説明

エチレン系共重合体、発泡体用組成物およびそれからなる発泡成形体

【課題】ミッドソール等の発泡成形体を効率よく成形することができ、得られる発泡成形体は軽量であり、かつ変形回復性に優れ、ミッドソール等の靴製品をはじめ、種々の発泡成形体に利用することができる発泡体用組成物を提供する。
【解決手段】エチレン[A]、炭素原子数4〜20のα−オレフィン[B]、および非共役ポリエン[C]に由来する構造単位を含むエチレン系共重合体であり、
(1)エチレン[A]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、92〜97モル%であり、
(2)非共役ポリエン[C]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、0.01〜3.0モル%であり、
(3)190℃におけるメルトフローレート(MFR 190℃)が、0.5〜25である共重合体(イ)並びに架橋剤および発泡剤を含むことを特徴とする発泡体用組成物、その組成物を架橋および発泡させて得られる発泡体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた変形回復性を有し、かつ軽量である発泡成形体を成形するに適したエチレン系共重合体、発泡用組成物およびそれからなる発泡成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
靴(シューズ)用のミッドソールには、ポリウレタン、エチレン・酢酸ビニル共重合体の発泡成形品が用いられている。また、その更なる軽量化のため、ポリオレフィンゴム、ポリオレフィンエラストマー等の発泡体も利用されている。
【0003】
近年シューズ用のミッドソールには、その軽量化、高性能化の要請に伴い、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムが利用されるようになっている。
これらを利用することにより軽量でかつ柔軟、さらに機械的強度に優れた架橋発泡体が得られるが、さらに軽量化を図り高性能化とするためには、圧縮歪み性をさらに改良することが必要である。そのため、従来のエチレン・α―オレフィン・非共役ジエン共重合体の架橋度を高めると圧縮歪み性は改良されるが、引き裂き強度が不十分となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2007/132731
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、これらエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体に特有のジエン部分の架橋の性能を保持しながら、結晶性を付与させることにより、発泡体として用いた場合に、抗圧縮歪み性が改良されると共に、引張強度も維持され、さらにα−オレフィンとして、1−ブテン、1−ヘキセン、あるいは1−オクテンを選択して用いることにより、結晶性を維持しながらも、その融点範囲を比較的低温に抑えて、その優れた加工性が得られることを見出した。さらに、このようなエチレン系共重合体を利用した発泡性組成物は従来から行われているミッドソールの発泡成形にも適用することができ、迅速な実用化を図ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、その一つの態様によれば、エチレン[A]、炭素数4〜20のα−オレフィン[B]、と非共役ポリエン[C]に由来する構造単位を含むエチレン系共重合体であり、
(1)結晶化度が20〜35%の範囲にあり、
(2)非共役ポリエン[C]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、0.01〜3.0モル%であり、
(3)190℃におけるメルトフローレート(MFR 190℃)が、0.5〜25であることを特徴とするエチレン系共重合体(イ)に関する。
【0007】
また、本発明の他の態様によれば、エチレン[A]、炭素数4〜20のα−オレフィン[B]、と非共役ポリエン[C]に由来する構造単位を含むエチレン系共重合体であり、
(1)エチレン[A]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、92〜97モル%であり、
(2)非共役ポリエン[C]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、0.01〜3.0モル%であり、
(3)190℃におけるメルトフローレート(MFR 190℃)が、0.5〜25であることを特徴とするエチレン系共重合体(イ)に関する。
【0008】
さらに、本発明はその他の態様によれば、エチレン[A]、炭素数4〜20のα−オレフィン[B]、と非共役ポリエン[C]に由来する構造単位を含むエチレン系共重合体であり、
(1)結晶化度が20〜35%の範囲にあり、
(2)エチレン[A]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、92〜97モル%であり、
(3)非共役ポリエン[C]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、0.01〜3.0モル%であり、
(4)190℃におけるメルトフローレート(MFR 190℃)が、0.5〜25であることを特徴とするエチレン系共重合体(イ)に関する。
【0009】
本発明における好適な態様においては、上記のエチレン系共重合体(イ)を構成する炭素数4〜20のα−オレフィン[B]が、1−ブテン、1−ヘキセン、または1−オクテンから選ばれる少なくとも1種以上のα―オレフィンであることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明は、その他の態様によれば、エチレン[A]、炭素数4〜20のα−オレフィン[B]、と非共役ポリエン[C]に由来する構造単位を含むエチレン系共重合体であり、
(1)結晶化度が20〜35%の範囲にあり、
(2)非共役ポリエン[C]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、0.01〜3.0モル%であり、
(3)190℃におけるメルトフローレート(MFR 190℃)が、0.5〜25であるエチレン系共重合体(イ)並びに架橋剤および発泡剤を含むことを特徴とする発泡体用組成物に関する。
【0011】
さらに本発明は、その他の態様によれば、エチレン[A]、炭素数4〜20のα−オレフィン[B]、と非共役ポリエン[C]に由来する構造単位を含むエチレン系共重合体であり、
(1)エチレン[A]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、92〜97モル%であり、
(2)非共役ポリエン[C]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、0.01〜3.0モル%であり、
(3)190℃におけるメルトフローレート(MFR 190℃)が、0.5〜25であるエチレン系共重合体(イ)並びに架橋剤および発泡剤を含むことを特徴とする発泡体用組成物に関する。
【0012】
さらに本発明は、その他の態様によれば、エチレン[A]、炭素数4〜20のα−オレフィン[B]、と非共役ポリエン[C]に由来する構造単位を含むエチレン系共重合体であり、
(1)結晶化度が20〜35%の範囲にあり、
(2)エチレン[A]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、92〜97モル%であり、
(3)非共役ポリエン[C]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、0.01〜3.0モル%であり、
(4)190℃におけるメルトフローレート(MFR 190℃)が、0.5〜25であるエチレン系共重合体(イ)並びに架橋剤および発泡剤を含むことを特徴とする発泡体用組成物に関する。
【0013】
本発明の好適な態様においては、上記の発泡体用組成物を構成するエチレン系共重合体(イ)の炭素数4〜20のα−オレフィン[B]が、1−ブテン、1−ヘキセン、または1−オクテンから選ばれる少なくとも1種以上のα―オレフィンであることが好適である。
【0014】
さらに本発明は、その好適な態様によれば、上記の発泡体用組成物がさらに、エチレン系共重合体(イ)と共に、更にα―オレフィン系エラストマー、エチレン・極性モノマー共重合体、およびスチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体から選ばれる少なくとも1種以上の重合体を含むことを特徴とする発泡体用組成物に関する。
【0015】
さらに本発明は、その好適な態様によれば、上記の発泡体用組成物を架橋および発泡させてなることを特徴とする発泡成形体に関し、中でも、靴ミッドソールに関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明のエチレン系共重合体は、発泡性組成物として用いることにより、これまでと同様の架橋発泡の工程であっても発泡成形体を効率よく成形することができる。また、いずれの成形方法によっても、得られる発泡成形体は軽量であり、かつ変形回復性に優れ、ミッドソール等の靴製品をはじめ、種々の発泡成形体に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、比重を測定する部位を示す発泡成形体のサンプルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(イ)は、エチレン[A]と共に少なくとも1種類以上の炭素数4〜20のα−オレフィン[B]に由来する構造単位、および少なくとも一種以上の非共役ポリエン[C]に由来する構造単位を含むエチレン系共重合体である。
【0019】
炭素数4〜20のα−オレフィン[B]としては、側鎖の無い直鎖の構造を有する、炭素数4の1−ブテン、炭素数6の1−ヘキセン、炭素数8の1−オクテン、更には炭素数19の1−ノナデセン、炭素数20の1−エイコセン、並びに側鎖を有する4−メチル−1−ペンテン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなどがあげられる。これらのα−オレフィンは単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中では、炭素数4〜10のα−オレフィンが好ましく、特に1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンから選ばれる少なくとも1種以上のα―オレフィンが好ましく、特に1−ブテンが好適である。
【0020】
α―オレフィンとして1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンを用いることにより、
得られるエチレン系共重合体(イ)の融点を過度に上げることなく、結晶化度をある程度維持することができるので、ロール加工などの従来からの成形方法にも容易に利用することができる。
【0021】
非共役ポリエン[C]としては、具体的には、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,5−ノルボルナジエン、1,3,7−オクタトリエン、1,4,9−デカトリエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン等のトリエンが挙げられる。
【0022】
これらの非共役ポリエン[C]は、単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、1,4−ヘキサジエンなどの環状非共役ジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、または5−エチリデン−2−ノルボルネンと5−ビニル−2−ノルボルネンとの併用が好ましく、中でも5−エチリデン−2−ノルボルネン、または5−エチリデン−2−ノルボルネンと5−ビニル−2−ノルボルネンとの併用が特に好ましい。
【0023】
本発明に用いられるエチレン系共重合体(イ)としては、以下を挙げることができる。
エチレン・1−ブテン・1,4−ヘキサジエン共重合体、
エチレン・1−ペンテン・1,4−ヘキサジエン共重合体、
エチレン・1−ヘキセン・1,4−ヘキサジエン共重合体、
エチレン・1−へプテン・1,4−ヘキサジエン共重合体、
エチレン・1−オクテン・1,4−ヘキサジエン共重合体、
エチレン・1−ノネン・1,4−ヘキサジエン共重合体、
エチレン・1−デセン・1,4−ヘキサジエン共重合体、
エチレン・1−ブテン・1−オクテン・1,4−ヘキサジエン共重合体、
エチレン・1−ブテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、
エチレン・1−ペンテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、
エチレン・1−ヘキセン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、
エチレン・1−へプテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、
エチレン・1−オクテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、
エチレン・1−ノネン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、
エチレン・1−デセン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、
エチレン・1−ブテン・1−オクテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、
エチレン・1−ブテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、
エチレン・1−ペンテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、
エチレン・1−ヘキセン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、
エチレン・1−へプテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、
エチレン・1−オクテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、
エチレン・1−ノネン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、
エチレン・1−デセン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、
エチレン・1−ブテン・1−オクテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体。
【0024】
これらは必要に応じて1種類、または2種類以上が用いられる。
本発明のエチレン系共重合体は、一つの態様によれば、エチレン[A]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、92〜97モル%であり、好ましくは93〜97モル%であり、さらに、非共役ポリエン[C]に由来する構造単位は、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、0.01〜3.0モル%であり、好ましくは0.1〜3.0モル%、特に好ましくは0.1〜2.5モル%である。
【0025】
エチレンが92モル%未満では、得られる発泡成形体の変形回復性が不十分となり、また、98モル%を越えると、得られる発泡成形体の柔軟性が不十分となる傾向がある。
また、非共役ポリエンが0.01モル%未満では、十分な架橋反応性を示さず、また、3.0モル%を越えると、得られる発泡成形体の変形回復性が悪化する傾向がある。
【0026】
エチレン[A]の構成単位の割合(モル%)と炭素数4〜20のα−オレフィン[B]の構成単位の割合(モル%)の比
この態様においてエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、エチレン[A]対炭素数4〜20のα−オレフィン[B]のモル比(エチレン/α―オレフィン)は、11.5以上が好ましい。
【0027】
また、本発明のエチレン系共重合体(イ)のメルトフローレート(ASTM D 1238 190℃ 荷重2.16kg)は、0.5〜25であり、好ましくは、1〜20であり、特に好ましくは1〜15である。この範囲にあると、良好な後処理(リボンハンドリング性)を示すと共に優れたゴム物性を有している。そして、本発明のエチレン系共重合体の分子量が不十分の場合は、発泡体サンプルを得ることが困難になり、また得られた場合でも、成形体強度が不十分となる。また、分子量が大きすぎるとロール加工性が悪化し、配合剤などの分散が困難になる。
次に、本発明のエチレン系共重合体(イ)の製造に好適に使用されるメタロセン触媒およびそれを用いた重合の条件について説明する。
【0028】
<触媒>
(触媒例1)
前記メタロセン触媒としては、下記一般式[I]または[II]で表される遷移金属化合物が挙げられる。
【0029】
【化1】

