説明

エレベータ通報装置およびエレベータ装置

【課題】集合住宅などにおいて、居室やエレベータ乗場など、エレベータかご外で住人に異常事態が発生した場合に、住人をそのまま放置させないように、外部に通報を行えるようにすることを目的とする。
【解決手段】エレベータ通報装置200は、エレベータかごの移動の要求を示すエレベータ呼びが発生したか否かに基づいて通報を行う。乗場階人検出部220は、建物の各階に設置されると共に設置された階にいる人を検出する人検出センサ313により人の検出がされた検出階を特定する。エレベータ呼び検出部230は、各階で発生するエレベータ呼びをエレベータ昇降制御装置110から検出する。時間検出部250は、検出階が特定されてから所定の時間の経過を検出する。通報制御部210は、所定の時間の経過が検出されるまでに検出階のエレベータ呼びが検出されなかった場合、検出階の確認を要求する通報を所定の通報先に発信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、住人の安否確認や不法侵入について通報を行うエレベータ通報装置およびエレベータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータ制御装置においては、かご内で病人や老人が倒れるなどの緊急事態が発生した場合に、この緊急事態を監視センタへ通報する装置がある(特許文献1)。
また、エレベータの運行状況を監視し、必要に応じて管理者あるいはビルテナントに状況を通報する装置がある(特許文献2)。
【特許文献1】実開平5−1769号公報
【特許文献2】特開2006−56677号公報
【特許文献3】特開平8−119547号公報
【特許文献4】特開2001−139248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のエレベータ制御装置は、かご内で住人に異常が発生した場合のみ通報を行うものである。また、エレベータの運行状況を通報するものもあったが、エレベータの運行状況を報知するだけで、住人の異常を通報するものではなかった。
【0004】
本発明は、例えば、集合住宅などにおいて、居室やエレベータ乗場など、エレベータかご外で住人に異常事態が発生した場合に、住人をそのまま放置させないように、外部に通報を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のエレベータ通報装置は、エレベータかごの移動の要求を示すエレベータ呼びが発生したか否かに基づいて通報を行うエレベータ通報装置であり、建物の各階に設置されると共に設置された階にいる人を検出する人検出センサにより人の検出がされた検出階を特定する検出階特定部と、前記検出階特定部により前記検出階が特定されてから所定の時間内に前記検出階でエレベータ呼びが発生しなかった場合、所定の通報先に通報を発信する通報部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、例えば、集合住宅などにおいて、居室やエレベータ乗場など、エレベータかご外で住人に異常事態が発生した場合に、住人をそのまま放置させないように、外部に通報を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
実施の形態1.
図1は、各実施の形態におけるエレベータ通報システム101のイメージ図である。
実施の形態1におけるエレベータ通報システム101の概要について、図1に基づいて以下に説明する。
【0008】
実施の形態1におけるエレベータ通報システム101は、人を検出する人検出センサ313が、各階において、エレベータ300のドア部分、エレベータかご内、エレベータ乗場(廊下)、各居室315のドア部分、各居室315内などに設置されている。人検出センサ313は、設置されている階(以下、乗場階という)に人がいるか否か(乗場階に人が来たか否か)を検出し、人を検出したことを示す人検出信号を後述するエレベータ通報装置200(図示省略)に出力する。例えば、人検出センサ313には、赤外線により人を感知する赤外線センサ、撮像した画像に映っている人を画像処理により検出する画像センサ(カメラ)、居室315への人の入退室をドアの開錠および閉錠により検出するドアセンサ、居室315内のインターホンや電化製品に対する人の操作を検出するホームオートメーション端末装置314などが用いられる。
人検出センサ313によりある乗場階で人が検出された後、一定時間(例えば、1週間)が経過してもエレベータ300の利用が無い場合、病気や事故などにより住人311または来訪者(以下、住人311という)が居室315やエレベータ乗場で倒れているような異常事態の発生が考えられる。
このような場合に、後述するエレベータ通報装置200(図示省略)は、異常事態の発生を所定の通報先312(例えば、管理人、家族、知人)に通報する。
【0009】
図2は、実施の形態1におけるエレベータ制御盤100の機能構成図である。
