプローブであることは、当業者には認識される。この目的のための他の特に有用なプローブは、配列番号1〜22の配列のハイブリダイズ可能な断片(すなわち、少なくとも12個の隣接ヌクレオチドを含む)である。
【0055】
本明細書中に開示された特定の核酸配列にハイブリダイズする核酸配列に関して、低ストリンジェント、中ストリンジェント、更にはストリンジェントの条件下において、ハイブリダイゼーションを行ってもよい。例えば、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションの場合、最初に、固定化変性核酸を含有したポリマー膜を、0.9M NaCl、50mM NaHPO, pH7.0、5.0mM NaEDTA、0.5% SDS、10X デンハルト溶液、および0.5mg/mL ポリリボアデニル酸を含有する溶液中において45℃で30分間プレハイブリダイズする。次に、約2×10cpm (比活性4〜9×10cpm/μg)の32P末端標識オリゴヌクレオチドプローブを、溶液に添加する。12時間〜16時間のインキュベーションの後、0.5% SDSを含有する1X SET(150mM NaCl、20mM トリス塩酸塩, pH7.8、1mM NaEDTA)中において室温で30分間膜を洗浄し、続いて、オリゴヌクレオチドプローブに対するTm=10℃において新しい1X SET中で30分間洗浄する。次に、膜をオートラジオグラフィー用フィルムに曝露し、ハイブリダイゼーションシグナルの検出を行う。
【0056】
ストリンジェント条件とは、少なくとも90%の同一性、好ましくは少なくとも95%の同一性、最も好ましくは少なくとも97%の同一性が存在する場合にのみ、ハイブリダイゼーションが起こることを意味する。Sambrook ら., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory (1989)を参照されたい。該文献の全内容は、引用により本明細書中に含まれるものとする。
【0057】
本明細書中で使用する場合、互いに適切に並置したとき、例えば、BLASTNにより並置したとき、最初のDNA(RNA)配列の塩基と、もう1つのDNA(RNA)配列の塩基との間に、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%または90%の同一性が存在するならば、最初の配列は、もう1つの配列と、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%同じである。
【0058】
本発明は、基準のポリヌクレオチドと異なるポリヌクレオチドにも関するが、ただし、その差異はサイレントなもので、例えば、こうした差異によって、ポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列は変化しないものとする。本発明はまた、基準のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドに対して、アミノ酸の置換、付加、欠失、融合、および切断を引き起こすヌクレオチドの変化に関する。本発明の好ましい態様において、これらのポリペプチドは、基準のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドと同じ生物学的作用を保持する。
【0059】
本発明のポリヌクレオチドは、表1に列挙された生物に由来するゲノム遺伝子ライブラリーから回収された。遺伝子ライブラリーは、λ ZAP IIクローニングベクター(Stratagene Cloning Systems)中で作製した。これらのライブラリーに対して大量切出を行って、pBluescriptファージミド中でライブラリーを作製した。ライブラリーの作製および切出は、以下で説明するプロトコル/方法に従って実施した。
【0060】
本発明のポリヌクレオチドは、RNAまたはDNAの形態であってもよいが、ただし、該DNAには、cDNA、ゲノムDNA、および合成DNAが含まれる。DNAは、二本鎖であっても一本鎖であってもよく、一本鎖の場合、コード鎖または非コード(アンチセンス)鎖であってもよい。成熟酵素をコードするコード配列は、図1〜10に示されているコード配列(配列番号23〜32)と同じであってもよいし、または、遺伝子コードの重複もしくは縮重の結果として、図1〜10のDNA(配列番号23〜32)と同じ成熟酵素をコードする異なるコード配列であってもよい。
【0061】
図1〜10の成熟酵素(配列番号33〜42)をコードするポリヌクレオチドとしては、成熟酵素に対するコード配列のみ;成熟酵素に対するコード配列、およびリーダー配列またはプロタンパク質配列などの他のコード配列;成熟酵素に対するコード配列(および、場合に応じて他のコード配列)、ならびにイントロンまたは成熟酵素に対するコード配列の5'端および/または3'端の非コード配列などの非コード配列、が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
従って、「酵素(タンパク質)をコードするポリヌクレオチド」という用語には、酵素に対するコード配列のみを含むポリヌクレオチド、ならびに他のコード配列および/または非コード配列を含むポリヌクレオチド、が包含される。
【0063】
本発明は更に、図1〜10の推定アミノ酸配列(配列番号33〜42)を有する酵素の断片、類似体、および誘導体をコードする、上述のポリヌクレオチドの変異体に関する。該ポリヌクレオチドの変異体は、該ポリヌクレオチドの天然に存在する対立変異体であってもよいし、該ポリヌクレオチドの天然に存在しない変異体であってもよい。
【0064】
従って、本発明は、図1〜10(配列番号23〜32)に示されているものと同じ成熟酵素をコードするポリヌクレオチド、ならびに図1〜10(配列番号23〜32)の酵素の断片、誘導体、または類似体をコードする、該ポリヌクレオチドの変異体を含む。こうしたヌクレオチドの変異体には、欠失変異体、置換変異体、および付加もしくは挿入変異体が含まれる。
【0065】
上述したように、ポリヌクレオチドは、図1〜10に示されたコード配列(配列番号23〜32)の天然に存在する対立変異体であるコード配列を有することができる。当該技術分野で周知のように、対立変異体は、1つ以上のヌクレオチドの置換、欠失、または付加を有するものであってもよいがコードされる酵素の機能を実質的に変えない他の形態のポリヌクレオチド配列である。
【0066】
