エレベータ釣合重り装置およびロープ交換方法
【課題】エレベータのかご室のリニューアル工事において、既設のかご室に既設ロープを介して連結されていた既設の釣合重りを搭載した枠体をそのまま残して、新設のかご室に新設ロープを介して連結して使用することができるエレベータ釣合重り装置を提供する。
【解決手段】本発明によるエレベータ釣合重り装置１は、枠体２と、枠体２内部に搭載された釣合重り３と、枠体２上部に設けられ、既設のかご室に連結された既設ロープ４の端部が連結された既設ロープ用ヒッチ板５とを備えている。また、既設ロープ用ヒッチ板５に、新設のかご室に連結された新設ロープ６の端部が連結された新設ロープ用ヒッチ板７が着脱自在に連結されている。さらに、既設ロープ用ヒッチ板５と新設ロープ用ヒッチ板７は、締結手段８により締結されている。
【解決手段】本発明によるエレベータ釣合重り装置１は、枠体２と、枠体２内部に搭載された釣合重り３と、枠体２上部に設けられ、既設のかご室に連結された既設ロープ４の端部が連結された既設ロープ用ヒッチ板５とを備えている。また、既設ロープ用ヒッチ板５に、新設のかご室に連結された新設ロープ６の端部が連結された新設ロープ用ヒッチ板７が着脱自在に連結されている。さらに、既設ロープ用ヒッチ板５と新設ロープ用ヒッチ板７は、締結手段８により締結されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、エレベータの既設のかご室を新設のかご室に交換するリニューアル工事において、既設のかご室に既設ロープを介して連結されていた釣合重りを搭載した枠体をそのまま残して、新設のかご室に新設ロープを介して連結して使用することができるエレベータ釣合重り装置およびロープ交換方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、エレベータは、昇降路内を昇降し、複数階のエレベータホール毎に停止自在のかご室と、昇降路内上方に設けられ、かご室を昇降させる駆動機構を有する機械室と、エレベータホール毎に設置された三方枠と、昇降路内部に設けられ、かご室を案内するガイドレールとを備えている。また、かご室に、釣合重りを搭載した枠体がロープを介して連結されている。このうち、機械室の床面上に、かご室を昇降させる駆動機構を設置するためのマシンビームが設けられている。
【０００３】
従来より、エレベータの既設のかご室を新設のかご室に交換するリニューアル工事において、既設のかご室を新設のかご室に交換した後においても、エレベータの既設の三方枠、ガイドレール、釣合重りを搭載した枠体、および機械室のマシンビームをそのまま使用することが考えられている（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開平９−２３５０８２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところで、エレベータの既設のかご室を新設のかご室に交換する場合、新設のかご室にクーラーを設けたり、新設のかご室を車椅子仕様としたり、または新設のかご室に高級意匠材料を用いることなどが要求される。このような要求を満たした場合、既設のかご室の重量に対して新設のかご室の重量が増大する。このため、既設のかご室に連結していた既設ロープと、新設のかご室に連結する新設ロープは、互いにロープ径およびロープ本数が異なることが考えられる。
【０００５】
しかしながら、既設の釣合重りを搭載した枠体には、既設のかご室の重量に対応したロープ径およびロープ本数を有する既設ロープが取り付けられるようになっている。このため、既設ロープのロープ径およびロープ本数と異なるロープ径およびロープ本数を有する新設ロープを、既設の釣合重りを搭載した枠体に連結することは難しい。このため従来は、既設の釣合重りを搭載した枠体を撤去し、新設のかご室の重量に対応するロープ径およびロープ本数を有する新設ロープを連結することができる釣合重りを搭載した枠体を新たに準備する必要があった。このため、リニューアル工事の作業時間が増大するとともに、既設の釣合重りを搭載した枠体を産業廃棄物として廃棄する必要があり、この場合は多量の廃材が生じてしまう。
