説明

エボラ及び他のウイルスに対する防御に最適化されたワクチン

本発明は、野生型のフィロウイルス糖タンパク質(GP)のin vitroにおける細胞毒性及び免疫原性と比べて、in vitroにおける細胞毒性が低減され、免疫原性が維持されたGPの比較的保存的な領域に位置する少なくとも1つのアミノ酸変化を有する修飾フィロウイルスGPをコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子、及び関連の修飾フィロウイルスGP、プラスミドDNA、組換えウイルス、アデノウイルス、薬学的組成物、ワクチン組成物、修飾フィロウイルスGPと特異的に反応する抗体、並びにこれらを生成及び使用する関連の方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大まかにはウイルスワクチン、より詳細にはフィロウイルスワクチン、及びフィロウイルス又はフィロウイルスの感染によって引き起こされる疾患に対する免疫応答を誘導する方法に関する。
【0002】
[関連出願]
本出願は、参照により全体が本明細書中に援用されている、2004年9月27日に提出された米国仮特許出願第60/613,883号、2005年5月3日に提出された米国仮特許出願第60/677,606号、2005年5月10日に提出された米国仮特許出願第60/679,767号、2005年7月22日に提出された米国仮特許出願第60/701,694号及び2005年9月9日に提出された米国仮特許出願第60/715,874号の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
エボラウイルス及びマールブルグウイルスは、フィロウイルス科を構成する。この科は2つの属に分類され、現在では「エボラ様ウイルス」及び「マールブルグ様ウイルス」と呼ばれている。「エボラ様ウイルス」の中には4つの亜種、ザイール(基準種)、スーダン、レストン及びコートジボワール(アイボリーコースト)が存在する。マールブルグウイルスは単独で「マールブルグ様ウイルス」を構成する。
【0004】
糖タンパク質(GP)は、受容体結合を介した感受性宿主細胞へのウイルスの感染を仲介するビリオン表面スパイクを構成する唯一の構造タンパク質である。GPは、ウイルス感染及び発症に重要であるだけでなく、ワクチン開発に関する主要な標的であるので、フィロウイルスタンパク質の中で最も研究されている。フィロウイルスGPの研究は、組換えDNA技術の使用によって容易になり、感染性フィロウイルスによる働きを制限することなく生化学的で機能的な試験を可能にする。
【0005】
培養したヒト内皮細胞及び上皮細胞におけるGP発現が、細胞の円形化及び分離を引き起こす(Yang Z.-Y.他, 2000, Nat Med, 6:886-889)。これらの効果は、GPのムチン様セリン及びスレオニンリッチドメインを必要とする。マクロファージ及び内皮細胞の機能に対するGPの細胞毒性効果は、炎症細胞機能及び血管系の完全性を阻害する。更に、接着タンパク質及び免疫認識分子の細胞表面における発現を変えることによって、エボラウイルスは、免疫活性化及び細胞溶解性T細胞の機能に必要不可欠なプロセスを阻害する。これらの現象は、炎症反応の調節不全及び致命的なエボラウイルス感染の血管機能不全特性から成り、予防ワクチンの標的として、GPに焦点を当てた理論を提供する。
【発明の開示】
【0006】
[発明の概要]
本発明は、野生型フィロウイルス糖タンパク質(GP)のin vitroにおける細胞毒性及び免疫原性と比べて、in vitroにおける細胞毒性が低減され、免疫原性が維持された、GPの比較的保存的な領域において少なくとも1つのアミノ酸変異を有する変異フィロウイルスGPをコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子に関する。
【0007】
[課題を解決するための手段]
一つの実施形態では、アミノ酸変異が保存的なシステイン残基を除いたN末端ドメインに位置し、例示的に、エボラザイールGPのアミノ酸位置50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、
68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299又は300に位置するか、或いは他の種類のGPにおいてこれらに対応するアミノ酸位置に位置する。
【0008】
別の実施形態では、アミノ酸変異が、例示的に、エボラザイールGPのアミノ酸位置71又は102に位置するか、或いは他の種類のGPにおいてこれらに対応するアミノ酸位置に位置する。
【0009】
更に別の実施形態では、アミノ酸変異が、例示的に、エボラザイールGPのE71D又はG102Aであるか、或いは他の種類のGPのこれらと対応するものである。
【0010】
更に別の実施形態では、変異フィロウイルスGPが配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のインサート、或いはこれらと少なくとも95%相同である配列によってコードされる。
【0011】
また、更に別の実施形態では、変異フィロウイルスGPをコードするポリヌクレオチドが配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のインサート、或いはこれらと少なくとも95%相同である配列から得られる配列を有する。
【0012】
本発明の他の実施形態は、前記核酸分子によってコードされる変異フィロウイルスGP、前記核酸分子を含むプラスミドDNA、前記核酸分子を含む組換えウイルス、前記核酸分子を含むアデノウイルス、治療効果のある用量で前記核酸分子又は変異フィロウイルスGPを含む薬学的組成物、予防効果のある用量で前記核酸分子又は変異フィロウイルスGPを含むワクチン組成物、変異フィロウイルスGPと特異的に反応する抗体、及びこれらの生成並びに使用法に関する。
【0013】
【表1】

【0014】
【表2】

【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[発明の詳細な説明]
エボラウイルス感染に対する効果的な治療法がない場合、ワクチンの開発が感染の大発生を阻止するための重要な戦略になる。エボラ糖タンパク質(GP)及び核タンパク質(NP)をコードするDNA及び/又は複製欠損性のアデノウイルス(rAd)ベクターによる免疫化によって、ヒト以外の霊長類において特異的な防御免疫が付与されることがこれまでに示されている(Sullivan, N. J.他, 2000, Nature, 408:605-609; Sullivan, N. J.他, 2003, Nature, 424:681-684))。GPは、in vitroにおいてトランスフェ
クトした細胞に細胞変性効果を与える可能性があり(Yang, Z.-Y.他, 2000, Nat Med, 6:886-889)、複数のGPの形態が実際に同定され、どれがヒトワクチンに最適であるかとい
う疑問が持ち上がっている。この疑問を解決するために、本発明者はin vitroにおける細胞変性が低減された複数のエボラウイルス株由来の突然変異GPの有効性を調査し、NPがある場合とない場合において、霊長類における感染モデルにおけるこれらの防御効果を分析した。GP膜貫通ドメインを除去することによってin vitroにおける細胞変性効果がなくなったが、防御効果は少なくとも1桁低減した。これに対して、in vitroでの細胞変性を阻害するが、NPの非存在時における免疫原性を維持し、免疫防御効果を付与する単一点突然変異が同定された。最小有効rAd量は、これまでに使用されてきたものより2対数分低い1010個の粒子で確立された。rAdによりベクター化された特異的なGP単独の発現は、対象となるヒト以外の霊長類モデルにおける致死的な感染に対する防御を付与するのに十分であり、ワクチンの同定に対する基礎を提供する。
【0016】
定義
他に特に記載がなければ、本明細書中で使用される技術的及び科学的な用語は、本発明が属する分野における当業者に共通して理解されるものと同様の意味を有する。例えば、Singleton P及びSainsbury D., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,第3版、 J. Wiley & Sons, Chichester, New York, 2001、及びFields Virology, 第4版,
Knipe D.M.及びHowley P.M.編, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, 2001
を参照されたい。
【0017】
核酸分子
本明細書中で示されるように、本発明の核酸分子は、クローニング又は合成的に生成することによって得られたRNA又はDNAの形態である。このDNAは、二本鎖でも一本鎖でもよい。一本鎖DNA又は一本鎖RNAは、センス鎖としても知られるコード鎖であるか、又はアンチセンス鎖としても言及される非コード鎖である。
【0018】
「単離した」核酸分子とは、自然環境から得られた核酸分子、DNA又はRNAを意味している。例えば、ベクターに含まれる組換えDNA分子は、本発明の目的のために単離されると考えられる。単離したDNA分子の更なる例としては、異種宿主細胞で維持された組換えDNA分子又は溶液中で(部分的又は大幅に)精製したDNA分子が挙げられる。単離したRNA分子としては、本発明のDNA分子のin vivo又はin vitroRNA転写物が挙げられる。本発明による単離した核酸分子は、更にこのように合成的に生成された分子を含む。
【0019】
本発明の核酸分子としては、変異フィロウイルス構造遺伝子産物をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含むDNA分子が挙げられ、更に、上記に記載のものとは大幅に異なる配列を含むが、遺伝子コードの縮重によって、依然として変異フィロウイルス構造遺伝子産物のORFをコードするDNA分子が挙げられる。当然のことながら、この遺伝子コードは当業者に既知である。ヒトのコドンの使用に最適な縮重バリアントが好ましい。
【0020】
野生型(例えば自然発生した)フィロウイルスGPのin vitroにおける細胞毒性及び免疫原性と比べてin vitroにおける細胞毒性が低減され、免疫原性が維持された、少なくとも1つのアミノ酸変異を有し、それにより受容体結合を介した感受性宿主細胞へのウイルス感染を仲介するビリオン表面スパイクを構成する唯一の構造タンパク質であるフィロウイルス構造遺伝子産物、例えば糖タンパク質(GP)が変異する。in
vitro細胞毒性に特に重要なアミノ酸は、例えばエボラウイルスのザイール株で定義されるような正確な位置に限定されることは決してなく、例示的な様態における使用に
おいて好ましいアミノ酸を示すだけであり、この好ましいアミノ酸は、保存性が高いので、エボラウイルスのスーダン株又はマールブルグウイルス及びフィロウイルスのアンゴラ株のような他の株で通常見出される位置又はこの位置に対応する位置にある。エボラザイール株以外のフィロウイルスに関して、好ましいアミノ酸の番号付けされた位置が異なることはよくあるが、フィロウイルスの分子生物学の分野における専門家には、上記の糖タンパク質において保存性が高いアミノ酸に対するこれらの好ましいアミノ酸の位置でこれを同定することが容易であろう。
【0021】
更に、本発明は本明細書中に記載されている核酸分子の断片に関する。変異フィロウイルス構造遺伝子産物をコードするORFのヌクレオチド配列を有する核酸分子の断片とは、少なくとも約15nt、より好ましくは少なくとも約20nt、更に好ましくは少なくとも約30nt及び更に好ましくは少なくとも約40ntの長さの断片を意味する。当然ながら、50、100、150、200、250、300、350、400、450又は500ntの更に大きい断片もまた、変異フィロウイルス構造遺伝子産物をコードするORFのヌクレオチド配列の全てとまでではないが、ほとんど一致している断片と同様に本発明により意図される。少なくとも20ntの長さの断片とは、例えば変異フィロウイルス構造遺伝子産物をコードするORFのヌクレオチド配列由来の20個以上の連続した塩基を含む断片を意味する。
【0022】