【0030】
【化2】

一般式[I]および[II]においてYは、ケイ素原子もしくは炭素原子である。
【0031】
また一般式[I]および[II]においてR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14は水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数が1〜20の炭化水素基およびケイ素含有基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R1からR14までの隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0032】
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。
前記炭素数が1〜20の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール(aryl)基および置換アリール(aryl)基などが挙げられる。
【0033】
より具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリル(allyl)基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、アミル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−プロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、イソプロピルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ベンジル基およびクミル基を挙げることができ、メトキシ基、エトキシ基およびフェノキシ基などの酸素含有基、ニトロ基、シアノ基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基およびN−フェニルアミノ基などの窒素含有基、ボラントリイル基およびジボラニル基などのホウ素含有基、スルホニル基およびスルフェニル基などのイオウ含有基を含むものも前記炭化水素基の例として挙げられる。
【0034】
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、そのようなハロゲン置換炭化水素基として例えば、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基およびクロロフェニル基などを挙げることができる。
【0035】
上記ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基および炭化水素置換シロキシ基などを挙げることができる。より具体的には、例えば、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチル−t−ブチルシリル基およびジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル基などを挙げることができる。
【0036】
上記一般式[I]および[II]におけるR1からR4を有するシクロペンタジエニル基としては、R1からR4が水素原子である無置換シクロペンタジエニル基、3−t−ブチルシクロペンタジエニル基、3−メチルシクロペンタジエニル基、3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル基、3−フェニルシクロペンタジエニル基、3−アダマンチルシクロペンタジエニル基、3−アミルシクロペンタジエニル基および3−シクロヘキシルシクロペンタジエニル基などの3位1置換シクロペンタジエニル基、3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル基、3−t−ブチル−5−エチルシクロペンタジエニル基、3−フェニル−5−メチルシクロペンタジエニル基、3,5−ジ−t−ブチルシクロペンタジエニル基、3,5−ジメチルシクロペンタジエニル基、3−フェニル−5−メチルシクロペンタジエニル基および3−トリメチルシリル−5−メチルシクロペンタジエニル基などの3,5位2置換シクロペンタジエニル基などを挙げることができるが、この限りではない。
【0037】
遷移金属化合物の合成のし易さ、製造コストおよび非共役ポリエン[C]の共重合能の観点から、無置換(R1〜R4が水素原子)であるシクロペンタジエニル基が好ましい。
前記一般式[I]および[II]におけるR5からR12を有するフルオレニル基としては、R5からR12が水素原子である無置換フルオレニル基、2−メチルフルオレニル基、2−t−ブチルフルオレニル基および2−フェニルフルオレニル基などの2位1置換フルオレニル基、4−メチルフルオレニル基、4−t−ブチルフルオレニル基および4−フェニルフルオレニル基などの4位1置換フルオレニル基、あるいは2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル基および3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル基などの2,7位もしくは3,6位2置換フルオレニル基、2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル基および2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル基などの2,3,6,7位4置換フルオレニル基、あるいは下記一般式[V−I]および[V−II]で表されるような、R6とR7とが互いに結合して環を形成し、R10とR11とが互いに結合して環を形成している2,3,6,7位4置換フルオレニル基などが挙げられるが、この限りではない。
【0038】
【化3】

【0039】
【化4】

一般式[V−I]および[V−II]中、R5、R8、R9、R12は前記一般式[I]あるいは[II]における定義と同様であり、
a、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、RgおよびRhは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、隣接した置換基と互いに結合して環を形成していてもよい。
【0040】
前記アルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、アミル基およびn−ペンチル基を例示できる。
また、一般式[V−I]中、RxおよびRyはそれぞれ独立に炭素数1〜3の不飽和結合を有してもよい炭化水素基であり、RxがRaまたはRcが結合した炭素と共同して二重結合を形成していてもよく、RyがReまたはRgが結合した炭素と共同して二重結合を形成していてもよく、RxおよびRyがともに炭素数1または2の飽和あるいは不飽和の炭化水素基であることが好ましい。
【0041】
上記一般式[V−I]または[V−II]で表される化合物として、具体的には、下記式[V−III]で表されるオクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル基、下記式[V−IV]で表されるテトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル基、下記式[V−V]で表されるオクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル基、下記式[V−VI]で表されるヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル基、および下記式[V−VII]で表されるb,h−ジベンゾフルオレニル基が挙げられる。
【0042】
【化5】

【0043】
【化6】

【0044】
【化7】

【0045】
【化8】

【0046】
【化9】

これらのフルオレニル基を含む上記一般式[I]または[II]で表される遷移金属化合物はいずれも非共役ポリエン[C]の共重合能に優れるが、Yがケイ素原子である場合、2,7位2置換フルオレニル基、3,6位2置換フルオレニル基、2,3,6,7位4置換フルオレニル基、上記一般式[V−I]に表される2,3,6,7位4置換フルオレニル基を有する遷移金属化合物が特に優れる。Yが炭素原子である場合、R5からR12が水素原子である無置換フルオレニル基、3,6位2置換フルオレニル基、2,3,6,7位4置換フルオレニル基、上記一般式[V−I]に表される2,3,6,7位4置換フルオレニル基を有する遷移金属化合物が特に非共役ポリエン[C]の共重合能に優れる。
【0047】
重合活性については、Yがケイ素原子および炭素原子いずれの場合も、2,7位2置換フルオレニル基、3,6位2置換フルオレニル基、2,3,6,7位4置換フルオレニル基、上記一般式[V−I]に表される2,3,6,7位4置換フルオレニル基を有する上記一般式[I]および[II]で表される遷移金属化合物が特に優れる。
【0048】
上記一般式[I]においてR13、R14は相互に同一でも異なってもよい。前述の通りR13、R14は炭化水素基になり得るが、その炭化水素基の中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、フェニル基、m−トリル基、p−トリル基、4−t−ブチルフェニル基、p−クロロフェニル基、4−ビフェニル基、2−ナフチル基、キシリル基、ベンジル基およびm−トリフルオロメチルフェニル基が好ましい。
【0049】
上記一般式[II]で表される遷移金属化合物において、Aは芳香環を含んでいてもよい炭素原子数2〜20の二価の飽和もしくは不飽和の炭化水素基であり、YはこのAと結合し、例えば、下記式[VI-I]に表されるシクロヘキシリデン基などのシクロアルキリデン基、下記式[VI-II]に表されるシクロテトラメチレンシリレン基(1−シラシクロペンチリデン基)などのシクロメチレンシリレン基などを構成する。
【0050】
【化10】