実施の形態1におけるエレベータ制御盤100について、図2に基づいて以下に説明する。
【0010】
エレベータ制御盤100は、エレベータ300の昇降制御やエレベータ呼びの発生の有無に基づく通報制御など、エレベータ装置の各種制御を実行する。
例えば、エレベータ制御盤100は、エレベータ昇降制御装置110およびエレベータ通報装置200を備える。
【0011】
エレベータ昇降制御装置110は、乗場呼びパネル301、行先呼びパネルやホームオートメーション端末装置314(居室呼び装置)から発生したエレベータ呼びに応じて、エレベータかごを昇降させると共に、エレベータ呼びが発生した乗場階または居室を示す呼び発生通知をエレベータ通報装置200に出力する。
乗場呼びパネル301は各エレベータ乗場に設置され、行先呼びパネルは各エレベータかご内に設置され、ホームオートメーション端末装置314は各居室315内に設置される。但し、実施の形態1におけるエレベータ通報システム101ではホームオートメーション端末装置314は不要である。
【0012】
乗場呼びパネル301およびホームオートメーション端末装置314は、設置されている乗場階にエレベータかごを呼び寄せるためのボタンとして、上の階への移動用の上ボタンと下の階への移動用の下ボタンとを有する。上ボタンまたは下ボタンが押下された乗場呼びパネル301およびホームオートメーション端末装置314は、エレベータかごの乗場階への移動を要求する乗場呼び(エレベータ呼びの一例)をエレベータ昇降制御装置110に出力する。
行先呼びパネルは、各乗場階への移動用のボタンやエレベータドアの開閉用のボタンを有する。移動用のボタンが押下された場合、行先呼びパネルは押下されたボタンに対応する乗場階へのエレベータかごの移動を要求する行先呼び(エレベータ呼びの一例)をエレベータ昇降制御装置110に出力する。
【0013】
エレベータ通報装置200は、以下のものを備えて、エレベータ呼びの発生の有無に基づく通報制御を行う。
【0014】
乗場階人検出部220(検出階特定部の一例)は、各乗場階に設置されている人検出センサ313から出力された人検出信号を入力し、入力した人検出信号に基づいて人の検出がされた乗場階(以下、検出階という)を特定する。
そして、乗場階人検出部220は、後述する乗場階属性データ340に対して、人が検出された「検出日時」を設定する。
【0015】
エレベータ呼び検出部230は、エレベータ昇降制御装置110から出力された呼び発生通知に基づいて、エレベータ呼びを検出し、エレベータ呼びが発生した乗場階を特定する。
そして、エレベータ呼び検出部230は、エレベータ呼びを検出した際に、後述する乗場階属性データ340に対して、「検出日時」を初期化する。
【0016】
時間検出部250は、乗場階人検出部220により検出階の特定がされてから所定の時間の経過を検出する。
【0017】
通報制御部210(通報部)は、時間検出部250により所定の時間の経過が検出されるまでにエレベータ呼び検出部230により検出階のエレベータ呼びが検出されなかった場合、検出階の確認を要求する通報を所定の通報先312に発信する。
【0018】
図3は、実施の形態1における通報条件設定データ330および乗場階属性データ340を示す図である。
通報条件設定データ記憶部290は、図3に示すような通報条件設定データ330および乗場階属性データ340を記憶する。
【0019】
通報条件設定データ330には、エレベータ通報機能の通報条件が予め設定されている。
「ID」および「パスワード」はそれぞれ、管理者の識別番号およびパスワードを示す。
「エレベータ通報機能」は、エレベータ通報機能が有効であるか(ON)または無効であるか(OFF)を示す。
「通報条件」は、エレベータ呼びが発生しない場合(該乗場階へのエレベータ応答なし時)と、エレベータ呼びが発生した場合(該乗場階へのエレベータ応答あり時)とのいずれの場合を通報の対象とするかを示す。実施の形態1では、「通報条件」に“該乗場階へのエレベータ応答なし時”が設定されている場合について説明する。
「通報までの期間」(所定の時間)は、「通報条件」が“該乗場階へのエレベータ応答なし時”を示す場合に設定され、通報要否の判定用の期間を示す。例えば、「通報までの期間」には、“1週間”と設定される。
「乗場監視モード」は、「通報条件」が“該乗場階へのエレベータ応答あり時”を示す場合に設定される。「乗場監視モード」については実施の形態2で説明する。
「通報時間帯」は、「通報条件」が“該乗場階へのエレベータ応答あり時”を示す場合に設定される。「通報時間帯」については実施の形態2で説明する。
【0020】
乗場階属性データ340には、「階床」毎に、「用途」、「居住者数」および「検出日時」が設定されている。
「用途」は、当該階が“住居階”であるか又はそれ以外の階(駐車場階、玄関階、屋上など)であるかを示す。
「居住者数」は、当該階に住んでいる住人311がいるか否かを人数により示す。
