説明

エンコーダ信号の伝送方法

【課題】本発明は、複数のケーブルをマッチングトランスによって接続し、インピーダンスマッチングを取るため、長い伝送路を可能とすることを目的とする。
【解決手段】本発明によるエンコーダ信号の伝送方法は、エンコーダ(1)と受信回路(3)との間の伝送路(4)にマッチングトランス(12)を設け、伝送路(4)全体のインピーダンスをマッチングさせ、長距離伝送を可能とする方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンコーダ信号の伝送方法に関し、特に、伝送路のインピーダンス変化部にマッチングトランスを設け、擬似交流信号化したエンコーダ信号を遠距離伝送させるための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のエンコーダとしては、例えば、特許文献1及び2に開示された構成があるが、一般に、インクリメンタルエンコーダ及びアブソリュートエンコーダであるかを問わず、軸停止中及び通信停止中には直流信号を出力するため、直流信号を用いた伝送路によってエンコーダ信号の伝送が行われていた。
【0003】
【特許文献1】特開平8−204572号公報
【特許文献2】特開平8−313300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のエンコーダ信号の伝送方法は、以上のように構成されているため、次のような課題が存在していた。
すなわち、エンコーダ信号が直流信号であるため、長距離伝送を行う場合、伝送路の途中で信号ケーブルの変更など特性インピーダンスに変化がある場合、トランシーバ等の中継回路を用いるか、又は、反射による影響を受けない程度の低周波で伝送していたため、信号のゲインの低下を避けることは難しく、長距離伝送は極めて困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるエンコーダ信号の伝送方法は、エンコーダからのエンコーダ信号を伝送路を介して受信回路に伝送するようにしたエンコーダ信号の伝送方法において、前記伝送路のインピーダンス変化部では、マッチングトランスを用いてインピーダンスマッチングを行う方法であり、前記インピーダンス変化部が複数存在する場合、前記各インピーダンス変化部にて前記マッチングトランスでインピーダンス変換を行い、前記伝送路の終端では、前記伝送路の最終の終端ケーブルのインピーダンスに相当する終端抵抗を用いて終端する方法であり、また、前記エンコーダ信号を、マンチェスタコードにて常に変化する擬似交流信号とするか、又は、前記エンコーダ信号に変調をかけることで擬似交流信号とする方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によるエンコーダ信号の伝送方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、エンコーダ信号を擬似交流信号化し、伝送路の接続部にマッチングトランスを用いているため、長距離伝送を行ってもエンコーダ信号のゲインが低下しにくく、広大な工場内での信号伝送を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、伝送路のインピーダンス変化部にマッチングトランスを設け、擬似交流信号化したエンコーダ信号を遠距離伝送させるようにしたエンコーダ信号の伝送方法を提供することを目的とする。
【実施例】
【0008】
以下、図面と共に本発明によるエンコーダ信号の伝送方法の好適な実施の形態について説明する。
図1において符号1で示されるものはアブソリュート型のエンコーダであり、このエンコーダ1から出力されるエンコーダ信号2は、周知のマンチェスタ符号等の常に変化する符号に変換した擬似交流信号、又は、FM方式又はAM方式による変調をかけて生成した擬似交流信号として、受信回路3迄の間に配設してある伝送路4に出力されている。
【0009】
前記伝送路4は、エンコーダ1と受信回路3との間が長距離であるため、数個の接続部、すなわち、インピーダンス変化部5が形成されている。
前記インピーダンス変化部5は、図1では1ヶ所のみしか示されていないが、実際には数ヶ所形成されている。
【0010】
前記伝送路4の場合、図1に示されるように、一対の前端ケーブル10及び終端ケーブル11は、互いにインピーダンスが異なるため、特性インピーダンスXΩと特性インピーダンスYΩとによって形成されている。
【0011】
前記前端ケーブル10と終端ケーブル11間は、双方のインピーダンスのマッチングを得るために、マッチングトランス12によって接続され、この終端ケーブル11の終端11aには終端抵抗13が設けられ、インピーダンスのバランスが得られるように構成されている。
尚、図1では、1ヶ所のインピーダンス変化部5が伝送路4に設けられている場合について述べているが、このインピーダンス変化部5の数は、伝送路4の長さに応じて決定される。
【0012】
次に、前述の構成において、伝送路4を形成するための前端ケーブル10と終端ケーブル11とは、マッチングトランス12によってその特性インピーダンスが同じであるため、エンコーダ1からのエンコーダ信号2は、信号ゲインの低下もなく受信回路3に入力されて受信される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるエンコーダ信号の伝送方法を示す構成図である。
【符号の説明】
【0014】
1 エンコーダ
2 エンコーダ信号
3 受信回路
4 伝送路
5 インピーダンス変化部(接続部)
10 前端ケーブル
11 終端ケーブル
11a 終端
12 マッチングトランス
13 終端抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンコーダ(1)からのエンコーダ信号(2)を伝送路(4)を介して受信回路(3)に伝送するようにしたエンコーダ信号の伝送方法において、
前記伝送路(4)のインピーダンス変化部(5)では、マッチングトランス(12)を用いてインピーダンスマッチングを行うことを特徴とするエンコーダ信号の伝送方法。
【請求項2】
前記インピーダンス変化部(5)が複数存在する場合、前記各インピーダンス変化部(5)にて前記マッチングトランス(12)でインピーダンス変換を行い、前記伝送路(4)の終端(11a)では、前記伝送路(4)の最終の終端ケーブル(11)のインピーダンスに相当する終端抵抗(13)を用いて終端することを特徴とする請求項1記載のエンコーダ信号の伝送方法。
【請求項3】
前記エンコーダ信号(2)を、マンチェスタコードにて常に変化する擬似交流信号とするか、又は、前記エンコーダ信号に変調をかけることで擬似交流信号とすることを特徴とする請求項1又は2記載のエンコーダ信号の伝送方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−28511(P2008−28511A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−196577(P2006−196577)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】