説明

エピガロカテキンガレートのアシル誘導体を利用した抗癌剤

【課題】本発明の抗癌剤は、簡易かつ高収率で得られたEGCGアシル化誘導体を主成分とした抗癌剤を提供することである。
【解決手段】各エピガロカテキンガレート分子について、B環およびD環の一方にのみ一つ、もしくは両方に一つずつ、炭素数12〜20の脂肪酸基を導入することで、一分子中のアシル基導入量を1〜2とした、エピガロカテキンガレート(EGCG)の新規のアシル化誘導体を有効成分とする。例えば、このようなエピガロカテキンガレート・パルミテート(Epalm)は、優れた抗がん効果を示した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
癌細胞の増殖阻害並びに抑制作用を有する抗癌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
癌治療に利用できる抗腫瘍性化合物としては従来より様々な物質が研究開発されている。例えば、パクリタキセルやシスプラチン、ビンブラスチン、5-フルオロウラシルなどが知られている。これらの抗癌剤は活性が強い反面、副作用が大きく、患者への侵襲度が高いのが問題とされている。
【0003】
緑茶由来のポリフェノールであるエピガロカテキンガレート(EGCG)は高い抗酸化活性など種々の生理活性を有する物質として注目を浴びている。例えば、抗酸化による心臓病の予防(非特許文献1)、抗ウイルス効果、抗癌効果(非特許文献2〜3及び特許文献1)、抗菌効果(特許文献2)などである。EGCGは緑茶の主成分であるので副作用の低い抗癌活性を持つことが期待されている。しかし、EGCGは生体内において細胞親和性が高くなく、化学的安定性が低いことから、かなり高濃度を摂取しないことには十分な効果を得ることは困難であり、EGCG単独の医薬品としての応用は困難とされてきた。そこで、アシル基を導入することで細胞親和性および化学的安定性を付与することが試みられている。
【0004】
その方法としては例えばエタノールにEGCGとn−オクタデシルイソシアネートとを添加し、室温で処理することによって、化学的にEGCGのD環4位に「C1837−NH−CO−」が導入されたイソシアネート化誘導体を合成する方法などである(非特許文献4)。しかしながらこの化学合成法では収率が最大でも27%と低くなっている。また、収率が低いだけでなく、例えば、モノアシル体、ジアシル体、トリアシル体等の各種異性体が同時に合成されるため、目的の誘導体と副生成物である他の異性体とを分離することが極めて困難である。このため、このような方法は工業化に適しているとは言い難い。
【非特許文献1】Yang C.S.: Nature, 389, 134 (1997)
【非特許文献2】Gupta S. et al.: Arch of Biochem and Biophys, 410, 177 (2003)
【非特許文献3】Demeule M. et al.: Biochem Biophys Acta, 1478, 51 (2000)
【非特許文献4】Tanaka T, Kusano R, Kouno I, Bioorganic medicinal Chemistry Letters, 8 (1998) 1801-1806
【非特許文献5】Fu Y, Chen A, Biochemical Pharmacology 72(2) 227-238, (2006)
【非特許文献6】Chen MM, Soprano KJ, Weinstein K, Fong D, J Cellular Physiology 207(2) 389-396 (2006)
【特許文献1】特開2005-075790
【特許文献2】特開2004-284975
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は優れた抗癌作用を示す抗癌剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の抗癌剤は、各エピガロカテキンガレート分子について、B環およびD環の一方にのみ一つ、もしくは両方に一つずつ、炭素数12〜20の脂肪酸基を導入した、モノアシル化誘導体、ジアシル化誘導体またはこれらの混合物を有効成分として含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば化学的に安定で、より細胞膜親和性が高く効果の高いEGCG由来化合物を有効成分とする抗癌剤が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の抗癌剤は、簡易かつ高収率で得られたEGCGアシル化誘導体を主成分とした抗癌剤を提供することである。そこで新たにリパーゼを用いた酵素反応によるアシル基の導入法が開発された。有機溶媒中でのリパーゼ反応により、選択的且つ効率的にEGCGへアシル基を導入(エステル化)することが可能であり、反応液中におけるEGCGアシル化誘導体の収率にも優れる。このため、従来の化学合成手法による、低選択性、低収率、精製の困難性という問題を回避できる。
【化1】

【0009】
前記式において、(1)はEGCG、(2)はEGCGアシル化誘導体である。前記式においてR1〜R6は、アシル基または水素であり、R1〜R6のうち1つまたは2つがアシル基である。2つのアシル基が導入される場合、B環およびD環にそれぞれ1つずつのアシル基が導入される。前記アシル基は、炭素数10〜20(カルボン酸基の炭素を含む)の脂肪酸基である。
【0010】
この方法を用いて作成されたEGCGアシル化誘導体は、そのアシル基の炭素数、一分子への導入量を調整することが可能であるため、細胞膜への親和性を任意に選ぶことが可能である。EGCGによる抗癌活性の機序としては細胞表面のレセプターであるEGFRの活性化を抑えることが報告されている(非特許文献5)。本発明によるアシル化EGCGは、細胞膜親和性が高いため、細胞膜上に存在するEGFRとの相互作用が更に強くなり、活性化を抑制することが確かめられた。また、さらにEGCGの抗癌活性の機序として、EGCGが酸化分解を受ける際に発生する過酸化水素の毒性によるものという報告もある(非特許文献6)。その場合、癌組織内は通常酸素不足環境であるため、EGCGの酸化分解が起こりにくく、従って過酸化水素発生による毒性が低減され、結果EGCGの抗癌活性が低くなるおそれがある。一方、EGCGのアシル化誘導体はアシル基の導入により酸化分解が抑えられており、その抗癌活性も酸化による過酸化水素の毒性による部分が少ないため、癌組織内での抗癌活性は保たれると期待される。
【0011】
以下本発明を更に詳細に説明する。本発明の抗癌剤はEGCGのアシル化物を有効成分として含む。アシル化反応は、カルボン酸ビニルとEGCGをリパーゼによる酵素反応でエステル化した物であり、そのアシル基供与体であるカルボン酸ビニルがパルミチン酸ビニル、ペンタデカン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、トリデカン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ウンデカン酸ビニル、デカン酸ビニル等からなり、EGCG一分子当たりのアシル基導入量は1〜2であるEGCGアシル化物である。その際の各アシル基はそれぞれ別個のカルボン酸ビニル由来のものでも良い。
【0012】
ここで、リパーゼとして、特には、Alcaligenes属由来のもの、例えば、名糖産業(株)の「リパーゼPL」または「リパーゼQLM」を用いる。これらを、アセトニトリル(logPow=−0.34)の溶媒を用い57〜75℃の好ましい温度範囲にて酵素反応を行った場合、一段階の反応にて、モノアシル化誘導体を40%前後の収率で得ることができる。また、アセトン(logPow=−0.24)の溶媒を用い57〜70℃の好ましい温度範囲にて反応を行った場合、ジアシル化誘導体を40%前後の収率で得ることができる。モノアシル化誘導体やジアシル化誘導体を選択的に生成するのには、オクタノール/水分配係数(Log Pow)で表すことのできる有機溶媒の極性が関係していると考えられる。但し、Log Powは実際には温度によって変動する。アシル化のための酵素反応の時間は、例えば、24時間(1,440分)〜36時間(2,160分)である。
【0013】
なお、Alcaligenes属由来のリパーゼが、弱アルカリ性で活性を示すことから、ピリジン、トリエチルアミンといった塩基性触媒を併用することができる。
【0014】
本発明のモノアシル化誘導体及びジアシル化誘導体を製造するにあたり、B環に優先的に導入される傾向にあり、残りがD環に導入される。このような位置選択的な反応が、顕著に優れた抗癌作用及び安定性と関連していると考えられる。
【0015】
本発明の抗癌剤は、薬理学的、製剤学的に許容される製造助剤等を用いて常法に従って製造することができる。本発明の抗癌剤の投与方法は、例えば、癌組織や静脈への注射、経口投与もしくは外用剤としての塗布等が好ましく挙げられる。注射剤とするには、例えば、注射用蒸留水、生理食塩水、リン酸緩衝液を含む各種生理的溶液、プロピレングリコール等の溶解剤や溶解 補助剤、pH調整剤、安定剤等の製剤用成分を用いて製造することができる。また、外用剤とするには、例えば、アルコール等の溶解剤や溶解助剤、多糖類等の粘着剤、乳化剤、安定剤等の製剤用成分を用いて製造することができる。また、経口投与剤とするには、例えば多糖などの賦形剤や安定剤などの製剤様成分を用いて製造することができる。
【0016】
本発明の抗癌剤の投与量は、投与方法、癌細胞の種類や大きさ、患者の年齢、性別、様態等に応じて適宜選択することができる。
【0017】
また、本発明のEGCGアシル化物はマイクロスフィアもしくはナノスフィアに包含させた状態でドラッグデリバリーシステムとして応用することも可能である。マイクロスフィアもしくはナノスフィアにはポリ乳酸やポリ乳酸−グリコール酸共重合体、リポソーム、ゼラチン、アルブミン、キトサン、ヒアルロン酸、および高分子ミセルなどが使用できる。ここで、マイクロスフィア(microsphere, マイクロスフェア)及びナノスフィア(nanosphere, ナノスフェア)は、微笑球状の徐放性製剤であり、多核のものだけでなく、単核のマイクロカプセル及びナノカプセルと呼ばれるものも含まれるものとする。なお、径が1μm以下のものがナノスフィアであり、マイクロスフィアの平均径は、1μmより大きく100μm未満である範囲とする。
【0018】
本発明の抗癌剤は、有効成分としてEGCGアシル化物を含むため、大腸癌、乳癌、肺癌、皮膚癌、白血病、子宮頸癌、骨肉腫、結腸癌、胃癌などに対して優れた抗癌作用を示す。また、ドラッグデリバリー技術を用いることでさらに低侵襲に抗癌作用を発揮することができる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0020】
アセトニトリル(logPow=−0.34)10mlに、EGCG10mg、パルミチン酸ビニル18.5mgおよびリパーゼ(商品名Lipase PL、名糖産業社製)500Uを混合し、57℃で24時間(1,440分間)インキュベートして酵素反応を行った。
【0021】
そして、インキュベート後の反応液をろ過、濃縮後、カラムクロマトグラフィー(商品名Silica gel N60 (球状・中性・40-50μm)、関東化学株式会社製)により不純物である未反応アシル基供与体を除去したものをサンプルとした。このサンプル中の反応生成物についてエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)及びプロトン核磁気共鳴(H1 NMR)で分析した結果、次のことが知られた。アシル基がEGCGのB環4位に導入された誘導体(2a)、B環5位に導入された誘導体(2b)、D環3位に導入された誘導体(2c)、D環4位に導入された誘導体(2d)が得られ、得られたモノアシル化誘導体全体における各誘導体の割合は、それぞれ33%、35%、10%および22%であった。また、EGCGを100%(モル)とした場合、得られた全誘導体の収率(モル%:変換効率)は、約40%であった。
【0022】
すなわち、B環及びD環のいずれかに、一つのパルミチン酸基が導入されたモノアシル化誘導体が得られた。
【0023】
一方、上記において、アセトニトリルに代えてアセトン(logPow=−0.24)を用いて同様に反応及び精製を行った後、同様に分析を行った。その結果、B環及びD環にそれぞれ一つのパルミチン酸基が導入されたジアシル化誘導体が得られたことが知られた。
【0024】
他方、上記のパルミチン酸基導入によるモノアシル化誘導体の調製と全く同一の条件で、B環及びD環のいずれかに、一つのブチレート基やオクタノエート基が導入されたモノアシル化誘導体を得て、比較に用いた。
【0025】
<実施例1>
ヒト大腸癌細胞Caco-2を用いて増殖抑制試験を行った。10%ウシ胎児血清を含有したダルベッコ改変イーグルMEM培地(DMEM)に懸濁させたCaco-2細胞を、96wellマイクロプレートに1.0×103cell/well播種し、72時間培養後、EGCGおよびEGCGアシル化物(EGCG-ブチレート、EGCG−オクタノエート、EGCG-パルミテート、EGCG−ジパルミテート)および対照として抗癌剤として知られているタキソール、シスプラチンを最終濃度0-100μMとなるように添加し、48時間後、未添加系をコントロールとして細胞の増殖が50%阻害される濃度をIC50とし、MTT法で求めた。その結果を表1に示す。
【表1】

表1より本発明のEGCGアシル化物は、従来の抗癌剤として知られた上記化合物よりCaco-2細胞に対し、優れた増殖抑制作用を示すことがわかった。また、EGCGに比べ、アシル化物は高い抗腫瘍活性を示し、導入炭素鎖が長いほど(ブチレートC4、オクタノエートC8、パルミテートC16、ジパルミテートC16×2)抗腫瘍活性が高いことがわかった。
【0026】
<実施例2>
マウス結腸ガン細胞colon26、滑膜肉腫細胞Syo-1、マウス黒色メラノーマ細胞B16、ヒトオステオサルコーマMG63、対照として正常細胞であるラット血管平滑筋細胞RVSMCに対する各種EGCGアシル化物の増殖抑制作用を実施例1と同様の方法でIC50を測定した結果を表2に示す。
【表2】

表2よりEGCGアシル化物はEGCGに比べて、マウス結腸ガン細胞colon26、滑膜肉腫細胞Syo-1、マウス黒色メラノーマ細胞B16、ヒトオステオサルコーマMG63に対して優れた抗腫瘍作用を示すことがわかった。また、正常細胞であるラット血管平滑筋細胞RVSMCに対しては比較してより低い増殖抑制能を示すことがわかり、癌細胞により効果的であることも示された。
【0027】
<実施例3>
EGCGパルミテートを15mgと乳酸/グリコール酸共重合体PLGA300mgを酢酸エチル3mLに溶解し、20Wの超音波を当てながら1.0%PVA水溶液に添加、撹拌し、液中乾燥法によりマイクロスフィアを作成した(図1)。図1の走査型電子顕微鏡(SEM)写真により、直径20-50μmのマイクロスフィアが確認された。この時のドラッグコンテントは1.32%であった。また、EGCGアシル化物を少量のアセトンに溶解し、PLGA300mgを溶解した3mLのジクロロメタンと混合し、液中乾燥法で同様にマイクロスフィアを作成したところ、直径が1-5μmのより小さなマイクロスフィアを作成することが可能であった(図2; SEM写真)。この時のドラッグコンテントは0.75%であった。また、これらマイクロスフィアをPBS中、37℃で放置することでEGCGパルミテートの徐放挙動を調べたところ、酢酸エチルで作成したマイクロスフィアでは30日以上にわたってEGCGアシル化物の徐放が確認された。一方、ジクロロメタンで作成した粒径の小さなスフィアからはより早く放出されることが確認された。なお、ここではデータを示さないが、ドラッグコンテントが3%前後の同様のマイクロスフィアを、同様の方法で安定的に得ることができた。
【0028】
<実施例4>
実施例3で酢酸エチルを用いて作成したマイクロスフィア(図1のもの)をCaco-2細胞培養系に対して添加しその抗腫瘍細胞活性を調べた。
【0029】
実施例1と同様に細胞を播種し72時間増殖させたのち、各wellに所定の量(mg)のマイクロスフィアを添加し、48時間後および72時間後の細胞生存率をMTT法により測定した(図3)。図3中の「empty」は、ドラッグコンテント0%のもの、すなわち、EGCGパルミテートを添加せずに同様に酢酸エチルを用いて作成したマイクロスフィアを各wellに1mg添加した場合の結果を示す。また、「cont」は、マイクロスフィアを添加しなかった場合について示す。図3より、マイクロスフィアから徐放されたEGCGパルミテートにより細胞の増殖が抑制されることが確認された。
【0030】
以上に説明したように、本発明の抗癌剤は、有効成分としてEGCGアシル化物を含むため、大腸癌、乳癌、肺癌、皮膚癌、白血病、子宮頸癌、骨肉腫、結腸癌、胃癌などに対して優れた抗癌作用を示す。また、ドラッグデリバリー技術を用いることでさらに低侵襲に抗癌作用を発揮することができる。
【0031】
<実施例5>