(式[VI−I]および[VI−II]において、●は、上記一般式[II]における(置換)シクロペンタジエニル基および(置換)フルオレニル基との結合点を表す。)
また、一般式[II]においてAはYとともに形成する環を含めて二つ以上の環構造を含んでいてもよい。
【0051】
YがAと結合して形成する環構造としては、上記式[VI−I]に表されるシクロヘキシリデン基以外に具体的には、シクロプロピリデン基、シクロブチリデン基、シクロペンチリデン基、シクロヘプチリデン基、シクロオクチリデン基、ビシクロ[3.3.1]ノニリデン基、ノルボルニリデン基、アダマンチリデン基、テトラヒドロナフチリデン基およびジヒドロインダニリデン基などを挙げることができる。
【0052】
同様に、YがAと結合して形成する環構造としては、上記式[VI−II]に表されるシクロテトラメチレンシリレン基(1−シラシクロペンチリデン基)以外に具体的には、シクロジメチレンシリレン基、シクロトリメチレンシリレン基、シクロペンタメチレンシリレン基、シクロヘキサメチレンシリレン基およびシクロヘプタメチレンシリレン基などを挙げることができる。
【0053】
上記一般式[I]および[II]においてMは、チタニウム原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、好ましくはチタニウム原子またはハフニウム原子である。
一般式[I]および[II]においてQは、ハロゲン原子、炭素数が1〜10の炭化水素基、炭素数が10以下の中性、共役または非共役ジエン、アニオン配位子、および孤立電子対で配位可能な中性配位子から選ばれる。
【0054】
前記ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子である。
前記炭素数1〜10の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1、1−ジエチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1,2,2−テトラメチルプロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,1,3−トリメチルブチル基、ネオペンチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基およびベンジル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基およびベンジル基である。
【0055】
前記炭素数が10以下の中性、共役または非共役ジエンの具体例としては、s−シス−またはs−トランス−η4−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−3−メチル−1,3−ペンタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−2,4−ヘキサジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,3−ペンタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン、およびs−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
【0056】
前記アニオン配位子の具体例としては、メトキシ、t−ブトキシ、フェノキシ等のアルコキシ基、アセテートおよびベンゾエート等のカルボキシレート基、ならびにメシレートおよびトシレート等のスルホネート基等が挙げられる。
【0057】
前記孤立電子対で配位可能な中性配位子の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィンおよびジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物、ならびにテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサンおよび1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられる。
【0058】
最後に、上記一般式[I]および[II]においてjは1〜4の整数であり、jが2以上の場合は、Qは互いに同一でも異なってもよい。
以上説明した遷移金属化合物の例は、特開平2011―1497号公報に挙げられている。
【0059】
前記遷移金属化合物は公知の方法によって製造可能であり、特に製造方法が限定されるわけではない。製造方法として例えば、J.Organomet.Chem.,63,509(1996)、本出願人による出願に係る公報であるWO2006−123759号公報、WO01/27124号公報、特開2004−168744号公報、特開2004−175759号公報および特開2000−212194号公報等記載の方法が挙げられる。
【0060】
(触媒例2)
また、本発明に用いられるエチレン系共重合体の製造に使用可能なメタロセン触媒として、下記一般式(III’)で表わされる化合物を挙げることができる。
【0061】
【化11】

式(III’)中、R’およびR’’はそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20のヒドロカルビル基であり、Mはチタンであり、Yは−NR*−であり、Z*は−SiR*2−であり、前記二つのR*はそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20のヒドロカルビル基であり、pおよびqのうち一方は0であり、他方は1であり、
pが0かつqが1である場合には、Mは+2の酸化状態であり、X’は1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンまたは、1,3−ペンタジエンであり、
pが1かつqが0である場合には、Mは+3の酸化状態であり、Xは2−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジルである。
【0062】
前記一般式(III’)で表わされる構造を有する化合物としては、得られるエチレン系共重合体の超低分子量成分によるフォギングおよびベタが抑制されるといった観点から、(t−ブチルアミド)ジメチル(η5−2−メチル−s−インダセン−1−イル)シランチタニウム(II)1,3−ペンタジエン(別名:(t−ブチルアミド)ジメチル(η5−2−メチル−s−インダセン−1−イル)シランチタニウム(II)1,3−ペンタジエン)(下記式(VII)で表される構造を有する化合物)が特に好ましい。なお、下記式(VII)で表わされる構造を有する化合物は、例えば特表2001−522398号公報に記載された方法で得ることができる。
【0063】
【化12】

