説明

エレベータ

【課題】閉じ込め状態となったときに、より好適な対応を行なうエレベータを提供することである。
【解決手段】特定の着床階27aで乗場扉28aが戸開せずに乗りかご20の中で一時的に閉じ込め状態となったときの対応を行なう制御盤18を備えるエレベータ10において、制御盤18は、上記特定の着床階27a以外の着床階27b,27cへ乗りかご20を移動させて上記特定の着床階27a以外の着床階27b,27cの乗場扉28b,28cを戸開した後に、エレベータ10を一時的に停止させた状態のままとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータに係り、特に、特定の着床階で乗場扉が戸開せずに乗りかごの中で一時的に閉じ込め状態となったときの対応を行なう閉じ込め対応処理部を備えるエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、商業施設等の様々な場所において、エレベータが設置されている。エレベータを長期間使用するために定期的にメンテナンスが行われているが、メンテナンスを実施しているにもかかわらず、種々の原因によって各要素が故障してしまう事がある。例えば、エレベータが設置された商業施設のある特定の着床階で乗場扉が開かないということが発生しうる。この場合には、乗りかご内にいる乗客は当該特定の着床階に降りることができないため、いわゆる閉じ込め状態となってしまうことがある。これに対して、種々の対応策が考えられている。
【0003】
本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、かごに設置されてかご内に送風する送風装置と、送風装置の不作動時に、かご内での乗客閉じ込めが発生したときに送風装置を作動させるよう制御する制御部と、を備えるエレベータの閉じ込め時作動システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−256021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した閉じ込め対策の1つとして、閉じ込め状態が発生したことを検知して、乗場扉が開かない着床階以外の着床階へ乗りかごを移動させて乗客を降車させ、その後に通常運転に復帰させるといった対応がある。しかし、このような対応では、保守作業員が到着して、故障している乗場扉について修理等の対応を行わない限りは、同様に閉じ込め状態が発生し、乗客に不便をかけてしまう可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、閉じ込め状態となったときに、より好適な対応を行なうエレベータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエレベータは、特定の着床階で乗場扉が戸開せずに乗りかごの中で一時的に閉じ込め状態となったときの対応を行なう閉じ込め対応処理部を備えるエレベータにおいて、前記閉じ込め対応処理部は、前記特定の着床階以外の着床階へ前記乗りかごを移動させて前記特定の着床階以外の着床階の乗場扉を戸開した後に、前記エレベータを一時的に停止させた状態のままとすることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るエレベータにおいて、前記閉じ込め対応処理部は、前記乗りかご内の照明を消灯させることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係るエレベータにおいて、前記閉じ込め対応処理部は、前記乗りかご内に設けられるかご操作盤のうちの戸開操作釦以外の操作を禁止することが好ましい。
【0010】
また、本発明に係るエレベータにおいて、前記閉じ込め対応処理部は、前記戸開操作釦を点灯させることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係るエレベータにおいて、前記閉じ込め対応処理部は、乗場壁に設けられる表示部及び前記乗りかご内に設けられるかご操作盤の表示部の少なくとも1つに、前記エレベータを一時的に停止させている旨の表示をさせることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係るエレベータにおいて、前記閉じ込め対応処理部は、乗場壁に設けられる乗場休止灯を点灯させることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係るエレベータにおいて、前記エレベータは、複数の乗りかごを備え、前記閉じ込め対応処理部は、前記複数の乗りかごのうち、閉じ込め状態となっている乗りかごの呼び釦の操作を禁止することが好ましい。
