説明

エンボス装置によるコーティング

【課題】請求項1のプリアンブルに記載の方法および請求項18のプリアンブルに記載の転写フィルムを提供すること。
【解決手段】画線部提供層または被覆層を転写フィルムから被印刷材料に転写するためのコーティング装置は、複雑な被印刷材料を製造するために適応性を有して用いられる必要がある。そのために、少なくとも一つのモジュール型フィルム貼付装置FAが枚葉紙輪転印刷機に設けられ、画線部領域に剥離可能な被覆を設けるための部分コーティングが実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1,10および18のプリアンブルに記載の、画線部提供層または被覆層を担体フィルムから印刷枚葉紙に転写するための方法および装置および転写フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フィルム転写法を用いて、印刷枚葉紙上に金属層を製造することが知られている。例として特許文献1には印刷材料およびこのような材料を用いる印刷装置が記載されている。給紙装置と排紙装置とを有してなる枚葉紙加工機に、複数の印刷装置と1つのコーティング装置が設けられている。これらの印刷装置の少なくとも一つにおいては、平版印刷法を用いて接着剤パターンが図柄(Drucksujet)として塗布される。前記の印刷装置に続いて設けられたコーティング装置には、圧胴と、プレスローラと、フィルムガイドとが設けられている。このフィルムガイドには、フィルムストックロールからフィルムストリップがコーティング装置の圧胴とプレスローラとの間に設けられた転写間隙を介してガイドされ、フィルムストリップはコーティング装置から出た後、排出側で再び巻きつけられる。転写フィルムは担体フィルムを有し、この担体層の上にたとえばアルミニウムから成る金属層またはプラスチック層のような種々の機能層を設けることができる。機能層と担体フィルムとの間には分離層が設けられている。分離層によって、機能層は担体層から剥離可能となっている。
【0003】
印刷枚葉紙は、接着剤が平坦に塗布されるか、接着剤パターンが設けられた後、コーティング装置を通過する。このとき、プレスローラによって、圧胴に載置された印刷枚葉紙は、フィルム材料と結合される。このとき下方に向けて設けられた機能層は、印刷枚葉紙の接着剤が塗布された領域と密接に結合される。その後、機能層は接着剤が塗布されたパターン領域のみ、あるいは、全面に設けられた接着剤領域に付着する。このとき、接着剤パターンの領域では、担体フィルムから機能層が剥離される。印刷枚葉紙はコーティングされた状態で排出される。
【0004】
さらに情報媒体または宝くじ券に記載された情報をいわゆるスクラッチコーティングを用いて被覆することが広く知られている。これによって必要な場合に被覆された情報は被覆を除去され、それによって、評価を行ったり、または勝負結果を検査したりする。このような場合、対応する被印刷材料のコーティングはスクリーン印刷で行われることが多く、そのために製品の本来の印刷工程と別個に行う必要があることから、比較的コストが嵩む。
【0005】
特許文献2から同様に印刷製品に潜在的な情報(印刷製品に組み込まれた情報であって、完成されており、操作をしない状態の印刷製品を肉眼で見たときに容易に認識できないような情報)を組み込む方法および装置が知られている。ここではコーティング工程によって被印刷材料の接着性が、所望の情報、いわゆる潜在的情報に応じて変えられる。その後印刷インキが平坦に塗布される。そして潜在的情報は、擦ることによって目に見えるようになる。このとき印刷インキは、前処理工程によって接着性が変えられているために、被印刷材料において部分的に除去可能となっている。
【0006】
前記のような方法の不利点は、それらが臨機応変に応用できないことである。前記の方法は複雑なプロセスについての広範な専門知識を必要とし、操作が困難である。
【特許文献1】欧州特許第569520号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102005024989号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の理由から本発明の課題は、請求項1のプリアンブルに記載の方法および請求項18のプリアンブルに記載の転写フィルムを提供することである。この方法および転写フィルムによって、融通性に富んだ印刷枚葉紙のコーティングを、容易に、確実かつ経済的かつ正確に行うことができる。このような方法および転写フィルムは、簡単に操作できるものでなくてはならない。
【0008】
