説明

エレクトロウェッティング、電気流体、および電気泳動技術のための着色流体

エレクトロウェッティング、電気流体、または電気泳動デバイス用の着色流体と、デバイスそのものとが開示されている。着色流体は、(a)25℃で0.1cPから50cPの動的粘度と、(b)25℃で25ダイン/cmから55ダイン/cmの表面張力と、(c)40%から80%のエレクトロウェッティング相対応答とを有する非水性極性溶媒を含むことができる。そのような着色流体は、顔料および/または染料から選択される着色剤をさらに含む。別の実施形態では、着色流体は、非極性溶媒と、顔料および/または染料から選択される有機着色剤とを含むことができる。そのような着色流体は、色を黒にすることができ、0pS/cmから5pS/cmの導電率と、3未満の誘電率とを有することができる。着色流体の使用により、信頼性の改善と、分散状態でのより高いレベルの彩度と、ディスプレイ技術でより高いコントラスト比を実現する能力とがもたらされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年8月4日に出願した米国仮出願第61/231,156号の利益を主張するものであり、2009年3月13日に出願した米国仮出願第61/160,113号の利益を主張するものであり、これらの開示はその全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般にエレクトロウェッティングの分野に関し、より詳細には、エレクトロウェッティング、電気流体、または電気泳動デバイス用の着色流体と、エレクトロウェッティング、電気流体、および電気泳動デバイスとに関する。
【背景技術】
【0003】
エレクトロウェッティングは、1つには高輝度およびコントラスト比の望ましい組合せと、広い視野角と、素早いスイッチング速度とに起因して、様々な光学的適用例に魅力的な変調スキームになっている。さらに、エレクトロウェッティングディスプレイの電力消費は、フロントまたはバック照明を必要としないので、比較的低い。例えば、エレクトロウェッティングは、カメラおよび誘導システムのための光ファイバ、光シャッタ、またはフィルタ用の光スイッチと、光ピックアップデバイスと、光導波路材料と、ビデオディスプレイ画素とが得られるように使用されてきた。「エレクトロウェッティング」という用語は、疎水性表面に対する液体の接触角に、電場が及ぼす影響を示す。ある電場では、液体は、最初はこの液体をはじく表面上に分布しまたはその表面を湿潤させ、その結果、デバイスのスペクトル特性が変化する。電場を除去すると、接触角は増加し、液体はある領域内に収縮し、それによってスペクトル特性は初期状態に戻る。
【0004】
着色された非混和性流体は、視覚情報および効果の再現がその適用例で必要とされる電気流体およびエレクトロウェッティングデバイスにとって、不可欠な部分である。従来のエレクトロウェッティングデバイスは、典型的には、絶縁フルオロポリマー上に被膜を形成する着色油を有する。この着色油被膜は、目に見える色をデバイスに与える。電圧を、油膜上に位置付けられた水層と、絶縁フルオロポリマーの下の電極との間に印加した場合、水で表面をエレクトロウェッティングさせるにつれ、油膜は崩壊する。崩壊した油膜は、もはやデバイスに色を与えない。電圧を除去すると、油は絶縁フルオロポリマーを優先的に湿潤させ、油膜が再形成され、色が再び明らかになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】PCT/US2008/076168
【特許文献2】米国特許第7,329,315号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Balaji Rajら、「Ion and Liquid Dependent Dielectric Failure in Electrowetting Systems」Langmuir | 3b2 | ver.9 | 18/7/09
【非特許文献2】Pure & App/. Chem.、Vol.66、No.12、2483〜2486頁、1994年
【非特許文献3】Balaji Rajら、「Ion and Liquid Dependent Dielectric Failure in Electrowetting Systems」、Langmuir | 3b2 | ver.9 | 18/7/09
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、着色剤は、染料または顔料にすることができる。歴史的に、染料は、インクジェットインク、カラーフィルタ、およびエレクトロウェッティングデバイスなどの様々なデジタル用途に選択される着色剤であった。しかし染料には、耐光性および耐候性が低いという欠点がある。その他の欠点には、特に精製された形に関する高いコスト、非極性溶媒への不適切な溶解度、低い耐ブリード性、および/または不透明度の欠如が含まれる。染料が着色剤として用いられている適用例において、有機顔料は、望ましい耐光性と溶媒およびブリードに対する耐性とに起因して、高い有用性があることが近年見出されている。そのような適用例には、例えば、水または油溶性染料が、着色剤として使用されている筆記用具用のインクと;油溶性染料が、高い透明性の着色剤として使用されているプラスチック用着色剤とが含まれる。LCDカラーフィルタ用の着色剤、トナー、およびインクジェットインクとしての顔料も、益々求められている。
【0008】
エレクトロウェッティングを扱う多くのデバイスは、水と油との組合せを使用する。しかし、高い温度および凝固点での膨張のような、水の物理的性質は、そのようなデバイスへの適用例を制限する。水および従来の染料の使用に関連した課題は対処されているが、様々なエレクトロウェッティングおよび電気流体デバイス用の、改善された着色流体が、なお依然として明らかに求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、例えばデバイス性能を高めることができかつ好ましい期間にわたって所望の機能を維持することができる、エレクトロウェッティングデバイス、電気流体デバイス、または電気泳動デバイス用の、改善された着色流体を提供することが有益と考えられる。
【0010】
本発明の実施形態は、エレクトロウェッティングデバイス、電気流体デバイス、または電気泳動デバイス用の着色流体を提供する。
【0011】
一実施形態では、着色流体は、(a)25℃で0.1cPから50cPの動的粘度と、(b)25℃で25ダイン/cmから55ダイン/cmの表面張力と、(c)40%から80%のエレクトロウェッティング相対応答とを有する、少なくとも1つの非水性極性溶媒を含む。着色流体は、顔料および/または染料から選択される少なくとも1つの着色剤をさらに含む。着色流体は、着色極性流体を定める。
【0012】
別の実施形態では、着色流体は、少なくとも1つの非極性溶媒と、顔料および/または染料から選択される少なくとも1つの有機着色剤とを含む。着色流体は、その色が黒であり、0pS/cmから5pS/cmの導電率と3未満の誘電率とを有する。着色流体は、着色非極性流体を定める。
【0013】
別の実施形態では、ディスプレイの画素が開示され、リザーバと、このリザーバ内の着色流体とが含まれる。着色流体は、少なくとも1つの非極性溶媒と、顔料および/または染料から選択される少なくとも1つの有機着色剤とを含む。着色流体は、その色が黒であり、0pS/cmから5pS/cmの導電率と3未満の誘電率とを有する。複数の荷電粒子が着色流体中に懸濁される。複数の電極は、これら電極の少なくとも1つに対して着色流体内で荷電粒子を移動させるのに有効な電位差を加えるように構成される。
【0014】
さらに別の実施形態では、ディスプレイの画素は、リザーバとこのリザーバ内の着色流体とを含み、(a)25℃で0.1cPから50cPの動的粘度、(b)25℃で25ダイン/cmから55ダイン/cmの表面張力、および(c)40%から80%のエレクトロウェッティング相対応答を有する少なくとも1つの非水性極性溶媒と、顔料および/または染料から選択される少なくとも1つの着色剤とが含まれる。複数の電極は、これら電極の少なくとも1つに対して着色流体を移動させるのに有効な電位差を加えるように構成される。
【0015】
さらに別の実施形態では、ディスプレイの画素は、リザーバとこのリザーバ内の着色流体とを含み、少なくとも1つの非極性溶媒と、顔料および/または染料から選択される少なくとも1つの有機着色剤とが含まれる。着色流体は、その色が黒であり、0pS/cmから5pS/cmの導電率と3未満の誘電率とを有する。極性流体もリザーバ内にあり、着色流体によって占有されていないリザーバ内の容積を占有する。複数の電極は、極性流体の移動によって着色流体の形状が変わるように、これら電極の少なくとも1つに対して極性流体を移動させるのに有効な電位差を加えるように構成される。
【0016】
そのような着色流体の、ディスプレイ技術における使用は、耐久性に改善をもたらし、分散状態でのより高いレベルの彩度と、顔料の選択を通してより高いコントラスト比を実現する能力とを提供する。着色流体は、素早いスイッチング速度、低電力消費、およびより高いデバイス耐久性を提供することもできる。
【0017】
本明細書に組み込まれかつ本明細書の一部を構成する添付図面は、上述の本発明の全体的な記述と共に本発明の実施形態を例示し、以下に示される実施形態の詳細な記述は、本発明の原理を説明する役目をする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】本発明の実施形態による、ディスプレイの画素として動作するエレクトロウェッティングデバイスの概略断面図である。
【図1B】画素のディスプレイ状態が変化した、図1Aのエレクトロウェッティングデバイスの概略断面図である。
【図2A】本発明の実施形態による、ディスプレイ画素として動作するエレクトロウェッティングデバイスの概略断面図である。
【図2B】画素のディスプレイ状態が変化した、図1Aのエレクトロウェッティングデバイスの概略断面図である。
【図3A】本発明の実施形態による、ディスプレイ画素として動作するエレクトロウェッティングデバイスの概略断面図である。
【図3B】画素のディスプレイ状態が変化した、図3Aのエレクトロウェッティングデバイスの概略断面図である。
【図3C】画素のディスプレイ状態が変化した、図3Cのエレクトロウェッティングデバイスの概略断面図である。
【図4A】本発明の実施形態による、ディスプレイ画素として動作する電気泳動デバイスの概略断面図である。
【図4B】画素のディスプレイ状態が変化した、図4Aの電気泳動デバイスの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、エレクトロウェッティングデバイスまたは電気流体デバイス用の着色流体を対象とする。エレクトロウェッティングデバイスは、典型的には疎水性誘電体と電極とからなり、その他の親水性表面を含んでいてもよい。一般に、基板および接続フィーチャは、好ましくは液体の形にある極性および/または非極性流体に曝される。
