説明

エンジンオイル用の添加剤組成物

【課題】有機金属系摩擦調整剤および/または有機系摩擦調整剤を含む潤滑剤組成物について、非鉄金属に対する当該潤滑剤組成物の腐食度を低下させる添加剤組成物を提供する。
【解決手段】本発明の添加剤組成物は、(a)アゾール系化合物と、(b)非過塩基性スルホネート系化合物と、(c)少なくとも1種のカルボジイミド系化合物と、(d)第二級アミン系化合物、フェノール系化合物、またはこのようなフェノール系化合物の二量体から選択される酸化防止剤とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンオイル、特に、ディーゼルエンジン用のエンジンオイルの、鉄金属、非鉄金属(主に、銅、鉛、錫、アルミニウムなど)及びそれらの合金に対する腐食度を低下させることが可能な添加剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン用潤滑剤には、ユーザが所望する高性能レベルに達するように、極めて多種多様な添加剤が配合されている。
【0003】
例えば、環境への配慮から、低燃費車両の実現を求める声が次第に高まっている。エンジン用潤滑剤の摩擦軽減挙動は、燃費に極めて大きな影響を及す。主に、潤滑剤基油単独での品質、あるいは、潤滑剤基油と粘度指数向上ポリマーと摩擦調整剤との組合せの品質により、潤滑剤の、各種エンジン部品の動作中の摩擦を軽減する特性、つまり、「燃料エコ」特性(換言すれば、燃料効率特性)が決まる。特に、高性能で燃料エコなエンジン用潤滑剤を処方するには、大量の摩擦調整剤の添加が必要不可欠である。
【0004】
しかし、このような化学添加剤の添加は、ときに好ましくない効果を招く。例えば、エンジンの一部の鉄金属製部品または非鉄金属製部品に対する潤滑剤の腐食度が上昇する恐れがある。実際に、有機金属系摩擦調整剤(例えば、有機モリブデン系化合物、いわゆるモリブデン誘導体など)および/または「金属」すなわち「灰分」を有さない有機系摩擦調整剤(一般的には油脂であり、他には、脂肪エステル類、脂肪アミン類、脂肪アミド類、脂肪酸類、脂肪アルコール類など)がエンジンオイルに含まれていると、銅、鉛および錫に対する当該エンジンオイルの腐食度は上昇する。
【0005】
このような腐食度、特に、高温での腐食度は、例えば、ASTM D6594規格に準拠した「HTCBT」試験、すなわち「高温腐食強化安定度試験」によって測定される。
【0006】
上記の欠点を解消するための一般的な解決策は、潤滑剤中の有機系摩擦調整剤または有機金属系摩擦調整剤の配合量を減らすことであるが、これは潤滑剤の「燃料エコ」特性を著しく制限する。金属不活性化化合物または金属不動態化化合物(例えば、ジアゾール系化合物またはトリアゾール系化合物)を添加することも考えられるが、これでは非鉄金属の腐食レベルを許容可能範囲内に収めることができない。
【0007】
特許文献1には、基油としてエステル類を含む作動油の、鉛、亜鉛または鋼に対する侵襲性を低下させるために、カルボジイミド系化合物を、任意で以下の化合物(カルシウムスルホネートと、アミン系またはフェノール系酸化防止剤と、非鉄金属不活性化剤と、耐摩耗・極圧剤と、粘度指数向上剤と、消泡剤と、分散剤と、清浄剤)と組合わせて使用することが開示されている。しかし、同文献には、カルボジイミド系化合物と前記添加剤類との特定の組合せによる混合物は開示されておらず、また、特定の混合物を、有機系摩擦調整剤および/または有機金属系摩擦調整剤を配合したエンジンオイルについて、銅、鉛および錫に対する当該エンジンオイルの腐食度を低下させるために使用する構成も開示されていない。
【0008】
特許文献2には、カルボジイミド系化合物と特定のフェニルナフチルアミン系化合物(すなわち、他のジアリールアミン類を除く)との組合せに、任意で、さらに銅不活性化剤(トリアゾール系化合物またはチアジアゾール系化合物)を組み合わせて、鉱物由来または合成由来(例えばエステル系)の基油に使用することが開示されている。この基油には、酸化安定性を向上させるために、アミン系またはフェノール系の酸化防止剤;VI(粘度指数)向上剤;硫黄含有、リン含有またはリン−硫黄含有の耐摩耗・極圧剤(例えば、金属のチオホスフェート塩またはチオカルバメート塩);さび止め剤(例えば、カルボン酸類);清浄剤(スルホネート金属塩系、フェネート金属塩系またはカルボキシレート金属塩系);などの添加剤が含まれ得る。しかし、同文献には、カルボジイミド系化合物と、フェニルナフチルアミン系化合物と、トリアゾール系化合物またはチアジアゾール系化合物と、前述した添加剤類との特定の組合せによる混合物が開示されておらず、また、特定の混合物を、有機系摩擦調整剤および/または有機金属系摩擦調整剤を配合したエンジンオイルについて、銅、鉛および錫に対する当該エンジンオイルの腐食度を低下させるために使用する構成も開示されていない。
【0009】
特許文献3には、ボレートエステル系化合物と、トリアゾール系化合物と、任意でリン酸アミン系化合物とを含む添加剤組成物が開示されている。この添加剤組成物は、摩擦調整剤(グリセロールモノオレエートまたは有機モリブデン系化合物など)を配合した潤滑剤組成物に対し、銅、鉛および錫に対する当該潤滑剤組成物の腐食度を低下させるために使用される。なお、同文献の実施例には、腐食度の低下が見られる参照オイルについて、その参照オイルにどのような摩擦調整剤が配合されているのかが明示されていない。そこで、ASTM D6594規格に準拠して測定されたCu、PbおよびSnに対する前記参照オイルの腐食度の数値をみると、この参照オイルに配合された摩擦調整剤は、主に有機系ではなく、大半がMoDTC(モリブデンジチオカルバメート)系で占められているものと考えられる。なお、この添加剤組成物による腐食レベルの低下、特に、銅に対する腐食レベルの低下には、未だ改善の余地が残っている。
【0010】
さらに、この添加剤組成物は任意でリンの添加を伴うので、車両(特に、ディーゼル車両)に搭載される排気後処理システムにとって有害な灰分や触媒毒を生じる恐れがある。
【0011】
特許文献4には、酸アミド化合物およびベンゾトリアゾール系化合物を含む添加剤組成物を、モリブデンジチオカルバメートおよび有機系摩擦調整剤(脂肪酸類または脂肪族アミンエステル類など)を含む潤滑剤組成物に添加することが開示されている。この添加剤組成物の添加により、銅および鉛に対する上記潤滑剤組成物の腐食度を低下させることができる。しかし、この効果を得るには、有機系摩擦調整剤が低くなければならない。また、この添加剤組成物は、大量のモリブデン系摩擦調整剤が添加された潤滑剤に対して効果を有するが、これは潤滑剤中の金属レベルの増加を意味し、つまり、灰分を生成する傾向にあることを意味する。したがって、前述したように、排気にとって有害な作用を生じる恐れがある。さらに、同文献では、錫に対する腐食度についての効果は触れられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5614483号明細書
【特許文献2】欧州特許第0992571号明細書