このような課題の解決は、請求項1に記載の特徴を有する方法によって、請求項10に記載の特徴を有する装置において、請求項18に記載の特徴を有する転写フィルムにおいて実現される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
例えば情報特性を備えたコーティングすべき情報媒体に除去可能な被覆を行うための除去可能な部分コーティングを、枚葉紙輪転印刷機において行い、コーティングを、コールド=フィルム=スタンピングによって行う方法が好適に提案される。
【0010】
モジュール型のニス引き装置、枚葉紙返し装置およびモジュール型のコーティング装置などのコーティングユニットを好適に組み合わせることによって片面あるいは両面にフィルムを貼付することが可能となる。このような方法および装置によって特殊効果および機能を有する貼付物もしくはフィルム複合体セットの製造を、被印刷材料の両面への印刷可能性と結合させることもできる。
【0011】
方法の作用は以下の通りである。
1. インライン印刷もしくはインライン=コーティングにおいて、枚葉紙輪転印刷機およびコールド=フィルム=スタンピングによる貼付によって、複合型の被印刷材料の製造が行われる。これによって、情報を設けることと情報を変化させる層の貼付を互いに組み合わせることができる。

2. コールド=フィルム=スタンピングのために必要とされる接着剤の塗布は、印刷画線部の被覆すべき情報の領域において行われる。接着剤は使用すべきコーティング材料に比べてより小さな接着力を有し、担体フィルムからフィルム構成部分を除去することが保証されている。

3. コールド=フィルム=スタンピングによるフィルム貼付によって行われるコーティングもしくは部分コーティングは、容易に剥離可能なスクラッチフィルムを設けるために用いられる。

4. コールド=フィルム=スタンピングによるフィルム貼付によって行われるコーティングもしくは部分コーティングは、容易に剥離可能な固体の剥離フィルムを設けるために用いられる。

5. コールド=フィルム=スタンピングによるフィルム貼付によって行われるコーティングもしくは部分コーティングに、他の印刷方法によって潜在的な情報が導入される。

6. 装置は印刷機であって、必要な画線部情報を作り出すために一つまたは複数の印刷装置を有している。この印刷機内部に設けられたコーティング装置において、コールド=フィルム=スタンピングによる部分コーティングを行うことができる。

7. 部分コーティングは、コーティング装置を備えたさらに別の印刷機においてオフライン工程で行うこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を以下に図面に基づいてより詳しく説明する。図面に示すのは以下の通りである。
【0013】
図1には枚葉紙輪転印刷機の部材が示され、この印刷機は2つの印刷装置を有し、以下の目的のために用いられる。
−印刷枚葉紙にまず、平坦な接着剤パターンもしくは画線部を提供する接着剤パターンが設けられる(塗布装置1としての印刷装置)。
−後続の印刷装置において、印刷枚葉紙は転写フィルム5とともに圧力をかけられた状態で転写間隙6を介してガイドされる(コーティング装置2)。
【0014】
コーティング装置2の転写間隙6は、プレスローラ3と圧胴4とによって形成される。プレスローラ3はオフセット印刷装置のブランケット胴に対応し、圧胴4はオフセット印刷装置の圧胴に対応することもある。また、プレスローラ3はモジュール型コーティング装置の版胴に対応し、圧胴4はモジュール型コーティング装置の圧胴に対応することもある。フィルム転写のために使用されるコーティング装置2内部における転写フィルムのウェブガイドが示されている。
【0015】
別の方法として塗布装置1に関連して示されているように、塗布装置1にフィルム転写装置を組み込むこともできる。これによって、組み込み式のモジュール型フィルム貼付装置が実現される。この場合圧胴4において、印刷ブランケット胴または版胴13と、圧胴4との間の転写間隙に対して、プレスローラ3’が後置されて配設される。このようにして、転写フィルムのフィルム状ウェブ5’は、塗布装置1によって被印刷材料にコーティングを施した後、前記のように形成された転写間隙6’に搬送され、その直後に再び搬出される。コールド法による箔押し加工は、こうして図1に示すように、ただひとつ組み込まれたモジュール型フィルム貼付装置FAにおいて行われる。
【0016】
図1の塗布装置1において概略的に示されるように、組み込み式のモジュール型フィルム貼付装置FAにおいて、モジュール型コーティング装置内部にコンパクトに構成された塗布装置が設けられていてもよい。このために、接着剤塗布装置1’が、圧胴4に対して設けられており、かつ、本図ではブランケット胴13と、圧胴3(4?)との間に設けられることになる転写間隙に対して、前置されて配設される。本図の場合、転写フィルムはブランケット胴13をめぐって、あるいはブランケット胴に対してほぼ接線方向にガイドされ、図に示す印刷間隙を介してガイドされる。