【０００６】
一方、既設の釣合重りを搭載した枠体を廃棄することなく使用する場合、既設の釣合重りを搭載した枠体に、既設ロープのロープ径およびロープ本数と同一のロープ径およびロープ本数をもつ新設ロープを用いる必要がある。この場合は、既設ロープと同一のロープ径およびロープ本数をもつ新設ロープを用いるため、新設のかご室の重量が制限される。このため、前述した新設のかご室に対する要求を満たすことが困難となり、新設のかご室を設計する上で不利になる場合があった。
【０００７】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、エレベータのかご室のリニューアル工事において、既設のかご室に連結されていた既設ロープと、新設のかご室に連結される新設ロープが、互いにロープ径およびロープ本数が異なる場合においても、既設のかご室に既設ロープを介して連結され、釣合重りを搭載した枠体をそのまま残して、新設のかご室に新設ロープを介して連結して使用することができるエレベータ釣合重り装置およびロープ交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、枠体と、枠体内部に搭載された釣合重りと、枠体上部に設けられ、既設ロープの端部が連結された既設ロープ用ヒッチ板と、既設ロープ用ヒッチ板に着脱自在に設けられ、新設ロープの端部が連結された新設ロープ用ヒッチ板と、を備え、既設ロープ用ヒッチ板と新設ロープ用ヒッチ板は、締結手段により締結されていることを特徴とするエレベータ釣合重り装置である。
【０００９】
本発明は、既設ロープ用ヒッチ板に連結される既設ロープと、新設ロープ用ヒッチ板に連結される新設ロープは、互いにロープ径およびロープ本数が異なることを特徴とするエレベータ釣合重り装置である。
【００１０】
本発明は、枠体と、枠体内部に搭載された釣合重りと、既設ロープが連結された既設ロープ用ヒッチ板を有するエレベータ釣合重り装置におけるロープ交換方法において、既設ロープ用ヒッチ板から既設ロープの端部を取り外す工程と、新設ロープ用ヒッチ板を準備する工程と、既設ロープ用ヒッチ板に、新設ロープ用ヒッチ板を締結手段により締結する工程と、新設ロープの端部を新設ロープ用ヒッチ板に連結する工程と、を備えたことを特徴とするロープ交換方法である。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、既設の釣合重りを搭載した枠体上部に設けられた既設ロープ用ヒッチ板に対して、新設ロープ用ヒッチ板を締結手段により取り付けることにより、既設のかご室に連結されていた既設ロープのロープ径およびロープ本数と異なるロープ径およびロープ本数を有する新設ロープを、新設ロープ用ヒッチ板に確実に連結することができる。このことにより、エレベータのかご室のリニューアル工事において、既設のかご室に連結されていた既設ロープと、新設のかご室に連結される新設ロープが、互いにロープ径およびロープ本数が異なる場合においても、既設の釣合重りを搭載した枠体を廃棄することなく有効に使用することができるとともに、リニューアル工事の作業時間が増大することを抑えることができる。さらに、新設のかご室を設計する場合に、新設のかご室の重量が制限されることがないため、新設のかご室を設計する上で有利にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。ここで、図１乃至図４は、本発明におけるエレベータ釣合重り装置を示す図である。このうち図１は、既設の釣合重りを搭載した枠体に既設ロープが連結されている状態を示す正面図であり、図２は、既設の釣合重りを搭載した枠体から既設ロープを取り外し、新設ロープ用ヒッチ板を枠体の上方から挿入する状態を示す正面図であり、図３は、本発明におけるエレベータ釣合重り装置を示す正面図であり、図４は、既設の釣合重りを搭載した枠体を示す上面図である。
【００１３】
まず、図３により、エレベータ釣合重り装置１の全体構成について説明する。図３に示すように、エレベータ釣合重り装置１は、既設のかご室に連結されていた釣合重り３を搭載した枠体２をそのまま残して、新設のかご室に連結して使用するためのものである。
【００１４】
図３に示すように、エレベータ釣合重り装置１は、枠体２と、枠体２内部に搭載された釣合重り３と、枠体２上部に設けられ、既設のかご室（図示せず）に連結された既設ロープ４の端部が連結された既設ロープ用ヒッチ板５と（図１参照）を備えている。また、既設ロープ用ヒッチ板５に、新設のかご室（図示せず）に連結された新設ロープ６の端部が連結された新設ロープ用ヒッチ板７が着脱自在に連結されている。このうち、新設ロープ用ヒッチ板７は、新設ロープ用ヒッチ板枠体７ａと、新設ロープ用ヒッチ板枠体７ａの下方において、新設ロープ用ヒッチ板枠体７ａを既設ロープ用ヒッチ板５に取り付けるためのアダプタ７ｂとを有している。また、新設ロープ用ヒッチ板枠体７ａの上方に、新設ロープ６を取り付けるための連結部７ｃが設けられている。さらに、既設ロープ用ヒッチ板５と新設ロープ用ヒッチ板７のアダプタ７ｂは、例えばボルト等の締結手段８により締結されている。
【００１５】
また、図４に示すように、枠体２の上面に、新設ロープ用ヒッチ板７が挿入できるように一対の開口部２ａが設けられている。
【００１６】
また、図示しないが、既設ロープ４および新設ロープ６は、昇降路内の上方にあるエレベータの機械室内の巻上機構車を介して、既設のかご室および新設のかご室に各々連結されている。
【００１７】
さらに、図１に示すように、既設ロープ用ヒッチ板５には、３本の既設ロープ４の端部が連結されるようになっている。また、図３に示すように、新設ロープ用ヒッチ板７には、５本の新設ロープ５の端部が連結されるようになっている。この場合、既設ロープ用ヒッチ板５に連結される既設ロープ４と、新設ロープ用ヒッチ板７に連結される新設ロープ６は、互いにロープ径およびロープ本数が異なっている。
【００１８】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわちエレベータ釣合重り装置におけるロープ変換方法について説明する。
【００１９】
まず、図１に示すように、既設ロープ用ヒッチ板５から、既設のかご室に連結された３本の既設ロープ４の端部を取り外す。
【００２０】
次に、既設のかご室を新設のかご室に交換し、かつ既設のかご室の重量に対して増大した新設のかご室の重量に相当する重量となるように、枠体２内部に搭載された釣合重り３の重量を調整する。
【００２１】
次に、図２に示すように、新設ロープ用ヒッチ板７を準備する。この場合、まず、新設ロープ用ヒッチ板７を、枠体２上面に設けられた一対の開口部２ａから（図４参照）、枠体２の内方へ向けて挿入する。次に、既設ロープ用ヒッチ板５に締結手段８により締結することができる位置まで、新設ロープ用ヒッチ板７を、枠体２の内方へ向けてさらに挿入する。
【００２２】
次に、図３に示すように、既設ロープ用ヒッチ板５に、新設ロープ用ヒッチ板７を締結手段８により締結する。この場合、まず、新設ロープ用ヒッチ板７のアダプタ７ｂを、新設ロープ用ヒッチ板７の新設ロープ用ヒッチ板枠体７ａに取り付ける。次に、新設ロープ用ヒッチ板枠体７ａに取り付けられたアダプタ７ｂを、既設ロープ用ヒッチ板５に締結手段８により締結する。
【００２３】
その後、図３に示すように、新設ロープ６を新設ロープ用ヒッチ板７に連結する。この場合、新設ロープ用ヒッチ板７の連結部７ｃに、５本の新設ロープ６を連結する。
【００２４】
このように、本実施の形態によれば、既設の釣合重り３を搭載した枠体２上部に設けられた既設ロープ用ヒッチ板５に対して、新設ロープ用ヒッチ板７を締結手段８により取り付けることにより、既設のかご室に連結されていた既設ロープ４のロープ本数と異なるロープ本数を有する新設ロープ６を、新設ロープ用ヒッチ板７に連結することができる。このことにより、エレベータのかご室のリニューアル工事において、既設のかご室に連結されていた既設ロープ４と、新設のかご室に連結される新設ロープ６が、互いにロープ径およびロープ本数が異なる場合においても、既設の釣合重り３を搭載した枠体２を廃棄することなく有効に使用することができるとともに、リニューアル工事の作業時間が増大することを抑えることができる。さらに、新設のかご室を設計する場合に、新設のかご室の重量が制限されることがないため、新設のかご室を設計する上で有利にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】図１は、既設の釣合重りを搭載した枠体に既設ロープが連結されている状態を示す正面図。
【図２】図２は、既設の釣合重りを搭載した枠体から既設ロープを取り外し、新設ロープ用ヒッチ板を枠体の上方から挿入する状態を示す正面図。
【図３】図３は、本発明におけるエレベータ釣合重り装置を示す正面図。
【図４】図４は、既設の釣合重りを搭載した枠体を示す上面図。
【符号の説明】
【００２６】
１ エレベータ釣合重り装置
２ 枠体
３ 釣合重り
４ 既設ロープ
５ 既設ロープ用ヒッチ板
６ 新設ロープ
７ 新設ロープ用ヒッチ板
７ａ 新設ロープ用ヒッチ板枠体
７ｂ アダプタ
７ｃ 連結部
８ 締結手段
【技術分野】
【０００１】
本発明は、エレベータの既設のかご室を新設のかご室に交換するリニューアル工事において、既設のかご室に既設ロープを介して連結されていた釣合重りを搭載した枠体をそのまま残して、新設のかご室に新設ロープを介して連結して使用することができるエレベータ釣合重り装置およびロープ交換方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、エレベータは、昇降路内を昇降し、複数階のエレベータホール毎に停止自在のかご室と、昇降路内上方に設けられ、かご室を昇降させる駆動機構を有する機械室と、エレベータホール毎に設置された三方枠と、昇降路内部に設けられ、かご室を案内するガイドレールとを備えている。また、かご室に、釣合重りを搭載した枠体がロープを介して連結されている。このうち、機械室の床面上に、かご室を昇降させる駆動機構を設置するためのマシンビームが設けられている。
【０００３】
従来より、エレベータの既設のかご室を新設のかご室に交換するリニューアル工事において、既設のかご室を新設のかご室に交換した後においても、エレベータの既設の三方枠、ガイドレール、釣合重りを搭載した枠体、および機械室のマシンビームをそのまま使用することが考えられている（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開平９−２３５０８２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところで、エレベータの既設のかご室を新設のかご室に交換する場合、新設のかご室にクーラーを設けたり、新設のかご室を車椅子仕様としたり、または新設のかご室に高級意匠材料を用いることなどが要求される。このような要求を満たした場合、既設のかご室の重量に対して新設のかご室の重量が増大する。このため、既設のかご室に連結していた既設ロープと、新設のかご室に連結する新設ロープは、互いにロープ径およびロープ本数が異なることが考えられる。
【０００５】
しかしながら、既設の釣合重りを搭載した枠体には、既設のかご室の重量に対応したロープ径およびロープ本数を有する既設ロープが取り付けられるようになっている。このため、既設ロープのロープ径およびロープ本数と異なるロープ径およびロープ本数を有する新設ロープを、既設の釣合重りを搭載した枠体に連結することは難しい。このため従来は、既設の釣合重りを搭載した枠体を撤去し、新設のかご室の重量に対応するロープ径およびロープ本数を有する新設ロープを連結することができる釣合重りを搭載した枠体を新たに準備する必要があった。このため、リニューアル工事の作業時間が増大するとともに、既設の釣合重りを搭載した枠体を産業廃棄物として廃棄する必要があり、この場合は多量の廃材が生じてしまう。
【０００６】
一方、既設の釣合重りを搭載した枠体を廃棄することなく使用する場合、既設の釣合重りを搭載した枠体に、既設ロープのロープ径およびロープ本数と同一のロープ径およびロープ本数をもつ新設ロープを用いる必要がある。この場合は、既設ロープと同一のロープ径およびロープ本数をもつ新設ロープを用いるため、新設のかご室の重量が制限される。このため、前述した新設のかご室に対する要求を満たすことが困難となり、新設のかご室を設計する上で不利になる場合があった。
【０００７】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、エレベータのかご室のリニューアル工事において、既設のかご室に連結されていた既設ロープと、新設のかご室に連結される新設ロープが、互いにロープ径およびロープ本数が異なる場合においても、既設のかご室に既設ロープを介して連結され、釣合重りを搭載した枠体をそのまま残して、新設のかご室に新設ロープを介して連結して使用することができるエレベータ釣合重り装置およびロープ交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、枠体と、枠体内部に搭載された釣合重りと、枠体上部に設けられ、既設ロープの端部が連結された既設ロープ用ヒッチ板と、既設ロープ用ヒッチ板に着脱自在に設けられ、新設ロープの端部が連結された新設ロープ用ヒッチ板と、を備え、既設ロープ用ヒッチ板と新設ロープ用ヒッチ板は、締結手段により締結されていることを特徴とするエレベータ釣合重り装置である。
【０００９】
本発明は、既設ロープ用ヒッチ板に連結される既設ロープと、新設ロープ用ヒッチ板に連結される新設ロープは、互いにロープ径およびロープ本数が異なることを特徴とするエレベータ釣合重り装置である。
【００１０】
本発明は、枠体と、枠体内部に搭載された釣合重りと、既設ロープが連結された既設ロープ用ヒッチ板を有するエレベータ釣合重り装置におけるロープ交換方法において、既設ロープ用ヒッチ板から既設ロープの端部を取り外す工程と、新設ロープ用ヒッチ板を準備する工程と、既設ロープ用ヒッチ板に、新設ロープ用ヒッチ板を締結手段により締結する工程と、新設ロープの端部を新設ロープ用ヒッチ板に連結する工程と、を備えたことを特徴とするロープ交換方法である。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、既設の釣合重りを搭載した枠体上部に設けられた既設ロープ用ヒッチ板に対して、新設ロープ用ヒッチ板を締結手段により取り付けることにより、既設のかご室に連結されていた既設ロープのロープ径およびロープ本数と異なるロープ径およびロープ本数を有する新設ロープを、新設ロープ用ヒッチ板に確実に連結することができる。このことにより、エレベータのかご室のリニューアル工事において、既設のかご室に連結されていた既設ロープと、新設のかご室に連結される新設ロープが、互いにロープ径およびロープ本数が異なる場合においても、既設の釣合重りを搭載した枠体を廃棄することなく有効に使用することができるとともに、リニューアル工事の作業時間が増大することを抑えることができる。さらに、新設のかご室を設計する場合に、新設のかご室の重量が制限されることがないため、新設のかご室を設計する上で有利にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。ここで、図１乃至図４は、本発明におけるエレベータ釣合重り装置を示す図である。このうち図１は、既設の釣合重りを搭載した枠体に既設ロープが連結されている状態を示す正面図であり、図２は、既設の釣合重りを搭載した枠体から既設ロープを取り外し、新設ロープ用ヒッチ板を枠体の上方から挿入する状態を示す正面図であり、図３は、本発明におけるエレベータ釣合重り装置を示す正面図であり、図４は、既設の釣合重りを搭載した枠体を示す上面図である。
【００１３】
まず、図３により、エレベータ釣合重り装置１の全体構成について説明する。図３に示すように、エレベータ釣合重り装置１は、既設のかご室に連結されていた釣合重り３を搭載した枠体２をそのまま残して、新設のかご室に連結して使用するためのものである。
【００１４】
図３に示すように、エレベータ釣合重り装置１は、枠体２と、枠体２内部に搭載された釣合重り３と、枠体２上部に設けられ、既設のかご室（図示せず）に連結された既設ロープ４の端部が連結された既設ロープ用ヒッチ板５と（図１参照）を備えている。また、既設ロープ用ヒッチ板５に、新設のかご室（図示せず）に連結された新設ロープ６の端部が連結された新設ロープ用ヒッチ板７が着脱自在に連結されている。このうち、新設ロープ用ヒッチ板７は、新設ロープ用ヒッチ板枠体７ａと、新設ロープ用ヒッチ板枠体７ａの下方において、新設ロープ用ヒッチ板枠体７ａを既設ロープ用ヒッチ板５に取り付けるためのアダプタ７ｂとを有している。また、新設ロープ用ヒッチ板枠体７ａの上方に、新設ロープ６を取り付けるための連結部７ｃが設けられている。さらに、既設ロープ用ヒッチ板５と新設ロープ用ヒッチ板７のアダプタ７ｂは、例えばボルト等の締結手段８により締結されている。
【００１５】
また、図４に示すように、枠体２の上面に、新設ロープ用ヒッチ板７が挿入できるように一対の開口部２ａが設けられている。
【００１６】
また、図示しないが、既設ロープ４および新設ロープ６は、昇降路内の上方にあるエレベータの機械室内の巻上機構車を介して、既設のかご室および新設のかご室に各々連結されている。
【００１７】
さらに、図１に示すように、既設ロープ用ヒッチ板５には、３本の既設ロープ４の端部が連結されるようになっている。また、図３に示すように、新設ロープ用ヒッチ板７には、５本の新設ロープ５の端部が連結されるようになっている。この場合、既設ロープ用ヒッチ板５に連結される既設ロープ４と、新設ロープ用ヒッチ板７に連結される新設ロープ６は、互いにロープ径およびロープ本数が異なっている。
【００１８】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわちエレベータ釣合重り装置におけるロープ変換方法について説明する。
【００１９】
まず、図１に示すように、既設ロープ用ヒッチ板５から、既設のかご室に連結された３本の既設ロープ４の端部を取り外す。
【００２０】
次に、既設のかご室を新設のかご室に交換し、かつ既設のかご室の重量に対して増大した新設のかご室の重量に相当する重量となるように、枠体２内部に搭載された釣合重り３の重量を調整する。
【００２１】
次に、図２に示すように、新設ロープ用ヒッチ板７を準備する。この場合、まず、新設ロープ用ヒッチ板７を、枠体２上面に設けられた一対の開口部２ａから（図４参照）、枠体２の内方へ向けて挿入する。次に、既設ロープ用ヒッチ板５に締結手段８により締結することができる位置まで、新設ロープ用ヒッチ板７を、枠体２の内方へ向けてさらに挿入する。
【００２２】
次に、図３に示すように、既設ロープ用ヒッチ板５に、新設ロープ用ヒッチ板７を締結手段８により締結する。この場合、まず、新設ロープ用ヒッチ板７のアダプタ７ｂを、新設ロープ用ヒッチ板７の新設ロープ用ヒッチ板枠体７ａに取り付ける。次に、新設ロープ用ヒッチ板枠体７ａに取り付けられたアダプタ７ｂを、既設ロープ用ヒッチ板５に締結手段８により締結する。
【００２３】
その後、図３に示すように、新設ロープ６を新設ロープ用ヒッチ板７に連結する。この場合、新設ロープ用ヒッチ板７の連結部７ｃに、５本の新設ロープ６を連結する。
【００２４】
このように、本実施の形態によれば、既設の釣合重り３を搭載した枠体２上部に設けられた既設ロープ用ヒッチ板５に対して、新設ロープ用ヒッチ板７を締結手段８により取り付けることにより、既設のかご室に連結されていた既設ロープ４のロープ本数と異なるロープ本数を有する新設ロープ６を、新設ロープ用ヒッチ板７に連結することができる。このことにより、エレベータのかご室のリニューアル工事において、既設のかご室に連結されていた既設ロープ４と、新設のかご室に連結される新設ロープ６が、互いにロープ径およびロープ本数が異なる場合においても、既設の釣合重り３を搭載した枠体２を廃棄することなく有効に使用することができるとともに、リニューアル工事の作業時間が増大することを抑えることができる。さらに、新設のかご室を設計する場合に、新設のかご室の重量が制限されることがないため、新設のかご室を設計する上で有利にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】図１は、既設の釣合重りを搭載した枠体に既設ロープが連結されている状態を示す正面図。
【図２】図２は、既設の釣合重りを搭載した枠体から既設ロープを取り外し、新設ロープ用ヒッチ板を枠体の上方から挿入する状態を示す正面図。
【図３】図３は、本発明におけるエレベータ釣合重り装置を示す正面図。
【図４】図４は、既設の釣合重りを搭載した枠体を示す上面図。
【符号の説明】
【００２６】
１ エレベータ釣合重り装置
２ 枠体
３ 釣合重り
４ 既設ロープ
５ 既設ロープ用ヒッチ板
６ 新設ロープ
７ 新設ロープ用ヒッチ板
７ａ 新設ロープ用ヒッチ板枠体
７ｂ アダプタ
７ｃ 連結部
８ 締結手段
【特許請求の範囲】
【請求項１】
枠体と、
枠体内部に搭載された釣合重りと、
枠体上部に設けられ、既設ロープの端部が連結された既設ロープ用ヒッチ板と、
既設ロープ用ヒッチ板に着脱自在に設けられ、新設ロープの端部が連結された新設ロープ用ヒッチ板と、を備え、
既設ロープ用ヒッチ板と新設ロープ用ヒッチ板は、締結手段により締結されていることを特徴とするエレベータ釣合重り装置。
【請求項２】
既設ロープ用ヒッチ板に連結される既設ロープと、新設ロープ用ヒッチ板に連結される新設ロープは、互いにロープ径およびロープ本数が異なることを特徴とする請求項１に記載のエレベータ釣合重り装置。
【請求項３】
枠体と、枠体内部に搭載された釣合重りと、既設ロープが連結された既設ロープ用ヒッチ板を有するエレベータ釣合重り装置におけるロープ交換方法において、
既設ロープ用ヒッチ板から既設ロープの端部を取り外す工程と、
新設ロープ用ヒッチ板を準備する工程と、
既設ロープ用ヒッチ板に、新設ロープ用ヒッチ板を締結手段により締結する工程と、
新設ロープの端部を新設ロープ用ヒッチ板に連結する工程と、を備えたことを特徴とするロープ交換方法。
【請求項１】
枠体と、
枠体内部に搭載された釣合重りと、
枠体上部に設けられ、既設ロープの端部が連結された既設ロープ用ヒッチ板と、
既設ロープ用ヒッチ板に着脱自在に設けられ、新設ロープの端部が連結された新設ロープ用ヒッチ板と、を備え、
既設ロープ用ヒッチ板と新設ロープ用ヒッチ板は、締結手段により締結されていることを特徴とするエレベータ釣合重り装置。
【請求項２】
既設ロープ用ヒッチ板に連結される既設ロープと、新設ロープ用ヒッチ板に連結される新設ロープは、互いにロープ径およびロープ本数が異なることを特徴とする請求項１に記載のエレベータ釣合重り装置。
【請求項３】
枠体と、枠体内部に搭載された釣合重りと、既設ロープが連結された既設ロープ用ヒッチ板を有するエレベータ釣合重り装置におけるロープ交換方法において、
既設ロープ用ヒッチ板から既設ロープの端部を取り外す工程と、
新設ロープ用ヒッチ板を準備する工程と、
既設ロープ用ヒッチ板に、新設ロープ用ヒッチ板を締結手段により締結する工程と、
新設ロープの端部を新設ロープ用ヒッチ板に連結する工程と、を備えたことを特徴とするロープ交換方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２００９−４０５８４（Ｐ２００９−４０５８４Ａ）
【公開日】平成２１年２月２６日（２００９．２．２６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−２０９６４２（Ｐ２００７−２０９６４２）
【出願日】平成１９年８月１０日（２００７．８．１０）
【出願人】（３９００２５２６５）東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年２月２６日（２００９．２．２６）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年８月１０日（２００７．８．１０）
【出願人】（３９００２５２６５）東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Ｆターム（参考）】
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