説明

エンジンの回転数制御装置

【課題】 コントロールケーブルの種類、取付方向等に関係なく、コントロールケーブルとガバナレバーとの干渉を防止し、設計時の自由度を高める。
【解決手段】 コントロールケーブル19とガバナレバー13との間に設けたレバーブラケット20は、ガバナレバー13に向けて延びた腕部20Aの先端部にオフセット連結部20Cを設け、このオフセット連結部20Cに腕部20Aからガバナレバー13側に寸法Cだけオフセットした位置に連結ピン20Dを設け、連結ピン20Dをガバナレバー13の連結孔13Dに回動可能に連結する構成としている。従って、オフセット構造によってガバナレバー13に対するコントロールケーブル19、腕部20Aの干渉を回避することができるから、コントロールケーブル19の種類、取付方向等の条件の範囲を広げることができ、設計の自由度を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル等の建設機械に搭載されるエンジンの回転数を制御するのに用いて好適なエンジンの回転数制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の建設機械には、動力源としてディーゼルエンジンが搭載され、このエンジンにより油圧ポンプを回転駆動することにより、各種のアクチュエータに圧油を供給して走行、作業等を行うようになっている。
【0003】
ここで、ディーゼルエンジンには、走行時、作業時の負荷に応じた回転数に制御するためのエンジンガバナが設けられている。このエンジンガバナは、ガバナレバーを回動操作することによりエンジンの回転数を増速または減速することができる。また、エンジンガバナのガバナレバーには、例えばコントロールケーブルの先端側が直接的に取付けられ、該コントロールケーブルの基端側はキャブ内に設けられたガバナ制御用のレバー、ペダル等に接続されている。従って、例えば負荷の大きな作業を行う場合には、オペレータがガバナ制御用のレバー、ペダル等を操作し、コントロールケーブルを介してガバナレバーを回動させることにより、エンジンの回転数を増速することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2−96441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1によるものでは、コントロールケーブルをガバナレバーに直接的に取付ける構成としている。ここで、ガバナレバーの形状は、エンジンを製造するメーカで設計されているため、その形状は様々なものとなっている。これにより、ガバナレバーの形状、コントロールケーブルの取付方向等の条件によっては、コントロールケーブルでガバナレバーを回動したときに、該コントロールケーブルとガバナレバーとが干渉する虞がある。このために、ガバナレバーによって使用できるコントロールケーブルの種類(形状)、取付方向等が制限されてしまうという問題がある。また、ガバナレバーとの干渉を避けるために、コントロールケーブルの曲げがきつくなり、操作性やコントロールケーブルの寿命等が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、コントロールケーブルの種類、取付方向等に関係なく、コントロールケーブルとガバナレバーが干渉するのを防止でき、設計の自由度を高めることができるようにしたエンジンの回転数制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によるエンジンの回転数制御装置は、車体に搭載されたエンジンの回転数を制御するために該エンジンに設けられたエンジンガバナと、該エンジンガバナのガバナレバーを回動操作するコントロールケーブルと、基端側が該コントロールケーブル先端に取付けられ先端側が前記ガバナレバーに取付けられたレバーブラケットとを備え、前記レバーブラケットは、基端側が前記コントロールケーブルに接続され先端側が前記ガバナレバーに向けて伸長した腕部と、該腕部の先端部を屈曲して設けられ該腕部から前記ガバナレバー側にオフセットした位置で前記ガバナレバーに回動可能に連結されたオフセット連結部とにより構成してなる。
【0008】
請求項2の発明は、前記レバーブラケットのオフセット連結部は、前記ガバナレバーに対し連結ピンを用いて回動可能に連結する構成としたことにある。
【0009】
請求項3の発明は、前記ガバナレバーは、前記エンジンガバナ側の回動中心から径方向の外側に延び前記オフセット連結部が連結される回動板と、該回動板に屈曲して形成され前記エンジン側に設けられたガバナレバー回動制限用のストッパに当接する当接板とにより構成し、前記腕部に対する前記オフセット連結部のオフセット寸法は、前記腕部が前記当接板に最接近した場合でも前記腕部と前記当接板との間に隙間を確保できる寸法に設定したことにある。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、コントロールケーブルとガバナレバーとの間には、レバーブラケットを設けているから、ガバナレバーに対しコントロールケーブルが干渉するのを防止できる。しかも、レバーブラケットには、ガバナレバーに向けて延びた腕部の先端部に、該腕部から前記ガバナレバー側にオフセットした位置でガバナレバーに回動可能に連結されたオフセット連結部を設ける構成としている。これにより、レバーブラケットは、オフセット連結部のオフセット形状により、腕部をガバナレバーと干渉しない離れた位置に配置することができる。
【0011】
この結果、コントロールケーブルは、その種類、取付方向等に関係なく、ガバナレバーとの干渉を防止できるから、設計の自由度を高めることができる。また、汎用のコントロールケーブルを用いることができ、製造コストを低減することができる。さらに、コントロールケーブルの取付方向を自由に設定できるから、このコントロールケーブルは、無理に曲げる必要がなくなる。これにより、コントロールケーブルを円滑に動作させることができ、操作性やコントロールケーブルの寿命等を向上することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、レバーブラケットのオフセット連結部は、連結ピンを用いてガバナレバーに回動可能に連結する構成としているから、オフセット連結部は、その連結ピンをガバナレバーに回動可能に挿通した後に、その先端側に抜止め手段を設けるだけで連結することができる。これにより、部品点数を削減でき、組立作業性等を向上することができる。
【0013】
特に、エンジン周りは、多くの部品、配管、配線等が設けられているから、レバーブラケットの連結部とガバナレバーとを、ボルト、ナット等のねじ部材を用いて連結する場合、スパナ等の工具を取扱うためのスペースを確保するのが難しい。これに対し、連結ピンを用いた連結構造では、連結ピンをガバナレバーに挿通した後に、その先端側に例えば抜止めピン等を挿着するだけでよいから、エンジン周りの混雑した場所でも容易に連結することができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、レバーブラケットのオフセット連結部のオフセット寸法は、その腕部がガバナレバーの当接板に最接近した場合でも、この腕部と当接板との間に隙間を確保できる寸法に設定している。これにより、ガバナレバーとレバーブラケットとの干渉を回避することができるから、ガバナレバー、レバーブラケットの寿命を延ばし、信頼性等を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態によるエンジンの回転数制御装置が適用されるキャブ仕様の油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】エンジンと回転数制御装置を図1中の矢示II−II方向からみた正面図である。
【図3】エンジンに対する回転数制御装置の取付状態を拡大して示す要部拡大の正面図である。
【図4】コントロールケーブルをガバナレバーと一緒に示す正面図である。
【図5】ガバナレバーに対するレバー操作ブラケットの連結状態を拡大して示す正面図である。
【図6】図5に示すガバナレバー、レバー操作ブラケットの右側面図である。
【図7】図5に示すガバナレバー、レバー操作ブラケットの底面図である。
【図8】ケーブル本体の先端側を拡大して示す要部拡大の正面図である。
【図9】レバー操作ブラケットを単体で示す正面図である。
【図10】レバー操作ブラケットを単体で示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態によるエンジンの回転数制御装置を、建設機械の代表例となるキャブ仕様の超小型な油圧ショベルに設けた場合を例に挙げ、図1ないし図10に従って詳細に説明する。
【0017】
図1において、1は土砂の掘削作業等に用いられる建設機械の代表例をなすキャブ仕様の油圧ショベルである。この油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に車体をなす上部旋回体3と、該上部旋回体3の前側に揺動および俯仰動可能に設けられた作業装置4とにより大略構成されている。
【0018】
また、上部旋回体3は、油圧ショベル1の車格に対応して非常にコンパクトに形成されている。そして、上部旋回体3は、旋回フレーム5をベースとし、その左前側には、オペレータが搭乗するキャブ6が設けられている。このキャブ6内には、オペレータが着座する運転席の左,右両側に作業装置4等を操作する作業用レバーが設けられ、前側には下部走行体2を走行させる走行用レバー・ペダル(いずれも図示せず)が設けられている。
【0019】
また、旋回フレーム5の後部には、作業装置4との重量バランスをとるカウンタウエイト7が設けられ、該カウンタウエイト7の前側位置には、後述のエンジン8が回転数制御装置11と一緒に搭載されている。
【0020】
8はカウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム5上に搭載されたディーゼルエンジン(以下、エンジン8という)で、該エンジン8は、左,右方向に延びる横置き状態に配設されている。また、エンジン8は、図2に示すように、クランクケース、シリンダブロック、クランク軸、ピストン等からなる本体部8Aと、該本体部8Aの右側に設けられた冷却ファン8Bと、前記本体部8Aの左側に設けられたポンプ取付部8Cとにより大略構成され、前記ポンプ取付部8Cには油圧ポンプ9が取付けられている。
【0021】
次に、エンジン8の回転数を制御するために設けられたエンジン8の回転数制御装置11の構成について述べる。
【0022】
11は本実施の形態によるエンジン8の回転数制御装置を示している。この回転数制御装置11は、エンジン8の回転数を制御するもので、図3ないし図10に示すように、後述のエンジンガバナ12、コントロールケーブル19、レバーブラケット20等により大略構成されている。
【0023】
12はエンジン8の本体部8Aに設けられたエンジンガバナ(図3中に点線で図示)で、該エンジンガバナ12は、エンジン8の回転数を制御(増加または減少)するものである。また、エンジンガバナ12は、左側の油圧ポンプ9と左,右方向で反対側となる本体部8Aの右側位置に配設されている。さらに、エンジンガバナ12には、外部から操作されるガバナレバー13が設けられ、該ガバナレバー13は、後述のレバーブラケット20を介してコントロールケーブル19によって、矢示A方向または矢示B方向に回動操作されるものである。
【0024】
ここで、ガバナレバー13は、図4ないし図7に示すように、例えば金属製の長板を長さ方向でクランク状に折り曲げてなり、エンジンガバナ12側の回動中心から径方向の下側に延びるように設けられた回動板13Aと、該回動板13Aの左側縁をエンジン8側に屈曲することにより一体的に形成された当接板13Bとにより大略構成されている。
【0025】
また、回動板13Aの基端側となる上側部位には取付孔13Cが設けられ、ガバナレバー13は、この取付孔13Cに挿通されたボルト14によってエンジンガバナ12の回動操作部位に取付けられている。一方、回動板13Aの先端側となる下側部位には連結孔13D(図6、図7中に点線で図示)が設けられ、この連結孔13Dには、後述するレバーブラケット20の連結ピン20Dが回動可能に挿着される。
【0026】
また、ガバナレバー13の当接板13Bは、エンジン8側に設けられた後述のストッパ16,17に当接することにより、ガバナレバー13の回動範囲を制限し、エンジン8の最高回転数と最低回転数とを規定するものである。
【0027】
そして、ガバナレバー13は、図3、図4に示すように、回動板13Aをボルト14を中心として矢示A方向(増速)または矢示B方向(減速)に回動することができ、常時はばね部材15によって矢示B方向に付勢されている。
【0028】
16はガバナレバー13の右側に位置してエンジン8側に設けられた減速側ストッパを示している。この減速側ストッパ16は、図3、図5に示すように、ばね部材15によって矢示B方向に付勢(回動)されるガバナレバー13の当接板13Bに当接することにより、該ガバナレバー13の回動範囲を制限し、エンジン8の最低回転数を規定するものである。
【0029】
また、17は減速側ストッパ16に左,右方向で対向するようにガバナレバー13の左側に所望の間隔をもってエンジン8側に配設された増速側ストッパを示している。この増速側ストッパ17は、図5中に二点鎖線で示すように、ガバナレバー13を矢示A方向に回動したときに当接板13Bに当接して回動範囲を制限することにより、エンジン8の最高回転数を規定するものである。
【0030】
18はガバナレバー13の左側に離間すると共に該ガバナレバー13よりも僅かに低い位置、具体的には、エンジン8のポンプ取付部8Cに設けられたチューブ固定部材である。このチューブ固定部材18は、ポンプ取付部8Cにボルト止めされる取付板部18Aと、該取付板部18Aの上側位置からガバナレバー13に向けて右側の延びた支持腕18Bとにより形成されている。そして、チューブ固定部材18は、支持腕18Bの先端部で後述するコントロールケーブル19のアウタチューブ19Aの先端部を固定的に支持するものである。
【0031】
19はエンジンガバナ12のガバナレバー13を回動操作するコントロールケーブルで、該コントロールケーブル19は、図8に示すように、中空なアウタチューブ19Aと、該アウタチューブ19A内に長さ方向に移動自在に挿通されたインナケーブル19Bとにより大略構成されている。また、コントロールケーブル19は、図4に示す如く、アウタチューブ19Aの先端部がナット19C等を介してチューブ固定部材18の支持腕18B先端に固定的に取付けられている。一方、インナケーブル19Bの先端部は、後述するレバーブラケット20の腕部20Aに取付けられている。これにより、コントロールケーブル19は、インナケーブル19Bの基端側を引張ることにより、ばね部材15に抗してガバナレバー13を矢示A方向に回動することができる。なお、アウタチューブ19Aから突出したインナケーブル19Bの先端側は、防水ブーツ19Dによって覆われている。
【0032】
次に、ガバナレバー13にコントロールケーブル19を接続するために設けられたレバーブラケット20の構成について述べる。
【0033】
即ち、20はガバナレバー13とコントロールケーブル19との間に設けられたレバーブラケットを示している。このレバーブラケット20は、左側(チューブ固定部材18側)に位置する基端側がコントロールケーブル19のインナケーブル19B先端に取付けられ、右側(ガバナレバー13側)に位置する先端側がガバナレバー13に取付けられている。また、レバーブラケット20は、ガバナレバー13に対するコントロールケーブル19の干渉を防止すると共に、コントロールケーブル19の取付方向(接続方向)が制限されないようにするものである。
【0034】
そして、レバーブラケット20は、図9、図10に示す如く、左,右方向に延びた長板状の腕部20Aと、該腕部20Aの基端側(左端側)を板厚方向にほぼ直角に屈曲して形成されたケーブル取付部20Bと、前記腕部20Aの先端側(右端側)を板幅方向の上側にほぼ直角に屈曲して形成されたオフセット連結部20Cと、該オフセット連結部20Cの腕部20Aからガバナレバー13側にオフセットした位置に設けられ、ガバナレバー13に回動可能に連結される連結ピン20Dとにより大略構成されている。
【0035】
また、ケーブル取付部20Bは、エンジン8と反対側となる手前側に屈曲し、その右側の端面には、コントロールケーブル19を構成するインナケーブル19Bの先端が螺着するナット20B1が固着されている。さらに、オフセット連結部20Cの一部をなす連結ピン20Dは、手前側に大きく突出して設けられ、その先端側には後述の抜止めピン21を取付けるためのピン孔20D1が直径方向に貫通して形成されている。
【0036】
ここで、レバーブラケット20の腕部20Aに対する連結ピン20Dのオフセット寸法について説明する。ガバナレバー13に回動可能に連結される連結ピン20Dは、腕部20Aの中心線(コントロールケーブル19の中心線)からガバナレバー13側となる上側に寸法Cだけオフセット移動(平行移動)した位置に配設されている。このオフセット寸法Cは、レバーブラケット20を左,右方向に移動させ、腕部20Aがガバナレバー13の当接板13Bに最接近した状態、即ち、図5に示すように、ガバナレバー13が矢示B方向に回動して当接板13Bを減速側ストッパ16に当接させた状態で、腕部20Aと当接板13Bとの間に隙間ΔDを確保することができる寸法に設定されている。これにより、コントロールケーブル19の種類(形状、大きさ)、取付けられる方向等の条件に関係することなく、レバーブラケット20とガバナレバー13との干渉を防止することができる。
【0037】
また、レバーブラケット20のオフセット連結部20Cに設けた連結ピン20Dは、ガバナレバー13の奥側(エンジン8側)から連結孔13Dに挿通し、先端側のピン孔20D1に抜止め手段としての抜止めピン21を挿着することにより、ボルト、ナットおよびねじ締め工具等を用いることなく、簡単に連結することができる。この場合、抜止めピン21の取付作業を作業が容易な手前側から行うことができる。
【0038】
本実施の形態による油圧ショベル1では、キャブ6に搭乗したオペレータが、エンジンガバナ12を制御するためのレバー、ペダルを操作することにより、コントロールケーブル19、レバーブラケット20を介してガバナレバー13を回動操作することができ、エンジン8の回転数を増速または減速することができる。
【0039】
この場合、本実施の形態によれば、コントロールケーブル19とガバナレバー13との間にレバーブラケット20を設け、このレバーブラケット20には、ガバナレバー13に向けて左,右方向に延びた腕部20Aの先端部をガバナレバー13側となる上側に屈曲してオフセット連結部20Cを設け、このオフセット連結部20Cには、腕部20Aからガバナレバー13側に寸法Cだけオフセットした位置に連結ピン20Dを設けてガバナレバー13の連結孔13Dに回動可能に連結する構成としている。従って、ガバナレバー13に対するコントロールケーブル19の干渉を防止することができる。
【0040】
しかも、腕部20Aに対する連結ピン20Dのオフセット寸法Cは、腕部20Aがガバナレバー13の当接板13Bに最接近した状態、即ち、図5に示すように、レバーブラケット20を矢示B方向(減速側)に回動して減速側ストッパ16に当接させた状態で、腕部20Aと当接板13Bとの間に隙間ΔDを確保することができる寸法に設定している。これにより、腕部20Aと当接板13Bとの干渉を防止することができる。
【0041】
この結果、コントロールケーブル19は、ガバナレバー13に対する干渉を回避できるから、コントロールケーブル19の種類、取付方向等の条件の範囲を広げることができ、設計の自由度を高めることができる。これに伴い、汎用のコントロールケーブルを用いることができ、製造コストを低減することができる。さらに、コントロールケーブル19の取付方向を自由に設定できるから、このコントロールケーブル19を無理に曲げる必要がなくなり、コントロールケーブル19を円滑に動作させることができ、操作性や寿命等を向上することができる。
【0042】
