エレベータの敷居装置
【課題】本発明は、敷居延長部材の破損を防止することができるエレベータの敷居装置を得ることを目的とするものである。
【解決手段】敷居延長部材5の乗場側端面には、係合溝5aが設けられている。係合溝5aは、かごドア2,3の開閉方向に平行な方向に沿って連続して設けられている。敷居延長部材5が敷居隙間縮小位置に位置するときに、荷重支持部材29の昇降路側端部は、係合溝5aに挿入される。これにより、荷重支持部材29は、敷居延長部材5が敷居隙間縮小位置に位置するときに、敷居延長部材5の上下両方向への変位を規制するように敷居延長部材5に係合する。
【解決手段】敷居延長部材5の乗場側端面には、係合溝5aが設けられている。係合溝5aは、かごドア2,3の開閉方向に平行な方向に沿って連続して設けられている。敷居延長部材5が敷居隙間縮小位置に位置するときに、荷重支持部材29の昇降路側端部は、係合溝5aに挿入される。これにより、荷重支持部材29は、敷居延長部材5が敷居隙間縮小位置に位置するときに、敷居延長部材5の上下両方向への変位を規制するように敷居延長部材5に係合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、かご出入口の下部と乗場出入口の下部とに設けられているエレベータの敷居装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、エレベータのかご敷居と乗場敷居との間には、かごの走行時にドア係合装置が通過する隙間を確保する必要があるため、30mm程度の敷居隙間が確保されている。しかし、敷居隙間は、かごが階床に停止しているときには不要であり、全戸開時の敷居隙間の縮小が要求されることがある。このような要求に対して、従来のエレベータの敷居装置では、エレベータドアの開閉方向に平行に往復動可能な敷居延長部材が、かご敷居の前端部に隣接して設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2008−1521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような従来のエレベータの敷居装置では、敷居延長部材がかご側からのみ支持されているため、重量物を運搬する台車等の荷重が敷居延長部材にかかると、敷居延長部材が破損する恐れがあった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、敷居延長部材の破損を防止することができるエレベータの敷居装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータの敷居装置は、かご出入口の下部に固定されたかご敷居、乗場出入口の下部に固定された乗場敷居、かご敷居及び乗場敷居のいずれか一方の前端部に隣接して設けられ、エレベータドアの開閉方向に平行に往復動可能な敷居延長部材、全戸開時にかご出入口と乗場出入口との間の空間の下部の敷居隙間縮小位置に位置させるとともに、全戸閉時には敷居隙間縮小位置から退避させるように、エレベータドアの開閉動作に連動させて敷居延長部材を変位させる変位手段、及びかご敷居及び乗場敷居の他方に設けられ、敷居延長部材が敷居隙間縮小位置に位置するときに、敷居延長部材に上方からかかる荷重を支持する荷重支持部材を備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明のエレベータの敷居装置は、かご敷居及び乗場敷居のいずれか一方に敷居延長部材を設けるとともに、かご敷居及び乗場敷居の他方に荷重支持部材を設け、敷居延長部材が敷居隙間縮小位置に位置するときに、敷居延長部材に上方からかかる荷重を荷重支持部材で支持するようにしたので、敷居延長部材にかかる荷重をバランス良く支持することができ、敷居延長部材の破損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるエレベータのかごドア装置の全戸閉状態を示す正面図(乗場側から見た図)、図2は図1のかごドア装置の全戸開状態を示す正面図である。図において、かご出入口1は、エレベータドアである第1のかごドア(高速ドア)2及び第2のかごドア(低速ドア)3により開閉される。かご出入口1の下部(床部)には、かご敷居4が固定されている。
【0009】
平板状の敷居延長部材5は、かご敷居4の乗場側端部(前端部)に隣接して設けられている。また、敷居延長部材5は、かご敷居4の乗場側端部に沿ってかごドア2,3の開閉方向に平行に往復動される。さらに、敷居延長部材5の上面及び下面は、かご敷居4の上面及び下面とそれぞれ面一である。
【0010】
敷居延長部材5は、変位機構であるリンク機構6を介して第1のかごドア2に連結されている。これにより、敷居延長部材5は、第1のかごドア2の開閉動作に連動して第1のかごドア2とは逆方向に変位される。また、敷居延長部材5は、全戸開時に、かご出入口1の全幅と重なる範囲に位置する。これに対して、全戸閉時には、敷居延長部材5は、全戸開時よりも戸袋側に位置する。
【0011】
リンク機構6は、軸7を中心に回動可能にかごに取り付けられた第1のリンク8、第1のリンク8と第1のかごドア2とを連結する第2のリンク9、及び第1のリンク8と敷居延長部材5とを連結する第3のリンク10を有している。
【0012】
第1のリンク8の一端部は、第2のリンク9の一端部にピン11を介して回動自在に連結されている。第2のリンク9の他端部は、第1のかごドア2にピン12を介して回動自在に連結されている。第1のリンク8の他端部は、第3のリンク10の一端部にピン13を介して回動自在に連結されている。第3のリンク10の他端部は、敷居延長部材5にピン14を介して回動自在に連結されている。
【0013】
第1のかごドア2の前面には、一対のベーン15a,15bが互いに平行かつ垂直に固定されている。
【0014】
図3は図1のIII−III線に沿う断面図、図4は図2のIV−IV線に沿う断面図である。なお、図1及び図2ではかごドア装置のみを示したが、図3及び図4では乗場ドア装置も示している。
【0015】
かご敷居4の上部には、第1のかごドア2の下端部が係合する第1のかご敷居溝4aと、第2のかごドア3の下端部が係合する第2のかご敷居溝4bとが設けられている。かご敷居溝4a,4bは、かごドア2,3の開閉時に、かごドア2,3の下端部の移動を案内する。
【0016】
かご出入口1の幅方向一端部(反戸袋側端部)には、第1のかご出入口柱16が立設されている。また、かご出入口1の幅方向他端部(戸袋側端部)には、第2のかご出入口柱17が立設されている。
