説明

オイルクーラ

【課題】複数の伝熱管に導入されるオイルの流量を均一化することができる冷却効率および耐久性に優れたオイルクーラを提供する。
【解決手段】オイルを導入するインレットパイプ11とオイルを排出するアウトレットパイプ12との間に、並列する複数の伝熱管17により複数の熱交換通路13pが形成された放熱コア13を備えたオイルクーラであって、放熱コア13のインレットパイプ11側またはアウトレットパイプ12側の端部に、複数の熱交換通路13pに対応する複数の整流孔31A〜31Cが異なる断面積を有するように形成された整流板30と、複数の整流孔31A〜31Cのうち少なくとも1つの整流孔31Aの近傍に、その整流孔31Aを通るオイルの温度に応じてその整流孔31Aに対応する熱交換通路13pを通るオイルの流量を調整可能な感温変形部材32が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルクーラに関し、特に並列する複数の伝熱管を有する放熱コアを備えたオイルクーラに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるエンジン、トランスミッション等の動力伝達装置、油圧パワーステアリング等の油圧作動装置においては、潤滑・冷却用または作動用のオイルをオイルポンプで循環させながら使用している。このような場合、循環するオイルの温度を許容温度以下に維持することで装置の所要の信頼性が担保されることから、オイルの循環経路にオイルクーラが設置されることが多い。また、オイルの許容温度を十分に低くしたりラジエータの負担を軽減させたりするために冷却能力の高いオイルクーラが望まれている。
【0003】
この種のオイルクーラとしては、例えば多管円筒型熱交換器によって構成され、並列する複数の伝熱管に冷却対象の流体を導入する導入室の内部に、伝熱管毎の流体の流量を均一化させるように複数の伝熱管に対応する複数の整流開口を有する整流板を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、パイプ内にその長手方向に延びる隔壁を設けることによりその隔壁を挟んで隣り合う一次流体通路と二次流体通路を形成する一方、一定の温度範囲内で一次流体通路側または二次流体通路側に隆起するように形状変化する形状記憶合金体によってその隔壁を形成することにより、一次流体と二次流体の温度や流量比を自己調節可能にしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−061071号公報
【特許文献2】特開平11−083349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のオイルクーラにあっては、オイル導入室の内部に整流板を設けたとしても、放熱コアを構成する複数の伝熱管のうち通油抵抗の小さい伝熱管に流れが集中し易く、放熱コアを全体的に効率よく使用できないために、冷却効率が低下してしまうという問題があった。
【0007】
さらに、流れの偏りによって放熱コアに熱歪が発生し、耐久性が低下してしまうという問題もあった。
【0008】
そこで、本発明は、複数の伝熱管に導入されるオイルの流量を均一化することができる冷却効率および耐久性に優れたオイルクーラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るオイルクーラは、上記目的達成のため、オイルを導入するインレットパイプと前記オイルを排出するアウトレットパイプとの間に、並列する複数の伝熱管により複数の熱交換通路が形成された放熱コアを備えたオイルクーラであって、前記放熱コアの前記インレットパイプ側または前記アウトレットパイプ側の端部に、前記複数の熱交換通路に対応する複数の整流孔が異なる断面積を有するように形成された整流板と、前記複数の整流孔のうち少なくとも1つの整流孔の近傍に、該整流孔を通る前記オイルの温度に応じて該整流孔に対応する熱交換通路を通るオイルの流量を調整可能な感温変形部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
このオイルクーラでは、インレットパイプやアウトレットパイプの配置との関係等で流れが集中し流量が多くなり易い熱交換通路の流量を減少させるように、または/および、逆に流量が少なくなり易い熱交換通路の流量を増加させるように、整流板の複数の整流孔を異なる断面積とすることで、複数の伝熱管に導入されるオイルの流量が均一化される。しかも、流れが集中し流量が多くなり易い熱交換通路の流量を減少させるように、または/および、流量が少なくなり易い熱交換通路の流量を増加させるように、感温変形部材がオイルの温度に感応してその熱交換通路を形成する伝熱管に対しその入口または出口の大きさを変化させるように変形する。したがって、複数の伝熱管に導入されるオイルの流量がより均一化され、オイルクーラの冷却効率が向上するとともに、熱歪が抑えられることでオイルクーラの耐久性も向上する。
