エレベータ装置におけるガイドレールの配設方法
【課題】仮設の足場を必要とせず、良好な施工性を確保したエレベータ装置におけるガイドレールの配設方法を提供する。
【解決手段】籠体を載設させるプラットフォーム16における縦枠部16aの上端部に作業台部18を設けると共に、プラットフォーム16の縦枠部16aに設けたガイド部9を、エレベータ昇降路6の構造部に対して先に位置決め固定したレール材33に、上下に移動可能に取り付け、エレベータ駆動装置である油圧シリンダー5の作動によってプラットフォーム16を上昇させて作業台部18を上記先に位置決め固定したレール材33の上端位置よりも上方に位置する上方突出状態とし、この上方突出状態にある作業台部18を用いて、上記先に位置決め固定したレール材33の上側に新たなレール材34を接続すると共にエレベータ昇降路6の構造部に位置決め固定する。
【解決手段】籠体を載設させるプラットフォーム16における縦枠部16aの上端部に作業台部18を設けると共に、プラットフォーム16の縦枠部16aに設けたガイド部9を、エレベータ昇降路6の構造部に対して先に位置決め固定したレール材33に、上下に移動可能に取り付け、エレベータ駆動装置である油圧シリンダー5の作動によってプラットフォーム16を上昇させて作業台部18を上記先に位置決め固定したレール材33の上端位置よりも上方に位置する上方突出状態とし、この上方突出状態にある作業台部18を用いて、上記先に位置決め固定したレール材33の上側に新たなレール材34を接続すると共にエレベータ昇降路6の構造部に位置決め固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ装置におけるガイドレールの配設方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、エレベータ昇降路6に配設するガイドレール2が複数本のレール材3を上下に接続して形成されたエレベータ装置1において、図11のように、建物躯体8に固定したレール材3に昇降自在に保持させたプラットフォーム16に作業台部18を設け、作業台部18を利用してレール材3を建物躯体8への固定(本固定)を行わせるという施工方法が知られている(たとえば特許文献1参照)。この施工方法によると、レール材3の建物躯体8への固定(本固定)のためには、エレベータ昇降路6に構築する仮設の足場を用いることなく、プラットフォーム16を使用して作業を行うことができるから、施工性を良好にできる利点を有する。
【0003】
しかしながら、特許文献1のエレベータ装置1´は、エレベータ昇降路6上部の機械室の設置を回避するためにプラットフォーム16の昇降手段としてエレベータ昇降路6の脇に配置した油圧ジャッキ30を用いているが、油圧ジャッキ30の上下移動するプランジャー30aに架けた主ロープ31によってプラットフォーム16を吊り支持しており、プラットフォーム16には主ロープ31の支持点廻りの回転モーメントが発生し、この回転モーメントを支えるべくプラットフォーム16の上下端に設けたガイドシュー19をガイドレール2にそれぞれ摺接させる構造となっており、つまり、プラットフォーム16の昇降の際にはプラットフォーム16の上下端に設けたガイドシュー19を摺接させるガイドレール2が必要であり、そのためプラットフォーム16を昇降させて行うレール材3の建物躯体8への固定(本固定)施工の前段階において、レール材3を建物躯体8に仮固定した仮設のガイドレール2を形成しなければならず、したがって、ガイドレール2を仮設するために、エレベータ昇降路6に構築する仮設の足場を設ける必要がある。
【0004】
すなわち、特許文献1のエレベータ装置1´にあっては、レール材3の建物躯体8への固定(本固定)のための仮設の足場を設ける必要はなくしているが、結局のところ、レール材3の建物躯体8への仮固定のために仮設の足場は必要であり、その施工性は良好とは言い難いものであった。
【特許文献1】特開平6−1562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、仮設の足場を必要とせず、良好な施工性を確保したエレベータ装置におけるガイドレールの配設方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために請求項1に係るエレベータ装置1におけるガイドレールの配設方法にあっては、籠体17を載設させるプラットフォーム16における縦枠部16aの上端部に作業台部18を設けると共に、プラットフォーム16の縦枠部16aに設けたガイド部9を、エレベータ昇降路6の構造部に対して先に位置決め固定したレール材33に、上下に移動可能に取り付け、エレベータ駆動装置である油圧シリンダー5の作動によってプラットフォーム16を上昇させて作業台部18を上記先に位置決め固定したレール材33の上端位置よりも上方に位置する上方突出状態とし、この上方突出状態にある作業台部18を用いて、上記先に位置決め固定したレール材33の上側に新たなレール材34を接続すると共にエレベータ昇降路6の構造部に位置決め固定することを特徴とする。
【0007】
これによると、エレベータ駆動装置である油圧シリンダー5の作動によってプラットフォーム16を上昇させて作業台部18を上記先に位置決め固定したレール材33の上端位置よりも上方に位置する上方突出状態とし、この上方突出状態にある作業台部18を用いて、上記先に位置決め固定したレール材33の上側に新たなレール材34を接続すると共にエレベータ昇降路6の構造部に位置決め固定するようにしたので、従来のようなエレベータ昇降路6に対して構築する仮設の足場を必要とせず、エレベータ装置1にそのまま用いる油圧シリンダー5の作動により昇降するプラットフォーム16を利用して、複数のレール材3を下方から順に継ぎ足すようにしてガイドレール2をエレベータ昇降路6に配設することができるのであり、良好な施工性を確保することができる。
【0008】
また、請求項2に係るエレベータ装置1におけるガイドレールの配設方法にあっては、請求項1において、まず、最下端のレール材3aと油圧シリンダー5とをそれぞれエレベータ昇降路6の底部の構造部であるベース部7上に所定の位置関係で且つそれぞれ垂直となるように立設すると共に、これら最下端のレール材3aと油圧シリンダー5とをベース部7よりも上方位置でエレベータ昇降路6の側部の構造部に対して位置決め固定し、次いで、油圧シリンダー5のロッド5aの上部をプラットフォーム16に固定すると共に、最下端のレール材3aに対してプラットフォーム16に設けたガイド部9を上下に移動自在に取り付けることで、油圧シリンダー5の作動によってプラットフォーム16を最下端のレール材3aに沿ってその水平方向の位置や姿勢を保持させつつ昇降できる状態にし、次いで、油圧シリンダー5を作動させてロッド5aを伸張させることで、プラットフォーム16を最下端のレール材3aに沿って上昇させ、プラットフォーム16を作業台部18が最下端のレール材3aの上端位置よりも上方に位置される上方突出状態にすると共に、この上方突出状態のプラットフォーム16を、ガイド部9に対する最下端のレール材3aによるガイドと油圧シリンダー5による支持との協働によって水平方向の位置や姿勢が保持された状態にし、次いで、上方突出状態にあるプラットフォーム16の作業台部18を用いて、最下端のレール材3aに新たなレール材34を接続すると共にエレベータ昇降路6の側部の構造部に位置決め固定することを特徴とする。
【0009】
これによると、ガイドレール2の配設施工の際に、先に位置決め固定するレール材3となる最下端のレール材3aの配設施工は、エレベータ駆動装置である油圧シリンダー5の配設と共に、エレベータ昇降路6のベース部7を作業場として行うことができるのであり、従来のようなエレベータ昇降路6に対して構築する仮設の足場を必要とせず、良好な施工性を確保することができる。
【0010】
また、請求項3に係るエレベータ装置1におけるガイドレールの配設方法にあっては、請求項1または2において、上方突出状態にあるプラットフォーム16において、先に位置決め固定したレール材33の上端位置よりも下方部位にのみ、ガイド部9を設けたことを特徴とする。これによると、上方突出状態にしたプラットフォーム16にあっては、先に位置決め固定したレール材33の上端位置よりも上方位置にガイド部9が存在しないため、ガイド部9に邪魔されずに上記先に位置決め固定したレール材33の上側に対して新たなレール材34を近接させることができ、施工性を高めることができる。
【0011】
また、請求項4に係るエレベータ装置1におけるガイドレールの配設方法にあっては、請求項1乃至3のいずれか一項において、先に位置決め固定したレール材33、または該レール材3をエレベータ昇降路6の構造部に固定させるための部材に対して、上方突出状態にあるプラットフォーム16に設けたガイド部9の上方への抜けを防止するための抜止め部材10を着脱自在に取り付けることを特徴とする。これによると、プラットフォーム16を先に位置決め固定したレール材33に沿わせて上昇させた際に、抜止め部材10によってガイド部9が上記先に位置決め固定したレール材33から上方に抜けることが防止されるのであり、施工の安全性を確保できる。
【0012】
また、請求項5に係るエレベータ装置1におけるガイドレールの配設方法にあっては、請求項3において、上方突出状態にあるプラットフォーム16に設けたガイド部9が、レール材3を接続すると共にエレベータ昇降路6の構造部に位置決め固定するレール材3の配設施工時にのみ使用する施工用ガイド部90と、完成状態のエレベータ装置1においても使用される本使用ガイド部91とで構成され、上記レール材3の配設施工後に、まず、上記本使用ガイド部91との協働で、完成状態のエレベータ装置1におけるプラットフォーム16をガイドレール2に対して上下に移動可能に取り付けるための、新たな本使用ガイド部92をプラットフォーム16の縦枠部16aの上部に取り付け、その後、施工用ガイド部90をプラットフォーム16の縦枠部16aから取り外すことを特徴とする。
【0013】
これによると、レール材3の配設施工後に施工用ガイド部90を取り外して新たに本使用ガイド部91を取り付けるようにしたので、エレベータ装置1の完成状態でのガイド部9に対してレール材3の配設施工時のガイド部9の配置制限を課さないようにでき、つまり、完成状態のエレベータ装置1のガイド部9を、たとえば籠体を載置したプラットフォーム16の良好な荷重バランスを確保してのガイドレール2への取り付けに適した構造にできるのであり、ここで、施工用ガイド部90を取り外して新たに本使用ガイド部91を取り付ける施工にあって、新たな本使用ガイド部92の取り付けの後に施工用ガイド部90の取り外しを行う手順で作業するようにしたので、プラットフォーム16のガイドレール2へのガイドを途切れさせることなく上記作業を行うことができるから、高い安全性、良好な施工性を確保して施工作業を行うことができる。