【0017】
乗場出入口21は、エレベータドアである第1の乗場ドア(高速ドア)22及び第2の乗場ドア(低速ドア)23により開閉される。乗場出入口21の下部(床部)には、乗場敷居24が固定されている。
【0018】
乗場敷居24の上部には、第1の乗場ドア22の下端部が係合する第1の乗場敷居溝24aと、第2の乗場ドア23の下端部が係合する第2の乗場敷居溝24bとが設けられている。乗場敷居溝24a,24bは、乗場ドア22,23の開閉時に、乗場ドア22,23の下端部の移動を案内する。
【0019】
第1の乗場ドア22には、ドライブローラ(インターロックローラ)25が設けられている。ドライブローラ25は、かごが階床に着床した際、ベーン15a,15b間に位置し、ベーン15a,15bに係合する。これにより、乗場ドア22,23は、かごドア2,3に連動して開閉される。
【0020】
乗場出入口21の幅方向一端部(反戸袋側端部)には、第1の乗場出入口柱26が立設されている。また、乗場出入口21の幅方向他端部(戸袋側端部)には、第2の乗場出入口柱27が立設されている。
【0021】
敷居延長部材5は、全戸開時には、かご出入口1と乗場出入口21との間の空間の下部でかご敷居4と乗場敷居24との間、即ち敷居隙間縮小位置に位置し、実質的な敷居隙間寸法を縮小させる。また、全戸閉時には、敷居延長部材5は、かごが昇降してもドライブローラ25と干渉しない位置まで戸袋側へ退避される。
【0022】
乗場敷居24の昇降路側端部には、敷居延長部材5が係合する第1及び第2の荷重支持部材(保持部材)28,29が固定されている。第1及び第2の荷重支持部材28,29は、全戸開時に敷居延長部材5と鉛直方向に部分的に重なる。これにより、第1及び第2の荷重支持部材28,29は、敷居延長部材5が敷居隙間縮小位置に位置するときに、敷居延長部材5に上方からかかる荷重を支持する。また、第1及び第2の荷重支持部材28,29は、全戸閉時には敷居延長部材5と鉛直方向に重ならない。
【0023】
さらに、第1及び第2の荷重支持部材28,29は、敷居延長部材5の変位方向に沿って連続的に設けられている。但し、第1及び第2の荷重支持部材28,29間には、かごの昇降時にベーン15a,15bの通過を許容する空隙が設けられている。即ち、第1及び第2の荷重支持部材28,29は、ベーン15a,15bとの干渉を避けて配置されている。
【0024】
図5は図4のV−V線に沿う断面図である。敷居延長部材5の乗場側端面には、係合溝5aが設けられている。係合溝5aは、かごドア2,3の開閉方向に平行な方向に沿って連続して設けられている。敷居延長部材5が敷居隙間縮小位置に位置するときに、第1及び第2の荷重支持部材28,29の昇降路側端部は、係合溝5aに挿入される。これにより、荷重支持部材28,29は、敷居延長部材5が敷居隙間縮小位置に位置するときに、敷居延長部材5の上下両方向への変位を規制するように敷居延長部材5に係合する。
【0025】
また、係合溝5aの幅寸法(図5の上下方向寸法)及び深さ寸法(図5の左右方向寸法)は、荷重支持部材28,29が挿入された状態で荷重支持部材28,29との間にある程度の隙間が存在するように設定されている。即ち、荷重支持部材28,29は、敷居延長部材5が変位される際に敷居延長部材5に干渉しない。
【0026】
かご敷居4には、敷居延長部材5の往復動を案内する延長部材案内溝4cが設けられている。敷居延長部材5には、延長部材案内溝4cに係合する複数の案内部材30が敷居延長部材5の長さ方向に互いに間隔をおいて取り付けられている。案内部材30としては、延長部材案内溝4c内を転動するローラ、又は延長部材案内溝4c内を摺動する摺動部材を用いることができる。
【0027】
延長部材案内溝4cの敷居延長部材5側の開口幅は、案内部材30の高さ寸法よりも小さくなっており、これにより案内部材30及び敷居延長部材5の乗場側への変位は規制されている。従って、敷居延長部材5は、かご敷居4の乗場側端面に接合したまま往復動される。
【0028】
図6は図5の第2の荷重支持部材29の乗場敷居24への取付状態を示す正面図、図7は図6の第2の荷重支持部材29を示す正面図である。第2の荷重支持部材29は、複数の皿ねじ(皿タッピンねじ)31により乗場敷居24に固定されている。皿ねじ31は、第2の荷重支持部材29の長手方向に互いに間隔をおいて配置されている。第2の荷重支持部材29には、皿ねじ31に対応して複数の皿穴29aが設けられている。なお、第1の荷重支持部材28も、第2の荷重支持部材29と同様に乗場敷居24に固定されている。
【0029】
このようなエレベータの敷居装置では、かご敷居4側に敷居延長部材5を設けるとともに、乗場敷居24に荷重支持部材28,29を固定したので、敷居延長部材5が敷居隙間縮小位置に位置するときに、敷居延長部材5に上方から大きな荷重がかかると、敷居延長部材5が荷重支持部材28,29に当接し、敷居延長部材5にかかる荷重を荷重支持部材28,29でも支持することができる。このため、敷居延長部材5にかかる荷重をかご敷居4側と乗場敷居24側とでバランス良く分担して支持することができ、敷居延長部材5やその支持部の破損を防止することができる。
【0030】
また、敷居延長部材5が敷居隙間縮小位置に位置するとき、即ち全戸開時に、係合溝5aに荷重支持部材28,29が係合することにより、敷居延長部材5の上下両方向への変位が規制されるので、戸開状態でかごが上下に移動される戸開走行を防止することができる。
【0031】
さらに、実施の形態1の敷居装置を既存のエレベータに適用する場合、かご側の機器の設置・取替に加え、乗場側は荷重支持部材28,29の取付だけで済むため、改修工事が簡単であり、敷居延長部材5の強化及び戸開走行防止機能の追加を短時間・低コストで実現できる。
【0032】
なお、上記の例では、敷居延長部材5に係合溝5aを設け、荷重支持部材28,29を係合溝5aに挿入したが、荷重支持部材28,29に係合溝を設け、係合溝に挿入される突起部を敷居延長部材5に設けてもよい。
【0033】
また、上記の例では、2個の荷重支持部材28,29を用いたが、3個以上に分割された荷重支持部材を敷居延長部材5の変位方向に互いに間隔をおいて配置してもよい。
さらに、例えば第1の荷重支持部材28を省略して、荷重支持部材を1個のみ用いてもよい。
【0034】
さらにまた、上記の例では、第1のかごドア2と敷居延長部材5との間にリンク機構6を接続したが、エレベータドアの開閉動作に敷居延長部材5の動作を連動させる変位手段はこれに限定されるものではない。
【0035】
実施の形態2.