前記一般式(III’)で表わされる構造を有する化合物は、非共役ポリエン[C]の重合性に優れている。また、このようなメタロセン触媒を用いて合成される本発明のエチレン系共重合体は、分子量分布および組成分布が狭く、均一な分子構造を有するエチレン系共重合体である。このため、本発明のエチレン系共重合体、架橋されたエチレン系共重合体、およびその成形体は、表面外観に優れる傾向がある。
【0064】
(共触媒)
本発明に用いられるエチレン系共重合体(イ)は、例えば以上挙げたメタロセン触媒を主触媒とし、ホウ素系化合物および/またはトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を共触媒として用いて合成することができる。
【0065】
前記ホウ素系化合物としては、例えば、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジ(水素化タローアルキル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(s−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、が挙げられる。
【0066】
前記有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムおよびトリn−オクチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウム、イソブチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニジイソブチルアルミニウムハイドライド、LiAl(C254、LiAl(C7154、さらに有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることができる。
【0067】
前記有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0068】
<重合条件>
本発明に用いられるエチレン系共重合体(イ)を合成する際の反応温度は、通常−20〜200℃であり、好ましくは0〜150℃である。重合圧力は通常0MPaを超えて8MPa(ゲージ圧)以下、好ましくは0MPaを超えて5MPa(ゲージ圧)以下の範囲である。
【0069】
反応時間(共重合が連続法で実施される場合は平均滞留時間)は、触媒濃度および重合温度などの条件によって異なるが、通常0.5分間〜5時間、好ましくは10分間〜3時間である。さらに、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
【0070】
上記のようなメタロセン触媒を用いて、エチレン、α―オレフィンおよび非共役オレフィンの重合を行うに際して、上記一般式[I]、[II]および[X]で示した遷移金属化合物は、反応容積1リットル当り、通常10-12〜10-2モル、好ましくは10-10〜10-8モルになるような量で用いられる。
【0071】
前記遷移金属化合物と共に用いられる上記共触媒は、共触媒と、遷移金属化合物中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔共触媒/M〕が、通常0.1/1〜100/1、好ましくは1/1〜50/1となるような量で用いられる。
【0072】
本発明に用いられるエチレン系共重合体の製造は、溶液(溶解)重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施可能であり、特に限定されないが、下記重合反応液を得る工程を有することが好ましい。
【0073】
重合反応液を得る工程とは、脂肪族炭化水素を重合溶媒として用いて、上述のメタロセン触媒および共触媒の存在下に、エチレン[A]、上記α−オレフィン[B]、上記非共役ポリエン[C]を共重合し、エチレン[A]・α−オレフィン[B]・非共役ポリエン[C]共重合体の重合反応液を得る工程である。
【0074】
前記重合溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素などが挙げられる。具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカンおよび灯油などの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサンおよびメチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素、ならびにエチレンクロリド、クロルベンゼンおよびジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられる。
【0075】
これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、重合に供するα−オレフィン自身を重合溶媒として用いることもできる。
以上説明した重合溶媒のうち、得られるエチレン系共重合体との分離、精製の観点から、ヘキサンが好ましい。
【0076】
重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
例えば以上説明したようにして重合反応を実施し、反応系内にメタノールなどの酸性アルコールを添加することによって、重合反応を終了させることができる。
【0077】
重合反応により得られるエチレン系共重合体の分子量は、重合系内に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによっても調節することができる。具体的には、重合系内に水素を多く存在させることにより、得られるエチレン系共重合体の分子量を小さくすることができ、その結果、本発明における極限粘度の範囲のエチレン系共重合体を得ることができる。さらに、重合温度をあまり高くせず、穏やかな反応条件に抑えることによって、得られるエチレン系共重合体の分子量を小さく抑え、結果、前記極限粘度の範囲を達成することができる。
本発明の発泡用組成物に用いられる添加剤は、架橋剤および発泡剤である。
【0078】
架橋剤
本発明の発泡用組成物に用いられる架橋剤としては、有機過酸化物、フェノール樹脂、硫黄系化合物、ヒドロシリコーン系化合物、アミノ樹脂、キノンまたはその誘導体、アミン系化合物、アゾ系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート等のゴムを架橋する際に一般に使用される架橋剤が挙げられる。これらのうちでは、有機過酸化物、硫黄等の加硫剤が好適である。
【0079】
有機過酸化物としては、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、ert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。
【0080】
このうちでは、2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル-2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル-2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート等の2官能性の有機過酸化物が好ましく、中でも、2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサンが最も好ましい。
【0081】
架橋剤として有機過酸化物を用いる場合、発泡体組成物におけるその配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(イ)および必要に応じて配合される他の架橋が必要なポリマー(エラストマー等)の合計100重量部に対して、一般に0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜15重量部である、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。有機過酸化物の配合量が上記範囲内であると、得られる発泡体の表面へのブルームなく、優れた架橋特性を示すので好適である。
【0082】
また、有機過酸化物を用いる場合、架橋助剤を併用することが好ましい。このような架橋助剤として、例えば、イオウ、p−キノンジオキシム等のキノンジオキシム系架橋助剤;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のアクリル系架橋助剤;ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系架橋助剤;その他マレイミド系架橋助剤;ジビニルベンゼン;酸化亜鉛(例えば、ZnO#1・酸化亜鉛2種、ハクスイテック(株)社製)、酸化マグネシウム、亜鉛華(例えば、「META−Z102」(商品名;井上石灰工業株式会社製)などの酸化亜鉛)等の金属酸化物などが挙げられる。架橋助剤の配合量は、有機過酸化物1モルに対して、通常0.5〜10モル、好ましくは0.5〜7モル、より好ましくは1〜5モルである。
【0083】
架橋剤として硫黄系化合物(加硫剤)を用いる場合、具体例としては、硫黄、塩化硫黄、二塩化硫黄、モルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジチオカルバミン酸セレン等が挙げられる。
【0084】
架橋剤として硫黄系化合物を用いる場合、その配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(イ)および必要に応じて配合される他の架橋が必要なポリマー(ゴム等)の合計100重量部に対して、通常は0.3〜10重量部、好ましくは0.5〜7.0重量部、さらに好ましくは0.7〜5.0重量部である。硫黄系化合物の配合量が上記範囲内であると、発泡体の表面へのブルームがなく、優れた架橋特性を示す。
【0085】
架橋剤として硫黄系化合物を用いる場合には、加硫促進剤を併用することが好ましい。
加硫促進剤としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N'−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール
(例えば、サンセラーM(商品名;三新化学工業社製))、2−(4−モルホリノジチオ)ペンゾチアゾール(例えば、ノクセラーMDB−P(商品名;大内新興化学工業社製))、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルフォリノチオ)ベンゾチアゾールおよびジベンゾチアジルジスルフィド(例えば、サンセラーDM(商品名;三新化学工業社製))などのチアゾール系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジンおよびジオルソトリルグアニジンなどのグアニジン系加硫促進剤;アセトアルデヒド・アニリン縮合物およびブチルアルデヒド・アニリン縮合物などのアルデヒドアミン系加硫促進剤;2−メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン系加硫促進剤;ジエチルチオウレアおよびジブチルチオウレアなどのチオウレア系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド(例えば、サンセラーTS(商品名;三新化学工業社製))、テトラメチルチウラムジスルフィド(例えば、サンセラーTT(商品名;三新化学工業社製))、テトラエチルチウラムジスルフィド(例えば、サンセラーTET(商品名;三新化学工業社製))、テトラブチルチウラムジスルフィド(例えば、サンセラーTBT(商品名;三新化学工業社製))およびジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(例えば、サンセラーTRA(商品名;三新化学工業社製))などのチウラム系加硫促進剤;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(例えば、サンセラーPZ、サンセラーBZおよびサンセラーEZ(商品名;三新化学工業社製))およびジエチルジチオカルバミン酸テルルなどのジチオ酸塩系加硫促進剤;エチレンチオ尿素(例えば、サンセラーBUR(商品名;三新化学工業社製)、サンセラー22−C(商品名;三新化学工業社製))および N,N'−ジエチルチオ尿素などのチオウレア系加硫促進剤;ジブチルキサトゲン酸亜鉛などのザンテート系加硫促進剤;その他、亜鉛華(例えば、META−Z102(商品名;井上石灰工業社製、酸化亜鉛))などが挙げられる。
【0086】
これらの加硫促進剤の配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(イ)および必要に応じて配合される他の架橋が必要なポリマー(エラストマー等)の合計100重量部に対して、一般に0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜15重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。この範囲内では、得られる発泡体の表面へのブルームなく、優れた架橋特性を示す。
【0087】
加硫助剤
加硫助剤は、架橋剤が硫黄系化合物である場合に用いることが望ましく、例えば、酸化亜鉛(例えば、ZnO#1・酸化亜鉛2種、ハクスイテック(株)社製)、酸化マグネシウム、亜鉛華(例えば、「メタZ−102」(商品名;井上石灰工業株式会社製)などの酸化亜鉛)などが挙げられる。
【0088】
その配合量は、通常、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(イ)および必要に応じて配合される他の架橋が必要なポリマー(エラストマー等)の合計100重量部に対して、1〜20重量部である。
【0089】
発泡剤
本発明の発泡体用組成物に用いる発泡剤には、化学発泡剤があり、具体的には、