【0014】
また、請求項6に係るエレベータ装置1におけるガイドレールの配設方法にあっては、請求項5において、上記施工用ガイド部90が、レール材3を両側から挟持するための一対の別体の摺接部材24をそれぞれプラットフォーム16の縦枠部16aに着脱自在に並べて取り付けることで、形成されて成ることを特徴とする。これによると、レール材3によって妨げられることなく、施工用ガイド部90のプラットフォーム16の縦枠部16aへの着脱を行うことができ、施工用ガイド部90のプラットフォーム16からの取り外し作業の良好な施工性を確保できる。
【0015】
また、請求項7に係るエレベータ装置1におけるガイドレールの配設方法にあっては、請求項4において、上記抜止め部材10が、レール材3をエレベータ昇降路6の構造部に固定させるためのブラケット13に対して取り付けるブラケット取付部40と、ブラケット取付部40から延設されて、上方突出状態にあるプラットフォーム16に設けたガイド部9に対してその上方移動を規制するために当接させるガイド当接部41とで成ることを特徴とする。これによると、レール材3のように上下に長い形状にする制限のないブラケット13に対して抜止め部材10を上下への引っ掛かりを備えるように固定でき、ガイド当接部41へのガイド部9の突き上げるような衝突に対する良好な耐性を備えるように強固な取り付け強度の確保を図ることができる。
【0016】
また、請求項8に係るエレベータ装置1におけるガイドレールの配設方法にあっては、請求項7において、抜止め部材10のブラケット取付部40が、上下の対向片43,44の基端同士を連結片45で連結して成る断面コ字状の取付主体部42を有すると共に、上側の対向片43に螺着したクランプ用ボルト46を有し、クランプ用ボルト46を下側の対向片44に向けて螺進させることで、下側の対向片44と連結片45とに沿わせるようにして取付主体部42内に位置させた断面L字状のブラケット13をクランプ用ボルト46の先端と下側の対向片44とで挟持可能にするように構成され、上記取付主体部42の上側の対向片43の先端から垂下片47を垂設し、この抜止め部材10が、取付主体部42内に位置したブラケット13を中心にしてブラケット取付部40の連結片45から延設されたガイド当接部41を下方に移動させるような傾斜姿勢になった場合に、取付主体部42の下側の対向片44の先端が断面L字状のブラケット13の下面に引っ掛かると共に、取付主体部42内に臨む垂下片47の内面が断面L字状のブラケット13の上端に引っ掛かるようにして成ることを特徴とする。
【0017】
これによると、抜止め部材10をブラケット13に取り付けまたは取り外しする際に、取付主体部42内にブラケット13を位置させた状態で抜止め部材10を持ち手から滑らせてしまっても、取付主体部42の下側の対向片44の先端が断面L字状のブラケット13の下面に引っ掛かると共に、取付主体部42内に臨む垂下片47の内面が断面L字状のブラケット13の上端に引っ掛かるようにされているので、抜止め部材10のブラケット13からの落下を防止できるのであって、良好な施工性を確保できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明にあっては、エレベータ昇降路に構築するような仮設の足場を必要とせず、良好な施工性を確保してガイドレールの配設施工を行うことができる、という利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0020】
本例のエレベータ装置1は、図10のように完成状態において、複数本のレール材3を上下に接続して成るガイドレール2に対してエレベータ昇降体4がガイド部9を介して上下に移動可能に取り付けられ、このエレベータ昇降体4に対して油圧シリンダー5に備えた上下に伸縮するロッド5aが固定されることで、ガイドレール2によるガイドと油圧シリンダー5による支持との協働によってエレベータ昇降体4が水平方向の位置や姿勢を保持された状態に維持されると共に、油圧シリンダー5のロッド5aの伸縮動作によってエレベータ昇降体4がガイドレール2に沿ってエレベータ昇降路6を昇降するといった構造が採用されている。なお、図中11はエレベータ昇降路6の所定高さ位置に設けた各階の乗降口であり、11aは1階乗降口であり、11bは2階乗降口である。また、完成状態においてエレベータ昇降体4は、プラットフォーム16に部屋状の籠体17を載設することで構成されている。プラットフォーム16は、籠体17を載置させる横枠部16bと、横枠部16bの一端に立設した縦枠部16aとで構成された、側面視で略L字状に形成された枠体である。縦枠部16aは、ガイドレール2に沿うように位置され、上記ガイド部9が設けられる。
【0021】
このエレベータ装置1の施工は、まずレール材3の配設及びその仕上げ作業で成るガイドレール2の配設施工を行い、次いでエレベータ昇降体4等の設備機器の形成及びその仕上げ作業で成る設備仕上施工を行うことで為されるのであり、具体的には以下のように行われる。
【0022】
レール材3の配設施工として、まず、最下端のレール材3aと油圧シリンダー5とをそれぞれエレベータ昇降路6の底部の構造部であるベース部7上に所定の位置関係で且つそれぞれ垂直となるように立設すると共に、これら最下端のレール材3aと油圧シリンダー5とをベース部7よりも上方位置でエレベータ昇降路6の側部の構造部に固定する。ここで、エレベータ昇降路6の側部の構造部としては、本例ではエレベータ昇降路6に臨む建物躯体8の梁や柱の構造材(以下、建物躯体8という)が構成しているが、たとえばエレベータ昇降路6を形作るエレベータ鉄塔の構造材でも構成できる。
【0023】
詳しくは、最下端のレール材3a及び油圧シリンダー5は、エレベータ昇降路6の一側部に沿わせるように立設される。最下端のレール材3aの下端及び油圧シリンダー5の下端はベース部7に設置したスタンド材12に一体に固定されている。また、最下端のレール材3aや油圧シリンダー5のシリンダー部5bはその長さ方向の適所で建物躯体8にブラケット13を介して固定されている。詳しくは、レール材3は、階高寸法と同程度の長さを有するT型鋼から構成され、ウェブ14同士を対向させるようにして一対配置されている。また、油圧シリンダー5は一対の並設したレール材3の中間部に配置されている。この油圧シリンダー5は、ベース部7に設置した油圧ユニット15に接続されることで、ロッド5aの上下への伸縮動作が行われるようにされている。すなわち、最下端のレール材3aや油圧シリンダー5は、ベース部7を作業場とした施工作業によって配設することができ、この施工の終了時点で設計通りの完成された状態になる(図10参照)。
【0024】
次に、この位置決め固定されたレール材33(最下端のレール材3a)に対してプラットフォーム16をガイド部9を介して上下に移動自在に取り付け、油圧シリンダー5のロッド5aの上端部をプラットフォーム16の縦枠部16aに固定することで、油圧シリンダー5の作動によってプラットフォーム16を位置決め固定されたレール材33(最下端のレール材3a)に沿ってその水平方向の位置や姿勢を保持させつつ昇降できる状態にする(図1参照)。ここで、この施工時(ガイドレール2の配設施工時)では図6のように籠体17は未載置であってプラットフォーム16だけが存在する状態となっていると共に、このプラットフォーム16の縦枠部16aの上端部には作業台部18が形成されている。この作業台部18は、縦枠部16aの上端にブレース23等を介して片持ち状に支持させて、横枠部16bの上方位置に位置されるように、形成される。なお、この作業台部18のプラットフォーム16への形成は、プラットフォーム16をガイド部9を介して最下端のレール材3aに取り付けた状態で行ってもよいし、プラットフォーム16をガイド部9を介して最下端のレール材3aに取り付ける前に行ってもよい。
【0025】
次に、油圧シリンダー5を作動させてロッド5aを伸張させることで、プラットフォーム16を最下端のレール材3aに沿って上昇させ、図1や図2のように、プラットフォーム16をその作業台部18が最下端のレール材3aの上端位置よりも上方に位置される上方突出状態にする。
【0026】
この上方突出状態のプラットフォーム16は、縦枠部16aに設けたガイド部9に対する最下端のレール材3aによるガイドと、プラットフォーム16にロッド5aを固定した油圧シリンダー5による支持との協働によって、水平方向の位置や姿勢が保持される状態にできるようにされている。
【0027】
ここで、ガイド部9は、プラットフォーム16が上方突出状態にあるときに、プラットフォーム16の縦枠部16aにおける上記位置決め固定されたレール材33(最下端のレール材3a)の上端位置よりも下方に位置する部分に設けられている。具体的に本例では、上記ガイド部9として、縦枠部16aの下端部に設けた下部ガイド部9bと、縦枠部16aの上下の中程部分に設けた中央部ガイド部9aとで構成されている。そして、中央部ガイド部9aは、レール材3の配設施工後に取り外されるものであって、つまりレール材3の配設施工時にのみ使用する施工用ガイド部90となっている。一方、下部ガイド部9bは、完成状態のエレベータ装置1においても使用される本使用ガイド部91となっている。
【0028】
なお、上記施工作業時には、位置決め固定されたレール材33(最下端のレール材3a)からの上方への抜けを防止する抜止め部材10を、最下端のレール材3aに着脱自在に取り付けておく(図2参照)。最下端のレール材3aの上方にレール材3が接続されていない状態では、上昇させたプラットフォーム16のガイド部9が最下端のレール材3aから上方へ抜ける恐れもあるが、上記抜止め部材10を設けたことで上記恐れを無くすることができるのであり、つまり施工の安全性が確保されている。
【0029】
次に、図1のように、上方突出状態にあるプラットフォーム16の作業台部18を用いて、上記先に位置決め固定したレール材33(最下端のレール材3a)の上側に新たなレール材34(1つ上のレール材3b)を接続すると共に、エレベータ昇降路6の構造部である建物躯体8に位置決め固定する。この作業はたとえば以下のように行う。
【0030】
