エッジサポート
【課題】 パネルのエッジに対する着脱作業を簡易化するとともに、パネルに対して確実にかつ安定した状態に装着することが可能なエッジサポートを提供する。
【解決手段】 パネル2のエッジに沿うように形成された帯状部11の両側に沿って長さ方向に所要の間隔で配設され、一方向に突出された複数の挟持片12,13を備え、そのうち帯状部の幅方向に対向する対をなす挟持片13の内面には内方に向けて係止爪131が突出される。係止爪131はパネル2に開口した取付穴21にパネルの両面からそれぞれ嵌合される。挟持片に設けた係止片がパネルの両側から取付穴に嵌合してエッジサポート1をパネル2に保持し、装着作業を容易にし、エッジサポートの脱落が防止される。
【解決手段】 パネル2のエッジに沿うように形成された帯状部11の両側に沿って長さ方向に所要の間隔で配設され、一方向に突出された複数の挟持片12,13を備え、そのうち帯状部の幅方向に対向する対をなす挟持片13の内面には内方に向けて係止爪131が突出される。係止爪131はパネル2に開口した取付穴21にパネルの両面からそれぞれ嵌合される。挟持片に設けた係止片がパネルの両側から取付穴に嵌合してエッジサポート1をパネル2に保持し、装着作業を容易にし、エッジサポートの脱落が防止される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器の金属パネル等のエッジで電線の被覆が傷つかないように保護するためのエッジサポートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器を組み立てるときに金属パネルのエッジに沿って被覆電線を延設する際に、電線の被覆が金属パネルのエッジと干渉し、エッジで被覆が傷ついてしまうことがある。特に近年では環境対策から鉛化合物を含まない、そしてダイオキシン類発生の原因であるハロゲン系元素を含まないノンハロゲン被覆の電線が提供されており、この種の被覆は従来の塩化ビニールのような被覆に比較して柔らかいため、電線の引回し時に被覆が金属パネルエッジと干渉したときに容易に被覆が傷つき、絶縁性が低下してしまう。
【0003】
この問題を解消するために従来からエッジサポートが提案されている。例えば、図12に示すエッジサポート1Cは、細長い帯状片111の両側に沿って複数の舌片状をした挟持片112を長さ方向に所要のピッチで配設し、断面をコ字状にしたものである。このエッジサポート1Cは両側の挟持片112を金属パネル2のエッジに被せて板厚方向に挟持させることで金属パネル2のエッジを覆い、エッジが露呈することを防止し、被覆電線が金属パネルのエッジに直接接触して被覆が傷つくことを防止している。しかしながらこのエッジサポートは、単に挟持片で金属パネルを板厚方向に挟んでいるだけであるので、外力が加えられたときに挟持片が金属パネル面で滑り、容易に脱落してしまうという問題がある。特に、金属パネルの厚さが薄いときには挟持片による挟持力が小さく、より脱落し易くなる。また、金属パネルのエッジが長いときには複数個のエッジサポートを並べて装着するが、エッジサポートが滑りによって移動して隣り合うエッジサポート間に隙間が生じたときにこの隙間部分でエッジが露呈してしまい、被覆を保護することができなくなる。なお、エッジサポートを接着することも考えられるが、家電リサイクル法等に基づくリサイクルの際に電子機器の解体、部品取り外しが困難になるという問題がある。
【0004】
これに対し特許文献1には、脱落を防止する一方で取り外しを容易にしたエッジサポートが提案されている。特許文献1ではエッジサポートの一部ないし複数箇所の両側にヒンジにより連結された対をなすロック片を設け、これらロック片の一方にボス部を設け、他方にボス部に嵌合する孔部を設けている。金属エッジに沿って穴を開けておき、エッジサポートを金属パネルに装着するときに一方のロック片のボス部を当該穴に挿通し、他方のロック片を挿通したボス部に嵌合することで、両ロック片によって金属パネルを強固に挟持してエッシサポートの脱落を防止するとともに移動を防止することが可能になる。
【特許文献1】特開2002−168208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のエッジサポートは、装着時には対をなすロック片の一方を曲げた後にボス部を穴に挿通させ、その後他方のロック片を曲げてボスに嵌合させる作業が必要になる。また、エッジサポートを取り外す際には、両方のロック片を広げる方向に曲げてボス部との嵌合を外す必要がある。そのため、エッジサポートの着脱の作業性が悪いという問題がある。特に、電子機器内の狭いスペースに配設された金属パネルに対してエッジサポートを着脱する作業が面倒なものになる。また、金属パネルの板厚に対してボス部の長さが短いとエッジサポートを装着することができず、逆にボス部を長くするとロック片と金属パネルの表面との間に隙間ができてしまい、板厚方向に取り付けガタが生じてしまうという問題もある。さらに、隣り合うエッジサポートを密接して両者間に隙間が生じることを防止するためには、金属パネルに開ける穴の寸法精度や位置精度を高精度に管理する必要があり、加工が難しいものになるという問題もある。
【0006】
本発明の目的は、パネルのエッジに対する着脱作業を簡易化するとともに、パネルに対して確実にかつ安定した状態に装着することが可能なエッジサポートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、パネルのエッジに沿うように細長く形成された帯状部と、この帯状部の両側に沿って長さ方向に所要の間隔で配設され、一方向に突出された複数の挟持片とを備えるエッジサポートであって、挟持片のうち帯状部の幅方向に対向する対をなす挟持片の内面にはそれぞれ内方に向けて係止爪が突出され、当該係止爪はパネルに開口した取付穴に当該パネルの両面からそれぞれ嵌合されることを特徴とする。好ましくは、対向する挟持片の各係止爪は長さ方向に隣り合って形成され、これらの各係止爪はパネルに開口した1つの取付穴に同時に嵌合される構成とする。この場合において、例えば、隣り合って形成された係止爪は、両者を合わせた輪郭が取付穴の形状に対応する円形となるようなそれぞれ半円形に形成される。