説明

エネルギ線硬化ウォーターボーン組成物

エネルギ線硬化ウォーターボーン組成物は、少なくとも1種の両親媒性の樹枝状ポリマーと、少なくとも1種の非両親媒性のエネルギ線硬化オリゴマーまたはポリマーと、水と、を含み、さらに、オプションとしてUV、IRまたはEB等のエネルギ線による硬化を開始および/または促進する少なくとも1種の開始剤を含む。前記少なくとも1種の両親媒性の樹枝状ポリマーは、末端ヒドロキシル基を有する多価樹枝状コアポリマーと、少なくとも1つのカルボン酸と、モノアルキル化ポリエチレングリコールをジカルボン酸または無水物に添加することによって得られた少なくとも1つのアダクトと、から生成される。ジカルボン酸または無水物の各々は、多価樹枝状コアポリマーにおける末端ヒドロキシル基に結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、エマルジョン(乳濁液)、分散液(dispersion:分散体)または溶液のようなウォーターボーン(waterborne:水媒介、水性)エネルギ線(照射線)硬化組成物(radiation curable composition)に関し、少なくとも1種の両親媒性樹枝状ポリマー(amphiphilic dendritic polymer)と、例えば不飽和ポリエステルまたはポリエーテルおよび/またはアクリル(acrylic)オリゴマー(oligomer)またはポリマーのような少なくとも1種の非両親媒性エネルギ線硬化(non-amphiphilic radiation curable)オリゴマーまたはポリマーと、を含むそのようなエネルギ線(照射線)硬化組成物に関する。他の特徴として、本発明は、非両親媒性エネルギ線硬化オリゴマーまたはポリマー用の分散樹脂(dispersing resin)として前記両親媒性樹枝状ポリマーの使用に関し、コーティング(被覆)およびインクの形での前記エネルギ線硬化ウォーターボーン組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばオリゴマーまたはポリマーのようなウォーターボーン・コーティングまたは樹脂は、使用前に水で希釈されるものである。主要な揮発性物質が水であっても、多くの場合のウォーターボーン・コーティングは幾分かの溶剤を含んでいる。ラテックス・コーティングは、建築用材の市場において、内装用および外装用に平坦な半光沢および光沢コーティングとして優勢的である。ウォーターボーン系(waterborne system:水媒介系)は、また水溶性または分散性樹脂系(dispersible resin system)をベース(基剤、基材)とした工業用メンテナンス・コーティングにおいても使用される。別のクラス(級、種類)には、ウォーターボーン・アルキド(alkyd)およびポリエステルが含まれる。もはやコーティングにおいて使用される主たるクラスの樹脂は存在しないが、アルキドは依然として非常に重要で、広範囲のタイプのアルキドが製造されている。
【0003】
エネルギ線硬化組成物は、周知技術であり、例えば、家具およびパッケージ(包装、梱包)材料用並びに接着剤用のプリント・インク、ペイント(塗料)およびラッカーに使用される。他の適用例に例えば歯科用材料が含まれる。エネルギ線硬化組成物は、揮発性溶剤を含まないので、環境に適しており、好ましいものである。これらの組成物は、さらに、例えば紫外線(UV)または電子ビーム(EB)に曝されると、急速に硬化し、完全に固化する。この組成物は、殆どの場合、通常アクリレート(アクリル酸塩:acrylate)またはマレエート(マレイン酸塩:maleate)のような不飽和を有する1種以上のオリゴマーまたはポリマーを含んでいる。これらのオリゴマーおよびポリマーは、通常、高粘度であり、適用可能な粘度を得るために種々のモノマーで希釈される。そのモノマーは、典型的には、例えば、モノ、ジ、トリまたは多官能アルコールのエステル、およびアクリル酸(acrylic acid)およびスチレンのような、ビニルモノマーである。アクリル酸の名称は、以下では4種の一般的に得られる不飽和酸のいずれか、即ち、プロペン酸(propenoic acid)(アクリル酸(acrylic acid)、ビニルギ酸(vinyl formic acid))、2−メチルピロペン酸(2-methylpropenoic acid)(メタクリル酸(methacrylic acid))、およびシス型(イソクロトン酸)(cis (isocrotonic acid))およびトランス型(クロトン酸)(trans form(crotonic acid))の2-ブテン酸(2-butenoic acid)(クロトン酸(crotonic acid)またはβ−メチルアクリル酸(β-methyl acrylic acid))のいずれか、および前記4種の不飽和酸のいずれかから誘導されたアクリル酸系誘導体(acrylic)およびアクリレート(acrylate)のいずれか、として理解される。
【0004】
不飽和ポリエステルは、例えば複合物質(composite)、ペイント、ラッカーおよび類似のバインダー(結合剤)の形で使用される硬化性および/または乾燥性の高分子化合物である。不飽和ポリエステルは、実質的に、例えばマレイン酸/無水物および/またはフマル酸のような不飽和酸、例えばフタル酸/無水物のような飽和酸をベース(基剤、基材)としたものであり、これらの酸/無水物は典型的には、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールおよびネオペンチルグリコールのような脂肪族の飽和ジオールでエステル化されている。不飽和アルコール、例えばグリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンおよびペンタエリトリトールのアリルエーテル(allyl ethers)もまた一般的に使用できる。少量の多官能アルコールを含ませることもできる。不飽和ポリエステルの架橋は、過酸化物(peroxide)およびコバルト塩を付加することによって、または紫外線(UV)、赤外線(IR)または電子ビーム(EB)で硬化させるために開始剤(initiator)を付加することによって、行われる。例えば、鋳造(casting)、成形(moulding)、ゲルコート(gelcoat)およびUV硬化形パテ(UV curable putty)等の適用例では、不飽和ポリエステルの使用には、通常、スチレン(styrene)および/または4−第3ブチルスチレン(4-tert.butylstyrene)のようなある程度の量のビニルモノマーが関係する。
【0005】