【0017】
このような接着剤塗布装置1’はさらに、接着剤に対しての印刷版を担持するためのコンパクトな版胴と、チャンバ型ドクターとアニロックスローラとから成る接着剤を供給するための塗布装置と、から成ってもよい。その場合、同じ圧胴4においてやはり組み込み式に、まず被印刷材料に接着剤が塗布され、その直後にフィルムの塗布が行われる。
【0018】
フィルムストックロール8はモジュール型コーティング装置2の枚葉紙供給側に配設されている。フィルムストックロール8は、転写フィルムを連続的に制御しながらコーティング装置2に供給するために回転駆動部7を有する。フィルム供給部には、プレスローラ3に対して転写フィルム5をほぼ一定の張力でガイドするために、方向転換ローラもしくはテンションローラが設けられていてよい。印刷装置の排出側には、使用ずみのフィルム材料のためのフィルム収集ロール9が設けられている。フィルム収集ロール9に回転駆動部7を設けることは常に好適である。転写フィルム5が、排出側では回転駆動部7によって移動され、流入側ではブレーキを用いて強く張られるようにすることも可能である。
【0019】
前記のような装置によって、被印刷材料の表面を部分的にシール加工もしくは貼り合わせ加工し、不透明な表面層を設けることが可能である。そのためにフィルム転写のための装置が、枚葉紙印刷機の印刷装置に後置された印刷装置またはニス引き装置に設けられている。このような構成において、印刷したばかりの表面はさらに保護される。このために特にいわゆるスクラッチコーティング層が好適である。スクラッチコーティング層は、情報を被覆するために用いられるが、必要な場合に情報の被覆を除去できるように被覆が行われるものである。スクラッチコーティング層に関してよく知られた例は宝くじであり、また、教育もしくは学習的な性質を備えた情報手段である。
【0020】
被覆の機能は帯状ウェブの形による引き剥がし可能な被覆によっても実現することができる。これによって情報の上に光沢のない、あるいは不透明な被覆を重ねるやり方は、その操作のみが変えられる。
【0021】
応用の基礎となるのは、印刷枚葉紙の上に設けるべき層が、基層への接着および設けるべき層の内部構造に関して有する可変性である。
【0022】
まずコールド=フィルム=スタンピングにおいては基本的に接着剤が必要である。接着剤は、画線部提供層を担体フィルムから基層もしくは印刷枚葉紙に、印刷の作用によって転写する。接着剤はまた、層を転写する際に所望のコーティングの輪郭がごく細部にいたるまで保持される結果をもたらす。一方で比較的厚い層であっても、それらの層の内部のコンシステンシーが接着剤に対する接着力を下回る限りは、同様に良好に、すなわち鮮明なエッジを有して転写することができる。
【0023】
本発明に係る方法および製品およびそのための装置にとって、以下の点が必要である。
−まず通常どおり、転写すべき層の基層に対する接着が、転写すべき層の転写フィルムに対する接着よりも強いことが必要である。
―さらにこの層の基層に対する付着が、簡単に解消可能でなくてはならない。そして
―このとき担体フィルムから基層に鮮明なエッジを有して転写が行われる際、転写すべき層の内部のコンシステンシーは、単に固着条件によってのみ克服可能でなければならない。その理由はコールド=フィルム=スタンピングでは、フィルムの転写すべき要素に対して機械的な破断エッジが得られないためである。
【0024】
前記の要請に対してスクラッチコーティング層は特に好適である。スクラッチコーティング層のコンシステンシーは層内部において、層を確実に剥離させ、転写させることができる大きさである。一方でスクラッチコーティング層は自身の剥離可能な層としてのコンシステンシーゆえに、固有の強度は比較的小さく、そのために比較的厚い層においても問題なく転写することができる。このとき転写フィルムからの層の除去可能性、被覆層を正確なエッジを有して剥離すること、および被印刷材料の基層に十分に接着することなどの作用は、前もって十分に正確に設定可能である。ここで中心的な要素と見なされるのは接着剤である。接着剤はコンシステンシーと乾燥状態において、担体フィルムから基層に層を転写する際に、正確なエッジを有する剥離を行わせるものである。
【0025】
スクラッチコーティング層に代わるものとして、固体のフィルム材料からなる被覆層または不透明層を設けることもできる。この場合、被覆された情報を露にするためには、フィルムを全体として剥離する。このときフィルム貼付に関して末端消費者のために操作を容易にすると、情報領域を除去可能もしくは露出可能に被覆するという作用を前もって設定するという点は、解決がより困難になる。