また、本発明は、帯状部の両端には当該帯状部の厚さの1/2以下の厚さで、板厚方向に弾性を有する連結片を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のエッジサポートによれば、パネルのエッジを挟持片間に挿入させるだけで挟持片に設けた係止片がパネルの両側から取付穴に嵌合してエッジサポートをパネルに保持させるので、エッジサポートが容易に脱落することはない。そのため、特許文献1のようにロック片を曲げ操作する作業は不要であり装着を容易に行うことができる。また、対向する挟持片の係止爪を長さ方向に隣り合って形成することで、係止爪の突出長さを長くでき、取付穴との引っ掛かり寸法を大きくして脱落をより確実に防止することができる。さらに、隣り合う係止爪の輪郭を取付穴の形状とすることで、1つの取付穴に各係止爪を嵌合させることができ、取付穴の加工も容易になる。
【実施例1】
【0009】
次に、本発明の実施例1を図面を参照して説明する。図1(a)は本発明のエッジサポートの外観斜視図、図2(a)〜(c)は平面図、正面図及び左側面図である。これらの図に示すように、エッジサポート1は若干の弾性を有する樹脂で成形されており、細長い帯状部11と、この帯状部11の内面から図の下方に向けて所要の寸法で突出し、帯状部11の両側に沿って長さ方向に所要のピッチ寸法で配設されてそれぞれ帯状部11の幅方向に対向して対をなす複数の小挟持片12と、前記帯状部11の両端部において前記小挟持片12よりも長い寸法で突出されて帯状部11の幅方向に対向して対をなす大挟持片13とを備えている。これら小挟持片12と大挟持片13は先端が円弧状をし、それぞれの内面が対向する間隔は等しく、所定の間隔寸法に設定されている。
【0010】
前記帯状部11の上面は前記小挟持片12及び大挟持片13が配設された領域において長さ方向の断面形状が円弧状に幾分突出して板厚が大きくされており、小挟持片12及び大挟持片13の機械的な強度を高めて後述するように金属パネル2に対する挟持力を増大させた補強部14として形成されている。前記帯状部11の長さ方向の両端部には、それぞれ長さ方向外側に向けて薄肉で円弧状をした連結片15が突出されている。この連結片15の板厚は前記帯状部11の最大寸法の厚さ、この例では前記補強部14の厚さの1/2以下の厚さに形成されている。また、外側への突出長さは前記ピッチ寸法程度、ないしは若干長めに形成されており、その先端は帯状部11の内面と同じ面上の位置か、この面よりも図の下方に位置されている。さらに、図2(b)に示すように、小挟持片12の間及び小挟持片12と大挟持片13の間、さらに大挟持片13と連結片15との間の帯状部11の内面に小円弧状断面の凹溝16が設けられ、この凹溝16により帯状部11の板厚を部分的に小さくして帯状部11を長さ方向に曲げ変形し易くしている。
【0011】
前記対をなす大挟持片13は対向しているそれぞれの内面に内方に向けて係止爪131が突出形成されている。図3は一対の大挟持片13の拡大斜視図であり、これらの係止爪131はここでは正面から見て円形をしており、図2(c)に示すように、各係止爪131は樹脂成形での製造を可能とするために両係止爪131の突出先端面の間には微小な間隙dが確保されている。各係止爪131は上縁部131aは大挟持片13の内面に対して垂直に向けられているが、下縁部131bはテーパ状に傾斜されている。なお、この係止爪131を成形するための金型の離型を可能とするために大挟持片13の補強部14には板厚方向に向けて平面形状が長方形の窓17が開口されている。
【0012】
図1(a)に示したように、このエッジサポート1を金属パネル2に装着するために、金属パネル2には予めエッジに沿って取付穴21を開口しておく。この取付穴21はエッジサポート1の大挟持片13の係止爪131に対応する円形の穴である。そして、図4(a)に示すように、エッジサポート1を装着するときには、小挟持片12と大挟持片13の対向間隔内に金属パネル2のエッジが進入するようにエッジサポート1を金属パネル2のエッジに被せるように嵌め込んで行く。所定量だけ嵌め込んで行くと係止爪131が取付穴21に嵌入する。図4(b)はそのときの図4(a)のA−A線に相当する断面図である。このとき係止爪131の下縁部131bはテーパ状であるため大挟持片13は両外側に若干弾性変形しながら係止爪131が金属パネル2のエッジを乗り越えて金属パネル2の表面を滑り、取付穴21の位置で大挟持片13が弾性復帰することにより各係止爪131が取付穴21に嵌合する。
【0013】
このように装着した状態を図1(b)に示す。金属パネル2はエッジサポート1の長さ方向の複数箇所において複数の小挟持片12によって挟持され、さらにエッジサポートの両端部において大挟持片13によって挟持された状態となる。このとき、小挟持片12は自身の弾性力によって内面が金属パネル2の表面に当接し、この当接力によって生じる摩擦力により挟持した状態が保持される。小挟持片12が設けられた帯状部11には補強部14が設けられているので、小挟持片12の弾性力が高められ、エッジサポートの強度が保持される。一方、大挟持片13の各係止爪131が金属パネル2の両面からそれぞれ取付穴21に嵌合することによっても挟持した状態が保持される。取付穴21と係止爪131との嵌合によりエッジサポート1が金属パネル2の表面に沿って移動することはなく、確実に位置決めすることができる。また、取付穴21に嵌入された係止爪131は上縁部131aが垂直であり、取付穴21の上側の内縁に垂直方向に当接するため、単にエッジサポート1を外側に引っ張るのみでは係止爪131が取付穴21から外れることはなく、エッジサポート1がエッジから容易に脱落されることはない。
【0014】
このように、実施例1のエッジサポート1は、それぞれ対をなす小挟持片12と大挟持片13との間に金属パネル2のエッジを挿入すれば、大挟持片13の係止爪131が取付穴21に嵌合し、エッジサポート1の両端部をエッジに対して挟持させるとともに中間部を複数の小挟持片12によって挟持する状態となり、エッジサポート1が容易に脱落することはない。したがって、エッジサポート1を装着する際に特許文献1のようにロック片を曲げ操作する作業は不要であり装着を容易に行うことができる。さらに、エッジサポート1をエッジに装着したときに連結片15がエッジ端面に当接してその反力でエッジサポート1をエッジ外方に付勢するので、係止爪131の上端部131aと取付穴21の内縁との間に当接力を発生させ、係止爪131と取付穴21との間の摩擦力を増大することで脱落をより有効に防止することができる。