本発明の全長遺伝子の断片をcDNAまたはゲノムのライブラリーに対するハイブリダイゼーションプローブとして使用し、全長DNAの単離、または該遺伝子と高い配列類似性を有するかもしくは類似の生物学的活性を有する他のDNAの単離を行ってもよい。このタイプのプローブは、好ましくは少なくとも10個、好ましくは少なくとも15個、更に好ましくは少なくとも30個の塩基を含有し、例えば、少なくとも50個もしくはそれ以上の塩基を含んでいてもよい。また、プローブを使用して、全長転写物に対応するDNAクローンの同定、ならびに調節およびプロモーター領域、エキソン、およびイントロンを有する完全遺伝子を含む1つまたは複数のゲノムクローンの同定、を行ってもよい。スクリーンの例では、既知のDNA配列を使用して遺伝子のコード領域を単離することにより、オリゴヌクレオチドプローブの合成が行われる。本発明の遺伝子の配列と相補的な配列を有する標識化オリゴヌクレオチドを使用して、ゲノムDNAのライブラリーをスクリーニングし、プローブがライブラリーのどのメンバーとハイブリダイズするかを決定する。
【0067】
また、プローブの同定を容易にするために、分析により検出可能な試薬で、こうしたプローブを標識化することができ、しかも標識化することが好ましいと考えられる。有用な試薬としては、放射能、蛍光色素、または検出可能な産物の形成を触媒することができる酵素が挙げられるが、これらに限定されるものではない。この場合、プローブは、DNAの相補的コピーを他の供給源から単離するうえで、またはこうした供給源をスクリーニングして関連する配列を得るうえで有用である。
【0068】
本発明は更に、上述の配列とハイブリダイズするポリヌクレオチドに関するが、ただし、配列間に少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、更に好ましくは少なくとも95%の同一性が存在するものとする。本発明は、特に、ストリンジェント条件下で、上述のポリヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。本明細書中で使用する場合、「ストリンジェント条件」という用語は、配列間に少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%の同一性が存在する場合にハイブリダイゼーションが起こることを意味する。好ましい実施態様において、上述のポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドは、図1〜10のDNA(配列番号23〜32)によりコードされる成熟酵素と同じ生物学的な機能または活性を実質的に保持する酵素をコードする。
【0069】
この他、本発明のポリヌクレオチドの任意の部分とハイブリダイズし、かつ上述したように該ポリヌクレオチドに対する同一性を有し、かつ活性を保持しても保持しなくてもよい、少なくとも15個の塩基、好ましくは少なくとも30個の塩基、より好ましくは少なくとも50個の塩基を、ポリヌクレオチドがもっていてもよい。例えば、このようなポリヌクレオチドを、配列番号23〜32のポリヌクレオチドに対するプローブとして利用し、例えば、ポリヌクレオチドの回収を行ったり、または診断用プローブとしてもしくはPCRプライマーとして利用してもよい。
【0070】
従って、本発明は、配列番号33〜42の酵素をコードするポリヌクレオチドに対して少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも90%の同一性、より好ましくは少なくとも95%の同一性を有するポリヌクレオチド、およびそれらの断片を指向するが、ただし、該断片は、少なくとも15個の塩基、好ましくは少なくとも30個の塩基、最も好ましくは少なくとも50個の塩基を有し、かつ該断片は、ストリンジェント条件下で、本発明のポリヌクレオチドの任意の部分に対して少なくとも90%の同一性、好ましくは約95%の同一性、最も好ましくは少なくとも97%の同一性を有するものとする。
【0071】
本発明は更に、図1〜10(配列番号23〜32)の推定アミノ酸配列を有する酵素、ならびに該酵素の断片、類似体、および誘導体に関する。
【0072】
図1〜10の酵素(配列番号33〜42)を参照する場合、「断片」、「誘導体」、および「類似体」という用語は、該酵素と本質的に同じ生物学的機能または活性を保持する酵素を意味する。従って、類似体には、プロタンパク質部分の開裂により活性化されて活性な成熟酵素を生成するプロタンパク質が含まれる。
【0073】
本発明の酵素は、組換え酵素、天然酵素、または合成酵素であってもよいが、好ましくは組換え酵素である。
【0074】
図1〜10の酵素(配列番号33〜42)の断片、誘導体、または類似体は、(i)1つ以上のアミノ酸残基が保存もしくは非保存アミノ酸残基(好ましくは保存アミノ酸残基)で置換され、かつこうした置換アミノ酸残基が遺伝子コードによりコードされるアミノ酸残基であってもなくてもよいもの、あるいは(ii)1つ以上のアミノ酸残基が置換基を含むもの、あるいは(iii)成熟酵素が、他の化合物、例えば、酵素の半減期を増大させる化合物(例えば、ポリエチレングリコール)、と融合されたもの、あるいは(iv)リーダーもしくは分泌配列、または成熟酵素の精製に利用される配列、またはプロタンパク質配列などの更なるアミノ酸が成熟酵素に融合されたもの、であってもよい。このような断片、誘導体、および類似体は、本明細書中の教示から、当業者の範囲内にあるとみなされる。
【0075】
本発明の酵素およびポリヌクレオチドは、好ましくは、単離された形態で提供され、しかも、好ましくは、精製されて均質である。
【0076】
「単離された」という用語は、もとの環境(例えば、天然に存在するものであれば、自然環境)から物質が取出されたことを意味する。例えば、生存動物中に存在する天然のポリヌクレオチドまたは酵素は単離されたものではないが、自然系中の共存物質の一部分またはすべてから分離された同じポリヌクレオチドまたは酵素は単離されたものである。こうしたポリヌクレオチドはベクターの一部分であってもよく、および/またはこうしたポリヌクレオチドまたは酵素は組成物の一部分であってもよく、この場合、こうしたポリヌクレオチドまたは酵素が自然環境の一部分ではないという点で単離されたものである。
【0077】
本発明の酵素には、配列番号33〜42の酵素(特に、成熟酵素)、および配列番号33〜42の酵素に対して少なくとも70%の類似性(好ましくは、少なくとも70%の同一性)を有する酵素、より好ましくは、配列番号33〜42の酵素に対して少なくとも90%の類似性(より好ましくは、少なくとも90%の同一性)を有する酵素、更により好ましくは、配列番号33〜42の酵素に対して少なくとも95%の類似性(更により好ましくは、少なくとも95%の同一性)を有する酵素が含まれ、その他に、こうした酵素の一部分が含まれるが、ただし、こうした酵素の一部分は、一般に、少なくとも30個のアミノ酸、より好ましくは少なくとも50個のアミノ酸を含有する。
【0078】
当該技術分野で周知の通り、2つの酵素の「類似性」は、第1の酵素のアミノ酸配列および保存アミノ酸配列と、第2の酵素の配列とを比較することによって、決定される。
【0079】