まず図2のように、上方突出状態にあるプラットフォーム16の作業台部18に乗った作業者A(以下、第1作業者Aという)が、新たなレール材34を建物躯体8に固定させるためのブラケット13を、建物躯体8に固定させる。次に図3のように、上方突出状態にあるプラットフォーム16の横枠部16bに新たな作業者B(以下、第2作業者Bという)が乗り、新たなレール材34を第1,第2作業者A,Bの協働で最下端のレール材3aに上方から近接させ、第1作業者Aが新たなレール材34をブラケット13に仮固定させると共に、第2作業者Bが新たなレール材34の下端と最下端のレール材3aの上端とを仮接続させる。次に図4のように、下げ振りのような垂直出し用治具20を使用して新たなレール材34の垂直出し(芯出し)を行った上で、第1作業者Aが新たなレール材34をブラケット13に本固定(位置決め固定)させると共に、第2作業者Bが新たなレール材34の下端と最下端のレール材3aの上端とを本接続させる。これにより、最下端のレール材3aと一つ上のレール材3bとは一体に繋がった状態で建物躯体8に位置決め固定された状態になる。この位置決め固定した最下端のレール材3aと1つ上のレール材3bとの一体物は、後に接続する新たなレール材34に対する、先に位置決め固定したレール材33となる。この先に位置決め固定したレール材33(最下端のレール材3aと1つ上のレール材3bとの一体物)は、設計通りに仕上げられたレール材3の配設施工の完了範囲となる。
【0031】
ここで、上記先に位置決め固定されたレール材33に新たなレール材3を接続すると共にエレベータ昇降路6の側部の建物躯体8に位置決め固定させる作業にあっては、叙述のように上方突出状態のプラットフォーム16において先に位置決め固定されたレール材33の上端位置よりも下方位置にのみガイド部9が設けられ、つまり上方突出状態のプラットフォーム16において先に位置決め固定されたレール材33の上端位置よりも上方位置にはガイド部9が存在していないため、先に位置決め固定されたレール材33への新たなレール材34の近接作業の際にガイド部9が邪魔してしまうことがなく、施工性の向上が図られている。また、プラットフォーム16の横枠部16bと作業台部18との高さ寸法を建物の階高寸法と同程度に形成しておけば、第1作業者A及び第2作業者Bを各階の乗降口11からそれぞれ乗らせることができて便利である。また、横枠部16bと作業台部18との間に梯子を形成させて横枠部16bと作業台部18とを行き来可能にしてもよく、この場合には一人の作業者で施工を行わせることもできる。
【0032】
次に、図5のように、最下端のレール材3aから抜止め部材10を取り外し、最下端のレール材3aに繋げた1つ上のレール材3bからのガイド部9の抜けを防止する抜止め部材10を新たに取り付けて安全性を確保した上で、上記最下端のレール材3aに繋げた1つ上のレール材3bに沿わせてプラットフォーム16を上昇させ、この先に位置決め固定されたレール材33(最下端のレール材3aと1つ上のレール材3bとの一体物)に対してプラットフォーム16を上方突出状態にする。なお、上記新たに取り付ける抜止め部材10は、先に位置決め固定されたレール材33の上端部分を構成するレール材3(本時点では1つ上のレール材3b)を建物躯体8に固定させるブラケット13に対して取り付けている。そして、この上方突出状態にあるプラットフォーム16の作業台部18を用いて、最下端のレール材3aの2つ上のレール材3c(図11参照)となる新たなレール材34を、上記先に位置決め固定されたレール材33(最下端のレール材3aと1つ上のレール材3bとの一体物)に接続すると共に建物躯体8に位置決め固定する。この先に位置決め固定されたレール材33(最下端のレール材3aと1つ上のレール材3bとの一体物)と上記2つ上のレール材3cとの一体物は、その後に更に接続させる新たなレール材34に対する、いわゆる先に位置決め固定されたレール材33となる。
【0033】
このように、抜止め部材10の付け替えを行って先に位置決め固定したレール材33からのプラットフォーム16の上方への抜けを防止し、プラットフォーム16を油圧シリンダー5にて上昇させて先に位置決め固定したレール材33に対する上方突出状態にし、先に位置決め固定したレール材33の上側に新たなレール材34を接続すると共に建物躯体8に位置決め固定するという作業(図2〜5)を、適宜繰り返し行っていくことで、ガイドレール2を構成する全てレール材3が接続されると共に建物躯体8に位置決め固定された状態となって、ガイドレール2の全範囲におけるレール材3の配設施工が完了する。
【0034】
このように、エレベータ駆動装置である油圧シリンダー5の作動によってプラットフォーム16を上昇させて作業台部18が上記先に位置決め固定したレール材33の上端位置よりも上方に位置する上方突出状態とし、この上方突出状態にある作業台部18を用いて、上記先に位置決め固定したレール材33の上側に新たなレール材34を接続すると共にエレベータ昇降路6の構造部に位置決め固定するようにしたので、従来のようなエレベータ昇降路6に対して構築する仮設の足場を必要とせず、エレベータ装置1にそのまま用いる油圧シリンダー5の作動により昇降するプラットフォーム16を利用して、複数のレール材3を下方から順に継ぎ足すようにしてガイドレール2をエレベータ昇降路6に配設することができるのであり、良好な施工性が確保されている。
【0035】
詳しくは、上記プラットフォーム16の上方突出状態では、ガイド部9に対する先に位置決め固定したレール材33によるガイドと、ロッド5aを固定させた油圧シリンダー5による支持との協働によって、プラットフォーム16を水平方向の位置や姿勢が保持された状態にできたものであり、つまり、従来のようにプラットフォーム16の回転モーメントを押さえるために建物躯体8に仮固定したガイドレール2が必要となるものでないから、エレベータ昇降路6に構築する仮設の足場を必要としないで済むようにされている。
【0036】
また、ガイドレール2の配設施工の際に、先に位置決め固定するレール材3を必ず構成することとなる最下端のレール材3aのエレベータ昇降路6への配設は、エレベータ駆動装置である油圧シリンダー5の配設と共に、エレベータ昇降路6のベース部7を作業場として行うことができるのであり、この点でも従来のようなエレベータ昇降路6に対して構築する仮設の足場を必要とせず、良好な施工性の確保が為されている。
【0037】
なお、先に位置決め固定したレール材33からのプラットフォーム16の上方への抜けを防止するために設けられる抜止め部材10としては、先に位置決め固定したレール材33に対して着脱自在に取り付けるタイプ、先に位置決め固定したレール材33を建物躯体8に固定するブラケット13に対して着脱自在に取り付けるタイプが、適宜用いられている。後者の場合、ブラケット13は、本例でも左右に長い断面L字状の型枠材が用いられているように、上下に長い形状にされるレール材3とは違って形状に制限のない部材を用いることができるのであり、つまり、ブラケット13に対して抜止め部材10を上下への引っ掛かりを備えるように固定させたりできるから、後述のガイド当接部41へのガイド部9の上方に向けた衝突に対する良好な耐性を備えるように強固な取り付け強度の確保を図ることができる。
【0038】
具体的に、上記ブラケット13に取り付けるタイプの抜止め部材10にあっては、図8,9のように、レール材3をエレベータ昇降路6の構造部に固定させるためのブラケット13に対して取り付けるブラケット取付部40と、ブラケット取付部40から延設されて、上方突出状態にあるプラットフォーム16に設けたガイド部9に対してその上方移動を規制するために当接させるガイド当接部41とを有している。
【0039】
ブラケット取付部40は、上下の対向片43,44の基端同士を連結片45で連結して成る断面コ字状の取付主体部42を有すると共に、上側の対向片43に螺着したクランプ用ボルト46を有し、クランプ用ボルト46を下側の対向片44に向けて螺進させることで、下側の対向片44と連結片45とに沿わせるようにして取付主体部42内に位置させた断面L字状のブラケット13をクランプ用ボルト46の先端と下側の対向片44とで挟持可能にするクランプ構造が採用されている。また、上記取付主体部42の上側の対向片43の先端からは垂下片47が垂設されている。断面L字状のブラケット13へのブラケット取付部40の固定は、図9(a)のように、ブラケット取付部40を上方から被せるように近接させることで、ブラケット13を垂下片47と下側の対向片44との隙間からブラケット取付部40内に挿入し、クランプ用ボルト46を下側の対向片44に向けて螺進させることで、下側の対向片44と連結片45とに沿わせるようにして取付主体部42内に位置させた断面L字状のブラケット13をクランプ用ボルト46の先端と下側の対向片44とで挟持することで行われる。ガイド当接部41は、ブラケット取付部40の連結片45から側方へ延設されており、上方突出状態にあるプラットフォーム16に設けたガイド部9(中央部ガイド部9a)が当接する箇所には、当接の際の衝撃の吸収を目的として筒状または柱状のゴム材22が用いられている。
【0040】
ここで、上記抜止め部材10は、図9(b)のように、取付主体部42内に位置したブラケット13を中心にしてブラケット取付部40の連結片45から延設されたガイド当接部41を下方に移動させるような傾斜姿勢になった場合に、取付主体部42の下側の対向片44の先端が断面L字状のブラケット13の下面に引っ掛かると共に、取付主体部42内に臨む垂下片47の内面が断面L字状のブラケット13の上端に引っ掛かり得るように形成されている。したがって、抜止め部材10をブラケット13に取り付ける際に、取付主体部42内にブラケット13を位置させた状態で抜止め部材10を持ち手から滑らせてしまっても、取付主体部42の下側の対向片44の先端が断面L字状のブラケット13の下面に引っ掛かると共に、取付主体部42内に臨む垂下片47の内面が断面L字状のブラケット13の上端に引っ掛かり、抜止め部材10のブラケット13からの落下を防止できるのであって、良好な施工性の確保が図られている。
【0041】
上記レール材3の配設施工後には、その仕上げ施工として、レール材3の配設施工時にプラットフォーム16のガイド部9を構成していた施工用ガイド部90を取り外すと共に、新たにプラットフォーム16の縦枠部16aの上端部に本使用ガイド部92となる上部ガイド部9c(図10)を取り付ける、といった施工作業を行う。実際の作業手順としては、上部ガイド部9cをプラットフォーム16の縦枠部16aの上端部に取り付けた後に、プラットフォーム16の縦枠部16aから施工用ガイド部90が取り外される。この作業手順によると、作業中にガイド部9によるプラットフォーム16のガイドレール2へのガイドの途切れを防止でき、高い安全性、良好な施工性を確保して上記施工作業を行うことができる利点がある。
