説明

エチレン・α−オレフィンエラストマー組成物と繊維との接着体の製造方法及び動力伝動ベルト

【課題】強固に複合化されたエチレン・α−オレフィンエラストマー組成物と繊維との接着体の製造方法、並びに心線との接着性が高い動力伝動ベルトを提供する。
【解決手段】Vリブドベルト1Aは、背面8が短繊維4を含有するゴム組成物で形成された伸張層5と、該伸張層5の下層には接着層2が配設され、更にその下層に短繊維4を含有するゴム組成物で形成された圧縮層6を配置した構成を有する。心線3は、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、キノンジオキシム0.5〜5重量部、イソシアネート化合物を7〜15重量部配合したオーバーコート皮膜を有するコードであって、該心線3と接するゴム層が、エチレン・α−オレフィンエラストマー組成物で構成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエチレン・α−オレフィンエラストマー組成物と繊維との接着体の製造方法、また自動車用あるいは一般産業用の駆動装置などに用いられる動力伝動ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
駆動装置に装着される動力伝動ベルトにおいて、オゾン雰囲気下、高温雰囲気下でのゴムの劣化が問題視されており、従来の天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴムなどから構成されているベルトではこのゴム劣化によって早期にクラックが生じることが指摘されている。また、クロロプレンなどのハロゲンを含んだゴムはダイオキシンの発生につながることから、環境負荷物質であるハロゲンを含有しないゴムで製造されたベルトが近年求められている。
【0003】
このような要求に対して、最近ではエチレン・プロピレンゴム(EPR)やエチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム(EPDM)等のエチレン・α−オレフィンエラストマーが、優れた耐オゾン性、耐熱性、耐寒性を有しているとともに比較的に安価なポリマーであり、脱ハロゲンという要求を満たしていることから有望視されている。
【0004】
しかしながら、エチレン・α−オレフィンエラストマーは引き裂き力が低く、パーオキサイド架橋系を用いると、更に引き裂き力が低下して、走行時に心線がポップアウトしやすいという問題があった。一方、硫黄架橋系を用いたものは、加硫度を十分に上げるのが困難であるため、走行時に摩耗が多くなり、特にVリブドベルトでは、摩耗紛がリブ部間の底部で蓄積され粘着摩耗を起こしやすく、これが発音を引き起こす大きな問題になっていた。また、加硫度を上げるために、分子内の二重結合量の極めて多いEPDMを用いると、粘着摩耗はある程度改善できるが、耐熱性が低下するという不具合が発生した。
【0005】
更に、問題となる点は、エチレン・α−オレフィンエラストマーと繊維との接着性にある。エチレン・α−オレフィンエラストマーで本体を構成した動力伝動ベルトでは、本体と心線との接着性が問題視されていた。そこで、エチレン・α−オレフィンエラストマーと繊維との接着処理方法として、繊維材料をレゾルシン・ホルマリン・スチレン−ブタジエン−ビニルピリジンラテックスとを含有するディップ液に浸漬処理した後、EPDMゴム組成物と加硫接着する方法(特許文献1参照)などが試みられてきた。また、ハロゲン化ポリマーを配合したエチレン・α−オレフィンエラストマー用接着処理剤が上市されている。
【特許文献1】特開平8−113657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、レゾルシン・ホルマリン・スチレン−ブタジエン−ビニルピリジンラテックスを含有するディップ液で処理する場合には、接着力が改善されるが、これを伝動ベルトの心線のような繰り返し屈曲疲労をうける部位に使用した場合には、心線と接着ゴム層とが早期に剥離することがあった。また、エチレン・α−オレフィンエラストマー用接着処理剤に含有されるハロゲン化ポリマーは環境負荷物質であるため、環境問題の重要性が増す近年において好ましくなかった。
【0007】
本発明はこのような問題点を解決するものであり、強固に複合化されたエチレン・α−オレフィンエラストマー組成物と繊維との接着体の製造方法、並びに心線との接着性が高く、また優れた耐屈曲疲労性、耐熱性、耐磨耗性、そして耐引裂性を備えた動力伝動ベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち本発明は、エチレン・α−オレフィンエラストマー組成物と繊維との接着体の製造方法において、繊維を、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部にキノンジオキシム0.5〜5重量部、イソシアネート化合物を7〜15重量部配合した処理剤でオーバーコート処理した後、未加硫エチレン・α−オレフィンエラストマー組成物と密着加硫せしめたことを特徴とする。