Colon26担癌マウスに対してEGCGおよびEGCGパルミテートを投与し、抗ガン効果を検証した。
【0032】
5週齢オスのBalb/Cマウスの背部皮下に、生理食塩水に分散したcolon26細胞(1×106/100μL生理食塩水)を注射により投与し、1週間経過させ担癌マウスとした。EGCGおよびEGCGパルミテートを25%ジメチルスルホキシド水溶液に溶解し10mg/kgもしくは50mg/kgの濃度(マウスの体重あたりのEGCGまたはEGCGパルミテートの重量)でマウスに、2日間に1回ずつ、計3回(0日後、2日後、及び4日後)腫瘍内投与(腫瘍組織へ注射)した。そして、投与開始から1ヶ月間ガンの体積を継続的に測定した。ガンの体積(mm3)は計算式v=0.5×a×b2(aはガンの長軸方向長さ、bは短軸方向長さ)で求めた。比較対象として溶媒のみを投与した群も作成した。各群について、マウス個体数をそれぞれN=10とし、各測定時点での平均値及び標準偏差の幅を、図4中に示した。図4に示すように、明らかにEGCGパルミテート投与群でガンの増大が抑えられる結果が得られた。EGCG投与群では10mg/kg、50mg/kgどちらの濃度においても無投与群(コントロール)および溶媒投与群と大差なくガンの体積は増大した。図4の結果により、EGCGパルミテートは濃度依存的にin vivoにおいても抗ガン効果が高いことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】酢酸エチルで作成したマイクロスフェアを示す顕微鏡写真である。
【図2】ジクロロメタン/アセトンで作成したマイクロスフェアを示す顕微鏡写真である。
【図3】Caco-2細胞に対するEGCGパルミテート含有PLGAマイクロスフィアの増殖抑制作用を示すグラフである。
【図4】EGCGおよびEGCGパルミテートの担癌マウスへの抗ガン効果の測定結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各エピガロカテキンガレート分子について、B環およびD環の一方にのみ一つ、もしくは両方に一つずつ、炭素数12〜20の脂肪酸基を導入することで、一分子中のアシル基導入量を1〜2としたエピガロカテキンガレートのアシル化誘導体を有効成分として含む抗癌剤。
【請求項2】
前記アシル化誘導体は、アセトニトリル、アセトン、またはこれらと同等のオクタノール/水分配係数(Log Pow)を有する有機溶媒中にて、カルボン酸ビニルをアシル基供与体としAlcaligenes属由来のリパーゼを用いた酵素反応により得られらたものであることを特徴とする請求項1に記載の抗癌剤
【請求項3】
エピガロカテキンガレートアシル化誘導体を、注射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコール等の溶解剤や溶解 補助剤、pH調整剤、安定剤等の製剤用成分を用いて注射用とした請求項1または2に記載の抗癌剤。
【請求項4】
エピガロカテキンガレートアシル化誘導体を、アルコール等の溶解剤や溶解助剤、多糖類等の粘着剤、乳化剤、安定剤等の製剤用成分を用いて外用剤とした請求項1または2に記載の抗癌剤。
【請求項5】
エピガロカテキンガレートアシル化誘導体を、多糖類、乳化剤、安定剤などの製剤様成分を用いて経口投与剤とした請求項1または2に記載の抗癌剤。
【請求項6】
請求項1または2に記載の抗癌剤をマイクロスフィアまたはナノスフィアに包含させ、徐放効果を持たせた抗癌剤複合体であって、前記のマイクロスフィアまたはナノスフィアがポリ乳酸、乳酸−グリコール酸共重合体、リポソーム、ゼラチン、アルブミン、キトサン、ヒアルロン酸、および高分子ミセルからなる群より選ばれる少なくとも一つからなることを特徴とする抗癌剤複合体。

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−84266(P2009−84266A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−181612(P2008−181612)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【出願人】(506224252)株式会社バイオベルデ (12)
【Fターム(参考)】