【0015】
また、図5に示すように、複数のエッジサポート1を長さ方向に並べて金属パネル2のエッジに装着する際には、隣のエッジサポート1の連結片15が互いに重なるように配列寸法を設定することで、各連結片15によって隣り合うエッジサポート1の間にエッジが露呈するような隙間が生じることはなく、図12に示した従来のエッジサポート1Cのように隣り合うエッジサポート間の隙間で被覆が傷つくこともない。このとき、各連結片15は薄肉であるため弾性による変形性が高く、互いに重なったときには密接状態となり、しかもこの状態では補強部14よりも上方に突出することはない。特に、隣り合うエッジサポートの各連結片15が重なった場合に、どちらのエッジサポートが上になっても重なった連結片15が補強部14よりも上方に突出することはない。そのため、連結片15の部分でエッジサポートが外側に膨らむことがなく、外観上の見栄えが低下することがなく、また被覆電線が引っ掛かかってしまうようなこともない。また、各エッジサポート1には方向性が存在しないため、装着に際して取付方向を考慮する必要もなく、この点でも装着作業が容易になる。
【実施例2】
【0016】
図6(a)〜(c)は本発明の実施例2の正面図である。外観の構成は図1に示した実施例1とほぼ同じであるので、実施例1と等価な部分には同一符号を付してある。実施例2のエッジサポート1Aは、実施例1と同様に、若干の弾性を有する樹脂で成形された細長い帯状部11と、この帯状部11の内面から図の下方に向けて所要の寸法で突出し、帯状部11の両側に沿って長さ方向に所要のピッチ寸法で配設され、それぞれ帯状部11の幅方向に対をなす複数の小挟持片12と、前記帯状部11の両端部において前記小挟持片12よりも長い寸法で突出されて帯状部11の幅方向に対をなす大挟持片13とを備えている。また、これら小挟持片12と大挟持片13は先端が円弧状をし、それぞれの内面が対向する間隔は等しく、所定の間隔寸法に設定されている。
【0017】
さらに、帯状部11の上面には前記小挟持片12及び大挟持片13が形成された領域において長さ方向の断面形状が円弧状に幾分突出して板厚を大きくし、小挟持片12及び大挟持片13の機械的な強度を高めて挟持力を増大させた補強部14が設けられている。また、前記両側の各大挟持片13の外側には、帯状部11の両端を外側に向けて突出した薄肉で円弧状をした連結片15が突出されている。この連結片15の板厚及び突出長さは実施例1と同じである。小挟持片12、大挟持片13、連結片15の各間には帯状部11の内面に小円弧状断面の凹溝16が設けられ、帯状部11が長さ方向に曲げ変形され易くなっていることも実施例1と同じである。
【0018】
一方、図7に前記対をなす大挟持片13の拡大斜視図を示すように、対向している各大挟持片13の対向面に係止爪132が突出形成されていることは実施例1と同じであるが、実施例2では両方の係止爪132は半円形をして帯状部11の長さ方向に沿って隣り合う位置に配設されている。両係止爪の直径部分を向かい合わせて両方の係止爪で円形の輪郭を構成した構成となっている。すなわち、各係止爪132は樹脂成形での金型の抜きが可能な限度で、各係止爪132の突出先端面は帯状部11の幅方向の中間位置、あるいはそれぞれが中間位置を若干だけ越える位置となるように突出寸法が可及的に大きくなるように設計されている。また、各係止爪132は上縁部132aが大挟持片13の内面に対して垂直に向けられているが、下縁部132bはテーパ状に傾斜されている。この係止爪132を成形する際に金型の抜きを可能とするために大挟持片13の補強部14には板厚方向に窓17が開口されている。
【0019】
このエッジサポート1Aは実施例1と同様に金属パネルに装着することが可能である。すなわち、図4(a)を再度参照すると、金属パネル2には実施例1で説明したと同様に予めエッジに沿って取付穴21を開口しておく。この取付穴21はエッジサポート1Aの対向する大挟持片13の各係止爪132を正面方向から見たときに両者を包含する輪郭に対応した円形の穴である。そして、エッジサポート1Aの小挟持片12と大挟持片13の対向間隔内に金属パネル2のエッジが進入するようにエッジサポート1Aを金属パネル2に嵌め込むことにより、係止爪132が取付穴21に嵌入する。このとき両側の係止爪132はそれぞれ同じ一つの取付穴21に嵌入する。係止爪132の下端部132bはテーパ状であるため大挟持片13は両外側に若干弾性変形しながら係止爪132が金属パネル2のエッジを乗り越えて金属パネル2の表面を滑り、取付穴21の位置で大挟持片13の弾性復帰により各係止爪132が取付穴21に嵌合する。
【0020】
このように、実施例2のエッジサポート1Aも実施例1と同様に大挟持片13の係止爪132が取付穴21に嵌合し、かつ複数の小挟持片12が金属パネル2のエッジを挟持する状態となる。このとき、1つの取付穴21に2つの係止爪132が金属パネル2の両面からそれぞれ同時に嵌合され、これら係止爪132と取付穴21との嵌合によってエッジサポートの位置決めが可能になる。しかもこれらの係止爪132は上縁部132aが垂直であり、取付穴21の上側の内縁に垂直方向に当接するため、係止爪132が取付穴21から容易に外れることがなく、エッジサポートがエッジから脱落することがないことも同じである。また、実施例2では実施例1のように係止爪132の対向間に図2(c)に示したような間隙dが必要とされないので、各係止爪132の突出長さを実施例1よりも大きく形成でき、図8(a)のように、板厚の厚い金属パネル2の場合には係止爪132と取付穴21との引っ掛かり寸法(両者が板厚方向に重なる寸法)を全板厚にわたって確保でき、エッジサポート1Aの挟持の安定性が高められる。また、図8(b)に示すように、エッジサポート1Aを板厚の薄い金属パネル2Aに装着した場合でも各係止爪132と取付穴21との引っ掛かり寸法を金属パネル2Aの全板厚にわたって確保でき、実施例1の構成よりも大きくでき、係止を確実なものにできる。