【0009】
また本発明に係るエチレン・α−オレフィンエラストマー組成物と繊維との接着体の製造方法は、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせてなる。即ち、キノンジオキシムがベンゾキノンジオキシムである;繊維を、イソシアネート化合物および/またはエポキシ化合物を配合した処理液で前処理した後、エチレン・α−オレフィンエラストマーラテックスを配合したRFL溶液でRFL処理し、その後、オーバーコート処理を行うことを特徴とした発明である。
【0010】
本発明は更に、ベルト長手方向に沿って心線を埋設した動力伝動ベルトにおいて、心線がエチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部にキノンジオキシム0.5〜5重量部、イソシアネート化合物を7〜15重量部配合したオーバーコート皮膜を有するコードであって、心線と接するゴム層が、エチレン・α−オレフィンエラストマー組成物で構成されることを特徴とする。
【0011】
また本発明に係る動力伝動ベルトは、上記動力伝動ベルトにおいて、キノンジオキシムがベンゾキノンジオキシムであることを特徴とした発明である。
【発明の効果】
【0012】
繊維に特定の接着処理を施し、未加硫エチレン・α−オレフィンエラストマー組成物と密着加硫させることで、良複合化した接着体を製造することができる。またキノンジオキシムとしてベンゾキノンジオキシムを選択することで、より接着性に優れるといった特徴がある。更に、繊維を数段階接着処理することで、より接着効果を高めることができる。
【0013】
本発明では、心線に特定皮膜を形成し、またベルト本体の心線と接するゴム層をエチレン・α−オレフィンエラストマー組成物で構成することで、心線との接着性が高く、ベルト本体と心線が良複合化できるといった効果がある。またキノンジオキシムとしてベンゾキノンジオキシムを選択することで、より接着性に優れるといった特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明を説明する。ここでは、動力伝動ベルトとして図1〜4のVリブドベルトを例示する。
【0015】
第1図に示すVリブドベルト1Aは、背面8が短繊維4を含有するゴム組成物で形成された伸張層5と、該伸張層5の下層には接着層2が配設され、更にその下層に短繊維4を含有するゴム組成物で形成された圧縮層6を配置した構成を有する。心線3は、ベルト長手方向に沿って本体内に埋設されてなり、その一部が伸張層5に接し、残部が接着層2に接した状態となっている。そして前記圧縮層6にはベルト長手方向に伸びる断面略三角形の複数のリブ7が設けられている。ここで、伸張層5、圧縮層6に含有される短繊維はベルト幅方向に配向しており、リブ7表面は研磨面である。
【0016】
第2図に示すVリブドベルト1Bは、背面8が短繊維4を含有するゴム組成物で形成された伸張層5と、該伸張層5の下層には接着層2が配設され、更にその下層に短繊維4を含有するゴム組成物で形成された圧縮層6を配置した構成を有する。心線3は、ベルト長手方向に沿って本体内に埋設されてなり、その一部が伸張層5に接し、残部が接着層2に接した状態となっている。そして前記圧縮層6にはベルト長手方向に伸びる断面略三角形の複数のリブ7が設けられている。ここで、伸張層5に含有される短繊維はベルト幅方向に配向しており、また圧縮層6に含有される短繊維はリブ形状に沿った流動状態を呈し、表面近傍の短繊維はリブ形状に沿って配向している。
【0017】
第3図に示すVリブドベルト1Cは、背面8が短繊維4を含有するゴム組成物で形成された伸張層5と、該伸張層5の下層には短繊維4を含有しないゴム組成物で形成された圧縮層6を配置した構成を有する。心線3は、ベルト長手方向に沿って本体内に埋設されてなり、その一部が伸張層5に接し、残部が圧縮層2に接した状態となっている。そして、前記圧縮層6にはベルト長手方向に伸びる断面略三角形の複数のリブ7が設けられており、該リブ表面には短繊維9が植毛されている。ここで、伸張層5に含有される短繊維はベルト幅方向に配向している。
【0018】
第4図に示すVリブドベルト1Dは、背面8が帆布からなる伸張層5で形成されており、該伸張層5の下層には接着層2が配設され、更にその下層に短繊維4を含有するゴム組成物で形成された圧縮層6を配置した構成を有する。心線3は、ベルト長手方向に沿って本体内に埋設してなり、詳しくは接着層2に埋設された状態となっている。そして前記圧縮層6にはベルト長手方向に伸びる断面略三角形の複数のリブ7が設けられている。ここで、圧縮層6に含有される短繊維はベルト幅方向に配向しており、リブ7表面は研磨面である。
【0019】
