説明

エチレン除去装置およびこれを備えた冷蔵庫

【課題】エチレン除去装置への高湿度の空気の吸い込みを防止して、効率の良い運転制御を行うことのできるエチレン除去装置を提供する。
【解決手段】処理される空気が流通する流路に設けられ、オゾンを発生させるためのオゾン発生手段9と、前記流路に設けられ、前記オゾン発生手段9によって発生した前記オゾンを処理するオゾン処理手段5とを備え、扉部20を有する冷蔵庫100内に設置されるエチレン除去装置1であって、前記扉部20の開閉の検出に基づいて、前記オゾン処理手段5への送風量を減少させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜、果物、花卉等を保鮮するための冷蔵庫に適用され、青果物等から排出されるエチレンを除去するためのエチレン除去装置およびこれを備えた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵庫に貯蔵されている青果物等から排出されたエチレンを除去するための装置として、冷蔵庫内に設置されるエチレン除去装置が知られている。
このような装置として、例えば、特許文献1に記載されているエチレン除去装置がある。このエチレン除去装置には、オゾンを発生させる紫外線ランプおよびオゾン処理触媒を備えたオゾン処理器が設置されている。そして、装置内に庫内の空気が吸い込まれ、生成されたオゾンによりエチレンを酸化させて空気中に浮遊する細菌等を死滅させるものである。装置内の余剰オゾンはオゾン処理器にて酸素等に分解されて再び庫内に吹き出される。
【0003】
【特許文献1】特開平08−298926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、作業者により冷蔵庫の扉が開放されれば、特に夏場では湿度の高い空気が庫内に流入してくる場合がある。そして、この湿度の高い空気をエチレン除去装置が吸い込んでしまうと、装置内部で結露が生じてオゾン処理触媒に水分が付着してしまい、オゾン分解機能の低下に繋がることが懸念される。
【0005】
このため、エチレン除去装置内の余剰オゾンが分解されないまま、空気とともに庫内に放出されてしまう可能性があった。
この対策として、除湿機を設置したり、あるいは、ヒータで加熱して除湿を行う手段も考えられるが、これらの装置を設置するコストも高く、大きな除湿効果も期待できないため有効な対策ではない。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、冷蔵庫内に湿度の高い空気が流入した場合であっても、エチレン除去装置の機能を低下させることなく、良好な運転を行うことのできるエチレン除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のエチレン除去装置およびこれを備えた冷蔵庫は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかるエチレン除去装置は、処理される空気が流通する流路に設けられ、オゾンを発生させるためのオゾン発生手段と、前記流路に設けられ、前記オゾン発生手段によって発生した前記オゾンを処理するオゾン処理手段とを備え、扉部を有する冷蔵庫内に設置されるエチレン除去装置であって、前記扉部の開閉の検出に基づいて、前記オゾン処理手段への送風量を減少させることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、エチレン除去装置が設置される冷蔵庫の扉部の開閉に基づいて、オゾン処理手段への送風量を減少させることとした。これにより、扉部が開放されて湿度の高い空気が冷蔵庫内に流入した場合であっても、オゾン処理手段に湿度の高い空気が導入されることを抑制できる。したがって、オゾン処理手段における結露が防止され、結露による分解機能の低下を回避することができる。
なお、オゾン処理手段への送風を停止させることによって送風量を減少させることが好ましい。
【0009】
さらに、本発明のエチレン除去装置では、前記オゾン処理手段へ空気を供給する送風手段を備え、前記扉部の開放が検出された場合は前記送風手段と前記オゾン発生手段の運転を停止し、前記扉部の閉鎖が検出された場合は前記送風手段と前記オゾン発生手段を起動させることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、扉部の開放が検出された場合は、送風手段とオゾン発生手段の運転が停止され、扉部の閉鎖が検出された場合には、送風手段とオゾン発生手段を起動させることとした。これにより、扉部が開放されて、湿度の高い空気が庫内に流入した場合であっても、送風手段の運転が停止されるため、オゾン処理手段に湿度の高い空気が導入されることを抑制できる。したがって、オゾン処理手段における結露が防止される。