【0011】
なお、整流板の複数の整流孔の内部に、例えばそれぞれの感温変形可能な温度範囲(以下、感温変形温度域という)になると熱交換通路の入口または出口を絞るか拡開する同種の複数個の感温変形部材を設けてもよいし、異種の複数個の感温変形部材を設けてもよい。異種の感温変形部材を設ける場合、例えば整流板の複数の整流孔のうちインレットパイプにより形成される導入口に近い少なくとも1つの整流孔の近傍に、感温変形温度域になると熱交換通路の入口を絞る第1の感温変形部材を設け、その導入口から離れた少なくとも1つ整流孔の内部に、その感温変形温度域になると熱交換通路の入口を拡開する第2の感温変形部材を設けることができる。勿論、第1の感温変形部材と第2の感温変形部材の感温変形温度域を一致させて変形方向を相違させることができるし、第1の感温変形部材と第2の感温変形部材の感温変形温度域を相違させてそれぞれの変形の方向を一致させ、あるいは相違させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の伝熱管に導入されるオイルの流量を均一化することができる冷却効率および耐久性に優れたオイルクーラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係るオイルクーラの概略構成を示す分解斜視図である。
【図2】(a)は本発明の第1実施形態に係るオイルクーラの要部拡大断面図、(b)はそのオイルクーラの第1の感温変形部材の組込み部の断面図、(c)はそのオイルクーラの第2の感温変形部材の組込み部の断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るオイルクーラの概略構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1および図2に、本発明の第1実施形態に係るオイルクーラの概略構成を示す。
【0016】
まず、その構成について説明する。
【0017】
図1および図2に示すように、本実施形態のオイルクーラ10は、オイルを導入するインレットパイプ11と、オイルを排出するアウトレットパイプ12と、これらインレットパイプ11およびアウトレットパイプ12の間に位置する略平板状の放熱コア13とを備えている。
【0018】
インレットパイプ11は、放熱コア13から離れたその一端側(図1中の左端側)で円管状に形成され、円形断面のインレット通路11aを形成している。このインレット通路11aは、図示しないオイル配管を介して、例えば車両に搭載されたオートマチックトランスミッションのオイル出口に接続されている。インレットパイプ11の他端側は、図2に示すように、放熱コア13の一端面を覆う略長方形のカバー状に形成されている。そして、インレットパイプ11と放熱コア13との間には、トランスミッション側からの高温のオイルを導入する導入室14(図2参照)が形成されている。なお、インレットパイプ11は、その他端側の略長方形の開口縁部で、放熱コア13の一端側の外周部に液密的に嵌合し保持されている。また、インレットパイプ11のインレット通路11aは、図1中の上下に細長くなる導入室14の長手方向の一端側、例えば図1中の上端側に偏倚している。
【0019】
アウトレットパイプ12は、インレットパイプ11と同様に、放熱コア13から離れたその一端側(図1中の右端側)で円管状に形成され、円形断面のアウトレット通路12aを形成している。このアウトレット通路12aは、図示しないオイル配管を介して、例えばオートマチックトランスミッションのオイル入口に接続されている。また、アウトレットパイプ12の他端側は、図2に示すように、放熱コア13の他端面を覆う略長方形のカバー状に形成されている。そして、アウトレットパイプ12と放熱コア13との間には、トランスミッション側に排出すべき冷却済みのオイルが集合する集合室15が形成されている。なお、アウトレットパイプ12は、その他端側の略長方形の開口縁部で、放熱コア13の他端側の外周部に液密的に嵌合し保持されている。また、アウトレットパイプ12のアウトレット通路12aは、図1中の上下に細長くなる集合室15の長手方向の一端側、例えば図中の下端側に偏倚している。
【0020】