変異体、すなわち、「断片」、「類似体」、または「誘導体」のポリペプチドと、基準のポリペプチドとは、アミノ酸配列に関して、1つ以上の置換、付加、欠失、融合、および切断が任意の組合せで存在していてもよいという点で、異なっていてもよい。
【0080】
好ましい変異体としては、保存アミノ酸が置換されているという点で基準物質と異なる物質が挙げられる。こうした置換では、ポリペプチド中の所定のアミノ酸が、類似の特性を有する他のアミノ酸と置き換わる。保存的置換の典型的な例としては、脂肪族アミノ酸Ala、Val、Leu、およびIleの間の相互の交換;ヒドロキシ残基SerおよびThrの入換え、酸性残基AspおよびGluの交換、アミド残基AsnおよびGlnの置換、塩基性残基LysおよびArgの交換、ならびに芳香族残基PheおよびTyrの交換が挙げられる。
【0081】
とりわけ好ましい変異体は、その出発物質である基準のポリペプチドと同じ生物学的機能および活性を保持するものである。
【0082】
本発明の酵素の断片または一部分を利用して、対応する全長酵素をペプチド合成によって生成させてもよく、従って、全長酵素を生成させるための中間体として断片を利用してもよい。本発明のポリヌクレオチドの断片または一部分を使用して、本発明の全長ポリヌクレオチドを合成してもよい。
【0083】
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、本発明のベクターを用いて遺伝子操作された宿主細胞、および組換え技術による本発明の酵素の産生に関する。
【0084】
宿主細胞は、例えば、クローニングベクターまたは発現ベクターであってもよい本発明のベクターを用いて遺伝子操作される(形質導入、形質転換またはトランスフェクトされる)。ベクターは、例えば、プラスミド、ウイルス粒子、ファージなどの形態であってもよい。操作された宿主細胞は、プロモーターの活性化、形質転換体の選択、または本発明の遺伝子の増幅に適するように改良された従来の栄養培地中で培養できる。温度、pHなどの培養条件は、発現用に選択された宿主細胞に対して既に使用した条件であり、当業者には自明であろう。
【0085】
本発明のポリヌクレオチドを利用して、組換え技術による酵素の産生を行ってもよい。この場合、例えば、ポリヌクレオチドは、酵素を発現するための様々な発現ベクターのうちの任意の1つに含有させてもよい。こうしたベクターには、染色体、非染色体、および合成のDNA配列が含まれるが、具体的には、SV40の誘導体;細菌プラスミド;ファージDNA;バキュロウイルス;酵母プラスミド;プラスミドおよびファージDNA、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルスなどのウイルスのDNAの組合せから誘導されたベクターが挙げられる。しかしながら、宿主中で複製可能かつ生存可能であるかぎり、任意の他のベクターを使用してもよい。
【0086】
様々な手順により、適切なDNA配列をベクター中に挿入することができる。一般的には、DNA配列は、当該技術分野で周知の手順により、適切な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入される。このような手順およびその他の手順は、当業者の範囲内にあるとみなされる。
【0087】
発現ベクター中のDNA配列は、適切な発現調節配列(プロモーター)に動作可能に連結され、mRNA合成を指図する。こうしたプロモーターの代表例としては、LTRまたはSV40プロモーター、E. coli. lacまたはtrp、ファージλPプロモーター、および原核細胞もしくは真核細胞またはそれらのウイルス中で遺伝子の発現を調節することが知られている他のプロモーターが挙げられる。発現ベクターにはまた、翻訳開始のためのリボソーム結合部位および転写ターミネーターも含まれる。ベクターには更に、発現を増幅するための適切な配列も含んでもよい。
【0088】
この他、発現ベクターには、好ましくは、真核細胞培養株に対するジヒドロ葉酸レダクターゼ耐性もしくはネオマイシン耐性またはE. coli中におけるテトラサイクリン耐性もしくはアンピシリン耐性などの、形質転換された宿主細胞選択用の表現型特性を提供するための1つ以上の選択可能なマーカー遺伝子が含まれる。
【0089】
上述の適切なDNA配列および適切なプロモーターまたは調節配列を含有するベクターを利用して、宿主がタンパク質を発現できるように宿主の形質転換を行ってもよい。
【0090】
適切な宿主の代表的な例としては、E. coli、Streptomyces、Bacillus subtilisなどの細菌細胞;酵母などの菌類細胞;Drosophila S2、Spodoptera Sf9などの昆虫細胞;CHO、COS、Bowesメラノーマなどの動物細胞;アデノウイルス;植物細胞などが挙げられる。適切な宿主の選択は、本明細書中の教示から当業者の範囲内にあるとみなされる。
【0091】
より詳細には、本発明はまた、先に概説した配列を1つ以上含有した組換え構築物を含む。構築物には、本発明の配列が順方向または逆方向に挿入された、プラスミドまたはウイルスベクターなどのベクターが含まれる。本発明の好ましい態様において、構築物には更に、例えば、配列に動作可能に連結されたプロモーターなどの調節配列が含まれる。多数の好適なベクターおよびプロモーターが当業者には周知であり、市販品もある。次のベクターが具体例として挙げられる。細菌:pQE70、pQE60、pQE-9 (Qiagen)、pBluescript II KS、ptrc99a、pKK223-3、pDR540、pRIT2T (Pharmacia);真核生物:pXT1、pSG5 (Stratagene)、pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL、SV40 (Pharmacia)。しかしながら、宿主中で複製可能かつ生存可能であるかぎり、任意の他のプラスミドまたはベクターを使用してもよい。
【0092】
プロモーター領域は、CAT(クロラムフェニコールトランスフェラーゼ)ベクターまたは選択可能なマーカーを有する他のベクターを使用して、任意の所望の遺伝子から選択することができる。2つの適切なベクターは、pKK232-8およびpCM7である。細菌プロモーターとしては、特に、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、λP、P、およびtrpが挙げられる。真核プロモーターとしては、極初期CMV、HSVチミジンキナーゼ、初期および後期SV40、レトロウイルス由来のLTR、およびマウスメタロチオネイン-Iが挙げられる。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、当該技術分野において十分に通常の技術レベル内にある。
【0093】