「検出日時」は、乗場階人検出部220により設定され、当該階において人検出センサ313により人が検出された日時を示す。また、「検出日時」は、当該階からの乗場呼びの発生時に、エレベータ呼び検出部230により初期化される。初期化されるまでに複数回、人が検出された場合、「検出日時」は、更新されず、最初の検出日時を示す。
【0021】
図2において、乗場監視モード選択部240は、通報条件設定データ330に設定されている「乗場監視モード」の判定を行う。
通報条件設定データ入力部270は、通報条件設定データ330に対する利用者(例えば、管理者)の指定値を入力する。
通報条件設定データ変更部260は、通報条件設定データ入力部270により入力された指定値に基づいて、通報条件設定データ330の設定値を変更する。
乗場監視モード選択部240、通報条件設定データ入力部270および通報条件設定データ変更部260の詳細については、他の実施の形態で説明する。
【0022】
エレベータ制御盤100は、CPUおよびメモリ(記憶機器)を備える。
エレベータ昇降制御装置110およびエレベータ通報装置200の各部は、それぞれの機能に用いる各種データ(例えば、通報条件設定データ330、乗場階属性データ340)をメモリに記憶し、それぞれの機能をCPUを用いて実行する。
【0023】
図4は、実施の形態1におけるエレベータ通報方法を示すフローチャートである。
実施の形態1におけるエレベータ通報方法について、図4に基づいて以下に説明する。
エレベータ通報装置200の各部は、通報条件設定データ330および乗場階属性データ340の設定値に基づいて、以下の各処理を実行する。
【0024】
<S110>
まず、通報制御部210は、「エレベータ通報機能」が“ON(有効)”であるか判定する。
S110において“NO”の場合、以降の処理(S120〜S160)は行われず、エレベータ通報装置200の処理は終了する。
【0025】
<S120>
S110において“YES”の場合、通報制御部210は、全階床に対して以降の処理(S130〜S160)が実行されたか判定する。
S120において“YES”の場合、エレベータ通報装置200は処理を終了する。
【0026】
<S130>
S120において“NO”の場合、通報制御部210は、最下床(地下1階)から昇順に未処理の階床を選択し、選択した「階床」の「用途」が“住居階”であるかを判定する。
以下、選択された階床を「処理階床」という。
S130において“NO”の場合、S120に戻り、残りの未処理の階床に対して処理が実行される。
【0027】
<S140>
S130において“YES”の場合、通報制御部210は、処理階床で人が検出されたか判定する。このとき、通報制御部210は、「検出日時」が設定されている場合に、処理階床で人が検出されたと判定する。
S140において“NO”の場合、S120に戻り、残りの未処理の階床に対して処理が実行される。
【0028】
<S150>
S140において“YES”の場合、時間検出部250は、「検出日時」から「通報までの期間」(例えば、1週間)が経過したかを判定する。時間検出部250は、タイマーとして動作し、「通報までの期間」の経過を検出してもよい。
S150において“NO”の場合、S120に戻り、残りの未処理の階床に対して処理が実行される。
【0029】
<S160>
S150において“YES”の場合、通報制御部210は、処理階床で検出された住人311の安否確認を要求する通報を所定の通報先312(例えば、管理人)に発信する。
例えば、通報制御部210は、管理人室の端末装置に通報信号を送信して処理階床に対する通報を知らせるランプを点灯させる。
例えば、通報制御部210は、管理人室の端末装置に処理階床に対する所定の通報メッセージを送信して通報メッセージを表示させる。
【0030】
S160の終了後、S120に戻り、残りの未処理の階床に対して上記と同様に処理が実行される。
【0031】
S110〜S160は、定期的に(例えば、毎日)実行される。
【0032】
実施の形態1では、所定の人又は場所(通報先)に異常の発生を通報するエレベータ通報装置200について説明した。
エレベータ通報装置200は、乗場階人検出部220、時間検出部250および通報制御部210を備える。
乗場階人検出部220は各乗場階に人がいることを検出し、時間検出部250は所定時間を検出し、通報制御部210は乗場階人検出部220が人を検出してから時間検出部250が所定時間を検出するまで乗場階にエレベータが応答しない場合に異常を通報する。
【0033】
現代の高齢化社会により老人の一人暮らしが増えている中、集合住宅などにおいて、住居内などのエレベータ外で住人に異常事態が発生した場合に、住人がそのまま放置されてしまうことがないようにすることが求められる。
エレベータ通報装置200は、エレベータ外で住人に異常事態が発生したことを検出し、外部に異常を知らせることにより、住人がそのまま放置されてしまうことを防ぐことができる。
【0034】
実施の形態2.