放熱コア13は、インレットパイプ11およびアウトレットパイプ12の間に位置する枠体16と、枠体16の内方で図1中の左右方向に延在するとともに同図中の上下方向に略等間隔にかつ平行に離間するように並列する複数の伝熱管17と、これら伝熱管17の軸線に対し直交する方向に一定の幅を有する複数の薄い冷却板部18aを有するように、または、それらを折り返すように結合した冷却フィン18と、によって構成されている。
【0021】
この放熱コア13の並列する複数の伝熱管17は、互いに平行な複数の熱交換通路13pを形成しており、複数の熱交換通路13pの一端側は導入室14に、他端側は集合室15にそれぞれ接続されている。すなわち、導入室14と集合室15とは、複数の熱交換通路13pを介して連通している。そして、導入室14にオイルが導入されるとき、導入室14内のオイルが複数の熱交換通路13pを通った後に集合室15に流入して合流するようになっている。
【0022】
また、冷却フィン18は、枠体16の内部で、その枠体16と複数の伝熱管17との間の空間を複数の冷却板部18aによって多数の空気通路に区画しており、これによって、放熱コア13は、複数の伝熱管17の軸線に対し直交する図1中のd1方向に低温の流体、例えば冷却風(空気)を通すことができるようになっている。
【0023】
ここで、複数の熱交換通路13pを形成する複数の伝熱管17および冷却フィン18は、オイルから各伝熱管17への熱伝達、複数の伝熱管17から冷却フィン18への熱伝導、および、各冷却フィン18から空気への熱伝達のいずれの段階においても熱の移動が良好となる素材、例えばアルミニウムからなる。
【0024】
枠体16は、複数の伝熱管17の両端部を支持する図1中で左右の支持板21、22と図1中で上下の連結板23、24とが一体に結合された金属製のものであり、図2に片側の部分断面で例示するように、支持板21、22の一部にそれぞれ複数の伝熱管17の端部17a、17bが嵌入されている。
【0025】
一方、放熱コア13のインレットパイプ11側またはアウトレットパイプ12側の端部には、整流板30が設けられている。
【0026】
この整流板30には、複数の熱交換通路13pに対応する複数の整流孔31A、31B、31Cが互いに異なる断面積を有するように等間隔(中心間距離)に形成されており、これら複数の整流孔31A〜31Cは、例えばそれぞれ相似形となる略楕円形断面の短いオイル通路となっている。
【0027】
これら複数の整流孔31A〜31Cは、インレット通路11aに最も近い位置にある第1の整流孔31Aが最も小さい断面積になり、インレット通路11aから最も遠い位置にある第2の整流孔31Bが最も大きい断面積になり、両整流孔31A、31Bの間にある複数の第3の整流孔31Cがインレット通路11aから離れるほど大きな断面積になるように形状設定されている。そして、複数の第3の整流孔31Cは、第1の整流孔31Aに近い側では第1の整流孔31A以上の断面積を有し、第2の整流孔31Bに近い側では第2の整流孔31B以下の断面積を有するよう、少なくとも2段階、例えば多段階(3段階以上)に異なる断面積に設定されている。
【0028】
また、整流板30の複数の整流孔31A〜31Cのうち、例えばインレット通路11aの近傍の第1の整流孔31Aの内部(整流孔の近傍)には、図2(a)および図2(b)に示すように、第1の整流孔31Aを通るオイルの温度に応じてその第1の整流孔31Aに対応する熱交換通路13pのオイルの流量を調整可能な第1の感温変形部材32が設けられている。
【0029】
第1の感温変形部材32は、対応する熱交換通路13pの断面形状に略一致する形状、例えば略楕円形状または略C字形状をなす形状記憶合金リングあるいはバイメタルリングで構成され、対応する第1の整流孔31Aの内周壁部31waに形成される環状溝33aに収納されている。そして、その対応する第1の整流孔31Aを通るオイルの温度が常温レベルであるときには、図2(b)中に実線で示すように、第1の感温変形部材32の内周面32aが第1の整流孔31Aの内周壁部31waの近傍(略同一断面の通路を形成する位置)に位置し、一方、第1の整流孔31Aを通るオイルの温度が常温レベルより十分に高温の第1の温度範囲(特定の温度範囲)内に達するときには、図2(b)中に仮想線で示すように、第1の感温変形部材32の内周面32aが第1の整流孔31Aの内周壁部31waから内方に突出するよう第1の感温変形部材32が縮径方向に変形して、その第1の整流孔31Aに対応する熱交換通路13pの入口を絞るようになっている。
【0030】
さらに、整流板30の複数の整流孔31A〜31Cのうち、例えばインレット通路11aから最も離れた第2の整流孔31Bの内部(整流孔の近傍)には、その第2の整流孔31Bを通るオイルの温度に応じてその第2の整流孔31Bに対応する熱交換通路13pのオイルの流量を調整可能な第2の感温変形部材34が設けられている。
【0031】
