説明

エマルジョン生成方法及びエマルジョン生成装置

【課題】乳化剤を用いることなく溶解しない2流体を良好にエマルジョン化させるためのエマルジョン生成装置及びエマルジョン生成方法を提供すること。
【解決手段】本発明では、溶解しない2流体をエマルジョン化させるためのエマルジョン生成方法において、2流体を同時に通過させたベンチュリー管の出口に超音波霧化した微細水蒸気気泡を吐出することにした。また、本発明では、溶解しない2流体をエマルジョン化させるためのエマルジョン生成装置において、2流体を貯留するタンクに2流体を吸引及び排出するための循環流路を形成し、循環流路の中途部にポンプを介設するとともに、循環流路の排出口にベンチュリー管を配設し、ベンチュリー管の出口に微細水蒸気気泡を発生させる超音波霧化器を接続することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶解しない2流体をエマルジョン化させるためのエマルジョン生成方法及びエマルジョン生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、化粧品や食品などの製造においては、水と油などの溶解しない2流体をエマルジョン化させる工程が必要となる場合があった。
【0003】
そのエマルジョン化工程では、主に、水と油などの溶解しない2流体に界面活性剤(乳化剤)を添加し、界面活性剤の作用で2流体をエマルジョン化させる方法が行われていた。
【0004】
しかしながら、化粧品や食品などでは、添加物となる界面活性剤が安全面で規制されており、長期間にわたってエマルジョン状態を維持させることが困難であった。
【0005】
そのため、従来のエマルジョン化工程では、2流体を多段のマイクロチャネルに通過させるエマルジョン生成装置などを用いて機械的に2流体をエマルジョン化させるようにしていた(たとえば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開2004−81924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記従来のエマルジョン生成装置では、多段に形成したマイクロチャネルの構造が複雑であり、エマルジョン生成装置が高価なものとなっていた。
【0008】
また、上記従来のエマルジョン生成装置では、多段のマイクロチャネルを用いていたために、2流体を大量にエマルジョン化させることが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、請求項1に係る本発明では、溶解しない2流体をエマルジョン化させるためのエマルジョン生成方法において、2流体を同時に通過させたベンチュリー管の出口に超音波霧化した微細水蒸気気泡を吐出することにした。
【0010】
また、請求項2に係る本発明では、溶解しない2流体をエマルジョン化させるためのエマルジョン生成装置において、2流体を貯留するタンクに2流体を吸引及び排出するための循環流路を形成し、循環流路の中途部にポンプを介設するとともに、循環流路の排出口にベンチュリー管を配設し、ベンチュリー管の出口に微細水蒸気気泡を発生させる超音波霧化器を接続することにした。
【発明の効果】
【0011】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0012】
すなわち、本発明では、2流体をベンチュリー管に同時に通過させることによって2流体を混合してエマルジョン化することができるとともに、超音波霧化した微細水蒸気気泡の作用で2流体を熱変質させることなく微細かつ均一にエマルジョン化させることができ、安価かつ大量にエマルジョンを生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明に係るエマルジョン生成方法及びエマルジョン生成装置の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1に示すように、エマルジョン生成装置1は、中空矩形箱型状のタンク2を有しており、このタンク2の内部に水と油などの溶解しない2流体を貯留するとともに、貯留した2流体をエマルジョン化させるようにしている。
【0015】
エマルジョン生成装置1は、タンク2の内部に貯留した2流体を吸引し、排出するための循環流路3をタンク2に取付けている。
【0016】
この循環流路3は、吸引管4の基端部(下端部)の吸引口5をタンク2の底部に配置させた状態で吸引管4をタンク2に取付け、吸引管4の先端部にポンプ6を取付け、ポンプ6に連結管7の基端部を取付け、連結管7の先端部に基端側から先端側に向けて開口断面積を漸次狭くしたベンチュリー管8の基端部を取付け、ベンチュリー管8の先端部に連結管7よりも小径の排出管9の基端部を取付け、排出管9の先端部の排出口10をタンク2の底部に位置させた状態で排出管9をタンク2に取付けている。
【0017】
これにより、タンク2の内部の2流体は、ポンプ6の駆動によって吸引管4の吸引口5から吸引され、ベンチュリー管8の内部を通過し、排出管9の排出口10から排出される。このときに、2流体がベンチュリー管8の内部を同時に通過することになり、2流体が混合されてエマルジョンを生成する。