更なる実施態様において、本発明は、上述の構築物を含有する宿主細胞に関する。宿主細胞は、哺乳類細胞などの高等真核細胞、もしくは酵母細胞などの下等真核細胞であってもよく、または宿主細胞は、細菌細胞などの原核細胞であってもよい。宿主細胞への構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、またはエレクトロポレーションによって行うことができる(Davis, L., Dibner, M., Battey, I., Basic Methods in Molecular Biology, (1986)))。
【0094】
宿主細胞中の構築物を従来と同様に使用して、組換え配列によりコードされた遺伝子産物を生成することができる。この他、本発明の酵素は、従来のペプチド合成機により合成することができる。
【0095】
成熟タンパク質は、哺乳類細胞、酵母、細菌、または他の細胞中で適切なプロモーターの制御下で発現することができる。また、細胞が関与しない翻訳系を利用し、本発明のDNA構築物から誘導されたRNAを用いてこうしたタンパク質を産生することもできる。原核宿主および真核宿主と併用される適切なクローニングベクターおよび発現ベクターについては、Sambrook ら., Melecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor, N.Y., (1989)に記載されているが、その開示内容は、引用により本明細書中に含まれるものとする。
【0096】
本発明の酵素をコードするDNAの高等真核生物による転写は、ベクター中へのエンハンサー配列の挿入により増大される。エンハンサーは、プロモーターに作用して転写を増大させる通常約10bp〜300bpのシス作用性DNAエレメントである。具体的には、複製起点bp100〜270の後期サイド上のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期サイド上のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。
【0097】
一般的には、組換え発現ベクターには、複製起点と、宿主細胞の形質転換を可能にする選択可能なマーカー、例えば、E. coliおよびS. cerevisiae TRP1遺伝子のアンピシリン耐性遺伝子と、下流構造配列の転写を指図するための、高発現された遺伝子から誘導されるプロモーターとが含まれるであろう。このようなプロモーターは、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ (PGK)、α因子、酸性ホスファターゼ、熱ショックタンパク質などの解糖酵素をコードするオペロンから誘導することができる。異種構造配列は、翻訳開始および停止配列ならびに好ましくは翻訳された酵素の分泌を指図できるリーダー配列と共に、適切な相の中に組み立てられる。場合に応じて、異種配列は、所望の特性を付与する、例えば、発現された組換え産物を安定化するまたはその精製を単純化する、N末端認識ペプチドを含む融合酵素をコードすることができる。
【0098】
細菌に使用するための有用な発現ベクターの構築は、所望のタンパク質をコードする構造DNA配列を好適な翻訳開始および停止シグナルと一緒に、機能的プロモーターを有する動作可能なリーディング相中に挿入することによって行われる。ベクターには、確実にベクターを維持するために、更に、必要な場合には、宿主内で増幅を行うために、1つ以上の選択可能な表現型マーカーおよび複製起点が含まれるであろう。形質転換を行うための好適な原核宿主としては、E. coli、Bacillus subtilis、Salmonella typhimurium、ならびにシュードモナス属、ストレプトミセス属、およびスタフィロコッカス属に属する種々の種が挙げられるが、これ以外の選択肢も利用できる。
【0099】
代表的な例として、細菌に使用するための有用な発現ベクターには、選択可能なマーカーと、周知のクローニングベクターpBR322 (ATCC 37017)の遺伝エレメントを含む市販のプラスミドから誘導された細菌性複製起点とが含まれるが、これらに限定されるものではない。このような市販のベクターとしては、例えば、pKK223-3(スウェーデンUppsalaのPharmacia Fine Chemicals)およびGEM1(米国ウィスコンシン州MadisonのPromega Biotec)が挙げられる。これらのpBR322「バックボーン」セクションは、適切なプロモーターおよび発現される構造配列と結合される。
【0100】
好適な宿主株の形質転換および適切な細胞密度までの宿主株の増殖を行ってから、選択されたプロモーターを適切な手段により誘発し(例えば、温度変化による誘発または化学的な誘発)、その後で更に細胞を培養する。
【0101】
細胞は、典型的には、遠心分離により回収され、物理的または化学的手段により分断され、得られた粗抽出物は、更なる精製のために保持される。
【0102】
タンパク質の発現に利用される微生物細胞は、凍結融解反復、音波処理、機械的分断、または細胞溶解剤の使用など、任意の従来法により分断できるが、このような方法は、当業者には周知である。
【0103】
組換えタンパク質を発現するために、種々の哺乳類細胞培養系を利用することもできる。哺乳類発現系としては、例えば、Gluzman, Cell, 23:175 (1981)に記載されているサル腎臓線維芽細胞のCOS-7系統、ならびに例えば、C127、3T3、CHO、HeLa、BHK細胞系統などの、適合ベクターを発現することのできる他の細胞系統が挙げられる。哺乳類発現ベクターには、複製起点と、好適なプロモーターおよびエンハンサーと、更には、任意の必要なリボソーム結合部位と、ポリアデニル化部位と、スプライス供与部位および受容部位と、転写停止配列と、5'末端非転写配列とが含まれるであろう。SV40スプライスから誘導されたDNA配列およびポリアデニル化部位を、必要な非転写遺伝子エレメントを提供するために使用してもよい。
【0104】
組換え細胞培養物からの酵素の回収および精製は、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水的相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィーなどの方法によって行われる。必要な場合には、成熟タンパク質の配座を完成させるために、タンパク質の再折畳み工程を使用することができる。最後に、最終精製工程のために高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を利用することができる。
【0105】
本発明の酵素は、自然精製産物もしくは化学合成法による生成物であってもよいし、または組換え技術により原核または真核宿主から産生させてもよい(例えば、細菌、酵母、高等植物、昆虫、および哺乳類の細胞を培養することにより)。組換え産生手順で利用される宿主にもよるが、本発明の酵素は、グリコシル化されていても、されていなくてもよい。本発明の酵素はまた、初期メチオニンアミノ酸残基を含有してもしなくてもよい。