また、オゾン発生手段の運転も停止されるため、過剰なオゾンが発生してエチレン除去装置外にオゾンが流出することを防止できる。
扉部の開放を検出するための手段として、例えば、安価で取り付けも容易なドアスイッチ等を用いてもよい。
オゾン発生手段としては、金属触媒、または、金属酸化物の素材からなるオゾン処理触媒を備えたオゾン処理器が好適に用いられる。これらのオゾン処理触媒は、結露によってオゾン分解機能が低下するので、本発明によって結露を防止することで触媒機能を維持することができる。
【0011】
さらに、本発明のエチレン除去装置では、前記送風手段および前記オゾン発生手段は、前記扉部の開放が検出されてから所定時間経過後に停止されることを特徴とする。
【0012】
通常、エチレン除去装置は、冷蔵庫内の扉部から離れた位置に設置されている。このため、冷蔵庫の扉部が開放されて湿度の高い空気が庫内に流入した場合、この空気がエチレン除去装置に到達するまでにはある程度時間を要し、その間はエチレン除去装置の運転が可能な状態である。
そこで、本発明では、外部から流入した空気がエチレン除去装置に到達するまでの時間を考慮し、扉部の開放が検出されてから所定時間経過後に送風手段とオゾン発生手段を停止させることとした。これにより、送風手段とオゾン発生手段の停止時間を短くすることができ、エチレン除去を行う運転時間を長くすることができる。
さらに、扉部の開放が検出されても、所定時間内に扉部の閉鎖が検出された場合であれば、扉部の開放から所定時間経過した後であっても運転を停止させないこととしてもよい。開放時間が所定時間内であれば、湿度の高い空気の流入量も少なく、庫内に流入したとしてもエチレン除去装置まで到達する可能性も少ないからである。このため、所定時間内に扉部の閉鎖が検出されれば運転を継続することとして、頻繁な運転停止を回避することができる。
【0013】
本発明の冷蔵庫では、庫内と庫外との間で開閉を行う扉部と、該扉部の開閉を検出する開閉検出手段と、前記庫内に設置された上記のいずれかに記載のエチレン除去装置とを備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、扉部に開閉検出手段を備えた冷蔵庫内に上記のいずれかに記載のエチレン除去装置を設置することとした。これにより、エチレン除去装置は開閉検出手段からの開閉信号を受信することができるため、この開閉信号に基づいてエチレン除去運転を行うことができる。
【0015】
また、本発明のエチレン除去装置は、処理される空気が流通する流路に設けられ、オゾンを発生させるためのオゾン発生手段と、前記流路に設けられ、前記オゾン発生手段によって発生した前記オゾンを処理するためオゾン処理手段とを備え、扉部を有する冷蔵庫内に設置されるエチレン除去装置であって、前記冷蔵庫内の湿度の検出値に基づいて、前記オゾン処理手段への送風量を減少させることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、冷蔵庫内の湿度の検出値に基づいて、オゾン処理手段への送風量を減少させることとした。これにより、扉部が開放されて湿度の高い空気が庫内に流入した場合であっても、オゾン処理手段に湿度の高い空気が導入されることを抑制できる。したがって、オゾン処理手段における結露が防止され、結露による分解機能の低下を回避することができる。
なお、オゾン処理手段への送風を停止させることによって送風量を減少させることが好ましい。
【0017】
さらに、本発明のエチレン除去装置では、前記オゾン処理手段へ空気を供給する送風手段を備え、前記湿度が所定の設定値以上になった場合は前記送風手段と前記オゾン発生手段の運転を停止し、前記湿度が所定の設定値未満となった場合は前記送風手段と前記オゾン発生手段を起動させることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、冷蔵庫内の湿度が所定の設定値以上となった場合は送風手段とオゾン発生手段の運転を停止し、設定値未満となった場合は前記送風手段と前記オゾン発生手段を起動させることとした。これにより、扉部が開放されて湿度の高い空気が庫内に流入した場合であっても、送風手段が停止されるため、オゾン処理手段に湿度の高い空気が導入されることを抑制できる。したがって、オゾン処理手段における結露を防止できる。