【0018】
この循環流路3には、ベンチュリー管8の先端側の出口部分に微細水蒸気気泡を発生させるための超音波霧化器11が接続されている。
【0019】
超音波霧化器11は、中空矩形箱型状のケーシング12の内部に超音波加湿器13を収容し、超音波加湿器13を挟んでケーシング12の一方の側壁に吸入口14を形成するとともにケーシング12の他方の側壁に供給口15を形成し、供給口15に循環流路3の排出管9よりも小径の供給管16の基端部を取付け、供給管16の先端部を排出管9の基端部に取付けている。
【0020】
そして、超音波霧化器11は、ベンチュリー管8の出口で発生する負圧の作用で外気が吸入口14から吸入され、超音波加湿器13で超音波振動エネルギーによって常温で加湿して発生させた常温で表面張力を失った微細水蒸気気泡をベンチュリー管8の出口においてエマルジョン化した2流体の内部に供給するようにしている。
【0021】
これにより、ベンチュリー管8でエマルジョン化した2流体は、常温で超音波霧化した微細水蒸気気泡の作用によって熱変質させることなく微細かつ均一にエマルジョン化される。
【0022】
また、エマルジョン生成装置1は、タンク2に曝気流路17を形成している。
【0023】
この曝気流路17は、吸引管18の基端部の吸引口19をタンク2の天井部に配置させた状態で吸引管18をタンク2に取付け、吸引管18の先端部にブロア20を取付け、ブロア20に排出管21の基端部を取付け、排出管21の先端部の排出口22をタンク2の底部に循環流路3の排出管9の排出口10と対向させた状態で排出管21をタンク2に取付けている。
【0024】
これにより、タンク2の上部の空気は、曝気流路17によって強制的にタンク2の内部に供給される。このときに、超音波霧化器11から供給される微細水蒸気気泡は、タンク2の内部において2流体を撹拌混合させながら上昇することでタンク2の内部の2流体のエマルジョン状態を保持させるとともに、タンク2の上部で曝気流路17に吸引される。
【0025】
以上に説明したように、エマルジョン生成装置1は、2流体を貯留するタンク2に2流体を吸引及び排出するための循環流路3を形成し、循環流路3の中途部にポンプ6を介設するとともに、循環流路3の排出口10にベンチュリー管8を配設し、ベンチュリー管8の出口部分に微細水蒸気気泡を発生させる超音波霧化器11を接続している。
【0026】
そして、上記エマルジョン生成装置1では、ポンプ6を駆動することによってタンク2に貯留した2流体を循環させ、2流体を同時に通過させたベンチュリー管8の出口に超音波霧化した微細水蒸気気泡を吐出することによって、2流体をエマルジョン化させるようにしている。
【0027】
そのため、上記エマルジョン生成装置1及び同装置1を用いたエマルジョン生成方法では、乳化剤を用いる必要がなく、2流体をベンチュリー管8に同時に通過させることによって2流体を混合してエマルジョン化することができるとともに、超音波霧化した微細水蒸気気泡の作用で2流体を熱変質させることなく微細かつ均一にエマルジョン化させることができ、安価かつ大量にエマルジョンを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るエマルジョン生成装置を示す説明図。
【符号の説明】
【0029】
1 エマルジョン生成装置 2 タンク
3 循環流路 4 吸引管
5 吸引口 6 ポンプ
7 連結管 8 ベンチュリー管
9 排出管 10 排出口
11 超音波霧化器 12 ケーシング
13 超音波加湿器 14 吸入口
15 供給口 16 供給管
17 曝気流路 18 吸引管
19 吸引口 20 ブロア
21 排出管 22 排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶解しない2流体をエマルジョン化させるためのエマルジョン生成方法において、
2流体を同時に通過させたベンチュリー管の出口に超音波霧化した微細水蒸気気泡を吐出することを特徴とするエマルジョン生成方法。
【請求項2】
溶解しない2流体をエマルジョン化させるためのエマルジョン生成装置において、
2流体を貯留するタンクに2流体を吸引及び排出するための循環流路を形成し、循環流路の中途部にポンプを介設するとともに、循環流路の排出口にベンチュリー管を配設し、ベンチュリー管の出口に微細水蒸気気泡を発生させる超音波霧化器を接続したことを特徴とするエマルジョン生成装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−125425(P2010−125425A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305148(P2008−305148)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(508224373)
【出願人】(508224384)
【出願人】(508352908)
【Fターム(参考)】