説明

エンジンの停止制御装置

【課題】走行時のエンジンの誤停止を防止しながら、確実かつ迅速にエンジンを緊急停止可能として安全性を確保できるようにしたエンジンの停止制御装置を提供する。
【解決手段】駐車ブレーキ作動に応じて作動する制御切換リレー(30)、走行用モード側と作業用モード側とに手動切り換え操作可能な制御切換スイッチ(24)、及び架装装置(4)近傍に配設された非常停止スイッチ(28)の操作状態に応じて作動する制御切換検出リレー(34)を用いることにより、エンジン(6)が作業用モードで運転しているときにのみ非常停止スイッチ(28)のエンジン停止側への操作によるエンジン(6)の停止を可能とすると共に、駐車ブレーキが作動していないときには制御モード切換スイッチ(24)を作業用モード側にしてもエンジン(6)の制御が走行用モードから作業用モードに切り換わらないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に架装された架装装置に動力取出装置を介して動力の伝達を行うエンジンの停止制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートポンプ車両やタンクローリ車両などのように架装装置を搭載した車両においては、架装装置を作動させる際に動力取出装置によって取り出したエンジンの動力を架装装置の動力として用いている。
架装装置を作動させる際には、安全の確保のため車両が停止している必要がある。このため、架装装置の作動中は、パーキングブレーキの作動状態などを検出することにより車両が停止していると判断したときにのみ動力取出装置によるエンジン動力の取り出しを許容し、車両が停止していないと判断するとエンジンを停止するようにしたエンジンの停止制御装置が特許文献1により提案されている。
【0003】
特許文献1の制御装置では、上述のように架装装置の作動中に車両が停止状態にないと判断すると、動力取り出し装置の作動を停止すると共にエンジンを停止するようにしているが、これとは別に架装装置側に非常停止スイッチを設け、架装装置に故障が発生した場合にもエンジンを緊急停止させるようにしている。
【特許文献1】特開2005−59657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の制御装置では、非常停止スイッチが操作されると必ずエンジンが停止されるようになっているため、例えば車両走行中に信号待ちなどで一時的に停止した際、第三者が非常停止スイッチを操作することによってエンジンが停止してしまい、車両が走行不能となるという問題がある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、走行時のエンジンの誤停止を防止しながら、確実かつ迅速にエンジンを緊急停止可能として安全性を確保できるようにしたエンジンの停止制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明のエンジンの停止制御装置は、車両に架装された架装装置に動力取出装置を介して動力の伝達を行うエンジンの停止制御装置であって、上記車両に搭載された電源から電力が供給されることにより上記エンジンを運転制御する一方、上記電力の供給が遮断されることにより上記エンジンを停止させると共に、上記エンジンを運転制御する際には、上記動力取出装置を介して上記架装装置に動力を伝達するときの作業用モードと、上記車両を走行させるときの走行用モードとの一方に選択的に切り換えて上記エンジンの制御を行う制御手段と、励磁コイルが非励磁の時に接点を閉じて上記電源から上記制御手段への電力供給を許容する一方、上記励磁コイルが励磁されて上記接点を開放することにより上記電源から上記制御手段への電力供給を遮断する電源遮断リレーと、上記車両の外側に配設され、手動によりエンジン停止側とエンジン運転側とに切換操作可能な非常停止スイッチと、上記非常停止スイッチが上記エンジン停止側にあるときには上記電源からの電力を供給して上記電源遮断リレーの励磁コイルを励磁する一方、上記非常停止スイッチが上記エンジン運転側にあるときには上記電源からの電力を遮断して上記電源遮断リレーの励磁コイルへの励磁を停止する接点及び同接点の開閉状態を切り換える励磁コイルを有する制御切換検出リレーと、手動により作業用モード側と走行用モード側とに切換操作可能であり、上記作業用モード側にあるときには、上記制御手段による上記エンジンの制御を上記作業用モードに切り換えると共に上記制御切換検出リレーの接点を介した上記電源から上記電源遮断リレーの励磁コイルへの電力供給を許容する一方、上記走行用モード側にあるときには上記制御手段による上記エンジンの制御を上記走行用モードに切り換えると共に上記制御切換検出リレーの接点を介した上記電源から上記電源遮断リレーの励磁コイルへの電力供給を遮断する制御モード切換スイッチと、上記車両の駐車ブレーキの作動を検出する駐車ブレーキ作動検出スイッチと、上記駐車ブレーキ作動スイッチが上記駐車ブレーキの作動を検出したときは上記制御切換検出リレーの接点を介した上記電源から上記電源遮断リレーの励磁コイルへの電力供給を許容すると共に上記制御モード切換スイッチによる上記制御手段の作業用モードへの切り換えを許容する一方、上記駐車ブレーキ作動スイッチが上記駐車ブレーキの作動を検出しないときは上記制御切換検出リレーの接点を介した上記電源から上記電源遮断リレーの励磁コイルへの電力供給を遮断すると共に上記制御モード切換スイッチによる上記制御手段の作業用モードへの切り換えを禁止する制御切換リレーとを備えたことを特徴とする(請求項1)。