【0042】
ここで、施工用ガイド部90は、図7のように、レール材3を両側から挟持するための一対の別体の摺接部材24をそれぞれプラットフォーム16の縦枠部16aに着脱自在に並べて取り付けることで形成された、いわゆるガイドシューである。詳しくは、摺接部材24は、縦枠部16aに沿わせる固定片部24aと、固定片部24aから突出する突出片部24bとを有しており、摺接部材24同士を並べて配置した際に、固定片部24aと両突出片部24bとで囲まれて成るレール材挿入溝部25が形成されるようになっている。レール材挿入溝部25にはレール材3のウェブ14が上下に摺動可能に挿入されるのであり、レール材挿入溝部25の両溝側面が上記挿入されたウェブ14を挟持するような位置関係になるものであり、挿入したレール材3のウェブ14が摺接するレール材挿入溝部25の溝内面には、樹脂製の滑面部材26が交換可能に取り付けられている。なお、摺接部材24同士は、固定片部24aの隣接端同士の突合せで並設されてもよいが、固定片部24aの隣接端同士を嵌合又は実結合等による連結構造によって一体化した状態で並設されてもよい。このように施工用ガイド部90を、レール材3を両側から挟持するための一対の別体の摺接部材24をそれぞれプラットフォーム16の縦枠部16aに着脱自在に並べて取り付けることで形成させたことで、摺接部材24同士を離反させるようにプラットフォーム16の縦枠部16aから取外すことで挟持するレール材3により妨げられることなく、施工用ガイド部90をプラットフォーム16の縦枠部16aから取り外すことができる。つまり、上記施工用ガイド部90の取り外し作業における良好な施工性が確保されている。
【0043】
上述のガイドレール2の配設施工の後には、叙述のように設備仕上施工を行うことでエレベータ装置1を完成させる。具体的に、設備仕上施工として、プラットフォーム16の横枠部16bの上への籠体17の載設作業がある。プラットフォーム16に重量物である籠体17を載設した場合には、ガイドレール2とプラットフォーム16との間にはモーメント荷重が強くかかることなるが、叙述のようにガイドレール2の配設施工の最終工程で、施工用ガイド部90である中央部ガイド部9aを取り外すと共にプラットフォーム16の縦枠部16aの上端部に新たな本使用ガイド部92となる上部ガイド部9cを取り付けたことにより、ガイドレール2の配設施工中のガイド部9を構成する下部ガイド部9bと中央部ガイド部9aとの距離に比べて、下部ガイド部9bと上部ガイド部9cとの距離を長く採るようにしているので、プラットフォーム16に籠体17を載設して成るエレベータ昇降体4が良好な荷重バランスのもとガイドレール2に取り付けられるようにされている。
【0044】
なお、ガイドレール2の配設施工の際に用いた作業台部18は、設備仕上施工としてプラットフォーム16の縦枠部16aから取外しても良いし、取外さずにそのまま残留させてもよい。前者の場合には取外した作業台部18を他のエレベータ装置1の施工現場で用いることができる利点があり、後者の場合にはエレベータ装置1の完成後のメンテナンス作業に残留した作業台部18を用いることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態の例のエレベータ装置におけるガイドレールの配設施工を説明する説明図であり、上方突出状態にあるプラットフォームの作業台部を用いて先に位置決め固定したレール材(最下端のレール材)の上側に新たなレール材(1つ上のレール材)を接続しようとする状態の斜視図である。
【図2】同上のガイドレールの配設施工を説明する説明図であり、新たなレール材向けのブラケットを建物躯体8に取り付ける状態の概略側面図である。
【図3】同上のガイドレールの配設施工を説明する説明図であり、新たなレール材を仮固定する状態の概略側面図である。
【図4】同上のガイドレールの配設施工を説明する説明図であり、新たなレール材を本固定する状態の概略側面図である。
【図5】同上のガイドレールの配設施工を説明する説明図であり、更に新たなレール材を固定しようとしてプラットフォームを上昇させる状態の概略側面図である。
【図6】同上のガイドレールの配設施工時のプラットフォームの斜視図である。
【図7】(a)は同上の施工用ガイド部の取り付けを説明する分解斜視図であり、(b)は施工用ガイド部の分解斜視図である。
【図8】(a)は図5の要部の側面図であり、(b)は図5の要部の斜視図である。
【図9】(a)は抜け止め部材のブラケットへの取り付け作業を順に説明する説明図であり、(b)は抜け止め部材のブラケットからの落下防止構造を説明する説明図である。
【図10】同上のエレベータ装置の完成状態の斜視図である。
【図11】従来技術の例のエレベータ装置の施工途中の概略側面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 エレベータ装置
2 ガイドレール
3 レール材
3a 最下端のレール材
3b 1つ上のレール材
33 位置決め固定されたレール材
34 新たなレール材
4 エレベータ籠
5 油圧シリンダー
5a ロッド
6 昇降路
7 ベース部
8 建物躯体
9 ガイド部
10 抜止め部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ装置におけるガイドレールの配設方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、エレベータ昇降路6に配設するガイドレール2が複数本のレール材3を上下に接続して形成されたエレベータ装置1において、図11のように、建物躯体8に固定したレール材3に昇降自在に保持させたプラットフォーム16に作業台部18を設け、作業台部18を利用してレール材3を建物躯体8への固定(本固定)を行わせるという施工方法が知られている(たとえば特許文献1参照)。この施工方法によると、レール材3の建物躯体8への固定(本固定)のためには、エレベータ昇降路6に構築する仮設の足場を用いることなく、プラットフォーム16を使用して作業を行うことができるから、施工性を良好にできる利点を有する。
【0003】
しかしながら、特許文献1のエレベータ装置1´は、エレベータ昇降路6上部の機械室の設置を回避するためにプラットフォーム16の昇降手段としてエレベータ昇降路6の脇に配置した油圧ジャッキ30を用いているが、油圧ジャッキ30の上下移動するプランジャー30aに架けた主ロープ31によってプラットフォーム16を吊り支持しており、プラットフォーム16には主ロープ31の支持点廻りの回転モーメントが発生し、この回転モーメントを支えるべくプラットフォーム16の上下端に設けたガイドシュー19をガイドレール2にそれぞれ摺接させる構造となっており、つまり、プラットフォーム16の昇降の際にはプラットフォーム16の上下端に設けたガイドシュー19を摺接させるガイドレール2が必要であり、そのためプラットフォーム16を昇降させて行うレール材3の建物躯体8への固定(本固定)施工の前段階において、レール材3を建物躯体8に仮固定した仮設のガイドレール2を形成しなければならず、したがって、ガイドレール2を仮設するために、エレベータ昇降路6に構築する仮設の足場を設ける必要がある。
【0004】
すなわち、特許文献1のエレベータ装置1´にあっては、レール材3の建物躯体8への固定(本固定)のための仮設の足場を設ける必要はなくしているが、結局のところ、レール材3の建物躯体8への仮固定のために仮設の足場は必要であり、その施工性は良好とは言い難いものであった。
【特許文献1】特開平6−1562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、仮設の足場を必要とせず、良好な施工性を確保したエレベータ装置におけるガイドレールの配設方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために請求項1に係るエレベータ装置1におけるガイドレールの配設方法にあっては、籠体17を載設させるプラットフォーム16における縦枠部16aの上端部に作業台部18を設けると共に、プラットフォーム16の縦枠部16aに設けたガイド部9を、エレベータ昇降路6の構造部に対して先に位置決め固定したレール材33に、上下に移動可能に取り付け、エレベータ駆動装置である油圧シリンダー5の作動によってプラットフォーム16を上昇させて作業台部18を上記先に位置決め固定したレール材33の上端位置よりも上方に位置する上方突出状態とし、この上方突出状態にある作業台部18を用いて、上記先に位置決め固定したレール材33の上側に新たなレール材34を接続すると共にエレベータ昇降路6の構造部に位置決め固定することを特徴とする。
【0007】
これによると、エレベータ駆動装置である油圧シリンダー5の作動によってプラットフォーム16を上昇させて作業台部18を上記先に位置決め固定したレール材33の上端位置よりも上方に位置する上方突出状態とし、この上方突出状態にある作業台部18を用いて、上記先に位置決め固定したレール材33の上側に新たなレール材34を接続すると共にエレベータ昇降路6の構造部に位置決め固定するようにしたので、従来のようなエレベータ昇降路6に対して構築する仮設の足場を必要とせず、エレベータ装置1にそのまま用いる油圧シリンダー5の作動により昇降するプラットフォーム16を利用して、複数のレール材3を下方から順に継ぎ足すようにしてガイドレール2をエレベータ昇降路6に配設することができるのであり、良好な施工性を確保することができる。
【0008】