アゾジカルボンアミド(ADCA)、
1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、
ジメチル−2,2’−アゾビスブチレート、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、
2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、
1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、
2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]等のアゾ化合物;
N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等のニトロソ化合物;
4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、
ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体;
p−トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物;
トリヒドラジノトリアジンなどの有機系熱分解型発泡剤、さらには、
炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等の重炭酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の炭酸塩;
亜硝酸アンモニウム等の亜硝酸塩、水素化合物などの無機系熱分解型発泡剤が挙げられる。中でも、アゾジカルボンアミド(ADCA)、炭酸水素ナトリウムが特に好ましい。
【0090】
また、発泡剤の他の態様として、物理発泡剤(発泡時に化学反応を必ずしも伴わない発泡剤)があり、たとえばメタノール、エタノール、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の各種脂肪族炭化水素類;
ジクロルエタン、ジクロルメタン、四塩化炭素等の各種塩化炭化水素類;
フロン等の各種フッ化塩化炭化水素類などの有機系物理発泡剤、さらに空気、二酸化炭素、窒素、アルゴン、水などの無機系物理発泡剤を発泡剤として用いることができる。これらの中で、蒸気にする必要が無く、安価で、環境汚染、発火の可能性が極めて少ない二酸化炭素、窒素、アルゴンが最も優れている。
【0091】
発泡剤として使用される上記物理発泡剤は、発泡剤の分解残さがないため、組成物の架橋発泡時における金型汚れを防止することができる。しかも、物理発泡剤は、粉状ではないので、混練性に優れている。また、この物理発泡剤を用いると、得られる発泡体の異臭(ADCA分解時に生成するアンモニア臭など)を防止することができる。
【0092】
また、発泡剤は、臭気、金型汚れ等の悪影響を生じない範囲で、上記のような化学発泡剤を併用することができる。
物理発泡剤の貯蔵方法としては、小規模な生産であれば、二酸化炭素、窒素などをボンベに入った状態で使用し、射出成形機および押出成形機等に減圧弁を通して供給することができるし、またポンプ等により昇圧し、射出成形機および押出成形機等に供給する場合もある。
【0093】
また、大規模に発泡製品を製造する設備であれば、液化二酸化炭素、液化窒素などの貯蔵タンクを設置し、熱交換機を通し、気化し、配管により、減圧弁により射出成形機および押出成形機等に供給する。
【0094】
また、液状の物理発泡剤の場合、貯蔵圧力としては、0.13〜100MPaの範囲が好ましい。
発泡剤として化学発泡剤を用いる態様において、化学発泡剤はエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(イ)および必要に応じて配合される他の架橋が必要なポリマー(エラストマー等)の合計量100重量部に対して、通常2〜30重量部、好ましくは3〜20重量部、より好ましくは5〜15重量部の割合で用いられる。ただし、化学発泡剤の使用量は、使用する発泡剤の種類・グレードにより発生ガス量が異なるため、目的の発泡倍率により、適宜増減して用いられる。
【0095】
また、発泡剤として物理発泡剤を用いる態様において、物理発泡剤の添加量は、所望の発泡倍率に応じて、適宜決定されるが、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(イ)および必要に応じて配合される他の架橋が必要なポリマー(エラストマー等)の合計100重量部に対して、通常0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。
【0096】
本発明の発泡体用組成物において、発泡剤とともに発泡助剤を使用してもよい。発泡助剤は発泡剤の分解温度の低下、分解促進、気泡の均一化などの作用をする。このような発泡助剤としては、酸化亜鉛(ZnO)、ステアリン酸亜鉛、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、しゅう酸等の有機酸、尿素またはその誘導体などが挙げられる。
【0097】
本発明の発泡体用組成物には、上記の他に必要に応じて軟化剤、無機充填剤、補強剤等をはじめ、他のエラストマー、ゴム等のポリマー、加工助剤、活性剤、吸湿剤、さらに耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤および増粘剤等を配合することが行われる。 耐候安定剤、難燃剤、塩酸吸収剤、顔料などの各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で用いてもよい。
【0098】
軟化剤
必要に応じて軟化剤が配合される軟化剤の具体例としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール等のコールタール系軟化剤;マシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;蜜ロウ、カルナウバロウ等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸またはその塩;ナフテン酸、パイン油、ロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等のエステル系軟化剤;その他、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、炭化水素系合成潤滑油、トール油、サブ(ファクチス)などが挙げられ、石油系軟化剤が好ましく、中でもプロセスオイルが好ましい。
【0099】
本発明の発泡体用組成物が軟化剤を用いる態様において、発泡体用組成物中の軟化剤の配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(イ)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、ゴム等)成分の合計100重量部に対して、一般に2〜100重量部、好ましくは10〜100重量部である。
【0100】
無機充填剤
必要に応じて無機充填剤が配合される無機充填剤の具体例としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーなどの1種類または2種類以上が使用され、これらのうちでは、「ホワイトンSB」(商品名;白石カルシウム株式会社)等の重質炭酸カルシウムが好ましい。
【0101】
本発明の発泡体用組成物が無機充填剤を用いる態様において、無機充填剤の配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(イ)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、ゴム等)の合計100重量部に対して、通常は2〜50重量部、好ましくは5〜50重量部である。配合量が上記範囲内であると、発泡体用組成物の混練加工性が優れており、機械特性に優れた成形体を得ることができる。
【0102】
補強剤
本発明の発泡体用組成物には、必要に応じて補強剤が配合される。補強剤の具体例としては、カーボンブラック、シランカップリング剤で表面処理したカーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、活性化炭酸カルシウム、微粉タルク、微分ケイ酸などがある。補強剤を配合する態様において、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(イ)および必要に応じて他のポリマー(エラストマー、ゴム等)の合計100重量部に対して、一般に30〜200重量部、好ましくは50〜180重量部である。
【0103】
本発明の発泡体用組成物における他の態様として、エチレン系共重合体(イ)と併用される他のポリマーとして、α―オレフィン系エラストマー(u)、エチレン・極性モノマー共重合体(v)、スチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(w)から選ばれる重合体がある。これらは必要に応じて1種以上が併用される。
【0104】
α―オレフィン系エラストマー(u)
本発明の態様の1つとして、オレフィン系エラストマー(u)を併用する態様がある。
併用されるα−オレフィン系エラストマー(u)には、例えば2種以上の炭素数2〜10のα−オレフィンの共重合体ゴム、2種以上のα−オレフィンと非共役ジエンとの共重合体ゴムを挙げることができる。これら具体的としては、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム[エチレン/α−オレフィン(モル比)=85/10〜50/50]、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム[エチレン/α−オレフィン(モル比)=85/10〜50/50]、プロピレン・α−オレフィン共重合体ゴム[プロピレン/α−オレフィン(モル比)=85/10〜50/50]、1−ブテン・α−オレフィン共重合体ゴム[1−ブテン/α−オレフィン(モル比)=85/10〜50/50]がある。これらにおいて、α−オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等から選ばれる少なくとも1種以上が適切に選択して用いられる。これらのα−オレフィンの含量としては、さらに3〜39モル%が好ましく、さらに5〜30モル%が好ましく、より好ましくは5〜25モル%である。
【0105】
また、上記非共役ジエンとしては、炭素原子数6〜20のものが好ましく、具体的にはジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。このような非共役ジエンが共重合している上記のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムのヨウ素価は、25以下が好ましく、5〜20がより好ましい。これらの共重合体ゴムのメルトフローレート(MFR;ASTMD1238、230℃、2.16kg荷重、以下同じ)は好ましくは0.01〜100g/10分、さらに好ましくは0.02〜50g/10分、より好ましくは0.05〜20g/10分の範囲にある。また、α−オレフィンランダム共重合ゴムの結晶化度は、X線法で測定して20%未満のものが好ましい。
【0106】
さらに、これらα―オレフィン共重合体は、特に、メタロセン触媒を用いて製造された共重合体は分子量分布(Mw/Mn)が通常3以下であることが望ましい。
これらのα―オレフィン系エラストマーの中では、エチレンを60〜85モル%含むエチレン−α−オレフィン共重合体が望ましく、α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが例示される。
【0107】
このような特に好適なエチレン−α−オレフィン共重合体の融点は20ないし80℃の範囲にあるものであり、例えば、三井化学株式会社から市販されているタフマーP、タフマーA、タフマーSなどがある。
【0108】
α―オレフィン系エラストマーを併用する割合は、エチレン系共重合体(イ)100重量部に対して、1〜50重量部、特に3〜40重量部、中でも3〜20重量部が好適である。
【0109】
エチレン・極性モノマー共重合体(v)
本発明の好適な態様の1つとして、エチレン・極性モノマー共重合体(v)を併用する態様がある。併用されるこの共重合体の極性モノマーとしては、不飽和カルボン酸、その塩、そのエステル、そのアミド、ビニルエステル、一酸化炭素などを例示することができる。より具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸、これら不飽和カルボン酸のリチウム、ナトリウム、カリウムなどの1価金属の塩やマグネシウム、カルシウム、亜鉛などの多価金属の塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル等の不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、一酸化炭素、二酸化硫黄などの一種または二種以上などを例示することができる。
【0110】
エチレン・極性モノマー共重合体(v)としてより具体的には、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体のようなエチレン・不飽和カルボン酸共重合体、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基の一部または全部が上記金属で中和されたアイオノマー、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン・アクリル酸nブチル共重合体のようなエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン・アクリル酸イソブチル・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸nブチル・メタクリル酸共重合体のようなエチレン・不飽和カルボン酸エステル・不飽和カルボン酸共重合体およびそのカルボキシル基の一部または全部が上記金属で中和されたアイオノマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体のようなエチレン・ビニルエステル共重合体などを代表例として例示することができる。