特に、レバーブラケット20のオフセット連結部20Cに設けた連結ピン20Dのオフセット寸法Cは、その腕部20Aがガバナレバー13の当接板13Bに最接近した場合でも、この腕部20Aと当接板13Bとの間に隙間ΔDを確保できる寸法に設定しているから、ガバナレバー13とレバーブラケット20との干渉を確実に回避することができる。これにより、ガバナレバー13、レバーブラケット20の寿命を延ばし、信頼性等を向上することができる。
【0043】
一方、レバーブラケット20のオフセット連結部20Cは、連結ピン20Dを用いてガバナレバー13に回動可能に連結する構成としているから、オフセット連結部20Cは、その連結ピン20Dをガバナレバー13の連結孔13Dに回動可能に挿通した後に、その先端側に抜止めピン21を挿着するだけで容易に連結することができる。これにより、部品点数を削減でき、組立作業性等を向上することができる。
【0044】
さらに、レバーブラケット20の連結ピン20Dは、ガバナレバー13の奥側(エンジン8側)から連結孔13Dに挿通し、先端側のピン孔20D1に抜止めピン21を挿着する構成としている。これにより、抜止めピン21の取付作業を作業が容易な手前側から行うことができ、組立作業性、メンテナンス作業性等を向上することができる。
【0045】
なお、実施の形態では、レバーブラケット20のオフセット連結部20Cに連結ピン20Dを設け、この連結ピン20Dをガバナレバー13の連結孔13Dに挿着することにより、レバーブラケット20とガバナレバー13とを回動可能に連結した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、レバーブラケット20のオフセット連結部20Cにねじ孔を設け、このねじ孔にガバナレバー13の連結孔13Dに挿通したボルトを螺着する構成としてもよい。
【0046】
また、実施の形態では、レバーブラケット20の連結ピン20Dの抜止め手段として抜止めピン21を用いた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、Cリング、Eリング、ナット等の手段を用いて連結ピンを抜止めする構成としてもよい。
【0047】
さらに、実施の形態では、油圧ショベル1に設けたエンジン8の回転数制御装置11を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば油圧クレーン等の他の建設機械のエンジンの回転数を制御するのに適用してもよい。
【符号の説明】
【0048】
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
8 ディーゼルエンジン
11 回転数制御装置
12 エンジンガバナ
13 ガバナレバー
13A 回動板
13B 当接板
16 減速側ストッパ
17 増速側ストッパ
18 チューブ固定部材
19 コントロールケーブル
19A アウタチューブ
19B インナケーブル
20 レバーブラケット
20A 腕部
20B ケーブル取付部
20C オフセット連結部
20D 連結ピン
21 抜止めピン
C オフセット寸法
ΔD 腕部と当接板との間の隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に搭載されたエンジンの回転数を制御するために該エンジンに設けられたエンジンガバナと、該エンジンガバナのガバナレバーを回動操作するコントロールケーブルと、基端側が該コントロールケーブル先端に取付けられ先端側が前記ガバナレバーに取付けられたレバーブラケットとを備え、
前記レバーブラケットは、基端側が前記コントロールケーブルに接続され先端側が前記ガバナレバーに向けて伸長した腕部と、該腕部の先端部を屈曲して設けられ該腕部から前記ガバナレバー側にオフセットした位置で前記ガバナレバーに回動可能に連結されたオフセット連結部とにより構成してなるエンジンの回転数制御装置。
【請求項2】
前記レバーブラケットのオフセット連結部は、前記ガバナレバーに対し連結ピンを用いて回動可能に連結する構成としてなる請求項1に記載のエンジンの回転数制御装置。
【請求項3】
前記ガバナレバーは、前記エンジンガバナ側の回動中心から径方向の外側に延び前記オフセット連結部が連結される回動板と、該回動板に屈曲して形成され前記エンジン側に設けられたガバナレバー回動制限用のストッパに当接する当接板とにより構成し、
前記腕部に対する前記オフセット連結部のオフセット寸法は、前記腕部が前記当接板に最接近した場合でも前記腕部と前記当接板との間に隙間を確保できる寸法に設定してなる請求項1または2に記載のエンジンの回転数制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−149349(P2011−149349A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11867(P2010−11867)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】