実施の形態2では、特定の時間帯にエレベータが使用された場合に、不法侵入が生じたことを通報する形態について説明する。
以下、実施の形態1で説明しなかった事項および実施の形態1と異なる事項について主に説明し、説明を省略した事項については実施の形態1と同様であるものとする。
【0035】
図3において、「通報条件」は、“該乗場階へのエレベータ応答あり時”を示す。
また、「乗場監視モード」は、不法侵入を監視するか(ON)または不法侵入を監視しないか(NO)を示す。
また、「通報時間帯」(所定の時間)は、不法侵入を監視する時間帯(24時間または特定の時間帯)を示す。例えば、「通報時間帯」には、不使用の建物に対して“24時間”と設定され、住人がいる一般の建物に対して“2時〜4時”などの深夜の時間帯が設定される。
【0036】
図5は、実施の形態2におけるエレベータ通報方法を示すフローチャートである。
実施の形態2におけるエレベータ通報方法について、図5に基づいて以下に説明する。
エレベータ通報装置200の各部は、通報条件設定データ330および乗場階属性データ340の設定値に基づいて、以下の各処理を実行する。
【0037】
<S210>
まず、通報制御部210は、「エレベータ通報機能」が“ON(有効)”であるか判定する。
S210において“NO”の場合、以降の処理(S220〜S260)は行われず、エレベータ通報装置200の処理は終了する。
【0038】
<S220>
S210において“YES”の場合、通報制御部210は、「通報条件」が“該乗場階へのエレベータ応答なし時”であるか判定する。
S220において“YES”の場合、S290に進み、実施の形態1で説明したS120からS160の処理(図4(A))が実行される。
【0039】
<S230>
S220において“NO”の場合、乗場監視モード選択部240は、「乗場監視モード」が“ON(不法侵入を監視する)”であるかを判定する。
S230において“NO”の場合、エレベータ通報装置200の処理は終了する。
【0040】
<S240>
S230において“YES”の場合、時間検出部250は、現在の時刻が「通報時間帯」(例えば、深夜2時〜4時)であるか判定する。
S240において“NO”の場合、エレベータ通報装置200の処理は終了する。
【0041】
<S250>
S240において“YES”の場合、通報制御部210は、エレベータ応答があったか判定する。例えば、通報制御部210は、いずれかの階床の「検出日時」が設定されている場合に、エレベータ応答があったと判定する。また例えば、通報制御部210は、エレベータかごが昇降中である場合に、エレベータ応答があったと判定する。このとき、エレベータ呼び検出部230は、エレベータ昇降制御装置110と通信を行い、エレベータかごが昇降中であるか否かを検出し、検出結果を通報制御部210に出力する。
S250において“NO”の場合、エレベータ通報装置200の処理は終了する。
【0042】
<S260>
S250において“YES”の場合、通報制御部210は、建物内への不法侵入が生じたことを知らせる通報を所定の通報先312(例えば、管理人)に発信する。
【0043】
S210〜S260は、定期的(例えば、数分間隔)に実行される。
【0044】
実施の形態2では、所定の人又は場所(通報先)に異常の発生を通報するエレベータ通報装置200について説明した。
エレベータ通報装置200は、乗場監視モード選択部240、時間検出部250および通報制御部210を備える。
乗場監視モード選択部240は各乗場の状態を監視するか否かを示す乗場監視モードを判定し、時間検出部250は所定時間帯を検出し、通報制御部210は乗場監視モード(ON)が選択されていると共に所定時間帯に乗場にエレベータが応答した場合に異常を通報する。
【0045】
実施の形態2では、夜間などエレベータがあまり使用されない時間帯や未使用のビルにおいて各乗場階でエレベータが応答した場合に外部への通報が行われるため、不法侵入者の発見が容易になる。
【0046】
実施の形態3.