ここで、図1〜3では、心線3は、伸張層5及び接着層2、伸張層5及び圧縮層6に接した例を挙げたが、2層に接することが必須要件ではなく、図4のように心線3全部が1層(例えば接着層2)に埋設された構成でもかまわない。そして心線3は、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、キノンジオキシム0.5〜5重量部、イソシアネート化合物を7〜15重量部配合したオーバーコート皮膜を有するコードである。
【0020】
また図1〜4では、圧縮層6は、短繊維を分散して含有させたり、表面に植毛したりした構成を示しているが、必ずしも短繊維を必要とするものではない。また圧縮層を表層と内層の2層からなる構成とすることもできる。この場合は、表層にのみ短繊維を含有させることが望ましい。圧縮層が短繊維を含有するゴム組成物で構成される場合、短繊維は例えばベルト幅方向に配向(図1)させたり、リブ形状に沿った流動状態を呈し、表面近傍の短繊維はリブ形状に沿って配向(図2)させたりすることができる。尚、植毛の手法は、機械的植毛、静電気的植毛など限定されるものではない。
【0021】
図1〜3では、伸張層をカバー帆布で構成せず、ゴム組成物で形成した構成を示したが、この際、背面駆動時の異音を抑制すべく、背表面に凹凸パターンを設けることができる。凹凸パターンとしては、編布パターン、織布パターン、スダレ織布パターンなどを挙げることができるが、最も好ましくは織物パターンである。また該ゴム組成物には耐摩耗性や耐引裂性等を考慮すると、短繊維を含有させることが望ましい。伸張層が短繊維を含有するゴム組成物で構成される場合、耐縦裂き性を考慮するとベルト幅方向に配向させることが望ましい。また背面を研磨面としてもよい。
【0022】
尚、図3のように接着層を配置しない構成の場合、心線3は伸張層5と圧縮層6の境界領域でベルト本体に埋設されることになる。この時、心線3とベルト本体との接着性を考慮すると、圧縮層6の少なくとも心線3付近は短繊維を含有しないゴム組成物で構成することが望ましい。また図1,2,4のように接着層を配置する構成の場合、接着層2は短繊維を含有しないゴム組成物で構成することが好ましい。
【0023】
本発明においては、心線と接するゴム層が、エチレン・α−オレフィンエラストマー組成物で構成される。
【0024】
エチレン・α−オレフィンエラストマーとしては、エチレンとα−オレフィン(プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテンなど)の共重合体、あるいは、エチレンと上記α−オレフィンと非共役ジエンの共重合体であり、具体的にはエチレン−プロピレンゴム(EPM)やエチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)などのゴムをいう。上記ジエン成分としては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネンなどの炭素原子数5〜15の非共役ジエンが挙げられる。
【0025】
また、上記ゴム組成物には、架橋剤として有機過酸化物が配合されることが望ましい。有機過酸化物としては、例えばジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−モノ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等を挙げることができる。この有機過酸化物は、単独もしくは混合物として、ゴム100重量部に対して0.5〜8重量部の範囲で好ましく使用される。
【0026】
そして、それ以外に必要に応じてカーボンブラック、シリカのような増強剤、炭酸カルシウム、タルクのような充填剤、可塑剤、安定剤、加工助剤、着色剤のような通常のゴム配合物に使用されるものが使用される。
【0027】
ゴム組成物にエチレン・α−オレフィンエラストマー成分以外のゴム成分を使用することも可能である。エチレン・α−オレフィンエラストマーにブレンドする相手ゴムとしては、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、天然ゴム(NR)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)などの少なくとも一種のゴムを挙げることができる。水素化ニトリルゴムは水素添加率80%以上であり、耐熱性及び耐オゾン性の特性を発揮するために、好ましくは90%以上が良い。水素添加率80%未満の水素化ニトリルゴムは、耐熱性及び耐オゾン性は極度に低下する。耐油性及び耐寒性を考慮すると、結合アクリロニトリル量は20〜45%の範囲が好ましい。
【0028】
尚、心線と接するゴム層を上述の如きゴム組成物で構成することを本発明の必須条件としてあげているが、いうまでもなくベルト本体を構成するゴム組成物全てを該ゴム組成物で構成することが可能である。
【0029】
圧縮層6には、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド、ポリエステル、綿、アラミドなどから選ばれる短繊維を混入して圧縮層6の耐側圧性を向上させるとともに、プーリと接する面になる圧縮層6の表面に該短繊維を突出させ、圧縮層の摩擦係数を低下させて、ベルト走行時の騒音を軽減させることができる。アラミド繊維は分子構造中に芳香環をもつ、例えば商品名コーネックス、ノーメックス、ケブラー、テクノーラ、トワロン等が例示できる。