図2(a)および図2(c)に示すように、第2の感温変形部材34は、例えば略楕円形状または略C字形状をなす形状記憶合金リングあるいはバイメタルリングで構成され、対応する第2の整流孔31Bの内周壁部31wbに形成される環状溝33bに収納されている。そして、対応する第2の整流孔31Bを通るオイルの温度が常温レベルであるときには、図2(c)中に実線で示すように、第2の感温変形部材34の内周面34aが第2の整流孔31Bの内周壁部31wbから内方に突出した位置にあるよう、第2の感温変形部材34は少なくとも長径方向で縮径しており、第2の整流孔31Bを通るオイルの温度が常温レベルより十分に高い第2の温度範囲(特定の温度範囲)内に達するときには、図2(c)中に仮想線で示すように、第2の感温変形部材34の内周面34aが第2の整流孔31Bの内周壁部31wbの近傍に位置するよう第2の感温変形部材34が拡径方向に変形して、その第2の整流孔31Bに対応する熱交換通路13pの入口を拡開するようになっている。
【0032】
また、第1、第2の整流孔31A、31Bの間にある複数の整流孔31Cの内部にも、環状溝33a、33bと同様な環状溝33c、33dが形成され、第1の整流孔31Aに近い側では第1の感温変形部材32と同種(第1の温度範囲で縮径する特性)の少なくとも1つの第1の感温変形部材36が、第2の整流孔31Bに近い側では第2の感温変形部材34と同種(第2の温度範囲で拡径する特性)の少なくとも1つの第2の感温変形部材38が、それぞれ設けられている。
【0033】
本実施形態では、第1の感温変形部材32の感温変形温度域である第1の温度範囲は、第2の感温変形部材34の感温変形温度域である第2の温度範囲よりも僅かに高温側に設定されており、オイルの温度が上昇するとき、最初に第2の感温変形部材34が拡径し、次いで、第1の感温変形部材32が縮径するようになっている。ただし、逆の設定も可能である。すなわち、第2の感温変形部材34の感温変形温度域である第2の温度範囲が第1の感温変形部材32の感温変形温度域である第1の温度範囲よりも高温側に設定されてもよい。また、第1の温度範囲と第2の温度範囲が連続するか部分的に重なる温度範囲であってもよいし、互いに中間の温度範囲を隔てて切り離された低温側の温度範囲と高温側の温度範囲となっていてもよい。
【0034】
なお、図2(a)に示すように、整流板30は、より具体的には、枠体16の一方の支持板21(他方の支持板22でもよい)と、その片面側を覆って支持板21との間に環状溝33a、33b、33c、33dを形成するカバー板25とを含んで構成されており、その支持板21には環状溝33a〜33dに対応する円形凹部が、そのカバー板25には複数の熱交換通路13pに対応する複数の円形の穴が、それぞれ形成されている(共に符号なし)。
【0035】
また、オートマチックトランスミッションのオイルの出口および入口の間には、例えばこれら出口および入口(2本のオイル配管内のオイル通路でもよい)を連通させるバイパス通路と、そのバイパス通路を開閉する(あるいは更にその開度を制御する)電磁切換弁とが設けられている。そして、オートマチックトランスミッション内のオイルポンプからオイルが圧送される状態下で、オートマチックトランスミッション内のオイルの温度に応じて電磁切換弁を開閉制御することにより、オイルクーラ10に供給されるオイルの流量を制御できるようになっている。
【0036】
次に、作用について説明する。
【0037】
上述のように構成された本実施形態のオイルクーラでは、オートマチックトランスミッション内のオイルの温度が冷却を要する所定の温度に達すると、オイルクーラ10にオイルが供給される。
【0038】
このとき、図1中の上下に細長い導入室14の上端側に偏倚しているインレット通路11aから導入室14内に導入されるオイルは、インレット通路11aに最も近い第1の整流孔31Aおよびその近傍の第3の整流孔31Cとそれらに対応する熱交換通路13pに集中し易く、インレット通路11aに近い熱交換通路13pを通るオイルの流量が多くなり易いところ、本実施形態では、整流板30の複数の整流孔31A〜31Cがインレット通路11aに近いほど小さい断面積になるように形成されているので、これらに対応する複数の熱交換通路13pの流量が入口の開口面積の相違によって調整され、複数の熱交換通路13pの流量が均一化される。
【0039】
さらに、オートマチックトランスミッション内のオイルの温度が第2の温度範囲に達すると、第2の感温変形部材34が拡径し、オイルの温度がさらにわずかに上昇して第1の温度範囲に達すると、第1の感温変形部材32が縮径する。
【0040】