次に、図8はこの発明の実施の形態2によるエレベータの敷居装置の荷重支持部材29を示す正面図(昇降路側から見た図)である。この例では、荷重支持部材29の戸袋側端部(戸開側端部)の上下角部に丸み29bが設けられている。即ち、荷重支持部材29の上下寸法が戸袋側端面に向けて徐々に小さくされている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0036】
このように、荷重支持部材29に丸み29bを付すことにより、戸開動作時に荷重支持部材29を敷居延長部材5の係合溝5a内にスムーズに挿入することができ、荷重支持部材29が戸開閉動作の妨げとなるのをより確実に防止することができる。
【0037】
実施の形態3.
次に、図9はこの発明の実施の形態3によるエレベータの敷居装置の敷居延長部材5を示す正面図(乗場側から見た図)である。この例では、係合溝5aの戸閉側端部の上下面に丸み5bが設けられている。即ち、係合溝5aの幅寸法が敷居延長部材5の戸閉側端面に向けて徐々に大きくされている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0038】
このように、係合溝5aの側壁に丸み5bを付すことにより、戸開動作時に荷重支持部材29を敷居延長部材5の係合溝5a内にスムーズに挿入することができ、荷重支持部材29が戸開閉動作の妨げとなるのをより確実に防止することができる。
【0039】
なお、実施の形態3の敷居延長部材5に実施の形態2の荷重支持部材29を組み合わせてもよく、荷重支持部材29を係合溝5a内にさらにスムーズに挿入することができる。
【0040】
実施の形態4.
次に、図10はこの発明の実施の形態4によるエレベータの敷居装置の荷重支持部材29を示す正面図である。この例では、荷重支持部材29の戸袋側端部に一対のガイド部材32a,32bが取り付けられている。ガイド部材32a,32bは、戸開方向へ向けて間隔が徐々に小さくなるテーパ状の一対のガイド面を形成している。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0041】
このように、荷重支持部材29にガイド部材32a,32bを取り付けることにより、戸開動作時に荷重支持部材29を敷居延長部材5の係合溝5a内にスムーズに挿入することができ、荷重支持部材29が戸開閉動作の妨げとなるのをより確実に防止することができる。
【0042】
なお、実施の形態4のガイド部材32a,32b付きの荷重支持部材29に実施の形態3の敷居延長部材5を組み合わせてもよく、荷重支持部材29を係合溝5a内にさらにスムーズに挿入することができる。
【0043】
実施の形態5.
次に、図11はこの発明の実施の形態5によるエレベータの敷居装置の敷居延長部材5を示す正面図である。この例では、敷居延長部材5の戸閉側端部に一対のガイド部材33a,33bが取り付けられている。ガイド部材33a,33bは、戸閉方向へ向けて徐々に間隔が大きくなるテーパ状の一対のガイド面を形成している。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0044】
このように、敷居延長部材5にガイド部材33a,33bを取り付けることにより、戸開動作時に荷重支持部材29を敷居延長部材5の係合溝5a内にスムーズに挿入することができ、荷重支持部材29が戸開閉動作の妨げとなるのをより確実に防止することができる。
【0045】
なお、実施の形態5のガイド部材33a,33b付きの敷居延長部材5に実施の形態2、4の荷重支持部材29を組み合わせてもよく、荷重支持部材29を係合溝5a内にさらにスムーズに挿入することができる。
【0046】
実施の形態6.
次に、図12はこの発明の実施の形態6によるエレベータの敷居装置の乗場敷居24を示す正面図(昇降路側から見た図)、図13は図12のXIII−XIII線に沿う断面図である。この例では、ローラ状の複数の荷重支持部材34が敷居延長部材5の変位方向に互いに間隔をおいて設けられている。各荷重支持部材34は、水平な回転軸を中心として回転自在なローラであっても、乗場敷居24に固定された円板状の摺動部材であってもよい。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0047】
このようなローラ状の荷重支持部材34を用いることにより、敷居延長部材5と荷重支持部材34との接触抵抗が低減されるので、移動中の敷居延長部材5が荷重支持部材34に接触しても、敷居延長部材5をスムーズに移動させ続けることができ、荷重支持部材34が戸開閉動作の妨げとなるのをより確実に防止することができる。
【0048】
なお、実施の形態6の荷重支持部材34に実施の形態3、5の敷居延長部材5を組み合わせてもよく、荷重支持部材29を係合溝5a内にさらにスムーズに挿入することができる。
【0049】
実施の形態7.
次に、図14はこの発明の実施の形態7によるエレベータの敷居装置の乗場敷居24を示す正面図、図15は図14のXV−XV線に沿う断面図である。この例では、荷重支持部材34が帯状の取付板35を介して乗場敷居24に固定されている。他の構成は、実施の形態6と同様である。
【0050】
このような敷居装置では、取付板35に荷重支持部材34を予め取り付けてから、取付板35を乗場敷居24に取り付けることにより、荷重支持部材34の個数が多い場合であっても、乗場敷居24への荷重支持部材34の取付作業を容易にすることができる。また、荷重支持部材34同士の設置位置の精度を向上させることができる。
【0051】
実施の形態8.