アクリル(acrylic)、メタクリル(methacrylic)および/またはクロトン(crotonic)オリゴマーおよびポリマーをベース(基剤、基材)とする保護および装飾用ペイントおよびラッカー、にかわ(glue)およびその他の乾燥および硬化性組成物は、多くの適用例において重要性が増している。この重要性の増加は、例えば短い硬化時間、優れたフィルム特性、溶剤が非常に少ないか存在しないことのような前記ポリマーの有用性および特有の性質によるものである。前記およびその他の適用例におけるアクリル組成物は、しばしば多くの種々の成分、例えば1種以上のポリエステルアクリレート(polyester acrylate)、アクリル変性フマル酸エステル(acrylic modified fumarate ester)、ウレタンアクリレート(urethane acrylate)、エポキシアクリレート(epoxy acrylate)および/またはグリシジルアクリレート(glycidyl acrylate)、および1種以上の官能モノマー、例えばアルコールおよびアクリル酸のエステルを含んでいる。官能モノマーは、モノマーであることに加えて、前記オリゴマーおよびポリマーに対する粘度低減用希釈剤としても作用する。例えばフィルム形成、硬化および乾燥等のアクリレートの特性は、例えば分子量、分子構造、さらに前記アクリレートの化学的および物理的構造によって決定される。
【0006】
エネルギ線硬化性系(radiation curable system)およびアクリルモノマーの組成および技術は、例えば、エヌ.エス.アレン(N. S. Allen)、エム.エス.ジョンソン(N. S. Johnson)、ピー.ケイ.ティー.オルドリング(P.K.T. Oldring)およびエス.サリム(S. Salim)著、“Chemistry & Technology of UV and EB Formulations for Coatings, Inks and Paints”(コーティング、インクおよびペイント用のUVおよびEB配合物用の化学技術)、Vol.2:“Prepolymers and Reactive Diluents for UV and EB Curable Formulations”(UVおよびEB硬化配合物用のプレポリマーおよび反応性希釈剤)、1991、Selective Industrial Training Associates Ltd.、英国 ロンドン発行、でさらに詳述されている。
【非特許文献1】N. S. Allen, N. S. Johnson, P. K. T. Oldring, S. Salim 、Chemistry & Technology of UV and EB Formulations for Coatings, Inks and Paints、Vol.2:“Prepolymers and Reactive Diluents for UV and EB Curable Formulations” 1991 Selective Industrial Training Associates Ltd., London. U.K.
【0007】
オリゴマーの粘度を低下させるためにモノマーの代わりに水を使用することによって、興味のある代替物を提供することができる。モノマーを架橋することなく硬化された分散系(dispersions:分散液、分散体)の優れた特性を得ることができ、また特有の特性および/または性能を得るためにモノマーの使用は避けることができない。ウォーターボーン系(waterborne system)を製造するための2つの主な技法(処理方法)は、(a)外部乳化(external emulsification)(樹脂が1種以上の乳化剤を使用して水中で乳化される)と、(b)内部または自己乳化可能系(self emulsifiable system)(樹脂が、中和できるカルボキシル基のような基の形に生成されることによって変性され(modified)、樹脂を水中で乳化可能にする)と、である。
【0008】
ウォーターボーンのエネルギ線硬化系は、100%の液体系に比して容易に噴霧されるコーティング(溶射皮膜:sprayed coating)、低収縮、および改善された接着性(付着性:adhesion)を有しおよび呈し、およびモノマーの含有量が低減またはゼロになるという特性を有しおよび呈する。例えばスチレンおよびアクリルモノマーのようなビニルモノマーは、概して強い反応性があり、このような潜在的な危険性があり、皮膚や目に刺激を与え、且つ過敏物質(sensitiser:感作体)となる可能性があり、アレルギーを引き起こし、無力症(provoking asthenia)を誘発し、強く且つ不快な臭気を持ち、そのすべての結果、用途が制限され、または使用が禁止されている。
【0009】
例えばセルロースエステルのようなセルロースを基剤としたウォーターボーンのエネルギ線硬化性系は、例えばUS 5,254,603、EP 0 426 085、DE 24 36 614、US 3,615,792、およびWO 01/16239に開示されている。エネルギ線硬化ポリエステルは、例えばEP 0 982 339,EP 0 425 947、およびDE 33 40 489に開示されている。EP 0 982 339には、例えばアクリル化ペンタエリトリトールエトキシレート(acrylated pentaerythritol ethoxylate)のような、20〜300mgKOH/gの酸価(acid number)を呈する未反応酸基を有する水による希釈可能なエネルギ線硬化乳化樹脂(water dilutable radiation curable emulsifying resin)と、アクリル酸およびアクリル酸以外のカルボン酸と反応した例えばトリメチロールプロパンエトキシレート(trimethylolpropane ethoxylate)のような、エステルおよび/またはエーテル基を有する水による希釈不可能なエネルギ線硬化ポリマーと、を混合または予備(事前)凝縮(プレコンデンス:pre-condensing)することによって得られた、ウォーターボーンのエネルギ線硬化ポリエステル組成物(waterbome radiation curable polyester composition)が、開示されている。EP 0 425 947には、少なくとも1種の重合可能な不飽和物(polymerisable unsaturation)を含む水で希釈可能なバインダー(結合剤)が開示されている。このバインダーは、少なくとも1種のポリオキシアルキレングリコール(polyoxyalkylene glycol)、アルコキシ化トリオール(alkoxylated triol)、アルコキシ化3−6官能アルコール(alkoxylated 3-6 functional alcohol)、ポリカルボン酸(polycarboxylic acid)および不飽和モノカルボン酸(unsaturated monocarboxylic acid)を凝縮することによって得られる。