【0030】
前記短繊維は、繊維長さは1〜20mmで、その添加量はゴム100質量部に対して5〜50質量部であることが望ましい。尚、短繊維の添加量が1質量部未満の場合には、圧縮層6のゴムが粘着しやすくなって摩耗する欠点があり、また一方40質量部を越えると、短繊維がゴム中に均一に分散し難い。上記短繊維はゴムとの接着を向上させるために、該短繊維をエポキシ化合物やイソシアネート化合物などを含有する処理液やRFL溶液によって接着処理されることが好ましい。
【0031】
伸張層5にもまた上記の如き短繊維を混入することができる。また伸張層5をカバー帆布で構成する場合は、カバー帆布は例えば織物、編物、不織布などから選択される繊維基材である。構成する繊維素材としては、公知公用のものが使用できるが、例えば綿、麻等の天然繊維や、金属繊維、ガラス繊維等の無機繊維、そしてポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリフロルエチレン、ポリアクリル、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリエステル、アラミド等の有機繊維が挙げられる。織物の場合は、これらの糸を平織、綾織、朱子織等することにより製織される。
【0032】
上記カバー帆布は、公知技術に従ってレゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス液(RFL液)に浸漬することが好ましい。またRFL液に浸漬後、未加硫ゴムをカバー帆布に擦り込むフリクションを行ったり、ゴムを溶剤に溶かしたソーキング液に浸漬処理することができる。尚、RFL液には適宜カーボンブラック液を混合して処理反を黒染めしたり、公知の界面活性剤を0.1〜5.0質量%加えてもよい。
【0033】
心線3は、例えばポリエチレンテレフタレート繊維(PET繊維)、ポリエチレンナフタレート繊維(PEN繊維)、ポリトリメチレンテレフタレート繊維(PTT繊維)、ポリブチレンテレフタレート繊維(PBT繊維)、ガラス繊維、アラミド繊維などを材料とし、撚糸したコードが使用できる。ガラス繊維の組成は、Eガラス、Sガラス(高強度ガラス)のいずれでもよく、フィラメントの太さ及びフィラメントの集束本数及びストランド本数に制限されない。
【0034】
前記コードは、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、キノンジオキシム0.5〜5重量部、イソシアネート化合物を7〜15重量部配合したオーバーコート皮膜を有する。例えば以下のような接着処理を施すことによって該皮膜を形成したコードを得ることができる。
(イ)未処理コードを、RFL溶液でRFL処理した後、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、キノンジオキシム0.5〜5重量部、イソシアネート化合物を7〜15重量部配合した処理剤でオーバーコート処理する。
(ロ)未処理コードを、イソシアネート化合物および/またはエポキシ化合物を配合した処理液で前処理した後、RFL溶液でRFL処理し、その後、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、キノンジオキシム0.5〜5重量部、イソシアネート化合物を7〜15重量部配合した処理剤でオーバーコート処理する。
【0035】
前処理は、例えば(1)未処理コードをイソシアネート化合物および/またはエポキシ化合物を配合した処理液を入れたタンクに含浸させた後、(2)160〜200°C温度設定した乾燥炉に30〜600秒間通して乾燥する、ことにより行われる。
【0036】
イソシアネート化合物としては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン2,4−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリアリールポリイソシアネート(例えば商品名としてPAPIがある)等がある。また、上記イソシアネートにフェノール類、第3級アルコール類、第2級アルコール類等のブロック化剤を反応させてポリイソシアネートのイソシアネート基をブロック化したブロック化ポリイソシアネートも使用可能である。
【0037】
エポキシ化合物としては、例えばエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールや、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコールとエピクロルヒドリンのようなハロゲン含有エポキシ化合物との反応生成物や、レゾルシン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルメタン、フェノール.ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン.ホルムアルデヒド樹脂等の多価フェノール類やハロゲン含有エポキシ化合物との反応生成物などである。上記エポキシ化合物はトルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に混合して使用される。
