説明

エレベータ制御装置

【課題】本発明の実施形態は回生抵抗を効率よく冷却する構造のエレベータ制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の実施形態に係るエレベータ制御装置は、制御駆動ユニット2と、インバータユニット3と、インバータユニット3に冷却風を送風する冷却ファン8と、制御駆動ユニット2の上部に設置され、内部に複数の回生抵抗4が上下方向複数段に亘って配置される回生抵抗ユニット5と、冷却ファン8からの送風を回生抵抗ユニット5に導く第1の排気口9と、回生抵抗ユニット5に設けられ冷却ファン8からの送風を外部に排気する第2の排気口10とを備え、回生抵抗4は上方からの投影面積上、冷却ファン8の設置箇所と重複しないように配置され、第2の排気口10は少なくともその一部が正面からの投影面積上、回生抵抗4の配置箇所と重複するように回生抵抗ユニット5に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、筐体内の発熱体を効率的に冷却する構造を有するエレベータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータの制御装置の上部には回生抵抗等の発熱体を収納する回生抵抗ユニットが設置されている。この回生抵抗の冷却は回生抵抗ユニットに設けられた排気口からの排熱によって行われたり、回生抵抗間の間隔を十分に確保するなどして行われている。また、これらの自然空冷以外にも、空冷ファンを設けて回生抵抗を冷却する強制空冷も行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−176488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような空冷方式ではバランスよく各回生抵抗を冷却することができず、回生抵抗ユニット内の回生抵抗の配置によって、各回生抵抗の温度にばらつきが生じてしまう。各回生抵抗の温度にばらつきが生じると、各回生抵抗の寿命も異なってくる。回生抵抗の寿命が異なると、点検や交換作業が煩雑になってしまう。
【0005】
そこで本発明の実施形態に係るエレベータ制御装置は、各回生抵抗間の温度上昇をバランスよく抑制し、寿命のばらつきの少なくすることが可能である冷却構造を有するエレベータ制御装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の実施形態に係るエレベータ制御装置は、昇降路内に設置される制御駆動ユニットと、前記制御駆動ユニット内に設けられたインバータユニットと、前記制御駆動ユニット内に設けられ前記インバータユニットに冷却風を送風する冷却ファンと、前記制御駆動ユニットの上部に設置され、内部に複数の回生抵抗が上下方向複数段に亘って配置される回生抵抗ユニットと、前記冷却ファンからの送風を前記回生抵抗ユニットに導く第1の排気口と、前記回生抵抗ユニットに設けられ前記冷却ファンからの送風を外部に排気する第2の排気口と、を備え、前記回生抵抗ユニット内に配置される回生抵抗は上方からの投影面積上、前記冷却ファンの設置箇所と重複しないように配置され、前記第2の排気口は少なくともその一部が正面からの投影面積上、前記回生抵抗の配置箇所と重複するように前記回生抵抗ユニットに配置されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るエレベータ制御装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るエレベータ制御装置を示す正面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るエレベータ制御装置を示す正面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係るエレベータ制御装置を示す正面図である。
【図5】本発明の第4の実施形態に係るエレベータ制御装置を示す正面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係るエレベータ制御装置の水平断面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態に係るエレベータ制御装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るエレベータ制御装置の斜視図である。図2は本発明の第1の実施形態に係るエレベータ制御装置を示す正面図である。
【0010】
まず、図1を用いて本発明の第1の実施形態に係るエレベータ制御装置の構成について説明する。
【0011】