本発明の好ましい核酸断片としては、フィロウイルス構造タンパク質のエピトープ−ベアリング部をコードする核酸分子が挙げられる。特に、本発明のこのような核酸断片としては、フィロウイルス構造タンパク質のエピトープ−ベアリングドメインをコードする核酸分子が挙げられ、該ドメインはN末端ドメイン、ムチン様ドメイン、フリン切断部位、融合ペプチドドメイン、コイルドコイルドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内ドメイン及びこれらの任意の組み合わせであり、例えば膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを除去するためにカルボキシ末端が切断されたフィロウイルス糖タンパク質;コイルドコイルドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを除去するためにカルボキシ末端が切断されたフィロウイルス糖タンパク質;融合ペプチドドメイン、コイルドコイルドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを除去するためにカルボキシ末端が切断されたフィロウイルス糖タンパク質;フリン切断部位、融合ペプチドドメイン、コイルドコイルドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを除去するためにカルボキシ末端が切断されたフィロウイルス糖タンパク質;並びにムチン様ドメイン、フリン切断部位、融合ペプチドドメイン、コイルドコイルドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを除去するためにカルボキシ末端が切断されたフィロウイルス糖タンパク質である。別の例は、ムチン様ドメイン、フリン切断部位、融合ペプチドドメイン、コイルドコイルドメイン、膜貫通ドメイン又は細胞内ドメインを除去するためのアミノ酸欠失、内部欠失又はカルボキシ欠失を有するフィロウイルス糖タンパク質である。
【0023】
別の態様において、本発明は、上記本発明の核酸分子において、ポリヌクレオチド部分に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む核酸分子を提供する。「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、50%ホルムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mM クエン酸三ナトリウム)、50mM リン酸ナトリウム(pH7.6)、5×Denhardt’s溶液、10% 硫酸デキストラン及び20μg/mlの変性、せん断サケ精子DNAを含む溶液中で42℃で一晩インキュベートして、その後約65℃で0.1×SSC中でフィルターを洗浄することを意味する。
【0024】
ポリヌクレオチド「部分」にハイブリダイズするポリヌクレオチドとは、参照のポリヌクレオチドの少なくとも約15個のヌクレオチド(nt)、より好ましくは少なくとも約20nt、更に好ましくは少なくとも約30nt及び更に好ましくは約30〜70ntに
ハイブリダイズするポリヌクレオチド(DNA又はRNAのいずれか)を意味する。
【0025】
「少なくとも20ntの長さ」のポリヌクレオチド部分とは、例えば参照のポリヌクレオチドのヌクレオチド配列由来の20個以上の連続したヌクレオチドを意味する。当然ながら、ポリA配列又はT(又はU)残基の相補鎖にのみハイブリダイズするポリヌクレオチドは、ポリA鎖又はその相補鎖を含む任意の核酸分子(例えば、事実上全ての二本鎖cDNAクローン)にハイブリダイズするので、本発明の核酸部分にハイブリダイズさせるのに使用する本発明のポリヌクレオチドには含まれない。
【0026】
本明細書中で示されるように、フィロウイルス構造遺伝子産物をコードする本発明の核酸分子は、全長のポリペプチドのアミノ酸配列をコードするものを含むが、これに限定されず、これ自体が全長のポリペプチドのコード配列及び更なる配列、例えば、プレタンパク質配列、プロタンパク質配列又はプレプロタンパク質配列等のリーダー配列又は分泌配列をコードする。上記の更なるコード配列を有するか又は有さず、更なる非コード配列を有するこの全長のコード配列は、例えば、リボソーム結合及び安定化mRNAなどのスプライシング及びポリアデニル化シグナルを含み、転写やmRNAプロセシングで役割を果たす、転写された非翻訳配列のようなイントロン及び非コード5’及び3’末端配列;並びに、更なる機能性を提供するような、更なるアミノ酸をコードする更なるコード配列が含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
更に、本発明は、本発明の核酸分子のバリアントに関し、これはフィロウイルス構造遺伝子産物の一部、バリアント又は誘導体をコードする。天然の対立遺伝子多型のようなバリアントは自然発生的に生じ得る。「対立遺伝子多型」とは、生物のゲノム上において一定の遺伝子座を占める遺伝子の幾つかの代替的な形態の1つを意味する(Genes II, Lewin, B.編, John Wiley & Sons, 1985, New York)。当業者に既知の突然変異誘発技術を使用して、自然発生ではないバリアントを生成することができる。
【0028】
このようなバリアントとしては、1つ又は複数のヌクレオチドにおける置換、欠失又は付加によって生成されるものが挙げられる。このバリアントはコード領域、非コード領域又はその両方において改変されている。コード領域における改変が、保存的又は非保存的なアミノ酸置換、欠失又は付加を引き起こし得る。これらの中で特に好ましいものは、静的置換、静的付加及び静的欠失であり、これはフィロウイルス構造遺伝子産物又はその部分の特性及び活性を変えない。また、この点において保存的置換が特に好ましい。
【0029】
本発明の更なる実施形態としては、変異フィロウイルス構造遺伝子産物、その断片のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、又はこれらに相補的なヌクレオチド配列と少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、97%、98%又は99%相同であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む核酸分子が挙げられる。
【0030】
フィロウイルス構造遺伝子産物をコードする参照のヌクレオチド配列と例えば少なくとも95%「相同」であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドとは、ポリヌクレオチド配列が、エボラウイルス構造遺伝子産物をコードする参照のヌクレオチド配列において100個のヌクレオチド当たり最大5つの点突然変異を含み得ることを除いて、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が参照配列と相同であるということを意味する。すなわち、参照ヌクレオチド配列と少なくとも95%相同であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るために、参照配列において最大5%のヌクレオチドが欠失しているか又は他のヌクレオチドで置換されているか、又は参照配列の全ヌクレオチドにおいて最大5%のヌクレオチドが参照配列に挿入され得る。参照配列におけるこれらの突然変異は、参照ヌクレオチド配列の5’或いは3’末端部位、又はこれらの末端部位間のどこかで起こ
る場合があり、参照配列のヌクレオチドにおいて個々に又は参照配列内の1つ又は複数の連続した群の中のいずれかに散在している。
【0031】
実際に、任意の特定の核酸分子が参照ヌクレオチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%相同であるかどうかは、Bestfitプログラム(Wisconsin
Sequence Analysis Package, Version 8 for Unix(登録商標), Genetics Computer Group, University Research Park, 575 Science Drive, Madison, Wis.53711)等の既知の
コンピュータープログラムを従来通りに使用して判定することができる。Bestfitは、2つの配列間の最も相同性の高い部分を見出すために、Smith及びWaterman, 1981, Advances in applied Mathematics, 2:482-489の局所的相同性アルゴリズムを利用してい
る。特定の配列が、例えば本発明の参照配列と95%相同であるかどうかを判定するために、Bestfit又は任意の他の配列アラインメントプログラムを使用する場合、当然ながら参照ヌクレオチド配列の全長にわたって相同性の割合が算出されるように、且つ参照配列における総ヌクレオチド数の最大5%の相同性の相違を許容するように、パラメーターを設定する。
【0032】
本願は、エボラポリペプチド活性又はマールブルグポリペプチド活性を有するポリペプチドをコードする、本明細書中に記載の核酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%相同である核酸分子に関する。「エボラポリペプチド活性又はマールブルグポリペプチド活性を有するポリペプチド」とは、特定の生物学的試験においてエボラポリペプチド活性又はマールブルグポリペプチド活性を示すポリペプチドを意味する。例えば、受容体結合活性等の生物学的活性、GP1とGP2との間の結合、ビリオンペプロマーのストーク構造の形成に対する寄与、及び免疫原性を維持しながらのin vitro細胞毒性の低減による変異GPポリペプチド活性の変化に関してGPポリペプチド活性を測定することができる。
【0033】
当然ながら、遺伝子コードの縮重により、当業者には、本明細書中に記載の核酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%相同である配列を有する多くの核酸分子が「エボラポリペプチド活性又はマールブルグポリペプチド活性を有する」ポリペプチドをコードするということが直ちに認識されるであろう。実際には、これらのヌクレオチド配列の縮重バリアントは全て同じポリペプチドをコードし、このことは上記の比較試験を行わずとも、当業者には明らかであろう。縮重バリアントではない核酸分子のために、ある程度の数の核酸分子がエボラポリペプチド活性又はマールブルグポリペプチド活性を有するポリペプチドをコードすることも当業技術分野において更に認識されるであろう。これは、当業者が、タンパク質機能に有意な影響があまりないか、又は影響がないと考えられるアミノ酸置換を十分に知っているからである(例えば、1つの脂肪族アミノ酸を第2の脂肪族アミノ酸と置換する)。
【0034】
例えば、表現型の上で静的なアミノ酸置換を起こす方法に関するガイダンスが、Bowie,
J. U.他, 1990, Science, 247:1306-1310で提供され、この著者は、タンパク質がアミノ酸置換に驚異的な耐性があることを示している。
【0035】
ポリペプチド及び断片
更に、本発明は変異フィロウイルス構造遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)によってコードされるアミノ酸配列を有するフィロウイルスポリペプチド、又はこれらの一部(例えば、溶解性GP)を含むペプチド或いはポリペプチドを提供する。
【0036】
フィロウイルスポリペプチドの幾つかのアミノ酸は、タンパク質の構造又は機能に有意な影響を与えることなく変えることができるということが、当該技術分野で認識されるであろう。配列のこのような違いを考慮する場合、タンパク質の活性を決定するのに重要な
領域が存在することを忘れてはならない。
【0037】
このように、本発明は実質的にフィロウイルスポリペプチド活性を示すか、又は以下に記載のタンパク質部分のようなフィロウイルスタンパク質の領域を含む、フィロウイルスポリペプチドのバリアントを更に含む。このような突然変異としては、欠失、挿入、反転、反復及び型置換が挙げられる。記載の通り、どのアミノ酸変異が表現型の上で静的であるのかということに関するガイダンスは、Bowie, J.U.他, 1990, Science, 247:1306-1310に見出すことができる。
【0038】