【0106】
エステラーゼは、脂肪の代謝における中心的な酵素のグループであり、微生物から哺乳動物まで、すべての生物に存在する。加水分解反応では、エステル基が加水分解されて有機酸とアルコールになる。
【0107】
エステラーゼは、ジカルボン酸ジエステルとジオールのジアセテートとの鏡像異性を識別する。1995年12月7日出願で発明の名称が「コンビナトリアル酵素開発」である同一譲受人の同時係属仮出願第60/008,316号に記載の方法を使用して、エステラーゼの鏡像異性特異性を変えることが可能である。更に、熱安定性エステラーゼは、高温および有機溶剤中において優れた安定性を有すると考えられる。従って、ロバスト性のある触媒が必要となる苛酷な製造法に使用するうえでより好適である。
【0108】
本発明の用途のように、エステラーゼの科学工業用途は多数存在するが、例えば次のような用途が挙げられる。
【0109】
1)エステラーゼは、乳業において、スイス型チーズなどのチーズ用の熟成開始剤として有用である。
【0110】
2)エステラーゼは、パルプおよび製紙工業において、セルロースパルプからのリグニンの除去、芳香族酸とリグニンとの間およびリグニンとヘミセルロースとの間のエステル結合の開裂によるリグニンの可溶化、更に、生物学的パルプ化およびパルプの生物学的漂白においてキシラナーゼおよび他のキシラン分解酵素と併用するときの細胞壁構造の分断に有用である。
【0111】
3)エステラーゼは、糖誘導体などの炭水化物誘導体の合成に有用である。
【0112】
4)エステラーゼは、キシラナーゼおよびセルロースと併用する場合、様々な化学薬品および燃料を製造するためにリグノセルロース廃棄物を発酵性の糖に転化するうえで有用である。
【0113】
5)エステラーゼは、植物細胞壁構造、特に、細胞壁マトリックス中でのリグニンと炭水化物ポリマーとの共有結合の性質、に関する研究において、研究用試薬として有用である。
【0114】
6)エステラーゼはまた、植物の耐病性および有機物質の分解過程に関する機構の研究において、研究用試薬として有用である。
【0115】
7)エステラーゼは、消化性の良い動物用飼料、特に、反芻動物用の飼料、を製造するために育成された植物の選択に有用である。
【0116】
本発明の配列に対応する酵素に対して生成させた抗体は、動物に酵素を直接注入することにより、または動物、好ましくはヒト以外の動物、に酵素を投与することにより、得ることができる。この場合、こうして得られた抗体は、酵素自体に結合するであろう。このようにして、酵素の断片だけをコードする配列でさえも、天然酵素全体に結合する抗体を発生させるために使用することができる。このような抗体は、次に、この酵素を発現する細胞から酵素を単離するために使用することができる。
【0117】
モノクロナール抗体の調製のために、無限継代固定細胞系の培養により産生した抗体を提供する任意の技法が使用できる。具体的には、ハイブリドーマ法(Kohler and Milstein, Nature, 256:495-497, 1975)、トリオーマ法、ヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kozbor ら., Immunology Today 4:72, 1983)、およびヒトモノクロナール抗体を産生するためのEBVハイブリドーマ法(Cole ら., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96, 1985)が挙げられる。
【0118】
一本鎖抗体の産生用として報告された技法(米国特許第4,946,778号)を適用して、本発明の免疫原性酵素産物に対する一本鎖抗体を産生することができる。また、トランスジェニックマウスを使用して、本発明の免疫原性産物に対するヒト化抗体を発現することもできる。
【0119】
本発明の酵素に対して生成させた抗体は、他の生物およびサンプルから得られた類似の酵素に対するスクリーニングに使用してもよい。このようなスクリーニング技術は当該技術分野で周知であり、例えば、こうしたスクリーニングアッセイの1つが、Sambrook ら., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (第2版), Cold Spring Harbor Laboratory, Section 12.21-12.28 (1989)に記載されているが、この全内容は、引用により本明細書中に含まれるものとする。
【0120】
以下の実施例を参照して本発明を更に説明するが、本発明は、こうした実施例に限定されるものではないことを理解すべきである。部または量はいずれも、他に記載のない限り、重量ユニットである。
【0121】
以下の実施例の理解に役立つように、頻繁に現れる特定の方法および/または用語について説明する。
【0122】
「プラスミド」は、大文字および/または数字の前および/または後にある小文字「p」によって表されている。本明細書中の最初のプラスミドは、市販品として制約なく一般に入手可能であるか、または報告された手順に従って、入手可能なプラスミドから構築することができる。更に、記載したものと同等なプラスミドは、当該技術分野で周知であり、当業者には自明であろう。
【0123】
DNAの「消化」とは、DNA中の特定の配列にのみ作用する制限酵素によるDNAの触媒切断を意味する。本実施例に使用される種々の制限酵素は、市販されており、それらの反応条件、コファクター、および他の要件は、当業者に周知のものを使用した。分析のために、典型的には、1μgのプラスミドまたはDNA断片を、約20μlの緩衝溶液中の約2ユニットの酵素と併用する。プラスミド構築用にDNA断片を単離する目的で、典型的には、5μg〜50μgのDNAを、より大きい容積中の20ユニット〜250ユニットの酵素を用いて消化する。特定の制限酵素に対する適切な緩衝液および基質の量は、製造業者の規定による。通常、37℃において約1時間のインキュベーション時間を使用するが、供給業者の指示に従って変えてもよい。消化の後、ポリアクリルアミドゲル上で反応物を直接電気泳動にかけて所望の断片を単離する。
【0124】
切断断片のサイズ分離は、Goeddel ら., Nucleic Acids Res., 8:4057 (1980)に記載の8パーセントポリアクリルアミドゲルを使用して行った。
【0125】
「オリゴヌクレオチド」とは、化学的に合成可能な一本鎖ポリデオキシヌクレオチドまたは二本鎖の相補的ポリデオキシヌクレオチドを意味する。このような合成オリゴヌクレオチドは5'ホスフェートをもたず、従って、キナーゼの存在下でATPと共にホスフェートを付加しないかぎり、他のオリゴヌクレオチドに連結しないであろう。合成オリゴヌクレオチドは、脱ホスホリル化されていない断片に連結するであろう。
【0126】