図1に示すように本発明の第1の実施形態に係るエレベータ制御装置1は、制御駆動ユニット2と、制御駆動ユニット2内に設置されるインバータユニット3と、制御駆動ユニット2の上部に設置され内部に回生抵抗4を複数備えている回生抵抗ユニット5を有する構成となっている。また、インバータユニット3には、冷却フィン6と冷却フィン6上に配置される半導体スイッチング素子7が備えられている。制御駆動ユニット2には、半導体スイッチング素子7を冷却するための冷却ファン8が設置されている。そして、冷却ファン8から送風される冷却風をインバータユニット3から回生抵抗ユニット5に導くための第1の排気口9が制御駆動ユニット2上部に設けられている。そして、その第1の排気口9から導かれた冷却風によって回生抵抗ユニット5内部に設置されている回生抵抗4を冷却する構成となっている。さらに回生抵抗ユニット5には、第1の排気口9から導かれた冷却風を外部へ排気するための第2の排気口群10が設けられている。
【0012】
ここで、図2を用いて本発明の第1の実施形態に係るエレベータ制御装置における冷却フィン6、半導体スイッチング素子7及び第1の排気口9の配置関係について説明する、図2に示すように、エレベータ制御装置1を正面から見た場合、冷却フィン6や半導体スイッチング素子7は制御駆動ユニット2を左右2分割したときに右側半分の範囲内に配置されるように設置されている。これと同様に、冷却ファン6、第1の排気口9についても制御駆動ユニット2の右側半分の範囲内に配置される。
【0013】
次に、本発明の第1の実施形態に係るエレベータ制御装置における回生抵抗4及び第2の排気口群10の配置関係について説明する。本実施形態においては、回生抵抗4を効率よく冷却するために、回生抵抗ユニット5内における回生抵抗4の配置及び、回生抵抗ユニット5に設けられる第2の排気口群10の配置を以下のようにする。
【0014】
回生抵抗4は、エレベータ制御装置1の上方投影面積上、冷却ファン6の設置範囲内に入らないような位置に上下二段に亘って配置される。すなわち、図2に示すように回生抵抗ユニット5を左右に2分割した場合、左側半分の範囲内に回生抵抗4が上下二段に亘って配置される。
【0015】
さらに図2に示すように第2の排気口群10は、回生抵抗4の配置箇所に対応するように回生抵抗ユニット5正面側に上下二段に亘って配置される。さらに、第2の排気口群10はエレベータ制御装置1の正面からの投影面積上すなわち図2から見て、その一部が回生抵抗4の配置と重複するように配置される。
【0016】
以上のように、本実施形態に係るエレベータ制御装置1における回生抵抗4、冷却ファン8、第1の排気口9及び第2の排気口群10の配置を定めることにより、半導体スイッチング素子7を冷却する冷却ファン8から送り込まれる冷却風が回生抵抗ユニット5内の回生抵抗4を均一に冷却することが可能となる。
【0017】
これは、冷却風の流れと回生抵抗4の配置及び第2の排気口群10の配置等によるものである。詳細に説明すると、まず冷却風の流れとしては、流体の特性として回生抵抗ユニット5内壁に沿って流れる。つまり、図2から見て、回生抵抗ユニット5の右下に設置される第1の排気口9から送風される冷却風は回生抵抗ユニット5内を右側面に沿って上方向に気流が流れる。そして、右上周辺に流れた冷却風は、上面に沿って左側面に向かって流れる。そして、左上周辺に流れた冷却風は左側面に沿って下方向に流れる。
【0018】
このような気流の流れを考慮して、回生抵抗4、冷却ファン8、第1の排気口9及び第2の排気口群10の配置が決定されている。本実施形態においては、既述のように回生抵抗ユニット5を正面から見て左右2分割した場合に、冷却ファン8及び第1の排気口9を右側にあたる箇所に設置し、一方、回生抵抗4及び第2の排気口群10は左側にあたる範囲内に設置される。これにより、回生抵抗ユニット5の右下部分から送り出される冷却風を直接的に回生抵抗4が受けることなく、かつ、回生抵抗ユニット5内に均一に冷却風が送り込まれ、回生抵抗ユニット5内の左側の範囲内に2段亘って配置される回生抵抗4を均一に冷却することが可能となる。
【0019】
よって、回生抵抗4が均一に冷却されることにより、回生抵抗4の寿命のばらつきをなくし、それらの点検・交換作業の効率を向上させることができる。また、本実施形態のような構成とすることにより、従来に比して回生抵抗4を十分に冷却することができるため、回生抵抗一つあたりの発熱量を増加させ、回生抵抗ユニット内の回生抵抗の総数を減らすことができる。これにより、従来よりも省スペースなエレベータ制御装置を提供することが可能となる。
【0020】
なお、本実施形態においては、回生抵抗4及び第2の排気口群10が上下二段に亘って配置されるものとしたが、それに限らず、三段や四段などに配置するものとしてもよい。