また、請求項2に係るエレベータ装置1におけるガイドレールの配設方法にあっては、請求項1において、まず、最下端のレール材3aと油圧シリンダー5とをそれぞれエレベータ昇降路6の底部の構造部であるベース部7上に所定の位置関係で且つそれぞれ垂直となるように立設すると共に、これら最下端のレール材3aと油圧シリンダー5とをベース部7よりも上方位置でエレベータ昇降路6の側部の構造部に対して位置決め固定し、次いで、油圧シリンダー5のロッド5aの上部をプラットフォーム16に固定すると共に、最下端のレール材3aに対してプラットフォーム16に設けたガイド部9を上下に移動自在に取り付けることで、油圧シリンダー5の作動によってプラットフォーム16を最下端のレール材3aに沿ってその水平方向の位置や姿勢を保持させつつ昇降できる状態にし、次いで、油圧シリンダー5を作動させてロッド5aを伸張させることで、プラットフォーム16を最下端のレール材3aに沿って上昇させ、プラットフォーム16を作業台部18が最下端のレール材3aの上端位置よりも上方に位置される上方突出状態にすると共に、この上方突出状態のプラットフォーム16を、ガイド部9に対する最下端のレール材3aによるガイドと油圧シリンダー5による支持との協働によって水平方向の位置や姿勢が保持された状態にし、次いで、上方突出状態にあるプラットフォーム16の作業台部18を用いて、最下端のレール材3aに新たなレール材34を接続すると共にエレベータ昇降路6の側部の構造部に位置決め固定することを特徴とする。
【0009】
これによると、ガイドレール2の配設施工の際に、先に位置決め固定するレール材3となる最下端のレール材3aの配設施工は、エレベータ駆動装置である油圧シリンダー5の配設と共に、エレベータ昇降路6のベース部7を作業場として行うことができるのであり、従来のようなエレベータ昇降路6に対して構築する仮設の足場を必要とせず、良好な施工性を確保することができる。
【0010】
また、請求項3に係るエレベータ装置1におけるガイドレールの配設方法にあっては、請求項1または2において、上方突出状態にあるプラットフォーム16において、先に位置決め固定したレール材33の上端位置よりも下方部位にのみ、ガイド部9を設けたことを特徴とする。これによると、上方突出状態にしたプラットフォーム16にあっては、先に位置決め固定したレール材33の上端位置よりも上方位置にガイド部9が存在しないため、ガイド部9に邪魔されずに上記先に位置決め固定したレール材33の上側に対して新たなレール材34を近接させることができ、施工性を高めることができる。
【0011】
また、請求項4に係るエレベータ装置1におけるガイドレールの配設方法にあっては、請求項1乃至3のいずれか一項において、先に位置決め固定したレール材33、または該レール材3をエレベータ昇降路6の構造部に固定させるための部材に対して、上方突出状態にあるプラットフォーム16に設けたガイド部9の上方への抜けを防止するための抜止め部材10を着脱自在に取り付けることを特徴とする。これによると、プラットフォーム16を先に位置決め固定したレール材33に沿わせて上昇させた際に、抜止め部材10によってガイド部9が上記先に位置決め固定したレール材33から上方に抜けることが防止されるのであり、施工の安全性を確保できる。
【0012】
また、請求項5に係るエレベータ装置1におけるガイドレールの配設方法にあっては、請求項3において、上方突出状態にあるプラットフォーム16に設けたガイド部9が、レール材3を接続すると共にエレベータ昇降路6の構造部に位置決め固定するレール材3の配設施工時にのみ使用する施工用ガイド部90と、完成状態のエレベータ装置1においても使用される本使用ガイド部91とで構成され、上記レール材3の配設施工後に、まず、上記本使用ガイド部91との協働で、完成状態のエレベータ装置1におけるプラットフォーム16をガイドレール2に対して上下に移動可能に取り付けるための、新たな本使用ガイド部92をプラットフォーム16の縦枠部16aの上部に取り付け、その後、施工用ガイド部90をプラットフォーム16の縦枠部16aから取り外すことを特徴とする。
【0013】
これによると、レール材3の配設施工後に施工用ガイド部90を取り外して新たに本使用ガイド部91を取り付けるようにしたので、エレベータ装置1の完成状態でのガイド部9に対してレール材3の配設施工時のガイド部9の配置制限を課さないようにでき、つまり、完成状態のエレベータ装置1のガイド部9を、たとえば籠体を載置したプラットフォーム16の良好な荷重バランスを確保してのガイドレール2への取り付けに適した構造にできるのであり、ここで、施工用ガイド部90を取り外して新たに本使用ガイド部91を取り付ける施工にあって、新たな本使用ガイド部92の取り付けの後に施工用ガイド部90の取り外しを行う手順で作業するようにしたので、プラットフォーム16のガイドレール2へのガイドを途切れさせることなく上記作業を行うことができるから、高い安全性、良好な施工性を確保して施工作業を行うことができる。
【0014】
また、請求項6に係るエレベータ装置1におけるガイドレールの配設方法にあっては、請求項5において、上記施工用ガイド部90が、レール材3を両側から挟持するための一対の別体の摺接部材24をそれぞれプラットフォーム16の縦枠部16aに着脱自在に並べて取り付けることで、形成されて成ることを特徴とする。これによると、レール材3によって妨げられることなく、施工用ガイド部90のプラットフォーム16の縦枠部16aへの着脱を行うことができ、施工用ガイド部90のプラットフォーム16からの取り外し作業の良好な施工性を確保できる。
【0015】
また、請求項7に係るエレベータ装置1におけるガイドレールの配設方法にあっては、請求項4において、上記抜止め部材10が、レール材3をエレベータ昇降路6の構造部に固定させるためのブラケット13に対して取り付けるブラケット取付部40と、ブラケット取付部40から延設されて、上方突出状態にあるプラットフォーム16に設けたガイド部9に対してその上方移動を規制するために当接させるガイド当接部41とで成ることを特徴とする。これによると、レール材3のように上下に長い形状にする制限のないブラケット13に対して抜止め部材10を上下への引っ掛かりを備えるように固定でき、ガイド当接部41へのガイド部9の突き上げるような衝突に対する良好な耐性を備えるように強固な取り付け強度の確保を図ることができる。
【0016】
また、請求項8に係るエレベータ装置1におけるガイドレールの配設方法にあっては、請求項7において、抜止め部材10のブラケット取付部40が、上下の対向片43,44の基端同士を連結片45で連結して成る断面コ字状の取付主体部42を有すると共に、上側の対向片43に螺着したクランプ用ボルト46を有し、クランプ用ボルト46を下側の対向片44に向けて螺進させることで、下側の対向片44と連結片45とに沿わせるようにして取付主体部42内に位置させた断面L字状のブラケット13をクランプ用ボルト46の先端と下側の対向片44とで挟持可能にするように構成され、上記取付主体部42の上側の対向片43の先端から垂下片47を垂設し、この抜止め部材10が、取付主体部42内に位置したブラケット13を中心にしてブラケット取付部40の連結片45から延設されたガイド当接部41を下方に移動させるような傾斜姿勢になった場合に、取付主体部42の下側の対向片44の先端が断面L字状のブラケット13の下面に引っ掛かると共に、取付主体部42内に臨む垂下片47の内面が断面L字状のブラケット13の上端に引っ掛かるようにして成ることを特徴とする。
【0017】
これによると、抜止め部材10をブラケット13に取り付けまたは取り外しする際に、取付主体部42内にブラケット13を位置させた状態で抜止め部材10を持ち手から滑らせてしまっても、取付主体部42の下側の対向片44の先端が断面L字状のブラケット13の下面に引っ掛かると共に、取付主体部42内に臨む垂下片47の内面が断面L字状のブラケット13の上端に引っ掛かるようにされているので、抜止め部材10のブラケット13からの落下を防止できるのであって、良好な施工性を確保できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明にあっては、エレベータ昇降路に構築するような仮設の足場を必要とせず、良好な施工性を確保してガイドレールの配設施工を行うことができる、という利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0020】
本例のエレベータ装置1は、図10のように完成状態において、複数本のレール材3を上下に接続して成るガイドレール2に対してエレベータ昇降体4がガイド部9を介して上下に移動可能に取り付けられ、このエレベータ昇降体4に対して油圧シリンダー5に備えた上下に伸縮するロッド5aが固定されることで、ガイドレール2によるガイドと油圧シリンダー5による支持との協働によってエレベータ昇降体4が水平方向の位置や姿勢を保持された状態に維持されると共に、油圧シリンダー5のロッド5aの伸縮動作によってエレベータ昇降体4がガイドレール2に沿ってエレベータ昇降路6を昇降するといった構造が採用されている。なお、図中11はエレベータ昇降路6の所定高さ位置に設けた各階の乗降口であり、11aは1階乗降口であり、11bは2階乗降口である。また、完成状態においてエレベータ昇降体4は、プラットフォーム16に部屋状の籠体17を載設することで構成されている。プラットフォーム16は、籠体17を載置させる横枠部16bと、横枠部16bの一端に立設した縦枠部16aとで構成された、側面視で略L字状に形成された枠体である。縦枠部16aは、ガイドレール2に沿うように位置され、上記ガイド部9が設けられる。
【0021】
このエレベータ装置1の施工は、まずレール材3の配設及びその仕上げ作業で成るガイドレール2の配設施工を行い、次いでエレベータ昇降体4等の設備機器の形成及びその仕上げ作業で成る設備仕上施工を行うことで為されるのであり、具体的には以下のように行われる。
【0022】
レール材3の配設施工として、まず、最下端のレール材3aと油圧シリンダー5とをそれぞれエレベータ昇降路6の底部の構造部であるベース部7上に所定の位置関係で且つそれぞれ垂直となるように立設すると共に、これら最下端のレール材3aと油圧シリンダー5とをベース部7よりも上方位置でエレベータ昇降路6の側部の構造部に固定する。ここで、エレベータ昇降路6の側部の構造部としては、本例ではエレベータ昇降路6に臨む建物躯体8の梁や柱の構造材(以下、建物躯体8という)が構成しているが、たとえばエレベータ昇降路6を形作るエレベータ鉄塔の構造材でも構成できる。
【0023】
詳しくは、最下端のレール材3a及び油圧シリンダー5は、エレベータ昇降路6の一側部に沿わせるように立設される。最下端のレール材3aの下端及び油圧シリンダー5の下端はベース部7に設置したスタンド材12に一体に固定されている。また、最下端のレール材3aや油圧シリンダー5のシリンダー部5bはその長さ方向の適所で建物躯体8にブラケット13を介して固定されている。詳しくは、レール材3は、階高寸法と同程度の長さを有するT型鋼から構成され、ウェブ14同士を対向させるようにして一対配置されている。また、油圧シリンダー5は一対の並設したレール材3の中間部に配置されている。この油圧シリンダー5は、ベース部7に設置した油圧ユニット15に接続されることで、ロッド5aの上下への伸縮動作が行われるようにされている。すなわち、最下端のレール材3aや油圧シリンダー5は、ベース部7を作業場とした施工作業によって配設することができ、この施工の終了時点で設計通りの完成された状態になる(図10参照)。