【0020】
本発明の実施形態によれば、着色流体は、一般に、少なくとも1つの非水性極性溶媒、顔料および/または染料であってもよい少なくとも1つの着色剤、および任意選択で分散剤、共力剤、界面活性剤、樹脂、ポリマー、殺生物剤、当技術分野で公知のその他の添加剤、またはこれらの任意の組合せを含むことができる。着色流体は、着色極性流体を定める。非水性極性溶媒の「非水性」という修飾語は、極性溶媒の可能性あるリストから水を除外することが意図される。一実施例では、着色流体は、非極性溶媒を含まない。
【0021】
別の実施形態では、着色流体は、一般に、少なくとも1つの非極性溶媒、顔料および/または染料であってもよい少なくとも1つの着色剤、および任意選択で分散剤、共力剤、界面活性剤、当技術分野で公知のその他の添加剤、またはこれらの任意の組合せを含むことができる。着色流体は、着色非極性流体を定める。一実施例では、着色流体は、その色が黒である。別の実施例では、非極性溶媒を含む着色流体は、樹脂および/または極性溶媒を含まない。
【0022】
本発明の非水性極性溶媒は、個々の溶媒、または2つ以上の溶媒の任意の組合せであってもよい。非水性極性溶媒の非限定的な例には、グリコール、アルコール、ポリオール、エーテル、エステル、ケトン、アセタール、ケタール、ラクトン、カーボネート、ラクタム、ウレタン(カルバメート)、尿素、ピロリジン、ピロリドン、スルホン、スルホキシド、アミド、第1級、第2級、第3級、または第4級アミン、イミン、ニトリル、カルボン酸、アルデヒド、ハロゲン化、チオ、またはニトロ化合物、およびこれらの任意の混合物が含まれる。一実施例では、非水性極性溶媒は、ラクトン、カーボネート、または、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、もしくはジプロピレングリコールから選択されるグリコールである。非水性極性溶媒は、脂肪族、芳香族、脂環式、および/または複素環の性質のものにすることができる、1個、2個、または多数の同一のまたは様々な記述される官能基を、その分子中に含有することもできる。
【0023】
一実施例では、非水性極性溶媒は、下式の1つまたは複数により記述することができる
【0024】
【化1】

【0025】
(式中、RおよびRは独立して、H、C〜C12アルカン(Alk)、アリール(Ar)、アルカンアリール、またはO(RRO)Hであり;R、R、R、およびRは独立して、H、C〜C12Alk、Ar、AlkAr、ハロゲン、OH、OAlk、OAr、SAlk、SAr、COOH、COOR、COOAr、CONAlk、CONAr、=O、CHC=O、CN、N(R)、CONR(ROH)、COO(RRO)R、CONR(RRO)R、またはNRR(RRO)Hであり;n=1〜50であり;およびm=1〜2である。)。
【0026】
非水性極性溶媒の非限定的な特定の例は、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,2−シクロヘキサンカーボネート、グリセリンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、アセトフェノン、ピリジン、マロン酸ジメチル、ジアセトンアルコール、カルバミン酸ヒドロキシプロピル、カルバミン酸β−ヒドロキシエチル、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、アセトニルアセトン、シクロヘキサノン、アセト酢酸エチル、エチル−L−ラクテート、ピロール、N−メチルピロール、N−エチルピロール、4H−ピラン−4−オン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−ホルミルモルホリン、β−プロピオラクトン、β−バレロラクトン、β−ヘキサラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラクトン、δ−ヘプタラクトン、δ−オクタラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、δ−テトラデカラクトン、δ−オクタデカラクトン、およびこれらの任意の組合せである。
【0027】
選択される非水性極性溶媒は、25℃で10以上の誘電率を示してもよい。別の実施例では、誘電率は、25℃で25以上である。非水性極性溶媒は、25℃で25ダイン/cmから55ダイン/cmの表面張力も有するべきである。
【0028】
非水性極性溶媒の動的粘度は、25℃で100cP未満であるべきである。別の実施例では、動的粘度は25℃で0.1cPから50cPである。さらに別の実施例では、動的粘度は25℃で0.5cPから50cPである。
【0029】
非水性極性溶媒は、30Vの直流または交流に対し、40〜80%の範囲のエレクトロウェッティング相対応答(EWRR)も実証すべきである。EWRRは、下式により本明細書では定義される:
EWRR=(Θ−Θ)×100/Θ、%
(式中、Θは、電圧0Vでの初期接触角であり;Θは、電圧30Vでの最終接触角である)。接触角を測定するための適切な手順は、その内容全体が本明細書に参照により組み込まれているBalaji Rajら、「Ion and Liquid Dependent Dielectric Failure in Electrowetting Systems」Langmuir | 3b2 | ver.9 | 18/7/09に記載されており、試験手順下で以下にさらに詳細に論じられる。
【0030】
一実施例では、着色流体は、(a)25℃で0.1cPから50cPの動的粘度と、(b)25℃で25ダイン/cmから55ダイン/cmの表面張力と、(c)40%から80%のエレクトロウェッティング相対応答とを有する少なくとも1つの非水性極性溶媒と;顔料および/または染料から選択される少なくとも1つの着色剤とを含む。
【0031】
非水性極性溶媒を有する着色流体に含まれる顔料は、アゾ、金属錯体、ベンズイミダゾロン、アゾメチン、メチン、アントラキノン、フタロシアニン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、インジゴ、チオインジゴ、ジオキサジン、イソインドリン、イソインドリノン、イミノイソインドリン、イミノイソインドリノン、キナクリドン、フラバントロン、インダントロン、アントラピリミジン、キノフタロン、イソビオラントロン、またはピラントロン顔料を含むがこれに限定するものではない任意の有機顔料にすることができる。有機顔料の非限定的な特定の例は、C.I.ピグメントブラック1、2、3、31、および32; C.I.ピグメントグリーン7、36、37、47、54、および58; C.I.ピグメントブルー15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、21、22、60、64、65、75、および76; C.I.ピグメントバイオレト19、23、29、31、33、および37; C.I.ピグメントレッド122、123、144、149、166、168、170、171、175、176、178、179、180、183、189、190、192、196、202、208、209、214、216、220、221、224、226、242、248、254、255、260、264、および271; C.I.ピグメントオレンジ36、40、43、51、60、61、62、64、66、69、71、72、73、および77; C.I.ピグメントイエロー24、74、83、93、94、95、108、109、110、120、123、138、139、150、151、154、155、167、170、171、173、174、175、180、181、185、192、193、194、199、213、および218である。一実施例では、有機顔料は、C.I.ピグメントブラック1、31、および32; C.I.ピグメントグリーン7、36、37; C.I.ピグメントブルー15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、60、および64; C.I.ピグメントバイオレット19、23、および29; C.I.ピグメントレッド122、144、175、176、178、183、202、208、209、254、255、264、および271; C.I.ピグメントオレンジ36、64、71、72、および73;またはC.I.ピグメントイエロー74、83、110、120、138、139、150、151、154、155、175、180、181、185、および213から選択される。
【0032】
非水性極性溶媒を有する着色流体に含まれる顔料は、カーボンブラック、金属酸化物、混合金属酸化物、硫化物、または硫酸塩などの無機顔料であってもよい。非限定的な特定の例には、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、アンチモンイエロー、クロム酸鉛、硫酸鉛クロメート、モリブデン酸鉛、ウルトラマリンブルー、コバルトブルー、マンガンブルー、酸化クロムグリーン、水和酸化クロムグリーン、コバルトグリーン、金属硫化物、スルホセレン化カドミウム、亜鉛フェライト、バナジウム酸ビスマスと、これらの誘導体および任意の組合せが含まれる。無機顔料の非限定的な特定の例は、C.I.ピグメントブラック6、7、9、11、12、14、15、22、26、27、28、29、30、33、34、および35; C.I.ピグメントグリーン18、20、21、および22; C.I.ピグメントブルー27、30、および73; C.I.ピグメントレッド265および275; C.I.ピグメントイエロー38、40、53、119、157、158、160、161、162、および184; C.I.ピグメントホワイト4、5、6、6:1、7、8、9、10、12、13、14、15、18、18:1、19、21、22、23、24、25、26、27、28、32、33、および36である。一実施例では、無機顔料は、C.I.ピグメントブラック6、7、9、11、12、14、15、22、26、27、28、29、30、33、34、および35、またはC.I.ピグメントホワイト4、5、6、6:1、7、18、18:1、26、28、および32から選択される。
【0033】
非水性極性溶媒を有する着色流体に含まれる顔料は、任意の公知の増量剤、例えば酸化物、カーボネート、スルフェート、硫化物、またはホスフェートにすることもでき、合成または鉱物にすることができる。使用可能な増量剤の非限定的な例には、炭酸カルシウム、永久白、マイカ、カオリン、クレイ、およびシリカなどが含まれる。
【0034】
顔料は、2つ以上の有機、無機顔料、および増量剤の、任意の混合物、複合体、または固溶体にすることもできる。
【0035】
