説明

エンジンの冷却装置

【課題】エンジン内の任意の各部およびEGR装置のEGRガスを冷却するように冷却水が循環する冷却水循環路を具備しサーモケースに流入した冷却水が所定温度未満のときにラジエータを経由せずにエンジンのウォータジャケットを冷却水が流通するように構成されるエンジンの冷却装置を簡素な構造で実現する。
【解決手段】エンジンの冷却装置1は、ポンプ23から流出してウォータジャケット21に流入し、サーモケース30に流入し、ラジエータ40に流入し、ポンプ23に流入するように冷却水が循環するラジエータ側冷却水循環路11と、ポンプ23から流出してウォータジャケット21に流入し、EGRクーラ51に流入し、ポンプ23に流入するように冷却水が循環するEGRクーラ側冷却水循環路12と、を備え、サーモケース30に流入した冷却水が所定温度未満のときにはEGRクーラ側冷却水循環路12を冷却水が循環するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン内の任意の各部およびEGR装置のEGRクーラ内を流通するEGRガスを冷却するように冷却水が循環する冷却水循環路を具備する、エンジンの冷却装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジン内の任意の各部(例えば、シリンダやピストン等)およびEGR(Exhaust Gas Recirculation)装置のEGRクーラ内を流通するEGRガスを冷却するように冷却水が循環する冷却水循環路を具備する、エンジンの冷却装置に関する技術は公知となっている(特許文献1参照)。
前記エンジンの冷却装置の冷却水循環路は、エンジン内の任意の各部を冷却するように冷却水が循環する冷却水循環路と、EGR装置のEGRクーラ内を流通するEGRガスを冷却するように冷却水が循環する冷却水循環路と、を備えて構成される。
【0003】
また、エンジンの冷却装置には、その冷却水循環路のうち前記エンジン内の任意の各部を冷却するように冷却水が循環する冷却水循環路にバイパス路を備え、エンジンの暖機が終了するまで、ラジエータを経由せずにバイパス路を経由して冷却水が循環し、エンジンの暖機が終了した後、バイパス路を経由せずにラジエータを経由して冷却水が循環するように構成されるものがある。
【0004】
前記エンジン内の任意の各部を冷却するように冷却水が循環する冷却水循環路にバイパス路が備えられるエンジンの冷却装置について、図5乃至図8を用いて詳細に説明する。なお、図7または図8中に示す矢印は、冷却水が流通する方向を示すものとする。
図5乃至図8に示すように、エンジンの冷却装置(以下「冷却装置」という)101は、エンジン120内の任意の各部を冷却するように冷却水が循環する冷却水循環路111と、EGR装置150のEGRクーラ151内を流通するEGRガスを冷却するように冷却水が循環する冷却水循環路112と、を具備する。
エンジン120はウォータジャケット121およびファン122等を備えて構成される。
【0005】
冷却装置101の冷却水循環路111は、バイパス路167を備え、エンジン120の暖機が終了するまで、ラジエータ140を経由せずにバイパス路167を経由してポンプ123に流入するように冷却水が循環する構成とされる。
【0006】
冷却装置101の冷却水循環路111は、サーモケース130に流入した冷却水が所定温度未満のとき(エンジン120の暖機が終了するまで)、ポンプ123から流出して流路161を介してエンジン120のウォータジャケット121に流入し、エンジン120のウォータジャケット121から流出して流路162を介してサーモケース130に流入し、サーモケース130から流出してバイパス路167を介してポンプ123に流入するように冷却水が循環する構成とされる。
冷却装置101の冷却水循環路111は、サーモケース130に流入した冷却水が所定温度以上のとき(エンジン120の暖機が終了した後)、ポンプ123から流出して流路161を介してエンジン120のウォータジャケット121に流入し、エンジン120のウォータジャケット121から流出して流路162を介してサーモケース130に流入し、サーモケース130から流出して流路163を介してラジエータ140に流入し、ラジエータ140から流出して流路164を介してポンプ123に流入するように冷却水が循環する構成とされる。
このようにして冷却装置101の冷却水循環路111は、サーモケース130に流入した冷却水が所定温度未満のときには、ラジエータ140を経由せずにバイパス路167を介してエンジン120のウォータジャケット121を冷却水が流通するように構成される。
【0007】
冷却装置101の冷却水循環路112は、サーモケース130に流入した冷却水の温度にかかわらず(エンジン120の暖機が終了するか否かにかかわらず)、ポンプ123から流出して流路165を介してEGR装置150のEGRクーラ151に流入し、EGR装置150のEGRクーラ151から流出して流路166を介してポンプ123に流入するように冷却水が循環する構成とされる。
【0008】
冷却装置101のサーモケース130内にはサーモスタット131が配置される。
サーモスタット131は、第一弁体132、第一付勢部材133、温感部134、第二弁体136、および、第二付勢部材137等を有して構成される。
サーモスタット131は、エンジン120のウォータジャケット121側からサーモケース130に流入した冷却水が所定温度未満のときには、第一弁体132がラジエータ140側への冷却水の流出口135に着座して流出口135を閉鎖(閉弁)するとともに、第二弁体136がポンプ123側(バイパス路167側)への冷却水の流出口138から離座して流出口138を開放(開弁)するように構成される(図8(A)参照)。
サーモスタット131は、エンジン120のウォータジャケット121側からサーモケース130に流入した冷却水が所定温度以上のときには、温感部134に収納されるサーモワックスが膨張して、第一弁体132がラジエータ140側への冷却水の流出口135から離座して流出口135を開放(開弁)するとともに、第二弁体136がポンプ123側(バイパス路167側)への冷却水の流出口138に着座して流出口138を閉鎖(閉弁)するように構成される(図8(B)参照)。
【0009】
冷却装置101は、サーモケース130とラジエータ140とが連通管173を介して連通するように構成される。連通管173の内部は、流路163(サーモケース130から流出した冷却水がラジエータ140に流入する冷却水の流路)として構成される。
冷却装置101は、ラジエータ140とポンプ123とが連通管174を介して連通するように構成される。連通管174の内部は、流路164(ラジエータ140から流出した冷却水がポンプ123に流入する冷却水の流路)として構成される。
冷却装置101は、サーモケース130とポンプ123とがバイパス管175を介して連通するように構成される。バイパス管175の内部は、バイパス路167(サーモケース130から流出した冷却水がポンプ123に流入する冷却水の流路)として構成される。
【0010】
また、EGR装置150は、EGRクーラ151、EGRパイプ152、EGRバルブ153、インレットパイプ154、および、アウトレットパイプ155等を備えて構成される。
EGR装置150のEGRクーラ151は、ポンプ123から流出した冷却水がインレットパイプ154を介して流入してEGRクーラ151の内部を流通するとともに、前記EGRクーラ151の内部を流通した冷却水がアウトレットパイプ155へ流出するように構成される。
EGR装置150のインレットパイプ154の内部は、流路165(ポンプ123から流出した冷却水がEGRクーラ151に流入する冷却水の流路)の一部として構成される。EGR装置150のアウトレットパイプ155の内部は、流路166(EGRクーラ151から流出した冷却水がポンプ123に流入する冷却水の流路)の一部として構成される。
以上のようにして、冷却装置101は構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−325368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このように構成される従来の冷却装置101(エンジン120内の任意の各部およびEGR装置150のEGRクーラ151内を流通するEGRガスを冷却するように冷却水が循環する冷却水循環路111・112を具備し、サーモケース130に流入した冷却水が所定温度未満のときにラジエータ140を経由せずにエンジン120のウォータジャケット121を冷却水が流通するように構成されるもの)は、バイパス路167を具備するために、その構造が繁雑なものとなっていた。
【0013】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、エンジン内の任意の各部およびEGR装置のEGRクーラ内を流通するEGRガスを冷却するように冷却水が循環する冷却水循環路を具備し、サーモケースに流入した冷却水が所定温度未満のときにラジエータを経由せずにエンジンのウォータジャケットを冷却水が流通するように構成されるエンジンの冷却装置を、簡素な構造で実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0015】
即ち、請求項1においては、エンジン内の任意の各部およびEGR装置のEGRクーラ内を流通するEGRガスを冷却するように冷却水が循環する冷却水循環路を具備する、エンジンの冷却装置であって、前記冷却水循環路は、ポンプから流出して前記エンジン内に配置されるウォータジャケットに流入し、前記エンジンのウォータジャケットから流出してサーモケースに流入し、前記サーモケースから流出してラジエータに流入し、前記ラジエータから流出して前記ポンプに流入するように冷却水が循環するラジエータ側冷却水循環路と、前記ポンプから流出して前記エンジンのウォータジャケットに流入し、前記エンジンのウォータジャケットから流出して前記EGR装置のEGRクーラに流入し、前記EGR装置のEGRクーラから流出して前記ポンプに流入するように冷却水が循環するEGRクーラ側冷却水循環路と、を備え、前記サーモケースに流入した冷却水が所定温度未満のときには、前記サーモケース内に配置されるサーモスタットによって前記ラジエータ側への冷却水の流出口が閉鎖されて、前記冷却水が前記ラジエータ側冷却水循環路を循環せずに前記EGRクーラ側冷却水循環路を循環するように構成される、ものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
即ち、本発明によれば、エンジン内の任意の各部およびEGR装置のEGRクーラ内を流通するEGRガスを冷却するように冷却水が循環する冷却水循環路を具備し、サーモケースに流入した冷却水が所定温度未満のときにラジエータを経由せずにエンジンのウォータジャケットを冷却水が流通するように構成されるエンジンの冷却装置を、簡素な構造で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係るエンジンの冷却装置の全体的な構成を示した側面図。
【図2】同じく正面図。
【図3】同じく模式図。
【図4】(A)本発明の実施形態に係るエンジンの冷却装置におけるサーモスタットを示した模式図、(B)同じく模式図。
【図5】従来のエンジンの冷却装置の全体的な構成を示した側面図。
【図6】同じく正面図。
【図7】同じく模式図。
【図8】(A)従来のエンジンの冷却装置におけるサーモスタットを示した模式図、(B)同じく模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態に係るエンジンの冷却装置について、図1から図4を用いて説明する。なお、図3または図4中に示す矢印は、冷却水が流通する方向を示すものとする。
【0020】
エンジンの冷却装置(以下、「冷却装置」という)1は、図1乃至図3に示すように、冷却水循環路10を具備する。
冷却装置1の冷却水循環路10は、エンジン20内の任意の各部(例えば、シリンダやピストン等)、および、EGRクーラ51内を流通するEGRガス、を冷却するように冷却水が循環する、冷却水の流路である。
【0021】
また、冷却装置1は、エンジン20のウォータジャケット21と、ポンプ23と、サーモスタット31と、ラジエータ40と、EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置50のEGRクーラ51と、を具備する。
【0022】
冷却装置1におけるエンジン20のウォータジャケット21は、エンジン20内に備えられる。
エンジン20のウォータジャケット21は、その内部に流入する冷却水を冷媒として、エンジン20内の任意の各部(例えば、シリンダやシリンダヘッド等)を冷却するように構成される。
【0023】
エンジン20は、例えば、トラクタ、コンバイン、若しくは、バックホウ等の作業機、又は、船舶等に用いられるものである。
エンジン20は、ファン22を備えて構成される。
エンジン20のファン22は、ラジエータ40が配置される側に突出するようにエンジン20に配置される。
エンジン20のファン22は、エンジン20の駆動軸の前端部からベルトを介してエンジン20の動力が伝達するように構成される。
【0024】
冷却装置1のポンプ23は、冷却水循環路10を循環可能に冷却水を圧送するように構成される。
ポンプ23は、エンジン20が駆動(エンジン20の回転軸が回転駆動)することによって駆動するように構成される。
ポンプ23は、エンジン20のファン22の回転軸の近傍に配置される。ポンプ23は、ポンプ23とラジエータ40とでエンジン20のファン22を挟むようにエンジン20の前面(ファン22側)に配置される。ポンプ23は、エンジン20のファン22が回転することによって発生する風があたるような位置に配置される。
【0025】
冷却装置1は、ポンプ23から流出した(ポンプ23から圧送された)冷却水が、ウォータジャケット流入路61を介してエンジン20のウォータジャケット21に流入するように構成される。冷却装置1のウォータジャケット流入路61は、ポンプ23から流出した冷却水がウォータジャケット21に流入する冷却水の流路である。
【0026】
冷却装置1のサーモスタット31は、弁体32、付勢部材33、および、温感部34等を有して構成され、サーモケース30内に配置される(図4参照)。
サーモスタット31は、エンジン20のウォータジャケット21側からサーモケース30に流入した冷却水が所定温度未満のときには、付勢部材33によって付勢された弁体32がラジエータ40側への冷却水の流出口35に着座して、前記流出口35を閉鎖(閉弁)するように構成される(図4(A)参照)。
サーモスタット31は、エンジン20のウォータジャケット21側からサーモケース30に流入した冷却水が所定温度以上のときには、温感部34に収納されるサーモワックスが膨張して、付勢部材33の付勢力に逆らって弁体32がラジエータ40側への冷却水の流出口35から離座して、前記流出口35を開放(開弁)するように構成される(図4(B)参照)。
前記サーモケース30に流入した冷却水の所定温度は、エンジン20の暖機が終了したとされる温度であり、例えば、70℃に設定される。
【0027】
冷却装置1のサーモケース30(サーモスタット31)は、エンジン20のファン22の回転軸およびポンプ23の近傍に配置される。サーモケース30(サーモスタット31)は、EGR装置50のEGRバルブ53の下方に配置さる。サーモケース30(サーモスタット31)は、サーモケース30(サーモスタット31)とラジエータ40とでエンジン20のファン22を挟むようにエンジン20に配置される。サーモケース30(サーモスタット31)は、エンジン20のファン22が回転することによって発生する風があたるような位置に配置される。
【0028】
冷却装置1は、エンジン20のウォータジャケット21から流出した冷却水が、サーモケース流入路62を介してサーモケース30に流入するように構成される。冷却装置1のサーモケース流入路62は、エンジン20のウォータジャケット21から流出した冷却水がサーモケース30に流入する冷却水の流路である。
【0029】
冷却装置1のラジエータ40は、その内部で流通する冷却水を冷却するものである。
ラジエータ40は、エンジン20のファン22の側方(前方)に配置される。
ラジエータ40は、エンジン20が駆動(エンジン20の回転軸が回転駆動)してそのファン22が回転することによって発生する風によりラジエータ40を流通する冷却水が冷却されるように、構成される。
【0030】
冷却装置1は、サーモケース30から流出した冷却水が、ラジエータ流入路63を介してラジエータ40に流入するように構成される。冷却装置1のラジエータ流入路63は、サーモケース30から流出した冷却水がラジエータ40に流入する冷却水の流路である。
冷却装置1は、サーモケース30とラジエータ40とが連通管73を介して連通するように構成される。
冷却装置1の連通管73は、管状の部材である。冷却装置1の連通管73の内部は、ラジエータ流入路63として構成される。連通管73は、エンジン20のファン22が回転することによって発生する風があたるような位置に配置される。
【0031】
冷却装置1は、ラジエータ40から流出した冷却水が、第一ポンプ流入路64を介してポンプ23に流入するように構成される。冷却装置1における第一ポンプ流入路64は、ラジエータ40から流出した冷却水がポンプ23に流入する冷却水の流路である。
冷却装置1は、ラジエータ40とポンプ23とが連通管74を介して連通するように構成される。
冷却装置1の連通管74は、管状の部材である。冷却装置1の連通管74の内部は、第一ポンプ流入路64として構成される。連通管74は、エンジン20のファン22が回転することによって発生する風があたるような位置に配置される。
【0032】
冷却装置1におけるEGRクーラ51は、EGR装置50に備えられる。
EGR装置50は、排気ガスの一部を給気側に循環させて燃料の燃焼温度を低く抑え、排気ガス中のNOx(窒素酸化物)量を低減させるものであり、エンジン20に設けられる。
また、EGR装置50は、EGRパイプ52と、EGRバルブ53と、を備える。
【0033】
EGR装置50のEGRパイプ52は、エンジン20の排気ガスの一部をEGRガスとしてエンジン20の排気マニホールドから吸気マニホールドに供給する管状の部材である。
EGR装置50のEGRパイプ52は、エンジン20の排気マニホールドから吸気マニホールドに亘るように、エンジン20の側面外側に配置される。
【0034】
EGR装置50のEGRバルブ53は、EGRパイプ52におけるEGRガスの流出口に配置される。
EGR装置50のEGRバルブ53は、その内部に配置される弁体によって流路の大きさを調節することにより、吸気マニホールドへ供給されるEGRガスの供給量を調節するように構成される。
EGR装置50のEGRバルブ53は、エンジン20のファン22の近傍であってエンジン20の上部に配置される。
【0035】
そして、EGR装置50は、排気マニホールドからEGRパイプ52およびEGRバルブ53を介して吸気マニホールドにEGRガスが供給されることにより、EGRガスと吸気側からの新気とが混合されて、当該EGRガスと新気とが混合されたものがエンジン20の各気筒内に導入されるように構成される。
【0036】
EGR装置50のEGRクーラ51は、その内部に流入する冷却水を冷媒として、EGRパイプ52を流通するEGRガスを冷却する(EGRガスの温度を低下させる)ように構成される。
EGR装置50のEGRクーラ51は、EGRパイプ52におけるEGRガスの流通方向においてEGRバルブ53より上流側に配置される。EGRクーラ51は、エンジン20の側面外側に配置される。EGRクーラ51は、エンジン20のファン22が回転することによって発生する風があたるような位置に配置される。
【0037】
EGR装置50のEGRクーラ51は、その内部に、EGRガスを流通させるチューブが複数個配置されて構成される。EGR装置50のEGRクーラ51は、その内部であって前記複数個のチューブの外側に冷却水が流入するように構成される。
このようにして、EGR装置50のEGRクーラ51は、EGRクーラ51の内(複数個のチューブの外側)を流通する冷却水で、前記複数個のチューブを流通するEGRガスを冷却するように構成される。
【0038】
冷却装置1は、エンジン20のウォータジャケット21から流出した冷却水(前記サーモケース流入路62を介してサーモケース30に流入する冷却水とは異なる冷却水)が、EGRクーラ流入路65を介してEGR装置50のEGRクーラ51に流入するように構成される。
冷却装置1におけるEGRクーラ流入路65は、エンジン20のウォータジャケット21から流出した冷却水が、EGR装置50のEGRクーラ51に流入する冷却水の流路である。
冷却装置1は、エンジン20のウォータジャケット21から流出した冷却水が、EGRクーラ流入路65を介してサーモケース30に流入し、または、EGRクーラ流入路65を介してEGR装置50のEGRクーラ51に流入するように構成される。
【0039】
冷却装置1は、EGR装置50のEGRクーラ51から流出した冷却水が、第二ポンプ流入路66を介してポンプ23に流入するように構成される。冷却装置1における第二ポンプ流入路66は、EGR装置50のEGRクーラ51から流出した冷却水がポンプ23に流入する冷却水の流路である。
冷却装置1は、ラジエータ40から流出した冷却水が第一ポンプ流入路64を介してポンプ23に流入し、または、EGR装置50のEGRクーラ51から流出した冷却水が第二ポンプ流入路66を介してポンプ23に流入するように、構成される。
【0040】
EGR装置50は、インレットパイプ54と、アウトレットパイプ55と、を備える。
EGR装置50のEGRクーラ51は、エンジン20のウォータジャケット21から流出した冷却水が、インレットパイプ54を介して流入してEGRクーラ51の内部(EGRクーラ51内の複数個のチューブの外側)を流通するように、構成される。EGRクーラ51は、その内部を流通した冷却水がアウトレットパイプ55へ流出するように、構成される。
【0041】
EGR装置50のインレットパイプ54は、管状の部材である。EGR装置50のインレットパイプ54の内部は、冷却装置1におけるEGRクーラ流入路65の一部として構成される。EGR装置50のインレットパイプ54は、エンジン20のウォータジャケット21から流出した冷却水がインレットパイプ54を介してEGR装置50のEGRクーラ51に流入するように構成される。
EGR装置50のインレットパイプ54は、その冷却水の流入側の開口部がエンジン20の側部に接続されるとともに、その冷却水の流出側の開口部がEGR装置50のEGRクーラ51に接続されて、エンジン20の側面外側に配置される。EGR装置50のインレットパイプ54は、EGR装置50のEGRクーラ51よりもエンジン20のファン22側に配置される。EGR装置50のインレットパイプ54は、エンジン20のファン22が回転することによって発生する風があたるような位置に配置される。
【0042】
EGR装置50のアウトレットパイプ55は、管状の部材である。EGR装置50のアウトレットパイプ55の内部は、冷却装置1における第二ポンプ流入路66の一部として構成される。EGR装置50のアウトレットパイプ55は、EGR装置50のEGRクーラ51から流出した冷却水がアウトレットパイプ55を介してポンプ23に流入するように構成される。
EGR装置50のアウトレットパイプ55は、その冷却水の流入側の開口部がEGR装置50のEGRクーラ51に接続されるとともに、その冷却水の流出側の開口部がポンプ23に接続されて、エンジン20の側面外側に配置される。EGR装置50のアウトレットパイプ55は、EGR装置50のEGRクーラ51よりもエンジン20のファン22側に配置される。EGR装置50のアウトレットパイプ55は、エンジン20のファン22が回転することによって発生する風があたるような位置に配置される。
【0043】
冷却装置1における冷却水循環路10は、ラジエータ側冷却水循環路11と、EGRクーラ側冷却水循環路12と、を備える。
冷却水循環路10のラジエータ側冷却水循環路11は、ポンプ23から流出して(ウォータジャケット流入路61を介して)エンジン20のウォータジャケット21に流入し、エンジン20のウォータジャケット21から流出して(サーモケース流入路62を介して)サーモケース30に流入し、サーモケース30から流出して(ラジエータ流入路63を介して)ラジエータ40に流入し、ラジエータ40から流出して(第一ポンプ流入路64を介して)ポンプ23に流入するように冷却水が循環する、冷却水の流路(冷却水の循環路)である。
冷却水循環路10のEGRクーラ側冷却水循環路12は、ポンプ23から流出して(ウォータジャケット流入路61を介して)エンジン20のウォータジャケット21に流入し、エンジン20のウォータジャケット21から流出して(EGRクーラ流入路65を介して)EGR装置50のEGRクーラ51に流入し、EGR装置50のEGRクーラ51から流出して(第二ポンプ流入路66を介して)ポンプ23に流入するように冷却水が循環する、冷却水の流路(冷却水の循環路)である。
【0044】
冷却装置1は、サーモケース30に流入した冷却水が所定温度未満のときには、サーモスタット31によってラジエータ40側への冷却水の流出口35が閉鎖されて、ラジエータ側冷却水循環路11を循環せずにEGRクーラ側冷却水循環路12を冷却水が循環するように構成される。
冷却装置1は、サーモケース30に流入した冷却水が所定温度以上のときには、サーモスタット31によってラジエータ40側への冷却水の流出口35が開放されて、ラジエータ側冷却水循環路11およびEGRクーラ側冷却水循環路12を冷却水がそれぞれ循環するように構成される。
つまり、冷却装置1は、エンジン20の暖機が終了するまでは、冷却水がラジエータ側冷却水循環路11を循環せずにEGRクーラ側冷却水循環路12を循環するように構成される。また、冷却装置1は、エンジン20の暖機が終了した後は、冷却水がラジエータ側冷却水循環路11およびEGRクーラ側冷却水循環路12をそれぞれ循環するように、構成される。
【0045】
このように、冷却装置1は、従来の冷却装置101のようにバイパス路167が具備されなくとも、サーモケース30に流入した冷却水が所定温度未満のときには(エンジン20の暖機が終了するまでは)、ラジエータ40を経由せずに冷却水がウォータジャケット21を流通することができるように構成される。
したがって、冷却装置1によれば、エンジン20内の任意の各部およびEGR装置50のEGRクーラ51内を流通するEGRガスを冷却するように冷却水が循環する冷却水循環路10を具備し、サーモケース30に流入した冷却水が所定温度未満のときにラジエータ40を経由せずにウォータジャケット21を冷却水が流通するように構成されるエンジンの冷却装置を、従来の冷却装置101よりも簡素な構造とすることができる。
【0046】
ここで、従来の冷却装置101におけるサーモケース130内に配置されるサーモスタット131は、サーモケース130に流入した冷却水が所定温度未満のときには、ラジエータ140側への冷却水の流出口135を閉鎖するとともにポンプ123側(バイパス路167側)への冷却水の流出口138を開放し、サーモケース130に流入した冷却水が所定温度以上のときには、ラジエータ140側への冷却水の流出口135を開放するとともにポンプ123側(バイパス路167側)への冷却水の流出口138を閉鎖するようなものに(三方弁で)構成される。
【0047】
前述のように、冷却装置1には従来の冷却装置101のようにバイパス路167が具備されない。
このため、冷却装置1には、サーモケース30に流入した冷却水が所定温度未満のときにラジエータ40側への冷却水の流出口35を閉鎖しラジエータ40側への冷却水の流通を遮断し、サーモケース30に流入する冷却水が所定温度以上のときにラジエータ40側への冷却水の流出口35を開放してラジエータ40側へ冷却水を流通させるように構成されるサーモスタット31、が用いられる。
このように、冷却装置1のサーモスタット31は、ラジエータ40側への冷却水の流出口35を閉鎖又は開放して、ラジエータ40側への冷却水の流通の遮断しまたはラジエータ40側へ冷却水を流通させるように構成され、従来の冷却装置101におけるサーモスタット131のように構成されない(三方弁で構成されない)。つまり、冷却装置1では、従来の冷却装置101のサーモスタット131よりも、単純な構造のため不具合の発生が少なく且つ安価なものを用いることができる。
したがって、冷却装置1によれば、従来の冷却装置101よりも、サーモスタット31の不具合が原因による不具合が発生することを抑制するとともに、サーモスタット31の部品コストを低減させることができる。
【0048】
また、冷却装置1は、サーモケース30に流入した冷却水が所定温度未満のときには、サーモスタット31によってラジエータ40側への冷却水の流出口35が閉鎖されて、冷却水がラジエータ側冷却水循環路11を循環せずにEGRクーラ側冷却水循環路12を循環するように構成される。
このため、冷却装置1では、従来の冷却装置101(サーモケース130に流入した冷却水が所定温度未満のとき、エンジン120内の任意の各部を冷却するように冷却水が循環する冷却水循環路111と、EGR装置150のEGRクーラ151内を流通するEGRガスを冷却するように冷却水が循環する冷却水循環路112と、にそれぞれ冷却水が循環する構成とされる、冷却装置101)よりも、サーモケース30に流入した冷却水が所定温度未満のときのEGRクーラ51に流入する冷却水の流量を増加させることができる。
したがって、冷却装置1によれば、前述のようにサーモケース30に流入した冷却水が所定温度未満のときにEGRクーラ51に流入する冷却水の流量を増加させて、従来の冷却装置101よりも、サーモケース30に流入する冷却水が所定温度未満のときのEGRクーラ51におけるEGRガスの冷却効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 エンジンの冷却装置
10 冷却水循環路
11 ラジエータ側冷却水循環路
12 EGRクーラ側冷却水循環路
20 エンジン
21 ウォータジャケット
23 ポンプ
30 サーモケース
31 サーモスタット
40 ラジエータ
50 EGR装置
51 EGRクーラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン内の任意の各部およびEGR装置のEGRクーラ内を流通するEGRガスを冷却するように冷却水が循環する冷却水循環路を具備する、エンジンの冷却装置であって、
前記冷却水循環路は、ポンプから流出して前記エンジン内に配置されるウォータジャケットに流入し、前記エンジンのウォータジャケットから流出してサーモケースに流入し、前記サーモケースから流出してラジエータに流入し、前記ラジエータから流出して前記ポンプに流入するように冷却水が循環するラジエータ側冷却水循環路と、前記ポンプから流出して前記エンジンのウォータジャケットに流入し、前記エンジンのウォータジャケットから流出して前記EGR装置のEGRクーラに流入し、前記EGR装置のEGRクーラから流出して前記ポンプに流入するように冷却水が循環するEGRクーラ側冷却水循環路と、を備え、
前記サーモケースに流入した冷却水が所定温度未満のときには、前記サーモケース内に配置されるサーモスタットによって前記ラジエータ側への冷却水の流出口が閉鎖されて、前記冷却水が前記ラジエータ側冷却水循環路を循環せずに前記EGRクーラ側冷却水循環路を循環するように構成される、
エンジンの冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−113168(P2013−113168A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258291(P2011−258291)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000198330)株式会社IHIシバウラ (74)
【Fターム(参考)】