すなわち、このとき、第1の感温変形部材32が第1の整流孔31Aを通るオイルの温度に感応して、オイルの流量が多くなり易いその第1の整流孔31Aに対応する熱交換通路13pの入口または出口を絞るように変形する一方、第2の感温変形部材34が第2の整流孔31Bを通るオイルの温度に感応して、流量が少なくなり易い熱交換通路13pの入口または出口を拡開するように変形する。したがって、複数の伝熱管17に導入されるオイルの流量がより均一化され、オイルクーラ10の冷却効率が向上するとともに、放熱コア13内の熱歪が抑えられることでオイルクーラ10の耐久性も向上する。
【0041】
このように、本実施形態においては、複数の伝熱管17に導入されるオイルの流量を均一化することができる冷却効率および耐久性に優れたオイルクーラ10を提供することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、放熱コア13の一端側(入口側)に整流板30を設けるものとしたが、放熱コア13の他端側(出口側)に整流板30を設けても、上述の場合とほぼ同様な効果が期待できる。
【0043】
(第2実施形態)
図3に、本発明の第2実施形態に係るオイルクーラの概略構成を示す。なお、本実施形態は、上述の第1実施形態と類似する構成を有するので、同一または類似の構成要素について図1および図2中の対応する構成要素の符号を用いることとして、それらの詳細な説明を省略する。
【0044】
図3に示すように、本実施形態のオイルクーラ40は、オイルを導入するインレットパイプ41と、オイルを排出するアウトレットパイプ42と、これらインレットパイプ41およびアウトレットパイプ42の間に位置する略平板状の放熱コア13とを備えている。
【0045】
インレットパイプ41は、放熱コア13から離れたその一端側(図3中の左端側)で円管状に形成され、円形断面のインレット通路41aを形成している。このインレットパイプ41の他端側は、放熱コア13の一端面を覆う略長方形のカバー状に形成されている。そして、インレットパイプ41と放熱コア13との間には、トランスミッション側からの高温のオイルを導入する導入室14が形成されている。本実施形態では、インレットパイプ41のインレット通路41aは、図3中の上下に細長くなる導入室14の長手方向の中央部付近(図3中の上下方向の中央部付近)に位置している。
【0046】
アウトレットパイプ42は、インレットパイプ41とほぼ同様に、放熱コア13から離れたその一端側(図3中の右端側)で円管状に形成され、円形断面のアウトレット通路42aを形成している。また、アウトレットパイプ42の他端側は、放熱コア13の他端面を覆う略長方形のカバー状に形成されている。そして、アウトレットパイプ42と放熱コア13との間には、トランスミッション側に排出すべき冷却済みのオイルが集合する集合室15が形成されている。このアウトレットパイプ42のアウトレット通路42aは、図3中の上下に細長くなる集合室15の長手方向の中央部付近(図3中の上下方向の中央部付近)に位置している。
【0047】
一方、放熱コア13のインレットパイプ41側またはアウトレットパイプ42側の端部には、整流板50が設けられている。
【0048】
この整流板50には、放熱コア13の複数の熱交換通路13pに対応する複数の整流孔51A〜51Cが互いに異なる断面積を有するように等間隔(中心間距離)に形成されており、複数の整流孔51A〜51Cは、例えばそれぞれ相似形となる略楕円形断面の短いオイル通路となっている。
【0049】
各整流孔51A、51Bまたは51Cは、上述の第1実施形態の各整流孔31A、31Bまたは31Cと同様な大小関係および断面形状を有するとともに、第1実施形態の感温変形部材32、34、36、38と同様な感温変形部材を設けた構成となっているので、ここでは、第1実施形態と同一の符号を用いてその図示を省略する。
【0050】
複数の整流孔51A〜51Cは、インレット通路41aに最も近い位置にある第1の整流孔51Aが最も小さい断面積になり、インレット通路41aから最も遠い位置にある上下両側の第2の整流孔51Bが最も大きい断面積になり、両整流孔51A、51Bの間にある2組の複数の第3の整流孔51Cがそれぞれインレット通路41aから離れるほど大きな断面積になるように形状設定されている。そして、複数の第3の整流孔51Cは、それぞれ第1の整流孔51Aに近い側では第1の整流孔51A以上の断面積を有し、第2の整流孔51Bに近い側では第2の整流孔51B以下の断面積を有するよう、少なくとも2段階、例えば3段階に異なる断面積に設定されている。
【0051】
また、整流板50の複数の整流孔51A〜51Cのうち、例えばインレット通路41aの近傍の第1の整流孔51Aの内部(整流孔の近傍)には、第1の整流孔51Aを通るオイルの温度に応じてその第1の整流孔51Aに対応する熱交換通路13pのオイルの流量を調整可能な第1の感温変形部材32が設けられている。