また、オゾン発生手段の運転も停止されるため、過剰なオゾンが発生してエチレン除去装置外にオゾンが流出することを防止できる。
さらに、扉部が開放された場合であっても、庫内の湿度が所定の設定値未満であれば送風手段とオゾン処理手段の運転を停止させないこととしてもよい。これにより、運転停止を必要最小限に留め、頻繁な運転停止を回避することができる。
湿度を検出するための手段として、例えば、安価で取り付けも容易な湿度スイッチ等を用いてもよい。
オゾン処理手段としては、金属触媒、または、金属酸化物の素材からなるオゾン処理触媒を備えたオゾン処理器が好適に用いられる。これらのオゾン処理触媒は、結露によってオゾン分解機能が低下するので、本発明によって結露を防止することで触媒機能を維持することができる。
【0019】
さらに、本発明の冷蔵庫では、庫内と庫外との間で開閉を行う扉部と、前記庫内の湿度を検出する湿度検出手段と、前記庫内に設置された上記のいずれかに記載のエチレン除去装置とを備えていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、庫内に湿度検出手段を備えた冷蔵庫内に上記のいずれかに記載のエチレン除去装置を設置することとした。これにより、エチレン除去装置は、湿度検出手段からの湿度値の信号を受信することができるため、この湿度信号に基づいてエチレン除去運転を行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のエチレン除去装置によれば、冷蔵庫の扉部の開閉状態に応じてオゾン処理手段への送風量を減少させることとしたため、オゾン処理手段における結露が防止できる。
この結果、オゾン処理手段の機能を低下させることなく良好な運転が可能となる。
【0022】
また、本発明のエチレン除去装置によれば、冷蔵庫内の湿度変化の状況に応じてオゾン処理手段への送風量を減少させることとしたため、冷蔵庫の扉部が開放されて湿度の高い空気が庫内に流入して湿度が高くなった場合でも、オゾン処理手段に湿度の高い空気が導入されることを抑制できる。
さらに、扉部が開放された場合であっても、庫内の湿度が所定の設定値に到達しなければ、送風手段とオゾン処理手段の運転を停止させないこととしてもよく、運転停止を必要最小限に留め、頻繁な運転停止を回避することできる。
この結果、オゾン処理手段における結露が防止され、エチレン除去装置の機能を低下させることなく効率の良い運転が可能となる。
【0023】
本発明の冷蔵庫によれば、上述のエチレン除去装置が設置されているため、開閉検出手段により確実に扉部の開閉を検出し、これに基づいてエチレン除去運転を行うことができるため、エチレン除去装置の機能を低下させることなく保鮮性能に優れた冷蔵庫を提供することができる。
また、湿度検出手段により庫内の湿度を正確に検出し、これに基づいてエチレン除去運転を行うことができるため、エチレン除去装置の機能を低下させることなく保鮮性能に優れた冷蔵庫を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態について、図1および図2を用いて説明する。
エチレン除去装置1は、庫内と庫外との間で開閉を行う扉部20を備えた冷蔵庫100(図2参照)の内部に設置される。エチレン除去装置1は、冷蔵庫100内に貯蔵される青果物等から排出される熟成・老化促進作用を有するエチレンをオゾンによって除去を行い、冷蔵庫100内の空気中に含まれる細菌、微生物を不活性ないしは死滅させて貯蔵物の鮮度を保持するためのものである。
【0025】
図1に示されるように、エチレン除去装置1は、冷蔵庫100内の扉部20(図2参照)から離れた位置の壁部付近に設置される。
エチレン除去装置1のケーシング2は、冷蔵庫100の床面部に対して支持部材14を介して立設されている。ケーシング2は、その上部に吹出口13と、その下部に吸込口12が設けられている。
吹出口13は、冷蔵庫100内の空気を吸い込んで処理された空気を再び庫内へ吹き出すための開口とされている。この吹出口13には、モータ4によって駆動されるファン3(送風手段)が設けられている。