「連結反応」とは、2つの二本鎖核酸断片間のホスホジエステル結合の形成過程を意味する(Maniatis, T., ら, Id., P.146)。他に記載のない限り、連結反応は、既知の緩衝液および条件を使用し、連結されるほぼ等モル量のDNA断片0.5μgあたり10ユニットのT4 DNAリガーゼ(「リガーゼ」)を用いて行ってもよい。
【0127】
他に記載のない限り、形質転換は、Sambrook ら., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (第2版), Cold Spring Harbor Press (1989)の記載に従って行った。
【実施例】
【0128】
実施例1
細菌発現およびエステラーゼの精製
本発明の酵素をコードする配列番号33〜42のDNAは、最初に、本明細書中に記載のプライマーを使用したPCR法により、このようなDNAを含有するpBluescriptから増幅した。次に、増幅させた配列を、プライマー配列の下に記した各PQEベクター中に挿入し、本明細書中に記載のプロトコルに従って酵素の発現を行った。各遺伝子に対する5'および3'プライマー配列は次の通りである。


【0129】
指定の制限酵素部位は、各遺伝子に対して指定された細菌発現ベクター上の制限酵素部位に対応する(カリフォルニア州ChatsworthのQiagen, Inc.)。pQEベクターは、抗生物質抵抗性(Ampr)、細菌複製起点(ori)、IPTG調節性プロモーターオペレーター(P/O)、リボソーム結合部位(RBS)、6-Higタグ、および制限酵素部位をコードする。
【0130】
pQEベクターは、指定の制限酵素を用いて消化した。増幅された配列は、それぞれのpQEベクター中に連結し、更に、RBSをコードする配列を用いてフレーム中に挿入した。次に、連結混合物を用いて、エレクトロポレーションによりE. coli菌株M15/pREP4 (Qiagen, Inc.)の形質転換を行った。M15/pREP4には、lacIリプレッサーを発現し、更に、カナマイシン耐性(Kanr)を付与するプラスミドpREP4の複数のコピーが含まれる。LBプレート上での増殖能力により形質転換体を同定し、アンピシリン/カナマイシン耐性コロニーを選択した。プラスミドDNAを単離し、制限分析により確認した。所望の構築物を含有するコロニーを、Amp(100μg/ml)およびKan(25μg/ml)で補充されたLB培地中で液体培養により一晩(O/N)増殖させた。O/N培養物を使用し、1:100〜1:250の比で多量の培養物を接種した。600光学密度(O.D.600)が0.4〜0.6になるまで細胞を増殖させた。次に、IPTG(「イソプロピル-B-D-チオガラクトピラノシド」)を添加して、その最終濃度を1mMとした。IPTGは、lacIリプレッサーを不活性化することにより、P/Oの清澄化を誘発し、遺伝子発現を増大させる。更に3時間〜4時間、細胞を増殖させた。次に、遠心分離により細胞を回収した。
【0131】
上記のプライマー配列を利用して、上述したハイブリダイゼーション法により、堆積した物質から標的遺伝子を単離してもよい。
実施例2
堆積したゲノムクローンからの所定のクローンの単離
目的の遺伝子に対応する2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、堆積した物質から得られた遺伝子を増幅する。目的の遺伝子のDNA 0.1μgを用いて、反応混合物25μl中でポリメラーゼ連鎖反応を行う。反応混合物は、1.5〜5mM MgCl、0.01% (w/v) ゼラチン、それぞれ20μMのdATP、dCTP、dGTP、dTTP、25pmolの各プライマー、および1.25ユニットのTaqポリメラーゼである。Perkin-Elmer Cetus 9600サーマルサイクラーを用いて、30サイクルのPCR(94℃において1分間の変性;55℃において1分間のアニーリング;72℃において1分間の伸長)を行う。増幅産物を、アガロースゲル電気泳動により分析し、所定の分子量を有するDNAバンドを切出して精製する。DNA産物のサブクローニングおよび配列決定を行うことにより、PCR産物が目的の遺伝子であることを確認する。
実施例3
発現遺伝子バンクの作製
Hay and Short, Strategies, 5:16, 1992の方法に従って、M11TL、Thermococcus GU5L5、およびTeredinibacterの生物由来のランダムインサートを有するpBluescriptプラスミドを含むコロニーを得た。
実施例4
リパーゼ/エステラーゼ活性についてのスクリーニング
得られたコロニーを滅菌された楊枝で採取し、これを用いて96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに個々に接種した。ウェルには、100μg/mLアンピシリン、80μg/mLメチシリン、および10% v/v グリセロールを含有する250μlのLB培地(LB Amp/Meth,グリセロール)が入っていた。37℃において振盪せずに一晩、細胞を増殖させた。こうして「供給源遺伝子バンク」の作製を行った。従って、供給源遺伝子バンクの各ウェルには、独自のDNAインサートを有するpBluescriptがそれぞれ含まれたE. coli細胞のストック培養株が入っていた。
【0132】
供給源遺伝子バンクのプレートを使用し、各ウェルに200μLのLB Amp/Meth,グリセロールの入った単一プレート(「集合(condenced)プレート」)に、複数の接種を行った。この工程は、Beckman BiomekのHigh Density Replicating Tool (HDRT)を使用し、1%漂白剤、水、イソプロパノール、各接種間での空気乾燥滅菌サイクルを利用して行った。従って、集合プレートの各ウェルには、供給源ライブラリープレートのそれぞれから得られた10種〜12種の異なるpBluescriptが入っていた。37℃で16時間かけて集合プレートを増殖させ、次に、これを用いて、各ウェルに250μLのLB Amp/Meth (グリセロールなし)の入った2つの白色96ウェルPolyfiltronicsマイクロタイター娘プレートに接種した。もとの集合プレートは、-80℃で保存した。この2つの集合娘プレートを、37℃で18時間インキュベートした。
【0133】
短鎖エステラーゼ「600μM基質ストック溶液」を、次のように調製した。以下の各化合物25mgを適切な容量のDMSOに溶解し、25.2mM溶液とした。使用した化合物は、4-メチルウンベリフェリルプロピオネート、4-メチルウンベリフェリルブチレート、および4-メチルウンベリフェリルヘプタノエートであった。各DMSO溶液250マイクロリットルを、0.6%のTriton X-100および1mLあたり0.6mgのドデシルマルトシド(Anatrace)を含有した50mM, pH7.5のHepes緩衝液約9mLに添加した。上記のHepes緩衝液で容積を10.5mLとし、僅かに濁りのある懸濁液を作製した。