DE 33 40 586には、ジカルボン酸(dicarboxylic acid)、ポリエーテルジオール(polyether diol)、アルコキシ化トリオール(alkoxylated triol)およびアクリル酸(acrylic acid)の無水物を凝縮することによって調整された水性乳化可能なエネルギ線硬化ポリエステル(water emulsifiable radiation curable polyester)が、開示されている。さらに別の種のウォーターボーンのエネルギ線硬化樹脂がEP 0 574 775に開示されている。ここでは、(メト)アクリルプレポリマー((meth)acrylic prepolymer)および水性乳化可能な不飽和ポリエステル(water emulsifiable unsaturated polyester)を多官能イソシアネート(polyfunctional isocyanate)と反応させることによって乳化可能(emulsifiable)で且つ重合可能(polymerisable)なバインダーが得られる。
【特許文献1】US 5,254,603
【特許文献2】EP 0 426 085
【特許文献3】DE 24 36 614
【特許文献4】US 3,615,792
【特許文献5】WO 01/16239
【特許文献6】EP 0 982 339
【特許文献7】EP 0 425 947
【特許文献8】DE 33 40 489
【特許文献9】DE 33 40 586
【特許文献10】EP 0 574 775
【0010】
ウォーターボーンのエネルギ線硬化性系については、さらに、C. Decker et al、“UV Radiation Curing of Waterborne Coatings”(ウォーターボーン・コーティングのUV 線硬化)、Advances in Coatings Technology、ACT ’02、International Conference、Katowise、Poland、Nov. 5-8, 2002、pp. 11/1, 11/3〜11/10;W.D. Davis et al、“Development and Application of Waterborne Radiation Curable Coatings”(ウォーターボーンのエネルギ線硬化コーティングの開発および応用)、Waterborne Coatings and Adhesives、Special Publication(ISSN0260-6291)、Royal Society of Chemistry、1995、pp. 81-94;Frank J. Kosnik et al 、“Approaches to Water-Based Radiation Curable Coatings” (水を基剤とするエネルギ線硬化コーティング)、Proceedings of the Water-Borne and Higher-Solids Coatings Symposium、New Orleans、 USA、Feb. 1-3、1989、pp. 204-11、において議論されている。
【非特許文献1】C. Decker et al、“UV Radiation Curing of Waterborne Coatings”、Advances in Coatings Technology、ACT ’02、International Conference、Katowise、Poland、Nov. 5-8, 2002、pp. 11/1, 11/3〜11/10
【非特許文献2】W.D. Davis et al、“Development and Application of Waterborne Radiation Curable Coatings”、Waterborne Coatings and Adhesives、Special Publication(ISSN0260-6291)、Royal Society of Chemistry、1995、pp. 81-94
【非特許文献3】Frank J. Kosnik et al 、“Approaches to Water-Based Radiation Curable Coatings”、Proceedings of the Water-Borne and Higher-Solids Coatings Symposium、New Orleans、 USA、Feb. 1-3、1989、pp. 204-11
【発明の開示】
【0011】
本発明のエネルギ線硬化組成物は、表面活性化合物(surface active compound)を形成するために樹枝状構造(dendritic structure)を使用しているので、ウォーターボーン・エネルギ線硬化性系(waterborne radiation curable system)という新しいカテゴリーに属するものである。樹枝状構造は、全く予想外なことに、光硬化性のようなオプションとして(任意随時に)硬化可能であるという利点を有する乳化剤(emulsifier)として作用する。本発明のエネルギ線硬化組成物は、界面活性剤を使用した外部乳化ウォーターボーン系とは違って、充分に架橋可能な系(crosslinkable system)を実現することができる。さらに、本発明のエネルギ線硬化組成物は前記モノマーの使用を低減または排除し、従って前述の欠点を低減または解消することができる。
【0012】
本発明は、例えば、エマルジョン、分散体または溶液のような新規なウォーターボーン(水媒介)エネルギ線硬化組成物(waterborne radiation curable composition)を開示するものであり、そのウォーターボーン・エネルギ線硬化組成物は、典型的には通常の非ウォーターボーン系で使用される、例えば、不飽和ポリエステルまたはポリエーテル、前記ポリエステルまたはポリエーテルアクリレート、メタクリレートまたはβ−メチルアクリレート、前記アクリル、メタクリルまたはβ−メチルアクリル変性マレエートポリエステル(maleate polyester)、前記エポキシアクリレート、メタクリレートまたはβ−メチルアクリレート、前記グリシジルアクリレート(glycidyl acrylate)、メタクリレートまたはβ−メチルアクリレート、および前記ウレタンアクリレート、メタクリレートまたはβ−メチルアクリレートのような、非両親媒性エネルギ線硬化オリゴマーおよび/またはポリマーに対する分散剤として、オプションとして且つ好ましくは、エネルギ線で硬化する両親媒性樹枝状ポリマーを含む。
【0013】