非水性極性溶媒を有する着色流体に含まれる顔料は、適用媒体に不溶な分散微粒子材料であってもよい。分散微粒子材料は、低分子量化合物、オリゴマー、ポリマー、コポリマー、グラフト化コポリマー、架橋ポリマー、硬化ポリマー、有機および/または無機陽イオンおよび/または陰イオンとの不溶性塩の形をとる極性陰イオンまたは陽イオン基を含有するポリマー、または反対の荷電基を有するその他のポリマーまたはオリゴマーであってもよい。顔料は、前記低分子量化合物、オリゴマー、およびポリマーの、任意の混合物、固溶体、または追加の分子間反応もしくは配位の生成物にすることもできる。前述の顔料の非限定的な例には、メラミンまたはアルキレンビスメラミン、ビニルポリマーおよびコポリマー、例えば、ポリアルキレン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン)、ポリスチレン、ポリアクリレート(ポリメタクリレート、ポリアルキル/アリールアクリレートおよびメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルハロゲン化物(ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ臭化ビニル)、ポリビニリデンハロゲン化物、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルナフタレン、ポリビニルカルバゾール、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリスルホン、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アリーレン/アルキレン)スルフィド、ポリエポキシド、ポリアルデヒド、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フェノールホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、炭化水素樹脂、ポリシロキサンなどの無機ポリマーが含まれる。
【0036】
非水性極性溶媒を有する着色流体に含まれる顔料は、包封有機顔料、無機顔料、増量剤、または染料を含むこともできる。包封は、例えば、顔料表面への樹脂、オリゴマー、またはポリマーの物理吸着および/または沈殿、コアセルベーション、または顔料粒子の存在下で架橋または硬化を伴うまたは伴わないモノマーもしくはオリゴマーの重合を含めた、当技術分野で公知の任意の方法により行ってもよい。重合は、連鎖重合、縮合的連鎖反応、重縮合、および重付加など、任意の公知の重合メカニズムを通して実現することができる(Pure & App/. Chem.、Vol.66、No.12、2483〜2486頁、1994年)。予め作製されたポリマー、または包封に使用することができる顔料粒子の存在下でモノマーから合成されたポリマーの、非限定的な例は、ビニルポリマーおよびコポリマー、例えばポリアルキレン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン)など、ポリスチレン、ポリアクリレート(ポリメタクリレート、ポリアルキル/アリールアクリレートおよびメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルハロゲン化物(ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ臭化ビニル)、ポリビニリデンハロゲン化物、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルナフタレン、ポリビニルカルバゾール、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリスルホン、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アリーレン/アルキレン)スルフィド、ポリエポキシド、ポリアルデヒド、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フェノールホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、炭化水素樹脂、またはポリシロキサンなどの無機ポリマーである。包封用のポリマーは、任意の天然のまたは合成の、直鎖状、分枝状、ブロック、ランダム、櫛型、グラフト化、樹枝状ポリマーまたはコポリマーにすることができる。さらに、1つまたは複数の天然または合成樹脂は、限定するものではないがロジン、改質ロジン、無水マレイン酸およびその他の不飽和化合物とのロジン縮合物、ガム、アルキド、アクリレートおよびその無水マレイン酸との縮合物、メラミンアルデヒド、フェノールアルデヒド、尿素アルデヒド、エポキシ、ポリウレタン、アセタール、フェノールも含め、包封に使用することができる。包封は、ポリマー、オリゴマー、および樹脂の任意の組合せを含むことができる。
【0037】
非水性極性溶媒を有する着色流体に含まれる顔料は、イオン性、非イオン性、オリゴマー、またはポリマー基を顔料表面に共有結合(グラフト化)することによる化学的改質方法によって作製されるような、表面改質顔料を含むこともできる。改質基の非限定的な例は、カルボキシ、スルホ、アリールカルボキシ、アリールスルホ、ホスフェート、ヒドロキシ、第1級、第2級、第3級、および第4級アミン、複素環アミン、ジアミン、トリアミン、ポリアミン、ニトリル、ポリアルキレン、ポリアルキレンオキシド、ポリエステル基、およびこれらの任意の組合せである。この群は、自己分散型顔料を含む。自己分散型顔料を用いると、着色流体は例えば分散剤を含まなくてもよい。一実施例では、着色流体は、非水性極性溶媒と自己分散型顔料とからなる。
【0038】
顔料は、無機核および有機シェル、およびその逆を有するシェルタイプの生成物であってもよい。
【0039】
非水性極性溶媒を有する着色流体に含まれる染料は、直接、酸性、塩基性(陽イオン性)、反応性、バット、硫化、溶剤、食用、媒染、蛍光、天然、および分散染料、またはこれらの任意の組合せを含むがこれらに限定するものではない、任意の従来の染料にすることができる。この染料は、任意のアニオン染料と任意のカチオン染料との複合体にすることもできる。
【0040】
非水性極性溶媒を有する着色流体に含まれる染料は、改質、オリゴマー、またはポリマー染料にすることもできる。改質染料は、共有またはイオン結合により1つの発色団に直接接続されまたは結合基を通して接続された1個または複数の追加の官能基を有する、従来のまたは特別に合成された染料を含むことができ、その全分子量は1,500よりも低いものである。改質染料は、共有、イオン、または水素結合を通して互いに接続された2つ以上の染料の複合体にすることもできる。これらの染料は、追加の置換基を有しても有していなくてもよく、反対の電荷を保持して互いに直接接続することができ、または、同じ電荷を有して、反対の電荷を有する第3の非着色成分を通して接続することもできる。オリゴマー染料は、1つまたは複数の鎖に直接付着されまたは共有もしくはイオン結合を用いて結合基を通して付着された、少なくとも1つの発色団を有する化合物を含むことができ、その全分子量は1,500〜5,000の範囲になる。ポリマー染料は、1つまたは複数の鎖に直接付着されまたは共有もしくはイオン結合を用いて結合基を通して付着された、少なくとも1つの発色団を有する化合物を含むことができ、その全分子量は5,000よりも高くなる。
【0041】
非水性極性溶媒を有する着色流体に含まれる染料は、発色団、例えばアゾもしくはアゾ縮合されたもの、金属錯体、ベンズイミダゾロン、アゾメチン、メチン、例えばシアニン、アザカルボシアニン、エナミン、ヘミシアニン、ストレプトシアニン、スチリル、ゼロメチネン、モノ−、ジ−、トリ−、およびテトラアザメチンなど;カラテノイド、ジアリールメタンやトリアリールメタンなどのアリールメタン;キサンテン、チオキサンテン、フラバノイド、スチルベン、クマリン、アクリデン、フルオレン、フルオロン、ベンゾジフラノン、ホルマザン、ピラゾール、チアゾール、アジン、ジアジン、オキサジン、ジオキサジン、トリフェノジオキサジン、フェナジン、チアジン、オキサゾン、インダミン、ニトロソ、ニトロ、ヒドロキノンやアントラキンなどのキノン;ローダミン、フタロシアニン、ニュートロシアニン、ジアザヘミシアニン、ポルフィリン、ペリノン、ペリレン、ピロニン、ジケトピロロピロール、インジゴ、インジゴイド、チオインジゴ、インドフェノール、ナフタリミド、イソインドリン、イソインドリノン、イミノイソインドリン、イミノイソインドリノン、キナクリドン、フラバントロン、インダントロン、アントラピリミジン、キノフタロン、イソビオラントロン、ピラントロン、またはこれらの任意の組合せを含むこともできる。
【0042】
非水性極性溶媒を有する着色流体用の改質オリゴマーおよびポリマー染料は、任意のタイプの1個または複数の結合基を含有することができる。結合基の非限定的な例は、スルホ、スルファミド、カルボキシ、カルボキサミド、尿素、チオ尿素、ウレタン、アゾ、ケト、オキシ、オキシアルキル、チオ、アミノ、アミノアルキル、ホスファト、モノハロトリアゾロ、ジハロトリアゾロ、ビニルスルホノ、フェニルアミノスルホノ基、またはこれらの任意の組合せである。官能基の非限定的な例は、アルキル、ポリアルキル、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、アルキルアリール、ポリエチレンイミン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリハロアルキル、ポリエポキシ、ポリ尿素、ポリアミド、ポリアクリル、ポリスチレン、ポリカーボネート、およびこれらの任意のランダムまたはブロックコポリマー、およびこれらの任意の組合せである。染料は、着色剤、シェーダ(shader)として、顔料表面改質により顔料粒子を流体中に分散させ安定化させるために、流動学的性質を改善するために、および/または界面張力および流体の導電率を調節するために、利用してもよい。
【0043】
非水性極性溶媒を有する着色流体中に含まれる界面活性剤は、陰イオン、陽イオン、カタニオニック(catanionic)、双性イオン(両性イオン)、非イオン性、またはこれらの任意の組合せにすることができる。非限定的な例には、スルホネート、ホスホネート、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシドであって任意の官能基を含有するものと、これらのブロックおよびランダムコポリマー;アルキル、アリール、およびアルキルアリールアミン、例えば第1級、第2級、第3級、および第4級アミンおよびポリアミンなど;ピロリドン、ナフタレン縮合物、アルキン、カルボン酸、アルコール、ポリオール、およびこれらの任意の組合せが含まれる。界面活性剤は、合成または天然のものにすることができる。界面活性剤は、流体中での顔料粒子のコロイド安定化のため、界面張力を下げることによってエレクトロウェッティングを引き起こすのに必要な電圧を低下させるため、および/または流体の導電率を上昇させるために使用してもよい。
