説明

エレベータドアの安全装置

【課題】出入り口高さが高くなっても、エレベータドアの乗客検出センサを成すセーフティシューの反りや捩れが生じにくくする。
【解決手段】セーフティシュー10の後退により動作信号を発生するエレベータ用ドアの安全装置において、セーフティシュー10には、第1のフレーム11,第2のフレーム12を備え、第1のフレーム11には、柱状で基部を境に第1の凹部11cと、第1の凹部11cと反対方向に第2の凹部11uとを有しており、第2のフレーム12には、柱状で基部を境に第3の凹部12cと、第3の凹部12cと反対方向に第4の凹部12uとを有し、第1及び第3の凹部11c,12cに挿入される押圧板54と、第2及び第4の凹部11u,12uに挿入される螺合板56と、押圧板54及び螺合板56を基部に固定する固定手段50と、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータドアの安全装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータドアの安全装置は下記特許文献1に示すように、エレベータの戸に往復動可能に取り付けられているセーフティシューと、このセーフティシューを戸の端部から出没させる出没駆動手段と、この出没駆動手段に接続され、戸閉動作中にセーフティシューを戸の端部から突出させ、戸全開時及び戸開動作中の少なくともいずれか一方のときにはセーフティシューを後退させる制御部と、戸閉動作中に接続棒が後退することにより操作され戸閉動作を反転させるスイッチとを備えている。
【0003】
かかる安全装置によれば、セーフティシューを出没させる出没駆動手段を設けるとともに、この出没駆動手段を制御部により制御して、戸閉動作中にセーフティシューを戸の端部から突出させ、戸全開時及び戸開動作中の少なくともいずれか一方のときにはセーフティシューを後退させるようにしたので、台車等の衝突による損傷を低減することができ、これにより戸の開閉動作を良好に保つことができると共に、乗客や荷物の運搬効率の低下を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−267548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記エレベータドアの安全装置は、セーフティシューを構成するアルミ等の材料から成る金属フレームから成っている。この金属フレームは、エレベータの乗り場の出入り口高さが高くなる従い長くなるので、反りや捻じれが生じ易いという課題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、出入り口高さが高くなっても、エレベータドアの乗客検出センサを成すセーフティシューの反りや捩れが生じにくいエレベータドアの安全装置を得ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエレベータドアの安全装置は、エレベータのドアに往復動を可能にするように往復動可能手段により取付けられているセーフティシューと、このセーフティシューの後退により動作信号を発生するエレベータ用ドアの安全装置において、前記セーフティシューには、少なくとも第1のフレームと、第2のフレームとを備え、前記第1のフレームには、柱状で基部を境に第1の凹部と、該第1の凹部と反対方向に第2の凹部とを有しており、前記第2のフレームには、柱状で基部を境に第3の凹部と、該第3の凹部と反対方向に第4の凹部とを有しており、前記第1及び第3の凹部に挿入される第1の板部材と、前記第2及び第4の凹部に挿入される第2の板部材と、前記第1及び第2の板部材を前記基部に固定する固定手段と、を備えたことを特徴とするものである。
本発明のエレベータドアの安全装置によれば、第1のフレームと第2のフレームとを固定手段により繋いでセーフティシューを長くしたので、エレベータの乗り場の出入り口高さが高くなっても、セーフティシューの反りや捩れが生じにくくなる。
【0008】
本発明に係るエレベータドアの安全装置は、セーフティシューをドアに往復動可能にする往復動可能手段を備え、該往復動可能手段は、第1のフレームと第2のフレームとにそれぞれに有する、ことが好ましい。
これにより、セーフティシューをドアに往復動可能する際に、第1のフレームと第2のフレームとが円滑にほぼ同時に往復動する。したがって、第1のフレームと第2のフレームとが捻られにくい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のエレベータドアの安全装置によれば、第1及び第2のフレームを固定手段により繋いでセーフティシューを長くしたので、エレベータの乗り場の出入り口高さが高くなっても、セーフティシュー反りや捩れが生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の一実施の形態を示すエレベータドアの安全装置で、ドアが開放状態での乗り場から見た正面図である。
【図2】図1に示すセーフティシューをドアに往復動可能にする往復動可能手段を用いて取付けた正面図である。
【図3】本発明の実施の一実施の形態によるセーフティシュー全体を示す側面図である。
【図4】図3の矢視IV−IVから見たセーフティシューの平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
本発明の一実施の形態を図1及び図2によって説明する。図1は一実施の形態を示すエレベータドアの安全装置で、ドアが開放状態での乗り場から見た正面図である。図2は図1に示すセーフティシューをドアに往復動可能にする往復動可能手段を用いて取付けた正面図である。
図1において、エレベータの出入り口3には、出入り口3を開閉する一対のドア5,5を有しており、該ドア5の先端部に乗客検出センサ10がそれぞれ取付けられている。乗客検出センサ10は、長尺状の第1のフレーム11と、第1のフレーム11よりも短い第2のフレーム12とが順に立設され、第1のフレーム11と第2のフレーム12とのつなぎ目に継ぎ部10jを有している。
【0012】