【0111】
これらの中ではとくにエチレンと、不飽和カルボン酸、その塩、そのエステルおよび酢酸ビニルから選ばれる極性モノマーとの共重合体が好ましく、特にエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体またはそのアイオノマーやエチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル共重合体またはそのアイオノマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体が好ましく、エチレン・酢酸ビニル共重合体が最も好ましい。
【0112】
上記のエチレン・極性モノマー共重合体(v)としては、極性モノマーの種類によっても異なるが、極性モノマー含量が通常1〜50質量%、とくに5〜45質量%ものが好ましい。このようなエチレン・極性モノマー共重合体としてはまた、成形加工性、機械的強度などを考慮すると、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.05〜100g/10分、とくに0.1〜50g/10分のものを使用するのが好ましい。
【0113】
エチレンと不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、ビニルエステルなどとの共重合体は、高温、高圧下のラジカル共重合により得ることができる。またエチレンと不飽和カルボン酸の金属塩の共重合体(アイオノマー)は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体と相当する金属化合物を反応させることによって得ることができる。
【0114】
本発明に係るエチレン・極性モノマー共重合体(v)がエチレン・酢酸ビニル共重合体の場合、エチレン・酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル含有量は、通常10〜30重量%、好ましくは15〜30重量%、さらに好ましくは15〜25重量%である。
【0115】
また、このエチレン・酢酸ビニル共重合体は、メルトフローレート(MFR;ASTM D1238,190℃、荷重2.16kg)が通常0.1〜50g/10分、好ましくは0.5〜20g/10分、さらに好ましくは0.5〜5g/10分である。
【0116】
エチレン・極性モノマー共重合体を併用する態様において、その併用の割合は、エチレン系共重合体(イ)100重量部に対して、1〜50重量部、特に3〜40重量部、中でも3〜20重量部が好適である。
【0117】
エチレン・極性モノマー共重合体(v)を併用する場合は、得られた発泡体からなる層がポリウレタン、ゴム、皮革等からなる他の層と接着性に優れ、積層体としても好ましい。
【0118】
特にエチレン・極性モノマー共重合体(v)がエチレンと不飽和カルボン酸の共重合体である場合、上記の割合で用いると、引き裂き強度特性およびにポリウレタン、ゴム、皮革等からなる他の層と接着性に優れる発泡成形体となる。
【0119】
スチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(w)
本発明の好適な態様の1つとして、スチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(w)を併用する態様がある。
併用されるスチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(w)には、スチレン・ジエンブロック共重合体(w1)、オレフィン・非晶性オレフィンブロック共重合体(w2)、オレフィン系ブロック共重合体エラストマー(w3)がある。
【0120】
スチレン・ジエンブロック共重合体(w1)
本発明に用いられるスチレン・ジエンブロック共重合体(w1)は、ジエンブロック(ジエン重合体部)からなるソフトセグメントとスチレンブロック(スチレン重合体部)からなるハードセグメントとを有するブロック共重合体であり、いわゆる熱可塑性エラストマーとして製造・販売されているブロック共重合体の一種であって、具体的には、スチレンーブタジエンブロック共重合体(SB)、スチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体(SIS)若しくはそれらブロック共重合体の水素添加物、スチレン・イソブチレン・スチレントリブロック共重合体(SIBS)、スチレン・イソブチレンジブロック共重合体(SIB)が挙げられる。
【0121】
このような水素添加物は、スチレンブロックとジエンブロックの全てが水素添加されたブロック共重合体であっても、ジエンブロックのみ水素添加されたブロック共重合体あるいはスチレンブロックとジエンブロックの一部が水素添加されたブロック共重合体等の部分水素添加物であってもよい。
【0122】
これらブロック共重合体若しくはその水素添加物を粘着剤組成物として用いる際には、単独でも2種以上用いてもよい。
これらブロック共重合体の中でも、スチレンーブタジエンブロック共重合体(SB)の水素添加物、スチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加物、スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体(SIS)の水素添加物、スチレンーイソプレンブロック共重合体(SI)の水素添加物等のスチレンブロックとジエンブロックとを含有するブロック共重合体の水素添加物がより好ましく、具体的には、スチレンーブタジエンブロック共重合体(SB)の水素添加物であるスチレンーエチレン・ブテンブロック共重合体(SEB)、スチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加物であるスチレンーエチレン・ブテンースチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体(SIS)の水素添加物であるスチレンーエチレン・プロピレンースチレンブロック共重合体(SEPS)が押出成形時の熱安定性に優れ、加工時の安定性や、劣化物の発生および臭いの発生を抑制する点で好ましい。これらの市販品として、シェル化学株式会社製 商品名:クレイトンG、旭化成株式会社製 商品名:タフテック等がある。
【0123】
本発明に用いられることのあるスチレン・ジエンブロック共重合体(w1)のMFR(メルトフローレート;ASTM D−1238 荷重5kg、温度200℃)は特に限定はされないが、通常0.5〜20g/10分、好ましくは1〜15g/10分の範囲である。
【0124】
オレフィン・非晶性オレフィンブロック共重合体(w2)
本発明に用いられるオレフィン・非晶性オレフィンブロック共重合体(w2)は、少なくと、も分子内に一つの非晶性オレフィンブロック(非晶性オレフィン重合体部)からなるソフトセグメントと結晶性オレフィンブロック(結晶性オレフィン重合体部)からなるハードセグメントとを有するブロック共重合体であり、所謂、熱可塑性エラストマーとして製造・販売されているブロック共重合体の一種である。
【0125】
オレフィン・非晶性オレフィンブロック共重合体(w2)は非晶性オレフィンブロックAと結晶性オレフィンブロックBをそれぞれ分子内に少なくとも1個有する限りその構造は特に制限されず、(B−A)n1、(B−A)n2 −B、(A−B)n3 −A(n1、n2、n3は1以上の整数)や、これらをカップリング剤で結合した構造が例示される。
これらの中ではトリブロックの共重合体またはそれ以上の数のブロックを有する共重合体が好適である。
【0126】
このブロック共重合体(w2)としては、具体的には、ジエン化合物を主体とする重合体ブロックあるいはそれら重合体ブロックを水素添加処理してエチレン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体に類似した構造を持つ非晶性オレフィンブロックからなるソフトセグメントと、ジエン化合物を主体とし水素添加処理などにより結晶性ポリオレフインとなり得る重合体部からなるハードセグメントとを有するブロック共重合体を例示できる。また、ジエン化合物を主体とし水素漆加処理などにより結晶性ポリオレフインとなり得る重合体部の一部をスチレンなどのビニル芳香化合物の重合体部からなるハードセグメントで置き換えたブロック共重合体を例示できる。ジエン化合物としては、具体的には1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエンが例示される。
【0127】
ジエン化合物を主体とする重合体ブロックを水素添加処理してエチレン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体に類似した構造を持つ非晶性オレフィンブロックからなるソフトセグメントは、例えば、ポリブタジエンのビニル結合(1,2−および3,4−結合の含有量)を、25〜85%程度にした重合体ブロックを水素添加することにより、非晶性のエチレン・ブテン共重合体と類似した構造を持つ非晶性オレフィンブロックが得られる。
【0128】
ジエン化合物を主体とし水素添加処理などにより結晶性ポリオレフインとなり得る重合体部は、例えばポリブタジエンのビニル結合(1,2一および3,4一結合の含有量)を、25%以下にした重合体ブロックを水素添加することにより、エチレン重合体に類似した構造を持つ結晶性オレフィンブロックが得られる。
【0129】
これらのブロック共重合体(w2)としては、具体的には、結晶性オレフィン(結晶性エチレン重合体部)−エチレン・ブテン(非晶性オレフィン重合体部)一結晶性オレフィン(結晶性エチレン重合体部)ブロック共重合体(CEBC)、スチレン−エチレン・ブテン(非晶性オレフィン重合体部)一結晶性オレフィン(結晶性エチレン重合体部)ブロック共重合体(SEBC)が挙げられ、JSR株式会社から商品名:DYNARONとして、DR6100P、DR6200P(CEBC)、DR4600P、DR4630P(EBC)の各種銘柄が市販されている。
【0130】
オレフィン系ブロック共重合体エラストマー(w3)
オレフィン系ブロック共重合体エラストマー(w3)とは、分子内に少なくとも一つのオレフィン系エラストマー重合体部からなる所謂非晶性のソフトセグメントと少なくとも一つの所謂ハードセグメントを有するブロック共重合体である。オレフィン系エラストマー重合体部からなるソフトセグメントは、通常、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどのα−オレフィンのランダム重合体部、ブタジエン、イソプレンなどのジエン化合物(ジオレフィン)の重合体部あるいはその水素添加物であり、ハードセグメントは、通常、ポリスチレン重合体部などのガラス転移点が常温以上の重合体部、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどのα−オレフィン重合体部で結晶性を有するもの、あるいはブタジエン重合体部の水素添加物で結晶性を有するものである。
【0131】
このようなオレフィン系ブロック共重合体エラストマー(w3)として好ましい例としては、少なくとも一つのジエンブロック(ジエン重合体部;ジオレフィン重合体部)からなるソフトセグメントと少なくとも一つのスチレンブロック(スチレン重合体部)からなるハードセグメントとを有するスチレン・ジエンブロック共重合体(w1)および少なくとも一つの非晶性オレフィンブロック(非晶性オレフィン重合体部)からなるソフトセグメントと少なくとも一つの結晶性オレフィンブロック(結晶性オレフィン重合体部)からなるハードセグメントとを有するオレフィン・非晶性オレフィンブロック共重合体(w2)を例示することができ、これらブロック共重合体は、一般的に熱可塑性エラストマーとして製造・販売されている。
【0132】
スチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(w)を併用する割合は、エチレン系共重合体(イ)100重量部に対して、1〜50重量部、特に3〜40重量部、中でも3〜20重量部が好適である。
【0133】
本発明の発泡体用組成物において、エチレン系共重合体(イ)と併用される他のポリマーとして、α―オレフィン系エラストマー(u)、エチレン・極性モノマー共重合体(v)、スチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(w)から選ばれる少なくとも1種類以上の重合体を併用する場合は、エチレン系共重合体(イ)100重量部に対して、合計で1〜50重量部、特に3〜40重量部、中でも3〜20重量部が好適である。
本発明の発泡体用組成物に必要に応じて配合されることのある老化防止剤(安定剤)、加工助剤、活性剤、吸湿剤について以下に記載する。
【0134】
老化防止剤(安定剤)
必要に応じて配合される老化防止剤(安定剤)は、発泡体の寿命を長くすることができる。このような老化防止剤として、従来公知の老化防止剤、例えば、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イオウ系老化防止剤などがある。
【0135】
さらに、老化防止剤として、フェニルブチルアミン、N,N−ジ−2−ナフチル−p―フェニレンジアミン等の芳香族第2アミン系老化防止剤;ジブチルヒドロキシトルエン、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン等のフェノール系老化防止剤;ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系老化防止剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系老化防止剤;2−メルカプトベンゾイルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等のイオウ系老化防止剤等がある。
【0136】
これらの老化防止剤を配合する態様においては、1種単独であるいは2種以上の組み合わせで用いることができ、その配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体および他のポリマー(エラストマー等)の合計100重量部に対して、通常は0.3〜10重量部、好ましくは0.5〜7.0重量部である。このような範囲内とすることにより、得られるゴム組成物から得られる成形体の表面のブルームがなく、さらに加硫阻害が発生を抑制することができる。
【0137】
加工助剤
加工助剤を配合する態様においては、一般に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く用いることができる。
【0138】
加工助剤の具体例としては、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、エステル類などが挙げられる。これらのうち、ステアリン酸が好ましい。
【0139】
加工助剤の配合量は、ゴム組成物に含まれるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(イ)およびそのエチレン系共重合体以外のポリマー(エラストマー、ゴム等)100重量部に対して、通常は10重量部以下、好ましくは8.0重量部以下である。
【0140】
活性剤
必要に応じて配合される活性剤を用いる場合、その具体例としては、ジ−n−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエラノールアミン等のアミン類;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、レシチン、トリアリルートメリレート、脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸の亜鉛化合物等の活性剤;過酸化亜鉛調整物;クタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、合成ハイドロタルサイト、特殊四級アンモニウム化合物などが挙げられる。
【0141】
活性剤を配合する態様においては、その配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(イ)およびそれ以外のポリマー(エラストマー、ゴム等)100重量部に対して、通常は0.2〜10重量部、好ましくは0.3〜5重量部である。
【0142】
吸湿剤
吸湿剤を配合する態様においては、その具体例として、酸化カルシウム、シリカゲル、硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、ホワイトカーボンなどが挙げられる。
【0143】
吸湿剤を含有する場合は、その配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(イ)およびその他のポリマー(エラストマー、ゴム等)100重量部に対して、通常は0.5〜15重量部、好ましくは1.0〜12重量部である。
【0144】
発泡成形体の製造方法
本発明の発泡成形体は、本発明の発泡体用組成物を架橋および発泡させて製造することができる。
【0145】
すなわち、本発明のエチレン系共重合体(イ)並びに架橋剤および発泡剤を含を発泡体用組成物は、ヘンシェルミキサ−等で混合し、バンバリ−ミキサー、ロール、押出機等の混練機で架橋剤および発泡剤が分解しない温度にて溶融可塑化し、均一に混合分散させて造粒機により調製することができる。なお架橋発泡の方法としては後述するように例えば、熱処理による架橋が好ましい。
【0146】
また、本発明の発泡体用組成物からなるシートは、たとえば上記のようにして得られたペレットを押出機あるいはカレンダー成形機を用いて調製することができる。あるいは本発明の発泡体用組成物の各成分をブラベンダーなどで混練した後、カレンダーロールでシート状に成形する方法、プレス成形機でシート化する方法、または押出機を用いて混練した後Tダイまたは環状ダイを通してシート化する方法などにより、未架橋かつ未発泡状態の発泡性シートを製造することができる。
【0147】
このシート成形の際には、架橋剤および発泡剤の分解温度以下でシート成形することが好ましく、具体的には、エチレン系共重合体(イ)を含む成分の溶融状態での温度が例えば100〜130℃となる条件に設定してシート成形することが好ましい。
【0148】
これらの方法によって得られたシートから一次発泡体を製造する方法を例示すると、例えば、130〜200℃に保持された金型に、金型の容積に対して1.0〜1.2の範囲に裁断して、金型内に挿入する。金型の型締め圧力は例えば30〜300kgf/cm2、保持時間は例えば10〜90分の条件下で、一次発泡成形体を製造することができる。すなわち熱処理により発泡成形体を製造する。なお保持時間は、金型の厚さに左右されるため、この範囲に限らず、それを超えた範囲とすることも行われる。
【0149】
このような発泡成形体用の金型の形状は特に制限されないが、通常はシートが得られるように調整された形状を有している金型が用いられる。この金型は、溶融重合体および発泡剤分解時に発生するガスが抜けないように、完全に密閉された構造とすることが好ましい。また、型枠としては、内面にテーパーが付いている型枠が溶融した重合体組成物の離型性の面から好ましい。
【0150】
また、例えば本発明の発泡体用組成物を押出し機から押出し、大気中に解放すると同時に発泡させる押出し発泡法により、発泡成形体を製造することもできる。すなわち熱処理により発泡体を製造することができる。
【0151】
また、例えば本発明の発泡体用組成物を、架橋剤および発泡剤の分解温度以下で金型内に射出して、金型内で例えば130℃〜200℃程度の温度に保って架橋発泡させる方法(射出発泡法)により発泡体を製造することもできる。すなわち熱処理により発泡体を製造することができる。
【0152】
これらの例示する方法、その他の方法により得られた一次発泡体は、更に圧縮成形により所定の形状を付与して発泡成形体とすることができる。この際の圧縮成形条件の一例をあげると、金型温度が130〜200℃、型締め圧力が30〜300kgf/cm2、圧縮時間が5〜60分、圧縮比が1.1〜3.0、好ましくは1.3〜2の範囲である。
【0153】
これらの架橋および発泡の各工程において、必要に応じて更に電離性放射線照射による架橋方法を併用することも可能である。
発泡体の製品形状としては、たとえばシート状、厚物ボード状、ネット状、型物などが挙げられる。
【0154】
発泡成形体
本発明の発泡成形体は、軽量でありかつ変形回復性に優れている。
本発明の発泡成形体は、比重(d)が、一般に0.03〜0.30の範囲にあり、好ましくは0.05〜0.20、より好ましくは0.05〜0.12、さらに好ましくは0.08〜0.12の範囲にある。
【0155】
比重が0.30より小さいと、反発弾性が良好であり、発泡成形体も軽量である。
比重が0.03よりも大きいと発泡体としての強度が充分であり、耐久性なども良好である。なお、発泡成形体の品質の均一性の尺度である、5部位の比重の測定値の最大値と最小値との差が0.08以下であることが好ましく、0.06以下であることがさらに好ましい。
【0156】
本発明の発泡成形体は、その圧縮永久歪み(CS、%)が55%以下であるものであっても効率よく成形することができる。
本発明の発泡成形体としては、その耐引き裂き性に優れた発泡成形体とすることができ、ASTM D3574に従い測定した引き裂き強度が、10N/mm以上、中でも20N/mm以上、その中でも特に24N/mm以上の発泡成形体とすることができる。
【0157】
なおこれらの各物性は以下のように測定する。
本発明の発泡成形体は上記のような軽量性および変形回復性に優れ、その他の物性のバランスルにも優れており、種々の用途に用いることができる。例えば履物用の発泡成形体の用途、例えば履物用ミッドソールの用途がある。また、本発明の発泡成形体を利用して、他の材料との積層体に利用することができる。
【0158】
本発明の発泡成形体を積層体に利用する方法としては、本発明の発泡成形体からなる層と、ポリオレフィン、ポリウレタン、ゴム、皮革および人工皮革からなる群から選ばれる少なくとも一種の素材からなる層とを有する積層体がある。
【0159】
上記のポリオレフィン、ポリウレタン、ゴム、皮革および人工皮革は、特に制限はなく、従来公知のポリオレフィン、ポリウレタン、ゴム、皮革、人工皮革を用いることができる。このような積層体は、特に履物ないし履物用部品の用途に好適である。このような履物ないし履物用部品は、たとえば靴底、靴のミッドソール、インナーソール、ソール、サンダルなどが挙げられる。これらの履物または履物用部品は、本発明の発泡成形体または積層体を用いているため、軽量で、長期間の使用による変形を抑えることができる。
【実施例】
【0160】
以下に本発明を実施例により更に説明する。
ただし、物性等の評価は以下の方法によった。
エチレン[A]に由来する構造単位のモル量
1H−NMRスペクトルメーターによる強度測定によって求めた。
非共役ポリエン[C]に由来する構造単位のモル量
1H−NMRスペクトルメーターによる強度測定によって求めた。
メルトフローレート(MFR)
本発明のエチレン系共重合体は、ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重の条件により測定した。
【0161】
結晶化度(%)
広角X線回折測定により結晶化度を求めた。
広角X線回折は、下記の方法で測定を行う。測定に供するX線は、(株)リガク製X線回折装置RINT2500を用いて発生させる。ターゲットとして銅対陰極を用い、出力50kV×300mAのポイントフォーカスで取り出したX線を試料に照射し、回折X線の強度をシンチレーションカウンタで計測する。2θ走査は5〜35°で行い、試料の広角X線回折プロファイルを得る。
【0162】
また、同材料の非晶質試料を用意し、同様の測定を行って得た非晶質試料のX線回折プロファイル(非晶ハロー)を用いて、実試料のX線回折プロファイルを非晶ハローと結晶ピークとに分離する。実試料の結晶化度は次の通りに求める。
はじめにベースラインを切り離し、全面積における結晶ピーク面積総和の比を百分率で求める。
【0163】
比重
比重は、JIS K7222に従って測定した。サンプルは、発泡成形体が立方体であれば最大面積の平面の四辺からそれぞれ20mm以上内部、また該平行平面の表面から2.5mm以上切り取った部位からサンプリングする。なお、サンプル採取対象となる発泡体が、種々の形状の立体である場合でも、その発泡体のうち最大面積を示す面を上の面、その発泡体をはさんで上の面と反対側に位置する面を下の面とすると、端部(側面)からそれぞれ20mm以上内部、その上下面の表面から2.5mm以上切り取った部位からサンプルを調整する。
【0164】
例えば靴用のミッドソールの場合、端部からそれぞれ20mm以上内部、略平行平面の両表面から2.5mm以上切り取った部位からサンプルを調整する。
測定は、ミラージュ貿易(株)製の電子比重計(品番 MD−200S)を用いて測定する。
【0165】
測定は発泡成形体の5部位の平均とする。また発泡成形体の品質の均一性の尺度である、5部位の比重の測定値の最大値と最小値との差が0.08以下であることが好ましく、0.06以下であることがさらに好ましい。前記範囲が0.08を超えると発泡成形体の品質(硬度、機械物性、圧縮永久歪など)が一定でない事を意味する。図1に、測定する5部位を示す。
【0166】
圧縮永久歪み(CS)
JIS K6301に従って、50℃×6時間、圧縮量50%の条件で圧縮し、歪み開放30分後の厚みを測定し、圧縮永久歪み量を求めた。
【0167】
なお、サンプル採取対象となる発泡成形体が、種々の形状の立体である場合でも、φ30mm、厚み15mm以上の円柱形に切り出し、円柱の2つの平行平面のそれぞれについて、該平行平面の表面から2.5mm以上切り取って、厚みを10mmとすることでサンプルとする。
【0168】
発泡成形体から円柱形への切り出し、および平行平面の表面からの発泡成形体の切り取りは円柱抜きダンベル型を使用することができる。
このサンプルを、50%圧縮、50℃環境にて6時間静置し、圧縮から解放して30分後に測定する。圧縮永久歪み(CS)は、以下の式から算出される。
CS=(t0−t1)/(t0−t2)×100
0:サンプル原厚(mm)
1:サンプルを圧縮装置から取り出し30分後の厚み(mm)
2:スペーサー厚み(mm))
【0169】
引き裂き強度
引き裂き強度は、ASTM D3574に従い、23℃環境下にて測定を行った。試験機は引張り試験機を使用し、引っ張り速度は100mm/minとする。引き裂き強度Tr(N/mm)は、次式にて計算する。
Tr=t0/t1×9.81
0:引き裂き応力(kg)
1:サンプル幅(mm)
【0170】
発泡成形体の感触評価
発泡成形体を人間の指で接触して、その平滑性を○、×の2段階で評価した。
<2段階評価>
○:表面が平らで柔軟な感触を有する
×:表面がざらつき硬い感触
【0171】
発泡の均一性評価
発泡成形体を切断し、その切断面の状態を肉眼で観察した。その状態を次の2段階により判断し発泡の均一性を評価した。
<2段階評価>
○:泡の大きさと形が共に均一
×:泡の大きさと形が共に不均一
【0172】
接着性評価
二次発泡成形体の表面を、界面活性剤を使用して水洗し、室温で1時間乾燥させた。
次に、この二次発泡成形体を、メチルシクロヘキサン中に3分間浸漬させ、その後60℃のオーブン中で3分間乾燥させた。
【0173】