【0014】
また、本発明に係るエレベータにおいて、前記閉じ込め対応処理部は、前記乗りかごが閉じ込め状態であるため、前記エレベータを一時的に停止させている旨を遠隔監視センタに通知することが好ましい。
【0015】
また、本発明に係るエレベータにおいて、前記閉じ込め対応処理部は、乗客に対して前記エレベータを一時的に停止させている旨を音声によって報知することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
上記構成によれば、乗場扉が開かない特定の着床階以外の着床階へ乗りかごを移動させて、当該特定の着床階以外の着床階の乗場扉を戸開した後に、エレベータを一時的に停止させた状態のままとする。これにより、同様に閉じ込め状態が発生することを防止することができる。したがって、乗客に不便をかけてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る実施の形態において、エレベータを示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態において、着床階について、乗場扉を正面から見た様子を示す図である。
【図3】本発明に係る実施の形態において、制御盤の各要素を示す図である。
【図4】本発明に係る実施の形態において、乗りかごの中での一時的な閉じ込め状態となったときの閉じ込め対応処理を行う手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る実施の形態の変形例において、着床階について、乗場扉を正面から見た様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を用いて、本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。また、以下では、全ての図面において、同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0019】
図1は、エレベータ10を示す図である。エレベータ10は、主ロープ12と、釣合錘14と、巻上機16と、制御盤18と、乗りかご20と、着床階27a,27b,27c等と、乗場扉28a,28b,28c等と、昇降路30とを備える。また、エレベータ10は、乗りかご20を着床階27a,27b,27c等の間を昇降させることで乗客5を移動させる。
【0020】
主ロープ12は、乗りかご20を吊るすためのロープであり、巻上機16に巻き掛けられている。そして、主ロープ12の一方端は乗りかご20に接続され、他方端は釣合錘14が接続されている。
【0021】
釣合錘14は、主ロープ12の他方端に接続され、主ロープ12の一方端に接続される乗りかご20との間でバランスを取るために必要な重量が設定される。
【0022】
巻上機16は、制御盤18の制御によって、巻き掛けられた主ロープ12を駆動させることで乗りかご20を昇降させるための装置である。また、巻上機16は、機械室8に配置されている。
【0023】
乗りかご20は、制御盤18の制御によって、巻上機16が作動すると昇降路30内を昇降し、乗客5を乗せるための構造物である。乗りかご20は、かご操作盤24と、乗りかご扉26とを含む。
【0024】
かご操作盤24は、表示画面242と、行先階選択釦244と、戸開操作釦246と、戸閉操作釦248とを有する。表示画面242は、乗りかご20が現在位置している階床やその他の情報を表示するための画面である。行先階選択釦244は、乗りかご20内に乗り込んだ乗客5が行先階を選択するための押し釦である。戸開操作釦246は、乗りかご扉26及び乗りかご20が着床している着床階27a,27b,27cの乗場扉28a,28b,28cを開くための押し釦である。戸閉操作釦248は、乗りかご扉26及び乗りかご20が着床している着床階27a,27b,27cの乗場扉28a,28b,28cを閉じるための押し釦である。
【0025】
乗りかご扉26は、乗りかご20に設けられる扉であり、乗りかご20が着床階27a,27b,27c等に着床した際に、当該着床階27a,27b,27c等の乗場扉28a,28b,28c等とともに開く。これにより、乗客5が乗りかご20に対して乗り降りすることができる。
【0026】