次に、図16はこの発明の実施の形態8によるエレベータの敷居装置の断面図である。図において、敷居延長部材36には、係合溝36aが設けられている。係合溝36aの上面には、抜け止め溝としての上部溝36bが設けられている。係合溝36aの下面には、抜け止め溝としての下部溝36cが設けられている。
【0052】
乗場敷居24には、荷重支持部材37が固定されている。敷居延長部材36が隙間縮小位置に位置するとき、荷重支持部材37の昇降路側端部は、係合溝36aに挿入される。荷重支持部材37の昇降路側端部には、上部溝36bに挿入される上部突起37aと、下部溝36cに挿入される下部突起37bとが設けられている。
【0053】
上部突起37a及び下部突起37bは、荷重支持部材37の係合溝36aからの抜けを阻止する抜け止め部である。他の構成は、実施の形態1と同様である。また、敷居延長部材36の動作は、実施の形態1の敷居延長部材5の動作と同様である。
【0054】
このような敷居装置では、全戸開時に、乗場から遠ざかる方向への大きな力がかごに加わっても、上部突起37a及び下部突起37bが上部溝36b及び下部溝36cの側壁に当接し、敷居延長部材36から荷重支持部材37が外れない。このため、戸開走行をより確実に防止することができる。
【0055】
なお、実施の形態8の敷居延長部材36に実施の形態6、7の荷重支持部材34を組み合わせてもよい。
また、実施の形態8の敷居延長部材36に実施の形態3の丸み5bや実施の形態5のガイド部材33a,33bを設けてもよい。
さらに、実施の形態8の荷重支持部材37に実施の形態2の丸み29bや実施の形態4のガイド部材32a,32bを設けてもよい。
【0056】
実施の形態9.
次に、図17はこの発明の実施の形態9によるエレベータの敷居装置の断面図である。図において、敷居延長部材38には、係合溝38aが設けられている。係合溝38aの上面には、抜け止め溝としての上部溝38bが設けられている。荷重支持部材39の昇降路側端部には、上部溝38bに挿入される抜け止め部としての上部突起39aが設けられている。他の構成は、実施の形態8と同様である。
【0057】
このように、上部溝38bに上部突起39aを係合させるだけでも、荷重支持部材39の係合溝38aからの抜けを防止することができ、構成を簡単にすることができる。
【0058】
実施の形態10.
次に、図18はこの発明の実施の形態10によるエレベータの敷居装置の断面図である。図において、敷居延長部材40には、係合溝40aが設けられている。係合溝40aの下面には、抜け止め溝としての下部溝40bが設けられている。荷重支持部材41の昇降路側端部には、下部溝40bに挿入される抜け止め部としての下部突起41aが設けられている。他の構成は、実施の形態8と同様である。
【0059】
このように、下部溝40bに下部突起41aを係合させるだけでも、荷重支持部材41の係合溝40aからの抜けを防止することができ、構成を簡単にすることができる。
【0060】
なお、実施の形態1〜10では、かご敷居4側に敷居延長部材5,36,38,40を設け、乗場敷居24側に荷重支持部材28,29,34,37,39,41を設けたが、逆であってもよい。
また、実施の形態1〜10では、片開き式のドア装置を示したが、この発明は、両開き式のドア装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明の実施の形態1によるエレベータのかごドア装置の全戸閉状態を示す正面図である。
【図2】図1のかごドア装置の全戸開状態を示す正面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図4のV−V線に沿う断面図である。
【図6】図5の第2の荷重支持部材の乗場敷居への取付状態を示す正面図である。
【図7】図6の第2の荷重支持部材を示す正面図である。
【図8】この発明の実施の形態2によるエレベータの敷居装置の荷重支持部材を示す正面図である。
【図9】この発明の実施の形態3によるエレベータの敷居装置の敷居延長部材を示す正面図である。
【図10】この発明の実施の形態4によるエレベータの敷居装置の荷重支持部材を示す正面図である。
【図11】この発明の実施の形態5によるエレベータの敷居装置の敷居延長部材を示す正面図である。
【図12】この発明の実施の形態6によるエレベータの敷居装置の乗場敷居を示す正面図である。
【図13】図12のXIII−XIII線に沿う断面図である。
【図14】この発明の実施の形態7によるエレベータの敷居装置の乗場敷居を示す正面図である。
【図15】図14のXV−XV線に沿う断面図である。
【図16】この発明の実施の形態8によるエレベータの敷居装置の断面図である。
【図17】この発明の実施の形態9によるエレベータの敷居装置の断面図である。
【図18】この発明の実施の形態10によるエレベータの敷居装置の断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 かご出入口、2 第1のかごドア(エレベータドア)、3 第2のかごドア(エレベータドア)、4 かご敷居、5,36,38,40 敷居延長部材、6 リンク機構(変位手段)、28,29,34,37,39,41 荷重支持部材、36a,38a,40a 係合溝、36b,38b 上部溝(抜け止め溝)、36c,40b 下部溝(抜け止め溝)、37a,39a 上部突起(抜け止め部)、37b,41a 下部突起(抜け止め部)。
【技術分野】
【0001】