【0024】
次に、この位置決め固定されたレール材33(最下端のレール材3a)に対してプラットフォーム16をガイド部9を介して上下に移動自在に取り付け、油圧シリンダー5のロッド5aの上端部をプラットフォーム16の縦枠部16aに固定することで、油圧シリンダー5の作動によってプラットフォーム16を位置決め固定されたレール材33(最下端のレール材3a)に沿ってその水平方向の位置や姿勢を保持させつつ昇降できる状態にする(図1参照)。ここで、この施工時(ガイドレール2の配設施工時)では図6のように籠体17は未載置であってプラットフォーム16だけが存在する状態となっていると共に、このプラットフォーム16の縦枠部16aの上端部には作業台部18が形成されている。この作業台部18は、縦枠部16aの上端にブレース23等を介して片持ち状に支持させて、横枠部16bの上方位置に位置されるように、形成される。なお、この作業台部18のプラットフォーム16への形成は、プラットフォーム16をガイド部9を介して最下端のレール材3aに取り付けた状態で行ってもよいし、プラットフォーム16をガイド部9を介して最下端のレール材3aに取り付ける前に行ってもよい。
【0025】
次に、油圧シリンダー5を作動させてロッド5aを伸張させることで、プラットフォーム16を最下端のレール材3aに沿って上昇させ、図1や図2のように、プラットフォーム16をその作業台部18が最下端のレール材3aの上端位置よりも上方に位置される上方突出状態にする。
【0026】
この上方突出状態のプラットフォーム16は、縦枠部16aに設けたガイド部9に対する最下端のレール材3aによるガイドと、プラットフォーム16にロッド5aを固定した油圧シリンダー5による支持との協働によって、水平方向の位置や姿勢が保持される状態にできるようにされている。
【0027】
ここで、ガイド部9は、プラットフォーム16が上方突出状態にあるときに、プラットフォーム16の縦枠部16aにおける上記位置決め固定されたレール材33(最下端のレール材3a)の上端位置よりも下方に位置する部分に設けられている。具体的に本例では、上記ガイド部9として、縦枠部16aの下端部に設けた下部ガイド部9bと、縦枠部16aの上下の中程部分に設けた中央部ガイド部9aとで構成されている。そして、中央部ガイド部9aは、レール材3の配設施工後に取り外されるものであって、つまりレール材3の配設施工時にのみ使用する施工用ガイド部90となっている。一方、下部ガイド部9bは、完成状態のエレベータ装置1においても使用される本使用ガイド部91となっている。
【0028】
なお、上記施工作業時には、位置決め固定されたレール材33(最下端のレール材3a)からの上方への抜けを防止する抜止め部材10を、最下端のレール材3aに着脱自在に取り付けておく(図2参照)。最下端のレール材3aの上方にレール材3が接続されていない状態では、上昇させたプラットフォーム16のガイド部9が最下端のレール材3aから上方へ抜ける恐れもあるが、上記抜止め部材10を設けたことで上記恐れを無くすることができるのであり、つまり施工の安全性が確保されている。
【0029】
次に、図1のように、上方突出状態にあるプラットフォーム16の作業台部18を用いて、上記先に位置決め固定したレール材33(最下端のレール材3a)の上側に新たなレール材34(1つ上のレール材3b)を接続すると共に、エレベータ昇降路6の構造部である建物躯体8に位置決め固定する。この作業はたとえば以下のように行う。
【0030】
まず図2のように、上方突出状態にあるプラットフォーム16の作業台部18に乗った作業者A(以下、第1作業者Aという)が、新たなレール材34を建物躯体8に固定させるためのブラケット13を、建物躯体8に固定させる。次に図3のように、上方突出状態にあるプラットフォーム16の横枠部16bに新たな作業者B(以下、第2作業者Bという)が乗り、新たなレール材34を第1,第2作業者A,Bの協働で最下端のレール材3aに上方から近接させ、第1作業者Aが新たなレール材34をブラケット13に仮固定させると共に、第2作業者Bが新たなレール材34の下端と最下端のレール材3aの上端とを仮接続させる。次に図4のように、下げ振りのような垂直出し用治具20を使用して新たなレール材34の垂直出し(芯出し)を行った上で、第1作業者Aが新たなレール材34をブラケット13に本固定(位置決め固定)させると共に、第2作業者Bが新たなレール材34の下端と最下端のレール材3aの上端とを本接続させる。これにより、最下端のレール材3aと一つ上のレール材3bとは一体に繋がった状態で建物躯体8に位置決め固定された状態になる。この位置決め固定した最下端のレール材3aと1つ上のレール材3bとの一体物は、後に接続する新たなレール材34に対する、先に位置決め固定したレール材33となる。この先に位置決め固定したレール材33(最下端のレール材3aと1つ上のレール材3bとの一体物)は、設計通りに仕上げられたレール材3の配設施工の完了範囲となる。
【0031】
ここで、上記先に位置決め固定されたレール材33に新たなレール材3を接続すると共にエレベータ昇降路6の側部の建物躯体8に位置決め固定させる作業にあっては、叙述のように上方突出状態のプラットフォーム16において先に位置決め固定されたレール材33の上端位置よりも下方位置にのみガイド部9が設けられ、つまり上方突出状態のプラットフォーム16において先に位置決め固定されたレール材33の上端位置よりも上方位置にはガイド部9が存在していないため、先に位置決め固定されたレール材33への新たなレール材34の近接作業の際にガイド部9が邪魔してしまうことがなく、施工性の向上が図られている。また、プラットフォーム16の横枠部16bと作業台部18との高さ寸法を建物の階高寸法と同程度に形成しておけば、第1作業者A及び第2作業者Bを各階の乗降口11からそれぞれ乗らせることができて便利である。また、横枠部16bと作業台部18との間に梯子を形成させて横枠部16bと作業台部18とを行き来可能にしてもよく、この場合には一人の作業者で施工を行わせることもできる。
【0032】
次に、図5のように、最下端のレール材3aから抜止め部材10を取り外し、最下端のレール材3aに繋げた1つ上のレール材3bからのガイド部9の抜けを防止する抜止め部材10を新たに取り付けて安全性を確保した上で、上記最下端のレール材3aに繋げた1つ上のレール材3bに沿わせてプラットフォーム16を上昇させ、この先に位置決め固定されたレール材33(最下端のレール材3aと1つ上のレール材3bとの一体物)に対してプラットフォーム16を上方突出状態にする。なお、上記新たに取り付ける抜止め部材10は、先に位置決め固定されたレール材33の上端部分を構成するレール材3(本時点では1つ上のレール材3b)を建物躯体8に固定させるブラケット13に対して取り付けている。そして、この上方突出状態にあるプラットフォーム16の作業台部18を用いて、最下端のレール材3aの2つ上のレール材3c(図11参照)となる新たなレール材34を、上記先に位置決め固定されたレール材33(最下端のレール材3aと1つ上のレール材3bとの一体物)に接続すると共に建物躯体8に位置決め固定する。この先に位置決め固定されたレール材33(最下端のレール材3aと1つ上のレール材3bとの一体物)と上記2つ上のレール材3cとの一体物は、その後に更に接続させる新たなレール材34に対する、いわゆる先に位置決め固定されたレール材33となる。
【0033】
このように、抜止め部材10の付け替えを行って先に位置決め固定したレール材33からのプラットフォーム16の上方への抜けを防止し、プラットフォーム16を油圧シリンダー5にて上昇させて先に位置決め固定したレール材33に対する上方突出状態にし、先に位置決め固定したレール材33の上側に新たなレール材34を接続すると共に建物躯体8に位置決め固定するという作業(図2〜5)を、適宜繰り返し行っていくことで、ガイドレール2を構成する全てレール材3が接続されると共に建物躯体8に位置決め固定された状態となって、ガイドレール2の全範囲におけるレール材3の配設施工が完了する。
【0034】
このように、エレベータ駆動装置である油圧シリンダー5の作動によってプラットフォーム16を上昇させて作業台部18が上記先に位置決め固定したレール材33の上端位置よりも上方に位置する上方突出状態とし、この上方突出状態にある作業台部18を用いて、上記先に位置決め固定したレール材33の上側に新たなレール材34を接続すると共にエレベータ昇降路6の構造部に位置決め固定するようにしたので、従来のようなエレベータ昇降路6に対して構築する仮設の足場を必要とせず、エレベータ装置1にそのまま用いる油圧シリンダー5の作動により昇降するプラットフォーム16を利用して、複数のレール材3を下方から順に継ぎ足すようにしてガイドレール2をエレベータ昇降路6に配設することができるのであり、良好な施工性が確保されている。
【0035】
詳しくは、上記プラットフォーム16の上方突出状態では、ガイド部9に対する先に位置決め固定したレール材33によるガイドと、ロッド5aを固定させた油圧シリンダー5による支持との協働によって、プラットフォーム16を水平方向の位置や姿勢が保持された状態にできたものであり、つまり、従来のようにプラットフォーム16の回転モーメントを押さえるために建物躯体8に仮固定したガイドレール2が必要となるものでないから、エレベータ昇降路6に構築する仮設の足場を必要としないで済むようにされている。
【0036】
また、ガイドレール2の配設施工の際に、先に位置決め固定するレール材3を必ず構成することとなる最下端のレール材3aのエレベータ昇降路6への配設は、エレベータ駆動装置である油圧シリンダー5の配設と共に、エレベータ昇降路6のベース部7を作業場として行うことができるのであり、この点でも従来のようなエレベータ昇降路6に対して構築する仮設の足場を必要とせず、良好な施工性の確保が為されている。
【0037】