着床階27a,27b,27cは、エレベータ10が設置される商業施設等の各階の乗場を有している。各着床階27a,27b,27cは、それぞれ同様の構成を有するため、その代表例として着床階27bについて、図2を用いて説明する。図2は、着床階27bにおいて、乗場扉28bを正面から見た様子を示す図である。着床階27bの乗場壁には、それぞれ、乗りかご20が現在位置している階床を表示するインジケータ272bと、乗りかご20に対する呼び登録を行う呼び釦274bと、エレベータ10に関する種々の情報をお知らせするための表示装置276bとを有する。
【0027】
再び図1に戻って、乗場扉28a,28b,28cは、着床階27a,27b,27cの乗場に設けられる扉であり、乗りかご20が着床した際に、乗りかご扉26とともに開く。これにより、乗客5が乗りかご20に対して乗り降りすることができる。
【0028】
制御盤18は、乗りかご20の昇降速度や運行管理等を含んだエレベータ10全体の運行に関する制御を行う装置である。制御盤18は、動作モードが通常モードのときは、通常通りの運行制御を行う。また、制御盤18は、動作モードが点検モードのときは、保守点検のための運行制御を行う。なお、制御盤18は、機械室8に配置されており、エレベータ10を構成する各要素を制御するための制御線が種々存在しているが、図を簡単にするために、図1では巻上機16と接続される制御線以外の制御線については省略している。以下では、制御盤18の機能のうち、乗りかご20の中での一時的な閉じ込め状態となったときの閉じ込め対応処理機能について説明する。
【0029】
図3は、制御盤18の各要素を示す図である。制御盤18は、閉じ込め判断処理部182と、エレベータ停止処理部184と、照明消灯処理部186と、釦操作禁止処理部188と、釦点灯処理部190と、表示処理部192と、通知処理部194と、音声報知処理部196とを有する。
【0030】
閉じ込め判断処理部182は、エレベータ10において、閉じ込め状態が発生しているか否かについて判断する。ここで、閉じ込め状態とは、着床階27a,27b,27cの乗場扉28a,28b,28cのうち、乗りかご20の行先階として設定された着床階の乗場扉が開かずに乗客5が降車できず、乗りかご20内に乗客5が閉じ込められる状態をいう。具体的には、閉じ込め判断処理部182は、以下の3つの条件のうち、いずれかが満たされたときに閉じ込め状態が発生していると判断する。もちろん、下記3つの条件以外の条件が満たされたときに、閉じ込め状態が発生していると判断してもよい。
【0031】
1つ目は、各着床階27a,27b,27c等において、呼び釦274a,274b,274c等のいずれかにおいて呼び登録されて、乗りかご20が走行して停止した後に、乗りかご20の着床階で乗りかご扉及び乗場扉が開かない状態が1分継続した場合である。
【0032】
2つ目は、各着床階27a,27b,27c等において、呼び釦274a,274b,274c等のいずれかにおいて呼び登録されて、乗りかご20が走行することもなく、乗りかご扉26及び乗場扉28a,28b,28cが開かない状態が1分継続した場合である。
【0033】
3つ目は、各着床階27a,27b,27c等において、呼び釦274a,274b,274c等のいずれかにおいて呼び登録されて、乗りかご20が走行を開始した後に6分間、乗りかご扉26及び乗場扉28a,28b,28cが開かない状態が継続した場合である。
【0034】
エレベータ停止処理部184は、閉じ込め判断処理部182によって閉じ込め状態が発生していると判断されたときは、着床階27a,27b,27c等のうち、乗場扉28a,28b,28c等の故障が発生していると判断される階以外の着床階へ乗りかご20を移動させる。そして、その着床階以外の着床階に乗りかご20を停止させた後にその乗場扉を戸開する。さらに、保守作業員が到着し、故障している乗場扉の修理を終えるまでの間、エレベータ10を一時的に停止させた状態とする。具体的には、保守作業員が到着して故障している乗場扉の修理を終えるまでの間は、各着床階27a,27b,27c等の呼び釦274a,274b,274cによる呼びを受け付けないようにする。
【0035】
照明消灯処理部186は、エレベータ停止処理部184によって、エレベータ10を一時的に停止させた状態とした後に、乗りかご20内の照明を消灯する機能を有する。
【0036】
釦操作禁止処理部188は、エレベータ停止処理部184によって、エレベータ10を一時的に停止させた状態とした後に、乗りかご20内に設けられるかご操作盤24のうちの戸開操作釦246以外の釦の操作を禁止する。具体的には、戸開操作釦246の操作は有効のままであるが、行先階選択釦244及び戸閉操作釦248の操作は無効の状態とする。
【0037】
釦点灯処理部190は、エレベータ停止処理部184によって、エレベータ10を一時的に停止させた状態とした後に、戸開操作釦246を点灯させる機能を有する。
【0038】