この発明は、かご出入口の下部と乗場出入口の下部とに設けられているエレベータの敷居装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、エレベータのかご敷居と乗場敷居との間には、かごの走行時にドア係合装置が通過する隙間を確保する必要があるため、30mm程度の敷居隙間が確保されている。しかし、敷居隙間は、かごが階床に停止しているときには不要であり、全戸開時の敷居隙間の縮小が要求されることがある。このような要求に対して、従来のエレベータの敷居装置では、エレベータドアの開閉方向に平行に往復動可能な敷居延長部材が、かご敷居の前端部に隣接して設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2008−1521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような従来のエレベータの敷居装置では、敷居延長部材がかご側からのみ支持されているため、重量物を運搬する台車等の荷重が敷居延長部材にかかると、敷居延長部材が破損する恐れがあった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、敷居延長部材の破損を防止することができるエレベータの敷居装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータの敷居装置は、かご出入口の下部に固定されたかご敷居、乗場出入口の下部に固定された乗場敷居、かご敷居及び乗場敷居のいずれか一方の前端部に隣接して設けられ、エレベータドアの開閉方向に平行に往復動可能な敷居延長部材、全戸開時にかご出入口と乗場出入口との間の空間の下部の敷居隙間縮小位置に位置させるとともに、全戸閉時には敷居隙間縮小位置から退避させるように、エレベータドアの開閉動作に連動させて敷居延長部材を変位させる変位手段、及びかご敷居及び乗場敷居の他方に設けられ、敷居延長部材が敷居隙間縮小位置に位置するときに、敷居延長部材に上方からかかる荷重を支持する荷重支持部材を備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明のエレベータの敷居装置は、かご敷居及び乗場敷居のいずれか一方に敷居延長部材を設けるとともに、かご敷居及び乗場敷居の他方に荷重支持部材を設け、敷居延長部材が敷居隙間縮小位置に位置するときに、敷居延長部材に上方からかかる荷重を荷重支持部材で支持するようにしたので、敷居延長部材にかかる荷重をバランス良く支持することができ、敷居延長部材の破損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるエレベータのかごドア装置の全戸閉状態を示す正面図(乗場側から見た図)、図2は図1のかごドア装置の全戸開状態を示す正面図である。図において、かご出入口1は、エレベータドアである第1のかごドア(高速ドア)2及び第2のかごドア(低速ドア)3により開閉される。かご出入口1の下部(床部)には、かご敷居4が固定されている。
【0009】
平板状の敷居延長部材5は、かご敷居4の乗場側端部(前端部)に隣接して設けられている。また、敷居延長部材5は、かご敷居4の乗場側端部に沿ってかごドア2,3の開閉方向に平行に往復動される。さらに、敷居延長部材5の上面及び下面は、かご敷居4の上面及び下面とそれぞれ面一である。
【0010】
敷居延長部材5は、変位機構であるリンク機構6を介して第1のかごドア2に連結されている。これにより、敷居延長部材5は、第1のかごドア2の開閉動作に連動して第1のかごドア2とは逆方向に変位される。また、敷居延長部材5は、全戸開時に、かご出入口1の全幅と重なる範囲に位置する。これに対して、全戸閉時には、敷居延長部材5は、全戸開時よりも戸袋側に位置する。
【0011】
リンク機構6は、軸7を中心に回動可能にかごに取り付けられた第1のリンク8、第1のリンク8と第1のかごドア2とを連結する第2のリンク9、及び第1のリンク8と敷居延長部材5とを連結する第3のリンク10を有している。
【0012】
第1のリンク8の一端部は、第2のリンク9の一端部にピン11を介して回動自在に連結されている。第2のリンク9の他端部は、第1のかごドア2にピン12を介して回動自在に連結されている。第1のリンク8の他端部は、第3のリンク10の一端部にピン13を介して回動自在に連結されている。第3のリンク10の他端部は、敷居延長部材5にピン14を介して回動自在に連結されている。
【0013】
第1のかごドア2の前面には、一対のベーン15a,15bが互いに平行かつ垂直に固定されている。
【0014】
図3は図1のIII−III線に沿う断面図、図4は図2のIV−IV線に沿う断面図である。なお、図1及び図2ではかごドア装置のみを示したが、図3及び図4では乗場ドア装置も示している。
【0015】
かご敷居4の上部には、第1のかごドア2の下端部が係合する第1のかご敷居溝4aと、第2のかごドア3の下端部が係合する第2のかご敷居溝4bとが設けられている。かご敷居溝4a,4bは、かごドア2,3の開閉時に、かごドア2,3の下端部の移動を案内する。
【0016】
かご出入口1の幅方向一端部(反戸袋側端部)には、第1のかご出入口柱16が立設されている。また、かご出入口1の幅方向他端部(戸袋側端部)には、第2のかご出入口柱17が立設されている。
【0017】
乗場出入口21は、エレベータドアである第1の乗場ドア(高速ドア)22及び第2の乗場ドア(低速ドア)23により開閉される。乗場出入口21の下部(床部)には、乗場敷居24が固定されている。
【0018】
乗場敷居24の上部には、第1の乗場ドア22の下端部が係合する第1の乗場敷居溝24aと、第2の乗場ドア23の下端部が係合する第2の乗場敷居溝24bとが設けられている。乗場敷居溝24a,24bは、乗場ドア22,23の開閉時に、乗場ドア22,23の下端部の移動を案内する。
【0019】
第1の乗場ドア22には、ドライブローラ(インターロックローラ)25が設けられている。ドライブローラ25は、かごが階床に着床した際、ベーン15a,15b間に位置し、ベーン15a,15bに係合する。これにより、乗場ドア22,23は、かごドア2,3に連動して開閉される。
【0020】
乗場出入口21の幅方向一端部(反戸袋側端部)には、第1の乗場出入口柱26が立設されている。また、乗場出入口21の幅方向他端部(戸袋側端部)には、第2の乗場出入口柱27が立設されている。
【0021】
敷居延長部材5は、全戸開時には、かご出入口1と乗場出入口21との間の空間の下部でかご敷居4と乗場敷居24との間、即ち敷居隙間縮小位置に位置し、実質的な敷居隙間寸法を縮小させる。また、全戸閉時には、敷居延長部材5は、かごが昇降してもドライブローラ25と干渉しない位置まで戸袋側へ退避される。
【0022】
乗場敷居24の昇降路側端部には、敷居延長部材5が係合する第1及び第2の荷重支持部材(保持部材)28,29が固定されている。第1及び第2の荷重支持部材28,29は、全戸開時に敷居延長部材5と鉛直方向に部分的に重なる。これにより、第1及び第2の荷重支持部材28,29は、敷居延長部材5が敷居隙間縮小位置に位置するときに、敷居延長部材5に上方からかかる荷重を支持する。また、第1及び第2の荷重支持部材28,29は、全戸閉時には敷居延長部材5と鉛直方向に重ならない。