【0006】
このように構成されたエンジンの停止制御装置によれば、車両の外側に配設された非常停止スイッチがエンジン運転側にあるときには制御切換検出リレーが電源から電源遮断リレーの励磁コイルへの電力供給を遮断して電源遮断リレーの励磁コイルを非励磁状態とするので、電源遮断リレーの接点が閉じ、電源から制御手段に電力が供給されて制御手段によりエンジンが運転制御される。
【0007】
このとき、制御モード切換スイッチが走行用モード側にあれば、制御手段によってエンジンが走行用モードで制御される。また、この状態で非常停止スイッチがエンジン停止側に操作された場合には、制御切換検出リレーの接点を介して電源から電源遮断リレーの励磁コイルへの電力供給を行おうとしても、制御モード切換スイッチが制御切換検出リレーの接点を介した電源から電源遮断リレーへの電力供給を遮断する。この結果、電源遮断リレーの励磁コイルは非励磁状態を維持し、電源から制御手段への電力供給が継続され、エンジンは引き続き運転状態を維持する。
【0008】
また、非常停止スイッチがエンジン運転側にあって、上述のようにしてエンジンが運転中であるときに、制御モード切換スイッチが作業用モード側になると、駐車ブレーキ作動検出スイッチが駐車ブレーキの作動を検出している場合には、制御モード切換スイッチによる制御手段の作業用モードへの切り換えが許容されるので、制御手段によるエンジンの制御が作業用モードとなる。従って、動力取り出し装置を介して取り出されたエンジンの動力を架装装置に伝達し、架装装置による作業を行うことが可能となる。
【0009】
一方、非常停止スイッチがエンジン運転側にあって、上述のようにしてエンジンが運転中であるときに、制御モード切換スイッチが作業用モード側になり、駐車ブレーキ作動検出スイッチが駐車ブレーキの作動を検出していない場合には、制御モード切換スイッチによる制御手段の作業用モードへの切り換えが禁止されるので、エンジンは引き続き制御手段によって走行用モードで制御されることになる。
【0010】
このように、駐車ブレーキが作動していないことにより、制御モード切換スイッチが作業用モード側となってもエンジンが走行用モードで制御される状態で、非常停止スイッチがエンジン停止側に操作された場合には、制御切換検出リレーが電源から電源遮断リレーの励磁コイルへの電力供給を行おうとしても、制御切換リレーが制御切換検出リレーを介した電源から電源遮断リレーへの電力供給を遮断するので、電源遮断リレーの励磁コイルは非励磁状態を維持し、電源から制御手段への電力供給が継続されエンジンは引き続き運転状態を維持する。
【0011】
エンジンが制御手段によって作業用モードで制御され、動力取り出し装置を介して取り出されたエンジンの動力を架装装置に伝達することにより、架装装置による作業が行われているときに、架装装置に何らかの故障が発生するなどして作業者が非常停止スイッチをエンジン停止側に操作すると、制御切換リレー及び制御モード切換スイッチが共に制御切換検出リレーの接点を介した電源から電源遮断リレーへの電力供給を許容するので、制御切換検出リレーの接点を介して電源遮断リレーの励磁コイルが励磁され、電源から制御手段への電力の供給が遮断されてエンジンが停止する。
【0012】
また具体的には、上記エンジンの停止制御装置において、上記制御切換リレーは、上記駐車ブレーキ作動検出スイッチが上記駐車ブレーキの作動を検出したときに励磁コイルが励磁されることによって閉じる接点を有し、上記制御切換検出リレーの接点は、上記非常停止スイッチが上記エンジン運転側にあるときに開放し、上記非常停止スイッチがエンジン停止側にあるときに閉じ、上記制御モード切換スイッチは、上記作業用モード側にあるときに閉じ、上記走行用モード側にあるときに開放する接点を有しており、上記電源と上記電源遮断リレーの励磁コイルとの間に、上記制御切換リレーの接点と、上記制御モード切換スイッチの接点と、上記制御切換検出リレーの接点とが直列に接続され、上記接点のいずれかが開放したときに、上記電源遮断リレーの励磁コイルが非励磁となることにより上記電源遮断リレーの接点が閉じて上記電源から上記制御手段への電力供給を許容することを特徴とする(請求項2)。
【0013】
このように構成されたエンジンの停止制御装置によれば、電源と電源遮断リレーの励磁コイルとの間に直列に接続された制御切換リレーの接点、制御モード切換スイッチの接点及び制御切換検出リレーの接点のいずれかが開放することにより、電源から電源遮断リレーの励磁コイルへの電力供給が遮断され、励磁コイルが非励磁となることにより電源遮断リレーの接点が閉じて電源から制御手段への電力供給が行われる。
【0014】
更に具体的には、上記エンジンの停止制御装置において、上記制御手段は、同制御手段の制御切換端子に上記電源の電圧が印加されたときに上記作業用モードで上記エンジンを制御する一方、上記制御切換端子への上記電源の電圧の印加が解除されたときに上記走行用モードで上記エンジンを制御するものであり、上記制御切換リレーの接点は上記制御モード切換スイッチの接点よりも上記電源側にあり、上記制御モード切換スイッチの接点は上記制御切換検出リレーの接点よりも上記電源側にあって、上記制御モード切換スイッチの接点と上記制御切換検出リレーの接点との接続点が上記制御手段の上記制御切換端子に接続されていることを特徴とする(請求項3)。
【0015】