なお、先に位置決め固定したレール材33からのプラットフォーム16の上方への抜けを防止するために設けられる抜止め部材10としては、先に位置決め固定したレール材33に対して着脱自在に取り付けるタイプ、先に位置決め固定したレール材33を建物躯体8に固定するブラケット13に対して着脱自在に取り付けるタイプが、適宜用いられている。後者の場合、ブラケット13は、本例でも左右に長い断面L字状の型枠材が用いられているように、上下に長い形状にされるレール材3とは違って形状に制限のない部材を用いることができるのであり、つまり、ブラケット13に対して抜止め部材10を上下への引っ掛かりを備えるように固定させたりできるから、後述のガイド当接部41へのガイド部9の上方に向けた衝突に対する良好な耐性を備えるように強固な取り付け強度の確保を図ることができる。
【0038】
具体的に、上記ブラケット13に取り付けるタイプの抜止め部材10にあっては、図8,9のように、レール材3をエレベータ昇降路6の構造部に固定させるためのブラケット13に対して取り付けるブラケット取付部40と、ブラケット取付部40から延設されて、上方突出状態にあるプラットフォーム16に設けたガイド部9に対してその上方移動を規制するために当接させるガイド当接部41とを有している。
【0039】
ブラケット取付部40は、上下の対向片43,44の基端同士を連結片45で連結して成る断面コ字状の取付主体部42を有すると共に、上側の対向片43に螺着したクランプ用ボルト46を有し、クランプ用ボルト46を下側の対向片44に向けて螺進させることで、下側の対向片44と連結片45とに沿わせるようにして取付主体部42内に位置させた断面L字状のブラケット13をクランプ用ボルト46の先端と下側の対向片44とで挟持可能にするクランプ構造が採用されている。また、上記取付主体部42の上側の対向片43の先端からは垂下片47が垂設されている。断面L字状のブラケット13へのブラケット取付部40の固定は、図9(a)のように、ブラケット取付部40を上方から被せるように近接させることで、ブラケット13を垂下片47と下側の対向片44との隙間からブラケット取付部40内に挿入し、クランプ用ボルト46を下側の対向片44に向けて螺進させることで、下側の対向片44と連結片45とに沿わせるようにして取付主体部42内に位置させた断面L字状のブラケット13をクランプ用ボルト46の先端と下側の対向片44とで挟持することで行われる。ガイド当接部41は、ブラケット取付部40の連結片45から側方へ延設されており、上方突出状態にあるプラットフォーム16に設けたガイド部9(中央部ガイド部9a)が当接する箇所には、当接の際の衝撃の吸収を目的として筒状または柱状のゴム材22が用いられている。
【0040】
ここで、上記抜止め部材10は、図9(b)のように、取付主体部42内に位置したブラケット13を中心にしてブラケット取付部40の連結片45から延設されたガイド当接部41を下方に移動させるような傾斜姿勢になった場合に、取付主体部42の下側の対向片44の先端が断面L字状のブラケット13の下面に引っ掛かると共に、取付主体部42内に臨む垂下片47の内面が断面L字状のブラケット13の上端に引っ掛かり得るように形成されている。したがって、抜止め部材10をブラケット13に取り付ける際に、取付主体部42内にブラケット13を位置させた状態で抜止め部材10を持ち手から滑らせてしまっても、取付主体部42の下側の対向片44の先端が断面L字状のブラケット13の下面に引っ掛かると共に、取付主体部42内に臨む垂下片47の内面が断面L字状のブラケット13の上端に引っ掛かり、抜止め部材10のブラケット13からの落下を防止できるのであって、良好な施工性の確保が図られている。
【0041】
上記レール材3の配設施工後には、その仕上げ施工として、レール材3の配設施工時にプラットフォーム16のガイド部9を構成していた施工用ガイド部90を取り外すと共に、新たにプラットフォーム16の縦枠部16aの上端部に本使用ガイド部92となる上部ガイド部9c(図10)を取り付ける、といった施工作業を行う。実際の作業手順としては、上部ガイド部9cをプラットフォーム16の縦枠部16aの上端部に取り付けた後に、プラットフォーム16の縦枠部16aから施工用ガイド部90が取り外される。この作業手順によると、作業中にガイド部9によるプラットフォーム16のガイドレール2へのガイドの途切れを防止でき、高い安全性、良好な施工性を確保して上記施工作業を行うことができる利点がある。
【0042】
ここで、施工用ガイド部90は、図7のように、レール材3を両側から挟持するための一対の別体の摺接部材24をそれぞれプラットフォーム16の縦枠部16aに着脱自在に並べて取り付けることで形成された、いわゆるガイドシューである。詳しくは、摺接部材24は、縦枠部16aに沿わせる固定片部24aと、固定片部24aから突出する突出片部24bとを有しており、摺接部材24同士を並べて配置した際に、固定片部24aと両突出片部24bとで囲まれて成るレール材挿入溝部25が形成されるようになっている。レール材挿入溝部25にはレール材3のウェブ14が上下に摺動可能に挿入されるのであり、レール材挿入溝部25の両溝側面が上記挿入されたウェブ14を挟持するような位置関係になるものであり、挿入したレール材3のウェブ14が摺接するレール材挿入溝部25の溝内面には、樹脂製の滑面部材26が交換可能に取り付けられている。なお、摺接部材24同士は、固定片部24aの隣接端同士の突合せで並設されてもよいが、固定片部24aの隣接端同士を嵌合又は実結合等による連結構造によって一体化した状態で並設されてもよい。このように施工用ガイド部90を、レール材3を両側から挟持するための一対の別体の摺接部材24をそれぞれプラットフォーム16の縦枠部16aに着脱自在に並べて取り付けることで形成させたことで、摺接部材24同士を離反させるようにプラットフォーム16の縦枠部16aから取外すことで挟持するレール材3により妨げられることなく、施工用ガイド部90をプラットフォーム16の縦枠部16aから取り外すことができる。つまり、上記施工用ガイド部90の取り外し作業における良好な施工性が確保されている。
【0043】
上述のガイドレール2の配設施工の後には、叙述のように設備仕上施工を行うことでエレベータ装置1を完成させる。具体的に、設備仕上施工として、プラットフォーム16の横枠部16bの上への籠体17の載設作業がある。プラットフォーム16に重量物である籠体17を載設した場合には、ガイドレール2とプラットフォーム16との間にはモーメント荷重が強くかかることなるが、叙述のようにガイドレール2の配設施工の最終工程で、施工用ガイド部90である中央部ガイド部9aを取り外すと共にプラットフォーム16の縦枠部16aの上端部に新たな本使用ガイド部92となる上部ガイド部9cを取り付けたことにより、ガイドレール2の配設施工中のガイド部9を構成する下部ガイド部9bと中央部ガイド部9aとの距離に比べて、下部ガイド部9bと上部ガイド部9cとの距離を長く採るようにしているので、プラットフォーム16に籠体17を載設して成るエレベータ昇降体4が良好な荷重バランスのもとガイドレール2に取り付けられるようにされている。
【0044】
なお、ガイドレール2の配設施工の際に用いた作業台部18は、設備仕上施工としてプラットフォーム16の縦枠部16aから取外しても良いし、取外さずにそのまま残留させてもよい。前者の場合には取外した作業台部18を他のエレベータ装置1の施工現場で用いることができる利点があり、後者の場合にはエレベータ装置1の完成後のメンテナンス作業に残留した作業台部18を用いることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態の例のエレベータ装置におけるガイドレールの配設施工を説明する説明図であり、上方突出状態にあるプラットフォームの作業台部を用いて先に位置決め固定したレール材(最下端のレール材)の上側に新たなレール材(1つ上のレール材)を接続しようとする状態の斜視図である。
【図2】同上のガイドレールの配設施工を説明する説明図であり、新たなレール材向けのブラケットを建物躯体8に取り付ける状態の概略側面図である。
【図3】同上のガイドレールの配設施工を説明する説明図であり、新たなレール材を仮固定する状態の概略側面図である。
【図4】同上のガイドレールの配設施工を説明する説明図であり、新たなレール材を本固定する状態の概略側面図である。
【図5】同上のガイドレールの配設施工を説明する説明図であり、更に新たなレール材を固定しようとしてプラットフォームを上昇させる状態の概略側面図である。
【図6】同上のガイドレールの配設施工時のプラットフォームの斜視図である。
【図7】(a)は同上の施工用ガイド部の取り付けを説明する分解斜視図であり、(b)は施工用ガイド部の分解斜視図である。
【図8】(a)は図5の要部の側面図であり、(b)は図5の要部の斜視図である。
【図9】(a)は抜け止め部材のブラケットへの取り付け作業を順に説明する説明図であり、(b)は抜け止め部材のブラケットからの落下防止構造を説明する説明図である。
【図10】同上のエレベータ装置の完成状態の斜視図である。
【図11】従来技術の例のエレベータ装置の施工途中の概略側面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 エレベータ装置
2 ガイドレール
3 レール材
3a 最下端のレール材
3b 1つ上のレール材
33 位置決め固定されたレール材
34 新たなレール材
4 エレベータ籠
5 油圧シリンダー
5a ロッド
6 昇降路
7 ベース部
8 建物躯体
9 ガイド部
10 抜止め部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
籠体を載設させるプラットフォームにおける縦枠の上端部に作業台部を設けると共に、プラットフォームの縦枠に設けたガイド部を、エレベータ昇降路の構造部に対して先に位置決め固定したレール材に、上下に移動可能に取り付け、エレベータ駆動装置である油圧シリンダーの作動によってプラットフォームを上昇させて作業台部を上記先に位置決め固定したレール材の上端位置よりも上方に位置する上方突出状態とし、この上方突出状態にある作業台部を用いて、上記先に位置決め固定したレール材の上側に新たなレール材を接続すると共にエレベータ昇降路の構造部に位置決め固定することを特徴とするエレベータ装置におけるガイドレールの配設方法。
【請求項2】
まず、最下端のレール材と油圧シリンダーとをそれぞれエレベータ昇降路の底部の構造部であるベース部上に所定の位置関係で且つそれぞれ垂直となるように立設すると共に、これら最下端のレール材と油圧シリンダーとをベース部よりも上方位置でエレベータ昇降路の側部の構造部に対して位置決め固定し、