【0023】
さらに、第1及び第2の荷重支持部材28,29は、敷居延長部材5の変位方向に沿って連続的に設けられている。但し、第1及び第2の荷重支持部材28,29間には、かごの昇降時にベーン15a,15bの通過を許容する空隙が設けられている。即ち、第1及び第2の荷重支持部材28,29は、ベーン15a,15bとの干渉を避けて配置されている。
【0024】
図5は図4のV−V線に沿う断面図である。敷居延長部材5の乗場側端面には、係合溝5aが設けられている。係合溝5aは、かごドア2,3の開閉方向に平行な方向に沿って連続して設けられている。敷居延長部材5が敷居隙間縮小位置に位置するときに、第1及び第2の荷重支持部材28,29の昇降路側端部は、係合溝5aに挿入される。これにより、荷重支持部材28,29は、敷居延長部材5が敷居隙間縮小位置に位置するときに、敷居延長部材5の上下両方向への変位を規制するように敷居延長部材5に係合する。
【0025】
また、係合溝5aの幅寸法(図5の上下方向寸法)及び深さ寸法(図5の左右方向寸法)は、荷重支持部材28,29が挿入された状態で荷重支持部材28,29との間にある程度の隙間が存在するように設定されている。即ち、荷重支持部材28,29は、敷居延長部材5が変位される際に敷居延長部材5に干渉しない。
【0026】
かご敷居4には、敷居延長部材5の往復動を案内する延長部材案内溝4cが設けられている。敷居延長部材5には、延長部材案内溝4cに係合する複数の案内部材30が敷居延長部材5の長さ方向に互いに間隔をおいて取り付けられている。案内部材30としては、延長部材案内溝4c内を転動するローラ、又は延長部材案内溝4c内を摺動する摺動部材を用いることができる。
【0027】
延長部材案内溝4cの敷居延長部材5側の開口幅は、案内部材30の高さ寸法よりも小さくなっており、これにより案内部材30及び敷居延長部材5の乗場側への変位は規制されている。従って、敷居延長部材5は、かご敷居4の乗場側端面に接合したまま往復動される。
【0028】
図6は図5の第2の荷重支持部材29の乗場敷居24への取付状態を示す正面図、図7は図6の第2の荷重支持部材29を示す正面図である。第2の荷重支持部材29は、複数の皿ねじ(皿タッピンねじ)31により乗場敷居24に固定されている。皿ねじ31は、第2の荷重支持部材29の長手方向に互いに間隔をおいて配置されている。第2の荷重支持部材29には、皿ねじ31に対応して複数の皿穴29aが設けられている。なお、第1の荷重支持部材28も、第2の荷重支持部材29と同様に乗場敷居24に固定されている。
【0029】
このようなエレベータの敷居装置では、かご敷居4側に敷居延長部材5を設けるとともに、乗場敷居24に荷重支持部材28,29を固定したので、敷居延長部材5が敷居隙間縮小位置に位置するときに、敷居延長部材5に上方から大きな荷重がかかると、敷居延長部材5が荷重支持部材28,29に当接し、敷居延長部材5にかかる荷重を荷重支持部材28,29でも支持することができる。このため、敷居延長部材5にかかる荷重をかご敷居4側と乗場敷居24側とでバランス良く分担して支持することができ、敷居延長部材5やその支持部の破損を防止することができる。
【0030】
また、敷居延長部材5が敷居隙間縮小位置に位置するとき、即ち全戸開時に、係合溝5aに荷重支持部材28,29が係合することにより、敷居延長部材5の上下両方向への変位が規制されるので、戸開状態でかごが上下に移動される戸開走行を防止することができる。
【0031】
さらに、実施の形態1の敷居装置を既存のエレベータに適用する場合、かご側の機器の設置・取替に加え、乗場側は荷重支持部材28,29の取付だけで済むため、改修工事が簡単であり、敷居延長部材5の強化及び戸開走行防止機能の追加を短時間・低コストで実現できる。
【0032】
なお、上記の例では、敷居延長部材5に係合溝5aを設け、荷重支持部材28,29を係合溝5aに挿入したが、荷重支持部材28,29に係合溝を設け、係合溝に挿入される突起部を敷居延長部材5に設けてもよい。
【0033】
また、上記の例では、2個の荷重支持部材28,29を用いたが、3個以上に分割された荷重支持部材を敷居延長部材5の変位方向に互いに間隔をおいて配置してもよい。
さらに、例えば第1の荷重支持部材28を省略して、荷重支持部材を1個のみ用いてもよい。
【0034】
さらにまた、上記の例では、第1のかごドア2と敷居延長部材5との間にリンク機構6を接続したが、エレベータドアの開閉動作に敷居延長部材5の動作を連動させる変位手段はこれに限定されるものではない。
【0035】
実施の形態2.
次に、図8はこの発明の実施の形態2によるエレベータの敷居装置の荷重支持部材29を示す正面図(昇降路側から見た図)である。この例では、荷重支持部材29の戸袋側端部(戸開側端部)の上下角部に丸み29bが設けられている。即ち、荷重支持部材29の上下寸法が戸袋側端面に向けて徐々に小さくされている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0036】
このように、荷重支持部材29に丸み29bを付すことにより、戸開動作時に荷重支持部材29を敷居延長部材5の係合溝5a内にスムーズに挿入することができ、荷重支持部材29が戸開閉動作の妨げとなるのをより確実に防止することができる。
【0037】
実施の形態3.
次に、図9はこの発明の実施の形態3によるエレベータの敷居装置の敷居延長部材5を示す正面図(乗場側から見た図)である。この例では、係合溝5aの戸閉側端部の上下面に丸み5bが設けられている。即ち、係合溝5aの幅寸法が敷居延長部材5の戸閉側端面に向けて徐々に大きくされている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0038】
このように、係合溝5aの側壁に丸み5bを付すことにより、戸開動作時に荷重支持部材29を敷居延長部材5の係合溝5a内にスムーズに挿入することができ、荷重支持部材29が戸開閉動作の妨げとなるのをより確実に防止することができる。
【0039】
なお、実施の形態3の敷居延長部材5に実施の形態2の荷重支持部材29を組み合わせてもよく、荷重支持部材29を係合溝5a内にさらにスムーズに挿入することができる。
【0040】
実施の形態4.