本発明のウォーターボーン組成物は、少なくとも1種の両親媒性の樹枝状ポリマーと、少なくとも1種の非両親媒性のエネルギ線硬化オリゴマーまたはポリマーと、水と、さらにオプションとして例えばUV、IRまたはEBのようなエネルギ線硬化を開始および/または促進する少なくとも1種の開始剤とを含んでいる。前記ウォーターボーン組成物は、オプションとして少なくとも1種の追加のオリゴマー、ポリマーおよび/またはモノマー、および/または、少なくとも1種の追加成分(組成物)、例えば、ピグメント(顔料)、増量剤(充填剤:filler)、希釈剤、例えば反応性希釈剤、合着性剤(coalescent agent)、および/または添加剤、例えば中和、流動性および/またはレベリング(水平化)添加剤(levelling additive)を含む。
【0014】
両親媒性樹枝状ポリマーは、非イオン性で且つ自己乳化性である。また、両親媒性樹枝状ポリマーは、樹枝状コアポリマー(dendritic core polymer)から組み立てられて生成され、末端ヒドロキシル基を有し、カルボン酸を含む疎水性鎖(hydrophobic chain)と親水性ポリエチレングリコール鎖(hydrophilic polyethylene glycol chain)との組み合わせによって連鎖延長されたものである。親水性樹枝状ポリマーは、本発明の組成物中で、典型的には非ウォーターボーン系で使用される、例えば、不飽和ポリエステルまたはポリエーテル、ポリエステルおよびポリエーテルアクリレート、アクリル変性マレエートエステルおよびポリエステル、エポキシアクリレート、グリシジルアクリレートおよび/またはウレタンアクリレートの乳化用の分散樹脂(dispersing resin)および安定剤として使用される。前記不飽和ポリエステル、前記ポリエステルおよびポリエーテルアクリレート、および前記アクリル変性マレエートエステルおよびポリエステルは、その樹枝状種(dendritic species)を含んでいる。アクリレートは、ここでおよび以下の記載では、上に述べたものとして理解されるものであり、それによって、アクリレートおよびアクリル酸系誘導体(acrylic)は、アクリレート、メタクリレート、β−メチルアクリレート(クロトネート((crotonate)、イソクロトネート(isocrotonate))、アクリル酸系誘導体(acrylic)、メタクリル酸系誘導体(methacrylic)およびβ−メチルアクリル酸系誘導体(acrylic)(クロトン(crotonic)、イソクロトン(isocrotonic))を含む。
【0015】
その両親媒性の樹枝状ポリマーは、少なくとも4つの末端ヒドロキシル基(terminal hydroxyl)を有し、従って少なくとも4、例えば8、16、32または64のヒドロキシル官能価(functionality)(f)を有する1つの多価樹枝状コアポリマー(polyhydric dendritic core polymer)と、少なくとも1つ最大でもf−1個(1個〜f−1個)の前記末端ヒドロキシル基に結合された少なくとも1つのモノカルボン酸と、モノアルキル化ポリエチレングリコールを、同様に少なくとも1つ最大でもf−1個(1個〜f−1個)の前記末端ヒドロキシル基に結合された1つのジカルボン酸または1つの対応する無水物に添加することによって得られた少なくとも1つのアダクト(adduct:付加化合物)と、から組み立てられ生成される。
【0016】
前記両親媒性樹枝状ポリマーの樹枝状コアポリマーは、種々の実施形態では、例えば、 WO 93/17060、WO 93/18079、WO 96/07688、WO 96/12754、WO 99/00439、WO 99/00440、WO 00/56802およびWO 02/40572に開示されているような多価樹枝状コアポリマーである。前記多価樹枝状コアポリマーは、これらの実施形態では、少なくとも1つのジ、トリまたは多価モノカルボン酸を、1つのジ、トリまたは多価コア分子に、コア分子と、前記ジ、トリまたは多価コア分子に結合された少なくとも1つの分枝世代(branching generation)とを含む多価樹枝状ポリマーを生成するようなモル比で付加することによって得られることが最も好ましく、または、1つのジ、トリまたは多価化合物のオキセタンを少なくとも1つ、を、1つのジ、トリまたは多価コア分子に、1つのコア分子と、前記ジ、トリまたは多価コア分子に結合された少なくとも1つの世代(branching generation)とを含む多価樹枝状ポリマーを生成するようなモル比で開環付加(ring opening addition)することによって得られるものである。
【特許文献11】WO 93/17060
【特許文献12】WO 93/18079
【特許文献13】WO 96/07688
【特許文献14】WO 96/12754
【特許文献15】WO 99/00439
【特許文献16】WO 99/00440
【特許文献17】WO 00/56802
【特許文献18】WO 02/40572
【0017】
前記ジ、トリまたは多価コア分子は、最も好ましくは、1,ω−ジオール(1,ω-diol)、5−ヒドロキシ−1,3−ジオキサン(5-hydroxy-1,3-dioxan)、5−ヒドロキシアルキル−1,3−ジオキサン(5-hydroxyalkyl-1,3-dioxane)、5−アルキル−ヒドロキシアルキル−1,3−ジオキサン(5-alkyl-5-hydroxyalkyl-1, 3-dioxane)、5,5−ジ(ヒドロキシアルキル)−1,3−ジオキサン(5,5-di(hydroxyalkyl)-1,3-dioxan)、2−アルキル−1,3−プロパンジオール(2-alkyl-1,3-propanediol)、2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオール(2,2-dialkyl-1,3-propanediol)、2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジオール(2-hydroxy-1,3-propanediol)、2−ヒドロキシ−2−アルキル−1,3−プロパンジオール(2-hydroxy-2-alkyl-1,3-propanediol)、2−ヒドロキシアルキル−2−アルキル−1,3−プロパンジオール(2-hydroxyalkyl-2-alkyl-1,3-propanediol)、2,2−ジ(ヒドロキシアルキル)−1,3−プロパンジオール(2,2-di(hydroxyalkyl)-l,3-propanediol)、前記ジ、トリまたは多価アルコールのダイマー(二量体)、トリマー(三量体)またはポリマー(重合体)、または、少なくとも1つのアルキレンオキシド(alkylene oxide)と前記ジ、トリまたは多価アルコール、または前記ダイマー、トリマーまたはポリマー(重合体)との間の反応生成物である。
【0018】
前記ジ、トリまたは多価モノカルボン酸は、最も好ましくは、2,2−ジメチロールプロピオン酸(2,2-dimethylolpropionic acid)、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸(α,α-bis (hydroxymethyl)butyric acid)、α,α,α−トリス(ヒドロキシメチル)酢酸(α,α,α-tris (hydroxymethyl)acetic acid)、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)吉草酸(α,α-ビス(ヒドロキシメチル)バレリアン酸)(α,α-bis(hydroxymethyl)valeric acid)、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(α,α-bis(hydroxymethyl)propionic acid)、α,β−ジヒドロキシ-プロピオン酸(α,β-dihydroxy-propionic acid)および/または3,5−ジヒドロキシ安息香酸(3,5-dihydroxybenzoic acid)である。
【0019】
前記オキセタンは、最も好ましくは、3−アルキル−3−(ヒドロキシアルキル)オキセタン(3-alkyl-3-(hydroxyalkyl)oxetane)、3,3−ジ(ヒドロキシアルキル)オキセタン(3,3-di(hydroxy-alkyl)oxetane)、3−アルキル−3−(ヒドロキシアルコキシ)オキセタン(3-alkyl-3-(hydroxyalkoxyalkyl)oxetane)、3−アルキル−3−(ヒドロキシアルコキシアルキル)オキセタン(3-alkyl-3-(hydroxyalkoxyalkyl)oxetane)、または、3−アルキル−3−(ヒドロキシアルキル)オキセタン、3,3-ジ(ヒドロキシアルキル)オキセタン、3−アルキル−3−(ヒドロキシアルコキシ)オキセタンまたは3−アルキル−3−(ヒドロキシアルコキシアルキル)オキセタンのダイマー(dimer)、トリマー(trimer)またはポリマー(polymer)である。
【0020】
前記多価樹枝状コアポリマーに反応によって付加された前記モノカルボン酸は、両親媒性の樹枝状ポリマーの実施形態では、最も好ましくはその主炭素鎖(main carbon chain)中に例えば8〜24個、例えば8〜12個の炭素原子を有する脂肪族の直鎖(linear:直線状)または分枝(branched)不飽和または飽和カルボン酸、例えば、ラウリン酸(lauric acid)、トール油脂肪酸(tall oil fatty acid)、大豆油脂肪酸(soybean fatty acid)、ベニバナ油脂肪酸(safflower fatty acid)、ヒマワリ油脂肪酸(sunflower fatty acid)、綿実油脂肪酸(cottonseed fatty acid)、ヒマシ油脂肪酸(castor fatty acid)、オレイン酸(oleic acid)、リノール酸(linoleic acid)、リノレン酸(linolenic acid)、ステアリン酸(stearic)および/またはイソステアリン酸(isostearic)である。
【0021】
例えば、エネルギ線硬化部位(座、サイト)を与える前記モノカルボン酸の別の実施形態は、例えばビニル(vinyl)および/またはアリル官能カルボン酸(allyl functional carboxylic acid)のような不飽和酸の中から発見される。好都合なビニルおよび/またはアリル官能カルボン酸として、アクリル酸(acrylic acid)、メタクリル酸(methacrylic)、β−メチルアクリル酸(β-methyl acrylic acid)(クロトン酸(crotonic acid)/イソクロトン酸(isocrotonic acid))、およびアリルオキシカルボン酸(allyloxycarboxylic acid)を例示することができる。前記ビニルおよび/またはアリル官能性カルボン酸は、8〜24個の炭素原子を有する前述のモノカルボン酸の中の1種以上のものと組み合わせて使用されることが好ましい。
【0022】
前記多価樹枝状ポリマーに反応によって付加された前記アダクトは、好ましくはおよび利点として、少なくとも500、例えば500〜2500または700〜1500の分子量を有する少なくとも1つのモノアルキル化ポリエチレングリコール(monoalkylated polyethylene glycol)と、少なくとも1つの直鎖(直線状)または分枝脂肪族(aliphatic)、脂環式(cycloaliphatic)または芳香族(aromatic)の飽和または不飽和ジカルボン酸(dicarboxylic acid)、または、例えばフマル酸(fumaric acid)、無水マレイン酸(maleic anhydride)、無水コハク酸(succinic anhydride)および/またはグルタル酸(glutaric acid)のような対応する無水物と、から組み立てられ生成される。前記モノアルキル化ポリエチレングリコールは、最も好ましくはモノメチル化ポリエチレングリコール(monomethylated polyethylene glycol)である。
【0023】
本発明のウォーターボーン組成物における両親媒性の樹枝状ポリマーと非両親媒性エネルギ線硬化オリゴマーまたはポリマーの好ましい重量比は、1:99と99:1の間、例えば50:50、10:90、20:80、70:30.90:10、80:20、または70:30である。最も好ましい重量比は、典型的には、両親媒性樹枝状ポリマーの重量が20〜30%、非両親媒性オリゴマーまたはポリマーの重量が70〜80%である。
【0024】
本発明のウォーターボーン組成物中にオプションとして(任意選択的に)含まれる前記少なくとも1種の開始剤は、好ましくは、UV硬化を開始および/または促進させる光開始剤(photoinitiator)であり、好ましくは、固形ポリマー、オリゴマー、モノマー、およびその他の含有フィルム形成成分に関して計算された重量百分率で、例えば0.1〜5重量%、好ましくは1〜5重量%混合される。従って、本発明のエネルギ線硬化組成物は、その最も好ましい実施形態では、UV硬化組成物である。
【0025】