このように構成されたエンジンの停止制御装置によれば、駐車ブレーキ作動検出スイッチが駐車ブレーキの作動を検出して制御切換リレーの接点が閉じると共に、制御モード切換スイッチが作業用モード側にあることにより、電源の電圧が制御手段の制御切換端子に印加され、エンジンが作業用モードで制御される。
また、以上のようなエンジンの停止制御装置において、上記非常停止スイッチは、上記エンジン停止側にあるときに開放する一方、上記エンジン運転側にあるときに閉じる接点を介し、上記制御切換検出用リレーの励磁コイルに上記電源を接続することによって上記制御切換検出用リレーの接点の開閉状態を切り換えることを特徴とする(請求項4)。
【0016】
このように構成されたエンジンの停止制御装置によれば、前述のようにしてエンジンが制御手段により作業用モードで制御されているときに、非常停止スイッチがエンジン停止側に操作されると、非常停止スイッチの接点が開放することにより制御切換検出リレーの接点が電源から電源遮断リレーの励磁コイルへの電力供給を遮断する。この結果、電源遮断リレーの接点が開放するによって電源から制御手段への電力供給が遮断されエンジンが停止する。
【発明の効果】
【0017】
本発明のエンジンの停止制御装置によれば、制御手段によってエンジンが作業用モードで制御されていない限り、非常停止スイッチがエンジン停止側に操作されてもエンジンが停止してしまうようなことがない。このため、例えば車両走行中に信号待ちなどで一時的に停止した際、車外の者が非常停止スイッチを操作するようなことがあっても、エンジンが停止して車両が走行不能となるようなことがない。
【0018】
また、駐車ブレーキが作動していない場合には、制御モード切換スイッチが作業用モード側に切り換えられても、エンジンは引き続き走行用モードで制御されるので、車両走行中に誤って制御モードスイッチが作業用モード側に操作されてしまっても、車両が走行不能となるようなことがない。
更に、駐車ブレーキが作動していると共に制御モード切換スイッチが作業用モード側となり、エンジンが作業用モードで制御されてエンジンの動力が動力取り出し装置を介して架装装置に伝達されているときに、架装装置に何らかの故障が生じるなどしてエンジンを緊急停止しなければならなくなった場合には、車両外側に配設された非常停止スイッチをエンジン停止側に操作することによってエンジンが直ちに停止するので、作業者が運転席まで行ってエンジンを停止する必要がなくなり、非常時にエンジンを速やかに停止することができる。
【0019】
また、電源遮断リレーの励磁コイルが非励磁の時に接点を閉じて電源から制御手段への電力供給を許容するようにしたので、何らかの理由により電源遮断リレーの励磁コイルに電力を供給することができなくなった場合であっても、制御手段への電力供給が遮断されてエンジンが運転不能となるようなことがない。
また、請求項2のエンジンの停止制御装置によれば、電源と電源遮断リレーの励磁コイルとの間に直列に接続された制御切換リレーの接点、制御モード切換スイッチの接点、及び制御切換検出リレーの接点のいずれかが開放することにより、電源から電源遮断リレーの励磁コイルへの電力供給が遮断され、励磁コイルが非励磁となることにより電源遮断リレーの接点が閉じて電源から制御手段への電力供給が行われるようにしたので、制御切換リレーの接点、制御モード切換スイッチの接点、及び制御切換検出リレーの接点のいずれかが経年変化などによって接触不良となっても、制御手段への電力供給が遮断されてエンジンが運転不能となるようなことはない。
【0020】
更に、請求項3のエンジンの停止制御装置によれば、駐車ブレーキ作動検出スイッチが駐車ブレーキの作動を検出して制御切換リレーの接点が閉じると共に、制御モード切換スイッチが作業用モード側にあって接点が閉じることにより、電源の電圧が制御手段の制御切換端子に印加され、エンジンが作業用モードで制御されるようになっている。従って、制御切換リレーの接点や制御モード切換スイッチの接点が経年変化などにより接触不良となった場合には、電源電圧が制御手段の制御切換端子に印加されずエンジンが走行用モードで制御されるので、車両の走行が不能となるようなことがない。このため、制御切換リレーの接点や制御モード切換スイッチの接点の不良を修理するために車両を修理工場などに移動させることが可能となる。
【0021】
また、非常停止スイッチをエンジン停止側に操作したときに閉じる接点を用いてエンジンを緊急停止するようにした場合には、非常停止スイッチの接点が経年劣化等により接触不良を生じたときにエンジンを緊急停止することができなくなるという問題が生じる可能性があり、特に非常停止スイッチは車両の外側に配設されているため、このような問題が発生しやすい。しかし、請求項4のエンジンの停止制御装置によれば、非常停止スイッチをエンジン停止側に操作したときに開放する接点を用いてエンジンの緊急停止を行うようにしているので、このような問題の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るエンジンの停止制御装置を備えた車両1の概略構成図である。図1に示すように、車両1は車両本体2と車両1に搭載された例えばコンクリートポンプのような架装装置4とからなり、車両本体2は、ディーゼルエンジン(以下エンジンという)6と、クラッチ8を介してエンジン6の動力が伝達され、図示しない車輪にエンジン6の動力を伝達して車両1を走行させる変速機10とを備えている。
【0023】