【特許文献3】国際公開第2008/095805号パンフレット
【特許文献4】欧州特許出願公開第2080798号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、有機金属系摩擦調整剤および/または有機系摩擦調整剤を含むエンジン用潤滑剤組成物について、非鉄金属に対する当該潤滑剤組成物の腐食度をさらに低下させることが可能な添加剤組成物が求められている。詳細には、「燃料エコ」または燃料効率的な潤滑剤の処方、好ましくは灰分を生成しにくい潤滑剤の処方を可能にする添加剤組成物が求められている。すなわち、高レベルの摩擦調整剤、好ましくは高レベルの非金属系摩擦調整剤が配合された潤滑剤に対しても十分に使用できる添加剤組成物が求められている。より詳細には、灰分の原因となる化合物の潤滑剤中の配合量を最小限に抑えることが可能な、添加剤組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
驚くべきことに、出願人は、有機系摩擦調整剤および/または有機金属系摩擦調整剤が配合されたエンジンオイルに対し、少なくとも1種のカルボジイミド系化合物と、アミン系またはフェノール系の耐摩耗剤と、アゾール系化合物と、中性スルホネート塩系のさび止め剤とを含む添加剤組成物を添加すると、非鉄金属に対する当該エンジンオイルの腐食度が抑制されることを見出した。
【0015】
本発明にかかる添加剤組成物は、各種添加剤の共同作用により、非鉄金属に対するエンジンオイルの腐食度を低下させる。
【0016】
本発明にかかる添加剤組成物は、摩擦調整剤、特に、灰分を有さない有機系摩擦調整剤を高い割合で含むエンジンオイル(低灰分で「燃料エコ」効果を有するエンジンオイル処方物に相当)について、非鉄金属に対する当該エンジンオイルの腐食度を低下させるという利点を有する。
【0017】
本発明の一主題は:
(a)アゾール複素環で構成された少なくとも1種の化合物であって、前記アゾール複素環は、任意で硫黄原子を有しており、前記化合物は、ジアゾール系化合物またはトリアゾール系化合物から選択されるアゾール系化合物と、
(b)アルカリ金属またはアルカリ土類金属の非過塩基性アルキルベンゼンスルホネート系化合物または非過塩基性アルキルナフタレンスルホネート系化合物であって、前記スルホネート系化合物は、炭素数が7〜12、好ましくは8〜10であるアルキル置換基を少なくとも1つ有する、少なくとも1種のスルホネート系化合物と、
(c)式:X−N=C=N−Yで表される少なくとも1種のカルボジイミド系化合物であって、XおよびYは、互いに独立して、炭素数8〜60の炭化水素基であり、下記の構造式(I):
【0018】
【化1】

【0019】
(式中、R1は、炭素数2〜20の、任意で置換された脂肪族基またはモノ芳香族基であり;R2は、水素であるか、あるいは、炭素数2〜20の、任意で置換された脂肪族基またはモノ芳香族基であり;R3は、水素であるか、あるいは、炭素数2〜20の、任意で置換され、任意で縮合部分を有する脂肪族基またはモノ芳香族基である)で表わされる、少なくとも1種のカルボジイミド系化合物と、
(d)窒素原子が少なくとも1つのアリール基に結合した第二級アミン系化合物、少なくとも1つのオルト位、好ましくは両方のオルト位が、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基によって置換されたフェノール系化合物、またはこのようなフェノール系化合物の二量体から選択される少なくとも1種の酸化防止剤と、
を含む、添加剤組成物である。
【0020】
好ましくは、本発明にかかる添加剤組成物は、カルボジイミド系化合物(c)として、XおよびYのそれぞれが、カルボジイミド基を基準としたオルト位、あるいは、オルト位とパラ位に、2つまたは3つの置換基を有しており、かつ、これらの置換基の少なくとも1つが、炭素数が少なくとも3の分岐脂肪族鎖であるか、または炭素数5もしくは6の脂環式置換基である少なくとも1種のカルボジイミド系化合物を含む。
【0021】
好ましくは、本発明にかかる添加剤組成物は、化合物(a)として、下記の式(V):
【0022】
【化2】

【0023】
(式中、R6およびR7は、互いに独立して、直鎖、分岐鎖または環式の、炭素数が1〜30、好ましくは2〜20であり、任意で酸素原子、硫黄原子または窒素原子を有する炭化水素基である)で表される少なくとも1種のベンゾトリアゾール系化合物を含む。
【0024】
好ましくは、本発明にかかる添加剤組成物は、化合物(b)として、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩であり、炭素数が7〜12であるアルキル置換基を有する、少なくとも1種の中性ジアルキルベンゼンスルホネート系化合物または中性ジアルキルナフタレンスルホネート系化合物を含む。
【0025】
好ましい一実施形態において、本発明にかかる添加剤組成物は、ASTM D2892規格に準拠して測定される化合物(b)のBNが、20mg(KOH/g)未満、好ましくは15mg(KOH/g)未満である。
【0026】
一実施形態において、本発明にかかる添加剤組成物に酸化防止剤(d)として任意で含まれる第二級アミン系化合物は、
式:R8−NH−R9で表される第二級アミン系化合物
(式中、
R8およびR9は、互いに独立して、
・炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基またはアルケニル基によって任意で置換され、好ましくはアミン基を基準としたパラ位が置換された、フェニル基;または
・炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基またはアルケニル基によって任意で置換された、ナフチル基;あるいは、
R8がフェニル基であり、かつ、R9がアミン基の窒素原子およびR8の環と共同で炭素数6の複素環を構成しており、前記複素環は任意でアルキル基によって置換されている)から選択される。
【0027】
好ましくは、本発明にかかる添加剤組成物に酸化防止剤(d)として任意で含まれる第二級アミン系化合物は、ジフェニルアミン系化合物、好ましくは、フェニル基のオルト位が炭素数1〜10のアルキル基またはアルケニル基によって置換されたジフェニルアミン系化合物、置換されていないフェニルナフチルアミン、および炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜3の、最多でも2つのアルキル基またはアルケニル基によって置換されたフェニルナフチルアミン系化合物から選択される。
【0028】
好ましい一実施形態において、本発明にかかる添加剤組成物は、酸化防止剤(d)として、少なくとも1種の第二級アミン系化合物を含む。
【0029】
特に好ましくは、本発明にかかる添加剤組成物において、化合物(a)の質量%の数値[a]、化合物(b)の質量%の数値[b]、カルボジイミド系化合物(c)の質量%の数値[c]、および酸化防止剤(d)の質量%の数値[d]が、共同作用をもたらす数比関係を有しており、および/または:
● [c]:[a]が10〜100、好ましくは20〜50、
● [c]:[b]が1〜10、好ましくは2〜5、および
● [c]:[d]が1〜10、好ましくは2〜5
である。
【0030】
本発明の他の主題は、上記の添加剤組成物を含む潤滑剤組成物である。すなわち、本発明の他の主題は、エンジン用の潤滑剤組成物、好ましくはディーゼルエンジン用の潤滑剤組成物であって、
請求項1から9のいずれか一項に記載の添加剤組成物と、少なくとも1種の基油と、少なくとも1種の摩擦調整剤とを含み、前記摩擦調整剤が:
(i)少なくとも1種の有機金属系摩擦調整剤、好ましくは有機モリブデン系化合物または有機タングステン系化合物から選択される少なくとも1種の摩擦調整剤、より好ましくはモリブデンジチオカルバメート系化合物から選択される少なくとも1種の摩擦調整剤;および/または
(ii)脂肪アミン類、脂肪アルコール類、脂肪酸類および脂肪酸エステル類から選択される少なくとも一種であり;
好ましくはグリセロールエステル類(例えばグリセロールモノ、ジ、トリヘプタノエート;グリセロールモノ、ジ、トリオレエート;グリセロールモノ、ジ、トリステアレート;グリセロールモノ、ジ、トリイソステアレート;グリセロールモノ、ジ、トリリノレート;グリセロールモノ、ジ、トリカプリレートなど)、シトレート、タルトレート、マレート、ラクテート、マンデレート、グリコレート、ヒドロキシプロピオネート、ヒドロキシグルタレート、およびこれらの誘導体から選択される、少なくとも1種の有機系摩擦調整剤であってもよい。
【0031】
好ましくは、本発明にかかる潤滑剤組成物は、摩擦調整剤を0.8〜5質量%、より好ましくは1〜1.5質量%含む。
【0032】
好ましい一実施形態において、本発明にかかる潤滑剤組成物は、有機系摩擦調整剤を少なくとも0.8〜5質量%、より好ましくは1〜1.5質量%含む。
【0033】
好ましくは、本発明にかかる潤滑剤組成物は、有機金属系摩擦調整剤を0〜0.5質量%、好ましくは0.01〜0.3質量%含む。
【0034】
特に好ましい実施形態において、本発明にかかる潤滑剤組成物中には、カルボジイミド系化合物(c)が0.5〜4質量%、より好ましくは0.8〜3.5質量%、さらに好ましくは1〜3質量%含まれるように、前述した添加剤組成物が配合されている。
【0035】
本発明は、さらに、前述した添加剤組成物の、少なくとも1種の摩擦調整剤を含むエンジンオイル、好ましくはディーゼルエンジン用のエンジンオイルにおける、ASTM D6594に準拠して測定される、銅、鉛および錫に対する腐食度を低下させるための使用に関し、前記摩擦調整剤は:
(i)少なくとも1種の有機金属系摩擦調整剤、好ましくは有機モリブデン系化合物または有機タングステン系化合物から選択される少なくとも1種の摩擦調整剤、より好ましくはモリブデンジチオカルバメート系化合物から選択される少なくとも1種の摩擦調整剤;および/または
(ii)脂肪アミン類、脂肪アルコール類、脂肪酸類および脂肪酸エステル類から選択される少なくとも一種であり;
好ましくはグリセロールエステル類(例えばグリセロールモノ、ジ、トリヘプタノエート;グリセロールモノ、ジ、トリオレエート;グリセロールモノ、ジ、トリステアレート;グリセロールモノ、ジ、トリイソステアレート;グリセロールモノ、ジ、トリリノレート;グリセロールモノ、ジ、トリカプリレートなど)、シトレート、タルトレート、マレート、ラクテート、マンデレート、グリコレート、ヒドロキシプロピオネート、ヒドロキシグルタレート、およびこれらの誘導体から選択される、少なくとも1種の有機系摩擦調整剤であってもよい。
【0036】
本発明は、さらに、前記エンジンオイルが、前述した少なくとも1種の摩擦調整剤を含むエンジンオイル、好ましくはディーゼルエンジン用のエンジンオイルである使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[カルボジイミド系化合物(c)]
本発明にかかる添加剤組成物は、式:X−N=C=N−Yで表される少なくとも1種のカルボジイミド系化合物であって、
XおよびYは、互いに独立して、炭素数8〜60の炭化水素基であり、下記の構造式(I):
【0038】
【化3】

【0039】
(式中、R1は、炭素数2〜20の、任意で置換された脂肪族基またはモノ芳香族基であり;R2は、水素であるか、あるいは、炭素数2〜20の、任意で置換された脂肪族基またはモノ芳香族基であり;R3は、水素であるか、あるいは、炭素数2〜20の、任意で置換され、任意で縮合部分を有する脂肪族基またはモノ芳香族基である)で表わされる、少なくとも1種のカルボジイミド系化合物を含む。
【0040】
特に好ましくは、XおよびYは、カルボジイミド基を基準とした2つのオルト位が置換基によって置換されており、任意でパラ位も置換基によって置換されている。
【0041】
前記置換基は、炭素数2〜20のアルキル基またはシクロアルキル基、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、ドデシル基など、あるいは、炭素数6〜15のアリール基またはアラルキル基、例えば、フェニル基、トリル基、ベンジル基、ナフチル基など、であってもよい。
【0042】
好ましくは、前記置換基は、炭素数が少なくとも3の、分岐脂肪族置換基または脂環式置換基である。
【0043】
特に好ましくは、カルボジイミド系化合物(c)を表す前記式において、XおよびYのそれぞれは、カルボジイミド基を基準としたオルト位、あるいは、オルト位とパラ位に、2つまたは3つの置換基を有しており、かつ、これらの置換基の少なくとも1つが、炭素数が少なくとも3の分岐脂肪族鎖であるか、または炭素数5もしくは6の脂環式置換基である。
【0044】
特に好ましいカルボジイミド系化合物(c)として、N,N’−ジ(2,6−ジイソプロピルフェニル)−カルボジイミド、またはN,N’−ジ(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)−カルボジイミドが挙げられる。
【0045】
その他の使用可能なカルボジイミド系化合物(c)としては、
式:X−(−N=C=N−Y)−N=C=N−Y
(式中、XおよびYは、置換基も含めて前述と同様であり、pは0〜100、好ましくは0〜50、より好ましくは0〜40の整数である)
で表される、カルボジイミドダイマー(カルボジイミド二量体)、カルボジイミドオリゴマー、またはカルボジイミドポリマーが挙げられる。
【0046】
このようなカルボジイミド系化合物、そのカルボジイミドダイマー、カルボジイミドオリゴマー、およびカルボジイミドポリマーは、単独で又は混合物として使用可能である。
【0047】
[アゾール系化合物(a)]
本発明にかかる添加剤組成物は、任意で硫黄原子を有するアゾール複素環で構成された少なくとも1種の化合物(硫黄原子を有する場合にはチアゾール系化合物)(a)を含む。
【0048】
好ましくは、前記化合物(a)は、ジアゾール系化合物またはトリアゾール系化合物(1,2,4−トリアゾール系化合物または1,2,3−トリアゾール系化合物)、あるいは、チアゾール系化合物、例えば、ベンゾチアゾール系化合物、メルカプトベンゾチアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、ジメルカプトチアジアゾール系化合物など、である。
【0049】
前記1,2,4−トリアゾール系化合物は、例えば、米国特許第4734209号明細書(第1欄および第2欄第1〜35行)に記載された金属不活性化合物であってもよく、例えば、下記の構造式(II):
【0050】
【化4】

【0051】
(式中、
R4およびR5は、互いに独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のアルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数7〜13のアラルキル基、または炭素数6〜10のアリール基であるか;
R4およびR5は、当該R4およびR5が結合している窒素原子と共同で、炭素数5、6または7の複素環を構成しているか;
R4およびR5は、次の式:
R3−X[アルキレン]O)n(アルキレン)−
(式中、X=O、SまたはNであり、アルキレンは炭素数1〜12のアルキレン基であり、nは0または1〜6の整数である)で表される化学基であるか;
R4は前述と同様であり、R5は下記の構造式(III):
【0052】
【化5】

【0053】
で表される置換基であるか;
R5は上記構造式(III)で表される置換基であり、R4は次の式(IV):
[アルキレン]n−N(R4)−A−[N(R4)]m (IV)
(式中、m=0または1であり、m=0の場合、Aは上記構造式(III)で表される置換基であり、m=1の場合、Aはアルキレン基または炭素数6〜10のアリーレン基である)の1,2,4−トリアゾール系化合物であってもよい。
【0054】
好ましくは、前記トリアゾール系化合物は、例えば、下記の構造式(V):
【0055】
【化6】

【0056】
(式中、R6およびR7は、互いに独立して、直鎖、分岐鎖または環式の、炭素数が1〜30、より好ましくは2〜20であり、任意で酸素原子、硫黄原子または窒素原子を有する炭化水素基である)で表されるベンゾトリアゾール系化合物である。
【0057】
[アミン系またはフェノール系酸化防止剤(d)]
本発明にかかる酸化防止剤(d)は、潤滑剤中での酸化防止効果が当該技術分野において周知である、立体障害(ヒンダード)されたフェノール基を有するフェノール系化合物、または立体障害(ヒンダード)されたアミン基を有する第二級アミン系化合物である。
【0058】
本発明にかかる組成物に含まれ得るフェノール系酸化防止剤は、少なくとも1つのオルト位、好ましくは両方のオルト位が、炭素数1〜10のアルキル基(例えば、メチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基など)、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基によって置換されたフェノール系化合物である。前記フェノール系化合物は、二量体の形態で使用されてもよい。
【0059】
本発明にかかる組成物に含まれ得るアミン系酸化防止剤は、窒素原子が少なくとも1つのアリール基に結合した第二級アミン系化合物である。
【0060】
好ましくは、前記アミン系酸化防止剤(d)は、
式:R8−NH−R9で表される第二級アミン系化合物
(式中、R8およびR9は、互いに独立して、
・ 炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基またはアルケニル基によって任意で置換され、より好ましくはアミン基を基準としたパラ位が置換された、フェニル基;または
・ 炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基またはアルケニル基によって任意で置換された、ナフチル基;あるいは、
R8がフェニル基であり、かつ、R9がアミン基の窒素原子およびR8の環と共同で炭素数6の複素環を構成しており、前記複素環は任意でアルキル基によって置換されている)から選択される。
【0061】
[アルカリ金属およびアルカリ土類金属のスルホネート系化合物(b)]
本発明にかかる添加剤組成物に含まれる、金属のスルホネート系化合物(スルホン酸の金属塩)は、潤滑剤中での鉄金属の腐食抑制作用が当該技術分野において周知である化合物とする。
【0062】
そのような化合物(b)は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルキルベンゼンスルホネート系化合物またはアルキルナフタレンスルホネート系化合物であり、アルキル鎖は、炭素数が7〜12、好ましくは8〜10であるアルキル鎖である。好ましくは、前記スルホネート系化合物(b)は、炭素数が7〜12、より好ましくは8〜10であるアルキル鎖を有する、ジアルキルベンゼンスルホネート系化合物またはジアルキルナフタレンスルホネート系化合物である。好ましくは、前記アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、カルシウム、バリウム、マグネシウム、および亜鉛であり、より好ましくはカルシウムである。
【0063】
前記スルホネート系化合物(b)は、金属部品の表面に対して作用し、金属表面と反応することによって保護膜を形成する。
【0064】
前記スルホネート系化合物(b)は、オイル(例えば、エンジンオイル、船舶用エンジンオイルなど)中で清浄剤として機能するスルホネート系化合物とは異なる。詳細には、後者のスルホネート系化合物は、オイル中、そのミセル構造および過塩基化されている塩基性度(例えば炭酸金属塩によって過塩基化されている)によって、清浄剤として作用する。
【0065】
清浄剤の塩基性は、ASTM D2896規格に準拠して測定される、BNすなわち「塩基価」(mgKOH/g)によって特徴付けられる。清浄剤のBNは、典型的には80mg(KOH/g)超、あるいは、150mg(KOH/g)超であるが、清浄剤によっては最大4000mg(KOH/g)に達する場合や、さらにこれを超える場合もある。ただし、スルホネート系化合物本来の塩基価は極めて低く、清浄剤として使用する際には過塩基化する必要がある。
【0066】
対照的に、さび止め剤として使用されるスルホネート系化合物は、保護対象部品の金属表面に作用して当該表面に結合可能でなければならないので、過塩基化されない(すなわち、「中性」のスルホネート系化合物とされる)。
【0067】
さび止め剤として使用される前記スルホネート系化合物(b)は、ASTM D2896に準拠した塩基価が実質的に0mg(KOH/g)であってもよく、また30mg(KOH/g)未満、好ましくは20mg(KOH/g)未満、より好ましくは15mg(KOH/g)未満であってもよい。
【0068】
清浄剤として使用される典型的なスルホネート系化合物のアルキル鎖の炭素数は18〜24であり、本発明にかかるスルホネート系化合物のアルキル鎖よりも長い。過塩基性スルホネート系清浄剤は、このような長い鎖により、オイル中でミセルを懸濁状態に維持することができる。その点で、過塩基性スルホネート系清浄剤は、本発明にかかるスルホネート系さび止め剤と異なる。
【0069】
好ましくは、本発明にかかる添加剤組成物において、化合物(a)、化合物(b)、カルボジイミド系化合物(c)、および酸化防止剤(d)は、共同作用をもたらす数量関係で含まれている。
【0070】
好ましくは、本発明にかかる添加剤組成物において、化合物(a)の質量%の数値[a]、化合物(b)の質量%の数値[b]、カルボジイミド系化合物(c)の質量%の数値[c]、および酸化防止剤(d)の質量%の数値[d]の互いの数比関係は:
● [c]:[a]が10〜100、より好ましくは20〜50、
● [c]:[b]が1〜10、より好ましくは2〜5、および
● [c]:[d]が1〜10、より好ましくは2〜5
である。
【0071】
本発明にかかる添加剤組成物の一利点は、有機系摩擦調整剤および/または有機金属系摩擦調整剤を高い割合(例えば、0.8〜5質量%、0.9〜2質量%、あるいは、1〜1.5質量%)で含む潤滑剤組成物について、銅、鉛または錫に対する当該潤滑剤組成物の腐食度を低下させられる点である。前記潤滑剤組成物が摩擦調整剤として有機モリブデン系摩擦調整剤のみを含む場合、モリブデンの含有量は、400〜2,500ppm、450〜1,000ppm、あるいは、500〜1,500ppmとしてもよい。
【0072】
すなわち、本発明にかかる添加剤組成物は、それ自体が「燃料エコ」な、すなわち燃料効率的な潤滑剤組成物について、前述の非鉄金属に対する当該潤滑剤組成物の腐食度を低下させることができる。
【0073】
本発明にかかる添加剤組成物の他の利点は、有機系摩擦調整剤を高い割合(例えば、0.5〜5質量%、好ましくは0.8〜5質量%、0.7〜4質量%、0.9〜2質量%、あるいは、1〜1.5質量%)で含む潤滑剤組成物について、銅、鉛または錫に対する当該潤滑剤組成物の腐食度を低下させられる点である。
【0074】
すなわち、本発明にかかる添加剤組成物は、摩擦調整剤として実質的に又は排他的に有機系摩擦調整剤のみを含む、つまり、灰分の原因となる有機金属系摩擦調整剤のレベルがゼロまたは低レベル(例えば、0〜0.5質量%、あるいは、0.01〜0.3質量%)である、「燃料エコ」効果、すなわち燃料効率的な効果を有する潤滑剤組成物について、前述の非鉄金属に対する当該潤滑剤組成物の腐食度を低下させることができる。
【0075】
[潤滑剤組成物]
本発明にかかる潤滑剤組成物は、エンジンオイル、好ましくはディーゼルエンジン用のエンジンオイルである。好ましくは、この潤滑剤組成物は、前述した化合物(a)、(b)、(c)および(d)を含む添加剤組成物と、有機系摩擦調整剤および/または有機金属系摩擦調整剤と、任意の種類の潤滑剤基油と、粘度指数向上ポリマーと、その時々の用途に適した他の添加剤類とを含む。
【0076】
好ましくは、前記潤滑剤組成物中には、カルボジイミド系化合物(c)が0.5〜4質量%、より好ましくは0.8〜3.5質量%、さらに好ましくは1〜3質量%含まれるように、前記添加剤組成物が配合されている。
【0077】
(摩擦調整剤(FM))
本発明にかかる潤滑剤組成物は、エンジンオイルに一般的に処方される、当該技術分野において周知の有機金属系摩擦調整剤または有機系摩擦調整剤を含む。
【0078】
前記有機金属系摩擦調整剤は、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を有する炭化水素化合物を配位子に持つ、Mo、W、Fe、Cu、Zuなどの遷移金属の錯体、またはSb、Snなどの金属の錯体である。特に、タングステンまたはモリブデンを有する有機化合物、例えば、モリブデンジチオカルバメート(MoDTC)系化合物などが特に効果的であり、かつ、本発明にかかる潤滑剤組成物において好ましい。
【0079】
前記有機系摩擦調整剤は、例えば、脂肪アルコール類、脂肪酸類、脂肪アミン類、脂肪エステル類などである。これらの化合物は、任意で、モノエトキシ化またはポリエトキシ化されていてもよい。すなわち、有機系摩擦調整剤として、ポリエトキシ化された不飽和脂肪酸エーテル類が使用されてもよい。また、摩擦調整剤として、脂肪エステル類のボレート誘導体が使用されてもよい。
【0080】
前記脂肪エステル類は、ポリオールと脂肪酸とのエステル、例えば、グリセロールモノ、ジ、トリヘプタノエート;グリセロールモノ、ジ、トリオレエート;グリセロールモノ、ジ、トリステアレート;グリセロールモノ、ジ、トリイソステアレート;グリセロールモノ、ジ、トリリノレート;グリセロールモノ、ジ、トリカプリレート;などであり、好ましくはグリセロールモノオレエートおよびグリセロールモノイソステアレートである。
【0081】
また、有機系摩擦調整剤として、炭素数2〜8の多塩基酸とモノアルコールとのエステル、例えば、シトレート;タルトレート;マレート;ラクテート;マンデレート;グリコレート;ヒドロキシプロピオネート;ヒドロキシグルタレート;など、あるいは、これらのボレート誘導体が使用されてもよい。
【0082】
前記有機系摩擦調整剤は、脂肪アミド類、例えば、オレアミド系化合物などであってもよく、グリセロールオレエートとの組合せで使用されてもよい。
【0083】
前記有機摩擦調整剤として使用される前記脂肪アミン類は、天然由来の植物油、例えば、ココナッツ油、パーム油、オリーブ油、落花生油、なたね油、ひまわり油、大豆油、綿油、桐油などに由来するものであってもよいし、牛脂などに由来するものであってもよい。
【0084】
好ましくは、本発明にかかる潤滑剤組成物に含まれ得る前記有機系摩擦調整剤は、前述したグリセロールエステル類、脂肪アミン類、およびシトレートである。
【0085】
上記の摩擦調整剤は、単独で又は混合物として使用されてもよい。本発明にかかる潤滑剤組成物は、摩擦調整剤として、少なくとも1種の有機系摩擦調整剤(FM)のみを含むものであってもよく、これにより、当該潤滑剤組成物に「無灰分」特性がもたらされる。また、本発明にかかる潤滑剤組成物は、少なくとも1種の有機金属系摩擦調整剤(FM)のみを含むものであってもよいし、あるいは、少なくとも1種の有機系摩擦調整剤(FM)と少なくとも1種の有機金属系摩擦調整剤(FM)との混合物を含むものであってもよい。
【0086】
エンジン用潤滑剤中の前記摩擦調整剤の含有レベルは、一般的に0.01〜5%、好ましくは0.01〜1.5%である。
【0087】
(潤滑剤基油)
本発明にかかる潤滑剤組成物は、少なくとも1種の基油を含む。この基油は、前記潤滑剤組成物中に、一般的に少なくとも50重量%、より一般的には70%超、場合によっては最大85%、あるいはそれ以上含まれる。
【0088】
本発明にかかる潤滑剤組成物に含まれる前記基油は、API(米国石油協会)分類に規定されたグループI〜VIにおける鉱物由来または合成由来の油の、1種または混合物であってもよい。
【0089】
本発明にかかる鉱物由来の基油には、原油を常圧蒸留および減圧蒸留したものを精製工程にかけることによって得られる、あらゆる種類の基油が含まれる。本発明にかかる潤滑剤組成物に含まれる基油は、合成由来の油、例えば、カルボン酸とアルコールとによる一部のエステル、ポリαオレフィンなどであってもよい。
【0090】
前記油は、天然由来の植物油または動物油であってもよい。
【0091】
これらの異なる種類の油は、単独で又は混合物として使用されてもよい。
【0092】
(粘度指数向上ポリマー)
粘度指数向上ポリマーにより、耐低温性を確保すると同時に高温時の粘度を抑えることができるので、特に、マルチグレードのオイルを処方することが可能となる。このような化合物を潤滑剤組成物に添加することにより、潤滑剤組成物の粘度指数(VI)が、当該潤滑剤組成物に燃料エコ特性、すなわち燃料効率的な特性をもたらす数値に達する。このような化合物として、例えば、高分子エステル;オレフィンコポリマー(OCP);スチレン、ブタジエンまたはイソプレンの単独重合体または共重合体;ポリメタクリレート(PMA);などが挙げられる。4ストロークエンジン用の潤滑剤組成物中の粘度指数向上ポリマーの含有レベルは、一般的には約0〜約40重量%、好ましくは5〜15重量%である。
【0093】
(その他の添加剤)
添加剤は、単独で又はパッケージ添加剤として添加されてもよく、例えば、潤滑剤組成物に添加されることにより、ACEA(欧州自動車工業会)またはJASO(日本自動車技術会規格)のディーゼルエンジン用潤滑剤として必要な一定の性能レベルを確保するものである。なお、下記の添加剤は幾つかの例に過ぎず、全種類の添加剤を網羅したものではない:
【0094】
● 分散剤
分散剤は、潤滑剤組成物中に、一般的に5〜8重量%含まれ得る。分散剤として、例えば、スクシンイミド系化合物、PIB(ポリイソブテン)スクシンイミド、マンニッヒ塩基などが挙げられる。分散剤は、エンジンオイル使用中に生じる酸化副生成物で構成される不溶性の固形不純物を懸濁状態に維持し、これを確実に取り除く。
【0095】
● 酸化防止剤
酸化防止剤は、潤滑剤組成物中に、一般的に0.5〜2重量%含まれ得る。酸化防止剤は、使用中のオイルの劣化速度を減少させ、オイルの劣化に起因するデポジット(堆積物)やスラッジの形成、またはオイルの粘度上昇を抑制する。酸化防止剤は、ラジカル抑制剤またはヒドロペルオキシド分解剤として作用する。一般的に使用される酸化防止剤として、ヒンダードアミノ系およびヒンダードフェノール系の酸化防止剤が挙げられる。
【0096】
他の酸化防止剤として、油溶性の銅化合物、例えば、銅のチオホスフェート系化合物;銅のジチオホスフェート系化合物;カルボン酸の銅塩;銅のジチオカルバメート系化合物;銅のスルホネート系化合物;銅のフェネート系化合物;銅のアセチルアセトネート系化合物;などが挙げられる。コハク酸またはコハク酸無水物の銅(I)塩および銅(II)塩も使用可能である。
【0097】
● 耐摩耗剤
耐摩耗剤は、潤滑剤組成物中に、一般的に1〜2重量%含まれ得る。耐摩耗剤は、摩擦表面に吸着する保護膜を形成することにより、当該摩擦表面を保護する。最もよく使用される耐摩耗剤として、亜鉛ジチオホスフェート(DTPZn)系化合物が挙げられる。耐摩耗剤として、他にも、様々なリン含有化合物、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、塩素含有化合物、およびホウ素含有化合物が挙げられる。
【0098】
● 清浄剤
清浄剤は、潤滑剤組成物中に、一般的に2〜4重量%含まれ得る。典型的な清浄剤は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の、カルボン酸塩、スルホネート系化合物、サリチレート系化合物、ナフテネート系化合物、およびフェネート塩である。
【0099】
ASTM D2896規格に準拠した清浄剤のBNは、一般的に、清浄剤1g当たり、40mg(KOH/g)超、あるいは、80mg(KOH/g)超である。大半の清浄剤は過塩基化されており、その典型的なBNは、約150mg(KOH/g)以上、250mg(KOH/g)以上、さらには、400mg(KOH/g)以上に達し得る。
【0100】
その他の添加剤として、消泡剤、曇り点降下剤なども挙げられる。
【実施例】
【0101】
(実施例1)
SAE J300(自動車技術者協会)分類に基づき、0W30グレードの参照エンジンオイル(参照オイル)を調製した。この参照オイルは、API(米国石油協会規格)およびATIEL(欧州潤滑油協会)の分類に基づくグループIIIの鉱物性基油と;ACEA((欧州自動車工業会)またはJASO(日本自動車技術会規格)によって要求される性能レベルをもたらす、ディーゼルエンジン用エンジンオイルのパッケージ添加剤と;粘度指数(VI)向上ポリマーとしてのアルキルメタクリレートコポリマーと;の混合物を含む。なお、前記パッケージ添加剤には、分散剤、耐摩耗剤、清浄剤、酸化防止剤、および消泡剤が含まれる。
【0102】
以下の表に、前記参照オイルの元素分析の結果(ppm)およびその他の特性を示す。
【0103】
【表1】

【0104】
前記参照オイルに対し、有機金属系摩擦調整剤(モリブデンジチオカルバメート)を添加・処方したオイルをオイルA、有機系摩擦調整剤(脂肪アミン)を添加・処方したオイルをオイルB、そして、これら2種類の摩擦調整剤の混合物を添加・処方したオイルをオイルCとした。
【0105】
これらオイルA,B,Cに対し、アミン系酸化防止剤、金属セッケン、カルボジイミド系化合物、およびベンゾトリアゾールを、単独で又は混合物として添加することにより、オイルD,E,F,G,H,I,J,K,L,Mを処方した。
【0106】
オイルF、オイルLおよびオイルMが、本発明にかかる添加剤組成物を含んでいる。
【0107】
これらの各種オイルについて、ASTM D6594規格に準拠したHTCBT試験を実行し、非鉄金属に対する腐食度を測定した。Cu、Pb、Snおよびリン青銅の4種類の帯片を、135℃の油中に所定時間のあいだ空気を吹き込みながら浸漬させる。試験終了後、油中に溶解した銅元素、鉛元素および錫元素の量(ppm)を測定し、同じくCu帯片の外観を、カラースケールを用いて色で評価する。前記元素の溶解量が多いほど、これらの金属に対する油の腐食度が高い。また、Cu帯片は1(弱腐食性)〜4(強腐食性)の間で格付けされる。
【0108】
後述の表1に、上記の各種オイルの組成および特性を示す。
【0109】
有機金属系摩擦調整剤(MoDTC)を含むオイルAは、本発明にかかる添加剤が添加されていない状態では、摩擦調整剤を含まない参照オイルに比べて、銅に対する腐食度が極めて高い。
【0110】
本発明にかかる添加剤組成物中の一部の成分のみを添加した場合、銅に対する腐食度は低下するものの、鉛に対する腐食度に関しては逆効果になる(オイルDおよびオイルEを、オイルAと比較した場合)。
【0111】
他方、本発明にかかる添加剤組成物(ジフェニルアミン、カルシウムスルホネート、カルボジイミドおよびトリアゾールを含む添加剤組成物)を添加することにより、錫に対する腐食度をゼロに維持したまま、銅および鉛に対する腐食度を低下させることができる(オイルFの場合)。
【0112】
有機系摩擦調整剤(脂肪アミン)を含むオイルBは、本発明にかかる添加剤が添加されていない状態では、FM(摩擦調整剤)を含まない参照オイルに比べて、銅および鉛に対する腐食度が極めて高い。
【0113】
オイルBにジフェニルアミンを添加すると、銅および鉛に対する腐食度が上昇する(オイルGの場合)。
【0114】
オイルBにカルシウムスルホネートまたはトリアゾールを添加すると、銅に対する腐食度は低下するが、鉛に対する腐食度が大幅に上昇する(オイルHおよびオイルJの場合)。
【0115】
オイルBにカルボジイミドを添加すると、銅に対する腐食度は低下するが、鉛に対する腐食度は、元のオイルBよりは低下するものの高い状態が維持される(オイルIを、オイルBと比較した場合)。カルボジイミドをトリアゾールと組み合わせて添加すると、結果は向上するが、鉛に対する腐食度は高いままである(オイルKの場合)。
【0116】
他方、本発明にかかる添加剤組成物(ジフェニルアミン、カルシウムスルホネート、カルボジイミドおよびトリアゾールを含む添加剤組成物)を添加することにより、優れた結果が得られる。詳細には、有機系FM(摩擦調整剤)を含むオイルの腐食度が、FM(摩擦調整剤)を含まない参照オイルの腐食度のレベルにまで改善される。
【0117】
有機系摩擦調整剤(脂肪アミン)および有機金属系摩擦調整剤(MoDTC)を含むオイルCは、本発明にかかる添加剤が添加されていない状態では、FM(摩擦調整剤)を含まない参照オイルに比べて、銅に対する腐食度が極めて高く、また、鉛に対する腐食度も高い。
【0118】
本発明にかかる添加剤組成物(ジフェニルアミン、カルシウムスルホネート、カルボジイミドおよびトリアゾールを含む添加剤組成物)を添加することにより、優れた結果が得られる。詳細には、有機金属系FM(摩擦調整剤)および有機系FM(摩擦調整剤)を含むオイルの腐食度が、FM(摩擦調整剤)を含まない参照オイルの腐食度のレベルにまで、あるいは、それを下回るレベルにまで改善される(オイルMを、参照オイルと比較した場合)。
【0119】
なお、オイルF、オイルLおよびオイルMは、錫に対する腐食度が実質ゼロであり(その他の大半のオイルも同様に実質ゼロである)、かつ、試験の合格基準をクリアしている(オイルDおよびオイルEも同様にクリアしている)。
【0120】
(実施例2)
SAE J300(自動車技術者協会)分類に基づき、0W30グレードの、別のエンジンオイルを調製した。このエンジンオイルは、API(米国石油協会規格)およびATIEL(欧州潤滑油協会)の分類に基づくグループIIIの鉱物性基油とグループIVの鉱物性基油との組合せと;ACEA((欧州自動車工業会)またはJASO(日本自動車技術会規格)によって要求される性能レベルをもたらす、ディーゼルエンジン用エンジンオイルのパッケージ添加剤と;粘度指数(VI)向上ポリマーとしてのアルキルメタクリレートコポリマー(商品名:LZ7418A)と;の混合物を含む。なお、前記パッケージ添加剤には、分散剤、耐摩耗剤、清浄剤、酸化防止剤、および消泡剤が含まれる。
【0121】
前記さらなるエンジンオイルに対し、有機系摩擦調整剤(脂肪アミン)、アミノ系酸化防止剤、金属セッケン、カルボジイミド系化合物、およびベンゾトリアゾールを、単独で又は混合物として添加することにより、オイルN,O,P,Q,Rを処方した。オイルRが、本発明にかかる添加剤組成物を含んでいる。
【0122】
これらの各種オイルについて、ASTM D6594規格に準拠したHTCBT試験を実行し、非鉄金属に対する腐食度を測定した。後述の表2に、これらの各種オイルの組成および特性を示す。
【0123】
オイルN,O,P,Q,Rは、銅および錫に対する腐食度に関しては同等である。他方で、本発明にかかる添加剤組成物を含むオイルRは、鉛に対する腐食度が、オイルN,O,P,Qよりも低い。
【0124】
【表2】

【0125】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アゾール複素環で構成された少なくとも1種の化合物であって、前記アゾール複素環は、任意で硫黄原子を有しており、前記化合物は、ジアゾール系化合物またはトリアゾール系化合物から選択されるアゾール系化合物と、
(b)アルカリ金属またはアルカリ土類金属の非過塩基性アルキルベンゼンスルホネート系化合物または非過塩基性アルキルナフタレンスルホネート系化合物であって、前記スルホネート系化合物は、炭素数が7〜12、好ましくは8〜10であるアルキル置換基を少なくとも1つ有する、少なくとも1種のスルホネート系化合物と、
(c)式:X−N=C=N−Yで表される少なくとも1種のカルボジイミド系化合物であって、XおよびYは、互いに独立して、炭素数8〜60の炭化水素基であり、下記の構造式(I):
【化1】

(式中、R1は、炭素数2〜20の、任意で置換された脂肪族基またはモノ芳香族基であり;R2は、水素であるか、あるいは、炭素数2〜20の、任意で置換された脂肪族基またはモノ芳香族基であり;R3は、水素であるか、あるいは、炭素数2〜20の、任意で置換され、任意で縮合部分を有する脂肪族基またはモノ芳香族基である)で表わされる、少なくとも1種のカルボジイミド系化合物と、
(d)窒素原子が少なくとも1つのアリール基に結合した第二級アミン系化合物、少なくとも1つのオルト位、好ましくは両方のオルト位が、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基によって置換されたフェノール系化合物、またはこのようなフェノール系化合物の二量体から選択される少なくとも1種の酸化防止剤と、
を含む、添加剤組成物。
【請求項2】
請求項1の添加剤組成物において、カルボジイミド系化合物(c)として、XおよびYのそれぞれが、カルボジイミド基を基準としたオルト位、あるいは、オルト位とパラ位に、2つまたは3つの置換基を有しており、かつ、これらの置換基の少なくとも1つが、炭素数が少なくとも3の分岐脂肪族鎖であるか、または炭素数5もしくは6の脂環式置換基である少なくとも1種のカルボジイミド系化合物を含む、添加剤組成物。
【請求項3】
請求項1または2の添加剤組成物において、化合物(a)として、下記の式(V):
【化2】

(式中、R6およびR7は、互いに独立して、直鎖、分岐鎖または環式の、炭素数が1〜30、好ましくは2〜20であり、任意で酸素原子、硫黄原子または窒素原子を有する炭化水素基である)で表される少なくとも1種のベンゾトリアゾール系化合物を含む、添加剤組成物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項の添加剤組成物において、化合物(b)として、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩であり、炭素数が7〜12であるアルキル置換基を有する、少なくとも1種の中性ジアルキルベンゼンスルホネート系化合物または中性ジアルキルナフタレンスルホネート系化合物を含む、添加剤組成物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項の添加剤組成物において、ASTM D2892規格に準拠して測定される化合物(b)のBNが、20mg(KOH/g)未満、好ましくは15mg(KOH/g)未満である、添加剤組成物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項において、酸化防止剤(d)として任意で含まれる第二級アミン系化合物が、