他の特徴として、本発明は、例えば、前記不飽和ポリエステル(unsaturated polyester)またはポリエーテル(polyether)、前記ポリエステルまたはポリエーテルアクリレート(polyether acrylate)、メタクリレート(methacrylate)またはβ−メチルアクリレート(β-methyl acrylate)、前記アクリル、メタクリルまたはβ−メチルアクリル変性マレエートポリエステル(β-methyl acrylic modified maleate polyesters)、前記エポキシアクリレート(epoxy acrylate)、メタクリレートまたはβ−メチルアクリレート、前記グリシジルアクリレート(glycidyl acrylate)、メタクリレートまたはβ−メチルアクリレート、および前記ウレタンアクリレート、メタクリレートまたはβ−メチルアクリレートのような、非両親媒性エネルギ線硬化オリゴマーおよびポリマーに対する水分散樹脂として、および、例えばUV硬化プリント用インクおよび工業用コーティングのようなウォーターボーン・エネルギ線硬化コーティングおよびインク組成物における成分として、明細書に記載した両親媒性樹枝状ポリマーの使用に関する。
【0026】
さらに別の特徴では、本発明は、例えばUV硬化プリント用インクおよび工業用コーティングのようなウォーターボーン・エネルギ線硬化コーティングおよびインクにおける、明細書に記載したウォーターボーン・エネルギ線硬化組成物の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
当業者にとっては、さらに詳細な説明を必要とすることなく、前述の説明に基づいて本発明を最大限に利用することができるものと信じる。従って、次の好ましい特定の実施形態は単なる例示として解釈すべきであり、如何なる意味においてもここで開示した説明の残りの部分を制限するものではない。以下の説明で、例1〜6は、本発明に含まれる組成物の調製、本発明の樹脂組成物の実施形態、およびUV硬化コーティングにおける前記実施形態の評価を説明している。表1は前記評価から得られた結果を示している。
【0028】
例1: 例3で使用されるポリアルコキシ化アダクト(polyalkoxylated adduct)の合成法。
例2: 例3で使用される脂肪酸変性樹枝状ポリエステル(fatty acid modified dendritic polyester)の合成法。
例3: 例2で得られた脂肪酸変性樹枝状ポリマーと例1で得られたポリアルコキシ化アダクトから組み立てられ生成される、本発明の実施形態による両親媒性樹枝状ポリマーの合成法。
例4: アクリル基(アクリレート基:acrylate group)を含む両親媒性樹枝状ポリマーの合成法。
例5: 非両親媒性アクリレート樹脂状ポリエステル(non-amphiphilic acrylate dendritic polyester)の合成法。
例6: 例3で得られた製品を含む、本発明の実施形態によるウォーターボーンUV硬化ポリエステル組成物の調整法。
例7: 例3で得られた製品を含む、本発明の実施形態によるウォーターボーンUV硬化ウレタン組成物の調整法。
例8: 例4および5で得られた製品を含むウォーターボーンUV硬化ポリエステル組成物の調整法。
例9: UV硬化コーティングにおける例6、7および8で得られた組成物の評価。
【0029】
例1
450gのモノメチル化ポリエチレングリコール(monomethylated polyethylene glycol)(分子量750g/モル)と58.8gの無水マレイン酸(maleic anhydride)とを、撹拌機と窒素導入口とを備えた1l(1リットル)の反応フラスコに充填し、窒素を除いた状態で(under nitrogen purge)120℃に加熱した。全ての無水マレイン酸が反応させられるまで、その反応を前記の温度で継続させた。
【0030】
例2
246gのボルトーン(Boltorn(登録商標))H20(1750g/モルの分子量と、495mgKOH/gのヒドロキシル価を有するヒドロキシ官能樹枝状ポリエステル、ペルストルプ スペシャルティ ケミカルズ アーベー(Perstorp Specialty Chemicals AB))と、440gのヒマワリ油脂肪酸(sunflower fatty acid)とを、撹拌機とディーン・スターク(Dean Stark)ウォータートラップ(ドレントラップ、排水機:water trap)を備えた1l(1リットル)の反応フラスコに充填し、125℃に加熱した。次に、0.68gの安息香酸(benzoic acid)、0.07gのファスカット(Fascat(登録商標))4100(エステル化触媒)、およびキシレンを加え、温度を190℃に上昇させ、この状態を約5時間維持した。5時間後に酸価(acid number)は2.5mgKOH/gになり、真空でキシレンを取除いた。室温に冷却することによってその反応を停止させた。得られた製品のヒドロキシル価(hydroxyl value)は62mgKOH/gであった。
【0031】
例3
例2で得られた樹枝状生成物を450g、例1で得られたアダクトを249.9g、キシレン(共沸溶剤:azeotropic solvent)を59g、およびファスカット(Fascat(登録商標))4100(エステル化触媒、エルフ オートケム(Elf Autochem))を0.7gを、撹拌機、温度計、凝縮器(コンデンサー)、およびディーン・スターク(Dean Stark)ウォータートラップ(ドレントラップ、排水機:water trap)を備えた2l(2リットル)の反応フラスコに充填した。反応混合物を240℃に加熱し、10mgKOH/gより低い酸価(acid value)が得られるまで、その反応を前記の温度で継続させた。
【0032】
例4
50gのボルトーン(Boltorn(登録商標))H20(1750g/モルの分子量と、495mgKOH/gのヒドロキシル価を有するヒドロキシ官能樹枝状ポリエステル、ペルストルプ スペシャルティ ケミカルズ アーベー(Perstorp Specialty Chemicals AB))、11.5gのアクリル酸、51gのヒマワリ酸(sunflower acid)、40gのトルエン、0.8gのメタンスルホン酸(methane sulphonic acid)、および0.05gのメトキシフェノール(methoxyphenol)を、撹拌機とディーン・スターク・ウォータートラップを備えた500ml(500ミリリットル)の反応フラスコに充填し、125℃に加熱して還流(reflux)させた。8時間反応を継続し、10mgKOH/gの酸価(acid value)が測定された。次に例1で得られたアダクトを70gを反応フラスコに充填した。10mgKOH/gより低い酸価(acid number)に到達するまで、その反応を前記の温度で継続させた。反応性生物は60℃に冷却され、真空でトルエンを取除いた。
【0033】
例5