【0052】
さらに、整流板50の複数の整流孔51A〜51Cのうち、例えばインレット通路41aから最も離れた第2の整流孔51Bの内部(整流孔の近傍)には、その第2の整流孔51Bを通るオイルの温度に応じてその第2の整流孔51Bに対応する熱交換通路13pのオイルの流量を調整可能な第2の感温変形部材34が設けられている。
【0053】
また、第1、第2の整流孔51A、51Bの間にある複数の整流孔51Cの内部にも、第1の整流孔51Aに近い側では第1の感温変形部材32と同種の少なくとも1つの第1の感温変形部材36が、第2の整流孔51Bに近い側では第2の感温変形部材34と同種の少なくとも1つの第2の感温変形部材38が、それぞれ設けられている。
【0054】
本実施形態においても、整流板50の複数の整流孔51A〜51Cがインレット通路41aに近いほど小さい断面積になるように形成されているので、これらに対応する複数の熱交換通路13pの流量が入口の開口面積の相違によって調整され、複数の熱交換通路13pの流量が均一化される。しかも、オイルの温度が第2の温度範囲に達すると第2の感温変形部材34が拡径し、オイルの温度が第1の温度範囲に達すると第1の感温変形部材32が縮径するので、複数の伝熱管17に導入されるオイルの流量がより均一化され、オイルクーラ10の冷却効率が向上するとともに、放熱コア13内の熱歪が抑えられることでオイルクーラ10の耐久性も向上する。その結果、本実施形態においても、第1実施形態と同様な効果が得られる。
【0055】
なお、上述の各実施形態では、整流板30、50の複数の整流孔31A〜31C、51A〜51Cにそれぞれ第1の感温変形部材32および第2の感温変形部材34の双方を設けるものとしたが、いずれか一方のみを用いてもよいことはいうまでもない。また、上述の各実施形態では、伝熱管17の断面形状を略楕円形状としたが、円環状や扁平管状等といった任意の断面形状が採用できる。さらに、上述の各実施形態では、複数の伝熱管17を平面的に並列させた放熱コア13としたが、湾曲した放熱コアであってもよい。また、複数の伝熱管17がその並列方向の一部でインレット通路から大きく離れ易くなる空冷式のオイルクーラとして説明したが、必ずしも空冷式のオイルクーラに限定されるものではなく、水冷式のオイルクーラにも適用可能である。
【0056】
以上説明したように、本発明に係るオイルクーラは、複数の伝熱管に導入されるオイルの流量を均一化することができる冷却効率および耐久性に優れたオイルクーラを提供することができるという効果を奏するものであり、複数の伝熱管を有する放熱コアを備えたオイルクーラ全般に有用である。
【符号の説明】
【0057】
10 オイルクーラ
11、41 インレットパイプ
11a、41a インレット通路
12、42 アウトレットパイプ
12a、42a アウトレット通路
13 放熱コア
13p 熱交換通路
14 導入室
15 集合室
16 枠体
17 伝熱管
17a、17b 端部
18 冷却フィン
18a 冷却板部
21、22 支持板
23、24 連結板
25 カバー板
30、50 整流板
31A、51A 第1の整流孔
31B、51B 第2の整流孔
31C、51C 第3の整流孔
31wa 内周壁部
31wb 内周壁部
32、36 第1の感温変形部材
32a、34a 内周面
33a、33b、33c、33d 環状溝
34、38 第2の感温変形部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルを導入するインレットパイプと前記オイルを排出するアウトレットパイプとの間に、並列する複数の伝熱管により複数の熱交換通路が形成された放熱コアを備えたオイルクーラであって、
前記放熱コアの前記インレットパイプ側または前記アウトレットパイプ側の端部に、
前記複数の熱交換通路に対応する複数の整流孔が異なる断面積を有するように形成された整流板と、
前記複数の整流孔のうち少なくとも1つの整流孔の近傍に、該整流孔を通る前記オイルの温度に応じて該整流孔に対応する熱交換通路を通るオイルの流量を調整可能な感温変形部材が設けられていることを特徴とするオイルクーラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−127872(P2011−127872A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289355(P2009−289355)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】