続いて、UV硬化型プライマー〔大東樹脂(株)製、GE258H1〕を薄く刷毛塗りし、60℃のオーブン中で3分間乾燥させた後、80W/cmの高圧水銀灯3灯を通過方向に垂直に設置した照射装置〔日本電池(株)製、EPSH−600−3S型、UV照射装置〕を用い、光源下15cmの位置において、コンベアースピードを10m/分の速度で移動させUV光を照射させた。
【0174】
その後、補助プライマー〔大東樹脂(株)製のプライマーGE6001Lに、硬化剤GE366Sを5重量%添加したもの〕を薄く刷毛塗りし、60℃のオーブン中で3分間乾燥させた。
【0175】
続いて、接着剤〔大東樹脂(株)製の接着剤98Hに、硬化剤GE348を4重量%添加したもの〕を薄く刷毛塗りし、60℃のオーブン中で5分間乾燥させた。
最後後に上記接着剤を塗布した二次架橋発泡体と、以下の処理を施したポリウレタン(PU)合皮シートを貼り合せ、20kg/cm2で10秒間圧着した。
【0176】
PU合皮シートの処理
PU合皮シートの表面をメチルエチルケトンを用いて洗浄し、室温で1時間乾燥させた。
【0177】
次に、補助プライマー〔大東樹脂(株)製のプライマーGE6001Lに、硬化剤GE366Sを5重量%添加したもの〕を薄く刷毛塗りし、60℃のオーブン中で3分間乾燥させた。
続いて、接着剤〔大東樹脂(株)製の接着剤98Hに、硬化剤GE348を4重量%添加したもの〕を薄く刷毛塗りし、60℃のオーブン中で5分間乾燥させた。
【0178】
剥離試験
上記圧着シートの24時間後の接着強度を、以下の要領で評価した。
すなわち、圧着シートを1cm幅に裁断し、その端部を剥離した後、端部を200mm/分の速度で180°方向に引張り、そのときの剥離状態を肉眼で観察し、接着性を○、△、×の3段階で評価した。
<3段階評価>
○:剥離が発泡体層で発生
△:剥離が発泡体層及び接着界面の両方で発生
×:剥離が接着界面のみで発生
【0179】
合成例1
容積300リットルの連続重合器の一つの供給口に、脱水精製したn-ヘキサンを37リットル/hrの割合で供給し、他の供給口より
Titanium[N-(1,1-dimethylethyl)-1,1-dimethyl-1-[1,2,3,3a,8a-.eta)- 1,5,6,7-tetrahydoro-2-methyl-s-indacen-1-yl]silanaminato(2-)-.kappa.N][(1,2,3,4-,eta)-1,3-pentadiene]-stereoisomerのヘキサン溶液(0.45ミリモル/リットル)を0.156リットル/hrの割合、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(10ミリモル/リットル)を1リットル/hr、Perfluoroarylborate Saltのヘキサン溶液(0.45ミリモル/リットル)を0.78リットル/hr、エチリレンノルボルネンまたはビニルノルボルネンを450g/hrの割合で連続的に供給した(合計ヘキサン39リットル/hr)。同時に重合器の別の供給口に、エチレ5.3kg/hr、ブテンを0.8kg/hr、水素を25NL/hの割合で連続供給し、重合温度110℃、全圧1.6MPaG、滞留時間0.5時間、ポリマー濃度12wt%の条件下で連続溶液重合を行った。
【0180】
重合器で生成したエチレン-1−ブテン−非共役ジエン共重合体のヘキサン溶液は、重合器側壁部に設けられた排出口を介して流量48リットル/hrの割合で連続的に排出させ、ジャケット部が8kg/cm2スチームで加熱された連結パイプに導かれた。スチームジャケット付き連結パイプ内で約170℃に加温されたエチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体のヘキサン溶液は、重合槽内溶液量約100リットルを維持するように、連結パイプ終端部に設けられた液レベル制御バルブの開度の調節によって、10kg/cm2スチームで加熱された二重配管内管を通して連続的にフラッシュ槽に送液された。なお、液レベル制御バルブの直後には、触媒失活剤であるメタノールが注入される供給口が付設され、1.0vol%ヘキサン希釈溶液として12リットル/hrの速度で注入されて該ヘキサン溶液に合流させた。フラッシュ槽内への移送においては、フラッシュ槽内の圧力が0.05MPaG、フラッシュ槽内の蒸気部の温度が180℃を維持するように溶液温度と圧力調整バルブ開度設定が行われた。
【0181】
その結果、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体が4kg/hrの生産スピードで得られた。エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体の重合Mileageは106kg/ミリモル−Zr、得られたエチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体のMFRは1.2g/10分、エチレンの含有量は、95モル%、非共役ジエン1.1モル%、結晶化度は27%であった。
【0182】
合成例2〜13
合成例1において、エチレン含有量、非共役ジエンの含有量を表1の実施例2から比較例7に示すエチレン系共重合体とするため、条件を変更して、同様の操作により、それぞれ実施例2から比較例7に用いるエチレン系共重合体を得た。
実施例2〜5 合成例2〜5
実施例6〜8 合成例6
比較例1〜7 合成例7〜13
【0183】
実施例1
合成例1で得られたエチレン系共重合体に、表1に示す配合剤を配合して得られる発泡体用組成物を、ラボプラストミル[100MR2型、(株)東洋精機製作所製]で、設定温度110℃で5分間混練した後、シート状に成形した。ラボプラストミル混練時における発泡性重合体組成物の最高温度は120℃以下となるように調整した。
【0184】
次いで、得られたシートをプレス金型に充填し、150kg/cm2、155℃、30分の条件で、加圧、加熱し、一次架橋発泡成形体を得た。このプレス金型のサイズは、厚み15mm、縦150mm、横200mmであった。
【0185】
次いで、この一次架橋発泡成形体を、150kg/cm2、155℃、圧縮比150%の条件で10分間圧縮成形を行い、直ちに20℃で10分間冷却して二次架橋発泡成形体を得た。得られた二次架橋発泡体のサイズは、厚み15mm、縦160mm、250mmであった。
この一次架橋発泡成形体の比重、圧縮永久歪み、発泡成形体の感触、発泡の均一性を評価した。
【0186】
実施例2〜5
実施例1において、エチレン系共重合体、配合剤の種類、割合を表1に示すものに替える以外は同様にして発泡成形体を製造し、その評価をした。
結果を表1に示す。
【0187】
実施例6〜8
実施例1において、さらに表1に示す重合体を併用し、組成を表1に示す割合とする以外は同様にして発泡成形体を製造し、その評価をした。
ただし、以下を用いた。
エチレン・α―オレフィン共重合体
エチレン・ブテン共重合体 密度0.905g/cm3、MFR=1.2g/10min(190℃、2.16kgf)、エチレン含有量95モル%、1−ブテン含有量5モル%。
【0188】
エチレン・酢酸ビニル共重合体
EV270(三井デュポンポリケミカル社製)密度0.950g/cm3
MFR=1g/10min(190℃、2.16kgf)、酢酸ビニル(VA)含有量28モル%。
【0189】
スチレン系エラストマー
P2000(旭化成製)密度0.98g/cm3
MFR=3g/10min(190℃、2.16kgf)、スチレン含有量67wt%。
【0190】
DCP
三井DCP(商品名)(三井化学社製) 濃度:98%以上
TAIC
M−60 (TAIC含有量60%)(日本化成製)
ZN−DA
アクリル酸亜鉛(日本蒸留工業製)
ZnO
酸化亜鉛2種(ハクスイテック株式会社)
TiO2
R820(石原産業株式会社)
結果を表1に示す。
【0191】
比較例 1〜7
実施例1において、その組成を表1にする以外は同様にして発泡成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0192】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン[A]、炭素数4〜20のα―オレフィン[B]、と非共役ポリエン[C]に由来する構造単位を含むエチレン系共重合体であり、
(1)結晶化度が20〜35%の範囲にあり、
(2)非共役ポリエン[C]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、0.01〜3.0モル%であり、
(3)190℃におけるメルトフローレート(MFR 190℃)が、0.5〜25であることを特徴とするエチレン系共重合体(イ)。
【請求項2】
エチレン[A]、炭素数4〜20のα―オレフィン[B]、と非共役ポリエン[C]に由来する構造単位を含むエチレン系共重合体であり、
(1)エチレン[A]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、92〜97モル%であり、
(2)非共役ポリエン[C]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、0.01〜3.0モル%であり、
(3)190℃におけるメルトフローレート(MFR 190℃)が、0.5〜25であることを特徴とするエチレン系共重合体(イ)。
【請求項3】
エチレン[A]、炭素数4〜20のα−オレフィン[B]、と非共役ポリエン[C]に由来する構造単位を含むエチレン系共重合体であり、
(1)結晶化度が20〜35%の範囲にあり、
(2)エチレン[A]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、92〜97モル%であり、
(3)非共役ポリエン[C]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、0.01〜3.0モル%であり、
(4)190℃におけるメルトフローレート(MFR 190℃)が、0.5〜25であることを特徴とするエチレン系共重合体(イ)。
【請求項4】
炭素数4〜20のα−オレフィン[B]が、1−ブテン、1−ヘキセン、または1−オクテンから選ばれる少なくとも1種以上のα―オレフィンであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のエチレン系共重合体(イ)。
【請求項5】
エチレン[A]、炭素数4〜20のα−オレフィン[B]、と非共役ポリエン[C]に由来する構造単位を含むエチレン系共重合体であり、
(1)結晶化度が20〜35%の範囲にあり、
(2)非共役ポリエン[C]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、0.01〜3.0モル%であり、
(3)190℃におけるメルトフローレート(MFR 190℃)が、0.5〜25であるエチレン系共重合体(イ)並びに架橋剤および発泡剤を含むことを特徴とする発泡体用組成物。
【請求項6】
エチレン[A]、炭素数4〜20のα−オレフィン[B]、と非共役ポリエン[C]に由来する構造単位を含むエチレン系共重合体であり、
(1)エチレン[A]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、92〜97モル%であり、
(2)非共役ポリエン[C]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、0.01〜3.0モル%であり、
(3)190℃におけるメルトフローレート(MFR 190℃)が、0.5〜25であるエチレン系共重合体(イ)並びに架橋剤および発泡剤を含むことを特徴とする発泡体用組成物。
【請求項7】
エチレン[A]、炭素数4〜20のα−オレフィン[B]、と非共役ポリエン[C]に由来する構造単位を含むエチレン系共重合体であり、
(1)結晶化度が20〜35%の範囲にあり、
(2)エチレン[A]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、92〜97モル%であり、
(3)非共役ポリエン[C]に由来する構造単位が、[A]、[B]および[C]の構造単位の合計を100モル%として、0.01〜3.0モル%であり、
(4)190℃におけるメルトフローレート(MFR 190℃)が、0.5〜25であるエチレン系共重合体(イ)並びに架橋剤および発泡剤を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発泡体用組成物。
【請求項8】
炭素数4〜20のα−オレフィン[B]が、1−ブテン、1−ヘキセン、または1−オクテンから選ばれる少なくとも1種以上のα―オレフィンであることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の発泡体用組成物。
【請求項9】
発泡体用組成物がさらに、エチレン系共重合体(イ)と共に、更にα―オレフィン系エラストマー、エチレン・極性モノマー共重合体、およびスチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体から選ばれる少なくとも1種以上の重合体を含むことを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の発泡体用組成物。
【請求項10】
請求項5から9のいずれか1項に記載の発泡体用組成物を架橋および発泡させてなることを特徴とする発泡成形体。
【請求項11】
請求項10に記載の靴ミッドソールであることを特徴とする発泡成形体。

【図1】
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【公開番号】特開2013−10833(P2013−10833A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143556(P2011−143556)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】