【0044】
非水性極性溶媒を有する着色流体に含まれる共力剤は、例えば、スルホン酸、スルホン酸の金属塩、スルホン酸と第1級、第2級、第3級、および第4級アミンとの塩;スルホンアミド、フタルイミドメチル、アリールメチル、アルキルアミン、カルボン酸、カルボン酸の塩、アミド、およびエステル;アゾ、金属錯体、ベンゾイミダゾロン、アゾメチン、メタン、アントラキノン、フタロシアニン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、インジゴ、チオインジゴ、ジオキサジン、イソインドリン、イソインドリノン、イミノイソインドリン、イミノイソインドリノン、キナクリドン、フラバントロン、インダントロン、アントラピリミジン、キノフタロン、イソビオラントロン、およびピラントロンの、カルボニル、アミドメチル、アルキルアミノメチル、アリールアルキルオキシ、フェニルチオ、およびフェニルアミノ誘導体、またはこれらの任意の組合せにすることができる。共力剤は、任意の直接、酸性、塩基性(陽イオン性)、反応性、バット、硫化、溶剤、食用、媒染、天然、および分散染料、これらの誘導体または任意の組合せにすることもできる。共力剤は、任意のアニオン染料と任意のカチオン染料との複合体にすることもできる。共力剤は、顔料粒子を流体中で安定化させるため、流動学的性質を改善するため、界面張力を低下させるため、および/または流体の導電率を上昇させるため、顔料表面を改質するのに使用してもよい。
【0045】
非水性極性溶媒を有する着色流体に含まれる分散剤は、下記の種類、即ち:ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、またはポリブチレンオキシドなどのポリアルキレンオキシド;ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエチレンイミン、ポリエーテルアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルオキサゾリドン、ポリビニルメチルオキサゾリドン、ポリスチレン、ポリエポキシド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリビニルハロゲンの群から選択される、ブロック、ランダム、櫛型、グラフト化、樹枝状ポリマーまたはコポリマーである陰イオン、陽イオン、双性イオン(両性イオン)、および非イオン性ポリマーまたはオリゴマーから選択することができる。分散剤は、個々に、またはその他の分散剤、界面活性剤、および共力剤と組み合わせて使用することができる。ある市販されている分散剤の非限定的な例は、Solsperse(登録商標)(Noveonから入手可能)、Tegosperse(登録商標)(Evonikから入手可能)、EFKA(登録商標)(BASFから入手可能)、およびDisperbyk(登録商標)(BYK Chemieから入手可能)である。
【0046】
非水性極性溶媒を有する着色流体に含まれる樹脂は、ロジンおよび改質ロジン、無水マレイン酸およびその他の不飽和化合物とのロジン縮合物、ガム、アルキド、アクリレート、メラミンアルデヒド、フェノールアルデヒド、尿素アルデヒド、エポキシ、ポリウレタン、アセタール、フェノール、またはこれらの任意の組合せなど、個々の天然または合成樹脂を含むことができる。
【0047】
非水性極性溶媒を有する着色流体に含まれるポリマーは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、またはポリブチレンオキシドなどのポリアルキレンオキシド;ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエチレンイミン、ポリエーテルアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルオキサゾリドン、ポリビニルメチルオキサゾリドン、ポリスチレン、ポリエポキシド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリビニルハロゲン、またはこれらの任意の組合せから選択される、天然または合成の直鎖状、分枝状、ブロック、ランダム、櫛型、グラフト化、樹枝状ポリマーまたはコポリマーを含むことができる。ポリマーは、スルホ、スルファミド、カルボキシ、カルボキサミド、尿素、チオ尿素、ウレタン、アゾ、ケト、オキシ、オキシアルキル、チオ、アミノ、アミノアルキル、ホスファト、モノハロトリアゾロ、ジハロトリアゾロ、ビニルスルホノ、フェニルアミノスルホノ、アルキル、ポリアルキル、アルキレングリコール、アルキルアリール、ハロゲン、アルキルおよび/またはアリールハロゲン、またはこれらの任意の組合せを含む1個または複数の基を含有することができる。
【0048】
一実施形態では、着色流体は、非水性極性溶媒、自己分散型顔料および/または染料を含み、少なくとも界面活性剤、分散剤、および樹脂を含まない。別の実施形態では、着色流体は、界面活性剤、共力剤、または分散剤により非水性極性流体中で安定化された、少なくとも1つの有機または無機顔料を含むことができる。
【0049】
非水性極性溶媒を含む着色流体は、その内容全体が本明細書に参照により組み込まれている2008年9月12日に出願された「Electrofluidic Devices, Visual Displays, and Methods for Making and Operating Such Electrofluidic Devices」という名称のPCT/US2008/076168に記載されているようなその他の添加剤を、さらに含んでいてもよい。殺生物剤および消泡剤を添加してもよい。
【0050】
非水性極性溶媒は、着色流体の全重量に対して約60.0重量%から99.9重量%の範囲であってもよい。別の実施例では、非水性極性溶媒は、約80.0重量%から99重量%の範囲であってもよい。非水性極性溶媒を有する着色流体の顔料の含量は、着色流体の全重量に対して約0重量%から約40重量%の範囲であってもよい。一実施例では、顔料の含量は、着色流体の全重量に対して約0.1重量%から約40重量%の範囲にある。別の実施例では、顔料の含量は、着色流体の全重量に対して約1重量%から約20重量%の範囲にある。0.1重量%よりも低い顔料濃度は、通常、所望の色の強度をもたらさず、40重量%よりも高い濃度は、通常、不適切な流動学的挙動をもたらすことになる。非水性極性溶媒を有する着色流体は、着色流体の全重量に対して0重量%から約80重量%までの染料を含んでいてもよい。別の実施例では、着色流体の染料含量は、着色流体の全重量に対して約0.1重量%から約50重量%の範囲にあってもよい。
【0051】
非水性極性溶媒を有する着色流体は、この流体中の顔料に対して重量で分散剤を0重量%から約200重量%まで含むこともできる。別の実施例では、着色流体は、この流体中の顔料に対して重量で分散剤を0.1重量%から約80重量%まで含むことができる。着色流体は、顔料に対して重量で共力剤を0重量%から約30重量%まで含むこともできる。別の実施例では、着色流体は、顔料に対して重量で共力剤を0重量%から12重量%含むことができる。別の実施例では、着色流体は、顔料に対して重量で共力剤を0.1重量%から12重量%含むことができる。
【0052】
着色流体は、この流体中の顔料に対して重量で界面活性剤、樹脂、および/またはポリマーを0重量%から約200重量%まで含むこともできる。別の実施例では、着色流体は、界面活性剤を0重量%から10重量%含むことができる。別の実施例では、着色流体は、界面活性剤を0.1重量%から約10重量%まで含むことができる。別の実施例では、着色流体は、顔料に対して重量で樹脂および/またはポリマーを0重量%から80重量%含むことができる。別の実施例では、着色流体は、樹脂および/またはポリマーを0.1重量%から約80重量%まで含むことができる。さらに、着色流体は、着色剤に対して重量で消泡剤および/または殺生物剤を0重量%から5重量%含むことができる。さらに別の実施例では、着色流体は、着色剤に対して重量で消泡剤および/または殺生物剤を0.1重量%から5重量%含むことができる。
【0053】
非水性極性溶媒を有する着色流体は、約−40℃から約80℃でコロイド安定性を示すことができ、約5μS/cmよりも大きい導電率を有していてもよい。別の実施例では、着色流体は、約5μS/cmよりも大きく約500μS/cmまでの導電率を有する。さらに別の実施例では、着色流体は、15μS/cmから100μS/cmまでの導電率を有する。さらに別の実施例では、着色流体は、約20μS/cmよりも大きい導電率を有する。
【0054】
さらに、非水性極性溶媒を有する着色流体は、25℃で10ダイン/cmから55ダイン/cmの表面張力を有するべきである。別の実施例では、表面張力は、25℃で25ダイン/cmから55ダイン/cmである。
【0055】
非水性極性溶媒を有する着色流体の動的粘度は、25℃で1000cP未満であるべきである。別の実施例では、動的粘度は25℃で0.1cPから500cPである。さらに別の実施例では、動的粘度は25℃で0.5cPから100cPである。
【0056】
着色流体のEWRRは、10〜80%の範囲にある。別の実施例では、その範囲が40〜80%である。
【0057】
次に非極性溶媒に関して、この非極性溶媒は、ドデカンやテトラデカンなどの直鎖状または分枝状アルカン、アリールアルカン、脂肪酸、アルコール、芳香族または脂環式炭化水素、複素環化合物、ハロゲン化炭化水素、シリコーン油や環状シロキサンなどのSiまたはGeをベースにしたポリマーまたはオリゴマー、またはこれらの組合せを含むことができる。非極性溶媒は、液体の代わりに気体であってもよい。
【0058】
非極性溶媒を有する着色流体用の着色剤は、有機顔料、バット染料や分散染料などの染料、またはこれらの任意の組合せを含むことができる。着色剤の非限定的な例には、下記の種類の化合物、即ち:アゾ、アジン、ベンズイミダゾロン、アゾメチン、メチン、アントラキノン、アリールアミノキノン、フタロシアニン、ペリノン、ジケトピロロピロール、インジゴ、チオインジゴ、ジオキサジン、イソインドリン、イソインドリノン、イミノイソインドリン、イミノイソインドリノン、キナクリドン、フラバントロン、インダントロン、インダントレン、インドール−チアナフテン、アンタントロン、アントラピリミジン、ペリレン、キノフタロン、ビオラントロン、イソビオラントロン、ビオラントレン、ピラントロン、または、黒色流体を提供するようなこれらの任意の組合せに属するものが含まれる。
【0059】