図1及び図2において、乗客検出センサとしてのセーフティシュー10は、ドア5に対して往復動可能に第1の往復動可能手段30と、第2の往復動可能手段40とを介して取付けられている。第1の往復動可能手段30は、ドア5に固定されている取付け板31と、軸36を中心に回動自在に取付け板31に取付けられている2本一対の平行アーム(平行リンク)34と、取付け板31に取付けられ、図2の反時計方向への平行アーム34の回動、即ちセーフティシュー10の前進を所定位置で阻止する阻止具38とを備えている。
セーフティシュー10は、ドア5の縁部から張り出すように平行アーム34の先端部にリベット32により取付けられ、平行アーム34の回動を伴ってドア5側へ後退可能になっている。
【0013】
第2の往復動可能手段40は、第1の往復動可能手段30と同様に、取付け板31,リベット32,平行アーム34,軸36を備え、防止具35の代わりに、スイッチ48を有している。このスイッチ48は、取付け板31に取付けられると共に平行アーム34に係合しており、図2の時計方向への平行アーム34の回動、即ちセーフティシュー10の後退を検出して戸閉動作を反転させる信号を出力するように形成されている。
【0014】
図1及び図3において、セーフティシュー10には、長尺の第1のフレーム11と、該第1のフレーム11の上に並べて固定手段50により固定された第2のフレーム12と、第1のフレーム11の下端部に樹脂性の下端キャップ15と、第2のフレーム12の上端部に樹脂製の上端キャップ17と、を備え、第1及び第2のフレーム11,12の他のセーフティシュー10の対向側には、樹脂カバー19が被せられている。
【0015】
図4において、第1のフレーム11は、平面視略H形状をしており、中央部に基部11aを有しており、基部11aを境に第1のフレーム11全体に対向した一対の第1辺を有し、真っ直ぐな第1辺どうしにより第1の凹部11cと、第1辺よりも内側に形成された対向した一対の第2辺を有し、L形状の第2辺どうしにより第2の凹部11uとを有している。したがって、第1の凹部11cと反対方向に第2の凹部11uとを有していることになる。
第2のフレーム12は第1のフレーム11と同様な形状をしており、中央部に基部12aを有しており、基部12aを境に第2のフレーム11全体に対向した一対の第3辺を有し、真っ直ぐな第3辺どうしにより第3の凹部12cと、第3辺よりも内側に形成された対向した一対の第4辺を有し、L形状の第4辺どうしにより第4の凹部12uとを有している。したがって、第3の凹部12cと反対方向に第4の凹部12uとを有していることになる。
【0016】
セーフティシュー10には、二つの孔を有する第1の板部材としての押圧板54と、二つの孔を有し、該孔にネジが設けられた第2の板部材としての螺合板56とを備え、押圧板54を第1のフレーム11と第2のフレーム12との継ぎ部10jの位置に相当する第1及び第3の凹部11c,12cに挿入し、螺合板56を継ぎ部の位置に相当する第2及び第4の凹部11u,12uに挿入し、固定手段50により固定している。固定手段50は、ボルト52を押圧板54及び第1,第2のフレーム11,12の孔に挿入して、螺合板56に螺子込まれている。
【0017】
上記実施形態のエレベータドアの安全装置は、エレベータのドア5に往復動可能にする往復動可能手段を用いて取り付けられているセーフティシュー10と、このセーフティシュー10の後退により動作信号を発生するエレベータ用ドアの安全装置において、セーフティシュー10には、少なくとも第1のフレーム11と、第2のフレーム12とを備え、第1のフレーム11は、柱状で基部11aを境に第1フレーム11に第1の凹部11cと、第1の凹部11cと反対方向に第2の凹部11uとを有しており、第2のフレーム12は、柱状で基部12aを境に第2フレーム12に第3の凹部12cと、第3の凹部12cと反対方向に第4の凹部12uとを有しており、第1及び第3の凹部11c,12cに挿入される押圧板54と、第2及び第4の凹部11u,12uに挿入される螺合板56と、押圧板54及び螺合板56を基部11a,12aに固定する固定手段50とを備えたものである。
エレベータドアの安全装置によれば、セーフティシュー10を第1及び第2のフレーム11,12を固定手段50により繋いで長くしたので、エレベータの乗り場の出入り口高さが高くなっても、セーフティシュー10の反りや捩れが生じにくくなる。
【0018】
上記実施形態のエレベータドアの安全装置における該往復動可能手段30,40は、第1のフレーム11と第2のフレーム12とにそれぞれに有する、ことが好ましい。
これにより、セーフティシュー10をドア5に往復動可能する際に、第1のフレーム11と第2のフレーム12とが円滑にほぼ同時に往復動する。したがって、第1のフレーム11と第2のフレーム12とが捻られにくい。
【符号の説明】
【0019】
5 ドア、10 セーフティシュー、11 第1のフレーム、11c 第1の凹部、11u 第2の凹部、12 第2のフレーム、12c 第1の凹部、12u 第4の凹部、30,40 往復動可能手段、50 固定手段、54 押圧板、56 螺合板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータのドアに往復動を可能にするように往復動可能手段により取付けられているセーフティシューと、このセーフティシューの後退により動作信号を発生するエレベータ用ドアの安全装置において、
前記セーフティシューには、少なくとも第1のフレームと、第2のフレームとを備え、
前記第1のフレームには、柱状で基部を境に第1の凹部と、該第1の凹部と反対方向に第2の凹部とを有しており、
前記第2のフレームには、柱状で基部を境に第3の凹部と、該第3の凹部と反対方向に第4の凹部とを有しており、
前記第1及び第3の凹部に挿入される第1の板部材と、前記第2及び第4の凹部に挿入される第2の板部材と、
前記第1及び第2の板部材を前記基部に固定する固定手段と、
を備えたことを特徴とするエレベータ用ドアの安全装置。
【請求項2】
前記往復動可能手段は、前記第1のフレームと前記第2のフレームとにそれぞれに有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用ドアの安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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