吸込口12は、冷蔵庫100内の空気を吸い込むための開口とされている。この吸込口12の全体を覆うように、塵埃を除去するための着脱式フィルタ10が取り付けられている。
ケーシング2内には、ケーシング2の高さ方向中央部よりやや吹出口13側に、オゾン処理触媒6を備えたオゾン処理器(オゾン処理手段)5が設置されている。このオゾン処理器5の周囲には、ケーシング2の側壁にかけて延在する遮風板7によって上下に仕切られた構造となり、下方の空間部には反応室11が形成されている。
この反応室11の中央部付近には、紫外線ランプ(オゾン発生手段)9が設置されている。紫外線ランプ9とオゾン処理器5との間の空気流路中には、遮風部材8が設けられている。
本実施形態のオゾン処理触媒6としては、マンガン、鉄、コバルト等の金属触媒、または、金属酸化物の素材からなるオゾン処理触媒が好適に用いられる。
【0026】
図2に示した扉部20の接触部分には、その開閉状態を検出するための手段としてドアスイッチ(図示せず,開閉検出手段)が設けられている。このドアスイッチで検出された扉部20の開閉信号がエチレン除去装置1の制御部(図示せず)へ送信されることとなっている。
エチレン除去装置1の制御部は、ファン3、紫外線ランプ9等の動作の制御を行う。さらに、この制御部は、後述するように、ドアスイッチの開閉信号に基づいて、ファン3および紫外線ランブ9の停止および起動を行う。
【0027】
次に、以上の構成のエチレン除去装置1の運転について説明する。
モータ4によってファン3が回転されると、図1の矢印に示されるように、吸込口12から冷蔵庫100内のエチレンを含んだ空気がフィルタ10を通って反応室11に入る。この空気に反応室11内の紫外線ランプ9から放射される波長184.9nmの紫外線が照射されることによって空気中の酸素からオゾンが生成される。このオゾンはエチレンを酸化してエチレン化合物に転化させるとともに、空気中に含まれる細菌等を死滅させる。
そして、反応室11内に残存する余剰オゾンは、紫外線ランプ9から放射される波長253.7nmの紫外線に照射されることによって分解されて酸素と発生期の酸素が生成される。この発生期の酸素は空気中に残存するエチレンを酸化してエチレン化合物に転化させる。
エチレンが除去された空気は余剰オゾンとともに上方に流れ、遮風部材8に衝突することでオゾン濃度が均一化された状態でオゾン処理器5に流入する。流入した空気は、オゾン処理触媒6と接触して余剰オゾンが酸素等に分解される。
余剰オゾンが除去された空気は吹出口13から冷蔵庫100内に吹き出される。
【0028】
次に、本実施形態にかかるエチレン除去装置1の作用効果について説明する。
エチレン除去装置1が運転されている間に、貯蔵物を搬入ないし搬出するために扉部20(図2参照)が作業者により開閉される場合がある。
扉部20が開放された場合、扉部20に設置されたドアスイッチにて開放状態が検出され、エチレン除去装置1の制御部へ開放信号が送信される。この開放信号を受信したエチレン除去装置1の制御部によって、ファン3と紫外線ランプ9の運転を停止させる制御が行われる。
ファン3が停止されると、外部から庫内に流入した湿度の高い空気がエチレン除去装置1に吸い込まれてオゾン処理触媒6へと到達することがないので、オゾン処理触媒6での結露を防止することができる。このように、オゾン処理触媒6表面への水分の付着を防止することで、オゾン分解機能を低下させることなく余剰オゾンを全て分解することができる。
また、ファン3の停止と同時に、紫外線ランプ9の運転も停止させることで、反応室11内でのオゾンの生成も止められることとなり、オゾンが過剰に生成されることがない。
【0029】
扉部20が閉鎖された場合、ドアスイッチにより閉鎖状態が検出され、閉鎖信号がエチレン除去装置1の制御部へ送信される。この閉鎖信号を受信したエチレン除去装置1の制御部によって、停止状態であったファン3と紫外線ランプ9の運転を起動させる制御が行われる。
【0030】
扉部20の開閉を検出することによって、湿度の高い空気の庫内への流入時には、ファン3を確実に停止させることで、エチレン除去装置1内への湿度の高い空気の導入が抑制されることとなる。このため、オゾン処理器5への送風量が減少されて、結露によるオゾン処理触媒6の分解機能の低下を回避することができる。したがって、余剰オゾンの分解が確実に行われることとなり、良好なエチレン除去運転が可能となる。