実施の形態3では、住人311の異常を居室毎に検出して通報を行う形態について説明する。
以下、実施の形態1で説明しなかった事項および実施の形態1と異なる事項について主に説明し、説明を省略した事項については実施の形態1と同様であるものとする。
【0047】
実施の形態3では、各居室の住人は、居室に設置されているホームオートメーション端末装置314(居室呼び装置)を操作することにより、エレベータを呼び寄せるものとする。
【0048】
図6は、実施の形態3における通報条件設定データ330を示す図である。
実施の形態3における通報条件設定データ330について、図6に基づいて以下に説明する。
【0049】
通報条件設定データ330には、エレベータ通報機能の通報条件が居室毎に予め設定されている。
「住居番号」は、居室の識別番号を示す。
「通報要否」は、エレベータ通報機能が有効であるか(必要)または無効であるか(不要)を示す。
「ID」および「パスワード」はそれぞれ、住人の識別番号およびパスワードを示す。
「通報までの期間」は、通報要否の判定用の期間を示す。例えば、「通報までの期間」には、“1週間”と設定される。
「呼び寄せ日時」は、エレベータ呼び検出部230により設定され、当該居室のホームオートメーション端末装置314からエレベータ呼びが発生した最も新しい日時を示す。エレベータ呼び検出部230は、エレベータ昇降制御装置110からの呼び発生通知に基づいて、エレベータ呼びを検出し、エレベータ呼びが発生した居室を特定する。そして、エレベータ呼び検出部230は、エレベータ呼びを検出した際に、特定した居室の「呼び寄せ日時」を更新する。
「通報先」は、通報先が“管理人”であるか又は“管理人以外”であるかを示す。
「通報先詳細設定」は、「通報先」が“管理人以外”を示す場合に設定される。例えば、「通報先詳細設定」には、家族や知人のEメールアドレスや電話番号が設定される。
【0050】
図7は、実施の形態3におけるエレベータ通報方法を示すフローチャートである。
実施の形態3におけるエレベータ通報方法について、図7に基づいて以下に説明する。
エレベータ通報装置200の各部は、通報条件設定データ330の設定値に基づいて、以下の各処理を実行する。
【0051】
<S310>
まず、通報制御部210は、全階床に対して以降の処理(S320〜S380)が実行されたか判定する。
S310において“YES”の場合、エレベータ通報装置200は処理を終了する。
【0052】
<S320>
S310において“NO”の場合、通報制御部210は、最下床(地下1階)から昇順に未処理の階床を選択し、選択した「階床」の「用途」が“住居階”であるか判定する。
以下、選択された階床を「処理階床」という。
S320において“NO”の場合、S310に戻り、残りの未処理の階床に対して処理が実行される。
【0053】
<S330>
S320において“YES”の場合、通報制御部210は、処理階床の全居室に対して以降の処理(S340〜S380)が実行されたか判定する。
S330において“YES”の場合、S310に戻り、残りの未処理の階床に対して処理が実行される。
【0054】
<S340>
S330において“NO”の場合、通報制御部210は、処理階床の1号室から「住居番号」の昇順に未処理の居室を選択し、選択した居室の「通報要否」に“必要”が設定されているか判定する。
以下、選択された居室を「処理居室」という。
S340において“NO”の場合、S330に戻り、残りの未処理の居室に対して処理が実行される。
【0055】
<S350>
S340において“YES”の場合、時間検出部250は、「呼び寄せ日時」から「通報までの期間」(例えば、1週間)が経過したか判定する。
S350において“NO”の場合、S330に戻り、残りの未処理の居室に対して処理が実行される。
【0056】
<S360>
S350において“YES”の場合、通報制御部210は、処理居室の「通報先」が“管理人”であるか判定する。
【0057】
<S370>
S360において“YES”の場合、通報制御部210は、処理居室の住人311の安否確認を要求する通報を管理人に発信する。
【0058】
<S380>
S360において“NO”の場合、通報制御部210は、「通報先詳細設定」に設定されている通報先に通報を発信する。
例えば、通報制御部210は、「通報先詳細設定」に設定されているEメールアドレス宛てに、所定の通報メッセージを記載したEメールを送信する。
また例えば、通報制御部210は、「通報先詳細設定」に設定されている電話番号に電話をかけて所定の通報メッセージを音声出力する。
【0059】
S370およびS380の終了後、S330に戻り、残りの未処理の居室に対して処理が実行される。