従って、本発明のポリペプチドの断片、誘導体又はアナログは、(i)1つ又は複数のアミノ酸残基が保存的アミノ酸残基又は非保存的アミノ酸残基(好ましくは保存的アミノ酸残基)に置換したもの、またこのような置換アミノ酸残基が遺伝子コードでコードされるものであっても、コードされるものでなくてもよい、(ii)1つ又は複数のアミノ酸残基が置換基を含むもの、或いは(iii)IgG Fc融合領域ペプチド、リーダー配列、分泌配列、成熟ポリペプチドの精製に用いる配列、又はプロタンパク質配列のような更なるアミノ酸を成熟ポリペプチドと融合させるものであり得る。このような断片、誘導体及びアナログは、本明細書中で教示される当業者の範囲内であると考えられる。
【0039】
記載の通り、タンパク質のフォールディング又は活性に有意な影響を及ぼさない保存的なアミノ酸置換のようなささいな特性の変化が好ましい(表Aを参照)。
【表A】

【0040】
【0041】
当然ながら、当業者は、上記のものを含む多くの要因に応じて、アミノ酸置換の数を決めることができる。一般的に言えば、任意の特定のフィロウイルスポリペプチドに対するアミノ酸置換の数は、50、40、30、20、10、5又は3である。
【0042】
機能に必須である本発明のフィロウイルスポリペプチドのアミノ酸は、部位特異的突然変異誘発又はアラニンスキャンニング突然変異誘発のような、当該技術分野で既知の方法で同定することができる(Cunningham及びWells, 1989, Science, 244:1081-1085)。後者
の方法によって、この分子の全てのアラニン残基にアラニン単独の突然変異が導入される。続いて、例えば受容体結合活性、GP1とGP2との間の結合、ビリオンペプロマーのストーク構造の形成への寄与、及び免疫原性を維持しながらのin vitroにおける細胞毒性の低減による変異GPポリペプチド活性のような生物学的活性に関して、得られた突然変異分子を試験する。
【0043】
本発明のポリペプチドは容易に単離した形態で提供される。「単離したペプチド」とは、元々の環境から取り出されたポリペプチドを意味する。従って、組換え宿主細胞内に生成及び/又は包含されるポリペプチドは、本発明の目的のために単離されたと考えられる。また、「単離したポリペプチド」とは、組換え宿主細胞又はソースから部分的又は実質的に精製されたポリペプチドも意味する。例えば、組換えによって作られたフィロウイルスポリペプチドは、Smith及びJohnson, 1988, Gene, 67:31-40に記載されている一段階法により実施的に精製することができる。
【0044】
本発明のポリペプチドとしては、変異フィロウイルス構造遺伝子産物のアミノ酸配列、或いはその一部を有するポリペプチド、又は本発明に記載されている核酸配列によってコードされるポリペプチド配列;並びに上記の配列と少なくとも95%相同、より好ましくは少なくとも96%、97%、98%又は99%相同であるポリペプチドが挙げられ、また少なくとも30個のアミノ酸、より好ましくは少なくとも50個のアミノ酸を有するこのようなポリペプチドの一部が挙げられる。
【0045】
フィロウイルスポリペプチドの参照アミノ酸配列と例えば少なくとも95%「相同」であるアミノ酸配列を有するポリペプチドとは、ポリペプチド配列がフィロウイルスポリペプチドの参照アミノ酸の100個のアミノ酸当たり最大5つのアミノ酸の変更を含み得ることを除いて、ポリペプチドのアミノ酸配列が参照配列と相同であるということを意味する。すなわち、参照アミノ酸配列と少なくとも95%相同であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るために、参照配列において最大5%のアミノ酸残基を欠失又は他のアミノ酸で置換することができるか、又は参照配列の全アミノ酸残基の最大5%のアミノ酸を参照配列に挿入することができる。参照配列のこれらの変更は、参照アミノ酸配列のアミノ末端部位、カルボキシ末端部位又はこれらの末端部位間のいずれかで起こる場合があり、参照配列のヌクレオチド間に個々に、又は参照配列内の1つ又は複数の連続した群の中のいずれかに散在している。
【0046】
実際に、任意の特定のポリペプチドが参照アミノ酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%相同であるかどうかは、Bestfitプログラム(Wisconsin
Sequence Analysis Package, Version 8 for Unix(登録商標), Genetics Computer Group, University Research Park, 575 Science Drive, Madison, Wis.53711)等の既知の
コンピュータープログラムを従来通りに使用して判定することができる。特定の配列が、例えば本発明による参照配列と95%相同であるかどうかを判定するために、Bestfit又は任意の他の配列アラインメントプログラムを使用する場合、当然ながら参照アミノ酸配列の全長にわたって相同性の割合が算出されるように、且つ参照配列における総アミノ酸残基数の最大5%の相同の相違を許容するように、パラメーターを設定する。
【0047】
別の態様において、本発明は、少なくとも30個、より好ましくは少なくとも50個のアミノ酸を有する、本明細書中に記載されているポリペプチドの一部を提供する。本発明の好ましいポリペプチドの一部としては、フィロウイルス構造タンパク質のエピトープ−ベアリング部を含むポリペプチドが挙げられる。特に、本発明の好ましいポリペプチドの
一部としては、フィロウイルス構造タンパク質のエピトープ−ベアリングドメインを含むポリペプチドが挙げられ、このドメインはN末端ドメイン、ムチン様ドメイン、フリン切断部位、融合ペプチドドメイン、コイルドコイルドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内ドメイン及びこれらの任意の組み合わせであり、例えば膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを除去するためにカルボキシ末端を切断したフィロウイルス糖タンパク質;コイルドコイルドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを除去するためにカルボキシ末端を切断したフィロウイルス糖タンパク質;融合ペプチドドメイン、コイルドコイルドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを除去するためにカルボキシ末端を切断したフィロウイルス糖タンパク質;フリン切断部位、融合ペプチドドメイン、コイルドコイルドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを除去するためにカルボキシ末端を切断したフィロウイルス糖タンパク質;並びにムチン様ドメイン、フリン切断部位、融合ペプチドドメイン、コイルドコイルドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを除去するためにカルボキシ末端を切断したフィロウイルス糖タンパク質である。別の例は、ムチン様ドメイン、フリン切断部位、融合ペプチドドメイン、コイルドコイルドメイン、膜貫通ドメイン又は細胞内ドメインを除去するためにアミノ酸欠失、内部欠失又はカルボキシ欠失を有するフィロウイルス糖タンパク質である。
【0048】
本発明のポリペプチドは、任意の従来の手段で生成することができる(Houghten, R.A.,
1985, PNAS, USA, 82:5131-5135)。「同時多重ペプチド合成(SMPS)」法が、Houghten他, 1986に対する米国特許第4,631,211号に記載されている。
【0049】
また、本発明は、本発明の核酸分子を含むベクター、組換えベクターにより遺伝学的に作製された宿主細胞、及び組換え技術によるフィロウイルスポリペプチド又はその断片の生成に関する。
【0050】
ポリヌクレオチドは、宿主における増殖のための選択可能なマーカーを含むベクターと結合することができる。一般的には、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈殿物のような沈澱物に、又は荷電脂質との複合体に導入される。ベクターがウイルスである場合、適切なパッケージング細胞系を使用し、in vitroで封入して、それから宿主細胞に導入することができる。
【0051】
DNAインサートは、λファージPLプロモーター、大腸菌lacプロモーター、trpプロモーター及びtacプロモーター、SV40初期プロモーター、SV40末期プロモーター及びレトロウイルスLTRのプロモーター等の適切なプロモーターと操作可能な状態で連結すべきである。他の好適なプロモーターは当業者に既知であろう。この発現コンストラクトは、転写開始部位及び転写終結部位を有し、転写領域に、翻訳のためのリボソーム結合部位を更に含む。このコンストラクトによって発現した成熟した転写物のコード部分は、翻訳開始部位を先頭に有し、翻訳されるポリペプチドの末端に適切に位置する終止コドン(UAA、UGA、又はUAG)を含むことが好ましい。
【0052】
記載の通り、発現ベクターは少なくとも1つの選択可能なマーカーを含むことが好ましい。このようなマーカーとしては、真核細胞を培養する場合のジヒドロ葉酸還元酵素又はネオマイシン耐性、並びに大腸菌及び他の細菌を培養する場合のテトラサイクリン又はアンピシリン耐性遺伝子が挙げられる。適切な宿主の代表的な例としては、大腸菌、ストレプトミセス及びネズミチフス菌の細胞のような細菌細胞;酵母細胞のような真菌細胞;ショウジョウバエS2及びシロイチモンジョトウSf9細胞のような昆虫細胞;CHO、COS及びBowesメラノーマ細胞のような動物細胞;並びに植物細胞が挙げられるが、これらに限定されない。適切な培養培地及び上記の宿主細胞の条件は当該技術分野で既知である。
【0053】
細菌中で使用するのに好ましいベクターとしては、Qiagen製のpQE70、pQE60及びpQE9;Stratagene製のpBSベクター、ファージスクリプトベクター、ブルースクリプトベクター、pNH8A、pNH16a、pHN18A及びpNH46A;並びにPharmacia製のptrc99a、pKK223−3、pKK233−3、pDR540及
びpRIT5が挙げられる。真核細胞中で使用するのに好ましいベクターは、Stratagene製のpWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1及びpSG;並びにPharmacia製のpSVK3、pBPV、pMSG及びpSVLである。他の好適なベクターは、当
業者に容易に明らかになるであろう。
【0054】
宿主細胞へのコンストラクトの導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン介在トランスフェクション、カチオン性脂質介在トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染又は他の方法により達成することができる。このような方法は、Davis他, Basic Methods In Molecular Biology, 1986のような多
くの標準的な研究室のマニュアルに記載されている。
【0055】
フィロウイルスポリペプチドは、硫酸アンモニウム又はエタノール析出、酸抽出、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィーを含む既知の方法で、組換え細胞培地から回収及び精製することができる。高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)を精製に用いることが最も好ましい。本発明のポリペプチドとしては、天然に精製された産物、化学合成手法による産物、及び例えば、細菌、酵母、高等植物、昆虫及び哺乳類細胞を含む原核生物宿主又は真核生物宿主から、組換え技術によって生成した産物が挙げられる。組換え生成手法で用いた宿主によって、本発明のポリペプチドはグリコシル化されたり、グリコシル化されなかったりする。更に、本発明のポリペプチドはまた、宿主介在性のプロセスの結果としての幾つかの場合、先頭に修飾したメチオニン残基を含むことがある。
【0056】
抗体