【0134】
長鎖「600μM基質ストック溶液」を、次のように調製した。上述したように、以下の各化合物25mgをDMSOに溶解し、25.2mM溶液とした。使用した化合物は、4-メチルウンベリフェリルエライデート、4-メチルウンベリフェリルパルミテート、4−メチルウンベリフェリルオレエートおよび4-メチルウンベリフェリルステアレートであった。いずれも、溶解させるために70℃浴中で加温する必要があった。上述したように、各DMSO溶液250マイクロリットルをHepes緩衝液に添加し、10.5mLまで希釈した。7つのウンベリフェロンはすべて、Sigma Chemical Co.から入手した。
【0135】
長鎖エステラーゼまたは短鎖エステラーゼ「600μM基質ストック溶液」50μLを、Biomekを使用して、白色集合プレートの各ウェルに添加し、約100μMの基質最終濃度とした。基質の添加直後に、プレート読み取り蛍光光度計を用いて、蛍光値を記録した(励起=326nm、発光=450nm)。長鎖基質の場合は70℃において60分間、短鎖基質の場合は室温で30分間、プレートをインキュベートした。再び、蛍光値を記録した。最初および最後の蛍光値を比較し、活性クローンが存在するかどうかを決定した。
実施例5
活性クローンの単離および精製
活性を有する個々のクローンを単離するために、供給源遺伝子バンクプレートを解凍し、それぞれのウェルを使用してLB Amp/Methを含有する新しいプレートに個々に接種した。上述したように、37℃でプレートをインキュベートして細胞を増殖させ、Biomekを使用して50μlの600μM基質ストック溶液を添加し、蛍光を測定した。供給源プレートから活性ウェルを同定したら、この活性ウェルからの細胞を、LB/Amp/Methを含む寒天上に線条接種し、37℃で一晩増殖させて単一コロニーを得た。滅菌した楊枝を用いて8つの単一コロニーを採取し、これを用いて96ウェルマイクロタイタープレートのウェルに個々に接種した。ウェルには、250μLのLB Amp/Methが含まれていた。細胞は、振盪せずに37℃で一晩増殖させた。それぞれのウェルから200μLのアリコートを取出し、上述したように適切な長鎖または短鎖基質を用いてアッセイを行った。最も活性なクローンを同定し、残りの50μLの培養物を用いてLB/Amp/Methを含む寒天プレートに線条接種した。上述したように、8つの単一コロニーを採取し、増殖させ、更に、アッセイを行った。最も活性なクローンを用いてLB/Amp/Methの培養物3mLに接種し、一晩増殖させた。培養物からプラスミドDNAを単離し、これを配列決定に利用した。
【0136】
上記の教示に照らして、本発明の多くの改良および変更が可能であり、従って、添付の請求の範囲内で、特に説明を行ったもの以外にも、本発明を実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明のStaphylothermus marinus F1-12LCの全長DNA(配列番号23)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号33)を示したものである。
【図2】Pyrodictium TAG11-17LCの全長DNA(配列番号24)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号34)を示したものである。
【図3】Archaeoglobus venificus SNP6-24LCの全長DNA(配列番号25)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号35)を示したものである。
【図4】Aquifex pyrophilus-28LCの全長DNA(配列番号26)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号36)を示したものである。
【図5】M11TL-29Lの全長DNA(配列番号27)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号37)を示したものである。
【図6】Thermococcus CL-2-30LCの全長DNA(配列番号28)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号38)を示したものである。
【図7】Aquifex VF5-34LCの全長DNA(配列番号29)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号39)を示したものである。
【図8】Teredinibacter-42Lの全長DNA(配列番号30)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号40)を示したものである。
【図9A】Archaeoglobus fulgidus VC16-16MCの全長DNA(配列番号31)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号41)を示したものである。
【図9B】Archaeoglobus fulgidus VC16-16MCの全長DNA(配列番号31)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号41)を示したものである。
【図10A】Sulfolobus solfataricus P1-8LCの全長DNA(配列番号32)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号42)を示したものである。
【図10B】Sulfolobus solfataricus P1-8LCの全長DNA(配列番号32)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号42)を示したものである。
【図11】本発明のLA11.1エステラーゼes2の全長DNA(配列番号43)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号53)を示したものである。
【図12】クジラMatサンプル11.801エステラーゼes9の全長DNA(配列番号44)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号54)を示したものである。
【図13】Mらlosphaera Prunae Ron 12/2エステラーゼ23mc1の全長DNA(配列番号45)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号55)を示したものである。
【図14】Thermotoga neapolitana 5068エステラーゼ56mc4の全長DNA(配列番号46)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号56)を示したものである。