【0060】
S310〜S380は、定期的(例えば、毎日)に実行される。
【0061】
通報制御部210は、管理人と管理人以外の通報先とのいずれかではなく(S360〜S380)、管理人と管理人以外の通報先との両方に通報を行っても構わない。
【0062】
実施の形態3は、実施の形態2で説明した不法侵入を通報する形態と組み合わせてもよい。つまり、通報条件設定データ330に「通報条件」を設け、「通報条件」が“エレベータ応答なし時”を示す場合に上記のS310〜S380が実行され、「通報条件」が“エレベータ応答あり時”を示す場合に実施の形態2で説明したS230〜S260が実行されても構わない。
【0063】
実施の形態3では、所定の人又は場所(通報先)に異常の発生を通報するエレベータ通報装置200について説明した。
エレベータ通報装置200は、エレベータ呼び検出部230、時間検出部250および通報制御部210を備える。
エレベータ呼び検出部230は乗場の各居室に設置されたホームオートメーション端末装置314からエレベータを自階へ呼び寄せる操作を検出し、時間検出部250は所定時間を検出し、通報制御部210はエレベータ呼び検出部230がエレベータの呼び寄せ居室操作を検出しなくなってから時間検出部250が所定時間を検出した場合に居室の異常を通報する。
【0064】
実施の形態3により、各乗場階の居室毎の異常検出が可能となり、居室を特定した形で外部に異常を通報することが可能となる。
【0065】
実施の形態4.
実施の形態4では、通報条件設定データ330の設定方法について説明する。
【0066】
図8は、実施の形態4における通報条件設定画面320を示す図である。
図9は、実施の形態4における通報条件設定データ330の設定方法を示すフローチャートである。
実施の形態4における通報条件設定画面320の設定方法について、図8および図9に基づいて以下に説明する。
【0067】
<S410>
管理人は、通報条件設定データ330の設定または変更をしたい場合、管理人室の端末装置316からLAN、インターネット、電話回線などの通信網を介してエレベータ通報装置200にアクセスする。
管理人室の端末装置316は、通報条件設定画面320を表示する。
【0068】
<S420>
通報条件設定画面320には、通報条件設定データ330の各項目について、設定値を指定するためのチェックボックスやテキストボックスが設けられている。
管理人は、マウスやキーボードなどの入力機器を用いて、通報条件設定画面320に対して指定値を入力し、設定ボタン321を押下して指定値をエレベータ通報装置200に送信する。
エレベータ通報装置200の通報条件設定データ入力部270は、端末装置316から通報条件設定画面320に対する指定値を受信し、受信した指定値を通報条件設定データ変更部260に出力する。
【0069】
<S430>
通報条件設定データ変更部260は、通報条件設定データ入力部270から出力された指定値を入力し、入力した「ID」および「パスワード」の指定値が通報条件設定データ330の設定値と一致する場合、入力したその他の指定値を通報条件設定データ330に設定する。
【0070】
図6の通報条件設定データ330も同様にして設定することができる。
各住人311は、パーソナルコンピュータ、携帯電話またはホームオートメーション端末装置314などの端末装置316を用いてエレベータ通報装置200にアクセスし、通報条件設定画面320に対して指定値を入力することにより、通報条件設定データ330の各項目を設定する。
【0071】
実施の形態4では、以下のようなエレベータ通報装置200について説明した。
エレベータ通報装置200は、通報条件設定データ記憶部290、通報条件設定データ入力部270および通報条件設定データ変更部260を備える。
通報条件設定データ記憶部290は通報条件設定データ330を記憶し、通報条件設定データ入力部270は時間検出部250で検出する時間や所定の人や場所を示す通報先などの設定データを入力し、通報条件設定データ変更部260は入力した設定データで通報条件設定データ330を変更する。
【0072】
実施の形態4により、エレベータの使用時間帯や通報先の変更が常時可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】各実施の形態におけるエレベータ通報システム101のイメージ図。
【図2】実施の形態1におけるエレベータ制御盤100の機能構成図。
【図3】実施の形態1における通報条件設定データ330および乗場階属性データ340を示す図。
【図4】実施の形態1におけるエレベータ通報方法を示すフローチャート。