抗体(例えば、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、本発明のポリペプチドを特異的に認識するCDR配列を含む化合物を含むヒト化したヒトのCDR移植抗体)及びフィロウイルスGPポリペプチド又はこれらの断片に特異的な他の結合タンパク質もまた、本発明に包含される。「に特異的」という用語は、本発明の抗体の可変領域がフィロウイルスGPポリペプチドを排他的に認識し、結合することを示す(すなわち、ポリペプチド群に見出される配列同一性、配列相同性又は配列類似性にも関わらず、関連のポリペプチドとフィロウイルスGPポリペプチドとを区別することができる)が、抗体の可変領域の外側の配列、及び特に分子の定常領域の外側の配列との相互作用によって他のタンパク質と相互作用する可能性もある。本発明の抗体の結合特異性を決定するスクリーニングアッセイは既知であり、当該技術分野では日常的に行われている。このようなアッセイの包括的な議論に関しては、「Antibodies A Laboratory Manual」(Harlow他編, Cold Spring Harbor Laboratory; Cold Spring Harbor, NY(1988)、第6章)を参照されたい。抗体が上記のように、断片の由来となる本発明のフィロウイルスGP
ポリペプチドに特異的であるならば、本発明のフィロウイルスGPポリペプチドの断片を認識し、結合する抗体も考慮される。本発明の特異的な抗体は、診断目的及び受動免疫に対する有用性を有するように設計される。
【0057】
抗原に対する免疫応答を誘導するための組換えウイルスの使用
本発明は、抗原に対するCD8+T細胞の免疫応答の発生、及びまた抗体反応の誘発に
関する。より詳細には、本発明は、「促進」免疫計画に関する。この計画において、免疫応答は単回の投与、及び初回免疫組成物の投与による誘導された免疫応答を追加免疫組成
物の投与により促進する「プライム・ブースト」免疫計画により誘導される。本発明は、一つの実施形態において、任意の様々な異なるタイプの初回免疫組成物による誘導の後に、適宜、例えばアデノウイルスのような組換えウイルスを、追加免疫組成物として使用することにより、効果的な免疫化を行うことができるという本発明者の実験による実証に基づいている。
【0058】
多くの病原体に対する免疫応答の主要な防御成分は、細胞毒性Tリンパ球(CTL)としても知られている、CD8+型のTリンパ球により仲介されている。CD8+細胞の重要な機能は、インターフェロンγ(IFNγ)の分泌であり、これによりCD8+T細胞免
疫応答の指標が提供される。この免疫応答の第2の成分は病原体のタンパク質に対する抗体である。
【0059】
本発明の一つの実施形態では、例えばアデノウイルスなどの、下記の実験で示すような組換えウイルスであって、様々な異なる初回免疫組成物を使用した抗原によって初回免疫された追加免疫組成物として用いることにより、CD8+T細胞の免疫応答を誘導し、抗
体反応を導く効果的な手段であることが見出されている組換えウイルスを使用している。
【0060】
ヒト血清型5由来の複製欠損性アデノウイルスが、Graham及びその同僚によって、生ウイルスベクターとして開発されている(Graham及びPrevec, 1995, Mol Biotechnol, 3:207-20、Bett他, 1994, PNAS, USA, 91:8802-6)。アデノウイルスは、約36kbの直鎖状二本鎖DNAゲノムを含む、エンベロープを有しないウイルスである。組換えウイルスは、ウイルス複製を可能にする許容細胞系において、強力な真核生物プロモーターと共に目的の遺伝子を含むシャトルベクターとアデノウイルスゲノムプラスミドとの間のin vitro組換えにより、組換えウイルスを構築することができる。許容細胞系を用いることにより高いウイルス力価が得ることが可能であり、得られたウイルスは多様な細胞系に感染することができるが、許容細胞系以外の任意の細胞では複製しないので、安全な抗原輸送系である。組換えアデノウイルスが、ダニ媒介性脳炎ウイルスNS1タンパク質(Jacobs他, 1992, J Virol, 66:2086-95)及び麻疹ウイルス核タンパク質(Fooks他, 1995, Virology, 210:456-65)を含む多くの抗原に対する防御免疫応答を導くことが示されている。
【0061】
注目すべきことに、下記の実験研究により、本発明の実施形態を利用することによって、抗原を発現する組換えアデノウイルスが、DNAワクチンによって初回免疫された追加免疫組成物として、免疫応答を誘導することを可能にすることが実証された。アデノウイルスが筋肉内免疫された後に、CD8+T細胞の免疫化及び抗体反応を誘導することが見
出された。また、初回/追加ワクチン接種計画において、異なる組換えウイルス又は組換えによって生成された抗原によって追加免疫することができる免疫応答を初回免疫することが可能であるように、アデノウイルスのような組換えウイルスが設計される。
【0062】
プラスミドDNAによる初回免疫後の追加免疫組成物として、アデノウイルスのような組換えウイルスで免疫化した非ヒト霊長類は、感染から保護された。組換えアデノウイルス及びプラスミドDNAの両方が、ヒトに使用するのに安全なワクチンである。好都合なことに、本発明者は、単回投与による免疫、場合によっては初回免疫及び追加免疫によるワクチン接種計画を利用することが可能であり、これらは例えばヒトにおける免疫応答を誘導するのに適した一般的な免疫計画を構築し得ることを見出した。
【0063】
本発明は、様々な態様及び実施形態において、抗原に対する免疫応答を誘導するための抗原、場合によっては抗原又は抗原をコードする核酸の事前投与によって初回免疫された免疫応答を追加免疫するための抗原をコードする、アデノウイルスのような組換えウイルスを用いる。
【0064】
本発明の一般的な態様は、抗原に対する免疫応答を誘導、場合によっては追加免疫するための組換えウイルス、例えばアデノウイルスの使用が提供される。
【0065】
本発明の一つの態様は、抗原に対する個体の免疫応答を誘導、場合によっては追加免疫する方法を提供し、該方法は、核酸の発現による個体における抗原生成のための調節配列と操作可能な状態で結合した抗原をコードする核酸を含む、アデノウイルスなどの組換えウイルスを個体に提供し、それによって、抗原に対する免疫応答を誘導するか、又は個体において予め免疫された抗原に対する免疫応答を促進する。
【0066】
プラスミドDNAによる免疫化、病原体の感染、又は組換え技術によって生成された抗原の開発によって、抗原に対する免疫応答の初回免疫をすることができる。
【0067】
本発明の更なる態様は、抗原に対する個体の免疫応答を誘導する方法を提供し、この方法は、抗原或いは抗原をコードする核酸、又は抗原或いは抗原をコードする核酸を含む初回刺激組成物を含む組成物を単回、個体に投与すること、及び、その後核酸の発現による個体における抗原生成のための調節配列と操作可能な状態で結合した抗原をコードする核酸を含む、アデノウイルスなどの組換えウイルスを含む追加免疫組成物を投与することを含む。
【0068】
更なる態様は、開示されるように、抗原に対する免疫応答を誘導、場合によっては促進するために哺乳類に投与するための薬剤の製造における、アデノウイルスなどの組換えウイルスの使用が提供される。このような薬剤は、単回形態の投与用であってもよく、又は抗原或いは抗原をコードする核酸を含む初回免疫組成物の事前投与の後で投与される。
【0069】
誘導、追加免疫又は初回免疫組成物は、アデノウイルスベクター、又は改変ウイルスAnkara(MVA)(Mayr他, 1978, Zentralbl Bakteriol, 167:375-90、Sutter及びMoss, 1992, PNAS, USA, 89:10847-51、Sutter他, 1994, Vaccine, 12:1032-40)、NYVAC(Tartaglia他, 1992, Virology, 118:217-32)、ALVAC(Kanapox, Paoletti他, 1994, Dev Biol Stand, 82:65-9)として知られているような鶏痘或いはカナリア痘等のアビポックスベクター、ヘルペスウイルスベクター、水疱性口内炎ウイルスベクター或いはアルファウイルスベクターのような、複製欠損性株であるワクシニアウイルスベクターといった任意のウイルスベクターを含むことができる。
【0070】
誘導又は初回免疫組成物は、抗原をコードするDNAを含み、このようなDNAは哺乳類細胞において複製できない環状プラスミドの形態であることが好ましい。任意の選択可能なマーカーは、臨床的に使用される抗生物質に耐性があるべきではないので、例えば、カナマイシン耐性がアンピシリン耐性よりも好ましい。抗原発現は、哺乳類細胞において活性なプロモーター、例えばサイトメガロウイルス最初期(CMV IE)プロモーターによって作用されるべきである。
【0071】
特に、本発明の様々な態様における初回免疫及び追加免疫の実施形態において、初回免疫組成物の投与の後に、追加免疫組成物、又は第1及び第2の追加免疫組成物によって追加免疫を行い、該第1及び第2の追加免疫組成物は、同じであっても異なっていてもよい。また、本発明から逸脱することなく、更なる追加免疫組成物を用いることができる。一つの実施形態では、三重の免疫化計画が、DNA、その後、第1の追加免疫組成物としてアデノウイルス、その後、第2の追加免疫組成物としてMVAを用いて行われ、場合によってはその後、更なる(第3の)追加免疫組成物又は同一或いは異なるベクターの一方、他方或いは両方を続けて追加免疫投与する。他の選択肢としては、DNA、その後MVA、その後アデノウイルスを用い、場合によってはその後、同一又は異なるベクターの一方、他方或いは両方を続けて追加免疫投与する。
【0072】
それぞれの初回免疫組成物及び追加免疫組成物(どれだけ多くの追加免疫組成物が用いられたとしても)に含まれる抗原は同一である必要はないが、エピトープは共有すべきである。抗原は、標的となる病原体、細胞又はこれらの断片の完全抗原に対応する。ペプチドエピトープ又はエピトープの人工物が用いられ、抗原における不要なタンパク質配列がより効率的に切り取られ、ベクター配列がコードされる。例えば、Tヘルパー細胞に認識されるエピトープ、中でも異なるHLA型の個体において認識されるエピトープなどの、1つ又は複数のエピトープが更に含まれてもよい。
【0073】
例えばアデノウイルスなどの組換えウイルス内でコードされる抗原の発現調節配列はプロモーターを含む。「プロモーター」とは、DNAの転写が開始されるヌクレオチド配列であって、下流(すなわち、二本鎖DNAのセンス鎖の3’末端方向)が操作可能な状態で結合したDNAであるヌクレオチド配列を意味する。「操作可能な状態で結合した」とは、プロモーターから開始される転写のために適切に位置付けされ、適切な方向性をもって、同様の核酸分子の一部として結合することを意味する。プロモーターと操作可能な状態で結合したDNAは、プロモーターの「転写開始調節下」に置かれる。ターミネーター断片、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子、内部リボソーム認識部位(IRES)及びその他の配列を含む他の調節配列は、当該技術分野において通常の技術を有する者の知識及び技術に従って適切に含まれ得る:例えば、「Molecular Cloning:
a Laboratory Manual」第2版(Sambrook他, 1989, Cold Spring Harbor Laboratory Press)を参照されたい。例えば核酸コンストラクトの調製、突然変異誘発、シーケンシング
、細胞へのDNAの導入、遺伝子発現、及びタンパク質分析などの、核酸の操作における多くの既知の技法及び手順は、「Current Protocols in Molecular Biology」(Ausubel他編, John Wiley & Sons, 1994)に詳細に記載されている。
【0074】
本発明の態様及び実施形態において使用するのに適切なプロモーターとしては、イントロンAを含むか又は含まないサイトメガロウイルス最初期(CMV IE)プロモーター、及び哺乳類の細胞において活性な任意の他のプロモーターが挙げられる。
【0075】
本発明による同時投与に好適なアジュバントは、潜在的に安全で、十分に耐性化され、例えば、QS−21、Detox−PC、MPL−SE、MoGM−CSF、TiterMax−G、CRL−1005、GERBU、TERアミド、PSC97B、Adjumer、PG−026、GSK−1、GcMAF、B−アレチン、MPC−026、Adjuvax、CpG ODN、Betafectin、Alum及びMF59(Kim他, 2000, Vaccine, 18:597及びこの文献中の参考文献を参照のこと)を含む人々に効果的であるものである。
【0076】
投与することができる他の考えられるアジュバントとしては、レクチン、増殖因子、インターフェロンα及びインターフェロンγのようなサイトカイン及びリンフォカイン、血小板由来の増殖因子(PDGF)、顆粒球コロニー刺激因子(gCSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(gMCSF)、腫瘍壊死因子(TNF)、上皮増殖因子(EGF)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−8、IL−10及びIL−12、又はこれらをコードする核酸が挙げられる。
【0077】
追加免疫組成物の投与は、一般的に初回免疫組成物の投与後、数週間又は数ヶ月であり、好ましくは約2〜3週間、約4週間、約8週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間又は約32週間である。
【0078】
好ましくは、単回投与の組成物、追加免疫組成物又は初回免疫組成物の投与によって筋肉内免疫化する。
【0079】
アデノウイルス又はプラスミドDNAの懸濁液を注入するための針を利用することによって、アデノウイルスワクチン又はプラスミドDNAの筋肉内投与を行うことができる。代替的な方法は、ウイルス或いはプラスミドDNAの懸濁液を投与するための無針装置を利用すること(例えば、Biojector(登録商標)を使用して)、又は、低温貯蔵を必要としない個々に調製された一回分の用量が製造されるような、ワクチンを含有する凍結乾燥粉末(例えば、Powderjectの技術及び生成物)を利用することによりなされる。このことは、アフリカの地方で必要とされるワクチンに非常に好都合である。
【0080】
アデノウイルスは、ヒトの免疫化において優れた安全性の実績があるウイルスである。組換えウイルスの生成は簡単に達成することができ、この組換えウイルスは再現可能な方法で大量に生成することができる。従って、組換えアデノウイルスの筋肉内投与は免疫応答によって制御することができる疾患に対するヒトの予防用又は治療用ワクチン接種に非常に好適である。
【0081】
個体は、抗原の輸送及び抗原に対する免疫応答の発生が有効であるか、又は治療に有益な効果を有するような疾患又は疾病を有し得る。
【0082】
最も考えられるのは、投与は、感染又は症状が進行する前に、病原体又は疾患に対する免疫応答を発生するための予防目的を有するということである。
【0083】
本発明によって治療又は予防することができる疾患及び障害としては、免疫応答が防御的又は治療的な役割を果たし得るものが含まれる。
【0084】
本発明によって投与される成分は、薬剤組成物に配合することができる。これらの組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤又は当業者に既知の他の材料を含み得る。このような材料は非毒性であるべきであり、活性成分の有効性を妨げるべきではない。担体又は他の材料の正確な特性は、投与経路、例えば静脈内、皮膚、皮下、粘膜(例えば、腸)内、鼻腔内、筋肉内又は腹腔内経路によって変化し得る。
【0085】
上記のように、皮内、皮下又は筋肉内投与が好ましい。
【0086】
液体の薬剤組成物は、一般的に水、石油、動物油、植物油、鉱油又は合成油のような液体担体を含む。生理食塩水、デキストロース或いは他の単糖類溶液、又はエチレングリコール、プロピレングリコール或いはポリエチレングリコールのようなグリコールが含まれてもよい。
【0087】
静脈内、皮膚或いは皮下注射、又は疾患部位での注射において、活性成分は、ピロゲンを含まず、好適なpH、等張性及び安定性を有する非経口の許容可能な水溶液の形態である。関連分野の当業者は、例えば塩化ナトリウム注入、リンガー注入、乳酸化リンガー注入のような等張性の媒体を使用して、好適な溶液を十分に調製することができる。必要に応じて、防腐剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤及び/又は他の添加剤が含まれてもよい。
【0088】
持続放出性製剤を用いることができる。
【0089】
アデノウイルス粒子の製造及びこのような粒子の組成物への任意の製剤化の後に、この粒子を個体、特にヒト又は他の霊長類に投与することができる。
【0090】
他の哺乳類、例えばマウス、ラット或いはハムスターのような齧歯類、テンジクネズミ、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、ウシ、ロバ、イヌ又はネコに投与してもよい。
【0091】
投与は、「予防に効果的な量」又は「治療に効果的な量」(場合によっては、予防が治療であると考えてもよい)で行うことが好ましく、これは、個体に対して十分な効果を示す量である。実際の投与量、投与速度及び投与の時間経過は、治療するものの特性及び重症度によって変わる。例えば、投薬量の決定等の治療の処方は、一般的な専門家及び他の医師の職責の範囲内であり、又は獣医学的な状況においては獣医師の職責の範囲内である。一般的には、この治療の処方には、治療する疾病、個々の患者の状態、投与部位、投与方法及び専門家に既知の他の因子が考慮される。上記の技術及び手順の例は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第16版, Osol, A.編, 1980)で見出すことができる。
【0092】
1つの好ましい投与計画において、10μg〜50mg/注射の用量でDNAを投与し(好ましくは筋肉内)、続いて5×107〜1×1012個の粒子/注射の用量でアデノウ
イルスを投与する(好ましくは筋肉内)。
【0093】
必要に応じて、活性成分を含む1つ又は複数のユニット投薬形態を有するキット、パック又はディスペンサーにこの組成物を入れることができる。例えば、このキットはブリスターパックのような金属又はプラスチックホイルを含む。キット、パック又はディスペンサーには、投与のためのマニュアルが添付されてもよい。
【0094】
治療する状態に応じて、組成物を単独又は他の治療剤と組み合わせて、同時に又は連続して投与してもよい。
【0095】
非ヒトの哺乳類への投与は、治療目的である必要はないが、目的の抗原に対する免疫応答のメカニズム、例えば、疾患又は病原体に対する防御の研究等といった実験目的で使用してもよい。
【0096】
エボラGPの特異的改変が、非ヒト霊長類におけるワクチン有効性を最大限に高める
rAdベクターを使用して最適なエボラワクチンを開発するために、本発明者はまず、膜貫通ドメインが取り除かれたGPの突然変異形態を分析した。本発明者は、ムチンドメインが欠失することによって細胞毒性が取り除かれることをこれまでに報告しているが(Yang, Z.-Y.他, 2000, Nat Med, 6:886-889)、この欠失は、約200個のアミノ酸を取り
除き、多くの潜在的なT細胞エピトープ及びB細胞エピトープを取り除く。これまでのデータによって、GPのin vitroにおける細胞変性効果は細胞表面又はその近くで仲介され、タンパク質の膜貫通固定を必要とすることが示唆されている(Sullivan, N. J.他, 2005, J Virol, 79:547-553、Takada, A.他, 2000, Virology, 278:20-26、Chan, S.
Y.他, 2000, J Gen Virol, 81:2155-2159)。従って、GPにより誘導される細胞変性効
果をなくす代替的な方法が、推定膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインの26個のアミノ酸の除去によって研究された。
【0097】
膜貫通固定ドメインを欠いた突然変異型GPの免疫防御の低減
野生型のGP(Z)でトランスフェクトした細胞由来の上清とは対照的に、膜貫通ドメインが欠失したベクターΔTM(Z)でトランスフェクトした細胞の上清においてはGPタンパク質の分泌が確認され、GPタンパク質が容易に検出された(図10A)。更に、翻訳後プロセシング(Volchkov, V. E.他, 1995, Virology, 214:421-430、Sanchez, A.他, 1998, J Virol, 72:6442-6447)によって生成する、これまでに定義した2つの形態のGPの合成が同程度のレベルで容易に検出された。野生型のGPとは対照的に、膜貫通ドメインの欠失によって、トランスフェクトした293細胞においてGPによって誘導される細胞変性効果がなくなったが(図10B)、全ΔTM発現は、野生型のタンパク質レベルと同程度であった(図10A)。ザイール株の突然変異型ΔTMが感染性エボラの感染を防御することができるかどうかを判断するために、NP、及びΔTM(Z)又はGP(Z
)のいずれかをコードするrAdベクターでカニクイザルを免疫化した。GP(Z)+NPでの免疫化が、1011個又は1012個のアデノウイルス粒子のいずれかでワクチン化し、その28日後に1,000pfuのエボラウイルスのザイール株で感染された全ての動物を防御した(図11A)。対照的に、ΔTM(Z)ワクチンを受けた動物の生存頻度は減少した。1012個のアデノウイルス粒子でワクチン化した群において、防御免疫が33%低減し、1011個では66%低減したが、このことは、GP+NPに対して、ΔTM+NPでワクチン化した動物における有効性の大幅な低減を示している(p<0.05)。別の実験では、ΔTM単独の1011個の粒子は、感染を防御しなかった。細胞介在性の免疫応答の分析によって、CD4+及びCD8+T細胞応答が免疫化後3週間までに大部分の動物で存在しており(図11B、それぞれ左側のパネル及び真ん中のパネル)、生存率の差との相関がないことが示された。すなわち、細胞内サイトカイン(TNF−α)分泌によって測定した抗原特異的な細胞応答が、GP(Z)でワクチン化した動物とΔTM(Z)でワクチン化した動物との間で区別することができなかったことが示された。同様に、抗エボラGP ELISA IgG力価によって測定した体液性免疫応答は、全てのワクチン化した動物で同程度であった(図11B、右側のパネル)。中和抗体の力価は低く、生存動物の中には存在しないものもいた。これらの結果から、GP膜貫通ドメインの欠失がワクチンの有効性を低減するが、防御との間には容易に明らかな相関関係が無いことが示唆された。
【0098】
GP及びNPをコードするrAdワクチンによる防御に必要な防御ワクチンの最小用量の決定
これまでの実験において、1012個のrAd粒子を使用したこれまでの研究と比較して、GP(Z)+NPワクチン用量の対数的な減少には防御効果があった。エボラ感染に対する防御を付与するアデノウイルスベクターの最小用量を決定するために、用量−応答分析を行った。動物1個体につき、粒子を109から1012個に増加しつつ、GP(Z)及
びNPをコードするrAdベクターで動物を免疫化した。1010個以上の用量を受けた全ての群で生存率が100%である一方で、109個の用量の群では侵入感染が一様に致死
的であった(図12A)。ベロ細胞でのプラークアッセイによるウイルス単離が全ての生存動物に関して陰性であった。免疫化したカニクイザルに関してこれまで報告されているように、TNF−αに対する感染前のCD4+T細胞応答は目立ったものではなかった(
図12B)。1012個のrAd粒子で免疫化した高い応答を示したサンプルを除いて、CD8+T細胞応答は、様々なワクチン用量の群にわたって同程度であった。抗原特異的な
IgGもまた、免疫化した動物で生成し、このレベルは、エボラウイルスの感染から生存した群の動物の間では同程度であった(図12C、左側)。しかし、1010個のrAd粒子で免疫化した生存サンプルと109個のrAd粒子で免疫化した死滅サンプルとの間の
IgGレベルにおいて1対数より大きい差が存在し(p=0.004)、これにより、この免疫化において、このような用量レベルが防御と相関し得ることが示された。GPに対する中和抗体の力価は、生存サンプルと死滅サンプルとの間で有意な差はなかった(図12C、右側)。これらの結果によって、免疫防御の閾値が約1010個以下のrAd粒子であることが示された。従って、様々な免疫原間の抗原強度の差を検出可能なように感受性を増大するために、この用量を使用してこの後の実験を行った。
【0099】
効果的な免疫防御を与えるin vitro細胞毒性が低減した点突然変異GPの同定
本発明者は、in vitroで発現したときに、細胞変性効果は示さないが、自然の抗原構造を維持する他の突然変異GPの同定を試みた。GPの比較的保存的な領域を同定し、点突然変異を系統的に導入した。細胞の円形化の誘導が低減しているが、発現レベル及び構造依存性の抗体との反応性は野生型と同レベルである、単独のアミノ酸変異を有するGPタンパク質をスクリーニングした。ザイール又はスーダン/グル亜種(それぞれ、E71D(Z)、E71D(S/G))由来のエボラGPの位置71におけるグルタミン酸のアスパラギン酸への置換が、トランスフェクトした293細胞における細胞の円形化
の表現型を無効にしたが、タンパク質発現、又は結合特性がタンパク質構造の変化に対して感受性である抗体との反応性は変わらなかった(図14)。
【0100】
単独又はNPと組み合わせて、突然変異E71Dの防御免疫を誘導する能力を評価した。ザイール及びスーダン−グル由来のE71DをNPと組み合わせたとき、これらの群のうち免疫化したカニクイザルの生存率は、それぞれ33%及び66%低減した(図13A)。対照的に、E71D(Z)及びE71D(S/G)で免疫化した動物においては、野生型のGP(Z)及びNPを受けた動物のような完全な防御が達成された。TNF−αの細胞内染色によって検出されたTリンパ球のエボラGP特異的な応答は、異なる免疫化群間のCD4+集団において統計的に有意な差を示さなかった(図13B、左側のパネル)
。同様に、抗原特異的なCD8+の細胞応答がより低い群において生存率が低減する傾向
があったが、CD8+応答の個体差は生存率と相関がなかった(図13B、真ん中のパネ
ル)。抗原特異的なELISA IgGもまた、全ての免疫化した動物において刺激された(図13B、右側のパネル)。この実験の結果から、NPはエボラ感染に対する防御免疫に必須でない可能性があること、及び最低限の防御ワクチン用量で、改変したGP免疫原と組み合わせたとき、防御が低減されることが示された。
【0101】
エボラウイルスの大発生は、治療の選択肢又は認可されたワクチンが存在しないということから、高い致死率の原因となる。DNAによる初回免疫及びrAdベクターによる追加免疫の両方、並びにrAd単独は、ヒトの疾患と非常に類似している動物モデルにおける致死的な感染に対する防御を付与することができる(Geisbert, T. W.他, 2003, Am J Pathol, 163:2347-2370)。rAdベクターワクチンは、非ヒトの霊長類における促進ワク
チン計画において防御を付与する(Sullivan, N. J.他, 2003, Nature, 424:681-684)。in vitroにおける細胞変性が、ワクチン成分の1つであるエボラGPの過剰発現によって観察されているが、エボラGPを発現するベクターによってワクチン化された動物において細胞毒性は確認されなかった。しかし、この仮想上の合併症が引き起こされたので、本発明者は、防御免疫に必要な抗原特性を維持しながら、in vitroにおける細胞変性を阻害するためにGPを改変することを試みた。ここで、促進ワクチンモデルにおける防御の閾値の用量で使用することにより、異なる形態のGPの有効性を評価した。本発明者は、エボラ感染に対する防御に必要な免疫原性を維持し、in vitroにおける細胞変性が低減しているワクチンを同定した。
【0102】
本発明者は、代替的な形態のGPが異なる免疫保護を与えることを見出した。GP膜貫通ドメインの除去によって、トランスフェクトした293細胞における細胞変性効果が阻害されたが、対応するΔTM(Z)ワクチンは、非ヒトの霊長類における感染の防御において野生型GP(Z)より有効性が低い。細胞性及び体液性免疫応答は、異なる免疫原形態である群の間で区別不可能であったが、非近交系マカクにおける応答を定量化する際の固有の変動が、高い生存率に関与する免疫応答を同定する能力をあいまいにしている可能性がある。或いは、ΔTM(Z)は、抗原量において野生型GP(Z)と異なることがあり、この量は、抗原特異的な全IgG、又は広いペプチドプールによって刺激される細胞内サイトカイン応答の測定によっては捕捉されない。例えば、膜貫通が欠失したタンパク質は分泌され、膜に固定されたタンパク質とは異なる構造を示す可能性がある。膜接着及びより自然なエンベロープ構造を維持するための糖タンパク質の更なる改変によって、in vitroにおける細胞変性が低減した、突然変異型E71Dがもたらされる。近年、GPのこの領域がウイルス受容体結合に寄与することが示唆されている(Manicassamy, B.他, 2005, J Virol, 79:4793-4805)。HIV等の他のウイルスのエンベロープ糖タンパク質の細胞変性は、受容体結合及び融合に関連していることは特筆すべきことであり(Cao, J他, 1996, J Virol, 70:1340-1354)、エボラGPが同様の特性を共有している可能性
が高まっている。
【0103】
進行中のエボラウイルス及びマールブルグウイルスの両方の大発生は、ヒトに用いられるフィロウイルスワクチンの開発の重要性を示している。この報告は、エボラ感染に対する防御免疫が、単一のタンパク質、GPに対する抗原特異的な免疫応答の発生によって、非ヒトの霊長類において達成されることを示しており、このGPはin vitroにおける細胞変性効果を無効にするように改変されていることを示している。それ以後、促進ワクチン戦略が水疱性口内炎ウイルス(VSV)ベクター(Jones S. M.他, 2005, Nat Med, 2005年6月5日にオンライン上で公開)を使用して繰り返されており、エボラに対するワクチンの有効性を示している。しかし、VSVが複製可能であり、動物において病原性であるウイルス由来であることから、ヒトのワクチンとしてのVSVの使用に関する懸念が存在する。対照的に、rAdベクターワクチンは複製せず、高い収率で生成することができ、この基本骨格に関して安全なデータが存在する。免疫化は、1010個のrAd粒子の単回注入によって行われ、この用量は、この単回注入のワクチンに関してこれまでに報告されたものよりも2桁低い用量である。このような用量のrAdベクターが、in
vivoにおいて他の組換え遺伝子に対して十分に耐性化及び免疫化されることが証明され、単独、又はDNA初回免疫/rAd追加免疫の組合せにおいて、ここで報告されたベクターに関して評価することができることが証明された。1010個のE71D(Z)+E71D(S/G)のrAd粒子による免疫化は、エボラザイールによる感染に対して効果的であり、防御にNPを必要としなかった。ワクチンからNPを取り除き、rAd粒子の用量を1010個まで減少させても防御は低減されず、これにより将来的に、臨床試験におけるワクチンの開発が簡単になった。
【実施例】
【0104】
[実施例1]
ベクター構築及びトランスフェクション
基本的には、他で記載されているように(Havenga, M. J.他, 2001, J Virol, 75:3335-3342)、コスミドpWE.Ad.AfllII−rITRΔE3と共にpBR322系ア
ダプタープラスミドpAdAptを使用して、E1/E3欠失、複製欠損性Ad5ベクターをPER.C6(登録商標)細胞で生成した(Fallaux, F. J.他, 1998, Hum Gene Ther, 9:1909-1917)。このアダプタープラスミドは、Ad5ゲノムの左側部分(ヌクレオチド1〜454)、続いて転写制御因子及びアダプターAd5のDNA領域(Ad5のヌクレオチド3511〜6095)を含んでいた。エボラGPをコードする遺伝子を、ヒト全長最初期CMVプロモーター及びSV40ポリアデニル化信号の転写制御下にあるアダプタープラスミドにおける発現カセットへクローニングした。リポフェクトアミン(Invitrogen)を使用して、Ad5ゲノムの右側部分のタンパク質を含む線状化コスミドpWE.Ad.AfllII−rITRΔE3と共に線状化pAdAptエボラGPプラスミドをPER.C6(登録商標)細胞へコトランスフェクションすることによって、エボラGP、GPΔTM及び点突然変異を含むアデノウイルスが生成した。PER.C6(登録商標)細胞を、10%ウシ胎児血清(GIBCO)を添加したDMEMで培養し、腐植雰囲気及び10%
CO2下において37℃でインキュベートした。相同組換えによって、rAd5エボラG
Pウイルスの生成がもたらされた。粗溶解物におけるアデノウイルスベクターを、限界希釈法及び寒天重層法を使用してプラーク精製して、Adベクタークローンにおけるトランス遺伝子の存在及び発現を分析した。陽性クローンを、48個の3×175cm2の3層
フラスコにおけるPER.C6(登録商標)細胞を使用して増殖させ、大量生産した。標準的な2段階のCsCl勾配超遠心によりウイルスを精製し、続いて、脱塩し、2.5%のグリセロールを含むpH8.0のTRIS−Clへ3回連続透析を行った。精製したAdベクターを単回用のアリコートとして−80℃で保存した。ウイルス粒子(vp)の力価は、記載の手順(Shabram, P. W.他, 1997, Hum Gene Ther, 8:453-465)に基づいたアニオン交換高速液体クロマトグラフィーによって測定した。感染性は、911細胞を使用したTCID50によって試験した。エボラGPの発現は、A549細胞の感染、その後のウエスタンブロット法による培養溶解物の分析によって試験した。精製したベクターの同
定をPCRによって行った。p1012、pGP及びpΔTM発現ベクター、並びに点突然変異体は、これまでに記載されているCMVエンハンサープロモーターを含む(Sullivan, N. J.他, 2000, Nature, 408:605-609)。pΔTMはアミノ酸651〜676の欠失を含み、BspMI/Klenowによる消化、TGAとの融合により作製される。得られたプラスミドはまた、C末端に4つの追加のアミノ酸を含んでいた(MAAS)。293ヒト胚腎臓細胞は10%ウシ胎児血清(GIBCO)を添加したDMEMで培養した。タンパク
質発現及び細胞円形化を測定するためのトランスフェクトは、製造業者のマニュアルに従って、リン酸カルシウム(Invitrogen)を使用して、1つのウェルにつきDNA2μgを有する6ウェルプレート上の293細胞において行った。タンパク質発現は、SDS−PAGE、それに続いて、A. Sanchezの好意によって提供されたGP特異的な抗体を用いたウエスタンブロット法によって評価した。
【0105】
動物研究及び安全性
Covanceから得られた3〜5歳齢で体重2〜3kgのカニクイザル(M. fascicularis)を免疫化及び感染実験に使用した。個別に飼育したサルを、血液試料を得るため、及びワクチンを投与するためにケタミンで麻酔した。この研究を行うに際して、研究者は、研究用動物資源協会の米国学術研究会議により発行された「実験動物の管理と使用に関する指針」(National Academy Press, Washington, D. C., 1996)に従った。この機構は、国際
実験動物管理公認協会の認証を完全に所得している。これらは、実験動物の管理と使用に関する指針(DHEW番号 NIH86〜23)により常に充実させられている。エボラウイルス感染の前、及び各実験の終わりに、動物を高度に密閉された実験室(BSL−4)で維持し、毎日試料を与えて観察した。
【0106】
カニクイザルの免疫化及び感染
示された用量で1.0mlの等量の免疫原の混合物をマカク属カニクイザルに筋肉内注射した。初回免疫化の4週間後、約1,000PFUのEBOV(ザイール種)の標的用量を含んだウイルスストック0.5mlを尾側の左側又は右側大腿部に接種することによって、ウイルス感染を行った。アデノウイルスワクチン接種の副作用は全く見られなかった。この研究で使用したエボラウイルスは、1995年に旧ザイールにおいて致命的な感染を受けたヒトから得られた(Jahrling, P. B.他, 1996, Arch Virol Suppl, 11:135-140)。ウイルス注入及びELISAによる力価測定のための血清及び血液の採取は前述のよ
うに行った(Sullivan, N. J.他, 2000, Nature, 408:605-609)。
【0107】
フローサイトメトリー及び抗体
トランスフェクトした細胞を、PBS(3mMのEDTA)を用いてインキュベートした後に回収し、対照Ig又はウサギ抗sGP/GP血清(一般的にDr. A. Sanchezにより提供される)を用いて30分間、氷上でインキュベートした。この細胞を、2.5%ウシ胎児血清を含む氷冷PBSで2回洗浄し、FITC接合二次抗体又はPE接合二次抗体(