100gのボルトーン(Boltorn(登録商標))H2003(脂肪酸変性ヒドロキシ官能樹枝状ポリエステル(fatty acid modified hydroxyfunctional polyester)、ペルストルプ スペシャルティ ケミカルズ アーベー(Perstorp Specialty Chemicals AB))、41gのアクリル酸、1.6gのメタンスルホン酸(methane sulphonic acid)、0.08gのメトキシフェノール(methoxyphenol)、および100gのトルエンを、撹拌機とディーン・スターク・ウォータートラップを備えた500mlの反応フラスコに充填し、120℃に加熱して還流(reflux)させた。その反応を8時間継続させ、次いで反応混合物を室温に冷却した。反応混合物をKOH(4%)の水溶液(aqueous solution)で中和し、分離した。有機相(organic phase)を水で2回洗浄し、さらにトルエンを真空下で蒸発させた。
【0034】
例6
例3で得られた両親媒性樹枝状ポリマー20gと、ポリエステルアクリレートオリゴマー(polyester acrylate oligomer)(エベクリル(Ebecryl(登録商標))、EB 657,UCB)80gとを丸底フラスコに充填して混合した。ジメチルエタノールアミン(dimethyl ethanolamine)を用いてその混合物をpH7.5に中和し、撹拌しながら70℃に加熱した。15分かけて100gの水をゆっくりと且つ連続的に加えて混合した。最終のエマルジョンは50%の固形分を含み、25℃で80mPasの粘度を有していた。このエマルジョンは室温で少なくとも1ヶ月間安定していた。
【0035】
例7
例3で得られた両親媒性樹枝状ポリマー20gと、ウレタンアクリレートオリゴマー(urethane acrylate oligomer)(エベクリル(Ebecryl(登録商標))、EB 5129,UCB)80gとを丸底フラスコに充填して混合した。その混合物を撹拌しながら70℃に加熱し、15分かけて100gの水をゆっくりと且つ連続的に加えて混合した。最終のエマルジョンは50%の固形分を含み、25℃で220mPasの粘度を有していた。このエマルジョンは室温で少なくとも1ヶ月間安定していた。
【0036】
例8
例4で得られた両親媒性樹枝状ポリマー10gと、例5で得られた樹枝状アクリレートポリマー(dendritic acrylate polymer)90gとを丸底フラスコに充填して混合した。ジメチルエタノールアミン(dimethyl ethanol amine)を用いて、その混合物をpH7になるように中和し、撹拌しながら70℃に加熱した。15分かけて100gの温水をゆっくりと且つ連続的に加えた。最終のエマルジョンは50%の固形分を含み、25℃で150mPasの粘度を有していた。
【0037】
例9
固形ポリマーおよびオリゴマーを基準として計算された3重量%の光開始剤(photo initiator)(ダロキュア(Darocure(登録商標))1173、チバ スペシャティ ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals))を、例6、7および8で得られたエマルジョン中に加えて混合した。ガラスパネル上にフィルムを形成し(フィルム厚:60μm、湿潤)、オーブン中で10分間、70℃で水分を飛ばして除去(蒸発分離)した。コーティングを80W/cmのUV球の下で、20m/分の速度で5回通過させることによって空気中で硬化させ、MEK-rubs(MEK-ラブス)(メチルエチルケトン・ラブス(methyl ethyl ketone rubs)、ASTM D4366-95による振動子高度(強度)(ケーニッヒ振動子)(Koenig pendulum))、ASTM E-643によるエリクセン・フレキシビリティ(Erichsen flexibility)によって特性を調べた。その結果を次の表1に示す。
【0038】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の両親媒性の樹枝状ポリマーと、少なくとも1種の非両親媒性のエネルギ線硬化オリゴマーまたはポリマーと、水と、を含み、さらに、オプションとしてUV、IRまたはEB等のエネルギ線による硬化を開始および/または促進する少なくとも1種の開始剤、オプションとして少なくとも1種の追加のオリゴマー、ポリマーおよび/またはモノマー、および/または、オプションとして、ピグメント、増量剤、反応性希釈剤等の希釈剤、および/または、中和、流動および/またはレベリング添加剤等の添加剤、等の少なくとも1種の追加成分と、を含み、
前記少なくとも1種の両親媒性の樹枝状ポリマーは、少なくとも4つの末端ヒドロキシル基を有し、従って少なくとも4、例えば8、16または32のヒドロキシル官能価(f)を有する多価樹枝状コアポリマーと、少なくとも1つ最大でもf−1個の前記末端ヒドロキシル基に結合された少なくとも1つのモノカルボン酸と、少なくとも1つのモノアルキル化ポリエチレングリコールを少なくとも1つ最大でもf−1個の前記末端ヒドロキシル基に結合された少なくとも1つのジカルボン酸または少なくとも1つの対応する無水物に添加することによって得られた少なくとも1つのアダクトと、から生成され、
前記少なくとも1種の非両親媒性のエネルギ線硬化オリゴマーまたはポリマーは、少なくとも1種の不飽和ポリエステルまたはポリエーテル、少なくとも1種のポリエステルまたはポリエーテルアクリレート、メタクリルレートまたはβ−メチルアクリレート、少なくとも1種のアクリル、メタクリルまたはβ−メチルアクリル変性フマル酸エステルまたはポリエステル、少なくとも1種のウレタンアクリレート、メタクリレートまたはβ−メチルアクリレート、少なくとも1種のエポキシアクリレート、メタクリレートまたはβ−メチルアクリレート、および/または、少なくとも1種のグリシジルアクリレート、メタクリレートまたはβ−メチルアクリレートである、
ことを特徴とするエネルギ線硬化ウォーターボーン組成物。
【請求項2】
前記両親媒性の樹枝状ポリマーがエネルギ線硬化性であることを特徴とする、請求項1に記載のエネルギ線硬化ウォーターボーン組成物。
【請求項3】
前記多価樹枝状コアポリマーは、少なくとも1つのジ、トリまたは多価モノカルボン酸を、ジ、トリまたは多価コア分子に、コア分子と、前記ジ、トリまたは多価コア分子に結合された少なくとも1つの分枝世代とを含む多価樹枝状ポリマーを生成するモル比で加えることによって得られるものであることを特徴とする、請求項1または2に記載のエネルギ線硬化ウォーターボーン組成物。
【請求項4】