次に、図10はこの発明の実施の形態4によるエレベータの敷居装置の荷重支持部材29を示す正面図である。この例では、荷重支持部材29の戸袋側端部に一対のガイド部材32a,32bが取り付けられている。ガイド部材32a,32bは、戸開方向へ向けて間隔が徐々に小さくなるテーパ状の一対のガイド面を形成している。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0041】
このように、荷重支持部材29にガイド部材32a,32bを取り付けることにより、戸開動作時に荷重支持部材29を敷居延長部材5の係合溝5a内にスムーズに挿入することができ、荷重支持部材29が戸開閉動作の妨げとなるのをより確実に防止することができる。
【0042】
なお、実施の形態4のガイド部材32a,32b付きの荷重支持部材29に実施の形態3の敷居延長部材5を組み合わせてもよく、荷重支持部材29を係合溝5a内にさらにスムーズに挿入することができる。
【0043】
実施の形態5.
次に、図11はこの発明の実施の形態5によるエレベータの敷居装置の敷居延長部材5を示す正面図である。この例では、敷居延長部材5の戸閉側端部に一対のガイド部材33a,33bが取り付けられている。ガイド部材33a,33bは、戸閉方向へ向けて徐々に間隔が大きくなるテーパ状の一対のガイド面を形成している。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0044】
このように、敷居延長部材5にガイド部材33a,33bを取り付けることにより、戸開動作時に荷重支持部材29を敷居延長部材5の係合溝5a内にスムーズに挿入することができ、荷重支持部材29が戸開閉動作の妨げとなるのをより確実に防止することができる。
【0045】
なお、実施の形態5のガイド部材33a,33b付きの敷居延長部材5に実施の形態2、4の荷重支持部材29を組み合わせてもよく、荷重支持部材29を係合溝5a内にさらにスムーズに挿入することができる。
【0046】
実施の形態6.
次に、図12はこの発明の実施の形態6によるエレベータの敷居装置の乗場敷居24を示す正面図(昇降路側から見た図)、図13は図12のXIII−XIII線に沿う断面図である。この例では、ローラ状の複数の荷重支持部材34が敷居延長部材5の変位方向に互いに間隔をおいて設けられている。各荷重支持部材34は、水平な回転軸を中心として回転自在なローラであっても、乗場敷居24に固定された円板状の摺動部材であってもよい。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0047】
このようなローラ状の荷重支持部材34を用いることにより、敷居延長部材5と荷重支持部材34との接触抵抗が低減されるので、移動中の敷居延長部材5が荷重支持部材34に接触しても、敷居延長部材5をスムーズに移動させ続けることができ、荷重支持部材34が戸開閉動作の妨げとなるのをより確実に防止することができる。
【0048】
なお、実施の形態6の荷重支持部材34に実施の形態3、5の敷居延長部材5を組み合わせてもよく、荷重支持部材29を係合溝5a内にさらにスムーズに挿入することができる。
【0049】
実施の形態7.
次に、図14はこの発明の実施の形態7によるエレベータの敷居装置の乗場敷居24を示す正面図、図15は図14のXV−XV線に沿う断面図である。この例では、荷重支持部材34が帯状の取付板35を介して乗場敷居24に固定されている。他の構成は、実施の形態6と同様である。
【0050】
このような敷居装置では、取付板35に荷重支持部材34を予め取り付けてから、取付板35を乗場敷居24に取り付けることにより、荷重支持部材34の個数が多い場合であっても、乗場敷居24への荷重支持部材34の取付作業を容易にすることができる。また、荷重支持部材34同士の設置位置の精度を向上させることができる。
【0051】
実施の形態8.
次に、図16はこの発明の実施の形態8によるエレベータの敷居装置の断面図である。図において、敷居延長部材36には、係合溝36aが設けられている。係合溝36aの上面には、抜け止め溝としての上部溝36bが設けられている。係合溝36aの下面には、抜け止め溝としての下部溝36cが設けられている。
【0052】
乗場敷居24には、荷重支持部材37が固定されている。敷居延長部材36が隙間縮小位置に位置するとき、荷重支持部材37の昇降路側端部は、係合溝36aに挿入される。荷重支持部材37の昇降路側端部には、上部溝36bに挿入される上部突起37aと、下部溝36cに挿入される下部突起37bとが設けられている。
【0053】
上部突起37a及び下部突起37bは、荷重支持部材37の係合溝36aからの抜けを阻止する抜け止め部である。他の構成は、実施の形態1と同様である。また、敷居延長部材36の動作は、実施の形態1の敷居延長部材5の動作と同様である。
【0054】
このような敷居装置では、全戸開時に、乗場から遠ざかる方向への大きな力がかごに加わっても、上部突起37a及び下部突起37bが上部溝36b及び下部溝36cの側壁に当接し、敷居延長部材36から荷重支持部材37が外れない。このため、戸開走行をより確実に防止することができる。
【0055】
なお、実施の形態8の敷居延長部材36に実施の形態6、7の荷重支持部材34を組み合わせてもよい。
また、実施の形態8の敷居延長部材36に実施の形態3の丸み5bや実施の形態5のガイド部材33a,33bを設けてもよい。
さらに、実施の形態8の荷重支持部材37に実施の形態2の丸み29bや実施の形態4のガイド部材32a,32bを設けてもよい。
【0056】
実施の形態9.
次に、図17はこの発明の実施の形態9によるエレベータの敷居装置の断面図である。図において、敷居延長部材38には、係合溝38aが設けられている。係合溝38aの上面には、抜け止め溝としての上部溝38bが設けられている。荷重支持部材39の昇降路側端部には、上部溝38bに挿入される抜け止め部としての上部突起39aが設けられている。他の構成は、実施の形態8と同様である。
【0057】
このように、上部溝38bに上部突起39aを係合させるだけでも、荷重支持部材39の係合溝38aからの抜けを防止することができ、構成を簡単にすることができる。
【0058】
実施の形態10.