変速機10には動力取り出し装置(以下PTO装置という)12が連結されており、このPTO装置12は、PTO制御装置14によって作動を許容されることにより、変速機10に伝達されたエンジン6の動力を取り出すことができるようになっている。PTO装置12によって取り出されたエンジン6の動力は、駆動軸16を介して架装装置4に伝達され、伝達されたエンジン6の動力によって架装装置4が作動する。
【0024】
エンジンECU(制御手段)18は、エンジン6における燃料噴射量や燃料噴射時期などを調整することによりエンジン6を制御するものであり、後述する停止制御回路20を経由したバッテリ(電源)22から電力を供給されることによってエンジン6を運転制御し、停止制御回路20を経由したバッテリ22からの電力供給が遮断されることによりエンジン6を停止するようになっている。エンジンECU18によるエンジン6の制御は、車両1を走行させる際にアクセルペダル(図示せず)の操作量に応じてエンジン6を制御する走行用モードと、PTO装置12を介して取り出したエンジン6の動力によって架装装置4を作動させる際に架装装置4に設けられたロードセンサ(図示せず)の出力に応じてエンジン6を制御する作業用モードの2つの制御モードに選択的に切り換え可能となっている。
【0025】
停止制御回路20は、このようなエンジンECU18の制御モードの切り換えを、運転席近傍に配設された制御モード切換スイッチ24の操作状態に応じて行う。制御モード切換スイッチ24は走行用モード側と作業用モード側とに手動により切り換え操作可能となっており、走行用モード側にあるときには停止制御回路20がエンジンECU18によるエンジン6の制御モードを走行用モードとする一方で、作業用モード側にあるときには停止制御回路20がエンジンECU18によるエンジン6の制御モードを作業用モードとする。
【0026】
また、このときPTO制御装置14は制御モード切換スイッチ24の操作状態に応じてPTO装置12を制御し、制御モード切換スイッチ24が作業用モード側にあるときにはP路制御装置14がPTO装置12の作動を許容してエンジン6の動力が架装装置4に伝達される一方で、走行用モード側になっているときにはPTO制御装置14がPTO装置12の作動を禁止する。
【0027】
停止制御回路20はこのほかに、上述したようにエンジンECU18への電力供給を制御することによって、エンジンECU18によるエンジン6の運転及び停止を制御する。そして停止制御回路20は、イグニッションスイッチ26を介してバッテリ22から供給される電力により作動し、イグニッションスイッチ26がオン状態のときには、バッテリ22から供給される電力が停止制御回路20を介してエンジンECU18に供給されることによってエンジン6が運転する一方、エンジン6の運転中にイグニッションスイッチ26がオフ状態となることにより、バッテリ22から停止制御回路20を介したエンジンECU18への電力供給が遮断されることによってエンジン6が停止する。
【0028】
架装装置4の近傍、即ち車両1の外側には非常停止スイッチ28が設けられており、架装装置4がエンジン6の動力を受けて作動しているときに、例えば油圧機構の故障などで架装装置4に異常が発生した場合、作業者がこの非常停止スイッチ28を押すことによって、エンジン6を緊急停止させることができるようになっている。即ち、非常停止スイッチ28を押した状態がエンジン停止側、非常停止スイッチ28を押していない状態がエンジン運転側となる。
【0029】
次に、停止制御回路20について図2に基づき以下に詳細に説明する。
図2に示すように、停止制御回路20は、負極側が車体に接地されたバッテリ22の正極がイグニッションスイッチ26を介して電源端子20aに接続され、接地端子20bが車体に接地されると共に、制御モード切換スイッチ24、エンジンECU18及び非常停止スイッチ28が接続されている。
【0030】
制御モード切換スイッチ24は、走行用モード側にあるときに開放し、作業用モード側にあるときに閉じる接点を有している。
エンジンECU18は、バッテリ22から電力が供給されることによりエンジン6を運転制御するための電力供給端子18aと、バッテリ22の電圧が印加されることによりエンジン6の制御モードを作業用モードとする一方、バッテリ22の電圧の印加が解除されることによりエンジン6の制御モードを走行用モードとする制御切換端子18bと、エンジンECU18内の電子回路の接地ラインを車体側に接地するための接地端子18cとを備えている。
【0031】
非常停止スイッチ28は、前述したように架装装置4の近傍に配設されており、作業者によって操作されたとき、即ちエンジン停止側に操作されたときに開放し、作業者が操作していないとき、即ちエンジン運転側にあるときに閉じる接点を有している。
停止制御回路20は、励磁コイル30aが非励磁の時に開放し、励磁された時に閉じる接点30bを有した制御切換リレー30と、励磁コイル32aが非励磁の時に閉じ、励磁された時に開放する接点32bを有した電源遮断リレー32と、励磁コイル34aが非励磁の時に閉じ、励磁された時に開放する接点34bを有した制御切換検出リレー34と、駐車ブレーキ作動検出スイッチ36とを備えている。
【0032】
この駐車ブレーキ作動検出スイッチ36は、車両1の駐車ブレーキ(図示せず)が作動中であるときに閉じ、駐車ブレーキが作動していないときに開放する接点を有しており、この接点の開閉により駐車ブレーキが作動しているか否かを検出している。
電源遮断リレー32の接点32bは、一方の端子が回路保護用のヒューズ40を介して電源端子20aと接続され、他方の端子がエンジンECU18の電力供給端子18aに接続されている。従って、イグニッションスイッチ26がオン状態にあって、電源遮断リレー32の励磁コイル32aが非励磁の場合に接点32bを介してエンジンECU18の電力供給端子18aにバッテリ22からの電力が供給され、エンジンECU18によってエンジン6が運転制御される。また、電源遮断リレー32の励磁コイル32aが励磁されると接点32bが開放し、バッテリ22からエンジンECU18への電力供給が遮断されてエンジン6が停止する。
【0033】
電源遮断リレー32の励磁コイル32aは、その一方の端子が、直列に接続された回路保護用のヒューズ38、制御切換リレー30の接点30b、制御モード切換スイッチ24の接点、及び制御切換検出リレー34の接点34bを介して電源端子20aに接続されると共に、他方の端子が接地端子20bを介して接地されている。なお、制御切換リレー30の接点30b、制御モード切換スイッチ24の接点、及び制御切換検出リレー34の接点34bは、電源端子20a側、即ちバッテリ22に近い側からこの順番で直列に接続されている。
【0034】
また、制御切換リレー30の励磁コイル30aは、一方の端子がヒューズ38を介して電源端子20aに接続されると共に、他方の端子が駐車ブレーキ作動検出スイッチ36の接点を介して接地端子20bに接続されている。従って、駐車ブレーキが作動状態にあって駐車ブレーキ作動検出スイッチ36の接点が閉じているときには、制御切換リレー30の励磁コイル30aが励磁されて接点30bが閉じる一方、駐車ブレーキが作動状態になく駐車ブレーキ作動検出スイッチ36の接点が開放しているときには、制御切換リレー30の励磁コイル30aが非励磁となって接点30bが開放する。
【0035】
制御切換検出リレー34の励磁コイル34aは、一方の端子が非常停止スイッチ28の接点及び回路保護用のヒューズ42を介して電源端子20aに接続され、他方の端子が接地端子20bに接続されている。従って、非常停止スイッチ28が操作されずにエンジン運転側にあるときには、非常停止スイッチ28の接点が閉じているため、制御切換検出リレー34の励磁コイル34aが励磁されて接点34bが開放し、非常停止スイッチ28が操作されてエンジン停止側となったときには、非常停止スイッチ28の接点が開放するため、制御切換検出リレー34の励磁コイル34aが非励磁となって接点34bが閉じる。
【0036】
また、エンジンECU18の制御切換端子18bは、前述のように直列に接続された制御モード切換スイッチ24の接点と制御切換検出リレー34の接点34bとの接続点に接続されている。即ち、直列に接続された制御切換リレー30の接点30bと、制御モード切換スイッチ24の接点とを介し、電源端子20aに接続されたヒューズ38に接続されている。
【0037】
以上のように構成された停止制御回路20によるエンジンECU18の制御モードの切換制御と、エンジン6の停止制御について説明する。
まず、制御モード切換スイッチ24が走行モード側にあるときに、イグニッションスイッチ26がオンされた場合、非常停止スイッチ28が操作されていなければ、制御切換検出リレー34の励磁コイル34aは非常停止スイッチ28の閉じた接点を介したバッテリ22からの電力供給により励磁され、制御切換検出リレー34の接点34bが開放する。この結果、電源遮断リレー32の励磁コイル32aにはバッテリ22からの電力が供給されることがないので、電源遮断リレー32の接点32bは閉じた状態となり、この接点32bを介してエンジンECU18の電力供給端子18aにバッテリ22からの電力が供給される。このときエンジン6はイグニッションスイッチ22のオン操作時に図示しないセルモータによってクランキングされ、これに合わせてバッテリ22からの電力供給を受けたエンジンECU18がエンジン6を運転制御することにより、エンジン6が始動する。
【0038】
制御モード切換スイッチ24は走行用モード側となっているので、その接点が開放状態にあり、エンジンECU18の制御切換端子18bにバッテリ22の電圧が印加されことはない。従って、エンジンECU18はエンジン6を走行用モードで制御する。
このようにしてエンジン6が運転している状態で、何らかの理由により非常停止スイッチ28がエンジン停止側に操作された場合、非常停止スイッチ28の接点が開放することにより制御切換検出リレー34の励磁コイル34aにはバッテリ22からの電力が供給されなくなり非励磁状態となるので、制御切換検出リレー34の接点34bが閉じる。
【0039】
しかしながら、このとき制御モード切換スイッチ24は走行用モード側にあってその接点が開放しているので、電源遮断リレー32の励磁コイル32aにはバッテリ22から電力が供給されず非励磁状態のままとなり、電源遮断リレー32のスイッチ32bは閉じたままとなる。従って、エンジンECU18の電力供給端子18aには引き続きバッテリ22から電力が供給され、エンジン6は走行用モードで運転を継続する。
【0040】
従って、車両1を走行させている状態で、例えば信号待ちなどで一時停止したような場合に、車外の者が非常停止スイッチをエンジン停止側に操作したとしても、エンジン6は停止しないので車両1が走行不能となるようなことがない。
次に、上述のようにしてエンジン6が走行用モードで運転制御されているときに制御モード切換スイッチが作業用モードに切り換えられた場合、駐車ブレーキが作動していれば駐車ブレーキ作動検出スイッチ36の接点が閉じているので、制御切換リレー30の励磁コイル30aにバッテリ22から電力が供給される。このため、制御切換リレー30の接点30bが閉じることにより、制御モード切換スイッチ24の接点及び制御切換リレー30の接点30bを介してエンジンECU18の制御切換端子18bにバッテリ24の電圧が印加される。この結果、エンジンECU18は制御モードを走行用モードから作業用モードに切り換えてエンジン6を制御する。
【0041】
制御モード切換スイッチ24が作業用モードに切り換わったことを受け、PTO制御装置14がPTO装置12によるエンジン6の動力の取り出しを許容し、PTO装置12によって取り出されたエンジン6の動力が駆動軸16を介して架装装置4に伝達され、架装装置4がエンジン6の動力によって作動する。
一方、エンジン6が走行用モードで運転制御されているときに制御モード切換スイッチが作業用モードに切り換えられた場合、駐車ブレーキが作動していないと、駐車ブレーキ作動検出スイッチ36の接点が開放しているので、制御切換リレー30の励磁コイル30aにはバッテリ22からの電力が供給されていない。このため、制御切換リレー30の接点30bは開放しており、エンジンECU18の制御切換端子18bにバッテリ24の電圧が印加されることはない。従って、エンジンECU18は引き続きエンジン6を走行用モードで制御する。
【0042】
このように、駐車ブレーキが作動していない場合には、制御モード切換スイッチ24が作業用モード側に切り換えられても、エンジンECU18によるエンジン6は作業用モードに切り換わらず、エンジン6は走行用モードでの運転を継続するので、車両1が走行状態にあるときに、何らかの理由により制御モード切換スイッチ24が誤って作業用モード側に切り換わっても、車両1が走行不能となるようなことがない。なお、このときPTO制御装置14は駐車ブレーキが作動していないことから、PTO装置12によるエンジン6の動力の取り出しを禁止している。
【0043】
また、このときに非常停止スイッチ28がエンジン停止側に操作された場合にも、駐車ブレーキ作動検出スイッチ36の接点が開放状態にあることから、制御切換リレー30の励磁コイル30aにバッテリ22からの電力が供給されず、制御切換リレー30の接点30bが開放しているので、電源遮断リレー32の励磁コイル32aにはバッテリ22から電力が供給されることはない。このため、電源遮断リレー32の接点32bは引き続き閉じた状態となり、エンジンECU18の電力供給端子にはバッテリ22から電力が供給され、エンジン6は引き続き走行用モードで制御され運転を継続する。
【0044】
従って、エンジンECU18によりエンジン6が走行用モードで制御されている限り、非常停止スイッチ28がエンジン停止側に操作されてもエンジン6が誤って停止されてしまうようなことはない。
駐車ブレーキが作動しており、制御モード切換スイッチ24が作業用モード側になっていることにより上述のようにエンジン6がエンジンECU18によってエンジン6が作業用モードで制御され、架装装置4がエンジン6からの動力で作動しているときに、例えば油圧機構の故障などで架装装置4に異常が発生した場合には、作業者が非常停止スイッチ28を押してエンジン停止側に操作する。
【0045】
非常停止スイッチ28がエンジン停止側に操作されることにより非常停止スイッチ28の接点が開放し、バッテリ22から制御切換検出リレー34の励磁コイル34aへの電力供給が遮断される。制御切換検出リレー34の励磁コイル34aが非励磁となることにより、制御切換検出リレー34の接点34bが閉じるが、接点34bと直列に接続された制御切換リレー30の接点30b及び制御モード切換スイッチ24の接点がいずれも閉じていることから、電源遮断リレー32の励磁コイル32aにはバッテリ22から電力が供給され、電源遮断リレー32の接点32bが開放する。この結果、電源遮断リレー32の接点32bを介してエンジンECU18の電力供給端子18aに供給されていたバッテリ22の電力が遮断され、エンジン6が停止する。
【0046】
このように、架装装置4に何らかの故障が生じた場合には作業者が非常停止スイッチ28をエンジン停止側に操作することにより、エンジン6を緊急停止して安全を確保することができる。また、このとき非常停止スイッチ28は車両1の外側である架装装置4の近傍に配設されているので、作業者は運転席まで行かずに直ちに非常停止スイッチ28を操作し、迅速にエンジン6を停止することができる。
【0047】
上述のようにして、制御モード切換スイッチ24が作業用モード側とされることによりエンジン6が作業用モードで運転しているときに、制御モード切換スイッチ24が走行用モード側に切り換えられると、制御モード切換スイッチ24の接点が開放することによりエンジンECU18の制御切換端子18bに対するバッテリ22の電圧印加が解除されるので、エンジンECU18はエンジン6の制御モードを作業用モードから走行用モードに切り換え、エンジン6は走行用モードで制御される。この結果、車両1は走行可能な状態となる。なお、制御モード切換スイッチ24の走行用モード側への切り換えを受け、PTO制御装置14はPTO装置12によるエンジン6の動力取り出しを禁止する。
【0048】
以上のように、本実施形態における停止制御回路20によれば、エンジン6が作業用モードで運転していない限り、非常停止スイッチ28がエンジン停止側に操作されてもエンジン6が停止してしまうようなことがない。このため、例えば車両1が走行中に信号待ちなどで一時的に停止した際、車外の者が非常停止スイッチ28を操作するようなことがあっても、エンジン6が停止して車両が走行不能となるようなことがない。
【0049】
また、駐車ブレーキが作動していない場合には、制御モード切換スイッチ24が作業用モード側に切り換えられても、エンジン6は引き続き走行用モードで制御されるので、車両1が走行中に、誤って制御モードスイッチ24が作業用モード側に操作されてしまっても、車両1が走行不能となるようなことがない。
更に、エンジン6が作業用モードで制御されてエンジン6の動力がPTO装置12を介して架装装置4に伝達されているときに、架装装置4に何らかの故障が生じるなどしてエンジン6を緊急停止しなければならなくなった場合には、車両1の外側である架装装置4の近傍に配設された非常停止スイッチ28をエンジン停止側に操作することによってエンジン6が直ちに停止するので、作業者が運転席まで行ってエンジン6を停止する必要がなくなり、非常時にエンジン6を速やかに停止することができる。
【0050】
また、これらの効果に加え、本実施形態の停止制御回路20を用いることにより、以下のような効果が得られる。
本実施形態において非常停止スイッチ28は、エンジン停止側に操作されたときに開放する接点を用いるようにしている。
スイッチなどの接点は常時開放状態としている場合、開放状態が長く継続すると経年変化により接触不良が発生しやすく、接点を閉じても電気的に良好な接続状態が得られなくなる可能性がある。逆に常時閉状態としている場合にはこのような接触不良が発生しにくく、接点を開放することにより確実に電気的接続を遮断することができる。即ち、非常停止スイッチ28がエンジン停止側に操作されたときに閉じるような接点を用いると、接点が経年変化などによって接触不良となった場合に常に開放状態となり、エンジン6を緊急停止したい場合に停止できなくなるという問題が発生する。これに対し、本実施形態のように、非常停止スイッチ28をエンジン停止側に操作されたときに開放する接点を用いることにより、接触不良が生じる可能性が少なくなると共にエンジン6を停止する必要があるときには接点を開放して確実にエンジン6を停止させることができ、上述したような問題の発生を回避することができるという効果を有する。
【0051】
また、電源遮断リレー32の励磁コイル32aが非励磁の時に接点32bを閉じてバッテリ22からエンジンECU18への電力供給を許容するようにしたので、何らかの理由により電源遮断リレー32の励磁コイル32aに電力を供給することができなくなった場合であっても、エンジンECU18への電力供給が遮断されてエンジン6が運転不能となるようなことがない。
【0052】
更に、バッテリ22から電源遮断リレー32の励磁コイル32aへの電力の供給は、電源端子20aに接続されたヒューズ38と励磁コイル32aとの間に直列に接続された制御切換リレー30の接点30b、制御モード切換スイッチ24の接点、及び制御切換検出リレー34の接点34bのいずれかが開放することにより遮断されるようになっている。そして、電源遮断リレー32の励磁コイル32aが非励磁となることにより接点32bが閉じ、バッテリ22からエンジンECU18の電力供給端子18aへの電力供給が行われるようになっているので、制御切換リレー30の接点30b、制御モード切換スイッチ24の接点及び制御切換検出リレー34bの接点のいずれかが経年変化などによって接触不良となっても、バッテリ22からエンジンECU18の電力供給端子18aへの電力供給が遮断されてエンジン6の運転ができなくなるようなことはない。
【0053】
また、駐車ブレーキ作動検出スイッチ36が駐車ブレーキの作動により接点を閉じ、制御切換リレー30の励磁コイル30aが励磁されて接点30bが閉じると共に、制御モード切換スイッチ24が作業用モード側にあってその接点が閉じることにより、バッテリ24の電圧がエンジンECU18の制御切換端子18bに印加され、エンジン6が作業用モードで制御されるようになっている。従って、制御切換リレー30の接点30bや制御モード切換スイッチ24の接点が経年変化などにより接触不良となった場合には、バッテリ24の電圧がエンジンECU18の制御切換端子18bに印加されずエンジン6が走行用モードで制御されるので、車両1の走行が不能となるようなことがない。このため、不良となった制御切換リレー30の接点30bや制御モード切換スイッチ24の接点を修理するために車両1を修理工場などに移動させることが可能となる。
【0054】
以上で本発明の一実施形態に係るエンジンの停止制御装置についての説明を終えるが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。
例えば、制御モード切換スイッチ24は運転席近傍に配設するようにしたが、架装装置4側など運転席以外の場所に設けるようにしても良い。
また、エンジン6はディーゼルエンジン以外のタイプであっても良いし、クラッチ8についてもこれを用いない車両に適用可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態に係るエンジンの停止制御装置を備えた車両の概略構成図である。
【図2】図1のエンジンの停止制御装置における停止制御回路の回路図である。
【符号の説明】
【0056】
4 架装装置
6 エンジン
12 動力取り出し装置
18 エンジンECU(制御手段)
18b 制御切換端子
20 停止制御回路
22 バッテリ(電源)
24 制御モード切換スイッチ
28 非常停止スイッチ
30 制御切換リレー
32 電源遮断リレー
34 制御切換検出リレー
36 駐車ブレーキ作動検出スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に架装された架装装置に動力取出装置を介して動力の伝達を行うエンジンの停止制御装置であって、
上記車両に搭載された電源から電力が供給されることにより上記エンジンを運転制御する一方、上記電力の供給が遮断されることにより上記エンジンを停止させると共に、上記エンジンを運転制御する際には、上記動力取出装置を介して上記架装装置に動力を伝達するときの作業用モードと、上記車両を走行させるときの走行用モードとの一方に選択的に切り換えて上記エンジンの制御を行う制御手段と、
励磁コイルが非励磁の時に接点を閉じて上記電源から上記制御手段への電力供給を許容する一方、上記励磁コイルが励磁されて上記接点を開放することにより上記電源から上記制御手段への電力供給を遮断する電源遮断リレーと、
上記車両の外側に配設され、手動によりエンジン停止側とエンジン運転側とに切換操作可能な非常停止スイッチと、
上記非常停止スイッチが上記エンジン停止側にあるときには上記電源からの電力を供給して上記電源遮断リレーの励磁コイルを励磁する一方、上記非常停止スイッチが上記エンジン運転側にあるときには上記電源からの電力を遮断して上記電源遮断リレーの励磁コイルへの励磁を停止する接点及び同接点の開閉状態を切り換える励磁コイルを有する制御切換検出リレーと、
手動により作業用モード側と走行用モード側とに切換操作可能であり、上記作業用モード側にあるときには、上記制御手段による上記エンジンの制御を上記作業用モードに切り換えると共に上記制御切換検出リレーの接点を介した上記電源から上記電源遮断リレーの励磁コイルへの電力供給を許容する一方、上記走行用モード側にあるときには上記制御手段による上記エンジンの制御を上記走行用モードに切り換えると共に上記制御切換検出リレーの接点を介した上記電源から上記電源遮断リレーの励磁コイルへの電力供給を遮断する制御モード切換スイッチと、
上記車両の駐車ブレーキの作動を検出する駐車ブレーキ作動検出スイッチと、
上記駐車ブレーキ作動スイッチが上記駐車ブレーキの作動を検出したときは上記制御切換検出リレーの接点を介した上記電源から上記電源遮断リレーの励磁コイルへの電力供給を許容すると共に上記制御モード切換スイッチによる上記制御手段の作業用モードへの切り換えを許容する一方、上記駐車ブレーキ作動スイッチが上記駐車ブレーキの作動を検出しないときは上記制御切換検出リレーの接点を介した上記電源から上記電源遮断リレーの励磁コイルへの電力供給を遮断すると共に上記制御モード切換スイッチによる上記制御手段の作業用モードへの切り換えを禁止する制御切換リレーと
を備えたことを特徴とするエンジンの停止制御装置。
【請求項2】
上記制御切換リレーは、上記駐車ブレーキ作動検出スイッチが上記駐車ブレーキの作動を検出したときに励磁コイルが励磁されることによって閉じる接点を有し、
上記制御切換検出リレーの接点は、上記非常停止スイッチが上記エンジン運転側にあるときに開放し、上記非常停止スイッチがエンジン停止側にあるときに閉じ、
上記制御モード切換スイッチは、上記作業用モード側にあるときに閉じ、上記走行用モード側にあるときに開放する接点を有しており、
上記電源と上記電源遮断リレーの励磁コイルとの間に、上記制御切換リレーの接点と、上記制御モード切換スイッチの接点と、上記制御切換検出リレーの接点とが直列に接続され、上記接点のいずれかが開放したときに、上記電源遮断リレーの励磁コイルが非励磁となることにより上記電源遮断リレーの接点が閉じて上記電源から上記制御手段への電力供給を許容することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの停止制御装置。
【請求項3】
上記制御手段は、同制御手段の制御切換端子に上記電源の電圧が印加されたときに上記作業用モードで上記エンジンを制御する一方、上記制御切換端子への上記電源の電圧の印加が解除されたときに上記走行用モードで上記エンジンを制御するものであり、
上記制御切換リレーの接点は上記制御モード切換スイッチの接点よりも上記電源側にあり、上記制御モード切換スイッチの接点は上記制御切換検出リレーの接点よりも上記電源側にあって、上記制御モード切換スイッチの接点と上記制御切換検出リレーの接点との接続点が上記制御手段の上記制御切換端子に接続されていることを特徴とする請求項2に記載のエンジンの停止制御装置。
【請求項4】
上記非常停止スイッチは、上記エンジン停止側にあるときに開放する一方、上記エンジン運転側にあるときに閉じる接点を介し、上記制御切換検出用リレーの励磁コイルに上記電源を接続することによって上記制御切換検出用リレーの接点の開閉状態を切り換えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエンジンの停止制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−187048(P2007−187048A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4915(P2006−4915)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】