表示処理部192は、エレベータ停止処理部184によって、エレベータ10を一時的に停止させた状態とした後に、各着床階27a,27b,27cの表示装置276a,276b,276c及び乗りかご20内に設けられるかご操作盤24の表示画面242にエレベータ10を一時的に停止させている旨の表示をさせる。具体的には、「現在、○○階の乗場扉が故障中で一時的にエレベータを停止させております。対応者が向かっておりますので、復旧まで今しばらくエレベータの使用をお控えください」といった内容の表示を行う。
【0039】
通知処理部194は、エレベータ停止処理部184によって、エレベータ10を一時的に停止させた状態とした後に、閉じ込め状態が発生していることが原因でエレベータ10を一時的に停止させている旨を、エレベータ10を遠隔監視する遠隔監視センタ(不図示)に通知する機能を有する。
【0040】
音声報知処理部196は、エレベータ停止処理部184によって、エレベータ10を一時的に停止させた状態とした後に、各着床階27にいる乗客6及び乗りかご20内にいる乗客5に対してエレベータ10を一時的に停止させている旨を音声によって報知する機能を有する。具体的には、「現在、○○階の乗場扉が故障中で一時的にエレベータを停止させております。対応者が向かっておりますので、復旧まで今しばらくエレベータの使用をお控えください」といった内容の音声案内を行う。
【0041】
上記構成のエレベータ10の作用について、図1〜図4を用いて説明する。図4は、乗客5が乗りかご20の中での一時的な閉じ込め状態となったときの閉じ込め対応処理を行う手順を示すフローチャートである。まず、最初に制御盤18は、エレベータ10において、閉じ込め状態が発生しているか否かについて判断する(S10)。この工程は、制御盤18の閉じ込め判断処理部182の機能によって実行される。S10において、閉じ込め状態が発生していないと判断したときは再びS10へと戻る。
【0042】
S10において、閉じ込め状態が発生していると判断されたときは、着床階27a,27b,27c等のうち、乗場扉28a,28b,28c等の故障が発生していると判断される階以外の着床階で乗りかご20を停止させて戸開し、エレベータ10を一時的に停止させた状態とする(S12)。この工程は、制御盤18のエレベータ停止処理部184の機能によって実行される。具体的には、例えば、着床階27bの乗場扉28bが開かずに閉じ込め状態が発生したときは、着床階27aあるいは着床階27cに移動させて停止させる。そして、例えば、着床階27aに停止させて乗場扉28aを開いた後に、保守作業員が到着して故障している乗場扉28bの修理を終えるまでの間は、各着床階27a,27b,27c等の呼び釦274a,274b,274cによる呼びを受け付けないようにしてエレベータ10を一時的に停止させる。これにより、同様に閉じ込め状態が発生することを防止することができ、乗客5,6に不便をかけてしまうこと抑制することができる。
【0043】
そして、乗りかご20内の照明を消灯する(S14)。この工程は、制御盤18の照明消灯処理部186の機能によって実行される。これにより、エレベータ10を一時的に停止していることを間接的に乗客5に知らせることができ、乗りかご20からの降車を促すことができる。
【0044】
次に、乗りかご20内に設けられるかご操作盤24のうちの戸開操作釦246以外の釦の操作を禁止する(S16)。この工程は、制御盤18の釦操作禁止処理部188の機能によって実行される。これにより、エレベータ10の停止中に、万一、乗りかご20内に乗客5が乗車したままであっても、戸開操作釦246を操作して乗りかご扉26及び乗場扉28aを開くことができる。したがって、乗客5は乗りかご20から降車することができる。
【0045】
また、戸開操作釦246を点灯させる機能を有する(S18)。この工程は、制御盤18の釦点灯処理部190の機能によって実行される。これにより、乗りかご20内の照明が消灯された場合であっても、戸開操作釦246の位置が確認しやすいため、乗客5は、容易に戸開操作釦246を操作して乗りかご20から降車することができる。
【0046】
さらに、各着床階27a,27b,27cの表示装置276a,276b,276c及び乗りかご20内に設けられるかご操作盤24の表示画面242に、エレベータ10を一時的に停止させている旨の表示をさせる(S20)。この工程は、制御盤18の表示処理部192の機能によって実行される。これにより、乗りかご20内にいる乗客5に対しては乗りかご20からの降車を促すことができる。そして、各着床階27a,27b,27cで乗りかご20を待っている乗客6に対しては注意喚起できるため、同様に閉じ込め状態が発生することを防止することができ、乗客6に不便をかけてしまうこと抑制することができる。