【実施例3】
【0021】
図9(a),(b)は本発明のエッジサポート1Bの実施例3の平面図と正面図である。実施例1と等価な部分には同一符号を付してある。実施例3では帯状部11の両側に形成した対をなす大挟持片13を帯状部11の長さ方向に沿って互いにずらした位置に形成している。そして、各大挟持片13の内面に形成する係止爪133は、樹脂成形時の金型の抜きの制約が少ないことから、係止爪133の突出寸法は可及的に大きな寸法、すなわち実施例3では金属パネル2の板厚にほぼ等しい寸法に形成している。各係止爪133は正面から見て円形をしていることは実施例1と同じである。また、図示は省略するが、係止爪133の幅方向の断面形状は上縁部が大挟持片13の内面に垂直で、下縁部がテーパ状をしていることも実施例1と同じである。なお、実施例3では小挟持片12についても帯状部11の長さ方向に異なる位置に配設しているが、これは実施例1,2と同様に互いに対向するように配設してもよい。
【0022】
このエッジサポート1Bを金属パネル2に装着する際には、金属パネル2には図10(a)のように、対をなす大挟持片13の各係止爪133が嵌合可能なように長穴形状の取付穴22を開口する。この場合には実施例1,2と同様に2つの大挟持片13に対して1つの取付穴22を形成すればよく、この1つの取付穴22に2つの係止爪133が金属パネル2の両側から嵌合される。あるいは、図10(b)のように、金属パネル2には各係止爪133に対応するように2つの円形の取付穴23を開口すればよい。この場合には取付穴23は実施例1,2と同様に単純な円形の穴でよい。
【0023】
実施例3のエッジサポート1Bでも実施例1,2と同様に金属パネル2に対する装着や取り外しが容易であり、その一方でエッジに対して確実に装着するとともにその脱落が防止でき、電線の被覆が傷つくことを確実に防止することができる。また、実施例3では、各係止爪133の突出長さを実施例2よりもさらに大きくできるので、係止爪133と取付穴22,23との引っ掛かり寸法が大きくなり、係止爪133が取付穴22,23から外れ難くなってエッジサポート1Bが金属パネル2からより脱落し難くなる。
【0024】
実施例1〜3のエッジサポートは帯状部11の内面に設けた複数の凹溝16によって板厚方向の変形が容易にされているので、図11に実施例1のエッジサポート1の例を示すように金属パネル2のコーナエッジに対しても装着することが可能である。前述した小挟持片12のピッチ寸法と突出長さを適切に設定しておくことで、エッジサポート1を中間部位で90度曲げても隣り合う小挟持片12が互いに干渉するようなことはない。このようにコーナエッジへの装着は実施例2,3のエッジサポートでも同じである。
【0025】
なお、前記実施例1〜3において、係止爪の形状は実施例1,3のような円形、あるいは実施例2のような半円形に限られるものではない。金属パネルに開口する取付穴を任意の形状の取付穴として形成することが可能であるならば、係止爪を矩形、多角形に形成してもよいことは言うまでもない。これらの場合には実施例2の係止爪は各形状を1/2に分割した構成とすることは勿論である。
【0026】
なお、エッジサポート1を金属パネル2から取り外すときには、例えば図1(b)に示すように、エッジサポート1の窓17内に金属パネル2の板厚と同じ間隔の二股治具Jを挿入することにより、対をなす大挟持片13を両外側に弾性変形させ、係止爪131を取付穴21との嵌合から解除できる。このとき、大挟持片13は治具Jの両外面に対して弾接した状態になるため、治具Jをそのまま上方に持ち上げるだけでエッジサポート1を金属パネル2から離脱させることができる。そのため、環境問題等で要求されるリユースに対処することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のエッジサポートの外観斜視図である。
【図2】実施例1の平面図、正面図、右側面図である。
【図3】実施例1の大挟持片の拡大斜視図である。
【図4】エッジサポートを装着する際の正面図とそのA−A線に相当する箇所の断面図である。
【図5】複数のエッジサポートを装着した状態の正面図である。
【図6】実施例2の平面図、正面図、右側面図である。
【図7】実施例2の大挟持片の拡大斜視図である。
【図8】係止爪と取付穴の嵌合状態を示す断面図である。
【図9】実施例3の平面図と正面図である。
【図10】実施例3の金属パネルの取付穴を示す図である。
【図11】エッジサポートをパネルのコーナエッジに装着する状態を示す図である。
【図12】従来のエッジサポートの一例の外観斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1,1A,1B エッジサポート
11 帯状部
12 小挟持片
13 大挟持片
14 補強部
15 連結部
16 凹溝
17 窓
131,132,133 係止爪
2 金属パネル
21,22,23 取付穴
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器の金属パネル等のエッジで電線の被覆が傷つかないように保護するためのエッジサポートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器を組み立てるときに金属パネルのエッジに沿って被覆電線を延設する際に、電線の被覆が金属パネルのエッジと干渉し、エッジで被覆が傷ついてしまうことがある。特に近年では環境対策から鉛化合物を含まない、そしてダイオキシン類発生の原因であるハロゲン系元素を含まないノンハロゲン被覆の電線が提供されており、この種の被覆は従来の塩化ビニールのような被覆に比較して柔らかいため、電線の引回し時に被覆が金属パネルエッジと干渉したときに容易に被覆が傷つき、絶縁性が低下してしまう。
【0003】
この問題を解消するために従来からエッジサポートが提案されている。例えば、図12に示すエッジサポート1Cは、細長い帯状片111の両側に沿って複数の舌片状をした挟持片112を長さ方向に所要のピッチで配設し、断面をコ字状にしたものである。このエッジサポート1Cは両側の挟持片112を金属パネル2のエッジに被せて板厚方向に挟持させることで金属パネル2のエッジを覆い、エッジが露呈することを防止し、被覆電線が金属パネルのエッジに直接接触して被覆が傷つくことを防止している。しかしながらこのエッジサポートは、単に挟持片で金属パネルを板厚方向に挟んでいるだけであるので、外力が加えられたときに挟持片が金属パネル面で滑り、容易に脱落してしまうという問題がある。特に、金属パネルの厚さが薄いときには挟持片による挟持力が小さく、より脱落し易くなる。また、金属パネルのエッジが長いときには複数個のエッジサポートを並べて装着するが、エッジサポートが滑りによって移動して隣り合うエッジサポート間に隙間が生じたときにこの隙間部分でエッジが露呈してしまい、被覆を保護することができなくなる。なお、エッジサポートを接着することも考えられるが、家電リサイクル法等に基づくリサイクルの際に電子機器の解体、部品取り外しが困難になるという問題がある。
【0004】
これに対し特許文献1には、脱落を防止する一方で取り外しを容易にしたエッジサポートが提案されている。特許文献1ではエッジサポートの一部ないし複数箇所の両側にヒンジにより連結された対をなすロック片を設け、これらロック片の一方にボス部を設け、他方にボス部に嵌合する孔部を設けている。金属エッジに沿って穴を開けておき、エッジサポートを金属パネルに装着するときに一方のロック片のボス部を当該穴に挿通し、他方のロック片を挿通したボス部に嵌合することで、両ロック片によって金属パネルを強固に挟持してエッシサポートの脱落を防止するとともに移動を防止することが可能になる。
【特許文献1】特開2002−168208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のエッジサポートは、装着時には対をなすロック片の一方を曲げた後にボス部を穴に挿通させ、その後他方のロック片を曲げてボスに嵌合させる作業が必要になる。また、エッジサポートを取り外す際には、両方のロック片を広げる方向に曲げてボス部との嵌合を外す必要がある。そのため、エッジサポートの着脱の作業性が悪いという問題がある。特に、電子機器内の狭いスペースに配設された金属パネルに対してエッジサポートを着脱する作業が面倒なものになる。また、金属パネルの板厚に対してボス部の長さが短いとエッジサポートを装着することができず、逆にボス部を長くするとロック片と金属パネルの表面との間に隙間ができてしまい、板厚方向に取り付けガタが生じてしまうという問題もある。さらに、隣り合うエッジサポートを密接して両者間に隙間が生じることを防止するためには、金属パネルに開ける穴の寸法精度や位置精度を高精度に管理する必要があり、加工が難しいものになるという問題もある。
【0006】
本発明の目的は、パネルのエッジに対する着脱作業を簡易化するとともに、パネルに対して確実にかつ安定した状態に装着することが可能なエッジサポートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、パネルのエッジに沿うように細長く形成された帯状部と、この帯状部の両側に沿って長さ方向に所要の間隔で配設され、一方向に突出された複数の挟持片とを備えるエッジサポートであって、挟持片のうち帯状部の幅方向に対向する対をなす挟持片の内面にはそれぞれ内方に向けて係止爪が突出され、当該係止爪はパネルに開口した取付穴に当該パネルの両面からそれぞれ嵌合されることを特徴とする。好ましくは、対向する挟持片の各係止爪は長さ方向に隣り合って形成され、これらの各係止爪はパネルに開口した1つの取付穴に同時に嵌合される構成とする。この場合において、例えば、隣り合って形成された係止爪は、両者を合わせた輪郭が取付穴の形状に対応する円形となるようなそれぞれ半円形に形成される。また、本発明は、帯状部の両端には当該帯状部の厚さの1/2以下の厚さで、板厚方向に弾性を有する連結片を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のエッジサポートによれば、パネルのエッジを挟持片間に挿入させるだけで挟持片に設けた係止片がパネルの両側から取付穴に嵌合してエッジサポートをパネルに保持させるので、エッジサポートが容易に脱落することはない。そのため、特許文献1のようにロック片を曲げ操作する作業は不要であり装着を容易に行うことができる。また、対向する挟持片の係止爪を長さ方向に隣り合って形成することで、係止爪の突出長さを長くでき、取付穴との引っ掛かり寸法を大きくして脱落をより確実に防止することができる。さらに、隣り合う係止爪の輪郭を取付穴の形状とすることで、1つの取付穴に各係止爪を嵌合させることができ、取付穴の加工も容易になる。
【実施例1】
【0009】
次に、本発明の実施例1を図面を参照して説明する。図1(a)は本発明のエッジサポートの外観斜視図、図2(a)〜(c)は平面図、正面図及び左側面図である。これらの図に示すように、エッジサポート1は若干の弾性を有する樹脂で成形されており、細長い帯状部11と、この帯状部11の内面から図の下方に向けて所要の寸法で突出し、帯状部11の両側に沿って長さ方向に所要のピッチ寸法で配設されてそれぞれ帯状部11の幅方向に対向して対をなす複数の小挟持片12と、前記帯状部11の両端部において前記小挟持片12よりも長い寸法で突出されて帯状部11の幅方向に対向して対をなす大挟持片13とを備えている。これら小挟持片12と大挟持片13は先端が円弧状をし、それぞれの内面が対向する間隔は等しく、所定の間隔寸法に設定されている。
【0010】
前記帯状部11の上面は前記小挟持片12及び大挟持片13が配設された領域において長さ方向の断面形状が円弧状に幾分突出して板厚が大きくされており、小挟持片12及び大挟持片13の機械的な強度を高めて後述するように金属パネル2に対する挟持力を増大させた補強部14として形成されている。前記帯状部11の長さ方向の両端部には、それぞれ長さ方向外側に向けて薄肉で円弧状をした連結片15が突出されている。この連結片15の板厚は前記帯状部11の最大寸法の厚さ、この例では前記補強部14の厚さの1/2以下の厚さに形成されている。また、外側への突出長さは前記ピッチ寸法程度、ないしは若干長めに形成されており、その先端は帯状部11の内面と同じ面上の位置か、この面よりも図の下方に位置されている。さらに、図2(b)に示すように、小挟持片12の間及び小挟持片12と大挟持片13の間、さらに大挟持片13と連結片15との間の帯状部11の内面に小円弧状断面の凹溝16が設けられ、この凹溝16により帯状部11の板厚を部分的に小さくして帯状部11を長さ方向に曲げ変形し易くしている。