【図5】実施の形態2におけるエレベータ通報方法を示すフローチャート。
【図6】実施の形態3における通報条件設定データ330を示す図。
【図7】実施の形態3におけるエレベータ通報方法を示すフローチャート。
【図8】実施の形態4における通報条件設定画面320を示す図。
【図9】実施の形態4における通報条件設定データ330の設定方法を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0074】
100 エレベータ制御盤、101 エレベータ通報システム、110 エレベータ昇降制御装置、200 エレベータ通報装置、210 通報制御部、220 乗場階人検出部、230 エレベータ呼び検出部、240 乗場監視モード選択部、250 時間検出部、260 通報条件設定データ変更部、270 通報条件設定データ入力部、290 通報条件設定データ記憶部、300 エレベータ、301 乗場呼びパネル、311 住人、312 通報先、313 人検出センサ、314 ホームオートメーション端末装置、315 居室、316 端末装置、320 通報条件設定画面、321 設定ボタン、330 通報条件設定データ、340 乗場階属性データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータかごの移動の要求を示すエレベータ呼びが発生したか否かに基づいて通報を行うエレベータ通報装置であり、
建物の各階に設置されると共に設置された階にいる人を検出する人検出センサにより人の検出がされた検出階を特定する検出階特定部と、
前記検出階特定部により前記検出階が特定されてから所定の時間内に前記検出階でエレベータ呼びが発生しなかった場合、所定の通報先に通報を発信する通報部と
を備えたことを特徴とするエレベータ通報装置。
【請求項2】
前記エレベータ通報装置は、さらに、
各階で発生するエレベータ呼びを検出するエレベータ呼び検出部と、
前記検出階特定部により前記検出階が特定されてから前記所定の時間の経過を検出する時間検出部とを備え、
前記通報部は、
前記時間検出部により前記所定の時間の経過が検出されるまでに前記エレベータ呼び検出部により前記検出階のエレベータ呼びが検出されなかった場合、前記検出階の確認を要求する通報を前記所定の通報先に発信する
ことを特徴とする請求項1記載のエレベータ通報装置。
【請求項3】
エレベータかごの移動の要求を示すエレベータ呼びが発生したか否かに基づいて通報を行うエレベータ通報装置であり、
エレベータ呼びを検出するエレベータ呼び検出部と、
所定の時間に前記エレベータ呼び検出部によりエレベータ呼びが検出された場合、所定の通報先に通報を発信する通報部と
を備えることを特徴とするエレベータ通報装置。
【請求項4】
エレベータかごの移動の要求を示すエレベータ呼びが発生したか否かに基づいて通報を行うエレベータ通報装置であり、
建物の各居室に設置されると共にエレベータ呼びを発生させる居室呼び装置から発生したエレベータ呼びを検出するエレベータ呼び検出部と、
前記エレベータ呼び検出部によりエレベータ呼びが検出されてから所定の時間の経過を居室毎に検出する時間検出部と、
前記時間検出部により所定の時間の経過が検出されるまでに前記エレベータ呼び検出部により当該居室からの新たなエレベータ呼びが検出されなかった場合、前記所定の通報先に通報を発信する通報部と
を備えたことを特徴とするエレベータ通報装置。
【請求項5】
前記エレベータ通報装置は、さらに、
居室毎に通報先の情報を記憶する通報先記憶部を備え、
前記通報部は、前記通報先記憶部に記憶されている情報に基づいて、当該居室の通報先に通報を発信する
ことを特徴とする請求項4記載のエレベータ通報装置。
【請求項6】
前記エレベータ通報装置は、さらに、
前記所定の時間と前記所定の通報先との少なくともいずれかを設定値として含んだ通報条件設定データを記憶する通報条件設定データ記憶部と、
前記通報条件設定データに対する指定値を入力する通報条件設定データ入力部と、
前記通報条件設定データ入力部により入力された前記指定値に基づいて、前記通報条件設定データ記憶部に記憶されている前記通報条件設定データの設定値を変更する通報条件設定データ変更部と
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項5いずれかに記載のエレベータ通報装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6いずれかに記載のエレベータ通報装置を備えたエレベータ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate