説明

エンボス加工装置、エンボス加工方法、及び、エンボス缶

【課題】周方向に離れた二以上のエンボス加工領域を有するエンボス加工を行うことができ、また、品質などを向上させることができるエンボス加工装置、エンボス加工方法、及び、エンボス缶の提供を目的とする。
【解決手段】エンボス缶10cは、2面エンボス缶であり、第1のエンボス加工部141a(「EMBOSS」)及び第2のエンボス加工部142a(「NEWCAN」)が精度よく形成され、また、補助的なデザインとしても機能する第1の補助的エンボス加工部147c及び第2の補助的エンボス加工部148cが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンボス加工装置、エンボス加工方法、及び、エンボス缶に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デザインの多様性、缶胴肉厚の薄肉化にともなう缶胴強度向上などの理由から、缶胴に凹部及び/又は凸部の加工(エンボス加工)を施した缶(エンボス缶)が開発され商品化されている。
このように、エンボス缶を構成する缶胴に印刷してある模様や文字等(本明細書では、これらを総称して模様と呼称する。)に合せて凹部及び/又は凸部の加工を行うと、缶体の意匠性が高まることから、模様の少なくとも一部分にその模様と合った凹部及び/又は凸部の加工を施すことが行われている。
また、一般的に、エンボス缶とは、所定のデザイン(模様が印刷されていない、凹部及び/又は凸部からなるデザインをも含む。)に対して位置を合わせて成形された缶をいう。
【0003】
たとえば、特許文献1には、缶胴の外周面に模様が印刷され、かつ、該模様の少なくとも一部分に、該模様と位置合せして凹部及び/又は凸部の加工を施す缶体であって、模様を所定の位置に位置決めするための位置決めマークを、缶胴の外周面に二つ以上形成したことを特徴とする缶体の技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、円筒状の缶胴の外周面に模様が印刷され、かつ、模様の少なくとも一部分に、前記模様と位置合せして凹部及び/又は凸部のエンボス加工を施したエンボス加工缶体の製造方法において、缶胴の外周の一部に塑性加工を施して塑性変形部を形成する塑性加工工程を、模様との位置合わせを行って模様に凹部及び/又は凸部のエンボス加工を施すエンボス加工工程の前に設けたことを特徴とするエンボス加工缶体の製造方法の技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、缶胴と、この缶胴の一方に設けられた缶底とを有する缶体の缶胴に所定の加工を施す缶胴の加工方法において、缶胴に位置決めマークとして回転方向下流側の停止用マークと、回転方向上流側の確認用マークとを設け、缶胴の回転位置決めを行う位置決め工程の缶胴の回転方向上流側に確認用センサを、下流側に停止用センサを設け、確認用センサが停止用マークを検出したときに缶胴の回転を減速させ、停止用センサが停止用マークを検出したときに、缶胴を停止させ、缶胴の回転が停止したときに、確認用センサが確認用マークを検出しているか否かで、缶胴が正確に回転位置決めされているか否かを判断することを特徴とする缶胴の加工方法の技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、缶胴の外面に予め施された印刷デザインに合わせて缶胴を加工する前に、印刷デザインの位置がランダムな状態で連続的に搬送されている缶のそれぞれについて、先ず缶胴の円周方向に高速で回転させて、缶胴に施された大きいマークをセンサにより検出した時点で缶の回転速度を低速に落としてから、次いで缶胴に施された小さいマークをセンサにより検出した時点で缶の回転を停止させることによって、印刷デザインの位置合わせを行なうようにしたことを特徴とする缶胴の印刷デザイン位置合わせ方法の技術が開示されている。
【0007】
ところで、缶コーヒー等においては、デザインの良し悪しは、売り上げなどに大きな影響を及ぼすことから重要であり、斬新なデザインを実現することの可能な技術が要望されている。また、製罐メーカにとっては、斬新なデザインを実現することの可能な技術を確立し、顧客の要望に応えることは、他メーカとの差別化を図る上でも極めて重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−9547号公報
【特許文献2】特開2001−30033号公報
【特許文献3】特開2009−28792号公報
【特許文献4】特開2001−47165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した各特許文献の技術や従来の技術では、たとえば、図6に示す非成形区間を介して周方向に離れた二つのエンボス加工領域を有するエンボス缶(適宜、2面エンボス缶と呼称する。)を製造することは、ほぼ不可能であった。
この理由は、位置決めされ回転の停止した缶胴は、第1面(「EMBOSS」)のエンボス加工が施される際、インナーロールとアウターロールの凹凸部に噛み込まれることによって、ほぼ瞬間的に数百mm/secの周速度で回転する。ただし、非成形区間(「EMBOSS」と「NEWCAN」の間)においては、インナーロールとアウターロールは、凹凸部が形成されていないので、缶胴を噛み込むことができず、缶胴が停止(あるいは、減速)してしまい、第2面(「NEWCAN」)のエンボス加工を所定の位置に施すことができないからである。
すなわち、斬新なデザインを実現することの可能な技術が要望されているのにもかかわらず、顧客の要望に応えることができないといった問題があった。
【0010】
また、上述した各特許文献の技術では、缶胴に付された合いマーク(位置決めマーク)を検出し、ステッピングモータなどの駆動手段が缶胴を回転させ、缶胴の位置決めを行った後、缶胴の回転は停止する。続いて、回転自在に保持された缶胴は、インナーロールとアウターロールの凹凸部に噛み込まれることによって、回転しながらエンボス加工が施される。この際、上述したように、インナーロールとアウターロールは、数百mm/secの周速度で回転しているのに対し、回転の停止した缶胴は、インナーロールとアウターロールの凹凸部に噛み込まれることによって、ほぼ瞬間的に数百mm/secの周速度で回転する。
【0011】
ここで、凹凸部の形状や位置などが、重要となる。たとえば、図4に示す周方向に離れた六つのエンボス加工領域を有するエンボス加工においては、非成形区間(たとえば、「(右端の)S」と「(その左隣の)S」の間の微小距離の区間)があると、インナーロールとアウターロールの凹凸部によって噛み込まれないので、缶胴が減速(あるいは、停止)してしまい、エンボス加工を所定の位置に精度よく行うことができないといった問題があった。
【0012】
また、缶胴を噛み込み始める凹凸部の形状や位置なども、重要となる。たとえば、図4に示すエンボス加工においては、凹凸部の先頭側の端部(「(右端の)S」の最も右側の部分)は、缶胴の高さ方向のほぼ中段に位置し、かつ、噛み込みを開始するのに好適な長さ(たとえば、5mm〜20mmの長さ)を有している。これに対し、図6に示すエンボス加工においては、凹凸部の先頭側の端部(縦書きの「EMBOSS」の右側の部分)は、缶胴の高さ方向のほぼ全域に位置し、かつ、この全域において、一機に噛み込みが開始される必要がある。
すなわち、エンボス加工領域の形状や位置などによっては、デザインに対するエンボス成形位置のばらつきが大きくなる場合があった。したがって、エンボス加工領域の形状や位置などによる悪影響を排除し、エンボス成形位置のばらつきを、安定的に、かつ、効果的に低減し、品質などを向上させる必要があった。
【0013】
さらに、図4に示すエンボス加工などにおいては、たとえば、図示してないが、横書きの「E」、「M」、「B」、「O」、「S」、「S」を斜体とし、たとえば、「E」の最も右側の端部と、「M」の最も左側の端部を軸線上でラップさせることにより、噛み込まれる状態を連続させることもある。
ただし、高速化、デザイン性、品質などをさらに向上させることを考慮すると、信頼性に優れた技術を確立することが要望されている。
【0014】
本発明は、以上のような課題を解決するために提案されたものであり、周方向に離れた二以上のエンボス加工領域を有するエンボス加工を行うことができ、また、品質などを向上させることができるエンボス加工装置、エンボス加工方法、及び、エンボス缶の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明のエンボス加工装置は、位置決めされた缶胴にエンボス加工を施すエンボス成形ターレットを備えたエンボス加工装置において、エンボス成形ターレットのインナーロール及びアウターロールが、周方向に離れた二以上のエンボス加工領域を有し、インナーロール及び/又はアウターロールが、隣り合うエンボス加工領域の間に、缶胴をインナーロール及びアウターロールと同期させて自転させるための缶胴を押圧する押圧手段を有する構成としてある。
【0016】
また、本発明のエンボス加工方法は、エンボス加工装置のエンボス成形ターレットを用いて、位置決めされた缶胴に、周方向に離れた二以上のエンボス加工領域を有するインナーロール及びアウターロールにより、エンボス加工を行うエンボス加工方法において、インナーロール及び/又はアウターロールの隣り合うエンボス加工領域の間に設けられ、缶胴を押圧する押圧手段が、缶胴をインナーロール及びアウターロールと同期させて自転させる方法としてある。
【0017】
また、本発明のエンボス缶は、請求項1〜5のいずれか一項に記載されたエンボス加工装置によって、エンボス加工の施された構成としてある。
【発明の効果】
【0018】
本発明のエンボス加工装置、エンボス加工方法、及び、エンボス缶によれば、周方向に離れた二以上のエンボス加工領域を有するエンボス加工を行うことができ、また、品質などを向上させることができる。特に、2面エンボス缶は、斬新なデザインを実現することが可能となり、付加価値を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態にかかるエンボス加工装置の概略図を示している。
【図2】図2は、本発明の第一実施形態にかかるエンボス加工装置の、インナーロール、アウターロール及び缶胴の関係を説明するための概略図を示している。
【図3】図3は、本発明の第一実施形態にかかるエンボス加工装置の、アウターロールを説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)はA−A矢視の展開図を示している。
【図4】図4は、本発明の第一実施形態にかかるエンボス缶の概略斜視図を示している。
【図5】図5は、本発明の第二実施形態にかかるエンボス加工装置の、アウターロールを説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)はB−B矢視の展開図を示している。
【図6】図6は、本発明の第二実施形態にかかるエンボス缶の概略斜視図を示している。
【図7】図7は、本発明の第三実施形態にかかるエンボス加工装置の、アウターロールを説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)はC−C矢視の展開図を示している。