【0047】
また、閉じ込め状態が発生していることが原因でエレベータ10を一時的に停止させている旨を、エレベータ10を遠隔監視する遠隔監視センタに通知する(S22)。この工程は、制御盤18の通知処理部194の機能によって実行される。これにより、例えば、乗場扉28bが故障している場合に、保守作業員が乗場扉28bの修理等の対応を迅速に行うことができる。
【0048】
そして、エレベータ10を一時的に停止させている旨を音声によっても報知する(S24)。この工程は、制御盤18の音声報知処理部196の機能によって実行される。これにより、より確実に乗りかご20内にいる乗客5及び各着床階27a,27b,27cにいる乗客6に報知することができる。したがって、乗りかご20からの降車を促すことができるとともに、同様に閉じ込め状態が発生することを防止することができ、乗客6に不便をかけてしまうこと抑制することができる。
【0049】
このように、エレベータ10によれば、例えば、着床階27bにおいて、閉じ込め状態が発生した場合に、着床階27aに移動して乗場扉28aを開いて乗客5を降車させた後にエレベータ10を一時的に停止する。これにより、同様に閉じ込め状態が発生することを防止することができ、乗客5,6に不便をかけてしまうことを抑制することができる。
【0050】
次に、エレベータ10の変形例であるエレベータ11について説明する。エレベータ11とエレベータ10の相違点は、乗りかごが2つ設けられている点と、乗場壁に設けられる表示装置の代わりに乗場休止灯が設けられている点と、制御盤18のエレベータ停止処理部184と表示処理部192の機能であるため、その相違点を中心に説明する。
【0051】
図5は、エレベータ11において、着床階27bを示す図(エレベータ10を示す図2に対応した図)である。エレベータ11には、乗りかご201と、乗りかご202とを有している。そして、乗りかご201に対応して乗場扉281bが設けられており、乗りかご202に対応して乗場扉282bが設けられている。そして、乗場扉281bの周りには、インジケータ2721bと、呼び釦2741bと、乗場休止灯2771bとが設けられている。また、乗場扉282bの周りには、インジケータ2722bと、呼び釦2742bと、乗場休止灯2772bとが設けられている。
【0052】
乗場休止灯2771bには、乗りかご201が停止中であることを示す文字が表示可能な装置であり、乗りかご201が停止中のときに点灯して乗客6にお知らせする。そして、乗場休止灯2772bには、乗りかご202が停止中であることを示す文字が表示可能な装置であり、乗りかご202が停止中のときに点灯して乗客6にお知らせする。
【0053】
エレベータ停止処理部184は、閉じ込め判断処理部182によって閉じ込めが発生していると判断されたときは、着床階27a,27b,27c等のうち、乗場扉281a,282a,281b,282b,281c,282c等の故障が発生していると判断される階以外の着床階へ、乗りかご201,202のうち故障している乗場扉に対応する乗りかごを移動させる。そして、その着床階以外の着床階に対応する乗りかごを停止させた後にその乗場扉を戸開する。さらに、エレベータ11において、当該乗りかごを一時的に停止させた状態とする。具体的には、その後に各着床階27a,27b,27cの呼び釦2741a,2742a,2741b,2742b,2741c,2742cによる呼びを受け付けないようにする。具体的には、乗りかご201と乗りかご202のうち、例えば、乗りかご201に対応する乗場扉281bが故障している場合には、乗りかご201に対応する呼び釦2741a,2741b,2741cの操作を無効とし、乗りかご202に対応する呼び釦2742a,2742b,2742cの操作を有効のままとする。
【0054】
表示処理部192は、エレベータ停止処理部184によって、エレベータ11において、当該乗りかごを一時的に停止させた状態とした後に、各着床階27a,27b,27cの乗場休止灯2771a,2772a,2771b,2772b,2771c,2772c及び乗りかご20内に設けられるかご操作盤24の表示画面242にエレベータ11の当該乗りかごを一時的に停止させている旨の表示をさせる。具体的には、乗りかご201と乗りかご202のうち、例えば、乗りかご201に対応する乗場扉281bが故障している場合には、乗りかご201に対応する乗場休止灯2771a,2771b,2771cは点灯させ、乗りかご202に対応する乗場休止灯2772a,2772b,2772cは消灯したままの状態とする。
【0055】