次に、図18はこの発明の実施の形態10によるエレベータの敷居装置の断面図である。図において、敷居延長部材40には、係合溝40aが設けられている。係合溝40aの下面には、抜け止め溝としての下部溝40bが設けられている。荷重支持部材41の昇降路側端部には、下部溝40bに挿入される抜け止め部としての下部突起41aが設けられている。他の構成は、実施の形態8と同様である。
【0059】
このように、下部溝40bに下部突起41aを係合させるだけでも、荷重支持部材41の係合溝40aからの抜けを防止することができ、構成を簡単にすることができる。
【0060】
なお、実施の形態1〜10では、かご敷居4側に敷居延長部材5,36,38,40を設け、乗場敷居24側に荷重支持部材28,29,34,37,39,41を設けたが、逆であってもよい。
また、実施の形態1〜10では、片開き式のドア装置を示したが、この発明は、両開き式のドア装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明の実施の形態1によるエレベータのかごドア装置の全戸閉状態を示す正面図である。
【図2】図1のかごドア装置の全戸開状態を示す正面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図4のV−V線に沿う断面図である。
【図6】図5の第2の荷重支持部材の乗場敷居への取付状態を示す正面図である。
【図7】図6の第2の荷重支持部材を示す正面図である。
【図8】この発明の実施の形態2によるエレベータの敷居装置の荷重支持部材を示す正面図である。
【図9】この発明の実施の形態3によるエレベータの敷居装置の敷居延長部材を示す正面図である。
【図10】この発明の実施の形態4によるエレベータの敷居装置の荷重支持部材を示す正面図である。
【図11】この発明の実施の形態5によるエレベータの敷居装置の敷居延長部材を示す正面図である。
【図12】この発明の実施の形態6によるエレベータの敷居装置の乗場敷居を示す正面図である。
【図13】図12のXIII−XIII線に沿う断面図である。
【図14】この発明の実施の形態7によるエレベータの敷居装置の乗場敷居を示す正面図である。
【図15】図14のXV−XV線に沿う断面図である。
【図16】この発明の実施の形態8によるエレベータの敷居装置の断面図である。
【図17】この発明の実施の形態9によるエレベータの敷居装置の断面図である。
【図18】この発明の実施の形態10によるエレベータの敷居装置の断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 かご出入口、2 第1のかごドア(エレベータドア)、3 第2のかごドア(エレベータドア)、4 かご敷居、5,36,38,40 敷居延長部材、6 リンク機構(変位手段)、28,29,34,37,39,41 荷重支持部材、36a,38a,40a 係合溝、36b,38b 上部溝(抜け止め溝)、36c,40b 下部溝(抜け止め溝)、37a,39a 上部突起(抜け止め部)、37b,41a 下部突起(抜け止め部)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かご出入口の下部に固定されたかご敷居、
乗場出入口の下部に固定された乗場敷居、
上記かご敷居及び上記乗場敷居のいずれか一方の前端部に隣接して設けられ、エレベータドアの開閉方向に平行に往復動可能な敷居延長部材、
全戸開時に上記かご出入口と上記乗場出入口との間の空間の下部の敷居隙間縮小位置に位置させるとともに、全戸閉時には上記敷居隙間縮小位置から退避させるように、上記エレベータドアの開閉動作に連動させて上記敷居延長部材を変位させる変位手段、及び
上記かご敷居及び上記乗場敷居の他方に設けられ、上記敷居延長部材が上記敷居隙間縮小位置に位置するときに、上記敷居延長部材に上方からかかる荷重を支持する荷重支持部材
を備えていることを特徴とするエレベータの敷居装置。
【請求項2】
上記荷重支持部材は、上記敷居延長部材が上記敷居隙間縮小位置に位置するときに、上記敷居延長部材の上下両方向への変位を規制するように上記敷居延長部材に係合することを特徴とする請求項1記載のエレベータの敷居装置。
【請求項3】
上記荷重支持部材として、ローラ状の複数の荷重支持部材が上記敷居延長部材の変位方向に互いに間隔をおいて配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレベータの敷居装置。
【請求項4】
上記敷居延長部材には、上記荷重支持部材の端部が挿入される係合溝が上記エレベータの開閉方向に平行な方向に沿って連続して設けられており、
上記係合溝の上面及び下面の少なくともいずれか一方には、抜け止め溝が設けられており、
上記荷重支持部材には、上記抜け止め溝に挿入され上記荷重支持部材の上記係合溝からの抜けを阻止する抜け止め部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のエレベータの敷居装置。
【請求項1】
かご出入口の下部に固定されたかご敷居、
乗場出入口の下部に固定された乗場敷居、
上記かご敷居及び上記乗場敷居のいずれか一方の前端部に隣接して設けられ、エレベータドアの開閉方向に平行に往復動可能な敷居延長部材、
全戸開時に上記かご出入口と上記乗場出入口との間の空間の下部の敷居隙間縮小位置に位置させるとともに、全戸閉時には上記敷居隙間縮小位置から退避させるように、上記エレベータドアの開閉動作に連動させて上記敷居延長部材を変位させる変位手段、及び
上記かご敷居及び上記乗場敷居の他方に設けられ、上記敷居延長部材が上記敷居隙間縮小位置に位置するときに、上記敷居延長部材に上方からかかる荷重を支持する荷重支持部材
を備えていることを特徴とするエレベータの敷居装置。
【請求項2】
上記荷重支持部材は、上記敷居延長部材が上記敷居隙間縮小位置に位置するときに、上記敷居延長部材の上下両方向への変位を規制するように上記敷居延長部材に係合することを特徴とする請求項1記載のエレベータの敷居装置。
【請求項3】
上記荷重支持部材として、ローラ状の複数の荷重支持部材が上記敷居延長部材の変位方向に互いに間隔をおいて配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレベータの敷居装置。
【請求項4】
上記敷居延長部材には、上記荷重支持部材の端部が挿入される係合溝が上記エレベータの開閉方向に平行な方向に沿って連続して設けられており、
上記係合溝の上面及び下面の少なくともいずれか一方には、抜け止め溝が設けられており、
上記荷重支持部材には、上記抜け止め溝に挿入され上記荷重支持部材の上記係合溝からの抜けを阻止する抜け止め部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のエレベータの敷居装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
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【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−47379(P2010−47379A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213912(P2008−213912)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
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