【0011】
前記対をなす大挟持片13は対向しているそれぞれの内面に内方に向けて係止爪131が突出形成されている。図3は一対の大挟持片13の拡大斜視図であり、これらの係止爪131はここでは正面から見て円形をしており、図2(c)に示すように、各係止爪131は樹脂成形での製造を可能とするために両係止爪131の突出先端面の間には微小な間隙dが確保されている。各係止爪131は上縁部131aは大挟持片13の内面に対して垂直に向けられているが、下縁部131bはテーパ状に傾斜されている。なお、この係止爪131を成形するための金型の離型を可能とするために大挟持片13の補強部14には板厚方向に向けて平面形状が長方形の窓17が開口されている。
【0012】
図1(a)に示したように、このエッジサポート1を金属パネル2に装着するために、金属パネル2には予めエッジに沿って取付穴21を開口しておく。この取付穴21はエッジサポート1の大挟持片13の係止爪131に対応する円形の穴である。そして、図4(a)に示すように、エッジサポート1を装着するときには、小挟持片12と大挟持片13の対向間隔内に金属パネル2のエッジが進入するようにエッジサポート1を金属パネル2のエッジに被せるように嵌め込んで行く。所定量だけ嵌め込んで行くと係止爪131が取付穴21に嵌入する。図4(b)はそのときの図4(a)のA−A線に相当する断面図である。このとき係止爪131の下縁部131bはテーパ状であるため大挟持片13は両外側に若干弾性変形しながら係止爪131が金属パネル2のエッジを乗り越えて金属パネル2の表面を滑り、取付穴21の位置で大挟持片13が弾性復帰することにより各係止爪131が取付穴21に嵌合する。
【0013】
このように装着した状態を図1(b)に示す。金属パネル2はエッジサポート1の長さ方向の複数箇所において複数の小挟持片12によって挟持され、さらにエッジサポートの両端部において大挟持片13によって挟持された状態となる。このとき、小挟持片12は自身の弾性力によって内面が金属パネル2の表面に当接し、この当接力によって生じる摩擦力により挟持した状態が保持される。小挟持片12が設けられた帯状部11には補強部14が設けられているので、小挟持片12の弾性力が高められ、エッジサポートの強度が保持される。一方、大挟持片13の各係止爪131が金属パネル2の両面からそれぞれ取付穴21に嵌合することによっても挟持した状態が保持される。取付穴21と係止爪131との嵌合によりエッジサポート1が金属パネル2の表面に沿って移動することはなく、確実に位置決めすることができる。また、取付穴21に嵌入された係止爪131は上縁部131aが垂直であり、取付穴21の上側の内縁に垂直方向に当接するため、単にエッジサポート1を外側に引っ張るのみでは係止爪131が取付穴21から外れることはなく、エッジサポート1がエッジから容易に脱落されることはない。
【0014】
このように、実施例1のエッジサポート1は、それぞれ対をなす小挟持片12と大挟持片13との間に金属パネル2のエッジを挿入すれば、大挟持片13の係止爪131が取付穴21に嵌合し、エッジサポート1の両端部をエッジに対して挟持させるとともに中間部を複数の小挟持片12によって挟持する状態となり、エッジサポート1が容易に脱落することはない。したがって、エッジサポート1を装着する際に特許文献1のようにロック片を曲げ操作する作業は不要であり装着を容易に行うことができる。さらに、エッジサポート1をエッジに装着したときに連結片15がエッジ端面に当接してその反力でエッジサポート1をエッジ外方に付勢するので、係止爪131の上端部131aと取付穴21の内縁との間に当接力を発生させ、係止爪131と取付穴21との間の摩擦力を増大することで脱落をより有効に防止することができる。
【0015】
また、図5に示すように、複数のエッジサポート1を長さ方向に並べて金属パネル2のエッジに装着する際には、隣のエッジサポート1の連結片15が互いに重なるように配列寸法を設定することで、各連結片15によって隣り合うエッジサポート1の間にエッジが露呈するような隙間が生じることはなく、図12に示した従来のエッジサポート1Cのように隣り合うエッジサポート間の隙間で被覆が傷つくこともない。このとき、各連結片15は薄肉であるため弾性による変形性が高く、互いに重なったときには密接状態となり、しかもこの状態では補強部14よりも上方に突出することはない。特に、隣り合うエッジサポートの各連結片15が重なった場合に、どちらのエッジサポートが上になっても重なった連結片15が補強部14よりも上方に突出することはない。そのため、連結片15の部分でエッジサポートが外側に膨らむことがなく、外観上の見栄えが低下することがなく、また被覆電線が引っ掛かかってしまうようなこともない。また、各エッジサポート1には方向性が存在しないため、装着に際して取付方向を考慮する必要もなく、この点でも装着作業が容易になる。
【実施例2】
【0016】
図6(a)〜(c)は本発明の実施例2の正面図である。外観の構成は図1に示した実施例1とほぼ同じであるので、実施例1と等価な部分には同一符号を付してある。実施例2のエッジサポート1Aは、実施例1と同様に、若干の弾性を有する樹脂で成形された細長い帯状部11と、この帯状部11の内面から図の下方に向けて所要の寸法で突出し、帯状部11の両側に沿って長さ方向に所要のピッチ寸法で配設され、それぞれ帯状部11の幅方向に対をなす複数の小挟持片12と、前記帯状部11の両端部において前記小挟持片12よりも長い寸法で突出されて帯状部11の幅方向に対をなす大挟持片13とを備えている。また、これら小挟持片12と大挟持片13は先端が円弧状をし、それぞれの内面が対向する間隔は等しく、所定の間隔寸法に設定されている。