それぞれ、Jackson ImmunoResearch Laboratories及びSigma)を用いて30分間、氷上で
インキュベートし、その後洗浄した。分析を、Becton Dickinson 4−color Caliburフローサイトメトリー及びFlowJo分析ソフトウェア(Tree Star, Inc)を使用して行った。
【0108】
ELISA
Nunc−Immuno Maxisorpプレート(Nunc, Rochester, NY)を293
細胞上清由来のエボラGPでコーティングし、使用まで4℃でインキュベートした。全ての更なるインキュベーションを室温で行った。それから、Tween20を含むPBSでプレートを6回洗浄した。試験血清をTween20及び1%ウシ胎児血清を含むPBSで希釈し、Agでコーティングしたウェルと60分間反応させた。プレートを6回洗浄後、セイヨウワサビペルオキシダーゼと接合したヤギ抗ヒトIgG(H+L、Chemicon, Te
mecula, CA)を検出抗体として使用した。結合したIgGをSigma Fast o−Phenylenediamine Dihydrochloride Tablet Sets(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)で検出し、最適な濃度を決定した。この試験を行うたびに通常の血清でも試験した。
【0109】
中和抗体分析
エボラGP(Z)偽レンチウイルスビリオンを前述のように生成した(Yang, 2004, J Virol, 78:5642-5650)。つまり、293T細胞を10cm径の組織培養皿にまいて、次の
日にリン酸カルシウム試薬(Invitrogen)を用い、pCMVΔR8.2、pHR’CMV−Luc及びCMV/RエボラGP(Z)プラスミドDNAでトランスフェクトした。細胞を一晩トランスフェクトし、洗浄して、新鮮な培地を補充した。48時間後、偽ウイルスを含む上清を回収し、0.45μm径のシリンジフィルターで濾過して、一定分量で−80℃で保存した。感染の1日前に24ウェルプレートにまいたHUVEC(Cambrex、CC−2517)で中和試験を行った。ウイルスストックを、免疫化したマカク属カニクイザ
ル由来の血清の存在下で1時間、37℃でインキュベートした。培養培地を取り除き、最終濃度5ug/mLのポリブレン(Sigma-Aldrich、107689)の存在下で、ウイルス
/血清培地に置き換えた。感染72時間後、細胞を溶解し、Luciferase Assay System(Promega、E1501/E1531)で試験した。Turner Biosystems製のVeritas Microplate Luminometerを使用して、ルシフェラーゼ活性を測定した。
【0110】
細胞内のサイトカイン分析
Ficollによる分離によってマカク属カニクイザルの全血サンプルから末梢血液モノクローナル細胞(PBMC)を単離した。約1×106個の細胞が、抗CD28及び抗
CD49d抗体、ブレフェルジンA、並びにDMSO又はエボラGPザイール(マインガ株)のオープンリーディングフレームの15merにわたるペプチドのプールのいずれかと、37℃で6時間、RPMI培地(GIBCO)200μlにおいて刺激した。このペプチド
は、最終濃度2μg/mlで全エボラ糖タンパク質と11merで重複した15merのペプチドであった。細胞を固定し、Tween20を添加したFACS Lyse(Becton Dickinson)で膜透過可能にし、系統マーカー(CD3−PE、CD4−PerCP、CD8−FITC)及びTNF−APCのいずれかに対する抗体の混合物で染色した。サンプルをFACS Calibur又はFACS Ariaにかけ、FlowJoソフトウェアを使用して分析した。前方散乱対側方散乱を利用したリンパ球に対する正のゲーティングに続いて、CD3+/CD8-及びCD3+/CD4-ゲーティングが起こり、更に特異的な集団を抗CD4及び抗CD8の明瞭性によって定義した。個々のこれらのリンパ球サブセット内の割合としてサイトカイン陽性細胞を定義し、それぞれのサンプルで少なくとも200,000個を分析した。
【0111】
本発明を明瞭にし、理解する目的のために、本発明が詳細に記載されているが、当業者は、本発明の実際の範囲から逸脱することなく形態及び詳細に様々な変更を行うことができることを理解するであろう。上記の全ての図、表及び補足、並びに特許、出願特許及び公開特許が参照により本明細書中に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1A】VRC6612(pCMV/R−エボラ GP(S/G)(G〜A)/h)のコンストラクト図である(表2のヒトのコドン最適化エボラ/マールブルグプラスミドを参照のこと)。
【図1B】VRC6612のヌクレオチド配列(配列番号1)を示す図である。
【図1B−1】VRC6612のヌクレオチド配列(配列番号1)を示す図である。
【図1B−2】VRC6612のヌクレオチド配列(配列番号1)を示す図である。
【図2A】VRC6615(pCMV/R−エボラ GP(Z)(全長G〜A)/h)の構成図である(表2のヒトのコドン最適化エボラ/マールブルグプラスミドを参照のこと)。
【図2B】VRC6615のヌクレオチド配列(配列番号2)を示す図である。
【図2B−1】VRC6615のヌクレオチド配列(配列番号2)を示す図である。
【図2B−2】VRC6615のヌクレオチド配列(配列番号2)を示す図である。
【図3A】VRC6613(pCMV/R−エボラ GP(S/G)(E〜D)/h)の構成図である(表2のヒトのコドン最適化エボラ/マールブルグプラスミドを参照のこと)。
【図3B】VRC6613のヌクレオチド配列(配列番号3)を示す図である。
【図3B−1】VRC6613のヌクレオチド配列(配列番号3)を示す図である。
【図3B−2】VRC6613のヌクレオチド配列(配列番号3)を示す図である。
【図4A】VRC6616(pCMV/R−エボラ GP(Z)(全長E〜D)/h)の構成図である(表2のヒトのコドン最適化エボラ/マールブルグプラスミドを参照のこと)。
【図4B】VRC6613のヌクレオチド配列(配列番号4)を示す図である。
【図4B−1】VRC6613のヌクレオチド配列(配列番号4)を示す図である。
【図4B−2】VRC6613のヌクレオチド配列(配列番号4)を示す図である。
【図5A】VRC6712(pCMV/R−マールブルグ/アンゴラ GP/h)の構成図である(表2のヒトのコドン最適化エボラ/マールブルグプラスミドを参照のこと)。
【図5B】VRC6712のヌクレオチド配列(配列番号5)を示す図である。
【図5B−1】VRC6712のヌクレオチド配列(配列番号5)を示す図である。
【図5B−2】VRC6712のヌクレオチド配列(配列番号5)を示す図である。
【図6A】VRC6713(pCMV/R マールブルグ/アンゴラ GP(G102A)/h)の構成図である(表2のヒトのコドン最適化エボラ/マールブルグプラスミドを参照のこと)。
【図6B】VRC6713のヌクレオチド配列(配列番号6)を示す図である。
【図6B−1】VRC6713のヌクレオチド配列(配列番号6)を示す図である。
【図6B−2】VRC6713のヌクレオチド配列(配列番号6)を示す図である。
【図7A】pAdApt.Ebo.GP.FL.(Z).E71D(アデノウイルスアダプタープラスミド−エボラ/ザイールGP(全長E71D)/h)を示す図である。
【図7B】pAdApt.Ebo.GP.FL.(Z).E71D(配列番号7)のヌクレオチド配列を示す図である。大文字はコード配列Ebo.GP.FL.(Z).E71Dであり、箱で囲まれた領域はE71D突然変異を示し、クローン化で使用される制限部位配列は太字にされ下線が付されている。
【図7B−1】pAdApt.Ebo.GP.FL.(Z).E71D(配列番号7)のヌクレオチド配列を示す図である。大文字はコード配列Ebo.GP.FL.(Z).E71Dであり、箱で囲まれた領域はE71D突然変異を示し、クローン化で使用される制限部位配列は太字にされ下線が付されている。
【図8A】pAdApt.Ebo.GP.FL.(S/G).E71D(アデノウイルスアダプタープラスミド−エボラ/(スーダン/グル)GP(全長E71D)/h)を示す図である。
【図8B】pAdApt.Ebo.GP.FL.(S/G).E71D(配列番号8)のヌクレオチド配列を示す図である。大文字はコード配列Ebo.GP.FL.(S/G).E71Dであり、箱で囲まれた領域はE71D突然変異を示し、クローン化で使用される制限部位配列は太字にされ下線が付されている。
【図8B−1】pAdApt.Ebo.GP.FL.(S/G).E71D(配列番号8)のヌクレオチド配列を示す図である。大文字はコード配列Ebo.GP.FL.(S/G).E71Dであり、箱で囲まれた領域はE71D突然変異を示し、クローン化で使用される制限部位配列は太字にされ下線が付されている。
【図9】エボラウイルスGPを示す概略図である。GPのGP1サブユニット及びGP2サブユニットは、正確な縮尺で示している(残基数はこの図の下に示している)。シグナル配列、保存システイン残基(S)、ムチン様領域(O−連結グリコシル化の領域)、フリン切断部位、融合ペプチド、コイルドコイルドメイン、及び膜貫通ドメインの位置が示されている。
【図10A】GPの細胞変性効果の除去及び膜貫通タンパク質の発現を示す図である。293細胞でのGP(ΔTM)の発現を示す。上清からのエボラGPタンパク質及び(A)における細胞溶解物を、エボラGPに対するポリクローナル抗体を使用して、SDS−PAGE及びウエスタンブロット法によって可視化した。
【図10B】GPの細胞変性効果の除去及び膜貫通タンパク質の発現を示す図である。GP(ΔTM)による細胞円形化の除去を示す。293細胞は、対照ベクター、エボラGP、又はエボラGP(ΔTM)をコードするプラスミドでトランスフェクトされた。細胞単層をNikon40Xの対物レンズを使用して位相差下で可視化し、トランスフェクト後24時間で撮影した。
【図11A】エボラウイルスの感染に対する防御についてのGPとGP(ΔTM)との相対的な有効性を示す図である。指示するように免疫化し、免疫化後1ヶ月、1,000PFUのエボラウイルス(1995年のザイール亜種)で感染したマカクのKaplan−Meier生存曲線を示す。x軸は感染後に経過した週を示す。GP(Z)+NP(1012個)群(n=4)、及び対照群(n=1)を除いて、様々な免疫化群においてn=3である。
【図11B】エボラウイルスの感染に対する防御についてのGPとGP(ΔTM)との相対的な有効性を示す図である。免疫化した動物における免疫応答を示す。左側のパネル及び真ん中のパネル:細胞内のフローサイトメトリーを行い、指示するように免疫化した動物から、それぞれエボラ特異的なCD4+リンパ球又はCD8+リンパ球からのTNF−α産物を定量した。免疫応答は免疫化後3週間で測定した。円形、ダイヤモンド形、四角形、三角形:それぞれの動物に対する応答。水平線:免疫化群における個体の応答の平均。結果としては、ゲート化したリンパ球群で正の割合のサイトカインを示し、バックグラウンド刺激(DMSO単独)がそれぞれのサンプルから差し引かれている。右側のパネル:免疫化後3週目に採取したワクチンを接種した動物の血清におけるエボラGP特異的な抗体のELISA力価。ELISAの結果は、実施例1で示される光学濃度で測定された最終希釈力価を表す。
【図12A】アデノウイルスベクターワクチンによって感染されたエボラウイルスに対する免疫防御の最も低いワクチン用量の測定を示す図である。マカクのKaplan−Meier生存曲線:図11Aのような1995年ザイール亜種エボラウイルスで免疫化及び感染を行った。
【図12B】アデノウイルスベクターワクチンによって感染されたエボラウイルスに対する免疫防御の最も低いワクチン用量の測定を示す図である。免疫化した動物における免疫応答を示す。細胞内のフローサイトメトリーを行い、指示するように免疫化した動物から、それぞれエボラ特異的なCD4(左側のパネル)リンパ球又はCD8(右側のパネル)リンパ球からのTNF−α産物を定量した。免疫応答は免疫化後3週間で測定した。円形、ダイヤモンド形、四角形:それぞれの動物に対する応答。水平線:免疫化群における個体の応答の平均。結果としては、ゲート化したリンパ球群で正の割合のサイトカインを示し、バックグラウンド刺激(DMSO単独)がそれぞれのサンプルから差し引かれている(独立スチューデントt検定を使用して得られたp値。n.s.=有意差なし)。