上記構成のエレベータ11の作用について説明する。エレベータ11は、2つの乗りかご201,202を有しているため、このうち一方の乗りかごで閉じ込め状態が発生した場合であっても他方は利用することができる。具体的には、閉じ込め状態が発生している乗りかごに対応する呼び釦の操作を禁止するとともに、乗りかごに対応する乗場休止灯を点灯させることで乗客6に対して他方の乗りかごの利用を促す事ができる。また、これにより、同様に閉じ込め状態が発生することを防止することができ、乗客6に不便をかけてしまうこと抑制することができる。
【符号の説明】
【0056】
5,6 乗客、8 機械室、10,11 エレベータ、12 主ロープ、14 釣合錘、16 巻上機、18 制御盤、24 かご操作盤、26 乗りかご扉、27a,27b,27c 着床階、28a,28b,28c 乗場扉、30 昇降路、182 閉じ込め判断処理部、184 エレベータ停止処理部、186 照明消灯処理部、188 釦操作禁止処理部、190 釦点灯処理部、192 表示処理部、194 通知処理部、196 音声報知処理部、242 表示画面、244 行先階選択釦、246 戸開操作釦、248 戸閉操作釦、272a,272b,272c インジケータ、274a,274b,274c 呼び釦、276a,276b,276c 表示装置、281a,282a,281b,282b,281c,282c 乗場、2721a,2722a,2721b、2722b,2721c,2722c インジケータ、2741a,2742a,2741b,2742b,2741c,2742c 呼び釦、2771a,2772a,2771b,2772b,2771c,2772c 乗場休止灯。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の着床階で乗場扉が戸開せずに乗りかごの中で一時的に閉じ込め状態となったときの対応を行なう閉じ込め対応処理部を備えるエレベータにおいて、
前記閉じ込め対応処理部は、
前記特定の着床階以外の着床階へ前記乗りかごを移動させて前記特定の着床階以外の着床階の乗場扉を戸開した後に、前記エレベータを一時的に停止させた状態のままとすることを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベータにおいて、
前記閉じ込め対応処理部は、
前記乗りかご内の照明を消灯させることを特徴とするエレベータ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のエレベータにおいて、
前記閉じ込め対応処理部は、
前記乗りかご内に設けられるかご操作盤のうちの戸開操作釦以外の操作を禁止することを特徴とするエレベータ。
【請求項4】
請求項3に記載のエレベータにおいて、
前記閉じ込め対応処理部は、
前記戸開操作釦を点灯させることを特徴とするエレベータ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1に記載のエレベータにおいて、
前記閉じ込め対応処理部は、
乗場壁に設けられる表示部及び前記乗りかご内に設けられるかご操作盤の表示部の少なくとも1つに、前記エレベータを一時的に停止させている旨の表示をさせることを特徴とするエレベータ。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1に記載のエレベータにおいて、
前記閉じ込め対応処理部は、
乗場壁に設けられる乗場休止灯を点灯させることを特徴とするエレベータ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1に記載のエレベータにおいて、
前記エレベータは、複数の乗りかごを備え、
前記閉じ込め対応処理部は、
前記複数の乗りかごのうち、閉じ込め状態となっている乗りかごの呼び釦の操作を禁止することを特徴とするエレベータ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1に記載のエレベータにおいて、
前記閉じ込め対応処理部は、
前記乗りかごが閉じ込め状態であるため、前記エレベータを一時的に停止させている旨を遠隔監視センタに通知することを特徴とするエレベータ。
【請求項9】
請求項8に記載のエレベータにおいて、
前記閉じ込め対応処理部は、
乗客に対して前記エレベータを一時的に停止させている旨を音声によって報知することを特徴とするエレベータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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