【0017】
さらに、帯状部11の上面には前記小挟持片12及び大挟持片13が形成された領域において長さ方向の断面形状が円弧状に幾分突出して板厚を大きくし、小挟持片12及び大挟持片13の機械的な強度を高めて挟持力を増大させた補強部14が設けられている。また、前記両側の各大挟持片13の外側には、帯状部11の両端を外側に向けて突出した薄肉で円弧状をした連結片15が突出されている。この連結片15の板厚及び突出長さは実施例1と同じである。小挟持片12、大挟持片13、連結片15の各間には帯状部11の内面に小円弧状断面の凹溝16が設けられ、帯状部11が長さ方向に曲げ変形され易くなっていることも実施例1と同じである。
【0018】
一方、図7に前記対をなす大挟持片13の拡大斜視図を示すように、対向している各大挟持片13の対向面に係止爪132が突出形成されていることは実施例1と同じであるが、実施例2では両方の係止爪132は半円形をして帯状部11の長さ方向に沿って隣り合う位置に配設されている。両係止爪の直径部分を向かい合わせて両方の係止爪で円形の輪郭を構成した構成となっている。すなわち、各係止爪132は樹脂成形での金型の抜きが可能な限度で、各係止爪132の突出先端面は帯状部11の幅方向の中間位置、あるいはそれぞれが中間位置を若干だけ越える位置となるように突出寸法が可及的に大きくなるように設計されている。また、各係止爪132は上縁部132aが大挟持片13の内面に対して垂直に向けられているが、下縁部132bはテーパ状に傾斜されている。この係止爪132を成形する際に金型の抜きを可能とするために大挟持片13の補強部14には板厚方向に窓17が開口されている。
【0019】
このエッジサポート1Aは実施例1と同様に金属パネルに装着することが可能である。すなわち、図4(a)を再度参照すると、金属パネル2には実施例1で説明したと同様に予めエッジに沿って取付穴21を開口しておく。この取付穴21はエッジサポート1Aの対向する大挟持片13の各係止爪132を正面方向から見たときに両者を包含する輪郭に対応した円形の穴である。そして、エッジサポート1Aの小挟持片12と大挟持片13の対向間隔内に金属パネル2のエッジが進入するようにエッジサポート1Aを金属パネル2に嵌め込むことにより、係止爪132が取付穴21に嵌入する。このとき両側の係止爪132はそれぞれ同じ一つの取付穴21に嵌入する。係止爪132の下端部132bはテーパ状であるため大挟持片13は両外側に若干弾性変形しながら係止爪132が金属パネル2のエッジを乗り越えて金属パネル2の表面を滑り、取付穴21の位置で大挟持片13の弾性復帰により各係止爪132が取付穴21に嵌合する。
【0020】
このように、実施例2のエッジサポート1Aも実施例1と同様に大挟持片13の係止爪132が取付穴21に嵌合し、かつ複数の小挟持片12が金属パネル2のエッジを挟持する状態となる。このとき、1つの取付穴21に2つの係止爪132が金属パネル2の両面からそれぞれ同時に嵌合され、これら係止爪132と取付穴21との嵌合によってエッジサポートの位置決めが可能になる。しかもこれらの係止爪132は上縁部132aが垂直であり、取付穴21の上側の内縁に垂直方向に当接するため、係止爪132が取付穴21から容易に外れることがなく、エッジサポートがエッジから脱落することがないことも同じである。また、実施例2では実施例1のように係止爪132の対向間に図2(c)に示したような間隙dが必要とされないので、各係止爪132の突出長さを実施例1よりも大きく形成でき、図8(a)のように、板厚の厚い金属パネル2の場合には係止爪132と取付穴21との引っ掛かり寸法(両者が板厚方向に重なる寸法)を全板厚にわたって確保でき、エッジサポート1Aの挟持の安定性が高められる。また、図8(b)に示すように、エッジサポート1Aを板厚の薄い金属パネル2Aに装着した場合でも各係止爪132と取付穴21との引っ掛かり寸法を金属パネル2Aの全板厚にわたって確保でき、実施例1の構成よりも大きくでき、係止を確実なものにできる。
【実施例3】
【0021】
図9(a),(b)は本発明のエッジサポート1Bの実施例3の平面図と正面図である。実施例1と等価な部分には同一符号を付してある。実施例3では帯状部11の両側に形成した対をなす大挟持片13を帯状部11の長さ方向に沿って互いにずらした位置に形成している。そして、各大挟持片13の内面に形成する係止爪133は、樹脂成形時の金型の抜きの制約が少ないことから、係止爪133の突出寸法は可及的に大きな寸法、すなわち実施例3では金属パネル2の板厚にほぼ等しい寸法に形成している。各係止爪133は正面から見て円形をしていることは実施例1と同じである。また、図示は省略するが、係止爪133の幅方向の断面形状は上縁部が大挟持片13の内面に垂直で、下縁部がテーパ状をしていることも実施例1と同じである。なお、実施例3では小挟持片12についても帯状部11の長さ方向に異なる位置に配設しているが、これは実施例1,2と同様に互いに対向するように配設してもよい。
【0022】
このエッジサポート1Bを金属パネル2に装着する際には、金属パネル2には図10(a)のように、対をなす大挟持片13の各係止爪133が嵌合可能なように長穴形状の取付穴22を開口する。この場合には実施例1,2と同様に2つの大挟持片13に対して1つの取付穴22を形成すればよく、この1つの取付穴22に2つの係止爪133が金属パネル2の両側から嵌合される。あるいは、図10(b)のように、金属パネル2には各係止爪133に対応するように2つの円形の取付穴23を開口すればよい。この場合には取付穴23は実施例1,2と同様に単純な円形の穴でよい。
【0023】
実施例3のエッジサポート1Bでも実施例1,2と同様に金属パネル2に対する装着や取り外しが容易であり、その一方でエッジに対して確実に装着するとともにその脱落が防止でき、電線の被覆が傷つくことを確実に防止することができる。また、実施例3では、各係止爪133の突出長さを実施例2よりもさらに大きくできるので、係止爪133と取付穴22,23との引っ掛かり寸法が大きくなり、係止爪133が取付穴22,23から外れ難くなってエッジサポート1Bが金属パネル2からより脱落し難くなる。