【図12C】アデノウイルスベクターワクチンによって感染されたエボラウイルスに対する免疫防御の最も低いワクチン用量の測定を示す図である。免疫化した動物における抗体反応を示す。抗GP ELISA力価(左側のパネル)及び血清中和抗体反応(右側のパネル)を実施例1に記載されるように測定した。
【図13A】野生型の糖タンパク質ワクチン及び致命的なエボラウイルスの感染に対する点突然変異の糖タンパク質ワクチンの有効性の比較を示す図である。マカクのKaplan−Meier生存曲線:図11Aのような1995年ザイール亜種エボラウイルスで免疫化及び感染を行った。
【図13B】野生型の糖タンパク質ワクチン及び致命的なエボラウイルスの感染に対する点突然変異の糖タンパク質ワクチンの有効性の比較を示す図である。免疫化した動物における免疫応答を示す。左側のパネル及び真ん中のパネル:細胞内のフローサイトメトリーを行い、指示するように免疫化した動物から、それぞれエボラ特異的なCD4リンパ球又はCD8リンパ球からのTNF−α産物を定量した。免疫応答は免疫化後3週間で測定した。円形、ダイヤモンド形、四角形:それぞれの動物に対する応答。水平線:免疫化群における個体の応答の平均。結果としては、ゲート化したリンパ球群で正の割合のサイトカインを示し、バックグラウンド刺激(DMSO単独)がそれぞれのサンプルから差し引かれている。右側のパネル:免疫化後3週目に採取したワクチンを接種した動物の血清におけるエボラGP特異的な抗体のELISA力価。ELISAの結果は、実施例1で示される光学濃度で測定された最終希釈力価を表す。
【図14A】単一点突然変異によるGPの細胞変性効果の除去を示す図である。293細胞での点突然変異の発現を示す。上清からのエボラGPタンパク質及び(A)における細胞溶解物を、エボラGPに対するポリクローナル抗体を使用して、SDS−PAGE及びウエスタンブロット法によって可視化した。
【図14B】単一点突然変異によるGPの細胞変性効果の除去を示す図である。構造依存性の抗体による点突然変異の反応性を示す。293細胞は、対照プラスミド(Con)、野生型を発現するプラスミド(GP(Z))、又は突然変異タンパク質を発現するプラスミド(E71D(Z))でトランスフェクトした。トランスフェクト後18時間で細胞を採取し、GP特異的な抗体で染色して、細胞表面のGP発現をフローサイトメトリーによって分析した。
【図14C】単一点突然変異によるGPの細胞変性効果の除去を示す図である。位置71でのアミノ酸置換による細胞円形化の除去を示す。293細胞は、対照ベクター、ザイール由来の野生型のエボラ糖タンパク質(GP(Z))、スーダン−グル由来の野生型のエボラ糖タンパク質(GP(S/G))、又はこれらのそれぞれの点突然変異型(E71D(Z))、E71D(S/G)をコードするプラスミドでトランスフェクトした。細胞単層をNikon40Xの対物レンズを使用して位相差下で可視化し、トランスフェクト後24時間で撮影した。
【図15】GP(Z)E71D/NPで免疫化したNHPにおいて生じた細胞内免疫応答を示す図である。
【図16】GP(Z)E71D/NPで免疫化したNHPにおいて生じた体液性免疫応答を示す図である。
【図17】野生型GPと点突然変異免疫原との有効性の比較を示す図である。
【図18】単一点突然変異によるGP細胞変性効果の除去を示す図である。位置71又は位置102でのアミノ酸置換による細胞円形化の除去を示す。293個の細胞は、対照ベクター、野生型のエボラザイール糖タンパク質、WT GP、点突然変異型71E/D、102G/A、138V/A、又は膜貫通ドメインが欠失した突然変異型、ΔTMをコードするプラスミドでトランスフェクトした。細胞単層をNikon40Xの対物レンズを使用して位相差下で可視化し、トランスフェクト後24時間で撮影した。細胞円形化が残基71又は残基102の突然変異、及び膜間欠失によって取り除かれる。
【図19】GPにおける単一点突然変異及び中和抗体との反応性の維持を示す図である。点突然変異の構造依存性の抗体との反応性を示す。293細胞は、対照のプラスミドタンパク質(点線)、野生型エボラGP(WT GP)又は突然変異型(71E/D 102G/A)を発現したプラスミドタンパク質(実線)でトランスフェクトした。トランスフェクト後18時間で細胞を採取し、GP特異的な中和抗体で染色して、細胞表面のGP発現をフローサイトメトリーによって分析した。
【図20】エボラザイールGPのアミノ酸配列(配列番号9)を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
野生型フィロウイルス糖タンパク質(GP)のin vitroにおける細胞毒性及び免疫原性と比べて、in vitroにおける細胞毒性が低減され、免疫原性が維持された、GPの比較的保存的な領域において少なくとも1つのアミノ酸変異を有する変異フィロウイルスGPをコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子。
【請求項2】
前記アミノ酸変異が保存的なシステイン残基を除いたN末端ドメインに位置し、例示的にエボラザイールGPのアミノ酸位置50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299又は300に位置するか、或いは他の種類のGPにおいてこれらに対応するアミノ酸位置に位置する、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項3】
前記アミノ酸変異が、例示的に、エボラザイールGPのアミノ酸位置71又は102に位置するか、或いは他の種類のGPにおいてこれらに対応するアミノ酸位置に位置する、請求項2に記載の核酸分子。
【請求項4】
前記アミノ酸変異が、例示的に、エボラザイールGPのE71D又はG102Aであるか、或いは他の種類のGPのこれらに対応するものである、請求項3に記載の核酸分子。
【請求項5】
前記変異フィロウイルスGPが配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のインサート、或いはこれらと少なくとも95%相同である配列によってコードされる、請求項4に記載の核酸分子。
【請求項6】
前記変異フィロウイルスGPをコードするポリヌクレオチドが配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のインサート、或いはこれらと少なくとも95%相同である配列から得られる配列を有する、請求項5に記載の核酸分子。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の核酸分子によってコードされる変異フィロウイルスGP。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の核酸分子を含むプラスミドDNA。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載の核酸分子を含む組換えウイルス。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかに記載の核酸分子を含むアデノウイルス。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれかに記載の核酸分子又は請求項7に記載の変異フィロウイルスGPを、治療効果のある用量で含む薬学的組成物。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれかに記載の核酸分子又は請求項7に記載の変異フィロウイルスGPを、予防効果のある用量で含むワクチン組成物。
【請求項13】
アジュバントを更に含む、請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項14】
請求項7に記載の変異フィロウイルスGPと特異的に反応する抗体。
【請求項15】
霊長類において抗原に対する免疫応答を促進する方法であって、霊長類に対して請求項7に記載の変異フィロウイルスGP又は請求項9に記載の組換えウイルスを供給することを含み、それにより霊長類において予め感作された抗原に対する免疫応答を促進する方法。
【請求項16】
霊長類において抗原に対する免疫応答を誘導する方法であって、霊長類に対して請求項1〜6のいずれかに記載の核酸分子又は請求項7に記載の変異フィロウイルスGPを供給することを含み、それにより霊長類において抗原に対する免疫応答を誘導する方法。
【請求項17】
霊長類において抗原に対する免疫応答を誘導する方法であって、霊長類に対して請求項1〜6のいずれかに記載の核酸分子又は請求項7に記載の変異フィロウイルスGPを含む誘導組成物を供給すること、及び抗原又は該抗原をコードする組換えウイルスを含む促進組成物を供給することを含む方法。
【請求項18】
前記霊長類がヒトである、請求項15〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜6のいずれかに記載の核酸分子を作製する方法であって、アダプタープラスミドの調製及びウイルスゲノムとの組換えを行うことにより、請求項1〜6のいずれかの核酸分子から成る組換えウイルスを生成する方法。
【請求項20】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8、或いは変異又は野生型のフィロウイルスGPをコードするそれらのインサートを有する核酸分子。

【図1A】
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【図1B】
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【図1B−1】
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【図1B−2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2B−1】
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【図2B−2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3B−1】
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【図3B−2】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4B−1】
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【図4B−2】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5B−1】
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【図5B−2】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6B−1】
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【図6B−2】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7B−1】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8B−1】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2008−514203(P2008−514203A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533758(P2007−533758)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/034798
【国際公開番号】WO2006/037038
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(502354111)アメリカ合衆国 (8)
【出願人】(507098210)クルーセル ホーランド ビー.ブイ. (1)
【Fターム(参考)】