着色剤の特定の非限定的な例は、C.I.ピグメントブラック1、2、3、31、および32; C.I.ピグメントグリーン7、36、37、47、54、および58; C.I.ピグメントブルー15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、21、22、60、64、65、75、および76; C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、31、33、および37; C.I.ピグメントレド122、123、144、149、166、168、170、171、175、176、178、179、180、183、189、190、192、196、202、208、209、214、216、220、221、224、226、242、248、254、255、260、264、および271; C.I.ピグメントオレンジ36、40、43、51、60、61、62、64、66、69、71、72、73、および77; C.I.ピグメントイエロー24、74、83、93、94、95、108、109、110、120、123、138、139、150、151、154、155、167、170、171、173、174、175、180、181、185、192、193、194、199、213、および218; C.I.バットブラック1、2、7、8、9、16、19、20、21、23、25、27、28、29、30、35、44、52、53、54、55、56、57、58、63、64、65; C.I.バットブラウン1、3、5、8、9、11、14、16、21〜26、31、33、34、37、39、42、44、45、57; C.I.バットグリーン1、2、3、4〜7、8、9、11〜14、17、22、23、29、30; C.I.バットブルー1〜4、5、6、7〜12、13、14〜16、18〜22、25、26、28〜33、35〜37、40〜43、47、48、51、53、64、67; C.I.バットバイオレット1〜5、8〜10、13〜19; C.I.バットレッド1〜2、5、6、10、18〜21、23、24、26、28〜35、37〜42、44、45、47、48、61; C.I.バットオレンジ1〜7、9、11、13、15〜21、29、32; C.I.バットイエロー1〜5、9〜13、17、18、20〜21、23、26〜29、31、33、44、46である。
【0060】
一実施例では、非極性溶媒を有する着色流体は、黒色流体を定める。そのために、着色剤は、黒色流体が得られるように特に選択することができる。C.I.ピグメントブラック7などのカーボンブラック、およびある特定のその他の無機顔料は、高い導電率が原因で本発明の非極性流体に適していない。さらに、非極性溶媒を有する黒色流体は、上述のように、個々の有機着色剤を用いてまたは2つ以上の非導電性着色剤の組合せを用いて調製してもよい。一実施例では、黒色流体は、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントオレンジ5、およびC.I.ピグメントバイオレット23のブレンドを含む。別の実施例では、着色剤は、本質的に非導電性でありまたはほぼ非導電性である。
【0061】
非極性溶媒を有する着色流体の、界面活性剤、共力剤、分散剤、およびその他の添加剤は、本質的に非イオン性であるべきであり、着色流体の導電率を上昇させるべきではない。また、一実施形態では、非極性溶媒を有する着色流体に組み込まれた着色剤、界面活性剤、共力剤、分散剤、およびその他の添加剤は、電気泳動または誘電泳動によって流体中を移動するように、電場の印加によって影響を受けるべきではない。別の実施形態では、非極性溶媒を有する着色流体に組み込まれた着色剤、界面活性剤、共力剤、分散剤、およびその他の添加剤は、電気泳動または誘電泳動によって流体中を移動するように、電場の印加によって影響を受ける。適切な界面活性剤の非限定的な例は、ポリアルキレングリコールおよびその誘導体である。適切な分散剤の非限定的な例は、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルオキサゾリドン、ポリスチレン、ポリエポキシド、ポリウレタン、およびポリビニルハロゲンである。市販の分散剤の非限定的な例は、Solsperse(登録商標)(Noveon)、Tegosperse(登録商標)(Evonik)、EFKA(登録商標)(BASF)、およびDisperbyk(登録商標)(BYK Chemie)である。
【0062】
非極性溶媒を有する着色流体の顔料の含量は、着色流体の全重量に対して約0重量%から約40重量%の範囲であってもよい。一実施例では、顔料の含量は、着色流体の全重量に対して約0.1重量%から約40重量%の範囲にある。別の実施例では、顔料の含量は、着色流体の全重量に対して約1重量%から約20重量%の範囲にある。0.1重量%よりも低い顔料濃度は、通常、所望の色の強度をもたらさず、40重量%よりも高い濃度は、通常、不適切な流動学的挙動をもたらすことになる。非極性溶媒を有する着色流体は、着色流体の全重量に対して0重量%から約80重量%までの染料を含んでいてもよい。別の実施例では、着色流体の染料含量は、着色流体の全重量に対して約0.1重量%から約50重量%の範囲にあってもよい。
【0063】
非極性溶媒を有する着色流体は、この流体中の顔料に対して重量で分散剤を0重量%から約200重量%まで含むこともできる。別の実施例では、着色流体は、この流体中の顔料に対して重量で分散剤を0.1重量%から約200重量%まで含むことができる。着色流体は、流体中の顔料に対して重量で共力剤を0重量%から約30重量%まで、および顔料に対して重量で界面活性剤および/またはポリマーを0重量%から約200重量%まで含むことができる。
【0064】
さらに、非極性溶媒を有する着色流体は、25℃で25ダイン/cm未満の表面張力を有するべきである。別の実施例では、表面張力は、25℃で10ダイン/cmから25ダイン/cmである。
【0065】
非極性溶媒を有する着色流体の動的粘度は、25℃で1000cP未満であるべきである。別の実施例では、動的粘度は25℃で0.1cPから500cPである。さらに別の実施例では、動的粘度は25℃で0.5cPから100cPである。
【0066】
非極性溶媒を有する着色流体は、約−40℃から約80℃でコロイド安定性を示すこともでき、3未満の誘電率を有することができる。別の実施例では、誘電率は1から3である。さらに、非極性溶媒を有する着色流体の導電率は、0pS/cmから5pS/cmの範囲にあってもよい。別の実施例では、着色流体は、0pS/cmから1pS/cmの範囲の導電率を有する。低い導電率は高い性能をもたらし、スイッチング速度がより速く、デバイスの表面の汚れが少ない。より低い導電率は、電荷が与えられたときにより効果的に接触角も維持する。それに対して、導電率を増大させる材料の場合、着色流体は、電圧がさらに印加される間、緩和する傾向にあり、この状態は、概して接触角の低下またはエレクトロウェッティングの妨害によって示される。
【0067】
別の実施形態では、複数の着色流体を一緒に組み合わせる。例えば、非水性極性溶媒および顔料および/または染料を有する着色流体は、非極性溶媒および顔料および/または染料を有する着色流体と組み合わせてもよく、これら流体のそれぞれは上記論じた追加の任意選択の成分を含むものである。非極性溶媒を有する着色流体は、非水性極性溶媒を有する着色流体に対して混和性があるべきではなく、共に安定なエマルジョンを形成すべきではない。そのために、非極性溶媒は、約10%未満である非水性極性溶媒との交差溶解度レベルを有するべきである。一実施例では、交差溶解度が約1%未満である。さらに、非水性極性溶媒の成分は、非極性溶媒中に移行すべきでなく、その逆も同様である。非水性極性溶媒と非極性溶媒との間の界面張力は、約2から約55ダイン/cmであってもよい。別の実施例では、非水性極性溶媒と非極性溶媒との間の界面張力は、約5から約55ダイン/cmであってよい。非極性溶媒が気体の場合、界面張力は、約10ダイン/cmから約55ダイン/cmにすることができる。別の実施例では、非極性溶媒が気体の場合、界面張力は約15ダイン/cmから約55ダイン/cmにすることができる。界面張力が低過ぎる場合、非水性極性溶媒と非極性溶媒との混合が生じることになり、高過ぎる場合には、より高い電圧がエレクトロウェッティング応答に必要になる。非極性溶媒は、脱イオン水に対して約2ダイン/cmから約60ダイン/cmの界面張力の値を有することもできる。
【0068】
着色流体に含まれる顔料粒子は、動的光散乱粒度分析に基づいて、約10nmから5000nmに及ぶ平均重量直径を有することができる。一実施例では、平均重量直径は、約20nmから500nmに及ぶ。
【0069】
顔料は、1931 CIE色度図に示される(0.3;0.4),(0.4;0.3),(0.3;0.3)という最小Maxwell三角形に対応した色の飽和度を提供することができる。
【0070】
着色流体の所望の属性は、所与のデバイスでの所望の期間にわたる流体の安定性である。安定性は、概してデバイスの動作可能性、粒度分布、流動学的性質(例えば、粘度)、色などにより特徴付けることができる。さらに、着色流体は、デバイスの疎水性または親水性フィーチャの表面を汚さない。「汚れ」という用語は、明瞭度および意図されるデバイス性能が妨害されるような手法で流体が移動しまたはスイッチングしたときに、着色流体中の成分、例えば顔料粒子、ポリマー、および流体のその他の成分が、疎水性および/または親水性フィーチャ上に残る(表面に接着する)、負の現象を含むことを意味する。着色流体は、汚れなしに投与しスイッチングすることが可能である。
【0071】
着色流体の調製では、回転速度が500〜12,000RPMの範囲にある高速撹拌子を備えた容器内で、成分を予備混合することができる。次いで混合物を、回転ボールミル、振動ミル、撹拌水平もしくは垂直媒体ミル、バスケットミル、ロータ/ステータ型機械、または摩砕器などであるがこれらに限定されない公知のミリング装置を利用して、ミリングしてもよい。混合物は、バッチ操作によって、または再循環および/または個別の通過を経てミリングしてもよい。媒体の、任意の公知のタイプおよびサイズ、例えばガラス、セラミックス、砂、ポリマー、および金属媒体であって、そのサイズが30μmから約10cmの範囲にあるものを用いることができる。典型的なミルは、Eiger、Netzsch、Buhler、Premier、Chicago Boiler、Drais、Union Processなどによって製造されたものを含む。あるいは着色流体は、回転ボールミルや撹拌ボールミルなどのバッチプロセス装置で生成してもよい。前者はPaul−O−Abbeにより提供されたものに代表され;後者はUnion Processから供給されたものに代表される。どちらの媒体サイズも、上述のサイズに及んでいてもよく、媒体形状は、円形、規則正しい形、不規則な形、またはこれらの混合物であってもよい。着色流体は、IKA WorksやBaker−Perkinsなどの剪断機構を備えた任意の高エネルギー分散器、シグマブレードミキサで調製してもよい。着色流体は、任意選択で濾過および/または遠心分離にかけることにより、大きな顔料粒子、破壊された媒体、または汚染物質を除去してもよい。当技術分野で公知のその他の調製方法を、用いることもできる。一実施形態では、着色流体の濃縮着色剤分散剤(ミルベース)を最初に作製した後、全てのその他の必要な成分を混合して、最終的な着色流体を形成する。様々な変更および修正を、上述の本発明に対してその精神および範囲から逸脱することなく加えてもよい。全ての記述は、単なる例示を目的とし、限定することを意図するものではない。