【0026】
より確実に被覆を行うために、フィルムは極めて強力に着色するか、あるいは十分な厚みを有する必要がある。強力に着色する場合には比較的薄いフィルムを用いてよいが、そのフィルムは基層から問題なく除去できるために、十分な強度を有さなければならない。この場合も接着剤のコンシステンシーと乾燥状態の選択は、設けられたフィルムの接着が正確に実現可能であるとともに十分に容易に除去可能であるように調整できるように行われる。
【0027】
比較的厚いフィルムの場合、被印刷材料の基層への接着ははるかに容易に解決される。比較的厚いフィルムは基層から剥離する際の耐久性がより大きいために、接着が比較的強くてよい。したがって接着剤のコンシステンシーの調整はこの場合、やや可変的に行うことができる。比較的厚いフィルムの場合、担体フィルムにおいて鮮明なエッジを有して分離を行うことはより困難であり、担体フィルムにおいても同様に比較的強い接着が必要とされるので、その理由からも接着剤のコンシステンシーの調整をやや可変的に行うことは必要である。
【0028】
被覆すべき情報はまた、コーティング工程の間においても設けることができる。このために様々な印刷方法が応用可能である。たとえば被覆すべき情報をインクジェット印刷によって設け、続いて被覆を行うことができる。情報は当然ながら、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法またはその他の種類のノンインパクト方式の印刷法で実現することもできる。
【0029】
このために提供される機械の構成は、第一のモジュール型フィルム貼付装置をインキまたはコーティングを転写する第一の印刷装置に対して前置し、第二のモジュール型フィルム貼付装置を、インキを転写する最後の印刷装置に対して後置するというものである。これによって、第一のコーティングまたは貼り合わせを被印刷材料に直接設け、第二の部分コーティングを印刷された印刷画線部の上に設けることができる。
【0030】
片面または両面にフィルム貼付を行うために、モジュール型ニス引き装置、枚葉紙返し装置およびモジュール型コーティング装置などのコーティングユニットを好適に組み合わせることが可能である。本発明に係る方法および装置によって、前記のような機能を備えた貼付または情報媒体の製造を被印刷材料に対する両面印刷可能性と結合して実現することができる。
【0031】
これについて図2および3において機械の構成が示されている。これらの構成は対応する運転方法を可能にするものである。
【0032】
図2および3において粘性のある印刷インキによる加工を行うための印刷装置Dが設けられている。印刷装置Dの代わりに流動的なニスまたはコーティング媒体を加工するためのモジュール型ニス引き装置を選択的に用いることもできる。印刷装置Dはまた、流動的なコーティング媒体からなるコーティングを設けるために用いることもできる。
【0033】
図2にはこのような種類の構成の第一の態様が示されている。図に示す印刷機は、枚葉紙給紙装置ANに続いて設けられている二つの印刷装置Dまたはモジュール型ニス引き装置または印刷装置とモジュール型ニス引き装置との組み合わせに対して、塗布装置1とモジュール型コーティング装置2とが後置されている。これらの塗布装置とモジュール型コーティング装置とは、組み込み式のモジュール型フィルム貼付装置FAとして、印刷装置内に設けられていてもよい。これに続いて返し装置Wが設けられ、この返し装置は枚葉紙印刷機において片面に印刷もしくはコーティングされた印刷枚葉紙を裏返すし、それによって当該印刷枚葉紙の裏面が表面になり、この表面に続いて印刷もしくはコーティングを行うことができる。通常運転時に返し装置Wは印刷枚葉紙を裏返さずに搬送するための搬送装置Tとして機能する。本図では返し/搬送装置W/Tに続いて、枚葉紙排紙装置AUに到るまでに、場合によっては複数のさらなる印刷装置Dが設けられている。
【0034】
このように本図の印刷機によって、それぞれの印刷枚葉紙はまず一方の面が一色または二色で印刷されるか、または印刷およびコーティングされ、その後、被覆するフィルム層によって表面が部分的にコーティングされ、続いて場合によっては裏返され、続いて再度多色印刷が行われる。このような印刷の応用例は、情報のための機能領域を有しているが、この機能領域が直接的に見えてはならないような包装物またはその他の情報媒体である。本発明において説明されるように、情報内容を除去可能に被覆することによって、包装物または情報媒体に設けられている情報が、望ましくないときに、または望ましくない受け手に到達することが防止され、もしくは不利に変更可能となることが回避される。
【0035】