【0021】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態について説明する。図3は第2の実施形態に係るエレベータ制御装置を示す正面図である。
【0022】
第1の実施形態では、回生抵抗ユニット5上に配置される第2の排気口群10が回生抵抗4に対応して上下二段に亘って配置される構成として説明したが、本実施形態では回生抵抗4に対応して上下段ごとに配置される第2の排気口群10の配置数に差を設けることにより、より均一に冷却ファン8からの冷却風を回生抵抗ユニット5内に送り込ませる構成とする。以下、詳細に説明する。
【0023】
図3に示すように、回生抵抗ユニット5に設けられる第2の排気口群10の配置数を上段に比して下段が多くなるように第2の排気口群10を配置する。例えば、上段:下段の割合を1:2にして第2の排気口群10を回生抵抗ユニット5正面上に配置する。このような比率で回生抵抗ユニット5上に第2の排気口群を配置することによって、冷却ファン8から回生抵抗ユニット5に送り出される冷却風が、より回生抵抗ユニット5内を循環するものとなる。これは、第1の実施形態でも説明したように、回生抵抗ユニット5内に送り込まれる冷却風が回生抵抗ユニット5内壁に沿って流れるという流体の特性を利用するものである。
【0024】
すなわち、第1の実施形態で既述のように、回生抵抗ユニット5の右下に設置される第1の排気口9から送風される冷却風は回生抵抗ユニット5内をまずは右側面に沿って上方向に気流が流れる。そして、右上周辺に流れた冷却風は、上面に沿って左側面に向かって流れる。そして、左上周辺に流れた冷却風は左側面に沿って下方向に気流が流れる。このとき、本実施形態のように回生抵抗ユニット5上に上下二段に亘って配置される第2の排気口群10の配置比率を上段:下段=1:2とすることで、冷却風が回生抵抗ユニット5内の左上付近から左下方向へ流れる際に、上段の第2の排気口群10にて冷却風が外部へ排出されないまま、左下方向へ冷却風を導くことができる。これにより、上段と下段で冷却風の送風量を調整し、回生抵抗ユニット5内の回生抵抗4を均一に冷却することができる。
【0025】
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態について説明する。図4は第3の実施形態に係るエレベータ制御装置を示す正面図である。
【0026】
第1の実施形態では、回生抵抗ユニット5上に配置される第2の排気口群10が回生抵抗4に対応して上下二段に亘って配置される構成として説明したが、本実施形態では図4に示すように回生抵抗ユニット5に上下二段設けられる回生抵抗4及び第2の排気口群10の配置をエレベータ制御装置1の上方投影面積上、重複しないように配置する。
【0027】
具体的には図4に示すように、回生抵抗4及び第2の排気口群10は上下段共に、第1の実施形態と同様、回生抵抗ユニット5を左右に2分割した場合、左側半分の範囲内に配置される。そして、その左側半分範囲内で上段の回生抵抗4及び第2の排気口群10は下段の回生抵抗4及び第2の排気口群10に比して右側に配置される。つまり、下段の回生抵抗4及び第2の排気口群10は上段の回生抵抗4及び第2の排気口群10に比して左側に配置される。
【0028】
このような配置とすることで、回生抵抗ユニット5内に送り出される冷却風は、上下二段に亘って配置される回生抵抗4間での通りがよくなる。また、回生抵抗4が上方投影面積上、重複しないように配置されることにより、上下二段に亘って配置される回生抵抗4間の距離が遠くなることから、回生抵抗4間での発熱の影響が小さくなり、より回生抵抗4の温度上昇を抑制できる。そして、より均一に回生抵抗4を冷却することができる。
【0029】
なお、本実施形態に係る第2の排気口群10については、図4に示すように、上記第2の実施形態と同様に、上下段ごとの配置数に差を設ける構成としているが、それに限らず、上下段共に同様の配置数とすることも可能である。
【0030】
(第4の実施形態)
次に第4の実施形態について説明する。図5は第4の実施形態に係るエレベータ制御装置を示す正面図である。図6は第4の実施形態に係るエレベータ制御装置の水平断面図である。
【0031】
第1の実施形態では、第2の排気口群10はエレベータ制御装置1の正面からの投影面積上すなわち図2から見て、その一部が回生抵抗4の配置と重複するように配置されるものとしたが、本実施形態においては、第2の排気口群10の全部をエレベータ制御装置1の正面からの投影面積上、回生抵抗4の面積内の範囲におさまるように配置される。
【0032】
すなわち、第2の排気口群10が回生抵抗4の投影面積上、回生抵抗4の設置範囲内に配置されることにより、図6に示すように回生抵抗ユニット5内の冷却風は回生抵抗4の表面上を沿うようにして第2の排気口群10から外部に排出されるようになる。