【0072】
(実施例)
下記の実施例は、本発明の詳細を例示し、本発明の精神および範囲を限定しようとするものではない。他に指示しない限り、%および部は常に重量%および重量部を示す。
【0073】
試験手順
着色流体の粘度は、Brookfield粘度計LVDV−II+Proを用い、T=25°C、回転速度30RPM、およびスピンドル数18で測定される。
【0074】
粒度分布は、Nanotrac(商標)250、NPA 250(Microtrac,Inc.)、およびMicrotrac(商標)UPA(Microtrac,Inc.)を使用して決定される。
【0075】
安定性試験は、着色流体のサンプルを、閉じた容器内に25℃で4週間置くことによって行う。当業者により理解されるように、着色流体は、着色剤が溶液から抜けない場合に色が安定であると見なされ、この状態は目視により決定される。言い換えれば、着色剤は、試験期間中、着色流体内に望ましくは均質に分散されたままである。
【0076】
非水性極性および非極性溶媒のどちらかを有する着色流体の界面張力は、液滴張力計IFT Tracker(商標)(Teclis)を使用して測定される。この張力計は、表面張力または界面張力を計算するのに液滴形状分析を使用し、液滴形状は、表面張力とこの液滴に作用する重力とによって決定される。垂滴(a pendant drop)または上昇液滴(a rising drop)構成のどちらかを使用し;この構成は、流体の比重および光学特性によって決定される。
【0077】
上述のように、非水性極性溶媒を有する着色流体は、電圧の印加による疎水性誘電体および電極基板に対する接触角の変化を評価することによって、エレクトロウェッティング能力に関して試験する。SnO:Inコーティングガラスは、1.2〜1.3μmのParylene C誘電体と約100nmのCytonix Fluoropel 1601V疎水性フルオロポリマーにより周囲環境として覆われている。あるいは、インジウムスズ酸化物(ITO)コーティングガラスは、約100nmのAlおよび約50nmのAsahi Cytop CTL−809M疎水性フルオロポリマーで覆うことができる。基板のITO層に1点で取着している導線は、接地電極としての役割を果たす。基板を透明な非極性溶媒に浸漬し、非水性極性流体を有する着色流体の1滴を、表面上に置く。−30Vから30Vの範囲の段階的な電圧を、直流または交流で、タングステン針電極プローブを通してその液滴に供給し、各電圧での液滴の接触角を記録し、VCA Optimaソフトウェアプログラム(AST Products)を使用して計算する。その内容全体が参照により本明細書に組み込まれている、Balaji Rajら、「Ion and Liquid Dependent Dielectric Failure in Electrowetting Systems」、Langmuir | 3b2 | ver.9 | 18/7/09を参照されたい。
【0078】
非極性溶媒を有する着色流体の電気伝導率は、Scientifica 627導電率計(Princeton Instruments)を使用して25℃で測定する。誘電率は、Scientifica 870液体誘電率メータ(Princeton Instruments)を使用して25℃で測定する。
【0079】
非極性溶媒を有する着色流体のエレクトロウェッティング性能は、電圧を印加した状態で、疎水性誘電体および電極基板に対する脱イオン水中の着色流体の液滴に関する接触角の変化を観察することによって評価する。SnO:Inコーティングガラスは、1μmのParylene C誘電体と約100nmのCytonix Fluoropel 1601V疎水性フルオロポリマーとによって覆われている。この基板は、第2の基板と組み合わせて使用したときに着色流体を置くことができる隙間を提供する、指定高さのフィーチャを含む。脱イオン水を、底面の疎水性基板上に置き、次いでSnO:Inコーティングガラスの上部基板で覆う。着色流体の液滴を隙間に注入し、疎水性底面基板に接触するようにする。交流および直流電圧を水に印加し、非極性流体の動きを観察する。所望の性能は、電圧を印加したときの、疎水性表面に対する着色流体の接触角の増加およびそれに応じた表面積の減少と、電圧を除去したときの、初期接触角および表面積への戻りとによって示される。
【0080】
試験の目的で、Cowlesブレードを備えたDispermat高速ミキサ(VMA−Getzmann GMBX)を使用して、全ての成分を5,000RPMで30分間均質化することにより、分散液を室温で予備混合する。ミリングが必要な場合、予備混合物を、Mini 50 Laboratory Bead Mill M50−VSE−EXP(Eiger Machinery,Inc.)で1時間、0.8〜1.0mmのセラミック媒体でミリングする。
【0081】
(実施例1)
自己分散型C.I.ピグメントブルー15:4のCab−o−Jet(登録商標)250C 10%水性分散液(Cabotから入手可能)100部と、脱イオン水100部とを、ガラスビーカ内に入れ、30%HCl 50部で酸性化した。このスラリーを85〜90℃まで加熱し、この温度で1時間撹拌する。高温の分散液を濾過し、プレスケーキを脱イオン水で洗浄して中性pHにし、1回当たりメタノール100部で2回洗浄し、顔料を50℃の炉内で一晩乾燥する。次いで濃青色粉末を摩砕する。顔料10部を、非水性極性溶媒であるプロピレングリコール(PG)90部と予備混合し、その後、スラリーを1時間ミリングすることにより、シアン色の流体が得られる。
【0082】
(実施例2)
PGの代わりに非水性極性溶媒であるプロピレンカーボネート(PC)を用いたこと以外、実施例1に記述されるように流体を作製することにより、シアン色の流体が得られる。
【0083】
(実施例3)
Cab−o−Jet(登録商標)250Cの代わりに、自己分散型C.I.ピグメントレッド122のCab−o−Jet(登録商標)260M 10%水性分散剤(Caboから入手可能)を用いたこと以外、実施例1に示されるように流体を作製する。次いで濃赤色粉末を摩砕する。顔料10部を、プロピレンカーボネート(PC)90部と予備混合し、その後、スラリーを1時間ミリングすることにより、マゼンタ色の流体が得られる。
【0084】
(実施例4)
C.I.ピグメントレッド254、226−0200(Sun Chemical Corp.から入手可能)20部、キナクリドン誘導体専売品#1 2.7部、ポリマー分散剤Solsperse(登録商標)20,000(Noveonから入手可能)10部、およびプロピレンカーボネート(Huntsmanから入手可能)67.3部を予備混合し、1時間ミリングして、顔料の含量が20%である赤色流体を形成し、これをさらに、綿状沈殿させることなく適切な溶媒で希釈して所望の顔料濃度にすることができる。
【0085】
(比較例4a)
C.I.ピグメントレッド254 Irgazin(登録商標)DPP BTR(Cibaから入手可能)20部、ポリマー分散剤Solsperse(登録商標)20,000(Noveonから入手可能)10部、およびプロピレンカーボネート(Huntsmanから入手可能)70部を予備混合することにより、ミリングできない非常に高い粘度のペーストが得られた。顔料の含量を10%にまで減少させる、追加量のプロピレンカーボネートを用いたペーストの希釈は、ミリングできる点までサンプルを改善しなかった。
【0086】
(実施例5)
C.I.ピグメントブラック7、Nipex(登録商標)150(Evonikから入手可能)20部、ポリマー分散剤Solsperse(登録商標)20,000(Noveonから入手可能)10部、およびプロピレンカーボネート(Huntsmanから入手可能)70部を予備混合し、1時間ミリングして、顔料の含量が20%である黒色流体を形成し、これをさらに、綿状沈殿させることなく適切な溶媒で希釈して所望の顔料濃度にすることができる。
【0087】
(実施例6)
C.I.ピグメントブラック7、Nipex(登録商標)150(Evonikから入手可能)20部、銅フタロシアニンSolsperse(登録商標)12,000をベースにした青色共力剤2部、ポリマー分散剤Solsperse(登録商標)20,000(共にNoveonから入手可能)10部、およびプロピレンカーボネート(Huntsmanから入手可能)68部を予備混合し、1時間ミリングして、顔料の含量が20%である黒色流体を形成し、これをさらに、綿状沈殿させることなく適切な溶媒で希釈して所望の顔料濃度にすることができる。
【0088】
(実施例7)
C.I.ピグメントレッド254、226−0200(Sun Chemical Corp.から入手可能)20部、キナクリドン誘導体専売品#2 2.7部、ポリマー分散剤Solsperse(登録商標)20,000(Noveonから入手可能)10部、およびプロピレンカーボネート(Huntsmanから入手可能)67.3部を予備混合し、1時間ミリングして、顔料の含量が20%である赤色流体を形成し、これをさらに、綿状沈殿させることなく適切な溶媒で希釈して所望の顔料濃度にすることができる。
【0089】
(実施例8)
C.I.ピグメントブラック7、Nipex(登録商標)150(Evonikから入手可能)20部、およびその内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,329,315号の実施例5に記載されている分散剤10部、およびプロピレングリコール70部を予備混合し、1時間ミリングして、顔料の含量が20%である黒色流体を形成し、これをさらに、綿状沈殿させることなく適切な溶媒で希釈して所望の顔料濃度にすることができる。
【0090】
(実施例9)
C.I.ピグメントブラック7、Nipex(登録商標)150(Evonikから入手可能)15部、銅フタロシアニンSolsperse(登録商標)12,000をベースにした青色共力剤2部、ポリマー分散剤Solsperse(登録商標)20,000(共にNoveonから入手可能)10部、イソブタノール9部、およびプロピレングリコール64部を予備混合し、1時間ミリングして、顔料の含量が15%である黒色流体を形成し、これをさらに、綿状沈殿させることなく適切な溶媒で希釈して所望の顔料濃度にすることができる。
【0091】
(実施例10)
C.I.ピグメントバイオレット19、226−6700(Sun Chemical Corp.から入手可能)20部、キナクリドン誘導体専売品#2 2.7部、ポリマー分散剤Solsperse(登録商標)20,000(Noveonから入手可能)10部、およびプロピレンカーボネート(Huntsmanから入手可能)67.3部を予備混合し、1時間ミリングして、顔料の含量が20%である赤色流体を形成し、これをさらに、綿状沈殿させることなく適切な溶媒で希釈して所望の顔料濃度にすることができる。