図3には第二の構成が示されている。図に示す印刷機は枚葉紙給紙装置ANに続いて一つまたは二つの部材からなるモジュール型フィルム貼付装置を有し、それに続いて返し/搬送装置W/Tを有する。返し/搬送装置は片面にフィルム材料によるコーティングが設けられている印刷枚葉紙を裏返すために用いられ、それによって当該印刷枚葉紙のそれまでの下側に対して、続いて印刷もしくはコーティングが行うことができる。このとき返し/搬送装置W/Tに続いて、一つまたは複数の印刷装置Dが設けられ、続いて塗布装置1およびモジュール型コーティング装置2が設けられる。これらの塗布装置とモジュール型コーティング装置も、組み込み式のモジュール型フィルム貼付装置FAとして、印刷装置内に設けられていてよい。これに続いて枚葉紙排紙装置AUに到るまでに、場合によっては複数のさらなる印刷装置Dが設けられている。
【0036】
このような印刷機によって、それぞれの印刷枚葉紙はまず裏面が一色または二色で印刷されるか、またはコーティングもしくは貼り合わせ加工される。その後、印刷枚葉紙は裏返され、多色印刷され、続いて被覆層によって表面が部分的にコーティングされ、続いて場合によっては再度印刷またはコーティングが行われる。このような印刷の応用例は、一方の面に媒体内容のための装飾層または保護層を必要とするような包装物または情報媒体である。これによって両面にコーティングがなされた製品に、簡単な方法で画像またはテキスト内容を補足するために、包装、装飾紙および被覆された情報領域を設けることができる。このとき場合によっては感受性の強い特殊コーティングは後から初めて挿入され、このようにして確実に設けることができる。
【0037】
このような機械においてはさらなる製造の可能性がある。すなわち、印刷枚葉紙に視覚的または触覚的なパターンを設け、これらのパターンにフィルムコーティングを行い、それによって視覚または触覚によって認知できるようにしたり、あるいはまた、フィルム自体に視覚的または触覚的な表面パターンを設けるというものである。このようなコーティング工程もまた、印刷されていない表面または印刷された表面に対して、片面あるいは両面で行われる。
【0038】
前記のような種類の除去可能なコーティングは、モジュール型フィルム貼付装置FAにおけるフィルム貼付に先立って、ニス引き装置または印刷装置Dにおける印刷枚葉紙のニス引きが行われることによっても実現可能である。このような工程によって印刷枚葉紙の表面はより平滑になり、それによって接着剤の作用が向上する。同時に、印刷枚葉紙の表面のコーティングの剥がれ易さが向上する。
【0039】
包装物の障壁特性を向上させるために、インラインおよび/あるいはオフラインモードにおいて、同様に両面に対するフィルム貼付が可能とされなければならない。本装置はコールド=フィルム=スタンピングのためのモジュール型コーティング装置を備え、このモジュール型コーティング装置は枚葉紙印刷機内部で返し装置に対して、前置および/あるいは後置されており、前記のような方法の技術を好適なやり方で補っている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】フィルム転写装置を有してなる印刷機を示す図である。
【図2】コーティング装置を有してなる枚葉紙印刷機の第一の実施形態を示す図である。
【図3】コーティング装置を有してなる枚葉紙印刷機の第二の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 塗布装置
2 コーティング装置
3 プレスローラ
4 圧胴
5 転写フィルム/ウェブ状フィルム
6 転写間隙
7 ロール駆動部
8 フィルムストックロール
9 フィルム収集ロール
10 プレス張設材
11 巻き取り軸
12 版胴
13 分割フィルムローラ
14 繰り出し軸
15 印刷装置の保護装置
16 ゴムローラ
17 排出開口部
18 ダンサーローラ
D 印刷装置
AN 給紙装置
AU 排紙装置
FA モジュール型フィルム貼付装置
W 返し装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枚葉紙を加工する機械、特に枚葉紙輪転印刷機において、画線部提供層または被覆する機能層もしくは重なる機能層を担体フィルムから印刷枚葉紙に転写するための方法であって、
前記枚葉紙輪転印刷機は、
印刷枚葉紙に接着剤で画線部に応じたコーティングまたは平坦なコーティングを設けるための少なくとも一つの塗布装置(1)と、
画線部を提供する機能層または被覆する機能層を前記担体フィルムから前記印刷枚葉紙に転写するための少なくとも一つのコーティング装置(2)と、を有し、
前記コーティング装置(2)において転写間隙(6)が形成されており、