【0038】
これらイソシアネート化合物および/またはエポキシ化合物を、例えばトルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に混合したものが、前処理液として使用される。
【0039】
RFL処理は、同時に延伸熱固定処理を行うことができ、例えば(3)RFL溶液を入れたタンクに浸漬し、(4)210〜260°Cに温度設定した延伸熱固定処理器に30〜600秒間通し−1〜3%延伸固定する、ことにより行われる。
【0040】
RFL溶液はレゾルシンとホルムアルデヒドの初期縮合物をゴムラテックスと混合したものであり、この場合レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比は1:2〜2:1にすることが接着力を高める上で好適である。モル比が1/2未満では、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂の三次元化反応が進み過ぎてゲル化し、一方2/1を超えると、逆にレゾルシンとホルムアルデヒドの反応があまり進まないため、接着力が低下する恐れがある。
【0041】
ゴムラテックスとしては、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体、水素化ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレン・α−オレフィンエラストマーなどのラテックスがあげられるが、好ましくはエチレン・α−オレフィンエラストマーラテックスである。合成ゴムラテックスの製造方法としては、例えば以下の2種類があり、一つは、固形ポリマーを溶剤に溶かした後、相変化させて水に乳化分散させ、ラテックスとする方法で、もう一つは、乳化させたモノマーを重合してそのままラテックスとする方法である。後述の実施例では前者の方法で製造したEPDMラテックスを用いているが、いずれの方法で製造したものでも構わない。
【0042】
また、レゾルシン−ホルムアルデヒドの初期縮合物と上記ゴムラテックスの固形分質量比は1:2〜1:8が好ましく、この範囲を維持すれば接着力を高める上で好適である。上記の比が1/2未満の場合には、レゾルシン−ホルムアルデヒドの樹脂分が多くなり、RFL皮膜が固くなり動的な接着が悪くなり、他方1/8を超えると、レゾルシン−ホルムアルデヒドの樹脂分が少なくなるため、RFL皮膜が柔らかくなり、接着力が低下する。
【0043】
更に、上記RFL溶液には加硫促進剤や加硫剤を添加してもよく、添加する加硫促進剤は、含硫黄加硫促進剤であり、具体的には2−メルカプトベンゾチアゾール(M)やその塩類(例えば、亜鉛塩、ナトリウム塩、シクロヘキシルアミン塩等)ジベンゾチアジルジスルフィド(DM)等のチアゾール類、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CZ)等のスルフェンアミド類、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TT)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(TRA)等のチウラム類、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸ナトリウム(TP)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(PZ)ジエチルジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(EZ)等のジチオカルバミン酸塩類等がある。
【0044】
また、加硫剤としては、硫黄、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛)、過酸化物等があり、上記加硫促進剤と併用する。
【0045】
オーバーコート処理は、例えば(5)エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、キノンジオキシム0.5〜5重量部、イソシアネート化合物を7〜15重量部配合した処理剤を入れたタンクに浸漬し、(6)130〜170°Cに温度設定した乾燥炉に120〜300秒間通して乾燥する、ことにより行われる。
【0046】