【図15】Melittangium lichenicolaエステラーゼ77mc1の全長DNA(配列番号47)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号57)を示したものである。
【図16】クジラMatサンプル11.801エステラーゼes2の全長DNA(配列番号48)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号58)を示したものである。
【図17】クジラMatサンプルAD3059エステラーゼes4の全長DNA(配列番号49)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号59)を示したものである。
【図18】Microscilla furvescensエステラーゼ53sc2の全長DNA(配列番号50)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号60)を示したものである。
【図19】Thermotoga maritima MSB8エステラーゼ6sc1の全長DNA(配列番号51)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号61)を示したものである。
【図20】Polyangium brachysporumエステラーゼ78mc1の全長DNA(配列番号52)および対応する推定アミノ酸配列(配列番号62)を示したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号33〜42で示されたアミノ酸配列を含む酵素をコードするポリヌクレオチドに対して少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチド、
(b)(a)のポリヌクレオチドと相補的なポリヌクレオチド、および
(c)(a)または(b)のポリヌクレオチドの少なくとも15個の連続塩基を含むポリヌクレオチド、
からなる群より選ばれたメンバーを含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項2】
前記ポリヌクレオチドがDNAである請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記ポリヌクレオチドがRNAである請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
配列番号33のアミノ酸1〜414を含む酵素をコードする請求項2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
配列番号34のアミノ酸1〜373を含む酵素をコードする請求項2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
配列番号35のアミノ酸1〜453を含む酵素をコードする請求項2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
配列番号36のアミノ酸1〜343を含む酵素をコードする請求項2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
配列番号37のアミノ酸1〜398を含む酵素をコードする請求項2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
配列番号38のアミノ酸1〜592を含む酵素をコードする請求項2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
配列番号39のアミノ酸1〜354を含む酵素をコードする請求項2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
配列番号40のアミノ酸1〜303を含む酵素をコードする請求項2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項12】
配列番号41のアミノ酸1〜311を含む酵素をコードする請求項2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項13】
配列番号42のアミノ酸1〜305を含む酵素をコードする請求項2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項14】
(a)ATCC受託番号 に含まれるDNAにより発現される酵素をコードするポリヌクレオチドに対して少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチド、
(b)(a)のポリヌクレオチドと相補的なポリヌクレオチド、ならびに
(c)(a)および(b)のポリヌクレオチドの少なくとも15個の連続塩基を含むポリヌクレオチド、
からなる群より選ばれたメンバーを含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項15】
請求項2に記載のDNAを含む、ベクター。
【請求項16】
請求項15に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項17】
前記DNAによりコードされるポリペプチドを請求項16に記載の宿主細胞から発現する工程を含む、ポリペプチドの製造方法。
【請求項18】
細胞が請求項15に記載のベクター中に含まれるDNAによりコードされるポリペプチドを発現するように、前記ベクターを用いて前記細胞を形質転換またはトランスフェクトする工程を含む、細胞の製造方法。
【請求項19】
配列番号33〜42で示されたアミノ酸配列と少なくとも70%同じであるアミノ酸配列を含有する酵素からなる群より選ばれたメンバーを含む酵素。
【請求項20】
αケト酸の存在下で、アミノ酸を、配列番号33〜42で示されたアミノ酸配列を有する酵素からなる群より選ばれた酵素に接触させる工程を含む、アミノ酸からαケト酸へアミノ基を転移させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−209359(P2007−209359A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140859(P2007−140859)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【分割の表示】特願平9−529411の分割
【原出願日】平成9年2月11日(1997.2.11)
【出願人】(502170382)ディベルサ コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】