前記担体フィルムは表面がプレスローラ(3)に沿うとともにコーティングされた面が印刷枚葉紙に当設された状態で、前記印刷枚葉紙とともに圧力をかけられて前記転写間隙(6)を通過して搬送可能であり、それにより、画線部提供層または被覆層は、接着剤が設けられた領域において前記担体フィルムから前記印刷枚葉紙に接着するように転写される方法において、
個々の印刷枚葉紙の少なくとも一つの印刷またはコーティングされた第一の面には、前記転写間隙(6)において、画線部領域を被覆するために部分的な表面に対して前記担体フィルム(5)からフィルムコーティングが設けられ、前記担体フィルム(5)の前記機能層に対する前記接着剤の接着力は、前記機能層と担持体層との間の接着力を上回るとともに、前記接着剤の接着力は、基層に転写された前記機能層または前記機能層の部分的な除去を可能にすることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記印刷枚葉紙には、前記印刷間隙(6)において部分的な表面に対して前記担体フィルム(5)からコーティングが設けられ、
前記コーティングはスクラッチコーティング層であり、前記接着剤によって前記印刷枚葉紙に行われた前記コーティングは前記担体フィルム(5)に設けられた前記スクラッチコーティング層よりも接着力が大きく、前記接着剤は同時に前記印刷枚葉紙において、前記スクラッチコーティング層と結合して除去可能な結合を形成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記印刷枚葉紙には、前記印刷間隙(6)において部分的な表面に対して前記担体フィルム(5)からコーティングが設けられ、
前記コーティングは被覆フィルム層であり、
前記接着剤によって前記印刷枚葉紙に行われた前記コーティングは前記担体フィルム(5)に設けられた前記被覆フィルム層よりも接着力が大きく、前記接着剤は同時に前記印刷枚葉紙において、前記被覆フィルム層と結合して除去可能な結合を形成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記印刷枚葉紙は同一の前記印刷機内で印刷も部分コーティングも行われることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記印刷枚葉紙は印刷機内で印刷され、コーティング装置において部分コーティングが行われることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
表面の一部に対して行われる前記コーティングの前に、印刷装置またはニス引き装置において、あるいはインクジェット式プリントヘッドによって情報の組み込みが行われることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
部分的な表面に対して行われる前記コーティングの前に、印刷装置において凸版、凹版もしくは平版印刷法によって情報の組み込みが行われることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記担体フィルム(5)から転写された全面に対するフィルムコーティングは、視覚的な機能層であることを特徴とする、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記担体フィルム(5)から転写された全面に対するフィルムコーティングは、構造物を形成する機能層であることを特徴とする、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
画線部提供層および/あるいは被覆する層もしくは重なる層を請求項1に記載の方法において、転写フィルム(5)から印刷枚葉紙に転写するための装置であって、
印刷枚葉紙に接着剤で画線部に応じたコーティングまたは平坦なコーティングを設けるための少なくとも一つの塗布装置(1)と、
前記転写フィルム(5)の画線部提供層および/あるいは被覆する層を転写間隙(6)において前記印刷枚葉紙に転写するための少なくとも一つのコーティング装置(2)と、を有し、
前記転写間隙において、前記転写フィルム(5)はコーティングされた面が印刷枚葉紙に当設された状態で、圧力をかけられて搬送され、それによって画線部提供層または被覆する層もしくは重なる層は、前記印刷枚葉紙の接着剤が設けられた複数の領域のうちの所定の領域において前記転写フィルム(5)から前記印刷枚葉紙に接着するように転写される装置において、
枚葉紙輪転印刷機において、枚葉紙給紙装置(AN)と枚葉紙排紙装置(AU)との間に印刷装置および/あるいはニス引き装置および/あるいはコーティング装置(D)として形成された多数の作用ユニットが備えられ、