オーバーコート処理に用いる処理剤は、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、キノンジオキシム0.5〜5重量部、イソシアネート化合物を7〜15重量部配合した処理剤であり、具体的にはエチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、キノンジオキシムを配合したエチレン・α−オレフィンエラストマー組成物及びイソシアネートをトルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に溶解した溶液などがオーバーコート処理剤として用いられる。
【0047】
キノンジオキシムは共架橋剤として作用し、0.5重量部未満では接着性の改善が殆ど見られず、5重量部を超えると接着力が急激に低下する。
【0048】
キノンジオキシムとしては、p−ベンゾキノンジオキシム、p,p’−ジベンゾキノンジオキシム、テトラクロロベンゾキノンポリ(P−ジニトロベンゾキノン)等が挙げられる。接着性や架橋密度を考慮すると、p−ベンゾキノンジオキシムやp,p’−ジベンゾキノンジオキシムなどのベンゾキノンジオキシムが好ましい。
【0049】
イソシアネート化合物は、7重量部未満では接着性が低く、15重量部を超えるとロープ剛性度が上がり動的な接着性が低下するといった不具合がある。イソシアネート化合物は、上述と同様のものが使用可能である。
【0050】
該処理剤に使用するエチレン・α−オレフィンエラストマーは上述と同様のものが使用可能であるが、ジエン含量が8〜20%ものを用いることが接着性を高める上で好適である。処理剤に使用する固形分中のエチレン・α−オレフィンエラストマー分は60〜90重量%である。60重量%未満では、繊維への浸透性が劣り、接着力が低下し、他方90重量%を超えると、処理繊維の経時接着力の低下が大きくなる。
【0051】
該処理剤には所望に応じて配合剤を配合することができる。例えば、硫黄や有機過酸化物などの架橋剤、加硫促進剤、シリカやカーボンブラックといった補強剤、脂肪酸や脂肪酸誘導体などの加工助剤、他にポリ−p−ジニトロソベンゼン、レゾルシン−ホルムアルデヒドの初期縮合物などを挙げることができる。これらは単独または併用して配合することができる。
【0052】
シリカは、乾式シリカ、湿式シリカ、またこれらを表面処理したシリカなど限定されるものではなく、粒子径、PH等も限定されない。その添加量はエチレン・α−オレフィンエラストマー100質量部に対して、5〜40質量部である。5質量部未満では、接着性の改善効果に乏しく、一方40質量部を超えると、ゴムの粘度が上昇して繊維への浸透性が劣り、接着力が低下するといった不具合がある。
【0053】
カーボンブラックは、SAF、ISAF、HAF、FF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等があり、特に規定しない。その添加量はエチレン・α−オレフィンエラストマー100質量部に対して、5〜50質量部である。5質量部未満では、経時接着力の低下抑制効果に乏しく、また50質量部を超えると、ゴムの粘度が上昇して繊維への浸透性が劣り、接着力が低下するといった不具合がある。
【0054】
脂肪酸、脂肪酸誘導体として具体的には、ラウリル酸、パルチミン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エルカ酸などの高級脂肪酸、ならびにこれら脂肪酸の金属塩、エステル、アマイドなどが挙げられ、これらは単独に限らず併用することができる。なかでもステアリン酸、およびステアリン酸誘導体が汎用的である。また脂肪酸金属塩に加えて、パラフィン類、多価カルボン酸エステルを混合した加工助剤(具体的には、R・T・VANDERBILT社のバンフリーAP−2がある。)などを用いることも接着性を高める上で好適である。該加工助剤は、配合剤の分散性並びにゴム組成物の作業性を向上させるとともに、接着性の改善に効果がある。その配合量はエチレン・α−オレフィンエラストマー100質量部に対して2〜20質量部添加することが好ましい。2質量部未満では、未加硫ゴムとの接着が不十分であり、一方20質量部を超えると、逆に接着力の低下を招く。
【0055】
ポリ−p−ジニトロソベンゼンは、接着性の改善に効果があり、加硫剤として硫黄を配合する場合は、チウラム系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤の活性化剤として作用する。その配合量はエチレン・α−オレフィンエラストマー100質量部に対して0.05〜1.5質量部添加することが好ましい。0.05質量部未満では、未加硫ゴムとの接着が不十分であり、一方1.5質量部を超えると、接着体の物性の低下などを招く。
【0056】
次に、上記のようなVリブドベルトの製造方法を説明する。製造方法としては限定されるものではないが例えば以下のような方法がある。
【0057】