前記多価樹枝状コアポリマーは、少なくとも1つの、ジ、トリまたは多価化合物のオキセタンを、ジ、トリまたは多価コア分子に、コア分子と、前記ジ、トリまたは多価コア分子に結合された少なくとも1つの分枝世代とを含む多価樹枝状ポリマーを生成するモル比で開環付加することによって得られるものであることを特徴とする、請求項1または2に記載のエネルギ線硬化ウォーターボーン組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種のモノアルキル化ポリエチレングリコールは、少なくとも500の分子量、例えば500〜2500または700〜1500の分子量を有するものであることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載のエネルギ線硬化ウォーターボーン組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種のモノアルキル化ポリエチレングリコールが、モノメチル化ポリエチレングリコールであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載のエネルギ線硬化ウォーターボーン組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つのジカルボン酸または無水物が、フマル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸および/またはグルタル酸であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載のエネルギ線硬化ウォーターボーン組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つのカルボン酸は、主炭素鎖中に8〜24個の炭素原子を有する脂肪族の直鎖または分枝飽和または不飽和カルボン酸であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載のエネルギ線硬化ウォーターボーン組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つのモノカルボン酸は、ラウリン酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ベニバナ油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸および/またはイソステアリン酸であることを特徴とする、請求項8記載のエネルギ線硬化ウォーターボーン組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1つのモノカルボン酸は、ビニルおよび/またはアリル官能カルボン酸であることを特徴とする、請求項8または9に記載のエネルギ線硬化ウォーターボーン組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1つのモノカルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸および/またはβ−メチルアクリル酸であることを特徴とする、請求項10に記載のエネルギ線硬化ウォーターボーン組成物。
【請求項12】
前記両親媒性の樹枝状ポリマーと前記非両親媒性エネルギ線硬化オリゴマーまたはポリマーの重量比は1:99と99:1の間、例えば50:50、10:90、20:80、70:30.90:10、80:20または70:30であることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれかに記載のエネルギ線硬化ウォーターボーン組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種の不飽和ポリエステルまたはポリエーテル、前記ポリエステルまたは、ポリエーテルアクリレート、メタクリレートまたはβ−メチルアクリレート、前記アクリル、メタクリルまたはβ−メチルアクリル変性フマル酸エステルまたはポリエステルは、それらの樹枝状の種であることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれかに記載のエネルギ線硬化ウォーターボーン組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1種の開始剤が少なくとも1つの光開始剤であることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれかに記載のエネルギ線硬化ウォーターボーン組成物。
【請求項15】
前記オプションの少なくとも1種の開始剤は、前記樹脂組成物中に含まれるまたはオプションとして含まれる固体ポリマー、オリゴマーおよびモノマーに対して計算された0.1〜5重量%、好ましくは1〜5重量%の量存在する光開始剤であることを特徴とする、請求項1乃至14のいずれかに記載のエネルギ線硬化ウォーターボーン組成物。
【請求項16】
前記樹脂組成物はUV硬化樹脂組成物であることを特徴とする、請求項1乃至15のいずれかに記載のエネルギ線硬化ウォーターボーン組成物。
【請求項17】
非両親媒性エネルギ線硬化オリゴマーまたはポリマーに対する水分散樹脂としての、請求項1乃至11のいずれかに記載の両親媒性樹枝状ポリマーの使用。
【請求項18】
前記非両親媒性エネルギ線硬化オリゴマーまたはポリマーは、不飽和ポリエステルまたはポリエーテル、ポリエステルまたはポリエーテルアクリレート、メタクリレートまたはβ−メチルアクリレート、アクリル、メタクリルまたはβ−メチルアクリル変性フマル酸エステル、ウレタンアクリレート、メタクリレートまたはβ−メチルアクリレート、エポキシアクリレート、メタクリレートまたはβ−メチルアクリレート、および/またはグリシジルアクリレート、メタクリレートまたはβ−メチルアクリレートである、請求項17に記載の両親媒性樹枝状ポリマーの使用。
【請求項19】
UV硬化性工業用コーティングまたはUV硬化性プリント用インクのようなエネルギ線硬化コーティングまたはインク組成物の形での、請求項1乃至11のいずれかに記載の両親媒性樹枝状ポリマーの使用。
【請求項20】
UV硬化性工業用コーティングまたはUV硬化性プリント用インクのようなウォーターボーン・エネルギ線硬化コーティングまたはインク組成物の形での、請求項1乃至16のいずれかに記載のウォーターボーン・エネルギ線硬化組成物の使用。


【公表番号】特表2007−510792(P2007−510792A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539430(P2006−539430)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【国際出願番号】PCT/SE2004/001602
【国際公開番号】WO2005/047396
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(502456286)ペルストルプ スペシヤルテイ ケミカルズ アーベー (12)
【氏名又は名称原語表記】Perstorp Specialty Chemicals AB
【住所又は居所原語表記】S−284 80 Perstorp, Sweden
【Fターム(参考)】