【0092】
(比較例10a)
C.I.ピグメントバイオレット19、226−6700(Sun Chemical Corp.から入手可能)20部、ポリマー分散剤Solsperse(登録商標)20,000(Noveonから入手可能)10部、およびプロピレンカーボネート(Huntsmanから入手可能)70部を予備混合することにより、ミリングできない非常に高い粘度のペーストが得られた。顔料の含量を10%にまで減少させる、追加量のプロピレンカーボネートを用いたペーストの希釈は、ミリングできる点までサンプルを改善しなかった。
【0093】
実施例1〜10aに関する結果/データを、下記のTable 1(表1)に示す。比較例4aおよび10aは、顔料の含量が10%のときにミリングできず、したがって本明細書で報告していない。
【0094】
【表1】

【0095】
(実施例11)
ペリレンブラック顔料(Sun Chemical Corpから入手可能)3.5部、および非極性溶媒であるドデカン66.5部を、1.5時間ミリングすることにより、顔料の含量が5%である黒色流体が得られた。黒色流体の導電率は0pS/cmであり、誘電率は2.05であった。この流体を希釈して顔料の含量を1%にし、良好なエレクトロウェッティング特性であることが実証された。
【0096】
(比較例11a)
ペリレンブラック顔料の代わりにSpecial Black(登録商標)250(Evonikから入手可能)を用いたこと以外、実施例11のようにして黒色流体を調製した。黒色流体の導電率は14.6〜20pS/cmであり、誘電率は11〜13.3であった。この流体を希釈して、顔料の含量を1%にし、不十分なエレクトロウェッティング特性であることが実証された。
【0097】
本発明の着色流体の様々な実施形態は、エレクトロウェッティング、電気流体、および/または電気泳動の原理により動作する電子ディスプレイ、カラーフィルタ、インクジェットインク、液体トナー、および現像剤に着色を提供するのに使用してもよい。
【0098】
1つの特定の実施形態では、本発明の実施形態の着色流体は、画像を生成するためにエレクトロウェッティングの原理に従い動作するディスプレイで使用してもよい。一般に、エレクトロウェッティングデバイスは、極性流体および非極性流体で満たされた複数の個々の画素を含有する。各画素に印加される電圧または各画素から除去される電圧は、極性流体の移動を引き起こし、それによって画素の外観または状態を変化させ、例えば着色状態から非着色または透明状態に変化させる。
【0099】
ディスプレイのエレクトロウェッティングデバイスとして使用される代表的な画素10を、図1A、1Bにおいて本発明の実施形態として示す。少なくとも1つの非水性極性溶媒および少なくとも1つの着色剤を含む極性流体12は、本発明の実施形態の1つと一致し、非極性流体14はリザーバ16の内部に閉じ込められている。リザーバ16は、第1の電極18と第2の電極20との間に配置されている。電極18、20のそれぞれは、フルオロポリマーなどの絶縁体でそれぞれ構成された疎水性コーティング22、24でコーティングされている。積層構成にある流体12、14、電極18、20、およびコーティング22、24は、基板26、28により支持される。電源30は、電極18、20の間に接続されており、ディスプレイの画素用の制御回路(図示せず)にさらに接続されており、したがって画素10は、ディスプレイ状態を変化させるよう対処できるようになされている。
【0100】
光は基板26に供給され、流体12、14、電極18、20、コーティング22、24、および基板28の積層体を通して、画素10の外部環境へと向けられる。図1Aに示されるように、電源30によって電極18、20に印加される電圧の存在下、極性流体12は、疎水性コーティング22上に被膜を形成し、画素10が被膜の着色に関連した外観を有するようになされている。例えば、極性流体12の色が赤の場合、赤色波長の光が画素10から観察される。極性流体12の色は、疎水性コーティング22の領域上の極性流体12の広い表面積により、画素10を透過した光により明らかにされる。電位差が図1Bに示されるように除去されると、極性流体12はその形状を変化させることによって応答し、それによって、疎水性コーティング22の表面に対するその接触角が変化する。極性流体12の目に見える着色は、図1Bのディスプレイ状態ではそれほど明らかではないが、それは少量の光しか極性流体12を透過しないからであり、比較して光の多くは非極性流体14内を透過する。極性流体12の着色が不十分な非極性流体14は、電圧が図1Bの電極18、20からなくなったときに、疎水性コーティング22の表面積のほとんどを優先的に湿潤させる。非極性流体14は、非着色または透明であってもよい。図1A、1Bに示される画素10の、これら2つの対照的なディスプレイ状態は、画素10に類似したその他の画素(図示せず)の対照的なディスプレイ状態と共に、画像を生成するためディスプレイにより使用されてもよい。電位差が、画素10の電極18、20の間に再度印加されると、極性流体12は、図1Bのディスプレイ状態から図1Aのディスプレイ状態に戻ることになる。
【0101】
当業者なら、画素10は様々な代替の構造を有してもよいこと、および図1A、1Bに示される構造を変えてもよいことが理解されるだろう。代替の実施形態では、画素10は、印加された電位差によって極性流体12が図1Aのような被膜を形成するように、かつ印加された電位差の除去によって図1Bの大きな接触角の状態が生ずるように、構成してもよい。あるいは、極性流体12は、この極性流体12が目に見えず観察者から隠される画素内10の位置に、電位差によって移動させてもよい。
【0102】
同様の符号が図1A、1Bにおける同様のフィーチャを指す、図2Aおよび2Bを参照すると、少なくとも1つの非極性溶媒および少なくとも1つの着色剤を含む非極性流体14は、本発明の実施形態の1つに一致しており、好ましくは黒の着色を有していてもよく、画像が生成されるように極性流体12と共にディスプレイ画素10で使用してもよい。一実施形態では、黒色非極性流体14は、図2Aに示されるように疎水性コーティング22上に被膜を形成し、暗い、例えば黒の画像領域を生成する。電位差が図2Bのように印加されると、極性流体12は、疎水性コーティング22を湿潤させることになり、非極性流体14は移動して、例えば狭い表面積によって特徴付けられる液滴を形成することになる。その結果、非極性流体14の色は、画素10の小さな目に見える領域に限定され、画素10の外観は、極性流体12の色を主に反映することになり、非着色または透明になる。図2A、2Bに示される画素10のこれら2つの対照的なディスプレイ状態は、画素10に類似したその他の画素(図示せず)の対照的なディスプレイ状態と共にこのディスプレイで使用して、画像を生成してもよい。
【0103】
同様の符号が図1A、1Bにおける同様のフィーチャを指しておりかつ本発明の実施形態による図3A〜Cを参照すると、本発明の実施形態の極性流体12は、極性12の液滴が目に見えない位置(図3A)から目に見える位置(図3C)まで画素40内を移動するディスプレイの画素40で使用してもよい。基板26、28と同様の基板が存在するが、明確にするために図から省略されている。目に見えない位置と目に見える位置との間での極性流体12の変位は、図3Bで明らかである。画素40の電極18は、2つの個別の電極18a、18bに分けられる。電極18aは、極性流体12が隠され観察者からは目に見えない画素40の部分に位置付けられ、電極18bは、極性流体12を通した光の透過によって極性流体12が観察者から見える、画素40の部分に位置付けられる。
【0104】
電極18b、20の間に印加された電位差のスイッチングにより、極性流体12は、目に見えない位置(図3A)から目に見える位置(図3B)に移動する。目に見える位置では、光が極性流体12内を透過し、極性流体12の着色を反映する波長を獲得する。光は、特徴的な着色を獲得した後に、疎水性コーティング24および電極20を透過し、画素40から外に出て観察者に達する。極性流体12は、目に見える位置(図3C)から目に見えない位置(図3A)に戻り、電極18a、20に電位差を印加することによって初期ディスプレイ状態を再度確立する。
【0105】
図3A、3Cに示される画素40のこれら2つの対照的なディスプレイ状態は、画素40に類似したその他の画素(図示せず)の対照的なディスプレイ状態と共にディスプレイで使用して、画像を生成してもよい。代替の実施形態では、極性流体12の着色に加え、画素40の非極性流体14を着色してもよい。本明細書に記述される極性流体12の実施形態は、画像のコントラストを改善するために、画素40などのデバイス画素で使用してもよい。
【0106】
本発明の実施形態に一致した組成物を有する着色非極性流体は、ディスプレイ用の電気泳動デバイスで使用することもできる。同様の符号が図1A、1Bにおける同様のフィーチャを指している図4A、4Bを参照すると、非極性流体14は、単一粒子型電気泳動ディスプレイの画素50の、対比色として使用してもよい。特に、荷電粒子52は、ある体積の非極性流体14内に懸濁しており、画素50は、非極性流体14の着色の外観を有している。電位差が、電源30からの電圧によって電極18、20の間に印加されると、荷電粒子52は、電極18、20の少なくとも一方に、この場合は図4Bに示される電極20に向かって静電的に引き付けられる。着色非極性流体14のバルク内で荷電粒子52が再分布した結果、画素50の目に見える外観は、ディスプレイ状態の変化により、荷電粒子52の着色を反映するように変化する。図4A、4Bに示される画素50の、これら2つの対照的なディスプレイ状態は、画素50に類似したその他の画素(図示せず)の対照的なディスプレイ状態と共にディスプレイで使用して、画像を生成してもよい。あるいは、非極性流体14内の着色剤粒子が適切に帯電した場合、着色非極性流体14は、2重粒子型ディスプレイの対比色であってもよい。
【0107】
本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態について記述するためのものであり、本発明を限定しようとするものではない。本明細書で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、他に文脈で明らかに指示しない限り、複数形も含むものとする。「含む(comprises)」および/または「含んでいる(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、記述されるフィーチャ、整数、ステップ、操作、要素、および/または成分の存在を明示するが、1つまたは複数のその他のフィーチャ、整数、ステップ、操作、要素、成分、および/またはこれらの群の存在または付加を除外するものではないことが、さらに理解されよう。さらに、「含む(includes)」、「有している(having)」、「有する(has)」、「共に(with)」、「からなる(composed)」、「含んだ(comprised)」またはこれらの変形である用語が詳細な説明または特許請求の範囲のどちらにおいても使用される限りでは、そのような用語は、「含んでいる(comprising)」という用語と同様の手法で包括的であるものとする。
【0108】
本発明を、様々な実施形態の記述により示してきたが、またこれらの実施形態についてかなり詳細に記述してきたが、添付される特許請求の範囲をそのような詳細に制限しまたはいかようにも限定することは、本出願人が意図するところではない。追加の利点および修正例は、当業者に容易に明らかにされよう。したがって本発明は、そのより広範な態様において、図示され記述される特定の詳細、代表的な装置および方法と、例示される実施例に限定されるものではない。したがって、本出願人の全体的な発明概念の精神または範囲から逸脱することなく、そのような詳細から展開することができる。
【符号の説明】
【0109】
10 画素
12 極性流体
14 非極性流体
16 リザーバ
18 電極
20 電極
22 コーティング
24 コーティング
26 基板
28 基板
30 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)25℃で0.1cPから50cPの動的粘度、(b)25℃で25ダイン/cmから55ダイン/cmの表面張力、および(c)40%から80%のエレクトロウェッティング相対応答を有する、少なくとも1つの非水性極性溶媒と;
顔料および/または染料から選択される少なくとも1つの着色剤と
を含む、エレクトロウェッティングデバイス、電気流体デバイス、または電気泳動デバイス用の着色流体。
【請求項2】
前記非水性極性溶媒が、グリコール、アルコール、ポリオール、エーテル、エステル、ケトン、アセタール、ケタール、ラクトン、カーボネート、ラクタム、ウレタン、尿素、ピロリジン、ピロリドン、スルホン、スルホキシド、アミド、第1級、第2級、第3級、または第4級アミン、イミン、ニトリル、カルボン酸、アルデヒド、ハロゲン化、チオ、またはニトロ化合物、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の着色流体。
【請求項3】
前記非水性極性溶媒が、下式の1つまたは複数から選択される、請求項1に記載の着色流体:
【化1】

(式中、RおよびRは独立して、H、C〜C12アルカン(Alk)、アリール(Ar)、アルカンアリール、またはO(RRO)Hであり;R、R、R、およびRは独立して、H、C〜C12Alk、Ar、AlkAr、ハロゲン、OH、OAlk、OAr、SAlk、SAr、COOH、COOR、COOAr、CONAlk、CONAr、=O、CHC=O、CN、N(R)、CONR(ROH)、COO(RRO)R、CONR(RRO)R、またはNRR(RRO)Hであり;n=1〜50であり;およびm=1〜2である)。
【請求項4】
前記非水性極性溶媒が、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,2−シクロヘキサンカーボネート、グリセリンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、アセトフェノン、ピリジン、マロン酸ジメチル、ジアセトンアルコール、カルバミン酸ヒドロキシプロピル、カルバミン酸β−ヒドロキシエチル、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、アセトニルアセトン、シクロヘキサノン、アセト酢酸エチル、エチル−L−ラクテート、ピロール、N−メチルピロール、N−エチルピロール、4H−ピラン−4−オン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−ホルミルモルホリン、β−プロピオラクトン、β−バレロラクトン、β−ヘキサラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラクトン、δ−ヘプタラクトン、δ−オクタラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、δ−テトラデカラクトン、δ−オクタデカラクトン、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の着色流体。
【請求項5】
前記着色剤が顔料である、請求項1に記載の着色流体。
【請求項6】
前記顔料が自己分散型顔料である、請求項5に記載の着色流体。
【請求項7】
界面活性剤、分散剤、および樹脂を含まない、請求項6に記載の着色流体。
【請求項8】
前記顔料が、10nmから5000nmの平均重量直径を有する複数の粒子を含む、請求項5に記載の着色流体。
【請求項9】
少なくとも1つの分散剤をさらに含む、請求項5に記載の着色流体。
【請求項10】
前記顔料が自己分散型顔料であり、前記非水性極性溶媒が、ラクトン、カーボネート、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、およびジプロピレングリコールからなる群から選択され、前記着色流体が界面活性剤、分散剤、および樹脂を含まない、請求項5に記載の着色流体。
【請求項11】
前記着色剤が染料である、請求項1に記載の着色流体。
【請求項12】
界面活性剤、分散剤、および樹脂を含まない、請求項11に記載の着色流体。
【請求項13】
分散剤、増量剤、共力剤、界面活性剤、樹脂、ポリマー、殺生物剤、またはこれらの任意の組合せをさらに含む、請求項1に記載の着色流体。
【請求項14】
前記着色流体の全重量に対して、60.0重量%から99.9重量%の非水性極性溶媒と、0.1重量%から40.0重量%の着色剤とを含む、請求項1に記載の着色流体。
【請求項15】
前記着色剤が顔料であり、前記顔料の重量%に対して0.1重量%から200重量%の分散剤をさらに含む、請求項14に記載の着色流体。
【請求項16】
前記非水性極性溶媒が、10よりも大きい誘電率を有する、請求項1に記載の着色流体。
【請求項17】
非極性溶媒を含まない、請求項1に記載の着色流体。
【請求項18】
25℃で0.1cPから1000cPの動的粘度、25℃で2ダイン/cmから55ダイン/cmの界面張力、および10%から80%のエレクトロウェッティング相対応答を有する、請求項1に記載の着色流体。
【請求項19】
5μS/cmよりも大きい導電率を有する、請求項18に記載の着色流体。
【請求項20】
25℃で少なくとも4週間の色安定性を有する、請求項18に記載の着色流体。
【請求項21】
少なくとも1つの非極性溶媒と;
顔料および/または染料から選択される少なくとも1つの有機着色剤と
を含み、色が黒であり、0pS/cmから5pS/cmの導電率と、3未満の誘電率とを有する、エレクトロウェッティングデバイス、電気流体デバイス、または電気泳動デバイス用の着色流体。
【請求項22】
前記有機着色剤が、黒の着色剤であり、または前記着色流体の黒色をもたらす2つ以上の有機着色剤の組合せである、請求項21に記載の着色流体。
【請求項23】
前記有機着色剤が、C.I.ブラックピグメント1、2、3、C.I.バットブラック1、2、7、8、9、16、19、20、21、23、25、27、28、29、30、35、44、52、53、54、55、56、57、58、63、64、および65からなる群から選択される黒の着色剤である、請求項22に記載の着色流体。
【請求項24】
前記有機着色剤が、アゾ、アジン、ベンズイミダゾロン、アゾメチン、メチン、アントラキノン、アリールアミノキノン、フタロシアニン、ペリノン、ジケトピロロピロール、インジゴ、チオインジゴ、ジオキサジン、イソインドリン、イソインドリノン、イミノイソインドリン、イミノイソインドリノン、キナクリドン、フラバントロン、インダントロン、インダントレン、インドール−チアナフテン、アンタントロン、アントラピリミジン、ペリレン、キノフタロン、ビオラントロン、イソビオラントロン、ビオラントレン、ピラントロン、または、前記着色流体の黒色をもたらすこれらの任意の組合せである、請求項21に記載の着色流体。
【請求項25】
前記非極性溶媒が、直鎖状または分枝状アルカン、アリールアルカン、脂肪酸、アルコール、芳香族もしくは脂環式炭化水素、複素環化合物、ハロゲン化炭化水素、ケイ素もしくはゲルマニウムをベースにしたポリマーもしくはオリゴマー、環状シロキサン、またはこれらの組合せである、請求項21に記載の着色流体。
【請求項26】
極性溶媒および/または樹脂を含まない、請求項21に記載の着色流体。
【請求項27】
リザーバと;
前記リザーバ内の着色流体であって、少なくとも1つの非極性溶媒と、顔料および/または染料から選択される少なくとも1つの有機着色剤とを含み、色が黒であり、0pS/cmから5pS/cmの導電率と、3未満の誘電率とを有する着色流体と;
前記着色流体内に懸濁された複数の荷電粒子と;
前記荷電粒子を前記着色流体内で電極の少なくとも1つに対して移動させるのに有効な電位差を印加するように構成された複数の電極と
を含む、ディスプレイ用の画素。
【請求項28】
リザーバと;
前記リザーバ内の着色流体であって、(a)25℃で0.1cPから50cPの動的粘度、(b)25℃で25ダイン/cmから55ダイン/cmの表面張力、および(c)40%から80%のエレクトロウェッティング相対応答を有する少なくとも1つの非水性極性溶媒と、顔料および/または染料から選択される少なくとも1つの着色剤とを含む着色流体と;
前記着色流体を電極の少なくとも1つに対して移動させるのに有効な電位差を印加するように構成された、複数の電極と
を含む、ディスプレイ用の画素。
【請求項29】
リザーバと;
前記リザーバ内の着色流体であって、少なくとも1つの非極性溶媒と、顔料および/または染料から選択される少なくとも1つの有機着色剤とを含み、色が黒であり、0pS/cmから5pS/cmの導電率と、3未満の誘電率とを有する着色流体と;
前記リザーバ内の極性流体であって、前記着色流体により占有されていない前記リザーバ内の、ある容積を占有している極性流体と;
前記極性流体の動きによって前記着色流体の形状が変化するように、前記極性流体を電極の少なくとも1つに対して移動させるのに有効な電位差を印加するように構成された複数の電極と
を含む、ディスプレイ用の画素。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2012−520485(P2012−520485A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554053(P2011−554053)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/000767
【国際公開番号】WO2010/104606
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(507385165)サン ケミカル コーポレイション (17)
【Fターム(参考)】