さらに、紫外線ランプ9の運転も停止されることとなるため、ファン3の停止中に過剰なオゾンを発生させることなく、装置外にオゾンが流出することを防止できる。
【0031】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
エチレン除去装置1の構成および冷蔵庫100内の配置については、第一実施形態と同様であるためその説明を省略する。
通常、エチレン除去装置1は、冷蔵庫100内の扉部20から離れた位置に設置されている。このため、冷蔵庫100の扉部20が開放され、外部から湿度の高い空気が庫内へ入り込んだ場合、この空気がエチレン除去装置1に到達するまでにはある程度の時間を要し、その間はエチレン除去装置1の運転が可能な状態である。
そこで、本実施形態では、第一実施形態のエチレン除去装置1の制御部に、さらにタイマー(図示せず)が設けられることにより、外部から庫内に流入した湿度の高い空気がエチレン除去装置1に到達するまでの時間を考慮して、ファン3および紫外線ランプ9の停止および起動が行われるようになっている。
【0032】
以上説明の構成により、本実施形態によると以下の作用効果を奏する。
タイマーには予め所定の時間が設定されている。ドアスイッチ(図示せず)により冷蔵庫100の扉部20の開放状態が検出されると、その開放信号がエチレン除去装置1の制御部に送信され、同時にタイマーが作動する。このタイマーの作動によって扉部20の開放時間から予め設定された所定時間が経過した後にファン3と紫外線ランプ9の運転を停止させる制御が行われる。
そして、ドアスイッチにより扉部20の閉鎖状態が検出されれば、第一実施形態と同様に、停止状態であったファン3と紫外線ランプ9を起動させる制御が行われる。
このように、扉部20の開放と、ファン3と紫外線ランプ9の運転停止のタイミングをずらすことで、運転停止時間を短くすることができる。すなわち、エチレン除去の運転時間を長くすることができるため、庫内のエチレン除去が促進されることとなる。
【0033】
また、扉部20の開放が検出されても、所定時間内に扉部20の閉鎖が検出された場合(開放時間が比較的短時間)であれば、湿度の高い空気の流入量も少なく、庫内に流入したとしてもエチレン除去装置1まで到達する可能性も少ない。このため、所定時間内に扉部20の閉鎖が検出されれば、ファン3と紫外線ランプ9の運転を停止させることなくそのまま継続運転を行う制御としてもよい。このような制御によれば、頻繁な運転停止を回避することができ、効率の良い運転を行うことができる。
【0034】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
エチレン除去装置1の構成および冷蔵庫100内の配置については、第一実施形態と同様であるためその説明を省略する。
本実施形態では、冷蔵庫100内の湿度を検出するための手段として湿度スイッチ(図示せず)がエチレン除去装置1の周辺近傍に設置され、庫内の湿度状況に応じてファン3および紫外線ランプ9の停止および起動が行われるようになっている。
湿度スイッチの出力は、エチレン除去装置1の制御部へと送信されるようになっている。エチレン除去装置1の制御部は、閾値となる所定の湿度値が予め設定されている。
【0035】
図2に示される冷蔵庫100の扉部20が開放された場合に、外部からの空気が庫内に入り込むと庫内の湿度も高くなる。
本実施形態では、湿度スイッチにより庫内の湿度を検出して、予め設定された湿度値以上になればその信号がエチレン除去装置1の制御部に送信される。信号を受信したエチレン除去装置1の制御部は、ファン3と紫外線ランプ9の運転を停止させる制御を行う。
【0036】
ファン3が停止されると、外部から庫内に流入した湿度の高い空気がエチレン除去装置1に吸い込まれてオゾン処理触媒6へと到達することがないので、オゾン処理触媒6での結露を防止することができる。このように、オゾン処理触媒6表面への水分の付着を防止することで、オゾン分解機能を低下させることなく余剰オゾンを全て分解することができる。
また、ファン3の停止と同時に、紫外線ランプ9の運転も停止されることで、反応室11内でのオゾンの生成も止められることとなり、オゾンが過剰に生成されることがない。
そして、湿度スイッチにて庫内の湿度が予め設定された湿度値より低い湿度が検出されると、その信号がエチレン除去装置1へ送信される。この信号を受信したエチレン除去装置1は、他の実施形態と同様に、停止状態であったファン3と紫外線ランプ9を起動させる制御が行われる。