【図8】図8は、本発明の第三実施形態にかかるエンボス加工装置の応用例の、アウターロールを説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)はC´−C´矢視の展開図を示している。
【図9】図9は、本発明の第三実施形態にかかるエンボス缶の概略斜視図を示している。
【図10】図10は、本発明の第四実施形態にかかるエンボス加工装置の、アウターロールを説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)はD−D矢視の展開図を示している。
【図11】図11は、本発明の第四実施形態にかかるエンボス缶の概略斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[エンボス加工装置、エンボス加工方法、及び、エンボス缶の第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態にかかるエンボス加工装置の概略図を示している。
図1において、本実施形態のエンボス加工装置1は、基台11上に、缶胴供給ターレット12、加熱ターレット13、缶胴受け渡しターレット14、缶胴101にエンボス加工を施すエンボス成形ターレット2、及び、缶胴搬出ターレット15などを備えた構成としてある。
また、エンボス加工装置1は、エンボス成形ターレット2のアウターロール4を除く他の構成が、上述した特許文献3に記載されているエンボス加工装置とほぼ同様としてあるので、その詳細な説明を省略する。
【0021】
エンボス加工装置1は、缶胴供給ターレット12が、缶胴101を加熱ターレット13に供給する。
加熱ターレット13は、高周波コイル131を有しており、缶胴101を自転させながら加熱する。これにより、缶胴101の内面又は外面の塗膜やフィルム等が、エンボス加工によって傷が付いたり剥離することを効果的に防止することができる。
【0022】
ここで、加熱ターレット13は、缶胴101の位置決めマーク(図示せず)を検出し、位置決めした状態で、缶胴101を缶胴受け渡しターレット14に供給するとよい。このようにすると、位置決めされた缶胴101は、自転が停止された状態で搬送され、缶胴受け渡しターレット14における受け渡し等によって多少の回転がなされるが、ほぼ一定の範囲を向いた状態でエンボス成形ターレット2へ供給される。したがって、エンボス成形ターレット2における位置決め時間が短縮され、高速運転が可能となるので、エンボス加工装置1の生産能力を向上させることができる。
また、缶胴受け渡しターレット14は、加熱され、かつ、位置決めされた缶胴101をエンボス成形ターレット2に供給する。
【0023】
(エンボス成形ターレット)
図2は、本発明の第一実施形態にかかるエンボス加工装置の、インナーロール、アウターロール及び缶胴の関係を説明するための概略図を示している。
図2において、エンボス成形ターレット2は、複数の(本実施形態では、それぞれ16個の)インナーロール3及びアウターロール4と、各インナーロール3に対応して設けられ、缶胴101を保持する保持手段(図示せず)などを備えた構成としてある。
また、本実施形態のエンボス成形ターレット2は、上述した特許文献3に記載されているエンボス加工部(エンボス加工ターレット)と比べると、アウターロール4が押圧部材5を有する点などが相違する。なお、エンボス成形ターレット2の他の構成は、上記のエンボス加工部とほぼ同様としてあるので、その詳細な説明を省略する。
【0024】
インナーロール3及びアウターロール4は、回転軸21に取り付けられた第一回転部材(図示せず。特許文献3参照)に、回転自在に等間隔で配設されている。また、インナーロール3及びアウターロール4は、図示してないが、固定歯車や遊星歯車などによって、回転軸21の周りを同期して公転するとともに同期して自転する。
【0025】
保持手段は、図示してないが、チャック、ステッピングモータ、キャンポケット、及び、センサなどを有している。この保持手段は、スライド体やスライド用カム機構などによって、インナーロール3に向かって接離移動し、さらに、カム部材22を用いた揺動用カム機構などによって、缶胴101をインナーロール3へ押し付ける方向へ揺動する。また、センサは、チャックに保持された缶胴101の位置決めマークを検出する。
また、保持手段は、所定の接離移動及び所定の揺動を行いながら回転軸21の周りを公転し、缶胴101を位置決めし、位置決めした後、缶胴101の自転を停止させる。すなわち、エンボス成形ターレット2は、位置決めされ自転の停止した缶胴101にエンボス加工を施す構成としてある。
【0026】
また、本実施形態の缶胴101は、有底筒状としてあり、図示してないが、底部側の側面の二箇所に、矩形状の位置決めマーク(確認用マーク及び停止用マーク)を付した構造としてある。また、各保持手段は、確認用マーク及び停止用マークを検出するために、二つのセンサを有している。
なお、位置決めマークの形状や数量などは、上記の構造に限定されるものではない。また、缶胴101は、2ピース缶用の缶胴としてあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、一方に缶底を取り付けてなる3ピース缶用の缶胴にも適用が可能である。
【0027】
図3は、本発明の第一実施形態にかかるエンボス加工装置の、アウターロールを説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)はA−A矢視の展開図を示している。
図3において、アウターロール4は、大径部40のほぼ中段に、周方向に離れた六つのエンボス加工領域(第1〜6のエンボス加工領域41〜46)を有している。この第1〜6のエンボス加工領域41〜46は、順に、「S」、「S」、「O」、「B」、「M」、「E」を形成するための凸部である。
ここで、水平方向に隣り合うエンボス加工領域どうしの間には、距離Δ(この距離Δは、通常、数mmである。)の非成形区間がある。
【0028】
本実施形態のアウターロール4は、第1〜6のエンボス加工領域41〜46の上方及び下方に、缶胴101を押圧する押圧手段としての押圧部材5を有している。一対の押圧部材5は、ゴム製のほぼ長円形状の平板としてあり、十字穴付き皿小ねじ51の挿入されるねじ用孔が、ほぼ等間隔に6箇所に形成されている。また、押圧部材5は、大径部40の凹部に嵌め込まれ、十字穴付き皿小ねじ51によって大径部40に螺着される。取り付けられた押圧部材5は、大径部40の表面から突出しており、ゴムの弾性変形によって、缶胴101を押圧する。
【0029】
このようにすると、非成形区間においても、押圧部材5が缶胴101をインナーロール3に押し付けるので、缶胴101は、インナーロール3及びアウターロール4と同期した状態で自転することができる。したがって、非成形区間において、缶胴101が減速(あるいは、停止)してしまい、エンボス加工を所定の位置に精度よく行うことができなくなるといった不具合を確実に回避することができる。
【0030】
なお、押圧部材5は、上記構成に限定されるものではなく、様々な構成とすることができる。
たとえば、本実施形態では、十字穴付き皿小ねじ51を用いて、押圧部材5を大径部40に固定しているが、固定方法は、特に限定されるものではなく、接着材、両面テープ、固定用プレート(図示せず)などを用いてもよい。
また、押圧部材5の材料は、ゴムとしてあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、樹脂としてもよい。さらに、押圧部材5を、弾性変形する形状を有する金属部材としてもよい。また、金属板をゴムで覆った複合材料などを用いることもできる。
【0031】
さらに、押圧部材5の形状、大きさ、取り付け位置、数量などは、上記に限定されるものではない。すなわち、押圧部材5は、缶胴101の施されるデザインに応じて、形状などをほぼ自在に設定することができるので、本実施形態の技術は、様々なデザインに対応することができる。
また、押圧部材5の先頭側の端部の位置(自転方法に対する位置)は、第1のエンボス加工領域41(「(右端の)S」)の先頭側の端部の位置とほぼ同じとしてあり、缶胴101が噛み込まれるとほぼ同時に、あるいは、僅かに遅れて、押圧部材5が缶胴101を押圧する。ただし、これに限定されるものではなく、たとえば、押圧部材5の先頭側の端部の位置(自転方法に対する位置)を、第1のエンボス加工領域41(「(右端の)S」)のほぼ中央の位置としてもよい。
【0032】
インナーロール3は、図示してないが、アウターロール4とほぼ同様に、周方向に離れた六つのエンボス加工領域(第1〜6のエンボス加工領域)を有している。この第1〜6のエンボス加工領域は、順に、「S」、「S」、「O」、「B」、「M」、「E」を形成するための凹部である。
また、本実施形態では、アウターロール4だけに押圧部材5を設ける構成としてあるが、これに限定されるものではない。たとえば、図示してないが、インナーロール3に、押圧部材として円環状のOリングなどを設ける構成としてもよい。
【0033】
次に、上記構成のエンボス加工装置1の動作、及び、本実施形態のエンボス加工方法などについて説明する。なお、本実施形態のエンボス加工方法は、上述したエンボス加工装置1のエンボス成形ターレット2を用いて、缶胴101にエンボス加工を行う方法としてある。
【0034】
図2に示すように、ポイント(イ)において、缶胴受け渡しターレット14からエンボス成形ターレット2へ、缶胴101が供給される。次に、缶胴101は、自転が停止した状態でポイント(ロ)に到達すると、上述したセンサやステッピングモータなどによって、位置決めが開始され、ポイント(ハ)に到達するまでに位置決めされ、ポイント(ハ)においては、自転が停止した状態となる。
【0035】
次に、位置決めされ自転の停止した缶胴101がポイント(ニ)に到達すると、上述した保持手段によって、缶胴101は、揺動され、インナーロール3とほぼ当接する。なお、ポイント(ニ)に到達する前に、インナーロール3に向かって接離移動する保持手段によって、缶胴101は、内部にインナーロール3が挿入されている。
また、缶胴101がポイント(ニ)に到達すると、アウターロール4の第1のエンボス加工領域41が缶胴101と当接し、エンボス加工が開始されるとともに、缶胴101は、インナーロール3及びアウターロール4の凹凸部に噛み込まれることにより、自転を開始する。
【0036】
ここで、缶胴101は、インナーロール3及びアウターロール4と同期した状態(すなわち、位置決めされた状態(位置ばらつき量がほぼない状態)で、かつ、インナーロール3及びアウターロール4の自転の周速度と同じ周速度で自転する状態)で自転する。そして、インナーロール3及びアウターロール4の凹凸部による噛み込むが行われない非成形区間においては、一対の押圧部材5が、缶胴101を押圧することにより、缶胴101は、押圧部材5及びインナーロール3との摩擦力によって、同期した状態を維持しつつ、自転する。
【0037】
自転を開始した缶胴101は、ポイント(ホ)に到達するまでに、順に、「S」、「S」、「O」、「B」、「M」、「E」のエンボス加工が施される。
ここで、本実施形態のエンボス成形ターレット2は、上述したように、インナーロール3及びアウターロール4と同期した状態(同期運転状態)で自転する缶胴101にエンボス加工を行うことができる。
このようにすることによって、デザインに対するエンボス成形位置精度を向上させることができるので、アピアランス性を向上させることができる。
【0038】
次に、エンボス成形ターレット2は、ポイント(へ)において、缶胴搬出ターレット15へエンボス加工の施された缶胴101を受渡しする。
なお、缶胴搬出ターレット15は、エンボス成形ターレット2によりエンボス加工された缶胴101を排出する。
【0039】
次に、本実施形態のエンボス缶10について、図面を参照して説明する。
図4は、本発明の第一実施形態にかかるエンボス缶の概略斜視図を示している。
図4において、エンボス缶10は、缶胴101と缶蓋102とからなっている。このエンボス缶10は、上述したエンボス加工装置1やエンボス加工方法によって、左から順に「E」、「M」、「B」、「O」、「S」、「S」と読み取ることができる。
【0040】
すなわち、缶胴101には、左側から順に所定の模様(「E」、「M」、「B」、「O」、「S」、「S」)が印刷されており、これらの模様とほぼ一致するように位置決めされた状態で、第1〜6のエンボス加工部141〜146(「S」、「S」、「O」、「B」、「M」、「E」)が、上述した非成形区間があるのにもかかわらず、精度よく形成されている。
【0041】
以上説明したように、本実施形態のエンボス加工装置1、エンボス加工方法、及び、エンボス缶10によれば、非成形区間を介して周方向に離れた二以上のエンボス加工領域を有するエンボス加工を行うことができ、また、品質を向上させることができる。
【0042】
[エンボス加工装置、エンボス加工方法、及び、エンボス缶の第二実施形態]
図5は、本発明の第二実施形態にかかるエンボス加工装置の、アウターロールを説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)はB−B矢視の展開図を示している。
図5において、本実施形態のエンボス加工装置は、上述した第一実施形態のエンボス加工装置1と比べると、アウターロール4の代わりにアウターロール4aを有する点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、エンボス加工装置1とほぼ同様としてある。
したがって、図5において、図3と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0043】
アウターロール4aは、大径部40aのほぼ両側に、周方向に離れた二つのエンボス加工領域(第1のエンボス加工領域41a及び第2のエンボス加工領域42a)を有している。ここで、水平方向に隣り合う第1のエンボス加工領域41aと第2のエンボス加工領域42aとの間には、距離Δa(この距離Δaは、通常、数十mmである。)の非成形区間がある。
この第1のエンボス加工領域41aは、縦方向の「EMBOSS」の文字に対応する凸部が形成されており、また、第二のエンボス加工領域42aは、縦方向の「NEWCAN」の文字に対応する凸部が形成されている。
なお、エンボス加工領域とは、エンボス加工用の一又は二以上の凸部や凹部をいい、たとえば、第1のエンボス加工領域41aは、縦方向の「EMBOSS」の文字に対応する六つの凸部である。
【0044】
本実施形態のアウターロール4aは、第1のエンボス加工領域41a及び第2のエンボス加工領域42aの上方及び下方に、缶胴101を押圧する押圧手段としての押圧部材5aを有している。
一対の押圧部材5aは、ゴム製のほぼ長円形状の平板としてあり、十字穴付き皿小ねじ51の挿入されるねじ用孔が、ほぼ等間隔に4箇所に形成されている。また、押圧部材5aは、大径部40aの凹部に嵌め込まれ、十字穴付き皿小ねじ51によって大径部40aに螺着される。取り付けられた押圧部材5aは、大径部40aの表面から突出しており、ゴムの弾性変形によって、缶胴101を押圧する。
【0045】
このようにすると、非成形区間においても、押圧部材5aが缶胴101をインナーロールに押し付けるので、缶胴101が、インナーロール及びアウターロール4aと同期した状態で自転することができる。したがって、非成形区間において、缶胴101が停止(あるいは、減速)してしまい、エンボス加工を所定の位置に精度よく行うことができなくなるといった不具合を確実に回避することができる。
【0046】
また、本実施形態では、押圧部材5aの先頭側の端部の位置(自転方法に対する位置)は、第1のエンボス加工領域41a(「EMBOSS」)の先頭側の端部の位置より、先頭側に設けてある。
このようにすると、位置決めされ自転の停止した缶胴101がポイント(ニ)に到達すると、押圧部材5aの先頭側の端部が缶胴101を押圧し、缶胴101は、押圧部材5a及びインナーロールとの摩擦力によって、同期した状態で自転を開始する。すなわち、本実施形態のエンボス成形ターレットは、缶胴101が、位置補正された状態(位置ばらつき量がほぼない状態)で、かつ、インナーロール及びアウターロール4aの自転の周速度と同じ周速度で自転する状態(同期運転状態)で、缶胴101にエンボス加工を開始することができる。
【0047】
したがって、エンボス加工における成形傷を抑制することができる。また、デザインに対するエンボス成形位置精度を向上させることができるので、アピアランス性を向上させることができる。
また、エンボス加工領域の形状や位置などによる悪影響を排除し、エンボス成形位置のばらつきを、安定的に、かつ、効果的に低減し、品質などを向上させることができる。
さらに、本実施形態のエンボス成形ターレットは、従来製造が不可能であった2面エンボス缶を製造することができる。
【0048】
なお、押圧部材5aの形状は、上記の形状に限定されるものではなく、たとえば、「工」の字状の形状としてもよい。
また、その他の構成、動作、方法などは、上述した第一実施形態とほぼ同様としてある。
【0049】
次に、本実施形態のエンボス缶10aについて、図面を参照して説明する。
図6は、本発明の第二実施形態にかかるエンボス缶の概略斜視図を示している。
図6において、エンボス缶10aは、缶胴101と缶蓋102とからなっている。このエンボス缶10aは、2面エンボス缶であり、上述したエンボス加工装置やエンボス加工方法によって、エンボス加工が施されている。
【0050】
すなわち、缶胴101には、右側に所定の模様(「EMBOSS」)が印刷されており、また、左側に所定の模様(「NEWCAN」)が印刷されており、これらの模様とほぼ一致するように位置決めされた状態で、第1のエンボス加工部141a(「EMBOSS」)及び第2のエンボス加工部142a(「NEWCAN」)が、上述した非成形区間があるのにもかかわらず、形成されている。
【0051】
以上説明したように、本実施形態のエンボス加工装置、エンボス加工方法、及び、エンボス缶10aによれば、上述した第一実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。特に、2面エンボス缶であるエンボス缶10aは、斬新なデザインを実現することが可能となり、付加価値を向上させることができる。
【0052】
[エンボス加工装置、エンボス加工方法、及び、エンボス缶の第三実施形態]
図7は、本発明の第三実施形態にかかるエンボス加工装置の、アウターロールを説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)はC−C矢視の展開図を示している。
図7において、本実施形態のエンボス加工装置は、上述した第一実施形態のエンボス加工装置1と比べると、アウターロール4の代わりにアウターロール4bを有する点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、エンボス加工装置1とほぼ同様としてある。
したがって、図7において、図3と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0053】
アウターロール4bは、押圧部材5を取り付ける代わりに、大径部40に押圧部5bを形成してある。すなわち、本実施形態のアウターロール4bは、第1〜6のエンボス加工領域41〜46の上方及び下方に、缶胴101を押圧する押圧手段としての押圧部5bを有している。また、押圧部5bは、断面がほぼ半円の直線状の凸部としてあり、缶胴101を塑性変形させる。なお、図示してないが、本実施形態のインナーロールは、上記凸部と対応する凹部が形成されている。
【0054】
ここで、好ましくは、押圧部5bによって塑性変形した缶胴101の部分が、缶胴101の補助的なデザインとなる構成とするとよい。このようにすると、押圧部5bの長所(耐久性や押圧力の安定性など)を生かしつつ、デザイン性を向上させることができる。
また、補助的なデザインとして、アンダーライン、アッパーライン、波形状のライン、枠、又は、背景などを挙げることができる。
【0055】
このようにすると、非成形区間においても、押圧部5bが缶胴101をインナーロールに押し付けるので、缶胴101が、インナーロール及びアウターロール4bと同期した状態で自転することができる。したがって、非成形区間において、缶胴101が減速(あるいは、停止)してしまい、エンボス加工を所定の位置に精度よく行うことができなくなるといった不具合を確実に回避することができる。
【0056】
なお、押圧部5bは、上記構成に限定されるものではなく、様々な構成とすることができる。
たとえば、押圧部5bの形状、大きさ、位置、数量などは、上記に限定されるものではない。すなわち、押圧部5bは、缶胴101の施されるデザインに応じて、形状などをほぼ自在に設定することができるので、本実施形態の技術は、様々なデザインに対応することができる。
【0057】
また、たとえば、図8に示すように、一対の押圧部5bの代わりに、押圧部5b′及び押圧部5b″を形成する構成としてもよい。すなわち、押圧部5bは、繋がっている必要はなく、分断された形状であってもよい。また、非成形区間を上下方向(自転方向と直交する方向)に延長した区間において、押圧部5b′及び押圧部5b″の少なくとも一つがあればよい。
【0058】
また、押圧部5bの先頭側の端部の位置(自転方法に対する位置)は、第1のエンボス加工領域41(「(右端の)S」)の先頭側の端部の位置とほぼ同じとしてあり、缶胴101が噛み込まれるとほぼ同時に、あるいは、僅かに遅れて、押圧部5bが缶胴101を押圧する。ただし、これに限定されるものではなく、たとえば、押圧部5bの先頭側の端部の位置(自転方法に対する位置)を、第1のエンボス加工領域41(「(右端の)S」)のほぼ中央の位置としてもよい。
さらに、その他の構成、動作、方法などは、上述した第一実施形態とほぼ同様としてある。
【0059】
次に、本実施形態のエンボス缶10bについて、図面を参照して説明する。
図9は、本発明の第三実施形態にかかるエンボス缶の概略斜視図を示している。
図9において、エンボス缶10bは、缶胴101と缶蓋102とからなっている。このエンボス缶10bは、上述したエンボス加工装置やエンボス加工方法によって、左から順に「E」、「M」、「B」、「O」、「S」、「S」と読み取ることができる。また、これらの上方及び下方には、第1の補助的エンボス加工部147及び第2の補助的エンボス加工部148が形成されている。
【0060】
すなわち、缶胴101bには、左側から順に所定の模様(「E」、「M」、「B」、「O」、「S」及び「S」)が印刷されており、これらの模様とほぼ一致するように位置決めされた状態で、第1〜6のエンボス加工部141〜146(「S」、「S」、「O」、「B」、「M」、「E」)が、上述した非成形区間があるのにもかかわらず、精度よく形成されている。
また、補助的なデザインとしても機能する第1の補助的エンボス加工部147及び第2の補助的エンボス加工部148によって、デザイン的にすっきりした感じを与えるとともに、横方向の「EMBOSS」を強調することができる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態のエンボス加工装置、エンボス加工方法、及び、エンボス缶10bによれば、上述した第一実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。さらに、第1の補助的エンボス加工部147及び第2の補助的エンボス加工部148を、補助的なデザインとしても機能させることができるので、デザイン性を向上させることができる。
【0062】
[エンボス加工装置、エンボス加工方法、及び、エンボス缶の第四実施形態]
図10は、本発明の第四実施形態にかかるエンボス加工装置の、アウターロールを説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)はD−D矢視の展開図を示している。
図10において、本実施形態のエンボス加工装置は、上述した第二実施形態のエンボス加工装置と比べると、アウターロール4aの代わりにアウターロール4cを有する点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、第二実施形態のエンボス加工装置とほぼ同様としてある。
したがって、図10において、図5と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0063】
アウターロール4cは、押圧部材5aを取り付ける代わりに、大径部40aに押圧部5cを形成してある。すなわち、本実施形態のアウターロール4cは、第1のエンボス加工領域41a及び第2のエンボス加工領域42aの上方及び下方に、缶胴101を押圧する押圧手段としての押圧部5cを有している。また、押圧部5cは、断面がほぼ半円の直線状の凸部としてあり、缶胴101を塑性変形させる。なお、図示してないが、本実施形態のインナーロールは、上記凸部と対応する凹部が形成されている。
【0064】
ここで、好ましくは、押圧部5cによって塑性変形した缶胴101の部分が、缶胴101の補助的なデザインとなる構成とするとよい。このようにすると、押圧部5cの長所(耐久性や押圧力の安定性など)を生かしつつ、デザイン性を向上させることができる。
【0065】
このようにすると、非成形区間においても、押圧部5cが缶胴101をインナーロールに押し付けるので、缶胴101が、インナーロール及びアウターロール4cと同期した状態で自転することができる。したがって、非成形区間において、缶胴101が停止(あるいは、減速)してしまい、エンボス加工を所定の位置に精度よく行うことができなくなるといった不具合を確実に回避することができる。
【0066】
また、本実施形態では、押圧部5cの先頭側の端部の位置(自転方法に対する位置)は、第1のエンボス加工領域41a(「EMBOSS」)の先頭側の端部の位置より、先頭側に設けてある。
このようにすると、位置決めされ自転の停止した缶胴101がポイント(ニ)に到達すると、押圧部5cの先頭側の端部が缶胴101をインナーロールに押し付けるので、缶胴101は、同期した状態で自転を開始する。すなわち、本実施形態のエンボス成形ターレットは、缶胴101が、位置補正された状態(位置ばらつき量がほぼない状態)で、かつ、インナーロール及びアウターロール4cの自転の周速度と同じ周速度で自転する状態(同期運転状態)で、缶胴101にエンボス加工を開始することができる。
【0067】
したがって、エンボス加工における成形傷を抑制することができる。また、デザインに対するエンボス成形位置精度を向上させることができるので、アピアランス性を向上させることができる。
また、エンボス加工領域の形状や位置などによる悪影響を排除し、エンボス成形位置のばらつきを、安定的に、かつ、効果的に低減し、品質などを向上させることができる。
さらに、本実施形態のエンボス成形ターレットは、従来製造が不可能であった2面エンボス缶を製造することができる。
【0068】
なお、押圧部5cの形状は、上記の形状に限定されるものではなく、たとえば、「工」の字状の形状としてもよい。
また、その他の構成、動作、方法などは、上述した第二実施形態とほぼ同様としてある。
【0069】
次に、本実施形態のエンボス缶10cについて、図面を参照して説明する。
図11は、本発明の第四実施形態にかかるエンボス缶の概略斜視図を示している。
図11において、エンボス缶10cは、缶胴101と缶蓋102とからなっている。このエンボス缶10cは、2面エンボス缶であり、上述したエンボス加工装置やエンボス加工方法によって、エンボス加工が施されている。
【0070】
すなわち、缶胴101cには、右側に所定の模様(「EMBOSS」)が印刷されており、また、左側に所定の模様(「NEWCAN」)が印刷されており、これらの模様とほぼ一致するように位置決めされた状態で、第1のエンボス加工部141a(「EMBOSS」)及び第2のエンボス加工部142a(「NEWCAN」)が、上述した非成形区間があるのにもかかわらず、精度よく形成されている。
また、補助的なデザインとしても機能する第1の補助的エンボス加工部147c及び第2の補助的エンボス加工部148cによって、デザイン的にすっきりした感じを与えるとともに、縦方向の「EMBOSS」及び「NEWCAN」を強調することができる。
【0071】
以上説明したように、本実施形態のエンボス加工装置、エンボス加工方法、及び、エンボス缶10cによれば、上述した第二実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。さらに、第1の補助的エンボス加工部147c及び第2の補助的エンボス加工部148cを、補助的なデザインとしても機能させることができるので、デザイン性を向上させることができる。
【0072】
以上、本発明のエンボス加工装置、エンボス加工方法、及び、エンボス缶について、好ましい実施形態などを示して説明したが、本発明に係るエンボス加工装置、エンボス加工方法、及び、エンボス缶は、上述した実施形態などにのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、図示してないが、デザインなどによっては、アウターロールが、一又は二以上の複数の押圧部材、及び、一又は二以上の押圧部を有する構成としてもよい。このようにすると、デザインの自由度を高めることができ、また、高速化、デザイン性、品質などをさらに向上させることができ、信頼性に優れた技術を提供することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 エンボス加工装置
2 エンボス成形ターレット
3 インナーロール
4、4a、4b、4c アウターロール
5、5a 押圧部材
5b、5b′、5b″、5c 押圧部
10、10a、10b、10c エンボス缶
11 基台
12 缶胴供給ターレット
13 加熱ターレット
14 缶胴受け渡しターレット
15 缶胴搬出ターレット
21 回転軸
22 カム部材
40、40a 大径部
41、41a 第1のエンボス加工領域
42、42a 第2のエンボス加工領域
43 第3のエンボス加工領域
44 第4のエンボス加工領域
45 第5のエンボス加工領域
46 第6のエンボス加工領域
51 十字穴付き皿小ねじ
101 缶胴
102 缶蓋
141、141a 第1のエンボス加工部
142、142a 第2のエンボス加工部
143 第3のエンボス加工部
144 第4のエンボス加工部
145 第5のエンボス加工部
146 第6のエンボス加工部
147、147c 第1の補助的エンボス加工部
148、148c 第1の補助的エンボス加工部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置決めされた缶胴にエンボス加工を施すエンボス成形ターレットを備えたエンボス加工装置において、
前記エンボス成形ターレットのインナーロール及びアウターロールが、周方向に離れた二以上のエンボス加工領域を有し、
前記インナーロール及び/又は前記アウターロールが、隣り合う前記エンボス加工領域の間に、前記缶胴を前記インナーロール及びアウターロールと同期させて自転させるための前記缶胴を押圧する押圧手段を有することを特徴とするエンボス加工装置。
【請求項2】
前記押圧手段が押圧部材を有し、前記押圧部材が弾性変形によって前記缶胴を押圧することを特徴とする請求項1に記載のエンボス加工装置。
【請求項3】
前記押圧手段が押圧部を有し、前記押圧部が前記缶胴を塑性変形させる凸部及び凹部であることを特徴とする請求項1に記載のエンボス加工装置。
【請求項4】
前記押圧手段が押圧部材及び押圧部を有し、前記押圧部材が弾性変形によって前記缶胴を押圧し、前記押圧部が前記缶胴を塑性変形させる凸部及び凹部であることを特徴とする請求項1に記載のエンボス加工装置。
【請求項5】
前記押圧部によって塑性変形した部分が、前記缶胴の補助的なデザインとなることを特徴とする請求項3又は4に記載のエンボス加工装置。
【請求項6】
エンボス加工装置のエンボス成形ターレットを用いて、位置決めされた缶胴に、周方向に離れた二以上のエンボス加工領域を有するインナーロール及びアウターロールにより、エンボス加工を行うエンボス加工方法において、
前記インナーロール及び/又は前記アウターロールの隣り合う前記エンボス加工領域の間に設けられ、前記缶胴を押圧する押圧手段が、前記缶胴を前記インナーロール及びアウターロールと同期させて自転させることを特徴とするエンボス加工方法。
【請求項7】
上記請求項1〜5のいずれか一項に記載されたエンボス加工装置によって、エンボス加工の施されたことを特徴とするエンボス缶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図4】
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【図6】
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【図9】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−5512(P2011−5512A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150091(P2009−150091)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】