式:R8−NH−R9で表される第二級アミン系化合物
(式中、
R8およびR9は、互いに独立して、
・炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基またはアルケニル基によって任意で置換され、好ましくはアミン基を基準としたパラ位が置換された、フェニル基;または
・炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基またはアルケニル基によって任意で置換された、ナフチル基;あるいは、
R8がフェニル基であり、かつ、R9がアミン基の窒素原子およびR8の環と共同で炭素数6の複素環を構成しており、前記複素環は任意でアルキル基によって置換されている)から選択される、添加剤組成物。
【請求項7】
請求項6の添加剤組成物において、酸化防止剤(d)として任意で含まれる第二級アミン系化合物が、ジフェニルアミン系化合物、好ましくは、フェニル基のオルト位が炭素数1〜10のアルキル基またはアルケニル基によって置換されたジフェニルアミン系化合物、置換されていないフェニルナフチルアミン、および炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜3の、最多でも2つのアルキル基またはアルケニル基によって置換されたフェニルナフチルアミン系化合物から選択される、添加剤組成物。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項の添加剤組成物において、酸化防止剤(d)として、少なくとも1種の第二級アミン系化合物を含む、添加剤組成物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項の添加剤組成物において、化合物(a)の質量%の数値[a]、化合物(b)の質量%の数値[b]、カルボジイミド系化合物(c)の質量%の数値[c]、および酸化防止剤(d)の質量%の数値[d]が、共同作用をもたらす数比関係を有しており、および/または:
● [c]:[a]が10〜100、好ましくは20〜50、
● [c]:[b]が1〜10、好ましくは2〜5、および
● [c]:[d]が1〜10、好ましくは2〜5
である、添加剤組成物。
【請求項10】
エンジン用の潤滑剤組成物、好ましくはディーゼルエンジン用の潤滑剤組成物であって、
請求項1から9のいずれか一項に記載の添加剤組成物と、少なくとも1種の基油と、少なくとも1種の摩擦調整剤とを含み、前記摩擦調整剤が:
(i)少なくとも1種の有機金属系摩擦調整剤、好ましくは有機モリブデン系化合物または有機タングステン系化合物から選択される少なくとも1種の摩擦調整剤、より好ましくはモリブデンジチオカルバメート系化合物から選択される少なくとも1種の摩擦調整剤;および/または
(ii)脂肪アミン類、脂肪アルコール類、脂肪酸類および脂肪酸エステル類から選択される少なくとも一種であり;
好ましくはグリセロールエステル類(例えばグリセロールモノ、ジ、トリヘプタノエート;グリセロールモノ、ジ、トリオレエート;グリセロールモノ、ジ、トリステアレート;グリセロールモノ、ジ、トリイソステアレート;グリセロールモノ、ジ、トリリノレート;グリセロールモノ、ジ、トリカプリレートなど)、シトレート、タルトレート、マレート、ラクテート、マンデレート、グリコレート、ヒドロキシプロピオネート、ヒドロキシグルタレート、およびこれらの誘導体から選択される、少なくとも1種の有機系摩擦調整剤である、潤滑剤組成物。
【請求項11】
請求項10の潤滑剤組成物において、摩擦調整剤を0.8〜5質量%、好ましくは1〜1.5質量%含む、潤滑剤組成物。
【請求項12】
請求項10または11の潤滑剤組成物において、有機系摩擦調整剤を少なくとも0.8〜5質量%、好ましくは1〜1.5質量%含む、潤滑剤組成物。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか一項の潤滑剤組成物において、有機金属系摩擦調整剤を0〜0.5質量%、好ましくは0.01〜0.3質量%含む、潤滑剤組成物。
【請求項14】
請求項10から13のいずれか一項の潤滑剤組成物において、当該潤滑剤組成物中にカルボジイミド系化合物(c)が0.5〜4質量%、好ましくは0.8〜3.5質量%、より好ましくは1〜3質量%含まれるように添加剤組成物が配合された、潤滑剤組成物。
【請求項15】
請求項1から9のいずれか一項に記載の添加剤組成物の、少なくとも1種の摩擦調整剤を含むエンジンオイル、好ましくはディーゼルエンジン用のエンジンオイルにおける、ASTM D6594に準拠して測定される、銅、鉛および錫に対する腐食度を低下させるための使用であって、前記摩擦調整剤が:
(i)少なくとも1種の有機金属系摩擦調整剤、好ましくは有機モリブデン系化合物または有機タングステン系化合物から選択される少なくとも1種の摩擦調整剤、より好ましくはモリブデンジチオカルバメート系化合物から選択される少なくとも1種の摩擦調整剤;および/または
(ii)脂肪アミン類、脂肪アルコール類、脂肪酸類および脂肪酸エステル類から選択される少なくとも一種であり;
好ましくはグリセロールエステル類(例えばグリセロールモノ、ジ、トリヘプタノエート;グリセロールモノ、ジ、トリオレエート;グリセロールモノ、ジ、トリステアレート;グリセロールモノ、ジ、トリイソステアレート;グリセロールモノ、ジ、トリリノレート;グリセロールモノ、ジ、トリカプリレートなど)、シトレート、タルトレート、マレート、ラクテート、マンデレート、グリコレート、ヒドロキシプロピオネート、ヒドロキシグルタレート、およびこれらの誘導体から選択される、少なくとも1種の有機系摩擦調整剤であってもよい、使用。
【請求項16】
請求項15において、エンジンオイルが請求項10から15のいずれか一項に記載のものである、使用。

【公表番号】特表2013−514425(P2013−514425A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543991(P2012−543991)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055964
【国際公開番号】WO2011/073960
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(505036674)トータル・ラフィナージュ・マーケティング (39)
【Fターム(参考)】