【0033】
よって、回生抵抗4の冷却風があたる総面積が大きくなることにより、回生抵抗4の温度上昇を抑制し、より均一に回生抵抗4を冷却することが可能となる。
【0034】
(第5の実施形態)
次に第5の実施形態について説明する。図7は第5の実施形態に係るエレベータ制御装置を示す正面図である。
【0035】
本実施形態では、図7に示すように回生抵抗ユニット5内に、冷却ファン8からの冷却風を回生抵抗4に効率よく導くための整風板11を設けている。整風板11は、くの字型形状からなり、そのくの字部分の内側を回生抵抗4方向に向けて配置される。なお、本実施形態では回生抵抗4等が上下二段に配置されることから、整風板11は上段用及び下段用の2つが設けられる。整風板11はエレベータ制御装置1の上方からの投影面積上、冷却ファン8と重複する範囲内に配置され、かつそれぞれの整風板11同士が重複しないように配置される。ここでは、下段の回生抵抗4に対応する整風板11が、上段の回生抵抗4に対応する整風板11よりも回生抵抗4側すなわち左側に配置される。
【0036】
また、それぞれの整風板11は、図7に示すようにエレベータ制御装置1を正面から見た場合に、上下二段に亘って配置される回生抵抗4のそれぞれの下部あたりの高さに配置される。
【0037】
以上のように、回生抵抗ユニット5内に、冷却ファン8からの冷却風を回生抵抗4に導くための整風板11を設けることにより、回生抵抗4に対して効率よく冷却風を導くことができ、回生抵抗4の温度上昇を抑制し、より均一に回生抵抗4を冷却することが可能となる。
【0038】
なお、本実施形態においては、回生抵抗4等を上下二段に亘って配置されることを前提として述べたが、これに限らず、三段、四段など、複数段に亘って配置されるものでもよく、その場合、それらに対応するように整風板11を設けるものとする。
【符号の説明】
【0039】
1…エレベータ制御装置
2…制御駆動ユニット
3…インバータユニット
4…回生抵抗
5…回生抵抗ユニット
6…冷却フィン
7…半導体スイッチング素子
8…冷却ファン
9…第1の排気口
10…第2の排気口群
11…整風板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内に設置される制御駆動ユニットと、
前記制御駆動ユニット内に設けられたインバータユニットと、
前記制御駆動ユニット内に設けられ前記インバータユニットに冷却風を送風する冷却ファンと、
前記制御駆動ユニットの上部に設置され、内部に複数の回生抵抗が上下方向複数段に亘って配置される回生抵抗ユニットと、
前記冷却ファンからの送風を前記回生抵抗ユニットに導く第1の排気口と、
前記回生抵抗ユニットに設けられ前記冷却ファンからの送風を外部に排気する第2の排気口と、
を備え、
前記回生抵抗ユニット内に配置される回生抵抗は上方からの投影面積上、前記冷却ファンの設置範囲と重複しないように配置され、前記第2の排気口は少なくともその一部が正面からの投影面積上、前記回生抵抗の配置範囲と重複するように前記回生抵抗ユニットに配置されることを特徴とするエレベータ制御装置。
【請求項2】
前記第2の排気口は、前記第2の排気口が設けられる前記回生抵抗ユニットの面を上下2分割した場合、開口量の比率が上部より下部のほうが大きくなることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
上下方向複数段に設けられる前記回生抵抗は、上方からの投影面積上、互いに重複しないように配置されることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記第2の排気口は、正面からの投影面積上、前記回生抵抗の配置範囲内に収まるように前記回生抵抗ユニットに配置されることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項5】
前記回生抵抗ユニット内に前記冷却ファンから送風される冷却風を前記回生抵抗へ導くための整風板を少なくとも1つ設けたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項6】
前記整風板は上方からの投影面積上、前記冷却ファンの設置範囲と重複する範囲内であって、前記回生抵抗の下部高さに配置されることを特徴とする請求項5に記載のエレベータ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−112457(P2013−112457A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259118(P2011−259118)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】