【0024】
実施例1〜3のエッジサポートは帯状部11の内面に設けた複数の凹溝16によって板厚方向の変形が容易にされているので、図11に実施例1のエッジサポート1の例を示すように金属パネル2のコーナエッジに対しても装着することが可能である。前述した小挟持片12のピッチ寸法と突出長さを適切に設定しておくことで、エッジサポート1を中間部位で90度曲げても隣り合う小挟持片12が互いに干渉するようなことはない。このようにコーナエッジへの装着は実施例2,3のエッジサポートでも同じである。
【0025】
なお、前記実施例1〜3において、係止爪の形状は実施例1,3のような円形、あるいは実施例2のような半円形に限られるものではない。金属パネルに開口する取付穴を任意の形状の取付穴として形成することが可能であるならば、係止爪を矩形、多角形に形成してもよいことは言うまでもない。これらの場合には実施例2の係止爪は各形状を1/2に分割した構成とすることは勿論である。
【0026】
なお、エッジサポート1を金属パネル2から取り外すときには、例えば図1(b)に示すように、エッジサポート1の窓17内に金属パネル2の板厚と同じ間隔の二股治具Jを挿入することにより、対をなす大挟持片13を両外側に弾性変形させ、係止爪131を取付穴21との嵌合から解除できる。このとき、大挟持片13は治具Jの両外面に対して弾接した状態になるため、治具Jをそのまま上方に持ち上げるだけでエッジサポート1を金属パネル2から離脱させることができる。そのため、環境問題等で要求されるリユースに対処することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のエッジサポートの外観斜視図である。
【図2】実施例1の平面図、正面図、右側面図である。
【図3】実施例1の大挟持片の拡大斜視図である。
【図4】エッジサポートを装着する際の正面図とそのA−A線に相当する箇所の断面図である。
【図5】複数のエッジサポートを装着した状態の正面図である。
【図6】実施例2の平面図、正面図、右側面図である。
【図7】実施例2の大挟持片の拡大斜視図である。
【図8】係止爪と取付穴の嵌合状態を示す断面図である。
【図9】実施例3の平面図と正面図である。
【図10】実施例3の金属パネルの取付穴を示す図である。
【図11】エッジサポートをパネルのコーナエッジに装着する状態を示す図である。
【図12】従来のエッジサポートの一例の外観斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1,1A,1B エッジサポート
11 帯状部
12 小挟持片
13 大挟持片
14 補強部
15 連結部
16 凹溝
17 窓
131,132,133 係止爪
2 金属パネル
21,22,23 取付穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルのエッジに沿うように細長く形成された帯状部と、この帯状部の両側に沿って長さ方向に所要の間隔で配設され、一方向に突出された複数の挟持片とを備えるエッジサポートであって、前記挟持片のうち帯状部の幅方向に対向する対をなす挟持片の内面にはそれぞれ内方に向けて係止爪が突出され、当該係止爪は前記パネルに開口した取付穴に当該パネルの両面からそれぞれ嵌合されることを特徴とするエッジサポート。
【請求項2】
前記対向する挟持片の各係止爪は長さ方向に隣り合って形成され、これらの各係止爪は前記パネルに開口した1つの取付穴に同時に嵌合されることを特徴とする請求項1に記載のエッジサポート。
【請求項3】
前記隣り合って形成された係止爪は、両者を合わせた輪郭が前記取付穴の形状に対応する円形となるようなそれぞれ半円形に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のエッジサポート。
【請求項4】
前記帯状部の両端には当該帯状部の厚さの1/2以下の厚さで、板厚方向に弾性を有する連結片を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のエッジサポート。
【請求項1】
パネルのエッジに沿うように細長く形成された帯状部と、この帯状部の両側に沿って長さ方向に所要の間隔で配設され、一方向に突出された複数の挟持片とを備えるエッジサポートであって、前記挟持片のうち帯状部の幅方向に対向する対をなす挟持片の内面にはそれぞれ内方に向けて係止爪が突出され、当該係止爪は前記パネルに開口した取付穴に当該パネルの両面からそれぞれ嵌合されることを特徴とするエッジサポート。
【請求項2】
前記対向する挟持片の各係止爪は長さ方向に隣り合って形成され、これらの各係止爪は前記パネルに開口した1つの取付穴に同時に嵌合されることを特徴とする請求項1に記載のエッジサポート。
【請求項3】
前記隣り合って形成された係止爪は、両者を合わせた輪郭が前記取付穴の形状に対応する円形となるようなそれぞれ半円形に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のエッジサポート。
【請求項4】
前記帯状部の両端には当該帯状部の厚さの1/2以下の厚さで、板厚方向に弾性を有する連結片を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のエッジサポート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−24164(P2007−24164A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−206535(P2005−206535)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(592077121)竹内工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(592077121)竹内工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
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