【0037】
庫内の湿度を検出することによって、庫内の湿度が所定の湿度より高い時には、ファン3を確実に停止させることで、エチレン除去装置1内への湿度の高い空気の導入が抑制されることとなる。このため、オゾン処理器5への送風量が減少されて、結露によるオゾン処理触媒6の分解機能の低下を回避することができる。したがって、余剰オゾンの分解が確実に行われることとなり良好なエチレン除去運転が可能となる。
さらに、紫外線ランプ9の運転も停止されることとなるため、ファン3の停止中に過剰なオゾンを発生させることなく、装置外にオゾンが流出することを防止できる。
また、庫内の湿度が所定の設定値に到達しなければ、扉部が開放された場合であっても送風手段とオゾン処理手段の運転を停止させないこととしてもよく、運転停止を必要最小限に留め、頻繁な運転停止を回避することできる。これにより、一層効率の良い運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態にかかるエチレン除去装置の縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる扉部が設けられた冷蔵庫の一部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1 エチレン除去装置
2 ケーシング
3 ファン(送風手段)
4 モータ
5 オゾン処理器(オゾン処理手段)
6 オゾン処理触媒
7 遮風板
8 遮風部材
9 紫外線ランプ
10 フィルタ
11 反応室
12 吸込口
13 吹出口
14 支持部材
20 扉部
100 冷蔵庫


【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理される空気が流通する流路に設けられ、オゾンを発生させるためのオゾン発生手段と、
前記流路に設けられ、前記オゾン発生手段によって発生した前記オゾンを処理するオゾン処理手段と、を備え、
扉部を有する冷蔵庫内に設置されるエチレン除去装置であって、
前記扉部の開閉の検出に基づいて、前記オゾン処理手段への送風量を減少させることを特徴とするエチレン除去装置。
【請求項2】
前記オゾン処理手段へ空気を供給する送風手段を備え、
前記扉部の開放が検出された場合は前記送風手段と前記オゾン発生手段の運転を停止し、前記扉部の閉鎖が検出された場合は前記送風手段と前記オゾン発生手段を起動させることを特徴とする請求項1に記載のエチレン除去装置。
【請求項3】
前記送風手段および前記オゾン発生手段は、前記扉部の開放が検出されてから所定時間経過後に停止されることを特徴とする請求項2に記載のエチレン除去装置。
【請求項4】
庫内と庫外との間で開閉を行う扉部と、
該扉部の開閉を検出する開閉検出手段と、
前記庫内に設置された請求項1から3のいずれかに記載のエチレン除去装置と、
を備えていることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項5】
処理される空気が流通する流路に設けられ、オゾンを発生させるためのオゾン発生手段と、
前記流路に設けられ、前記オゾン発生手段によって発生した前記オゾンを処理するオゾン処理手段と、を備え、
扉部を有する冷蔵庫内に設置されるエチレン除去装置であって、
前記冷蔵庫内の湿度の検出値に基づいて、前記オゾン処理手段への送風量を減少させることを特徴とするエチレン除去装置。
【請求項6】
前記オゾン処理手段へ空気を供給する送風手段を備え、
前記湿度が所定の設定値以上になった場合は前記送風手段と前記オゾン発生手段の運転を停止し、前記湿度が所定の設定値未満となった場合は前記送風手段と前記オゾン発生手段を起動させることを特徴とする請求項5に記載のエチレン除去装置。
【請求項7】
庫内と庫外との間で開閉を行う扉部と、
前記庫内の湿度を検出する湿度検出手段と、
前記庫内に設置された請求項5または6に記載のエチレン除去装置と、
を備えていることを特徴とする冷蔵庫。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−225677(P2009−225677A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71729(P2008−71729)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】