説明

エレベーターの測定方法

【課題】エレベーターの既設の三方枠を流用して、遮煙性を有する乗り場戸を有するエレベーターに改造する場合、三方枠の傾斜角度値を測定することで、三方枠を流用できるか否かを容易に判定できるようにすること。
【解決手段】出入り口を開閉するドア本体に接し、建屋設備の出入り口の側部に設けられ、上下方向に沿って延びている縦粋があるエレベーターにおいて、前記縦枠の角部の二辺に合致するフレーム6を磁石、またはテープ、接着剤などで縦枠の角部に上下2箇所に貼り付け、前記フレーム6には、赤外線を反射する鏡面材からなるターゲット7を取り付けており、赤外線を使って距離を測定する光波距離計1によって、前記ターゲット7から光波距離計1までの距離をそれぞれ測定し三次元座標値を算出し、前記2箇所のターゲット7の三次元座標値を用いて、前記2箇所のターゲットを結ぶ下層直線を測定することで、前記縦枠の鉛直に対する前後、左右の傾斜角度値を算出する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乗り場出入り口、またはかご出入り口を開閉するドア本体を有するエレベーターの測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの乗り場ドア装置においては、三方枠の縦枠にゴム板などの弾性変形しやすい弾性体を設け、乗り場戸の戸袋側端部に遮蔽板を設け、戸閉状態の時には、弾性体の先端部が遮蔽板の側面に接触することにより、乗り場戸の戸袋側端部と縦枠との間の隙間を遮蔽し、遮煙性を保持している(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−29306公報(段落番号0008〜0012、図2〜図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記で説明した遮煙性を持つ乗り場戸を有するエレベーターにおいては、遮蔽板を設ける乗り場戸と、戸閉状態において前記遮蔽板が当接する弾性体を有する三方枠は、より遮煙性を高めるために、上下長手方向において精度良く設置する必要あり、それを新規で建物に設置する場合は、調整やといや最新の据付技術を用いて実施することができる。
【0004】
ここで、リニューアルにおいて、遮煙性を有する乗り場戸を既設エレベーターに適用する場合、遮蔽板を設ける乗り場戸と、戸閉状態において前記遮蔽板が当接する弾性体を有する三方枠を一式交換すれば、新規で建物に設置する場合と同様、精度良く据付けすることができる。
【0005】
一方、リニューアルにおいては、建屋側に取り付けられた三方枠を撤去新設、一式交換するには、改造工事に費用、時間がかかる為、できる限り建屋側に設けた三方枠は交換せずに流用して、改造を行うべきである。しかしながら、戸閉状態において、乗り場戸に設ける遮蔽板と当接する弾性体を設ける三方枠は一定以上傾斜していると、遮煙性を保つことができないため、三方枠を流用して、遮煙性を有する乗り場戸を有するエレベーターに改造する場合、三方枠の傾斜角度値を測定することで、三方枠を流用できるか否かを判定する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、出入り口を開閉するドア本体に接し、建屋設備の出入り口の側部に設けられ、上下方向に沿って延びている縦粋があるエレベーターにおいて、前記縦枠の角部の二辺に合致するフレームを磁石、またはテープ、接着剤などで縦枠の角部に上下2箇所を貼り付け、前記フレームには、赤外線を反射する鏡面材からなるターゲットを取り付けており、赤外線を使って距離を測定する光波距離計によって、前記ターゲットから光波距離計までの距離をそれぞれ測定し三次元座標値を算出し、前記2箇所のターゲットの三次元座標値を用いて、前記2箇所のターゲットを結ぶ仮想直線を測定することで、前記縦枠の前後、左右の傾斜角度値を算出できることを特徴としたエレベーターの測定方法によって目的を達成する。
【発明の効果】
【0007】
このように本発明によれば、遮煙性を有する乗り場戸を有するエレベーターに改造する場合、三方枠の傾斜角度値を測定することで、三方枠を流用できるか否かを簡便に判定できる為、三方枠を流用できる場合を特定し、リニューアルにおける遮煙性を有するエレベーター改造工事の費用、時間を節約することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明を図1〜図3に従い、以下に詳述する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態によるエレベーターの測定方法について示す斜視図である。図2は光波測距計1により、三次元座標を測定するためのターゲット7と、前記ターゲット7が取り付けられたフレーム6を建屋5に設けた三方枠4に取り付けた状態の断面図を示し、図3は、図2にある矢印A方向から見たターゲット7が付いたフレーム6を
三方枠4に取り付けた状態を示す平面図である。
【0010】
ここで、本発明では、従来の技術で詳述した、すでに測量分野ではその技術が確立されている光学式測距計1を用いてエレベーターの三方枠4の傾斜角度値を測定することを特徴としており、図2に示すように三方枠4の角部に、前記三方枠4の角部の角度に合致した角度を内側に有するフレーム6を磁石、またはテープ、取り外し可能な接着剤などで貼り付け、前記フレームの表側には、ターゲット7が設けられている。前記ターゲット7は、当てられた赤外線を反射しやすい特性をもつような表面加工が施されている。
【0011】
このように、図1に示すように、ターゲット7を設けるフレーム6を三方枠の上方と下方の2箇所に適宜取り付け、かご内に光波測距計1を、確実にセットした後、2箇所あるターゲット7に赤外線を当てて、光波測距計1から上方と下方の2箇所のターゲット7までの距離を測定し、2箇所のターゲット7それぞれの三次元座標値を算出する。
【0012】
上方のターゲット7の三次元座標値、下方のターゲット7の三次元座標値を測定、その測定値を用いることで、2つの座標を結ぶ直線の傾き、すなわち、全く同状態で取り付けられた上方と下方のターゲット7の中心を結ぶ直線の傾きは、三方枠の傾きを示すものであり、このような測定方法によって、三方枠の傾斜角度値を測定することができる。
【0013】
2箇所のターゲット7の三次元座標値を用いて直線の傾斜角度値を算出する方法は既知の算出方法であるため、ここではその算出方法は省略する。
【0014】
このように本発明の一実施形態による上記測定方法によれば、三方枠の鉛直に対する前後、左右の傾斜角度値を短時間で測定、また正確に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態を示すエレベーターの測定方法を示す斜視図。
【図2】本発明の一実施形態を示すエレベーターの測定方法を示す乗り場戸の断面図。
【図3】図2にある矢印A方向から見たエレベーターの測定方法を示す平面図。
【符号の説明】
【0016】
1 光波測距計
2 かご枠
3 乗り場戸
4 三方枠
5 建屋
6 フレーム
7 ターゲット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入り口を開閉するドア本体に接し、建屋設備の出入り口の側部に設けられ、上下方向に沿って延びている縦粋があるエレベーターにおいて、前記縦枠の角部の二辺に合致するフレームを磁石、またはテープ、接着剤などで縦枠の角部に上下2箇所を貼り付け、前記フレームには、赤外線を反射する鏡面材からなるタ一ゲットを取り付けており、赤外線を使って距離を測定する光波距離計によって、前記ターゲットから光波距離計までの距離をそれぞれ測定し三次元座標値を算出し、前記2箇所のターゲットの三次元座標値を用いて、前記2箇所のターゲットを結ぶ仮想直線を測定することで、前記縦枠の前後、左右の傾斜角度値を算出できることを特徴としたエレベーターの測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−119169(P2007−119169A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312900(P2005−312900)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【出願人】(591106118)サイタ工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】