次いで、油圧シリンダーのロッドの上部をプラットフォームに固定すると共に、最下端のレール材に対してプラットフォームに設けたガイド部を上下に移動自在に取り付けることで、油圧シリンダーの作動によってプラットフォームを最下端のレール材に沿ってその水平方向の位置や姿勢を保持させつつ昇降できる状態にし、
次いで、油圧シリンダーを作動させてロッドを伸張させることで、プラットフォームを最下端のレール材に沿って上昇させ、プラットフォームを作業台部が最下端のレール材の上端位置よりも上方に位置される上方突出状態にすると共に、この上方突出状態のプラットフォームを、ガイド部に対する最下端のレール材によるガイドと油圧シリンダーによる支持との協働によって水平方向の位置や姿勢が保持された状態にし、
次いで、上方突出状態にあるプラットフォームの作業台部を用いて、最下端のレール材に新たなレール材を接続すると共にエレベータ昇降路の側部の構造部に位置決め固定する
ことを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置におけるガイドレールの配設方法。
【請求項3】
上方突出状態にあるプラットフォームにおいて、先に位置決め固定したレール材の上端位置よりも下方部位にのみ、ガイド部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のエレベータ装置におけるガイドレールの配設方法。
【請求項4】
先に位置決め固定したレール材、または該レール材をエレベータ昇降路の構造部に固定させるための部材に対して、上方突出状態にあるプラットフォームに設けたガイド部の上方への抜けを防止するための抜止め部材を着脱自在に取り付けることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエレベータ装置におけるガイドレールの配設方法。
【請求項5】
上方突出状態にあるプラットフォームに設けたガイド部が、レール材を接続すると共にエレベータ昇降路の構造部に位置決め固定するレール材の配設施工時にのみ使用する施工用ガイド部と、完成状態のエレベータ装置においても使用される本使用ガイド部とで構成され、上記レール材の配設施工後に、まず、上記本使用ガイド部との協働で、完成状態のエレベータ装置におけるプラットフォームをガイドレールに対して上下に移動可能に取り付けるための、新たな本使用ガイド部をプラットフォームの縦枠の上部に取り付け、その後、施工用ガイド部をプラットフォームの縦枠から取り外すことを特徴とする請求項3に記載のエレベータ装置におけるガイドレールの配設方法。
【請求項6】
上記施工用ガイド部が、レール材を両側から挟持するための一対の別体の摺接部材をそれぞれプラットフォームの縦枠に着脱自在に並べて取り付けることで、形成されて成ることを特徴とする請求項5に記載のエレベータ装置におけるガイドレールの配設方法。
【請求項7】
上記抜止め部材が、レール材をエレベータ昇降路の構造部に固定させるためのブラケットに対して取り付けるブラケット取付部と、ブラケット取付部から延設されて、上方突出状態にあるプラットフォームに設けたガイド部に対してその上方移動を規制するために当接させるガイド当接部とで成ることを特徴とする請求項4に記載のエレベータ装置におけるガイドレールの配設方法。
【請求項8】
抜止め部材のブラケット取付部が、上下の対向片の基端同士を連結片で連結して成る断面コ字状の取付主体部を有すると共に、上側の対向片に螺着したクランプ用ボルトを有し、クランプ用ボルトを下側の対向片に向けて螺進させることで、下側の対向片と連結片とに沿わせるようにして取付主体部内に位置させた断面L字状のブラケットをクランプ用ボルトの先端と下側の対向片とで挟持可能にするように構成され、上記取付主体部の上側の対向片の先端から垂下片を垂設し、この抜止め部材が、取付主体部内に位置したブラケットを中心にしてブラケット取付部の連結片から延設されたガイド当接部を下方に移動させるような傾斜姿勢になった場合に、取付主体部の下側の対向片の先端が断面L字状のブラケットの下面に引っ掛かると共に、取付主体部内に臨む垂下片の内面が断面L字状のブラケットの上端に引っ掛かるようにして成ることを特徴とする請求項7に記載のエレベータ装置におけるガイドレールの配設方法。
【請求項1】
籠体を載設させるプラットフォームにおける縦枠の上端部に作業台部を設けると共に、プラットフォームの縦枠に設けたガイド部を、エレベータ昇降路の構造部に対して先に位置決め固定したレール材に、上下に移動可能に取り付け、エレベータ駆動装置である油圧シリンダーの作動によってプラットフォームを上昇させて作業台部を上記先に位置決め固定したレール材の上端位置よりも上方に位置する上方突出状態とし、この上方突出状態にある作業台部を用いて、上記先に位置決め固定したレール材の上側に新たなレール材を接続すると共にエレベータ昇降路の構造部に位置決め固定することを特徴とするエレベータ装置におけるガイドレールの配設方法。
【請求項2】
まず、最下端のレール材と油圧シリンダーとをそれぞれエレベータ昇降路の底部の構造部であるベース部上に所定の位置関係で且つそれぞれ垂直となるように立設すると共に、これら最下端のレール材と油圧シリンダーとをベース部よりも上方位置でエレベータ昇降路の側部の構造部に対して位置決め固定し、
次いで、油圧シリンダーのロッドの上部をプラットフォームに固定すると共に、最下端のレール材に対してプラットフォームに設けたガイド部を上下に移動自在に取り付けることで、油圧シリンダーの作動によってプラットフォームを最下端のレール材に沿ってその水平方向の位置や姿勢を保持させつつ昇降できる状態にし、
次いで、油圧シリンダーを作動させてロッドを伸張させることで、プラットフォームを最下端のレール材に沿って上昇させ、プラットフォームを作業台部が最下端のレール材の上端位置よりも上方に位置される上方突出状態にすると共に、この上方突出状態のプラットフォームを、ガイド部に対する最下端のレール材によるガイドと油圧シリンダーによる支持との協働によって水平方向の位置や姿勢が保持された状態にし、
次いで、上方突出状態にあるプラットフォームの作業台部を用いて、最下端のレール材に新たなレール材を接続すると共にエレベータ昇降路の側部の構造部に位置決め固定する
ことを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置におけるガイドレールの配設方法。
【請求項3】
上方突出状態にあるプラットフォームにおいて、先に位置決め固定したレール材の上端位置よりも下方部位にのみ、ガイド部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のエレベータ装置におけるガイドレールの配設方法。
【請求項4】
先に位置決め固定したレール材、または該レール材をエレベータ昇降路の構造部に固定させるための部材に対して、上方突出状態にあるプラットフォームに設けたガイド部の上方への抜けを防止するための抜止め部材を着脱自在に取り付けることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエレベータ装置におけるガイドレールの配設方法。
【請求項5】
上方突出状態にあるプラットフォームに設けたガイド部が、レール材を接続すると共にエレベータ昇降路の構造部に位置決め固定するレール材の配設施工時にのみ使用する施工用ガイド部と、完成状態のエレベータ装置においても使用される本使用ガイド部とで構成され、上記レール材の配設施工後に、まず、上記本使用ガイド部との協働で、完成状態のエレベータ装置におけるプラットフォームをガイドレールに対して上下に移動可能に取り付けるための、新たな本使用ガイド部をプラットフォームの縦枠の上部に取り付け、その後、施工用ガイド部をプラットフォームの縦枠から取り外すことを特徴とする請求項3に記載のエレベータ装置におけるガイドレールの配設方法。
【請求項6】
上記施工用ガイド部が、レール材を両側から挟持するための一対の別体の摺接部材をそれぞれプラットフォームの縦枠に着脱自在に並べて取り付けることで、形成されて成ることを特徴とする請求項5に記載のエレベータ装置におけるガイドレールの配設方法。
【請求項7】
上記抜止め部材が、レール材をエレベータ昇降路の構造部に固定させるためのブラケットに対して取り付けるブラケット取付部と、ブラケット取付部から延設されて、上方突出状態にあるプラットフォームに設けたガイド部に対してその上方移動を規制するために当接させるガイド当接部とで成ることを特徴とする請求項4に記載のエレベータ装置におけるガイドレールの配設方法。
【請求項8】
抜止め部材のブラケット取付部が、上下の対向片の基端同士を連結片で連結して成る断面コ字状の取付主体部を有すると共に、上側の対向片に螺着したクランプ用ボルトを有し、クランプ用ボルトを下側の対向片に向けて螺進させることで、下側の対向片と連結片とに沿わせるようにして取付主体部内に位置させた断面L字状のブラケットをクランプ用ボルトの先端と下側の対向片とで挟持可能にするように構成され、上記取付主体部の上側の対向片の先端から垂下片を垂設し、この抜止め部材が、取付主体部内に位置したブラケットを中心にしてブラケット取付部の連結片から延設されたガイド当接部を下方に移動させるような傾斜姿勢になった場合に、取付主体部の下側の対向片の先端が断面L字状のブラケットの下面に引っ掛かると共に、取付主体部内に臨む垂下片の内面が断面L字状のブラケットの上端に引っ掛かるようにして成ることを特徴とする請求項7に記載のエレベータ装置におけるガイドレールの配設方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−179469(P2008−179469A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17107(P2007−17107)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(505356468)松下ホームエレベーター株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(505356468)松下ホームエレベーター株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
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