第1の方法としては、まず、円筒状の成形ドラムの周面に伸張層を構成する部材と接着層を構成する接着ゴムシートとを巻き付けた後、この上にコードからなる心線を螺旋状にスピニングし、更に圧縮層を構成する圧縮ゴムシートを順次巻き付けて未加硫スリーブを形成した後、加硫して加硫スリーブを得る。次に、加硫スリーブを駆動ロールと従動ロールに掛架され所定の張力下で走行させ、更に回転させた研削ホイールを走行中の該加硫スリーブに当接するように移動してスリーブの圧縮層表面に3〜100個の複数の溝状部を一度に研磨して摩擦伝動面を形成する。このようにして得られたスリーブを駆動ロールと従動ロールから取り外し、該スリーブを他の駆動ロールと従動ロールに掛架して走行させ、カッターによって所定に幅に切断して個々のVリブドベルトに仕上げる。
【0058】
第2の方法としては、周面にリブ刻印を設けた円筒状の成形ドラムに、圧縮層を構成する圧縮ゴムシート、接着層を構成する接着ゴムシートを巻き付けた後、心線をスピニングし、伸張層を構成する部材を巻き付けて未加硫スリーブを配置する。その後、該未加硫スリーブを成形ドラムに押圧しながら加硫することで、圧縮層にリブを型付けする。得られた加硫スリーブにはリブが形成されてなるが、必要に応じてリブ表面を研磨し、所定幅に切断して個々のVリブドベルトとする。
【0059】
第3の方法としては、円筒状の成形ドラムに装着された可撓性ジャケットの上に伸張層を構成する部材、接着層を構成する接着ゴムシートを巻き、その上に心線をスピニングした後、さらに圧縮層を構成する圧縮ゴムシートを順次無端状に捲き付けて未加硫スリーブを形成する。そして、可撓性ジャケットを膨張させて、未加硫スリーブをリブ部に対応した刻印を有する外型に押圧して加硫成形する。得られた加硫スリーブにはリブが形成されてなるが、必要に応じてリブ表面を研磨し、所定幅に切断して個々のVリブドベルトとする。
【0060】
第4の方法としては、円筒状の成形ドラムに装着された可撓性ジャケットの上に圧縮層を構成する圧縮ゴムシートを配置した第1未加硫スリーブを形成した後、可撓性ジャケットを膨張させて、該第1未加硫スリーブをリブ部に対応した刻印を有する外型に押圧して、リブ部を有する予備成型体を作製する。そして、前記予備成型体を密着させた外型から、内型を離間させ、次いで、内型に伸張層を構成する部材、接着層を構成する接着ゴムシートを配置し、心線をスピニングして第2未加硫スリーブを形成する。そして、可撓性ジャケットを膨張させて、前記予備成型体を密着させた外型に、該第2未加硫スリーブを内周側から押圧して予備成型体と一体的に加硫する。得られた加硫ベルトスリーブにはリブが形成されてなるが、必要に応じてリブ表面を研磨し、所定幅に切断して個々のVリブドベルトとする。
【0061】
ここで、伸張層を構成する部材とは、例えば帆布や伸張ゴムシートである。尚、Vリブドベルトの圧縮層を表層と内層の2層からなる構成とする場合、表層と内層の2層構成を有する圧縮ゴムシートを巻き付ける、もしくは表層用圧縮ゴムシートと内層用圧縮ゴムシートを順次巻き付けるなどにより、表層と内層の2層構成を有する圧縮層を配置した未加硫スリーブを形成する必要がある。このとき、第1の方法では研磨によりリブを形成するため、得られたVリブドベルトのリブ山には表層が存在するがリブ側面やリブ底には内層が露出することが考えられる。そのため、圧縮層が2層構成を有するVリブドベルトは、第2の方法、第3の方法、もしくは第4の方法で製造することが望ましい。また図3のような接着層を配置しないVリブドベルトは、上記方法において接着ゴムシートを配置せずに製造することで得ることができる。
【0062】
上記心線3を用いたVリブドベルトは、Vリブドベルトを2%伸張させるのに必要な引張力が100〜250N/リブ、更に好ましくは130〜210N/リブとすると、たとえリブゴム磨耗等によりベルト伸びが発生した場合でも、急激な張力低下を引き起こすことなく、安定した張力が維持できる。250N/リブを超えるとベルト伸び時に急激な張力低下が見られ、100N/リブ未満であると心線伸びによるベルト張力低下が大きくなる。
【0063】
またベルトに147N/5本コードの初荷重をかけ、100℃雰囲気下30分放置した後に発生したベルト乾熱時収縮力が50〜150N/5本コードである特性を付与すると、ベルト伸びが発生しても張力を自己調整可能であり、オートテンショナーを設置しなくともベルトスリップ率が小さくてベルト寿命が長いものを得ることができる。ベルト乾熱時収縮力が50N未満の場合には、ベルト張力を調整する性能に乏しく、スリップ率が高くなる傾向がある。また、ベルト乾熱時収縮力が150Nを越える場合には、ベルト長さの経時収縮が大きくなる傾向がある上に、スリップ率が小さくなる効果は小さい。
【0064】
尚、動力伝動ベルトは上述したVリブドベルトに限定されるものではなく、Vベルト、平ベルト、歯付ベルトなども本発明の技術範囲に属するものである。またエチレン・α−オレフィンエラストマーと繊維との接着体の製造方法として、繊維として心線を例示したがこれに限るものではなく、例えば短繊維、帆布などの繊維にも同様に適用できるものである。
【実施例】
【0065】
以下本発明を具体的な実施例を伴って説明する。
【0066】