該作用ユニットのうちの最初のものたちが印刷装置(D)であり、該印刷装置によって前記印刷枚葉紙の一つの面に情報に関連する印刷を行うことが可能となり、前記印刷装置(D)に後置されて、少なくとも一つの塗布装置(1)と、一つのコーティング装置(2)と、を有するモジュール型フィルム貼付装置(FA)が、情報内容を被覆するために印刷画線部に部分コーティングを設けるために配設されていることを特徴とする装置。
【請求項11】
前記転写フィルム(5)はスクラッチコーティングからなる剥離可能なコーティングを担持していることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記転写フィルム(5)は不透明な被覆フィルムからなる剥離可能なコーティングを担持していることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記モジュール型フィルム貼付装置(FA)は印刷枚葉紙に接着剤を塗布するための塗布装置(1)を有し、
前記接着剤は前記印刷枚葉紙と結合して前記コーティングに対して、前記コーティングが前記転写フィルム(5)に接着するよりも強く接着し、
前記接着剤は前記スクラッチコーティング層と結合して、前記印刷枚葉紙に剥離可能なコーティングを形成することを特徴とする、請求項10または請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記モジュール型フィルム貼付装置(FA)は印刷枚葉紙に接着剤を塗布するための塗布装置(1)を有し、
前記接着剤は前記印刷枚葉紙と結合して前記コーティングに対して、前記コーティングが前記転写フィルム(5)に接着するよりも強く接着し、
前記接着剤は不透明な被覆フィルムと結合して、前記印刷枚葉紙に剥離可能な部分コーティングを形成することを特徴とする、請求項10または請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記枚葉紙輪転印刷機は、枚葉紙給紙装置(AN)と枚葉紙排紙装置(AU)との間に枚葉紙搬送方向において以下のような構成、すなわち
−n個の印刷装置(D)、
−1個のモジュール型フィルム貼付装置(FA)、及び
−n個の印刷装置(D)を有することを特徴とする、請求項10から請求項14までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記枚葉紙輪転印刷機は、枚葉紙給紙装置(AN)と枚葉紙排紙装置(AU)との間に枚葉紙搬送方向において以下のような構成、すなわち
−n個の印刷装置またはニス引き装置(D)、
−1個のモジュール型返し/渡し装置(W/T)、
−n個の印刷装置(D)、及び
−1個のモジュール型フィルム貼付装置(FA)を有することを特徴とする、請求項10から請求項14までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記枚葉紙輪転印刷機は、枚葉紙給紙装置(AN)と枚葉紙排紙装置(AU)との間に枚葉紙搬送方向において以下のような構成、すなわち
−1個のモジュール型フィルム貼付装置(FA)、
−n個の印刷装置またはニス引き装置(D)、
−1個のモジュール型返し/渡し装置(W/T)、
−n個の印刷装置(D)、
−n個のニス引き装置(D)、及び
−1個のモジュール型フィルム貼付装置(FA)を有することを特徴とする、請求項10から請求項14までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
請求項10に記載の装置において請求項1に記載のコーティング方法を実施するための転写フィルムにおいて、
転写フィルム(5)に画線部提供層が設けられており、
前記画線部提供層は不透明であるとともに、前記転写フィルム(5)に対するよりも印刷枚葉紙に設けられた接着剤に対してより強く接着し、
前記印刷枚葉紙から剥離可能であることを特徴とする転写フィルム。
【請求項19】
スクラッチコーティングからなる画線部提供層を特徴とする、請求項18に記載の転写フィルム。
【請求項20】
光沢のない、あるいは不透明な被覆フィルムからなる画線部提供層を特徴とする、請求項18に記載の転写フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−23998(P2008−23998A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190048(P2007−190048)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(599011584)エム・アー・エヌ・ローラント・ドルックマシーネン・アクチエンゲゼルシャフト (257)
【Fターム(参考)】