心線は、1220dtex/1×5のPET繊維の未処理撚糸コードを準備し、表1に示す前処理液に浸漬した後、180°Cで4分間熱処理した。次に、表2に示すRFL溶液に浸漬し、230°Cで2分間熱処理を行った。更に、表3に示すゴム組成物100重量部、イソシアネート化合物7重量部をトルエン900重量部に溶解させたオーバーコート処理剤に浸漬し、150°Cで4分間熱処理し、オーバーコート皮膜を有するコードを作成した。
【0067】
得られたコードを表4に示す配合をもつ厚さ4mmのゴムシートの上に25mm幅に並べ、プレス板で2.0MPaの圧力をかけ、163℃で30分間加硫し、剥離試験用の試料を作製した。そして、JISK6256に従い剥離力を測定した。その結果を表5に示す。
【0068】
また、得られた処理コードを心線とし、接着ゴム層として表4のゴム配合、また圧縮ゴム層として表4のゴム配合にナイロン短繊維を20重量部配合したものを準備した。そして、円筒状の成型ドラムの周面にゴム付綿帆布を2プライと接着ゴム層を積層し、上記心線をピッチ1.03mm、張力50Nでスピニングした後に圧縮ゴム層を積層し、この積層物を加硫した。加硫スリーブを駆動ロールと従動ロールに掛架して所定の張力下で走行させながら、回転中の研削ホイールを圧縮ゴム層表面に当てて複数の溝状部を研磨加工し、そして所定幅に切断してVリブドベルトを得た。
【0069】
得られたVリブドベルトはRMA規格による長さ975mmのK型3リブドベルトであり、リブピッチ3.56mm、リブ高さ2.0mm、ベルト厚さ4.3mm、リブ角度40°である。得られたベルトの接着性評価として、ベルト周方向に埋設した心線を2本引き起こし、50mm/分の速度で剥離したときの応力を求めた。その結果を表5に併記する。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
【表4】

【0074】
【表5】

【0075】
表5の試験結果から明らかなように、実施例では繊維とゴムが良接着し、またベルト成形体においても心線と本体とが強固に複合化していることが判る。一方で、比較例では接着性が不満足であり、実使用上問題があった。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る動力伝動ベルトの第1実施例であるVリブドベルトの断面図である。
【図2】本発明に係る動力伝動ベルトの第2実施例であるVリブドベルトの断面図である。
【図3】本発明に係る動力伝動ベルトの第3実施例であるVリブドベルトの断面図である。
【図4】本発明に係る動力伝動ベルトの第4実施例であるVリブドベルトの断面図である。
【符号の説明】
【0077】
1A Vリブドベルト
1B Vリブドベルト
1C Vリブドベルト
1D Vリブドベルト
2 接着層
3 心線
4 短繊維
5 伸張層
6 圧縮層
7 リブ
8 背面
11 カバー帆布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン・α−オレフィンエラストマー組成物と繊維との接着体の製造方法において、繊維を、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部にキノンジオキシム0.5〜5重量部、イソシアネート化合物を7〜15重量部配合した処理剤でオーバーコート処理した後、未加硫エチレン・α−オレフィンエラストマー組成物と密着加硫せしめたことを特徴とするエチレン・α−オレフィンエラストマー組成物と繊維との接着体の製造方法。
【請求項2】
キノンジオキシムがベンゾキノンジオキシムである請求項1記載のエチレン・α−オレフィンエラストマー組成物と繊維との接着体の製造方法。
【請求項3】
繊維を、イソシアネート化合物および/またはエポキシ化合物を配合した処理液で前処理した後、エチレン・α−オレフィンエラストマーラテックスを配合したRFL溶液でRFL処理し、その後、オーバーコート処理を行う請求項1又は2に記載のエチレン・α−オレフィンエラストマー組成物と繊維との接着体の製造方法。
【請求項4】
ベルト長手方向に沿って心線を埋設した動力伝動ベルトにおいて、心線がエチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部にキノンジオキシム0.5〜5重量部、イソシアネート化合物を7〜15重量部配合したオーバーコート皮膜を有するコードであって、心線と接するゴム層が、エチレン・α−オレフィンエラストマー組成物で構成されることを特徴とする動力伝動ベルト。
【請求項5】
キノンジオキシムがベンゾキノンジオキシムである請求項4に記載の動力伝動ベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−282763(P2006−282763A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−102233(P2005−102233)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】